(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】空気調和装置の室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
(21)【出願番号】P 2020122919
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平池 礼樹
(72)【発明者】
【氏名】小倉 信博
(72)【発明者】
【氏名】奥山 芳啓
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-173713(JP,A)
【文献】特開2000-065385(JP,A)
【文献】特開2008-064390(JP,A)
【文献】特開2011-153749(JP,A)
【文献】特開2017-048979(JP,A)
【文献】特開2017-125652(JP,A)
【文献】特開2022-019215(JP,A)
【文献】国際公開第2019/162993(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02451712(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に、送風機と、冷媒配管を有する室内熱交換器と、前記送風機に吸い込まれる空気を整流するベルマウスとを備え、
前記筐体は、前記室内熱交換器を下方から覆うドレンパンを備え、
前記ベルマウスは、前記送風機に吸い込まれる空気が流れる流路の少なくとも一部を形成し、
前記ベルマウスは、前記ドレンパンの上面に沿うように枠状に形成されて略水平に延びる水平部と、
当該水平部の内周部から曲面状に上方に立ち上がる円筒部と、
を備え、
前記流路に面する前記ベルマウスの上面には、電装部品が収められる凹部が設けられ、
前記凹部は、前記水平部に設けられ
前記凹部には、冷媒を検知する冷媒漏洩検知センサが収められ、
前記凹部を覆う蓋体を備え、
前記蓋体は、平面視で、前記水平部の周方向に沿って延びるように形成され、
前記蓋体
の一方の端部には、前記凹部と、前記凹部の外部と、を連通させる第1通気口が設けられ、
前記凹部の前記筐体内側
、且つ前記蓋体の他方の端部に重なる位置には、第2通気口が設けられる、
ことを特徴とする空気調和装置の室内機。
【請求項2】
前記第1通気口は、前記蓋体が前記ベルマウスに取り付けられたときに、前記冷媒漏洩検知センサに重なる位置に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項3】
前記凹部には、静電霧化装置が収められ、
前記静電霧化装置は、前記第2通気口を介して空気を取り込む
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に冷媒が流される冷媒配管が設けられた熱交換器と、送風ファンとが収められた筐体を有し、当該筐体が室内の天井に設置される室内機を備えた空気調和装置が知られている。
このような空気調和装置の室内機では、筐体に設けられた吸い込み口と、吹き出し口と、筐体内部に収められたベルマウスとを備えている。この空気調和装置の室内機では、送風ファンが駆動することで吸込み口から筐体内部に室内の空気が吸い込まれる。筐体内部に吸い込まれた空気は、ベルマウスによって整流されつつ熱交換器で熱交換され、この後、吹き出し口から室内に吹出される。
このような空気調和装置の室内機では、当該室内機内部における冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知センサが設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の室内機では、冷媒漏洩検知センサを配置するための空間を確保するために、当該室内機の小型化が阻害される虞があった。
また、冷媒漏洩検知センサが設けられた位置によっては、筐体内部に吸い込まれた空気の流れが遮られ、吸い込み口やベルマウス付近における空気の流量の低下や、異音の発生等が生じる虞があった。
本発明は、筐体の内部構造の変更を抑制しつつ、冷媒の漏洩を検知できる空気調和装置の室内機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、筐体の内部に、送風機と、冷媒配管を有する室内熱交換器と、前記送風機に吸い込まれる空気を整流するベルマウスとを備え、前記筐体は、前記室内熱交換器を下方から覆うドレンパンを備え、前記ベルマウスは、前記送風機に吸い込まれる空気が流れる流路の少なくとも一部を形成し、前記ベルマウスは、前記ドレンパンの上面に沿うように枠状に形成されて略水平に延びる水平部と、当該水平部の内周部から曲面状に上方に立ち上がる円筒部と、を備え、前記流路に面する前記ベルマウスの上面には、電装部品が収められる凹部が設けられ、前記凹部は、前記水平部に設けられ前記凹部には、冷媒を検知する冷媒漏洩検知センサが収められ、前記凹部を覆う蓋体を備え、前記蓋体は、平面視で、前記水平部の周方向に沿って延びるように形成され、前記蓋体の一方の端部には、前記凹部と、前記凹部の外部と、を連通させる第1通気口が設けられ、前記凹部の前記筐体内側、且つ前記蓋体の他方の端部に重なる位置には、第2通気口が設けられる、ことを特徴とする空気調和装置の室内機である。
【0006】
これによれば、ベルマウスの周辺等における筐体内部の空間設計の変更を抑制しつつ、冷媒漏洩検知センサを設けることができる。このため、室内機の内部構造の変形を抑制しつつ、冷媒漏洩検知センサを配置することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体の内部構造の変更を抑制しつつ、冷媒の漏洩を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の室内機の構成を示す斜視図
【
図2】化粧パネルを取り外した状態で室内機を下方側から見た平面図
【
図4】室内機のドレンパンとベルマウスとを下方側から視た平面図
【
図6】蓋体の構成を示す図であり、(A)は、化粧パネル側から視た斜視図、(B)は、凹部側から視た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、筐体の内部に、送風機と、冷媒配管を有する室内熱交換器と、前記送風機に吸い込まれる空気を整流するベルマウスとを備え、前記ベルマウスは、前記送風機に吸い込まれる空気が流れる流路の少なくとも一部を形成し、前記流路に面する前記ベルマウスの上面には、電装部品が収められる凹部が設けられ、前記凹部には、冷媒を検知する冷媒漏洩検知センサが収められていることを特徴とする空気調和装置の室内機である。
【0010】
これによれば、ベルマウスの周辺等における筐体内部の空間設計の変更を抑制しつつ、冷媒漏洩検知センサを設けることができる。このため、室内機の内部構造の変形を抑制しつつ、冷媒漏洩検知センサを配置することができる。
【0011】
第2の発明は、前記凹部を覆う蓋体を備え、前記蓋体には、前記凹部と、前記凹部の外部とを連通させる通気口が設けられていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、凹部の内部に、通気口を介して、空気を流入させることができ、冷媒漏洩検知センサは、凹部に配置され、蓋体によって覆われていても、冷媒の漏洩を検知することができる。このため、室内機の運転時に、当該室内機の内部における空気の流れが阻害されることや、異音が発生することを抑制しつつ、冷媒の漏洩を検知することができる。
【0013】
第3の発明は、前記筐体は、前記室内熱交換器を下方から覆うドレンパンを備え、前記ベルマウスは、前記ドレンパンの上面に沿うように枠状に形成されて略水平に延びる水平部と、当該水平部の内周部から曲面状に上方に立ち上がる円筒部とを備え、前記凹部は、前記水平部に設けられている。
【0014】
これによれば、室内機では、凹部に収められた冷媒漏洩検知センサの修理点検を作業者が容易に実施することができる。このため、室内機のメンテナンス性を向上させることができる。
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置1の室内機10の構成を示す斜視図である。
空気調和装置1は、室内機10に収められた室内熱交換器40と、室外機に収められた圧縮機や減圧装置、室外熱交換器等で形成された冷凍サイクルを備え、この冷凍サイクルに冷媒を流通させることで、室内機10が設けられた被調和空間の空調を行うものである。本実施形態では、空気調和装置1の冷媒には、R32が用いられている。なお、これに限らず、空気調和装置1の冷媒には、炭化水素、アンモニア等の各種の代替フロンが用いられていてもよい。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の空気調和装置1が備える室内機10は、4方向に送風可能な天井埋込型の室内ユニットをより小型化した、外形幅が小さい所謂ミニカセット型の室内機である。なお、これに限定されず、室内機10は、例えば2方向型の室内機、又は一般的な外形を有する4方向型の室内機であってもよい。
【0017】
この室内機10は、建屋の天井と、当該天井の下方に設置された天井板との間の天井空間に設置されるものである。以下の説明において、室内機10、及び当該室内機10の各部の上下方向とは、天井空間に設置された状態での上下方向とする。
室内機10は、下面が開放された箱型に形成された筐体14を備えている。筐体14の側板17の外側角部には、吊り用金具18が取り付けられている。筐体14は、吊り用金具18に連結された吊りボルト等の固定具で建屋の天井から吊り下げられた状態で設置される。
【0018】
筐体14の下面には、筐体14の下側開口を覆うように、ほぼ四角形状の化粧パネル33が取り付けられている。
化粧パネル33の中央部分には、筐体14の内部に連通する開口であるパネル吸い込み口34が形成されており、パネル吸い込み口34には、当該パネル吸い込み口34を覆う吸い込みグリル35が着脱可能に取り付けられている。吸い込みグリル35の筐体14側には、空気中の塵などを除去するためのフィルタ36が設けられている。
【0019】
化粧パネル33の吸い込み口34の外側であって、化粧パネル33の各辺に沿った位置には、空調後の空気を室内に送るパネル吹き出し口37がそれぞれ形成されている。各パネル吹き出し口37には、当該パネル吹き出し口37を開閉させ、また、各パネル吹き出し口37から吹き出す空気の方向を変更するフラップ38がそれぞれ設けられている。
【0020】
各フラップ38の長手方向の両端部には、いずれも不図示の支持軸が設けられており、この支持軸をパネル吹き出し口37の両端辺に支持させることにより、支持軸を中心として回動自在に形成されている。また、各フラップ38の裏面(筐体14側の面)の長手方向における略中央には、ヒンジが設けられている。これらのヒンジには、いずれもフラップ駆動モータが取り付けられている。各フラップ38は、それぞれのヒンジがフラップ駆動モータによって駆動されることによって、それぞれ独立して回動駆動される。これによって、各フラップ38は、パネル吹き出し口37の開閉、及びパネル吹き出し口37に対する角度が調節される。
【0021】
室内機10には、冷媒配管が接続される複数の配管接続部19が設けられている。室内機10は、この配管接続部19のそれぞれに接続された冷媒配管によって空気調和装置1が有する室外機と連結されている。空気調和装置1の冷凍サイクルは、室内機10と、室外機とが冷媒配管によって連結されることで形成されている。
【0022】
筐体14の外側には、1つの側板17に沿って、外部電装箱80が設けられている。この外部電装箱80には、室内機10の各部を制御するための制御回路を構成する制御基板等の電装部品が収められている。すなわち、外部電装箱80は、電装部品の収容部として機能する。
【0023】
図2は、化粧パネル33を取り外した状態で室内機10を下方側から見た平面図である。
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図2、
図3に示すように、筐体14の内部には、送風機20と、室内熱交換器40とが収められている。
詳述すると、
図3に示すように、筐体14の天板15の下面には、ファンモータ21が取り付けられており、このファンモータ21には、ファンモータ21の駆動により回転駆動される回転シャフト22が下方に延在するように設けられている。この回転シャフト22の下端部分には、ターボファン23が取り付けられており、このファンモータ21とターボファン23とで送風機20を構成している。
【0024】
ターボファン23は、環状の板状に形成された主板24を備えている。主板24の中心部分には、下方に延出する逆円錐台形状のモータ収容部25が形成されている。
モータ収容部25には、ファンモータ21が収容されており、ファンモータ21の回転シャフト22は、下方に延在しモータ収容部25の底面に連結されている。そして、ファンモータ21を回転駆動させることにより、回転シャフト22を介してターボファン23を回転動作させるように構成されている。
【0025】
主板24の下方には、シュラウド26が設けられており、シュラウド26は、周面が弧状に形成された環状に形成されている。主板24とシュラウド26の内周面との間には、周方向に所定間隔をもって配置される複数の羽根部材27が一体に形成されている。
シュラウド26の下方には、ベルマウス50が配置されている。このベルマウス50は、周面が弧状に形成された環状に形成されている。
【0026】
筐体14の内側には、発泡スチロール製の断熱部材16が、筐体14の側板17の内面に接した状態で配置され、側板17における結露を防止している。
送風機20と断熱部材16との間には、送風機20の側方を取り囲むように、平面視でほぼ四角形状に曲折形成された室内熱交換器40が配置されている。
室内熱交換器40は、冷房運転時には、冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時、冷媒の凝縮器として機能する。室内熱交換器40は、所謂フィン・チューブ型の熱交換器であり、室内熱交換器40は、銅製の冷媒配管42に金属製の複数のフィン44が接合されることで形成されている。冷媒配管42は、配管接続部19の一方の端部に接続されている。
【0027】
本実施形態の室内機10では、送風機20が駆動されることで、被調和空間内の空気がパネル吸い込み口34から筐体14の内部に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタ36を通過した後に室内熱交換器40を通過して熱交換され、空調後の空気が風としてパネル吹き出し口37から、室内機10が設置された被調和空間である室内空間に送られる。
室内熱交換器40は、筐体14の内部に吸い込まれる室内の空気と冷媒との熱交換を行って、冷房運転時には、空調室内の空気を冷却し、暖房運転時には、室内の空気を加熱することができるように構成されている。
【0028】
室内熱交換器40の下側には、室内熱交換器40の下面に対応するようにドレンパン45が配置されている。このドレンパン45は、室内熱交換器40で発生するドレン水を受けるためのものである。
ドレンパン45は、筐体14の下側開口の略全体を塞ぐように略矩形の板状に形成されている。
【0029】
ドレンパン45は、複数のドレンパン吹き出し口47が設けられている。各ドレンパン吹き出し口47は、ドレンパン45と筐体14の各側板17の下端部とで形成された4つの矩形の開口であり、各ドレンパン吹き出し口47は、各側板17に沿って延びるように設けられている。
【0030】
ドレンパン45は、下面側が化粧パネル33に覆われている。各ドレンパン吹き出し口47は、各パネル吹き出し口37に重なる位置にそれぞれが設けられている。
ドレンパン45には、ドレン水を排出するドレンポンプ48が設けられている。
【0031】
次いで、ベルマウス50について詳述する。
ベルマウス50は、送風機20に吸い込まれる空気を整流する部材であり、当該ベルマウス50は、内部に空気が通る筒状に形成されている。ベルマウス50は、ドレンパン45の上面に沿うように枠状に形成されて略水平に延びる水平部52と、水平部52の内周部から曲面状に上方に立ち上がる円筒部54とを備える。
ベルマウス50において、水平部52は、円筒部54に対して拡径された下端部となっている。
円筒部54の上端は、シュラウド26の内側に配置されている。
【0032】
ベルマウス50は、パネル吸い込み口34から流入した空気を整流しつつ、送風機20に導風する部材として機能する。すなわち、ベルマウス50は、筐体14の内部において、吸い込みグリル35から吸い込まれた空気が送風機20に向かうときに流れる流路の一部を形成している。
ベルマウス50において、水平部52は、空気の流入側に位置し、円筒部54は、空気の流出側に位置する。以下、ベルマウス50の内側面の内、水平部52に位置する面を水平部上面53(
図5)とし、円筒部54に位置する面を筒部上面55(
図5)とする。
なお、ベルマウス50の内側面は、吸い込みグリル35から吸い込まれた空気が送風機20に向かうときに流れる流路に面したベルマウス50の上面である。
【0033】
図3に示すように、ベルマウス50の水平部52には、パネル吸い込み口34側から送風機20側に向かって窪む凹部56が設けられている。この凹部56は、室内熱交換器40、ドレンパン45及びベルマウス50で囲まれた空間内に位置しており、当該凹部56は、筐体14の上下方向において、ターボファン23に接触しない程度の高さで窪んでいる。
【0034】
図4は、室内機10のドレンパン45とベルマウス50とを下方側から視た平面図である。
図4に示すように、凹部56は、平面視で、水平部52の周方向に沿って延びている。
本実施形態の凹部56は、1つの側板17の略中央から当該側板17に隣り合う側板17の略中央まで延びている。このため、凹部56は、平面視で、略L字状に形成されている。
凹部56の内部空間Sには、所定の電装部品が収められる。すなわち、凹部56は、電装箱として機能する。凹部56は、内部空間Sに収められる電装部品が当該内部空間Sから外部に、過度に突出しない程度の高さを有している。
【0035】
上述の通り、室内機10の電装部品の一部は、外部電装箱80に収められている。これによって、凹部56に収められる電装部品が削減され、凹部56の内部空間Sを縮小することが可能となる。このため、ベルマウス50の周辺において電装部品を収納するための空間が削減され、室内機10の小型化が実現可能となる。さらに、凹部56がターボファン23に接近することが抑制され、送風機20の送風効率が維持される。
本実施形態の凹部56には、静電霧化装置60と、冷媒漏洩検知センサ65とが収められている。
【0036】
静電霧化装置60は、帯電微粒子水を含むミストを発生させることで、空気中のウイルス、カビ、アレルギーの原因となる物質、及び、菌等の活動の抑制や、空気の脱臭を実施する装置である。帯電微粒子水は、除菌作用や脱臭作用などを発揮するラジカル等の有効成分を含んでいる。
静電霧化装置60は、箱型のケース62を備えている。このケース62は、難燃性の材料で形成されており、本実施形態では、UL94規格におけるV0以上の等級を有する樹脂材料が用いられている。
このケース62には、供給される水分に放電して帯電微粒子水を含むミストを生成する放電部や、放電部に印加する高電圧を発生させる電源回路等が収められている。
【0037】
図5は、
図4のV部の拡大図である。
図5において、空気の流れを矢印で示している。
図5に示すように、ケース62の上面には、ケース62の内部に空気を導入する吸入部64が設けられている。吸入部64は、上方に延びる管状に形成されており、凹部56の天面に設けられた開口57に接続されている。
ケース62の一方の端部には、ケース62内に吸い込んだ空気を排出する吹き出し部63が設けられている。静電霧化装置60の吹き出し部63は、ケース62の一方の端部から外方に延びるチューブ状に形成されている。吹き出し部63の端部は、凹部56の側面に設けられた開口58に接続されている。この開口58は、ドレンパン45を介して、筐体14と室内熱交換器40とに囲まれた空間に連通している。
【0038】
静電霧化装置60は、吸入部64から空気を取り込み、ミストと共に吹き出し部63から空気を吹き出す。吹き出された空気は、送風機20によって送風された空気と共に、各パネル吹き出し口37から室内空間に吹き出される。
【0039】
冷媒漏洩検知センサ65は、凹部56の内部空間Sにおいて、静電霧化装置60に隣り合う位置に配置されている。
本実施形態の冷媒漏洩検知センサ65は、冷媒の濃度を検知するガスセンサである。
冷媒漏洩検知センサ65は、センサ本体66と、当該センサ本体66を覆うセンサケース67とを備えている。センサケース67は、複数の開口が設けられた籠状に形成されている。これによって、センサケース67の内部に外部の空気を取り込むことができ、センサ本体66が冷媒を検知することができる。
【0040】
このように、凹部56を設け、内部空間Sに電装部品を収めることによって、パネル吸い込み口34やドレンパン45と、ベルマウス50との間に電装部品を配置するための空間を設ける必要がなくなる。このため、室内機10の小型化が実現可能となる。
【0041】
図6は、蓋体70の構成を示す図であり、
図6(A)は、化粧パネル33側から視た斜視図、
図6(B)は、凹部56側から視た斜視図である。
凹部56は、蓋体70によって覆われている。蓋体70は、平面視で凹部56と略同一形状となる、L字状に形成された板状部材である。
蓋体70は、
図6に示すように、複数のねじ止め孔72が設けられている。蓋体70は、このねじ止め孔72のそれぞれに挿通された各ねじ部材74がベルマウス50に螺合することによって、当該ベルマウス50に固定される。
蓋体70は、ベルマウス50に取り付けられたときに、化粧パネル33側に位置する平面である蓋体上面75と、凹部56側に位置する平面である蓋体裏面76とを有している。
図6(A)に示すように、蓋体上面75は、凹凸が少なく、滑らかな面となるように形成されている。
【0042】
蓋体70のベルマウス50の内側面側に位置する端部71には、略全体に亘って、傾斜部77が設けられている。傾斜部77は、蓋体上面75側から蓋体裏面76側に向かってなだらかに傾斜する傾斜形状を備えた平板部である。傾斜部77の端部71の他方の端部73は、ベルマウス50の内側面に沿うように湾曲している。また、傾斜部77の蓋体上面側に位置する面である傾斜部上面78は、蓋体上面75側に凸となる曲面状に形成されている。このため、傾斜部上面78は、なだらかな傾斜面となっている。
【0043】
蓋体70には、貫通孔である通気口79が複数設けられている。これらの通気口79は、蓋体70がベルマウス50に取り付けられたときに、冷媒漏洩検知センサ65に重なる位置に密集して設けられている。
これによって、凹部56の内部空間Sに、これらの通気口79を介して、空気を流入させることができる。
【0044】
次に、本実施形態の作用について説明する。
空気調和装置1の運転では、室外機の圧縮機が駆動し、圧縮機は、各減圧装置、室外熱交換器等と、膨張弁や切換え弁等及び各冷媒配管等から構成される冷凍サイクルの内部に封入された冷媒を圧縮し、各冷媒配管を経由して冷媒を室内熱交換器40に送り出す。
室内機10では、送風機20が駆動し、吸い込みグリル35、及びフィルタ36を通じて室内空間内の空気が室内機10の内部に導入される。
室内機10の内部に導入された空気は、室内熱交換器40で、当該室内熱交換器40に流れ込んだ冷媒と熱交換された後に、フラップ38により風向が調整され、吹き出し口37を通じて室内空間に吹き出される。これによって、空気調和装置1は、室内空間の空気調和を行う。
室内熱交換器40で熱交換した冷媒は、配管を通って膨張弁に流入した後、さらに配管を通って室外熱交換器に流入する。
【0045】
上述の通り、本実施形態の室内機10では、筐体14の内部において、送風機20が駆動されることでパネル吸い込み口34から吸い込まれた被調和空間内の空気が流れる流路が形成されている。ベルマウス50は、当該流路の一部を形成しており、吸い込まれた空気は、このベルマウス50の内側を通って、整流されつつ送風機20に向かう。このとき、吸い込まれた空気の一部は、
図5に示すように、ベルマウス50の内側面、すなわち、水平部上面53と、筒部上面55とに沿って流れる。
【0046】
水平部上面53の一部には、凹部56が設けられ、当該凹部56は、蓋体70によって閉塞されている。これによって、凹部56が設けられていても、凹部56の内部空間Sに空気が入り込むことが抑制され、室内機10の運転時に、当該室内機10の内部における空気の流れが阻害されることや、異音が発生することが抑制される。
【0047】
上述の通り、室内機10を含む空気調和装置1では、R32が冷媒として使用されている。このR32は、微燃性を有しており、当該R32が漏出した場合には、室内空間や室内機10の内部の冷媒濃度が燃焼下限界(LFL:Lower Flammability Limit)に達する前に、漏出を検知することが求められる。
【0048】
本実施形態では、室内機10には、冷媒漏洩検知センサ65が設けられている。この冷媒漏洩検知センサ65がセンシングを行うことで、室内機10において、冷媒の漏洩が発生しているか否かを検知することができる。
【0049】
また、冷媒漏洩検知センサ65は、凹部56に収められている。これによって、ベルマウス50や、パネル吸い込み口34、ドレンパン45等の周辺に設けられる空間を拡大することなく、冷媒漏洩検知センサ65を設けることができる。このため、室内機10の内部構造の変更を抑制しつつ、冷媒漏洩検知センサ65を配置することができる。
【0050】
上述の通り、蓋体70には、貫通孔である通気口79が複数設けられている。送風機20が駆動されることでパネル吸い込み口34から吸い込まれた被調和空間内の空気は、蓋体上面75に沿って流れたときに、通気口79から凹部56の内部空間Sに流入する。流入した空気は、内部空間Sで対流した後、通気口79から凹部56の外部に流出する。
【0051】
これによって、冷媒漏洩検知センサ65は、凹部56に配置され、蓋体70によって覆われていても、冷媒の漏洩を検知することができる。
なお、本実施形態では、凹部56には、開口57や開口58を介して空気が流入、または流出する。
これによって、凹部56の内部空間Sに、これらの通気口79を介して、空気を流入させることができる。
【0052】
上述の通り、凹部56は、ベルマウス50の水平部52に設けられている。
これによって、作業者は、吸い込みグリル35とフィルタ36とを取り外すことで、容易に凹部56に収められた冷媒漏洩検知センサ65の修理点検を実施することができる。このため、室内機10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0053】
さらに、R32は空気よりも密度が大きいため、当該R32が漏洩した場合、室内機10の下方に多く滞留する。本実施形態では、凹部56は、ベルマウス50の水平部52、すなわち、室内熱交換器40よりも下方に位置する箇所に設けられている。
これによって、冷媒漏洩検知センサ65は、少ない漏洩量であってもR32を検知することができる。このため、冷媒漏洩検知センサ65は、冷媒漏洩をより確実に検知することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、室内機10は、筐体14の内部に、送風機20と、室内熱交換器40と、送風機20に吸い込まれる空気を整流するベルマウス50とを備えている。ベルマウス50は、送風機20に吸い込まれる空気が流れる流路の少なくとも一部を形成し、ベルマウス50の流路に面する水平部上面53には、電装部品が収められる凹部56が設けられている。そして、凹部56には、冷媒を検知する冷媒漏洩検知センサ65が収められている構成とした。
【0055】
これによれば、ベルマウス50や、パネル吸い込み口34、ドレンパン45等の周辺に設けられる空間を拡大することなく、冷媒漏洩検知センサ65を設けることができる。このため、室内機10の内部構造の変形を抑制しつつ、冷媒漏洩検知センサ65を配置することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、凹部56を覆う蓋体70が設けられている。そして、蓋体70には、凹部56の内部空間Sと、凹部56の外部とを連通させる通気口79が設けられている構成とした。
【0057】
これによれば、凹部56の内部空間Sに、これらの通気口79を介して、空気を流入させることができ、冷媒漏洩検知センサ65は、凹部56に配置され、蓋体70によって覆われていても、冷媒の漏洩を検知することができる。このため、室内機10の運転時に、当該室内機10の内部における空気の流れが阻害されることや、異音が発生することを抑制しつつ、冷媒の漏洩を検知することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、筐体14は、室内熱交換器40を下方から覆うドレンパン45を備え、ベルマウス50は、ドレンパンの上面に沿うように枠状に形成されて略水平に延びる水平部52と、当該水平部52の内周部から曲面状に上方に立ち上がる円筒部54とを備え、凹部56は、水平部52に設けられている構成とした。
これによれば、室内機10では、吸い込みグリル35とフィルタ36とを取り外すことで、凹部56に収められた電装部品の修理点検を作業者が容易に実施することができる。このため、室内機10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0059】
上述した実施形態は、本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る空気調和装置の室内機は、筐体内部の空気の流れを安定させつつ、冷媒の漏洩を検知できる空気調和装置の室内機として、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 空気調和装置
10 室内機
14 筐体
20 送風機
40 室内熱交換器
45 ドレンパン
50 ベルマウス
52 水平部
53 水平部上面(上面)
54 円筒部
55 筒部上面(上面)
56 凹部
65 冷媒漏洩検知センサ
70 蓋体
75 蓋体上面(上面)
78 傾斜部上面(上面)
79 通気口
80 外部電装箱(収納部)
S 内部空間