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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/37 20200101AFI20241129BHJP
   D06F 33/57 20200101ALI20241129BHJP
【FI】
D06F33/37
D06F33/57
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021161202
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050863
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】手島 賢
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2019/039141(JP,A1)
【文献】特開2021-003272(JP,A)
【文献】特開2020-185473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/37
D06F 33/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動投入動作に関する報知を報知部に報知させる洗濯機であって、
筐体内に弾性支持された外槽と、
液剤を収容するタンクと、
前記タンクに収容された液剤を前記外槽に向けて投入する自動投入装置と、
前記タンクにおける液剤の液面に応じて移動可能に設けられ、磁性体を有するフロートと、
前記磁性体の磁気を検知する磁気センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動投入装置の駆動時における前記磁気センサの出力値の監視を行い、
前記監視において、
所定の基準出力値からの変動量が、第3の閾値と前記第3の閾値よりも大きい第1の閾値との間に位置し、かつ、前記出力値の変化率が、第2の閾値よりも小さくなった場合、前記報知部に異常報知させ、
前記変動量が第1の閾値以上であり、かつ、前記変化率が第2の閾値よりも小さくなった時点を基準に、前記報知部に液剤の残量少を報知させるタイミングを決定する、洗濯機。
【請求項2】
前記制御部は、前記監視において、前記変化率が前記第2の閾値よりも小さく、かつ、前記変動量が第3の閾値よりも小さくなった場合、前記液剤残量少を報知しないように制御する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
自動投入動作に関する報知を報知部に報知させる洗濯機であって、
筐体内に弾性支持された外槽と、
液剤を収容するタンクと、
前記タンクに収容された液剤を前記外槽に向けて投入する自動投入装置と、
前記タンクにおける液剤の液面に応じて移動可能に設けられ、磁性体を有するフロートと、
前記磁性体の磁気を検知する磁気センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動投入装置の駆動時における前記磁気センサの出力値の監視を行い、
前記監視において、所定の基準出力値からの変動量が第1の閾値以上、かつ、前記出力値の変化率が第2の閾値よりも小さくなった時点を基準に、前記報知部に液剤の残量少を報知させるタイミングを決定し、
前記タンクは、少なくとも、第1のタンクと、前記第1のタンクと異なる形状の第2のタンクと、を含み、
前記第1のタンクおよび前記第2のタンクには、同形状の前記フロートがそれぞれ設けられ、前記第1のタンク内における前記フロートの移動可能範囲と、前記第2のタンクにおける前記フロートの移動可能範囲と、が異なり、
前記制御部は、前記第1のタンクにおける前記監視と、前記第2のタンクにおける前記監視と、で前記第1の閾値を異ならせる
濯機。
【請求項4】
自動投入動作に関する報知を報知部に報知させる洗濯機であって、
筐体内に弾性支持された外槽と、
液剤を収容するタンクと、
前記タンクに収容された液剤を前記外槽に向けて投入する自動投入装置と、
前記タンクにおける液剤の液面に応じて移動可能に設けられ、磁性体を有するフロートと、
前記磁性体の磁気を検知する磁気センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動投入装置の駆動時における前記磁気センサの出力値の監視を行い、
前記監視において、所定の基準出力値からの変動量が第1の閾値以上、かつ、前記出力値の変化率が第2の閾値よりも小さくなった時点を基準に、前記報知部に液剤の残量少を報知させるタイミングを決定し、
前記タンクは、少なくとも、第1のタンクと、前記第1のタンクと異なる第2のタンクと、を含み、
前記フロートは、前記第1タンクに設けられた第1フロートと、前記第2タンクに設けられた第2フロートとを備え、
前記第1フロートは、前記第1タンク内の液剤の減少に応じて、前記第1タンクの内底面に接触して停止し、
前記第2フロートは、前記第2タンク内の液剤の減少に応じて、前記磁気センサに対向する前記第2タンクの内側面に接触して停止し、
前記制御部は、前記第1のタンクにおける前記監視と、前記第2のタンクにおける前記監視と、で前記第1の閾値を異ならせる
濯機。
【請求項5】
自動投入動作に関する報知を報知部に報知させる洗濯機であって、
筐体内に弾性支持された外槽と、
液剤を収容するタンクと、
前記タンクに収容された液剤を前記外槽に向けて投入する自動投入装置と、
前記タンクにおける液剤の液面に応じて移動可能に設けられ、磁性体を有するフロートと、
前記磁性体の磁気を検知する磁気センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動投入装置の駆動時における前記磁気センサの出力値の監視を行い、
前記監視において、所定の基準出力値からの変動量が第1の閾値以上、かつ、前記出力値の変化率が第2の閾値よりも小さくなった時点を基準に、前記報知部に液剤の残量少を報知させるタイミングを決定し、
前記タンクは、少なくとも、第3のタンクと、前記第3のタンクより大きな容量を有する第4のタンクと、を含み、
前記制御部は、前記監視において、前記変動量が第1の閾値以上、かつ、前記変化率が第2の閾値よりも小さくなった時点を基準に、前記報知部に前記残量少を報知させるまでの液剤の吐出に関するカウントを開始し、
前記第4のタンクに対する前記カウントは、前記第3のタンクに対する前記カウントよりも大きい
濯機。
【請求項6】
複数の前記タンクは、深さが異なる、
請求項のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記基準出力値は、前記タンクが前記自動投入装置に装着されていないときに前記磁気センサが出力する前記出力値である、請求項1~のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記タンクが前記自動投入装置に装着された状態で前記タンクを収容するタンク収容部を備え、
前記制御部は、前記監視において、前記変動量が第4の閾値よりも大きい場合、前記タンクが前記自動投入装置に装着されていると判定し、
前記第4の閾値は、前記第1の閾値よりも小さい、
請求項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記タンクは、異なる種類の液剤を収容する複数のタンクを含み、
前記制御部は、前記監視において、前記磁気センサの出力値に応じて前記タンクが収容する液剤の種類を判定する、
請求項1~のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項10】
自動投入動作に関する報知を報知部に報知させる洗濯機であって、
筐体内に弾性支持された外槽と、
液剤を収容するタンクと、
前記タンクに収容された液剤を前記外槽に向けて投入する自動投入装置と、
前記タンクにおける液剤の液面に応じて移動可能に設けられ、磁性体を有するフロートと、
前記磁性体の磁気を検知する磁気センサと、
制御部と、を備え、
前記タンクは、少なくとも、第3のタンクと、前記第3のタンクより大きな容量を有する第4のタンクと、を含み、
前記制御部は、
前記自動投入装置の駆動時における前記磁気センサの出力値の監視を行い、
前記監視において、所定の基準出力値からの変動量が第1の閾値以上、かつ、前記出力値の変化率が第2の閾値よりも小さくなった時点を基準に、前記報知部に液剤の残量少を報知させるまでの液剤の吐出に関するカウントを開始し、
前記第4のタンクに対する前記カウントは、前記第3のタンクに対する前記カウントよりも大きい、
洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、液体洗剤等の液剤を洗濯槽に自動投入する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、液剤を収容するタンクと、タンク内の液剤を洗濯槽に自動投入する自動投入装置とを備える。タンク内にはマグネットを内蔵したフロートが設けられており、タンクの側面に設けた磁気センサによってマグネットの磁気を検知する。磁気センサが出力する電圧値に基づいて、液剤の残量検知を行い、液剤の残量が少なくなったときに残量少を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/044306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、液剤の残量に関して所望のタイミングで報知することができる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の洗濯機は、自動投入動作に関する報知を報知部に報知させる洗濯機であって、筐体内に弾性支持された外槽と、液剤を収容するタンクと、前記タンクに収容された液剤を前記外槽に向けて投入する自動投入装置と、前記タンクにおける液剤の液面に応じて移動可能に設けられ、磁性体を有するフロートと、前記磁性体の磁気を検知する磁気センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記自動投入装置の駆動時における前記磁気センサの出力値の監視を行い、前記監視において、所定の基準出力値からの変動量が第1の閾値以上、かつ、前記出力値の変化率が第2の閾値よりも小さくなった時点を基準に、前記報知部に液剤の残量少を報知させるタイミングを決定する。
【0007】
また、本開示の別の態様の洗濯機は、自動投入動作に関する報知を報知部に報知させる洗濯機であって、筐体内に弾性支持された外槽と、液剤を収容するタンクと、前記タンクに収容された液剤を前記外槽に向けて投入する自動投入装置と、前記タンクにおける液剤の液面に応じて移動可能に設けられ、磁性体を有するフロートと、前記磁性体の磁気を検知する磁気センサと、制御部と、を備え、前記タンクは、少なくとも、第3のタンクと、前記第3のタンクより大きな容量を有する前記第4のタンクと、を含み、前記制御部は、前記自動投入装置の駆動時における前記磁気センサの出力値の監視を行い、前記監視において、所定の基準出力値からの変動量が第1の閾値以上、かつ、前記出力値の変化率が第2の閾値よりも小さくなった時点を基準に、前記報知部に前記残量少を報知させるまでのカウントを開始し、前記第4のタンクに対する前記カウントは、前記第3のタンクに対する前記カウントよりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、液剤の残量に関して所望のタイミングで報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る実施形態の洗濯機の模式断面図
図2】洗濯機の模式正面図
図3】自動投入ユニットの斜視図
図4】自動投入ユニットの斜視図
図5】自動投入ユニットの上面図
図6】自動投入ユニットの一部の斜視図
図7】ケースの斜視図
図8】自動投入ユニットの斜視断面図
図9】タンク及び液剤投入装置の斜視図
図10】タンクの分解図
図11】蓋の斜視図
図12A】タンクの断面図
図12B】マグネットとセンサとの距離と、出力電圧値との関係を示すグラフ
図13】フロートに関連する電子部品の模式図
図14】フロートの動作を示す模式図
図15】フロートの動作を示す模式図
図16A】他のタンクの断面図
図16B】他のタンクの断面図
図17A】他のタンクの断面図
図17B】他のタンクの断面図
図18】各タンクにおける液剤残量とセンサ出力値との関係を示すグラフ
図19】液剤の残量検知処理を説明したフローチャート
図20】センサ出力値の変化率の算出方法の一例を示すグラフ
図21】補充判定処理を説明したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る洗濯機について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す模式断面図である。図2は洗濯機1の模式正面図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有するドラム式洗濯機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15を洗浄するために用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、中性洗剤等を含む。
【0012】
図1に示すよう、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水口10と、排水弁11と、を備える。
【0013】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の前面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0014】
<外槽>
外槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3は水槽と称してもよい。外槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。外槽3の中心軸V0は、底部36の中心を通過する。中心軸V0は、水平に対して傾斜される。外槽3は、筐体2の開口20に面する位置に開口31を有し、ベローズ32によって、筐体2の開口20と密閉されて連結される。外槽3にはさらに通水のための開口33、35が設けられる。開口33は、接続流路8に接続される開口であり、開口35は外槽3の水を外部に排水するための排水口である。
【0015】
ここで、中心軸V0に沿った水平方向を前後方向M(図1)として、前後方向Mに直交する水平方向を幅方向K(図2)とする。前後方向Mは、開口31に向かう前側M1と、底部36に向かう後側M2とを有し、幅方向Kは、中心軸V0から離れる外側K1と、中心軸V0に向かう中心側K2とを有する。
【0016】
<内槽>
内槽4は、外槽3の内側において中心軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物15を収容する大略円筒状の部材である。内槽4は、ドラムと称してもよい。内槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は内槽4と外槽3とを連通させ、洗濯水が内槽4から外槽3に移動することを可能にする。内槽4はさらに、筐体2の開口20及び外槽3の開口31に面する位置に、開口41を有する。
【0017】
<駆動部>
駆動部5は、内槽4を中心軸V0周りで回転駆動させる部材である。駆動部5は例えば、内槽4を回転させるモータを有する。
【0018】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、液剤を貯蔵するタンクから、所定量の液剤を外槽3に自動で投入するユニットである。自動投入ユニット6は、洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、所定の種類の液剤を所定量において、外槽3に投入する。自動投入ユニット6は、外槽3に液剤を供給するために、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0019】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(タンク62B、62Cは図示せず)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63Cは図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65とを備える。
【0020】
図2に示すように、本実施形態の自動投入ユニット6は、筐体2の内部において、外槽3の斜め上方に設けられる。自動投入ユニット6は、筐体2の上面に設けられた開閉可能なカバー60に面する。自動投入ユニット6は、外槽3の筒部34の外周に沿った形状を有する。
【0021】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3に液剤を供給するための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0022】
<給水口>
図1に戻ると、給水口10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水口10は、筐体2の上部に設けられる。
【0023】
<排水弁>
排水弁11は、外槽3に溜められた水を外槽3の開口35を通じて排水するための弁である。排水弁11は開閉可能に構成され、外槽3に水を貯める貯水状態と、排水状態とを切り替える。排水弁11は、筐体2の下部に設けられる。
【0024】
<制御部>
制御部50(図1)は、洗濯機1の運転を制御する部材である。制御部は、駆動部5、自動投入ユニット6の液剤投入装置63A、63B、63C、給水口10、及び排水弁11等の洗濯機1の構成要素を制御する。制御部50は、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0025】
続いて、自動投入ユニット6の構成要素について、図3から図6を参照しながら説明する。図3及び図4は、自動投入ユニット6の斜視図である。図5は、自動投入ユニット6の上面図である。図6は、自動投入ユニット6の一部の斜視図である。
【0026】
<ケース>
図3に示すように、ケース61は、自動投入ユニット6を構成するタンク62A、62B、62Cと、手動投入部65とを収容する部材である。ケース61の底面55は、点線によって模式的に示す筒部34の外周に沿って、傾斜した形状を有する。
【0027】
ここで、ケース61の前側M1の面を前面56(図3)として、ケース61の後側M2の面を背面57(図4)とする。図4に示すように、ケース61の背面57には、液剤投入装置63A、63B、63C(図6)と、液剤吐出流路64と、接続流路8と、磁気センサ90とが接続される。
【0028】
<タンク>
図5に示すように、ケース61には、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んだ状態で収容される。タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。例えば、タンク62Aには中性洗剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。タンク62A、62B、62Cは、ケース61に対して取り外し可能である。タンク62A、62B、62Cを前側M1に引いて液剤投入装置63A、63B、63C(図6)から取り外し、上方に取り出すことができる。
【0029】
<手動投入部>
手動投入部65は、使用者が1回分の洗濯処理剤としての液剤を、手動で投入するための機構である。手動投入される液剤は、投入された量において、ケース61から接続流路8(図1)を介して外槽3(図1)に流入する。手動投入される液剤は、液体または粉末状であってもよい。手動投入部65は、取り外し可能にケース61に収容される。
【0030】
<液剤投入装置(自動投入装置)>
図6に示すように、液剤投入装置63A、63B、63Cはそれぞれ、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは「自動投入装置」と称してもよい。液剤投入装置63A、63B、63Cは、ケース61の背面57を介して、前後方向Mにそれぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。タンク62Aには液剤投入装置63Aが接続され、タンク62Bには液剤投入装置63Bが接続され、タンク62Cには液剤投入装置63Cが接続される。液剤投入装置63A、63B、63Cは、幅方向Kに並んで配置される。
【0031】
<液剤吐出流路>
図6に示すように、液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3(図1)に供給する流路部材である。液剤吐出流路64は、ケース61の背面57に設けられ、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される。液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。液剤吐出流路64を流れる流体(例えば、水W0)は、液剤吐出流路64の傾斜に応じて一方向に流れる。
【0032】
続いて、自動投入ユニット6のケース61の構造について、図7を参照しながらより詳細に説明する。図7はケース61の斜視図である。
【0033】
図7に示すように、ケース61は、内底面B1、B2、B3を有する。内底面B1、B2、B3は外側K1に沿って順番に並ぶ。内底面B1は、タンク62A(図6)の直下に位置する面であり、内底面B2は、タンク62B(図6)の直下に位置する面であり、内底面B3は、タンク62C(図6)の直下に位置する面である。
【0034】
ケース61の背面57には、タンク接続口77A、77B、77Cと、第1ケース接続口78と、第2ケース接続口79と、液剤出口81とが形成される。
【0035】
タンク接続口77A、77B、77Cは、ケース61に収容されたタンク62A、62B、62Cと、ケース61の外部に配置された液剤投入装置63A、63B、63Cとの接続のために設けられた開口である。
【0036】
第1ケース接続口78及び第2ケース接続口79は、液剤吐出流路64をケース61に接続する開口である。液剤出口81は、液剤吐出流路64からケース61に流入した流体と、手動投入部65から流れる流体を、接続流路8へ排出する開口である。
【0037】
ケース61に、タンク62A、62B、62Cを取り付けた状態について、図8を参照しながら、より詳細に説明する。図8は、自動投入ユニット6の斜視断面図である。
【0038】
図8に示すように、タンク62A、62B、62Cは、順に深さD1、D2、D3を有する。深さD1、D2、D3は、それぞれのタンク62A、62B、62Cの上面から最深部までの距離である。タンク62A、62B、62Cの深さD1、D2、D3は順に増加する。タンク62Bの深さD2はタンク62Aの深さD1より深く、タンク62Cの深さD3はタンク62Bの深さD2より深い。また、タンク62A、62B、62Cの上面が共通した形状を有するため、タンク62A、62B、62Cの容積は、深さD1、D2、D3に応じて、順に増加する。
【0039】
上述のように、タンク62A、62B、62Cには、それぞれ、中性洗剤、柔軟剤、洗剤が貯蔵される。液剤の使用頻度が低いものから順に、容量が小さい順のタンク62A、62B、62Cに収容することで、各タンク62A、62B、62Cにおける液剤の交換頻度を均一化できる。なお、液剤の組合せはこれらに限らず、別の種類の液剤を貯蔵してもよく、複数のタンクに同一の液剤が収容されてもよい。
【0040】
ここで、タンク62を、タンク62A、62B、62Cの総称とする。同様に、液剤投入装置63を、液剤投入装置63A、63B、63Cの総称とし、接続部76を、接続部76A、76B、76Cの総称とする。後続の説明において、タンク62の一例としてタンク62Cを基準に説明する。
【0041】
図9は、タンク62及び液剤投入装置63の斜視図である。図10は、タンク62の分解図である。
【0042】
図9に示すように、タンク62は、最深部において、接続部76を形成する。接続部76は、液剤投入装置63に接続される構造である。接続部76は、それぞれ、逆止弁(図示せず)と接続口とを備える。
【0043】
図10に示すように、タンク62は、本体87と、蓋88とを備える。本体87は、前面91と、背面92とを形成する箱状の容器である。本体87の上部は開口しており、蓋88に覆われている。蓋88は、本体87に取り外し可能に保持される蓋である。蓋88は、開閉可能な小蓋88Aを有する。
【0044】
本体87の上部は共通の形状を有し、蓋88の形状も共通である。蓋88は、任意のタンク62A、62B、62Cの本体87に取付可能なように共用化されている。共通な形状を有する蓋88を区別可能にするために、蓋88に付される色、模様、文字、その他美的表示は、異なってもよい。
【0045】
本体87の底面と対向する蓋88の裏面89には、フロート94が回転可能に設けられている。フロート94は、ケース61の背面57に配置される磁気センサ90(図6)とあわせて、タンク62の液剤残量を検知する機能を有する構成である。フロート94は、フロート回転軸V2の周りで回転可能に設けられている。
【0046】
図11は、蓋88の斜視図である。図11に示すように、フロート94は、第1アーム95と、第2アーム97と、浮き部98とを有する。
【0047】
第1アーム95は、蓋88に対して回転可能に取り付けられている棒状部材である。第1アーム95には第2アーム97が接続される。第2アーム97は、第1アーム95に接続される棒状部材であり、第1アーム95に対して折れ曲がる方向に延びる。2つのアーム95、97の接続点をアーム接続点P1とする。本実施形態において、アーム95、97は一体的に構成されており、第1アーム95が下方に延びた状態において、第2アーム97は斜め下方に延びる。
【0048】
浮き部98は、液剤に対して浮力を有する部材であり、第2アーム97の先端部に設けられる。浮き部98は、空気を収容した状態で密閉され、空洞を形成する。浮き部98は、液剤の液面LS1(図12A)に追従して、回転方向R2に沿って上下に移動する。浮き部98の移動に応じて、第1アーム95及び第2アーム97は一体的に回転する。
【0049】
フロート94について、図12Aを参照しながらより詳細に説明する。図12Aは、タンク62の断面図である。
【0050】
図12Aに示すように、フロート94は、アーム接続点P1の近傍にマグネット収容部96をさらに備える。マグネット収容部96は、マグネット99を収容する部分である。このような構造によって、マグネット収容部96の回転半径X1は、浮き部98の回転半径X2より小さい。そのため、フロート94が回転した場合、回転方向R1に沿ったマグネット収容部96の移動量は、回転方向R2に沿った浮き部98の移動量より小さい。
【0051】
本実施形態において、マグネット収容部96は第1アーム95に形成される。したがって、マグネット収容部96を磁気センサ90に近づけることができる。
【0052】
フロート回転軸V2は、蓋88に形成される凹部100に位置する。そのため、フロート回転軸V2は、タンク62における液剤の液面LS1が上昇した場合でも、液面LS1から離れている。よって、液剤がフロート回転軸V2に固着することを抑制でき、液面LS1に対するフロート94の追従性を向上できる。
【0053】
マグネット99は、磁気を発生させる磁性体であり、磁気センサ90によって検知される。マグネット99は、例えば、フェライトマグネットである。
【0054】
磁気センサ90は、対象物であるマグネット99を検知する近接センサである。本実施形態において、磁気センサ90は、磁束密度を検知するホールICを含み、ホールICを通過する磁束密度に応じて電圧値を出力する。磁気センサ90は、タンク62の背面92において、マグネット99による磁束線が通過するように配置される。
【0055】
フロート94の移動によってマグネット99が移動することに伴い、マグネット99と磁気センサ90との距離が変化し、それに応じて、磁気センサ90が出力する電圧値も変化する。ここで、マグネット99と磁気センサ90との間の距離と、磁気センサ90から出力される電圧値との関係を図12Bに例示する。
【0056】
図12Bに示すように、マグネット99と磁気センサ90との距離が減少するにつれて、磁気センサ90から出力される電圧値は単調減少する。また、マグネット99と磁気センサ90との距離が減少するにつれて、電圧出力値の変化率(減少率)は大きくなる。
【0057】
図12Aに戻ると、マグネット収容部96には蓋101が設けられる。蓋101は、例えば、振動溶着によってマグネット収容部96を封鎖する。蓋101は、マグネット収容部96の内部空間に向かって突出する突起102を有する。突起102によって、マグネット収容部96におけるマグネット99のガタツキを抑制する。
【0058】
磁気センサ90が出力する電圧値は、制御部50によって処理される。本実施形態の磁気センサ90は、図13に示す制御部50の処理部82及び記憶部83、並びに表示部84(図13)に接続される。
【0059】
図13は、フロート94に関連する電子部品の模式図である。図13に示すように、磁気センサ90に接続される制御部50は、処理部82と、記憶部83とを備える。
【0060】
処理部82は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。処理部82は、記憶部83に格納されたプログラムを呼び出して実行することにより、磁気センサ90から出力された電圧値に応じて、液剤残量の検知を実現する。処理部82は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0061】
記憶部83は、種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部83は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部83には、処理部82が実行するプログラム、及び磁気センサ90に検知された種々の情報等が格納される。
【0062】
制御部50はさらに、表示部84に接続される。表示部84は、画像、テキストのような種々の情報を表示する表示装置である。表示部84は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部84は、筐体2に設けられ、洗濯機1の使用者が視認できる位置にある。表示部84は、例えば、液剤の残量を表示する。また、表示部84の代わりに、使用者のスマートフォン等の端末によって実行されるアプリケーションを用いてもよい。
【0063】
[動作]
次に、図12A図14図15を参照しながら、タンク62における液剤の量の変化に応じたフロート94の動作について説明する。図14は、液剤が充填されたタンク62の断面図である。図15は、液剤が減少した状態におけるタンク62の断面図である。
【0064】
まず、図14に示すように、タンク62は液剤で充填されている。液剤によって生じる浮力によって、浮き部98は、液剤の液面LS1とともに蓋88付近に位置する。この状態において、マグネット99は、磁気センサ90から前後方向Mに離れた位置にある。そのため、磁気センサ90から出力される電圧値は最大となる(図12Bに示すY1)。一方で、マグネット99の回転半径X1(図12A)が小さいため、この姿勢においても、磁気センサ90はマグネット99を検知できる。
【0065】
洗濯を実行することによって、タンク62内の液剤が使用され、減少する。図15に示すように、タンク62における液面LS1が徐々にタンク62の下面に近づく。液面LS1の下降によって、液面LS1に追従して移動する浮き部98もタンク62の下面に近づく。浮き部98の下降によって、第2アーム97及び第1アーム95が回転すると、マグネット99は磁気センサ90に近づき、磁気センサ90によって検知される磁束密度が変化する。図12Bに示すように、磁気センサ90から出力される電圧値は減少する。
【0066】
その後、図12Aに示すように、マグネット収容部96がタンク62の背面92に接触して停止すると、マグネット99と磁気センサ90の距離が最も短くなり、磁気センサ90が出力する電圧値は最小となる(図12Bに示すY2)。
【0067】
制御部50は、磁気センサ90から出力される電圧値に基づいて、タンク62の液剤の残量が少なくなったことを示す「残量少」を表示部84に表示するか否かを判定する。なお、表示部84に表示する場合に限らず、音声を流す等、任意の報知方法で残量少を報知してもよい。
【0068】
洗濯機1の使用者は、表示部84に表示された情報を確認し、タンク62に液剤を適宜補充することができる。タンク62がケース61に配置された場合において、図10に示すように、小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。一方で、タンク62をケース61から取り出した場合において、蓋88を取り外して、または小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。
【0069】
上記の説明は、タンク62の代表として最も容量の大きいタンク62Cを用いた説明である。他のタンク62A、62Bにも同じフロート94を適用することができる。一方で、タンク62A、62Bがタンク62Cに対して異なる深さを有するため、フロート94の動作には異なる点がある。ここで、タンク62Cとの相違点を主眼として、タンク62A、62Bにおけるフロート94の動作について説明する。
【0070】
図16A及び図16Bはタンク62Bの断面図である。図16A及び図16Bに示すように、タンク62Bは、タンク62Cと共通な蓋88及びフロート94を有する。タンク62Bにおいて、液剤が減少し、液面LS1とともに浮き部98が下降すると、図16Bに示すようにマグネット収容部96はタンク62Bの背面92に付き、磁気センサ90と対向する。この状態において、浮き部98とタンク62Bの底面B12との間には間隔が形成される。
【0071】
図17A及び図17Bはタンク62Aの断面図である。図17A及び図17Bに示すように、タンク62Aは、タンク62B、62Cと共通な蓋88及びフロート94を有する。一方で、タンク62Aは、タンク62B、62Cより浅い。そのため、タンク62Aにおいて、液剤が減少し、浮き部98が下降すると、図17Bに示すように、マグネット収容部96がタンク62Aの背面92に付く前に、浮き部98がタンク62Aの内底面B13に当たる。この状態において、フロート94のさらなる回転が制限される。
【0072】
タンク62Aにおいて、マグネット収容部96がタンク62の背面92に接触しない場合でも、図12Bに示すように、マグネット99が磁気センサ90に近付くにつれて磁気センサ90の電圧出力値が単調減少することを利用して、タンク62B、62Cと同様の制御を適用して、液剤の残量少を報知することができる。詳細については後述する。
【0073】
また、図17A図17Bに示すように、タンク62Aの内底面B13には、突出部103が形成される。タンク62Aの残量が減少すると、浮き部98は突出部103に当たる。浮き部98を内底面B13から離すことで、内底面B13を覆う液剤によって浮き部98が内底面B13に固着することを抑制できる。このような構造によって、深さが小さいタンク62にフロート94を適用した場合においても、浮き部98の固着を抑制できる。
【0074】
(残量少の報知制御)
液剤の残量が少なくなった状態を示す「残量少」の報知制御について、図18以降の図面を用いて説明する。
【0075】
図18は、各タンク62A、62B、62Cにおける液剤の残量(「液剤残量」)と、磁気センサ90が出力する電圧の出力値(「センサ出力値」)との関係を示すグラフである。横軸は、液剤残量を表し、縦軸は、センサ出力値を表す。
【0076】
図18には、各タンク62C、62B、62Aに対応する「残量推移ラインL1、L2、L3」を示す。残量推移ラインL1、L2、L3は、各タンク62C、62B、62Aの液剤が満タンである状態から、液剤投入装置63C、63B、63Aをそれぞれ駆動した場合の液剤の残量の推移を示す。残量推移ラインL1は、容量の最も大きいタンク62Cの残量推移を示し、残量推移ラインL2は、容量が中程度のタンク62Bの残量推移を示し、残量推移ラインL3は、容量の最も小さいタンク62Aの残量推移を示す。
【0077】
残量推移ラインL1、L2、L3のそれぞれは、開始点S1、S2、S3から開始する。タンク62C、62B、62Aの順に容量が大きいため、対応する残量推移ラインL1、L2、L3の開始点S1、S2、S3の順に、紙面左側に位置する(残量が多い)。
【0078】
各タンク62C、62B、62Aにおける液剤が満タン状態の場合、マグネット99と磁気センサ90の距離は同程度であるため(図14図16A図17A)、図18に示す開始点S1、S2、S3におけるセンサ出力値は同程度である。
【0079】
前述したように、液剤投入装置63の駆動によって液剤残量が減少すると、マグネット99が磁気センサ90に近付くとともに、センサ出力値が減少(単調減少)する。液剤残量の減少に伴って、フロート94は最下点(下限点)に到達し、マグネット99の移動が停止する。その後も液剤投入装置63の駆動によって液剤残量は減少するが、マグネット99と磁気センサ90の距離は変化しないため、センサ出力値は一定の値で推移する。
【0080】
図18に示すように、フロート94が最下点に到達して停止する点をフロート停止点E1、E2、E3とする。本実施形態の制御部50は、フロート停止点E1~E3に到達したか否かを、センサ出力値の「変化率」に基づいて判断する。フロート94が最下点に到達するときのタンク62内の液剤の残量を予め把握しておけば、フロート停止点E1~E3に到達したことを検出することで、液剤の残量を高精度で推測することが可能となる。
【0081】
図18に示すように、フロート停止点E1、E2では、センサ出力値が同程度となっている。これは、タンク62B、62Cのそれぞれにおいて、マグネット収容部96がタンク62の背面92に接触することでフロート94が停止するためである(図12A図16B)。すなわち、タンク62B、62Cにおけるフロート94の移動可能範囲は、同じである。一方、タンク62Aでは、マグネット収容部96がタンク62の背面92に接触する前に浮き部98が突出部103に接触して停止するため、マグネット99と磁気センサ90が離れた状態となる。すなわち、タンク62Aにおけるフロート94の移動範囲は、タンク62B、62Cにおけるフロート94の移動範囲と異なる。このため、フロート停止点E3におけるセンサ出力値は、他のフロート停止点E1、E2におけるセンサ出力値よりも高い値となる。
【0082】
本実施形態の制御部50は、フロート停止点E1~E3に到達したことを検出すると、液剤の吐出に関するカウントを開始する。例えば、液剤の吐出を表すパラメータとして、液剤投入装置63の駆動時間(すなわち液剤の吐出時間)に関するカウントを開始する。なお、液剤の吐出時間に限らず、液剤の吐出量を直接的にカウントする等、液剤の吐出を表す他のパラメータを用いてもよい。
【0083】
制御部50は、液剤の吐出に関するカウントが予め定めた規定のカウント数に到達したときに、液剤の残量が少なくなったことを示す「残量少」を表示部84に表示させる(残量少表示ライン)。
【0084】
本実施の形態では、規定のカウント数を、タンク62C、62B、62Aのそれぞれについて、異なるカウントC1、C2、C3を設定している。図18に示すように、フロート停止点E1からのカウントC1>フロート停止点E2からのカウントC2>フロート停止点E3からのカウントC3の関係に設定している。フロート停止点E1~E3に到達したときのタンク62C、62B、62Aの液剤残量は、各タンク62の容量に応じてタンク62C>62B>62Aの関係であるため、カウントC1>C2>C3に設定することで、残量少を表示する際の液剤残量を各タンク62において均一化できる。
【0085】
図18では、残量少表示ラインよりも紙面左側のエリアを、複数のエリアに分割している。
【0086】
図18に示すように、センサ出力値に関して、基準となる基準出力値Xを定めるとともに、基準出力値Xからの変動量(差分)に基づいて、「無判定エリア」、「異常検知エリア」、「カウント開始エリア」を定めている。基準出力値Xは、ケース61にタンク62が取り付けられていないとき(磁気センサ90の近傍にマグネット99が存在しない)に磁気センサ90が出力する出力値であり、磁気センサ90の中点電圧に対応する。基準出力値Xは、開始点S1、S2、S3におけるセンサ出力値よりも高い値に設定される。
【0087】
基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1、ΔB2よりも大きいエリアは、「カウント開始エリア」である。カウント開始エリアでは、フロート停止点E1、E2、E3に到達したことを検出したときに、液剤の吐出に関するカウントを開始する。閾値ΔB1は、タンク62C、62Bについての閾値であり、閾値ΔB2は、タンク62Aについての閾値である。本実施の形態では、ΔB1>ΔB2に設定される。
【0088】
基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1、ΔB2よりも小さく、且つ閾値ΔCよりも大きいエリアは、「異常検知エリア」である。異常検知エリアでは、フロート94が停止したことを検出したときに、液剤の吐出に関するカウントを行わず、フロート94の状態が異常であることを示すエラーを報知する。
【0089】
基準出力値Xからの変動量が閾値ΔCよりも小さいエリアは、「無判定エリア」である。無判定エリアでは、フロート94が停止したことを検出したときに、カウント開始と異常検知をいずれも行わない。この場合、ユーザに対する報知を行わなくてもよい。
【0090】
図18に示す残量推移ラインL1、L2、L3を利用した制御部50による「残量少」の報知制御について、図19のフローチャートを用いて説明する。図19のフローチャートによる各処理は、制御部50の処理部82(以下、単に制御部50とする。)によって実行される。また、図19のフローチャートによる処理は、タンク62A、62B、62Cのそれぞれに対して個別に実行される。
【0091】
まず、制御部50は、センサ出力値を監視する(S1)。具体的には、制御部50は、磁気センサ90から所定周期で送信される電圧の出力値(センサ出力値)を受信し、受信したセンサ出力値を都度、記憶部83に記憶する。センサ出力値の監視は、液剤投入装置63の駆動中を含む、洗濯機1の電源ON時に行っている。図19に示すフローチャートによる処理は、少なくとも液剤投入装置63の駆動中に制御部50によって実行される。
【0092】
制御部50は、センサ出力値の変化率が閾値Aよりも小さいか否かを判断する(S2)。具体的には、センサ出力値の変化率に関する閾値Aを予め定めておき、直近のセンサ出力値の変化率が閾値Aよりも小さいか否かを判断する。
【0093】
ステップS2におけるセンサ出力値の変化率の算出方法の一例について、図20を用いて説明する。
【0094】
図20は、液剤残量の推移を示す概略的なグラフであり、横軸に時間、縦軸にセンサ出力値を表す。横軸の時間v1、v2、v3、v4、v5、v6のそれぞれにおいて、出力値AD1、AD2、AD3、AD4、AD5、AD6が取得される。磁気センサ90がセンサ出力値を送信する周期は一定間隔であるため、時間v1、v2、v3、v4、v5、v6の時間間隔は等間隔である。このため、センサ出力値AD1~AD6の各差分を、センサ出力値の変化率として利用することができる。
【0095】
図20では、時間v5のセンサ出力値AD5と時間v6のセンサ出力値AD6との差分ΔAD1を示す。差分ΔAD1に限らず、その他のタイミングにおけるセンサ出力値同士の差分を、センサ出力値の変化率として算出してもよい。あるいは、複数の差分を算出し、それらの平均や加重平均等の値をセンサ出力値の変化率としてもよい。
【0096】
図19に戻ると、センサ出力値の変化率が閾値Aより小さくないと判断する場合(S2でNO)、制御部50は、ステップS2を再度実行する。
【0097】
一方、センサ出力値の変化率が閾値Aより小さいと判断した場合(S2でYES)、フロート94が停止したことが検出される。この場合、制御部50は、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1又は閾値ΔB2より大きいか否かを判断する(S3)。これにより、カウント開始エリアと異常検知エリア(又は無判定エリア)のいずれに属するかが決定される。
【0098】
閾値ΔB1、ΔB2については、図18に示すように、タンク62B、62Cについては同じ閾値ΔB1を用いるのに対し、タンク62Aについては異なる閾値ΔB2を用いる。前述したように、タンク62Aのフロート停止点E3におけるセンサ出力値はタンク62B、62Cに比べて高いため、閾値ΔB2を閾値ΔB1よりも小さい値に設定することで、各タンク62の容量およびフロート94の移動範囲に応じた適切な閾値を適用できる。タンク62B、62Cについては、フロート停止点E1、E2におけるフロート94の姿勢が同じであるため、同じ閾値ΔB1を用いる。
【0099】
センサ出力値が閾値ΔB1又は閾値ΔB2よりも大きいと判断した場合(S3でYES)、制御部50は、液剤投入のカウントを開始する(S4)。図18に示すカウント開始エリアにいるため、液剤の投入量に関するカウントを開始し、残量少の報知を行うまでカウントを継続する。
【0100】
カウントの開始後、制御部50は、カウント数が規定数に到達したか否かを判断する(S5)。例えば、液剤投入装置63の駆動時間をカウントする場合、フロート停止点E1、E2、E3に到達したことを検出してからの液剤投入装置63の駆動時間の合計が、予め定めた規定の駆動時間に達したときに、カウント数が規定数に到達したと判断する(S5でYES)。カウント数は、液剤投入装置63の駆動時間に限らず、液剤の吐出に関連するパラメータであれば、任意のパラメータとしてよい。例えば、液剤投入装置63の駆動源が、容積ポンプ(ピストンポンプ、ギアポンプ)の場合は、ポンプの駆動時間をカウントし、アスピレータの場合は、流量計により検知された液剤の吐出量をカウントし、エアポンプの場合は、空気の注入量をカウントしてもよい。
【0101】
前述したように、本実施の形態では、フロート停止点E1からのカウント数C1>フロート停止点E2からのカウント数C2>フロート停止点E3からのカウント数C3の関係に設定している。各タンク62のカウント数は、(各タンク62のフロート停止位置の液剤残量)―(各タンク62の残量小を表示させたい液剤残量)の差分で決めている。言い換えれば、カウント数は、当該差分の液剤を吐出するために必要なカウント数としている。これにより、各タンク62において液剤残量が異なる場合でも、残量小を表示させたい所望の液剤残量となったときに残量小を表示することができる。なお、カウント数はタンク62A、62B、62Cのそれぞれについて同じ値であっても、異なる値であってもよい。
【0102】
カウント数が規定数に到達しないと判断した場合(S5でNO)、制御部50は、ステップS5を再度実行する。一方、カウント数が規定数に到達したと判断した場合(S5でYES)、制御部50は、残量少を報知する(S6)。具体的には、表示部84における「残量少」を表す部分を点灯させることで、タンク62の液剤の残量が少なくなったことをユーザに報知する。
【0103】
上記方法では、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1、ΔB2以上となり「カウント開始エリア」にいるときに(S3でYES)、フロート停止点E1、E2、E3に到達したことを検出した時点(S2でYES)を基準として、その時点から液剤投入装置63の駆動時間のカウント数が規定数に到達したときに「残量少」を報知する(S4~S6)。このような方法によれば、(1)フロート94がフロート停止点E1、E2、E3に到達したときの液剤の残量と、(2)規定カウント数に対応する液剤の投入量を予め算出しておくことで、液剤残量が予め計算された設計値となったときに残量少を報知させやすくなる。これにより、残量少を報知したときに実際にタンク62に残っている液剤の残量がなるべく一定量となるように制御することができ、液剤の残量に関して所望のタイミングで報知することができる。
【0104】
図19に戻ると、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1又は閾値ΔB2よりも大きくないと判断した場合(S3でNO)、制御部50は、変動量が閾値ΔCより大きいか否かを判断する(S7)。変動量が閾値ΔCよりも大きい場合、図18に示す異常検知エリアにおいて、フロート94が最下点に到達する前に何らかの不具合で停止したことが想定される。このため、液剤投入に関するカウントを行わず、フロート94の異常検知を行う。
【0105】
ステップS7において、制御部50は、図18に示す閾値ΔCを用いて、フロート94が停止したときのセンサ出力値に関する基準出力値Xからの変動量(差分)が閾値ΔCよりも大きいか否かを判断する。これにより、フロート94が停止したことを検出したときのセンサ出力値に基づいて、異常検知エリアと無判定エリアのいずれの状態に属するかが決定される。閾値ΔCは、タンク62A、62B、62Cのそれぞれについて同じ値であっても、異なる値であってもよい。
【0106】
変動量が閾値ΔCよりも大きいと判断した場合(S7でYES)、制御部50は、エラーを報知する(S8)。図18に示す異常検知エリアにいるため、制御部50は、表示部84にエラーの表示を行わせる。これにより、フロート94が最下点に到達する前に何らかの不具合で停止したことをユーザに知らせることができる。
【0107】
変動量が閾値ΔCよりも大きくないと判断した場合(S7でNO)、制御部50は、本フローを終了する。図18に示す無判定エリアにいるため、制御部50は、表示部84にエラーを表示(S8)させることなく、本フローを終了する。この場合、タンク62に液剤が補充されたことを表示部84に表示して報知してもよい。
【0108】
図18に示すように、残量推移ラインL1、L2、L3が単調減少のカーブを描くとともに、開始点S1、S2、S3の付近ではセンサ出力値の変化率(減少率)が小さくなっている。フロート94の移動開始直後において、フロート94が移動中であるにもかかわらずセンサ出力値の変化率が小さい場合には、ステップS2において、センサ出力値の変化率が閾値Aよりも小さいと判断される場合がある。これを防ぐため、液剤が満タン付近のときはエラー報知(S8)を行わないようにすることで、実際にフロート94が不具合で停止したときのみエラー報知(S8)を行いやすくなる。
【0109】
(補充判定)
上述のステップS6による残量少の報知に関連して、本実施形態の制御部50は、残量少の表示を解除するか否かの判定(補充判定)を行う。具体的には、図21のフローチャートを用いて説明する。
【0110】
図21に示すように、制御部50は、現在のセンサ出力値-前回自動投入終了時のセンサ出力値が、閾値Dよりも大きいか否かを判断する(S9)。ある1回の自動投入が終了し、次の自動投入が再開されたときに、液剤が補充されていなければ、残量推移ラインL1、L2、L3は、図18に示すように連続的なカーブを描く。一方、自動投入が停止している間に液剤が補充されていれば、次の自動投入が再開されたときにセンサ出力値は上昇し、図18に示すような連続的なカーブではなく、不連続な推移を示す。これを利用して、現在のセンサ出力値と前回自動投入終了時のセンサ出力値との差分が閾値Dよりも大きいか否かに応じて、補充の有無を判別する。
【0111】
現在のセンサ出力値-前回自動投入終了時のセンサ出力値が閾値Dよりも大きいと判断した場合(S9でYES)、制御部50は、残量少の報知を解除する(S10)。具体的には、表示部84における残量少を表す部分を点灯状態から消灯状態に変更することで、残量少の報知を解除する。これにより、液剤が十分な量まで補充されたことをユーザに知らせることができる。なお、既に残量小の点灯に備えるためにカウントを開始していた場合(S4)に、現在のセンサ出力値-前回自動投入終了時のセンサ出力値が閾値Dよりも大きいと判断した場合(S9でYES)、カウントをキャンセルして、フロート停止判定(S2)に戻ってもよい。その後、フロート停止点E1~E3に到達したことを検出するとともに(S2でYES)、カウント開始エリアにいると判断した場合(S3でYES)、液剤投入のカウントを一から開始すればよい(S4)。
【0112】
一方、現在のセンサ出力値-前回自動投入終了時のセンサ出力値が閾値Dよりも大きくないと判断した場合(S9でNO)、制御部50は、ステップS9を再度実行する。これより、タンク62に液剤が十分に補充されるまで、表示部84による残量少の表示が継続して行われる。
【0113】
図21のフローチャートによる処理は、図19のフローチャートによる処理と同様に、少なくとも液剤投入装置63の駆動中を含む洗濯機1の電源投入時に、制御部50によって実行される。
【0114】
(タンクの有無判別)
本実施形態の制御部50はさらに、図18に示す残量推移ラインL1、L2、L3が単調減少することと、タンク62が取り付けられていない状態の磁気センサ90が中点電圧(第1電圧≒基準出力値X)を出力することを利用して、タンク62の有無判別を行う。具体的には、液剤が満タン状態のタンク62を取り付けたときに磁気センサ90が出力する電圧(開始点S1、S2、S3におけるセンサ出力値)が、中電電圧よりも低い電圧(第2電圧)となるように、マグネット99や磁気センサ90の配置等を設計している。これより、センサ出力値が中点電圧に対応する第1電圧であればタンク62が取り付けられておらず、中点電圧よりも低い第2電圧以下であれば(基準出力値Xからの変動量が所定の閾値よりも大きい場合)、タンク62が取り付けられていると判断することができる。タンク62が取り付けられていないと判断した場合には、表示部84にその旨を表示させてもよい。なお、マグネット99のSNが逆になる場合はセンサ出力値の大小関係が逆になるため、液剤が満タン状態のタンク62を取り付けたときに磁気センサ90が出力する電圧が、中電電圧(第1電圧≒基準出力値X)よりも高い電圧(第2電圧)となるように、マグネット99や磁気センサ90の配置等を設計する。これより、センサ出力値が中点電圧に対応する第1電圧であればタンク62が取り付けられておらず、中点電圧よりも高い第2電圧以下であれば(基準出力値Xからの変動量が所定の閾値よりも大きい場合)、タンク62が取り付けられていると判断することができる。第1電圧と第2電圧の差分である所定の閾値は、図18に示す閾値ΔB1、ΔB2、ΔCのいずれよりも小さい値に設定される。
【0115】
さらに、タンク62ごとにマグネット99のSNの向きを異ならせて配置することで、あるタンク62が自動投入装置63に装着されたときに、センサ出力値の変動に応じて、タンク62A~62Cのうちのいずれのタンク62が装着されたかを判定することもできる。
【0116】
(液剤の種類判定)
本実施形態の制御部50はさらに、液剤の種類に応じてセンサ出力値が異なる推移になることを利用して、磁気センサ90の出力値に基づいて、タンク62に収容された液剤の種類を判別する。なお、磁気センサ90のセンサ出力値に加えて、タンク62が配置される領域に基づいて、液剤の種類判定を行ってもよい。図7に示すように、タンク62を配置するための領域として内底面B1、B2、B3が設けられ、タンク62がどの自動投入装置63に接続されたかに応じてタンク62がどの領域に配置されたかを特定できる。制御部50は、磁気センサ90の出力値と、タンク62が配置された領域との組み合わせに応じて、タンク62が収容する液剤の種類を判定する。これにより、液剤の種類をより精度良く判定することができる。
【0117】
上記の説明をまとめて、本開示の特徴を述べる。
【0118】
図18等に示したように、本実施形態の洗濯機1では、センサ出力値の変化率に基づいてフロート停止点E1、E2、E3に到達したことを検出し、その検出時点を基準に、残量少を報知するタイミングを決定している。特に、フロート停止点E1、E2、E3に到達したことを、センサ出力値の「変化率」に基づいて判断することで、液剤の残量をより正確に把握しながら残量少の報知を行うことができる。このような制御に対して、センサ出力値の変化率ではなくセンサ出力値自体に閾値を設け、当該閾値を下回った時点を基準として残量少を報知するタイミングを決定することが考えられる。しかしながら、センサ出力値はマグネット99の特性やその他の様々な要因によって変動するため、センサ出力値自体を閾値として残量少を報知すると、残量少を報知したときに実際にタンク62に残っている液剤の残量がバラつきの幅が大きくなる。本実施形態の制御方法では、センサ出力値自体ではなくセンサ出力値の「変化率」に基づいて、フロート停止点E1、E2、E3に到達したことを検出するため、マグネット99の特性等の各種要因によるバラつきの影響を小さくしつつ、予め計算された所定残量に到達した時点を検出できる。その検出時点を基準に残量少を報知するタイミングを決定することで、液剤の残量に関して所望のタイミングで報知することができる。さらに、基準出力値Xからの変動量に関して閾値ΔB1、ΔB2を設け、変動量が閾値ΔB1又はΔB2よりも大きく、且つ、センサ出力値の変化率が閾値Aよりも小さい場合に、液剤の残量小を報知するまでのカウントを開始する。これにより、フロート94が最下点に到達したことを精度良く検知しながら、液剤の残量小を所望のタイミングで報知することができる。
【0119】
[効果]
実施形態に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0120】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、自動投入動作に関する報知を表示部84(報知部)に報知させる洗濯機であって、筐体2内に弾性支持された外槽3と、液剤を収容するタンク62と、タンク62に収容された液剤を外槽3に向けて投入する液剤投入装置63(自動投入装置)と、タンク62における液剤の液面LS1に応じて移動可能に設けられ、マグネット99(磁性体)を有するフロート94と、マグネット99の磁気を検知する磁気センサ90と、制御部50と、を備える。制御部50は、液剤投入装置63の駆動時における磁気センサ90の出力値の監視を行い(S1)、当該監視において、所定の基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1又は閾値ΔB2(第1の閾値)以上(S3でYES)、かつ、出力値の変化率が閾値A(第2の閾値)よりも小さくなった時点(S2でYES)を基準に、表示部84に液剤の残量少を報知させるタイミングを決定する(S4~S6)。
【0121】
このような構成によれば、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1、ΔB2よりも大きくなった時点は、ケース61にタンク62が取り付けられるとともに液剤の残量が満タン状態からある程度減った状態に対応する。また、出力値の変化率が閾値Aよりも小さくなった時点は、フロート94が最下点に到達したフロート停止点E1、E2、E3に対応し、フロート停止点E1、E2、E3に到達したことを検出した時点を基準に、残量少を報知するタイミングを決定する。これにより、液剤の残量が予め計算した所定量になった時点を基準に残量少を報知することができ、液剤の残量に関して所望のタイミングで報知することができる。
【0122】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部50は、出力値の監視において、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1、ΔB2(第1の閾値)よりも小さく(S3でNO)、かつ、変化率が閾値A(第2の閾値)よりも小さくなった場合(S2でYES)、表示部84に異常報知させることを決定する(S8)。
【0123】
このような構成によれば、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1、ΔB2よりも小さい場合、タンク62における液剤の残量が多く、フロート94が異常停止したことが想定される。このような場合に、表示部84に異常報知させることを決定することで、ユーザに異常を知らせることができる。
【0124】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部50は、出力値の監視において、変化率が閾値A(第2の閾値)よりも小さく(S2でYES)、かつ、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔC(第3の閾値)よりも小さい場合(S7でNO)、液剤が残量少ではないと判定する。
【0125】
このような構成によれば、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔCよりも小さい場合は、タンク62における液剤の残量が満タンに近い初期状態であることが想定される。このような場合に、出力値変化率が閾値Aよりも小さくなった場合でも、液剤の残量小を報知しないように制御することで、液剤の残量がある程度減った場合にのみ液剤の残量小を報知することができる。
【0126】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62は、少なくとも、タンク62B、62C(第1のタンク)と、タンク62B、62Cと異なる形状のタンク62A(第2のタンク)と、を含み、タンク62A~62Cには、同形状のフロート94がそれぞれ設けられ、タンク62B、62C内におけるフロート94の移動可能範囲と、タンク62Aにおけるフロート94の移動可能範囲と、が異なり、制御部50は、タンク62B、62Cにおける出力値の監視に用いる閾値ΔB1(第1の閾値)と、タンク62Aにおける出力値の監視に用いる閾値ΔB2(第1の閾値)とを異ならせる。
【0127】
このような構成によれば、フロート94の移動可能範囲が異なり、フロート停止点E1~E3を検出したときの液剤の残量が異なる場合でも、液剤の残量に応じて閾値ΔB1、ΔB2を異ならせることで、各タンク62について残量小を報知するときの液剤の残量を均一化できる。
【0128】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62は、少なくとも、タンク62B、62C(第1のタンク)と、タンク62B、62Cと異なるタンク62A(第2のタンク)と、を含み、フロート94は、タンク62B、62Cに設けられたフロート94(第1フロート)と、タンク62Aに設けられたフロート94(第2フロート)とを備え、タンク62B、62Cのフロート94は、タンク62B、62C内の液剤の減少に応じて、タンク62B、62Cの内底面に接触して停止し、タンク62Aのフロート94は、タンク62A内の液剤の減少に応じて、磁気センサ90に対向するタンク62Aの内側面に接触して停止し、制御部50は、タンク62B、62Cにおける出力値の監視に用いる閾値ΔB1(第1の閾値)と、タンク62Aにおける出力値の監視に用いる閾値ΔB2(第1の閾値)を異ならせる。
【0129】
このような構成によれば、フロート94の停止位置が異なり、フロート停止点E1~E3を検出したときの液剤の残量が異なる場合でも、各タンク62の液剤の残量に応じて閾値ΔB1、ΔB2を異ならせることで、残量小を報知するときの液剤の残量を均一化できる。
【0130】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62は、タンク62B(第3のタンク)と、タンク62Bより大きな容量を有するタンク62C(第4のタンク)と、を含み、制御部50は、センサ出力値の監視において、基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1、ΔB2(第1の閾値)以上(S3でYES)、かつ、出力値の変化率が閾値A(第2の閾値)よりも小さくなった時点(S2でYES)を基準に、表示部84(報知部)に残量少を報知させるまでのカウントを開始し(S4)、タンク62Cに対するカウントC3は、タンク62Bに対するカウントC2よりも大きい。
【0131】
このような構成によれば、タンク62B、62Cの容量の違いに応じて、残量少を報知させるまでのカウントC2、C3を異ならせることで、各タンク62B、62Cについて残量小を報知するときの液剤の残量を均一化できる。なお、タンク62B、62Cの組合せに限らず、タンク62A、62Bの組合せおよびタンク62A、62Cの組合せについても容量の違いに応じて同様に当てはまる。
【0132】
また、本実施形態の洗濯機1において、複数のタンク62は、深さが異なる。
【0133】
このような構成によれば、タンク62が複数ある場合でも、磁気センサ90の出力値の変動量および変化率に基づいて残量少を報知するタイミングを決定することで、各タンク62に同様の制御を適用しながら、所望のタイミングで残量少を報知することができる。
【0134】
また、本実施形態の洗濯機1において、基準出力値Xは、タンク62が自動投入装置63に装着されていないときに磁気センサ90が出力する出力値である。
【0135】
このような構成によれば、基準出力値Xからの変動量を監視することで、ケース61にタンク62が取り付けられているか否かを判定することができるとともに、ケース61にタンク62が取り付けられた状態での液剤の残量が満タン状態から減った状態であることを特定できる。
【0136】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62が自動投入装置63に装着された状態でタンク62を収容するケース61(タンク収容部)を備え、制御部50は、センサ出力値の監視において、基準出力値Xからの変動量が所定の閾値(第4の閾値)よりも大きい場合、タンク62が自動投入装置63に装着されていると判定し、所定の閾値は、閾値ΔB1、ΔB2(第1の閾値)よりも小さい。
【0137】
このような構成によれば、基準出力値Xからの変動量に基づいてタンク62の有無を判別することができる。
【0138】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62は、異なる種類の液剤を収容する複数のタンク62を含み、制御部50は、センサ出力値の監視において、磁気センサ90の出力値に応じてタンク62が収容する液剤の種類を判定する。
【0139】
このような構成によれば、タンク62が収容する液剤の種類を容易に判定することができる。
【0140】
また、本実施形態の洗濯機1において、自動投入装置63に装着された状態でタンク62を収容するケース61を備え、ケース61は、異なる種類の液剤を収容するタンク62をそれぞれ収容する領域を有し、制御部50は、センサ出力値の監視において、磁気センサ90の出力値の値と領域との組み合わせに応じて、タンク62が収容する液剤の種類を判定する。
【0141】
このような構成によれば、タンク62が収容する液剤の種類をより精度良く判定することができる。
【0142】
また、本実施形態の洗濯機1において、自動投入動作に関する報知を表示部84(報知部)に報知させる洗濯機であって、筐体2内に弾性支持された外槽3と、液剤を収容するタンク62と、タンク62に収容された液剤を外槽3に向けて投入する自動投入装置63と、タンク62における液剤の液面に応じて移動可能に設けられ、マグネット99(磁性体)を有するフロート94と、マグネット99の磁気を検知する磁気センサ90と、制御部50と、を備え、タンク62は、少なくとも、タンク62B(第3のタンク)と、タンク62Bより大きな容量を有するタンク62C(第4のタンク)と、を含み、制御部50は、自動投入装置63の駆動時における磁気センサ90の出力値の監視を行い、センサ出力値の監視において、所定の基準出力値Xからの変動量が閾値ΔB1、ΔB2(第1の閾値)以上、かつ、出力値の変化率が閾値A(第2の閾値)よりも小さくなった時点を基準に、表示部84に残量少を報知させるまでのカウントを開始し、タンク62Cに対するカウントC3は、タンク62Bに対するカウントC2よりも大きい。
【0143】
このような構成によれば、フロート停止点E1、E2、E3に到達したことを検出した時点を基準に、残量少を報知するタイミングを決定することで、液剤の残量が予め計算した所定量になった時点を基準に残量少を報知することができ、液剤の残量に関して所望のタイミングで報知することができる。また、タンク62B、62Cの容積の違いに応じて、残量少を報知させるまでのカウントC2、C3を異ならせることで、各タンク62B、62Cについて残量小を報知するときの液剤の残量を均一化できる。なお、タンク62B、62Cの組合せに限らず、タンク62A、62Bの組合せおよびタンク62A、62Cの組合せについても容量の違いに応じて同様に当てはまる。
【0144】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0145】
なお、実施形態において、タンク62として、3つのタンク62A、62B、62Cを設ける場合について説明したが、これに限定されず、少なくとも1つのタンク62があればよい。
【0146】
また実施形態では、洗濯機1の表示部84を用いて自動投入動作に関する報知を行う場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、ユーザの携帯端末にダウンロードされる家電操作用のアプリを報知部として用いて、自動投入動作に関する報知を行ってもよい。
【0147】
また実施形態では、図18に示すように、各タンク62の液剤の残量が減少するほどセンサ出力値が単調減少する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、マグネット99のSNの向きを逆転させて、液剤の残量が減少するほどセンサ出力値が単調増加するようにしてもよい。このような場合でも、同様の制御を適用することができる。
【0148】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本開示の洗濯機は、家庭用や業務用の洗濯機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0150】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 内槽
5 駆動部
6 自動投入ユニット
8 接続流路
10 給水口
11 排水弁
50 制御部
61 ケース(タンク収容部)
62 タンク
63 液剤投入装置(自動投入装置)
64 液剤吐出流路
65 手動投入部
82 処理部
83 記憶部
84 表示部(報知部)
87 本体
88 蓋
90 磁気センサ
94 フロート
95 第1アーム
96 マグネット収容部
97 第2アーム
98 浮き部
99 マグネット
K 幅方向
M 前後方向
L1、L2、L3 残量推移ライン
S1、S2、S3 開始点
E1、E2、E3 フロート停止点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21