(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ノズル収納装置及び表面実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H05K13/04 B
(21)【出願番号】P 2023546586
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2021032781
(87)【国際公開番号】W WO2023037400
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 紳也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恒太
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第6305018(JP,B2)
【文献】特開2009-117580(JP,A)
【文献】特開2019-212722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を吸着する吸着ノズルを収納するノズル収納装置であって、
ベースと、
前記ベース上に着脱可能に配置された第1収納部と、
前記ベース上に着脱可能に配置された第2収納部と、
ロック装置と、を含み、
前記第1収納部は電子部品の実装作業に使用される吸着ノズルを収納する実装作業用であり、
前記第2収納部はメンテナンス対象の吸着ノズルを収納するメンテナンス用であり、
前記ロック装置は、
前記ベースに対して前記第1収納部をロックする第1ロック装置と、前記第2収納部をロックする第2ロック装置とを含み、
前記第1ロック装置は、前記ベースに対して前記第1収納部の全体を一括してロック又はロック解除する一括ロック装置であり、
前記第2ロック装置を解除することで、前記ベースからメンテナンス用の前記第2収納部のみ単独で着脱することが出来る、ノズル収納装置。
【請求項2】
電子部品を基板に実装する表面実装機であって、
基台と、
基台上を移動するヘッドユニットと、
前記電子部品を吸着する吸着ノズルを下端に有し、前記ヘッドユニットに取り付けられた実装ヘッドと、
ノズル収納装置と、
コントローラと、を備え
、
前記ノズル収納装置は電子部品を吸着する吸着ノズルを収納するノズル収納装置であって、ベースと、前記ベース上に着脱可能に配置された第1収納部と、前記ベース上に着脱可能に配置された第2収納部と、ロック装置と、を含み、
前記コントローラは、前記吸着ノズルのメンテナンス作業中に、前記ベースから前記第1収納部が取り外された場合、異常を表示又は報知し、
前記第1収納部は電子部品の実装作業に使用される吸着ノズルを収納する実装作業用であり、
前記第2収納部はメンテナンス対象の吸着ノズルを収納するメンテナンス用であり、
前記ロック装置は、
前記ベースに対して前記第1収納部をロックする第1ロック装置と、前記第2収納部をロックする第2ロック装置とを含み、
前記第2ロック装置を解除することで、前記ベースからメンテナンス用の前記第2収納部のみ単独で着脱することが出来る、表面実装機。
【請求項3】
請求項2に記載の表面実装機であって、
前記第1ロック装置は、前記ベースに対して前記第1収納部の全体を一括してロック又はロック解除する一括ロック装置である、表面実装機。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、前記吸着ノズルのメンテナンス作業中に、前記ベースから前記第1収納部が取り外された場合、異常を表示又は報知する、表面実装機。
【請求項5】
請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、段取り替え作業中に、前記ベースから前記第1収納部が取り外された場合、異常の表示及び報知をしない、表面実装機。
【請求項6】
請求項2~請求項5のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、前記吸着ノズルのメンテナンス作業中、前記第1収納部に収納された前記吸着ノズルを用いて、プリント基板に対する電子部品の実装作業を行う、表面実装機。
【請求項7】
請求項2~請求項6のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記第2収納部は、前記吸着ノズルを収納可能な複数のノズル収納孔を有している、表面実装機。
【請求項8】
請求項7に記載の表面実装機であって、
前記第2収納部には、メンテナンス専用領域が設けられており、
前記メンテナンス専用領域に含まれる前記ノズル収納孔は、メンテナンス対象の前記吸着ノズルのみ収納する、専用孔である、表面実装機。
【請求項9】
請求項8に記載の表面実装機であって、
前記第2収納部は、前記メンテナンス専用領域に加えて、共用領域を有しており、
前記共用領域に含まれる前記ノズル収納孔は、電子部品の実装作業に使用する前記吸着ノズルとメンテナンス対象の前記吸着ノズルの双方を収納する共用孔である、表面実装機。
【請求項10】
請求項8に記載の表面実装機であって、
前記第2収納部は、
一方向に並ぶ複数の前記ノズル収納孔からなる孔列を複数備えており、
複数の前記孔列のうち少なくとも一列は、前記
メンテナンス専用領域である、表面実装機。
【請求項11】
請求項2~請求項10のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、前記吸着ノズルのメンテナンスが必要になった場合、メンテナンスが必要になった前記吸着ノズルを、前記ヘッドユニットを用いて、前記第2収納部に移動する、表面実装機。
【請求項12】
請求項2~請求項11のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記第2収納部は、メンテナンスの緊急度を表示する表示灯を備える、表面実装機。
【請求項13】
請求項2~請求項12のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、メンテナンス終了後、前記第2収納部に収納されたメンテナンス済みの前記吸着ノズルの清掃状態を検査する、表面実装機。
【請求項14】
請求項13に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、検査の結果、清掃が十分な場合、検査済みの前記吸着ノズルを前記第1収納部に移動する、表面実装機。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、検査の結果、清掃が不十分な場合、検査済みの前記吸着ノズルを前記第1収納部に移動せず、前記第2収納部に留める、表面実装機。
【請求項16】
請求項13~請求項15のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、前記吸着ノズルを前記基台に設置されたカメラで撮影し、得られた画像に基づいて、前記吸着ノズルの清掃状態を検査する、表面実装機。
【請求項17】
請求項13~請求項16のいずれか一項に記載の表面実装機であって、
前記コントローラは、前記吸着ノズルを前記基台に設置された部品認識カメラで撮影し、得られた画像に基づいて、前記吸着ノズルの清掃状態を検査する、表面実装機。
【請求項18】
請求項9に記載の表面実装機であって、
前記第2収納部には、前記メンテナンス専用領域と前記共用領域との間に、何れの吸着ノズルも収納しないノズル収納孔が設けられている、表面実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、ノズル収納装置及び表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装機は、電子部品を吸着ノズルにより保持して、プリント基板上に実装する。下記特許文献1には、表面実装機にノズル交換装置を設ける点が記載されている。ノズル交換装置は、複数のノズル収容体を備え、複数のノズル収納体の各々は個別に着脱可能であり、複数のノズル収容体の少なくとも一つは、当該ノズル収容体の使用目的を表示する表示部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸着ノズルは、使用により細かなゴミや異物がノズルに付着して吸着性能が低下する場合があることから、定期的にメンテナンスを行う必要がある。しかし、外見からでは、どの吸着ノズルがメンテナンスの対象であるか、判別することが難しい場合がある。そのため、ノズル収納装置に収納された複数の吸着ノズルの中からメンテナンス対象の吸着ノズルを探すのに、手間が掛かることが問題となっていた。
また、ノズル収納装置には、メンテナンス対象の吸着ノズルに加えて、電子部品の実装作業に使用される実装作業用の吸着ノズルが収納されている場合がある。そのため、ノズル収納装置全体を表面実装機から取り外すと、電子部品の実装作業が継続できない場合があり、この点についても、改良することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示されるノズル収納装置は、ベースと、前記ベース上に着脱可能に配置された第1収納部と、前記ベース上に着脱可能に配置された第2収納部と、ロック装置と、を含み、前記第1収納部は電子部品の実装作業に使用される吸着ノズルを収納する実装作業用であり、前記第2収納部はメンテナンス対象の吸着ノズルを収納するメンテナンス用であり、前記ロック装置は、前記ベースに対して前記第1収納部をロックする第1ロック装置と、前記第2収納部をロックする第2ロック装置とを含み、前記第2ロック装置を解除することで、前記ベースからメンテナンス用の前記第2収納部のみ単独で着脱することが出来る。
【0006】
この構成では、メンテナンス用の吸着ノズルは第2収納部に収納されるから、実装作業用の吸着ノズルとの識別が容易にできる。そのため、メンテナンスを行う際、作業者は、メンテナンス用の吸着ノズルを探す手間を省くことが出来る。また、メンテナンス用の第2収納部のみ単独でベースから着脱することが出来るので、メンテナンス中、ベースに残された第1収納部の吸着ノズルを使用して、実装作業を継続することが可能となる。
【0007】
本明細書で開示されるノズル収納装置の一実施態様として、前記第1ロック装置は、前記ベースに対して前記第1収納部の全体を一括してロック又はロック解除する一括ロック装置である。この構成では、実装作業用の第1収納部をベースから一括して着脱することが出来るため、段取り替え作業を、効率的に行うことが出来る。
【0008】
本明細書で開示される表面実装機は、基台と、基台上を移動するヘッドユニットと、電子部品を吸着する吸着ノズルを下端に有し、前記ヘッドユニットに取り付けられた実装ヘッドと、前記ノズル収納装置と、コントローラと、を備える。
【0009】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記コントローラは、前記吸着ノズルのメンテナンス作業中に、前記ベースから前記第1収納部が取り外された場合、異常を表示又は報知してもよい。この構成では、メンテナンス作業時に、ベースから誤って第1収納部が取り外された場合、それを、作業者に知らせることが出来る。誤りに気付いた作業者が第1収納部をベースに戻すことで、吸着ノズルの部品切れによる実装作業の中断を抑制することが出来る。
【0010】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記コントローラは、段取り替え作業中に、前記ベースから前記第1収納部が取り外された場合、異常の表示および報知をしない構成でもよい。この構成では、段取り替え作業を行うため、ベースから第1収納部が取り外された時に、誤って、警告が出されることを抑制できる。
【0011】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記コントローラは、前記吸着ノズルのメンテナンス作業中、前記第1収納部に収納された前記吸着ノズルを用いて、プリント基板に対する電子部品の実装作業を行ってもよい。この構成では、メンテナンス作業中、実装作業を休止する場合に比べて、実装作業の休止時間を少なくすることが可能であり、実装作業の作業効率を向上させることが出来る。
【0012】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記第2収納部は、前記吸着ノズルを収納可能な複数のノズル収納孔を有してもよい。この構成では、メンテナンスが必要となった複数本の吸着ノズルを第2収納部に対して収納することが出来、これらをまとめてメンテナンスすることが可能である。
【0013】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記第2収納部には、メンテナンス専用領域が設けられており、前記メンテナンス専用領域に含まれる前記ノズル収納孔は、メンテナンス対象の前記吸着ノズルのみ収納する、専用孔であってもよい。この構成では、作業者は、メンテナンス専用領域に対する吸着ノズルの収納状況から、メンテナンスの必要性を容易に判断できる。
【0014】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記第2収納部は、前記メンテナンス専用領域に加えて、共用領域を有しており、前記共用領域に含まれる前記ノズル収納孔は、電子部品の実装作業に使用する前記吸着ノズルとメンテナンス対象の前記吸着ノズルの双方を収納する共用孔である。この構成では、実装に使用する吸着ノズルの本数が想定よりも多い場合に、それらを共用孔に収納することが出来るため、第1収納部に収納可能な吸着ノズルの収納数を増やすことなく、実装作業に使用する吸着ノズルの本数の増加に対応することが可能である。
【0015】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記第2収納部は、一方向に並ぶ複数の前記ノズル収納孔からなる孔列を複数備えており、複数の前記孔列のうち少なくとも一列は、前記メンテナンス領域であってもよい。この構成では、少なくとも一列分の吸着ノズルを、まとめてメンテナンスすることが出来る。
【0016】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記コントローラは、前記吸着ノズルのメンテナンスが必要になった場合、メンテナンスが必要になった前記吸着ノズルを、前記ヘッドユニットを用いて、前記第2収納部に移動してもよい。この構成では、メンテナンスが必要となった吸着ノズルは第2収納部に自動的に移されるので、作業者の手間を省くことが出来る。また、作業者の手作業で吸着ノズルを移動させる場合、表面実装機を停止することが望ましい。この点に関し、本構成では、この作業をコントローラがヘッドユニットを用いて自動で行うから、表面実装機を停止する必要がなく、電子部品の実装作業の妨げにならない。
【0017】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記第2収納部は、メンテナンスの緊急度を表示する表示灯を備えてもよい。この構成では、メンテナンス作業の緊急度を作業者に知らせることが出来る。
【0018】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記コントローラは、メンテナンス終了後、前記第2収納部に収納されたメンテナンス済みの前記吸着ノズルの清掃状態を検査してもよい。この構成では、メンテナンス作業を行ったにも拘わらず、清掃不十分な場合、その吸着ノズルが、電子部品の実装作業に使用されることを抑制することが出来る。
【0019】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記コントローラは、検査の結果、清掃が十分な場合、検査済みの前記吸着ノズルを、前記第1収納部に移動してもよい。この構成では、清掃が十分な吸着ノズルを、第1収納部に自動補給できるので、実装作業中に、吸着ノズルが不足することを抑制できる。
【0020】
また、清掃が不十分な場合、検査済みの前記吸着ノズルを、前記第1収納部に移動せず、前記第2収納部に留めてもよい。この構成では、清掃が不十分な吸着ノズルは、第2収納部に留めておくから、その吸着ノズルを、次の機会に、メンテナンスできる。
【0021】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記コントローラは、前記吸着ノズルを前記基台に設置された部品認識カメラで撮影し、得られた画像に基づいて、前記吸着ノズルの清掃状態を検査してもよい。この構成では、吸着ノズルの検査を、基台に取り付けられた部品認識カメラを使用して行うため、検査専用の装置を、新たに追加する必要がない。
【0022】
本明細書で開示される表面実装機の一実施態様として、前記第2収納部には、前記メンテナンス専用領域と前記共用領域との間に、何れの吸着ノズルも収納しないノズル収納孔が設けられている。この構成では、2つの領域の境界が分かり易くなり、作業者がメンテナンス専用領域の範囲を認識し易くなる。
【発明の効果】
【0023】
この技術によれば、メンテナンス対象の吸着ノズルを探す手間を省くことが出来る。また、メンテナンス作業中も、実装作業を継続できるので、実装作業の作業効率を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図9】吸着ノズルをノズルシャフトから取り外した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態1>
1.表面実装機の全体構成
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、表面実装機11の平面図である。表面実装機11は、基台31と、搬送コンベア32と、ヘッドユニット33と、駆動装置34と、電子部品Bを供給するフィーダ35を備える。
【0026】
搬送コンベア32は、作業対象のプリント基板Pを、基台31上において
図1の左右方向に搬送する。以下、プリント基板Pの搬送方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向として説明する。
【0027】
駆動装置34は、ヘッドユニット33を、基台31上において、平面方向(XY方向)に移動させる装置である。
【0028】
駆動装置34は、例えば、モータを駆動源とする2軸や3軸のボール螺子機構により構成することができる。また、ボール螺子機構に限らず、リニアモータを用いた機構とすることも出来る。
【0029】
この実施形態において、駆動装置34は、2軸のボール螺子機構であり、一対の支持脚34A、一対のガイドレール34B、ヘッド支持体34C、ガイド部材34D、Y軸ボールねじ34E、X軸ボールねじ34F、X軸モータ34X及びY軸モータ34Yから構成される。
【0030】
図1に示すように、一対の支持脚34Aは、基台31上において、X方向に向かい合っている。両支持脚34Aは、作業位置(
図1において一転鎖線で示すプリント基板Pの停止位置)の両側に位置しており、共にY方向にまっすぐに延びている。
【0031】
ガイドレール34Bは、支持脚34Aの上面に、設置されている。ガイドレール34Bは、Y方向に延びている。
【0032】
ヘッド支持体34Cは、左右のガイドレール34Bに対して、長手方向の両端部を嵌合させており、支持脚34A上をY方向にスライド可能である。
【0033】
図1において、右側の支持脚34Aには、Y軸ボールねじ34EとY軸モータ34Yが取り付けられている。
【0034】
Y軸モータ34Yの駆動により、Y軸ボールねじ34Eを軸回りに回転させることで、ヘッド支持体34CをY方向(
図1の上下方向)に移動させることが出来る(Y軸サーボ機構)。
【0035】
ヘッド支持体34Cには、
図2に示すように、ガイド部材34Dが取り付けられている。ガイド部材34DはX方向に長い形状である。ヘッド支持体34Cは、ヘッドユニット33を、ガイド部材34Dを介してX方向にスライド可能に支持している。
【0036】
ヘッド支持体34Cには、X軸ボールねじ34Fと、X軸モータ34Xが取り付けられている。X軸モータ34Xの駆動により、X軸ボールねじ34Fを軸回りに回転させることで、ヘッド支持体34Cに対して、ヘッドユニット33を、ガイド部材34Dに沿ってX方向に移動させることができる(X軸サーボ機構)。
【0037】
従って、X軸モータ34X、Y軸モータ34Yを複合的に制御することで、基台31上において、ヘッドユニット33を、任意の位置に移動することが出来る。
【0038】
ヘッドユニット33には、実装ヘッド40が一列状に、複数個搭載されている。各実装ヘッド40は、Z軸モータ34Zの駆動により、ヘッドユニット33に対して個別に昇降することができる。
【0039】
図3に示すように、実装ヘッド40は、ノズルシャフト41と、吸着ノズル45とを備える。ノズルシャフト41は、軸中心部にエアの供給経路42を有している。ノズルシャフト41は外周にシャフトホルダ43を有している。吸着ノズル45は、ノズルシャフト41の先端に取り付けられている。
【0040】
吸着ノズル45は、いわゆるバフィングノズルであり、ノズルホルダ46と、ノズル本体47と、ばね48と、を備える。
【0041】
バフィングノズルは、部品搭載時などノズル先端に荷重が加わった時に、ばね48が縮みつつ、ノズル本体47がノズルホルダ46からの突出量を小さくするように変位することで、衝撃を吸収することが出来る。
【0042】
供給経路42に負圧を供給することで、吸着ノズル45の先端に吸引力が生じ、電子部品Bを吸着保持することが出来る。また負圧の供給を停止することで、電子部品Bの保持を解くことが出来る。
【0043】
実装ヘッド40は、フィーダ35から供給される電子部品Bを、基台中央の
にて、プリント基板Pに実装する機能を果たす。
【0044】
表面実装機11は、基板カメラ36と部品認識カメラ37を有している。基板カメラ36は、
図2に示すように、ヘッドユニット33に固定されている。基板カメラ36は、撮像面を下に向けており、作業対象となるプリント基板Pを撮影する。また、ノズル収納装置50に収納された吸着ノズル45を撮影することが出来る。
【0045】
部品認識カメラ37は、
図1に示すように、基台31上において、撮影面を上方に向けて配置されている。部品認識カメラ37は、吸着ノズル45に保持された電子部品Bを下方から撮影する。
【0046】
部品認識カメラ37の画像から、吸着ノズル45に対する電子部品Bの吸着状態を検出することが出来る。部品認識カメラ37により撮影した画像から電子部品Bの吸着状態(吸着位置のずれや吸着角度のずれ)を検出して、プリント基板Pに対する電子部品Bの位置や角度を補正することで、電子部品Bの搭載精度を高めることが出来る。
【0047】
図4は、表面実装機11の電気的構成を示すブロック図である。コントローラ100は、表面実装機11の制御装置である。コントローラ100は、CPU101とメモリ103とを有している。
【0048】
コントローラ100には、搬送コンベア32、モータ制御部105、基板カメラ36、部品認識カメラ37、表示部111、操作パネル113などの各装置が接続されている。メモリ103には、プリント基板Pに対する実装作業を実行するための実装プログラムや、プリント基板Pを搬送するための搬送プログラムが記憶されている。
【0049】
コントローラ100は、搬送プログラムや実装プログラムに従って、搬送コンベア32やヘッドユニット33を制御することで、プリント基板Pを基台中央の作業位置に送って電子部品Bの実装作業を行うことが出来る。
【0050】
また、コントローラ100には生産管理装置130が通信可能に接続されている。コントローラ100は、生産管理装置130から生産対象となるプリント基板Pの情報、プリント基板Pに実装する電子部品Bの情報及び生産計画の情報を受信することが出来る。
【0051】
尚、この実施形態において、「生産」は、プリント基板Pを基台31上に搬入して、電子部品Bを実装することにより、回路基板を製造すること、である。
【0052】
2.ノズル収納装置50の構成
表面実装機11は、
図1に示すように、ノズル収納装置50を有している。ノズル収納装置50は、基台31上において、ヘッドユニット33の可動範囲内に配置されている。この実施形態では、2つの搬送コンベア32間において、電子部品Bの実装作業が行われる作業位置の左側方に配置されている。
【0053】
図5に示すように、ノズル収納装置50は、ベース50Aと、第1収納部51と、第2収納部52と、を備えている。
【0054】
第1収納部51は、X方向(プリント基板Pの搬送方向)に長い形状であり、複数のノズル収納孔55を備えている。第1収納部51は、二列構成であり、収納ブロック51A、収納ブロック51Bから構成されている。2つの収納ブロック51A、51Bは、共に6つのノズル収納孔55A~55Fを備える。
【0055】
収納ブロック51A、51Bは、「実装作業用」であり、各ノズル収納孔55A~55Fには、電子部品Bの実装作業に使用される吸着ノズル45が収納される。尚、「実装作業用の吸着ノズル45」には、実装作業に使用予定の吸着ノズル45だけでなく、使用予定の吸着ノズル45の代替品である予備用の吸着ノズル45を含んでもよい。
【0056】
第2収納部52は、第1収納部51と同様に、X方向に長い形状であり、複数のノズル収納孔55を備えている。この実施形態において、第2収納部52は一列であり、6つのノズル収納孔55A~55Fを備える。
【0057】
第2収納部52はメンテナンス用であり、各ノズル収納孔55に、メンテナンス対象の吸着ノズル45が収納される。
図5中において、符号Nは「吸着ノズル」を示しており、輪郭線のみのノズル収納孔55は空の状態(吸着ノズル未収納)を示している。
【0058】
第1収納部51と第2収納部52は、ベース50Aにおいて、Y方向に並んで取り付けられており、この実施形態では、搬送コンベア32の中心線Lに近い位置に第1収納部51が配置され、遠い位置に第2収納部52が配置されている。
【0059】
また、ノズル収納装置50は、第1ロック装置61と、第2ロック装置62を備えている。第1ロック装置61は、ベース50Aに対して第1収納部51をロックする装置である。第1ロック装置61のロックを解除することで、ベース50Aから第1収納部51のみ単独で着脱することが出来る。
【0060】
第2ロック装置62は、ベース50Aに対して第2収納部52をロックする装置である。第2ロック装置62のロックを解除することで、ベース50Aから第2収納部52を着脱することが出来る。
【0061】
図5の例では、2つの収納ブロック51A、51Bに対して、それぞれ第1ロック装置61が設けられており、各第1ロック装置61により、2つの収納ブロック51A、51Bを個別にロック及びロック解除する構造となっている。また、
図6に示すように、第1収納部51を1ブロックとし、1つの第1ロック装置61により、第1収納部51を一括して、ロック及びロック解除する構造でもよい。
図6の1Aは、ベース50Aから第2収納部52のみ単独で取り外した状態を示し、
図6の1Bは、ベース50Aから第1収納部51を一括して取り外した状態を示す。
【0062】
図7、
図8は、第1ロック装置61の詳細構造を示す図である。第2ロック装置62も第1ロック装置61と同じ構造である。
【0063】
第1ロック装置61は、前側ロック部65と、後側ロック部66とを備える。前側ロック部65は、ベース50Aの前端部に固定されたフック部65Aと、第1収納部51の前部下面に固定された爪部65Bとからなる。爪部65Bをフック部65Aに係止することで、第1収納部51の前端部をベース50Aに対してロックすることが出来る。
【0064】
後側ロック部66は、ベース50Aの後端部に取り付けられたロックレバー66Aと、第1収納部51の後部下面に固定された爪部66Bとからなる。
【0065】
ロックレバー66Aは、ヒンジを中心に回転可能であり、爪部66Bに係合する突起を有している。ロックレバー66Aの突起が爪部66Bに係止することで、第1収納部51の後端部をベース50Aに対してロックすることが出来る。ロックレバー66Aには、ロックばね68が設けられている。ロックばね68は、ロックレバー66Aをロック方向に付勢し、ロック状態を保持する(
図7)。
【0066】
ロックレバー66Aには、操作部69が設けられており、操作部69を介してロックレバー66Aを解除方向(F方向)に操作することで、ロック解除できる構造になっている(
図8)。
【0067】
また、ベース50Aの後方には、規制部材71が取り付けられている。規制部材71はヒンジを介して回転可能である。規制部材71の下端部には、シリンダ73が接続されている。
【0068】
一方、第1収納部51の後方には、被規制部材75が設けられており、その下面には溝部76が設けられている。ロック状態において、規制部材71の上端部が溝部76に嵌ることで、第1収納部51の前後方向(X方向)の動きを規制する構造になっている。
【0069】
また、ベース50Aには、第1収納部51に対応して第1センサ81が取り付けられており、第2収納部52に対応して第2センサ82が取り付けられている。
図7、
図8中は、第1センサ81のみ示している。
【0070】
第1センサ81は、ベース50Aに対する第1収納部51の着脱を検出するセンサ、第2センサ82は、ベース50Aに対する第2収納部52の着脱を検出するセンサである。
【0071】
第1センサ81は、近接センサなど非接触で、第1収納部51の着脱を検出するセンサでもよいし、リミットスイッチなどを用いて、第1収納部51の着脱を検出するセンサでもよい。第2センサ82も同様である。
【0072】
コントローラ100は、第1センサ81の出力に基づいて、ベース50Aに対する第1収納部51の着脱を検出することが出来る。また、第2センサ82の出力に基づいて、ベース50Aに対する第2収納部52の着脱を検出することが出来る。
【0073】
また、コントローラ100は、ヘッドユニット33を利用して、ノズル収納装置50に対する吸着ノズル45の「収納」及び「取出」を行う。
【0074】
吸着ノズル45を収納する場合、まず、ヘッドユニット33をノズル収納装置50の上方に移動させる。その後、実装ヘッド40を下降し、吸着ノズル45をノズル収納孔55に収納する。
【0075】
その後、吸着ノズル45の鍔部46Aを、ノズル収納装置50に設けられた所定のプレート57の下面に引っ掛け、その状態から実装ヘッド40を上昇させて、ノズルシャフト41を引き抜く(
図9参照)。これにより、吸着ノズル45をノズルシャフト41から外して、ノズル収納孔55に収納することが出来る。
【0076】
一方、吸着ノズル45を取り出す場合、ノズルシャフト41をノズル収納孔55の真上に移動させた後、実装ヘッド40を下降し、ノズル収納孔55に収納された吸着ノズル45に対して、ノズルシャフト41の先端を押し込む。
【0077】
これにより、ノズルシャフト41の先端41Aに、吸着ノズル45を固定することが出来る。その状態から実装ヘッド40を上昇させることで、ノズル収納孔55から吸着ノズル45を取り出すことが出来る。
【0078】
尚、コントローラ100は、ノズル収納装置50の収納状況(各ノズル収納孔55における吸着ノズル45の収納状況)をメモリ103に記憶し、吸着ノズル45の移動により収納状況が変わった場合、収納状況のデータを更新するとよい。また、収納状況のデータと併せて、各吸着ノズル45の種類、使用回数、使用時間、メンテナンス履歴などもメモリ103に記憶しておくとよい。
【0079】
3.吸着ノズル45のメンテナンス作業
吸着ノズル45は、使用によりゴミや異物がノズル内に溜まり吸着性能が低下する場合があることから、定期的にメンテナンスを行う必要がある。
【0080】
しかし、外面は汚れていなくても、ゴミや異物がノズル内部に付着している場合があり、外見からでは、どの吸着ノズル45がメンテナンスの対象か、判別することが難しい場合がある。そのため、ノズル収納装置50に収納された吸着ノズル45の中から、メンテナンス対象の吸着ノズル45を探すための手間が掛ることが課題となっていた。
【0081】
実施形態1の表面実装機11は、ノズル収納装置50にメンテナンス専用の第2収納部52を設けており、コントローラ100は、メンテナンスの実行条件が成立すると、その吸着ノズル45を、ノズル収納装置50に移動して、第2収納部52に収納する。
【0082】
メンテナンス対象の吸着ノズル45を第2収納部52に集めることで、実装作業用の吸着ノズル45との識別が容易にできる。そのため。メンテナンスを行う際に、メンテナンス対象の吸着ノズル45を探す手間を省くことが出来る。
【0083】
尚、メンテナンスの実行条件は、例えば、前回のメンテナンスからの経過時間や、吸着ノズル45の使用履歴(使用回数や使用時間等)である。
【0084】
以下、吸着ノズル45のノズル点検処理の手順を説明する。
図10は、ノズル点検処理のフローチャート、
図11はメンテナンス対象とされた吸着ノズル45の移し替え動作の説明図である。
図11に示す「1A」は、メンテナンス前の吸着ノズル45の配列、「1B」はメンテナンス対象の吸着ノズル45を第2収納部52に移動させた時点の吸着ノズル45の配列、「1C」はメンテナンス後、メンテナンス済みの吸着ノズル45を第1収納部51に移動させた時点の吸着ノズル45の配列を示している。
【0085】
ノズル点検処理は、S10~S60の6つのステップから構成されており、生産中など、コントローラ100の起動中は、常に実行される。
【0086】
ノズル点検処理がスタートすると、S10に移行して、コントローラ100は、ヘッドユニット33に搭載された吸着ノズル45やノズル収納装置50に収納された吸着ノズル45について、メンテナンスが必要か、判断する。
【0087】
メンテナンスが必要か否かは、前回のメンテナンスからの経過時間や、吸着ノズル45の使用履歴(使用時間や使用回数)で判断することが出来る。
【0088】
以下、第1収納部51に収納された吸着ノズル45Aについて、前回のメンテナンスからの経過時間が設定時間に達して、メンテナンスを実行する場合を例にとって説明を行う。
【0089】
コントローラ100は、メンテナンスが必要である判断すると(S10:YES)、S20に移行し、メンテナンス対象の吸着ノズル45を、ノズル収納装置50の第2収納部52に移動する。この例では、
図11に示すように、吸着ノズル45Aを、第1収納部51のノズル収納孔55Fから第2収納部52のノズル収納孔55Aに移動させる。
【0090】
第2収納部52に吸着ノズル45Aが移されることで、作業者は、吸着ノズル45のメンテナンスが必要であることに気づき、以下の手順により、吸着ノズル45のメンテナンス作業(清掃作業)を行う。
【0091】
具体的には、第2ロック装置62のロックを解除し、ノズル収納装置50のベース50Aから第2収納部52を取り外す。(S30)
【0092】
第2収納部52が取り外されると、第2センサ82がそれを検出し、コントローラ100に検出信号を出力する。検出信号の受信により、コントローラ100は、第2収納部52が取り外されたことを認識できる。
【0093】
作業者は、第2収納部52の取り外しが終了すると、その後、取り外した第2収納部52を、表面実装機11とは別の場所に設置された清掃装置140に移動する(
図12)。
【0094】
そして、移動先の清掃装置140にて、第2収納部52に収納された吸着ノズル45Aの清掃作業を行う(S40)。清掃作業は、例えばエアブローにより、外面の汚れを落とすと共に、ノズル孔(供給経路42)の詰まりや汚れを除去する作業である。
【0095】
尚、ノズル収納装置50からメンテナンス用の第2収納部52を独立して取り外すことが出来るから、コントローラ100は、吸着ノズル45の清掃作業中も、第1収納部51に収納された吸着ノズル45を用いて、プリント基板Pの生産を継続することが出来る。つまり、
図13に示すように、プリント基板Pに対する電子部品Bの実装作業中に、吸着ノズル45の清掃作業中を、同時並行して行うことが出来る(期間T)。
【0096】
清掃作業の終了後、作業者は、メンテナンス済みの吸着ノズル45Aを第2収納部52に戻す。そして、表面実装機11に移動し、ベース50Aに対して第2収納部52を取り付け、その後、第2ロック装置62をロックする。
【0097】
これにより、第2収納部52をノズル収納装置50に対して固定することが出来る(S50)。第2収納部52が取り付けられると、第2センサ82がそれを検出し、コントローラ100に検出信号を出力する。検出信号の受信により、コントローラ100は、第2収納部52が取り付けられたことを認識できる。
【0098】
コントローラ100は、第2収納部52の取り付けを認識すると、第2収納部52に収納されたメンテナンス済みの吸着ノズル45を第1収納部51に移動させる。
【0099】
具体的には、ヘッドユニット33をノズル収納装置50上に移動した後、ノズル未装着のノズルシャフト41を用いて、メンテナンス済みの吸着ノズル45を、第2収納部52から第1収納部51に入れ替える作業を行う(S60)。
【0100】
メンテナンス済みの吸着ノズル45Aの移動先は、
図11に示すように、元の位置(第1収納ブロック51Aのノズル収納孔55F)でもよいし、元の位置以外でもよい。元の位置以外の場合、例えば、移動距離が最も短い位置(第2収納ブロック51Bのノズル収納孔55C)に移動してもよい。
【0101】
尚、上記では、吸着ノズル45Fを第2収納部52に移動させた後、すぐにメンテナンスを行ったが、複数本の吸着ノズル45が第2収納部52に収納されることを待って、これらの吸着ノズル45をまとめてメンテナンスしてもよい。また、メンテナンス対象は、第1収納部51に収納された吸着ノズル45に限らず、ヘッドユニット33の実装ヘッド40に取り付けられた吸着ノズル45でもよい。
【0102】
4.効果説明
この構成では、メンテナンス用の吸着ノズル45は第2収納部52に収納されるから、実装作業用の吸着ノズル45との識別が容易にできる。そのため、メンテナンスを行う際、作業者は、メンテナンス用の吸着ノズル45を探す手間を、省くことが出来る。また、メンテナンス用の第2収納部52のみ単独でベース50Aから着脱することが出来るので、メンテナンス中、ベース50Aに残された第1収納部51の吸着ノズル45を使用して、実装作業を継続することが可能となる。
【0103】
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1に対して、ノズル点検処理の内容が一部相違している。実施形態2のノズル点検処理は、
図14に示すように、S10~S20、S25、S26、S30~S60の8ステップから構成されており、実施形態1のノズル点検処理に対して、「S25」と「S26」の2つのステップが追加されている。
【0104】
具体的には、ノズル点検処理が、スタートすると、S10に移行して、コントローラ100は、ヘッドユニット33に搭載された吸着ノズル45や、ノズル収納装置50に収納された吸着ノズル45について、メンテナンスが必要か、判断する。
【0105】
コントローラ100は、メンテナンスが必要であると判断すると(S10:YES)、S20に移行し、メンテナンス対象の吸着ノズル45を第2収納部52に移動する。
【0106】
第2収納部52に吸着ノズル45が移されることで、メンテナンスが必要であることを知ると、作業者は、メンテナンスを行うため、ベース50Aから第2収納部52を取り外す作業を行う。
【0107】
一方、コントローラ100は、S20にて吸着ノズル45を第2収納部52に移し替えると、S25に移行して、第1センサ81と第2センサ2の出力に基づいて、ベース50Aに対する第1収納部51、第2収納部52の着脱を監視する。
【0108】
コントローラ100は、搬送プログラムや実装プログラムの実行状況などに基づいて、表面実装機11がプリント基板Pの生産中であるか否かを判断する。そして、プリント基板Pの生産中に、メンテナンス用の第2収納部52が取り外された場合(S25にてYES)、その後、S30に移行する。
【0109】
一方、プリント基板Pの生産中に、実装作業用の第1収納部51が取り外された場合(S25にてNO)、S26に移行し、コントローラ100は、作業者に対して警告を行う。例えば、表示部111に対して、「実装作業用の収納部が取り外されています。メンテナンス用の収納部を取り外してください」など、の警告文を表示する。この他、警告ブザーを鳴らす又は警告ランプを点灯させてもよい。
【0110】
その後、作業者が取り外した第1収納部51をベース50Aに戻し、第2収納部52をベース50Aから取り外した場合は(S25にてYES)、S30に移行する。
【0111】
S30以降は、実施形態1と同じであり、作業者は、取り外した第2収納部52を、表面実装機11とは別の場所に設置された清掃装置140に移動する(S30)。
【0112】
そして、移動先の清掃装置140にて、第2収納部52に収納された吸着ノズル45の清掃作業を行う(S40)。
【0113】
清掃作業が終了したら、作業者は、メンテナンス済みの吸着ノズル45を第2収納部52に収納し、表面実装機11に移動する。
【0114】
その後、ベース50Aに対して第2収納部52を取り付けた後、第2ロック装置62をロックする。これにより、第2収納部52をノズル収納装置50に対して固定することが出来る(S50)。
【0115】
その後、コントローラ100は、第2収納部52に収納されたメンテナンス済みの吸着ノズル45を第1収納部51に移動させる(S60)。
【0116】
実施形態2では、プリント基板Pの生産中にベース50Aから「実装作業用の第1収納部51」が取り外されると、コントローラ100が警告を行うから、メンテナンス作業を行うにあたり、作業者による収納部51、52の選択ミスを抑制することが出来る。
【0117】
<実施形態3>
実施形態3は、実施形態1に対して、ノズル点検処理の内容が一部相違している。実施形態3のノズル点検処理は、
図15に示すように、S10~S50、S55、S56、S65、S66の9ステップから構成されており、実施形態1のノズル点検処理に対して、「S55」と「S56」の2つのステップ、「S65」と「S66」の2つのステップが追加されている。
【0118】
ノズル点検処理が、スタートすると、S10に移行して、コントローラ100は、ヘッドユニット33に搭載された吸着ノズル45や、ノズル収納装置50に収納された吸着ノズル45について、メンテナンスが必要か、判断する。
【0119】
コントローラ100は、メンテナンスが必要と判断すると(S10:YES)、S20に移行し、メンテナンス対象の吸着ノズル45を、ノズル収納装置50の第2収納部52に移動する。
【0120】
第2収納部52に吸着ノズル45が移されることで、メンテナンスが必要であることを知ると、作業者は、メンテナンスを行うため、ベース50Aから第2収納部52を取り外して、表面実装機11とは別の場所に設置された清掃装置140に移動する(S40)。
【0121】
そして、移動先の清掃装置140にて、第2収納部52に収納された吸着ノズル45の清掃作業を行う(S40)。
【0122】
清掃作業が終了したら、作業者は、メンテナンス済みの吸着ノズル45を第2収納部52に収納し、表面実装機11に移動する。
【0123】
その後、ベース50Aに対して第2収納部52を取り付けた後、第2ロック装置62をロックする。これにより、第2収納部52をノズル収納装置50に対して固定することが出来る(S50)。
【0124】
第2収納部52がノズル収納装置50に対して固定されると、第2センサ82がそれを検出し、検出信号を出力する。
【0125】
コントローラ100は、第2センサ82の出力する検出信号より、第2収納部52の取り付けを認識すると、その後、メンテナンス済みの吸着ノズル45の画像を撮影する(S55)。
【0126】
具体的には、ヘッドユニット33をノズル収納装置50上に移動し、その後、ノズル未装着のノズルシャフト41を用いて、メンテナンス済みの吸着ノズル45を第2収納部52から取り出す。そして、ヘッドユニット33を用いて、取り出した吸着ノズル45を部品認識カメラ37の上方に移動し、取り出した吸着ノズル45を撮影する。
【0127】
コントローラ100は、部品認識カメラ37により撮影した画像から、吸着ノズル45の清掃後の状態を判断する(S56)。例えば、吸着ノズル45の外面部分の汚れの残り具合を画像から判断して、清掃が十分か否か判断する。
【0128】
吸着ノズル45の清掃が十分であった場合(S56:YES)、コントローラ100は、ヘッドユニット33をノズル収納装置50上に移動して、メンテナンス済みの吸着ノズル45を第1収納部51に収納する(S65)。
【0129】
吸着ノズル45が未清掃又は清掃が不十分な場合(S56:NO)、コントローラ100は、ヘッドユニット33をノズル収納装置50上に移動して、未清掃又は清掃が不十分と判断された吸着ノズル45を第2収納部52に収納する(S66)。
【0130】
実施形態3では、未清掃又は清掃が不十分な吸着ノズル45は、第2収納部52に戻し、第1収納部51に収納しない(S56、S65、S66)。そのため、未清掃又は清掃が不十分な吸着ノズル45が、電子部品Bの実装作業に使用されることを、抑制できる。
【0131】
<実施形態4>
実施形態4は、実施形態1に対してノズル収納装置の構成が一部相違している。実施形態4のノズル収納装置150は、
図16に示すように、ベース150Aと、第1収納部151と、第2収納部152と、を備えている。
【0132】
第1収納部151は、X方向に長い形状であり、複数のノズル収納孔155を備えている。第1収納部151は、1ブロックで二列構成であり、各列には6つのノズル収納孔155A~155Fが設けられている。
【0133】
第1収納部151は、「実装作業用」であり、各ノズル収納孔155A~155Fには、実装作業に使用される吸着ノズル45が収納される。
【0134】
第2収納部152は、X方向に長い形状であり、複数のノズル収納孔155を備えている。第2収納部152は、2つの収納ブロック152A、152Bから構成されている。2つの収納ブロック152A、152Bは、共に6つのノズル収納孔155A~155Fを備える。
【0135】
第2収納部152は、「メンテナンス用」であり、2つの収納ブロック152A、152Bの各ノズル収納孔155A~155Fには、メンテナンス対象の吸着ノズル45が収納される。
【0136】
また、第2収納部152の収納ブロック152Bのうち、左半分の領域を、「メンテナンス専用領域S1」に割り当てており、その領域内に含まれる3つのノズル収納孔155A~155Cは、専用孔であり、メンテナンス対象の吸着ノズル45のみ収納する。
【0137】
一方、第2収納部152の収納ブロック152Bのうち、右半分の領域を、「共用領域S2」に割り当ており、その領域内に含まれる3つのノズル収納孔155D~156Fは、共用孔であり、メンテナンス対象の吸着ノズル45だけでなく、実装作業に使用される吸着ノズル45を収納することが出来る。
【0138】
また、第2収納部152の収納ブロック152Aは、全体が「共用領域S2」に割り当てられており、その領域内に含まれる6つのノズル収納孔155A~155Fは、共用孔であり、メンテナンス対象の吸着ノズル45だけでなく、生産に使用される吸着ノズル45を収納することが出来る。
【0139】
このように、メンテナンス用の第2収納部152に対して、「メンテナンス専用領域S1」を設けることで、以下の効果がある。作業者は、メンテナンス専用領域S1を確認することで、「メンテナンス対象となる吸着ノズル45の有無や本数」を容易に把握することが出来る。そのため、メンテナンスタイミングの把握が容易で、監視負担が少ないというメリットがある。
【0140】
また、メンテナンス用の第2収納部152に対して、「メンテナンス専用領域S1」に加えて、「共用領域S2」を設けることで、実装作業に使用する吸着ノズル45が想定数(この例では12本)よりも増加した場合に、共用領域S2を使って、それらを収納することが可能となる。
【0141】
<実施形態5>
図17は、ノズル収納装置150の平面図であり、メンテナンス処理に伴う吸着ノズル45の入れ替え動作を示している。「A1」はメンテナンス前の吸着ノズル45の配列を示し、「A2」はメンテナンス対象となる吸着ノズル45を第2収納部152に移動した時点の吸着ノズル45の配列を示す。また、「A3」はメンテナンス処理後、メンテナンス済みの吸着ノズル45を第1収納部151に移動させた時点の吸着ノズル45の配列を示している。
図18、19も同様である。
【0142】
図17の例では、メンテナンス前の状態において、第1収納部151に対して10本の吸着ノズル45が収納されている。一方、第2収納部152は、「メンテナンス専用領域S1」に吸着ノズル45は収納されておらず、メンテナンス専用領域S1には空きがある。つまり、吸着ノズル45を収納可能なノズル収納孔155が存在する(1A)。
【0143】
メンテナンス専用領域S1が空いている場合、コントローラ100は、吸着ノズル45のメンテナンスが必要になると、その吸着ノズル45を、第1収納部151から第2収納部152のメンテナンス専用領域S1に移動する(1B)。
【0144】
その後、作業者の準備が整うと、ベース150Aから第2収納部152の第2収納ブロック152Bは取り外され、表面実装機11とは別の場所にある清掃装置140にて、作業者により吸着ノズル45Bの清掃が行われる。
【0145】
そして、メンテナンスの終了後、第2収納ブロック152Bがベース150Aに戻されると、コントローラ100は、メンテナンス後の吸着ノズル45を第1収納部151の元の位置に移動する(1C)。
【0146】
図17の例では、第2収納ブロック152Bのノズル収納孔155Aに収納された吸着ノズル45Aを、メンテナンス後、元の位置である、第1収納部151のノズル収納孔155Fに戻している。
【0147】
図18の例では、メンテナンス前の状態において、第1収納部151に対して12本の吸着ノズル45が収納されている。一方、第2収納部152のうち、「メンテナンス専用領域S1」には、3本の吸着ノズル45がすでに収納されており、空きがない。一方、「共用領域S2」には、吸着ノズル45が収納されておらず、空きがある状態である。
【0148】
メンテナンス専用領域S1に「空き」が無い場合、コントローラ100は、メンテナンスが必要になると、その吸着ノズル45を、第1収納部151から第2収納部152の共用領域S2に移動する(1B)。具体的には、第2収納ブロック152Bの共用領域S2に吸着ノズル45を移動する。
【0149】
その後、作業者の準備が整うと、第2収納ブロック152Bはベース150Aから取り外され、表面実装機11とは別の場所にある清掃装置140に移動して、吸着ノズル45の清掃が行われる。この例では、第2収納ブロック152Bには、合計で4本の吸着ノズル45が収納されているから、各吸着ノズル45について、それぞれ清掃が行われる。
【0150】
そして、メンテナンスの終了後、第2収納ブロック152Bがベース150Aに戻されると、コントローラ100は、第2収納ブロック152Bに収納された4本の吸着ノズル45のうち、共用領域S2の吸着ノズル45は第1収納部151の元の位置に移動する。また、メンテナンス専用領域S1に収納されていた3本の吸着ノズル45は、共用領域S2内において、近い位置にあるノズル収納孔155に移動する。
【0151】
図18の例では、第2収納ブロック152Bのノズル収納孔155Dに収納された吸着ノズル45Dは、メンテナンス後、元の位置である、第1収納部151のノズル収納孔155Fに戻している。また、第2収納ブロック152Bのノズル収納孔155A~155Cに収納された3本の吸着ノズル45A~45Cは、メンテナンス後、第1収納ブロック152Aの3つのノズル収納孔155A~155Cにそれぞれ移動させている。
【0152】
これにより、メンテナンス専用領域S1の3つのノズル収納孔155A~155Cを空けることが出来る(1C)。
【0153】
図19の例では、メンテナンス前の状態において、第1収納部151に対して11本の吸着ノズル45が収納されている。また、第2収納部152には、4本の吸着ノズル45が収納されている。具体的には、「第1収納ブロック152Aの共用領域S2」に対して1本収納されている。そして、残りの3本は「第2収納ブロック152Bのメンテナンス専用領域S1」に収納されており、メンテナンス専用領域S1には、空きがない(1A)。
【0154】
「4本の吸着ノズル45をメンテナンス」する場合、第1収納ブロック152Aの共用領域S2に収納された吸着ノズル45を、第2収納ブロック152Bの共用領域S2に移動させる(1B)。
【0155】
その後、作業者の準備が整うと、第2収納ブロック152Bはベース150Aから取り外され、表面実装機11とは別の場所にある清掃装置140に移動して、吸着ノズル45の清掃が行われる。この例では、第2収納ブロック152Bには、合計で4本の吸着ノズル45が収納されているから、各吸着ノズル45について、それぞれ清掃が行われる。
【0156】
そして、メンテナンスの終了後、第2収納ブロック152Bがベース150Aに戻されると、コントローラ100は、第2収納ブロック152Bに収納された4本の吸着ノズル45のうち、共用領域S2の吸着ノズル45は元の位置に移動する。また、メンテナンス専用領域S1に収納されていた3本の吸着ノズル45は、共用領域S2内において、近い位置にあるノズル収納孔155に移動する。
【0157】
図19の例では、第2収納ブロック152Bのノズル収納孔155Dに収納された吸着ノズル45Dは、メンテナンス後、元の位置である、第1収納ブロック152Aのノズル収納孔155Aに戻している。また、第2収納ブロック152Bのノズル収納孔155A~Cに収納された3本の吸着ノズル45A~45Cは、メンテナンス後、第1収納ブロック152Aの3つのノズル収納孔155B~155Dにそれぞれ移動させている。
【0158】
これにより、メンテナンス専用領域S1の3つのノズル収納孔155A~155Cを空けることが出来る(1C)。尚、メンテナンス後の吸着ノズル45を共用領域S2に移動してメンテナンス専用領域S1を空ける際に、電子部品Bの実装作業に使用する吸着ノズル45がある場合、その吸着ノズル45は、共用領域S2に戻さず、実装作業用の第1収納部151に移動してもよい。
【0159】
また、第2収納ブロック152Bの共用領域S2に収納された吸着ノズル45をメンテナンスした場合、メンテナンス後、その吸着ノズル45は必ずしも移動する必要はなく、その位置に残しておいてもよい。例えば、
図20に示すように、第2収納ブロック152Bに収納された全6本の吸着ノズル45についてメンテナンスを行った場合、メンテナンス専用領域S1に収納されていた3本の吸着ノズル45のみ、第1収納ブロック152Aのノズル収納孔155A~155Cに移動し、共用領域S2に収納されている3本の吸着ノズル45は、その位置に残しておいてもよい。
【0160】
<実施形態6>
第1収納部51のノズル収納数は限られているため、実装作業に使用する吸着ノズル45の本数がノズル収納数の上限(
図22では12本)よりも多い場合、実装作業用の吸着ノズル45を、メンテナンス用の第2収納部52に収納する場合がある。この場合、ベース50Aから第2収納部52を取り外すと、実装作業用の吸着ノズル45も、一緒に取り外されてしまうから、電子部品Bの実装作業中に、吸着ノズル45が不足する可能性がある。
【0161】
実施形態6では、第2収納部52が取り外される前に、吸着ノズル45の入れ替えを行うことで、メンテナンス用の第2収納部52を取り外しても、電子部品Bの実装作業が継続できるようにしたものである。
【0162】
図21は吸着ノズル45の入替処理のフローチャート、
図22はノズル収納装置50の平面図であり、吸着ノズル45の入れ替え動作を示している。S1は、メンテナンス専用領域である。
【0163】
吸着ノズル45の入替処理は、S100~S130の4つのステップから構成されており、メンテナンスを実行する条件が成立した場合において、メンテナンスの実行前のため第2収納部52が取り外される前に実行される。
【0164】
コントローラ100は、吸着ノズル45の入替処理がスタートすると、ノズル収納装置50における吸着ノズル45の収納状況を確認する。この例では、吸着ノズル45の収納状況として、以下の2つの情報を確認する。
【0165】
(1)各ノズル収納孔55における吸着ノズル45の有無
(2)各ノズル収納孔55に収納されている吸着ノズル45の種類
【0166】
(1)、(2)の情報は、例えば、ヘッドユニット33に搭載された基板カメラ36でノズル収納装置50を撮影し、その画像から取得することが出来る(S100)。また、コントローラ100がノズル格納装置40における吸着ノズル45の収納状況を管理していて、メモリ103にそのデータが保存されている場合は、メモリ103からデータを読み出してもよい。
【0167】
吸着ノズル45の収納状況を確認すると、コントローラ100は、吸着ノズル45の入替が必要であるか、否かを判断する。具体的には、メンテナンス用の第2収納部52に対して、「実装作業に使用予定の吸着ノズル45」が収納されている場合、入れ替えが必要と判断する。収納されていない場合、入れ替えの必要は無い、と判断する。
【0168】
入れ替えが必要と判断した場合(S110:YES)、コントローラ100は、吸着ノズル45の入れ替えが、実際に可能であるか、否かを判断する。入れ替えが可能であるか、否かは、以下の(1)~(3)データなどにより、判断することが出来る。
【0169】
(1)第1収納部51に収納され、使用予定の無い吸着ノズルの本数
(2)第2収納部52に収納され、使用予定の有る吸着ノズルの本数
(3)第2収納部52の空き状況(未収納のノズル収納孔の数)
尚、使用予定は、プリント基板の生産に使用する予定である。
【0170】
入れ替えが可能である場合(S120:YES)、コントローラ100は、ヘッドユニット33を用いて、第1収納部51に収納され「使用予定の無い吸着ノズル45」と、第2収納部52に収納された「使用予定の有る吸着ノズル45」を、入れ替える(S130)。
【0171】
図22の例では、第1収納部51に収納された「2本の吸着ノズル45A、45B」と、第2収納部52に収納された「2本の吸着ノズル45C、45D」を、入れ替えている。
【0172】
コントローラ100は、入れ替え処理の終了後、作業者に対してメンテナンス準備完了の案内表示等を行う。そして、作業者の準備が整うと、ベース50Aから第2収納部52が取り外されて、清掃装置140にて、吸着ノズル45の清掃が行われる。
【0173】
吸着ノズル45の入れ替えを行うことで、吸着ノズル45のメンテナンス処理の実行中に、実装作業に使用する吸着ノズル45が不足することを抑制できることから、吸着ノズル45のメンテナンス中も、実装作業を継続することが出来る。
【0174】
尚、S110で入れ替えは不要と判断した場合、S120で入れ替えは不可能と判断した場合、吸着ノズル45の入れ替えは実行されず、吸着ノズル45のメンテナンスが実行される。
【0175】
<実施形態7>
実施形態7では、ノズル点検処理に対して、代替ノズルの確認処理を追加したものである。代替ノズルは、使用予定の吸着ノズル45の代わりに使用することが可能な吸着ノズル45である。
【0176】
図23はノズル点検処理のフローチャート、
図24はノズル収納装置50の平面図であり、吸着ノズル45の入れ替え動作を示している。
【0177】
ノズル点検処理は、S200~S260の7つのステップから構成されており、前回メンテナンスから所定期間が経過するなど、メンテナンスを実行する条件が成立した場合に実行される。
【0178】
コントローラ100は、メンテナンスの実行条件は成立すると、メンテナンス対象の吸着ノズル45が「実装作業用」か判断する(S200)。
【0179】
メンテナンス対象の吸着ノズル45が「実装作業用」である場合、コントローラ100は、第1収納部51に、代替として使用できる吸着ノズル(以下、代替ノズル)45が存在するか、否かを判断する(S210)。代替として出来るか否かは、例えば、吸着ノズル45の種類で判断することが出来る。
【0180】
そして、代替ノズルが存在する場合(S210:YES)、コントローラ100は、ノズル収納装置50の第2収納部52の空きスペースを確認する(S220)。つまり、第2収納部52に対して収納可能な吸着ノズル45の本数Xと、メンテナンス対象の吸着ノズル45の本数Yを比較する。
【0181】
第2収納部52に空きスペースが存在する場合(X≧Yの場合)、コントローラ100は、メンテナンス対象の吸着ノズル45を、第2収納部52に全て移動する(S230)。
【0182】
第2収納部52の空きスペースが不足している場合(X<Yの場合)、コントローラ100は、メンテナンス対象の吸着ノズル45のうち、空き本数分の吸着ノズル45を、第2収納部52に対して移動する(S240)。
【0183】
そして、メンテナンス対象の吸着ノズル45が第2収納部52に移動すると、その後、作業者により、吸着ノズル45のメンテナンス作業が実行される(S250)。
【0184】
一方、代替ノズルが存在しない場合(S210:NO)、コントローラ100は、プリント基板Pの生産が完了して品種が切り換わるまで、メンテナンスを延期する(S230)。尚、品種とは、生産するプリント基板Pの種類のことである。
【0185】
図24の例では、第1収納部51のノズル収納孔55Eに収納された吸着ノズル45Aが「メンテナンス対象」であり、その隣に位置するノズル収納孔55Dに収納されている吸着ノズル45Bが「代替ノズル」である。
【0186】
代替ノズル45Bが存在していれば、吸着ノズル45Aをメンテナンスに回しても、電子部品Bの実装作業を継続することが可能となる。
【0187】
<実施形態8>
実施形態8は、ノズル収納装置250に対して表示灯261、262を設けている。
図25は、ノズル収納装置250の平面図である。ノズル収納装置250は、ベース250Aと、第1収納部251と、第2収納部252とを備えている。
【0188】
第1収納部251は、X方向に長い形状であり、複数のノズル収納孔255を備えている。第1収納部251は、二列構成であり、2つの収納ブロック251A、収納ブロック251Bから構成されている。2つの収納ブロック251A、251Bは、共に6つのノズル収納孔255A~255Fを備える。
【0189】
収納ブロック251A、251Bは、実装作業用であり、各ノズル収納孔255A~255Fには、電子部品Bの実装作業に使用される吸着ノズル45が収納される。
【0190】
第2収納部252は、第1収納部251と同様に、X方向に長い形状であり、複数のノズル収納孔255を備えている。この実施形態において、第2収納部252は一列であり、6つのノズル収納孔255A~255Fを備える。
【0191】
第2収納部252のうち、左半分の領域を、「メンテナンス専用領域S1」に割り当ている。メンテナンス専用領域S1に含まれる3つのノズル収納孔255A~255Cは、専用孔であり、メンテナンス対象の吸着ノズル45のみ収納する。
【0192】
一方、第2収納部252のうち右半分の領域を、「共用領域S2」に割り当てている。共用領域S2に含まれる3つのノズル収納孔255D~255Fは、共用孔であり、メンテナンス対象の吸着ノズル45だけでなく、電子部品Bの実装作業に使用される吸着ノズル45を収納することが出来る。
【0193】
この実施形態では、第2収納部252のメンテナンス専用領域S1に対応して第1表示灯261を設け、共用領域S2に対応して第2表示灯262を設けている。
【0194】
第1表示灯261は、一例として、3つのノズル収納孔255A~255Cに跨るような横長形状のLEDである。コントローラ100は、吸着ノズル45のメンテナンスが必要になると、メンテナンスの緊急度に応じて発光態様を変えて、第1表示灯261を点灯する。例えば、メンテナンスの緊急度が高い場合、「赤色」で点灯し、メンテナンスの緊急度が低い場合、「黄色」で点灯する。尚、メンテナンスの緊急度は、メンテナンス専用領域S1に収納されている吸着ノズル45の本数や、前回メンテナンスからの経過時間などにより、判断することが出来る。また、発光態様は、発光色を異にする場合に限らず、発光パターン(点滅、非点滅など)を変えるものでもよい。
【0195】
第2表示灯262は、一例として、円形のLEDであり、共用領域S2のノズル収納孔255D~255Fごとに設けられている。コントローラ100は、共用領域S2に吸着ノズル45が収納されている場合、その吸着ノズル45が「メンテナンス用」であるか否かに応じて発光態様を変えて第2表示灯262を点灯する。例えば、吸着ノズル45が「メンテナンス用」の場合、「赤色」で点灯し、「実装作業用」の場合、「緑色」で点灯する。
【0196】
この実施形態の例では、第1表示灯261を用いて、メンテナンスの緊急度を知らせることが出来る。そのため、メンテナンスの緊急性が高い場合に、メンテナンスがされないまま、放置されることを抑制することが出来る。
【0197】
また、第2表示灯262を設けることで、メンテナンスを行う際に、どの吸着ノズル45がメンテナンス対象であるのか、作業者が確認し易いというメリットがある。
【0198】
<他の実施形態>
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0199】
(1)実施形態2では、メンテナンスを行う際に、ベース50Aから実装作業用の第1収納部51が取り外された場合、収納部51、52の選択ミスの可能性があることから、作業者に確認を求めるため、警告を行った。具体的には、表示部111に対して、「実装作業用の収納部が取り外されています。メンテナンス用の収納部を取り外してください」など、の警告文を表示した。
ベース50Aから実装作業用の第1収納部51が取り外された場合でも、メンテナンス以外のタイミングであれば、非警告としてもよい。例えば、品種の切り換えに伴う段取り替え中(
図26参照)に、ベース50Aから実装作業用の第1収納部51が取り外された場合、収納部51、52の選択ミスでは無いため、非警告としてもよい。尚、品種とは、プリント基板Pの種類の事である。また、表面実装機11が、「プリント基板の生産中」か「段取り替え中」のどちらの状態であるかは、例えば、生産管理装置130からコントローラ100に対して送信される生産管理情報(各品種の生産開始と生産終了の情報)により判断することが出来る。
【0200】
(2)実施形態4では、ノズル収納装置250の第2収納部152を、二列構成とし、2つの収納ブロック152A、152Bから構成した(
図16)。第2収納部152を複数列の構成とする場合、少なくとも一列を、メンテナンス専用領域S1としてもよい。例えば、収納ブロック152Aの一列分を「共用領域S2」に割り当て、収納ブロック152Bの一列分を「メンテナンス専用領域S1」に割り当ててもよい。この構成では、少なく一列分の吸着ノズル45を、同時にメンテナンスすることが出来る。
【0201】
(3)
図27は、ノズル格納装置350の平面図である。ノズル収納装置50は、ベース350Aと、第1収納部351と、第2収納部352とを備えている。第1収納部351は、「実装作業用」である。第1収納部351は、二列構成であり、収納ブロック51A、収納ブロック51Bから構成されている。2つの収納ブロック51A、51Bは、共に6つのノズル収納孔55A~55Fを備える。
第2収納部352は、「メンテナンス用」である。第2収納部352は、一列であり、6つのノズル収納孔355A~355Fを備える。6つのノズル収納孔のうち、355A~355Cの3つのノズル収納孔(
図27にて左端から3つ)は、メンテナンス専用領域S1に割り当てられている。また、355Dと355Fの2つのノズル収納孔(
図27にて右端から2つ)は、共用領域S2に割り当てられている。そして、2つの領域S1、S2の境界に位置するノズル収納孔355Dは、何れの吸着ノズルも収納しないノズル収納孔である。つまり、メンテナンス用の吸着ノズル45も実装作業用の吸着ノズル45も収納せず、常に空の状態である。このように、2つの領域S1、S2の境界部分に、未収納のノズル収納孔355Dを設けることで、2つの領域S1、S2の境界が分かり易くなり、メンテナンス専用領域S1の範囲を作業者が認識し易くなる。
【0202】
(4)実施形態1において、ノズル収納装置50が、第1収納部51及び第2収納部52を含む構成について例示した。また、実施形態2以降においても同様の構成を例示した。しかし、ノズル収納装置50は、第1及び第2収納部以外に、吸着ノズル45を収納する収納部を別途備えていてもよい。
【0203】
(5)上述した実施形態では、電子部品Bを認識するための部品認識カメラ37を用いて、吸着ノズル45の清掃状態を検査した。しかし、表面実装機11は、吸着ノズル45の清掃状態を確認するカメラとして、基台31に、部品認識カメラ37以外のカメラを別途備えていてもよい。
【符号の説明】
【0204】
11 表面実装機
33 ヘッドユニット
40 実装ヘッド
41 ノズルシャフト
45 吸着ノズル
50 ノズル収納装置
50A ベース
51 第1収納部
52 第2収納部
61 第1ロック装置
62 第2ロック装置
100 コントローラ
140 清掃装置