(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】外科用システムに駆動信号を供給する制御コンソール
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20241128BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20241128BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20241128BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241128BHJP
H02J 50/70 20160101ALI20241128BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61B18/12
A61B17/32 510
H02J50/10
H02J50/70
B06B1/06
(21)【出願番号】P 2023081316
(22)【出願日】2023-05-17
(62)【分割の表示】P 2020531120の分割
【原出願日】2018-12-04
【審査請求日】2023-06-14
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ダウニー,アダム・ダーウィン
(72)【発明者】
【氏名】コブラー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,スコット
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06245063(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0087212(US,A1)
【文献】特表2013-507190(JP,A)
【文献】米国特許第03946738(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0172866(US,A1)
【文献】米国特許第05372596(US,A)
【文献】米国特許第04094320(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 18/12
A61B 17/32
H02J 50/10
H02J 50/70
B06B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールであって、
可変電源と
一次巻線及び二次巻線を備える変圧器であって、前記一次巻線は、前記可変電源に
接続され、前記可変電源から入力信号を受信し、前記外科用器具に前記駆動信号を供給するために、前記二次巻線に前記駆動信号を誘導するように構成されている、変圧器と、
前記駆動信号の経路に
接続されたセンサであって、前記駆動信号の漏れ電流に関連するフィードバックを提供する検知信号を出力するように構成されている、センサと、
前記駆動信号の経路と前記可変電源と前記センサとに
接続された電流源であって、前記可変電源は前記電流源に通電するように構成され、前記電流源は、前記検知信号を受信し、前記検知信号と
、前記漏れ電流の適切なレベルに対応する目標値との間の差を
求め、前記差に基づいて前記駆動信号の前記漏れ電流の少なくとも一部を相殺するために前記駆動信号の経路内に注入すべき相殺電流を発生させるように構成されている、電流源と
を備えてなる制御コンソール。
【請求項2】
前記可変電源は、前記目標値
を前記電流源に供給するように構成されている、請求項1に記載の制御コンソール。
【請求項3】
前記可変電源は、AC値に加えてDCオフセットを含む前記目標値を前記電流源に提供するように構成されている、請求項
1または2に記載の制御コンソール。
【請求項4】
前記電流源は、前記検知信号及び前記目標値を入力として受信し、前記検知信号と前記目標値との間の差を求めるように構成された利得デバイスを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御コンソール。
【請求項5】
前記駆動信号の経路は、高電圧側導体及び低電圧側導体を備え、前記センサは、前記高電圧側導体及び前記低電圧側導体の双方の周囲に配置された変圧器巻線として更に画定され、前記変圧器巻線は、前記駆動信号のコモンモード電流を出力するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御コンソール。
【請求項6】
前記センサに結合され、前記検知信号を受信し、前記漏れ電流に関連する障害状態の検出のための障害検出信号を発生させるように構成されている障害検出段を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の制御コンソール。
【請求項7】
前記障害検出段は、前記障害検出信号を発生させるように前記検知信号を変更するように構成された、ローパスフィルタ、整流器及びフィルタを備える、請求項6に記載の制御コンソール。
【請求項8】
前記障害検出段に結合され、前記障害検出段から障害検出信号を受信し、前記漏れ電流に関連する障害状態を判断するように構成されているコントローラを更に備える、請求項6または7に記載の制御コンソール。
【請求項9】
前記障害検出段は、所定期間、前記障害検出信号の存在を検知し、前記所定期間に達すると前記障害検出信号を前記コントローラに送信するように構成されている、請求項8に記載の制御コンソール。
【請求項10】
前記コントローラは、前記障害検出信号を
前記目標値と比較して前記障害状態を判断し、前記障害状態の判断に応じて前記外科用器具に対する電力を低減させるか又は打ち切るように構成されている、請求項8または9に記載の制御コンソール。
【請求項11】
前記可変電源は、25VDCから250VDCまでで画定された範囲において可変である、請求項1~
10のいずれか一項に記載の制御コンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、電動式外科用器具に駆動信号を供給する、より詳細には、駆動
信号の/駆動信号からの患者漏れ電流を低減させるように設計されている、制御コンソー
ルに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする201
7年12月6日に出願された米国仮特許出願第62/595,235号の優先権及び全て
の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
電動式外科用器具システムは、3つの基本的なコンポーネントを有すると考えることが
できる。制御コンソールが、システムの第2のコンポーネント、すなわち動力発生器を作
動させるために必要な特徴を有する駆動信号を生成する。動力発生器は、駆動信号の電気
エネルギーを別の形態のエネルギーに変換する。電気エネルギーが変換されるエネルギー
のタイプとしては、機械エネルギー、熱エネルギー(熱)及び光子エネルギー(光)が挙
げられる。器具システムの第3のコンポーネントは、エネルギーアプリケータである。エ
ネルギーアプリケータは、動力発生器によって出力されるエネルギーを受け取り、このエ
ネルギーを標的組織に印加して、特定の治療作業を実施する。いくつかの器具システムは
、標的組織に向けられる電気エネルギーを印加するように設計されている。この種のシス
テムでは、動力発生器は、本質的に導体であり、この導体を通して駆動信号が露出した電
極に印加され、この露出した電極を通して電流が組織に供給される。電極は、エネルギー
アプリケータとして機能する。電極は、患者の上に配置するか、又はハンドピース内に統
合することができる。他の器具システムは、機械エネルギーを提供するように設計される
。この種のシステムでは、動力発生器は、電気エネルギー、例えばAC駆動信号を、機械
エネルギー、例えば振動に変換し、この振動がハンドピースを通して患者に印加される。
【0004】
多くの外科用器具システムの不可欠な部分は、外科用器具であり、それはハンドピース
とすることができる。最低でも、ハンドピースは、医師によって保持されるように設計さ
れた物理的コンポーネントであり、そこからエネルギーアプリケータが延在している。多
くの場合、動力発生器は、この外科用器具内に収納される。そのように設計された1つの
こうした外科用器具システムは、超音波外科用器具システムである。このシステムの外科
用器具は、1つ以上のドライバを含む動力発生器を備える。各ドライバは、AC信号の印
加に応じて振動する。ドライバに、ホーンが近接して機械的に結合されている。エネルギ
ーアプリケータとして機能するチップが、ホーンから遠位側に延在している。ドライバの
振動は、ホーン、更にはチップにおいて同様の振動を促進する。組織に対する振動チップ
の動きにより、組織のアブレーション、すなわち除去がもたらされる。
【0005】
多くの電動式外科用器具システムが他の電動式アセンブリと共有する固有の特徴は、こ
れらのシステムのコンポーネントにわたって寄生容量が存在するということである。寄生
容量は、不均一な電圧下にある2つのコンポーネントにわたって存在する静電容量である
。この静電容量が存在する結果、コンポーネントのうちの一方を通って寄生交流電流が流
れる可能性がある。例えば、外科用器具が、AC駆動信号が印加される動力発生ユニット
を備える場合、外科用器具の金属構造コンポーネントと電流が流れる外科用器具の内部の
動力発生コンポーネントとの間の寄生容量に起因して、金属構造コンポーネントを通って
寄生電流が流れる可能性がある。この寄生電流は、漏れ電流として知られるものの一因と
なる。一般に、漏れ電流は、他の目的で電流が印加されるシステムのコンポーネントを通
る意図されない電流の流れである。より具体的には、患者漏れ電流が、患者を通る意図さ
れない電流の流れである。
【0006】
処置中、不注意で、患者がアース接地に接続され得る可能性がある。この事象が発生す
る場合、漏れ電流は、外科用器具から患者の体内に流れる可能性がある。患者に対する危
険を回避するために、電動式外科用器具システムは、患者がアース接地されることになる
シナリオ等において、患者を通って流れる漏れ電流を最小限にするように設計されるべき
である。漏れ電流が存在する可能性がある外科用器具が患者に適用される場合、漏れ電流
は、理論的には、患者を通ってこの接地まで流れる可能性がある。この電流は、患者の器
官及び組織の機能に悪影響を与える可能性がある。
【0007】
これらの理由で、患者に適用されるように意図された外科用器具を備えた外科用器具シ
ステムは、正常な漏れ電流が100μアンペア未満であることが確実になるように設計さ
れている。心臓組織に適用されるように意図されている外科用器具を備える外科用器具シ
ステムは、米国で使用される場合、正常な漏れ電流が10μアンペア未満であるように設
計されていなければならない。これらの要件は、IEC60601医療設計規格(Medica
l Design Standards)に基づく。IEC60601規格は、漏れ電流がこれらの最大量未
満であることを確実にするように電動式外科用器具を試験するプロセスもまた記載してい
る。
【0008】
患者に適用される器具が接地への接続部として機能し得ない、ということが更なる要件
である。主に、別の供給源からの電圧が何かしら患者に印加される場合、器具は、電流が
患者を通って流れることになる接地への接続部として機能するべきではない。
【0009】
電動式外科用器具システムは、電流漏れを防止するために接地から隔離される出力を有
することができる。しかしながら、隔離された出力回路は、単独では、漏れを許容可能な
レベルまで低減させるには十分ではない。いくつかの電動式外科用器具システムは、開回
路を検出し、それに従ってシステムのピーク出力電圧を低下させることができる機能を備
えるように設計されている。これは、いくつかの性能問題につながる。ピーク出力電圧は
適切な凝固効果のために必要なスパーク発生を開始するため、漏れ電流を最小限にするた
めにピーク出力電圧を低下させることにより、器具システムの性能が劣化する可能性があ
る。さらに、発生器が開回路状態を検知するために必要な時間の長さにより、瞬間的な電
圧スパイクに至る可能性があり、これにより、漏れ電流が発生する可能性がある。
【0010】
1つの方法は、寄生電流を低減させるように寄生容量を低減させることである。器具が
超音波外科用器具である場合、ドライバと、ドライバによって振動するように意図されて
いる外科用器具の機械的コンポーネントのうちの1つであるホーンとの間に、電気絶縁イ
ンピーダンスディスクを設けることにより、寄生容量を低減させることができる。これら
のディスクを設けることに関連する不都合は、こうしたディスクが、ドライバからホーン
及びチップへの振動の伝達を減衰させるということである。この機械的減衰により、外科
用器具の効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、従来のシステム及び方法の少なくとも上述した技術的欠点に対処する必要
がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの実施の形態では、外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールと、そうした
制御コンソールを動作させる方法とを提供する。制御コンソールは、一次巻線及び二次巻
線を備える変圧器を備える。一次巻線は、電源から入力信号を受信するように、かつ、外
科用器具に駆動信号を供給するように二次巻線に駆動信号を誘導するように構成されてい
る。制御コンソールは、駆動信号の経路に結合された漏れ制御巻線を備える第1の電流源
を更に備え、一次巻線は、漏れ制御巻線において、駆動信号の漏れ電流を相殺するように
駆動信号の経路内に注入すべき第1の相殺電流を誘導するように構成されている。制御コ
ンソールはまた、駆動信号の経路に結合されたセンサも備え、センサは、漏れ電流に関連
するフィードバックを提供するように検知信号を出力するように構成されている。
【0013】
別の実施の形態では、外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールと、そうした制
御コンソールを動作させる方法とを提供する。制御コンソールは、一次巻線及び二次巻線
を備える変圧器を備える。一次巻線は、電源から入力信号を受信するように、かつ、外科
用器具に駆動信号を供給するように二次巻線に駆動信号を誘導するように構成されている
。制御コンソールは、駆動信号の経路に結合された漏れ制御巻線を備える第1の電流源を
更に備え、一次巻線は、漏れ制御巻線において、駆動信号の漏れ電流を相殺するように駆
動信号の経路内に注入すべき第1の相殺電流を誘導するように構成されている。センサが
、入力信号の特徴を検知するように、かつ、入力信号の特徴に関連する検知信号を出力す
るように構成されている。駆動信号の経路に第2の電流源が結合されている。センサにか
つ第2の電流源に可変利得デバイスが結合されている。選択インタフェースが、第2の電
流源にかつ可変利得デバイスに結合され、複数の漏れ電流調整設定のうちの1つの選択を
可能にするように、かつ、選択された漏れ電流調整設定を可変利得デバイスに提供するよ
うに構成されている。可変利得デバイスは、検知信号を受信するように、かつ、選択され
た漏れ電流調整設定に基づいて検知信号を変更するように構成されている。第2の電流源
は、可変利得デバイスからの変更された検知信号に基づいて第2の相殺電流を発生させる
ように、かつ、駆動信号の漏れ電流を相殺するように駆動信号の経路に第2の相殺電流を
注入するように構成されている。
【0014】
別の実施の形態では、外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールと、そうした制
御コンソールを動作させる方法とを提供する。制御コンソールは、可変電源と、変圧器と
、電流源とを備える。変圧器は、一次巻線及び二次巻線を備える。一次巻線は、可変電源
に結合され、可変電源から入力信号を受信するように、かつ、外科用器具に駆動信号を供
給するように二次巻線において駆動信号を誘導するように構成されている。電流源は、駆
動信号の経路に結合され、かつ可変電源に結合されている。可変電源は、電流源に通電す
るように構成されている。電流源は、駆動信号の漏れ電流を相殺するように駆動信号の経
路内に注入すべき相殺電流を発生させるように構成されている。
【0015】
これらの実施の形態は、外科用器具の出力電力を低減させる扱いにくい追加のデバイス
を使用することなく制御コンソールが低い漏れ電流を維持することができるようにするこ
と、漏れ電流があるか駆動信号を監視する能力を提供すること(これにより、更なる漏れ
制御及び障害検出段の追加が可能になる)、及び/又は駆動信号を励起し漏れ制御源に通
電するために単一の電源を使用することによる制御コンソールの簡略化を含む、複数の利
点を提供する。本明細書に記載する制御コンソール及び方法並びにそれらの実施の形態の
更なる利点は、本明細書に提供する説明に関して理解されよう。
【0016】
本発明の利点は、添付図面とともに考慮したときに、以下の詳細な説明を参照すること
で本発明がより良く理解されるにつれて、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】制御コンソール及び外科用器具を備える電動式外科用器具システムの1つの実施形態を示す図である。
【
図2】1つの例による、漏れ電流の測定及び相殺のフィードバックループの動作の図である。
【
図3】1つの例による、電動式外科用器具システムの漏れ電流を相殺する2つの供給源の概略図である。
【
図4】2つの漏れ電流相殺段と漏れ電流の電流ベースの検知とを含む制御コンソールを備える電動式外科用器具システムの一実施形態の概略図である。
【
図5】2つの漏れ電流相殺段と駆動信号の電圧ベースの検知とを含む制御コンソールを備える電動式外科用器具システムの別の実施形態の概略図である。
【
図6】2つの漏れ電流相殺段と漏れ電流設定を調整する技法とを含む制御コンソールを備える電動式外科用器具システムの別の実施形態の代替実施形態の概略図である。
【
図7】2つの漏れ電流相殺段と漏れ電流に対する障害検出段とを含む制御コンソールを備える電動式外科用器具システムの別の実施形態の概略図である。
【
図8】1つの実施形態による障害検出段に含まれる回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.概観
いくつかの図を通して同様の数字が同様の又は対応する部分を示している、図を参照す
ると、電動式外科用器具システム20が提供されており、電動式外科用器具システム20
は、外科用器具28に駆動信号105を供給するように構成された制御コンソール22を
有する。
【0019】
ここで、図面に例示する実施形態を参照し、具体的な文言を用いて実施形態について説
明する。例示的な実施形態について説明するために具体的な文言を用いることにより、本
開示の範囲の限定は意図されていない。関連する技術分野におけるかつ本開示を手に入れ
る当業者には通常想到する、本明細書に例示する発明の特徴の任意の改変形態及び更なる
変更形態と本明細書に例示するような本開示の原理の任意の更なる応用とは、請求項に係
る本開示の範囲内にあるとみなされるべきである。
【0020】
ここで、電動式外科用器具システム20について、
図1を参照して概略的に説明し、こ
の電動式外科用器具システム20は、以降、簡単のために「システム20」と称する。シ
ステム20は、外科用器具28を備える。外科用器具28は、超音波外科用器具、又はR
F若しくは他のタイプの電気外科エネルギーの印加器具とすることができる。外科用器具
28は、シェル又は本体30を備えることができる。本体30は、外科用器具28の、医
師によって実際に保持される部分である。本体30は、外科用器具の近位端29を形成し
ている。「近位」という用語は、外科用器具を保持している医師に近い方であり、かつ外
科用器具28が適用される部位33から遠い方を意味するように理解される。近位端29
の反対側に、外科用器具28の遠位端31が位置している。「遠位」という用語は、医師
から遠い方であり、かつ外科用器具28が適用される部位33に近い方を意味するように
理解される。
【0021】
制御コンソール22はシステム20の一部である。制御コンソール22は、外科用器具
28が接続されるケーブル32を介して(後述する)駆動信号105を供給する。外科用
器具28が超音波外科用器具である実施形態では、必須ではないが、ケーブル32及び外
科用器具28を単一ユニットに組み立てることが望ましい。制御コンソール22は、信号
発生器として機能するコンポーネントを含む。これらのコンポーネントは、外科用器具2
8の動力発生器27に印加される駆動信号105、例えばAC信号を生成する。トランス
デューサとも称される動力発生器27は、AC信号を、患者に印加すべきタイプの外科エ
ネルギーに変換する。例えば、超音波外科用器具28では、動力発生器27は、電気エネ
ルギーを振動に変換する圧電スタックとすることができる。代替的に、RF外科用器具2
8では、電気エネルギーは電極を通して患者に直接印加されるため、動力発生器27が不
要である場合がある。
図1に示す外科用器具28は、遠位端31の外科用器具のチップを
通して患者に超音波又はRFエネルギーを印加するように構成されている。外科エネルギ
ーは、電極、又は本明細書に記載するもの以外の他の外科用器具を通して、患者組織33
に印加することもできる。印加されるエネルギーのタイプに関わらず、制御コンソール2
2は、患者の体内への漏れ電流の可能性を最小限にするように設計されている。
【0022】
制御コンソール22に、制御インタフェース24が接続されている。
図1では、制御イ
ンタフェース24はフットペダルである。制御インタフェース24の状態は、制御コンソ
ール22内のプロセッサ35によって監視される。制御インタフェース24は、制御コン
ソール22を介する外科用器具28のアクティベーション及び/又は具体的な制御を調節
するユーザ作動制御部材である。
図1では、制御インタフェース24は、いくつかのペダ
ルを含むフットペダルアセンブリの一部であるものとして示す。灌注ポンプ、吸引ポンプ
又は照明等のデバイスを制御するために、追加のペダルを用いることができる。制御イン
タフェース24は、
図1に示すようなフットペダル以外の構成を備えることができる。
【0023】
制御コンソール22は、グラフィカルユーザインタフェース又はスイッチ等のユーザイ
ンタフェース26を更に備えることができる。制御インタフェース24と同様に、ユーザ
インタフェース26は、制御コンソール22内のプロセッサ35によって監視される。ユ
ーザインタフェース26は、医師により、外科用器具28に対する動作パラメータを制御
するように制御される。超音波実施形態では、こうした動作パラメータとしては、外科用
器具28の振動の振幅の大きさを挙げることができる。
【0024】
制御インタフェース24及びユーザインタフェース26は、システム20にコマンドを
入力する手段の一般的な代表であると理解される。システム20のいくつかの構造では、
単一の制御ユニットが双方の機能を実施することができる。例えば、レバー又はフットペ
ダルが最初に初めて押下されるとき、システム20により、外科用器具28のチップヘッ
ドが比較的小さい振幅である振動サイクルを受けるように、システム20を構成すること
ができる。レバー又はフットペダルを続けて押下する結果として、制御コンソール22は
、チップヘッドがより大きい振幅である振動サイクルを受けるように、外科用器具28に
印加される駆動信号105をリセットする。
【0025】
制御コンソール22は、ディスプレイ34を備えることができる。ディスプレイ34上
の画像は、制御コンソール22内のプロセッサ35により生成することができる。ディス
プレイ34に示される情報としては、限定されないが、ユーザインタフェース26に関連
する情報、外科用器具28及びチップを特定する情報、並びに、システム20の動作、設
定又は通知を記述する他の任意の情報が挙げられる。ディスプレイ34は、タッチスクリ
ーンディスプレイとすることができる。これらのバージョンでは、ディスプレイ34上に
提示されるボタンの画像を押下することにより、制御コンソール22内のプロセッサ35
にコマンドを入力することができる。ディスプレイ34上の画像の提示とプロセッサ35
へのコマンドの入力とを容易にするために、ディスプレイ34とプロセッサ35との間に
任意の好適なインタフェースコンポーネントを設けることができる。開示する実施形態で
使用することができるプロセッサに関する更なる詳細は、国際出願PCT/US2016
/031651号に含まれ、その出願の内容は国際公開第2016/183084号/米
国特許出願公開第 号に包含され、それらの出願の内容は、引用することによりその
全体が本明細書の一部をなすものとする。
【0026】
プロセッサ35は、制御コンソール22からの駆動信号105の出力を調節する。プロ
セッサ35が駆動信号105を設定する医師制御入力は、制御インタフェース24及び/
又はユーザインタフェース26の状態に基づくことができる。ディスプレイ34を通して
入力されるコマンドもまた、駆動信号105の設定を制御するために使用することができ
る。駆動信号105の特徴は、外科用器具28のメモリから読み出されるデータに基づい
て設定することもできる。駆動信号105の特徴は、制御コンソール22によって、駆動
信号105の設定に更に寄与するフィードバック信号としても採用される。これらの複数
の入力に基づき、プロセッサ35は、駆動信号105を制御する信号を出力する。
【0027】
図4~
図7を参照すると、制御コンソール22は、電源82を備えるか又は他の方法で
電源82に結合されている。電源82は、変圧器90の一次巻線84に入力信号を印加す
るように構成されている。電源82からの入力信号は、変圧器90の一次巻線84のセン
タタップに印加される。変圧器90は、電源82から患者側回路を電気的に絶縁する。変
圧器90は、一次巻線84における信号のいかなるDC成分も二次巻線88に伝わらない
ように遮断し、容量結合を最小限にするように、
図4~
図7ではコア98として示す絶縁
体を備えるように設計することができる。
【0028】
一次巻線84の両端のタップは、各々、線形増幅器86に結合されている。各増幅器8
6は、電位及び周波数の双方が変化するAC信号を一次巻線84のタップに印加する。制
御信号として増幅器86に印加されるベース信号が、増幅器86によって出力される信号
の周波数及び電位を調節する。システム20が超音波外科用器具28を備える一実施形態
では、一次巻線84にわたって発生するAC信号は、10kHz~100kHzの周波数
を有することができる。この信号は、少なくとも200ボルト以上のピークツーピーク電
圧を有することができる。RF処置等の他の応用では、AC信号は、本明細書に記載する
もの以外の周波数及び電圧範囲を有することができる。
【0029】
電源82及び線形増幅器86の構造は、本明細書に示す具体的な実施形態に限定されず
、一次巻線84にわたってAC信号を発生させる異なる構成を含むことができる。これら
のサブアセンブリの更なる理解は、国際出願PCT/US2016/031651号に見
出すことができ、その出願の内容は国際公開第2016/183084号/米国特許出願
公開第 号に包含され、それらの出願の内容は、引用することによりその全体が本明
細書の一部をなすものとする。
【0030】
一次巻線84にわたって発生するAC信号は、変圧器90の二次巻線88にわたるAC
信号を誘導する。変圧器90の二次巻線88にわたるこの信号は、ケーブル32を介して
外科用器具28内の動力発生器27に印加される駆動信号105である。ケーブル32は
、外科用器具28に向かって流れる高電位電流を含む高電圧側導体100と、外科用器具
28から離れる方向に流れる低電位電流を含む低電圧側導体102とを含む。駆動信号の
経路104(「駆動経路」とも称する)は、これらの導体100、102によって画定さ
れる。駆動信号105は、駆動経路104を通る電流である。駆動信号105が超音波ド
ライバを作動させるために使用される一実施形態では、駆動信号は、少なくとも500V
ACの電圧を有し、1000VACを超えることができる。
【0031】
駆動経路104は、シールド99によって包囲されている。シールド99は、高電圧側
導体100と駆動経路104の近くの接地又は任意の物体との間の寄生容量を防止する。
さらに、外科用器具28内の低電圧側導体102に、シールドを結合することができる。
この接続が存在する実施形態では、シールド99はまた、戻り電流用の二次経路としても
作用し、低電圧側導体102に破断がある場合に患者を保護する。
【0032】
II.漏れ電流検出及び相殺の技法
本明細書に記載する技法によれば、システム20は、患者漏れ電流(「漏れ電流」とも
称する)を相殺する漏れ相殺技法を採用することができる。漏れ電流は、概して、外科用
器具28に接続された患者を通って流れる電流である。漏れ電流は、制御コンソール22
から患者を通って外科用器具28に、かつアース接地に流れる可能性がある。したがって
、漏れ電流は、概して、患者を通る意図されない電流の流れである。
【0033】
本明細書に記載する例から理解されるように、システム20は、能動制御を用いて、又
は能動制御及び受動制御の組合せを用いて、漏れ電流相殺を採用することができる。能動
制御技法は、入力信号又はフィードバック信号に基づいて決定を行う素子を採用する。受
動制御技法は、能動的な決定は行わずに漏れ電流相殺を受動的に提供する、変圧器、抵抗
器、コンデンサ、インダクタ等の素子を採用する。能動制御技法は、能動デバイスを補足
する受動素子を含むことができる。これらの能動及び受動漏れ電流相殺システムのうちの
1つ以上は、制御コンソール22に含めることができる。
【0034】
図3に示す1つの実施形態では、漏れ電流を相殺する第1の供給源68’及び第2の供
給源74’の動作を例示する等価回路を提供する。第1の供給源68’は、受動型であり
、AC電圧源として示す。第2の供給源74’は、能動型であり、可変AC電圧源として
示す。第1の供給源68’は、第1の相殺電流80’を生成し、第2の供給源74’は、
第2の相殺電流122’を生成する。このため、第1の供給源68’及び第2の供給源7
4’は、
図3に示すように、それぞれ相殺電流80’、122’を生成するという点で、
電流源である。供給源68’、74’は、本明細書では、電流源と称する。
【0035】
(電源82及び変圧器90を備える)電源表示56が、外科用器具28用の駆動信号1
05を発生させる。相殺電流80’、122’は、これらの供給源68’、74’によっ
て、駆動信号105内に又は駆動信号105の経路104内に注入される。
【0036】
この等価概略図では、第1の電流源68’は、コンデンサ70と直列に例示されており
、第2の電流源74’は、コンデンサ76と直列である。インピーダンス58が、外科用
器具28の既知のインピーダンスを表し、抵抗器66が、手術部位33を通る可変インピ
ーダンスを表し、コンデンサ60及び64が、それぞれ高電圧側導体100及び低電圧側
導体102に対する静電容量を表す。こうした静電容量は、寄生である可能性があり、そ
れにより、漏れ電流62が発生する結果となる。この例では、駆動信号105における漏
れ電流62は、コンデンサ60を通って移動する。
【0037】
IEC60601医療設計規格によれば、電動式外科用器具システム20は、漏れ電流
を100μアンペア以下で維持するべきである。電動式外科用器具システム20が心臓組
織上で又はその近くで使用されるように設計されている場合、最大漏れ電流は10μアン
ペアである。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の電流源68’は、漏れ電流62の大部分(例えば、5
0%~90%)を相殺するように設計されている。第2の電流源74’は、第1の相殺電
流80’による相殺の後に残っている残留漏れ電流62の少なくとも幾分かを相殺する第
2の相殺電流122’を発生させる。こうした残留漏れ電流62は、例えば、総漏れ電流
62の1%~40%である可能性がある。1つの例では、第1の電流源68’は、少量の
残留漏れ電流、例えば、±40μAの患者漏れ電流を残して、最大±500μAの患者漏
れ電流を相殺するように設計することができる。他の例では、第2の電流源74’は、漏
れ電流62の大部分を相殺することができる。
【0039】
理想的な制御コンソール22では、駆動信号105の漏れ電流62は、第1の相殺電流
80’に第2の相殺電流122’を加算した電流に等しくなる。代替実施形態は、単一の
能動電流源若しくは受動電流源、能動電流注入源及び/又は受動電流注入源の任意の組合
せ、又はそれらの任意の複数の群を使用することができる。
【0040】
本明細書に記載する実施形態から理解されるように、第2の(能動)電流源74は、第
2の相殺電流122を実際に発生させるコンポーネント以外の追加のコンポーネントを備
えることができる。こうした追加のコンポーネントは、例えば、第2の相殺電流122を
いかに又はいつ生成すべきかを決定するのに役立つことができる。したがって、本明細書
に記載する「第2の電流源」という言い回しは、電流発生コンポーネントのみに限定され
ない。
【0041】
ここで
図4~
図7を参照して、第1の電流源68及び第2の電流源74の更なる態様に
ついて説明する。第1の電流源68は、整合電流源とも称することができる。1つの実施
形態による第1の電流源68は、漏れ制御巻線92を備える。漏れ制御巻線92は、同調
巻線又は検知巻線とも称することができる。変圧器90が漏れ制御巻線92を含むように
、漏れ制御巻線92を変圧器90と統合することができる。漏れ制御巻線92及びコンデ
ンサ94の双方を変圧器90といかに統合することができるかの例は、国際出願PCT/
US2017/034437号に記載されており、その出願の内容は国際出願公開第
号で公開され、それらの出願の内容は引用することによりその全体が本明細書の一部を
なすものとする。第1の電流源68はコンデンサ96も含むことができる。
【0042】
電流は、一次巻線84によって漏れ制御巻線92にわたって誘導される。この電流の誘
導により、第1の電流源68による第1の相殺電流80の発生が促進される。第1の相殺
電流80は、駆動信号経路104の低電圧側導体102内に注入される。
図4は、低電圧
側導体102内に注入される第1の相殺電流80を示すが、漏れ電流62を相殺するため
に、高電圧側導体100内に反対の極性の相殺電流を注入することができる。制御コンソ
ール22が、駆動信号105が発生する変圧器90を備える実施形態では、第1の電流源
68を形成するコンポーネントのうちの1つ又は全てを、変圧器90との単一ユニットに
構築することができる。
【0043】
変圧器90及び第1の電流源68の構造に関する更なる詳細は、国際出願PCT/US
2017/034437号に見出すことができ、その出願の内容は国際出願公開第
号で公開され、その出願の内容は既に引用することにより組み込まれている。
【0044】
A.閉ループ漏れ電流相殺制御
図2、
図4、
図5及び
図7を参照して、漏れ電流62のうちの少なくとも幾分かを相殺
するために制御コンソール22によって採用される第2の電流源74の実施形態について
説明する。1つの例では、第2の電流源74は、漏れ電流62のうちの少なくとも幾分か
を相殺する、駆動信号105の電流又は電圧の測定値とすることができるフィードバック
信号を利用する。
【0045】
フィードバック信号を使用することによる漏れ電流62の相殺は、
図2に示す制御ルー
プに例示する。1つ以上のセンサ36が、駆動信号105の特徴を測定し、漏れ電流62
に関連する検知信号110’を出力する。検知信号110’は、漏れ電流62に対する既
知の又は決定できる関係を示す電流、電圧又は任意の特性とすることができる。目標値1
14’が設定され、それは、0又は他の任意の正の値若しくは負の値とすることができる
。目標値114’は、電流振幅又は電圧を含む目標信号とすることができる。目標値11
4’は、AC成分及びDC成分の双方を含むことができる。検知信号110’と目標値1
14’との差が求められて、誤差信号44が生成される。一実施形態では、誤差信号44
は、総和段40により、正の目標値114’を検知信号110’の負数と合計することに
よって計算される。この総和プロセスの代わりに、検知信号110’と目標値114’と
の差を求める多くの更なる方法を用いることができる。
【0046】
誤差信号44は、利得デバイス46によって乗算される。利得デバイス46は、誤差信
号44を増大させ、低減させ、又は同じままにすることができる。利得デバイス46は、
回路、ソフトウェア、又はそれら2つの組合せとすることができる。利得デバイス46は
、漏れ電流62を相殺するために駆動信号105内に注入される相殺電流122’を出力
する。患者に適用される外科用器具28を表す人体モデル50は、相殺電流122’を含
む駆動信号105によって電力が供給される。制御ループの伝達関数は、TF=G/(1
+S×G)として表すことができる。式中、Gは利得46を表し、Sは検知信号110’
である。
図2に例示する原理は、
図4、
図5及び
図7に示す外科用器具システム20の実
施形態において実施される。
【0047】
図4~
図7には、漏れ電流62を低減させるか又はなくすことに関連する外科用器具シ
ステム20のコンポーネントを示す。
図4、
図5及び
図7は、それぞれ、受動(第1の)
漏れ電流相殺源68及び能動(第2の)漏れ電流相殺源74を備える実施形態を示す。
【0048】
第2の電流源74は、2つの入力、すなわち、検知信号110及び目標値114を受信
する。
図4に示す1つの実施形態では、駆動信号105における残留漏れ電流62を検知
し、検知信号110を発生させるように、変圧器106が用いられる。変圧器106は、
一次巻線として駆動経路104を備える。言い換えれば、変圧器106の一次巻線は、高
電圧側導体100及び低電圧側導体102を備える。変圧器106は、センサ108を実
施する二次巻線を有する。
【0049】
センサ108は、駆動経路104におけるコモンモード電流を検知し、コモンモード電
流を示す検知信号110を第2の電流源74に出力する。コモンモード電流は、漏れ電流
62に対する何らかの表示又は関係を提供する。主に、高電圧側導体100は、外科用デ
バイスに電流を伝導し、低電圧側導体102は、外科用器具28から電流を伝導する。こ
れらの低電圧側の電流100及び高電圧側の電流102は、理想的には、大きさが等しく
極性が反対である。漏れ電流62が存在する場合、高電圧側導体100における電流の大
きさは、低電圧側導体102における電流の大きさと異なる。電流におけるこの差がコモ
ンモード電流である。コモンモード電流は、単一方向に流れる電流の測定値である。駆動
経路104にわたってコモンモード電流が存在する場合、それは、二次巻線、すなわちセ
ンサ108によって検知される磁界を発生させる。この実施形態では、高電圧側導体10
0と低電圧側導体102との間で幾分かの量の電流が喪失している場合にのみ、コモンモ
ード電流が存在することになるため、コモンモード電流は、駆動信号105の漏れ電流6
2に直接関連する。漏れ電流62が存在しない場合、高電圧側導体100は、低電圧側導
体102にわたる電流と等しくかつ反対の電流を有することになる。この場合、コモンモ
ード電流と電動式外科用器具システムにおける漏れ電流62との双方が、0又は実質的に
0である。
【0050】
図5では、センサ108が、コンデンサとして示すセンサ126に置き換えられている
。センサ126は、駆動経路104の低電圧側導体102における電圧を検知する。漏れ
電流62が存在しない場合、低電圧側導体における電圧は、電源82に対して0ボルト、
又はおよそ0ボルトとなる。
【0051】
シールド99もまた外科用器具28の低電圧側導体102に電気的に接続されている一
実施形態では、コモンモード電流は、代わりに、高電圧側導体100における電流と低電
圧側導体102における電流にシールド99における電流を加算したものとの差である。
【0052】
図4、
図5及び
図7では、漏れ電流62は、駆動信号105から漏出し別の経路を通っ
て接地まで進む電流を表すために、低電圧側導体102における駆動信号105の部分に
対抗する小電流として例示する。この漏れ電流62は、システム20の素子間の容量結合
及び/又は患者を通る電流の漏れを含む、システム全体を通して複数の方法及び場所で喪
失する可能性がある電流の結果である。漏れ電流62は、意図されない電流の流れが発生
している任意の場所に例示することができる。場合によっては、第1の相殺電流80及び
第2の相殺電流122により、図に示す漏れ電流62の方向に対して反対方向に流れる漏
れ電流62がもたらされる可能性がある。
【0053】
検知信号110は、
図4、
図5及び
図7において増幅器112として示す1つ以上の利
得デバイスによって変更することができる。検知信号110は、第2の相殺電流122を
決定するために第2の電流源74に入力される。
【0054】
第2の電流源74への第2の入力は、
図4、
図5及び
図7において右側に示す目標値1
14である。検知信号110及び目標値114は、増幅120を伴う加算増幅器118内
に供給されて、第2の相殺電流122が出力される。
図4及び
図7では、目標値114は
、検知信号110と比較される目標電流であり、第2の相殺電流122を決定するために
使用される。この例では、目標電流は、例えば、漏れ電流が除去されている理想的な状態
を表す、0アンペアとすることができる。
図5では、目標値114は、例えば、同様に漏
れ電流が除去されている理想の状態を表す、0ボルトに設定することができる目標電圧で
ある。本明細書に記載するもの以外の他の目標値114が企図され、それを利用すること
ができる。
【0055】
図4、
図5及び
図7に示すように、電源が第2の電流源74を駆動する。図示する例で
は、これは、変圧器90に通電するものと同じ電源82である。電源82は第2の電流源
74に関連するため、その更なる態様については後述する。代替的に、第2の電流源74
に電力を供給する電源は、電源82と異なるものとすることができる。第2の相殺電流1
22を励起するためにDC電源82が使用されるため、目標値114は、幾分かの量のD
Cオフセットを有する可能性がある。目標値114は、利得デバイス116によって変更
することができ、その後、追加の増幅段120を含む加算増幅器118への入力として使
用することができる。増幅120を伴う加算増幅器118は、目標値114と検知信号1
10との差を求める。そして、増幅120を伴う加算増幅器118は、第2の相殺電流1
22を出力する。
【0056】
第2の相殺電流が駆動経路104内に注入される前に、第2の相殺電流122のいかな
るDC成分も駆動経路104に入らないように遮断するために、コンデンサ124を用い
ることができる。いくつかの実施形態では、コンデンサ124は低い静電容量を使用する
。
【0057】
この第2の相殺電流122は、第1の相殺電流80が注入された場合に残っている残留
漏れ電流62のうちの少なくとも幾分かを相殺する。使用されるセンサ106、126の
タイプに関わらず、第2の相殺電流122は、低電圧側導体102における電流の大きさ
を、高電圧側導体100における電流の大きさとより密に整合するように変更するととも
に、電源82に対する電圧を0ボルトに近づける。
【0058】
図4、
図5及び
図7に示す能動的漏れ電流相殺技法の開示しない均等物が十分に企図さ
れる。
図4、
図5及び
図7に示す概略図は、企図されるように、好適な相殺電流を依然と
して生成しながら、具体的に図示するものに対して追加の又は異なるコンポーネントを含
むことができる。
【0059】
B.開ループ漏れ電流相殺制御
図6は、第2の相殺電流122を発生させるために使用される第2の電流源74の別の
実施形態を示す。この実施形態では、駆動信号105からの測定値は利用されない。代わ
りに、変圧器90によって生成されるAC信号を測定するセンサ130が含まれる。1つ
の例では、AC信号は、外科用器具28のハンドピースの電圧である。センサ130は、
変圧器90の一部とするか、又は変圧器90に追加することができる。
図6の実施形態で
は、センサ130は変圧器巻線である。
【0060】
センサ130は、変圧器90にわたって生成されるAC信号を測定し、検知信号を利得
段132に送信し、利得段132は、センサ130からのAC信号をスケーリングするよ
うに構成されている。可変利得デバイス132は、第2の電流源74の一部とすることが
でき、又は、第2の電流源74とは別個とすることができる。
【0061】
第2の電流源74にかつ利得段132に、選択インタフェース134が結合されている
。選択インタフェース134は、複数の漏れ電流調整設定のうちの1つの選択を可能にす
るように構成されている。漏れ電流調整設定は、漏れ電流62のユーザ選択可能な微調整
相殺を提供する。漏れ電流調整設定は、制御コンソール22のメモリにおいてルックアッ
プテーブルに保存することができる。
【0062】
図6に示す例では、選択インタフェース134はポテンショメータであり、それは、調
整可能な回路、又はソフトウェアによって制御されるデジタルポテンショメータとするこ
とができる。選択インタフェース134はまた、制御コンソール22のディスプレイ34
においてユーザインタフェースによって実施することもできる。漏れ電流調整設定の選択
を可能にする他のタイプの選択インタフェースが企図される。
【0063】
選択インタフェース134は、正の漏れ電流又は負の漏れ電流のより容易な調整を可能
にする。制御コンソール22がIEC60601、又は漏れ電流に対する任意の追加の若
しくは異なる規格を満たすことができるように、調整を行うことができる。
【0064】
選択インタフェース134は、第1の利得段132を通してセンサ130に結合されて
いる。選択インタフェース134は、第1の利得段132からAC信号のスケーリングさ
れたバージョンを受信する。選択インタフェース134は、選択インタフェース134の
調整設定に基づいて利得を-1から+1まで調整することができる可変利得増幅器138
に結合されている。選択インタフェース134がポテンショメータである場合、可変利得
増幅器138は、ポテンショメータとインタフェースしてポテンショメータを可変に動作
させる出力136を含む。
【0065】
1つの実施形態では、選択インタフェース134は、製造プロセスの一部として調整さ
れる。これにより、より高い製造公差が可能となり、各制御コンソール22が漏れ電流を
最小限にする要件を満たすことが確実になる。
【0066】
そして、増幅器138の出力は、駆動信号105の電力源である電源82等の電源を利
用する電力増幅器140に供給される。代替的に、第2の電流源74は別個の電源を使用
することができる。増幅器140は、第2の相殺電流122を駆動信号経路104に出力
する。第2の相殺電流122は、駆動信号104内に注入される前にコンデンサ124に
よってDCが遮断される。
【0067】
図4、
図5及び
図7に関連して先行するセクションで記載した実施形態と同様に、
図6
の実施形態において生成された第2の相殺電流122は、第1の電流源68によって生成
された第1の相殺電流80とともに利用することができ、それにより、漏れ電流62を相
殺する微調整が提供される。
【0068】
図6に示す能動的漏れ電流相殺技法の開示しない均等物が十分に企図される。
図6に示
す概略図は、企図されるように、好適な相殺電流を依然として生成しながら、具体的に図
示するものに対して追加の又は異なるコンポーネントを含むことができる。
【0069】
C.第2の電流源用の可変電源
本明細書に記載し
図4~
図7に示す実施形態のうちの任意のものに対して、変圧器90
の一次巻線84に結合された電源82は、可変電源とすることができる。1つの例によれ
ば、電源82は、設定することができる可変出力DC電圧レベルを有する。1つの実施形
態では、この電圧は25VDC~250VDCである。可変電圧レベルがあってもなくて
も他のタイプの電源も使用することができる。電源82からの信号の電圧は、電源82に
印加される電源制御信号に基づいて設定される。電源82は、変圧器90の一次巻線84
のセンタタップにDC入力信号を印加することができる。電源82からのDC入力信号は
、変化する電位を有することができる。具体的には、この入力信号の電位は、外科用器具
28の動力発生器27に印加されるべき駆動信号105の電位の関数として変化するよう
に設定することができる。
【0070】
この可変電源82は、図の全体を通して示す第2の電流源74のうちの任意のものに通
電し、それを駆動し、又は他の方法でそれに入力を提供するために利用することができる
。第2の電流源74は、駆動信号104の経路に結合するとともに、可変電源82に結合
することができる。可変電源82は、電流源74に通電するように構成され、(可変電源
82によって通電される)電流源74は、駆動信号の漏れ電流を相殺するように駆動信号
の経路104内に注入すべき相殺電流122を発生させるように構成されている。
【0071】
具体的には、一次巻線84に印加される電源82からのDC入力信号は、
図4、
図5及
び
図7に示す第2の電流源74の増幅器120又は140のうちの1つ以上への入力とし
ても使用することができる。具体的には、このDC入力信号は、第2の電流源74によっ
て生成される信号の増幅を促進してその信号が正しい電圧であることを確実にするための
正の電圧として使用することができる。これらのバージョンでは、このDC信号は、入力
信号として第2の電流源74に印加することもできる(
図4、
図5及び
図7において、目
標値114を発生させる段に電力を供給する電源82として示す)。第2の電流源74は
、この可変電源82からの目標値114を調整するフィードバックサブ回路を含み、その
ため、この信号は、1つ以上の増幅器に印加されるDC正電圧における変化の結果として
ドリフトしない。
図6に示す実施形態では、第2の電流源74は、増幅器140に接続さ
れた可変電源82によって通電される。
【0072】
可変電源82は、第2の相殺電流122を駆動する。1つの実施形態では、これは、外
科用器具28に対する駆動経路104に通電するものと同じ電源82である。同じ電源8
2を使用することにより、第2の相殺電流122を駆動するために必要な電力が、駆動信
号105の電力に比例して変化するため、利益が得られる。代替的に、別個の電源を使用
して、第2の漏れ電流源74を駆動することができる。
【0073】
漏れ電流相殺源に通電するために可変電源82を再利用することは有利であるが、実施
形態は、第2の相殺電流122を発生させる別個の電源を備えることができる。
【0074】
可変電源82は、図に示し本明細書に記載したもの以外の構成及び能力を有することが
できる。さらに、可変電源82は、図に示すもの以外の制御コンソール22のコンポーネ
ントに結合することができる。
【0075】
D.漏れ電流に対する障害検出技法
図7は、回路及び/又はソフトウェアで実装することができる障害検出段144を追加
した
図4と同じコンポーネントを示す。
【0076】
障害検出段144は、センサ106又は代替的に
図5のセンサ126に結合されている
。障害検出段144は、センサ106、126から検知信号110を受信し、漏れ電流6
2に関連する障害状態を検出するための障害検出信号158を発生させるように構成され
ている。
【0077】
検知信号110が指定された閾値を超える漏れ電流62のレベルを示す場合、それは、
患者の接地への短絡又は接続等、システム20の障害に起因する可能性がある。漏れ電流
62が過度である場合、障害検出段144は、GPIO(汎用入出力)ラインにおいて障
害検出信号158をトリガする。
【0078】
コントローラ160が、例えばGPIOラインにおいて、障害検出段144に結合され
ており、障害検出段144から障害検出信号158を受信するように、かつ、漏れ電流6
2に関連する障害状態を判断するように構成されている。コントローラ160は、命令を
処理するか、又は、制御コンソール22の動作を制御する、メモリに記憶されたアルゴリ
ズムを処理する、1つ以上のマイクロプロセッサを有することができる。さらに又は代替
的に、コントローラ160は、1つ以上のマイクロコントローラ、フィールドプログラマ
ブルゲートアレイ、システムオンチップ、ディスクリート回路、及び/又は、本明細書に
記載した機能を実行することができる他の好適なハードウェア、ソフトウェア若しくはフ
ァームウェアを備えることができる。障害検出段144及びコントローラ160は、結合
された要素又は別個の要素とすることができる。
【0079】
障害検出段144は、所定期間に障害検出信号158の存在を検知するように、かつ、
所定期間に達すると障害検出信号158をコントローラ160に送信するように構成され
ている。障害検出段144は、持続性の障害が検出されることを確実にするように、かつ
、ごくわずかな又は間欠的な信号スパイクに基づく間違った警報を回避するように、それ
を行うことができる。
【0080】
コントローラ160は、GPIOラインから障害検出信号158を受信し、この障害検
出信号158を目標値と比較して障害状態を判断するように構成されている。コントロー
ラ160は、障害状態の判断に応じて外科用器具28に対する電力を低減させるか又は打
ち切ることができる。コントローラ160は、本明細書に記載したもの以外の制御コンソ
ール22又は外科用器具28に対する他の応答をトリガすることができる。
【0081】
図8は、障害検出段144の1つの実施形態を示す。いくつかの特定の実施形態では、
障害検出段144は、検知されたコモンモード電流又は低電圧側電圧が指定されたレベル
を超えたときにのみアクティブになる。検知信号110は、増幅器112によって変更す
ることができる。この増幅器112は、第2の相殺電流122を発生させるために使用さ
れる第1の利得段と同じとすることができ、又は、別個の利得デバイスとすることができ
る。そして、検知信号110は、ローパスフィルタ146及び整流器148に供給される
。ローパスフィルタ146は、指定された閾値を超える高い方の周波数の信号を除去する
。ローパスフィルタ146は、信号がフィルタ周波数に比較的に近い場合、その信号を減
衰させることもできる。増幅器148として示す利得デバイスを用いて、任意の減衰に応
じて検知信号110の振幅を変化させることができる。障害状態の間、検知信号110は
、駆動周期ごとにパルスを発する(例えば、駆動信号105が最大振幅であるとき、セン
サ108によって検知されるコモンモード電流は最大となり、駆動信号105が最小の振
幅であるとき、コモンモード電流は0に近づく)。コンデンサ150及び抵抗器152を
備えるフィルタが、障害状態をパルスの間のその最大レベルで保持するように適所に置か
れる。フィルタのRC時定数は、コンデンサ150の静電容量に抵抗器152の抵抗を乗
算した値である。そして、障害信号はインバータ154に出力され、インバータ154は
、障害信号158をコントローラ160に出力するために印加信号を反転させる。コント
ローラ160は、この信号を監視し、特定の期間、障害状態が存在した場合、必要に応じ
てシステムにより適切な措置を講じることができる。コントローラ160が講じる措置と
しては、外科用器具28のオペレータにディスプレイ34を介して警告すること、電源8
2によって出力される電力を低減させること、及び/又は外科用器具28への電力を遮断
することが挙げられる。
【0082】
障害検出段144、コントローラ160及びそれらのコンポーネントは、本明細書に記
載したように、漏れ電流障害を検出する能力を依然として具現化しながら、本明細書に記
載したものとは異なるものとすることができる。
【0083】
いくつかの実施形態が上記の説明で論じられた。しかし、本明細書で論じる実施形態は
、網羅的であるか又は本発明を任意の特定の形態に限定することを意図されない。使用さ
れた用語は、制限的であるのではなく、説明の言葉(words of description)の性質内に
あることを意図される。多くの変更及び変形が、上記教示を考慮して可能であり、本発明
は、具体的に述べられる以外の方法で実施することができる。
【0084】
詳述された明細書から本発明の数多くの特徴及び利点が明らかであり、それゆえ、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨及び範囲に入る本発明の全てのそのような特徴及び利点に及ぶことを意図している。さらに、当業者には数多くの変更及び変形が容易に思い浮かぶことになるので、本発明を図示及び説明されたのと全く同じ構成及び動作に限定することは望ましくなく、それゆえ、本発明の範囲内に入る、全ての適切な変更形態及び均等物が採用される場合がある。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1~46の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールであって、
一次巻線及び二次巻線を備える変圧器であって、該一次巻線は、電源から入力信号を受信するように、かつ、前記外科用器具に前記駆動信号を供給するように前記二次巻線に該駆動信号を誘導するように構成されている、変圧器と、
前記駆動信号の経路に結合された漏れ制御巻線を備える第1の電流源であって、前記一次巻線は、前記漏れ制御巻線において、前記駆動信号の漏れ電流を相殺するように該駆動信号の前記経路内に注入すべき第1の相殺電流を誘導するように構成されている、第1の電流源と、
前記駆動信号の前記経路に結合されたセンサであって、漏れ電流に関連するフィードバックを提供するように検知信号を出力するように構成されている、センサと
を備えてなる、制御コンソール。
(請求項2)
前記電源は可変電源である、請求項1に記載の制御コンソール。
(請求項3)
前記変圧器及び前記第1の電流源は単一パッケージ内に統合されている、請求項1又は2に記載の制御コンソール。
(請求項4)
前記第1の電流源は、前記漏れ制御巻線と直列に結合されたコンデンサを更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項5)
前記一次巻線、前記漏れ制御巻線及び前記二次巻線は、まとまって、前記漏れ制御巻線と前記二次巻線との間に静電容量を発生させるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項6)
前記駆動信号は、超音波外科用器具を駆動するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項7)
前記駆動信号は、高周波外科用器具を駆動するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項8)
前記制御コンソールは、前記漏れ電流を相殺するように構成された第2の電流源を更に備え、該第2の電流源は、前記駆動信号の前記経路にかつ前記センサに結合されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項9)
前記第2の電流源は前記電源によって通電される、請求項8に記載の制御コンソール。
(請求項10)
前記第2の電流源は、入力として前記検知信号及び目標値を受信するように、かつ、残留漏れ電流を相殺するように前記駆動信号の前記経路内に注入すべき第2の相殺電流を決定するように構成されている、請求項8又は9に記載の制御コンソール。
(請求項11)
前記第2の電流源は、前記センサに結合された利得デバイスを備え、該利得デバイスは、前記検知信号と前記目標値との差を求めるように、かつ、該差に基づいて前記第2の相殺電流を決定するように構成されている、請求項10に記載の制御コンソール。
(請求項12)
前記第2の電流源は、前記利得デバイスに結合されたコンデンサを更に備え、該コンデンサは、前記第2の相殺電流のDC成分を遮断するように構成されている、請求項11に記載の制御コンソール。
(請求項13)
前記第1の電流源及び前記第2の電流源は、まとまって、漏れ電流を10μA以下まで低減させるように構成されている、請求項8~12のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項14)
前記センサは、前記駆動信号の電流を検知し、該駆動信号の該電流を前記検知信号として出力するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項15)
前記センサは、前記駆動信号のコモンモード電流を検知するように、かつ、該駆動信号の該コモンモード電流を前記検知信号として出力するように構成されており、前記コモンモード電流は前記駆動信号の漏れ電流に関連する、請求項1~14のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項16)
前記駆動信号の前記経路は、高電圧側導体及び低電圧側導体を備え、前記センサは、前記高電圧側導体及び前記低電圧側導体の双方の周囲に配置された変圧器巻線として更に画定され、該変圧器巻線は、前記駆動信号のコモンモード電流を出力するように構成されている、請求項14に記載の制御コンソール。
(請求項17)
前記制御コンソールは、前記駆動信号の前記経路にかつ前記センサに結合された第2の電流源を更に備え、該第2の電流源は、入力として前記コモンモード電流及び目標電流を受け取るように、かつ、残留漏れ電流を相殺するように前記駆動信号の前記経路内に注入すべき第2の相殺電流を決定するように構成されており、前記第2の電流源は、前記コモンモード電流と前記目標電流との差を求めるように、かつ、該差に基づいて前記第2の相殺電流を決定するように構成された利得デバイスを備える、請求項16に記載の制御コンソール。
(請求項18)
前記目標電流は0アンペアである、請求項17に記載の制御コンソール。
(請求項19)
前記駆動信号の前記経路は、高電圧側導体及び低電圧側導体を備え、前記センサは、前記低電圧側導体に結合され、該低電圧側導体からの電圧を検知するように、かつ、該電圧を前記検知信号として出力するように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項20)
前記センサはコンデンサである、請求項1~19のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項21)
前記制御コンソールは、前記センサに結合された第2の電流源を更に備え、該第2の電流源は、前記検知電圧及び目標電圧を入力として受け取るように、かつ、残留漏れ電流を相殺するように前記駆動信号の前記経路内に注入すべき第2の相殺電流を決定するように構成されており、前記第2の電流源は、前記検知電圧と前記目標電圧との差を求めるように、かつ、該差に基づいて前記第2の相殺電流を決定するように構成された利得デバイスを備える、請求項19に記載の制御コンソール。
(請求項22)
前記第2の電流源は、前記低電圧側導体内に前記第2の相殺電流を注入するように構成されている、請求項21に記載の制御コンソール。
(請求項23)
前記目標電圧は0ボルトである、請求項21に記載の制御コンソール。
(請求項24)
前記制御コンソールは、前記センサに結合され、前記検知信号を受信するように、かつ、漏れ電流に関連する障害状態の検出のための障害検出信号を発生させるように構成されている障害検出段を更に備える、請求項1~23のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項25)
前記障害検出段は、前記障害検出信号を発生させるように前記検知信号を変更するように構成された、ローパスフィルタ、整流器及びフィルタを備える、請求項24に記載の制御コンソール。
(請求項26)
前記制御コンソールは、前記障害検出段に結合され、該障害検出段から前記障害検出信号を受信するように、かつ、漏れ電流に関連する前記障害状態を判断するように構成されている、コントローラを更に備える、請求項24に記載の制御コンソール。
(請求項27)
前記障害検出段は、所定期間、前記障害検出信号の存在を検知するように、かつ、前記所定期間に達すると前記障害検出信号をコントローラに送信するように構成されている、請求項24~26のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項28)
コントローラは、前記障害検出信号を目標値と比較して前記障害状態を判断するように、かつ、該障害状態の判断に応じて前記外科用器具に対する電力を低減させるか又は打ち切るように構成されている、請求項24~27のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項29)
外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールであって、
一次巻線及び二次巻線を備える変圧器であって、該一次巻線は、電源から入力信号を受信するように、かつ、前記外科用器具に前記駆動信号を供給するように前記二次巻線に該駆動信号を誘導するように構成されている、変圧器と、
前記駆動信号の経路に結合された漏れ制御巻線を備える第1の電流源であって、前記一次巻線は、前記漏れ制御巻線において、前記駆動信号の漏れ電流を相殺するように該駆動信号の前記経路内に注入すべき第1の相殺電流を誘導するように構成されている、第1の電流源と、
前記入力信号の特徴を検知するように、かつ、該入力信号の該特徴に関連する検知信号を出力するように構成されたセンサと、
前記駆動信号の前記経路に結合された第2の電流源と、
前記センサにかつ前記第2の電流源に結合された可変利得デバイスと、
前記第2の電流源にかつ前記可変利得デバイスに結合され、複数の漏れ電流調整設定のうちの1つの選択を可能にするように、かつ、選択された漏れ電流調整設定を前記可変利得デバイスに提供するように構成されている選択インタフェースと
を備えてなり、
前記可変利得デバイスは、前記検知信号を受信するように、かつ、前記選択された漏れ電流調整設定に基づいて前記検知信号を変更するように構成されており、
前記第2の電流源は、前記可変利得デバイスからの前記変更された検知信号に基づいて第2の相殺電流を発生させるように、かつ、前記駆動信号の漏れ電流を相殺するように前記駆動信号の前記経路に前記第2の相殺電流を注入するように構成されている、制御コンソール。
(請求項30)
前記第2の電流源は可変利得増幅器を備える、請求項29に記載の制御コンソール。
(請求項31)
前記センサは変圧器巻線である、請求項29のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項32)
前記選択インタフェースはポテンショメータである、請求項29に記載の制御コンソール。
(請求項33)
前記ポテンショメータは、ソフトウェアによって制御されるデジタルポテンショメータである、請求項32に記載の制御コンソール。
(請求項34)
前記漏れ電流調整設定は、非一時的メモリにおいてルックアップテーブルに記憶される、請求項29~33のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項35)
前記変圧器の前記一次巻線は可変電源に結合されている、請求項29~34のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項36)
前記可変電源は、前記第2の電流源にも通電する、請求項35に記載の制御コンソール。
(請求項37)
外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールであって、
可変電源と、
一次巻線及び二次巻線を備える変圧器であって、該一次巻線は、前記可変電源に結合され、該可変電源から入力信号を受信するように、かつ、前記外科用器具に前記駆動信号を供給するように前記二次巻線において駆動信号を誘導するように構成されている、変圧器と、
前記駆動信号の経路に結合され、かつ前記可変電源に結合された電流源であって、前記可変電源は該電流源に通電するように構成され、該電流源は、前記駆動信号の漏れ電流を相殺するように該駆動信号の前記経路内に注入すべき相殺電流を発生させるように構成されている、電流源と
を備えてなる、制御コンソール。
(請求項38)
前記制御コンソールは、前記駆動信号の前記経路に結合されたセンサを更に備え、該センサは、漏れ電流に関連するフィードバックを提供するように検知信号を出力するように構成されている、請求項37に記載の制御コンソール。
(請求項39)
前記電流源は前記センサに結合されている、請求項38に記載の制御コンソール。
(請求項40)
前記電流源は、前記センサに結合された利得デバイスを備え、該利得デバイスは、前記検知信号及び目標値を入力として受信するように、かつ、前記検知信号と前記目標値との差を求めるように、かつ、該差に基づいて前記相殺電流を決定するように構成されている、請求項39に記載の制御コンソール。
(請求項41)
前記制御コンソールは、
前記入力信号の特徴を検知するように、かつ、該入力信号の該特徴に関連する検知信号を出力するように構成されたセンサと、
前記センサにかつ前記電流源に結合された可変利得デバイスと、
前記電流源にかつ前記可変利得デバイスに結合され、複数の漏れ電流調整設定のうちの1つの選択を可能にするように、かつ、選択された漏れ電流調整設定を前記可変利得デバイスに提供するように構成されている選択インタフェースと
を更に備え、
前記可変利得デバイスは、前記検知信号を受信するように、かつ、前記選択された漏れ電流調整設定に基づいて前記検知信号を変更するように構成されており、
前記電流源は、前記可変利得デバイスからの前記変更された検知信号に基づいて前記相殺電流を発生させるように構成されている、請求項37~40のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項42)
前記可変電源は、25VDCから250VDCまでで画定された範囲において可変である、請求項37~41のいずれか一項に記載の制御コンソール。
(請求項43)
前記可変電源は、前記目標値に対する供給源に通電し、前記可変電源は、AC値に加えてDCオフセットを含む前記目標値を提供するように構成されている、請求項40に記載の制御コンソール。
(請求項44)
外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールを動作させる方法であって、該制御コンソールは、一次巻線及び二次巻線を備える変圧器であって、該二次巻線は前記駆動信号の経路に結合されている、変圧器と、前記駆動信号の前記経路に結合された漏れ制御巻線を備える第1の電流源と、前記駆動信号の前記経路に結合されたセンサとを備えており、前記方法は、
前記一次巻線により、電源から入力信号を受信するステップと、
前記一次巻線により、前記二次巻線において前記駆動信号を誘導するステップと、
前記二次巻線により、前記駆動信号を前記外科用器具に供給するステップと、
前記一次巻線により、前記漏れ制御巻線において第1の相殺電流を誘導するステップと、
前記第1の電流源により、前記駆動信号の前記経路内に前記第1の相殺電流を注入するステップと、
前記第1の相殺電流により、前記駆動信号の漏れ電流を相殺するステップと、
前記センサにより、漏れ電流に関連するフィードバックを提供するように検知信号を出力するステップと
を含んでなる方法。
(請求項45)
外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールを動作させる方法であって、前記制御コンソールは、一次巻線及び二次巻線を備える変圧器と、前記駆動信号の経路に結合された漏れ制御巻線を備える第1の電流源と、センサと、前記駆動信号の前記経路に結合された第2の電流源と、前記センサにかつ前記第2の電流源に結合された可変利得デバイスと、前記第2の電流源にかつ前記可変利得デバイスに結合された選択インタフェースとを備えており、前記方法は、
前記一次巻線により、電源から入力信号を受信するステップと、
前記一次巻線により、前記二次巻線において前記駆動信号を誘導するステップと、
前記二次巻線により、前記駆動信号を前記外科用器具に供給するステップと、
前記一次巻線により、前記漏れ制御巻線において第1の相殺電流を誘導するステップと、
前記第1の電流源により、前記駆動信号の前記経路内に前記第1の相殺電流を注入するステップと、
前記センサにより、前記入力信号の特徴を検知するステップと、
前記センサにより、前記入力信号の前記特徴に関連する検知信号を出力するステップと、
前記選択インタフェースにより、複数の漏れ電流調整設定のうちの1つの選択を可能にするステップと、
前記選択インタフェースにより、前記選択された漏れ電流調整設定を前記可変利得デバイスに提供するステップと、
前記可変利得デバイスにより、前記検知信号を受信するステップと、
前記可変利得デバイスにより、前記選択された漏れ電流調整設定に基づき前記検知信号を変更するステップと、
前記第2の電流源により、前記可変利得デバイスからの前記変更された検知信号に基づき第2の相殺電流を発生させるステップと、
前記第2の電流源により、前記駆動信号の漏れ電流を相殺するように該駆動信号の前記経路内に前記第2の相殺電流を注入するステップと
を含んでなる方法。
(請求項46)
外科用器具に駆動信号を供給する制御コンソールを動作させる方法であって、前記制御コンソールは、可変電源と、一次巻線及び二次巻線を備え、該一次巻線が前記可変電源に結合されている、変圧器と、前記駆動信号の経路に結合されかつ前記可変電源に結合された電流源とを備えており、前記方法は、
前記一次巻線により、前記可変電源から入力信号を受信するステップと、
前記一次巻線により、前記二次巻線において前記駆動信号を誘導するステップと、
前記二次巻線により、前記駆動信号を前記外科用器具に供給するステップと、
前記可変電源により、前記電流源に通電するステップと、
前記通電された電流源により、前記駆動信号の漏れ電流を相殺するように前記駆動信号の前記経路内に注入すべき相殺電流を発生させるステップと
を含んでなる方法。