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特許7595186自動搬送車割り当て装置、自動搬送システム、自動搬送車割り当てプログラム及び自動搬送車割り当て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】自動搬送車割り当て装置、自動搬送システム、自動搬送車割り当てプログラム及び自動搬送車割り当て方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241128BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241128BHJP
   H05K 13/02 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
G05B23/02 X
G05B19/418 Z
H05K13/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023554145
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2021038720
(87)【国際公開番号】W WO2023067718
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻本 喜之
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/217861(WO,A1)
【文献】特開2001-084038(JP,A)
【文献】国際公開第2020/170097(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G05B 19/418
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備への補給品の搬送に自動搬送車を割り当てる自動搬送車割り当て装置であって、
前記設備には、補給品の自動補給に対応している自動補給対応設備と、補給品の自動補給に対応していない自動補給非対応設備とがあり、
前記自動搬送車には、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有する自動補給車と、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有しない手動補給車とがあり、
当該自動搬送車割り当て装置は、
前記設備と通信する通信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部を介して前記設備から補給品の補給要求を受け付ける受付処理と、
前記補給要求の要求元の前記設備への補給品の搬送に前記自動搬送車を割り当てる割り当て処理と、
を実行し、
前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給対応設備である場合は前記自動補給車を前記手動補給車より優先して割り当て
前記要求元の前記設備が前記自動補給非対応設備である場合は前記手動補給車を割り当てる、自動搬送車割り当て装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動搬送車割り当て装置であって、
前記制御部は、前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給対応設備であり、且つ、待機中の前記自動補給車がない場合は、稼働中の前記自動補給車のうち前記自動補給対応設備が補給品切れになる前に補給品を補給可能な前記自動補給車を優先して割り当てる、自動搬送車割り当て装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動搬送車割り当て装置であって、
前記制御部は、前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給対応設備であり、待機中の前記自動補給車がなく、稼働中の前記自動補給車のうち前記自動補給対応設備が補給品切れになる前に補給品を補給可能な前記自動補給車もなく、且つ、待機中の前記手動補給車もない場合は、前記自動補給車であるか前記手動補給車であるかによらず、最も早く待機中となる前記自動搬送車を割り当てる、自動搬送車割り当て装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自動搬送車割り当て装置であって、
前記制御部は、前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給非対応設備であり、且つ、待機中の前記手動補給車がない場合は、最も早く待機中となる前記手動補給車を割り当てる、自動搬送車割り当て装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の自動搬送車割り当て装置であって、
前記制御部は、前記割り当て処理で前記要求元の前記設備への補給品の搬送に前記手動補給車を割り当てた場合は、前記要求元の前記設備と割り当てた前記手動補給車が前記設備に到着する予定時刻とをオペレータに案内する案内処理を実行する、自動搬送車割り当て装置。
【請求項6】
設備に補給品を自動搬送する自動搬送システムであって、
補給品の自動補給に対応している前記設備である自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有する自動搬送車である自動補給車と、
前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有しない自動搬送車である手動補給車と、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の自動搬送車割り当て装置と、
を備える、自動搬送システム。
【請求項7】
設備への補給品の搬送に自動搬送車を割り当てる自動搬送車割り当てプログラムであって、
前記設備には、補給品の自動補給に対応している自動補給対応設備と、補給品の自動補給に対応していない自動補給非対応設備とがあり、
前記自動搬送車には、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有する自動補給車と、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有しない手動補給車とがあり、
当該自動搬送車割り当てプログラムは、
前記設備から補給品の補給要求を受け付ける受付処理と、
前記補給要求の要求元の前記設備への補給品の搬送に前記自動搬送車を割り当てる割り当て処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給対応設備である場合は前記自動補給車を前記手動補給車より優先して割り当て
前記要求元の前記設備が前記自動補給非対応設備である場合は前記手動補給車を割り当てる、自動搬送車割り当てプログラム。
【請求項8】
設備への補給品の搬送に自動搬送車を割り当てる自動搬送車割り当て方法であって、
前記設備には、補給品の自動補給に対応している自動補給対応設備と、補給品の自動補給に対応していない自動補給非対応設備とがあり、
前記自動搬送車には、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有する自動補給車と、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有しない手動補給車とがあり、
当該自動搬送車割り当て方法は、
前記設備から補給品の補給要求を受け付ける受付工程と、
前記補給要求の要求元の前記設備への補給品の搬送に前記自動搬送車を割り当てる割り当て工程と、
を含み、
前記割り当て工程において、前記要求元の前記設備が前記自動補給対応設備である場合は前記自動補給車を前記手動補給車より優先して割り当て
前記要求元の前記設備が前記自動補給非対応設備である場合は前記手動補給車を割り当てる、自動搬送車割り当て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は自動搬送車割り当て装置、自動搬送システム、自動搬送車割り当てプログラム及び自動搬送車割り当て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場などにおいて、自動搬送車によって設備に補給品を自動搬送することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、特許文献1に記載の製造システムは基板に部品を実装した実装基板を製造するシステムであり、印刷機や部品実装機を含む複数の製造設備を備えている。当該製造システムでは材料保管庫に保管されている材料を無人搬送車によって製造設備まで搬送し、補給作業者が無人搬送車から材料を取り出して製造設備に補給している。同文献には、作業者は人である必要はなく、多関節ロボット等の作業手段で代替可能であることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-61310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の製造システムでは、無人搬送車によって搬送された材料を製造設備に補給する作業が人あるいはその代替手段によって行われており、無人搬送車自体は製造設備に材料を自動で補給する機能を備えていない。
これに対し、近年、設備を補給品の自動補給に対応させるとともに、そのような設備に補給品を自動で補給する機能を自動搬送車に持たせることにより、自動搬送車によって設備に補給品を自動補給することが検討させれている。以降の説明では補給品の自動補給に対応している設備のことを自動補給対応設備といい、補給品を自動補給する機能を有する自動搬送車のことを自動補給車という。
【0005】
ただし、全ての設備が一斉に自動補給対応設備に置き換えられるとは限らず、自動補給対応設備と自動補給に対応していない設備である自動補給非対応設備とが混在する状況も想定される。その場合、自動搬送車についても自動補給車と補給品を自動補給する機能を有しない自動搬送車である手動補給車とが混在することが想定される。
【0006】
本明細書では、自動補給対応設備と自動補給非対応設備とが混在し、且つ、自動補給車と手動補給車とが混在する場合に、自動補給対応設備への補給品の補給を極力自動で行いつつ、割り当てることのできる自動補給車がないことによって自動補給対応設備が停止する可能性を、自動補給車の台数の増加を抑制しつつ低減する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
設備への補給品の搬送に自動搬送車を割り当てる自動搬送車割り当て装置であって、前記設備には、補給品の自動補給に対応している自動補給対応設備と、補給品の自動補給に対応していない自動補給非対応設備とがあり、前記自動搬送車には、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有する自動補給車と、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有しない手動補給車とがあり、当該自動搬送車割り当て装置は、前記設備と通信する通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記通信部を介して前記設備から補給品の補給要求を受け付ける受付処理と、前記補給要求の要求元の前記設備への補給品の搬送に前記自動搬送車を割り当てる割り当て処理と、を実行し、前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給対応設備である場合は前記自動補給車を優先して割り当てる。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、自動補給対応設備と自動補給非対応設備とが混在し、且つ、自動補給車と手動補給車とが混在する場合に、自動補給対応設備への補給品の補給を極力自動で行いつつ、割り当てることのできる自動補給車がないことによって自動補給対応設備が停止する可能性を、自動補給車の台数の増加を抑制しつつ低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る製造工場の模式図
図2】自動搬送システムの模式図
図3】自動搬送車割り当て装置の電気的構成を示すブロック図
図4】自動搬送車の割り当て処理のフローチャート
図5】自動搬送車の割り当て処理のフローチャート
図6】フローチャートと具体例1から具体例6との関係を示す模式図
図7】具体例1に係る各種のテーブルの模式図
図8】具体例2に係る各種のテーブルの模式図
図9】具体例3に係る各種のテーブルの模式図
図10】具体例4に係る各種のテーブルの模式図
図11】具体例5に係る各種のテーブルの模式図
図12】具体例6に係る各種のテーブルの模式図
図13】補給品の搭載の流れを説明するための模式図
図14】補給品の補給の流れを説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本実施形態の概要)
(1)本開示に係る自動搬送車割り当て装置は、設備への補給品の搬送に自動搬送車を割り当てる自動搬送車割り当て装置であって、前記設備には、補給品の自動補給に対応している自動補給対応設備と、補給品の自動補給に対応していない自動補給非対応設備とがあり、前記自動搬送車には、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有する自動補給車と、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有しない手動補給車とがあり、当該自動搬送車割り当て装置は、前記設備と通信する通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記通信部を介して前記設備から補給品の補給要求を受け付ける受付処理と、前記補給要求の要求元の前記設備への補給品の搬送に前記自動搬送車を割り当てる割り当て処理と、を実行し、前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給対応設備である場合は前記自動補給車を優先して割り当てる。
【0011】
以降の説明において「割り当てることのできる自動補給車」とは、自動補給対応設備が補給品切れになる前に補給品を補給可能な自動補給車のことをいう。自動補給対応設備が補給品切れになる前に補給品を補給可能な自動補給車は、具体的には例えば待機中の自動補給車である。待機中の自動補給車がない場合は、自動補給対応設備が補給品切れになる前に補給品を補給可能な自動補給車は、稼働中の自動補給車のうち自動補給対応設備が補給品切れになる前に補給品を補給可能な自動補給車であってもよい。手動補給車についても同様である。
【0012】
自動補給対応設備と自動補給非対応設備とが混在し、且つ、自動補給車と手動補給車とが混在する場合、自動補給対応設備には自動補給車によって補給品を搬送し、自動補給非対応設備には手動補給車によって補給品を搬送するといったように役割を分けることが考えられる。しかしながら、役割を分けると次のような課題が想定される。
(課題1)自動補給対応設備から補給要求を受け付けたときに割り当てることのできる自動補給車がない場合は、自動補給対応設備が停止する可能性がある。
(課題2)多くの自動補給車を用意すれば割り当てることのできる自動補給車がない可能性を低減できるが、自動補給車の台数が増加することによってコストが増加する。
【0013】
上記の自動搬送車割り当て装置によると、要求元の設備が自動補給対応設備である場合は自動補給車を優先して割り当てるので、自動補給対応設備への補給品の補給を極力自動で行うことができる。一方、割り当てることのできる自動補給車がない場合は手動補給車を割り当てるので、手動補給車によって搬送された補給品をオペレータが手動で自動補給対応設備に補給することにより、割り当てることのできる自動補給車がないことによって自動補給対応設備が停止する可能性を低減できる。
【0014】
よって上記の自動搬送車割り当て装置によると、自動補給対応設備と自動補給非対応設備とが混在し、且つ、自動補給車と手動補給車とが混在する場合に、自動補給対応設備への補給品の補給を極力自動で行いつつ、割り当てることのできる自動補給車がないことによって自動補給対応設備が停止する可能性を、自動補給車の台数の増加を抑制しつつ低減できる。
【0015】
(2)前記制御部は、前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給対応設備であり、且つ、待機中の前記自動補給車がない場合は、稼働中の前記自動補給車のうち前記自動補給対応設備が補給品切れになる前に補給品を補給可能な前記自動補給車を優先して割り当ててもよい。
【0016】
上記の自動搬送車割り当て装置によると、待機中の自動補給車がない場合は手動補給車を割り当てる場合に比べ、補給品を自動で補給できる可能性が高くなる。
【0017】
(3)前記制御部は、前記割り当て処理において、待機中の前記自動補給車がなく、稼働中の前記自動補給車のうち前記自動補給対応設備が補給品切れになる前に補給品を補給可能な前記自動補給車もなく、且つ、待機中の前記手動補給車もない場合は、前記自動補給車であるか前記手動補給車であるかによらず、最も早く待機中となる前記自動搬送車を割り当ててもよい。
【0018】
上記の自動搬送車割り当て装置によると、最も早く待機中となる自動搬送車以外の自動搬送車を割り当てる場合に比べ、自動補給対応設備に早い時点で補給品を補給できる。
【0019】
(4)前記制御部は、前記割り当て処理において、前記要求元の前記設備が前記自動補給非対応設備である場合は前記手動補給車を割り当ててもよい。
【0020】
通常、自動補給対応設備で使用される補給品は自動補給非対応設備で使用される補給品と形状などが異なっている。一般に自動補給車は自動補給対応設備で使用される補給品を搬送するように設計されているため、自動補給非対応設備で使用される補給品を搬送することはできない。これに対し、一般に手動補給車は汎用性があり、自動補給対応設備で使用される補給品も自動補給非対応設備で使用される補給品も搬送できる。
上記の自動搬送車割り当て装置によると、自動補給非対応設備には手動補給車を割り当てるので、自動補給非対応設備に補給品を補給できる。
【0021】
(5)前記制御部は、前記割り当て処理において、待機中の前記手動補給車がない場合は、最も早く待機中となる前記手動補給車を割り当ててもよい。
【0022】
上記の自動搬送車割り当て装置によると、最も早く待機中となる手動補給車を割り当てるので、最も早く待機中となる手動補給車以外の手動補給車を割り当てる場合に比べ、自動補給非対応設備に早い時点で補給品を補給できる。
【0023】
(6)前記制御部は、前記割り当て処理で前記要求元の前記設備への補給品の搬送に前記手動補給車を割り当てた場合は、前記要求元の前記設備と割り当てた前記手動補給車が前記設備に到着する予定時刻とをオペレータに案内する案内処理を実行してもよい。
【0024】
手動補給車によって補給品を搬送した場合は、搬送された補給品をオペレータが手動で設備に補給する必要がある。上記の自動搬送車割り当て装置によると、要求元の設備と割り当てた手動補給車が設備に到着する予定時刻とをオペレータに案内するので、搬送された補給品が設備に補給されるようにすることができる。
【0025】
(7)本開示に係る自動搬送システムは、設備に補給品を自動搬送する自動搬送システムであって、補給品の自動補給に対応している前記設備である自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有する自動搬送車である自動補給車と、前記自動補給対応設備に補給品を自動補給する機能を有しない自動搬送車である手動補給車と、(1)から(6)のいずれか一つに記載の自動搬送車割り当て装置と、を備える。
【0026】
上記の自動搬送システムによると、自動補給対応設備と自動補給非対応設備とが混在し、且つ、自動補給車と手動補給車とが混在する場合に、自動補給対応設備への補給品の補給を極力自動で行いつつ、割り当てることのできる自動補給車がないことによって自動補給対応設備が停止する可能性を、自動補給車の台数の増加を抑制しつつ低減できる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、システム、方法、これらの装置、システムまたは方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0028】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図14に基づいて説明する。以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0029】
(1)製造工場
図1を参照して、実施形態1に係る製造工場1について説明する。製造工場1は部品が実装された実装基板を製造する工場である。製造工場1には複数の実装ラインL(L1、L2、L3)、自動保管庫11、保管棚12、複数の自動搬送車V、段取りエリア端末13、オペレータ端末14、及び、自動搬送車割り当て装置15が配されている。
保管棚12を除く各装置(すなわち実装ラインL、自動保管庫11、自動搬送車V、段取りエリア端末13、オペレータ端末14及び自動搬送車割り当て装置15)は図示しない通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。自動搬送車V及びオペレータ端末14は図示しないアクセスポイントを介して通信ネットワークに無線接続されている。
【0030】
図1において段取りエリア20は後述する補給品の段取りや自動搬送車Vへの補給品の搭載(言い換えると積み込み)を行うための場所である。段取りエリア20には自動保管庫11、保管棚12及び段取りエリア端末13が配されている。待機エリア21は自動搬送車Vが待機する場所である。待機エリア21は段取りエリア20の近傍に配されている。
段取りエリアオペレータ22は段取りエリア20で補給品の段取りや自動搬送車Vへの補給品の搭載などを行うオペレータである。設備オペレータ23は実装ラインLで発生した作業(補給品の補給やエラー対応など)を行うオペレータである。
【0031】
各実装ラインLは複数の表面実装機M(実装ラインL1は表面実装機M1~M3、実装ラインL2は表面実装機M4~M6、実装ラインL3は表面実装機M7~M9)を備えている。表面実装機Mは設備の一例である。各実装ラインLは表面実装機M以外にも基板に対する作業を行うその他の設備(ローダー、スクリーン印刷機、印刷検査機、ディスペンサ、実装後外観検査機、リフロー装置、硬化後外観検査機、アンローダーなど)を備えているが、図1ではその他の設備については省略している。
【0032】
表面実装機Mは基板の表面に部品を実装する設備である。表面実装機Mには部品テープによって供給される部品を実装する表面実装機Mと、部品トレイによって供給される部品を実装する表面実装機Mとがある。部品テープは部品が収容されているテープである。部品トレイは部品が行列状に載置されているトレイである。表面実装機Mには部品テープによって供給される部品の実装と部品トレイによって供給される部品の実装との両方が可能なものもあるが、便宜上、各表面実装機Mにはそれぞれ部品テープ及び部品トレイのいずれか一方によって部品が供給されるものとする。
【0033】
部品テープによって供給される部品を実装する表面実装機Mには複数のテープフィーダが着脱可能に取り付けられている。テープフィーダは部品テープを間欠的に送り出すことによって部品を一つずつ順に供給する装置である。部品テープによって供給される部品を実装する表面実装機Mには、部品テープの自動補給に対応している表面実装機Mと、部品テープの自動補給に対応していない表面実装機Mとがある。以降の説明では部品テープの自動補給に対応している表面実装機Mのことを自動補給対応実装機M(自動補給対応設備の一例)といい、部品テープの自動補給に対応していない表面実装機Mのことを自動補給非対応実装機M(自動補給非対応設備の一例)という。
【0034】
部品トレイによって供給される部品を実装する表面実装機Mは、部品トレイを上下複数段に格納するマガジンと、マガジンを昇降させる昇降機構と、マガジンから部品トレイを出し入れする出し入れ機構とを有する部品供給装置を備えている。本実施形態では、部品トレイによって供給される部品を実装する表面実装機Mはいずれも部品トレイの自動補給に対応していないものとする。以降の説明では部品トレイによって供給される部品を実装する表面実装機Mのことも自動補給非対応実装機Mという。
【0035】
自動補給非対応実装機Mに補給される補給品、及び、自動補給対応実装機Mに補給される補給品について説明する。
自動補給非対応実装機Mの場合は、部品テープが巻き回されているリールや部品トレイが補給品として補給される。自動補給非対応実装機Mへのリールや部品トレイの補給は、後述する手動補給車Vによって自動補給非対応実装機Mまで搬送されたリールや部品トレイを設備オペレータ23が手動で取り付けることによって行われる。補給品がリールである場合は、設備オペレータ23はリールを取り付ける前あるいは後に、リールに巻き回されている部品テープの先端部をテープフィーダにセットする。
【0036】
自動補給対応実装機Mの場合は、リールとテープフィーダとが収容されているカセットが補給品として補給される。すなわち、自動補給対応実装機Mの場合はリールだけでなくテープフィーダも補給品として補給される。詳しくは後述するが、自動補給対応実装機Mへのカセットの搬送は後述する自動補給車V及び手動補給車Vの両方が可能である。自動補給車Vによってカセットを搬送した場合は、自動補給対応実装機Mへのカセットの補給は自動補給車Vによって自動で行われる。手動補給車Vによってカセットを搬送した場合は、自動補給対応実装機Mへのカセットの補給は設備オペレータ23によって手動で行われる。部品テープは予め先端部がテープフィーダにセットされた状態でカセットに収容される。このため、カセットを補給するときに部品テープの先端部をテープフィーダにセットする作業は不要である。
【0037】
自動保管庫11はリールを自動で入庫及び出庫する機能を有する保管庫である。保管棚12は部品トレイ、テープフィーダ、空のカセットなどが保管されている棚である。自動補給対応実装機Mにカセットを補給する場合は、リールとテープフィーダとをカセットに収容する段取り作業が段取りエリアオペレータ22によって行われる。
【0038】
自動搬送車Vは補給品を段取りエリア20から表面実装機Mに自動で搬送する搬送車である。自動搬送車Vには自動補給対応実装機Mにカセットを自動で補給する機能を有する自動補給対応自動搬送車(以下、自動補給車Vという)と、自動補給対応実装機Mにカセットを自動で補給する機能を有しない自動補給非対応自動搬送車(以下、手動補給車Vという)とがある。手動補給車Vは、具体的には例えばAGV(Automatic Guided Vehicle)である。自動補給車Vは、具体的には例えばAGVにロボットを搭載したAMR(Autonomous Mobile Robot)である。
【0039】
自動補給車Vはカセットを自動補給するために設計された自動搬送車であり、リールや部品トレイを単体で搭載できるようには設計されていない。これに対し、手動補給車Vは汎用性があり、任意の部材を搭載できる。手動補給車Vにはカセットも搭載できることから、自動補給対応実装機Mへのカセットの搬送は自動補給車V及び手動補給車Vの両方が可能である。これに対し、自動補給車Vにはリールや部品トレイを単体で搭載できないことから、自動補給非対応実装機Mへのリールや部品トレイの搬送は手動補給車Vのみが可能である。
各自動搬送車V(自動補給車V及び手動補給車V)は制御部、無線通信部、自車位置を検出する位置センサ、走行中に人や障害物などを検知するためのセンサなどを備えている。自動搬送車Vは無線通信部を介して前述した通信ネットワークに無線接続されている。
【0040】
段取りエリア端末13は自動搬送車割り当て装置15が段取りエリアオペレータ22に段取り作業や自動搬送車Vへの補給品の搭載を指示するための端末である。段取りエリア端末13は例えばパーソナルコンピュータである。
オペレータ端末14は手動補給車Vによって表面実装機M(自動補給対応実装機Mあるいは自動補給非対応実装機M)まで搬送された補給品を表面実装機Mに補給するよう自動搬送車割り当て装置15が設備オペレータ23に指示するための端末である。オペレータ端末14はタブレットコンピュータなどの携帯型の端末であってもよいし、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の端末であってもよい。
【0041】
自動搬送車割り当て装置15は、表面実装機Mへの補給品の搬送に自動搬送車Vを割り当てる装置である。
図2に示すように、複数の自動搬送車Vと自動搬送車割り当て装置15とは実施形態1に係る自動搬送システム50を構成している。
【0042】
(2)自動搬送車割り当て装置の電気的構成
図3を参照して、自動搬送車割り当て装置15の電気的構成について説明する。自動搬送車割り当て装置15は所謂パーソナルコンピュータ(コンピュータの一例)であり、制御部30、記憶部31、通信部32、入力部33及び出力部34を備えている。
【0043】
制御部30はCPU30A、RAM30Bなどを備えている。記憶部31には制御部30によって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。通信部32は自動搬送車割り当て装置15を通信ネットワークに接続するための通信回路である。入力部33はキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置である。出力部34は液晶ディスプレイなどの表示装置である。
記憶部31に記憶されているプログラムにはパーソナルコンピュータを自動搬送車割り当て装置15として機能させる自動搬送車割り当てプログラムが含まれる。記憶部31に記憶されているデータには後述する設備情報テーブル、補給品情報テーブル、自動搬送車情報テーブル及び補給要求テーブルが含まれる。
【0044】
(3)補給要求
表面実装機Mから自動搬送車割り当て装置15に送信される補給要求について説明する。表面実装機Mは部品テープに収容されている部品(あるいは部品トレイに載置されている部品)の残数とその部品の使用状況とから部品切れとなる時刻を予測する。表面実装機Mには部品切れとなる時刻までの余裕時間が記憶されている。表面実装機Mは部品切れとなる時刻までの時間が余裕時間を下回ると自動搬送車割り当て装置15に補給要求を送信する。
【表1】
【0045】
表1は補給要求の一例である。補給要求には設備名、自動補給、補給品情報及び補給品切れ予告時刻が含まれる。
自動補給は補給要求の要求元の表面実装機Mが補給品の自動補給に対応しているか否かを示す情報であり、対応している場合は「対応」、対応していない場合は「非対応」となる。
【0046】
補給品情報は補給する補給品(リール、部品トレイあるいはカセット)とその補給品の搭載位置番号とを示す情報である。ここで、リール、部品トレイ及びカセットにはそれぞれ収容されている部品の違いによってさまざまな種類があるが、理解を容易にするため、ここでは種類については省略する。搭載位置番号は表面実装機M上の搭載位置を示す情報である。表面実装機Mにはリール、部品トレイあるいはカセットが搭載される搭載位置が複数設けられており、搭載位置に番号が付されている。補給品情報の搭載位置番号は補給品を表面実装機Mの何番の搭載位置に搭載するかを示している。
補給品切れ予告時刻は前述した部品切れとなる時刻である。
【0047】
(4)自動搬送車割り当て装置に記憶されている各種のテーブル
自動搬送車割り当て装置15の記憶部31に記憶されている設備情報テーブル、補給品情報テーブル、自動搬送車情報テーブル及び補給要求テーブルについて説明する。
【表2】
【0048】
表2は設備情報テーブルの一例である。設備情報テーブルは各表面実装機Mの情報が登録されるテーブルである。設備情報テーブルには設備名、自動補給、段取りエリア20からその表面実装機Mまでの所要時間が含まれる。
【表3】
【0049】
表3は補給品情報テーブルの一例である。補給品情報テーブルには補給品情報、搬送車搭載時間及び補給時間が含まれる。搬送車搭載時間は補給品情報によって示される補給品を自動搬送車Vに搭載するのに要する時間である。補給時間は補給品情報によって示される補給品を表面実装機Mに補給するのに要する時間である。
【表4】
【0050】
表4は自動搬送車情報テーブルの一例である。自動搬送車情報テーブルには搬送車名、自動補給、ステータス、ステータス完了予定時刻が含まれる。
ステータスには待機中、搬送中、補給中及び回送中がある。待機中は待機エリア21で待機している状態である。搬送中は表面実装機Mに向かって移動している状態である。補給中は表面実装機Mに補給品を補給している状態である。回送中は待機エリア21に向かって移動している状態である。以降の説明ではステータスが待機中以外の状態を稼働中という。
【0051】
ステータス完了予定時刻は現在のステータスから次のステータスに変化する予定時刻である。自動搬送車Vはステータスが変化すると自動搬送車割り当て装置15に変化後のステータスを通知する。自動搬送車割り当て装置15は変化後のステータスが通知されると自動搬送車情報テーブルのステータスを変化後のステータスに更新するとともに、ステータス完了予定時刻を更新する。
【0052】
例えば表面実装機Mのステータスが待機中から搬送中に変化した場合は、現在時刻に設備情報テーブルの「段取りエリアからの所要時間」を加算した時刻がステータス完了予定時刻となる。搬送中から補給中に変化した場合は現在時刻に補給品情報テーブルの「補給時間」を加算した時刻がステータス完了予定時刻となる。補給中から回送中に変化した場合は現在時刻に「段取りエリアからの所要時間」を加算した時刻がステータス完了予定時刻となる。
【表5】
【0053】
表5は補給要求テーブルの一例である。補給要求テーブルは各表面実装機Mから受信した補給要求が登録されるテーブルである。
【0054】
(5)自動搬送車の割り当て処理
自動搬送車割り当て装置15によって実行される自動搬送車の割り当て処理について説明する。自動搬送車の割り当て処理は表面実装機Mへの補給品の搬送に自動搬送車Vを割り当てる処理である。本処理は自動搬送車割り当て装置15が表面実装機Mから補給要求を受信すると開始される。自動搬送車割り当て装置15が補給要求を受信する処理は受付処理の一例である。
ここでは先ず自動搬送車の割り当て処理のフローについて説明し、その後に具体例について説明する。
【0055】
(5-1)自動搬送車の割り当て処理のフロー
図4及び図5を参照して、自動搬送車の割り当て処理のフローについて説明する。
S101では、制御部30は補給要求の要求元の表面実装機Mが自動補給対応実装機Mであるか否かを判断する。制御部30は、自動補給対応実装機Mである場合はS102に進み、自動補給対応実装機Mでない場合はS109(図5)に進む。
【0056】
S102では、制御部30は待機中の自動補給車Vがあるか否かを判断する。制御部30は、待機中の自動補給車Vがある場合はS103に進み、ない場合はS104に進む。
S103では、制御部30は待機中の自動補給車Vを割り当てる。
S104では、制御部30は稼働中の自動補給車Vの中に部品切れまでに自動補給対応実装機Mにカセットを補給可能な自動補給車Vがあるか否かを判断する。制御部30は、部品切れまでにカセットを補給可能な自動補給車Vがある場合はS105に進み、ない場合はS106に進む。
【0057】
S105では、制御部30は部品切れまでにカセットを補給可能な自動補給車Vを割り当てる。
S106では、制御部30は待機中の手動補給車Vがあるか否かを判断する。制御部30は、待機中の手動補給車Vがある場合はS107に進み、ない場合はS108に進む。
S107では、制御部30は待機中の手動補給車Vを割り当てる。
【0058】
S108では、制御部30は自動補給車Vであるか手動補給車Vであるかによらず、最も早く待機中となる自動搬送車Vを割り当てる。
S109では、制御部30は待機中の手動補給車Vがあるか否かを判断する。制御部30は、待機中の手動補給車Vがある場合はS110に進み、ない場合はS111に進む。
S110では、制御部30は待機中の手動補給車Vを割り当てる。
S111では、制御部30は最も早く待機中となる手動補給車Vを割り当てる。
【0059】
(5-2)自動搬送車の割り当て処理の具体例
図6に示すように、自動搬送車の割り当て処理の具体例として具体例1から具体例6について説明する。
【0060】
(5-2-1)具体例1
図7に示すように、具体例1の補給要求は、要求元の表面実装機M(実装機M1)が自動補給対応実装機Mであることを示している。具体例1の自動搬送車情報テーブルは、待機中の自動補給車V(自動搬送車V1)があることを示している。この場合、S101で自動補給対応実装機Mであると判断され、S102で待機中の自動補給車Vがあると判断される。このため、S103において待機中の自動補給車V(自動搬送車V1)が割り当てられる。
【0061】
(5-2-2)具体例2
図8に示すように、具体例2の補給要求は、要求元の表面実装機M(実装機M1)が自動補給対応実装機Mであり、補給品切れ予告時刻が12時35分であることを示している。具体例2の自動搬送車情報テーブルは待機中の自動補給車Vがないことを示している。この場合、S101で自動補給対応実装機Mであると判断され、S102で待機中の自動補給車Vがないと判断される。
【0062】
具体例2では自動搬送車V3が回送中であり、12時28分にステータスが待機中に変化する。設備情報テーブルの実装機M1の「段取りエリアからの所要時間」が3分、補給品情報テーブルのカセットの「搬送車搭載時間」が2分、「補給時間」が2分であることから、12時28分にそれらの合計時間を加算すると12時35分に補給が完了する。12時35分は補給品切れ予告時刻と同時刻である。ここでは補給が完了する時刻が補給品切れ予告時刻と同時刻である場合は部品切れになる前に補給が完了するものとする。このため、S104において部品切れまでに自動補給対応実装機Mにカセットを補給可能な自動搬送車Vがあると判断され、S105において回送中の自動補給車V(自動搬送車V3)が割り当てられる。
【0063】
(5-2-3)具体例3
図9に示すように、具体例3の補給要求は、要求元の表面実装機M(実装機M1)が自動補給対応実装機Mであることを示している。具体例3の自動搬送車情報テーブルは、待機中の自動補給車Vはないが、待機中の手動補給車V(自動搬送車V2)があることを示している。この場合、S101で自動補給対応実装機Mであると判断され、S102で待機中の自動補給車Vがないと判断される。
【0064】
具体例3では自動搬送車V3が回送中であり、12時45分にステータスが完了する。すなわち、12時45分に自動搬送車V3のステータスが待機中に変化する。12時45分は補給要求の補給品切れ予告時刻である12時35分を超えている。このため、S104において稼働中の自動補給車Vの中に部品切れまでに自動補給対応実装機Mにカセットを補給可能な自動搬送車Vがないと判断される。そして、S106で待機中の手動補給車Vがあると判断され、S107において待機中の手動補給車V(自動搬送車V2)が割り当てられる。
【0065】
(5-2-4)具体例4
図10に示すように、具体例4の補給要求は、要求元の表面実装機M(実装機M1)が自動補給対応実装機Mであることを示している。具体例4の自動搬送車情報テーブルは、待機中の自動補給車Vがなく、待機中の手動補給車Vもないことを示している。この場合、S101において自動補給対応実装機Mであると判断され、S102において待機中の自動補給車Vがないと判断される。
【0066】
具体例4では自動搬送車V1が回送中であり、12時36分にステータスが完了する。すなわち12時36分に自動搬送車V2のステータスが待機中に変化する。12時36分は補給要求の補給品切れ予告時刻である12時35分を超えている。具体例4では自動搬送車V3も回送中であり、12時40分にステータスが完了する。すなわち12時40分に自動搬送車V3のステータスが待機中に変化する。12時40分は補給要求の補給品切れ予告時刻である12時35分を超えている。
【0067】
このため、S104において稼働中の自動補給車Vの中に部品切れまでに自動補給対応実装機Mにカセットを補給可能な自動搬送車Vがないと判断され、S106において待機中の手動補給車Vがないと判断される。そして、S108において、自動補給車Vであるか手動補給車Vであるかによらず、最も早く待機中になる自動搬送車Vとして自動補給車V1が割り当てられる。
【0068】
(5-2-5)具体例5
図11に示すように、具体例5の補給要求は、要求元の表面実装機M(実装機M2)が自動補給非対応実装機Mであることを示している。具体例5の自動搬送車情報テーブルは待機中の手動補給車V(自動搬送車V2)があることを示している。この場合、S101において自動補給対応実装機Mではないと判断され、S109において待機中の手動補給車Vがあると判断される。このため、S110において待機中の手動補給車V(自動搬送車V2)が割り当てられる。
【0069】
(5-2-6)具体例6
図12に示すように、具体例6の補給要求は、要求元の表面実装機M(実装機M2)が自動補給非対応実装機Mであることを示している。具体例6の自動搬送車情報テーブルは待機中の手動補給車Vがないことを示している。この場合、S101において自動補給対応実装機Mではないと判断され、S109において待機中の手動補給車Vがないと判断される。
具体例6では自動搬送車V2が回送中であり、12時33分にステータスが完了する。すなわち、12時33分に自動搬送車V2のステータスが待機中に変化する。12時33分より前にステータスが待機中になる手動補給車Vが他にないことから、S111において、最も早く待機中に変化する手動補給車Vとして自動搬送車V2が割り当てられる。
【0070】
(6)補給品の搭載の流れ
図13を参照して、補給品の搭載の流れについて概略的に説明する。補給品の搭載は自動搬送車割り当て装置15が自動搬送車Vを割り当てると開始される。
【0071】
[1-1]自動搬送車割り当て装置15は段取りエリア端末13に補給品とその補給品の搬送に割り当てた自動搬送車Vとを通知する。
【0072】
[1-2]段取りエリア端末13に補給品と自動搬送車Vとが通知されると、補給品の準備が行われる。
(A1)自動保管庫11に保管されている補給品(すなわちリール)については、段取りエリア端末13から自動保管庫11に補給品の出庫が指示される。自動保管庫11は指示された補給品を出庫する。
(A2)段取りエリア端末13に表示された情報を見た段取りエリアオペレータ22は、部品棚から必要な補給品(部品トレイ、テープフィーダ、空のカセットなど)を取り出す。
(A3)自動補給する補給品(すなわちカセット)については、段取りエリアオペレータ22がリールとテープフィーダとをカセットに収容する段取り作業を行う。
[1-3]段取りエリアオペレータ22は待機エリア21で待機中の自動搬送車Vのうち自動搬送車割り当て装置15から通知された自動搬送車Vに補給品を搭載する。通知された自動搬送車Vが待機中でない場合は、オペレータはその自動搬送車Vが待機中になってから搭載する。
【0073】
[1-4]段取りエリアオペレータ22は補給品の搭載が完了すると段取りエリア端末13を操作して自動搬送車Vへの搭載が完了したことを入力する。
[1-5]段取りエリア端末13は搭載が完了したことを自動搬送車割り当て装置15に通知する。
[1-6]自動搬送車割り当て装置15は搭載の完了が通知されると、割り当てた自動搬送車Vに搬送先情報(具体的には例えば補給要求に含まれる設備名、自動補給、補給品情報)を通知する。
[1-7]自動搬送車Vは搬送先の情報が通知されるとステータスを搬送中に変化させ、変化後のステータスを自動搬送車割り当て装置15に通知する。
[1-8]自動搬送車Vは搬送先情報によって示される表面実装機Mに補給品を搬送する。
【0074】
(7)補給品の補給の流れ
図14を参照して、自動搬送車Vによって搬送された補給品を表面実装機Mに補給する流れについて概略的に説明する。
【0075】
[2-1]自動搬送車Vが自動補給車Vである場合
自動補給車Vは自動補給対応実装機Mに補給品を自動補給する。
[2-2]自動搬送車Vが手動補給車Vである場合
(B1)自動搬送車割り当て装置15はオペレータ端末14に搬送先の表面実装機M、補給品、補給品の搭載位置番号及び割り当てた手動補給車Vがその表面実装機Mに到着する予定時刻を通知する(案内処理の一例)。オペレータ端末14は通知されたそれらの情報を表示する。これにより設備オペレータ23にそれらの情報が案内される。
(B2)設備オペレータ23は予定時刻が表示されると、その予定時刻の前に搬送先の表面実装機M(自動補給対応実装機M又は自動補給非対応実装機M)まで移動し、手動補給車Vによって搬送された補給品を表面実装機Mに補給する。
(B3)設備オペレータ23は補給が完了するとオペレータ端末14を操作して補給が完了したことを手動補給車Vに通知する。手動補給車Vに操作ボタンを備え、補給が完了すると設備オペレータ23がその操作ボタンを操作することによって補給が完了したことを手動補給車Vに伝える構成であってもよい。
【0076】
[2-3]自動補給車Vは補給が完了するとステータスを回送中に変化させ、変化後のステータスを自動搬送車割り当て装置15に通知する。
[2-4]自動補給車Vは待機エリア21に戻る。
【0077】
(8)実施形態の効果
実施形態1に係る自動搬送車割り当て装置15によると、要求元の表面実装機Mが自動補給対応実装機Mである場合は自動補給車Vを優先して割り当てるので、自動補給対応実装機Mへの補給品の補給を極力自動で行うことができる(具体例1及び2)。一方、割り当てることのできる自動補給車Vがない場合は手動補給車Vを割り当てるので、手動補給車Vによって搬送された補給品を設備オペレータ23が手動で自動補給対応実装機Mに補給することにより、割り当てることのできる自動補給車Vがないことによって自動補給対応実装機Mが停止する可能性を低減できる(具体例3)。
よって自動搬送車割り当て装置15によると、自動補給対応実装機Mと自動補給非対応実装機Mとが混在し、且つ、自動補給車Vと手動補給車Vとが混在する場合に、自動補給対応実装機Mへの補給品の補給を極力自動で行いつつ、割り当てることのできる自動補給車Vがないことによって自動補給対応実装機Mが停止する可能性を、自動補給車Vの台数の増加を抑制しつつ低減できる。
【0078】
自動搬送車割り当て装置15によると、要求元の表面実装機Mが自動補給対応実装機Mであり、且つ、待機中の自動補給車Vがない場合は、稼働中の自動補給車Vのうち自動補給対応実装機Mが補給品切れになる前に補給品を補給可能な自動補給車Vを優先して割り当てるので、待機中の自動補給車Vがない場合は手動補給車Vを割り当てる場合に比べ、補給品を自動で補給できる可能性が高くなる(具体例2)。
【0079】
自動搬送車割り当て装置15によると、待機中の自動補給車Vがなく、稼働中の自動補給車Vのうち自動補給対応実装機Mが補給品切れになる前に補給品を補給可能な自動補給車Vもなく、且つ、待機中の手動補給車Vもない場合は、自動補給車Vであるか手動補給車Vであるかによらず、最も早く待機中となる自動搬送車Vを割り当てるので、最も早く待機中となる自動搬送車V以外の自動搬送車Vを割り当てる場合に比べ、自動補給対応実装機Mに早い時点で補給品を補給できる(具体例4)。
【0080】
自動搬送車割り当て装置15によると、要求元の表面実装機Mが補給品の自動補給に対応していない自動補給非対応実装機Mである場合は手動補給車Vを割り当てるので、自動補給非対応実装機Mに補給品を補給できる(具体例5)。
【0081】
自動搬送車割り当て装置15によると、待機中の手動補給車Vがない場合は、最も早く待機中となる手動補給車Vを割り当てるので、最も早く待機中となる手動補給車V以外の手動補給車Vを割り当てる場合に比べ、自動補給非対応実装機Mに早い時点で補給品を補給できる(具体例6)。
【0082】
自動搬送車割り当て装置15によると、要求元の表面実装機Mへの補給品の搬送に手動補給車Vを割り当てた場合は、搬送先(要求元)の表面実装機Mと割り当てた手動補給車Vがその表面実装機Mに到着する予定時刻とを設備オペレータ23に案内するので、搬送された補給品が表面実装機Mに補給されるようにすることができる[2-2](B1)。
【0083】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0084】
(1)上記実施形態1では設備として表面実装機Mを例に説明したが、設備は実装ラインLを構成しているその他の設備であってもよい。例えば設備がスクリーン印刷機である場合は、基板に回路パターンを印刷するための半田ペーストが補給品として補給される。ディスペンサの場合は基板に塗布する接着剤が補給品として補給される。
【0085】
(2)上記実施形態1では、待機中の自動補給車Vがない場合は、稼働中の自動補給車Vのうち自動補給対応実装機Mが補給品切れになる前に補給品を補給可能な自動補給車Vを優先して割り当てる場合を例に説明した。これに対し、待機中の自動補給車Vがない場合は、稼働中の自動補給車Vのうち自動補給対応実装機Mが補給品切れになる前に補給品を補給可能な自動補給車Vがあるか否かによらず、待機中の手動搬送車を割り当ててもよい。
【0086】
(3)上記実施形態1では自動補給非対応実装機Mへの補給品(リールや部品トレイ)の搬送は手動補給車Vのみが可能である場合を例に説明した。これに対し、自動補給車Vにリールや部品トレイを単体で搭載可能な場合は、自動補給車Vによって自動補給非対応実装機Mにリールや部品トレイを搬送してもよい。
【0087】
(4)上記実施形態1では、部品トレイによって供給される部品を実装する表面実装機Mはいずれも部品トレイの自動補給に対応していない場合を例に説明した。これに対し、部品トレイによって供給される部品を実装する表面実装機Mは部品トレイの自動補給に対応していてもよい。その場合は部品トレイの自動補給に対応している表面実装機Mのことも自動補給対応実装機Mという。
【0088】
(5)上記実施形態1では部品テープによって供給される部品や部品トレイによって供給される部品を実装する表面実装機Mを例に説明した。これに対し、表面実装機Mはダイシングによって半導体チップに切り分けられた半導体ウェハが補給品として補給されるものであってもよい。その場合、表面実装機Mは半導体ウェハの自動補給に対応している自動補給対応実装機Mであってもよいし、半導体ウェハの自動補給に対応していない自動補給非対応実装機Mであってもよい。
【0089】
(6)上記実施形態1では自動搬送車VとしてAGVやAMRを例に説明したが、自動搬送車Vは補給品を表面実装機Mに自動で搬送できるものであればAGVやAMRに限定されない。
【符号の説明】
【0090】
15:自動搬送車割り当て装置(コンピュータの一例)
23:設備オペレータ(オペレータの一例)
30:制御部
32:通信部
50:自動搬送システム
M:表面実装機(設備の一例)
M1、M3~M5:自動補給対応実装機(自動補給対応設備の一例)
M2、M6~M9:自動補給非対応実装機(自動補給非対応設備の一例)
V:自動搬送車
V1、V3、V4:自動補給車
V2、V5:手動補給車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14