(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】過負荷保護装置及びレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20241128BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20241128BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/00 Q
(21)【出願番号】P 2023004399
(22)【出願日】2023-01-16
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】河本 圭司
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-061669(JP,A)
【文献】実開平06-022361(JP,U)
【文献】特開平07-001174(JP,A)
【文献】実開平02-070891(JP,U)
【文献】特開平01-215487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/70
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に移動するヘッド支持体に一体化された外輪部と、
下方向へレーザビームを射出するレーザ加工ヘッドに一体化され、前記外輪部によって球面を介して通常姿勢位置から所定の角度範囲で回動可能に支持された内輪部と、を有して構成された球面滑り軸受を備え、
前記ヘッド支持体は、外部から供給されて下方向に進む前記レーザビームを水平方向に偏向する第1ミラーを有し、
前記レーザ加工ヘッドは、前記第1ミラーで水平に偏向された前記レーザビームを下方向に偏向する第2ミラーを有し、
前記球面滑り軸受は、前記第1ミラーと前記第2ミラーとの間に配置され、
前記通常姿勢位置は、前記内輪部の軸線が前記レーザビームの光軸と一致する位置であり、
前記通常姿勢位置からの前記所定の角度範囲の回動において、レーザビームの光路空間は、前記外輪部と前記内輪部によって、前記レーザ加工ヘッドの外部の空間と非通気状態を形成している過負荷保護装置。
【請求項2】
一方向に移動するヘッド支持体に一体化された外輪部と、前記一方向と直交する方向へレーザビームを射出するレーザ加工ヘッドに一体化され、前記外輪部によって球面を介して通常姿勢位置から所定の角度範囲で回動可能に支持された内輪部と、を有して構成された球面滑り軸受を備え、
前記通常姿勢位置からの前記所定の角度範囲の回動において、レーザビームの光路空間は、前記外輪部と前記内輪部によって、前記レーザ加工ヘッドの外部の空間と非通気状態を形成しており、
前記外輪部は、円弧状に分割された第1外輪部及び第2外輪部を含んで構成され、
前記第1外輪部及び前記第2外輪部を前記内輪部の外周面に締め付ける締結部を有し、
前記締結部における締め付けの程度により、前記内輪部は回動に必要な外力の大きさを調節可能とされて前記外輪部に回動可能に保持されてい
る過負荷保護装置。
【請求項3】
一方向に移動するヘッド支持体に一体化された外輪部と、前記一方向と直交する方向へレーザビームを射出するレーザ加工ヘッドに一体化され、前記外輪部によって球面を介して通常姿勢位置から所定の角度範囲で回動可能に支持された内輪部と、を有して構成された球面滑り軸受を備え、
前記通常姿勢位置からの前記所定の角度範囲の回動において、レーザビームの光路空間は、前記外輪部と前記内輪部によって、前記レーザ加工ヘッドの外部の空間と非通気状態を形成しており、
前記通常姿勢位置から回動した前記内輪部を前記通常姿勢位置にリセットさせるための内輪位置決め部を有し、
前記内輪位置決め部は、前記外輪部に形成された径方向を軸とするテーパー孔と、前記内輪部に形成された径方向を軸とする雌ねじ部と、を有し、
前記テーパー孔のテーパー角度と同じ傾斜角度のテーパー部、及び前記テーパー部の先端に設けられた前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有するテーパーピンを、前記テーパー孔に挿入し前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に螺合させて締め付けることで、前記内輪部が前記通常姿勢位置に位置決めされるよう構成されてい
る過負荷保護装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の過負荷保護装置と、
前記ヘッド支持体の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記過負荷保護装置は、前記内輪部の前記通常姿勢位置からの回動を検出して検出信号を出力する検出部を有し、
前記制御部は、前記検出信号に基づいて前記ヘッド支持体の移動を停止するレーザ加工装置。
【請求項5】
前記ヘッド支持体が最大速度で移動しているときに前記検出部が前記内輪部の前記通常姿勢位置からの回動を検出した場合、検出時刻から前記ヘッド支持体の停止時刻までの時間で前記内輪部が回動する角度は、前記所定の角度範囲未満である請求項4記載のレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過負荷保護装置及びレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、上部が支持されて移動するレーザ加工ヘッドのノズルが障害物と衝突したときに、過負荷が加わらないようレーザ加工ヘッドを保護する構造のレーザ加工ヘッド装置が記載されている。
【0003】
この装置は、ノズルが障害物と衝突した際に、レーザ加工ヘッドの姿勢が傾斜することを弾性的に許容すると共に、レーザ加工ヘッドが傾斜姿勢になったときに応力が集中して破断するシャー部材を備えることでレーザ加工ヘッドに過負荷が付与されないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された装置は、レーザ加工ヘッドが傾斜姿勢になったときに、レーザ加工ヘッドと、それを支持する部材(キャリッジ)との間に傾斜分の隙間が生じる。そのため、レーザビームが通る内部空間(光路空間)が、レーザ加工に伴うヒュームなどが浮遊している外部の空間と連通して汚染される可能性がある。
【0006】
そこで、レーザ加工ヘッドが移動中に障害物と衝突したときに、レーザ加工ヘッドを、レーザビームの光路空間が外部の空間と連通せず過負荷が加わらないよう保護できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は次の1)~3)の構成を有する。
1) 水平方向に移動するヘッド支持体に一体化された外輪部と、下方向へレーザビームを射出するレーザ加工ヘッドに一体化され、前記外輪部によって球面を介して通常姿勢位置から所定の角度範囲で回動可能に支持された内輪部と、を有して構成された球面滑り軸受を備え、
前記ヘッド支持体は、外部から供給されて下方向に進む前記レーザビームを水平方向に偏向する第1ミラーを有し、
前記レーザ加工ヘッドは、前記第1ミラーで水平に偏向された前記レーザビームを下方向に偏向する第2ミラーを有し、
前記球面滑り軸受は、前記第1ミラーと前記第2ミラーとの間に配置され、
前記通常姿勢位置は、前記内輪部の軸線が前記レーザビームの光軸と一致する位置であり、
前記通常姿勢位置からの前記所定の角度範囲の回動において、レーザビームの光路空間は、前記外輪部と前記内輪部によって、前記レーザ加工ヘッドの外部の空間と非通気状態を形成している過負荷保護装置である。
2) 一方向に移動するヘッド支持体に一体化された外輪部と、前記一方向と直交する方向へレーザビームを射出するレーザ加工ヘッドに一体化され、前記外輪部によって球面を介して通常姿勢位置から所定の角度範囲で回動可能に支持された内輪部と、を有して構成された球面滑り軸受を備え、
前記通常姿勢位置からの前記所定の角度範囲の回動において、レーザビームの光路空間は、前記外輪部と前記内輪部によって、前記レーザ加工ヘッドの外部の空間と非通気状態を形成しており、
前記外輪部は、円弧状に分割された第1外輪部及び第2外輪部を含んで構成され、
前記第1外輪部及び前記第2外輪部を前記内輪部の外周面に締め付ける締結部を有し、
前記締結部における締め付けの程度により、前記内輪部は回動に必要な外力の大きさを調節可能とされて前記外輪部に回動可能に保持されている過負荷保護装置である。
3) 一方向に移動するヘッド支持体に一体化された外輪部と、前記一方向と直交する方向へレーザビームを射出するレーザ加工ヘッドに一体化され、前記外輪部によって球面を介して通常姿勢位置から所定の角度範囲で回動可能に支持された内輪部と、を有して構成された球面滑り軸受を備え、
前記通常姿勢位置からの前記所定の角度範囲の回動において、レーザビームの光路空間は、前記外輪部と前記内輪部によって、前記レーザ加工ヘッドの外部の空間と非通気状態を形成しており、
前記通常姿勢位置から回動した前記内輪部を前記通常姿勢位置にリセットさせるための内輪位置決め部を有し、
前記内輪位置決め部は、前記外輪部に形成された径方向を軸とするテーパー孔と、前記内輪部に形成された径方向を軸とする雌ねじ部と、を有し、
前記テーパー孔のテーパー角度と同じ傾斜角度のテーパー部、及び前記テーパー部の先端に設けられた前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有するテーパーピンを、前記テーパー孔に挿入し前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に螺合させて締め付けることで、前記内輪部が前記通常姿勢位置に位置決めされるよう構成されている過負荷保護装置である。
また、本発明の別の一態様は次の4)の構成を有する。
4) 1)~3)のいずれか1つに記載の過負荷保護装置と、
前記ヘッド支持体の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記過負荷保護装置は、前記内輪部の前記通常姿勢位置からの回動を検出して検出信号を出力する検出部を有し、
前記制御部は、前記検出信号に基づいて前記ヘッド支持体の移動を停止するレーザ加工装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、レーザ加工ヘッドが移動中に障害物と衝突したときに、レーザ加工ヘッドを、その光路空間が外部の空間と連通せずに、過負荷が加わらないよう保護できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一態様のレーザ加工装置91の構成を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、レーザ加工装置91が備える過負荷保護装置92及びレーザ加工ヘッド2の外観を示す斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、通常姿勢位置の過負荷保護装置92を光軸LaCを含む面で切断した縦断面図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aに対してレーザ加工ヘッド2の姿勢が傾斜した姿勢傾斜状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様のレーザ加工装置91について、
図1A~
図4Bを参照して説明する。
図1Aは、本発明の一態様のレーザ加工装置91の構成を示す図であり、
図1Bは、レーザ加工装置91が備える過負荷保護装置92及びレーザ加工ヘッド2の外観を示す斜視図である。
図2Aは、通常姿勢位置の過負荷保護装置92を光軸LaCを含む面で切断した縦断面図であり、
図2Bは、
図2Aに対してレーザ加工ヘッド2の姿勢が傾斜した姿勢傾斜状態を示す縦断面図である。
図3は、
図2AにおけるS3-S3位置での断面図である。
図4Aは、
図3におけるA部拡大図であり、
図4Bは、姿勢傾斜状態での
図3におけるA部拡大図である。説明の便宜のため、上下前後左右の各方向を、
図1Bに矢印で示される方向に規定する。
【0011】
図1Aに示されるように、レーザ加工装置91は、少なくとも、レーザ加工ヘッド2,過負荷保護装置92,光路偏向部3,ヘッド支持体4,キャリッジ部5,レーザ発振器93,及び制御部94を含んで構成されている。レーザ加工装置91において、レーザ発振器93は、制御部94の制御によってレーザビームLaを生成する。生成されたレーザビームLaは、プロセスファイバ6を通り、上下方向を長手としてキャリッジ部5に支持されたヘッド支持体4の上部に供給される。
【0012】
ヘッド支持体4の内部の上部にはコリメートレンズ41が配置されている。ヘッド支持体4の下端部には、ミラー31を有する光路偏向部3が取り付けられている。ヘッド支持体4の内部に供給されたレーザビームLaは、コリメートレンズ41によって平行光にされて下方に向け進み、ミラー31によって反射して水平方向(前方向)に90°偏向する。
【0013】
図1A及び
図1Bに示されるように、光路偏向部3の前端部には過負荷保護装置92を介してレーザ加工ヘッド2が着脱自在に取り付けられている。レーザ加工ヘッド2は、ヘッド内偏向部23,ヘッド本体部21,及びノズル22を有する。ヘッド内偏向部23の内部にはミラー231(
図1A参照)が配置され、ヘッド本体部21の内部には、集光レンズ211(
図1A参照)が配置されている。ノズル22は、ヘッド本体部21の下端に取り付けられている。
【0014】
図1Aに示されるように、ミラー31に反射して前方に進むレーザビームLaは、ヘッド内偏向部23のミラー231に反射して下方に向かうようヘッド光軸LC2(
図2A参照)を90°偏向する。下方に向かうレーザビームLaは、集光レンズ211によってノズル22の下方に配置されたワークWの加工部位に焦点を結ぶよう集光するレーザビームLBとされて、ノズル22の先端から下方に射出する。
【0015】
ヘッド支持体4とレーザ加工ヘッド2は、制御部94の制御の下、キャリッジ部5に備えられた駆動部5KDによって3次元移動する。例えば、レーザ加工ヘッド2は、ワークWとノズル22との間が所定の距離となるよう維持して、レーザビームLBの射出方向(下方向)に直交する一方向に移動する(
図1A及び
図1Bの矢印DRa参照)。この移動は、レーザビームLBの射出有無によらず実行される。
【0016】
次に、過負荷保護装置92について、
図1B~
図4Bを参照して詳述する。
図1Bに示されるように、過負荷保護装置92は、内輪部11,外輪部12,内輪位置決め部7,及び検出部8を有する。
【0017】
内輪部11は、
図2Aに示されるように、軸線CL11の貫通孔である光路孔11hを有し、厚さD11にて外周面11bが軸受中心C11を中心とする半径Raの球面の一部となるよう形成された環状の部材である。外輪部12は、
図2A及び
図3に示されるように、上下に分割された半円弧状の第1外輪部である上外輪部12UTと第2外輪部である下外輪部12BTとが一体化して構成されている。上外輪部12UTは、上部に検出部8を有し、検出部8の左右両側に一対の内輪位置決め部7を有している。
【0018】
上外輪部12UTの内面12Ub及び下外輪部12BTの内面12Bbは、軸受中心C11を中心とする半径Raの球面の一部として形成されている。また、内面12Ub及び内面12Bbの後方側には、光路偏向部3の内面3bが連続する球面として接続配置されている。内面12Ub,内面12Bb,及び内面3bを合わせて、単に内面12bとも称する。光路偏向部3の内面3bの後端部は、光軸LaCに直交する平面として形成された前面3cに接続している。
【0019】
図3に示されるように、上外輪部12UTと下外輪部12BTとは、右側の固定具N12及び左側の締結部TBにおける締め付けによって、外輪部12の内面12Ub,12Bbが内輪部11の外周面11bと密着し、かつ径方向の中心に向け付勢するようにして固定されている。
【0020】
締結部TBは、後述の構造によって、上外輪部12UT及び下外輪部12BTによる内輪部11の締め付け力を調節できるようになっている。内輪部11は、軸線CL11以外の方向の所定値以上の力が付与されたときに、軸受中心C11を中心として、外周面11bが外輪部12の内面12bに摺動しながら回動し、軸線CL11の向きが変わるようになっている。例えば
図2Bには、軸線CL11が光軸LaCに対し、
図2Bにおける時計回り方向に角度θa傾いた状態が示されている。このように、内輪部11及び外輪部12は、内輪部11が外輪部12に嵌め込まれるように係合して回動可能な、いわゆる球面滑り軸受SBを構成している。締結部TBによる締め付け力の調節によって、内輪部11を回動させるに必要な力の所定値を変えることができる。
【0021】
締結部TBの構造を
図3を参照して説明する。
図3において、下外輪部12BTの右端部には、上下方向に貫通する段付き孔である締結孔125が形成されている。上外輪部12UTにおける締結孔125に対向する位置には、上方に延びて雌ねじ部126aを有するめくら穴126が形成されている。締結孔125には、下側からボルトである固定具N12が通され、雌ねじ部126aに締め付けられる。これにより、下外輪部12BTと上外輪部12UTとは、右端部において一体的に固定される。
【0022】
上外輪部12UT及び下外輪部12BTの左端部には、それぞれ上締結部121及び下締結部122が取り付けられている。上締結部121は、右端部が上外輪部12UTに固定され左端側が上外輪部12UTから左方に突出している。上締結部121は、上外輪部12UTから突出した部分に、上下に貫通し雌ねじが形成された雌ねじ孔121aを有する。雌ねじ孔121aには、上方側から内外ねじ付ボルト123が、その雄ねじの根元側にロックナット124を螺合させた状態で雌ねじ孔121aに螺合されている。内外ねじ付ボルト123は、所定の螺進位置でロックナット124にて締め付け固定される。内外ねじ付ボルト123の軸部は、先端が上締結部121から下方へ突出する長さを有する。
【0023】
下締結部122は、右端部が下外輪部12BTに固定され左端側が下外輪部12BTから左方に突出している。下締結部122には、上締結部121の雌ねじ孔121aと同芯となる貫通孔122aが形成されている。貫通孔122aには、下方側からボルトである固定具N13が挿通され内外ねじ付ボルト123の雌ねじに螺合している。
【0024】
内外ねじ付ボルト123の軸部は、先端(下端)が上締結部121から下方へ突出する長さを有する。内外ねじ付ボルト123を一定距離螺進させると、軸部の先端が下締結部122の上面に当接するようになっている。
【0025】
締結部TBは、上述の構造により、内外ねじ付ボルト123の螺進距離を変えることで、上締結部121と下締結部122との上下方向の間隙の距離Qを調節できる。例えば、距離Qを小さくするほど、外輪部12の内径が小さくなって、係合する内輪部11を強く締め付けるので、球面滑り軸受として内輪部11が摺動するために必要な力が大きくなる。すなわち、球面滑り軸受SBの初動力を調節できる。
【0026】
図2A及び
図2Bから明らかなように、内輪部11の水平軸線CL11Hまわりの回動は、通常姿勢位置から内輪部11の後方側の周縁部が光路偏向部3の前面3cに当接するまでの所定の角度範囲θm(
図2A参照)で可能である。内輪部11の外周面11bと外輪部12の内面12bとの間は、実質的に隙間がなく空気が流通できない非通気状態となっている。すなわち、外周面11b及び内面12bは、両面の間に空気が流通できない非通気状態を作りだしている。そのため、内輪部11と外輪部12との間から空気が出入りすることはない。
【0027】
次に、検出部8について
図4A及び
図4Bを参照して説明する。検出部8は、検出部材821,センサスリーブ822,センサホルダ823,センサ824,及びカバー81を有して構成されている。上外輪部12UTは、上端部に、左右前後方向に延在するように形成された平面部127と、平面部127の中央部に垂直軸線CL12Vを軸として形成された貫通孔127aとを有する。
【0028】
センサホルダ823は、平面部127に密着する平板状の基部823aと、基部823aから下方に突出して貫通孔127aに進入する突出部823bとを有する。突出部823bには、その軸線CL8を軸として雌ねじ孔823cが形成されている。雌ねじ孔823cの内面には雌ねじが形成されている。センサホルダ823は、基部823aがボルトである固定具N1によって上外輪部12UTに形成された雌ねじ部(不図示)に締め付けられて、軸線CL8と垂直軸線CL12Vとを一致させるよう左右前後の位置を調節可能にして上外輪部12UTに固定されている。
【0029】
センサスリーブ822は、軸線CL8を軸とする細い筒状の部材であり、外周面には外ねじとして雄ねじが形成されている。センサスリーブ822は、センサホルダ823の雌ねじ孔823cに螺進及び螺退させることで、雌ねじ孔823cに挿入された状態でガタづきなく上下方向に移動可能となっている。センサスリーブ822は、ロックナット825の締め付けにより、センサホルダ823における任意の上下方向位置で固定される。
【0030】
センサスリーブ822の軸線CL8を軸として延びる円筒状の内部空間には、検出部材821として球体(ボール)が挿入されている。センサスリーブ822の下端は検出部材821の直径未満に縮径されており、検出部材821は、センサスリーブ822から下方に脱落せず、その下端側の一部がセンサスリーブ822の下端から下方に突出した状態となっている。
【0031】
センサスリーブ822の内部空間において、検出部材821の上方にはセンサ824が挿入配置されている。センサ824は、ロックナット826によってセンサスリーブ822における所定の上下方向位置で固定されている。
【0032】
センサ824は、円柱状のセンサ本体部824a及びセンサ本体部824aの下端面から下方に突出して上下動する検出ロッド824bを有する。センサ824は、検出ロッド824bが所定位置よりもセンサ本体部824a側に押し込まれた状態でOFFとなり、所定位置以上延び出ている状態でONとなる。センサ824は、ON/OFFの信号を、コード83を介して制御部94に向け送出する(
図1A参照)。検出ロッド824bは、センサ本体部824a内の付勢部材(不図示)によって下方に向け付勢されており、検出部材821を下方に押している。
【0033】
一方、内輪部11は、外周面11bに凹部としての係合穴11aを有する。係合穴11aは、例えば、横断面形状が垂直軸線CL11Vを軸とした円形の、いわゆるめくら穴として形成される。係合穴11aは、外輪部12に対する内輪部11の係合姿勢が、
図2Aに示される軸線CL11と光軸LaCとが一致する姿勢のときに、軸受中心C11を通り上下方向に延びる垂直軸線CL11Vを軸として形成される。以下、外輪部12に対する内輪部11の係合において、軸線CL11と光軸LaCとが一致する内輪部11の位置を、通常姿勢位置と称する。通常姿勢位置は、垂直軸線CL11Vと垂直軸線CL12Vとが一致するように後述の内輪位置決め部7を用いた位置決め方法によって設定される。
【0034】
通常姿勢位置では、検出部8において検出ロッド824bによって下方に付勢された検出部材821が、係合穴11aに同芯で嵌り込み下端部が係合穴11aに入り込んだ状態となっている。係合穴11aに嵌り込んでいる検出部材821を付勢している検出ロッド824bの上下方向の位置は、センサ824がONとなるように設定されている。
【0035】
内輪部11に対し外部から一定以上の力が加わると、通常姿勢位置から外輪部12内を摺動して回動する。そのため、
図4Bに示されるように、検出部材821は、検出ロッド824bの付勢力に抗して係合穴11aから離脱し、外周面11bと当接するようになる。これにより、検出部材821の上下方向位置は、距離L8だけ上昇して検出ロッド824bを持ち上げる。
【0036】
センサ824は、内輪部11の外周面11bに当接した検出部材821を付勢する検出ロッド824bの上下方向位置でOFFになるように位置調節されている。そのため、内輪部11が通常姿勢位置から回動することでセンサ824からOFF信号が出力され、制御部94に入力される。
【0037】
上述の検出部8で回動が検出される内輪部11は、レーザ加工ヘッド2と一体化される。具体的には、
図1A及び
図2Aに示されるように、内輪部11の前端部には、レーザ加工ヘッド2を着脱可能に装着するマウント13が取り付けられており、レーザ加工ヘッド2に備えられた装着部24がマウント13に装着されている。このようにしてレーザ加工ヘッド2は、過負荷保護装置92を介してヘッド支持体4と一体化している。
【0038】
既述のように、ヘッド支持体4及びレーザ加工ヘッド2は、駆動部5KDの動作によって3次元移動する。例えば、レーザビームLBによるワークWの加工動作でワークWに沿って移動する。このレーザ加工ヘッド2の移動途中に、ノズル22が異物或いは異常変形したワークの一部などの障害物に衝突した場合、ノズル22は少なくとも一時的に移動が妨げられる一方、ヘッド支持体4はキャリッジ部5と共に移動が継続されるため、レーザ加工ヘッド2は傾斜姿勢になろうとする。
【0039】
ノズル22の障害物との衝突でレーザ加工ヘッド2が傾斜姿勢になろうとすると、レーザ加工ヘッド2と一体化された内輪部11には、回動するための所定値以上の外力が加わる。そのため、内輪部11は、外輪部12に支持されながら軸受中心C11まわりに回動してレーザ加工ヘッド2の姿勢の傾斜を許容する。内輪部11が回動すると、検出部材821及び検出ロッド824bが上昇してセンサ824からOFFの検出信号8SG(
図1A参照)が出力されて制御部94に入力する。
【0040】
制御部94は、センサ824からのOFFの検出信号8SGの入力を受け、レーザ加工ヘッド2の移動に異常が発生したとしてキャリッジ部5の動作を停止する。また、制御部94は、レーザ発振器93が動作中であればレーザ出力を停止する。
【0041】
センサ824からOFFの検出信号8SGが出力された検出時刻からキャリッジ部5の動作が停止する停止時刻までの時間は、キャリッジ部5によるレーザ加工ヘッド2が最大速度で移動中であったとしても、内輪部11が最大回動位置まで回動するまでの時間よりも十分短くなるように、駄走も考慮し余裕をもって設定されている。内輪部11は、実質的に回動可能な所定の角度範囲θm未満で回動する。最大回動位置は、既述のように、内輪部11の後方側の周縁部が光路偏向部3の前面3cに当接する位置である。
【0042】
以上のように、レーザ加工装置91は、レーザ加工ヘッド2の一端側(上端側)が、キャリッジ部5に支持されたヘッド支持体4に対し過負荷保護装置92を介して取り付けられている。これにより、レーザ加工ヘッド2の他端側(下端側)となる先端部の移動が障害物などによって妨げられてレーザ加工ヘッド2が正常時の鉛直姿勢から傾斜姿勢になろうとしたときに、その傾斜を許容すると共に、傾斜を検出して制御部94がキャリッジ部5の移動を直ちに停止するようになっている。これにより、レーザ加工ヘッド2は、先端部の移動が規制されたまま一端側が移動を継続することがなく、レーザ加工ヘッド2に過大な負荷が加わることはない。
【0043】
また、過負荷保護装置92は、レーザ加工ヘッド2の正常時の姿勢(鉛直姿勢)から異常時の姿勢(傾斜姿勢)への姿勢転換を、球面滑り軸受構造の内輪部11の回動によって許容する。そして、過負荷保護装置92は、レーザ加工ヘッド2の正常時姿勢からキャリッジ部5が停止する傾斜姿勢までの内輪部11の回動を、外部の空間VG(
図2A参照)と内部のレーザビームの光路空間VL(
図2A参照)との通気を遮断した非連通状態で許容するようになっている。
【0044】
これにより、レーザ加工ヘッド2は、移動中にノズルが障害物と衝突しても、光路空間VLが外部の空間VGと連通することなく過負荷が加わらないように保護されるので、光路空間VLがヒュームなどによって汚染されることはなくメンテナンスが容易である。
【0045】
レーザ加工ヘッド2が傾斜姿勢になってレーザ加工装置91の動作が停止した後、原因を解消してレーザ加工装置91を再稼働させる際には、内輪部11を通常姿勢位置にリセットする。内輪部11を通常姿勢位置にリセットする作業は、内輪位置決め部7を用いて行う。次に、内輪位置決め部7について
図3を主に参照して説明する。
【0046】
図3及び
図1Bに示されるように、内輪位置決め部7は、過負荷保護装置92において、検出部8を挟むようにその左右に一対設けられている。一対の内輪位置決め部7は同じ構造を有するので、ここでは、代表として
図3における右側の内輪位置決め部7について説明する。
【0047】
内輪位置決め部7は、内輪部11の雌ねじ部11cと外輪部12に取り付けられたベース71とを有する。また、位置決め作業にはテーパーピン72を用いる。
【0048】
図3において、雌ねじ部11cは、内輪部11の外周面11bに開口する雌ねじを有するめくら穴であって、垂直軸線CL11Vに対し45°傾斜した位置に形成されている。外輪部12には、雌ねじ部11cに対応して、垂直軸線CL12Vに対し45°傾斜した位置に雌ねじ部11cの内径よりも十分大きな内径の貫通孔である調節孔12cが径を軸として形成されている。
【0049】
ベース71は、円筒状の基筒部71aと基筒部71aの軸方向の中央部位から径方向の外方に延出した一対のフランジ部71bとを有する。基筒部71aには、内周面の内径が内部に向かうほど小さくなるテーパー孔71a1が形成されている。ベース71は、基筒部71aが、テーパー孔71a1の縮径側が内輪部11側となる向きで調節孔12cに進入し、フランジ部71bが外輪部12の外面に形成された不図示の雌ねじ部に、ボルトである固定具N7で締め付け固定されている。
【0050】
テーパーピン72は、頭部72a,基部72b,テーパー部72c,及び雄ねじ部72dを有する。頭部72aは、円盤状に形成された指で摘まむための部位である。基部72bは、頭部72aの中心位置からその直交方向に延びる一定外径の丸棒状の部位である。テーパー部72cは、基部72bと同軸で基部72bの先端に接続し先端に向かうに従って外径が小さくなる円錐台の周面として形成された部位である。テーパー部72cの外周面の傾斜角度(テーパー角度)はベース71のテーパー孔71a1の内面と同じである。雄ねじ部72dは、基部72bと同軸でテーパー部72cの先端に接続して形成され、雌ねじ部11cに螺合する。
【0051】
ここで、一対の内輪位置決め部7は、それぞれにおいて、ベース71のテーパー孔71a1の軸線と、内輪部11の雌ねじ部11cの軸線とを一致させたときに、内輪部11の垂直軸線CL11Vと検出部8の軸線CL8とが一致した通常姿勢位置となるように予め形成されている。そこで、レーザ加工ヘッド2の移動が障害物などによって規制され、内輪部11が回動して通常姿勢位置から離脱した状態から再び通常姿勢位置に戻す(リセットする)際には、作業者は、まず、締結部TBの固定具N12及びN13の少なくとも一方を緩め、内輪部11が外輪部12に対し実質的に自由に摺動回動できる状態にする。
【0052】
次いで、作業者は、テーパー孔71a1を覗きながら、内輪部11の位置を、その雌ねじ部11cの全体が見えるように手で粗調整する。その後、作業者は、
図3の右側の内輪位置決め部7に示されるように、テーパーピン72をベース71のテーパー孔71a1に挿入し(矢印DRb参照)、雄ねじ部7dを雌ねじ部11cに螺合させて締め込んで、
図3の左側の内輪位置決め部7に示されるテーパーピン72の締め込み状態とする。これにより、テーパー孔71a1の位置が、テーパーピン72のテーパー部72cによってガイドされてベース71のテーパー孔71a1の軸線と内輪部11の雌ねじ部11cの軸線とが一致し、内輪部11は通常姿勢位置に位置決めされる。
【0053】
一対の内輪位置決め部7それぞれにおいてテーパーピン72を締め込んだ状態で、緩めた締結部TBの固定具N12又はN13を締め込み、内輪部11を、通常姿勢位置で、外輪部12に対し所定の摩擦力を生じて保持される状態とする。締結部TBを締め込んだ後、テーパーピン72を、ねじを緩めて取り外して、内輪部11のリセット作業が完了する。
【0054】
このように、過負荷保護装置92は、再稼働のためのリセット作業が、ねじの締緩のみの単純で簡単な作業となっているので、内輪部11の位置出しにばらつきが生じることはなく、作業者の負担は軽減される。
【0055】
以上詳述のように、過負荷保護装置92及びそれを備えたレーザ加工装置91は、過負荷保護装置92が、レーザ加工ヘッド2の姿勢傾斜で示される障害物との衝突などの異常発生を即座に検出してレーザ加工ヘッド2の移動を停止するので、レーザ加工ヘッド2に過負荷が加わることはない。検出できるレーザ加工ヘッド2の衝突方向は、水平方向の360°すべてであって、検出範囲が広い。また、ボールである検出部材821の位置の上昇を位置センサで検出するので、検出感度が高く、検出動作は安定している。
【0056】
過負荷保護装置92は、レーザ加工ヘッド2の傾斜化で示される異常発生の検出動作において、外部の空間VGと内部の光路空間VLとが分離されて通気が遮断されている。そのため、光路空間VLが外部の空間VGの汚物によって汚染されることはなく、メンテナンスが容易である。
【0057】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0058】
検出部8における内輪部11の回動の検出は、検出部材821の上昇に基づくものに限定されず、光センサなどの測距センサを用いるなど、他の方法で行ってもよい。内輪部11の保持は、上述のように分割した下外輪部12BT及び上外輪部12UTを、締結部TBのねじの締め付けによる摩擦力で行う構造に限定されない。内輪部11と外輪部12との間の摩擦力の発生は、エアーによる圧力付与、スプリングなどの弾性反発力の付与、マグネットによる磁気吸引力又は反発力の付与、などによって生じさせるものでもよい。
【0059】
上述のレーザ加工ヘッド2は、ノズルから射出するレーザビームの上下に延びる光軸の位置と、過負荷保護装置92の検出部8における軸線CL8との水平方向の距離Ld(
図2A参照)が比較的短く、実用上、垂直軸線CL11Vまわりの回動は生じない、とみなしてよい。換言するならば、レーザ加工ヘッド2の移動中の衝突で生じる内輪部11の変位は、実用上、次のものに限定するとみなしてよい。すなわち、
図2Aにおいて、レーザ加工ヘッド2の前後方向の移動での衝突により生じる水平軸線CL11Hまわりの回動,レーザ加工ヘッド2の左右方向の移動での衝突による軸線CL11まわりの回動,及びこれらの組み合わせによる軸受中心C11まわりの回動である。
【0060】
レーザ加工装置91に搭載されたレーザ加工ヘッド2が、距離Ldが比較的長く、内輪部11の垂直軸線CL11Vまわりの回動が実用上無視できない程度に生じる場合、例えば水平軸線CL11H上に検出部8と同様構造の別の検出部を設けてその回動も検出できる構成にしてよい。
【0061】
上述のように、本発明の過負荷保護装置の一態様は、一方向に移動するヘッド支持体4に一体化された外輪部12と、一方向と直交する方向へレーザビームLBを射出するレーザ加工ヘッド2に一体化され、外輪部12によって球面を介して通常姿勢位置から所定の角度範囲θmで回動可能に支持された内輪部11と、を有して構成された球面滑り軸受SBを備え、通常姿勢位置からの所定の角度範囲θmの回動において、レーザビームの光路空間VLは、外輪部12と内輪部11によって、レーザ加工ヘッド2の外部の空間VGと非通気状態を形成している。
【0062】
この一態様は、レーザ加工ヘッド2が移動中に障害物と衝突したときに、レーザ加工ヘッド2を、その光路空間VLが外部の空間VGと連通せずに、過負荷が加わらないよう保護できる。
【0063】
上記一態様において、外輪部12は、円弧状に分割された第1外輪部12UT及び第2外輪部12BTを含んで構成され、第1外輪部12UT及び第2外輪部12BTを内輪部11の外周面11bに締め付ける締結部TBを有し、締結部TBにおける締め付けの程度により、内輪部11は回動に必要な外力の大きさを調節可能とされて外輪部12に回動可能に保持されているものであってもよい。
【0064】
これにより、わずかな外力で意図せず内輪部11が回動して装置が停止してしまうことを防止できる。
【0065】
また、上記一態様において、通常姿勢位置から回動した内輪部11を通常姿勢位置にリセットさせるための内輪位置決め部7を有し、内輪位置決め部7は、外輪部12に形成された径方向を軸とするテーパー孔71a1と、内輪部11に形成された径方向を軸とする雌ねじ部11cと、を有し、テーパー孔71a1のテーパー角度と同じ傾斜角度のテーパー部72c、及びテーパー部72cの先端に設けられた雌ねじ部11cに螺合する雄ねじ部72dを有するテーパーピン72を、テーパー孔71a1に挿入し雄ねじ部72dを雌ねじ部11cに螺合させて締め付けることで、内輪部11が通常姿勢位置に位置決めされるよう構成されているものであってもよい。
【0066】
これにより、復帰作業が簡単になるので、停止から復帰までの時間が短縮され、稼働率が向上し作業者の負担が軽減する。
【0067】
本発明のレーザ加工装置の一態様は、上記一態様の過負荷保護装置92と、ヘッド支持体4の移動を制御する制御部94と、を備え、過負荷保護装置92は、内輪部11の通常姿勢位置からの回動を検出して検出信号8SGを出力する検出部8を有し、制御部94は、検出信号8SGに基づいてヘッド支持体4の移動を停止する。
【0068】
この一態様は、レーザ加工ヘッド2が移動中に障害物と衝突したときに、レーザ加工ヘッド2を、その光路空間VLが外部の空間VGと連通せずに、過負荷が加わらないよう保護できる。
【0069】
この一態様は、ヘッド支持体4が最大速度で移動しているときに検出部8が内輪部11の通常姿勢位置からの回動を検出した場合、検出時刻からヘッド支持体4の停止時刻までの時間で内輪部11が回動する角度は、所定の角度範囲θm未満であるよう構成されていてよい。
【0070】
これにより、レーザ加工ヘッドの移動速度によらず、内輪部11が外輪部側に当接してレーザ加工ヘッドに過負荷が加わってしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0071】
11 内輪部
11a 係合穴
11b 外周面
11c 雌ねじ部
11h 光路孔
12 外輪部
12b,12Ub,12Bb 内面
12c 調節孔
121 上締結部
121a 雌ねじ孔
122 下締結部
122a 貫通孔
123 内外ねじ付ボルト
124 ロックナット
125 締結孔
126 めくら穴
126a 雌ねじ部
127 平面部
127a 貫通孔
12UT 上外輪部
12BT 下外輪部
13 マウント
2 レーザ加工ヘッド
21 ヘッド本体部
211 集光レンズ
22 ノズル
23 ヘッド内偏向部
231 ミラー
24 装着部
3 光路偏向部
3b 内面
3c 前面
31 ミラー
4 ヘッド支持体
41 コリメートレンズ
5 キャリッジ部
5KD 駆動部
6 プロセスファイバ
7 内輪位置決め部
71 ベース
71a 基筒部
71a1 テーパー孔
71b フランジ部
72 テーパーピン
72a 頭部
72b 基部
72c テーパー部
72d 雄ねじ部
8 検出部
81 カバー
8SG 検出信号
821 検出部材
822 センサスリーブ
823 センサホルダ
823a 基部
823b 突出部
823c 雌ねじ孔
824 センサ
824a センサ本体部
824b 検出ロッド
825,826 ロックナット
83 コード
91 レーザ加工装置
92 過負荷保護装置
93 レーザ発振器
94 制御部
CL8,CL11 軸線
CL11H 水平軸線
CL11V,CL12V 垂直軸線
C11 軸受中心
D11 厚さ
La,LB レーザビーム
LaC 光軸
LC2 ヘッド光軸
L8 距離
N12,N13,N1,N7 固定具
Q 距離
Ra 半径
SB 球面滑り軸受
TB 締結部
VG (外部の)空間
VL 光路空間
W ワーク
θa 角度
θm 所定の角度範囲