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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】エアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20241128BHJP
【FI】
A24F40/46
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023531166
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2021024409
(87)【国際公開番号】W WO2023275951
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/122801(WO,A1)
【文献】特開2020-103316(JP,A)
【文献】特開2019-164956(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108378430(CN,A)
【文献】特表2020-529214(JP,A)
【文献】特表2020-503902(JP,A)
【文献】特開2019-047800(JP,A)
【文献】国際公開第2020/099504(WO,A1)
【文献】米国特許第05878752(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成物品に挿入され、前記エアロゾル生成物品を加熱する加熱部と
前記加熱部に電力を供給する電力供給部と、
を備え、
前記加熱部は、
セラミックス部と、
前記セラミックス部の内部に配置され、前記電力供給部から供給された電力により発熱する電気抵抗部と
前記セラミックス部の周囲に密着して配置され、前記電気抵抗部と前記電力供給部とを電気的に接続する金属製の電極と、
を有し、
前記電極は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向に延在し、前記セラミックス部の2以上の側面を覆う2以上の面を有し、
前記セラミックス部のうち前記電極に接する部分の断面形状は矩形であり、前記電極が有する2以上の面のうち隣り合う面同士が成す角は直角である、
エアロゾル生成システム。
【請求項2】
前記加熱部は、互いに離隔した2つの前記電極を有する、
請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項3】
2つの前記電極は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向と直交する方向において、前記セラミックス部を挟んで配置される、
請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項4】
前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、前記電極は、前記セラミックス部よりも長い、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記セラミックス部と前記電極とは、導電性接着剤により接着される、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記加熱部は、前記加熱部の先端から前記エアロゾル生成物品に挿入され、
前記加熱部の先端は、鋭利に形成される、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記セラミックス部の先端は、鋭利に形成され、前記電極から露出する、
請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記加熱部は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、異なる温度で発熱する複数の領域を有する、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記電気抵抗部は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、不均一に分布する、
請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記エアロゾル生成システムは、
内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記エアロゾル生成物品を収容する収容部と、
前記加熱部の先端側が前記収容部の底部から前記開口に向かう方向に突出するように、前記加熱部を保持する保持部と、
を備える、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項11】
前記保持部は、前記電極を保持する、
請求項10に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項12】
前記セラミックス部は、電気絶縁性を有する、
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項13】
前記電気抵抗部は、SUSにより形成される、
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項14】
前記電気抵抗部は、導電性トラックである、
請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項15】
前記エアロゾル生成システムは、前記エアロゾル生成物品を含む、
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及びネブライザ等の、ユーザに吸引される物質を生成する吸引装置が広く普及している。例えば、吸引装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源等を含む基材を用いて、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する。ユーザは、吸引装置により生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引することで、香味を味わうことができる。ユーザがエアロゾルを吸引する動作を、以下ではパフ又はパフ動作とも称する。
【0003】
近年では、スティック状に形成された基材を使用するタイプの吸引装置が広く普及しており、当該タイプの吸引装置に関する技術が盛んに開発されている。例えば、下記特許文献1では、スティック状に形成された基材を吸引装置に挿入した際に、ブレード状に形成された加熱部が基材に挿入され、基材を内部から加熱する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5854394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ブレード状に形成された加熱部を使用する吸引装置には、加熱部が折れやすいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、加熱部の折れを防止することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、エアロゾル生成物品を加熱する加熱部と前記加熱部に電力を供給する電力供給部と、を備え、前記加熱部は、セラミックス部と、前記セラミックス部の内部に配置され、前記電力供給部から供給された電力により発熱する電気抵抗部と前記セラミックス部の周囲に密着して配置され、前記電気抵抗部と前記電力供給部とを電気的に接続する金属製の電極と、を有し、前記エアロゾル生成物品に挿入される、エアロゾル生成システムが提供される。
【0008】
前記電極は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向に延在し、前記セラミックス部の側面を覆ってもよい。
【0009】
前記電極は、前記セラミックス部の2以上の側面を覆う2以上の面を有してもよい。
【0010】
前記セラミックス部のうち前記電極に接する部分の断面形状は矩形であり、前記電極が有する2以上の面のうち隣り合う面同士が成す角は直角であってもよい。
【0011】
前記加熱部は、互いに離隔した2つの前記電極を有してもよい。
【0012】
2つの前記電極は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向と直交する方向において、前記セラミックス部を挟んで配置されてもよい。
【0013】
前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、前記電極は、前記セラミックス部よりも長くてもよい。
【0014】
前記セラミックス部と前記電極とは、導電性接着剤により接着されてもよい。
【0015】
前記加熱部は、前記加熱部の先端から前記エアロゾル生成物品に挿入され、前記加熱部の先端は、鋭利に形成されてもよい。
【0016】
前記セラミックス部の先端は、鋭利に形成され、前記電極から露出してもよい。
【0017】
前記加熱部は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、異なる温度で発熱する複数の領域を有してもよい。
【0018】
前記電気抵抗部は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、不均一に分布してもよい。
【0019】
前記エアロゾル生成システムは、内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記エアロゾル生成物品を収容する収容部と、前記加熱部の先端側が前記収容部の底部から前記開口に向かう方向に突出するように、前記加熱部を保持する保持部と、を備えてもよい。
【0020】
前記保持部は、前記電極を保持してもよい。
【0021】
前記セラミックス部は、電気絶縁性を有してもよい。
【0022】
前記電気抵抗部は、SUSにより形成されてもよい。
【0023】
前記電気抵抗部は、導電性トラックであってもよい。
【0024】
前記エアロゾル生成システムは、前記エアロゾル生成物品を含んでもよい。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、加熱部の折れを防止することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。
図2】本実施形態に係る加熱部の斜視図である。
図3】本実施形態に係る加熱部の分解斜視図である。
図4】本実施形態に係る加熱部の上面図である。
図5】本実施形態に係る吸引装置における加熱部が配置された部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
<1.吸引装置の構成例>
本構成例に係る吸引装置は、エアロゾル源を含む基材を基材内部から加熱することでエアロゾルを生成する。以下、図1を参照しながら、本構成例を説明する。
【0029】
図1は、吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。図1に示すように、本構成例に係る吸引装置100は、電源部111、センサ部112、通知部113、記憶部114、通信部115、制御部116、加熱部121、及び収容部140を含む。収容部140にスティック型基材150が収容された状態で、ユーザによる吸引が行われる。以下、各構成要素について順に説明する。
【0030】
電源部111は、電力を蓄積する。そして、電源部111は、吸引装置100の各構成要素に、電力を供給する。電源部111は、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。電源部111は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により外部電源に接続されることで、充電されてもよい。また、電源部111は、ワイヤレス電力伝送技術により送電側のデバイスに非接続な状態で充電されてもよい。他にも、電源部111のみを吸引装置100から取り外すことができてもよく、新しい電源部111と交換することができてもよい。
【0031】
センサ部112は、吸引装置100に関する各種情報を検出する。そして、センサ部112は、検出した情報を制御部116に出力する。一例として、センサ部112は、コンデンサマイクロホン等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサにより構成される。そして、センサ部112は、ユーザによる吸引に伴う数値を検出した場合に、ユーザによる吸引が行われたことを示す情報を制御部116に出力する。他の一例として、センサ部112は、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。とりわけ、センサ部112は、エアロゾルの生成開始/停止を指示するボタンを含み得る。そして、センサ部112は、ユーザにより入力された情報を制御部116に出力する。他の一例として、センサ部112は、加熱部121の温度を検出する温度センサにより構成される。かかる温度センサは、例えば、加熱部121の導電トラックの電気抵抗値に基づいて加熱部121の温度を検出する。センサ部112は、加熱部121の温度に基づいて、収容部140に収容されたスティック型基材150の温度を検出してもよい。
【0032】
通知部113は、情報をユーザに通知する。一例として、通知部113は、LED(Light Emitting Diode)などの発光装置により構成される。その場合、通知部113は、電源部111の状態が要充電である場合、電源部111が充電中である場合、及び吸引装置100に異常が発生した場合等に、それぞれ異なる発光パターンで発光する。ここでの発光パターンとは、色、及び点灯/消灯のタイミング等を含む概念である。通知部113は、発光装置と共に、又は代えて、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、及び振動する振動装置等により構成されてもよい。他にも、通知部113は、ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報を通知してもよい。ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報は、加熱部121により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、通知される。
【0033】
記憶部114は、吸引装置100の動作のための各種情報を記憶する。記憶部114は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。記憶部114に記憶される情報の一例は、制御部116による各種構成要素の制御内容等の、吸引装置100のOS(Operating System)に関する情報である。記憶部114に記憶される情報の他の一例は、吸引回数、吸引時刻、吸引時間累計等の、ユーザによる吸引に関する情報である。
【0034】
通信部115は、吸引装置100と他の装置との間で情報を送受信するための、通信インタフェースである。通信部115は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。かかる通信規格としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。一例として、通信部115は、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに表示させるために、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに送信する。他の一例として、通信部115は、記憶部114に記憶されているOSの情報を更新するために、サーバから新たなOSの情報を受信する。
【0035】
制御部116は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100内の動作全般を制御する。制御部116は、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。他に、制御部116は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、並びに適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。吸引装置100は、制御部116による制御に基づいて、各種処理を実行する。電源部111から他の各構成要素への給電、電源部111の充電、センサ部112による情報の検出、通知部113による情報の通知、記憶部114による情報の記憶及び読み出し、並びに通信部115による情報の送受信は、制御部116により制御される処理の一例である。各構成要素への情報の入力、及び各構成要素から出力された情報に基づく処理等、吸引装置100により実行されるその他の処理も、制御部116により制御される。
【0036】
収容部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。収容部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、収容部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。収容部140は、筒状体の高さ方向の少なくとも一部において、内径がスティック型基材150の外径よりも小さくなるように構成され、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を外周から圧迫するようにしてスティック型基材150を保持し得る。収容部140は、スティック型基材150を通る空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路内への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部143に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口142である。
【0037】
スティック型基材150は、スティック型の部材である。スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。
【0038】
基材部151は、エアロゾル源を含む。エアロゾル源は、加熱されることで霧化され、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、刻みたばこ又はたばこ原料を、粒状、シート状、又は粉末状に成形した加工物などの、たばこ由来のものであってもよい。また、エアロゾル源は、たばこ以外の植物(例えばミント及びハーブ等)から作られた、非たばこ由来のものを含んでいてもよい。一例として、エアロゾル源は、メントール等の香料成分を含んでいてもよい。吸引装置100が医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。なお、エアロゾル源は固体に限られるものではなく、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体であってもよい。基材部151の少なくとも一部は、スティック型基材150が収容部140に保持された状態において、収容部140の内部空間141に収容される
【0039】
吸口部152は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。吸口部152の少なくとも一部は、スティック型基材150が収容部140に保持された状態において、開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引すると、図示しない空気流入孔から収容部140の内部に空気が流入する。流入した空気は、収容部140の内部空間141を通過して、すなわち、基材部151を通過して、基材部151から発生するエアロゾルと共に、ユーザの口内に到達する。
【0040】
加熱部121は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。加熱部121は、金属又はポリイミド等の任意の素材で構成される。例えば、加熱部121は、先端が鋭利な形状に構成され、収容部140の底部143から収容部140の内部空間141に突出するようにして配置される。そのため、収容部140にスティック型基材150が挿入されると、加熱部121は、スティック型基材150の基材部151に突き刺さるようにして、スティック型基材150の内部に挿入される。そして、加熱部121が発熱すると、スティック型基材150に含まれるエアロゾル源がスティック型基材150の内部から加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121は、電源部111から給電されると発熱する。一例として、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。加熱部121により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、ユーザによる吸引が可能となる。その後、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電が停止されてもよい。他の一例として、ユーザによる吸引が行われたことがセンサ部112により検出されている期間において、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。
【0041】
ここで、電源部111は、加熱部121に電力を供給する電力供給部の一例である。スティック型基材150は、エアロゾル源を含有したエアロゾル生成物品の一例である。
【0042】
吸引装置100とスティック型基材150とは協働してユーザにより吸引されるエアロゾルを生成する。そのため、吸引装置100とスティック型基材150との組み合わせは、エアロゾル生成システムとして捉えられてもよい。
【0043】
<2.加熱部の詳細な構成>
図2は、本実施形態に係る加熱部121の斜視図である。図3は、本実施形態に係る加熱部121の分解斜視図である。図4は、本実施形態に係る加熱部121の上面図である。図5は、本実施形態に係る吸引装置100における加熱部121が配置された部分の断面図である。
【0044】
図2図4に示すように、加熱部121は、電気抵抗部10、セラミックス部20、及び電極30(30A及び30B)を有する。そして、図5に示すように、加熱部121は、収容部140の内部空間141に突出するように配置される。
【0045】
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素を、必要に応じて電極30A及び電極30Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、電極30A及び30Bを特に区別する必要が無い場合には、単に電極30と称する。
【0046】
これらの図において、加熱部121に対してスティック型基材150が挿入される方向を下方向とも称する。加熱部121からスティック型基材150が抜去される方向を上方向とも称する。加熱部121のうち、上方向の端部を先端とも称し、下方向の端部を後端とも称する。上下方向は、加熱部121の長手方向に対応する。
【0047】
電気抵抗部10、セラミックス部20、及び電極30が重なる方向を、前後方向とも称する。また、電極30の短手方向を、左右方向とも称する。上下方向、前後方向、及び左右方向は、互いに直交する。
【0048】
以下、加熱部121に関する各構成要素について詳細に説明する。
【0049】
セラミックス部20は、セラミックス、即ち非金属無機材料により構成される部材である。一例として、セラミックス部20は、ファインセラミックスにより構成される。よって、セラミックス部20は、高い強度及び耐熱性を発揮することができる。さらに、セラミックス部20は、絶縁性を有する。よって、電気抵抗部10及び電極30により形成される回路に短絡が発生することを防止することが可能となる。
【0050】
電気抵抗部10は、セラミックス部20の内部に配置される。そして、電気抵抗部10は、電源部111から供給された電力により発熱する。詳しくは、電気抵抗部10は、電流が流れた際にジュール熱を発する。電気抵抗部10は、例えばSUS(Steel Use Stainless)により形成される。その場合、電気抵抗部10は、高い耐熱性を発揮することが可能となる。
【0051】
一例として、電気抵抗部10は、導電性トラックであってもよい。導電性トラックは、セラミックス部20の内部を屈曲しながら張り巡らされる。セラミックス部20の内部における導電性トラックの分布(即ち、密度)に応じて、加熱部121の熱分布を任意に設計可能である。
【0052】
電極30は、セラミックス部20の周囲に密着して配置される。そして、電極30は、電気抵抗部10と電源部111とを電気的に接続する。例えば、電極30A及び電極30Bは、電気抵抗部10を介して電気的に接続されると共に、導線により電源部111に接続される。これにより、電源部111から供給された電力が電極30を介して電気抵抗部10に供給され、電気抵抗部10が発熱することが可能となる。
【0053】
電極30は、金属製の部材である。そして、電極30は、所定の剛性を有する。かかる構成によれば、電極30は、加熱部121に加わる力に対して剛性を発揮して、加熱部121が折れ曲がることを防止することが可能となる。また、電極30は、所定の伝熱性を有する。そのため、電極30は、電気抵抗部10からの伝熱により昇温して、電気抵抗部10により発生した熱をスティック型基材150に伝達することが可能となる。一例として、電極30は、SUSにより構成される。
【0054】
図2図4に示すように、電極30は、上下方向に延在し、セラミックス部20の側面を覆う。かかる構成によれば、電極30は、セラミックス部20に対し側方から加わる力を軽減することができる。そのため、加熱部121が折れ曲がることを防止することが可能となる。
【0055】
図2図4に示すように、電極30は、セラミックス部20の3つの側面を覆う3つの面を有する。詳しくは、電極30Aは、左右方向に延在する第1面31A、及び第1面31Aの左右両端から後方向に延びる2つの第2面32Aを有する。同様に、電極30Bは、左右方向に延在する第1面31B、及び第1面31Bの左右両端から前方向に延びる2つの第2面32Bを有する。かかる構成によれば、セラミックス部20のより多くの側面が電極30により覆われるので、加熱部121が折れ曲がることをより防止することが可能となる。
【0056】
図4に示すように、セラミックス部20のうち電極30に接する部分の断面形状は矩形である。そして、電極30が有する2以上の面のうち隣り合う面同士が成す角は直角である。即ち、第1面31と2つの第2面32の各々とが成す角は直角である。これにより、第2面32は、第1面31のリブとして機能して、電極30の剛性を高めることが可能となる。そのため、加熱部121が折れ曲がることをより防止することが可能となる。
【0057】
図2図4に示すように、電極30A及び電極30Bは、前後方向においてセラミックス部20を挟んで配置される。詳しくは、電極30Aはセラミックス部20の前側の側面を覆い、電極30Bはセラミックス部20の後ろ側の側面を覆っている。かかる構成によれば、セラミックス部20に対し側方から加わる力を、電極30A及び電極30Bの双方により軽減することができる。そのため、加熱部121が折れ曲がることをより防止することが可能となる。
【0058】
図4に示すように、電極30A及び電極30Bは、互いに離隔して配置される。詳しくは、電極30A及び電極30Bは、前後方向に離隔して配置されている。かかる構成によれば、短絡を防止することが可能となる。
【0059】
セラミックス部20と電極30とは、導電性接着剤により接着される。導電性接着剤の一例は、導電性を有する金属の粒子が配合されたエポキシ樹脂である。その場合、セラミックス部20と電極30との接着面に導電性接着剤を塗布した状態で熱硬化処理を行うことで、セラミックス部20と電極30とが溶着される。かかる構成によれば、セラミックス部20と電極30との接着を強固にすると共に、電極30と電気抵抗部10との電気的な接続を容易にすることが可能となる。
【0060】
図2及び図5に示すように、上下方向において、電極30は、セラミックス部20よりも長い。詳しくは、電極30は、セラミックス部20の下端よりも下方向に延在する。かかる構成によれば、後述する保持部40が、電極30のうちセラミックス部20の下端よりも下方向に延在する部分を保持することで、加熱部121を保持することが可能となる。
【0061】
加熱部121は、加熱部121の先端からスティック型基材150に挿入される。そこで、加熱部121の先端は、鋭利に構成される。本実施形態では、図2及び図3に示すように、セラミックス部20の先端が、鋭利に形成され、電極30から露出する。詳しくは、セラミックス部20のうち電極30により囲まれる部分は四角柱状に形成され、電極30から露出した先端部分は、上方向ほど断面積が小さくなるよう形成される。これにより、加熱部121が、全体として針状に形成されることとなる。かかる構成によれば、加熱部121をスティック型基材150に挿入する際に、加熱部121がスティック型基材150から受ける抵抗を弱めることができる。そのため、加熱部121が折れ曲がることをより防止することが可能となる。
【0062】
加熱部121は、上下方向において、異なる温度で発熱する複数の領域を有していてもよい。一例として、加熱部121は、高温で発熱する高加熱エリアと低温で発熱する低加熱エリアとを有していてもよい。かかる構成によれば、スティック型基材150を最適な温度分布で加熱することが可能となる。
【0063】
電気抵抗部10は、上下方向において、不均一に分布してもよい。一例として、電気抵抗部10は、高加熱エリアと低加熱エリアとで、異なる密度で分布していてもよい。かかる構成によれば、加熱部121を上下方向において異なる温度で発熱させることが可能となる。
【0064】
図5に示すように、収容部140は、保持部40、内装部材50及び外装部材60を有する。外装部材60は、筒状に構成される部材である。外装部材60は、吸引装置100の最外殻を構成していてもよい。内装部材50は、収容部140の内壁(とりわけ、側壁)を構成する部材である。他方、保持部40は、収容部140の底部143を構成する。
【0065】
保持部40は、加熱部121を保持する部材である。図5に示すように、保持部40は、加熱部121の先端が収容部140の底部143から開口142に向かう方向に突出するように、加熱部121を保持する。かかる構成によれば、開口142から内部空間141にスティック型基材150が挿入された際に、加熱部121の先端がスティック型基材150に突き刺さり、スティック型基材150の内部に加熱部121を挿入することが可能となる。
【0066】
保持部40は、高い耐熱性を有する素材により構成される。例えば、保持部40は、PEEK(Poly Ether Ether Ketone)により構成される。かかる構成によれば、加熱部121が高熱を発しても、加熱部121を保持し続けることが可能となる。
【0067】
図5に示すように、保持部40は、電極30を保持する。詳しくは、保持部40は、上下方向に貫通する2つの貫通孔41(41A及び41B)を有する板状の部材として構成される。そして、電極30A及び電極30Bの各々の後端が貫通孔41を通過し、且つセラミックス部20の下端が保持部40の上面に接触した状態で、電極30と保持部40とが接合される。かかる構成によれば、保持部40は、所定の剛性を有する電極30を保持することで、加熱部121を強固に保持することが可能となる。また、保持のための力がセラミックス部20に及ぶことが防止されるので、セラミックス部20の折れを防止することが可能となる。
【0068】
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
例えば、上記実施形態では、電極30がセラミックス部20の3つの側面を覆う3つの面を有する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。一例として、電極30は、セラミックス部20の2つ以下の側面を覆う2つ以下の面を有していてもよい。他の一例として、セラミックス部20の断面形状は多角形であってもよい。その場合、電極30は、セラミックス部20の4つ以上の側面を覆う4つ以上の面を有していてもよい。他の一例として、セラミックス部20の断面形状は円形であってもよい。その場合、電極30は、断面形状が円弧状の面を有していてもよい。
【0070】
例えば、上記実施形態では、電極30Aと電極30Bとが同一形状を有する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。電極30Aと電極30Bとは、異なる形状であってもよい。例えば、電極30Aが、左右方向に延在する第1面31A、及び第1面31Aの左右両端から後方向に延びる2つの第2面32Aを有する一方で、電極30Bは、左右方向に延在する第1面31Bのみを有していてもよい。
【0071】
例えば、上記実施形態では、加熱部121が2つの電極30を有する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。加熱部121は、1つの電極30を有していてもよい。その場合、例えば、セラミックス部20の下端において電気抵抗部10と電源部111とを電気的に接続する接続点が、別途設けられ得る。
【0072】
例えば、上記実施形態では、セラミックス部20の先端が電極30から露出する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。セラミックス部20の先端の少なくとも一部が、電極30により覆われていてもよい。
【0073】
例えば、上記実施形態では、セラミックス部20と電極30とが、導電性接着剤により接着される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。他の一例として、セラミックス部20と電極30とは、ロウ付けされてもよい。
【0074】
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
エアロゾル生成物品を加熱する加熱部と
前記加熱部に電力を供給する電力供給部と、
を備え、
前記加熱部は、
セラミックス部と、
前記セラミックス部の内部に配置され、前記電力供給部から供給された電力により発熱する電気抵抗部と
前記セラミックス部の周囲に密着して配置され、前記電気抵抗部と前記電力供給部とを電気的に接続する金属製の電極と、
を有し、前記エアロゾル生成物品に挿入される、
エアロゾル生成システム。
(2)
前記電極は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向に延在し、前記セラミックス部の側面を覆う、
前記(1)に記載のエアロゾル生成システム。
(3)
前記電極は、前記セラミックス部の2以上の側面を覆う2以上の面を有する、
前記(2)に記載のエアロゾル生成システム。
(4)
前記セラミックス部のうち前記電極に接する部分の断面形状は矩形であり、前記電極が有する2以上の面のうち隣り合う面同士が成す角は直角である、
前記(3)に記載のエアロゾル生成システム。
(5)
前記加熱部は、互いに離隔した2つの前記電極を有する、
前記(1)~(4)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(6)
2つの前記電極は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向と直交する方向において、前記セラミックス部を挟んで配置される、
前記(5)に記載のエアロゾル生成システム。
(7)
前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、前記電極は、前記セラミックス部よりも長い、
前記(1)~(6)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(8)
前記セラミックス部と前記電極とは、導電性接着剤により接着される、
前記(1)~(7)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(9)
前記加熱部は、前記加熱部の先端から前記エアロゾル生成物品に挿入され、
前記加熱部の先端は、鋭利に形成される、
前記(1)~(8)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(10)
前記セラミックス部の先端は、鋭利に形成され、前記電極から露出する、
前記(9)に記載のエアロゾル生成システム。
(11)
前記加熱部は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、異なる温度で発熱する複数の領域を有する、
前記(1)~(10)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(12)
前記電気抵抗部は、前記加熱部が前記エアロゾル生成物品に挿入される方向において、不均一に分布する、
前記(11)に記載のエアロゾル生成システム。
(13)
前記エアロゾル生成システムは、
内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記エアロゾル生成物品を収容する収容部と、
前記加熱部の先端側が前記収容部の底部から前記開口に向かう方向に突出するように、前記加熱部を保持する保持部と、
を備える、
前記(1)~(12)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(14)
前記保持部は、前記電極を保持する、
前記(13)に記載のエアロゾル生成システム。
(15)
前記セラミックス部は、電気絶縁性を有する、
前記(1)~(14)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(16)
前記電気抵抗部は、SUSにより形成される、
前記(1)~(15)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(17)
前記電気抵抗部は、導電性トラックである、
前記(1)~(16)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(18)
前記エアロゾル生成システムは、前記エアロゾル生成物品を含む、
前記(1)~(17)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【符号の説明】
【0075】
100 吸引装置
111 電源部
112 センサ部
113 通知部
114 記憶部
115 通信部
116 制御部
121 加熱部
140 収容部
141 内部空間
142 開口
143 底部
150 スティック型基材
151 基材部
152 吸口部
10 電気抵抗部
20 セラミックス部
30 電極
31 第1面
32 第2面
40 保持部
41 貫通孔
50 内装部材
60 外装部材
図1
図2
図3
図4
図5