(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B62J 11/00 20200101AFI20241128BHJP
B62J 43/23 20200101ALI20241128BHJP
B62J 43/16 20200101ALI20241128BHJP
B62K 5/05 20130101ALI20241128BHJP
B62K 5/06 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B62J11/00
B62J43/23
B62J43/16
B62K5/05
B62K5/06
(21)【出願番号】P 2023517613
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2022019232
(87)【国際公開番号】W WO2022230965
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2021077427
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】小山 博史
(72)【発明者】
【氏名】松岡 庸介
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0090910(US,A1)
【文献】特開2002-320702(JP,A)
【文献】特開2019-189054(JP,A)
【文献】登録実用新案第3146139(JP,U)
【文献】特開2019-93908(JP,A)
【文献】国際公開第2004/020269(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 11/00
B62J 43/23
B62J 43/16
B62K 5/027
B62K 5/05
B62K 5/06
B62K 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪および後輪と、
前後方向に延在し、乗員の荷重を受ける荷重部を有する基部と、
前記前輪および前記後輪の少なくとも一方を駆動する電動機と、
蓄電器と該蓄電器からの電力が出力される出力部とを有する給電装置を、着脱可能に保持する保持部と、
前記基部に対する前記前輪の向きを変更する操向部と、
前記操向部の上方に、乗員により前記前輪の向きを変更するように操作される操舵部と、
前記基部と前記操舵部とを連結するように上下方向に延在する他の連結部と、を備え、
前記他の連結部は、前記給電装置が車両に非搭載であるときに前記前後方向に折り曲げ可能に設けられることを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両において、
前記保持部は、前記基部の前記荷重部よりも前記前後方向における前方に配置されることを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項2に記載の車両において、
前記荷重部は、乗員の足が載置されるように設けられることを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項3に記載の車両において、
前記荷重部は、前記保持部と略同一高さに設けられることを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両において
、
前記保持部は、前記操向部よりも前記前後方向における後方に配置されることを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項5に記載の車両において
、
前記操舵部は、前記保持部により保持された前記給電装置の上端よりも上方に配置されることを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項
1に記載の車両において、
前記保持部は、該保持部に保持された前記給電装置の少なくとも左右方向の両端部を囲むように設けられる囲繞部を有することを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項7に記載の車両において、
前記荷重部は、前記左右方向に亘って略平面状に設けられることを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項
7に記載の車両において、
前記囲繞部は、骨格部と、該骨格部に対して固定されるパネルと、を有することを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項
1に記載の車両において、
前記前輪を回転可能に支持する前部部材と、
前記前部部材の後方に配置され、前記後輪を回転可能に支持する後部部材と、
前記前後方向に延在する軸線を中心にして前記前部部材と前記後部部材とを揺動可能に連結する連結部と、をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項11】
請求項10に記載の車両において、
前記基部および前記保持部は、前記前部部材に設けられることを特徴とする車両。
【請求項12】
請求項11に記載の車両において、
前記連結部は、前記基部の前記荷重部よりも前記前後方向における前方に配置されることを特徴とする車両。
【請求項13】
請求項12に記載の車両において、
前記保持部は、前記基部の前記荷重部よりも前記前後方向における前方、かつ、前記連結部よりも上方に配置されることを特徴とする車両。
【請求項14】
請求項
11に記載の車両において、
前記電動機は、前記後輪を駆動するように前記後部部材に設けられることを特徴とする車両。
【請求項15】
請求項14に記載の車両において、
前記後輪は、左右方向に互いに離間して配置される右後輪および左後輪を有し、
前記電動機は、前記右後輪の右端を通り前記前後方向に延びる右端線と、前記左後輪の左端を通り前記前後方向に延びる左端線と、の間に配置されることを特徴とする車両。
【請求項16】
請求項15に記載の車両において、
前記後部部材に設けられ、前記電動機と前記右後輪および前記左後輪との動力伝達経路上に配置される動力伝達機構をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項17】
請求項
14に記載の車両において、
前記前部部材に設けられ、前記電動機と電気的に接続される電力変換装置をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項18】
請求項17に記載の車両において、
前記電動機と、前記電力変換装置と、を電気的に接続する接続部材をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項19】
請求項
10に記載の車両において、
前記後部部材に設けられ、牽引可能な他の車両が接続される牽引部と、
前記前部部材に設けられ、前記後輪の少なくとも一部を覆う覆蓋部と、をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項20】
請求項19に記載の車両において、
前記牽引部は、前記覆蓋部に覆われる位置に設けられ、
前記覆蓋部は、前記牽引部が挿通する挿通孔を有することを特徴とする車両。
【請求項21】
請求項1に記載の車両において、
前記保持部は、前記出力部が前記電動機側を向いた姿勢で前記給電装置を保持するように設けられることを特徴とする車両。
【請求項22】
請求項1に記載の車両において、
前記給電装置は、開口を介して前記蓄電器を着脱可能に収容する収容部を有し、
前記保持部は、前記開口が上方を向いた姿勢で前記給電装置を保持するように設けられることを特徴とする車両。
【請求項23】
請求項22に記載の車両において、
前記給電装置は、前記開口を開閉する蓋を有し、
前記保持部は、前記蓋が閉鎖状態で前記給電装置を保持するように設けられることを特徴とする車両。
【請求項24】
請求項1に記載の車両において、
前記給電装置は、運搬時に把持される取っ手部を有し、
前記保持部は、前記取っ手部が上方から視認可能な姿勢で前記給電装置を保持するように設けられることを特徴とする車両。
【請求項25】
請求項1に記載の車両において、
前記保持部に保持された前記給電装置の前記出力部と、前記電動機または前記電動機と電気的に接続される電力変換装置と、を電気的に接続する他の接続部材をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項26】
請求項1に記載の車両において、
前記前輪および前記後輪の少なくとも一方は、左右方向に互いに離間して配置される右輪および左輪を有し、
前記保持部は、前記右輪の右端を通り前記前後方向に延びる右端線と、前記左輪の左端を通り前記前後方向に延びる左端線と、の間に配置されることを特徴とする車両。
【請求項27】
請求項1に記載の車両において、
前記給電装置は、その外形形状が、1つの面が略四角形である六面体を呈し、
前記保持部は、前記六面体のいずれかの面が下方を向いた姿勢で前記給電装置を保持するように設けられることを特徴とする車両。
【請求項28】
請求項1に記載の車両において、
前記保持部は、前記給電装置の外形形状に対応した凹部を有することを特徴とする車両。
【請求項29】
請求項28に記載の車両において、
前記給電装置は、外側に突出した脚部を有し、
前記凹部は、前記脚部が嵌合するように設けられることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪と後輪とを有する電動式の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バッテリを収容可能な収容部を有するとともに、バッテリの電力を外部機器に出力する端子部を有する可搬式の給電用の装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、ユーザによって把持される持ち運び用の取っ手部を有する。また、前輪と後輪とを有する立ち乗り式の電動車両が知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2記載の車両は、車両に搭載されたバッテリからの電力により電動機を回転させて後輪を駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/235637号公報
【文献】特開2018-138427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の装置は、目的地まで人力で運搬された後、目的地で外部機器に電力を供給するために用いることができる。しかしながら、バッテリが収容された装置は重量物であり、ユーザが取っ手部を把持して装置を目的地まで運搬することは、多大な労力を要する。上記特許文献2記載の車両は、ユーザが乗車するためだけの車両であり、バッテリが収容された装置の運搬に用いることは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両は、前輪および後輪と、前後方向に延在し、乗員の荷重を受ける荷重部を有する基部と、前輪および後輪の少なくとも一方を駆動する電動機と、蓄電器と蓄電器からの電力が出力される出力部とを有する給電装置を、着脱可能に保持する保持部と、基部に対する前輪の向きを変更する操向部と、操向部の上方に、乗員により前輪の向きを変更するように操作される操舵部と、基部と操舵部とを連結するように上下方向に延在する他の連結部と、を備える。他の連結部は、前記給電装置が前記車両に非搭載であるときに前記前後方向に折り曲げ可能に設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、可搬式の給電装置を容易に目的地まで運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両の全体構成を示す側面図。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る車両の全体構成を示す正面図。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る車両の要部構成を示す斜視図。
【
図4A】本発明の第1実施形態に係る車両に搭載される給電装置の斜視図。
【
図4B】本発明の第1実施形態に係る車両に搭載される給電装置を
図4Aとは異なる方向から見た斜視図。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る車両の折り畳み姿勢を示す側面図。
【
図7A】本発明の第2実施形態に係る車両の全体構成を示す斜視図。
【
図7B】本発明の第2実施形態に係る車両の全体構成を示す斜視図であり、
図7Aとは異なる方向から見た図。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る車両に搭載される給電装置の斜視図。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る車両の折り畳み姿勢を示す斜視図。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る車両の分解斜視図。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る車両の骨格形状を示す斜視図。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る車両の要部構成を拡大して示す斜視図。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る車両の連結部の構成を示す正面図。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る車両のケーブルの配置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
-第1実施形態-
以下、
図1~
図6を参照して本発明の第1実施形態について説明する。本発明の第1実施形態に係る車両は、給電装置を運搬可能な電動車両、特にユーザが立位姿勢で乗車する電動スクーターとして構成される。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両100の全体構成を示す側面図であり、
図2は、正面図である。なお、
図1にはユーザPSの乗車姿勢を二点鎖線で示す。以下では、図示のように車両100の前後方向(長さ方向)、左右方向(幅方向)および上下方向(高さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
【0009】
図1,2に示すように、車両100は、左右方向に延在する軸線CL1,CL2を中心にして回転する前輪1と後輪2とを有する。前輪1は、左右方向に離間して配置された2つの車輪によって構成され、後輪2は、左右方向中央に配置された単一の車輪によって構成される。すなわち、車両100は、前輪2輪、後輪1輪の3輪車両として構成され、安定して自立することができる。車両100は、前輪1輪、後輪2輪の3輪車両であってもよく、前輪1輪、後輪1輪の2輪車両、前輪2輪、後輪2輪の4輪車両等、3輪車両以外であってもよい。
【0010】
車両100は全長が1m程度、全高が1~1.5m程度に構成され、標準的な自転車よりも長さが短く、高さも低い。車両100の全幅も自転車よりも短い。したがって、自転車に比べ小型かつ軽量であり、取り扱い性が容易である。なお、車両100を標準的な自転車と同程度の大きさに構成してもよく、それより大型に構成してもよい。
【0011】
図1に示すように、車両100は、前後方向に延在する基部3と、前輪1の近傍から上方に、より詳しくは後方かつ上方に斜めに延在するシャフト4と、を有する。車両100全体が、左右方向の中心を通って前後方向に延在する左右方向中心線に関し、左右対称に構成される。基部3は、軸線CL1,CL2とほぼ同一高さにおいて、車両100の左右方向の中央を通る左右方向中心線に沿って前輪1と後輪2との間を前後方向に延在する細長のメインフレーム31を有する。
【0012】
図3は、車両100、特に基部3の要部構成を示す斜視図(斜め上方から見た図)である。
図3に示すように、メインフレーム31は断面略矩形状を呈し、その上面にメインフレーム31よりも左右方向に幅広のプレート32が搭載される。プレート32はボルトなどの締結手段を介して、あるいは溶接などにより、メインフレーム31に固定される。プレート32の支持剛性を高めるため、メインフレーム31に、左右方向に延在する単一または複数の横フレームを接合し、メインフレーム31と横フレームとにより、プレート32を支持するようにしてもよい。プレート32の前端部はメインフレーム31の前端部よりも後方に位置し、プレート32の後端部はメインフレーム31の後端部よりも前方に位置する。
【0013】
図1,3に示すように、プレート32は、給電装置200が載置される平面視略矩形状の前プレート部321と、前プレート部321から後方に延在し、ユーザPSの足が載置される平面視略矩形状の後プレート部322と、を有する。
図3に示すように、前プレート部321の幅(左右方向長さ)は、後プレート部322の幅よりも狭い。前プレート部321と後プレート部322との境界部323は、前プレート部321から後プレート部322にかけて幅が徐々に増加するように平面視で斜めに形成される。
【0014】
プレート32の上面は、全体が略水平に延在する同一面状の水平面として構成される。なお、前プレート部321と後プレート部322とをそれぞれ略水平に形成するとともに、前プレート部321の高さを後プレート部322の高さよりも高く、または低く形成してもよい。前プレート部321は、給電装置200(二点鎖線)の底面の形状に対応した大きさおよび形状に形成される。後プレート部322は、ユーザが左右方向に所定長さだけ足を拡げた状態で、ユーザPSの左右の足裏全体(
図3の領域AR)が載置されるように前後方向の長さが形成されるとともに、左右方向の長さが形成される。領域ARは、給電装置200よりも左右方向外側に位置する。
【0015】
図1に示すように、メインフレーム31の後端部には、後方に向けて左右一対のステイ33が突設される。後輪2は、左右一対のステイ33の間に配置され、ステイ33を左右方向に貫通して延在する回転軸34を介して、軸線CL2を中心に回転可能に支持される。後輪2には、電動機5が設けられる。電動機5は、例えば単相交流によって駆動するインホイールモータである。なお、三相交流または直流によって駆動するインホイールモータとして電動機5を構成することもできる。
【0016】
図2に示すように、シャフト4の上端部にはハンドル6が設けられる。ハンドル6は、左右方向に延在し、その両端部にユーザにより把持されるグリップ6aが設けられる。シャフト4を上下方向に伸縮可能に設け、ハンドル6の高さを調整可能としてもよい。シャフト4の下端部には、支持フレーム41が固定される。支持フレーム41は、メインフレーム31と同一高さでハンドル6と略平行に左右方向に延在し、支持フレーム41の左右両端部に前輪1がそれぞれ回転可能に支持される。すなわち、
図1に示すように、前輪1が、左右方向に延在する回転軸42を介して、軸線CL1を中心に回転可能に支持される。
【0017】
図3に示すように、支持フレーム41の後端面の左右方向中央部には、後方に向けて連結部43(例えば上下一対の連結部43)が突設される。メインフレーム31の前端部には、上下方向に延在する回動軸44を介して、上下方向の軸線CL3を中心にして連結部43が回動可能に支持される。
図1に示すように、ユーザPSがプレート32上に起立姿勢で乗車した状態で、
図2に示すように、シャフト4を中心にしてハンドル6を右方(矢印R1方向)または左方(矢印R2方向)に回動操作すると、ハンドル6と支持フレーム41とが回動軸44を支点にして一体に回動する。これにより前輪1の向きが変化(操向)し、車両100を旋回することができる。
【0018】
給電装置200は、プレート32の上面に着脱可能に搭載される。給電装置200は、人力により持ち運び可能な重量(例えば10~20kg程度)を有する。給電装置200の構成について説明する。
図4A、4Bは、それぞれ給電装置200の全体構成を示す斜視図である。なお、
図4A、4Bには、
図1の姿勢を基準にして前後方向、左右方向および上下方向が示される。
図4A,4Bに示すように、給電装置200は、筐体201と、筐体201内に収容されるバッテリパック210と、を有する。なお、バッテリパック210を以下では単にバッテリと呼ぶ。
【0019】
筐体201は、その外形形状が、上面201a、底面201b、左面201c、右面201d、前面201eおよび後面201fを有する略直方体形状を呈する。筐体201内には、上面の開口203を介してバッテリ210を収容するための収容部202が設けられる。上面201aには左右方向に延在するヒンジ部204を支点にして回動可能な蓋205が設けられ、蓋205により平面視略矩形の開口203が開閉される。後面201fには、後面視略矩形の後壁206が設けられる。
【0020】
上面201aと後面201fとが交差する筐体201の角部には、取っ手部207が設けられる。取っ手部207は左右方向に延在し、その両端部は左面201cの側壁と右面201dの側壁とに固定される。蓋205のヒンジ部204は、取っ手部207よりも空隙を介して前方に位置し、後面201fの後壁206の上端部は、取っ手部207よりも空隙を介して下方に位置する。左面201c(側壁)と右面201d(側壁)との間には、ヒンジ部204から後壁206の上端部にかけて傾斜面201gが形成される。取っ手部207と傾斜面201gとの間は隙間SPであり、ユーザは隙間SPに手を挿入することで取っ手部207を把持することができる。なお、図示は省略するが、筐体201の他の角部(例えば後面201fと底面201bとが交差する角部)にも、取っ手部207と同様の取っ手部が設けられる。
【0021】
図4Aに示すように、バッテリ210は、全体が略直方体形状を呈し、その上端部に取っ手部211が設けられる。より詳しくは、バッテリ210は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長く、かつ、上下方向の長さが前後方向の長さよりも長い。バッテリ210は、例えばリチウムイオン電池などの蓄電池、すなわち二次電池である。筐体201にはバッテリ210の形状に対応した単一の収容部202が設けられ、単一のバッテリ210が収容される。筐体201に、複数のバッテリ210を収容可能な単一または複数の収容部202を設けてもよい。
【0022】
ユーザPSは、取っ手部211を把持し、開口203を介してバッテリ210を収容部202に容易に挿脱することができる。したがって、現在挿入中のバッテリ210を、残容量の異なる他のバッテリ210に容易に交換することができる。現在挿入中のバッテリ210を、他の電気機器の電力源として用いることもでき、多様なバッテリ使用態様に即座に切り換えることができる。
【0023】
バッテリ210の底面には不図示のレセプタクルが突設される。収容部202の底部には、バッテリ210のレセプタクルが嵌合する不図示のプラグが設けられる。収容部202の底部にレセプタクルが、バッテリ210の底面にプラグが設けられてもよい。プラグがレセプタクルに嵌合すると、プラグとレセプタクルとにそれぞれ設けられた接点同士が接続される。図示は省略するが、給電装置200には、収容部202(プラグ)の接点に接続された電力変換回路と降圧回路とが設けられる。電力変換回路は、収容部202に収容されたバッテリ210からの電力を交流に変換する。例えば100Vないし200Vの所定周波数の交流に変換する。降圧回路は、バッテリ210からの電力を所定電圧に降圧する。
【0024】
図4Bに示すように、取っ手部207に面した筐体201の傾斜面201gには、外部機器に電力を供給するための複数の出力端子220が設けられる。出力端子220は、電力変換部により変換された交流電力を出力する単一または複数の交流出力端子と、降圧回路により所定電圧に降圧された直流電力を出力する単一または複数の直流出力端子とを有する。交流出力端子は、例えば家庭用電気機器のプラグが挿脱可能に接続されるコンセントである。直流出力端子は、例えばUSBポートを有するUSB出力端子である。
【0025】
図4Aに示すように、給電装置200の底面201bには複数本(例えば4本)の脚部208が下方に向けて突設される。脚部208は、底面201bと一体に形成される。なお、脚部208を底面201bと別体に形成するとともに、底面201bにねじ孔を設け、ねじ孔に螺合するボルトにより、脚部208を底面201bに固定するようにしてもよい。給電装置200は、使用時には車両100から取り外され、脚部208を接地した状態で地面等に設置される。これにより、安定した自立姿勢で給電装置200を使用することができる。なお、車両100は、ユーザPSが乗車しなくても安定して自立する。このため、給電装置200を、車両100に搭載したままの状態で使用することもできる。ユーザPSが乗車していないときの車両100の動きを阻止する装置を車両100に設けるようにしてもよく、これにより自立した状態で車両100の移動を規制するようにしてもよい。
【0026】
図1に示すように、給電装置200の出力端子220には、ケーブル230の一端部が接続される。ケーブル230の他端部は、後輪2の電動機5の前方に配置された電力制御ユニット50に接続される。給電装置200の下部の側面または底面に出力端子を増設し、この出力端子と電力制御ユニット50とをケーブル231(点線)を介して接続するようにしてもよい。例えばメインフレーム31に沿ってケーブル231を配策するようにしてもよい。電力制御ユニット50をプレート32の底面等、他の位置に配置してもよい。
【0027】
電力制御ユニット50はインバータ回路を含み、電力制御ユニット50を介してバッテリ210からの電力が電動機5に供給される。図示は省略するが、ハンドル6にはユーザPSが操作可能な走行指令入力部が設けられる。走行指令入力部は例えばスロットルレバーにより構成される。走行指令入力部の操作に応じて電動機5が駆動され、これにより車両100が走行する。ハンドル6に、速度指令を複数段階に切換可能な速度選択スイッチを設け、速度選択スイッチの操作に応じて電動機5を制御するようにしてもよい。走行指令入力部をオンオフ式のスイッチにより構成してもよい。
【0028】
車両100は、駐車場から目的地(例えばキャンプ場)まで給電装置200を運搬するために用いることができる。その際、歩行者が近接して存在するような場合には、車両100の最高速度は、歩行速度程度(例えば6km/h程度)に制限されることが好ましい。前輪1はハンドル6の操作により転舵されるので、車速が歩行速度程度であっても車両100を容易に旋回できる。駐車場から目的地までの路面に凹凸や傾斜がある場合であっても、車両100が容易に走行できるように、前輪1と後輪2のタイヤを、オフロードタイプとしてもよい。なお、車両100が歩行者と所定距離以上離れた状態で走行する場合、車両100の最高速度を歩行速度程度から所定速度(例えば15km/h程度)まで引き上げてもよく、乗員の安全性が確保されていれば、最高速度をさらに所定速度(例えば30km/h程度)まで引き上げてもよい。
【0029】
メインフレーム31の後端部には、プレート32の後方にトレーラヒッチ35(牽引装置)が設けられる。トレーラヒッチ35により、底面に車輪を有する略ボックス形状の車両(キャリーカートなど)を牽引することができる。キャリーカートには、キャンプ用品などの荷物が搭載され、これにより、駐車場から目的地まで多量の荷物を容易に運搬できる。キャリーカートとは異なる車両を牽引してもよい。なお、
図2に示すように、ハンドル6の左側のグリップ6aの近傍(例えば前方)には、ブレーキレバー6bが設けられ、ブレーキレバー6bの操作により前輪1と後輪2のブレーキ装置が作動する。右側のグリップ6aは、ねじり操作可能なアクセルレバーとして構成され、グリップ6aのねじり操作により走行指令が入力される。ハンドル6の左右方向中央部には、前照灯が設けられる。
【0030】
シャフト4の下部には、連結部43(
図3)よりも上方において、前後方向に折り曲げ可能な折り曲げ部45が設けられる。折り曲げ部45は、左右方向に延在する軸部を有し、軸部を支点にしてシャフト4が回動可能である。折り曲げ部45は、シャフト4が起立された起立姿勢(
図1)と折り曲げられた折り畳み姿勢とに、シャフト4の姿勢をそれぞれ保持するロック機構を有する。
図5は、シャフト4が折り曲げられた折り畳み姿勢を示す側面図である。
図5に示すように、シャフト4は、プレート32の上面から給電装置200が取り外された状態で後方に折り曲げられる。車両100を折り畳み姿勢とすることで、車両全体をコンパクトに構成することができ、乗用車のトランク等に車両100を容易に搭載することができる。
【0031】
図3に示すように、前プレート部321の上面には、給電装置200の脚部208(
図4A)の位置に対応して4箇所の凹部324が設けられる。凹部324は、例えば有底孔または貫通孔により構成される。前プレート部321に給電装置200が搭載された状態では、給電装置200の脚部208が凹部324に嵌合される。これにより給電装置200の前後左右方向の位置が規制され、給電装置200を位置決めされた安定した状態で保持できる。
【0032】
凹部324は、給電装置200の底面を載置して保持する保持部を構成する。本実施形態では、さらに給電装置200の上部を固定する固定部材60が設けられる。
図6は、固定部材60の構成を示す
図1の要部拡大図である。
図6に示すように、固定部材60は、全体が棒状に構成される。固定部材60の長手方向一端部には連結部61が設けられる。連結部61は、シャフト4の後面に設けられた支持部46に、左右方向に延在する軸部47を支点にして前後方向に回動可能に支持される。軸部47には、ねじりばね67が設けられる。固定部材60は、ねじりばね67により常時、シャフト4側に付勢される。ねじりばね67に代えて、シャフト4と固定部材60の基端部との間にコイルばねを設けてもよい。
【0033】
固定部材60の長手方向他端部には、給電装置200の取っ手部207の形状、より詳しくは、取っ手部27の後面から上面にかけての角部の形状(略円弧形状)に対応して断面略C字状に形成された把持部62が設けられる。固定部材60は、給電装置200の脚部208が凹部324に嵌合された載置状態において、把持部62の回動軌跡上に取っ手部207が位置するように設けられる。
図6には、給電装置200が固定される回動姿勢P0だけでなく、固定部材60が回動姿勢P1よりも上方に回動した回動姿勢P1および下方に回動した回動姿勢P2が示される。なお、回動姿勢P0,P1,P2に対応する固定部材60の位置を、それぞれ固定位置、退避位置および格納位置と呼ぶ。
【0034】
把持部62は、可撓性を有する樹脂材やゴム材により構成される。把持部62は、取っ手部207の後方かつ上方から取っ手部207に押し込まれて、固定部材60が退避位置から固定位置に移動したとき、弾性変形により取っ手部207を把持するように構成される。換言すると、把持部62は、先端部を押し広げることにより、取っ手部207を把持するように構成される。これにより、固定部材60によって取っ手部207の移動が阻止される。なお、固定部材60の基端部(支持部46の近傍)にロック機構を設け、ロック機構により固定部材60を固定位置に固定するようにしてもよい。これにより給電装置200を強固に保持できる。この場合には、ねじりばね67を省略してもよい。
【0035】
シャフト4の後面には、支持部46の下方にさらに支持部48が設けられる。支持部48は、固定部材60の把持部62の回動軌跡上に位置し、その後側の表面は、取っ手部207と同様、断面略円弧状に形成される。
図1に示すように、車両100に給電装置200が搭載されて、固定部材60が固定位置に位置するとき、給電装置200の前面の上端部近傍が支持部48に当接する。これにより、把持部62と支持部48とにより給電装置200の前後方向の位置が拘束され、車両走行時における給電装置200のがたつきを防止できる。
【0036】
図1の状態では、
図4Bに示す給電装置200の蓋205の前側下端部が、支持部48に当接する。これにより、蓋205が閉鎖状態に保持される。なお、給電装置200の前側上端の角部がシャフト4の後面に当接するようにしてもよい。蓋205を閉鎖状態で保持するロック機構を設けるようにしてもよい。
【0037】
給電装置200が取り外さされると、
図6に示すように、固定部材60は格納位置(回動姿勢P2)に回動され、把持部62の先端が押し広げられて把持部62が支持部48を把持する。これにより固定部材60の両端部がシャフト4に固定される。その状態で車両100は、
図5に示すように折り曲げ部45を介して折り曲げられる。
【0038】
本実施形態に係る車両100の使用例を具体的に説明する。以下では、キャンプ場で給電装置200を使用する例を説明する。車両100は、
図5に示すように折り畳み姿勢で運搬車両(例えばミニバンや乗用車)に搭載され、キャンプ場の駐車場まで運搬される。このとき、給電装置200も運搬車両に搭載され、駐車場まで運搬される。運搬車両が駐車場に到着した後、キャンプ場で電気機器を使用するために、給電装置200を駐車場からキャンプ場まで運ぶ必要がある。但し、駐車場とキャンプ場とは所定距離だけ離れているため、重量物である給電装置200を人力で運搬するには多大な労力を要する。
【0039】
このような状況で、車両100の姿勢が折り畳み姿勢から起立姿勢(
図1)へ変更され、車両100に給電装置200が搭載される。具体的には、
図3に示すようにプレート32の凹部324に給電装置200の底面の脚部208を嵌合して給電装置200を保持する。さらに、
図1に示すように、固定部材60の把持部62により給電装置200の上端角部の取っ手部207を把持し、給電装置200を固定する。次いで、電力制御ユニット50に接続されたケーブル230または231の先端部を出力端子220に接続する。これによりケーブル230または231を介して、バッテリ210からの電力が電力制御ユニット50に供給される。その結果、後輪2の電動機5が駆動され、車両100が走行する。したがって、給電装置200をキャンプ場まで容易に運搬することができる。前輪と後輪とを有する電動式の車両においては、電力源をどのように確保するかについて改善の余地があったが、本実施形態の車両100では、給電装置200が着脱可能に搭載されるので、電動機5に容易に電力を供給することができる。
【0040】
起立姿勢では、ユーザPSの左右の足(
図3の領域AR)が、給電装置200の後方かつ給電装置200よりも左右方向外側に位置する。このため、ユーザPSは安定した立位姿勢でハンドル6を操作しながら乗車することができる。キャンプ場では、給電装置200が車両100から取り外されて使用される。例えば家庭用の電気機器のコンセントが交流出力用の出力端子220に接続され、電気機器に交流電力が供給される。給電装置200が車両100から取り外された状態では、ユーザPSは、車両100を手押しして使用することができ、地面をけって推進するいわゆるキックボードとして使用することもできる。このように給電装置200からの電力供給がない場合であっても、車両100の利用が可能である。
【0041】
なお、給電装置200に、バッテリ210に電力を供給するための入力端子部を設けるようにしてもよい。例えば交流電力を供給するための交流入力端子と、直流電力を供給するための直流入力端子とを設けるようにしてもよい。これにより入力端子を介して入力された電力によりバッテリ210を充電することができる。すなわち、給電装置200を充電装置として、あるいは充電機能を有する給電装置として用いることもできる。
【0042】
給電装置200は、出力端子220として交流出力端子を有するとともに、車両100から容易に取り外すことができる。このため、給電装置200を、車両100から取り外した状態で家庭内に持ち込み、家庭内の電気機器に電力を供給する給電部として用いることができる。したがって、給電装置200を、例えば家屋の電力アウトレットのない場所の電源として用いることができ、停電時に非常用電源として用いることも可能である。
【0043】
以上では、電動機5を、給電装置200から出力される単相交流によって駆動するようにしたが、給電装置200から出力される直流電力を電力制御ユニット50で三相交流に変換し、三相交流で電動機5を駆動するようにしてもよい。電動機5は直流電動機であってもよい。このように、給電装置200から出力される直流電力によって、電動機5を駆動するようにしてもよい。
【0044】
第1実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両100としての電動スクーターは、前輪1および後輪2と、前後方向に延在し、乗員の荷重を受けるプレート32(後プレート部322)を有する基部3と、後輪2を駆動する電動機5と、バッテリ210とバッテリ210からの電力が出力される出力端子220とを有する給電装置200を、着脱可能に保持する保持部としてのプレート32(前プレート部321)と、を備える(
図1,3)。この構成により、給電装置200を容易にキャンプ場等の目的地まで運搬することができる。その結果、駐車場と目的地との間が離れている場合であっても、多大な労力を要さずに目的地で給電装置200を利用することができる。また、車両100は給電装置200からの電力により駆動できるため、車両駆動用の電力源を別途設ける必要がなく、効率的である。すなわち、車両100に搭載された給電装置200から電動機5に電力が供給されるため、車両100が別途のバッテリなどの電力源を備える必要がない。これにより、車両100を小型化および簡素化することができる。
【0045】
(2)給電装置200を保持する前プレート部321は、乗員の荷重を受ける後プレート部322の前方に配置される(
図3)。この構成により、乗車姿勢のユーザPSの前方に給電装置200が搭載されるようになり、ユーザPSは安定した姿勢で車両100に乗車できる。給電装置200がユーザPSの前方に配置されるので、ユーザPSは給電装置200の保持状態を監視しながら車両100を走行させることができる。
【0046】
(3)後プレート部322は、乗員の足が載置されるように略水平面によって構成される(
図3)。これによりユーザPSは安定した姿勢で車両100に乗車できる。特にユーザPSは立位姿勢で容易に乗車できる。
【0047】
(4)後プレート部322は、前プレート部321と同一面上に、すなわち略同一高さに設けられる(
図3)。より詳しくは、後プレート部322(荷重部)のユーザの足が載置される面と、前プレート部321(保持部)の給電装置200が載置される面とが、同一高さに設けられる。これによりユーザPSは、給電装置200が車両100に搭載されていない状態で、足の位置を前プレート部321側にずらすことができ、車両100を、片足で地面をけって進むキックボードとして好適に利用することができる。
【0048】
(5)車両100は、基部3に対する前輪1の向きを変更する部位である連結部43と回動軸44とを備える(
図3)。前プレート部321は、連結部43の後方に配置される(
図3)。これにより、給電装置200の向きを変えずに前輪1を転舵することができ、車両100を安定した姿勢で旋回することができる。
【0049】
(6)車両100は、連結部43の上方に、ユーザPSにより前輪1の向きを変更するように操作されるハンドル6をさらに備える(
図1)。ハンドル6は、前プレート部321により保持された給電装置200の上端よりも上方に配置される。これによりハンドル6が給電装置200と干渉せずに、給電装置200の重心位置が低い状態で、車両100を良好に操舵することができる。
【0050】
(7)車両100は、基部3とハンドル6とを連結するように上下方向に延在するシャフト4をさらに備えるとともに、シャフト4を介して給電装置200を固定する固定部材60をさらに備える(
図1)。これにより、給電装置200をがたつきなく安定した状態で保持することができる。
【0051】
(8)給電装置200は、取っ手部207を有する(
図4A)。固定部材60は、長手方向の一端部に設けられ、シャフト4に支持された連結部61と、長手方向の他端部に設けられ、給電装置200の取っ手部207を固定する把持部62と、を有する(
図6)。これにより、簡易な構成で給電装置200を良好に固定することができる。
【0052】
(9)シャフト4は、連結部61を支持する支持部46と、給電装置200が車両100に非搭載であるときに、把持部62を支持する支持部48と、を有する(
図6)。これにより、給電装置200が車両100に搭載されていない状態において、固定部材60の両端部をシャフト4に固定することができ、走行時の振動によって固定部材60の先端部がシャフト4に衝突することを防止できる。
【0053】
(10)シャフト4は、給電装置200が車両100に非搭載であるときに前後方向に折り曲げ可能に設けられる(
図5)。これにより、車両100を折り曲げ姿勢とすることができ、車両全体をコンパクトに構成することができる。その結果、運搬車両(例えば乗用車のトランク)に車両100を容易に搭載することができる。
【0054】
(11)給電装置200は、出力端子220が上方を向いた姿勢で、前プレート部321上に保持される(
図1)。これにより、給電装置200を車両100に搭載したまま、出力端子220にケーブル等を容易に接続することができる。
【0055】
(12)給電装置200は、出力端子220が給電装置200の前後方向の中心位置よりも電動機5側に位置した状態で、前プレート部321上に保持される(
図1)。これにより、給電装置200のバッテリ210からの電力を、ケーブル230を介して容易に電動機5に供給することができる。
【0056】
(13)給電装置200は、開口203を介してバッテリ210を挿脱可能に収容する収容部202を有する(
図4A)。給電装置200は、開口203が上方を向いた姿勢で前プレート部上に保持される。これにより、開口203を介したバッテリ210の脱落を防止することができる。バッテリ210の挿脱も容易である。
【0057】
(14)給電装置200は、ヒンジ部204を支点にして回動可能に設けられ、開口203を開閉する蓋205を有する(
図4A)。給電装置200は、蓋205が閉鎖した状態でシャフト4の支持部48に当接するように前プレート部321により保持される(
図1)。これにより、乗車時の振動によって蓋205が開くことを阻止することができる。
【0058】
(15)給電装置200は、運搬時に把持される取っ手部207を有する(
図4B)。固定部材60は、取っ手部207の上方空間が開放された姿勢で、すなわち取っ手部207を上方から視認可能な姿勢で、取っ手部207を把持して給電装置200を保持するように設けられる(
図1)。これにより、ユーザPSは取っ手部207を把持して給電装置200を車両100に容易に搭載できるとともに、搭載後に取っ手部207を介して給電装置200を車両100に容易に固定できる。
【0059】
(16)車両100は、前プレート部312上に保持された給電装置200の出力端子220と、インバータやコンバータ等を含む電力制御ユニット50(電力変換装置)と、を電気的に接続するケーブル230をさらに備える。これにより給電装置200からの電力により電動機5を駆動することができる。なお、出力端子220と電動機5とを、ケーブル230を介して電気的に接続してもよい。
【0060】
(17)基部3は、牽引可能な他の車両が接続されるトレーラヒッチ35(牽引部)を有する(
図1)。これにより、キャンプ場等での給電装置200の利用時に運搬が必要となる多くの荷物を、車両100の動力によって容易に運搬することができる。
【0061】
(18)前輪1は、左右方向に互いに離間して配置される右輪および左輪を有する(
図2)。前プレート部321は、左右方向における右輪と左輪との間に配置される(
図2)。より詳しくは、前プレート部321は、右輪の右端を通り前後方向に延びる右端線(右輪の右端面)と、左輪の左端を通り前後方向に延びる左端線(左輪の左端面)との間に配置される。これにより、給電装置200の重心位置が左右の前輪1の間に位置するため、車両100の乗車時の安定性が高い。
【0062】
(19)給電装置200は、その外形形状が、1つの面が略四角形である六面体を呈する(
図4A)。前プレート部321は、給電装置200の六面体の底面201bが下方を向いた姿勢で給電装置200を保持するように設けられる(
図1,3,4A)。これにより給電装置200を安定して保持できる。
【0063】
(20)前プレート部321は、給電装置200の外形形状に対応した凹部を有する。より詳しくは、給電装置200の底面には下方に突設された脚部208が設けられ、この脚部208が嵌合するように前プレート部321の上面に凹部324が設けられる(
図3,4A)。これにより、給電装置200を前後左右方向に位置決めして車両100に保持することができる。
【0064】
-第2実施形態-
図7A~
図14を参照して本発明の第2実施形態について説明する。以下では、
図1~
図6と同一の構成要素には同一の符号を付し、第1実施形態との相違点を主に説明する。
図7A,
図7Bは、それぞれ本発明の第2実施形態に係る車両100Aの全体構成を示す斜視図である。なお、
図7Aは起立姿勢の車両100Aを左斜め前方から見た図であり、
図7Bは左斜め後方から見た図である。
【0065】
図7A,
図7Bに示すように、第2実施形態に係る車両100Aは、前輪1輪、後輪2輪の3輪車両として構成される。車両100Aは、車両100Aの左右方向の中心を通って前後方向に延在する左右方向中心線CL0(
図7B)に関し、全体が左右対称に構成される。したがって、前輪1は、左右方向中心線CL0上に位置し、左右の後輪2は、中心線CL0に関し左右対称に位置する。
【0066】
車両100Aの表面は、樹脂製のカバー55で覆われる。カバー55は、シャフト4の前側に配置され、上下方向に延在する前カバー551と、前輪1の上方から後方にかけて前輪1の周囲を覆うように設けられた前輪カバー552と、後輪2の前方から上方および後方にかけて左右一対の後輪2の周囲を覆うように設けられた後輪カバー553とを有する。
図7Aに示すように、前カバー551と前輪カバー552とは上下方向に隣接して設けられ、前カバー551と前輪カバー552との境界線554、すなわち、前カバー551の下端部および前輪カバー552の上端部は略水平面に沿って延在する。
【0067】
車両100Aには給電装置200Aが搭載され、給電装置200Aの後方に、ユーザの足が載置されるプレート36が配置される。
図8は、給電装置200Aの全体構成を示す斜視図である。第2実施形態の給電装置200Aは第1実施形態の給電装置200と異なり、蓄電器からの電力が出力される出力部、すなわち出力端子220が筐体の前面201eに設けられる。より詳しくは、前面201eには、給電装置200Aの状態を表示する表示部とユーザが各種指令を入力する入力部とを有する操作パネル221が設けられ、操作パネル221の下方に交流電力出力用および直流電力出力用の複数の出力端子220が設けられる。なお、複数の出力端子220は、出力端子220の非使用時には蓋によって覆われる。
【0068】
図7A,7Bに示すように、前カバー551は、シャフト4の前方から左右側方にかけて略円弧状に、かつ、上方から下方にかけて左右方向の幅が徐々に拡大するように形成される。前輪カバー552は、前カバー551に連なるように前方から左右側方にかけて略円弧状に形成された円弧カバー部552aと、円弧カバー部552aの左右両端部から給電装置200Aの左側面および右側面の下部を覆うように後方に延設された側壁部552b、すなわち、側面視略矩形状に立設された側壁部552bとを有する。側壁部552bの後端部は、プレート36の前端部の近傍に位置する。プレート36の上面36aは、略水平に形成される。ユーザは、プレート36の左右方向外側に至るまで上面36aに沿って足を移動可能である。後輪カバー553は、全体が略円弧状に形成される。
【0069】
起立姿勢において、給電装置200Aは、カバー55に着脱可能に設けられた固定部材70によって固定される。固定部材70は、給電装置200Aの上面および左右側面を覆うように略U字状に構成された金属製部材である。左右の側壁部552bの上端部には、それぞれ係合孔552cが設けられ、係合孔552cに固定部材70の両端部が係合して固定される。固定部材70は、ゴム等の伸縮可能な部材により構成することもできる。長さを調節可能なバンド部材によって固定部材70を構成してもよい。
【0070】
図9は、車両100Aの折り畳み姿勢を示す斜視図である。
図9に示すように、折り畳み姿勢では、給電装置200Aが車両100Aから降ろされた後、折り曲げ部45を介してシャフト4が後方に折り曲げられる。このとき、前カバー551と前輪カバー552とは、境界線554(
図7A)に沿って分離され、ハンドル6が後輪カバー553に当接される。
【0071】
前カバー551は、シャフト4に固定される。前輪カバー52は、前輪1から後輪2にかけて設けられた枠状のフレーム、すなわち枠フレーム37(
図10参照)に固定される。後輪カバー553は、その前端部がプレート36の後端部に固定され、プレート36から片持ちで支持される(
図12参照)。後輪カバー553の幅(左右方向長さ)は、プレート36の幅よりも長く、かつ、後輪2の左右方向の全長(右後輪2の右端面から左後輪2の左端面までの長さ)と同一または後輪2の左右方向の全長よりも長い。
【0072】
図10は、車両100Aの分解斜視図であり、
図11は、車両100Aの骨格形状を示す斜視図である。
図10では、一部のカバー55(前カバー551と前輪カバー552)の図示が省略され、
図11では、カバー55全体とプレート36と給電装置200などの図示が省略される。
図10、
図11に示すように、前輪1と後輪2との間には、複数の細長の棒状ないし板状の金属部材(フレーム部材)からなる枠フレーム37が配置される。
【0073】
枠フレーム37は、略前後方向に延在する左右一対のベースフレーム371と、左右方向に延在する複数(3本)の横フレーム372~374と、略円筒形状の円筒フレーム375と、ベースフレーム371から立設され、円筒フレーム375にかけて延在する左右一対のサイドフレーム376と、サイドフレーム376を下方から支持する左右一対の支持フレーム377と、支持フレーム377から円筒フレーム375にかけて延在する左右一対のサブフレーム378と、円筒フレーム375の後方で左右方向に延在するガイドフレーム379と、を有する。
【0074】
図11に示すように、ベースフレーム371は、その前端部から前後方向中央部にかけて後方に延在する前側ベースフレーム371aと、前側ベースフレーム371aの後端部から後方かつ左右方向内側に斜めに延在する中間ベースフレーム371bと、中間ベースフレーム371bの後端部から後方に延在する後側ベースフレーム371cと、を有する。このため、左右のベースフレーム371間の距離は、前側の方が後側よりも長く、枠フレーム37は前側が幅広に形成される。
【0075】
横フレーム372の左右両端部は、前側ベースフレーム371aの前端部に固定される。横フレーム373の左右両端部は、前側ベースフレーム371aの後端部に固定される。横フレーム374の左右両端部は、後側ベースフレーム371cの前後方向中央部に固定される。横フレーム372,373の左右方向長さは互いに等しく、横フレーム374の左右方向長さは横フレーム372,373の左右方向長さよりも短い。横フレーム372~374の上面は、例えば同一の水平面に沿って互いに同一高さに形成される。なお、横フレーム372の上面には、左右方向中央部に凹部372aが設けられる。
【0076】
左右のサイドフレーム376は、横フレーム373の直後方において左右のベースフレーム371(前側ベースフレーム371aの後端部)にそれぞれ固定され、左右のベースフレーム371から立設される。これらサイドフレーム376は、それぞれ前方に向けて屈曲され、ベースフレーム371の前端部を超えて前方に延在した後、左右方向内側に向けて屈曲され、その前端部が円筒フレーム375の左右側面に固定される。左右の支持フレーム377の下端部は、横フレーム372の左右両端部にそれぞれ固定され、上端部は左右のサイドフレーム376にそれぞれ固定される。左右のサブフレーム378は、サイドフレーム376の下方においてサイドフレーム376と略平行に屈曲して延在し、その前端部は円筒フレーム375の左右側面にそれぞれ固定される。ガイドフレーム379は、支持フレーム377よりも前方において、その左右両端部が左右のサイドフレーム376に固定される。
【0077】
図7B,
図9に示すように、カバー55の側壁部552bの下端部には切り欠き552dが設けられ、切り欠き552dを介して前側ベースフレーム371aが露出する。ユーザは、前側ベースフレーム371aの露出した部位を把持して、
図9の折り畳み姿勢の車両100Aを、容易に起立させることができる。ユーザは、車両100Aを起立させた状態で、後輪2を引き摺りながら車両100Aを運搬することができる。
【0078】
図10の給電装置200Aは、枠フレーム37に収容されて保持される。より詳しくは、横フレーム372,373の上方に略矩形状のベースプレート71(
図14)が載置され、ベースプレート71の上面に、給電装置200Aの底面の脚部208(
図10)が載置される。例えばベースプレート71の上面に設けられた4つの凹部に、4つの脚部208がそれぞれ嵌合して載置され、これにより給電装置200Aが保持される。なお、
図10では、ベースプレート71とその下方の電力制御ユニット72とが、便宜上、左右方向中央で切断されて右側のみが示される。ベースプレート71の下方には底板73が配置される。
図11に示すように、底板73は、横フレーム372,373の底面全体を覆うように平面視略矩形状に形成され、横フレーム372,373の底面に固定される。
【0079】
給電装置200Aがベースプレート71(
図14)に載置された状態では、給電装置200Aの左右方向の移動は左右のサイドフレーム376によって規制され、前方の移動はガイドフレーム379とシャフト4によって規制される。給電装置200Aの前方および左右の三方を、ガイドフレーム379、シャフト4,およびサイドフレーム376によって包囲して給電装置200Aを保持するので、給電装置200Aをより安定的に保持することができる。ベースプレート71とサイドフレーム376とガイドフレーム379などは、給電装置200Aの収容部を構成する。枠フレーム37は、サイドフレーム376が設けられる前部が、幅広に形成される。このため、収容部に大型の給電装置200Aを容易に収容することができる。
【0080】
図12は、車両100Aの要部を拡大して示す斜視図である。
図12に示すように、枠フレーム37の後部には、金属製のプレート36が載置される。
図10,
図12に示すように、プレート36は、平面視略矩形状の平板部361と、平板部の左右両端部から下方に延在する側面視略矩形状の側板部362とを有する。プレート36は、横フレーム374の上面およびベースフレーム371(後側ベースフレーム371c)から上方に突設された複数のボス部371dの上面に載置され、ボルトによって横フレーム374とベースフレーム371とに結合される。プレート36が枠フレーム37に固定された状態では、左右の側板部362が左右の後側ベースフレーム371cの左右方向外側に位置する。なお、側板部362の前部には、中間ベースフレーム371bと干渉しないように切り欠きが設けられる。
図9に示すように、プレート36と枠フレーム37は車両100Aの基部3を構成する。
【0081】
図10に示すように、シャフト4の下端部には連結シャフト4aが配置され、シャフト4に連結シャフト4aが固定される。連結シャフト4aの下端部には、左右一対のフロントフォーク4bが設けられ、フロントフォーク4bにより前輪1の回転軸42が回転可能に支持される。
図11に示すように、連結シャフト4aは、枠フレーム37の前端部の円筒フレーム375内に回転可能に挿入される。これにより、ユーザがハンドル6を左右方向に回動操作すると、枠フレーム37(円筒フレーム375)に対し前輪1を左右方向に転舵することができる。
【0082】
図10に示すように、プレート36の下方には、車両走行用の駆動ユニット75が配置される。
図11に示すように、駆動ユニット75の後端部は、左右の後輪2の内側に配置され、駆動ユニット75は、後輪2の回転軸34に連結されて支持される。
図10に示すように、駆動ユニット75は、ケース750と、ケース750内にそれぞれ収容された電動機751と動力伝達機構752とを有する。電動機751の出力軸は左右方向中心線CL0(
図7B)に沿って後方に延在する。動力伝達機構752は、電動機751の出力軸の回転を左右の後輪2の回転軸34に伝達するハイポイドギヤを有し、ハイポイドギヤを介して左右の後輪2が回転する。
【0083】
ケース750の後端部かつ上端部には、ステイ753が設けられる。ステイ753には、上下方向に貫通するねじ孔が設けられ、
図11に示すように、ねじ孔を介してステイ753にトレーラヒッチ35が固定(螺合)される。
図12に示すように、トレーラヒッチ35は、後輪カバー553の左右方向中央部に設けられた貫通孔553aを貫通して後輪カバー553よりも上方に突出する。貫通孔553aは、左右方向に細長に形成される。
【0084】
図10,
図11に示すように、駆動ユニット75の前方には、左右方向中心線CL0(
図7B)に沿って前後方向に延在するシャフト76が配置される。シャフト76は、横フレーム373,374を貫通して延在し、その後端部は、ケース750の前端部に固定される。シャフト76は、左右方向中心線CL0を中心にして横フレーム373,374に対し相対回転可能である。シャフト76の前端部は、底板73の上面に固定された連結部74に連結される。連結部74は、横フレーム372の後方に配置される。連結部74は、ばね機構740を有する。
【0085】
図13は、ばね機構740の構成を示す正面図である。
図13に示すように、ばね機構740は、略矩形枠形状の外ケース741と、外ケース741の内側に収容された略矩形枠形状の内ケース742と、外ケース741と内ケース742との間に介装されたゴム部材743とを有する。外ケース741は、底板73の上面に固定される。内ケース742の内部にはシャフト76の前端部が挿入され、内ケース742にシャフト76が固定される。内ケース742は、ゴム部材743を変形させることにより、前後方向に延在する軸線CL10を中心にして矢印に示すように揺動可能に設けられる。なお、軸線CL10は、例えば左右方向中心線CL0(
図7B)と同一である。
【0086】
図11に示すように、車両100Aは、連結部74を介して、前輪1を回転可能に支持する前部部材110Aと、後輪2を回転可能に支持する後部部材110Bとに大別することができる。前部部材110Aは、ハンドル6と枠フレーム37とプレート36(
図10)などにより構成される。後部部材110Bは、駆動ユニット75とシャフト76となどにより構成される。前部部材110Aと後部部材110Bとは、連結部74を介して左右方向に揺動可能に連結される。すなわち、前部部材110Aに対し後部部材110Bが軸線CL10を中心に回動可能に連結される。
【0087】
図13は、前部部材110Aに対し後部部材110Bが揺動していない初期状態である。初期状態では、後輪2に対しシャフト4やプレート36は傾斜せず、車両100Aは基準姿勢となる。この初期状態から例えば内ケース742(後部部材110B)にトルクが作用して、内ケース742が軸線CL10を中心に回動すると、内ケース742と外ケース741との間でゴム部材743が押圧されて弾性変形する。これにより前部部材110Aに対し後部部材110Bが揺動し、車両100Aは傾斜姿勢となる。このとき、内ケース742の回動角が大きくなるに従い、内ケース742への回動抵抗は大きくなる。内ケース742に作用するトルクが0になると、ゴム部材743は、弾性力により元の形状に復帰し、車両100Aは基準姿勢に戻る。
【0088】
前部部材110Aに対し後部部材110Bが揺動すると、
図12に示すトレーラヒッチ35が後輪カバー553に対し左右方向に相対移動する。本実施形態では、
図12に示すように、後輪カバー553の貫通孔553aは、左右方向に細長に形成される。このため、車両100Aの揺動時にトレーラヒッチ35が後輪カバー553と干渉することを防止することができる。
【0089】
車両100Aには、
図11の状態から電力制御ユニット72が搭載される。
図14は、電力制御ユニット72が搭載された状態を示す車両100Aの斜視図である。
図10,
図14に示すように、電力制御ユニット72は、連結部74の上方かつベースプレート71の下方に配置される。例えば、前端部が横フレーム372の凹部372aに係合された状態で、電力制御ユニット72はベースプレート71と連結部74との間に配置される。電力制御ユニット72は、第1実施形態の電力制御ユニット50と同様、インバータ回路を含み、給電装置200Aから電動機751への電力供給を制御する。
【0090】
図14に示すように、電力制御ユニット72には、ケーブル232の一端部が接続される。ケーブル232は、ベースプレート71の左右方向端部に設けられた貫通孔を介してベースプレート71の上方に導かれる。さらにケーブル232は、枠フレーム37(サイドフレーム376等)に沿って前方に配策され、ケーブル232の他端部がシャフト4の後面から後方に突出する。ケーブル232の他端部には、給電装置200Aの出力端子220(
図8)に着脱可能にプラグ232aが設けられる。プラグ232aが出力端子220に接続されると、ケーブル232を介して給電装置200Aから電力制御ユニット72に交流電力が供給される。なお、給電装置200Aから電力制御ユニット72に直流電力を供給するようにしてもよい。ケーブル232には、電力線と信号線とが含まれる。
【0091】
さらに電力制御ユニット72には、別のケーブル233の一端部が接続される。ケーブル233は、シャフト76に沿って後方に配策され、ケーブル233の他端部は電動機751に接続される。これによりケーブル233を介して電力制御ユニット72から電動機751に電力(交流電力または直流電力)を供給することができる。なお、ケーブル233の一端部を、電力制御ユニット72ではなく給電装置200Aの出力端子220に接続し、給電装置200Aから電動機751に直接電力(交流電力または直流電力)を供給するようにしてもよい。この場合、
図12に示すように、ケーブル233をプレート36の左右方向側端部に沿って配策するとともに、後輪カバー533の貫通孔553aを介して後輪カバー533の下方に導き、電動機751に接続すればよい。後輪カバー553にケーブル233が接続される端子を設けるとともに、この端子と電動機751とを不図示のケーブルを介して接続するようにしてもよい。
【0092】
第2実施形態によればさらに以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両100Aは、給電装置200Aを着脱可能に保持する保持部として、給電装置200Aの少なくとも左右方向の両端部を囲むように設けられるカバー55(側壁部552b)およびサイドフレーム376を有する(
図7A,
図7B,
図11)。これにより、車両100Aが大きな凹凸を有する路面を走行する場合においても、給電装置200Aを安定して保持することができる。
【0093】
(2)特に、サイドフレーム376は骨格部を構成し、このサイドフレーム376にカバー55の側壁部552b(パネル)が固定される。これにより、給電装置200Aを良好に保持できるとともに、車両100Aの美観も向上する。
【0094】
(3)乗員の荷重を受けるプレート36は、左右方向に亘って略平面状に設けられる(
図7B)。これによりユーザは、乗車時に足の位置を左右方向に大きくずらすことができるとともに、車両100Aへの乗降が容易である。
【0095】
(4)車両100Aは、前輪1を回転可能に支持する前部部材110Aと、前部部材110Aの後方に配置され、後輪2を回転可能に支持する後部部材110Bと、前後方向に延在する軸線CL10(
図13)を中心にして前部部材110Aと後部部材110Bとを揺動可能に連結する連結部74と、をさらに備える(
図11)。これにより前部部材110Aに対し後部部材110Bが左右方向に揺動可能となり、路面の凹凸に拘わらずユーザは安定した姿勢で車両100Aに乗車できる。また、車両100Aの旋回性が向上する。
【0096】
(5)枠フレーム37とプレート36などは、前部部材110Aに設けられる(
図11)。これにより路面の凹凸を後輪2側の揺動で吸収することができ、車両走行時の給電装置200Aの姿勢およびユーザの乗車姿勢が安定する。
【0097】
(6)連結部74は、プレート36よりも前方に配置される(
図11,
図12)。これにより連結部74と干渉せずにプレート36を、より下方に配置することができる。その結果、重心位置が低くなり、ユーザは安定した乗車姿勢が得られる。
【0098】
(7)給電装置200Aが載置されるベースプレート71は、プレート36よりも前方、かつ、連結部74よりも上方に配置される(
図11,
図14)。これにより、連結部74の配置も容易である。
【0099】
(8)電動機751は、後輪2を駆動するように後部部材110Bに設けられる(
図11)。これにより電動機751と後輪2とが左右方向に同時に揺動するようになるため、電動機751にねじれ力が作用することなく、電動機751の耐久性を高めることができる。
【0100】
(9)後輪2は、左右方向に互いに離間して配置される右後輪および左後輪を有する(
図14)。電動機751は、右後輪と左後輪との間、より厳密には、右後輪の右端(右端面)を通り前後方向に延びる右端線と、左後輪の左端(左端面)を通り前後方向に延びる左端線と、の間に配置される(
図14)。例えば左右方向中心線CL0上に配置される。これにより、車両100Aを左右方向に大型化することなく、電動機751をバランスよく配置することができる。
【0101】
(10)車両100Aは、後部部材110Bに設けられ、電動機751と右後輪および左後輪との動力伝達経路上に配置される動力伝達機構752をさらに備える(
図10)。これにより単一の電動機751の動力を左右の後輪2に良好に伝達することができる。
【0102】
(11)車両100Aは、前部部材110Aに設けられ、電動機751と電気的に接続される電力制御ユニット72(電力変換装置)をさらに備える(
図14)。これにより給電装置200Aからの電力を変換して電動機751に供給することができ、車両100Aの走行動作を最適に制御できる。
【0103】
(12)車両100Aは、電動機751と電力制御ユニット72とを電気的に接続するケーブル233をさらに備える(
図14)。これにより電力制御ユニット72で変換された電力を、ケーブル233を介して電動機751に容易に供給することができる。
【0104】
(13)車両100Aは、後部部材110Bに設けられ、牽引可能な他の車両が接続されるトレーラヒッチ35と、前部部材110Aに設けられ、後輪2の少なくとも一部を覆う後輪カバー553と、をさらに備える(
図12)。これにより、後輪カバー553で後輪2を覆いながら、トレーラヒッチ35を用いて牽引作業を行うことができる。
【0105】
(14)トレーラヒッチ35は、後輪カバー553に覆われる位置に設けられ、後輪カバー553には、トレーラヒッチ35が挿通する貫通孔553a(挿通孔)が設けられる(
図12)。これにより後輪カバー553と干渉することなく、トレーラヒッチ35を車両後端部に設けることができる。
【0106】
上記実施形態は、種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、車両100,100Aの後輪2に電動機5、751を設けたが、電動機を車両100,100Aの前輪1に設けるようにしてもよい。すなわち、駆動輪は前輪1と後輪2のいずれであってもよい。電動機5,751を、車両100,100Aの減速時に回生エネルギを発生させるように構成してもよい。上記第1実施形態では、電動機5をインホイールモータとして構成したが、電動機を駆動輪の外側に設け、電動機の動力を、動力伝達部を介して駆動輪に伝達するようにしてもよい。上記第1実施形態(
図1)では、ケーブル230,231(他の接続部材)を介してバッテリ210からの電力を電力制御ユニット50に供給するようにした。また、上記第2実施形態(
図12,
図14)では、ケーブル232,233(他の接続部材)を介してバッテリ210からの電力を電力制御ユニット72または電動機751に供給し、ケーブル232(接続部材)を介して電力制御ユニット72からの電力を電動機751に供給するようにした。しかしながら、接続部材や他の接続部材をケーブル以外により構成してもよい。
【0107】
上記実施形態では、前輪1と後輪2との間に前後方向に延在する基部3を設けるとともに、基部3に、ユーザPSの荷重を受ける荷重部としてプレート32(後プレート部322),36を設けたが、荷重部の構成はこれに限らない。例えばメインフレーム31の後端部、プレート32の後端部、枠フレーム37の後端部、またはプレート36の後端部にフレームを立設し、このフレームの上端部に着座部を設けるようにしてもよい。すなわち、車両100,100AにユーザPSが着座する椅子を設けるようにしてもよい。この場合、着座したユーザの足が、プレート32,36上に載置されればよい。
【0108】
上記実施形態では、給電装置200,200Aを略直方体形状、すなわち六面体により構成したが、蓄電器(バッテリ210)と蓄電器からの電力が出力される出力部(出力端子220)とを有するのであれば、給電装置200,200Aの構成(形状)はいかなるものでもよい。蓄電池の代わりにキャパシタを、蓄電器として用いてもよい。上記実施形態では、出力部を給電装置200の上面または前面に設けるようにしたが、後面や側面等に設けてもよい。給電装置200,200Aは放電機能を有するのみでなく、充電機能を有するものでもよい。上記実施形態では、開口203を開閉する蓋205を回動可能に設けたが、蓋205は回動可能でなくてもよい。
【0109】
上記第1実施形態では、前プレート部321の上面に、給電装置200の脚部208が嵌合する凹部324を設けて、給電装置200を保持するようにした。また、上記第2実施形態では、ベースプレート71の上面に、給電装置200Aの脚部208が嵌合する凹部を設けるとともに、囲繞部としての枠フレーム37(サイドフレーム376)とカバー55(側壁部552b)により給電装置200Aの側方を保持するようにした。しかしながら、保持部の構成は上述したものに限らない。例えば給電装置200,200Aの底面の前端角部と後端角部とが嵌合すうような凹部を設けてもよい。脚部208を左右方向または前後方向に細長に設け、この脚部に対応して凹部を設けてもよい。すなわち、給電装置を着脱可能に保持するのであれば、保持部の構成はいかなるものでもよい。ラバーマウント等の緩衝材を保持部に設けるようにしてもよい。上記実施形態では、保持部が、給電装置200,200Aの多くの部分が露出するように載置して保持するようにしたが、給電装置200,200Aの全体を収容して保持するようにしてもよい。
【0110】
上記第1実施形態では、シャフト4の後面の連結部43を介して基部3に対して前輪1の向きを変更し、さらに上記第2実施形態では、基部3(枠フレーム37)の前端部に円筒フレーム375(筒部)を設けるとともに、円筒フレーム375にシャフト4を回動可能に挿入するようにしたが、操向部の構成はこれに限らない。上記第1実施形態では、前輪1の支持フレーム41と一体にハンドル6を設け、上記第2実施形態では、フロントフォーク4bと一体にハンドル6を設けたが、操舵部を操向部とは別体に設けてもよい。例えばハンドル6の操作を電気的に検出し、その操作量に応じてアクチュエータを駆動して前輪1の向きを変更するようにしてもよい。
【0111】
上記実施形態では、折り曲げ部45(折り曲げ機構)を介してシャフト4を折り曲げ可能に設けたが、基部と操舵部とを連結するように上下方向に延在するのであれば、他の連結部の構成はいかなるものでもよい。上記第2実施形態では、前部部材110A(プレート36)に設けられた後輪カバー553により後輪1の一部を覆うようにしたが、覆蓋部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、後輪カバー553の貫通孔553a(挿通孔)を挿通してトレーラヒッチ35(牽引部)を設けたが、他の位置に牽引部を設けてもよい。
【0112】
上記実施形態では、車両100,100Aを電動スクーターとして構成したが、本発明の車両は電動スクーターに限らず、種々のタイプの車両として用いることができる。上記実施形態は、バッテリ210を挿脱可能な給電装置200,200Aに適用したが、製造時や故障、劣化などによる整備、交換時、あるいはリサイクルや廃棄時等以外に、バッテリを挿脱しないような給電装置にも、本発明を同様に適用することができる。上記実施形態では、バッテリ210を有する給電装置200,200Aを用いたが、給電装置の構成はこれに限らない。例えば液体または気体の燃料を燃焼させて電力を発生するような給電装置であってもよい。燃料電池を用いて電力を発生させるものでもよい。太陽光などの自然エネルギを用いて電力を発生させるものでもよい。無線でバッテリに電力が供給されるようにしてもよい。すなわち、車両に着脱可能に設けられる給電装置の態様はいかなるものでもよい。
【0113】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 前輪、2 後輪、3 基部、4 シャフト、5 電動機、6 ハンドル、31 メインフレーム、32 プレート、35 トレーラヒッチ、36 プレート、37 枠フレーム、43 連結部、45 折り曲げ部、46,48 支持部、55 カバー、72 電力制御ユニット、74 連結部、321 前プレート部、322 後プレート部、324 凹部、100,100A 車両、110A 前部部材、110B 後部部材、200,200A 給電装置、202 収容部、203 開口、205 蓋、207 取っ手部、208 脚部、210 バッテリ、220 出力端子、230~233 ケーブル、751 電動機、752 動力伝達機構