(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】水中油型乳化組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20241128BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/368
A61K8/67
A61K8/49
A61K8/64
A61K8/44
A61K8/60
A61K8/86
A61K8/34
A61Q1/00
A61Q17/04
A61Q5/00
A61Q7/00
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2023115787
(22)【出願日】2023-07-14
(62)【分割の表示】P 2020525339の分割
【原出願日】2019-05-09
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2018117399
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】内山 智哉
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 啓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 繁郎
(72)【発明者】
【氏名】増田 収希
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-126705(JP,A)
【文献】特開2009-179584(JP,A)
【文献】特開2013-116884(JP,A)
【文献】特開2009-102281(JP,A)
【文献】特開2002-226402(JP,A)
【文献】特開2017-119640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、及び有機酸又はその塩若しくはその誘導体を含む分散媒、並びに
前記分散媒中に分散している油滴
を含む、水中油型乳化組成物であって、
前記有機酸の誘導体が、前記有機酸の水酸基又はカルボキシル基に化学的修飾を施した化合物であり、
前記油滴が、100nm以下の平均粒径を有し、かつ、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含み、
前記イオン性界面活性剤、前記非イオン性界面活性剤及び前記高級アルコールが、前記油滴の界面膜を形成しており、
前記非イオン性界面活性剤が、15.0以上のHLBを有する、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、かつ、前記非イオン性界面活性剤の配合量が、1.2質量%以上であり、
A/S比が、0超、かつ、3.0以下である、
水中油型乳化組成物。
【請求項2】
前記有機酸が、アルコキシサリチル酸、L-アスコルビン酸、コウジ酸、カルノシン、トラネキサム酸、グリチルリチン酸及び1-ピペリジンプロピオン酸のうちの少なくとも一種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記イオン性界面活性剤が、スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤が、N-アシルメチルタウリン塩である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、かつ、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるポリオキシエチレン基の平均付加モル数が、20以上である、請求項
1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記高級アルコールが、炭素原子数18以上の直鎖状飽和アルキル基を有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機酸又はその塩若しくはその誘導体が、組成物100gに対して2mmol~30mmol含まれている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
L値が、50以上である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物を含む、化粧料基剤。
【請求項10】
水、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含む混合液を調製し、
該混合液を50MPa以上の圧力下で高圧乳化させて乳化物を調製し、
該乳化物に有機酸又はその塩若しくはその誘導体を配合する、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美白作用、抗酸化作用等の高機能特性を有する化粧料などが望まれている。このような化粧料において使用される水中油型乳化組成物には、高機能特性の発現、pH調整等のために、アスコルビン酸、4-メトキシサリチル酸等の有機酸及びその塩などの電解質が、水相中に塩型薬剤として配合されることが多い。
【0003】
特許文献1には、塩型薬剤、親水性非イオン界面活性剤、N-長鎖アシル酸性アミノ酸モノ塩、2種以上の高級脂肪酸及び高級脂肪酸石鹸を構成するアルカリ、高級アルコール、油分、及び水を含有し、高圧乳化により乳化粒子を微細化した、水中油型乳化組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水中油型乳化組成物に対し、有機酸及びその塩などの電解質を配合すると、係る乳化組成物の乳化安定性が低下するという問題がある。
【0006】
したがって、本発明の主題は、有機酸又はその塩若しくはその誘導体を含有しても高い乳化安定性を呈する水中油型乳化組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〈態様1〉
水、及び有機酸又はその塩若しくはその誘導体を含む分散媒、並びに
前記分散媒中に分散している油滴
を含む、水中油型乳化組成物であって、
前記油滴が、100nm以下の平均粒径を有し、かつ、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含み、
前記イオン性界面活性剤、前記非イオン性界面活性剤及び前記高級アルコールが、前記油滴の界面膜を形成している、
水中油型乳化組成物。
〈態様2〉
前記有機酸が、アルコキシサリチル酸、L-アスコルビン酸、コウジ酸、カルノシン、トラネキサム酸、グリチルリチン酸及び1-ピペリジンプロピオン酸のうちの少なくとも一種である、態様1に記載の組成物。
〈態様3〉
前記イオン性界面活性剤が、スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤である、態様1又は2に記載の組成物。
〈態様4〉
前記スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤が、N-アシルメチルタウリン塩である、態様3に記載の組成物。
〈態様5〉
前記非イオン性界面活性剤のHLBが、15.0以上である、態様1~4のいずれかに記載の組成物。
〈態様6〉
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである、態様1~5のいずれかに記載の組成物。
〈態様7〉
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるポリオキシエチレン基の平均付加モル数が、20以上である、態様6に記載の組成物。
〈態様8〉
前記高級アルコールが、炭素原子数18以上の直鎖状飽和アルキル基を有する、態様1~7のいずれかに記載の組成物。
〈態様9〉
A/S比が、0超、かつ、3.0以下である、態様1~8のいずれかに記載の組成物。
〈態様10〉
前記有機酸又はその塩若しくはその誘導体が、組成物100gに対して2mmol~30mmol含まれている、態様1~9のいずれかに記載の組成物。
〈態様11〉
L値が、50以上である、態様1~10のいずれかに記載の組成物。
〈態様12〉
請求項1~11のいずれかに記載の組成物を含む、化粧料基剤。
〈態様13〉
水、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含む混合液を調製し、
該混合液を50MPa以上の圧力下で高圧乳化させて乳化物を調製し、
該乳化物に有機酸又はその塩若しくはその誘導体を配合する、
態様1~11のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有機酸又はその塩若しくはその誘導体を含有しても高い乳化安定性を呈する水中油型乳化組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】水中油型乳化組成物中の油滴の粒度分布に関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0011】
本発明の水中油型乳化組成物は、水、及び有機酸又はその塩若しくはその誘導体を含む分散媒、並びに分散媒中に分散している油滴を含み、係る油滴が、100nm以下の平均粒径を有し、かつ、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含み、また、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び高級アルコールが、油滴の界面膜を形成している組成物である。
【0012】
本発明の水中油型乳化組成物によれば、乳化安定性を向上させることができる。
【0013】
原理によって限定されるものではないが、本発明の水中油型乳化組成物が、有機酸又はその塩若しくはその誘導体を含有しても高い乳化安定性を呈する作用原理は、以下のとおりであると考える。
【0014】
例えば、高級アルコール及び油分を加熱して溶解させた溶液を、イオン性界面活性剤及び水を混合した溶液に添加し、高圧ホモジナイザーを用いて高圧乳化させて水中油滴型の乳化組成物を形成した場合、分散する油滴界面には、イオン性界面活性剤及び高級アルコールを含む界面膜が形成されるものと考えられる。そして、係る界面膜中のイオン性界面活性剤に基づく静電反発の作用により、油滴は水中に比較的安定して分散することができる。
【0015】
しかしながら、この組成物に有機酸及びその塩などの電解質が添加されると、係る電解質の静電遮蔽効果によって静電反発の作用が弱まり、油滴の凝集及び合一が促進されるため、係る水中油型乳化組成物の乳化安定性が低下するものと考えている。また、界面膜に含まれている高級アルコールは、親油性で結晶化し易いため、静電反発作用の弱まった油滴をさらに凝集させやすく、乳化組成物を不安定化させ、その結果、界面膜中で結晶化した高級アルコールがブツとして析出し易くなるものと考えている。
【0016】
一方、本発明の水中油型乳化組成物の場合は、乳化させる溶液に非イオン性界面活性剤も含まれているため、分散する油滴の界面には、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び高級アルコールを含む界面膜が形成されるものと考えられる。その結果、係る油滴に対しては、イオン性界面活性剤に基づく静電反発に加えて、非イオン性界面活性剤に基づくエントロピー反発も作用するため、電解質の静電遮蔽効果によって静電反発の作用が弱まったとしても、エントロピー反発の作用により油滴の凝集及び合一が抑制され、水中油型乳化組成物の乳化安定性が向上するものと考えている。
【0017】
なお、特許文献1に記載されている水中油型乳化組成物においては、非イオン性界面活性剤が、アウトパーツとして乳化後に配合されていることから、係る非イオン性界面活性剤は油滴の界面膜には含まれていないと考えられるため、係る油滴にはエントロピー反発の作用が発現していないものと考えている。
【0018】
《水中油型乳化組成物》
本発明の水中油型乳化組成物は、水、及び有機酸又はその塩若しくはその誘導体を含む分散媒、並びに分散媒中に分散している平均粒径が100nm以下の油滴を含んでいる。
【0019】
係る組成物を、例えば、高圧乳化法によって調製した場合には、乳化安定性に優れることに加え、低粘度でありながら透明性にも優れるため、例えば、化粧料として使用した場合に、色味を変化させることなく、コクのある使用感を呈することができる。ここで、「コク」とは、使用時の感触がまろやかでとろみがあり、肌に塗布したときに肌に水分が保持されているような潤いを感じさせる状態をいう。
【0020】
粘度については、例えば、B型粘度計を用いて評価することができる。例えば、30℃、60回転/分の条件で測定した本発明の組成物の粘度は、100mPa・s以下、75mPa・s以下、又は50mPa・s以下とすることができ、また、5mPa・s以上、7mPa・s以上、又は10mPa・s以上とすることができる。
【0021】
また、透明性については、例えば、SE7700(日本電色工業社製)等の分光光度計から算出されるL値によって評価することができる。L値は、100に近いほど透明度が高いことを意図し、本発明の組成物は、作製直後において、L値を、50以上、55以上又は60以上とすることができ、また、90以下又は80以下とすることができる。また、本発明の組成物は、高温試験又は温度耐性加速試験に該当する50℃で4週間保存した状態での透明性にも優れており、作製直後の初期L値に対する50℃で4週間保存したときのL値の比率を、35%以上、50%以上、又は60%以上にすることができる。
【0022】
〈油滴〉
水中油型乳化組成物における油相又は分散相としての油滴は、100nm以下の平均粒径を有し、かつ、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含んでおり、また、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び高級アルコールは、油滴の界面膜を形成している。係る界面膜は、例えば、透析法、超遠心分離法などを用いて確認することができる。
【0023】
本発明の水中油型乳化組成物では、分散相である係る油滴の平均粒径は、透明性等の観点から、作製直後において、100nm以下、90nm以下、80nm以下、又は70nm以下とすることが好ましい。平均粒径の下限値は特に限定されないが、例えば、5nm以上、10nm以上、又は20nm以上とすることができる。油滴の平均粒径は、例えば、油滴の粒子形状を球状と仮定したときに、動的光散乱法等により光学的に測定された油滴の直径の平均値として規定することができる。
【0024】
また、本発明の組成物は、50℃で4週間保存した状態での乳化安定性にも優れており、係る状態における油滴の増大率を、30%以下、25%以下、又は20%以下に抑制することができる。この油滴の増大率は、油滴の平均粒径の初期値及び50℃で4週間保存後の油滴の平均粒径の値から、下記の式1より算出することができる:
【数1】
【0025】
本発明の水中油型乳化組成物におけるイオン性界面活性剤の配合量は、次のものに限定されないが、静電反発作用に伴う乳化安定性、透明性等の観点から、例えば、組成物全量に対して、0.60質量%以下、0.55質量%以下、又は0.50質量%以下とすることができ、また、0.20質量%以上、0.25質量%以上、又は0.30質量%以上とすることができる。
【0026】
非イオン性界面活性剤の配合量は、次のものに限定されないが、エントロピー反発作用に伴う乳化安定性、透明性等の観点から、例えば、組成物全量に対して、3.0質量%以下、2.7質量%以下、又は2.5質量%以下とすることができ、また、1.0質量%以上、1.2質量%以上、又は1.5質量%以上とすることができる。
【0027】
また、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の合計モル量に対するイオン性界面活性剤のモル量の比として定義される界面活性剤比としては、乳化安定性、透明性等の観点から、0.30以上、0.35以上、0.40以上、0.45以上、又は0.50以上とすることができ、また、0.70以下、0.65以下、又は0.60以下とすることができる。
【0028】
高級アルコールの配合量は、次のものに限定されないが、乳化安定性等の観点から、例えば、組成物全量に対して、2.0質量%以下、1.5質量%以下、1.0質量%以下、又は0.8質量%以下とすることができ、また、0.4質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、又は0.7質量%以上とすることができる。
【0029】
また、高級アルコールのモル量(A)の、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の合計モル量(S)に対する比として定義されるA/S比としては、乳化安定性、透明性等の観点から、0超、0.3以上、又は0.5以上とすることができ、また、4.0以下、3.5以下、又は3.0以下とすることができる。
【0030】
油滴の界面膜を構成するこれら三成分が、上記のようなバランスで配合されていると、界面膜は平面的な構造から曲面的な構造をとり易くなると考えられる。その結果、油滴は球体化し易くなり、乳化安定性がより向上するものと考えている。
【0031】
(イオン性界面活性剤)
イオン性界面活性剤としては、油滴の界面膜を形成し得るものであれば如何なるものでもよく、アニオン性、カチオン性又は両性のイオン性界面活性剤を使用することができる。中でも、乳化安定性等の観点から、アニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
【0032】
アニオン性界面活性剤としては、次のものに限定されないが、例えば、カルボン酸塩型、スルホン酸塩型、硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型の少なくとも一種を使用することができ、中でも、電解質による静電遮蔽を受けにくいスルホン酸塩型を使用することが好ましい。塩の形態としては、特に限定されるものでないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の形態を例示することができる。
【0033】
スルホン酸塩型のアニオン性界面活性剤としては、例えば、N-アシルメチルタウリン塩を使用することができ、例えば、ステアロイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ミリストイルメチルタウリン塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩等を好適に使用することができる。
【0034】
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤としては、油滴の界面膜を形成し得るものであれば如何なるものでもよく、特に限定されるものでないが、例えば、HLBが、15.0以上、15.5以上又は16.0以上の親水性の非イオン性界面活性剤を使用することができる。係る親水性の非イオン性界面活性剤を用いて化粧料とした場合には、コクのある使用感を使用者により感じさせ易くなる。ここで、HLBとは、一般に界面活性剤の水及び油への親和性を示す値であって、親水性-親油性バランスとして知られているパラメーターであり、例えば、グリフィン法などの公知の計算法により容易に求めることができる。
【0035】
非イオン性界面活性剤としては、次のものに限定されないが、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの少なくとも一種を使用することができ、中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用することが好ましい。
【0036】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどを挙げることができ、中でも、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルが好ましい。具体的には、例えば、POE(15)セチルエーテル(HLB15.5)、POE(20)セチルエーテル(HLB17.0)、POE(23)セチルエーテル(HLB18.0)、POE(20)ステアリルエーテル(HLB18.0)、POE(21)ステアリルエーテル(HLB値18.0)、POE(15)オレイルエーテル(HLB16.0)、POE(20)オレイルエーテル(HLB17.0)、POE(50)オレイルエーテル(HLB18.0)、POE(20)ベヘニルエーテル(HLB16.5)、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB18.0)、POE(10)(C12-15)アルキルエーテル(HLB15.5)などを挙げることができ、中でも、POE(30)ベヘニルエーテルが好ましい。係るポリオキシエチレンアルキルエーテルの市販品の例としては、NIKKOL(商標)BB-30(日光ケミカルズ株式会社製)などを挙げることができる。ここで、POEとは、ポリオキシエチレン基を意味し、また、POEに続くカッコ内の数値は、当該化合物中におけるポリオキシエチレン基の平均付加モル数を意味する。
【0037】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるポリオキシエチレン基の平均付加モル数としては、乳化安定性、透明性等の観点から、20以上、21以上、25以上、又は30以上であることが好ましい。
【0038】
(高級アルコール)
高級アルコールとしては、上記のイオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤とともに油滴の界面膜を形成し得るものであれば如何なるものでもよいが、乳化安定性等の観点から、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤とともに常温以上で固体状又はα-ゲル状の界面膜を形成し得るもの、例えば、常温で固体状の高級アルコールなどが好ましい。ここで、常温とは、5℃~35℃の範囲を意図する。
【0039】
係る高級アルコールとしては、例えば、炭素鎖長が16以上のものを使用することができ、具体例には、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセレンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の直鎖又は分岐型の高級アルコールなどが挙げられる。中でも、使用感等の観点から、炭素原子数18以上又は19以上の直鎖状飽和アルキル基を有する高級アルコールが好ましく、ベヘニルアルコールが特に好ましい。
【0040】
(油分)
油分としては、次のものに限定されないが、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、合成エステル油等の少なくとも一種を使用することができる。
【0041】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0042】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0043】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0044】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、オレフィンオリゴマー、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
【0045】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0046】
〈水〉
本発明の水中油型乳化組成物で使用し得る水としては、特に限定されるものではないが、化粧料、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。係る水の配合量は、特に限定されるものではないが、例えば、乳化安定性等の観点から、組成物全量に対して50~95質量%であることが好ましく、70~90質量%であることがより好ましい。また、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲において、水とともに、水溶性アルコールなどを併用しても構わない。
【0047】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル類、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの誘導体などを挙げることができる。これらは単独で又は複数組み合わせて使用することができる。
【0048】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0049】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等)などが挙げられる。
【0050】
多価アルコール重合体としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0051】
2価のアルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
【0052】
2価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等が挙げられる。
【0053】
2価アルコールエーテルエステル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0054】
グリセリンモノアルキルエーテルとしては、例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等が挙げられる。
【0055】
糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等が挙げられる。
【0056】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-ブシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプロ-ス等)、八炭糖(例えば、オクツロ-ス等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0057】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0058】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0059】
その他、例えば、グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリンなども使用することができ、また、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等のポリオールなども使用することができる。ここで、POPとは、ポリオキシプロピレン基を意味する。
【0060】
〈有機酸又はその塩若しくはその誘導体〉
本発明の水中油型乳化組成物で使用し得る有機酸又はその塩若しくはその誘導体は、如何なるものでもよく、特に限定されるものではないが、例えば、肌に適用した場合に、肌質の改善等の効果、例えば、美白効果等を奏し得るものを使用することができる。
【0061】
有機酸とは、カルボキシル基を有し、電離して水素イオンを生じる有機化合物であり、この化合物には、アミノ酸又はその類縁体なども含まれる。具体的には、例えば、アルコキシサリチル酸、L-アスコルビン酸、コウジ酸、カルノシン、トラネキサム酸、グリチルリチン酸及び1-ピペリジンプロピオン酸などを挙げることができ、これらは単独で又は複数組み合わせて使用することができる。中でも、美白効果等の観点から、アルコキシサリチル酸、L-アスコルビン酸、コウジ酸及び1-ピペリジンプロピオン酸が好ましい。また、アルコキシサリチル酸としては、例えば、3-メトキシサリチル酸、3-エトキシサリチル酸、4-メトキシサリチル酸、4-エトキシサリチル酸、4-プロポキシサリチル酸、4-イソプロポキシサリチル酸、4-ブトキシサリチル酸、5-メトキシサリチル酸、5-エトキシサリチル酸、5-プロポシキサリチル酸等を挙げることができ、中でも、4-メトキシサリチル酸が好ましい。
【0062】
有機酸は、塩の形態又は誘導体の形態であってもよく、これらのものを単独で又は複数組み合わせて使用してもよい。ここで、塩の形態としては、特に限定されるものでないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の形態を例示することができる。また、誘導体の形態とは、例えば、有機酸に対して化学的修飾を行うことによって得られる化合物であり、有機酸の水酸基又はカルボキシル基等に化学的修飾を施した化合物などが挙げられる。
【0063】
有機酸又はその塩若しくはその誘導体の配合量は、特に限定されるものではないが、係る成分に基づく効果の発現性、乳化安定性等の観点から、組成物100gに対して、2mmol以上、3mmol以上、又は4mmol以上とすることができ、また、30mmol以下、25mmol以下、又は20mmol以下とすることができる。本発明の組成物は、有機酸等の塩型薬剤を含有しても、安定な乳化状態を維持することができるため、従来の系に比べて塩型薬剤の含有率を高めることができ、係る薬剤による効果をより高めることができる。
【0064】
〈他の成分〉
本発明の水中油型乳化組成物は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、係る組成物の使用用途等に応じて上記以外の各種成分を適宜配合することができる。各種成分としては、例えば、化粧料などに通常配合し得るような添加成分、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤等の両性性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;アニオン性界面活性剤;POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類などの非イオン性界面活性剤;タルク等の粉体;ポリエチレングリコール等の保湿剤;植物系高分子、デンプン系高分子、ビニル系高分子等の水溶性高分子;アニオン性皮膜剤、カチオン性皮膜剤、ノニオン性皮膜剤等の皮膜剤;安息香酸系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸等の金属イオン封鎖剤;中性アミノ酸、塩基性アミノ酸等のアミノ酸及びその塩若しくはその誘導体;モノエタノールアミン等の有機アミン;アクリル樹脂エマルジョン等の高分子エマルジョン;ジメチコンクロスポリマー等のシリコーンエラストマー;キレート剤;乳酸-乳酸ナトリウム等のpH調整剤;皮膚栄養剤;ビタミンA、ビタミンC及びそれらの誘導体等のビタミン類;トコフェロール類等の酸化防止剤;リン酸等の酸化防止助剤;カフェイン、オウバク等の各種抽出液;エチルパラベン等の防腐剤;グリチルリチン酸誘導体等の消炎剤;胎盤抽出物、アスコルビン酸リン酸マグネシウム等の美白剤;ローヤルゼリー等の賦活剤;ノニル酸ワレニルアミド等の血行促進剤;硫黄等の抗脂漏剤;色素;顔料;香料等が挙げられる。
【0065】
各種成分は、その性質に応じて、例えば、水中油型乳化物の場合には、連続相としての水相、及び/又は分散相としての油相、即ち、油滴内に配合され得る。また、本発明の水中油型乳化組成物は、乳化安定性に優れるため、高級脂肪酸、及びかかる高級脂肪酸を中和するための中和剤、並びに中和して得られた高級脂肪酸石鹸などを含まなくてもよい。
【0066】
《水中油型乳化組成物の用途》
本発明の水中油型乳化組成物は、用途に応じて透明又は半透明にすることができ、また、肌に塗布したときに心地よいコクのある使用感を呈することもできる。したがって、係る性能を呈する本発明の組成物は、例えば、化粧料の基剤、特に、皮膚に適用される化粧料の基剤として使用することができる。ここで、皮膚に適用される化粧料には、皮膚外用剤と呼ばれるものも包含することができる。
【0067】
本発明の化粧料の製品形態としては、特に限定されるものではないが、例えば、化粧水、美容液、乳液、パック等のフェーシャル化粧料;ファンデーション、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料;日焼け止め化粧料(サンスクリーン剤);ボディー化粧料;芳香化粧料;メーク落とし、ボディーシャンプーなどの皮膚洗浄料;ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、シャンプー、リンス、育毛料等の毛髪化粧料;軟膏などを挙げることができる。
【0068】
《水中油型乳化組成物の製造方法》
平均粒径が100nm以下の超微細な油滴を含む本発明の水中油型乳化組成物は、例えば、凝集法又は分散法といった公知の方法により調製することができる。
【0069】
凝集法とは、界面化学的特性を利用したコロイド調製法であり、一様に溶け合った状態から何らかの手段で過飽和状態にし、分散相となるものを出現させる方法である。具体的な手法として、HLB温度乳化法、転相乳化法、非水乳化法、D相乳化法、及び液晶乳化法等が知られている。
【0070】
分散法とは、分散相の塊を力により微細化する方法である。具体的には、乳化機の破砕力を利用して乳化する方法である。本発明において好ましく用いられる分散法は、透明性、低粘度化等の観点から、特許第3398171号公報に記載されているような高圧乳化による分散法である。ここで、高圧乳化とは、水相成分及び油相成分を、必要に応じてホモミキサー等により予備乳化し、高圧下、マントンゴウリン、フレンチプレス、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザーを用いた高剪断力により微細な乳化粒子を有する乳化物を得る方法である。
【0071】
本発明の水中油型乳化組成物を高圧乳化法によって得る場合には、水、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含む混合液を調製し、係る混合液を50MPa以上、80MPa以上、又は100MPa以上の圧力下で高圧乳化させて乳化物を調製し、次いで、係る乳化物に有機酸又はその塩若しくはその誘導体を配合することによって組成物を調製することが好ましい。乳化させる前に、水、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含む混合液を調製しておくことによって、乳化後の油滴の界面膜中に、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び高級アルコールが含まれやすくなる。
【0072】
ここで、混合液の調製は、水、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を一度に混合してもよく、或いは、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を含む油溶性溶液と、水及びイオン性界面活性剤を含む水溶性溶液とを各々調製し、係る水溶性溶液に油溶性溶液を添加して混合液を調製してもよい。また、混合液の調製においては、必要に応じて、加温処理を適宜適用することができる。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、配合量は質量%で示す。
【0074】
《実施例1~18及び比較例1~4》
下記に示す表1~8の処方及び製造方法により得た組成物について、L値、組成物中の油滴の平均粒径及び粒度分布、並びに性状を評価した。
【0075】
〈組成物の評価〉
調製した水中油型乳化組成物をサンプル管に充填し、以下に示す各種評価を実施し、その結果を、表1~8及び
図1にまとめる。
【0076】
ここで、表中の「初期値」とは、組成物製造直後の評価結果を意味し、「50℃4W」とは、サンプル管を50℃の恒温層に4週間保存した後の評価結果を意味し、「RT4W」とは、サンプル管を室温下に4週間保存した後の評価結果を意味する。また、「A/S比」とは、(高級アルコールのmol量)/(非イオン性界面性剤のmol量+イオン性界面性剤のmol量)を意味し、「界面活性剤比」とは、(イオン性界面性剤のmol量)/(非イオン性界面性剤のmol量+イオン性界面性剤のmol量)を意味する。
【0077】
(L値の評価)
透明性の指標となるL値については、分光光度計であるSE7700(日本電色工業社製)を用いて評価した。
【0078】
また、初期のL値に対する50℃4週間後のL値の比率を算出することにより、経時での乳化安定性の評価も行った。係る比率は、数値が高いほど経時での乳化安定性に優れているといえる。
【0079】
(平均粒径及び粒度分布の評価)
組成物中の油滴の平均粒径及び粒度分布については、Zeta saizer(シスメックス社製)を用いて測定した。
【0080】
(組成物の性状評価)
サンプル管中の組成物を目視で観察し、以下の基準でその性状を評価した。
A:組成物の中に凝集物又はゲル化が確認されない。
B:光に透かすと凝集物がわずかに確認される。
C:組成物の中に凝集物又はゲルが明らかに確認される。
【0081】
〈非イオン性界面活性剤の併用効果〉
実施例1及び比較例1から、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の併用効果について検討した。
【0082】
【0083】
(実施例1)
非イオン性界面活性剤としてのPOE(30)ベヘニルエーテル、高級アルコールとしてのベヘニルアルコール、並びに油分としての流動パラフィン及びジメチルポリシロキサンを混合及び加温して溶解させ、油溶性溶液を調製した。イオン性界面活性剤としてのステアロイルメチルタウリンナトリウム、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びエデト酸二ナトリウム、及びイオン交換水を含む水性溶媒の一部を混合及び加温して溶解させ、水溶性溶液を調製した。次いで、この水溶性溶液に油溶性溶液を添加して撹拌後、高圧ホモジナイザーを用いて100MPaの圧力下で高圧乳化を行い、乳化物を調製し、冷却した。次いで、塩型薬剤としての4-メトキシサリチル酸カリウムを添加して溶解させた水性溶媒の残部を、係る乳化物に添加して水中油型乳化組成物を調製した。
【0084】
(比較例1)
非イオン性界面活性剤を使用しなかったこと、高級アルコールとしてベヘニルアルコールとともにステアリルアルコールを使用したことを除き、表1に記載される配合割合を採用し、実施例1と同様にして比較例1の組成物を作製した。
【0085】
(結果)
表1の結果から明らかなように、非イオン性界面活性剤を含まない比較例1の組成物は、室温4週間(RT4W)の条件であったとしても凝集物等が目視で確認され、乳化状態が不安定となる一方で、非イオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤との両方を含む実施例1の組成物は、凝集物はほとんど確認されず、乳化安定性に優れることが分かった。また、透明性に関しても、初期値及び50℃4週間後(50℃4W)の何れにおいても、実施例1の組成物の方が比較例1の組成物に比べて優れていることが確認された。したがって、塩型薬剤を配合する場合において、乳化している油滴の界面膜中に、イオン性界面活性剤に加えて、非イオン性界面活性剤も含まれていると、組成物の乳化安定性を向上させ得ることが分かった。
【0086】
〈A/S比の影響1〉
実施例1~8から、高級アルコールの濃度を変えることによるA/S比の影響について検討した。
【0087】
【0088】
(実施例2~8)
表2に記載される配合割合を採用したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例2~8の組成物を各々作製した。
【0089】
(結果)
表2の結果から分かるように、A/S比の値が小さくなるに従い、特に、50℃4週間(50℃4W)における乳化安定性がより向上することが確認された。
【0090】
〈A/S比の影響2〉
実施例9~11から、高級アルコール、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤の合計量(以下「AS量」という。)を一定にした状態のA/S比の影響について検討した。
【表3】
【0091】
(実施例9~11)
表3に記載される配合割合を採用したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例9~11の組成物を各々作製した。
【0092】
(結果)
表3の結果から分かるように、AS量を約3質量%に固定した場合、A/S比を下げるごとに、初期L値に対する50℃4週間後(50℃4W)のL値の比率(%)が改善される傾向にあり、組成物の乳化安定性を向上させ得ることが確認された。
【0093】
〈界面活性剤比の影響1〉
実施例2、12及び13から、界面活性剤比の影響について検討した。
【0094】
【0095】
(実施例12及び13)
表4に記載される配合割合を採用したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例12及び13の組成物を各々作製した。
【0096】
(結果)
表4の結果から分かるように、A/S比を0.75と固定した場合、界面活性剤比にかかわらず、組成物の乳化安定性を向上させ得ることが確認された。
【0097】
〈界面活性剤比の影響2〉
実施例3、10、14、及び比較例2、3から、界面活性剤比の影響について検討した。
【0098】
【0099】
(実施例14)
表5に記載される配合割合を採用したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例14の組成物を作製した。
【0100】
(比較例2)
イオン性界面活性剤を使用しなかったこと、表5に記載される配合割合を採用したことを除いて、実施例1と同様にして、比較例2の組成物を作製した。
【0101】
(比較例3)
非イオン性界面活性剤を使用しなかったこと、表5に記載される配合割合を採用したことを除いて、実施例1と同様にして、比較例3の組成物を作製した。
【0102】
(結果)
表5の結果、特に、温度耐性加速試験に相当する50℃4週間後(50℃4W)のL値及び性状の結果、並びに初期L値に対する50℃4週間後のL値の比率の結果から分かるように、A/S比を1に固定して界面活性剤比を変化させると、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の両方を使用する実施例3、10及び14の組成物の方が、何れか一方を使用する比較例2及び3の組成物に比べて乳化安定性を長期に向上させ得ることが確認された。
【0103】
〈界面活性剤比の影響3〉
実施例4、15及び16から、界面活性剤比の影響について検討した。
【0104】
【0105】
(実施例15及び16)
表6に記載される配合割合を採用したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例15及び16の組成物を各々作製した。
【0106】
(結果)
表6の結果から分かるように、A/S比を1.25に固定した場合、界面活性剤比にかかわらず、組成物の乳化安定性を向上させ得ることが確認された。
【0107】
〈界面活性剤比の影響4〉
実施例5、17及び18から、界面活性剤比の影響について検討した。
【0108】
【0109】
(実施例17及び18)
表7に記載される配合割合を採用したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例17及び18の組成物を各々作製した。
【0110】
(結果)
表7の結果から分かるように、A/S比を1.5に固定した場合、界面活性剤比にかかわらず、組成物の乳化安定性を向上させ得ることが確認された。
【0111】
〈油滴界面膜中の非イオン性界面活性剤の影響〉
実施例3及び比較例4から、油滴の界面膜中における非イオン性界面活性剤の影響について検討した。また、室温で4週間放置後(RT4W)の実施例3及び比較例4における組成物中の油滴の粒度分布を
図1に示す。
【0112】
【0113】
(比較例4)
ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジメチルポリシロキサン、α-オレフィンオリゴマー、ステアリン酸、及びベヘニン酸を、80℃で攪拌混合して油溶性溶液を調製した。イオン交換水の一部、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、水酸化カリウム、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エタノール及びエデト酸二ナトリウムを、70℃で攪拌混合して水溶性溶液を調製した。次いで、係る水溶性溶液に油溶性溶液を攪拌しながら混合し、高圧ホモジナイザーを用いて55MPaの圧力下で高圧乳化を行い、乳化物を調製した。次いで、イオン交換水の残部、POE(25)セチルエーテル及び4-メトキシサリチル酸カリウムを攪拌混合して溶解させた混合液中に、得られた乳化物を攪拌しながら混合して、水中油型乳化組成物を調製した。なお、この組成物は、特許文献1における実施例2の組成物に相当する。
【0114】
(結果)
表8の結果から、比較例4の組成物は、実施例3の組成物に比べて透明性に劣ることが分かる。これは、油滴の平均粒径としては同程度であったとしても、
図1の結果から分かるように、組成物中の油滴の粒度分布が、実施例3の方が単分散であり、粗大な油滴の割合が比較例4に比べて低いためであると考えられる。
【0115】
比較例4の組成物は、非イオン性界面活性剤であるPOE(25)セチルエーテルを、アウトパーツとして、高圧乳化後に配合しているため、油滴の界面膜中に非イオン性界面活性剤は含まれていないと考えられる。一方、実施例3の組成物は、高圧乳化前に、非イオン性界面活性剤をイオン性界面活性剤及び高級アルコールと一緒に混合しているため、油滴の界面膜中に非イオン性界面活性剤も含まれていると考えている。したがって、このことが、組成物中の油滴の粒度分布の相違、即ち、組成物の透明性及び乳化安定性の向上をもたらしていると考えている。
【0116】
《水中油型乳化組成物の処方例》
以下に、本発明の水中油型乳化組成物を基剤とする化粧料の処方例を挙げるが、この例示に限定されるものではない。なお、以下の処方例に記載した美容液、日焼け止め化粧料、保湿ジェル、メーク落とし化粧料は、透明性に優れ、かつ、本発明の水中油型乳化組成物に基づくコクのある使用感触を備えていた。
【0117】
【0118】
(美容液の製造方法)
表9に記載される、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を混合及び加温して溶解させ、油溶性溶液を調製し、次いで、イオン性界面活性剤、保湿剤、pH緩衝液、防腐剤、キレート剤、及びイオン交換水を混合及び加温して溶解させ、水溶性溶液を調製した。得られた水溶性溶液に油溶性溶液を添加して撹拌後、高圧ホモジナイザーを用いて100MPaの圧力下で高圧乳化を行い、乳化物を調製し、冷却した。次いで、イオン交換水に塩型薬剤の4-メトキシサリチル酸カリウムを添加して溶解させた溶液を、係る乳化物に添加して美容液を調製した。
【0119】
【0120】
(日焼け止め化粧料の製造方法)
表10に記載される、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を混合及び加温して溶解させ、油溶性溶液を調製し、次いで、イオン性界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、キレート剤、防腐剤、pH緩衝液、安定化剤、及びイオン交換水を混合及び加温して溶解させ、水溶性溶液を調製した。得られた水溶性溶液に油溶性溶液を添加して撹拌後、高圧ホモジナイザーを用いて100MPaの圧力下で高圧乳化を行い、乳化物を調製し、冷却した。次いで、イオン交換水に塩型薬剤の4-メトキシサリチル酸カリウムを添加して溶解させた溶液を、係る乳化物に添加して日焼け止め化粧料を調製した。
【0121】
【0122】
(保湿ジェルの製造方法)
表11に記載される、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を混合及び加温して溶解させ、油溶性溶液を調製し、次いで、イオン性界面活性剤、増粘剤、保湿剤、キレート剤、pH緩衝液、及びイオン交換水を混合及び加温して溶解させ、水溶性溶液を調製した。得られた水溶性溶液に油溶性溶液を添加して撹拌後、高圧ホモジナイザーを用いて100MPaの圧力下で高圧乳化を行い、乳化物を調製し、冷却した。次いで、イオン交換水に塩型薬剤の4-メトキシサリチル酸カリウムを添加して溶解させた溶液を、係る乳化物に添加して保湿ジェルを調製した。
【0123】
【0124】
(メーク落とし化粧料の製造方法)
表12に記載される、非イオン性界面活性剤、高級アルコール及び油分を混合及び加温して溶解させ、油溶性溶液を調製し、次いで、イオン性界面活性剤、アルコール、保湿剤、キレート剤、pH緩衝液、安定化剤、及びイオン交換水を混合及び加温して溶解させ、水溶性溶液を調製した。得られた水溶性溶液に油溶性溶液を添加して撹拌後、高圧ホモジナイザーを用いて100MPaの圧力下で高圧乳化を行い、乳化物を調製し、冷却した。次いで、イオン交換水に塩型薬剤の4-メトキシサリチル酸カリウムを添加して溶解させた溶液を、係る乳化物に添加してメーク落とし化粧料を調製した。