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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】エアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20241128BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241128BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241128BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
A24F40/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023536318
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2021027410
(87)【国際公開番号】W WO2023002633
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/084776(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/151618(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/074515(WO,A1)
【文献】特表2018-529324(JP,A)
【文献】特開2009-110729(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109561736(CN,A)
【文献】特表2014-518096(JP,A)
【文献】国際公開第2021/214924(WO,A1)
【文献】特開平05-277191(JP,A)
【文献】特開平02-084165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/20
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を含有したエアロゾル生成物品を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル生成システムであって、
内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記エアロゾル生成物品を収容する収容部と、
電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって前記収容部の外側に配置される第1の電気絶縁部と、
前記第1の電気絶縁部の外側に配置され、通電された場合に発熱する電気抵抗部と、
前記電気抵抗部よりも外側に配置され、熱輻射を抑制する熱輻射抑制部と、
を備え、
前記熱輻射抑制部は、熱輻射を抑制する性質を有する材料を含むワニスを塗布することで形成される、エアロゾル生成システム。
【請求項2】
前記エアロゾル生成システムは、前記熱輻射抑制部として、前記電気抵抗部の外側に配置される電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって、熱輻射を抑制する第2の電気絶縁部を備え、
前記電気抵抗部は、前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部により挟まれる、
請求項1に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項3】
前記第2の電気絶縁部は、電気絶縁性を有する材料をさらに含む前記ワニスを塗布することで形成される、
請求項2に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項4】
前記エアロゾル生成システムは、電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって前記電気抵抗部の外側に配置される第2の電気絶縁部を備え、
前記電気抵抗部は、前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部により挟まれ、
前記熱輻射抑制部は、前記第2の電気絶縁部の外側に配置される、
請求項1に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部は、電気絶縁性を有する材料として、ポリイミド、PEEK、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、アクリル、フェノール、及びシリコンを含む材料群の中から選択された1以上の材料により形成される、
請求項2~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記熱輻射抑制部は、熱輻射を抑制する性質を有する材料として、SiC、TiO2、アルミナ、イットリア、金属の酸化物、及び複数の金属原子と酸素原子とを含む複合金属を含む材料群の中から選択された1以上の材料により形成される、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記第1の電気絶縁部、電気抵抗部、及び熱輻射抑制部は、熱収縮チューブにより前記収容部に固定される、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記エアロゾル生成システムは、
前記電気抵抗部の外側に配置される電気絶縁性を有するフィルム状の部材である第2の電気絶縁部と、
面状に構成された前記輻射抑制部である第1のパネル、
面状に構成された前記輻射抑制部である第2のパネル、及び
前記第1のパネル及び前記第2のパネルを連結する弾性体である連結部を有するクリップと、
を備え、
前記クリップは、前記第2の電気絶縁部の外側から、前記第1のパネルと前記第2のパネルとで前記収容部を挟持する、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記エアロゾル生成システムは、
面状に構成された前記輻射抑制部であって電気絶縁性を有する第1のパネル、
面状に構成された前記輻射抑制部であって電気絶縁性を有する第2のパネル、及び
前記第1のパネル及び前記第2のパネルを連結する弾性体である連結部、を有するクリップ
を備え、
前記クリップは、前記電気抵抗部の外側から、前記第1のパネルと前記第2のパネルとで前記収容部を挟持する、
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記第1のパネル及び前記第2のパネルは、前記収容部の側壁の形状に沿った形状を有する、
請求項8又は9に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項11】
前記収容部は、対向する2つの平らな側壁を備え、
前記第1のパネル及び前記第2のパネルの各々は平面を備え、
前記連結部は、前記第1のパネルの平面と前記第2のパネルの平面とを連結し、
前記クリップは、前記第1のパネルの平面及び前記第2のパネルの平面が前記収容部の前記2つの平らな側壁に位置合わせされた状態で、前記収容部を挟持する、
請求項8~10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項12】
前記エアロゾル生成物品をさらに備える、
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及びネブライザ等の、ユーザに吸引される物質を生成する吸引装置が広く普及している。例えば、吸引装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源等を含む基材を用いて、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する。ユーザは、吸引装置により生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引することで、香味を味わうことができる。ユーザがエアロゾルを吸引する動作を、以下ではパフ又はパフ動作とも称する。
【0003】
近年では、効率的にエアロゾルを生成するための様々な技術が開発されている。例えば、下記特許文献1では、誘導加熱型の吸引装置において、変動磁場の侵入により誘導加熱される加熱素子の外面の熱放射率を0.05以下にして、加熱効率を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2018-529324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された技術は開発されてから未だ日が浅く、様々な点で向上の余地が残されている。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、吸引装置の加熱効率を向上させることが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、エアロゾル源を含有したエアロゾル生成物品を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル生成システムであって、内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記エアロゾル生成物品を収容する収容部と、電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって前記収容部の外側に配置される第1の電気絶縁部と、前記第1の電気絶縁部の外側に配置され、通電された場合に発熱する電気抵抗部と、前記電気抵抗部よりも外側に配置され、熱輻射を抑制する熱輻射抑制部と、を備える、エアロゾル生成システムが提供される。
【0008】
前記エアロゾル生成システムは、前記熱輻射抑制部として、前記電気抵抗部の外側に配置される電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって、熱輻射を抑制する第2の電気絶縁部を備え、前記電気抵抗部は、前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部により挟まれてもよい。
【0009】
前記第2の電気絶縁部は、電気絶縁性を有する材料及び熱輻射を抑制する性質を有する材料を含むワニスを塗布することで形成されてもよい。
【0010】
前記エアロゾル生成システムは、電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって前記電気抵抗部の外側に配置される第2の電気絶縁部を備え、前記電気抵抗部は、前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部により挟まれ、前記熱輻射抑制部は、前記第2の電気絶縁部の外側に配置されてもよい。
【0011】
前記熱輻射抑制部は、熱輻射を抑制する性質を有する材料を含むワニスを塗布することで形成されてもよい。
【0012】
前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部は、電気絶縁性を有する材料として、ポリイミド、PEEK、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、アクリル、フェノール、及びシリコンを含む材料群の中から選択された1以上の材料により形成されてもよい。
【0013】
前記熱輻射抑制部は、熱輻射を抑制する性質を有する材料として、SiC、TiO2、アルミナ、イットリア、金属の酸化物、及び複数の金属原子と酸素原子とを含む複合金属を含む材料群の中から選択された1以上の材料により形成されてもよい。
【0014】
前記第1の電気絶縁部、電気抵抗部、及び熱輻射抑制部は、熱収縮チューブにより前記収容部に固定されてもよい。
【0015】
前記エアロゾル生成システムは、前記電気抵抗部の外側に配置される電気絶縁性を有するフィルム状の部材である第2の電気絶縁部と、面状に構成された前記輻射抑制部である第1のパネル、面状に構成された前記輻射抑制部である第2のパネル、及び前記第1のパネル及び前記第2のパネルを連結する弾性体である連結部を有するクリップと、を備え、前記クリップは、前記第2の電気絶縁部の外側から、前記第1のパネルと前記第2のパネルとで前記収容部を挟持してもよい。
【0016】
前記エアロゾル生成システムは、面状に構成された前記輻射抑制部であって電気絶縁性を有する第1のパネル、面状に構成された前記輻射抑制部であって電気絶縁性を有する第2のパネル、及び前記第1のパネル及び前記第2のパネルを連結する弾性体である連結部、を有するクリップを備え、前記クリップは、前記電気抵抗部の外側から、前記第1のパネルと前記第2のパネルとで前記収容部を挟持してもよい。
【0017】
前記第1のパネル及び前記第2のパネルは、前記収容部の側壁の形状に沿った形状を有してもよい。
【0018】
前記収容部は、対向する2つの平らな側壁を備え、前記第1のパネル及び前記第2のパネルの各々は平面を備え、前記連結部は、前記第1のパネルの平面と前記第2のパネルの平面とを連結し、前記クリップは、前記第1のパネルの平面及び前記第2のパネルの平面が前記収容部の前記2つの平らな側壁に位置合わせされた状態で、前記収容部を挟持してもよい。
【0019】
前記エアロゾル生成物品をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、吸引装置の加熱効率を向上させることが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。
図2】第1の実施形態に係る吸引装置の保持部周辺の断面を模式的に示す断面図である。
図3】第2の実施形態に係る吸引装置の保持部周辺の断面を模式的に示す断面図である。
図4】第3の実施形態に係る吸引装置の保持部周辺の構成の斜視図である。
図5】同実施形態に係る吸引装置の保持部周辺の断面を模式的に示す断面図である。
図6】第4の実施形態に係る吸引装置の保持部周辺の断面を模式的に示す断面図である。
図7】変形例に係る吸引装置の保持部周辺の構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<1.吸引装置の構成例>
本構成例に係る吸引装置は、エアロゾル源を含む基材を基材外部から加熱することでエアロゾルを生成する。以下、図1を参照しながら、本構成例を説明する。
【0024】
図1は、吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。図1に示すように、本構成例に係る吸引装置100は、電源部111、センサ部112、通知部113、記憶部114、通信部115、制御部116、加熱部121、保持部140、及び断熱部144を含む。保持部140にスティック型基材150が保持された状態で、ユーザによる吸引が行われる。以下、各構成要素について順に説明する。
【0025】
電源部111は、電力を蓄積する。そして、電源部111は、吸引装置100の各構成要素に、電力を供給する。電源部111は、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。電源部111は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により外部電源に接続されることで、充電されてもよい。また、電源部111は、ワイヤレス電力伝送技術により送電側のデバイスに非接続な状態で充電されてもよい。他にも、電源部111のみを吸引装置100から取り外すことができてもよく、新しい電源部111と交換することができてもよい。
【0026】
センサ部112は、吸引装置100に関する各種情報を検出する。そして、センサ部112は、検出した情報を制御部116に出力する。一例として、センサ部112は、コンデンサマイクロホン等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサにより構成される。そして、センサ部112は、ユーザによる吸引に伴う数値を検出した場合に、ユーザによる吸引が行われたことを示す情報を制御部116に出力する。他の一例として、センサ部112は、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。とりわけ、センサ部112は、エアロゾルの生成開始/停止を指示するボタンを含み得る。そして、センサ部112は、ユーザにより入力された情報を制御部116に出力する。他の一例として、センサ部112は、加熱部121の温度を検出する温度センサにより構成される。かかる温度センサは、例えば、加熱部121の導電トラックの電気抵抗値に基づいて加熱部121の温度を検出する。センサ部112は、加熱部121の温度に基づいて、保持部140により保持されたスティック型基材150の温度を検出してもよい。
【0027】
通知部113は、情報をユーザに通知する。一例として、通知部113は、LED(Light Emitting Diode)などの発光装置により構成される。その場合、通知部113は、電源部111の状態が要充電である場合、電源部111が充電中である場合、及び吸引装置100に異常が発生した場合等に、それぞれ異なる発光パターンで発光する。ここでの発光パターンとは、色、及び点灯/消灯のタイミング等を含む概念である。通知部113は、発光装置と共に、又は代えて、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、及び振動する振動装置等により構成されてもよい。他にも、通知部113は、ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報を通知してもよい。ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報は、加熱部121により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、通知される。
【0028】
記憶部114は、吸引装置100の動作のための各種情報を記憶する。記憶部114は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。記憶部114に記憶される情報の一例は、制御部116による各種構成要素の制御内容等の、吸引装置100のOS(Operating System)に関する情報である。記憶部114に記憶される情報の他の一例は、吸引回数、吸引時刻、吸引時間累計等の、ユーザによる吸引に関する情報である。
【0029】
通信部115は、吸引装置100と他の装置との間で情報を送受信するための、通信インタフェースである。通信部115は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。かかる通信規格としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。一例として、通信部115は、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに表示させるために、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに送信する。他の一例として、通信部115は、記憶部114に記憶されているOSの情報を更新するために、サーバから新たなOSの情報を受信する。
【0030】
制御部116は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100内の動作全般を制御する。制御部116は、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。他に、制御部116は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、並びに適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。吸引装置100は、制御部116による制御に基づいて、各種処理を実行する。電源部111から他の各構成要素への給電、電源部111の充電、センサ部112による情報の検出、通知部113による情報の通知、記憶部114による情報の記憶及び読み出し、並びに通信部115による情報の送受信は、制御部116により制御される処理の一例である。各構成要素への情報の入力、及び各構成要素から出力された情報に基づく処理等、吸引装置100により実行されるその他の処理も、制御部116により制御される。
【0031】
保持部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。保持部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、保持部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。保持部140は、筒状体の高さ方向の少なくとも一部において、内径がスティック型基材150の外径よりも小さくなるように構成され、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を外周から圧迫するようにしてスティック型基材150を保持し得る。保持部140は、スティック型基材150を通る空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路内への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部143に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口142である。
【0032】
スティック型基材150は、スティック型の部材である。スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。
【0033】
基材部151は、エアロゾル源を含む。エアロゾル源は、加熱されることで霧化され、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、刻みたばこ又はたばこ原料を、粒状、シート状、又は粉末状に成形した加工物などの、たばこ由来のものであってもよい。また、エアロゾル源は、たばこ以外の植物(例えばミント及びハーブ等)から作られた、非たばこ由来のものを含んでいてもよい。一例として、エアロゾル源は、メントール等の香料成分を含んでいてもよい。吸引装置100が医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。なお、エアロゾル源は固体に限られるものではなく、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体であってもよい。基材部151の少なくとも一部は、スティック型基材150が保持部140に保持された状態において、保持部140の内部空間141に収容される
【0034】
吸口部152は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。吸口部152の少なくとも一部は、スティック型基材150が保持部140に保持された状態において、開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引すると、図示しない空気流入孔から保持部140の内部に空気が流入する。流入した空気は、保持部140の内部空間141を通過して、すなわち、基材部151を通過して、基材部151から発生するエアロゾルと共に、ユーザの口内に到達する。
【0035】
加熱部121は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。加熱部121は、金属又はポリイミド等の任意の素材で構成される。例えば、加熱部121は、フィルム状に構成され、保持部140の外周を覆うように配置される。そして、加熱部121が発熱すると、スティック型基材150に含まれるエアロゾル源がスティック型基材150の外周から加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121は、電源部111から給電されると発熱する。一例として、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電されてもよい。加熱部121により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、ユーザによる吸引が可能となる。その後、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電が停止されてもよい。他の一例として、ユーザによる吸引が行われたことがセンサ部112により検出されている期間において、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。
【0036】
断熱部144は、加熱部121から吸引装置100の他の構成要素への伝熱を防止する。断熱部144は、少なくとも加熱部121の外周を覆うように配置される。例えば、断熱部144は、真空断熱材、及びエアロゲル断熱材等により構成される。なお、真空断熱材とは、例えば、グラスウール及びシリカ(ケイ素の粉体)等を樹脂製のフィルムで包んで高真空状態にすることで、気体による熱伝導を限りなくゼロに近づけた断熱材である。
【0037】
スティック型基材150は、エアロゾル源を含有したエアロゾル生成物品の一例である。保持部140は、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を収容する収容部の一例である。吸引装置100とスティック型基材150とは協働してユーザにより吸引されるエアロゾルを生成する。そのため、吸引装置100とスティック型基材150との組み合わせは、エアロゾル生成システムとして捉えられてもよい。
【0038】
<2.第1の実施形態>
図2は、本実施形態に係る吸引装置100の保持部140周辺の断面を模式的に示す断面図である。図2に示すように、保持部140の側面には、加熱部121、熱輻射抑制部20、及び熱収縮チューブ30が配置される。
【0039】
以下では、内部空間141にスティック型基材150が挿入される方向を、下方向とも称する。他方、内部空間141からスティック型基材150が抜去される方向を、上方向とも称する。また、保持部140の外側の空間のうち、保持部140に近い側を内側とも称し、保持部140から遠い側を外側とも称する。
【0040】
図2に示すように、保持部140の外側に加熱部121が配置される。保持部140は、例えばSUS(Steel Use Stainless)等の、所定の伝熱性を有する材料により構成される。そのため、加熱部121が発した熱は、保持部140を介して、保持部140の内部空間141に収容されたスティック型基材150を加熱することができる。
【0041】
図2に示すように、加熱部121は、電気抵抗部10、第1の電気絶縁部11、及び第2の電気絶縁部12を含む。
【0042】
電気抵抗部10は、通電された場合に発熱する部材である。詳しくは、電気抵抗部10は、電流が流れた際にジュール熱を発する。電気抵抗部10は、例えばSUS(Steel Use Stainless)により形成される。その場合、電気抵抗部10は、高い耐熱性を発揮することが可能となる。
【0043】
一例として、電気抵抗部10は、導電性トラックであってもよい。導電性トラックは、保持部140の周囲を屈曲しながら張り巡らされる。保持部140の周囲における導電性トラックの分布に応じて、保持部140の側面を任意の熱分布で加熱可能となる。
【0044】
第1の電気絶縁部11及び第2の電気絶縁部12は、電気絶縁性を有するフィルム状の部材である。第1の電気絶縁部11は、保持部140の外側であって電気抵抗部10の内側に配置される。第2の電気絶縁部12は、電気抵抗部10の外側に配置される。即ち、電気抵抗部10は、第1の電気絶縁部11の外側であって第2の電気絶縁部12の内側に配置される。そして、第1の電気絶縁部11及び第2の電気絶縁部12は、電気抵抗部10を挟み込む。かかる構成によれば、電気抵抗部10が他の導電体と接触して短絡することが防止される。
【0045】
第1の電気絶縁部11及び第2の電気絶縁部12は、電気絶縁性を有する任意の材料により形成される。例えば、第1の電気絶縁部11及び第2の電気絶縁部12は、電気絶縁性を有する材料として、ポリイミド、PEEK(poly ether ether ketone)、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、アクリル、フェノール、及びシリコンを含む材料群の中から選択された1以上の材料により形成されてもよい。第1の電気絶縁部11及び第2の電気絶縁部12は、電気絶縁性を有する材料を含むワニスを塗布することにより形成されてもよい。ワニスの塗布が採用される場合、別途形成したフィルムを配置する場合と比較して、第1の電気絶縁部11及び第2の電気絶縁部12の位置決めを容易にすることができる。
【0046】
図2に示すように、第2の電気絶縁部12の外側に、熱輻射抑制部20が配置される。即ち、熱輻射抑制部20は、電気抵抗部10よりも外側に配置される。熱輻射抑制部20は、熱輻射(即ち、熱放射)を抑制する性質を有する部材である。一例として、熱輻射抑制部20は、熱輻射率(即ち、熱放射率)が0.7以下となるよう構成される。かかる構成によれば、電気抵抗部10から外側への熱輻射による熱損失を抑制することができる。そして、熱輻射抑制部20が配置される方向と反対側の方向、即ち電気抵抗部10の内側にある、保持部140及び保持部140に収容されたスティック型基材150を、効率的に加熱することが可能となる。また、熱輻射抑制部20よりも外側への熱輻射が抑制されるので、熱輻射抑制部20よりも外側に配置された、制御部116及び吸引装置100のハウジング等の他の構成要素の昇温を防止することができる。これにより、吸引装置100の動作の安定性を向上させると共に、ユーザの安全性を向上させることが可能となる。
【0047】
熱輻射抑制部20は、熱輻射を抑制する性質を有する任意の材料により形成される。例えば、熱輻射抑制部20は、熱輻射を抑制する性質を有する材料として、SiC、TiO 、アルミナ、イットリア、金属の酸化物、及び複数の金属原子と酸素原子とを含む複合金属を含む材料群の中から選択された1以上の材料により形成されてもよい。熱輻射抑制部20は、熱輻射を抑制する性質を有する材料を含むワニスを塗布することにより形成されてもよい。ワニスの塗布が採用される場合、別途形成した熱輻射抑制部20を配置する場合と比較して、熱輻射抑制部20の位置決めを容易にすることができる。
【0048】
第1の電気絶縁部11、電気抵抗部10、第2の電気絶縁部12、及び熱輻射抑制部20は、熱収縮チューブ30により保持部140に固定される。熱収縮チューブ30は、熱を加えると収縮する、管状の部材である。例えば、熱収縮チューブ30は、樹脂材料により構成される。保持部140に、第1の電気絶縁部11、電気抵抗部10、第2の電気絶縁部12、熱輻射抑制部20、及び熱収縮チューブ30を順に積層した状態で、熱収縮チューブ30を加熱することで、これらの構成要素を容易に固定することが可能となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、加熱部121の外側に熱輻射抑制部20が配置されるので、スティック型基材150の加熱効率を向上させることが可能となる。
【0050】
<3.第2の実施形態>
図3は、本実施形態に係る吸引装置100の保持部140周辺の断面を模式的に示す断面図である。図3に示すように、保持部140の側面には、加熱部121及び熱収縮チューブ30が配置される。
【0051】
本実施形態に係る吸引装置100は、第2の電気絶縁部12が熱輻射抑制部20を兼ねる点で、第1の実施形態と相違する。以下では、第1の実施形態との相違点について主に説明し、第1の実施形態と同様の点については説明を省略する。
【0052】
本実施形態に係る第2の電気絶縁部12は、熱輻射を抑制する熱輻射抑制部20を兼ねる。即ち、第2の電気絶縁部12は、電気絶縁性を有し、熱輻射を抑制する、フィルム状の部材である。
【0053】
第2の電気絶縁部12は、電気絶縁性を有する任意の材料、及び熱輻射を抑制する性質を有する任意の材料の、双方により形成される。例えば、第2の電気絶縁部12は、電気絶縁性を有する材料及び熱輻射を抑制する性質を有する材料を含むワニスを塗布することで形成されてもよい。ワニスの塗布が採用される場合、別途形成したフィルムを配置する場合と比較して、第2の電気絶縁部12の位置決めを容易にすることができる。
【0054】
第1の電気絶縁部11、電気抵抗部10、及び第2の電気絶縁部12は、熱収縮チューブ30により保持部140に固定される。保持部140に、第1の電気絶縁部11、電気抵抗部10、第2の電気絶縁部12、及び熱収縮チューブ30を順に積層した状態で、熱収縮チューブ30を加熱することで、これらの構成要素を容易に固定することが可能となる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2の電気絶縁部12を熱輻射抑制部20として機能させることができる。そのため、熱輻射抑制部20を別途配置せずに済むので、第1の実施形態と比較して製造時の生産性を高めることが可能となる。
【0056】
<4.第3の実施形態>
図4は、本実施形態に係る吸引装置100の保持部140周辺の構成の斜視図である。図5は、本実施形態に係る吸引装置100の保持部140周辺の断面を模式的に示す断面図である。図5には、図4のA-A切断線における断面が模式的に示されている。図4及び図5に示すように、保持部140の側面には、第1の電気絶縁部11、電気抵抗部10、及び第2の電気絶縁部12を含む加熱部121が配置され、さらにクリップ40が配置されている。加熱部121の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0057】
図4に示すように、本実施形態に係る保持部140は、断面形状が長円形である筒状体として構成される。即ち、保持部140は、対向する平らな側壁145A及び145B、対向する湾曲した側壁145C及び145D、並びに底部143により構成される。平らな側壁145Aと平らな側壁145Bとの間の内径は、円柱状に構成されたスティック型基材150の外径よりも短く構成される。そして、保持部140は、スティック型基材150が内部空間141に挿入された際に、平らな側壁145Aと平らな側壁145Bとによりスティック型基材150を圧迫しながら、保持する。かかる構成により、スティック型基材150が抜け落ちることを防止すると共に、圧迫部分においてスティック型基材150の加熱効率を向上させることが可能となる。
【0058】
図4に示すように、クリップ40は、第1のパネル41、第2のパネル42、及び連結部43を有する。そして、図5に示すように、クリップ40は、第2の電気絶縁部12の外側から、第1のパネル41と第2のパネル42とで保持部140を挟持する。第1のパネル41及び第2のパネル42は、面状に構成された部材である。第1のパネル41及び第2のパネル42は、剛性及び弾性を有し、クリップ40が保持部140を挟持した際に保持部140の側壁にフィットする。連結部43は、第1のパネル41及び第2のパネル42を連結する弾性体である。連結部43は、第1のパネル41と第2のパネル42とを近づける方向に弾性力を発揮する。これにより、加熱部121を保持部140に固定することができる。
【0059】
図4に示すように、第1のパネル41及び第2のパネル42は、保持部140の側壁の形状に沿った形状を有する。具体的には、第1のパネル41は、保持部140の平らな側壁145Aに沿う平面41Aと、平面41Aの両端から保持部140の湾曲した側壁145C及び145Dに沿って湾曲しながら延びる湾曲面41C及び41Dと、を有する。同様に、第2のパネル42は、保持部140の平らな側壁145Bに沿う平面42Bと、平面42Bの両端から保持部140の湾曲した側壁145C及び145Dに沿って湾曲しながら延びる湾曲面42C及び42Dと、を有する。かかる構成により、クリップ40は、保持部140、加熱部121、第1のパネル41及び第2のパネル42を互いに密着させることが可能となる。
【0060】
図4に示すように、連結部43は、第1のパネル41の平面41Aと第2のパネル42の平面42Bとを連結する。そして、クリップ40は、第1のパネル41の平面41A及び第2のパネル42の平面42Bが保持部140の平らな側壁145A及び145Bに位置合わせされた状態で、保持部140を挟持する。かかる構成によれば、保持部140の側壁のうち、スティック型基材150が圧迫されている平らな側壁145A及び145Bに、加熱部121を密着させることができる。これにより、スティック型基材150の加熱効率をさらに向上させることが可能となる。
【0061】
ここで、第1のパネル41及び第2のパネル42は、熱輻射を抑制する熱輻射抑制部20を兼ねる。即ち、第1のパネル41及び第2のパネル42の少なくとも一部は、熱輻射を抑制する性質を有する任意の材料により形成される。例えば、第1のパネル41及び第2のパネル42は、剛性及び弾性を有する層を外側に有し、熱輻射を抑制する層を内側に有していてもよい。かかる構成によれば、第1の実施形態において説明したように、スティック型基材150の効率的な加熱、吸引装置100の動作の安定性の向上、及びユーザの安全性の向上を実現することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、熱輻射抑制部20を兼ねるクリップ40により、加熱部121を保持部140に固定しつつ、外側への熱輻射を抑制してスティック型基材150の加熱効率を向上させることが可能となる。本実施形態では、熱輻射抑制部20を別途形成したり、熱収縮チューブ30を配置して熱を加えたりする工程が、より簡易なクリップ40の装着に置き換えられる。そのため、第1の実施形態と比較して製造時の生産性を高めることが可能となる。
【0063】
<5.第4の実施形態>
図6は、本実施形態に係る吸引装置100の保持部140周辺の断面を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る吸引装置100では、第3の実施形態と同様に、保持部140がクリップ40により挟持される。
【0064】
図6に示すように、保持部140の側面には、第1の電気絶縁部11及び電気抵抗部10から成る加熱部121、及びクリップ40が配置される。本実施形態に係る吸引装置100は、加熱部121が第2の電気絶縁部12を有さない点で、第3の実施形態と相違する。以下では、第3の実施形態との相違点について主に説明し、第3の実施形態と同様の点については説明を省略する。
【0065】
第1のパネル41及び第2のパネル42は、電気絶縁性を有する第2の電気絶縁部12、及び熱輻射を抑制する熱輻射抑制部20を兼ねる。即ち、第1のパネル41及び第2のパネル42の少なくとも一部は、電気絶縁性を有する任意の材料、及び熱輻射を抑制する性質を有する任意の材料により形成される。例えば、第1のパネル41及び第2のパネル42は、剛性及び弾性を有する層を外側に有し、電気絶縁性を有する層、及び熱輻射を抑制する層を内側に有していてもよい。そして、クリップ40は、電気抵抗部10の外側から、第1のパネル41と第2のパネル42とで保持部140を挟持する。かかる構成によれば、電気抵抗部10の短絡を防止することができると。さらに、第3の実施形態と同様に、スティック型基材150の効率的な加熱、吸引装置100の動作の安定性の向上、及びユーザの安全性の向上を実現することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、クリップ40を熱輻射抑制部20だけでなく第2の電気絶縁部12として機能させることができる。そのため、第2の電気絶縁部12を別途配置せずに済むので、第3の実施形態と比較して製造時の生産性を高めることが可能となる。
【0067】
<6.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
例えば、上記実施形態では、クリップ40が、第1のパネル41と第2のパネル42とにより、保持部140の平らな側壁145A及び145Bを挟持する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。他の一例を、図7を参照しながら説明する。図7は、変形例に係る吸引装置100の保持部140周辺の構成の斜視図である。図7に示すように、第1のパネル41は、保持部140の湾曲した側壁145Cに沿って湾曲する湾曲面41Cと、湾曲面41Cの両端から保持部140の平らな側壁145A及び145Bに沿って伸びる平面41A及び41Bと、を有する。同様に、第2のパネル42は、保持部140の湾曲した側壁145Dに沿って湾曲する湾曲面42Dと、湾曲面42Dの両端から保持部140の平らな側壁145A及び145Bに沿って伸びる平面42A及び42Bと、を有する。そして、クリップ40は、第1のパネル41と第2のパネル42とにより、保持部140の湾曲した側壁145C及び145Dを挟持する。このように、第1のパネル41及び第2のパネル42が保持部140の側壁の形状に沿った形状を有していれば、クリップ40が保持部140をどの方向から挟持するかは特に限定されない。いずれにせよ、クリップ40は、保持部140に加熱部121を固定することが可能となる。
【0069】
例えば、上記実施形態では、保持部140が、断面形状が長円形である筒状体として構成される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。保持部140は、断面形状が円形、楕円形、又は多角形である筒状体として構成されてもよい。
【0070】
例えば、上記実施形態では、熱輻射抑制部20と断熱部144との関係の説明を省略したが、これらの関係性は自由に設計されてよい。一例として、熱輻射抑制部20又は熱輻射抑制部20として機能する構成要素(例えば、第2の電気絶縁部12又はクリップ40)の外側に、断熱部144が配置されてもよい。
【0071】
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
エアロゾル源を含有したエアロゾル生成物品を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル生成システムであって、
内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記エアロゾル生成物品を収容する収容部と、
電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって前記収容部の外側に配置される第1の電気絶縁部と、
前記第1の電気絶縁部の外側に配置され、通電された場合に発熱する電気抵抗部と、
前記電気抵抗部よりも外側に配置され、熱輻射を抑制する熱輻射抑制部と、
を備える、エアロゾル生成システム。
(2)
前記エアロゾル生成システムは、前記熱輻射抑制部として、前記電気抵抗部の外側に配置される電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって、熱輻射を抑制する第2の電気絶縁部を備え、
前記電気抵抗部は、前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部により挟まれる、
前記(1)に記載のエアロゾル生成システム。
(3)
前記第2の電気絶縁部は、電気絶縁性を有する材料及び熱輻射を抑制する性質を有する材料を含むワニスを塗布することで形成される、
前記(2)に記載のエアロゾル生成システム。
(4)
前記エアロゾル生成システムは、電気絶縁性を有するフィルム状の部材であって前記電気抵抗部の外側に配置される第2の電気絶縁部を備え、
前記電気抵抗部は、前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部により挟まれ、
前記熱輻射抑制部は、前記第2の電気絶縁部の外側に配置される、
前記(1)に記載のエアロゾル生成システム。
(5)
前記熱輻射抑制部は、熱輻射を抑制する性質を有する材料を含むワニスを塗布することで形成される、
前記(4)に記載のエアロゾル生成システム。
(6)
前記第1の電気絶縁部及び前記第2の電気絶縁部は、電気絶縁性を有する材料として、ポリイミド、PEEK、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、アクリル、フェノール、及びシリコンを含む材料群の中から選択された1以上の材料により形成される、
前記(2)~(5)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(7)
前記熱輻射抑制部は、熱輻射を抑制する性質を有する材料として、SiC、TiO2、アルミナ、イットリア、金属の酸化物、及び複数の金属原子と酸素原子とを含む複合金属を含む材料群の中から選択された1以上の材料により形成される、
前記(1)~(6)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(8)
前記第1の電気絶縁部、電気抵抗部、及び熱輻射抑制部は、熱収縮チューブにより前記収容部に固定される、
前記(1)~(7)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(9)
前記エアロゾル生成システムは、
前記電気抵抗部の外側に配置される電気絶縁性を有するフィルム状の部材である第2の電気絶縁部と、
面状に構成された前記輻射抑制部である第1のパネル、
面状に構成された前記輻射抑制部である第2のパネル、及び
前記第1のパネル及び前記第2のパネルを連結する弾性体である連結部を有するクリップと、
を備え、
前記クリップは、前記第2の電気絶縁部の外側から、前記第1のパネルと前記第2のパネルとで前記収容部を挟持する、
前記(1)~(7)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(10)
前記エアロゾル生成システムは、
面状に構成された前記輻射抑制部であって電気絶縁性を有する第1のパネル、
面状に構成された前記輻射抑制部であって電気絶縁性を有する第2のパネル、及び
前記第1のパネル及び前記第2のパネルを連結する弾性体である連結部、を有するクリップ
を備え、
前記クリップは、前記電気抵抗部の外側から、前記第1のパネルと前記第2のパネルとで前記収容部を挟持する、
前記(1)~(7)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(11)
前記第1のパネル及び前記第2のパネルは、前記収容部の側壁の形状に沿った形状を有する、
前記(9)又は(10)に記載のエアロゾル生成システム。
(12)
前記収容部は、対向する2つの平らな側壁を備え、
前記第1のパネル及び前記第2のパネルの各々は平面を備え、
前記連結部は、前記第1のパネルの平面と前記第2のパネルの平面とを連結し、
前記クリップは、前記第1のパネルの平面及び前記第2のパネルの平面が前記収容部の前記2つの平らな側壁に位置合わせされた状態で、前記収容部を挟持する、
前記(9)~(11)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(13)
前記エアロゾル生成物品をさらに備える、
前記(1)~(12)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【符号の説明】
【0072】
100 吸引装置
111 電源部
112 センサ部
113 通知部
114 記憶部
115 通信部
116 制御部
121 加熱部
140 保持部
141 内部空間
142 開口
143 底部
144 断熱部
145 側壁(145A、145B:平らな側壁 145C、145D:湾曲した側壁)
150 スティック型基材
151 基材部
152 吸口部
10 電気抵抗部
11 第1の電気絶縁部
12 第2の電気絶縁部
20 熱輻射抑制部
30 熱収縮チューブ
40 クリップ
41 第1のパネル(41A、41B:平面 41C、41D:湾曲面)
42 第2のパネル(42A、42B:平面 42C、42D:湾曲面)
43 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7