(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20241128BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B23/00 510E
(21)【出願番号】P 2023059765
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2018221343の分割
【原出願日】2018-11-27
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】茂木 稜子
(72)【発明者】
【氏名】石田 憲
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-290381(JP,A)
【文献】特開2007-066244(JP,A)
【文献】特開2006-155291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
前記受信機は、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
ガイド操作手段が操作された場合、前記表示手段により画面表示されている前記所定の情報に対応したガイダンス情報を画面表示させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記受信機の通常監視状態で、前記表示手段により前記所定の情報を画面表示させ、
前記表示手段により前記所定の情報を画面表示させた状態で、前記ガイド操作手段が短押し操作された場合、前記所定の情報の説明を前記ガイダンス情報として画面表示させ、前記ガイド操作手段が長押し操作された場合、前記所定の情報の説明以外の所定のメニュー情報を前記ガイダンス情報として画面表示させることを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
受信機に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
前記受信機は、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
ガイド操作手段が操作された場合、前記表示手段により画面表示されている前記所定の情報に対応したガイダンス情報を画面表示させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記受信機の通常監視状態で、前記表示手段により前記所定の情報を画面表示させ、前記ガイド操作手段が操作された場合、前記所定の情報の説明を前記ガイダンス情報として画面表示させ、
前記表示手段により前記所定の情報を画面表示させた状態で、火災イベントが発生した場合、所定の対処行動又は対処操作のガイダンス情報を所定の順番に従った画面切替えにより表示し、前記画面切替えによる前記ガイダンス情報の表示状態で前記ガイド操作手段を操作された場合、前記ガイダンス情報を音声手段により音声出力させることを特徴とする火災報知設備。
【請求項3】
受信機に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
前記受信機は、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
照光機能を有するガイド操作手段と、
前記ガイド操作手段が操作された場合、前記表示手段により画面表示されている前記所定の情報に対応したガイダンス情報を画面表示させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記受信機の通常監視状態で、前記表示手段により前記所定の情報を画面表示させ、
前記ガイド操作手段が操作された場合、前記所定の情報の説明を前記ガイダンス情報として画面表示させ、
前記ガイダンス情報を画面表示させた状態で、前記照光機能を作動して前記ガイド操作手段の操作を促す旨を報知させることを特徴とする火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信機から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備としては、R型火災報知設備とP型火災報知設備が知られている。
【0003】
R型火災報知設備にあっては、受信機から引き出された信号回線に、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアナログ火災感知器を接続し、火災発生時には、アナログ火災感知器からの火災割込みに基づき、受信機から検索コマンドを発行して発報したアナログ火災感知器のアドレスを特定し、受信機で火災代表灯を点灯して主音響警報を出力し、更に、アドレス表示器等に火災を検出した感知器アドレスを表示するようにしている。
【0004】
このように、火災を検出した火災感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0005】
P型火災報知設備は、受信機から引き出された信号回線にオンオフ火災感知器を接続して回線単位に火災を監視しており、火災検出時にはオンオフ火災感知器の火災発報により信号回線に発報電流を流すことで火災検出信号を受信機に送信し、火災警報を出力すると共に火災検出信号を受信した信号回線に対応した地区表示灯を点灯して火災発生地区を表示するようにしている。
【0006】
また、R型火災報知設備の受信機は、盤面に火災の監視操作に必要な主音響停止スイッチ、地区音響停止スイッチ、火災断定スイッチ等のハードスイッチが設けられ、これに加えてタッチパネル付きのディスプレイが設けられている。
【0007】
受信機のディスプレイには、通常監視状態では正常動作中を示す画面表示が行われており、信号回線断線や機器故障等の障害が発生すると障害情報が画面表示される。
【0008】
火災時にはディスプレイに火災発生地区を示す火災警報画面が表示され、併せて、主音響停止釦の操作や現場確認を促すガイダンス情報が表示され、担当者は訓練等で取得した手順に従って火災対処に必要な行動をとることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-219870号公報
【文献】特開2000-268276号公報
【文献】特開平11-096469号公報
【文献】特開平08-180280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような受信機に設けたディスプレイに火災監視や設備運用に必要な情報を画面表示する火災報知設備にあっては、利用者に一つずつ質問や設定項目を画面表示により提示して選択や入力を促し、対話的に処理を進める操作方式として知られたウィザード方式を採用しているが、画面表示により利用者に示す質問や設定項目は、操作に不慣れな利用者の場合、その意味を把握するまでに時間がかかり、特に、受信機から火災警報が出力された火災発生時には、迅速且つ確実な対処行動が必要となるが、画面表示の意味が分かりにくいと円滑に対処することができない虞がある。
【0011】
また、受信機のディスプレイには、受信機の状態や状況を知らせるシンボルマーク等の簡素な表示要素であるインジケータを表示している。しかしながら、通常監視状態でインジケータが画面表示された場合、インジケータは種類が多く、また、インジケータが画面表示される頻度はそれほど多くないため、画面表示されているインジケータが何を示しているかが分からず、必要とする対処行動に手間取るといった問題もある。
【0012】
本発明は、受信機に画面表示された情報を正しく理解して必要とする対処操作や対処行動を迅速且つ確実に行うことを可能とする火災報知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(火災報知設備)
本発明は、受信機に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
受信機は、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
ガイド操作手段が操作された場合、表示手段により画面表示されている所定の情報に対応したガイダンス情報を画面表示させる制御手段と、
を備え、
制御手段は、受信機の通常監視状態で、表示手段により所定の情報を画面表示させ、ガイド操作手段が操作された場合、所定の情報の説明をガイダンス情報として画面表示させることを特徴とする。
【0014】
ここで、受信機による火災監視に必要な所定の情報とは、通常監視時及び火災時に発生したイベント、運用管理に必要な情報、対処操作に必要な情報等の全ての情報を意味し、更に、受信機の保守点検モードでの運用管理や操作に必要な情報も含まれる。
【0015】
また、表示手段は例えばタッチパネル付きの画面操作可能なディスプレイ等の装置であり、さらに、ガイド操作手段とは、受信機の盤面に配置されたハードスイッチとする。
【0016】
(短押し操作と長押し操作による通常監視中のガイダンス表示)
制御手段は、表示手段により所定の情報を画面表示させた状態で、ガイド操作手段が短押し操作された場合、所定の情報の説明をガイダンス情報として画面表示させ、ガイド操作手段が長押し操作された場合、所定の情報の説明以外の所定のメニュー情報をガイダンス情報として画面表示させる。
【0017】
(火災イベントのガイダンス)
制御手段は、表示手段により所定の情報を画面表示させた状態で火災イベントが発生した場合、所定の対処行動又は対処操作のガイダンス情報を所定の順番に従った画面切替えにより表示し、画面切替えによる各ガイダンス情報の表示状態でガイド操作手段を操作された場合、ガイダンス情報を音声手段により音声出力させる。
【0018】
(ガイド操作手段の照光機能)
ガイド操作手段は、照光機能を有して表示手段の画面外の近傍に配置され、
制御手段は、ガイダンス情報を画面表示させた状態で、照光機能を作動してガイド操作手段の操作を促す旨を報知する。
【発明の効果】
【0019】
(基本的な効果)
本発明は、受信機から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備に於いて、受信機に、受信機による火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、ガイド操作手段が操作されると、表示手段により画面表示している所定の情報に対応したガイダンス情報を画面表示させる制御手段とが設けられたため、表示手段に情報が画面表示されたとき、利用者がガイド操作手段を操作すると、画面表示されている情報の説明文や行動ガイド等のガイダンス情報が画面表示され、利用者は画面表示された情報をガイダンス情報により正しく理解して必要とする操作や対処行動を迅速且つ確実に行うことを可能とする。
ガイダンス操作手段として機能する照光式スイッチが点灯又は点滅することでガイダンス対象となる情報が画面表示されていることを利用者に知らせることができ、利用者は画面表示による問いかけに対し、ガイド操作手段の操作によるガイダンス情報の画面表示で問いかけ内容を正しく理解してガイダンス情報に従った対処行動を迅速且つ確実にとることができる。
【0020】
(ガイダンス情報の表示位置による効果)
また、表示手段は矩形又は略矩形であって、ガイダンス情報は、表示手段のうちガイド操作手段と最も近い辺とガイダンス情報との間に文字を表示させない位置に配置されるため、矩形又は略矩形の表示手段、例えばディスプレイの辺とガイダンス情報がぴったりとくっつく又は余白(背景色でぬられても良い)とすぐ近くに配置することで、ガイド操作手段の近傍にガイダンス情報が表示され、視線が誘導され、直観的な操作を容易とすることができる。
【0021】
(ガイド操作手段の位置による効果)
また、ガイド操作手段は、受信機を正面視したときに表示手段の下部又は右部に設けられたため、受信機の表示画面は横書きのため、操作者の視線は上から下及び、左から右方向に誘導され、ガイド操作手段は表示内容を把握したのちに不明な点がある場合に操作されるため、画面内容把握後の視線の位置に配置されることで、直観的な操作をさらに容易とすることができる。
【0022】
(ガイダンス情報の選択による強調表示による効果)
また、ガイダンス情報の一部を選択することで、表示手段により画面表示している所定の情報のうち、選択されたガイダンス情報の一部と対応する部分を強調表示するようにしたため、ガイダンスエリアの内容とメインエリアの内容の対応関係が分かりやすくなり、やりたい内容についてどの操作をすればよいかわかるようになる。また、ガイダンスエリアでの操作は実際の処理を直接行わないため、指先を説明文の下において確認するなど、安心して画面を操作することが可能となる。
【0023】
(インジケータのガイダンス表示の効果)
また、制御手段は、受信機の通常監視状態で発生した非火災イベントを示す所定のインジケータを表示手段により画面表示させており、ガイド操作手段が操作されるとインジケータの説明をガイダンス情報として画面表示させるようにしたため、画面上で何かの状態や状況を知らせる簡素な表示要素となるインジケータが画面表示に対し、利用者はガイド操作手段の操作によるインジケータの説明が画面表示されることで、インジケータの意味を正しく理解して必要な対処を迅速に行うことを可能とする。
【0024】
ここで、インジケータにより画面表示される非火災イベントは、信号回線の障害情報、プリンタ印字状態、受信機設定データの変更、機器の障害情報、機器の障害予測情報、停止設定されたスイッチ注意の少なくとも何れかを含む。
【0025】
(通常監視中のガイダンス表示の効果)
また、制御手段は、受信機の通常監視状態で、表示手段により所定のメニュー釦を画面表示させており、ガイド操作手段が操作されるとメニュー釦の説明をガイダンス情報として画面表示させるようにしたため、利用者がガイド操作手段を操作すると、通常監視状態で画面表示されているメニュー釦の説明がガイダンス情報として表示され、利用者は例えば火災報知設備に設けられている機器の起動遮断や連動停止の設定等の対処を、画面表示
されたガイダンス情報により正しく理解して確実に行うことを可能とする。
【0026】
(短押し操作と長押し操作による通常監視中のガイダンス表示の効果)
また、制御手段は、受信機の通常監視状態で、表示手段により所定のメニュー釦を画面表示させており、ガイド操作手段が短押し操作されるとメニュー釦の説明をガイダンス情報として画面表示させ、ガイド操作手段が長押し操作されるとメニュー釦の説明以外の所定のメニュー情報をガイダンス情報として画面表示させるようにしたため、ガイド操作手段の操作の仕方で、異なったガイダンス情報を表示させることができる。
【0027】
(火災イベントのガイダンスによる効果)
また、制御手段は、火災イベントが発生した場合、所定の対処行動又は対処操作のガイダンス情報を所定の順番に従った画面切替えにより表示し、画面切替えによる各ガイダンス情報の表示状態でガイド操作手段を操作されるとガイダンス情報を音声手段により音声出力させるようにしたため、画面表示とガイド操作手段の操作による対話形式に従って火災イベントが発生したときの対処操作と対処行動を、操作に不慣れな利用者であっても、迅速且つ確実に行うことを可能とする。
【0028】
(火災イベントに対する対処操作と対処行動のガイダンスによる効果)
また、制御手段は、火災イベントが発生した場合、主音響停止操作のガイダンス画面を表示し、主音響停止操作が行われると現場確認のガイダンスと火災発生釦と非火災釦を表示したガイダンス画面を表示し、火災発生釦が操作されると火災確定操作のガイダンスを表示したガイダンス画面を表示し、火災確定操作が行われると所定の火災対処行動のガイダンスが表示されたガイダンス画面を表示し、一方、非火災釦が操作されると所定の非火災対処行動のガイダンスが表示されたガイダンス画面を表示し、各ガイダンス画面を表示した状態でガイド操作手段が操作されると各ガイダンス画面に表示しているガイダンスを音声手段により音声出力させるようにしたため、火災イベントが発生して火災警報が出力されることで極度の緊張が強いられ、また、迅速に必要な操作や対処をしなければならないとき、利用者によってはとっさに何をしたらよいかが分からない状況に置かれることがあるが、このような混乱した状況であっても受信機盤面に設けているガイド操作手段を操作すれば、そのとき必要な対処操作や対処行動のガイダンスが音声出力され、利用者は、主音響停止操作、現場確認、火災を現場確認したときの火災確定操作と火災対処行動、非火災を現場確認したときの非火災対処操作等を正しく把握し、迅速且つ確実に対処することができる。
【0029】
(ガイド操作手段の照光機能による効果)
また、ガイド操作手段は照光機能を備え、制御手段は、各ガイダンス画面の表示状態で照光機能を作動してガイド操作手段の操作を促す旨を報知するようにしたため、ガイド操作手段は照光機能を備えることで例えば照光式スイッチとして機能し、ガイド操作手段が照光機能により例えば点滅することで、例えば何をしたらよいかが分からない状況に置かれた利用者の注意を換気してガイド操作手段の操作を促し、ガイダンスを音声出力させることにより火災イベントの発生に対し迅速且つ適切な対処操作や対処行動を確実に行うことを可能とする。
【0030】
(分散システムの中継盤の効果)
また、受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続され、中継盤から引き出された信号回線に火災感知器が接続され、中継盤で火災を検出した場合に受信機に通知して火災警報を出力させる分散システムが構成されており、受信機の制御手段は、表示手段により火災監視に必要な中継盤の情報を表示しているときにガイド操作手段が操作されると、中継盤の情報に対応したガイダンス情報を表示手段により画面表示させるようにしたため、表示手段に中継盤の情報が画面表示されたときにも、利用者がガイド操作手段を操作すると、画面表示されている中継盤の情報の説明文や行動ガイド等のガイダンス情報が画面表示され、利用者は画面表示された情報をガイダンス情報により正しく理解して必要とする中継盤に対する対処操作や対処行動を迅速且つ確実に行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明が適用されるR型の火災報知設備の概要を示した説明図
【
図3】通常監視画面でのメニューのガイダンス表示を示した説明図
【
図4】通常監視画面での火災シミュレーションのガイダンス表示を示した説明図
【
図5】通常監視画面でのインジケータのガイダンス表示を示した説明図
【
図6】火災イベントが発生したときの火災警報画面の遷移を示した説明図
【
図7】受信機と中継盤で構成された分散システムを示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0032】
[火災報知設備]
図1は本発明が適用されるR型の火災報知設備の概要を示した説明図である。
【0033】
(実施形態の基本敵概念)
本実施形態による火災報知設備は、受信機10による火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段としてタッチパネル付きのディスプレイ36を設けると共に、この表示手段の画面の近傍にガイド操作手段として機能するハードスイッチとしてガイドスイッチ48を設け、利用者に受信機10による火災監視に必要な情報をディスプレイ36の画面表示により提示して選択や入力といった対処操作や対処行動を促し、対話的に処理を進める操作方式として知られたウィザード方式を基本としており、更に、利用者がガイドスイッチ48を操作するだけで、ディスプレイ36に画面表示されている情報の説明文や行動ガイド等のガイダンス情報が画面表示され、更に、火災イベントの発生時にはガイダンス情報が音声出力され、利用者はガイダンス情報により正しく状況を理解して必要とする対処操作や対処行動を行うことを可能とするものである。
【0034】
即ち、利用者がガイドスイッチ48を押すだけで、そのときの受信機10の状況に応じたガイダンス情報がディスプレイ36に画面表示され、また、火災イベントの発生的にはガイダンス情報が音声出力され、対処操作や対処行動が分からない場合、「ガイドスイッチ48を押して画面を見る」という単一の流れになるため、どのような状況においても、利用者は、初めに何をすればよいのか分からない、という状況に陥ることを防止することができる。以下、具体的に説明する。
【0035】
(火災報知設備の概要)
図1に示すように、火災報知設備が設置された建物の一階の管理人室などには例えばR型の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し系統毎に分けて信号回線12-1~12-3が引き出されている。なお、以下の説明では、信号回線12-1~12-3を区別する必要がない場合は、信号回線12という場合がある。
【0036】
信号回線12-1には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数のアナログ火災感知器14が接続され、また、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16から引き出された感知器回線17にオンオフ火災感知器18及び発信機20が接続されている。
【0037】
信号回線12-2には複数のアナログ火災感知器14の接続に加え、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアドレッサブル発信機22が接続されている。更に、信号回線12-3には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介して防排煙機器24が接続されている。
【0038】
ここで、信号回線12-1~12-3に接続されるアナログ火災感知器14、中継器16等の端末機器に設定される最大アドレス数は例えば255としており、信号回線12には最大255台のアナログ火災感知器14を含む端末機器が接続できる。
【0039】
(受信機の機能構成)
受信機10には、メインCPU26と複数のサブCPU基板28-1~28-3が設けられ、サブCPU基板28-1~28-3にはサブCPU30-1~30-3と伝送部32-1~32-3が設けられている。
【0040】
メインCPU26とサブCPU30-1~30-3は、シリアル転送バス34で接続されており、相互にデータを送受信する。なお、以下の説明では、サブCPU30-1~30-3及び伝送部32-1~32-3を区別する必要がない場合はサブCPU30及び伝送部32という場合がある。
【0041】
メインCPU26には、表示手段として機能する液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ36が接続され、ディスプレイ36には受信機10による火災監視に必要な情報がそのときの受信機10の状況に応じて表示される。ディスプレイ36による火災監視に必要な情報には、通常監視時及び火災時に発生したイベント、運用管理に必要な情報、対処操作に必要な情報等の全ての情報、更に、受信機の保守点検モードでの運用管理や操作に必要な情報も含まれる。
【0042】
メインCPU26に対して表示手段として機能するディスプレイ36に加え、LED等の表示灯を用いた表示部38が設けられる。表示部38には火災代表灯、ガス漏れ代表灯等が設けられる。
【0043】
また、メインCPU26に対しては操作部40が接続され、操作部40には火災監視に必要な火災断定スイッチ、主音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ等の各種スイッチに加え、本実施形態では、ガイド操作手段として機能するハードスイッチであるガイドスイッチ48が設けられている。利用者がガイドスイッチ48を操作すると、その時ディスプレイ36に画面表示している情報に対応したガイダンス情報が画面表示される。
【0044】
ガイドスイッチ48はワンタッチ操作として知られた短押し操作を行うことで、ガイダンス情報を画面表示させるが、長押し操作を行うことで、例えば受信機10の訓練メニューとして準備された火災シミュレーションの操作画面を表示させるといったガイダンス以外の画面表示も可能としている。
【0045】
更に、メインCPU26にはスピーカが設けられた音響警報部42、及び、移報部44が接続されている。音響警報部42は音声手段として機能し、火災イベントが発生した場合に主音響警報を出力するが、主音響警報を停止した状態でガイドスイッチ48を操作すると、そのとき画面表示されている火災対処操作や火災対処行動を示すガイダンスの音声出力を行う。
【0046】
メインCPU26にはプログラムの実行により制御手段として機能する火報制御部46が設けられる。
【0047】
(受信機の外観)
図2は受信機の外観を正面から示した説明図である。受信機10の盤面には、表示手段として機能する液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ36が配置される。ディスプレイ36はカラー画像を画面表示し、また、タッチパネルが画面に配置されることで、画面タッチ操作による選択や入力を可能としている。なお、表示手段はディスプレイ36以外にELパネル等の適宜の画像表示パネルが使用できる。
【0048】
ディスプレイ36の下側で盤面の左右中央となる利用者にとって見やすく且つ操作しやすい位置に、ガイド操作手段として機能するガイドスイッチ48が十分な大きさで目立つように配置されている。このため受信機10の前に利用者が立った場合、ディスプレイ36の画面をみたとき、画面に近接して配置したガイドスイッチ48も利用者の視界に入り、画面表示される情報と強い連携を持たせた操作を可能としている。
【0049】
ガイドスイッチ48は照光機能を備えた照光スイッチを使用しており、照光スイッチはLED等の表示灯を内蔵している。例えば、盤面に配置したガイドスイッチ48の周囲を囲むリング部分が内側に配置したLEDの作動によりリング状に点灯又は点滅する。
【0050】
本実施形態では、火災イベント発生してディスプレイ36にガイダンス対象となる情報が表示されると、ガイドスイッチ48の照光機能が有効となって点滅し、利用者にガイドスイッチ48の操作を促すようにしている。
【0051】
また、ディスプレイ36の下側の盤面には、火災断定スイッチ50、主音響停止スイッチ52及び地区音響一時停止スイッチ54が配置され、火災イベントが発生した場合の火災画面のガイダンス表示と連携した火災対処操作を可能としている。ガイドスイッチ48の下側の盤面には子扉55が下側を軸として前開き自在に設けられており、小扉55の内側には、復旧スイッチを含む各種の操作スイッチが設けられている。
【0052】
また、火災断定スイッチ50の外側には電話マイク64が配置され、ディスプレイ36の横に設けられた音響孔62の内部のスピーカとの組み合わせにより、ハンドフリーによる非常電話機能を実現している。
【0053】
また、ディスプレイ36の上側の盤面には火災代表灯58とガス漏れ代表灯60が設けられている。更に、受信機10の盤面の下側にはプリンタ56が配置され、受信機10で発生したイベントを印字出力するようにしている。
【0054】
(受信機の火災監視制御)
図1に示すように、サブCPU基板28-1のサブCPU30-1を例にとると、伝送部32-1に指示してアナログ火災感知器14との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、火災監視制御を行っている。伝送部32-1からアナログ火災感知器14に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、信号回線12-1の線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0055】
これに対しアナログ火災感知器14から伝送部32-1に対する上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、信号回線12-1に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機10に伝送される。
【0056】
サブCPU30-1による火災監視制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部32-1に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信したアナログ火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、サブCPU30-1は、
端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0057】
アナログ火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を伝送部32-1に送信する。また、アナログ火災感知器14は煙濃度又は温度が所定の火災注意レベルを超えると受信機10の伝送部32-1に対し火災割込み信号を送信する。
【0058】
サブCPU30-1は伝送部32-1を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災を検出しているアナログ火災感知器14を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出しているアナログ火災感知器14のアドレスを特定してセンサのアナログデータを集中的に収集し、シリアル転送バス34を介してメインCPU26に送信する。
【0059】
メインCPU26はサブCPU30-1から受信したアナログデータを所定の火災判定レベルと比較しており、アナログデータが火災判定レベルに達した場合に火災と判定し、表示部38の火災代表灯58を点灯し、音響警報部42のスピーカから火災発生を示す所定の主音響警報を出力させ、ディスプレイ36に火災が検出された感知器アドレスに基づき火災発生場所を含む火災警報情報を表示させ、更に、移報部44により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行わせる。
【0060】
サブCPU基板28-2に設けられたサブCPU30-2と伝送部32-2による火災監視制御も、前述したサブCPU基板28-1の場合と同じになる。また、サブCPU基板28-3に設けられたサブCPU30-3と伝送部32-3は、メインCPU26で火災が検知された場合に予め記憶された連動情報に基づき防排煙機器24の連動制御が行う。
【0061】
[ガイダンス表示]
(データ変更の制御機能)
受信機10のメインCPU26に制御手段として設けられた火報制御部46は、通常監視状態でガイドスイッチ48が操作されると、ディスプレイ36により画面表示しているガイダンスの対象となる所定の情報に対応したガイダンス情報を画面表示させる制御を行う。
【0062】
また、火報制御部46は、火災イベントが発生して火災警報を出力したとき、主音響停止操作のガイダンス画面を表示し、主音響停止操作が行われると現場確認のガイダンスと火災発生釦と非火災釦を表示したガイダンス画面を表示し、火災発生釦が操作されると火災確定操作のガイダンスを表示したガイダンス画面を表示し、火災確定操作が行われると所定の火災対処行動のガイダンスが表示されたガイダンス画面を表示し、一方、非火災釦が操作されると所定の非火災対処行動のガイダンスが表示されたガイダンス画面を表示し、更に、各ガイダンス画面を表示した状態でガイドスイッチ48が操作されると各ガイダンス画面に表示しているガイダンスを音響警報部42により音声出力させる。
【0063】
(通常監視状態でのガイダンス)
図3は通常監視画面でのメニューのガイダンス表示を示した説明図である。
図3に示すように、受信機10の通常監視状態にあっては、ディスプレイ36に通常監視画面66が表示される。通常監視画面66はメインエリア67にメニュー釦68,70,72が表示されている。なお、本実施形態でディスプレイ36に画面表示される釦とは、用途、機能などを図や絵柄、簡単な文字で表したアイコンとしての機能を備え、併せて、タッチ操作により対応する処理動作を実行させる操作釦(ツール釦)としての機能を併せて備える。
【0064】
この状態でガイドスイッチ48を単押し操作(ワンタッチ操作)すると、画面下側のガイドエリア74に、メニュー釦68,70のメニュー釦コピー68a,70aに対応してそれぞれのメニュー説明文68b,70bが画面表示される。
【0065】
メニュー説明文68bは、例えば「このシステムに接続されている各種機器の起動遮断設定ができます。」とし、また、メニュー説明文70bは例えば「このシステムに接続している地区警報の停止設定ができます。」とする。
【0066】
ガイダンスエリア74に全てのメニュー説明文が表示できない場合は、次釦76を操作することで、表示させることができる。なお、ガイドスイッチ48の単押し操作毎にメニュー説明文を切替え表示しても良い。
【0067】
また、常時、メインエリア67とガイダンスエリア74が分かれるようにしても良いし、ガイドスイッチ48が押されるまではメインエリア67がディスプレイ全体に表示されるようにしても良い。
【0068】
ガイドスイッチ48が押されるまではメインエリア67がディスプレイ全体に表示されるようにする場合、ガイドスイッチ48が押されると、画面の一部がガイダンスエリア74となる。この場合、メインエリア67の一部が隠れることになるが、メインエリア67をガイダンスエリア74と独立してスクロール可能に構成する等、情報を確認できるものとする。
【0069】
また、ガイダンスエリア74についてもメインエリア67と独立してスクロール可能に構成しても良い。この場合、メインエリア67が画面上に表示している内容についてガイダンスエリア74で表示し、メインエリアの67のスクロールに伴ってガイダンスエリア74の表示内容が切り替えられることがより好適である。また、ガイダンスエリア74については画面上の×ボタンの操作等で非表示状態とし、メインエリア67がディスプレイ全体に表示される状態に戻せるようにする。
【0070】
また、例えばメニュー釦コピー68aやメニュー説明文68b等のガイダンスエリア74の表示内容をタッチ操作等で選択することで、例えばメニュー釦68等のメインエリア67の該当する部分が色・枠形態・フォント等の変化やタッチ操作場所からメニュー釦への矢印生成等により強調表示されるようにしても良い。
【0071】
(通常監視状態での火災シミュレーションのガイダンス表示)
図4は通常監視画面での火災シミュレーションのガイダンス表示を示した説明図である。
図4に示すように、受信機10の通常監視中にあっては、
図3と同様にディスプレイ36に通常監視画面66が表示され、メインエリア67にメニュー釦68,70,72が表示されている。
【0072】
この状態でガイドスイッチ48を長押し操作すると、画面下側のガイダンスエリア74に、メインエリア67に表示しているメニュー釦68,70,72とは無関係に、予め設定されたメニュー情報として、例えば、利用者が受信機10による火災対処操作を訓練するための火災シミュレーションガイダンス78とはい釦78aといいえ釦78bが表示され、はい釦78aを操作すると所定の火災シミュレーションが画面表示により開始される。
【0073】
(通常監視状態でのインジケータのガイダンス)
図5は通常監視画面でのインジケータのガイダンス表示を示した説明図である。
図5に示すように、受信機10の通常監視中にあっては、
図3と同様にディスプレイ36に通常
監視画面66が表示され、メインエリア67にメニュー釦68,70,72が表示されているが、これに加えて画面上部にはインジケータ80が表示されている。
【0074】
インジケータ80が表示された状態で、利用者がガイドスイッチ48を操作すると、ガイダンスエリア74に、インジケータコピー80aとインジケータ説明文80bが表示される。
【0075】
ここで、インジケータ80とは、画面上で何かの状態や状況を知らせる簡素な表示要素であり、表示要素毎に予め準備された所定のシンボルマーク(文字、図形、記号、またはこれらの組み合わせ)を準備してインジケータとして表示する。
【0076】
本実施形態のインジケータは、受信機10の通常監視状態で発生したイベントを示しており、インジケータの種別としては、信号回線の障害情報、プリンタ印字状態、受信機設定データの変更、機器の障害情報、機器の障害予測情報、停止設定されたスイッチ注意等があり、各イベントに対応して異なるシンボルマークを用いたインジケータが予め準備され、メモリに記憶されている。
【0077】
図5に示したインジケータ80は例えばプリンタ56の印字状態を示しており、例えばインジケータ80の色分け表示により、通常印字中、印字停止中。プリンタ異常中を示し、例えばインジケータ80が印字停止中を示していたとすると、インジケータ説明文80bには「プリンタを印字停止に設定しています」といったガイダンス情報が画面表示される。
【0078】
[火災イベントのガイダンス]
図6は火災イベントが発生したときの火災警報画面の遷移を示した説明図である。この画面遷移は、受信機10に設けられた火報制御部46の制御により実行される。
【0079】
(火災発生時のガイダンス)
図6に示すように、受信機10でアナログ火災感知器14からの火災検出信号の受信により火災イベントが発生すると、火報制御部46は、ディスプレイ36に火災警報画面82を表示し、同時に、音響警報部42により主音響警報を出力させる。
【0080】
最初に表示された火災警報画面82には、最初に行う火災対処操作の操作釦として主音響停止ガイダンス釦82aが表示される。主音響停止ガイダンス釦82aはガイダンス対象となる情報であり、このため火報制御部46はガイドスイッチ48を点滅させて操作を促す。
【0081】
利用者が点滅しているガイドスイッチ48を操作すると、火報制御部46は、ディスプレイ36に次の火災警報画面84を表示する。火災警報画面84には火災対処行動となる現場確認ガイダンス84aに加え、現場確認結果を入力する操作釦として、火災発生釦84bと非火災釦84cが表示される。火災発生釦84bと非火災釦84cはガイダンス対象となる情報であり、このため火報制御部46はガイドスイッチ48を点滅して操作を促す。
【0082】
利用者が点滅しているガイドスイッチ48を操作すると、火報制御部46は、火災発生釦84bと非火災釦84cの操作内容を示す音声ガイダンスを出力させる。この音声ガイダンスは例えば「火災の場合は火災発生釦を押してください。火災発生時のガイダンスを表示します。非火災の場合は非火災釦を押してください。非火災時のガイダンスを表示します。」とする。音声ガイダンスが出力されるとガイドスイッチ48は消灯する。
【0083】
(火災確認時のガイダンス)
現場に出向いた利用者が火災を確認した場合には、火災警報画面84の火災発生釦84bをタッチ操作すると、火報制御部46は次の火災警報画面86をディスプレイ36に表示する。火災警報画面86には火災対処操作として、
図2の盤面に設けた火災断定スイッチ50の操作ガイダンス86aが表示される。火災断定スイッチ50の操作ガイダンス86aはガイダンス対象となる情報であることから火報制御部46はガイドスイッチ48を点滅させて操作を促す。
【0084】
利用者が点滅しているガイドスイッチ48を操作すると、火報制御部46は火災断定スイッチ50の操作内容を示す音声メッセージを出力させる。この音声メッセージは例えば「火災断定スイッチを押すと、起動遮断・移報停止状態の機器が作動可能な状態に戻り、館内で警報を行い、火事を知らせます。」とする。
【0085】
火災断定スイッチ50が操作されると、火報制御部46は、ディスプレイ36に次の火災警報画面88を表示させる。火災警報画面88には、火災断定スイッチ50の操作完了ガイダンス88aと火災対処参照釦88bが表示される。火災対処参照釦88bはガイダンス対象となる情報であることから、火報制御部46はガイドスイッチ48を点滅させて操作を促す。
【0086】
利用者が点滅しているガイドスイッチ48を操作すると、火報制御部46は、火災対処参照釦88bの操作内容を示す音声ガイダンスを出力させる。この音声ガイダンスは例えば「火災対処参照釦を押すと、火災が起きたときの対処方法が表示されます。」とする。
【0087】
利用者が火災警報画面88の火災対処参照釦88bをタッチ操作すると、火報制御部46は、次の火災警報画面90をディスプレイ36に表示させる。火災警報画面90には、火災ガイダンスとして「以下の対処を行い、完了したらタッチしてください」が表示され、火災対処釦90a,90b,90c,90dが表示される。火災対処釦90a,90b,90c,90dはガイダンス対象となる情報であることから、火報制御部46はガイドスイッチ48を点滅させて操作を促す。
【0088】
利用者が点滅しているガイドスイッチ48を操作すると、火報制御部46は、火災対処釦90a,90b,90c,90dの操作内容を示す音声ガイダンスを出力させる。この音声ガイダンスは例えば「各対処釦を押すと、処理済みマークが表示されます。落ち着いてひとつずつ対処を行ってください。」とする。この音声ガイダンスに従い利用者は必要とする火災対処の全てを効率良く確実に進めることができる。
【0089】
(非火災確認時のガイダンス)
火災警報画面84のガイダンスに従って現場に出向いた利用者が非火災を確認した場合には、火災警報画面84の非火災釦84cをタッチ操作すると、火報制御部46は次の火災警報画面92をディスプレイ36に表示する。火災警報画面92には非火災確認結果のガイダンス92aと非火災対処参照釦92bが表示される。非火災対処参照釦92bはガイダンス対象となる情報であることから、火報制御部46はガイドスイッチ48を点滅させて操作を促す。
【0090】
利用者が点滅しているガイドスイッチ48を操作すると、火報制御部46は非火災対処参照釦92bの操作内容を示す音声メッセージを出力させる。この音声メッセージは例えば「非火災対処釦を押すと、非火災時の対処方法が表示されます。」とする。
【0091】
利用者が火災警報画面92の非火災対処参照釦92bをタッチ操作すると、火報制御部46は、次の火災警報画面94をディスプレイ36に表示させる。火災警報画面94には
、非火災ガイダンスとして「以下の対処をしてください」が表示され、非火災対処釦94a,94b,94c,94dが表示される。非火災対処釦94a,94b,94c,94dはガイダンス対象となる情報であることから、火報制御部46はガイドスイッチ48を点滅させて操作を促す。
【0092】
利用者が点滅しているガイドスイッチ48を操作すると、火報制御部46は、非火災対処釦94a,94b,94c,94dの対処操作を示す音声ガイダンスを出力させる。この音声ガイダンスは例えば「各対処釦を押すと、対処方法の詳細が表示されます。」とする。
【0093】
ここで利用者が受信機10を復旧させたい場合には、火災警報画面94の「受信機を復旧する」と表示された非火災対処釦94bをタッチ操作すると、火報制御部46は、ディスプレイ36に次の火災警報画面96を表示させる。
【0094】
火災警報画面96には「以下の対処を行ってください」とのガイダンス表示に加え、復旧ガイダンス96aが表示され、その中に復旧説明文96bが表示される。復旧説明文96bは例えば「非火災の要因を取り除いた状態で、復旧スイッチを押すと、通常状態に戻ります。」とする。
【0095】
復旧ガイダンス96aはガイダンス対象となる情報であることから、火報制御部46はガイドスイッチ48を点滅させて操作を促す。利用者がガイドスイッチ48を操作すると、火報制御部46は、復旧説明文96bと同じ内容の音声メッセージを出力させる。なお、復旧スイッチは、前述したように、
図2の小扉55の内側に配置されている。
【0096】
このような火災イベント発生時の火災警報画面の遷移とガイドスイッチ48の操作による火災対処操作や火災対処行動を示すガイダンスの音声出力との連携により、火災イベントが発生して火災警報が出力されることで極度の緊張が強いられ、また、迅速に必要な操作や対処をしなければならないとき、利用者が何をしたらよいかが分からない状況に置かれたとしても、受信機盤面に設けているガイドスイッチ48を操作すれば、そのとき必要な火災対処操作や火災対処行動のガイダンスが音声出力され、利用者は、主音響停止操作、現場確認、火災を現場確認したときの火災確定操作と火災対処行動、非火災を現場確認したときの非火災対処操作等を正しく把握し、迅速且つ確実に対処することができる。
【0097】
[分散システムのガイダンス]
図7は受信機と中継盤で構成された分散システムを示した説明図である。監視対象とする施設が複数の住棟に分かれる等して大規模になる場合には、
図7に示すように、防災センター等に設置した受信機10に対し例えば住棟毎に分けて中継盤100が設置され、受信機10と中継盤100の間をイーサネット(登録商標)等のネットワーク回線106により通信接続している。
【0098】
受信機10は
図1に示したと同じであり、これに対し中継盤100は
図1の受信機10からディスプレイ36、表示部38、操作部40及び音響警報部42を含む操作表示機能を除いた構成となり、それ以外は、受信機10と基本的に同じとなり、警戒区域に引き出された信号回線102にアナログ火災感知器14を含む端末機器が受信機10と同様に接続されている。また受信機10の火報制御部46に対応して中継盤100には中継盤制御部104の機能が設けられている。
【0099】
受信機10の火報制御部46は、ディスプレイ36により火災監視に必要な中継盤100の情報を表示している通常監視状態でガイドスイッチ48が操作されると、ディスプレイ36により画面表示しているガイダンスの対象となる所定の情報、例えばメニューやインジケータに対応したガイダンス情報を画面表示させる制御を行う。
【0100】
また、受信機10の火報制御部46は、中継盤100で火災イベントが発生して火災警報を出力したとき、主音響停止操作のガイダンス画面を表示し、主音響停止操作が行われると現場確認のガイダンスと火災発生釦と非火災釦を表示したガイダンス画面を表示し、火災発生釦が操作されると火災確定操作のガイダンスを表示したガイダンス画面を表示し、火災確定操作が行われると所定の火災対処行動のガイダンスが表示されたガイダンス画面を表示し、一方、非火災釦が操作されると所定の非火災対処行動のガイダンスが表示されたガイダンス画面を表示し、更に、各ガイダンス画面を表示した状態でガイドスイッチ48が操作されると各ガイダンス画面に表示しているガイダンスを音響警報部42により音声出力させる。
【0101】
このため、利用者は画面表示された中継盤100の情報の内容、対処操作、対処行動等をガイダンス情報により正しく理解し、中継盤100に対する対処操作や対処行動を迅速且つ確実に行うことを可能とする。
【0102】
[本発明の変形例]
(P型受信機)
上記の実施形態は、R型の受信機からの信号回線を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した火災報知設備についても、同様に、受信機の盤面に設けられたディスプレイに近接してハードスイッチとしてのガイドスイッチを設け、ディスプレイに受信機の火災監視に伴う情報が画面表示されたとき、利用者がガイドスイッチを操作すると、画面表示されている情報の説明文や行動ガイド等のガイダンス情報が画面表示され、利用者は画面表示された情報をガイダンス情報により正しく理解して必要とする操作や対処行動を迅速且つ確実に行うことができる。
【0103】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0104】
10:受信機
12,12-1~12-3:信号回線
14:アナログ火災感知器
16:中継器
17:感知器回線
18:オンオフ火災感知器
20:発信機
22:アドレッサブル発信機
24:防排煙機器
26:メインCPU
28-1~28-3:サブCPU基板
30-1~30-3:サブCPU
32-1~32-3:伝送部
34:シリアル転送バス
36:ディスプレイ
38:表示部
40:操作部
42:音響警報部
44:移報部
46:火報制御部
48:ガイドスイッチ
50:火災断定スイッチ
52:主音響停止スイッチ
54:地区音響一時停止スイッチ
56:プリンタ
58:火災代表灯
60:ガス漏れ代表灯
62:音響孔
64:電話マイク
66:通常監視画面
68,70,72:メニュー釦
74:ガイダンスエリア
78:火災シミュレーションガイダンス
80:インジケータ
80a:インジケータコピー
80b:インジケータ説明文
82,84,86,88,90,92,94,96:火災警報画面
82a:主音響停止ガイダンス釦
84b:火災発生釦
84c:非火災釦
88b:火災対処参照釦
90a~90d:火災対処釦
92b:非火災対処参照釦
94a~94d:非火災対処釦
96a:復旧ガイダンス
100:中継盤
104:中継盤制御部