(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】固形腫瘍細胞及びエスケープバリアントを治療するための足場
(51)【国際特許分類】
A61L 27/06 20060101AFI20241128BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20241128BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20241128BHJP
A61L 27/22 20060101ALI20241128BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20241128BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61L27/06
A61L27/56
A61L27/54
A61L27/22 ZNA
A61L27/38
A61P35/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023012548
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2019534814の分割
【原出願日】2017-12-21
【審査請求日】2023-03-01
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519223941
【氏名又は名称】モナーク・バイオサイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コリン・パトリック・キーリー
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/110591(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180399(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0245706(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0062154(US,A1)
【文献】国際公開第2016/079899(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)薄膜ニチノール(TFN)マイクロメッシュを含む足場マトリックス
、(ii)
CD137に特異的な抗体を含むリンパ球活性化部分
、及び(iii)リンパ球接着部分としてフィブリンを含む、対象における固形腫瘍を治療するためのリンパ球足場を形成するためのキット。
【請求項2】
多孔質粒子をさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
リポソームをさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
原細胞をさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
STINGアゴニストをさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
STINGアゴニストが、c-diGMP、c-diAMP、c-GAMP、c-AIMP、(3’,2’)c-AIMP、(2’,2’)c-AIMP、(2’,3’)c-AIMP、c-AIMP(S)、c-(dAMP-dIMP)、c-(dAMP-2’FdIMP)、c-(2’FdAMP-2’FdIMP)、(2’,3’)c-(AMP-2’FdIMP)、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)]、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)](POM)2及び/又はDMXAAを含む、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
STINGアゴニストが、c-diGMPを含む、請求項5に記載のキット。
【請求項8】
免疫刺激剤をさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項9】
免疫刺激剤が、サイトカイン、抗体、小分子、siRNA、プラスミドDNA及び/又はワクチンアジュバントである、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
免疫刺激剤が、(i)CpG、Cpg-28、ポリ(I:C)、α-ガラクトセラミド、MPLA、VTX-2337、EMD1201081)イミキモド、MGN1703、G100、CBLB502、ヒルトノール及びイミキモドから選択されるToll様受容体リガンド並びに/又は(ii)17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)から選択される、請求項8に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府によって支援を受けた研究又は開発に関する声明
本発明は、国立衛生研究所により授与されたCA181413に基づき政府支援によって行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/437,572号に対する優先権を主張し、この全内容は参照により組み込まれる。
【0003】
配列表に対する言及
50KBのファイルサイズである、2017年11月30日に作成された又はこの付近に作成された「1QJ8796.txt(Sequence Listing.txt)」というタイトルのコンピューター可読テキストファイルは、本出願についての配列表を含み、この全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本開示の分野
本開示は、固形腫瘍及びエスケープバリアント(escape variant)を治療し、がん再発に対する有効なワクチン接種を提供する移植可能な足場を提供する。足場は、遺伝的に再プログラムされたリンパ球、及びリンパ球活性化部分を含む。
【背景技術】
【0005】
がん免疫療法は、がんを治療するために患者の免疫系が使用される分野を指す。例えば、がん免疫療法は、がんの発生に対して患者を免疫化するためのワクチンの使用を含む。残念なことに、がんワクチンが誘発させることができる応答は、成熟するのに数ヶ月を要することがあり、通常、進行した疾患を抑制するには不十分である。
【0006】
また、がん細胞を攻撃するために患者自身のT細胞をより迅速に刺激する又は強力に刺激する試みもなされてきた。しかしながら、T細胞によって通常発現される受容体のレパートリーは一般に自己/腫瘍抗原に対して低い親和性を有するので、このアプローチは、がんに対する戦いにおいて十分な成功を達成していない。
【0007】
新たな免疫療法アプローチは、腫瘍における選択された巨大分子標的に対して高い親和性を有するように操作されたキメラ抗原受容体(CAR)をコードする遺伝子を用いて患者由来のリンパ球(例えば、T細胞)を変化させることを含む。導入された遺伝子はまた、強力なT細胞増殖を誘発するための共刺激シグナルを産生することができる。この方法は、患者からT細胞を回収し、これらを、共刺激及びCD3ζシグナル伝達ドメインと融合した腫瘍特異的一本鎖抗体(scFv)から構成されるCARを発現するようにエキソビボで再指向することを含み、これにより、プログラムされた細胞が、ヒト白血球抗原(HLA)に依存しない様式で腫瘍標的を溶解させることが可能となる。
【0008】
このようなCARプログラムされたT細胞を利用する療法は、臨床試験において血液学的悪性腫瘍(すなわち、液体血液がん)を有する患者において一貫して陽性の結果を生じた。しかしながら、固形腫瘍に関しては、これらの療法の有効性は、1)腫瘍部位に対するリンパ球の非効率的なホーミング、2)免疫抑制性微小環境固形腫瘍が生じること、及び3)CARプログラムされたT細胞のターゲティング受容体によって認識されないがん細胞が、プログラムされたT細胞を回避するエスケープバリアントを形成し得ることを意味する固形腫瘍の表現型多様性によって制限されてきた。したがって、T細胞の遺伝的再プログラミングは依然として有望な療法であるが、有意な改善が、固形腫瘍を治療するためのこれらの使用において必要とされる。
【0009】
US2016/0008399は、遺伝的に再プログラムされたリンパ球(例えば、T細胞)が固形腫瘍を治療する能力を大幅に改善する移植可能な足場を記載している。移植可能な足場は、遺伝的に再プログラムされたリンパ球、足場に関連する少なくとも1つのリンパ球接着部分、足場に関連する少なくとも1つのリンパ球活性化部分、及び任意選択的に免疫刺激剤を含む。足場は固形腫瘍の部位に移植され得るので、腫瘍部位に対するリンパ球の非効率的なホーミングに関する問題が克服される。
【0010】
US2016/0008399はまた、移植可能な足場が、腫瘍細胞に対する延長された第2の波の防御をどのように生じるかを記載している。特に、足場内に播種されたリンパ球は、移植後に足場から出て、例えば、切除後に残った残存腫瘍細胞を破壊するために、腫瘍切除床全体にわたって高密度にて分散し、及び流入領域リンパ節内に高密度にて分散する。このステップは、死にかけている腫瘍細胞から大量の腫瘍抗原を組織内に放出する。腫瘍抗原は、続いて抗原提示細胞(APC)によって取り込まれる。免疫刺激剤を放出することによって、足場は、強力な宿主抗腫瘍免疫応答を開始するためにAPC及び腫瘍反応性免疫細胞を活性化することができる。抗腫瘍免疫のこの「第2の波」はより広く、残った腫瘍細胞を排除するために相乗的に作用する複数の細胞型を含む。
【0011】
STING(インターフェロン遺伝子の刺激因子(STimulator of INterferon Genes))経路アゴニストは、がん免疫療法における集中的な研究の焦点となっている有力な免疫刺激剤の一種である。しかしながら、以前に記載されたアジュバント化合物(例えば、R848及び関連するイミダゾキノリンTLR7/8アゴニスト、(NOD)様受容体を誘発するムラミルジペプチド及びRIG-IのRNAオリゴヌクレオチドリガンド)と同様に、定式化されていないSTINGアゴニストによる治療は全身性炎症毒性を伴い、このことは、がん患者を治療するためにこれらの化合物を使用することに関して大きな障害となる。したがって、臨床的に有効であるためには、高用量のSTINGアゴニストが、腫瘍病変に繰り返し直接注射されることが必要であり、このことは、この療法を、毎日の接種が可能である部位(例えば、皮膚悪性腫瘍)に制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許出願公開第2016/0008399号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
(開示の要旨)
本開示は、改善された移植可能な足場を提供することによって、がん免疫療法を進化させ続ける。本明細書に開示される移植可能な足場には、(i)遺伝的に再プログラムされたリンパ球、及び(ii)少なくとも1つのリンパ球活性化部分が播種されている。したがって、特定の実施形態では、これらの移植可能な足場は、US2016/0008399に記載されているものよりも形態が単純であり得る。特定の実施形態では、本明細書に開示される移植可能な足場はまた、STINGアゴニストを含んでもよい。これらの実施形態は、全身性炎症毒性を伴わず、毎日の注射を必要としない、STINGアゴニストの有効な免疫賦活効果を利用する機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
開示されている移植可能な足場により観察された抗がん作用のロバスト性は、相乗的であり、予想外であり、注目すべきであった。試験された全ての対象のほぼ半分において、固形腫瘍の完全な根絶が達成された。したがって、遺伝的に再プログラムされたリンパ球によって認識された腫瘍細胞並びに通常、エスケープバリアントになっていた腫瘍細胞は効果的に治療された。さらに、固形腫瘍の完全な根絶後、対象はがん細胞により再チャレンジされた。再チャレンジされた対象の100%は測定可能な腫瘍を全く発生せず、自己ワクチン部位の有効性が実証された。したがって、本明細書に開示される移植可能な足場は、固形腫瘍がんに対する進行中の戦いにおいて有意な進化を提供する。
【0015】
特定の実施形態では、足場は、マイクロパターン化金属薄膜又はポリマーから選択される足場マトリックス材料を含む。特定の実施形態では、遺伝的に再プログラムされたリンパ球は、T細胞又はナチュラルキラー(NK)細胞である。特定の実施形態では、少なくとも1つのリンパ球活性化部分は、インターロイキン15並びに/又はCD3、CD28及び/又はCD137に特異的な抗体から選択される。特定の実施形態では、足場はSTINGアゴニストを含む。特定の実施形態では、STINGアゴニストはc-diGMPである。特定の実施形態では、STINGアゴニストは、薬物溶出ポリマー内に埋め込まれている。特定の実施形態では、足場はリンパ球接着部分を含む。特定の実施形態では、リンパ球接着部分は、フィブリン又はGFOGER(配列番号1)ペプチドから選択される。
【0016】
特定の実施形態では、足場は、(i)薄膜ニチノール(TFN)マイクロメッシュ内に配置された遺伝的に再プログラムされたリンパ球を含む。遺伝的に再プログラムされたリンパ球は、CD3、CD28及び/若しくはCD137に特異的な抗体を含むリンパ球活性化部分を有するT細胞を含んでもよく、並びに/又はインターロイキン-15及びCD137に特異的な抗体を含むリンパ球活性化部分を有するNK細胞を含んでもよい。特定の実施形態では、これらの実施形態は、リンパ球接着部分フィブリンを含んでもよい。特定の実施形態では、これらの実施形態は、c-diGMPを含んでもよい。特定の実施形態では、これらの実施形態は、TFNマイクロメッシュの表面上にコーティングされた薬物溶出ポリマー内に埋め込まれたc-diGMPを含んでもよい。特定の実施形態では、これらの実施形態は、粒子内に埋め込まれたSTINGアゴニスト(例えば、c-diGMP)を含んでもよい。粒子が使用される場合、1つ以上のリンパ球活性化部分は、粒子の表面上にあってもよい。
【0017】
特定の実施形態では、TFNマイクロメッシュを含む足場は、高密度の細胞(1cm2当たり少なくとも7×106個又は1cm2当たり少なくとも8×106個の細胞)を含んでもよい。TFNマイクロメッシュは、例えば、3層の細胞をTFNマイクロメッシュの各層に充填することによって、高い細胞密度を可能にすることができる。
【0018】
特定の実施形態では、TFNマイクロメッシュを含む足場は、数日間、1週間より長い間及び/又は2週間より長い間、リンパ球を送達し続けることができる長時間作用する足場として使用され得る。
【0019】
特定の実施形態では、足場は、(i)アルギネート足場マトリックス内に配置された遺伝的に再プログラムされたリンパ球を含む。遺伝的に再プログラムされたリンパ球は、CD3、CD28及び/若しくはCD137に特異的な抗体を含むリンパ球活性化部分を有するT細胞を含んでもよく、並びに/又はインターロイキン-15及びCD137に特異的な抗体を含むリンパ球活性化部分を有するNK細胞を含んでもよい。特定の実施形態では、これらの実施形態は、GFOGER(配列番号1)ペプチドリンパ球接着部分を含んでもよい。特定の実施形態では、これらの実施形態はc-diGMPを含んでもよい。特定の実施形態では、これらの実施形態は、アルギネート足場の表面上にコーティングされた薬物溶出ポリマー内に埋め込まれたc-diGMPを含んでもよい。特定の実施形態では、これらの実施形態は、粒子内に埋め込まれたSTINGアゴニスト(例えば、c-diGMP)を含んでもよい。粒子が使用される場合、1つ以上のリンパ球活性化部分は、粒子の表面上にあってもよい。
【0020】
本明細書において提出された図面の多くは、色がより良く理解される。出願人は、図面のカラー版を最初の提出物の一部とみなし、後の手続きにおいて図面のカラー画像を提示する権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】固形腫瘍は不均一であり、療法のための標的として一般に使用される様々なレベルの抗原を発現することを示す図である。これは、これらの腫瘍によるタンパク質発現のかなりの多様性を示すヒト膵管腺がんの代表的な共焦点画像である。サイトケラチン発現は、一般に腺がんにおいて発生するので、汎サイトケラチン(pan-cytokeratin)抗体が腫瘍細胞集団を定義するために使用された。腫瘍分化抗原メソテリンは免疫療法についての可能性がある候補であり、がん幹細胞マーカーEpCAMをターゲティングする治療は、現在、臨床開発中である。スケールバー、100μm。この図の色再現において、汎サイトケラチン抗体は緑色であり、メソテリンは赤色であり、EpCAMは青色である。
【
図2A】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。膵管腺がんの同所性マウスモデルの図である。
【
図2B】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。外科的移植から7日後のKPC膵臓の明視野顕微鏡検査の図である。ヘマトキシリン/エオシン染色により、膵頭部において実質組織が散在している侵襲性腺がんが明らかとなり、隣接する健康な組織により、新生物領域の無秩序な性質が強調される。腺がんの特徴である、分化腺房構造及び未分化腺房構造(すなわち、腺及び管)の両方の形成もまた、これらの試料において明らかである。拡大(20倍)画像の分析により、腫瘍微小環境内の多形核白血球を含む、免疫細胞のかなりの動員が明らかとなった。破線の長方形は拡大された挿入物を特定している。スケールバー、100μm。
【
図2C】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。KPC腫瘍によるRae-1発現における細胞間変動性を定量化するフローサイトメトリーデータのヒートマップの図である。7日齢の腫瘍(これらを区別するためにGFPによりタグ化した)を単一細胞懸濁液中に分離し、Rae-1に対する抗体により標識化したので、この抗原の平均蛍光強度はフローサイトメトリーによって測定され得、陰影はアイソタイプ対照と比較した相対発現レベルを示す。1,800個のランダムに選択した細胞からの結果を示す。
【
図2D】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。Rae-1を認識するために使用されるキメラ受容体が、ネズミCD3ζ細胞内シグナル伝達分子と融合した全長マウスNGK2Dをどのように含むかを示す概略図である。
【
図2E】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。レトロウイルス形質導入及びG418を含有する培地中での3日間の増殖後の、マウスエフェクターT細胞上のNKG2D CARの表面発現を測定するフローサイトメトリーの図である。
【
図2F】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。KPC臓腫瘍細胞と反応するNKG2D CAR形質導入T細胞の
51Cr放出細胞傷害性アッセイの図である。
【
図2G】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。ホタルルシフェラーゼ発現KPC腫瘍細胞をアルビノC57BL/6マウスの膵臓に移植してから10日後、動物に10
7個のNKG2D CAR形質導入T細胞を注射した図である。プログラムされたリンパ球ターゲティングの動態を測定するために、並行実験において、マウスに、コメツキムシ赤色ルシフェラーゼレポーターを共発現するCAR-T細胞を注射した。各コホート(n=10)からの5匹の代表的なマウスにおけるKPC腫瘍及び養子導入T細胞の連続生物発光イメージングを示す。
【
図2H】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。処置マウス及び対照マウスについてのカプラン-マイヤー生存曲線を示す図である。3回の独立した実験からプールした処置群当たり10匹のマウスを示し、msは生存期間中央値である。ここで示した、処置した実験群と未処置の対照群との間の統計分析はLog-rank検定を使用して行い、P<0.05を有意とみなした。
【
図2I】腫瘍特異的CAR-T細胞の全身注入は、わずかな治療効果しか生じないことを示す図である。NKG2D CAR-T細胞療法後のKPC腫瘍細胞上のRae-1抗原発現のフローサイトメトリー定量の図である。1,800個のランダムに選択した細胞を示す。
【
図3A】膵臓腫瘍上に直接配置されたバイオマトリックスは、CARプログラムされたT細胞のための有効な送達プラットフォームとして機能することができることを示す図である。足場に組み込まれた刺激性ミクロスフェアの明視野顕微鏡検査の図である。下側は微粒子組成の図である。スケールバー、70μm。
【
図3B】膵臓腫瘍上に直接配置されたバイオマトリックスは、CARプログラムされたT細胞のための有効な送達プラットフォームとして機能することができることを示す図である。このシリーズは、開示されている方法を例示している図である:[1]足場;[2]腫瘍反応性T細胞の装置への播種;[3]切開;[4]同所性KPC膵臓腫瘍;[5]~[7]T細胞負荷装置の移植;[8]創傷閉鎖;[9]腫瘍反応性T細胞の持続放出を示す図である。
【
図4A】ポリマーが放たれた(polymer-launched)CAR-T細胞は腫瘍部位で強力に増殖し、腫瘍退縮を誘発するが、標的抗原を欠く細胞には影響を及ぼさないことを示す図である。KPC腫瘍及び養子導入CAR-T細胞の生物発光イメージングの図である。マウスを、腫瘍に局所的に注射した10
7個のNKG2D形質導入リンパ球により処置した又は腫瘍表面上に直接移植した生物活性足場に含まれた10
7個のNKG2D形質導入リンパ球により処置した。各コホート(n=10)からの5匹の代表的なマウスを示す。
【
図4B】ポリマーが放たれたCAR-T細胞は腫瘍部位で強力に増殖し、腫瘍退縮を誘発するが、標的抗原を欠く細胞には影響を及ぼさないことを示す図である。細胞導入後2日毎に捕捉した連続生物発光画像からのT細胞シグナル強度の図である。各線は1匹の動物を表し、各点は動物全体の光子計数を示す。示した時点において、処置群間の光子計数のペアワイズ差を、ウィルコクソンの順位和検定により分析した。
【
図4C】ポリマーが放たれたCAR-T細胞は腫瘍部位で強力に増殖し、腫瘍退縮を誘発するが、標的抗原を欠く細胞には影響を及ぼさないことを示す図である。定量化したKPC生物発光腫瘍シグナルの図である。
【
図4D】ポリマーが放たれたCAR-T細胞は腫瘍部位で強力に増殖し、腫瘍退縮を誘発するが、標的抗原を欠く細胞には影響を及ぼさないことを示す図である。処置マウス及び対照マウスについてのカプラン-マイヤー生存曲線を示す図である。3回の独立した実験からプールした処置群当たり10匹のマウスを示し、msは生存期間中央値である。ここで示した、処置した実験群と未処置の対照群との間の統計分析はLog-rank検定を使用して行い、P<0.05を有意とみなした。
【
図4E】ポリマーが放たれたCAR-T細胞は腫瘍部位で強力に増殖し、腫瘍退縮を誘発するが、標的抗原を欠く細胞には影響を及ぼさないことを示す図である。NKG2D CAR-T細胞療法後のKPC腫瘍細胞上のRae-1抗原発現のフローサイトメトリー定量の図である。1,800個のランダムに選択した細胞を示す。
【
図5A】不均一ながん細胞を同時に除去し、全身性抗腫瘍免疫を確立するためにCAR発現T細胞及び免疫刺激剤(この例ではワクチンアジュバントとして示される)を同時送達する生体材料担体の設計を示す図である。腫瘍床と相互作用するCAR-T細胞を負荷した足場の概略図である:パネル1及び2は、装置に組み込まれた因子含有ミクロスフェアが、どのようにCAR発現T細胞の増殖を刺激し、周囲組織へのこれらの放出を促進するかを示す。APC、抗原提示細胞。パネル2及び3は、腫瘍細胞を認識し、溶解し、それによって抗原エスケープバリアントに対して防御する宿主免疫細胞をプライミングする、T細胞負荷足場からのワクチンアジュバントの放出を例示する。
【
図5B】不均一ながん細胞を同時に除去し、全身性抗腫瘍免疫を確立するためにCAR発現T細胞及び免疫刺激剤(この例ではワクチンアジュバントとして示される)を同時送達する生体材料担体の設計を示す図である。ポリマーコアに捕捉されたSTINGアゴニストサイクリックジGMP(すなわち、交換可能に使用されるc-diGMP又はcdGMP)及びこのリン脂質膜につながれた刺激性抗CD3/CD28/CD137抗体を用いて微粒子により機能化した多孔質アルギネートマトリックスの巨視的図及び微視的図である。c-diGMPの化学構造を下側に示す。
【
図6A】足場により放出されたCAR-T細胞及びSTINGアゴニストは、宿主抗原提示細胞を活性化するために相乗作用することを示す図である。ルシフェラーゼ発現KPC腫瘍細胞をマウスの膵臓に移植してから10日後、7×10
6個の腫瘍反応性CAR-T細胞、6μgのc-diGMP又は両方の組合せのいずれかを含有する足場を腫瘍表面上に移植した;対照マウスは処置を受けなかった。5日後、膵周囲リンパ節を、フローサイトメトリーによる分析のために細胞懸濁液中で消化した。腫瘍に取り込まれていないリンパ節のみを使用し、これらを少なくとも5匹の動物からプールした。(
図6A)骨髄成熟マーカー(CD11b及びCD11c)のフローサイトメトリーの図である:右側に示されるヒストグラムは、CD11c+CD11b+二重陽性細胞集団に対してゲーティングした後の共刺激因子CD86及びMHCクラスII分子の発現を示す。
【
図6B】足場により放出されたCAR-T細胞及びSTINGアゴニストは、宿主抗原提示細胞を活性化するために相乗作用することを示す図である。ルシフェラーゼ発現KPC腫瘍細胞をマウスの膵臓に移植してから10日後、7×10
6個の腫瘍反応性CAR-T細胞、6μgのc-diGMP又は両方の組合せのいずれかを含有する足場を腫瘍表面上に移植した;対照マウスは処置を受けなかった。5日後、膵周囲リンパ節を、フローサイトメトリーによる分析のために細胞懸濁液中で消化した。腫瘍に取り込まれていないリンパ節のみを使用し、これらを少なくとも5匹の動物からプールした。(
図6B)膵周囲リンパ節における成熟及び活性化(CD11b+CD11c+CD86+MHC-II+)樹状細胞の絶対数の図である。点は5匹のマウスからプールした試料におけるリンパ節当たりの細胞数を表し、データは4つの別々の研究を表す。
【
図7A】足場からのCAR発現T細胞と一緒のc-diGMPの同時放出は、内因性腫瘍反応性リンパ球をプライミングすることを示す図である。糖タンパク質33を発現するKPC腫瘍をマウスに移植した。これらのマウスを、生体材料により送達されるc-diGMP、CAR-T細胞又はこの2つの組合せにより処置し、末梢血中の宿主gp33特異的T細胞を四量体染色によって定量した。内因性T細胞を養子導入T細胞から区別するために、コンジェニックCD45.1受容マウスをこれらの研究のために使用した。(
図7A)CD45.1+(宿主)CD8+細胞に対してゲーティングした、足場移植から10日後の末梢血中のgp33四量体陽性細胞のパーセンテージを示す代表的なフローサイトメトリープロットの図である。示したプロファイルは3回の独立した実験の代表である。
【
図7B】足場からのCAR発現T細胞と一緒のc-diGMPの同時放出は、内因性腫瘍反応性リンパ球をプライミングすることを示す図である。糖タンパク質33を発現するKPC腫瘍をマウスに移植した。これらのマウスを、生体材料により送達されるc-diGMP、CAR-T細胞又はこの2つの組合せにより処置し、末梢血中の宿主gp33特異的T細胞を四量体染色によって定量した。内因性T細胞を養子導入T細胞から区別するために、コンジェニックCD45.1受容マウスをこれらの研究のために使用した。(
図7B)プライミングされた(CD45.1+CD8+gp33+)T細胞の絶対数の図である。3回の独立した実験からプールした10匹のマウスを示す。各バーは平均絶対細胞計数±s.e.mを表す。対応のないスチューデントのt検定を使用して、絶対細胞計数間の差を検定した。
【
図8A】CAR発現T細胞と一緒にSTINGアゴニストを同時送達する足場は、腫瘍免疫エスケープを制限することができることを示す図である。KPC-luc腫瘍の連続インビボ生物発光イメージングの図である。各コホート(n=10)からの5匹の代表的なマウスを示す。
【
図8B】CAR発現T細胞と一緒にSTINGアゴニストを同時送達する足場は、腫瘍免疫エスケープを制限することができることを示す図である。定量化したKPC生物発光腫瘍シグナルの図である;3回の独立した実験からプールした処置群当たり10匹のマウスを示す。
【
図8C】CAR発現T細胞と一緒にSTINGアゴニストを同時送達する足場は、腫瘍免疫エスケープを制限することができることを示す図である。処置マウス及び対照マウスについてのカプラン-マイヤー生存曲線である。ms、生存期間中央値。ここで示した、処置した実験群と未処置の対照群との間の統計分析はLog-rank検定を使用して行い、P<0.05を有意とみなした。
【
図9A】足場は、全体的な抗腫瘍免疫を誘発できることを示す図である。
図8A~8Cに関連して記載されているように完全な腫瘍退縮を経験した4匹のマウスに静脈内注射したKPC-luc腫瘍細胞の連続インビボ生物発光イメージングの図である。年齢を一致させたナイーブマウスを対照として使用した。
【
図9B】足場は、全体的な抗腫瘍免疫を誘発できることを示す図である。カプラン-マイヤー生存曲線である。
【
図10A】細胞足場(例えば、薄膜ニチノール(TFN)マイクロメッシュ)との部分の共有結合によってリンパ球活性化部分(例えば、抗CD3/CD28/CD137抗体)により機能化された足場を示す概略図である。
【
図10B】細胞足場(例えば、TFNマイクロメッシュ)と共有結合した又は細胞足場(例えば、TFNマイクロメッシュ)上にコーティングされたリンパ球接着部分(例えば、フィブリン、コラーゲン)との部分の共有結合によってリンパ球活性化部分(例えば、抗CD3/CD28/CD137抗体)により機能化された細胞足場を示す概略図である。
【
図10C】多層薄膜マイクロメッシュ(例えば、TFNマイクロメッシュ)により形成され、超高密度の腫瘍反応性免疫細胞(例えば、CAR T細胞)が埋め込まれた三次元インプラントを示す概略図である。
【
図10D】機能化されたマイクロパターン化金属薄膜(例えば、TFNマイクロメッシュ)は、超高細胞密度を達成する図である。
【
図11A】適切なリンパ球接着部分及び刺激の合図により機能化されたTFNマイクロメッシュは、T細胞の迅速な移動及び強力な増殖を支持することを示す図である。TFNマイクロメッシュの写真である。スケールバー:2mm。
【
図11B】適切なリンパ球接着部分及び刺激合図により機能化されたTFNマイクロメッシュは、T細胞の迅速な移動及び強力な増殖を支持することを示す図である。コーティングされていない(左パネル)及びフィブリンコーティングされた(右パネル)TFNマイクロメッシュの光学顕微鏡画像である。倍率:40倍。スケールバー:120μm。
【
図11C】適切なリンパ球接着部分及び刺激合図により機能化されたTFNマイクロメッシュは、T細胞の迅速な移動及び強力な増殖を支持することを示す図である。コーティングされていない(左パネル)及びフィブリンコーティングされた(右パネル)TFNマイクロメッシュの電子顕微鏡画像である。
【
図11D】適切なリンパ球接着部分及び刺激合図により機能化されたTFNマイクロメッシュは、T細胞の迅速な移動及び強力な増殖を支持する。倍率:270×1,100倍の拡大されたバージョンはパネル(
図11D)に示される。
【
図11E】適切なリンパ球接着部分及び刺激合図により機能化されたTFNマイクロメッシュは、T細胞の迅速な移動及び強力な増殖を支持することを示す図である。30分間追跡した、コーティングされていない(左)及びフィブリンコーティングされた(右)TFNマイクロメッシュを通るリンパ球の移動の低速度ビデオ投影の図であり、各陰影の色は個々のT細胞を表す。スケールバー:50μm。2回の独立した実験からランダムに選択した30個の細胞に基づく、平均速度及び平均T細胞変位の比較を下側に示す。
【
図11F】適切なリンパ球接着部分及び刺激合図により機能化されたTFNマイクロメッシュは、T細胞の迅速な移動及び強力な増殖を支持することを示す図である。フィブリンコーティングされたTFNマイクロメッシュにおいて捕捉されたヒトT細胞(Alexa 488標識化:緑色)の高倍率共焦点画像である。スケールバー:100μm。挿入図は拡大を示す。スケールバー:50μm。
【
図11G】適切なリンパ球接着部分及び刺激合図により機能化されたTFNマイクロメッシュは、T細胞の迅速な移動及び強力な増殖を支持することを示す図である。T細胞接着リガンド(フィブリン)及び刺激リガンド(EDC化学によってフィブリンと共有結合した抗CD3/CD28/CD137抗体)により機能化したTFNマイクロメッシュの概略図である。
【
図11H】適切なリンパ球接着部分及び刺激合図により機能化されたTFNマイクロメッシュは、T細胞の迅速な移動及び強力な増殖を支持することを示す図である。7日の試験期間の間にTFNマイクロメッシュから出たT細胞の代表的なカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)アッセイの図であり、ここで、増殖は、フローサイトメトリーを使用してCFSE希釈(細胞分裂による結果)を測定することによって評価された。リンパ球集団についての平均CFSE蛍光強度(MFI)は左上に示される。
【
図12A】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。抗CD3/CD28/CD137抗体機能化フィブリン及び腫瘍反応性CAR T細胞により機能化された単層TFNマイクロメッシュ(
図12A)の概略図である。
【
図12B】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。抗CD3/CD28/CD137抗体機能化フィブリン及び腫瘍反応性CAR T細胞により機能化されたステント(
図12B)の概略図である。
【
図12C】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。マイクロメッシュフィルムの顕微鏡写真である。
【
図12D】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。ステントの顕微鏡写真である。
【
図12E】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。TFNマイクロメッシュからのリンパ球の放出は、これらを10ng/mLの炎症性サイトカインIP-10を含有する三次元コラーゲンゲル(PureCol)と当接させ、完全RPMI培地中で培養することによって測定された。0日目又は2日目に埋め込まれたCAR T細胞を含有するTFNマイクロメッシュ(
図12E)の顕微鏡検査の図である。
【
図12F】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。TFNマイクロメッシュからのリンパ球の放出は、これらを10ng/mLの炎症性サイトカインIP-10を含有する三次元コラーゲンゲル(PureCol)と当接させ、完全RPMI培地中で培養することによって測定された。0日目又は2日目に埋め込まれたCAR T細胞を含有するステント(
図12F)の顕微鏡検査の図である。
【
図12G】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。これらのTFNマイクロメッシュ(
図12G)から周囲のコラーゲンマトリックスに移行した生存T細胞の絶対計数のグラフである。各線は、1つのTFNマイクロメッシュを表す。データは3回の独立した実験の代表である。
【
図12H】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。これらのステント(
図12H)から周囲のコラーゲンマトリックスに移行した生存T細胞の絶対計数のグラフである。各線は、1つのTFNマイクロメッシュを表す。データは3回の独立した実験の代表である。
【
図12I】生物活性TFNマイクロメッシュからのT細胞の持続放出を示す図である。リンパ球が、6日後にTFNマイクロメッシュ上で高い持続性を実証している図である。TFNマイクロメッシュにはCAR-T細胞が負荷され、6日間、組織模倣物に対して配置された。6日後、超高細胞密度が依然として膜上に存在し、良好なリンパ球持続性が腫瘍部位において得られ得ることを示した。
【
図13A】生物活性TFNマイクロメッシュから卵巣がん特異的CAR T細胞を開始すると、罹患している多病巣疾患が根絶されることを示す図である。100万個のOVCAR-3ヒト卵巣がん細胞(腫瘍抗原チロシンキナーゼ様オーファン受容体ROR1及びホタルルシフェラーゼを発現する)を、NOD scidガンマ(NSG)マウスの横隔膜に外科的に移植し、8週間定着させた。この時点において、全ての動物は、卵巣がんを有するメスにおいて横隔膜への広がりを模倣する卵巣がん病変を発生した。マウスを、腫瘍病変に静脈内注射、局所注射したROR-1に特異的な10×10
6個のヒトCAR T細胞により処置した又は移植したTFNマイクロメッシュから送達された2×10
6個の細胞により処置した。(
図13A)アプローチの実施の図である:[1]横隔膜における定着した卵巣がん病変;Li:肝臓。Diaph:横隔膜。Tu:腫瘍。[2]肝臓と横隔膜との間に抗ROR1 CAR T細胞を負荷したTFNマイクロメッシュの移植。[3]移植後のTFNマイクロメッシュ。
【
図13B】生物活性TFNマイクロメッシュから卵巣がん特異的CAR T細胞を開始すると、罹患している多病巣疾患が根絶されることを示す図である。100万個のOVCAR-3ヒト卵巣がん細胞(腫瘍抗原チロシンキナーゼ様オーファン受容体ROR1及びホタルルシフェラーゼを発現する)を、NOD scidガンマ(NSG)マウスの横隔膜に外科的に移植し、8週間定着させた。この時点において、全ての動物は、卵巣がんを有するメスにおいて横隔膜への広がりを模倣する卵巣がん病変を発生した。マウスを、腫瘍病変に静脈内注射、局所注射したROR-1に特異的な10×10
6個のヒトCAR T細胞により処置した又は移植したTFNマイクロメッシュから送達された2×10
6個の細胞により処置した。(
図13B)OVCAR-3-luc腫瘍の連続インビボ生物発光イメージングの図である。
【
図14】TFNマイクロメッシュリンパ球足場により処置したマウスについてのカプラン-マイヤー生存曲線である。
【
図15】小分子(例えば、STINGアゴニスト及び/又は免疫刺激剤)が、薬物溶出ポリマーを使用してリンパ球足場(例えば、TFNマイクロメッシュ足場)に組み込まれ得ることを示す図である。
【
図16】GFOGER(配列番号1)接着モチーフのポリペプチド配列を示す図である。
【
図17】例示的なGFOGER(配列番号1)ペプチド(配列番号2)のポリペプチド配列を示す図である。
【
図18】ICAM-1細胞接着分子のポリペプチド配列(配列番号3)を示す図である。
【
図19】FN-III
7~10断片のポリペプチド配列(配列番号4)を示す図である。
【
図20-1】キメラ抗原受容体(配列番号14~27)を操作するために使用され得る例示的な配列を示す図である。
【
図20-2】キメラ抗原受容体(配列番号14~27)を操作するために使用され得る例示的な配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
がん免疫療法は、がんを治療するために患者の免疫系が使用される分野を指す。例えば、がん免疫療法は、がんの発生に対して患者を免疫化するためのワクチンの使用を含む。残念なことに、がんワクチンが誘発させることができる応答は、成熟するのに数ヶ月を要することがあり、通常、進行した疾患を抑制するには不十分である。
【0023】
また、がん細胞を攻撃するために患者自身のT細胞をより迅速に刺激する又は強力に刺激する試みもなされてきた。しかしながら、T細胞によって通常発現される受容体のレパートリーは一般に自己/腫瘍抗原に対して低い親和性を有するので、このアプローチは、がんに対する戦いにおいて十分な成功を達成していない。
【0024】
新たな免疫療法アプローチは、腫瘍における選択された巨大分子標的に対して高い親和性を有するように操作されたキメラ抗原受容体(CAR)をコードする遺伝子を用いて患者由来のリンパ球(例えば、T細胞)を変化させることを含む。導入された遺伝子はまた、強力なT細胞増殖を誘発するための共刺激シグナルを産生することができる。この方法は、患者からT細胞を回収し、これらを、共刺激及びCD3ζシグナル伝達ドメインと融合した腫瘍特異的一本鎖抗体(scFv)から構成されるCARを発現するようにエキソビボで再指向することを含み、これにより、プログラムされた細胞が、ヒト白血球抗原(HLA)に依存しない様式で腫瘍標的を溶解させることが可能となる。
【0025】
このようなCARプログラムされたT細胞を利用する療法は、臨床試験において血液学的悪性腫瘍を有する患者において一貫して陽性の結果を生じた。しかしながら、固形腫瘍に関しては、これらの療法の有効性は、1)腫瘍部位に対するリンパ球の非効率的なホーミング、及び2)免疫抑制性微小環境固形腫瘍が生じることによって制限されてきた。さらに、3)CARプログラムされたT細胞は腫瘍抗原のみを認識し、この腫瘍抗原のために、これらはプログラムされている。しかしながら、固形腫瘍の表現型多様性は、CARプログラムされたT細胞によって認識されないがん細胞が、プログラムされたT細胞を回避するエスケープバリアントを形成し得ることを意味する。したがって、T細胞の遺伝的再プログラミングは依然として有望な療法であるが、有意な改善が、固形腫瘍を治療するためのこれらの使用において必要とされる。
【0026】
US2016/0008399は、遺伝的に再プログラムされたリンパ球(例えば、T細胞)が固形腫瘍を治療する能力を大幅に改善する移植可能な足場を記載している。移植可能な足場は、遺伝的に再プログラムされたリンパ球、足場に関連する少なくとも1つのリンパ球接着部分、足場に関連する少なくとも1つのリンパ球活性化部分、及び任意選択的に免疫刺激剤を含む。
【0027】
US2016/0008399はまた、移植可能な足場が、腫瘍細胞に対する延長された第2の波の防御をどのように生じるかを記載している。特に、足場内に播種されたリンパ球は、移植後に足場から出て、例えば、切除後に残っている残存腫瘍細胞を破壊するために、腫瘍切除床全体にわたって高密度にて分散し、及び流入領域リンパ節内に高密度にて分散する。このステップは、死にかけている腫瘍細胞から大量の腫瘍抗原を組織内に放出する。腫瘍抗原は、続いて抗原提示細胞(APC)によって取り込まれる。免疫刺激剤を放出することによって、足場は、強力な宿主抗腫瘍免疫応答を開始するためにAPC及び腫瘍反応性免疫細胞を活性化することができる。抗腫瘍免疫のこの「第2の波」はより広く、残った腫瘍細胞を排除するために相乗的に作用する複数の細胞型を含む。
【0028】
STING(インターフェロン遺伝子の刺激因子(STimulator of INterferon Genes))経路アゴニストは、がん免疫療法における集中的な研究の焦点となっている有力な免疫刺激剤の一種である。しかしながら、以前に記載されているアジュバント化合物(例えば、R848及び関連するイミダゾキノリンTLR7/8アゴニスト、(NOD)様受容体を誘発するムラミルジペプチド及びRIG-IのRNAオリゴヌクレオチドリガンド)と同様に、定式化されていないSTINGアゴニストによる治療は全身性炎症毒性を伴い、このことは、がん患者を治療するためにこれらの化合物を使用することに関して大きな障害となる。したがって、臨床的に有効であるためには、高用量のSTINGアゴニストが、腫瘍病変に繰り返し直接注射されることが必要であり、このことは、この療法を、毎日の接種が可能である部位(例えば、皮膚悪性腫瘍)に制限する。
【0029】
本開示は、(i)遺伝的に再プログラムされたリンパ球、及び(ii)少なくとも1つのリンパ球活性化部分が播種された移植可能な足場を提供することによって、がん免疫療法を進化させ続ける。この足場は、1)足場が固形腫瘍の部位に移植され得るので、腫瘍に対するリンパ球の非効率的なホーミングを克服し、免疫抑制性腫瘍微小環境は、T細胞増殖及び腫瘍細胞殺傷を促進する足場にリンパ球刺激抗体を含めることによって対処され、3)このような足場にSTINGアゴニストを含めることは、全身性炎症毒性を伴わず、毎日の注射を必要としない、これらの有効な免疫賦活効果を利用する機構を提供するので、固形腫瘍において細胞療法を用いて上述した3つの問題を克服する。
【0030】
開示されている移植可能な足場により観察された抗がん作用のロバスト性は、相乗的であり、予想外であり、注目すべきであった。試験された全ての対象のほぼ半分において、固形腫瘍の完全な根絶が達成された。したがって、遺伝的に再プログラムされたリンパ球によって認識された腫瘍細胞並びに通常、エスケープバリアントになっていた腫瘍細胞は効果的に治療された。さらに、固形腫瘍の完全な根絶後、対象はがん細胞により再チャレンジされた。再チャレンジされた対象の100%は測定可能な腫瘍を全く発生せず、自己ワクチン部位の有効性が実証された。したがって、本明細書に開示される移植可能な足場は、固形腫瘍がんに対する進行中の戦いにおいて有意な進化を提供する。
【0031】
特定の実施形態では、本明細書に開示される移植可能な足場はまた、US2016/0008399に記載されているものよりも形態が単純であり得、製造するのが容易であり得る。本明細書に開示される移植可能な足場はまた、STINGアゴニストを含んでもよい。
【0032】
明確にするために、本開示において、不均一な固形腫瘍は、遺伝的に再プログラムされたリンパ球(例えば、遺伝的に再プログラムされたCAR-T細胞)によって標的化された抗原を発現する腫瘍細胞及び標的化された抗原を発現しない腫瘍細胞を含むものである。標的化された抗原を発現するこれらの腫瘍細胞は、標的化された固形腫瘍細胞である。標的化された抗原を発現しない腫瘍細胞は、エスケープバリアントである。
【0033】
ここで、開示された移植可能な足場の様々な構成要素を、より詳細に記載する。
【0034】
移植可能な足場マトリックス材料。本明細書に開示される移植可能な足場の構造は、種々の材料から構成され得る。
【0035】
特定の実施形態では、足場マトリックス材料は、マイクロパターン化金属薄膜を含む。マイクロパターン化金属薄膜は、少なくとも1種の金属材料から形成され、これらの構造において反復パターンを含み、100μm又はこれ未満の厚さを有する。マイクロパターン化金属薄膜のために使用され得る例示的な金属には、ELGILOY(登録商標)(Elgiloy Specialty Metals、Elgin、IL)、ステンレス鋼及びニチノールが含まれる。特定の実施形態では、薄膜ニチノール(TFN)マイクロメッシュが足場マトリックス材料として使用される(例えば、Rigbergら、J Vasc Surg.2009年8月;50(2):375~80頁)。ニチノールとは、50%~60%のニッケル及び40%~50%のチタンを含むニッケル及びチタンの合金のファミリーを指す。ニチノール合金において2%までのニッケルがコバルトと置き換えられてもよい。TFNマイクロメッシュは、スパッタ堆積プロセスを介してマイクロパターン化シリコンウェハ上に生成されるバルク材料の変形である。TFNマイクロメッシュの特定の利点は、これがフォトリソグラフィー技術に基づいているので、TFNマイクロメッシュ細孔のサイズ及び形状に対して精巧な制御を与えることができることである。TFNマイクロメッシュとは、薄いシート又は膜(例えば、100μm、10μm、1μm又は0.1μmの厚さ)の形状のニチノールを指すことができる。単層TFNマイクロメッシュの細胞カーゴ容量を高めるために、TFN層及び細胞層が交互になっているサンドイッチ状の層ごとの薄膜が、(
図10Cに例示されているように)三次元構造に製造され得る。
【0036】
特定の実施形態では、足場マトリックス材料は生体適合性ポリマーを含む。例示的な生体適合性ポリマーには、単独で又は任意の他のポリマー組成物と組み合わせて、任意の濃度及び任意の比率において、寒天、アガロース、アルギネート、アルギネート/リン酸カルシウムセメント(CPC)、ベータ-ガラクトシダーゼ(β-GAL)、(1,2,3,4,6-ペンタアセチルa-D-ガラクトース)、セルロース、キチン、キトサン(例えば、多孔質キトサン足場を記載している、Levengoodら、J.Mater.Chem.B、2014年、2、3161~3184頁を参照のこと。)、コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、ヒアルロン酸コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート)(PHBHHx)、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA;例えば、多孔質PLGA足場を記載している、Omarら、Sci.Transl.Med.2009年11月25日;1(8):8ra19を参照のこと。)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、絹、ダイズタンパク質及びダイズタンパク質分離物が含まれる。様々なグレードを使用して異なる比率において異なるポリマー種を混合することにより、寄与するポリマーの各々から取り入れられる特性がもたらされ得る。様々な末端基の化学的性質もまた、採用されてもよい。
【0037】
注射可能な移植可能な足場が使用される場合、足場マトリックス(例えば、ポリマー)は、移植後の変化した環境条件に応答することができる。これらの特性を有するポリマーは当業者に公知である。例えば、特定の実施形態では、注射可能なその場のゲル形成系が使用される。特定の実施形態では、ポリマー製剤は、温度変化(熱ゲル化)に応答して、pH変化に応答して又は光に応答してインビボでゲル化することができる。例えば、紫外線(UV)光に応答してゲル化するポリマーが使用されてもよい。特定の実施形態では、ポリマー製剤は、イオン架橋に応答してインビボでゲル化することができる。特定の実施形態では、ポリマー製剤は、溶媒交換に応答してインビボでゲル化することができる。特定の実施形態では、使用されるゲルは、熱可逆性、pH可逆性又は光可逆性である。特定の実施形態では、使用されるゲルは、高粘度及びずり減粘である。さらなるゲル化の実施形態では、ゲルは、任意の適切なポリマーから形成されたゲルであってもよい。メソ多孔質シリカロッドから作製された注射可能な自発的に集合する足場は、Kimら、Nature Biotechnology 33、64~72頁(2015年)に記載されている。
【0038】
自己集合ペプチド足場はまた、足場マトリックス材料として使用されてもよい。(例えば、Zaccoら、Biomacromolecules.2015年7月13日;16(7):2188~97頁を参照のこと。)。
【0039】
特定の実施形態では、アルギネートは、別々に又は1種以上の他の材料と組み合わせてのいずれかで、足場マトリックス材料として使用される。アルギネートは、容易に加工され、水溶性であり、非免疫原性である。アルギネートは、容易にゲル化する遊離ヒドロキシル基を有する生分解性アニオン性多糖である。代替の実施形態では、ポリマーは、アルギネート及びキトサンの1:1溶液から形成される高分子電解質複合体混合物(PEC)であってもよい。
【0040】
特定の実施形態では、構造(例えば、足場マトリックス材料)は、2:1:1(アルギネート:CaCO3:GDL)の比において、0.5~5%のアルギネート、0.5~15g/Lの炭酸カルシウム及び1~50g/Lのグルコノ(gluconon)-デルタ-ラクトンのようなアルギネート/炭酸カルシウム/グルコノ-デルタ-ラクトン混合物から形成され得る。ポリマー構造はまた、種々の量のアルギネートと組み合わせて種々の量のゼラチンを含んでもよい。混合物中の材料及び材料比に応じて、構造は任意選択的に架橋されてもよい。Leeら、Chem.Mater.、2012年、24(5)、881~891頁に記載されているもののようなコラーゲン/アルギネートハイブリッド足場もまた、使用されてもよい。
【0041】
特定の実施形態では、酸性溶液に溶解した種々の量のポリマーを有するポリマー溶液が、本明細書に開示される構造を形成するために使用されてもよい。酸の濃度は、溶解したポリマーの量に応じて調節されてもよい。一態様では、酸性溶液は1%(v/v)酢酸である。特定の実施形態では、溶液中のポリマーの量は、0.5~5%(w/v)及びこれらの間の任意の全増分又は部分増分である。例えば、溶液中のポリマーの量(w/v)は、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%又は5%であってもよい。特定の実施形態では、溶液中のポリマーの量は、2.4%(w/v)である。他の様々な実施形態では、ポリマーは、水、酸、酢酸、カンフェン又はカンフェン-ナフタレンのうちの少なくとも1つに溶解される。
【0042】
ゼラチンが組み込まれる場合、酸の濃度は、溶解されるポリマー(特定の実施形態では、アルギネート)と組み合わせてゼラチンの量に応じて調節されてもよい。一態様では、酸性溶液は1%(v/v)酢酸である。特定の実施形態では、溶液中のゼラチンの量は、1~10%(w/v)及びこれらの間の任意の全増分又は部分増分である。例えば、溶液中のアルギネートの量(w/v)は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%であってもよい。特定の実施形態では、溶液中のアルギネートの量は5.5%(w/v)である。特定の実施形態では、ポリマー溶液は、2.4%(w/v)のアルギネート溶液及び5.5%(w/v)のゼラチン溶液の組合せを含む。他の様々な実施形態では、種々の量のアルギネートと組み合わせたゼラチンは、水、酸、酢酸、カンフェン又はカンフェン-ナフタレンのうちの少なくとも1つに溶解される。
【0043】
特定の実施形態では、ポリマーベースの足場は以下のように形成され得る:ある重量/体積(w/v)のポリマーの脱イオン(DI)水中溶液が調製され得、あらゆる粒子を除去するために0.45マイクロメートルのボトルフィルターにより濾過し、次いで-80℃に凍結する。凍結した試料は、4.5リットルのベンチトップ凍結乾燥システム(Labconco、Kansas City、MO)において凍結乾燥され得る。濾過した凍結乾燥ポリマーは、水又は緩衝液を用いて様々な濃度(0.1%~5%)の溶液中で再構成され得る。
【0044】
架橋は、例えば、塩化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムを用いて実施されてもよい。炭酸カルシウムは、遅い架橋剤であり、試料は完全に架橋するのに数時間かかる。反応速度を増加させるために、グルコノデルタラクトン(GDL)が添加されてもよい。塩化カルシウムは、速い架橋剤であり、試料は数分で完全にゲル化する。一つの方法では、ポリマー溶液へのCaCl2の添加が凍結の前に行われてもよい。他の方法は、最初の凍結前にポリマー溶液に添加された炭酸カルシウム+GDLの5.5%(w/v)溶液の使用を含む。
【0045】
特定の実施形態では、ポリマー溶液は、スピードミキサーにおいて脱気され得、泡が形成することを防ぐために鋳型にゆっくり注がれ得る。ポリマー溶液を小さな型にピペットにより移す場合、気泡の形成は、マイクロピペットを型の溝の開放端に配置し、残留空気がフラッシュアウトされるまで管システム全体を繰り返しフラッシュすることによって回避され得る。
【0046】
凍結キャスティングが、本明細書に開示される足場を形成するために使用され得る。当業者に理解されるように、様々なポリマー溶液が様々なサイズの鋳型に凍結キャスティングされ得る。冷却速度は、細孔のサイズ及び整列並びに隆起の形成に影響を及ぼすので、制御されるべきである。特定の実施形態では、冷却速度は、0.1~100℃/分(m)の範囲及びこれらの間の任意の全増分又は部分増分であってもよい。特定の実施形態では、冷却速度は、1~10℃/mの範囲及びこれらの間の任意の全増分又は部分増分であってもよい。例えば、冷却速度(℃/m)は、0.1、0.5、1、2、3、4、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10であってもよい。
【0047】
特定の実施形態では、アルギネート足場を調製する際に、アルギネート/炭酸カルシウム/グルコノ-デルタ-ラクトン混合物が、「プレゲル化」プロセスとして2:1:1(アルギネート:CaCO3:GDL)の体積比において、0.5~5wt%のアルギネート、0.5~15g/Lの炭酸カルシウム及び1~50g/Lのグルコノ-デルタ-ラクトンの範囲の濃度で撹拌することによって調製され得る。特定の実施形態では、得られた混合物は、固体になるまで一定の冷却速度(0.1°/分~10°/分)にて凍結キャスティング(一方向的凍結)されてもよく、乾燥するまで凍結乾燥されてもよい。乾燥した足場は、0.1~2.5wt%の塩化カルシウム中で5~30分間架橋されてもよく、足場の任意のさらなる使用の前に、HEPES緩衝生理食塩水中で洗浄されてもよい。
【0048】
特定の実施形態では、アルギネート-キトサン足場を調製する際に、アルギネート-キトサン高分子電解質複合体(PEC)混合物が、アルギネート(水中で調製した)及びキトサン(1%酢酸中で調製した)の1:1~1:9溶液の範囲(両方の手段)並びに0.5%~5%の範囲の総ポリマー含有量において、氷上で超音波処理又は均質化することによって調製されてもよい。得られた混合物のpHは、NaOHにより最大で10.0まで調整され得る。特定の実施形態では、アルギネート-キトサンPEC混合物は、固体になるまで一定の冷却速度(0.1°/分~10°/分)にて凍結キャスティングされてもよく、乾燥するまで凍結乾燥されてもよい。乾燥した足場は、0.1~2.5%の塩化カルシウム中で5~30分間架橋されてもよく、足場の任意のさらなる使用の前に、PBS中で洗浄されてもよい。
【0049】
移植可能な足場はまた、3Dバイオプリンティングを使用して様々な材料から製造され得る(例えば、Singhら、Polymers 2016年、8(1)、19;及びAnら、Engineering、Volume 1、Issue 2、2015年6月、261~268頁を参照のこと。)。
【0050】
リンパ球活性化部分。本明細書に開示される移植可能な足場の特定の実施形態はまた、リンパ球活性化部分(LAM)を含んでもよい。LAMは、リンパ球を活性化し、本明細書に開示される移植可能な足場に組み込まれ得る又は付着され得る任意の化合物を含む。リンパ球の活性化とは、検出可能な細胞増殖、サイトカイン産生又は腫瘍ターゲティング及び/若しくは殺傷のようなエフェクター機能を誘導するように十分に刺激されているリンパ球の状態を指す。リンパ球がT細胞である場合、活性化はまた、T細胞型に特有の細胞表面マーカーの発現を生じる。例示的なLAMには、IL-15、CD3、CD27、CD28、CD80、CD86、4-1BB、CD137、OX40、CD30、CD40、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3及びCD83リガンド若しくは抗体、CD1d、α-ガラクトシルセラミドを予め負荷した組換えCD1d分子並びに/又は足場内に埋め込まれた特定のリンパ球型を選択的に増加させるために定義された腫瘍抗原若しくはペプチドを負荷した組換え主要組織適合複合体(MHC)分子が含まれる。NK細胞についての例示的なLAMには、IL-15及びCD137が含まれる。
【0051】
STINGアゴニスト。「STING」は、「インターフェロン遺伝子の刺激因子」の略語であり、これは、「小胞体インターフェロン刺激因子(ERIS)」、「IRF3活性化のメディエーター(MITA)」、「MPYS」又は「膜貫通タンパク質173(TM173)」としても知られている。STINGは膜貫通受容体タンパク質であり、ヒトにおいて遺伝子TMEM173によってコードされる。STINGの活性化は、IRF3(インターフェロン調節因子3)経路を介したI型インターフェロン(例えば、IFN-a及びIFN-β)の産生を導き、並びにNF-κB経路及び/又はNLRP3インフラマソームを介した炎症性サイトカイン(例えば、TNF-a及びIL-Iβ)の産生を導く。
【0052】
ヒト及びネズミSTINGは、侵入細菌又は古細菌によって放出される外因性(3’,3)サイクリックジヌクレオチド(c-diGMP、c-diAMP及びc-GAMP)の結合を介する及び外因性二本鎖DNA(例えば、侵入細菌、ウイルス又は原生動物によって放出される)の存在下で酵素サイクリックGMP-AMPシンターゼ(cGAS;C6orfl50又はMB21D1としても知られている)によって産生される内因性サイクリックジヌクレオチドである、(2’,3’)サイクリックグアノシン一リン酸-アデノシン一リン酸((2’,3’)c-GAMP)の結合を介する、2つの手段により天然に活性化される。
【0053】
「STINGアゴニスト」という用語は、インビトロ又はインビボでSTING受容体を活性化する物質を指す。化合物は、(i)STINGを含有するヒト又は動物細胞においてインビトロでI型インターフェロンを誘導する場合、及び(ii)STINGを含有しない又は機能的STINGを含有しないヒト又は動物細胞においてインビトロでI型インターフェロンを誘導しない場合、STINGアゴニストとみなされ得る。リガンドがSTINGアゴニストであるかどうかを確認するための典型的な試験は、野生型ヒト又は動物細胞株及びSTINGコード遺伝子が数塩基又はより長い欠失によって遺伝的に不活性化されている対応する細胞株(例えば、ホモ接合性STINGノックアウト細胞株)においてリガンドをインキュベートすることである。STINGのアゴニストは、野生型細胞においてI型インターフェロンを誘導するが、STINGが不活性化される細胞においてI型インターフェロンを誘導しない。
【0054】
特定の実施形態では、STINGアゴニストは、2つのヌクレオチド間に1つ若しくは2つのホスホジエステル結合及び/又は1つ若しくは2つのホスホロチオエートジエステル結合を有する環状分子を含む。これには、(3’,5’)-(3’,5’)ヌクレオチド結合((3’、3’)と省略される);(3’,5’)-(2’,5’)ヌクレオチド結合((3’,2’)と省略される);(2’,5’)-(3’,5’)ヌクレオチド結合((2’,3’)と省略される)、及び(2’,5’)-(2’,5’)ヌクレオチド結合(2’,2’)と省略される)が含まれる。「ヌクレオチド」とは、糖部分の5’、3’又は2’位においてリン酸基に連結した任意のヌクレオシドを指す。
【0055】
特定の実施形態では、STINGアゴニストは以下の式の化合物を含む:
【0056】
【0057】
特定の実施形態では、R1及びR2は独立して、以下に示されるように、9-プリン、9-アデニン、9-グアニン、9-ヒポキサンチン、9-キサンチン、9-尿酸又は9-イソグアニンであってもよい:
【0058】
【0059】
特定の実施形態では、STINGアゴニストには、ジチオ-(RP,RP)-[サイクリック[A(2’,5’)pA(3’,5’)p]](2’-5’,3’-5’混合型ホスホジエステル結合(ML)RR-S2 c-di-AMP又はML RR-S2 CDAとしても知られている)、ML RR-S2-c-di-GMP(ML-CDG)、ML RR-S2 cGAMP又はこれらの任意の混合物が含まれ得る。
【0060】
c-diGMPの構造は
図5Bに示される。c-diAMPの構造には、以下が含まれる:
【0061】
【0062】
c-GAMPの構造には、以下が含まれる:
【0063】
【0064】
STINGアゴニストのさらなる特定の例には、以下が含まれる:
【0065】
【0066】
また、STINGアゴニストの例には、DMXAAが含まれる:
【0067】
【0068】
STINGアゴニストのさらなる例は、WO2016/145102に記載されている。
【0069】
さらなる免疫刺激剤及びリンパ球接着部分の任意選択的な使用は次に記載されている。
【0070】
さらなる免疫刺激剤。特定の実施形態では、STINGアゴニストに加えて免疫刺激剤が含まれてもよい。特定の実施形態では、免疫刺激剤は、サイトカイン、抗体、小分子、siRNA、プラスミドDNA及び/又はワクチンアジュバントである。
【0071】
例示的なサイトカインには、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、TNFα、IFN-α、IFN-β、IFN-γ又はGM-CSFが含まれる。特定の実施形態では、免疫刺激剤は、サイトカイン及び/又はIFN-α、IFN-β若しくはIFN-γと組み合わせたIL-2、IL-12若しくはIL-15のようなサイトカインの組合せ又はGM-CSF又はこれらの任意の有効な組合せ又はサイトカインの任意の他の有効な組合せであってもよい。上記に特定したサイトカインはTH1応答を刺激するが、IL-4、IL-10、IL-11又はこれらの任意の有効な組合せのような、TH2応答を刺激するサイトカインもまた、使用されてもよい。また、TH1応答を刺激するサイトカインと、TH2応答を刺激するサイトカインとの組合せが使用されてもよい。
【0072】
例示的な抗体には、抗PD1、抗PDL1、抗CTLA-4、抗TIM3、アゴニスト抗CD40、アゴニスト抗4-1BB及び/又は二重特異性抗体(例えば、BITE抗体:抗CD3/抗腫瘍抗原)が含まれる。例示的な小分子薬物には、TGF-ベータ阻害剤、SHP阻害剤、STAT-3阻害剤及び/又はSTAT-5阻害剤が含まれる。免疫抑制シグナル又は発がん経路(krasのような)を下方制御することができる任意のsiRNAが使用されてもよく、一方で、免疫刺激タンパク質をコードする任意のプラスミドDNA(ミニサークルDNAのような)が使用されてもよい。例示的なワクチンアジュバントには、任意の種類のToll様受容体リガンド又はこれらの組合せ(例えば、CpG、Cpg-28(TLR9アゴニスト)、ポリリボイノシン酸-ポリリボシチジル酸(ポリ(I:C))、α-ガラクトセラミド、MPLA、モトリモド(VTX-2337、VentiRxによって開発された新規TLR8アゴニスト)、IMO-2055(EMD1201081)、TMX-101(イミキモド)、MGN1703(TLR9アゴニスト)、G100(TLR4アゴニストグルコピラノシルリピドAの安定化したエマルション)、エントリモド(CBLB502としても知られているサルモネラフラジェリンの誘導体)、ヒルトノール(Hiltonol)(TLR3アゴニスト)及びイミキモド)及び/又は17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)のような熱ショックタンパク質90(Hsp90)の阻害剤が含まれる。
【0073】
以前の段落に記載した分子に由来する免疫刺激剤もまた、使用されてもよい。例えば、RLIは、IL-15単独よりも50倍高い効力を示すIL-15-IL-15受容体-α融合タンパク質である。IL-15は、複数の点において抗腫瘍免疫応答に影響を及ぼす。これは、単球を刺激性抗原提示細胞に分化させることができ、腫瘍反応性T細胞のエフェクター機能及び増殖を促進することができ、NK細胞を動員し、活性化することができる。
【0074】
リンパ球接着部分。開示されている足場は、移植された足場からのリンパ球の移動を促進するためにリンパ球接着部分を含んでもよい。リンパ球接着部分は、細胞外マトリックス(コラーゲンのような)を模倣する細胞接着ポリペプチドのような細胞接着部分を含む。本明細書に使用される場合、「細胞接着ポリペプチド」とは、インテグリンのような細胞表面分子を介して結合することができる分子当たり少なくとも2つのアミノ酸を有する化合物を指す。細胞接着ポリペプチドは、Boatengら、Am.J.Physiol.- Cell Physio.288:30~38頁(2005年)に記載されているように、フィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、エラスチン、フィブリノーゲン、I型、II型及びV型コラーゲンを含む、細胞接着において役割を果たすことが知られている細胞外マトリックスのタンパク質のいずれかであってもよい。さらに、細胞接着ポリペプチドは、結合ドメインを含有する断片又は配列を含む、これらのタンパク質のいずれかに由来する任意のペプチドであってもよい。細胞接着ポリペプチドには、ICAM-1モチーフのようなインテグリン結合モチーフを有するもの及び機能的等価物である関連ペプチドが含まれる。細胞接着ポリペプチドはまた、米国特許出願公開第20060067909に記載されているペプチドのいずれかであってもよい。
【0075】
特定の実施形態では、構造は、α1β1インテグリンについてのリガンド、α2β1インテグリンについてのリガンド、α4β1インテグリンについてのリガンド、α5β1インテグリンについてのリガンド、リンパ球機能関連抗原(LFA-1)についてのリガンド又はこれらの組合せのようなリンパ球接着部分を有する化合物を含む。特定の実施形態では、リガンドは1つのインテグリンと特異的に相互作用する。特定の実施形態では、リガンドは、完全なフィブロネクチン分子ではない又は完全なコラーゲン分子ではない。
【0076】
リンパ球接着部分は、ペプチド、抗体又は小有機分子であってもよい。小有機分子とは、500ダルトン又はこれ未満の分子量を有する炭素系分子を指す。抗体又はこのインテグリン結合断片は、一本鎖、ヒト化又はキメラであってもよい。特定の実施形態では、リンパ球接着部分は、コラーゲン模倣ペプチド、例えば、I型コラーゲン、GFP*GER(配列番号1)由来のGFOGER(配列番号1)接着モチーフを含有する安定な三重らせんコラーゲン模倣ペプチドであってもよく、ここで、P*は、α2β1インテグリンによって認識される4-ヒドロキシプロリンである。このペプチドは、I型コラーゲンの天然構造と類似した安定な三重らせん構造をとる。「GFOGER(配列番号1)ペプチド」とは、GFOGER(配列番号1)接着モチーフを含有するコラーゲン模倣ペプチドを指すことができる。例示的なGFOGER(配列番号1)ペプチド配列は、GGYGGGPC(GPP)5GFP*GER(GPP)5GPC(配列番号2)であり、ここで、P*は、4-ヒドロキシプロリンである。
【0077】
特定の実施形態は、リンパ球接着部分としてICAM-1を利用する。ICAM-1は、細胞間接着を促進するインテグリンに結合するIg様細胞接着分子であり、リンパ球機能関連(LFA)抗原についてのリガンドである。ICAM-1は、主に単球及び内皮細胞上に見出され、T細胞、B細胞、胸腺細胞、樹状細胞、内皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、軟骨細胞及び上皮細胞を含む多くの細胞上で広範に誘導可能である又は上方制御される。このタンパク質は、細胞傷害性T細胞相互作用に対して共刺激効果を有し、多くの細胞間結合相互作用において利用される。特定の実施形態では、ICAM-1は配列番号3を含む。
【0078】
特定の実施形態は、リンパ球接着部分としてFNIII7~10を利用する。FNIII7~10は、フィブロネクチンの7~10番目のIII型反復に及ぶフィブロネクチン断片である。フィブロネクチンの配列は当該技術分野において公知である。特定の実施態様では、FNIII7~10は配列番号4を含む。
【0079】
様々な方法が、本明細書に開示される移植可能な足場内又は上に、LAM、STINGアゴニスト、さらなる免疫刺激剤及び/又はリンパ球活性化部分を組み込むために利用されてもよい。この説明の目的のために、LAM、STINGアゴニスト、さらなる免疫刺激剤及び/又はリンパ球活性化部分は、「構成要素」と称される。
【0080】
構成要素は、注射可能な形態の構造内に見出されてもよく、又は足場の細孔内に埋め込まれてもよく、足場の表面に付着されてもよく、足場の表面上にコーティングされてもよく、及び/又は足場自体の中に埋め込まれてもよい。
【0081】
特定の実施形態の範囲内で、構成要素はポリマー鎖の骨格に組み込まれてもよい。例えば、Junら、J.Biomaterials Sci.、Polymer Ed.15(1)、73~94頁(2004年)に記載されているように、骨格にYIGSR(配列番号5)を含有するポリマーが作製されてもよい。
【0082】
特定の実施形態では、構成要素はポリマー上にグラフトされてもよい。一つの方法では、エポキシド、ハロゲン化物、アミン、アルコール、スルホネート、アジド、無水物又はカルボン酸部分のような反応性官能基を含有する側枝を有するポリマーが、カルボジイミド反応のような従来のカップリング技術を使用して、反応性側枝を介してポリペプチドのアミン末端に共有結合されてもよい。例えば、RGD(Arg-Gly-Asp)含有ペプチドは、Linら、J.Biomedical Materials Res、28(3)、329~42頁(1994年)に記載されているようにポリマーの骨格上にグラフトされている。別の例では、RGD含有ペプチドは、Hanssonら、Biomaterials、26、861~872頁(2005年)に記載されているようにポリエチレングリコールベースのポリマーの側枝上にグラフトされている。特定の実施形態では、構成要素は、移植可能な足場骨格(
図10Aに示される)に直接連結されてもよく、又は足場形成(例えば、成形)の前にカルボジイミド化学を使用してリンパ球接着部分(例えば、フィブリン、コラーゲン;
図10Bに示される)に連結されてもよい。
【0083】
製造の観点からこれらのアプローチの利点は、移植された足場が、第2の構成要素として粒子を使用することなく、単一の生分解性材料から完全に構成されることである。さらに、LAMを足場に一体化するストラテジーは、リンパ球接着部分を使用する必要性を回避することができる。理論に束縛されるものではないが、これらの実施形態では、足場に埋め込まれたリンパ球が、接着分子及び刺激合図としての役割を果たす、提示されたLAM(例えば、抗CD3、抗CD28、抗CD137抗体、IL-15)と一緒に移動する。このアプローチは、本明細書に開示される実施形態において、粒子及びリンパ球接着部分の使用を任意選択的にする。
【0084】
製造において、3Dバイオプリンティングは、明確に定義された足場の多孔性及び組成をより確実にすることができ、GMP製造を容易にすることができる。この状況において、構成要素はまた、足場内のこれらの構成要素の制御された空間分布をより確実にするために足場内にプリントされてもよい。
【0085】
以前に示されているように、TFNマイクロメッシュは、スパッタ堆積プロセスを介してマイクロパターン化シリコンウェハ上に生成されるバルク材料の変形である。TFNマイクロメッシュの特定の利点は、これがフォトリソグラフィー技術に基づいているので、このマイクロメッシュ細孔のサイズ及び形状に対して精巧な制御を与えることができることである。
【0086】
特定の実施形態では、足場はまた、1種以上の構成要素を含む生物活性コーティング(例えば、薬物溶出ポリマー)によりコーティングされてもよい。特定の実施形態では、足場は、生物活性コーティングにより少なくとも部分的にコーティングされる。生物活性コーティングは、当該技術分野において公知であるコーティング方法の使用を含む、様々な方法において足場の表面上に適用され得る。例えば、生物活性コーティング(例えば、薬物溶出ポリマー)は、従来の静電噴霧プロセスによって足場上に噴霧されてもよく、その結果、荷電した液滴が足場の表面上に堆積される。コーティング液が乾燥するにつれて、構成要素、例えば、ポリペプチド及び/又は小分子は、例えば、ポリペプチド上の側鎖基との分子間結合によって足場の表面に接着したままになる。特定の実施形態では、堆積した生物活性コーティングは、足場の表面上に単層を形成することができる。
【0087】
特定の実施形態では、生物活性コーティングは、共有結合、極性結合、イオン結合、配位結合、金属結合、静電結合又は分子間双極性(ファンデルワールスを含む)結合を含む、化学的又は物理的結合手段のいずれかの種類によって足場の表面に結合されてもよい。生物活性コーティングは、足場の表面を変化させるための他の構成要素、例えば、ポリリシン、ポリオルニチン(polyornitine)又は他の糖タンパク質をさらに含んでもよい。
【0088】
薬物溶出ポリマーとして使用され得る例示的な生体適合性ポリマーには、単独で又は任意の他のポリマー組成物と組み合わせて、任意の濃度及び任意の比率において、寒天、アガロース、アルギネート、アルギネート/リン酸カルシウムセメント(CPC)、ベータ-ガラクトシダーゼ(β-GAL)、(1,2,3,4,6-ペンタアセチルa-D-ガラクトース)、セルロース、キチン、キトサン(例えば、多孔質キトサン足場を記載している、Levengoodら、J.Mater.Chem.B、2014年、2、3161~3184頁を参照のこと。)、コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、ヒアルロン酸コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート)(PHBHHx)、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA;例えば、多孔質PLGA足場を記載している、Omarら、Sci.Transl.Med.2009年11月25日;1(8):8ra19を参照のこと。)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、絹、ダイズタンパク質及びダイズタンパク質分離物が含まれる。
【0089】
特定の実施形態では、生物活性コーティングの配置のために、足場の表面は、ポリリシン又はポリオルニチン(3~10分間、0.1~1.0mg/ml)によりコーティングされてもよく、続いてLAM(例えば、抗CD3、抗CD28及び/若しくは抗CD137抗体並びに/又はIL-15)及び/又はGFOGER(配列番号1)ペプチド又はフィブリン(30分~24時間、10μg/ml~250μg/ml)のようなタンパク質によりコーティングされてもよい。
【0090】
特定の実施形態では、生物活性コーティングの配置のために、足場の表面は、ポリリシン又はポリオルニチン(6分間、0.5mg/ml)によりコーティングされてもよく、続いてLAM(例えば、抗CD3、抗CD28及び/若しくは抗CD137抗体並びに/又はIL-15)及び/又はGFOGER(配列番号1)ペプチド又はフィブリン(30分~24時間、10μg/ml~250μg/ml)のようなタンパク質によりコーティングされてもよい。
【0091】
特定の実施形態では、足場の表面は、LAM及び/又はGFOGER(配列番号1)ペプチドによりコーティングされる。例として、精製したLAM及び/又はGFOGER(配列番号1)ペプチド又はフィブリンは、トリフルオロ酢酸(TFA)塩として保存されてもよく、0.1%TFA及び0.01%アジ化ナトリウム中で10mg/mLに再構成されてもよく、使用前に4℃にて保存されてもよい。足場が、夾雑物を除去するためにエタノールによりリンスされ、新鮮なエタノール中で清浄化され、ddH2O中でリンスされた後、これらはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に浸漬され得る。次いでLAM及び/又はGFOGER(配列番号1)ペプチド又はフィブリンは、LAM及び/又はGFOGER(配列番号1)ペプチド又はフィブリンのPBS中溶液において足場をインキュベートすることによって受動的に足場上に吸収され得る。移植の前に、足場は、結合していないペプチドを除去するためにPBS中でリンスされ得る。
【0092】
特定の実施形態では、薬物溶出ポリマーのような生物活性コーティングは、足場マトリックス材料(例えば、TFNマイクロメッシュ又はアルギネート)上にコーティングされ得る。薬物溶出ポリマーは、例えば、小分子(例えば、STINGアゴニスト)を含有してもよく、経時的(例えば、3、4又は5日、1週間又は2週間)に小分子をゆっくりと溶出することができる。
【0093】
特定の実施形態では、薬物溶出ポリマー(例えば、PLGA)は、単層として足場マトリックスの表面を直接コーティングしており、リンパ球足場の他の構成要素(例えば、リンパ球活性化部分)は、薬物溶出ポリマー上に適用され得る。薬物溶出ポリマーは、例えば、コーティングからリンパ球足場が移植される環境に小分子又は薬物をゆっくりと溶出するために有用であり得る。
【0094】
示されているように、構成要素は、移植可能な足場の構造内又は上に直接組み込まれてもよい。特定の実施形態では、構成要素は、粒子内又は上に組み込まれてもよい。多孔質粒子は、多孔質ネットワークを形成することができる任意の材料から構築されてもよい。例示的な材料には、生体適合性ポリマー、金属、遷移金属及び半金属のような様々な材料が含まれる。例示的な生体適合性ポリマーには、単独で又は任意の他のポリマー組成物と組み合わせて、任意の濃度及び任意の比率において、寒天、アガロース、アルギネート、アルギネート/リン酸カルシウムセメント(CPC)、ベータ-ガラクトシダーゼ(β-GAL)、(1,2,3,4,6-ペンタアセチルa-D-ガラクトース)、セルロース、キチン、キトサン、コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、ヒアルロン酸コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート)(PHBHHx)、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、絹、ダイズタンパク質及びダイズタンパク質分離物が含まれる。様々なグレードを使用して異なる比率において異なるポリマー種を混合することにより、寄与するポリマーの各々から取り入れられる特性がもたらされ得る。様々な末端基の化学的性質もまた、採用されてもよい。例示的な金属、遷移金属及び半金属には、リチウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム及びシリカが含まれる。特定の実施形態では、多孔質粒子はシリカを含む。メソ多孔質シリカの非常に高い表面積(1,000m2/gを超える)は、リポソーム又はポリマーコンジュゲートのような従来の担体を超えるレベルにてSTINGアゴニストの負荷を可能にする。さらなる実施形態では、細孔は10~20nmのサイズの範囲である。
【0095】
また、特定の実施形態の有用な粒子には、カチオン性脂質、イオン化可能なカチオン性脂質、脂質様分子及びpH感受性両親媒性物質を含む脂質ベースの送達系に基づくもの並びに/又は(ii)デンドリマー(ポリ-アミドアミン(PAMAM)及びポリ-プロピレンイミン(poly-propylene iminie)(PPI)から合成された高度に分枝した球状巨大分子並びにPAA/BMA/DMAEMA及びPDMAEMAのようなブロックコポリマーが含まれる。
【0096】
粒子は、回転楕円体、立方体、ピラミッド形、長方形、円筒形、トロイダル形などを含む、様々な異なる形状であってもよい。構成要素は、様々な手段において多孔質ナノ粒子に含まれてもよい。例えば、構成要素は、多孔質粒子内に封入されてもよい。他の態様では、構成要素は、粒子の表面と会合(例えば、共有結合及び/又は非共有結合)されてもよく、又は粒子の表面に近接した下層付近と会合(例えば、共有結合及び/又は非共有結合)されてもよい。特定の実施形態では、構成要素は、粒子内に組み込まれてもよく、例えば、粒子の材料内に一体化されてもよい。例えば、構成要素は、ポリマー粒子のポリマーマトリックス内に組み込まれてもよい。当業者は、本明細書に記載されているような移植可能な足場内に構成要素を運ぶための様々な手段を理解している。
【0097】
特定の実施形態では、粒子はリポソームを含む。リポソームは、少なくとも1つの同心円脂質二重層を含む微視的小胞である。小胞形成脂質は、最終複合体の特定の程度の流動性又は剛性を達成するように選択される。特定の実施形態では、リポソームは、粒子を取り囲む外層である脂質組成を提供する。
【0098】
リポソームは、中性(コレステロール)であってもよく、又は双極性であってもよく、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)及びスフィンゴミエリン(SM)のようなリン脂質並びにジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む他の種類の双極性脂質を含み、14~22の範囲の炭化水素鎖長を有し、飽和されており、又は1つ以上の二重C=C結合を有する。単独で又は他の脂質成分と組み合わせて安定なリポソームを生成することができる脂質の例は、水素添加ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミド-メチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)のようなリン脂質である。リポソームに組み込まれ得るさらなる非リン含有脂質には、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ミリスチン酸イソプロピル、トリエタノールアミン-ラウリル硫酸、アルキル-アリール硫酸、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル(hexadecyl stereate)、両性アクリルポリマー、ポリエチルオキシル化脂肪酸アミド及び上述のカチオン性脂質(DDAB、DODAC、DMRIE、DMTAP、DOGS、DOTAP(DOTMA)、DOSPA、DPTAP、DSTAP、DC-Chol)が含まれる。負に荷電した脂質には、小胞を形成することができるホスファチジン酸(PA)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、及び(DOPG)、ジセチルホスフェートが含まれる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるリポソームを作製するために使用される脂質には、コレステロール、水素添加ダイズホスファチジルコリン(HSPC)及び誘導体化小胞形成脂質PEG-DSPEが含まれる。
【0099】
リポソームを形成する方法は、例えば、米国特許第4,229,360;4,224,179;4,241,046;4,737,323;4,078,052;4,235,871;4,501,728;及び4,837,028並びにSzokaら、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980年)及びHopeら、Chem.Phys.Lip.40:89(1986年)に記載されている。
【0100】
粒径は、広範囲にわたって変化してもよく、異なる手段において測定され得る。例えば、本開示の粒子は、100nmの最小寸法を有してもよい。本開示の粒子はまた、500nm以下、150nm未満、100nm未満、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満又は10nm未満の最小寸法を有してもよい。特定の実施形態では、粒子は、5nm~500nm、10nm~100nm、20nm~90nm、30nm~80nm、40nm~70nm及び40nm~60nmの範囲の最小寸法を有してもよい。特定の実施形態では、寸法は粒子の直径である。特定の実施形態では、粒子の集団は、500nm以下、100nm未満、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満又は10nm未満の平均最小寸法を有してもよい。特定の実施形態では、移植可能な足場における粒子の集団は、5nm~500nm、10nm~100nm、20nm~90nm、30nm~80nm、40nm~70nm及び40nm~60nmの範囲の平均直径を有してもよい。粒子の寸法は、例えば、動的光散乱及び/又は電子顕微鏡法のような従来の技術を使用して決定され得る。
【0101】
特定の実施形態では、足場は、粒子として原細胞を含む。原細胞は、リポソームの多孔質シリカナノ粒子との融合によって形成され得る。球状メソ多孔質シリカコアの大きい細孔容積及び表面積は、構成要素を含む、様々な種類のカーゴの高容量封入を可能にする。組成が特定の生物学的応用のために修飾され得る、支持される脂質二重層は、モジュール式の再構成可能な足場として機能することができ、本明細書のいずれかに記載されている構成要素のような様々な機能分子の付着を可能にする。
【0102】
所望の場合、粒子からの様々な材料の放出は、界面活性剤、洗浄剤、錯化剤、内相粘度増強剤、界面活性分子、共溶媒、キレート剤、安定剤、セルロースの誘導体、ポリソルベート、PVA又はスクロースの組み込みによって修飾され得る。塩及び緩衝液もまた、放出特性を変化させるために使用され得る。
【0103】
特定の実施形態では、TFNマイクロメッシュを含むリンパ球足場は、医療装置上にコーティングされ得る。TFNは、ステント又は別の円筒形状の装置のような低侵襲性医療装置に容易に組み込まれ得るという点で、細胞足場の間で特有である。低侵襲性医療装置とは、低侵襲性処置を使用して配置/移植され得る医療装置を指すことができる。低侵襲性処置は、非常に小さい切開(例えば、1cm未満又は2cm未満)のみを必要とする処置であり得る及び/又はより大きい切開を必要とする処置と比較して、短縮された創傷治癒時間、感染の関連する疼痛又はリスクに関連する。TFNマイクロメッシュにより覆われたステントの例は
図12Dに示される。この特有の装置は、開腹術を必要とせずに、固形腫瘍の部位への抗がんリンパ球の直接送達を容易にする。
【0104】
遺伝的に再プログラムされたリンパ球。本明細書に開示される足場の構造は、埋め込まれたリンパ球を含む。腫瘍細胞をターゲティング及び殺傷することができ、他の細胞型による殺傷のために腫瘍細胞をターゲティングすることができ、又は別様で腫瘍細胞殺傷を媒介することができるいずれかの種類のリンパ球が使用され得る。リンパ球は、足場が投与される個体に対して自己由来であってもよい。
【0105】
リンパ球には、T細胞、B細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。本開示は、埋め込まれたT細胞及び/又はNK細胞の使用に焦点を当てているが、他の種類のリンパ球もまた、単独で又は組み合わせて使用されてもよい。
【0106】
T細胞のいくつかの異なるサブセットが発見されており、各々は異なる機能を有する。T細胞には、ヘルパー細胞(CD4+T細胞)及び細胞溶解性T細胞を含む細胞傷害性T細胞(CTL、CD8+T細胞)が含まれる。
【0107】
ヘルパーT細胞は、他の機能の中でも特に、形質細胞へのB細胞の成熟並びに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む、免疫学的プロセスにおいて他の白血球を補助する。これらの細胞は、これらの表面上にCD4タンパク質を発現するので、CD4+T細胞としても知られている。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面上に発現されるMHCクラスII分子によってペプチド抗原が提示されると活性化される。一旦活性化されると、これらは迅速に分裂し、活性免疫応答を調節する又は補助するサイトカインと呼ばれる小タンパク質を分泌する。
【0108】
細胞傷害性T細胞は、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞を破壊し、移植拒絶にも関与する。これらの細胞はまた、これらの表面においてCD8糖タンパク質を発現するのでCD8+T細胞としても知られている。これらの細胞は、身体のほぼ全ての細胞の表面上に存在する、MHCクラスIに関連する抗原と結合することによって、これらの標的を認識する。
【0109】
T細胞の大部分は、いくつかのタンパク質の複合体として存在するT細胞受容体(TCR)を有する。実際のTCRは、独立したT細胞受容体アルファ及びベータ(TCRα及びTCRβ)遺伝子から産生され、α-及びβ-TCR鎖と呼ばれる、2つの別々のペプチド鎖から構成される。ガンマ-デルタ(γΔ)T細胞は、これらの表面上に異なるTCRを有するT細胞の小さなサブセットを表す。しかしながら、γΔT細胞では、TCRは1つのγ鎖及び1つのΔ鎖から構成される。このT細胞の群は、αβT細胞ほど一般的ではない(全T細胞の2%)。
【0110】
本明細書に使用される場合、「セントラルメモリー」T細胞(又は「TCM」)とは、これらの表面上でCD62L又はCCR-7及びCD45ROを発現し、ナイーブ細胞と比較してCD45RAを発現しない又はCD45RAの発現が減少している抗原を経験したCTLを指す。特定の実施形態では、セントラルメモリー細胞は、CD62L、CCR7、CD2S、CD127、CD45RO及びCD95の発現に対して陽性であり、ナイーブ細胞と比較してCD54RAの発現が減少している。
【0111】
本明細書に使用される場合、「エフェクターメモリー」T細胞(又は「TEM」)とは、セントラルメモリー細胞と比較してこれらの表面上でCD62Lを発現しない又はCD62Lの発現が減少しており、ナイーブ細胞と比較してCD45RAを発現しない又はCD45RAの発現が減少している、抗原を経験したT細胞を指す。特定の実施形態では、エフェクターメモリー細胞は、ナイーブ細胞又はセントラルメモリー細胞と比較して、CD62L及びCCR7の発現に対して陰性であり、CD28及びCD45RAを変化可能に発現する。
【0112】
本明細書に使用される場合、「ナイーブ」T細胞とは、CD62L及びCD45RAを発現し、セントラル又はエフェクターメモリー細胞と比較してCD45ROを発現しない、抗原を経験しないTリンパ球を指す。特定の実施形態では、ナイーブCD8+Tリンパ球は、CD62L、CCR7、CD28、CD127及びCD45RAを含むナイーブT細胞の表現型マーカーの発現によって特徴付けられる。
【0113】
本明細書に使用される場合、「エフェクター」又は「TE」T細胞とは、CD62L、CCR7、CD28を発現しない又はCD62L、CCR7、CD28の発現が減少しており、セントラルメモリー又はナイーブT細胞と比較してグランザイムB及びパーフォリンに対して陽性である、抗原を経験した細胞傷害性Tリンパ球細胞を指す。
【0114】
NK細胞は、ウイルス感染又は腫瘍形成に迅速に応答することができる細胞傷害性リンパ球である。NK細胞は、MHC発現又は抗体の非存在下で「ストレスを受けた」細胞を認識することができ、近接細胞の細胞膜において細孔を形成することができる、パーフォリンのようなタンパク質を含有する細胞傷害性顆粒を放出することができる。NK細胞は、IL-12、IL-15、IL-18、IL-2及びCCL5を含むサイトカインの存在下で活性化され得る。NK細胞は、リガンドがNK細胞活性化受容体と結合すると活性化され得る。NK細胞活性化に寄与し得る受容体には、CD137、CD2及びCD44が含まれる。
【0115】
本明細書に記載されているリンパ球型の各々は、本明細書に開示される足場内に埋め込まれ得る。特定の実施形態では、初代リンパ球細胞型はCTLである。CTLは、埋め込まれたリンパ球集団の50%以上、埋め込まれたリンパ球集団の55%以上、埋め込まれたリンパ球集団の60%以上、埋め込まれたリンパ球集団の65%以上、埋め込まれたリンパ球集団の70%以上、埋め込まれたリンパ球集団の75%以上、埋め込まれたリンパ球集団の80%以上、埋め込まれたリンパ球集団の85%以上、埋め込まれたリンパ球集団の90%以上、埋め込まれたリンパ球集団の95%以上又は埋め込まれたリンパ球集団の100%に含まれ得る。
【0116】
リンパ球の様々な組み合わせもまた、本明細書に開示される足場に使用され得る。特定の実施形態では、足場は、CD8+細胞、NK細胞、インバリアントNKT細胞(iNKT細胞)、Th17CD4+細胞及び/又はB細胞の混合物を含む。特定の実施形態では、足場は、CD8+細胞及びNK細胞の混合物を含む。特定の実施形態では、CD8+細胞及びNK細胞の混合物は50:50混合物である。特定の実施形態では、足場は、CD8+細胞及びiNKT細胞の混合物を含む。特定の実施形態では、CD8+細胞及びiNKT細胞の混合物は50:50混合物である。開示されている細胞型の全ての他の可能な組み合わせもまた、本明細書に開示される足場内に使用され得る。
【0117】
特定の実施形態では、リンパ球は、切除された腫瘍から単離及び増殖され得る。特定の実施形態では、対象は、腫瘍抗原(例えば、Her2に対する)によりワクチン接種されてもよく、ワクチン誘導性T細胞集団は、増殖され得、足場内に埋め込まれ得る。
【0118】
足場内のリンパ球は、非遺伝的に修飾されてもよく若しくは遺伝的に修飾されてもよく、又は非遺伝的に修飾された形態及び遺伝的に修飾された形態の組合せにおいて提供されてもよい。遺伝子修飾は、成長、生存、免疫機能及び/又は腫瘍細胞ターゲティングを増強するためになされ得る。遺伝子修飾の例には、キメラ抗原受容体(CAR)、αβT細胞受容体(又はこの修飾)及び/若しくは炎症性サイトカインの発現を可能にするもの又は阻害シグナル(例えば、キラー細胞免疫グロブリン様受容体)の発現を遮断するものが含まれる。CAR修飾及び/又はαβ T細胞受容体修飾は、修飾されたリンパ球が細胞型を特異的に標的化することを可能にする。
【0119】
一態様では、遺伝子修飾されたリンパ球は、腫瘍認識を改善することができ、増加した天然のT細胞増殖及び/又はサイトカイン産生を誘発することができる。異なるリガンド結合ドメイン、異なるスペーサー領域長、異なる細胞内結合ドメイン及び/又は異なる膜貫通ドメインをコードする異なる潜在的CAR核酸構築物が、非遺伝的に修飾されたリンパ球及び/又は他のCARよりも改善された機能を有するCARを同定するためにインビボで(動物モデルにおいて)及び/又はインビトロで試験され得、特定の実施形態では、インビボスクリーニング手段として本明細書に開示される足場を使用して試験され得る。
【0120】
例示的なCARは、例えば、NKG2Dリガンド、メソテリン、Her2、WT-1及び/又はEGRFを標的とするリガンド結合ドメインを発現する。例示的なT細胞受容体修飾は、黒色腫関連抗原(MAGE)A3 TCRを標的とする。
【0121】
特定の以下のがんは、TCR又はCARの細胞外成分内に、関連する細胞マーカーに結合する結合ドメインを含むことによって標的化され得る:
【0122】
【0123】
上述に限定されずに、細胞マーカーには、A33;BAGE;Bcl-2;β-カテニン;B7H4;BTLA;CA125;CA19-9;CD3、CD5;CD19;CD20;CD21;CD22;CD25;CD28;CD30;CD33;CD37;CD40;CD52;CD44v6;CD45;CD56;CD79b;CD80;CD81;CD86;CD123;CD134;CD137;CD151;CD171;CD276;CEA;CEACAM6;c-Met;CS-1;CTLA-4;サイクリンB1;DAGE;EBNA;EGFR;EGFRvIII、ephrinB2;ErbB2;ErbB3;ErbB4;EphA2;エストロゲン受容体;FAP;フェリチン;α-フェトプロテイン(AFP);FLT1;FLT4;葉酸結合タンパク質;Frizzled;GAGE;G250;GD-2;GHRHR;GHR;GITR;GM2;gp75;gp100(Pmel 17);gp130;HLA;HER-2/neu;HPV E6;HPV E7;hTERT;HVEM;IGF1R;IL6R;KDR;Ki-67;Lewis A;Lewis Y;LIFRβ;LRP;LRP5;LTβR;MAGE;MART;メソテリン;MUC;MUC1;MUM-1-B;myc;NYESO-1;O-アセチルGD-2;O-アセチルGD3;OSMRβ;p53;PD1;PD-L1;PD-L2;PRAME;プロゲステロン受容体;PSA;PSMA;PTCH1;RANK;ras;Robo1;RORl;スルビビン;TCRα;TCRβ;テネイシン;TGFBR1;TGFBR2;TLR7;TLR9;TNFR1;TNFR2;TNFRSF4;TWEAK-R;TSTAチロシナーゼ;VEGF及びWT1も含まれる。
【0124】
特定のがん細胞の細胞マーカーには、以下が含まれる:
【0125】
【0126】
特定の実施形態では、ROR1特異的及びCD19特異的CARは、2A2、R12及びR11 mAhs(ROR1)並びにFMC63 mAb(CD19)のVL及びVH鎖セグメントを使用して構築され得る。R11及びR12についての可変領域配列は、Yangら、Plos One 6(6):e21018、2011年6月15日に提供されている。各々のscFVは、(Gly4Ser)3(配列番号13)タンパク質によって、「ヒンジ-CH2-CH3」(229AA、配列番号15)、「ヒンジ-CH3」(119AA、配列番号16)又は「ヒンジ」のみ(12AA、配列番号17)配列のいずれかを含むIgG4-Fc(UniProtデータベース:P01861、配列番号14)に由来するスペーサードメインと連結され得る。全てのスペーサーは、天然IgG4-Fcタンパク質の108位に位置する「ヒンジ」ドメイン内にS→P置換を含有することができ、ヒトCD28の27AA膜貫通ドメイン(配列番号18、例示的な全長CD28については、UniProt:P10747を参照のこと)と連結され得、(i)天然CD28タンパク質(配列番号19)の186~187位に位置するLL→GG置換を有するヒトCD28の41AA細胞質ドメイン又は(ii)ヒト4-1BBの42AA細胞質ドメイン(UniProt:Q07011、配列番号20)のいずれかを含むエフェクタードメインシグナル伝達モジュールと連結され得、これらの各々は、ヒトCD3ζのアイソフォーム3の112AA細胞質ドメイン(UniProt:P20963、配列番号21)と連結され得る。この構築物は、キメラ受容体の下流のT2Aリボソームスキップエレメント(配列番号22)及びtEGFR配列(配列番号23)をコードする。tEGFRは、STREP-TAG(登録商標)II(配列番号24;IBA GMBH Ltd.、Gottingen、DE)、Mycタグ(配列番号25)、V5タグ(配列番号26)、FLAG(登録商標)(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)タグ(配列番号27)、Hisタグ又は本明細書に開示される他のペプチド若しくは分子のような配列と結合するタグカセットと置き換えられ得る又はこれにより補足され得る。各導入遺伝子をコードするコドン最適化遺伝子配列が合成され得(Life Technologies)、Nhel及びNot1制限酵素部位を使用してepHIV7レンチウイルスベクターにクローニングされ得る。epHIV7レンチウイルスベクターは、pHIV7のサイトメガロウイルスプロモーターをEF-1プロモーターと置き換えることによってpHIV7ベクターに由来し得る。ROR1-キメラ受容体、CD19-キメラ受容体、tEGFR又はタグカセットをコードするレンチウイルスは、パッケージングベクターpCHGP-2、pCMV-Rev2及びpCMV-G並びにCalphosトランスフェクション試薬(Clontech)を使用して293T細胞において産生され得る。
【0127】
HER2特異的キメラ受容体は、HER2上の膜近位エピトープを認識するHER2特異的mAbのVL及びVH鎖セグメントを使用して構築され得、scFVは、IgG4ヒンジ/CH2/CH3、IgG4ヒンジ/CH3及びIgG4ヒンジのみの細胞外スペーサードメイン並びにCD28膜貫通ドメイン、4-1BB及びCD3ζシグナル伝達ドメインと連結され得る。
【0128】
示されているように、各CD19キメラ受容体は、CD19特異的mAb FMC63(scFv:VL-VH)の配列に対応する一本鎖可変断片、「ヒンジ-CH2-CH3」ドメイン(229AA、長いスペーサー)又は「ヒンジ」ドメインのみ(12AA、短いスペーサー)のいずれかを含むIgG4-Fcに由来するスペーサー及び膜近位CD28又は4-1BB共刺激ドメインを有するCD3ζのシグナル伝達モジュールを、単独で又はタンデムのいずれかで含んでもよい。導入遺伝子カセットは、キメラ受容体遺伝子から下流に切断型EGFR(tEGFR)を含んでもよく、キメラ受容体修飾細胞のための形質導入、選択及びインビボ追跡のためのタグ配列として機能するように、切断可能なT2Aエレメントによって分離されてもよい。tEGFRは、STREP-TAG(登録商標)II(配列番号24)、Mycタグ(配列番号25)、V5タグ(配列番号26)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号27)、Hisタグ又は本明細書に開示される他のペプチド若しくは分子のようなExoCBMと結合するタグカセットと置き換えられ得る又はこれにより補足され得る。
【0129】
スペーサー、細胞内ドメイン、共刺激ドメイン及び膜貫通ドメインのような操作されたCARの他の一般的な特徴は、当業者に公知である。
【0130】
特定の実施形態では、例えば、Luptonら、Mol.and Cell Biol.、11:6頁(1991年);及びRiddellら、Human Gene Therapy 3:319~338頁(1992年)に記載されているように、インビボで陰性選択を可能にするために、リンパ球に機能的遺伝子を導入することが望まれ得る;優性の陽性選択可能マーカーを陰性選択可能マーカーと融合することに由来する二機能性の選択可能な融合遺伝子の使用を記載しているLuptonらによる公報PCT/US91/08442及びPCT/US94/05601も参照のこと。これは、公知の技術(例えば、米国特許第6,040,177、14~17欄を参照のこと。)又は本開示に基づいて当業者に明らかであるこの変形に従って実施され得る。例えば、刺激因子(例えば、リンホカイン又はサイトカイン)の過剰発現は、処置される対象に対して毒性であり得ることが意図される。したがって、本開示の細胞をインビボでの陰性選択に対して感受性にさせる遺伝子セグメントを含むことは、本開示の範囲内である。「陰性選択」とは、注入された細胞が、個体のインビボでの状態の変化の結果として排除され得ることを意味する。陰性の選択可能な表現型は、投与される薬剤、例えば、化合物に対する感受性をもたらす遺伝子の挿入から生じ得る。陰性の選択可能な遺伝子は、当該技術分野において公知であり、とりわけ、以下:ガンシクロビル感受性をもたらす単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子;細胞ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(hypoxanthine phosphribosyltransferase)(HPRT)遺伝子、細胞アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子及び細菌シトシンデアミナーゼを含む。
【0131】
所望の遺伝子は、本明細書に開示される足場に埋め込む前にリンパ球に導入され得る。細胞の遺伝子再プログラミングには、例えば、遺伝子配列の挿入、遺伝子配列の変更及び/又は遺伝子配列の欠失が含まれ得る。特定の実施形態では、リンパ球は、遺伝子再プログラミングのためのベクターをリンパ球に導入することによって、遺伝的に再プログラミングされ得る。特定の実施形態は、遺伝子編集システム内でヌクレオチドを送達することができる。遺伝子編集システムは、細胞の内因性ゲノムの特定の配列を修飾し、又はこれに影響を及ぼす。遺伝子編集システムは、標的化されたゲノム編集、例えば、遺伝子破壊、相同組換えによる遺伝子編集及びヒトゲノムを有する適切な染色体標的部位に治療遺伝子を挿入するための遺伝子療法に有用である。
【0132】
特定の実施形態は、遺伝子編集システムとして転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を利用する。TALENとは、転写活性化因子様エフェクター(TALE)DNA結合タンパク質及びDNA切断ドメインを含む融合タンパク質を指す。TALENは、DNAにおいて二本鎖切断(DSB)を誘導することによって遺伝子及びゲノムを編集するために使用され、これは細胞において修復機構を誘導する。一般に、2つのTALENは、二量体化し、DSBを誘導するためにDNA切断ドメインのための標的DNA部位の各側に結合し、隣接しなければならない。DSBは、非相同末端結合(NHEJ)によって細胞内で修飾され、又は外因性二本鎖ドナーDNA断片との相同組換え(HR)によって細胞内で修復される。
【0133】
示されているように、TALENは、例えば、内因性ゲノムの標的配列に結合し、標的配列の位置においてDNAを切断するように操作されている。TALENのTALEは、キサントモナス(Xanthomonas)細菌によって分泌されるDNA結合タンパク質である。TALEのDNA結合ドメインは、高度に保存された33又は34個のアミノ酸反復を含み、各反復の12番目及び13番目の位置に異なる残基を有する。反復可変二残基(Repeat Variable Diresidue)(RVD)と称される、これら2つの位置は、特異的ヌクレオチド認識と強い相関関係を示す。したがって、ターゲティング特異性は、RVDにおけるアミノ酸を変化させ、従来的でないRVDアミノ酸を組み込むことによって改善され得る。
【0134】
TALEN融合において使用され得るDNA切断ドメインの例は、野生型及びバリアントFokIエンドヌクレアーゼである。FokIドメインは、標的配列上の部位のための特有のDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする二量体として機能する。FokI切断ドメインは、2つの逆方向の半分の部位を分離する5又は6塩基対のスペーサー配列内で切断する。
【0135】
特定の実施形態は、遺伝子編集システムとしてMegaTALを利用する。MegaTALは、TALEがメガヌクレアーゼのDNA切断ドメインと融合される、単鎖の切断頻度が低い(rare-cleaving)ヌクレアーゼ構造を有する。ホーミングエンドヌクレアーゼとしても知られているメガヌクレアーゼは、同一ドメイン内にDNA認識及びヌクレアーゼ機能の両方を有する単一のペプチド鎖である。TALENとは対照的に、megaTALは、機能的活性のために単一のペプチド鎖の送達のみを必要とする。
【0136】
特定の実施形態は、遺伝子編集システムとしてジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を利用する。ZFNは、特定の位置においてDNAに結合し、DNAを切断するように操作された部位特異的ヌクレアーゼのクラスである。ZFNは、このZFNが、様々な異なる細胞中のゲノム内の特有の配列を標的化することを可能にするDNA配列中の特定の部位においてDSBを導入するために使用される。さらに、二本鎖切断に続いて、相同組換え又は非相同末端結合がDSBを修復するために行われ、これによりゲノム編集が可能となる。
【0137】
ZFNは、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって合成される。DNA結合ドメインは、転写因子である3~6個のジンクフィンガータンパク質を含む。DNA切断ドメインは、例えば、FokIエンドヌクレアーゼの触媒ドメインを含む。
【0138】
ガイドRNAは、例えば、CRISPR-Casシステムのような遺伝子編集システムと共に使用され得る。CRISPR-Casシステムは、CRISPR反復及びCRISPR関連遺伝子(Cas)のセットを含む。
【0139】
一般に、送達されたヌクレオチドの機能的発現をもたらすことができる任意のシステムが、本開示内で使用され得る。
【0140】
遺伝子の導入は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、遺伝子配列を含有するウイルス又はバクテリオファージベクター(例えば、レンチウイルスベクター又はプラスミド)による感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子導入、マイクロセル媒介遺伝子導入、スフェロプラスト(sheroplast)融合などを含む、当該技術分野において公知の任意の方法によって実施され得る。外来遺伝子を細胞に導入するための多数の技術が当該技術分野において公知であり(例えば、Loeffler及びBehr、Meth.Enzymol、217、599~618頁(1993年);Cohenら、Meth.Enzymol、217、618~644頁(1993年);Cline、Pharmac.Ther、29、69~92頁(1985年)を参照のこと。)、リンパ球の必要な発達及び生理学的機能が破壊されない限り、本開示に従って使用され得る。特定の実施形態では、この技術は、遺伝子が細胞によって発現可能であり、好ましくは遺伝性であり、この細胞子孫によって発現可能であるように、遺伝子の細胞への安定な導入を提供する。特定の実施形態では、この技術は、細胞内での遺伝子の一過性発現を提供する。
【0141】
リンパ球を遺伝的に修飾するために使用され得る組換えDNA技術の分野において一般的に公知の方法は、Ausubelら(eds.)、1993年、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY;及びKriegler、1990年、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NYに記載されている。
【0142】
特定の実施形態では、リンパ球は、対象における足場移植時又はこの付近、例えば、移植の48時間以内、移植の36時間以内、移植の24時間以内、移植の12時間以内、移植の6時間以内、移植の3時間以内、移植の1時間以内又は移植の30分以内に足場内に埋め込まれる。一般に、予め成形された足場へのリンパ球の負荷は移植の30分以内に行われるが、足場の注入可能な形態が使用される場合、負荷は、大抵、実際の移植時間のより近く(すなわち、5分以内、2分以内、1分以内又は30秒以内)に行われる。
【0143】
リンパ球は、新しいリンパ球であってもよく、又は以前に凍結保存されたリンパ球であってもよい。以前に凍結保存されたリンパ球が使用される場合、これらは、速やかに解凍され(例えば、37°~41℃に維持した水浴中で)、解凍直後に冷却されるべきである。解凍時の細胞凝集を防ぐために、リンパ球をさらに処理することが望まれ得る。凝集を防ぐために、凍結前及び/又は凍結後にDNase、低分子量デキストラン及びクエン酸塩、ヒドロキシエチルデンプンなどの添加を含む、様々な手順が使用され得る。必要な場合、潜在的な細胞障害性のために、凍結防止剤は除去されるべきである。凍結防止剤の除去後、必要な場合、細胞計数及び/又は生存試験が実施され得る。
【0144】
本明細書に開示される構造にリンパ球を埋め込むための様々な方法が使用され得る(「埋め込み」は「播種」とも称される)。例えば、受動的(静的)播種が使用され得る。特定の実施形態では、リンパ球は細胞培養培地(例えば、RPMI)に再懸濁される。次いで、この細胞懸濁液は凍結乾燥された足場の上に滴下により加えられる。特定の実施形態では、静的播種が使用される場合、リンパ球懸濁液は構造上に播種され、その後、例えば、ゆっくり撹拌されるスピナーフラスコへの動的培養条件に曝露される前に、撹拌せずに特定の時間インキュベートされる。特定の実施形態では、動的播種が使用され得る。動的播種のために、構造及びリンパ球懸濁液は、例えば、容器内に一緒に配置されてもよく、次いで、容器は、リンパ球が構造内にこられ自体で埋め込まれることを可能にする特定の時間、穏やかに撹拌しながらインキュベートされる。さらなる実施形態では、回転システム(遠心分離機を含む)及び/又は真空システムが使用され得る。さらなる実施形態では、シートベースのリンパ球播種、静電リンパ球播種、磁性リンパ球播種、濾過リンパ球播種及び/又は振動潅流リンパ球播種が使用され得る。これらの方法の様々な組み合わせも使用されてもよい。様々な生物学的ヒドロゲルの使用もまた適切である。様々な播種の選択肢の説明に関しては、Liら、Biotechnol.Prog、17、935~944頁(2001年);Wendtら、Biotechnology and Bioengineering、84、205~214頁(2003年);Yangら、J.Biomed.Mater.Res、55、379~386頁(2001年)及びSittingerら、Int.J.Artif.Organs、20、57頁(1997年)を参照のこと。
【0145】
特定の実施形態では、TFNマイクロメッシュを含むリンパ球足場は、高密度の細胞(1cm
2当たり少なくとも7×10
6個又は1cm
2当たり少なくとも8×10
6個の細胞)を含んでもよい。TFNマイクロメッシュは、例えば、3層の細胞をTFNマイクロメッシュの各層に充填することによって、高い細胞密度を可能にすることができる(例えば、
図10Dを参照のこと。)。マイクロパターン化金属薄膜(例えば、TFNマイクロメッシュ)の複数の層を積層することもまた、高密度の細胞を達成するために有用であり得る。
【0146】
本明細書に開示されるタンパク質及びタンパク質配列の有効なバリアントもまた、使用されてもよい。バリアントは、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するペプチドを含む。本明細書に使用される場合、「保存的置換」は、1つのアミノ酸の、以下の保存的置換基のうちの1つに見出される別のアミノ酸への置換を含む:群1:アラニン(Ala)、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr);群2:アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu);群3:アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln);群4:アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、ヒスチジン(His);群5:イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、バリン(Val)及び群6:フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)。
【0147】
さらに、アミノ酸は、類似の機能又は化学構造又は組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、硫黄含有)によって保存的置換基に分類され得る。例えば、脂肪族の分類には、置換の目的のために、Gly、Ala、Val、Leu及びIleが含まれ得る。互いに保存的置換とみなされるアミノ酸を含有する他の基には、以下が含まれる:硫黄含有:Met及びシステイン(Cys);酸性:Asp、Glu、Asn及びGln;低分子脂肪族、非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro及びGly;極性、負に荷電した残基及びこれらのアミド:Asp、Asn、Glu及びGln;極性、正に荷電した残基:His、Arg及びLys;高分子脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val及びCys並びに高分子芳香族残基:Phe、Tyr及びTrp。さらなる情報は、Creighton(1984年)Proteins、W.H.Freeman and Companyに見出される。
【0148】
バリアントはまた、配列番号1~27のいずれかに対して、少なくとも70%の配列同一性、80%の配列同一性、85%の配列、90%の配列同一性、95%の配列同一性、96%の配列同一性、97%の配列同一性、98%の配列同一性又は99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0149】
「同一性%」とは、配列を比較することによって決定される、2つ以上のタンパク質配列間の関係を指す。当該技術分野において、「同一性」はまた、このような配列の一続きの間の一致によって決定される、タンパク質間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」(しばしば「類似性」と称される)は、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.、ed.)、Oxford University Press、NY(1988年);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.、ed.)、Academic Press、NY(1994年);Computer Analysis of Sequence Data、Part I(Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.、eds.)、Humana Press、NJ(1994年);Sequence Analysis in Molecular Biology(Von Heijne,G.、ed.)、Academic Press(1987年)並びにSequence Analysis Primer(Gribskov,M.及びDevereux,J.、eds.)、Oxford University Press、NY(1992年)に記載されているものを含む、公知の方法によって容易に計算され得る。同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間で最適な一致を与えるように設計される。同一性及び類似性を決定するための方法は、公表されているコンピュータープログラムにおいて体系化されている。配列アラインメント及び同一性パーセントの計算は、Lasergene bioinformatics computing suite(DNASTAR(登録商標),Inc.、Madison、WI)のMegalignプログラムを使用して実施され得る。また、配列の多重アラインメントは、デフォルトパラメータ(ギャップペナルティ=10、ギャップ長さペナルティ=10)を用いて、アラインメントのClustal法(Higgins及びSharp CABIOS、5、151~153頁(1989年)を使用して実施され得る。また、関連プログラムには、プログラムのGCGスーツ(Wisconsin Package Version 9.0、Genetics Computer Group(GCG)、Madison、WI);BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403~410頁(1990年));DNASTAR(登録商標)及びSmith-Watermanアルゴリズムを組み込んでいるFASTAプログラム(Pearson、Comput.Method Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994年)、Meeting Date 1992年、111~20頁、編集者:Suhai,Sandor、出版社:Plenum、New York、N.Y.)が含まれる。本開示の文脈において、配列分析ソフトウェアが分析のために使用される場合、分析の結果は、参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解される。本明細書に使用される場合、「デフォルト値」とは、最初に初期化されたときにソフトウェアに初めからロードされている値又はパラメータの任意のセットを意味する。
【0150】
本開示はまた、本明細書に記載されている分子及び/又はペプチドの塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ及び/又は活性代謝産物を提供する。適切な酸付加塩は、無機酸又は有機酸、特に薬学的に許容される有機酸から調製され得る。このような無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸が含まれる。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸のクラスの有機酸から選択され得る。
【0151】
適切な塩基付加塩は金属塩又は有機塩から調製され得る。金属塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から調製され得る。有機塩は、N,N’-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、リシン、アルギニン、プロカイン及び任意の薬学的に許容される有機塩基から調製され得る。
【0152】
使用方法。本明細書に記載されている足場は、対象において抗腫瘍効果を有するように固形腫瘍、切除不可能な腫瘍及び/又は切除されていない腫瘍細胞の近接に配置され得る。本明細書に使用される場合、「対象」又は「個体」という用語は典型的にヒトのような哺乳動物を指すが、また、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマなどのような別の哺乳動物であってもよい。
【0153】
「腫瘍」は、細胞の異常な成長によって形成される腫れ又は病変である(新生細胞又は腫瘍細胞と呼ばれる)。「腫瘍細胞」は、急速な制御されない細胞増殖によって分裂し、新たな分裂を開始した刺激が終わった後も分裂し続ける異常な細胞である。腫瘍は、構造的組織化及び正常組織との機能的協調の部分的又は完全な欠如を示し、通常、良性、前悪性又は悪性のいずれかであり得る明らかに異なる組織塊を形成する。
【0154】
本明細書に使用される場合、抗腫瘍効果とは、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、転移数の減少、平均寿命の増加又はがん性状態に関連する様々な生理学的症状の減少によって示され得る生物学的効果を指す。抗腫瘍効果はまた、再発の減少又は再発前の時間の増加によっても示され得る。したがって、本明細書に開示される足場は、様々ながんを治療するために使用され得、転移を予防若しくは有意に遅延することができ、及び/又は再発を予防若しくは有意に遅延することができる。
図9A及び9Bに示されるように、リンパ球足場は、初期腫瘍の根絶/低減後に抗腫瘍免疫を提供し続けることができ、転移又は二次腫瘍の発生を予防及び/又は低減させることができる。
【0155】
がん(医学用語:悪性新生物)とは、細胞の群が、制御されない成長(正常限界を超える分裂)、浸潤(隣接組織への侵入及び隣接組織の破壊)及び時々、転移を示す疾患のクラスを指す。「転移」とは、がん細胞の増殖の元の部位から身体の別の部分へのこれらの広がりを指す。転移の形成は非常に複雑なプロセスであり、原発腫瘍からの悪性細胞の分離、細胞外マトリックスの浸潤、体腔及び血管に入る内皮基底膜の浸透、次いで血液によって輸送された後の標的器官の浸潤に依存する。最後に、標的部位における新たな腫瘍、すなわち二次腫瘍又は転移性腫瘍の成長は、血管新生に依存する。腫瘍転移は、腫瘍細胞又は成分が残存し、転移の可能性を生じ得るので、原発腫瘍の除去後でさえしばしば起こる。
【0156】
本明細書に開示される足場及び方法の抗腫瘍効果により治療され得るがんには、例えば、副腎がん、脳がん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、大腸がん、耳、鼻及び咽喉(ENT)がん、子宮内膜がん、食道がん、消化管がん、グリオーマ、頭頸部がん、腸がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、リンパ節がん、黒色腫、神経芽腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、セミノーマ、皮膚がん、胃がん、奇形腫、甲状腺がん、子宮がん及びこれらの転移がんが含まれる。
【0157】
本開示の範囲を限定することなく、以下のがんの種類が注目される:
脳腫瘍(膠芽腫):米国では、1年当たり推定10,000の新たな症例が見られる。現在、利用可能な根治療法は存在しない。膠芽腫は、非常に浸潤性の成長を示し、完全に切除することはできない。腫瘍の90%は、最初に切除された腫瘍から2cmの縁内で再発する。化学療法剤を負荷した生体材料ウェハは、膠芽腫のために米国食品医薬品局(FDA)により承認されている(GLIADEL(登録商標)、MGI Pharma,Inc.、Woodcliff Lake、NJ)。しかしながら、不十分な組織透過性に起因して、生体材料インプラント送達化学療法は、ほとんど効果がない。対照的に、本明細書に開示される足場から展開される腫瘍反応性リンパ球は、罹患組織に能動的に移動することができ、残存腫瘍細胞を探し出し、破壊する。
【0158】
膵臓腺がん:2012年に米国において、推定43,920の膵臓がんの新たな症例が発生すると予測された。診断時に切除可能な疾患を有するのはわずか20%である(患者の80%は、診断時に腫瘍が進行しすぎるため、手術を受けていない。)。手術でさえも、5年生存率がわずか20%である一時的に苦痛を緩和する試みであると考えられている。局所再発は、通常、顕微鏡により陰性の外科的縁を達成することの困難性に起因する。外科的腫瘍切除後の残存疾患を根絶する現在の足場の能力以外に、足場はまた、手術不可能な疾患を有する膵臓腫瘍患者(患者の80人%)に非常に有効な治療選択肢を提供することができる。特定の実施形態では、足場は、切除不可能な樹立された膵臓腺がん上に直接移植される。
【0159】
卵巣がん:2012年に米国において、推定22,000の新たな症例が見られた。手術及び化学療法による集学的療法にもかかわらず、ほとんどの卵巣がん患者は予後不良(米国では1年当たり15,500人の推定死亡者数)である。卵巣がんは主に腹膜腔内に広がる。卵巣がん患者における養子T細胞療法は、現在、いくつかの施設において研究されている。しかしながら、現在まで、注入されたT細胞の生存率が低く、T細胞を機能不全にする、腫瘍細胞によって放出された免疫抑制因子に対抗することができないため、臨床結果は期待外れであった。腫瘍反応性リンパ球が埋め込まれた複数の足場は、卵巣がん患者の腹膜腔内に腹腔鏡下で移植され得、そこでこれらは、長期間にわたって腫瘍反応性リンパ球及びSTINGアゴニストを放出する。
【0160】
当業者によって理解されるように、足場は、固形腫瘍、切除不可能な腫瘍細胞に近接して移植され、及び/又は切除後の腫瘍切除床内に移植される。足場は、多数の異なるサイズ及び形状で利用可能であり得、個々の対象の特定の必要性に合うように形状適合性であり得る。特定の実施形態では、足場は、固形腫瘍、切除不可能な腫瘍細胞又は切除されていない腫瘍細胞に近接して(又は物理的に接触して)、超音波誘導を使用して注入される。腫瘍の段階、サイズ又は重症度に応じて、足場に異なる治療強度を提供することができる。治療強度は、足場のサイズ、足場の体積、足場内に埋め込まれたリンパ球の数、足場内のリンパ球活性化部分の数、足場内のSTINGアゴニストの存在又は量などを変更することによって操作され得る。これらのパラメータの各々は、治療する医師によって評価され、決定され得る。
【0161】
本開示の目的のために、「近接」という用語は、固形腫瘍、切除不可能な腫瘍、切除不可能な腫瘍細胞及び/又は腫瘍切除床から10cm以内、9cm以内、8cm以内、7cm以内、6cm以内、5cm以内、4cm以内、3cm以内、2cm以内、1cm以内、0.9cm以内、0.8cm以内、0.7cm以内、0.6cm以内、0.5cm以内、0.4cm以内、0.3cm以内、0.2cm以内又は0.1cm以内の距離を指す。
【0162】
また、足場は、固形腫瘍、切除不可能な腫瘍、切除不可能な腫瘍細胞及び/又は腫瘍切除床を有する対象に、切除時又は最初の治療時に1回だけ移植され得ることも当業者に理解される。さらに、足場は、数ヶ月又は数年にわたって継続的な療法を提供するために複数回移植され得る。このような治療レジメンは、治療する医師によって決定され得る。
【0163】
特定の実施形態では、TFNマイクロメッシュを含むリンパ球足場は、長時間作用する足場として使用され得る(例えば、
図12Iを参照のこと)。TFNマイクロメッシュは非生分解性足場マトリックス材料として使用され得、したがってTFNマイクロメッシュベースのリンパ球足場は、数日間、1週間より長い間及び/又は2週間より長い間、リンパ球を送達し続けることができる。
【0164】
本明細書に使用される場合、「外科治療の失敗」という用語は、以前に腫瘍切除を受けた対象におけるがんの再発を指す。外科治療の失敗は転移性再発を含み得る。
【0165】
以下の実施例及び例示的な実施形態は、本開示の特定の実施形態を実証するために含まれる。当業者は、本開示の観点から、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される特定の実施形態に対して多くの変更がなされてもよく、それでも同様又は類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
【0166】
例示的な実施形態。
1.(i)マイクロパターン化金属薄膜を含む足場マトリックス内に配置された遺伝的に再プログラムされたリンパ球、及び(ii)リンパ球活性化部分を含むリンパ球足場。
2.STINGアゴニストをさらに含む、実施形態1に記載のリンパ球足場。
3.STINGアゴニストが、c-diGMP、c-diAMP、c-GAMP、c-AIMP、(3’,2’)c-AIMP、(2’,2’)c-AIMP、(2’,3’)c-AIMP、c-AIMP(S)、c-(dAMP-dIMP)、c-(dAMP-2’FdIMP)、c-(2’FdAMP-2’FdIMP)、(2’,3’)c-(AMP-2’FdIMP)、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)]、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)](POM)2及び/又はDMXAAを含む、実施形態2に記載のリンパ球足場。
4.STINGアゴニストが、c-diGMPを含む、実施形態2に記載のリンパ球足場。
5.薬物溶出ポリマーをさらに含む、実施形態1~4のいずれかに記載のリンパ球足場。
6.STINGアゴニストが、薬物溶出ポリマー内に埋め込まれている、実施形態5に記載のリンパ球足場。
7.薬物溶出ポリマーがPLGAを含む、実施形態5又は6に記載のリンパ球足場。
8.リンパ球が、T細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を含む、実施形態1~7のいずれかに記載のリンパ球足場。
9.リンパ球が、CD8+T細胞を含む、実施形態1~8のいずれかに記載のリンパ球足場。
10.少なくとも2×106個のリンパ球を含む、実施形態1~9のいずれかに記載のリンパ球足場。
11.少なくとも7×106個のリンパ球を含む、実施形態1~9のいずれかに記載のリンパ球足場。
12.リンパ球活性化部分が、IL-15、又はCD3、CD28若しくはCD137に特異的な抗体のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~11のいずれかに記載のリンパ球足場。
13.リンパ球活性化部分が、CD3、CD128及びCD137に特異的な抗体を含む、実施形態1~12のいずれかに記載のリンパ球足場。
14.リンパ球活性化部分が、IL-15及びCD137を含む、実施形態1~13のいずれかに記載のリンパ球足場。
15.免疫刺激剤をさらに含む、実施形態1~14のいずれかに記載のリンパ球足場。
16.免疫刺激剤が、サイトカイン、抗体、小分子、siRNA、プラスミドDNA及び/又はワクチンアジュバントである、実施形態15に記載のリンパ球足場。
17.免疫刺激剤が、(i)CpG、Cpg-28、ポリ(I:C)、α-ガラクトセラミド、MPLA、VTX-2337、EMD1201081)イミキモド、MGN1703、G100、CBLB502、ヒルトノール及びイミキモドから選択されるToll様受容体リガンド並びに/又は(ii)17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)から選択される、実施形態15に記載のリンパ球足場。
18.免疫刺激剤が、薬物溶出ポリマー内に埋め込まれている、実施形態15~17のいずれかに記載のリンパ球足場。
19.リンパ球接着部分をさらに含む、実施形態1~18のいずれかに記載のリンパ球足場。
20.リンパ球接着部分及びリンパ球活性化部分が、共有結合している、実施形態19に記載のリンパ球足場。
21.リンパ球接着部分がフィブリンを含む、実施形態19又は20に記載のリンパ球足場。
22.リンパ球接着部分が、α1β1インテグリン、α2β1インテグリン、α4β1インテグリン、α5β1インテグリン又はリンパ球機能関連抗原(LFA-1)に結合するペプチドを含む、実施形態19~21のいずれかに記載のリンパ球足場。
23.リンパ球接着部分が、GFOGER(配列番号1)ペプチドを含む、実施形態19~22のいずれかに記載のリンパ球足場。
24.リンパ球接着部分が、配列番号1又は配列番号2のGFOGER(配列番号1)ペプチドを含む、実施形態19~23のいずれかに記載のリンパ球足場。
25.リンパ球接着部分が、ICAM-1ペプチドを含む、実施形態19~24のいずれかに記載のリンパ球足場。
26.リンパ球接着部分が、配列番号3のICAM-1ペプチドを含む、実施形態19~25のいずれかに記載のリンパ球足場。
27.リンパ球接着部分が、FNIII7~10ペプチドを含む、実施形態19~26のいずれかに記載のリンパ球足場。
28.リンパ球接着部分が、配列番号4のFNIII7~10ペプチドを含む、実施形態19~27のいずれかに記載のリンパ球足場。
29.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、足場マトリックスと連結している、実施形態2~28のいずれかに記載のリンパ球足場。
30.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、足場マトリックス内に埋め込まれている、実施形態2~29のいずれかに記載のリンパ球足場。
31.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、足場マトリックスの表面の少なくとも一部を覆う生物活性コーティング内にある、実施形態2~30のいずれかに記載のリンパ球足場。
32.生物活性コーティングが、薬物溶出ポリマーを含む、実施形態31に記載のリンパ球足場。
33.リンパ球接着部分をさらに含み、STINGアゴニストが薬物溶出ポリマー内にあり、薬物溶出ポリマーが足場マトリックスの表面上に単層を形成し、リンパ球接着部分が薬物溶出ポリマーを直接コーティングしている、実施形態32に記載のリンパ球足場。
34.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、粒子と連結している、実施形態2~33のいずれかに記載のリンパ球足場。
35.粒子が、足場と連結しており、及び/又は足場マトリックス内に埋め込まれている、実施形態34に記載のリンパ球足場。
36.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、原細胞のリポソームと結合している、実施形態2~35のいずれかに記載のリンパ球足場。
37.原細胞と足場マトリックス内のリンパ球との比が、0.5:1、1:1、5:1又は10:1である、実施形態36のリンパ球足場。
38.7×106個~1×1010個の原細胞を含む、実施形態1~37のいずれかに記載のリンパ球足場。
39.マイクロパターン化金属薄膜が、TFNマイクロメッシュを含む、実施形態1~38のいずれかに記載のリンパ球足場。
40.足場マトリックス、遺伝的に再プログラムされたリンパ球及び3つのリンパ球活性化部分からなる、リンパ球足場。
41.足場マトリックスが、アルギネート足場、コラーゲン/アルギネート足場、キトサン足場、自己集合ペプチド足場、メソ多孔質シリカ足場、マイクロパターン化金属薄膜足場又はPLGA足場を含む、実施形態40に記載のリンパ球足場。
42.マイクロパターン化金属薄膜足場が、TFNマイクロメッシュ足場を含む、実施形態40又は41に記載のリンパ球足場。
43.足場マトリックスが、アルギネート足場を含む、実施形態40~42のいずれかに記載のリンパ球足場。
44.足場マトリックスが、ポリマーカルシウム架橋アルギネート足場を含む、実施形態40~43のいずれかに記載のリンパ球足場。
45.遺伝的に再プログラムされたリンパ球が、遺伝的に再プログラムされたT細胞及び/又はナチュラルキラー細胞である、実施形態40~44のいずれかに記載のリンパ球足場。
46.遺伝的に再プログラムされたリンパ球が、CD8+T細胞である、実施形態40~45のいずれかに記載のリンパ球足場。
47.少なくとも2×106個の遺伝的に再プログラムされたリンパ球を含む、実施形態40~46のいずれかに記載のリンパ球足場。
48.少なくとも7×106個の遺伝的に再プログラムされたリンパ球を含む、実施形態40~46のいずれかに記載のリンパ球足場。
49.リンパ球活性化部分が、CD3、CD28及び/又はCD137に特異的な抗体を含む、実施形態40~48のいずれかに記載のリンパ球足場。
50.リンパ球活性化部分が、足場と連結している、実施形態40~49のいずれかに記載のリンパ球足場。
51.リンパ球活性化部分が、足場内に埋め込まれている、実施形態40~50のいずれかに記載のリンパ球足場。
52.足場マトリックス、遺伝的に再プログラムされたリンパ球、及びリンパ球活性化部分を含むリンパ球足場。
53.STINGアゴニストをさらに含む、実施形態52に記載のリンパ球足場。
54.STINGアゴニストが、c-diGMP、c-diAMP、c-GAMP、c-AIMP、(3’,2’)c-AIMP、(2’,2’)c-AIMP、(2’,3’)c-AIMP、c-AIMP(S)、c-(dAMP-dIMP)、c-(dAMP-2’FdIMP)、c-(2’FdAMP-2’FdIMP)、(2’,3’)c-(AMP-2’FdIMP)、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)]、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)](POM)2及び/又はDMXAAを含む、実施形態53に記載のリンパ球足場。
55.STINGアゴニストが、c-diGMPを含む、実施形態52又は53に記載のリンパ球足場。
56.遺伝的に再プログラムされたリンパ球が、遺伝的に再プログラムされたT細胞及び/又はナチュラルキラー細胞である、実施形態52~55のいずれかに記載のリンパ球足場。
57.遺伝的に再プログラムされたリンパ球が、CD8+T細胞である、実施形態52~56のいずれかに記載のリンパ球足場。
58.少なくとも2×106個又は少なくとも7×106個の遺伝的に再プログラムされたリンパ球を含む、実施形態52~57のいずれかに記載のリンパ球足場。
59.リンパ球活性化部分が、IL-15並びに/又はCD3、CD28及び/若しくはCD137に特異的な抗体を含む、実施形態52~58のいずれかに記載のリンパ球足場。
60.免疫刺激剤をさらに含む、実施形態52~59のいずれかに記載のリンパ球足場。
61.免疫刺激剤が、サイトカイン、抗体、小分子、siRNA、プラスミドDNA及び/又はワクチンアジュバントを含む、実施形態60に記載のリンパ球足場。
62.免疫刺激剤が、(i)CpG、Cpg-28、ポリ(I:C)、α-ガラクトセラミド、MPLA、VTX-2337、EMD1201081)イミキモド、MGN1703、G100、CBLB502、ヒルトノール及びイミキモドから選択されるToll様受容体リガンド並びに/又は(ii)17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)を含む、実施形態60又は61に記載のリンパ球足場。
63.リンパ球接着部分をさらに含む、実施形態52~62のいずれかに記載のリンパ球足場。
64.リンパ球接着部分がフィブリンを含む、実施形態63に記載のリンパ球足場。
65.リンパ球接着部分が、α1β1インテグリン、α2β1インテグリン、α4β1インテグリン、α5β1インテグリン又はリンパ球機能関連抗原(LFA-1)に結合するペプチドを含む、実施形態63又は64に記載のリンパ球足場。
66.リンパ球接着部分が、GFOGER(配列番号1)ペプチドを含む、実施形態63~65のいずれかに記載のリンパ球足場。
67.リンパ球接着部分が、配列番号1又は配列番号2のGFOGER(配列番号1)ペプチドを含む、実施形態63~66のいずれかに記載のリンパ球足場。
68.リンパ球接着部分が、ICAM-1ペプチドを含む、実施形態63~67のいずれかに記載のリンパ球足場。
69.リンパ球接着部分が、配列番号3のICAM-1ペプチドを含む、実施形態63~68のいずれかに記載のリンパ球足場。
70.リンパ球接着部分が、FNIII7~10ペプチドを含む、実施形態63~69のいずれかに記載のリンパ球足場。
71.リンパ球接着部分が、配列番号4のFNIII7~10ペプチドを含む、実施形態63~70のいずれかに記載のリンパ球足場。
72.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、足場マトリックスと連結している、実施形態53~71のいずれかに記載のリンパ球足場。
73.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、足場マトリックス内に埋め込まれている、実施形態53~72のいずれかに記載のリンパ球足場。
74.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、足場マトリックスの表面の少なくとも一部を覆う生物活性コーティング内にある、実施形態53~73のいずれかに記載のリンパ球足場。
75.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、粒子と連結している、実施形態53~74のいずれかに記載のリンパ球足場。
76.粒子が、足場マトリックスと連結している及び/又は足場マトリックス内に埋め込まれている、実施形態75に記載のリンパ球足場。
77.STINGアゴニスト及び/又はリンパ球活性化部分が、原細胞のリポソームと結合している、実施形態53~76のいずれかに記載のリンパ球足場。
78.原細胞と足場マトリックス内のリンパ球との比が、0.5:1、1:1、5:1又は10:1である、実施形態77のリンパ球足場。
79.7×106個~1×1010個の原細胞を含む、実施形態53~78のいずれかに記載のリンパ球足場。
80.足場マトリックスが、アルギネート足場、コラーゲン/アルギネート足場、キトサン足場、自己集合ペプチド足場、メソ多孔質シリカ足場、マイクロパターン化金属薄膜足場又はPLGA足場を含む、実施形態52~79のいずれかに記載のリンパ球足場。
81.マイクロパターン化金属薄膜足場が、TFNマイクロメッシュ足場を含む、実施形態80に記載のリンパ球足場。
82.足場マトリックスが、アルギネート足場を含む、実施形態80又は81に記載のリンパ球足場。
83.足場マトリックスが、ポリマーカルシウム架橋アルギネート足場を含む、実施形態80~82のいずれかに記載のリンパ球足場。
84.(i)足場マトリックス材料、(ii)抗がん活性を有するナチュラルキラー細胞並びに(iii)IL-15、及びCD137に特異的な抗体を含むリンパ球活性化部分を含むリンパ球足場。
85.足場マトリックス材料が、マイクロパターン化金属薄膜を含む、実施形態84に記載のリンパ球足場。
86.マイクロパターン化金属薄膜が、TFNマイクロメッシュを含む、実施形態84又は85に記載のリンパ球足場。
87.STINGアゴニストをさらに含む、実施形態84~86のいずれかに記載のリンパ球足場。
88.STINGアゴニストが、c-diGMP、c-diAMP、c-GAMP、c-AIMP、(3’,2’)c-AIMP、(2’,2’)c-AIMP、(2’,3’)c-AIMP、c-AIMP(S)、c-(dAMP-dIMP)、c-(dAMP-2’FdIMP)、c-(2’FdAMP-2’FdIMP)、(2’,3’)c-(AMP-2’FdIMP)、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)]、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)](POM)2及び/又はDMXAAを含む、実施形態113に記載のリンパ球足場。
89.薬物溶出ポリマーをさらに含む、実施形態84~88のいずれかに記載のリンパ球足場。
90.薬物溶出ポリマーがPLGAを含む、実施形態89に記載のリンパ球足場。
91.STINGアゴニストが、薬物溶出ポリマー内に埋め込まれている、実施形態87又は88に記載のリンパ球足場。
92.リンパ球接着部分をさらに含む、実施形態84~91のいずれかに記載のリンパ球足場。
93.リンパ球接着部分がフィブリンを含む、実施形態92に記載のリンパ球足場。
94.リンパ球接着部分が、α1β1インテグリン、α2β1インテグリン、α4β1インテグリン、α5β1インテグリン又はリンパ球機能関連抗原(LFA-1)に結合するペプチドを含む、実施形態92又は93に記載のリンパ球足場。
95.リンパ球接着部分が、GFOGER(配列番号1)ペプチドを含む、実施形態92~94のいずれかに記載のリンパ球足場。
96.リンパ球接着部分が、配列番号1又は配列番号2のGFOGER(配列番号1)ペプチドを含む、実施形態92~95のいずれかに記載のリンパ球足場。
97.リンパ球接着部分が、ICAM-1ペプチドを含む、実施形態84~96のいずれかに記載のリンパ球足場。
98.リンパ球接着部分が、配列番号3のICAM-1ペプチドを含む、実施形態84~97のいずれかに記載のリンパ球足場。
99.リンパ球接着部分が、FNIII7~10ペプチドを含む、実施形態84~98のいずれかに記載のリンパ球足場。
100.リンパ球接着部分が、配列番号4のFNIII7~10ペプチドを含む、実施形態84~99のいずれかに記載のリンパ球足場。
101.対象におけるエスケープバリアント腫瘍細胞を含む不均一な固形腫瘍を治療する方法であって、対象における不均一な固形腫瘍の破壊を導くのに十分な不均一な固形腫瘍細胞の近位内に、実施形態1~100のいずれかに記載のリンパ球足場を対象に移植し、それによってエスケープバリアント腫瘍細胞を含む不均一な固形腫瘍を治療するステップを含む、方法。
102.がん再発の発生に対して対象にワクチン接種をする方法であって、実施形態1~100のいずれかに記載のリンパ球足場を、対象の不均一な固形腫瘍の近位内に、又は対象の固形腫瘍切除床内に移植し、それによってがん再発の発生に対して対象にワクチン接種をするステップを含む、方法。
103.腫瘍細胞の治療を必要とする対象において腫瘍細胞を治療する方法であって、実施形態1~100のいずれかに記載のリンパ球足場を、腫瘍切除床内で対象に移植し、それによって対象において腫瘍細胞を治療するステップを含む、方法。
104.治療される腫瘍細胞が、副腎がん細胞、脳がん細胞、乳がん細胞、子宮頸がん細胞、結腸がん細胞、大腸がん細胞、耳、鼻及び咽喉(ENT)がん細胞、子宮内膜がん細胞、食道がん細胞、消化管がん細胞、グリオーマ細胞、頭頸部がん細胞、腸がん細胞、腎臓がん細胞、肝臓がん細胞、肺がん細胞、リンパ節がん細胞、黒色腫細胞、神経芽腫細胞、卵巣がん細胞、膵臓がん細胞、前立腺がん細胞、直腸がん細胞、セミノーマ細胞、皮膚がん細胞、胃がん細胞、奇形腫細胞、甲状腺がん細胞又は子宮がん細胞である、実施形態103に記載の方法。
105.治療される腫瘍細胞が、膠芽腫細胞、膵臓腺がん細胞又は卵巣がん細胞である、実施形態103に記載の方法。
106.原発腫瘍の切除後、転移性再発によって引き起こされる外科治療の失敗を低減させる方法であって、実施形態1~100のいずれかに記載のリンパ球足場を対象の腫瘍切除床に投与し、それによって原発腫瘍の切除後、転移性再発によって引き起こされる外科治療の失敗を低減させるステップを含む、方法。
107.原発腫瘍が、セミノーマ細胞、黒色腫細胞、奇形腫細胞、神経芽腫細胞、グリオーマ細胞、直腸がん細胞、子宮内膜がん細胞、腎臓がん細胞、副腎がん細胞、甲状腺がん細胞、皮膚がん細胞、脳がん細胞、子宮頸がん細胞、腸がん細胞、肝臓がん細胞、結腸がん細胞、胃がん細胞、頭頸部がん細胞、消化管がん細胞、リンパ節がん細胞、食道がん細胞、大腸がん細胞、膵臓がん細胞、耳、鼻及び咽喉(ENT)がん細胞、乳がん細胞、前立腺がん細胞、子宮がん細胞、卵巣がん細胞又は肺がん細胞を含む、実施形態106に記載の方法。
108.がんについて対象を治療する方法であって、TFNマイクロメッシュ、遺伝的に修飾されたリンパ球、及びリンパ球活性化部分を含むリンパ球足場によりコーティングされた医療装置を対象に移植するステップを含む、方法。
109.移植するステップが、低侵襲性処置を含む、実施形態108に記載の方法。
110.医療装置が、ステントを含む、実施形態108に記載の方法。
111.対象における固形腫瘍を治療するためのリンパ球足場を形成するためのキットであって、(i)足場マトリックス、及び(ii)CD3、CD28及びCD137に特異的な抗体を含むリンパ球活性化部分を含む、キット。
112.多孔質粒子をさらに含む、実施形態111に記載のキット。
113.リポソームをさらに含む、実施形態111又は112に記載のキット。
114.原細胞をさらに含む、実施形態111~113のいずれかに記載のキット。
115.STINGアゴニストをさらに含む、実施形態111~114のいずれかに記載のキット。
116.STINGアゴニストが、c-diGMP、c-diAMP、c-GAMP、c-AIMP、(3’,2’)c-AIMP、(2’,2’)c-AIMP、(2’,3’)c-AIMP、c-AIMP(S)、c-(dAMP-dIMP)、c-(dAMP-2’FdIMP)、c-(2’FdAMP-2’FdIMP)、(2’,3’)c-(AMP-2’FdIMP)、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)]、c-[2’FdAMP(S)-2’FdIMP(S)](POM)2及び/又はDMXAAを含む、実施形態115に記載のキット。
117.STINGアゴニストが、c-diGMPを含む、実施形態115に記載のキット。
118.免疫刺激剤をさらに含む、実施形態111~117のいずれかに記載のキット。
119.免疫刺激剤が、サイトカイン、抗体、小分子、siRNA、プラスミドDNA及び/又はワクチンアジュバントを含む、実施形態118に記載のキット。
120.免疫刺激剤が、(i)CpG、Cpg-28、ポリ(I:C)、α-ガラクトセラミド、MPLA、VTX-2337、EMD1201081)イミキモド、MGN1703、G100、CBLB502、ヒルトノール及びイミキモドから選択されるToll様受容体リガンド並びに/又は(ii)17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)を含む、実施形態118又は119に記載のキット。
121.リンパ球接着部分をさらに含む、実施形態111~120のいずれかに記載のキット。
122.リンパ球接着部分がフィブリンを含む、実施形態121に記載のキット。
123.リンパ球接着部分が、α1β1インテグリン、α2β1インテグリン、α4β1インテグリン、α5β1インテグリン又はリンパ球機能関連抗原(LFA-1)に結合するペプチドを含む、実施形態121又は122に記載のキット。
124.リンパ球接着部分が、GFOGER(配列番号1)ペプチドを含む、実施形態121~123のいずれかに記載のキット。
125.リンパ球接着部分が、配列番号1又は配列番号2のGFOGER(配列番号1)ペプチドを含む、実施形態121~124のいずれかに記載のキット。
126.リンパ球接着部分が、ICAM-1ペプチドを含む、実施形態121~125のいずれかに記載のキット。
127.リンパ球接着部分が、配列番号3のICAM-1ペプチドを含む、実施形態121~126のいずれかに記載のキット。
128.リンパ球接着部分が、FNIII7~10ペプチドを含む、実施形態121~127のいずれかに記載のキット。
129.リンパ球接着部分が、配列番号4のFNIII7~10ペプチドを含む、実施形態121~128のいずれかに記載のキット。
130.7×106~1×1010個の粒子、リポソーム又は原細胞を含む、実施形態111~129のいずれかに記載のキット。
131.遺伝的に再プログラムされたリンパ球をさらに含む、実施形態111~130のいずれかに記載のキット。
132.遺伝的に再プログラムされたリンパ球が、T細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を含む、実施形態131に記載のキット。
133.遺伝的に再プログラムされたリンパ球が、CD8+T細胞を含む、実施形態131又は132に記載のキット。
134.リンパ球が、少なくとも7×106個のリンパ球を含む、実施形態131~133のいずれかに記載のキット。
135.足場マトリックスが、アルギネート、コラーゲン、キトサン、自己集合ペプチド、メソ多孔質シリカ、TFNマイクロメッシュ又はPLGAを含む、実施形態131~134のいずれかに記載のキット。
136.足場マトリックスが、アルギネートを含む、実施形態135に記載のキット。
137.カルシウムをさらに含む、実施形態111~136のいずれかに記載のキット。
138.薬物溶出ポリマーをさらに含む、実施形態111~137のいずれかに記載のキット。
139.薬物溶出ポリマーが、足場マトリックス上にコーティングされる、実施形態138に記載のキット。
140.STINGアゴニスト又は免疫刺激剤が、薬物溶出ポリマー内に埋め込まれている、実施形態138に記載のキット。
141.薬物溶出ポリマーがPLGAを含む、実施形態111~140のいずれかに記載のキット。
142.(i)マイクロパターン化金属薄膜足場、(ii)遺伝的に再プログラムされたリンパ球、及び(iii)リンパ球活性化部分を含む、移植可能な医療装置。
143.STINGアゴニスト及び/又は免疫刺激剤をさらに含む、実施形態142に記載の移植可能な医療装置。
144.薬物溶出ポリマーをさらに含み、STINGアゴニスト及び/又は免疫刺激剤が、薬物溶出ポリマー内に埋め込まれている、実施形態143に記載の移植可能な医療装置。
145.マイクロパターン化金属薄膜足場が、三次元形状を有する、実施形態142~144のいずれかに記載の移植可能な医療装置。
146.三次元形状が円筒形である、実施形態145に記載の移植可能な医療装置。
147.ステントを含む、実施形態142~146のいずれかに記載の移植可能な医療装置。
148.低侵襲性医療装置を含む、実施形態142~147のいずれかに記載の移植可能な医療装置。
149.マイクロパターン化金属薄膜足場が、層内に積層される、実施形態142~148のいずれかに記載の移植可能な医療装置。
150.マイクロパターン化金属薄膜が、TFNマイクロメッシュを含む、実施形態142~149のいずれかに記載の移植可能な医療装置。
151.遺伝的に再プログラムされたリンパ球が、少なくとも細胞7×106個/cm3の濃度にて存在する、実施形態142~150のいずれかに記載の移植可能な医療装置。
【実施例】
【0167】
実施例。方法。ヒト膵管腺がん。ヒト膵臓腺がん(PDA、
図1)の共焦点イメージングのために、新鮮な腫瘍を、PDAのための膵臓切除を受けている患者から入手し、この患者は、Fred Hutchinson Cancer Research CenterにおいてCancer Consortium Institutional Review Board(CC-IRB)によって承認された研究プロトコールの下で書面によるインフォームドコンセントを与えられていた。
【0168】
細胞株。Sunil Hingorani博士(Fred Hutchinson Cancer Research Center、Seattle、WA)から提供されたネズミ膵管腺がん細胞株KPCは、17週齢におけるトランスジェニックKPC(LSL-KrasG12D;p53lox/+)マウスの自然発生した膵臓腫瘍に由来した。この細胞株を、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)、2mMのL-グルタミン、1.5g/Lの重炭酸ナトリウム、4.5g/Lのグルコース、10mMのHEPES、1.0mMのピルビン酸ナトリウム及び0.05mMの2-メルカプトエタノールを含むIMDM培地中で培養した。Phoenix(商標)Ecoレトロウイルスパッケージング細胞株(Orbigen)を、10%のFBS、2mMのグルタミン酸塩、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを含有するDMEM中で培養した。インビボ生物発光イメージングのために、KPC細胞株にホタルルシフェラーゼ(F-luc)をレトロウイルスによって形質導入した。
【0169】
マウス及びインビボ腫瘍モデル。動物を、Fred Hutchinson Cancer Research Centerの動物施設に収容し、これらの動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認された動物プロトコールの文脈において使用した。膵管腺がんの同所性マウスモデルに関して、1×10
5個のKPC腫瘍細胞を、メスのAlbino B6(C57BL/6J-Tyr<c-2J>)マウス(Jackson Laboratories)における膵頭部に外科的に移植し、治療前の1週間定着させた。
図7A、7Bに示されるフローサイトメトリー研究において養子導入T細胞と内因性T細胞とを区別するために、野生型(CD45.2+)C57BL/6マウスから単離した脾細胞からNKG2D CAR T細胞を生成した。遺伝子導入後、T細胞を使用して、pan白血球マーカーCD45.1を発現するB6.SJL-Ptprca Pepcb/BoyJレシピエントマウス(Jackson Laboratories)を処置した。
【0170】
レトロウイルスベクター及びウイルス産生。SFG-CBR-luc(コメツキムシ赤色ルシフェラーゼを発現する)及びSFG-F-luc(ホタルルシフェラーゼを発現する)は、親切にもMichel Sadelain博士(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center、New York)によって提供された。レトロウイルスベクターpFb-chNKG2D-IRES-Neoは、Charles Sentman博士(Dartmouth、LebanonにおけるThe Geisel School of Medicine)によって提供され、以前に記載されている。Zhangら、Blood 106、1544~1551頁(2005年)。NKG2D CARは、CD3ζの細胞質部分と融合した全長マウスNKG2D(UniProt ID No.O54709)を含む。レトロウイルス粒子を生成するために、標準的なリン酸カルシウム法を使用してPhoenix Eco細胞(1.5×106個/10cmの培養プレート)に10μgのベクターDNAを一晩トランスフェクトした;翌日、これらを10mLの新鮮なDMEM中でさらに1日の間インキュベートし、その後、レトロウイルス上清を濾過し(0.45μm、Nalgene)、Ultracel 100K膜(Millipore)を使用して10倍濃縮した。
【0171】
腫瘍ターゲティングリンパ球の調製。膵臓がん特異的(NKG2D CAR形質導入)T細胞を生成するために、C57BL/6Jマウスの脾臓を回収し、フィルター上で柔らかくし、ACK溶解緩衝液(Biosource)に再懸濁した。エフェクターCD8+T細胞を、1ng/mLのインターロイキン-7(PeproTech)及び2μg/mLのConcavalin A(Calbiochem)を含む完全RPMI 1640中で脾細胞(3×106個/mL)を37℃にてインキュベートすることによって調製した。2日後、死細胞をFicoll勾配分離(GE Healthcare)によって除去し、CD8+細胞を、マウスCD8ネガティブ単離キット(Stemcell Technologies)を使用して単離した。NKG2D CARのT細胞への導入は、レトロウイルス形質導入によって実施した。濃縮したNKG2D CAR発現レトロウイルス(1mL)を、RetroNectin(TakiraBio)によりコーティングした6ウェルの非組織培養処理皿上に予め負荷し、37℃にて1時間インキュベートした。等体積の単離されたT細胞(10ngのmIL-2/mLを補足した3×106個/mLの細胞)を添加し、2000×gにて30分間遠心分離した)。スピノキュレーション(spinoculation)の6時間後、10ngのmIL-2(PeproTech)を含有する1mLの新鮮な予め温めたRPMIを添加した。感染の2日後、形質導入された初代T細胞(0.5~1×10個/mL)を、G418(0.5mg/mL)+25U/mLの組換えヒト(rHu)IL-2を含有するRPMI-10培地中でさらに3日間選択した。生存細胞を、Histopaque-1083(Sigma、St Louis、MO)を使用して単離し、養子導入前にG418なしで2日間増殖させた。生物発光T細胞イメージング実験のために、標的化T細胞を、コメツキムシ赤色ルシフェラーゼ(CBR-luc)により遺伝的にタグ化した。Dobrenkovら、J Nucl Med 49、1162~1170頁(2008年)。このスピノキュレーションの6時間後、50IUのIL-2を含有する1mLのRPMIを添加し、形質導入されたT細胞を1日後、実験のために使用した。
【0172】
刺激性脂質によりコーティングしたシリカミクロスフェアの調製。マレイミドにより機能化した脂質膜の調製。脂質ストック溶液をクロロホルム中で製剤化した。140mLのDOPC(10mg/mL)、30mLのDSPE-PEG(2000)マレイミド(5mg/mL)、150mLのコレステロール(5mg/mL)及び50mLの18:1のPEG2000-PE(5mg/mL、全てAvanti Polar Lipidsから購入した)を合わせて、55:5:30:10のDOPC:DSPE-PEG(2000)マレイミド:コレステロール:PEG2000-PE質量比及び2.5mgの総脂質を得た。クロロホルムを窒素ストリーム下で蒸発させ、残留溶媒を真空下で一晩除去した。
【0173】
シリカ微粒子のアミン修飾。500mgの球状シリカゲル(粒径15μm、孔径100Å、Sorbent Technologies)を、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(AEPTMS)のエタノール中25%溶液4mLに懸濁し、次いで室温にて5時間穏やかに混合した。未反応のAEPTMSを、遠心分離(2分、1000×g)及び上清のデカンテーションによって除去した。アミン修飾シリカをエタノール(4×2mL)により洗浄し、次いで2日間風乾した。
【0174】
STINGアゴニストのメソ多孔質シリカ微粒子への負荷。アミン修飾シリカの100mg/mL懸濁液を、pH7.2のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で調製し、この360μLを500μLのc-di-GMP(InvivoGen、PBS中2mg/mL)と合わせ、1時間穏やかにボルテックスし、次いで400μLのPBSにより希釈した。
【0175】
シリカへの脂質吸着。400μLのSiO2/c-di-GMP懸濁液を2.5mgバッチの脂質膜に添加し、10分間隔にて15秒間、合計1時間ボルテックスした。粒子を3500×gにて2分間ペレット化し、PBS(2×1mL)により洗浄し、次いで250μLのPBSに再懸濁した。
【0176】
脂質によりコーティングされた粒子への抗体コンジュゲーション。抗マウスCD3、CD28及びCD137抗体(BioXcell)のヒンジ領域ジスルフィド結合を、以前に記載されているようにジチオスレイトール(DTT)により選択的に還元した。Kwongら、Cancer Res 73、1547~1558頁(2013年)。DTTを脱塩カラムにより除去した後、これらの穏やかに還元された抗体(抗CD3:200μg;抗CD28及びCD137:400μg)を250μLのマレイミドにより機能化された粒子に添加し、手短にボルテックスし、その後、2時間回転させ、3500×gにて2分間遠心分離した。ペレットをPBS(2×1mL)により洗浄し、次いで125μLのPBSに懸濁した。
【0177】
足場作製。アルギネート足場は、以前に記載されているように、過ヨウ素酸ナトリウムにより酸化して、加水分解的に不安定な結合を生じた後、Gブロック(≧60%)が豊富な高分子量(250kDa)の超高純度アルギン酸ナトリウム粉末(Novamatrix Pronova UP MVGアルギネート)から産生した。Boontheekulら、Biomaterials 26、2455~2465頁(2005年)。
【0178】
簡潔に述べると、200μLの0.25%過ヨウ素酸ナトリウムを10mLの1%アルギネート水溶液に滴下して加え、暗所において25℃にて5時間撹拌した後、等モルのエチレングリコールにより30分間撹拌することによって反応をクエンチした。3,500分子量カットオフを有する膜を使用して、試料を脱イオン水に対して3日間透析し、次いで凍結乾燥した。酸化したアルギネート溶液をMES溶液(0.1MのMES、0.3MのNaCl、pH6.5)中で再構成し、カルボジイミド化学51:スルホ-NHS、EDC(両方ともThermo Scientific)を使用してコラーゲン模倣ペプチド「GFOGER50」(MIT Biopolymersの施設から得た)に共有結合によりコンジュゲートさせ、GFOGER(配列番号1)ペプチドを連続的に添加し、24時間後、溶液を再び透析し(MWCO 20kDa透析膜、Thermo Scientific)、凍結乾燥した。
【0179】
足場を作製するために、アルギネートストックを、PBS中2%w/v溶液7mLに再構成し、55℃に加温した後、水性懸濁液中の7×106個の刺激性ミクロスフェアと混合した。穏やかな架橋を、1.4mLの0.1%(w/v)塩化カルシウム溶液をボルテックスしながら添加することによって開始し、次いで15mmの丸いテフロン(登録商標)コーティングされた型1つにつき700μLを直ちに移して2mm厚の足場を形成した。これらを-78℃にて凍結し、凍結乾燥して多孔質マトリックスを得、これをデシケーター中で4℃にて保存した。
【0180】
足場へのT細胞播種。エキソビボ増殖後、4T1乳房腫瘍抗原に特異的な又はNKG2D-CARを発現するように遺伝子操作されたマウスCD8+エフェクターT細胞をPBS中で2回洗浄し、細胞14×106個/mLの濃度にてRPMIを補足していない培地に再懸濁した。5%のAlgiMatrix Firming Buffer(Invitrogen)を添加した後、500μLのこの細胞懸濁液を、24ウェル組織培養プレート中の各凍結乾燥足場の上に直ちに接種した。細胞を、氷上で30分間、これらのマトリックスに注入した後、腫瘍切除腔又は腹膜腔に移植した。
【0181】
細胞傷害性アッセイ。T細胞のインビトロ細胞傷害性活性を、他の箇所に記載されているように、標準的な51Cr放出アッセイを使用して測定した。Erskine、J Vis Exp、e3683(2012年)。簡潔に述べると、4T1乳房腫瘍、ID8-VEGF卵巣腫瘍又はB16F10黒色腫対照腫瘍細胞を、37℃にて1時間、51Crにより標識化し、10%FCSを含有するRPMIにより洗浄し、1×105個の腫瘍細胞/mLの濃度にて同じ培地に再懸濁した。T細胞を、96ウェルプレート(最終体積、200μL)中で種々のエフェクター対標的細胞比にて懸濁液に添加し、37℃にて4時間インキュベートし、次いで各ウェルからの30μLの上清を、Top Count NXTマイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard Bioscience)による分析のためにLumaplate-96マイクロプレート(Packard Bioscience)に移した。市販のキット(R&D Systems)を使用してフローサイトメトリーによって測定したIFN-γ+CD8+T細胞の総数に基づいて、エフェクター細胞数を計算した。
【0182】
インビボ生物発光及びイメージング。PBS(15mg/mL)中のD-ルシフェリン(Xenogen)を、F-luc(4T1乳房腫瘍及びID8-VEGF卵巣腫瘍のイメージング)及びCBR-luc47(T細胞イメージング)のための基質として使用した。生物発光画像を、Xenogen IVIS Spectrum Imaging System(Xenogen、Alameda、CA)を用いて収集した。Living Imageソフトウェアバージョン4.3.1(Xenogen)を使用して、150mg/kgの2%イソフルラン(Forane、Baxter Healthcare)により麻酔した動物へのD-ルシフェリンの腹腔内注射の10分後にデータを取得(及びその後定量)した。取得時間は10秒~5分の範囲であった。
【0183】
フローサイトメトリー。抗組換えアネキシンV(アポトーシス細胞を定量するために使用される)及びFACSCanto Flow Cytometer(BD Biosciences)と共に使用される他の抗体は、eBioscienceから購入した。
【0184】
共焦点顕微鏡。共焦点顕微によって足場を可視化するために、Hilyte Fluor 647(Anaspec)を、標準的なEDC/NHS化学を使用してアルギネートにコンジュゲートし、次いで1部のコンジュゲートを9部のGFOGER(配列番号1)ペプチド修飾アルギネートと混合して上記のように足場を作製した。T細胞を、これらの足場に播種する直前に、CellTracker Orange CMTMR(Invitrogen)により標識化した。移植の3日後、腫瘍切除床をOCT(Tissue-Tek)中で急速凍結して凍結切片を生成し、これを2%パラホルムアルデヒドにより固定し、ProLong Gold Antifade試薬(Invitrogen)中でマウントし、Zeiss LSM 780 NLOレーザー走査共焦点顕微鏡により画像化した。
【0185】
統計。T細胞移動パラメータにおける測定差の統計的有意性を、一元配置分散分析、続いてダネットの比較検定を使用して計算した。生物発光腫瘍及びT細胞シグナルにおけるペアワイズ差を、ウィルコクソンの順位和検定を使用して選択した時点において分析し、生存データを、Log-rank検定を使用して特徴付けた。全ての統計分析を、GraphPad Prismソフトウェアバージョン6.0を使用して実施した。
【0186】
研究の承認。マウスの実験及び取り扱いは、IACUCプロトコールの下で、Fred Hutchinson Cancer Research Center IACUCからの承認を得て、連邦、州及び地方のガイドラインの下で行った。
【0187】
結果。腫瘍反応性T細胞の静脈内注射は、膵管腺がんを除去することができない。臨床的に関連した環境において新しい免疫療法アプローチを試験するために、LSL-KrasG12D;p53lox/+(KPC)マウスが産生する自然発生膵臓腫瘍に由来する細胞株を使用して、記載されている実験を実施した(Hingoraniら、Cancer Cell 7、469~483頁(2005年));これは、急速及び予測可能な成長動態を有する膵臓がんの免疫応答性同所性ネズミモデルの作製を可能にした。KPC細胞をルシフェラーゼにより遺伝的にタグ化し、それにより腫瘍負荷を、生物発光イメージングを使用して非侵襲的に定量することができるようにした。非KPC同腹子の膵臓に同所移植した場合、これらの腫瘍細胞は、遺伝子変異、組織学的外観及び抗原/標的発現の不均一性に関して、ヒト膵臓がんを模倣する病変に再現可能に発達する(
図2A~2C)。
【0188】
膵臓がん特異的リンパ球の従来の静脈内注射は、このKPCモデルにおいて腫瘍を根絶することができないことが最初に確認された。これらのリンパ球を作製するために、マウスT細胞に、これらの受容体を発現するT細胞によって認識されるKPC抗原である、Rae-1に特異的なキメラナチュラルキラー受容体(CD3ζ30の細胞質シグナル伝達ドメインと連結されたNKG2Dを含む;
図2D)をコードするレトロウイルスを形質導入した(
図2E、2F)。KPC腫瘍に関する導入されたT細胞のインビボでの移動及び蓄積を追跡及び定量するために、コメツキムシルシフェラーゼのためのベクターをプラスミドに含めた。この結果により、静脈内に注入されたT細胞が脾臓及び肝臓において高レベルにて蓄積するが、これらはKPC腫瘍部位への輸送が非効率的であり(
図2G)、未処置の対照動物と比較して、わずかな4日間の生存の利点を生じることが確立される(
図2H)。さらに、Rae-1標的抗原発現レベルは、対照リンパ球と比較した場合、CAR-T細胞の注入後、ほんの少しだけ低かった(
図2I)。
【0189】
生物活性担体を介した送達は、腫瘍部位におけるT細胞の増殖及び機能を実質的に改善するが、抗原陰性腫瘍サブタイプはこれらの細胞による排除を回避する。上記の結果は、膵臓腫瘍部位への腫瘍反応性T細胞の局所送達のために生体材料を使用する可能性の探求を促し、これらを維持する方法を創出することを促した。腫瘍が切除された場所又は切除されていない場所に(
図3A)、外科的に移植され得る再吸収性ポリマー装置に抗がん免疫細胞を埋め込む方法が最近開発され、US2016/0008399及びStephanら、Nat Biotechnol 33、97~101頁(2015年)に記載されている。すでにこれらの標的部位において、送達されたリンパ球は直ちにがん細胞の除去を開始する。多孔質足場は、この非常に優れた生体適合性及び生分解性のために、FDAによってヒトへの使用が承認されている、キャスティング可能な天然に存在する多糖である、重合アルギネートから作製される。Baldwin & Kiick、Biopolymers 94、128~140頁(2010年)。これらが活性T細胞のための効率的な送達ビヒクルとして機能することができるように、これらの装置を、移動促進巨大分子(例えば、コラーゲン模倣ペプチド)及び刺激合図(例えば、抗CD3、抗CD28及び抗CD137抗体を提示する埋め込まれた微粒子;
図3A)により増強した。ルシフェラーゼ発現KPC腫瘍細胞を導入してから10日後、7×10
6個のNKG2D-CAR+T細胞を含有する足場を、得られた膵臓腫瘍の上に直接移植した(
図3B)。第2の群は腫瘍に直接注射された同じ用量の細胞を受け、対照マウスは処置を受けなかった。生物発光イメージングを使用して腫瘍成長を定量し、並行実験において、リンパ球の組織分布、増殖及び持続性を追跡した。膵臓腫瘍に直接注射されたCAR-T細胞は、免疫抑制性微小環境ではあまり持続せず、疾患進行において一時的な遅延しか生じなかったことが見出された(未処置の対照群における全生存期間中央値14.5日と比較して21日、
図4A~4D)。対照的に、移植された足場から送達されたT細胞は、腫瘍部位において有意に増殖し(8日目に注射されたT細胞と比較して166倍高いピーク光子計数、P<0.0001、
図4A、4B)、KPC腫瘍成長を大幅に低減させた(
図4A、4C)。しかしながら、これらが処置されたマウスの生存率を2倍より多くしたとしても、全てのマウスが最終的にRae-1低/陰性免疫エスケープバリアントを発生したので、T細胞を負荷した足場は、疾患を完全に除去することができなかった(
図4E)。
【0190】
足場からのCAR-T細胞及びSTINGアゴニストの組合せ放出は、宿主抗原提示細胞の相乗的成熟及び活性化を生じる。上記の観察は、CAR-T細胞を用いて単一抗原をターゲティングすることが、腫瘍が、移植可能な足場から送達される最適に刺激された抗がんT細胞により飽和される場合でさえ、抗原陰性細胞の増殖に対して保護する可能性が低いことを示す。したがって、次に、残存CAR耐性腫瘍細胞型を除去する目的のために宿主T細胞応答を相乗的に開始することを試みた(
図5Aを参照のこと)。無傷の免疫系は効果的な腫瘍特異的応答を生じることができるが、そうするために刺激を必要とする。残念なことに、腫瘍は、これらの流入領域リンパ節に位置する抗原提示細胞の成熟及び活性化を阻害し、それによって腫瘍反応性T細胞が細胞溶解性エフェクターに分化することを阻止する。この抑制を逆転させること目的として、足場を使用して、腫瘍環境を、抗原提示細胞の動員及び刺激を介してT細胞プライミングをより導きやすくするために高い局所濃度の免疫刺激性STINGアゴニストサイクリックジGMP(c-diGMP)を達成した(
図5B)。主要組織適合遺伝子複合体クラスII(MHC-II)及びT細胞共刺激分子(例えば、CD86)の高発現によって定義される樹状細胞(DC)は、最も有力な抗原提示細胞であり、適応抗腫瘍免疫応答を組織化することができる。樹立されたKPC腫瘍に関連する腫瘍関連リンパ節の免疫表現型決定により、これらのDCの6%未満(CD11c+CD11b+としてフローサイトメトリーにおいて認識される)が、CD86のこれらの発現によって証明されるように、適切に活性化されたことが明らかになった;DCの大部分は免疫寛容原性であった(CD86陰性;
図6A)。移植された足場からのc-diGMPのみの放出は、これらのDCの大部分によってCD86及びMHC-II発現を上方制御し、流入領域リンパ節におけるこれらの全体の頻度を38倍増加させた(
図6B)。STINGアゴニストなしで作製したCAR-T細胞を負荷した足場の移植後、CD11c+CD86+成熟DCの数はわずか(9.4倍)しか増加しなかったが、これらの細胞でのMHC-II発現レベルは、c-diGMP処置群と比較して2倍超高かった(
図6A、6B)。移植マトリックスからのc-diGMP及びCAR-T細胞の両方の放出は、活性化DCの頻度の大幅な増加(c-diGMP単独と比較して3.7倍高い)によって反映されるDCの相乗的活性化を生じた。特に、これらの細胞は高レベルの共刺激分子並びにMHC-IIを発現し、これらが腫瘍抗原を効果的に交差提示することができ、抗腫瘍T細胞応答を開始することができることを示す(
図6B)。
【0191】
CAR-T細胞/STINGアゴニスト併用療法は、強力な腫瘍特異的宿主リンパ球応答をプライミングする。宿主における腫瘍特異的T細胞の活性化を測定するために、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)糖タンパク質gp33を発現するKPC膵臓腫瘍モデルを使用した。代用膵臓腫瘍抗原として、このタンパク質は、足場がCD8+T細胞の中の四量体陽性細胞の頻度にどのように影響を及ぼすかを分析するためのフローサイトメトリーの使用を可能にした。足場により送達されたT細胞と内因性T細胞とを区別するために、ドナー細胞をCD45.2マーカーにより遺伝的にタグ化し、CD45.1トランスジェニックマウスを宿主として使用した。マウスを、c-diGMP、CAR-T細胞又はこの2つの組合せのいずれかを腫瘍に放出するように操作した生体材料足場により処置した。対照マウスは処置を受けなかった。予想されたように、自然発生的な抗腫瘍T細胞応答は未処置のマウスにおいてめったに起こらず(
図7A)、gp33異種抗原のこれらの発現にもかかわらず、KPC-gp33腫瘍が高度に免疫抑制性であり続けることが確立された。c-diGMPが負荷された足場又はリンパ球のみにより調製した足場による処置は宿主抗腫瘍T細胞活性を生じたが、全体的な応答はわずかであった(末梢血gp33四量体陽性T細胞において、それぞれ1.3倍及び2倍の増加した数;
図7A、7B)。対照的に、c-diGMP及びCAR発現T細胞の併用は相乗的な抗腫瘍応答を誘発し、これはリンパ球のみを放出するインプラントより平均で6.4倍高かった(
図7A、7B)。
【0192】
足場は腫瘍を除去し、転移を排除するのに十分な宿主抗腫瘍免疫を誘発することができる。CARプログラムされたT細胞と一緒にSTINGアゴニストを同時送達する足場によって提供される抗腫瘍効果を測定するために、同所性KPC腫瘍を有するマウスを、c-diGMP単独又はc-diGMP及びCAR-T細胞の両方のいずれかにより機能化された足場を使用して処置した;対照マウスは処置を受けなかった。腫瘍成長を連続生物発光イメージングによって定量した。足場からのCAR-T細胞及びc-diGMPの組み合わせた放出は、10匹の処置マウスのうちの4匹においてKPC腫瘍を根絶し(
図8A~8C)、他の6匹は生存の平均37日の改善を伴う実質的な腫瘍退縮を示したことが見出された。STINGアゴニスト単独は完全なクリアランスを決して生じなかったが、対照群と比較して6日まで生存を増加させた。足場が全体的な抗腫瘍免疫を誘発するかどうかを決定するために、完全な腫瘍退縮を経験した4匹のマウス(
図9A、9B)を、10
4個のルシフェラーゼ発現KPC腫瘍細胞の全身投与により再チャレンジした;腫瘍ナイーブマウスを対照として使用した。次いで生物発光イメージングを使用して、処置群間の肺転移の成長率の差を定量した。この結果により、CAR-T細胞/STINGアゴニスト免疫療法により治癒した全てのマウスがこの再チャレンジから完全に防御され、KPC細胞が投与された4週間後に測定可能な腫瘍塊はなかったことが確立される。対照的に、対照動物はこれらの肺において転移病巣を急速に形成し、これらの疾患により急速に死亡した(
図9B)。したがって、CARプログラムされたT細胞及びSTINGアゴニストを使用する適切に処方された併用療法は、局所腫瘍を排除することができ、未処置の遠隔転移を阻止するのに十分に強力な全身性宿主抗腫瘍免疫を誘発することができる。
【0193】
この研究は、迅速な腫瘍クリアランス及び全身性抗腫瘍免疫の両方を達成する、がん療法における新たな概念を実証している。開発された足場は、外科医が、有力なSTINGアゴニストと一緒に抗がんリンパ球を、高い局所濃度にて、かつ長期間にわたって、腫瘍に直接送達することを可能にする。このことは、例えば、膵臓腫瘍手術後の治療成功を最大化するだけでなく、開示された足場を用いた単一の治療が、複雑な第2又は第3の手術、費用のかかる長期の入院、放射線及び化学療法のサイクル並びに高価な緩和ケアから患者を救う可能性が高いので医療費も低減する。より広義には、このプラットフォームは、治療を容易及び安全に固形腫瘍に直接適用するための適切な手段を外科医に提供することによって、広範な影響を及ぼす化学的及び放射線ベースのアプローチから腫瘍特異的免疫療法に最終的に焦点を移すことができる。
【0194】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示される各実施形態は、明記しているその特定の要素、ステップ、成分又は構成要素を含むことができ、これらから本質的になることができ、又はこれらからなることができる。本明細書に使用される場合、「含む」という移行語は、含むが、限定されないという意味であり、具体的に記載していない要素、ステップ、成分又は構成要素を多量でさえも含むことを許容している。「からなる」という移行語は、具体的に記載していない要素、ステップ、成分又は構成要素を全て除外する。「から本質的になる」という移行語は、実施形態の範囲を、具体的に記載している要素、ステップ、成分又は構成要素及び実施形態に重大な影響を与えない要素、ステップ、成分又は構成要素に制限する。本明細書に使用される場合、重大な影響とは、本明細書に開示される抗腫瘍活性の少なくとも2つの尺度において、請求されている足場又は方法の抗腫瘍効果の統計的に有意な低下を生じるものである。
【0195】
特に指定しない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量、分子量のような性質、反応条件などを表す全数値はいずれの場合も、「約」という用語で修飾されていると理解すべきである。したがって、特に逆の記載がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは概数であり、本発明により獲得しようとする所望の性質に応じて変動することができる。特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではないが、最低限でも、各数値パラメータは少なくとも報告する有効数字を踏まえて通常の丸め方を適用することにより解釈すべきである。さらに明瞭にする必要がある場合には、「約」という用語は明記する数値又は範囲と共に使用するときに当業者が妥当に割り当てる意味であり、すなわち記載値の±20%、記載値の±19%、記載値の±18%、記載値の±17%、記載値の±16%、記載値の±15%、記載値の±14%、記載値の±13%、記載値の±12%、記載値の±11%、記載値の±10%、記載値の±9%、記載値の±8%、記載値の±7%、記載値の±6%、記載値の±5%、記載値の±4%、記載値の±3%、記載値の±2%又は記載値の±1%の範囲内までで記載値又は範囲よりも多少大きい又は多少小さい数値又は範囲を意味する。
【0196】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは概数であるが、具体例に記載している数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、いかなる数値もこれらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差により必然的に生じる所定の誤差を内在的に含む。
【0197】
本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)において使用される「一つの(a)」、「一つの(an)」、「この」という用語及び同類の指示語は、本明細書において特に指定する場合又は文脈からそうでないことが明白な場合を除き、単数及び複数の両方に対応すると解釈すべきである。本明細書における数値範囲の列挙は、この範囲内に該当する個々の数値を個別に表す省略法として利用する目的に過ぎない。本明細書において特に指定しない限り、個々の数値を本明細書に個別に記載しているものとして本明細書に組み入れる。本明細書において特に指定する場合又は文脈からそうでないことが明白な場合を除き、本明細書に記載されている全方法は、任意の適切な順序で実施されてもよい。本明細書に提供されているありとあらゆる例又は例示的文言(例えば「のような」)の使用は、本発明をより明瞭にする目的に過ぎず、この例又は文言がなく請求されている本発明の範囲に制限を加えるものではない。本明細書中のいかなる文言も本発明の実施に不可欠な請求外の要素を表すと解釈すべきではない。
【0198】
本明細書に開示される本発明の択一的要素又は実施形態のグループを、制限として解釈すべきではない。各グループメンバーを個々に又はこのグループの他のメンバー若しくは本明細書に見出される他の要素とのあらゆる組合せにおいて、言及及び請求することができる。便宜及び/又は特許性の理由からあるグループの1つ以上のメンバーをあるグループに組み入れることもできるし、削除することもできることが予測される。あらゆるこのような組み入れ又は削除が行われる場合には、本明細書は変更されているグループを含むものとみなされ、したがって添付の特許請求の範囲において使用される全マーカッシュグループの文言を満足する。
【0199】
本発明を実施するために本発明者が知る限り最良の形態を含めて、本明細書には、本発明の所定の実施形態が記載されている。当然のことながら、記載されているこれらの実施形態に対する変形も上述の記載を通読後に当業者に明らかとなる。本発明者は、当業者がこのような変形を適宜利用するものと予想し、また、本発明者は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることも想定している。したがって、準拠法により許可される範囲において本発明は添付の特許請求の範囲に記載されている主題の全変形及び均等物を含む。さらに、本明細書において特に指定する場合又は文脈からそうでないことが明白な場合を除き、上記要素のあらゆる組合せを可能な全てのこの変形として本発明に包含する。
【0200】
さらに、本明細書では随所で特許及び出版物を多数引用している。上記引用文献及び出版物の各々は、これらの全体が参照により本明細書に個々に組み込まれる。
【0201】
終わりに、本明細書に開示される本発明の実施形態は本発明の原理を例証するものであることを理解すべきである。利用され得る他の変更も本発明の範囲内である。したがって、限定するものではないが、例として、本発明の代替構成も本明細書の教示に従って利用され得る。したがって、本発明は厳密に示され、記載されている通りに制限されない。
【0202】
本明細書に示される詳細事項は例示であり、本発明の好ましい実施形態を具体的に説明する目的に過ぎず、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的側面の最も有用で理解し易い説明であると考えられるものを提供するために提示しているに過ぎない。この点については、本発明の基本的な理解に必要である以上に詳細に本発明の構成内容を示そうとするものではなく、本発明の複数の形態を実際にどのように具体化できるかは説明を図面及び/又は実施例と勘案することにより当業者に明らかである。
【0203】
以下の実施例において明瞭かつ明確に変更されている場合又はこの意味を適用すると構文の意味が通らない場合若しくは本質的に意味が通らない場合を除き、本開示において使用される定義及び説明は、後続する全構文に適用されるものとする。用語の構文では意味が通らない場合又は本質的に意味が通らない場合には、Webster’s Dictionary、第3版又はOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith、Oxford University Press、Oxford、2004年)のような当業者に公知の辞書から定義を参照されたい。
【配列表】