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特許7595256処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20241129BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20241129BHJP
   H02P 31/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G06F11/34 119
G05B23/02 301M
G05B23/02 301Q
H02P31/00
G06F11/34 152
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020111410
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010710
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】筒井 健斗
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 則明
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-236280(JP,A)
【文献】特開2010-152899(JP,A)
【文献】特開2002-268879(JP,A)
【文献】特開2019-192200(JP,A)
【文献】特開2018-124799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/34
G05B 23/02
H02P 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ制御装置が実行する複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する計測部と、
前記計測部が計測した前記複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を出力する出力部と、
前記出力部が出力した複数の前記時間情報に示される処理時間を集計し、集計した複数の前記処理時間のヒストグラムを生成する処理部と、
生成した前記ヒストグラムを表示する表示部とを備え
前記処理部は、
集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として第1色に決定し、
集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第1値以上、前記第1値よりも大きい第2値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色と異なる第2色に決定し、
集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第2値以上であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色及び前記第2色と異なる第3色に決定し、
決定した色を用いて処理時間をメータ化し、
前記表示部は、前記メータ化された処理時間を表示する
処理時間解析システム。
【請求項2】
前記表示部は、前記ヒストグラムの頻度に対応した前記複数のタスクそれぞれの処理時間を表示する
請求項1に記載の処理時間解析システム。
【請求項3】
前記計測部は、前記複数のタスクを含む制御周期ごとに、前記複数のタスクそれぞれの処理時間を計測し、
前記表示部は、複数の前記制御周期それぞれに計測された複数の前記時間情報を表示する
請求項1又は2に記載の処理時間解析システム。
【請求項4】
前記表示部は、タスクの内容を表示する
請求項1又は2に記載の処理時間解析システム。
【請求項5】
生成した複数の前記ヒストグラムにおいて、複数の極値を有するヒストグラムが存在する場合、前記表示部は、前記複数の極値を有するヒストグラムを優先的に表示する
請求項1~4のいずれか1項に記載の処理時間解析システム。
【請求項6】
モータ制御装置が実行する複数のタスクそれぞれの処理時間を計測し、
計測した前記複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を出力し、
出力した複数の前記時間情報を示す処理時間を集計し、
集計した複数の前記処理時間のヒストグラムを生成し、
生成した前記ヒストグラムを表示し、
集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として第1色に決定し、
集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第1値以上、前記第1値よりも大きい第2値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色と異なる第2色に決定し、
集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第2値以上であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色及び前記第2色と異なる第3色に決定し、
決定した色を用いて処理時間をメータ化し、
前記メータ化された処理時間を表示することを含む
処理時間解析方法。
【請求項7】
請求項に記載の処理時間解析方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理時間解析システム、処理時間解析方法及び処理時間解析方法を用いたプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用機械等の制御対象機器の位置決め制御を行う技術が提案されている。例えば、特許文献1では、タスクの切り替え時間を計測するタイマと、トレースされたタスクの時間を表示するモニタ装置とを備えるモーション制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-273171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、制御対象機器としてのサーボアンプでは、高精度の追従性が求められるため、タスク処理のリアルタイム性が重要となる。また、サーボアンプは、例えばサーボモータの駆動を制御するためのパラメータを変更することで、様々なタスクを組み合わせることができる。しかし、複数のタスクが組み合わされた制御処理を実行する場合、サーボアンプは所定の動作を実行するが、この動作に応じた処理時間もタスクの組み合わせに応じて変化するため、上記従来のモーション制御装置としての処理時間解析システムでは、サーボアンプにおける処理時間の上限値を決定することは困難である。また、産業用機械等に組み込まれたサーボアンプの環境によっては、タスクごとに処理時間が変動する可能性がある。しかし、複数のタスク処理のうち、どのタスクが重くなっているかを特定することは、困難である。
【0005】
そこで、本開示は、処理が行われたタスクの内容を確認することができる処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る処理時間解析システムは、モータ制御装置が実行する複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する計測部と、前記計測部が計測した前記複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を出力する出力部と、前記出力部が出力した複数の前記時間情報に示される処理時間を集計し、集計した複数の前記処理時間のヒストグラムを生成する処理部と、生成した前記ヒストグラムを表示する表示部とを備え、前記処理部は、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として第1色に決定し、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第1値以上、前記第1値よりも大きい第2値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色と異なる第2色に決定し、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第2値以上であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色及び前記第2色と異なる第3色に決定し、決定した色を用いて処理時間をメータ化し、前記表示部は、前記メータ化された処理時間を表示する。
【0007】
また、本開示の一態様に係る処理時間解析方法は、モータ制御装置が実行する複数のタスクそれぞれの処理時間を計測し、計測した前記複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を出力し、出力した複数の前記時間情報を示す処理時間を集計し、集計した複数の前記処理時間のヒストグラムを生成し、生成した前記ヒストグラムを表示し、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として第1色に決定し、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第1値以上、前記第1値よりも大きい第2値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色と異なる第2色に決定し、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第2値以上であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色及び前記第2色と異なる第3色に決定し、決定した色を用いて処理時間をメータ化し、記メータ化された処理時間を表示することを含む。
【0008】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、処理時間解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、又は集積回路の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の処理時間解析システム等では、処理が行われたタスクの内容を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態における処理時間解析システムを示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態における処理時間解析システムの処理を示すシーケンス図である。
図3図3は、実施の形態における処理時間解析システムの1つの動作周期を構成する複数のタスクそれぞれに計測した処理時間を示す図である。
図4図4は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てをヒストグラム化した表示形態を示す図である。
図5図5は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てをヒストグラム化した別の表示形態を示す図、及び、ヒストグラムから複数の極値を選択した場合に表示される所定の制御周期における複数のタスクそれぞれの処理時間を示す図である。
図6図6は、繰り返し実行する複数の制御周期のうちの所定の制御周期に含まれる複数のタスクそれぞれの処理時間を別の表示形態で示した図である。
図7図7は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てをタスクごとにヒストグラム化した別の表示形態を示す図である。
図8図8は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てにおいて、タスクごとにヒストグラム化した表示形態を示す図である。
図9図9は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てにおいて、複数のタスクそれぞれの最大処理時間を組み合わせたパターンをメータ化し、メータ化した処理時間の長さに応じてステータスの色を変化させた場合を示す図である。
図10図10は、実施の形態における処理時間解析システムの情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一態様に係る処理時間解析システムは、モータ制御装置が実行する複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する計測部と、前記計測部が計測した前記複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を出力する出力部と、前記出力部が出力した複数の前記時間情報に示される処理時間を集計し、集計した複数の前記処理時間のヒストグラムを生成する処理部と、生成した前記ヒストグラムを表示する表示部とを備える。
【0013】
これによれば、処理部は、複数のタスクそれぞれの処理時間を集計し、集計した複数の処理時間に基づいたヒストグラムを生成することができる。表示部が生成されたヒストグラムを表示することで、ユーザは、ヒストグラムから、複数のタスクそれぞれの処理時間を認識することができるようになる。
【0014】
したがって、この処理時間解析システムでは、処理が行われたタスクの内容を確認することができる。
【0015】
特に、複数のタスクのうちの所定のタスクの処理時間が、他のタスクの処理時間よりも大きくなっているタスクが存在する場合、ユーザは、タスクの内容を確認することができるため、例えば組み込みの環境に依存するものであるか、タスクの動作パラメータによるものかを判断することができる。
【0016】
また、処理時間解析方法は、モータ制御装置が実行する複数のタスクそれぞれの処理時間を計測し、計測した前記複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を出力し、出力した複数の前記時間情報を示す処理時間を集計し、集計した複数の前記処理時間のヒストグラムを生成し、生成した前記ヒストグラムを表示することを含んでいてもよい。
【0017】
この処理時間解析方法においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0018】
また、プログラムは、処理時間解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとしてもよい。
【0019】
このプログラムにおいても上述と同様の作用効果を奏する。
【0020】
また、処理時間解析システムにおいて、前記表示部は、前記ヒストグラムの頻度に対応した前記複数のタスクそれぞれの処理時間を表示してもよい。
【0021】
これによれば、ユーザは、ヒストグラムから複数のタスクそれぞれの処理時間を認識することができる。
【0022】
また、処理時間解析システムにおいて、前記計測部は、前記複数のタスクを含む制御周期ごとに、前記複数のタスクそれぞれの処理時間を計測し、前記出力部は、複数の前記制御周期それぞれに計測された複数の前記時間情報を出力してもよい。
【0023】
これによれば、複数の制御周期それぞれに複数のタスクそれぞれの処理時間を表示することができる。表示部は、例えば、制御周期単位で複数のタスクだけを表示部に並べて配置したり、複数のタスクをヒストグラムとともに並べて表示したりすることができる。このため、ユーザは、複数の制御周期を比較したり、ヒストグラムとともに閲覧したりすることができる。
【0024】
また、処理時間解析システムにおいて、前記表示部は、タスクの内容を表示してもよい。
【0025】
これによれば、表示部は、ユーザが閲覧したいタスクの内容を表示することができる。また、表示部は、複数の制御周期それぞれにタスクの内容を表示することもできる。また、表示部は、複数のタスクのうち影響度の高いタスクも表示することができる。これにより、ユーザは、タスクの内容を把握することができるため、処理時間が長くなった原因を探ることができる。
【0026】
また、処理時間解析システムでは、生成した複数の前記ヒストグラムにおいて、複数の極値を有するヒストグラムが存在する場合、前記表示部は、前記複数の極値を有するヒストグラムを優先的に表示してもよい。
【0027】
これによれば、複数の極値を有するヒストグラムは、モータ制御装置に大きな処理負荷が加わっている場合がある。表示部は、モータ制御装置に大きな処理負荷が加わっている可能性の高いヒストグラムについての複数のタスクそれぞれの処理時間を優先的に表示することができる。このため、ユーザは、処理負荷の大きいタスクの原因を容易に探ることができる。
【0028】
また、処理時間解析システムにおいて、前記処理部は、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として第1色に決定し、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第1値以上、前記第1値よりも大きい第2値未満であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色と異なる第2色に決定し、集計した複数の前記時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が前記第2値以上であれば、集計した複数の前記時間情報の結果として前記第1色及び前記第2色と異なる第3色に決定し、決定した色を用いて処理時間をメータ化し、前記表示部は、前記メータ化された処理時間を表示してもよい。
【0029】
これによれば、処理時間をメータ化することができるため、メータ化したステータスを色付けにより強調することができる。また、表示部は、予め設定された第2値に対する処理時間の残りの時間の割合である余裕度も表示することができる。
【0030】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ、ステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0032】
以下の実施の形態に係る処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラムについて説明する。
【0033】
(実施の形態)
<構成:処理時間解析システム>
まず、本実施の形態に係る処理時間解析システムの構成について説明する。
【0034】
図1は、実施の形態における処理時間解析システムを示すブロック図である。
【0035】
図1に示すように、処理時間解析システムは、生産ラインに設置する複数の産業用機械の動作を制御する機能を有する制御システム1に搭載されるモータアンプの処理時間解析システムである。
【0036】
制御システム1は、情報処理装置10と、モータ制御装置20と、コントローラ30と、表示部40とを有する。なお、制御システム1では、さらにサーボモータ50を構成要素に含んでいてもよい。なお、図1では、1つのモータ制御装置20と1つのサーボモータ50とを例示しているが、制御システム1は、複数のモータ制御装置20、複数のサーボモータ50が設けられてもよい。
【0037】
情報処理装置10は、例えば産業用機械に含まれるサーボモータ50に内蔵されたエンコーダ等の検出器からフィードバックされる動作位置、動作速度、トルク、ゲイン及び電流等の動作検出値を示すフィードバック信号を、モータ制御装置20を介して又は直接的に取得する。情報処理装置10は、取得したフィードバック信号に基づいて、サーボモータ50の軸の動作位置、動作速度、トルク及び電流等の動作検出値の調節を行うためのアンプ設定値(サーボモータ50を制御するためのパラメータ)を生成する。情報処理装置10は、モータ制御装置20と有線又は無線通信可能に接続され、動作検出値の調節を行うためのアンプ設定値をモータ制御装置20に出力する。本実施の形態では、情報処理装置10は、例えばUSBケーブル等を介してモータ制御装置20と有線通信可能に接続される。
【0038】
ここで、情報処理装置10の詳細な構成を説明する前に、モータ制御装置20について説明する。
【0039】
モータ制御装置20は、情報処理装置10が設定したアンプ設定値、及び、コントローラ30から送信された駆動指令等に基づいて、サーボモータ50の駆動を制御するサーボアンプである。モータ制御装置20は、駆動制御部21と、計測部22と、出力部23とを有する。
【0040】
駆動制御部21は、例えばサーボモータ50の実際の動作位置又はサーボモータ50の実際の動作速度が駆動指令に追従することができるように、所定の駆動電流をサーボモータ50に出力することで、サーボモータ50の駆動をリアルタイムで制御する。例えば、駆動制御部21は、情報処理装置10から送信されたアンプ設定値を受信し、アンプ設定値を受信した後に、コントローラ30から送信されたサーボモータ50を駆動するための駆動指令を受信する。また、駆動制御部21は、サーボモータ50の検出器から送信された動作検出値を受信する。
【0041】
駆動制御部21は、アンプ設定値、駆動指令及び動作検出値に基づいて、サーボモータ50の駆動電流を適切に出力することで、アンプ設定値で設定されたサーボモータ50の動作位置、動作速度、トルク等が動作検出値に一致するように駆動電流を出力する。つまり、駆動制御部21は、サーボモータ50とモータ制御装置20との間で生じる遅延時間を解消するように、駆動電流を出力する。
【0042】
駆動制御部21は、サーボモータ50を制御する際に、駆動制御部21の処理時間を計測部22に計測させるための計測指示を計測部22に出力する。駆動制御部21は、アンプ設定値、駆動指令等に基づいて、サーボモータ50に所定の動作を複数回、繰り返し実行させるため、それぞれの所定の動作の制御周期ごとにサーボモータ50を制御するためのタスクの処理時間を、計測部22に計測させる。また、所定の動作は複数存在するため、駆動制御部21は、複数の動作それぞれに、タスクの処理時間を計測部22に計測させる。
【0043】
計測部22は、モータ制御装置20の駆動制御部21が取得したアンプ設定値、駆動指令及び動作検出値に基づいて、モータ制御装置20がタスクを実行した際に、複数のタスクを含む制御周期ごとに、複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する。つまり、計測部22は、駆動制御部21がサーボモータ50を制御している間、アンプ設定値、駆動指令及び動作検出値に基づいて実行される複数のタスクそれぞれの処理時間を1つの制御周期単位で計測する。本実施の形態では、モータ制御装置20は1つの動作を複数回繰り返すようにサーボモータ50を周期的に制御するため、計測部22は、サーボモータ50の1つの制御周期(1周期)ごとに実行される複数のタスクのそれぞれの処理時間を計測する。1つの制御周期には複数のタスクが組み合わされているため、サーボモータ50は1つの制御周期ごとに所定の動作を実行する。計測部22は、計測した処理時間を示す時間情報を出力部23に出力する。計測部22は、処理時間解析システムの構成要素に含まれる。
【0044】
出力部23は、計測部22が計測した複数のタスクそれぞれの時間情報を出力するインターフェイスである。出力部23は、複数のタスクを含むモータ制御装置20の制御周期ごとに複数の時間情報を出力する。つまり、出力部23は、計測部22から複数のタスクそれぞれの時間情報を、1つの制御周期単位で情報処理装置10に出力する。具体的には、出力部23は、情報処理装置10と有線又は無線通信可能に接続され、1つの制御周期ごとに複数のタスクそれぞれの時間情報を纏めて出力する。出力部23は、処理時間解析システムの構成要素に含まれる。
【0045】
ここで、情報処理装置10の説明に戻る。
【0046】
情報処理装置10は、例えばパーソナルコンピュータ等の端末機器であり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の処理部11と、入力を受け付ける入力部12と、制御プログラムを記録する記憶部13とを有し、情報処理に応じて各制御を行う。
【0047】
処理部11は、記憶部13に記憶されている専用のアプリケーション等の制御プログラムを起動させることで、出力部23が出力した複数の時間情報を示す処理時間を集計し、集計した複数の処理時間のヒストグラムを生成する。つまり、処理部11は、取得した複数のタスクの時間情報に示される処理時間を、1つの制御周期単位で集計する。具体的には、処理部11は、1つの制御周期に含まれる複数のタスクの平均処理時間、及び、1つの制御周期に含まれる複数のタスクそれぞれの処理時間等を、1つの制御周期単位で記憶部13に記憶させたり、生成したヒストグラム等を表示部40に表示させたりする。1つのヒストグラムは、サーボモータ50が繰り返し行う1つの動作に相当する。本実施の形態では、1つのヒストグラムは、サーボモータ50による同一の1000回分の動作により求められる。処理部11は、処理時間解析システムの構成要素に含まれる。
【0048】
また、処理部11は、集計した複数の時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値未満であれば、集計した複数の時間情報の結果として第1色に決定する。また、処理部11は、集計した複数の時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値以上、第1値よりも大きい第2値未満であれば、集計した複数の時間情報の結果として第1色と異なる第2色に決定する。また、処理部11は、集計した複数の時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第2値以上であれば、集計した複数の時間情報の結果として第1色及び第2色と異なる第3色に決定する。処理部11は、決定した色を用いて処理時間をメータ化し、メータ化した処理時間を表示部40に表示させる。所定の処理時間は、集計した複数の時間情報に示される処理時間のうちの、任意の時間、最大時間、1つの制御周期において集計した複数の時間情報の平均値等である。
【0049】
また、生成した複数のヒストグラムにおいて、複数の極値を有するヒストグラムが存在する場合、表示部40は、複数の極値を有するヒストグラムを優先的に表示する。つまり、処理部11は、複数のヒストグラムから複数の極値を有するヒストグラムを抽出し、抽出した複数の極値を有するヒストグラムを表示部40に表示させる。
【0050】
また、処理部11は、入力部12を介して任意のタスクが選択された場合、選択されたタスクの内容を表示する。処理部11は、例えば表示部40に表示されたヒストグラムを構成する複数の制御周期のうちから所定の制御周期が選択された場合、選択された制御周期を構成する複数のタスクの内容を表示する。なお、処理部11は、制御周期を構成する複数のタスクのうち、影響度の高いタスクを優先的に表示させてもよく、複数のタスクの全てを表示させてもよく、表示態様は特に限定されない。ここで影響度の高いタスクとは、モータ制御装置20がサーボモータ50を制御する上で優先度の高い処理タスク(重要度の高い処理タスク)である。
【0051】
入力部12は、情報処理装置10への入力を受け付ける。例えば、入力部12は、キーボード等の文字情報入力デバイス、マウス及びタッチパネル等のポインティングデバイス等の操作入力を受け付ける操作部である。入力部12が入力された指示を処理部11に出力することで、例えば処理部11が指示に応じたタスクの処理時間等を表示部40に表示する。
【0052】
記憶部13は、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等の記憶媒体であり、生成されたヒストグラム、1つの制御周期単位ごとにまとめられた複数のタスクそれぞれの処理時間、処理時間解析システム及びモータ制御装置20の処理を実行するためのアプリケーション等の制御プログラム等を記憶する。記憶部13は、コンピュータその他の装置及び機械等が記録された制御プログラム等の情報を読み取り可能なように、当該制御プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的又は機械的作用によって蓄積する媒体である。
【0053】
コントローラ30は、サーボモータ50を駆動するための動作位置、動作速度、トルク、ゲイン及び電流等の駆動指令をモータ制御装置20に出力する。これにより、モータ制御装置20は、アンプ設定値、駆動指令及び動作検出値に基づいてサーボモータ50を駆動する。コントローラ30は、CPU、メモリ等を有し、モータ制御装置20を制御するために様々な演算処理を実行することができるように構成されている。コントローラ30は、ネットワークを介して、モータ制御装置20と有線又は無線通信可能に接続される。本実施の形態では、コントローラ30は、例えばLANケーブル等のネットワークケーブルを介してモータ制御装置20と有線通信可能に接続される。
【0054】
表示部40は、処理部11が生成したヒストグラムを表示したり、ヒストグラムとヒストグラムの頻度に対応した複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報とを表示したり、メータ化された時間情報を表示したりする。また、表示部40は、単に、複数の制御周期それぞれに計測された時間情報を表示する。表示部40は、液晶表示デバイス又は有機ELデバイス等の表示デバイスである。表示部40は、処理時間解析システムの構成要素に含まれる。
【0055】
<処理>
まず、処理時間解析システムの処理について、図2等を用いて説明する。
【0056】
図2は、実施の形態における処理時間解析システムの処理を示すシーケンス図である。
【0057】
図2に示すように、制御システム1において、情報処理装置10は、電流等の動作検出値の調節を行うためのアンプ設定値を生成する(S11)。情報処理装置10は、サーボモータ50の軸の動作位置、動作速度、トルク、ゲイン及び電流等のアンプ設定値を生成し、生成したアンプ設定値を、USBケーブルを介してモータ制御装置20に出力する。
【0058】
モータ制御装置20は、アンプ設定値を取得すると、取得したアンプ設定値を、サーボモータ50を駆動するための設定値として有効化する(S21)。これにより、モータ制御装置20は、有効化された設定値でサーボモータ50を駆動する。
【0059】
また、コントローラ30は、動作位置、動作速度、トルク、ゲイン及び電流等の駆動指令を、ネットワークケーブルを介してモータ制御装置20に出力する(S31)。
【0060】
モータ制御装置20は、駆動指令を取得すると、アンプ設定値、駆動指令及び動作検出値に基づいて、アンプ設定値に示される動作位置、動作速度、トルク、ゲイン及び電流等に応じてサーボモータ50を制御するための複数のタスクを実行し、サーボモータ50を制御する。この際、情報処理装置10は、サーボモータ50を制御するためのタスクの処理時間を計測させる計測指示をモータ制御装置20に出力する(S12)。なお、情報処理装置10は、計測指示の出力を、コントローラ30の駆動指令と同期させて出力してもよい。この場合、情報処理装置10は、コントローラ30と通信可能に接続されることで、同期させることができる。
【0061】
モータ制御装置20は、情報処理装置10から計測指示を取得すると、複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する(S22)。モータ制御装置20が複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する様子を、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態における処理時間解析システムの1つの動作周期を構成する複数のタスクそれぞれに計測した処理時間を示す図である。
【0062】
図3では、1つの動作周期において、複数のタスクを実行する例を示している。この例では、モータ制御装置20の駆動制御部21がタスクBの実行を開始すると同時に、モータ制御装置20の計測部22は、タスクBの処理時間の計測を開始する。タスクBを実行後、タスクBよりも優先度の高いタスクAが割り込まれたため、計測部22は、タスクBの処理時間の計測を終了し、計測した処理時間を示す時間情報をメモリ等に一時的に格納する。計測部22は、タスクAの処理時間の計測をすることで、タスクAの処理時間を示す時間情報もメモリ等に一時的に格納する。このように、残りのタスクにおいても同様に処理時間を示す時間情報をメモリ等に保存する。こうして、駆動制御部21は、1つの動作周期における複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する。つまり、駆動制御部21は、サーボモータ50を制御している間、アンプ設定値、駆動指令及び動作検出値に基づいて実行される複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する。モータ制御装置20は、1つの動作周期に含まれる複数のタスクの全ての処理時間の計測が完了したら、非割り込みタスクとして計測した複数の時間情報の全てを情報処理装置10に送信する。このように、全てのタスクを実行し、全ての時間情報の送信が完了して、1つの動作周期が完了する。モータ制御装置20は、この動作周期を所定回数繰り返す。
【0063】
情報処理装置10は、出力部23が出力した複数の時間情報を示す処理時間を集計し、集計した複数の処理時間に基づいて、モータ制御装置20が繰り返し実行する制御周期の複数のタスクの全ての処理時間を示すヒストグラムを生成する(S13)。具体的には、情報処理装置10は、サーボモータ50が所定の動作を繰り返して行う複数の制御周期において、1つの制御周期に含まれる複数のタスクの平均処理時間、及び、1つの制御周期に含まれる複数のタスクそれぞれの処理時間等をそれぞれ纏めたヒストグラムを生成する。
【0064】
情報処理装置10は、それぞれ種類の異なるサーボモータ50の動作に応じて、サーボモータ50のヒストグラムのそれぞれを生成する。情報処理装置10は、生成したそれぞれのヒストグラムを表示部40に出力する(S14)。これにより、表示部40は、情報処理装置10が生成した複数のヒストグラムのそれぞれを表示する。このようにして制御システム1は処理を終了する。
【0065】
次に、表示部40が表示する表示態様の例を示す。なお、以下では、タスクA、B、C、D、Eを用いて説明するが、制御周期に含まれるタスクの種類及び数はこれらに限定されず、あくまでも一例である。
【0066】
まず、情報処理装置10の処理部11が生成したヒストグラムについて説明する。
【0067】
図4は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てをヒストグラム化した表示形態を示す図である。図4では、縦軸が頻度を表し、横軸が予め設定された時間において、制御周期ごとのタスクの平均処理時間が占める割合である。図4は、通常の動作時における処理時間が正規分布として示される。図4では、500個の制御周期分を例示している。
【0068】
図5は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てをヒストグラム化した別の表示形態を示す図、及び、ヒストグラムから複数の極値を選択した場合に表示される所定の制御周期における複数のタスク(Task)それぞれの処理時間を示す図である。図5のヒストグラムは、複数の極値を有し、この例では分布が二極化している。図4図5とを比較すると、明らかなように、図4では極値がRange31%-32%であるが、図5ではRange31%-32%の第1極値と、Range40%-41%の第2極値とが表れている。
【0069】
ユーザは、入力部12を介してヒストグラムを構成する所望の棒グラフを選択することができる。例えば、Range31%-32%及びRange40%-41%の棒グラフが選択されると、表示部40には、矩形の破線で示すように、Range31%-32%に対応する複数のタスクそれぞれの処理時間と、Range40%-41%に対応する複数のタスクそれぞれの処理時間とが表示される。なお、矩形の破線で示される複数のタスクそれぞれの処理時間は、例えば、Range31%-32%の棒グラフの頻度93のうちの任意の一頻度(1つの制御周期)を表示してもよく、選択された棒グラフの頻度93を構成する複数のタスクそれぞれの平均値(タスクAの平均値、タスクBの平均値・・・)を表示してもよい。
【0070】
ヒストグラムを構成する一頻度ごとに対応する複数のタスクが紐付けられているため、表示部40は、ヒストグラムの一頻度ごとの複数のタスクの処理時間を表示することができる。例えば、ヒストグラムを構成する所定の棒グラフが選択されれば、表示部40は、ヒストグラムとともに、棒グラフを構成する1つの制御周期単位における複数のタスクの処理時間を表示する。
【0071】
矩形の破線で示される複数のタスクそれぞれの処理時間を見ると、Range40%-41%の棒グラフでは、タスクDの処理時間が他のタスクに比べて長くなり、処理負荷が増大していることが判る。ユーザがタスクDを選択すると、表示部40には、タスクDの内容が表示される。内容は、通信処理等の処理内容である。例えば、タスクDが通信処理に関する内容であれば、ユーザは、通信処理に基づいて通信環境の変動によって処理時間が長くなる等の原因を認識することができるようになる。
【0072】
なお、図4及び図5では、それぞれ1つのヒストグラムを表示しているが、複数のヒストグラムが比較できるように表示してもよく、表示態様については特に限定されない。
【0073】
次に、ヒストグラムの表示について、別の例を図6で示す。
【0074】
図6は、繰り返し実行する複数の制御周期のうちの所定の制御周期に含まれる複数のタスクそれぞれの処理時間を別の表示形態で示した図である。図6の(a)はRange31%-32%における頻度93のうちの一頻度(1つの制御周期)を例示したヒストグラムであり、図6の(b)はRange40%-41%における頻度172のうちの一頻度(1つの制御周期)を例示したヒストグラムである。図6の(a)及び(b)では、縦軸はタスクの種類を示し、横軸は予め設定された時間に対する複数のタスクそれぞれの処理時間の割合を示す。図6に示すように、表示部40には、制御周期だけを表示し、図4及び図5のようなヒストグラムを表示しなくてもよい。また、表示部40は、図6の(a)及び(b)が比較可能に、図6の(a)及び(b)を同時に表示してもよい。
【0075】
次に、ヒストグラムの表示について、別の例を図7で示す。
【0076】
図7は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てを複数のタスクそれぞれにヒストグラム化した別の表示形態を示す図である。例えば、図7では、複数の制御周期における全タスクAの平均処理時間を示し、タスクB、C、D、Eについても同様である。図7でも、図4及び図5のようなヒストグラムを表示しなくてもよい。図7でも、タスクDの処理時間が他のタスクに比べて長くなり、処理負荷が増大していることが判る。
【0077】
次に、ヒストグラムの表示について、別の例を図8で示す。
【0078】
図8は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てにおいて、複数のタスクそれぞれにヒストグラム化した表示形態を示す図である。図8では、タスクA、B、C、D、Eのそれぞれの処理時間をヒストグラム化して表示部40に表示している。図8の(a)~(e)では、縦軸は頻度を示し、横軸は予め設定された時間に対するタスクA、B、C、D、Eの処理時間の割合を示す。表示部40は、タスクA、B、C、D、Eのうちの一部を同時に表示させてもよく、全てを同時に表示させてもよい。
【0079】
次に、ヒストグラムの表示について、別の例を図9で示す。
【0080】
図9は、繰り返し実行する複数の制御周期の全てにおいて、複数のタスクそれぞれの最大処理時間を組み合わせたパターンをメータ化し、メータ化した処理時間の長さに応じてステータスの色を変化させた場合を示す図である。
【0081】
情報処理装置10は、図9に示すように、それぞれのタスクを組み合わせたパターン(制御周期)を作ることで、パターンの処理時間をシミュレートすることができる。パターンAは、タスクA、B、Cのそれぞれの最大処理時間を1つの制御周期として組み合わせたときの、予め設定された時間に対する合計の最大処理時間の割合(Range)である。パターンAでは、第1値未満であるため、第1色としての緑色で示す。パターンBは、タスクA,B、C、Dのそれぞれの最大処理時間を1つの制御周期として組み合わせたときの、予め設定された時間に対する合計の最大処理時間の割合である。パターンBでは、第1値以上第2値未満であるため、第2色としての黄色で示す。パターンCは、タスクA,B、C、D、Eのそれぞれの最大処理時間を1つの制御周期として組み合わせたときの、予め設定された時間に対する合計の最大処理時間の割合である。パターンCでは、第2値以上であるため、第3色としての赤色で示す。このシミュレートから、パターンA、Bの合計の処理時間には問題ないが、パターンCでは予め設定された時間を超えているため、モータ制御装置20の処理として、パターンCの組み合わせを採用しなくてもよい。処理時間に問題のないパターンA、Bを、モータ制御装置20に出力してもよい。
【0082】
なお、情報処理装置10は、処理時間が予め設定された時間を超えない最大のパラメータをマニュアル等に自動的に記載してもよい。
【0083】
なお、上述した図4図9のグラフについては、それぞれ記憶部13に保存することが可能である。
【0084】
次に、情報処理装置10の処理について説明する。
【0085】
図10は、実施の形態における処理時間解析システムの情報処理装置10の処理を示すフローチャートである。
【0086】
情報処理装置10は、記憶部13に記憶されている専用のアプリケーション等の制御プログラムを起動させる。これにより、以下の処理が実行される。
【0087】
情報処理装置10は、図10に示すように、複数のタスクそれぞれの処理時間の計測から集計までの処理の繰り返し(ループ)を開始する。まず、情報処理装置10の処理部11は、モータ制御装置20から複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報をすでに取得しているとき、当該時間情報(後述する集計された時間情報)を表示部40に出力する(S41)。
【0088】
処理部11は、タスクの処理時間を計測させる計測指示をモータ制御装置20に出力する(S42)。モータ制御装置20の駆動制御部21は、計測指示を取得すると、動作ごとに実行される複数の制御周期において、複数のタスクそれぞれの処理時間を計測部22に計測させる。
【0089】
処理部11は、複数のタスクそれぞれの時間情報を取得したか否かを判定する。処理部11は、複数のタスクそれぞれの時間情報を取得していない場合(S43でNO)、ステップS48に進む。また、計測部22は、1つの制御周期ごとに計測された複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を、出力部23を介して、情報処理装置10に出力する。このとき、処理部11は、複数のタスクそれぞれの時間情報を取得しているため(S43でYES)、取得した複数のタスクそれぞれの時間情報を纏める(S44)。例えば、処理部11は、取得した時間情報にしめされる1つの制御周期単位において、複数のタスクの平均処理時間、及び、1つの制御周期に含まれる複数のタスクそれぞれの処理時間等を纏める。
【0090】
処理部11は、1つの制御周期に含まれる複数のタスクの処理時間のうち、最大処理時間を抽出し、最大処理時間が第1値未満であるか否かを判定する(S45)。処理部11は、最大処理時間が第1値未満であれば(S45でYES)、集計した複数の時間情報の結果を第1色に決定する。処理部11は、第1色としての緑色に決定し(S47a)、例えば処理時間をメータ化してメータのステータスを緑色で表示させる。
【0091】
処理部11は、最大処理時間が第1値以上であれば(S45でNO)、最大処理時間が第1値よりも大きい第2値未満であるか否かを判定する(S46)。処理部11は、最大処理時間が第2値未満であれば(S46でYES)、集計した複数の時間情報の結果を第1色と異なる第2色に決定する。処理部11は、第2色としての黄色に決定し(S47b)、例えば処理時間をメータ化してメータのステータスを黄色で表示させる。
【0092】
処理部11は、最大処理時間が第2値以上であれば(S46でNO)、集計した複数の時間情報の結果を第1色及び第2色と異なる第3色に決定する。処理部11は、第3色としての赤色に決定し(S47c)、例えば処理時間をメータ化してメータのステータスを赤色で表示させる。
【0093】
処理部11は、ステップS47a、S47b、S47cのいずれかの処理を経た後、1つの制御周期ごとに複数の時間情報を示す処理時間を集計し、集計した複数の処理時間のヒストグラムを生成する(S48)。つまり、処理部11は、1つの制御周期に含まれる複数のタスクそれぞれの処理時間を集計して、ヒストグラムを生成する。そして、処理は、ステップS41に戻り、同様の処理を繰り返す。このとき、ステップS41では、処理部11は、モータ制御装置20から複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報をすでに取得しているため、当該時間情報を表示部40に出力する。
【0094】
また、処理部11は、ステップS41において、モータ制御装置20から複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を取得しているため、集計された時間情報である生成したヒストグラムを表示部40に出力することで、ヒストグラムを表示部40に表示させる(S49)。表示部40は、ヒストグラムを表示したり、ヒストグラムの一頻度ごと(1つの制御周期ごと)に、複数のタスクそれぞれの処理時間を表示したり(S50)、メータ化された処理時間を表示したりする。
【0095】
また、処理部11は、生成したヒストグラム、1つの制御周期単位ごとに複数のタスクの処理時間を記憶部13に保存する(S51)。このようにして情報処理装置10は処理を終了する。
【0096】
<作用効果>
次に、本実施の形態に係る処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0097】
上述したように、本実施の形態に係る処理時間解析システムは、モータ制御装置20が実行する複数のタスクそれぞれの処理時間を計測する計測部22と、計測部22が計測した複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を出力する出力部23と、出力部23が出力した複数の時間情報に示される処理時間を集計し、集計した複数の処理時間のヒストグラムを生成する処理部11と、生成したヒストグラムを表示する表示部40とを備える。
【0098】
これによれば、処理部11は、複数のタスクそれぞれの処理時間を集計し、集計した複数の処理時間に基づいたヒストグラムを生成することができる。表示部40が生成されたヒストグラムを表示することで、ユーザは、ヒストグラムから、複数のタスクそれぞれの処理時間を認識することができるようになる。
【0099】
したがって、この処理時間解析システムでは、処理が行われたタスクの内容を確認することができる。
【0100】
特に、複数のタスクのうちの所定のタスクの処理時間が、他のタスクの処理時間よりも大きくなっているタスクが存在する場合、ユーザは、タスクの内容を確認することができるため、例えば組み込みの環境に依存するものであるか、タスクの動作パラメータによるものかを判断することができる。
【0101】
また、処理時間解析方法は、モータ制御装置20が実行する複数のタスクそれぞれの処理時間を計測し、計測した複数のタスクそれぞれの処理時間を示す時間情報を出力し、出力した複数の時間情報を示す処理時間を集計し、集計した複数の処理時間のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムを表示することを含んでいてもよい。
【0102】
この処理時間解析方法においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0103】
また、プログラムは、処理時間解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとしてもよい。
【0104】
このプログラムにおいても上述と同様の作用効果を奏する。
【0105】
また、処理時間解析システムにおいて、表示部40は、ヒストグラムの頻度に対応した複数のタスクそれぞれの処理時間を表示してもよい。
【0106】
これによれば、ユーザは、ヒストグラムから複数のタスクそれぞれの処理時間を認識することができる。
【0107】
また、処理時間解析システムにおいて、計測部22は、複数のタスクを含む制御周期ごとに、複数のタスクそれぞれの処理時間を計測し、出力部23は、複数の制御周期それぞれに計測された複数の時間情報を出力してもよい。
【0108】
これによれば、複数の制御周期それぞれに複数のタスクそれぞれの処理時間を表示することができる。このため、表示部40は、例えば、制御周期単位で複数のタスクだけを表示部40に並べて配置したり、複数のタスクをヒストグラムとともに並べて表示したりすることができる。このため、ユーザは、複数の制御周期を比較したり、ヒストグラムとともに閲覧したりすることができる。
【0109】
また、処理時間解析システムにおいて、表示部40は、タスクの内容を表示してもよい。
【0110】
これによれば、表示部40は、ユーザが閲覧したいタスクの内容を表示することができる。また、表示部40は、複数の制御周期それぞれにタスクの内容を表示することもできる。また、表示部40は、複数のタスクのうち、影響度の高いタスクも表示することができる。これにより、ユーザは、タスクの内容を把握することができるため、処理時間が長くなった原因を探ることができる。
【0111】
また、処理時間解析システムでは、生成した複数のヒストグラムにおいて、複数の極値を有するヒストグラムが存在する場合、表示部40は、複数の極値を有するヒストグラムを優先的に表示してもよい。
【0112】
これによれば、複数の極値を有するヒストグラムは、モータ制御装置20に大きな処理負荷が加わっている場合がある。表示部40は、モータ制御装置20に大きな処理負荷が加わっている可能性の高いヒストグラムについての複数のタスクそれぞれの処理時間を優先的に表示することができる。このため、ユーザは、処理負荷の大きいタスクの原因を容易に探ることができる。
【0113】
また、処理時間解析システムにおいて、処理部11は、集計した複数の時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値未満であれば、集計した複数の時間情報の結果として第1色に決定し、集計した複数の時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第1値以上、第1値よりも大きい第2値未満であれば、集計した複数の時間情報の結果として第1色と異なる第2色に決定し、集計した複数の時間情報に示される処理時間のうちの所定の処理時間が第2値以上であれば、集計した複数の時間情報の結果として第1色及び第2色と異なる第3色に決定し、決定した色を用いて処理時間をメータ化し、表示部40は、メータ化された処理時間を表示してもよい。
【0114】
これによれば、処理時間をメータ化することができるため、メータ化したステータスを色付けにより強調することができる。また、表示部40は、予め設定された第2値に対する処理時間の残りの時間の割合である余裕度も表示することができる。
【0115】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラムについて、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0116】
例えば、上記実施の形態に係る処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラムにおいて、コントローラは、モータ制御装置と通信可能に接続されているが、情報処理装置を介してモータ制御装置と通信可能に接続されてもよい。また、モータ制御装置が複数設けられる場合、情報処理装置は複数のモータ制御装置と一対一で設けられていてもよく、複数の情報処理装置は1台のコントローラによって管理されていてもよい。また、モータ制御装置には、複数のサーボモータが制御可能に接続され、複数のサーボモータを同時に制御してもよい。
【0117】
また、上記実施の形態に係る処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラムにおいて、処理時間解析システムには、ノイズ除去のために特定の周波数をカットするノッチフィルタ等のフィルタ部が設けられてもよい。この場合、処理時間解析システムでは、ノッチフィルタの数と、複数のタスクそれぞれの処理時間とに基づいて、ノッチフィルタを用いる数を調節してもよい。例えば、A個のノッチフィルタを用いた場合のパターン1の処理時間が第2値未満であり、A個よりも多いB個のノッチフィルタを用いたパターン2の処理時間が第2値以上であれば、処理時間解析システムは、パターン1をモータ制御装置に出力してもよい。
【0118】
また、上記実施の形態に係る処理時間解析システム、処理時間解析方法及びプログラムに含まれる各部は典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0119】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0120】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0121】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0122】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0123】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0124】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示は、サーボシステムにより動作する機械等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 制御システム(処理時間解析システム)
11 処理部
20 モータ制御装置
22 計測部
23 出力部
40 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10