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特許7595088配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置及び試験方法
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  • 特許-配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置及び試験方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置及び試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/14 20060101AFI20241128BHJP
   G01R 31/12 20200101ALI20241128BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20241128BHJP
   G01R 31/58 20200101ALI20241128BHJP
【FI】
G01R31/14
G01R31/12 D
G01R31/52
G01R31/58
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022567397
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2022110121
(87)【国際公開番号】W WO2023077887
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】202111303174.1
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522431195
【氏名又は名称】国網遼寧省電力有限公司電力科学研究院
【氏名又は名称原語表記】STATE GRID LIAONING ELECTRIC POWER RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.39-7 Siping Street, Heping District Shenyang, Liaoning 110006 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】李冠華
(72)【発明者】
【氏名】陳浩然
(72)【発明者】
【氏名】徐凱
(72)【発明者】
【氏名】李斌
(72)【発明者】
【氏名】栗▲ガン▼
(72)【発明者】
【氏名】鐘雪
(72)【発明者】
【氏名】李勝川
(72)【発明者】
【氏名】楊▲ルゥ▼羽
(72)【発明者】
【氏名】金▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】劉▲ルゥイ▼▲トォン▼
(72)【発明者】
【氏名】黄珂
(72)【発明者】
【氏名】岳蕾
(72)【発明者】
【氏名】趙振威
(72)【発明者】
【氏名】劉権瑩
(72)【発明者】
【氏名】楊鶴
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101587160(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112964964(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110161393(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0100305(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106054006(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104914391(CN,A)
【文献】中国実用新案第208752041(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111579977(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104049184(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/14
G01R 31/12
G01R 31/52
G01R 31/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置であって、
ヒューズと、遮断器と、アークスタート装置と、ロゴスキーコイルと、抵抗容量分圧器と、コントローラとを含み、
前記アークスタート装置は、高圧電極、接地電極、ステッピングモータ、リードスクリュー、密閉タンク、リモートコントローラ及び絶縁ホルダを含み、
前記ステッピングモータは、前記リードスクリューを介して前記接地電極に接続され、
前記遮断器は、一端が前記ヒューズに接続され、他端が前記アークスタート装置の前記高圧電極に接続され、前記アークスタート装置の前記接地電極は、絶縁接地リード線を介して接地し、前記絶縁接地リード線には、前記ロゴスキーコイルが嵌設され、前記ロゴスキーコイルは、前記アークスタート装置を流れるリアルタイム電流信号値を測定し、測定したリアルタイム電流信号値を前記コントローラに伝送し、前記アークスタート装置の両端には、抵抗容量分圧器が並列接続されており、前記抵抗容量分圧器は、前記アークスタート装置の電圧を測定し、測定した電圧を前記コントローラに伝送し、前記コントローラの両端には、前記アークスタート装置及び前記遮断器がそれぞれ接続され、
前記コントローラは、前記高圧電極と前記接地電極との間の電極ギャップ距離を記録し、前記ステッピングモータを回転制御して、前記接地電極を水平移動させることで、前記高圧電極と前記接地電極との間の電極ギャップ距離を調整し、
前記コントローラは、設定電流信号値と前記ロゴスキーコイルによって測定されたリアルタイム電流信号値とを照合することにより、アークの点弧又は消弧を判断し、アーク点弧時刻及びアーク消弧時刻における電極ギャップ距離を記録し、
前記コントローラは、記録機能を備え、前記設定電流信号値と前記ロゴスキーコイルによって測定された、前記アークスタート装置を流れるリアルタイム電流信号値とを照合することにより、アークが点弧又は消弧したか否かを判断し、前記設定電流信号値として点弧電流値を設定し、前記コントローラによって受信された電流が設定された前記点弧電流値よりも大きい場合、アーク点弧と判定し、現在の時刻における前記高圧電極と前記接地電極との間の電極ギャップ距離を記録して、点弧距離として定義し、前記コントローラによって受信された電流が設定された前記点弧電流値よりも小さい場合、アーク消弧と判定し、現在の時刻における前記高圧電極と前記接地電極との間の電極ギャップ距離を記録して、消弧距離として定義し、
前記コントローラは、電極ギャップ風袋引き機能をさらに備え、前記電極ギャップ風袋引き機能がオンになると、前記高圧電極及び前記接地電極の両端に、直列接続された低圧直流電源と電流計が並列接続され、前記コントローラは、前記ステッピングモータを回転制御して、前記接地電極を前記高圧電極に接近させ、前記電流計によって電流が検出されると、前記ステッピングモータの回転を停止するように制御し、このときの前記高圧電極と前記接地電極との間の電極ギャップ距離は、0であると定義する、
ことを特徴とする配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置。
【請求項2】
前記高圧電極は、高圧電極導電性ロッドと、交換可能な高圧電極端子とを含み、前記交換可能な高圧電極端子は第2電極ネジコネクタを介して前記高圧電極導電性ロッドに接続され、
前記接地電極は、接地電極導電性ロッドと、交換可能な接地電極端子とを含み、前記交換可能な接地電極端子は第1電極ネジコネクタを介して前記接地電極導電性ロッドに接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記高圧電極及び前記接地電極は真鍮で製造される、ことを特徴とする請求項1に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記絶縁ホルダは、ベース、サイドテーブル、絶縁支持柱及び絶縁接続部材を含み、前記絶縁支持柱は前記ベースに固定され、前記ベースの一方側に前記サイドテーブルが取り付けられ、前記サイドテーブルに前記ステッピングモータが取り付けられ、前記ステッピングモータ、前記リードスクリュー、前記絶縁接続部材は順次接続され、前記絶縁接続部材は前記接地電極導電性ロッドに接続され、前記コントローラは前記ステッピングモータを回転制御して、前記接地電極導電性ロッドを水平移動させる、ことを特徴とする請求項2に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記密閉タンクは円筒形タンクであり、前記接地電極導電性ロッドは動的シール材を通じてタンク本体の側面に固定され、前記接地電極導電性ロッドの前記密閉タンクから伸び出した部分が接地し、
前記高圧電極導電性ロッドは前記タンク本体の他方側に固定され、その前記密閉タンクから伸び出した部分が電源正極に接続され、
前記高圧電極導電性ロッド及び前記接地電極導電性ロッドは前記密閉タンク内に水平方向において対向するように配列される、ことを特徴とする請求項2に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記密閉タンクの前記タンク本体の下方の両端には、前記密閉タンク内へ媒体として試験ガスを導入する第1チューブと、前記密閉タンク内の試験ガスを排出する第2チューブとが接続され、
前記試験ガスは、六フッ化硫黄(SF)、真空又は乾燥空気を含み、さまざまな媒体での間欠故障アーク現象をシミュレーションする、ことを特徴とする請求項5に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置。
【請求項7】
前記密閉タンクの前記タンク本体の上方に、前記タンク本体内の圧力を監視する圧力計が接続され、
前記密閉タンクの前記タンク本体の上方にリリーフ弁が接続され、
前記密閉タンクの前記タンク本体の側面には、前記交換可能な高圧電極端子、前記交換可能な接地電極端子の交換及びヒューズ線の接続を行うための操作窓が設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記高圧電極と前記接地電極との間の電極ギャップ距離を記録し、前記リモートコントローラに遠隔送信し、前記リモートコントローラは、設定電極移動速度信号と設定電極移動方向信号を前記コントローラに送信し、前記コントローラは、前記設定電極移動速度信号と前記設定電極移動方向信号をパルス信号に変換して、前記リードスクリューを介して前記接地電極に接続された前記ステッピングモータに送信し、前記ステッピングモータを回転制御して、前記接地電極を水平移動させ、電極ギャップ距離を変化させる、ことを特徴とする請求項4に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置。
【請求項9】
配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性の試験方法であって、
請求項1~8のいずれか1項に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置を用い、
前記コントローラで電極ギャップ風袋引き機能をオンにして、電極ギャップをリセットしてクリアするステップ1と、
前記高圧電極と前記接地電極との間の電極ギャップ距離が試験値になるように制御するステップ2と、
前記コントローラで電流起動値を設定するステップ3と、
前記遮断器をオンにして前記アークスタート装置を電源正極に接続し、前記密閉タンク内へ設定圧力の試験ガスを注入するステップ4と、
前記アークスタート装置を起動して、前記高圧電極と前記接地電極とを設定速度で互いに接近させ、リアルタイム電流信号値が前記電流起動値よりも大きくなると、このときにアーク放電が発生したと判定し、前記ステッピングモータの回転を停止するように制御するステップ5と、
前記ステッピングモータを回転制御して、前記高圧電極と前記接地電極との間の電極ギャップを大きくし、リアルタイム電流信号値が前記電流起動値よりも小さくなると、前記ステッピングモータの回転を停止するように制御し、1s遅延させるステップ6と、
前記1s内にリアルタイム電流信号値が前記電流起動値よりも大きいか否かを判断し、前記電流起動値よりも大きい場合、アークが再点弧したと判定し、ステップ6を実行し、前記電流起動値未満である場合、ステップ8を実行するステップ7と、
前記ステッピングモータの逆転が継続するように制御して、電極ギャップが最大となるまで前記高圧電極と前記接地電極とを互いに離間させるステップ8と、
設定時間が経過した後に前記遮断器をオフにして、試験を終了するステップ9とを含む、ことを特徴とする配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性の試験方法。
【請求項10】
前記コントローラは、電極ギャップ風袋引き機能を備え、前記電極ギャップ風袋引き機能がオンになると、前記高圧電極と前記接地電極に低圧直流電源が印加され、前記接地電極が前記高圧電極に接近するように制御し、回路において電流が発生すると、前記コントローラは、前記ステッピングモータの回転を停止するように制御し、このときの前記高圧電極と前記接地電極との間の距離を、電極ギャップをリセットしてクリアしたものとして定義する、ことを特徴とする請求項9に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性の試験方法。
【請求項11】
前記コントローラは、設定された前記電流起動値に基づいてアーク点弧及びアーク消弧を自動的に判断し、リアルタイム電流信号値が前記電流起動値よりも大きい場合、アーク点弧と判定し、このときの電極ギャップ距離を記録し、リアルタイム電流信号値が前記電流起動値よりも小さい場合、アーク消弧と判定し、このときの電極ギャップ距離を記録する、ことを特徴とする請求項9に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性の試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力システム制御の分野に属し、具体的には、配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置及び試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電網は広範なユーザに直接対応する重要な一環として、その安全性、安定性及び故障後の迅速な回復はますます多くの注目を集め、都市経済の安全、安定的な発展に対して極めて重要な現実的意義を持っている。配電網では、全故障のうち80%は単相地絡故障が占めている。システムの運行中に単相地絡故障が発生すると、故障が発生した相の対地電圧が低下し、他の二相の対地電圧及び中性点での零相電圧が上昇する現象が発生し、これにより、システム中の三相の対地電圧のバランスが崩れる。しかし、線間電圧は短時間内で元の対称的な運転状態を継続し、ユーザへの電力供給に大きな影響を与えることはない。中国の規定によると、このような故障の場合、残留電流が10A以下であれば、システムは1~2時間の常時通電運転が可能である。このとき、アークが消滅しない、すなわち、故障点に放電アークが存在し続けると、絶縁破壊がさらに拡大し、アーク過電圧が発生する可能性がある。これにより発生した過電圧がネットワーク全体に亘って長時間持続し、これにより、絶縁破壊が生じ、相間に短絡故障が発生し、ひいては人身の安全、ユーザへの電力供給や関連設備に深刻な影響を与える。
【0003】
北東地域の66kVシステムは、システム電圧がより高いため、全体の静電容量電流レベルも理論的には他の地域の35kVシステムよりも高い。現在広く使用されている、残留電流を10A以下に抑えれば、単相地絡故障アークの自然消滅が可能であるという理論も、空気条件下での10kVと35kVシステムから得られたものであり、電圧レベルがより高く、電圧回復がより速い66kVシステムでは、この数値の適用性についてさらに深く検討する必要がある。現在の都市建設の高速化により、66kVシステムにおいて、架空線路や開放式変電所による伝統的な送変電方式の割合は次第に減少しており、ケーブルとGISを組み合わせた送変電方式が主流になりつつあるが、ケーブル、GIS及び空気絶縁の媒体の回復速度と消弧能力はそれぞれ異なるため、従来の単相地絡故障アークの自己消弧のための限界残留電流10Aの標準はもはや適用されず、単相地絡の場合の空気アークの自己消弧のための限界電流をテストし、66kVシステムの消弧コイルを配置するために根拠を提供する必要がある。
【0004】
先行技術文献1(中国特許公開公報112964964A、出願公開日は2021年6月15日である)では、配電網の地絡故障アークのシミュレーション装置及びアーク処理設備の検証方法が開示されている。このシミュレーション装置は、第1電極と、第2電極と、ギャップ調整手段と、を備え、前記第1電極と前記第2電極は対向して設けられ、前記第2電極は前記ギャップ調整手段に接続され、前記ギャップ調整手段が前記第2電極を制御して前記第1電極に対して離間又は近接させる場合、前記第1電極と前記第2電極との間に形成されるギャップが大きく又は小さくなり、前記第1電極と前記第2電極との間に形成されるギャップには、絶縁性ガスが充填されており、前記第1電極と前記第2電極との間の電位差が予め設定された数値以上であり、また、前記ギャップ調整手段が前記第2電極を制御して前記第1電極に近接させ、かつ、前記第1電極と前記第2電極とのギャップが予め設定された数値以下である場合、前記ギャップ内の絶縁ガス中にアーク放電が発生する。先行技術文献1の欠点は、接地アークの消弧特性を定量的に測定することができず、アークの点弧距離及び消弧距離を分析して記録することができず、アーク燃焼過程におけるギャップ変化を定量的にシミュレートすることができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する欠点を解決するために、本発明は、配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置及び試験方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、下記技術的解決手段を採用している。
【0007】
本発明に係る配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置は、
ヒューズと、遮断器と、アークスタート装置と、ロゴスキーコイルと、抵抗容量分圧器と、コントローラとを含み、
アークスタート装置は、高圧電極と接地電極とを含み、
遮断器は、一端がヒューズに接続され、他端がアークスタート装置の高圧電極に接続され、アークスタート装置の接地電極は、絶縁接地リード線を介して接地し、絶縁接地リード線には、ロゴスキーコイルが嵌設され、ロゴスキーコイルは、アークスタート装置を流れるリアルタイム電流信号値を測定し、測定したリアルタイム電流信号値をコントローラに伝送し、アークスタート装置の両端には、抵抗容量分圧器が並列接続され、抵抗容量分圧器は、アークスタート装置の電圧を測定し、測定した電圧をコントローラに伝送し、コントローラの両端には、アークスタート装置及び遮断器がそれぞれ接続され、
コントローラは、高圧電極と低圧電極との間の電極ギャップ距離を記録し、接地電極を水平移動させるように制御することで、高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を調整し、
コントローラは、設定電流信号値とロゴスキーコイルによって測定されたリアルタイム電流信号値とを照合することによりアークの点弧又は消弧を判断し、アーク点弧時刻及びアーク消弧時刻における電極ギャップ距離を記録する。
【0008】
アークスタート装置は、ステッピングモータ、リードスクリュー、密閉タンク、リモートコントローラ及び絶縁ホルダをさらに含む。
【0009】
高圧電極は、高圧電極導電性ロッドと、交換可能な高圧電極端子とを含み、交換可能な高圧電極端子は第2電極ネジコネクタを介して高圧電極導電性ロッドに接続され、
接地電極は、接地電極導電性ロッドと、交換可能な接地電極端子とを含み、交換可能な接地電極端子は第1電極ネジコネクタを介して接地電極導電性ロッドに接続される。
【0010】
好ましくは、高圧電極及び接地電極は真鍮で製造される。
【0011】
絶縁ホルダは、ベース、サイドテーブル、絶縁支持柱及び絶縁接続部材を含み、絶縁支持柱はベースに固定され、ベースの一方側にサイドテーブルが取り付けられ、サイドテーブルにステッピングモータが取り付けられ、ステッピングモータ、リードスクリュー、絶縁接続部材は順次接続され、絶縁接続部材は接地電極導電性ロッドに接続され、コントローラはステッピングモータを回転制御して、接地電極導電性ロッドを水平移動させる。
【0012】
密閉タンクは、円筒形タンクであり、接地電極導電性ロッドは動的シール材を通じてタンク本体の側面に固定され、接地電極導電性ロッドの密閉タンクから伸び出した部分が接地し、
高圧電極導電性ロッドはタンク本体の他方側に固定され、その密閉タンクから伸び出した部分が電源正極に接続され、
高圧電極導電性ロッド及び接地電極導電性ロッドは密閉タンク内に水平方向において対向するように配列される。
【0013】
密閉タンクのタンク本体の下方の両端には、密閉タンク内へ試験ガスを導入する第1チューブと、密閉タンク内の試験ガスを排出する第2チューブとが接続され、
前記試験ガスは六フッ化硫黄(SF)、真空又は乾燥空気を含み、さまざまな媒体での間欠故障アーク現象をシミュレーションする。
【0014】
密閉タンクのタンク本体の上方に、タンク本体内の圧力を監視する圧力計が接続され、
密閉タンクのタンク本体の上方にリリーフ弁が接続され、
密閉タンクのタンク本体の側面に、電極の交換及びヒューズ線の接続を行うための操作窓が設けられる。
【0015】
コントローラは、高圧電極と低圧電極との間の電極ギャップ距離を記録し、リモートコントローラに遠隔送信し、リモートコントローラは、設定電極移動速度信号と設定電極移動方向信号をコントローラに送信し、コントローラは、設定電極移動速度信号と設定電極移動方向信号をパルス信号に変換して、リードスクリューを介して接地電極に接続されたステッピングモータに送信し、ステッピングモータを回転制御して、接地電極を水平移動させ、電極ギャップ距離を変化させる。
【0016】
コントローラは記録機能を備え、設定電流信号値とロゴスキーコイルによって測定された、アークスタート装置を流れるリアルタイム電流信号値とを照合することにより、アークが点弧又は消弧したか否かを判断し、点弧電流値を設定し、コントローラによって受信された電流が設定された点弧電流値よりも大きい場合、アーク点弧と判定し、現在の時刻における高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を記録して、点弧距離として定義し、コントローラによって受信された電流が設定された点弧電流値よりも小さい場合、アーク消弧と判定し、現在の時刻における高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を記録して、消弧距離として定義する。
【0017】
本発明に係る配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性の試験方法は、
上記のいずれか1項に記載の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置を用い、
コントローラで電極ギャップ風袋引き機能をオンにして、電極ギャップをリセットしてクリアするステップ1と、
高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離が試験値になるように制御するステップ2と、
コントローラで電流起動値を設定するステップ3と、
遮断器をオンにしてアークスタート装置を故障回路に接続し、密閉タンク内へ設定圧力の試験ガスを注入するステップ4と、
アークスタート装置を起動して、高圧電極と接地電極とを設定速度で互いに接近させ、リアルタイム電流信号値が電流起動値よりも大きくなると、このときにアーク放電が発生したと判定し、ステッピングモータの回転を停止するように制御するステップ5と、
ステッピングモータを回転制御して、高圧電極と接地電極との間の電極ギャップを大きくし、リアルタイム電流信号値が電流起動値よりも小さくなると、ステッピングモータの回転を停止するように制御し、1s遅延させるステップ6と、
1s内にリアルタイム電流信号値が電流起動値よりも大きいか否かを判定し、電流起動値よりも大きい場合、アークが再点弧したと判定し、ステップ6を実行し、電流起動値未満である場合、ステップ8を実行するステップ7と、
ステッピングモータの逆転が継続するように制御して、電極ギャップが最大となるまで高圧電極と接地電極とを互いに離間させるステップ8と、
設定時間が経過した後に遮断器をオフにして、試験を終了するステップ9とを含む。
【0018】
コントローラは、電極ギャップ風袋引き機能を備え、風袋引き機能がオンになると、高圧電極と接地電極に低圧直流電源が印加され、接地電極が高圧電極に接近するように制御し、回路において電流が発生すると、コントローラはステッピングモータの回転を停止するように制御し、このときの高圧電極端子と接地電極端子との間の距離を、電極ギャップをリセットしてクリアしたものとして定義する。
【0019】
コントローラは、設定された電流起動値に基づいてアーク点弧及びアーク消弧を自動的に判断し、リアルタイム電流信号値が電流起動値よりも大きい場合、アーク点弧と判定し、このときの電極ギャップ距離を記録し、リアルタイム電流信号値が電流起動値よりも小さい場合、アーク消弧と判定し、このときの電極ギャップ距離を記録する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有益な効果としては、従来技術に比べて、本発明で提供された配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置及び試験方法では、実際の配電線又は実機及びシミュレーションプラットフォームでさまざまな媒体での間欠故障アーク現象をシミュレーションし、単相地絡故障特定装置で時間変化アーク地絡を処理する性能をテストすることができるということにある。
本発明は、以下の有益な効果をさらに含む。
(1)点弧距離及び消弧距離を記録し、配電網の単相アーク地絡故障の消弧特性を研究するための試験データを提供する。
(2)本発明で提供される試験方法によれば、アークギャップの変化をより定量的にシミュレーションすることができ、また、アーク燃焼過程でギャップの変化をシミュレーションすることができる。
(3)コントローラによって電極を流れる電流信号を測定し、アークが点弧又は消弧したか否かを自動的に判別することができる。
(4)さまざまなガス媒体での動的なアーク放電プロセスをシミュレーションすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る装置の試験プラットフォームへの接続の概略図である。
図2】本発明に係る装置のアークスタート装置の構造概略図である。
図3】本発明に係る装置のアークスタート装置の密閉タンクの概略図である。
図4】本発明に係る装置のコントローラの電極ギャップ風袋引き機能の概略図である。
図5】本発明に係る装置のコントローラの電極ギャップ風袋引き機能のフローチャートである。
図6】本発明の具体実施例に係る配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション試験方法のフローチャートである。
図7】本発明の具体実施例に係るSFにおける自己消弧特性の試験方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本願についてさらに説明する。以下の実施例は本発明の技術的解決手段をより明確に説明するためのものに過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。
実施例1
【0023】
配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置は、図1及び図2に示すように、ヒューズ1と、遮断器2と、アークスタート装置3と、ロゴスキーコイル4と、抵抗容量分圧器5と、コントローラ6とを含む。
【0024】
ヒューズ1は、一端が金具及びケーブルを介して故障相の端子のアイソレータスイッチに接続され、他端が遮断器2に接続され、遮断器2の他端はアークスタート装置3の高圧電極に接続され、アークスタート装置の接地電極は絶縁接地リード線を介して接地する。絶縁接地リード線には、ロゴスキーコイル4が嵌設され、ロゴスキーコイル4はアークスタート装置を流れるリアルタイム電流信号値を測定し、測定したリアルタイム電流信号値をコントローラ6に伝送する。アークスタート装置3の両端は抵抗容量分圧器5に並列接続され、抵抗容量分圧器5はアークスタート装置の電圧を測定し、測定した電圧をコントローラ6に伝送する。コントローラ6は、それぞれアークスタート装置3及び遮断器2に接続される。コントローラは、高圧電極と低圧電極との間の電極ギャップ距離を記録し、接地電極を水平移動させるように制御することにより、高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を調整する。コントローラは、設定電流信号値とロゴスキーコイルによって測定されたリアルタイム電流信号値とを照合することによりアークの点弧又は消弧を判断し、アーク点弧時刻及びアーク消弧時刻における電極ギャップ距離を記録する。
【0025】
アークスタート装置は、ステッピングモータ、リードスクリュー28、密閉タンク210、リモートコントローラ212及び絶縁ホルダをさらに含む。絶縁ホルダは、ベース26、サイドテーブル27、絶縁支持柱25及び絶縁接続部材29を含む。高圧電極は、高圧電極導電性ロッド21と、交換可能な高圧電極端子22とを含む。接地電極は、接地電極導電性ロッド23と、交換可能な接地電極端子24とを含む。高圧電極及び接地電極はいずれも真鍮材料で製造されるものである。交換可能な高圧電極端子22は、第2電極ネジコネクタ38を介して高圧電極導電性ロッド21に接続され、交換可能な接地電極端子24は、第1電極ネジコネクタ36を介して接地電極導電性ロッド23に接続され、高圧電極導電性ロッド21及び接地電極導電性ロッド23は部分的に密閉タンク210内に固定され、そして、密閉タンク210内で水平方向において対向するように配列されている。
【0026】
図3に示すように、密閉タンクは直径500mmの円筒形タンクであり、高圧電極導電性ロッド21は動的シール材31によって密閉タンクのタンク本体30の側面に固定され、高圧電極導電性ロッドの密閉タンク210から伸び出した部分が電源正極に接続され、前記電源正極は配電網電源又は試験電源であり、具体的には、本実施例では、三相線路のうちのいずれか1つの相である。接地電極導電性ロッド23は密閉タンクのタンク本体30の他方側に固定され、その密閉タンクのタンク本体30から伸び出した部分が接地し、密閉タンクのタンク本体30の下方の両端には、密閉タンク内へ試験ガスを導入する第1チューブ32と、密閉タンク内の試験ガスを排出する第2チューブ33とが接続されている。当業者は、試験のニーズに応じて密閉タンク内に異なるガス(六フッ化硫黄(SF)、真空又は乾燥空気が挙げられるが、これらに限定されない)を給排することができ、これにより、さまざまな媒体での間欠故障アーク現象をシミュレーションし、単相地絡故障特定装置で時間変化アーク地絡を処理する性能をテストすることができる。密閉タンクのタンク本体30の上方には、密閉タンクのタンク本体30内の圧力を監視する圧力計34が接続され、また、密閉タンクのタンク本体30の上方にはリリーフ弁35が接続され、電極導電性ロッドの内側には、接続電極を交換するための電極ネジコネクタ36が設けられる。密閉タンクのタンク本体30の側面には、試験前後にタンク内の電極の交換及びヒューズ線の接続を行うための操作窓37が形成されている。
【0027】
絶縁支持柱25は、ベース26に固定され、ベースの一方側にサイドテーブル27が取り付けられており、サイドテーブル27にステッピングモータ210が取り付けられており、ステッピングモータ、リードスクリュー28、絶縁接続部材29は順次接続され、絶縁接続部材29は接地電極導電性ロッド23に接続され、コントローラはステッピングモータを回転制御して、接地電極導電性ロッド23を水平移動させる。
【0028】
コントローラ6は密閉タンクのタンク本体30に接続され、放電試験中に操作者がコントローラを直接操作することにより危険が発生する恐れがあるため、コントローラを遠隔制御することができるリモートコントローラ212を設置し、リモートコントローラ212はパラメータを設定して、コントローラに遠隔送信し、コントローラは制御パラメータをパルス信号に変換してステッピングモータを移動制御する。
【0029】
コントローラ6は遠隔制御機能を備える。コントローラ6は、現在の電極ギャップ距離をリアルタイムで記録して、リモートコントローラに遠隔送信し、リモートコントローラは現在の電極ギャップ距離を受信した後、ステッピングモータを正転・逆転制御することで、電極ギャップ距離を変化させるように高圧電極と接地電極とを互いに接近又は離間させる。リモートコントローラは、ステッピングモータを正転・逆転制御し、ステッピングモータはリードスクリューを介して高圧電極を水平移動させる。高圧電極と接地電極との間の最大距離は800mmに達する。
【0030】
コントローラは記録機能を備える。コントローラは、設定電流信号値とロゴスキーコイルによって測定された、アークスタート装置を流れるリアルタイム電流信号値とを照合することにより、アークが点弧又は消弧したか否かを判断する。具体的には、点弧電流値を設定し、コントローラによって受信されたリアルタイム電流信号値が設定された点弧電流値よりも大きい場合、アーク点弧と判定し、現在の時刻における高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を記録して、点弧距離として定義する。また、コントローラによって受信されたリアルタイム電流信号値が点弧電流値よりも小さい場合、アーク消弧と判定し、現在の時刻における高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を記録して、消弧距離として定義する。定義された点弧距離及び消弧距離は配電網の単相アーク地絡故障の消弧特性を研究するための試験データとしてもよい。
【0031】
コントローラは、高圧電極と低圧電極との間の電極ギャップ距離を記録し、リモートコントローラに遠隔送信する。リモートコントローラは、設定電極移動速度信号と設定電極移動方向信号をコントローラに送信する。コントローラは、設定電極移動速度信号と設定電極移動方向信号をパルス信号に変換してステッピングモータに送信する。ステッピングモータは、リードスクリューを介して接地電極に接続され、コントローラでステッピングモータを回転制御することにより、接地電極を水平移動させて、電極ギャップ距離を変化させる。
【0032】
コントローラは、パルス信号によってステッピングモータの回転数を制御することにより、アークギャップを制御し、これにより、試験中の電極ギャップの移動速度を調整する。具体的には、リモートコントローラは、設定された電極移動速度及び移動方向の信号をコントローラに送信し、コントローラは設定速度及び方向の信号を使用される型番のステッピングモータに適したパルス信号に変換し、そしてパルス信号をステッピングモータに送信してステッピングモータの回転数を制御し、ステッピングモータによりリードスクリューを駆動して試験中の電極ギャップの変化を制御する。
【0033】
コントローラは、電極ギャップ風袋引き機能を備え、この機能がオンになると、高圧電極と接地電極は互いに接近し、電流、即ち電極ギャップが0になると停止し、コントローラは復位し、現在の電極ギャップは0点になる。図4は、本発明のコントローラの電極ギャップ風袋引き機能を示す概略図である。高圧電極と接地電極には低圧直流電源41が印加され、そして回路に電流計42が直列接続され、コントローラは、交換可能な接地電極端子24が矢印に示す方向に沿って交換可能な高圧電極端子22に接近するようにステッピングモータを制御し、回路が導通して、電流計42によって電流を検出したとき、コントローラは、ステッピングモータの回転を停止するように制御して、かつ、この時刻の交換可能な高圧電極端子22と交換可能な接地電極端子24との間の距離を、電極ギャップが0であるものとして定義する。電極ギャップ風袋引きフローを図5に示す。
【0034】
配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置を用いた、配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性の試験方法は、以下のステップ1~9を含む。
ステップ1では、コントローラで電極ギャップ風袋引き機能をオンにして、電極ギャップをリセットしてクリアする。
ステップ2では、高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離が試験値になるように制御する。
ステップ3では、コントローラで電流起動値を設定する。
ステップ4では、遮断器をオンにしてアークスタート装置を故障回路に接続し、密閉タンク内へ設定圧力の試験ガスを注入する。
ステップ5では、アークスタート装置を起動して、高圧電極と接地電極を設定速度で互いに接近させ、電流計により検出されたリアルタイム電流値が電流起動値よりも大きくなると、このときにアーク放電が発生したと判定し、ステッピングモータの回転を停止するように制御する。
ステップ6では、高圧電極と接地電極との間の電極ギャップを大きくするようにステッピングモータを回転制御し、電流計により検出されたリアルタイム電流値が電流起動値よりも小さくなると、ステッピングモータの回転を停止するように制御し、1s遅延させる。
ステップ7では、1s内に電流計により検出されたリアルタイム電流値が電流起動値よりも大きいか否かを判断し、電流起動値よりも大きい場合、アークが再点弧したと判定し、ステップ6を実行し、電流起動値未満である場合、ステップ8を実行する。
ステップ8では、ステッピングモータの逆転が継続するように制御して、電極ギャップが最大となるまで高圧電極と接地電極とを互いに離間させる。
ステップ9では、設定時間が経過した後に遮断器をオフにして、試験を終了する。
実施例2
【0035】
配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション試験方法は、図6に示されるように、以下のステップ1~9を含む。
ステップ1では、コントローラで電極ギャップ風袋引き機能をオンにして、電極ギャップをリセットしてクリアし、これにより、電極端子の交換による端子間の距離の誤差をなくす。
具体的には、コントローラはステッピングモータを制御して、接地電極を高圧電極へ接近させ、回路中の電流計により電流が検出されると、ステッピングモータの回転を停止するように制御し、このときの高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を0に定義する。
ステップ2では、リモートコントローラを手動操作して電極ギャップが最大となるまで高圧電極と接地電極とを互いに離間させる。
ステップ3では、ロゴスキーコイルによって収集されたリアルタイム電流信号値に基づいて、コントローラで電流起動値を設定する。具体的には、誤起動を回避するために、電流起動値をロゴスキーコイルによって収集されたリアルタイム電流信号値よりも大きいようにする。
ステップ4では、遮断器をオンにしてアークスタート装置を故障回路に接続し、タンク本体の側面の操作窓を閉じて、第1チューブを介して密閉タンク内へ試験ガスを導入し、チューブ内の圧力を試験用の圧力値にする。
ステップ5では、アークスタート装置を起動してアーク試験を行い、高圧電極と接地電極とを設定速度で互いに接近させ、電流計により検出されたリアルタイム電流値が電流起動値よりも大きくなると、このときにアーク放電が発生したと判定し、ステッピングモータの回転を1秒停止するように制御して、そして、このときの高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を記録し、点弧距離として定義する。
ステップ6では、コントローラによってステッピングモータが逆転するように制御して、高圧電極と接地電極とを設定速度で互いに離間させるとともに、電流計により検出されたリアルタイム電流値を観察し、電流計により検出されたリアルタイム電流値が電流起動値よりも小さくなると、リモートコントローラによってステッピングモータの回転を停止するように制御し、1s遅延させる。
ステップ7では、1s内に電流計により検出されたリアルタイム電流値が電流起動値よりも大きいか否かを判断し、電流起動値よりも大きい場合、アークが再点弧したと判定し、ステップ6を実行し、電流起動値未満である場合、このときの高圧電極と接地電極との間の電極ギャップ距離を記録し、消弧距離として定義し、ステップ8を実行する。
ステップ8では、ステッピングモータの逆転が継続するように制御して、電極ギャップが最大となるまで高圧電極と接地電極とを互いに離間させる。
ステップ9では、設定時間が経過した後に遮断器をオフにして、試験を終了し、好ましくは、設定時間を10秒にする。
実施例3
【0036】
前述の配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置を用いた、試験ガスをSFとしたアークの自己消弧特性の試験方法は、図7に示されるように、以下のステップ1~9を含む。
ステップ1では、コントローラで電極ギャップ風袋引き機能をオンにして、電極ギャップをリセットしてクリアし、これにより、電極端子の交換による端子間の距離の誤差をなくす。
ステップ2では、リモートコントローラを利用して高圧電極と接地電極とのギャップを設定ギャップ値に設定し、設定ギャップ値は技術者が経験に従って設定したものである。
ステップ3では、高圧電極と接地電極との間にヒューズ線を接続し、ヒューズ線の規格は試験者によって決定される。
ステップ4では、密閉タンクのドアを閉じて、密閉タンク内へ設定圧力の試験ガスを導入し、当業者は、試験のニーズに応じて適切な圧力値のガスを選択してもよく、本実施例では、圧力の1MpaのSFガスを用いる。
ステップ5では、配電網の単相地絡故障アークの自己消弧特性のシミュレーション装置を起動して、アーク自己消弧試験を行い、アーク電圧及び電流を測定し、高圧電極と接地電極との間でアーク放電が発生したか否かを観察し、アーク放電が発生した場合、ステップ6を実行し、アーク放電が発生していない場合、ステップ7を実行する。
ステップ6では、コントローラでステッピングモータを回転制御して、電極ギャップを小さくするように高圧電極と接地電極とを互いに接近させ、電極間でアーク放電が発生すると、アークが再点弧したと判定し、ステッピングモータの回転を停止するように制御し、このときにアークがすぐに消弧しない場合、このときの電極ギャップ値を、この作業状況での消弧距離の限界値として記録し、試験を終了する。
ステップ7では、コントローラでステッピングモータを回転制御して、電極ギャップを大きくするように高圧電極と接地電極とを互いに離間させ、電極間のアークが消弧不能な状態から安定燃焼不能な状態に変わると、ステッピングモータの回転を停止するように制御し、このときの電極ギャップ値を、この作業状況での消弧距離の限界値として記録する。
ステップ8では、ステッピングモータの回転が継続するように制御して、高圧電極と接地電極とを十分に離間させる。
ステップ9では、設定時間が経過した後に遮断器をオフにして、試験を終了し、好ましくは、設定時間を10秒にする。
【0037】
本発明の出願人は、明細書の図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明したが、当業者にとって明らかなように、以上の実施例は本発明の好適な実施形態に過ぎず、詳細な説明は読者が本発明の主旨をよりよく理解するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものではなく、むしろ、本発明における発明の主旨に基づいて行われる全ての改良や修飾は本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0038】
1 ヒューズ
2 遮断器
3 アークスタート装置
4 ロゴスキーコイル
5 抵抗容量分圧器
6 コントローラ
21 高圧電極導電性ロッド
22 交換可能な高圧電極端子
23 接地電極導電性ロッド
24 交換可能な接地電極端子
25 絶縁支持柱
26 ベース
27 サイドテーブル
28 リードスクリュー
29 絶縁接続部材
210 密閉タンク
212 リモートコントローラ
30 密閉タンクのタンク本体
31 動的シール材
32 第1チューブ
33 第2チューブ
34 圧力計
35 リリーフ弁
36 第1電極ネジコネクタ
37 操作窓
38 第2電極ネジコネクタ
41 低圧直流電源
42 電流計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7