(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】洗濯機及びポンプ
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
D06F39/02 A
(21)【出願番号】P 2023017613
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2021140343の分割
【原出願日】2021-08-30
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洸佑
(72)【発明者】
【氏名】辻 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】手島 賢
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-040943(JP,A)
【文献】特開2019-037358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性支持された外槽と、
前記外槽に供給される液剤を収容するタンクと、
前記タンクと連通する第1の流路を介して、前記液剤を吸い込み、第2の流路へ吐出するポンプを有する液剤投入装置と、を備え、
前記ポンプは、
前記液剤が吸い込まれるポンプ室と、
前記ポンプ室の内圧を変動させる可動部と、
を有し、
前記液剤投入装置は、
前記第1の流路から前記ポンプ室への一方向に前記液剤を通過させる吸入側逆止弁と、
前記ポンプ室から前記第2の流路への一方向に前記液剤を通過させる吐出側逆止弁と、を有し、
前記吸入側逆止弁が前記液剤を通過させる流れ方向と、前記吐出側逆止弁が前記液剤を通過させる流れ方向とが交差し、
前記ポンプは、
前記吐出側逆止弁が前記液剤を通過させる流れ方向の逆方向と対向する面Aと、
前記ポンプ室から前記第2の流路への
前記液剤の流れ方向と対向す
る面Bと、を有し、
前記液剤が前記タンクから前記第2の流路へ流れる順において、前記第1の流路、前記ポンプ室、前記
面A、前記面B、前記第2の流路の順に配置される、
洗濯機。
【請求項2】
前記ポンプ室の内圧を上昇させる前記可動部の運動方向へ、前記可動部を投影した投影領域に、前記面Aが設けられた、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ポンプは、前記ポンプ室の一部を規定する面
Cを更に有し、
前記面
Cは、前記液剤が前記タンクから前記第2の流路に流れる順において、前記第1の流路と前記
面Aとの間に配置されている、
請求項
1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記吸入側逆止弁が配置されている空間と前記ポンプ室とを連通する吸入側開口と、前記ポンプ室と前記第2の流路とを連通する吐出側開口が形成され、前記吸入側開口は前記吐出側開口よりも大きい、
請求項1
から3のいずれか1つに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記液剤投入装置は、一端が前記タンクと接続し、他端が前記ポンプと接続する接続部材を有し、
前記接続部材は、前記第1の流路を含む、
請求項
1から
4のいずれか1つに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記タンクは、前記タンクから前記液剤が吐出する吐出部と前記第1の流路との接続を開閉するタンク吐出弁を有し、
前記タンク吐出弁は、前記接続部材が前記タンクの吐出部に接続されると、開く、
請求項
5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記タンクの着脱方向と、前記可動部の往復運動方向とが、垂直に交差する、
請求項
3から
6のいずれか1つに記載の洗濯機。
【請求項8】
筐体内に弾性支持された外槽と、
前記外槽に供給される液剤を収容するタンクと、
前記タンクと連通する第1の流路を介して前記液剤を吸い込み、第2の流路へ吐出するポンプを有する液剤投入装置と、を備え、
前記ポンプは、
前記液剤が吸い込まれるポンプ室と、
前記ポンプ室の内圧を変動させる可動部と
、を有し、
前記液剤投入装置は、
前記第1の流路から前記ポンプ室への一方向に前記液剤を通過させる吸入側逆止弁と、
前記ポンプ室から前記第2の流路への一方向に前記液剤を通過させる吐出側逆止弁と、を有し、
前記吸入側逆止弁が前記液剤を通過させる流れ方向と、前記吐出側逆止弁が前記液剤を通過させる流れ方向とが交差し、
前記ポンプは、
前記吸入側逆止弁が前記液剤を通過させる流れ方向と対向する面Eを有し、
前記液剤が前記タンクから前記第2の流路へ流れる順において、前記第1の流路、
前記面E、前記ポンプ室、前記
第2の流路の順に配置される、
洗濯機。
【請求項9】
前記ポンプ室の内圧を上昇させる前記可動部の運動方向へ、前記可動部を投影した投影領域内に、前記面Eが設けられた、
請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記ポンプは、前記ポンプ室の一部を規定する
面Fを更に有し、
前記
面Fは、前記液剤が前記タンクから前記第2の流路に流れる順において、前記
面Eと、
前記ポンプ室と前記第2の流路とを連通させる吐出側開口との間に配置されている、
請求項
8または9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記ポンプは、前記第1の流路と前記ポンプ室との連通を開閉する吸入側逆止弁を備え、
前記吸入側逆止弁が配置されている空間と前記ポンプ室とを連通する吸入側開口と、前記ポンプ室と前記第2の流路とを連通する吐出側開口が形成され、前記吸入側開口は前記吐出側開口よりも大きい、
請求項
8に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記第1の流路は、前記タンクから前記液剤が吐出する吐出部と連通し、
前記タンクの吐出部から前記吸入側逆止弁まで、前記第1の流路が直線状に配置される、
請求項
11に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記液剤投入装置は、一端が前記タンクと接続し、他端が前記ポンプと接続する接続部材を有し、
前記接続部材は、前記第1の流路を含む、
請求項
12に記載の洗濯機。
【請求項14】
前記タンクは、前記タンクの吐出部と前記第1の流路との接続を開閉するタンク吐出弁を有し、
前記タンク吐出弁は、前記接続部材が前記タンクの吐出部に接続されると、開く、
請求項
13に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記タンクの着脱方向と、前記可動部の往復運動方向とが、垂直に交差する、
請求項
8から
14のいずれか1つに記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機及びポンプに関し、特に液剤自動投入装置を搭載する洗濯機及び洗濯機用のポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には液剤を収容するタンクと、タンク内の液剤を自動供給する液剤自動投入装置とを搭載する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、ピストンポンプユニットにより、吸入水路から所定量の液剤をシリンダ内へ吸引し、吸引した液剤を吐出水路へ吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機は、シリンダ内への吸込み方向と吐出方向が同じであった。液剤投入装置の上流にはタンクが配置されており、下流には吐出水路が配置されていた。従って、タンクと、液剤投入装置と、吐出水路とが干渉しないで収納するためには、タンクから液剤投入装置までの経路と、液剤投入装置から吐出水路のどちらか、もしくは両方を曲げなくてはならないという課題があった。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあって、液剤投入装置周りの収納の省スペース化を実現する洗濯機及びポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、筐体内に弾性支持された外槽と、外槽に供給される液剤を収容するタンクと、タンクと連通する第1の流路を介して液剤を吸い込み、第2の流路へ吐出するポンプを有する液剤投入装置と、を備える。ポンプは、液剤が吸い込まれるポンプ室と、ポンプ室の内圧を変動させる可動部と、第1の流路の流れ方向と対向するようにポンプ室に向かって曲がる曲げ部と、ポンプ室と第2の流路とを連通させる吐出側開口と、を有する。液剤がタンクから第2の流路へ流れる順において、第1の流路、曲げ部、ポンプ室、吐出側開口の順に配置される。
【0008】
本開示の一態様のポンプは、洗濯機に液剤を投入するために用いられ、第1の流路を介して液剤を吸い込み、第2の流路へ吐出するポンプである。ポンプは、液剤が吸い込まれるポンプ室と、記ポンプ室の内圧を変動させる可動部と、記第1の流路の流れ方向と対向するようにポンプ室に向かって曲がる曲げ部と、ポンプ室と第2の流路とを連通させる吐出側開口と、を有する。液剤が第1の流路から第2の流路へ流れる順において、第1の流路、曲げ部、ポンプ室、吐出側開口の順に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、液剤投入装置周りの収納の省スペース化を実現する洗濯機及びポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示に係る実施形態1の洗濯機の模式断面図
【
図8】タンク、液剤投入装置、及び液剤吐出流路の部分分解図
【
図15】液剤の吸い込み及び吐出の流れを示す説明図
【
図16】液剤の吸い込み及び吐出の流れを示す説明図
【
図17】液剤の吸い込み及び吐出の流れを示す説明図
【
図18】液剤の吸い込み及び吐出の流れを示す説明図
【
図21】変形例1による自動投入ユニットの模式断面図
【
図22】変形例2による自動投入ユニットの模式断面図
【
図23】変形例2による液剤投入装置の模式縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
本開示の実施形態1に係る洗濯機について図を参照して説明する。
【0012】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態1の洗濯機1を示す模式断面図である。
図2は洗濯機1の模式正面図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有する洗濯乾燥機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15を洗浄するために用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、中性洗剤等を含む。
【0013】
図1に示すように、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水口10と、排水弁11と、制御部(図示せず)と、を備える。
【0014】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の前面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0015】
<外槽>
外槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3は、水槽と称してもよい。外槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。外槽3の中心軸V0は、底部36の中心を通過する。中心軸V0は、水平に対して傾斜される。外槽3は、ダンパ30とコイルスプリング(図示せず)によって弾性支持され、洗濯、脱水時の振動をダンパ30とコイルスプリングによって吸収する。外槽3は、筐体2の開口20に面する位置に開口31を有し、ベローズ32によって、筐体2の開口20と密閉されて連結される。外槽3にはさらに通水のための開口33、35が設けられる。開口33は、接続流路8に接続される開口であり、開口35は外槽3の水を外部に排水するための排水口である。
【0016】
また、後述において、中心軸V0に沿った水平方向を前後方向M(
図1)として、中心軸V0を含む平面に直交する水平方向を幅方向K(
図2)とする。前後方向Mは、開口31に向かう前側M1と底部36に向かう後側M2を有し、幅方向Kは、中心軸V0から離れる外側K1と中心軸V0に向かう中心側K2を有する。
【0017】
<内槽>
内槽4は、外槽3の内側において中心軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物15を収容する大略円筒状の部材である。内槽4は、ドラムと称してもよい。内槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は内槽4と外槽3とを連通させ、洗濯水が内槽4から外槽3へ、及び、外槽3から内槽4に移動することを可能にする。内槽4はさらに、筐体2の開口20及び外槽3の開口31に面する位置に、開口41を有する。
【0018】
<駆動部>
駆動部5は、内槽4を回転駆動させる部材である。駆動部5は例えば、内槽4を回転させる動力部を有する。動力部は、例えば、モータを有する。
【0019】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、所定量の液剤を、液剤を貯蔵するタンクから、外槽3に自動で投入するためのユニットである。自動投入ユニット6は、液剤を手動投入しない場合に、洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において、外槽3に投入する。自動投入ユニット6は、液剤を外槽3に供給するために、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0020】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(
図3)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63C図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65と、給水電磁弁66を備える。
【0021】
図2に示すように自動投入ユニット6は、筐体2の内部において、外槽3の斜め上方に設けられる。ケース61の底面55は、外槽3の筒部34の外周に沿った形状を有する。底面55は、外側K1に向かって下方に傾斜される。さらに、
図1に示すように、底面55は、後側M2に向かって下方に傾斜される。自動投入ユニット6の上部は、筐体2の上面に設けられた開閉可能なカバー60に面する。
【0022】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3へ液剤を流すための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6の液剤出口81から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0023】
<給水口>
給水口10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水口10は、筐体2の上部に設けられる。
【0024】
<排水弁>
排水弁11は、開閉可能に構成され、開かれると、外槽3に溜められた水を外槽3の開口35を通じて排水するための弁である。排水弁11は、筐体2の下部に設けられる。
【0025】
<制御部>
制御部(図示せず)は、洗濯機1の運転を制御する部材である。制御部は、駆動部5、自動投入ユニット6の液剤投入装置63A、63B、63C、給水口10、及び排水弁11等の洗濯機1の構成要素を制御する。制御部は、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0026】
続いて、自動投入ユニット6の構成要素について、
図3から
図6を参照しながら説明する。
図3及び
図4は、自動投入ユニット6の斜視図である。
図5は、自動投入ユニット6の上面図である。
図6は、自動投入ユニット6の一部の斜視図である。
【0027】
<ケース>
図3に示すように、ケース61は、自動投入ユニット6を構成するタンク62A、62B、62Cと、手動投入部65と、を収容する部材である。ケース61の底面55は、点線によって模式的に示す外槽3の外郭に沿って、外側K1に傾斜している。ケース61の上部は開口している。
【0028】
ここで、ケース61の前側M1の面を前面56として、ケース61の後側M2の面を背面57とする。
図4及び
図6に示すように、ケース61の背面57には、液剤投入装置63A、63B、63C(
図6)と、液剤吐出流路64と、給水電磁弁66(
図4)と、接続流路8(
図4)とが接続される。
【0029】
図5に示すように、ケース61の上部には、供給流路67が形成される。供給流路67は、ケース61の外周に沿って、複数の独立した経路を形成する。それぞれの経路は、水を給水電磁弁66からケース61の内部に供給する。
【0030】
<タンク>
ケース61には、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んで配置された状態で収容される。タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。タンク62A、62B、62Cは、略直方体の形状を有し、略直方体の長手方向は前後方向Mと平行である。
【0031】
タンク62A、62B、62Cは、ケース61から取り外し可能である。ケース61から手動投入部65を取り出した状態において、ケース61の前側M1に空いたスペースがある。これにより、タンク62A、62B、62Cを前側M1に引いて液剤投入装置63A、63B、63C(
図6)から取り外し、上方に取り出すことができる。
【0032】
<液剤投入装置>
図6に示すように、液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは、ケース61の背面57を介して、それぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。タンク62Aには液剤投入装置63Aが接続され、タンク62Bには液剤投入装置63Bが接続され、タンク62Cには液剤投入装置63Cが接続される。液剤投入装置63A、63B、63Cは、幅方向Kに並んで配置される。
【0033】
ケース61、タンク62A、62B、62C、及び液剤投入装置63A、63B、63Cの詳細構造については後述する。
【0034】
<液剤吐出流路>
図6に示すように、液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3に供給する流路部材である。液剤吐出流路64は、ケース61の背面57に設けられ、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される。液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。液剤吐出流路64を流れる流体は、液剤吐出流路64の傾斜に応じて一方向に流れる。
【0035】
<手動投入部>
図5に示すように、手動投入部65は、洗濯運転の度に、使用者が1回分の洗濯処理剤としての液剤を、手動で投入するための機構である。手動投入される液剤は、投入された量において、ケース61から接続流路8(
図1)を介して外槽3(
図1)に流入する。手動投入部65に投入される液剤は、液体または粉末状であってもよい。手動投入部65は、ケース61内において、タンク62A、62B、62Cの前側M1で、取り外し可能に収容される。
【0036】
<給水電磁弁>
図4及び
図5に示すように、給水電磁弁66は、3つの電磁弁によって構成され、それぞれの弁の開閉によって、給水先となる供給流路67(
図5)の経路を変更する。水は、ケース61を介して外槽3に流入する。
【0037】
続いて、自動投入ユニット6のケース61の構造について、
図7を参照しながらより詳細に説明する。
図7はケース61の斜視図である。
【0038】
図7に示すように、ケース61は、内底面B1、B2、B3を有する。内底面B1、B2、B3は外側K1に沿って順番に並ぶ。内底面B1は、タンク62A(
図6)の直下に位置する面であり、内底面B2は、タンク62B(
図6)の直下に位置する面であり、内底面B3は、タンク62C(
図6)の直下に位置する面である。言い換えれば、内底面B1、B2、B3はそれぞれタンク62A、62B、62Cを収容するそれぞれの領域を形成する。
【0039】
ケース61の背面57には、タンク接続口77A、77B、77Cと、第1ケース接続口78と、第2ケース接続口79と、液剤出口81とが形成される。
【0040】
タンク接続口77A、77B、77Cは、ケース61に収容されたタンク62A、62B、62Cと、ケース61の外部に配置された液剤投入装置63A、63B、63Cとの接続のために設けられた開口である。
【0041】
また、第1ケース接続口78は、供給流路67から流れる水を液剤吐出流路64に流入させる開口である。第2ケース接続口79は、液剤吐出流路64からの水と、自動投入される液剤をケース61に流入させる開口である。液剤出口81は、第2ケース接続口79ケース61に流入した流体と、手動投入部65からの流体を、接続流路8を通じて外槽3に向かって排出する開口である。第1ケース接続口78は、第2ケース接続口79より高い位置に設けられる。
【0042】
ここで、タンク62A、62B、62Cの容積について説明する。
図5に戻ると、タンク62A、62B、62Cの上面は共通した形状を有する。タンク62A、62B、62Cの幅方向K及び前後方向Mにおける寸法は互いに一致してもよい。上面の形状が共通しているため、タンク62A、62B、62Cの容積は、それぞれの深さに応じて、外側K1に沿って増加する。
【0043】
3つのタンク62A、62B、62Cには、異なるまたは同一の液剤が収容されてもよい。液剤の種類及びタンク62A、62B、62Cの容積を考慮して、液剤の使用頻度が低いものから順に、タンク62A、62B、62Cに収容されてもよい。例えば、タンク62Aには中性洗剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。
【0044】
続いて、タンク62A、62B、62Cに接続される液剤投入装置63A、63B、63Cについて、
図8を参照しながらより詳細に説明する。
図8は、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び液剤吐出流路64の部分分解図である。
図9は、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び液剤吐出流路64の背面図である。ここで、タンク62、液剤投入装置63、及び接続部76を、それぞれ、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び接続部76A、76B、76Cの総称とする。
【0045】
図8に示すように、タンク62の接続部76の深さの変化に応じて、液剤投入装置63A、63B、63Cは、外側K1に低くなる。液剤投入装置63の後述する液剤流入口91が、タンク62の短手方向を含む面に形成された接続部76に対向するように、液剤投入装置63A、63B、63Cは配置される。本実施形態では、液剤投入装置63A、63B、63Cは階段状に配置される。
【0046】
さらに、タンク62は、本体87と蓋88とを備える。本体87の上部は開口しており、蓋88に覆われている。蓋88は、本体87に取り外し可能に保持される。前述のように、タンク62の上面は共通の形状を有しており、よって、本体87の上面は共通の形状を有する。また、蓋88を保持するための構造も共通である。そのため、それぞれのタンク62の蓋88を共通で形成することが可能であり、蓋88は交換可能である。より具体的には、任意のタンク62A、62B、62Cの蓋88は、他のタンク62A、62B、62Cにも取り付け可能である。一方で、蓋88に付される色、模様、文字等、その他タンク62の識別性を向上させる表示は、異なってもよい。蓋88は、タンク62の前側M1に、蓋88に対して開閉可能な小蓋88Aを有する。
【0047】
1つの任意のタンク62に接続された液剤投入装置63を例として、
図9、
図10、
図11を参照しながら、1つの液剤投入装置63の構造についてより詳細に説明する。
図9は、単一のタンク62と液剤投入装置63の分解図である。
図10は、単一のタンク62と液剤投入装置63の分解図である。
図11は、外側K1から見た液剤投入装置63の模式断面図である。
【0048】
図9及び
図10に示すように、液剤投入装置63は、前後方向Mに沿ってタンク62の背面90に着脱可能に接続される。言い換えれば、タンク62と、タンク62に接続された液剤投入装置63は、それぞれ前後方向Mに沿って配置される。
【0049】
図9に示すように、液剤投入装置63は、動力部71と、減速機構72と、ポンプ73と、接続部材94とを備える。動力部71は、減速機構72を回転軸V1の周りで回転駆動する電子部品である。減速機構72は、動力部71の周囲に配置されており、複数の減速ギア(図示せず)と、動力部71より小さい回転速度を回転する出力軸V2とを備える機構である。出力軸V2は、回転軸V1と平行である。減速機構72を設けることによって、汎用の動力部71を液剤投入装置63に適用することができ、自動投入ユニット6のコストを抑えることができる。動力部71と減速機構72とは、併せてモータと称してもよい。減速機構72の出力軸V2、即ちモータは、偏心カムを介して、幅方向Kからポンプ73に接続される。ポンプ73は、タンク62からの液剤を吸い上げて吐出する容積型ポンプである。動力部71の回転軸V1が回転すると、減速機構72の出力軸V2が回転し、ポンプ73における後述するピストン83が上下運動する。
【0050】
接続部材94は、液剤投入装置63をタンク62に接続する部材である。接続部材94は、内部にタンク62からポンプ73のポンプ室84へ液剤が流れる入口流路85の一部である第1の流路85aを含む。入口流路85は、接続部材94内に形成された第1の流路85aと、ポンプケース93内に形成された第3の流路84fとで構成される。
【0051】
接続部材94の一方は、ポンプ73のポンプケース93に固定されており、他方はタンク62の接続部76に着脱可能である。このように、接続部材94が、ポンプケース93に直接接続されている場合、第1の流路85aをより短くすることができる。
【0052】
接続部材94は、タンク62において、液剤が吐出する吐出部としても機能する接続部76に配置されたタンク吐出弁62dを閉状態から開状態へ移動させるピン94aを有する。接続部材94がタンク62の接続部76に装着されると、接続部材94のピン94aが、逆止弁であるタンク吐出弁62dをタンク62の前面側へ移動させる。これにより、タンク吐出弁62dが閉状態から開状態へ変化し、タンク62内の液剤の圧力により液剤が接続部76から第1の流路85aへ流れる。
【0053】
ポンプ73について
図12を参照してより詳細に説明する。ポンプ73は、ピストン83と、ポンプ室84と、ポンプケース93と、吸入側逆止弁95と、吐出側逆止弁96と、を備える。
【0054】
ピストン83は、減速機構72の出力軸V2に接続され、出力軸V2の回転に伴ってポンプ室84内を、第1の運動方向N1と、第2の運動方向N2とに、往復運動する部材である。例えば、第1の運動方向N1は上方向であり、第2の運動方向N2は下方向であるので、ピストン83の往復運動方向Nは、に上下方向である。また、ピストン83の往復運動方向Nは、上下方向に限らず、水平方向でもよいし、傾斜方向でもよい。可動部としてのピストン83の往復運動により、ポンプ室84内の内圧が変動する。ピストン83は、シール83eを介してポンプケース93と接続している。
【0055】
固定部としてのポンプケース93は、ポンプ室84を内部に有し、さらに、第3の流路84fと、吐出側逆止弁96が配置される第2の流路86とを有するケースである。ポンプ室84は、ポンプケース93とピストン83とに囲まれた空間であり、液剤が吸い上げられる空間S1と、吸入側逆止弁95が配置される第3の流路84fと、を有する。ポンプケース93は、ピストン83の摺動面83dと対向するシリンダ84aと、ピストン83の底面83aと対向する底面84bとを有する。ポンプ室84において、ピストン83の底面83aと、シリンダ84aと、底面84bとで囲まれた空間に、第3の流路84fから液剤が吸い上げられる。
【0056】
入口流路85は、液剤流入口91を通じてタンク62から液剤を吸い上げるために、タンク62とポンプ室84の下部とを接続する流路である。液剤流入口91はタンク62の接続部76に挿入される。第2の流路86は、ポンプ室84内の液剤を液剤吐出流路64に排出するため、ポンプ室84の下部と液剤吐出流路64とを接続し、上下方向に延びる流路である。入口流路85がタンク62の接続部76から吸入側逆止弁95まで、直線状に配置されているので、入口流路85をより短くすることができる。本実施形態では、入口流路85は、水平に配置されているが、数度程度の傾斜を有して配置されてもよい。吸入側逆止弁95は、第1の流路85aからポンプ室84への一方向にだけ液剤の通過を可能にする。また、吐出側逆止弁96は、ポンプ室84から第2の流路86への一方向にだけ液剤の通過を可能にする。
【0057】
ポンプ室84においてシリンダ84aの一部及びポンプケース93の底面84bの一部に、第3の流路84fと連通する吸入側の開口84cが形成されている。断面視で、ポンプケース93の底面84bと、ピストン83の下死点におけるピストン83の底面83aとの間に、第3の流路84fの一端部84faが位置する。別の言い方をすると、第3の流路84fの径方向のピストン83側の端部と、ポンプケース93の底面84bと、ピストン83の下死点におけるピストン83の底面83aとが略同一高さに位置する。これにより、第3の流路84fを短くすることができ、液剤の吸い込み揚程を低減することができるので、粘度の高い液剤であっても安定した液剤の吐出量を実現することができる。なお、ポンプケース93の底面84bと、ピストン83の下死点におけるピストン83の底面83aとの間とは、ポンプケース93の底面84bの位置及びピストン83の下死点におけるピストン83の底面83aの位置も含まれる。したがって、第3の流路84fの一端部84faが、ピストン83の下死点におけるピストン83の底面84bと同一平面に位置する場合や、第3の流路84fの一端部84faが、ポンプ室84におけるピストン83の底面83aと対向する底面84bと同一平面に位置する場合も含まれる。
【0058】
第3の流路84fの一端部84faは、ポンプケース93のシリンダ84aに接続し、第3の流路84fの他端部84fbが、ピストン83の第2の運動方向N2側に対向するポンプケース93の底面84bに接続する。ポンプケース93は、吸入側逆止弁95の開閉方向と対向する曲げ部84eを有する。したがって、曲げ部84eは、第1の流れ方向F1とも対向する。曲げ部84eは、例えば、曲面であり、その両端部として接続部分84ea及び他端部84fbを有する。断面視で、ポンプケース93における第1の流れ方向F1と平行な面84gと接続する、曲げ部84eの接続部分84eaは曲率を有する。また、ピストン83の第2の運動方向N2側に対向するポンプケース93の底面84bと接続する、曲げ部84eの接続部分でもある他端部84fbも、曲率を有する。
【0059】
曲げ部84eの両端部が曲率を有するので、第3の流路84fからピストン83側に流れる液剤の剥離防止をすることができる。すなわち、曲げ部84eの両端部での渦の発生を抑制し、圧力損失が増大するのを低減することができる。また、曲げ部84eが曲面で形成されているので、直線状の斜面で形成されている場合と比べて、経路断面積の急変を防止することができ、圧力損失の増大を低減することができる。
【0060】
また、ポンプケース93の底面84bの一部に、第2の流路86と連通する吐出側開口84dが形成されている。断面視で、第3の流路84fの一端部84faは、閉じた状態の吐出側逆止弁96のポンプ室84側の端部よりもピストン83側に位置する。これにより、第3の流路84fの一端部84faと、ピストン83の底面83aと、吐出側逆止弁96のポンプ室84側の端部とを近接することができるので、第3の流路84fの出口から吐出側逆止弁96までの経路を短くすることができ、液剤の圧力損失を小さくすることができる。この結果、ピストン83が受ける負荷を小さくすることができ、液剤の吐出量をより安定化することができる。また、吸入側開口84cは吐出側開口84dよりも大きいので、液剤をポンプ室84へ吸い込むときの圧力損失を低減することができる。
【0061】
吸入側逆止弁95は、ピストン83が下死点から上昇することによりポンプ室内の圧力が負圧になると、開状態になる。吸入側逆止弁95が開状態になると、第1の流路85aからポンプケース93内の第3の流路84f内に液剤が流れ込み、さらに、ポンプ室84に吸い上げられる。ピストン83が上死点から下降することにより、ポンプ室84内の圧力が正圧になり、吸入側逆止弁95が閉状態になる。
【0062】
第2の流路86には、吐出側逆止弁96が配置されている。吐出側逆止弁96は、ピストン83が下死点から上昇することによりポンプ室84内の圧力が負圧になると、閉状態になる。ピストン83が上死点から下降することにより、ポンプ室84内の圧力が正圧になり、吐出側逆止弁96が開状態になる。吐出側逆止弁96が開状態になると、ポンプ室84に吸い上げられた液剤が液剤吐出流路64に排出される。
【0063】
ポンプ73において、吸入側逆止弁95による液剤の吸い込み方向と、吐出側逆止弁96による液剤の吐出方向とが、交差するので、第1の流路85aの途中で経路を曲げるよりも、液剤の吸い込み方向からピストン83側へ曲げられた流路を短くすることができ、液剤の吸い込み揚程をより小さくすることができる。また、タンク62からポンプ室84までの入口流路85とポンプ室84から液剤が吐出される第2の流路86が同一平面に存在し、かつ、入口流路85と第2の流路86とが平行でない場合、タンク62から液剤の直線的な流れに沿って吸入側逆止弁95を配置することができ、液剤の吸い込み揚程をより小さくすることができる。本実施形態では、吸入側逆止弁95による液剤の吸い込み方向と、吐出側逆止弁96による液剤の吐出方向とは直交している。
【0064】
吸入側逆止弁95は、開状態または閉状態において、その一部が、ピストン83を第2の運動方向N2へ投影した投影領域Arに含まれる。これにより、ピストン83と吸入側逆止弁95との距離を短くすることができ、第3の流路84fからピストン83と底面84bとの間の空間S1への液剤の吸い込み揚程を小さくすることができる。
【0065】
次に、
図13及び
図14を参照してピストン83の説明をする。
図13はピストンの斜視図であり、
図14はピストンの分解斜視図である。
【0066】
ピストン83は、ピストン本体83bと、蓋83cとを有する。ピストン本体83bは、底部に凹部83baを有する。蓋83cは、凹部83baを覆うように固定されている。ピストン本体83b及び蓋83cはどちらも樹脂製であり、例えば、ポリアセタール樹脂(POM)である。
【0067】
ピストン本体83bの底部に凹部83baを有することで、ピストン本体83bを金型成形により作成する場合でも寸法精度を高く形成することができる。しかしながら、ピストン本体83bだけで往復運動する場合、凹部83baに空気が溜まり、吸い上げる液剤量のばらつきの要因の1つになる。そこで、凹部83baに蓋83cを超音波により溶着することで、空気の溜まる凹部83baを閉じることができ、吸い上げる液剤量のばらつきを低減することができる。
【0068】
[動作]
以上のような構成において、次に自動投入ユニット6の動作の一例について、
図4、
図6、及び
図15~
図18を参照して説明する。
図15~
図18は、液剤の吸い込み及び吐出の流れを示す説明図である。
【0069】
自動投入ユニット6は、洗濯機1の洗い工程と、すすぎ工程との際に動作する。自動投入ユニット6の動作は、制御部によって制御される。制御部は、例えば、給水電磁弁66の開閉、及び投入する液剤の種類、投入量や投入のタイミング等を制御する。
【0070】
洗い工程及びすすぎ工程において、自動投入ユニット6は、外槽3に水及び液剤を供給する。洗い工程において、洗剤の自動または手動投入を実行するために、
図4において、給水電磁弁66の第1電磁弁(図示せず)が開放される。
図6において、ケース61に流入した水は、液剤出口81から接続流路8を通じて外槽3に流入する。
【0071】
続いて、自動投入される液剤の流れについて、詳細に説明する。選択された運転コースに基づいて、制御部からの指令により、対応する液剤が収容されるタンク62に接続される液剤投入装置63が駆動される。
図12に示すように、液剤投入装置63における動力部71が回転し、動力部71の回転が、減速機構72を介して減速され、ポンプ73のピストン83に伝達される。
【0072】
図15に示すように、ピストン83が下死点P1の位置にいる状態では、ポンプ室84内の液剤からの圧力により、吸入側逆止弁95が閉じた状態であるので、第1の流路85aの液剤は、吸入側逆止弁95から第3の流路84fに流れることができない。
【0073】
図16に示すように、ピストン83が下死点P1から第1の運動方向N1の方向に上昇すると、ポンプ室84内が負圧になるので、吸入側逆止弁95が開いた状態になり、吐出側逆止弁96は閉じた状態になる。これにより、接続部材94の第1の流路85aの液剤がポンプケース内93内の第3の流路84fに流入し、さらに、開口84cを通ってポンプ室84に吸い上げられる。吸い上げられた液剤はポンプ室84に貯められる。
【0074】
図17に示すように、ピストン83が上死点P2に上昇すると、ポンプ室84内への液剤の吸い上げが停止する。
【0075】
図18に示すように、ピストン83が上死点P2から第2の運動方向N2に下降すると、ポンプ室84内が正圧になるので、吸入側逆止弁95が閉じた状態になり、吐出側逆止弁96は開いた状態になる。これにより、ポンプ室84内に吸い上げられた液剤は、第3の流路84fの方に流れることができないので、ポンプ室84から開口84dを通って、第2の流路86へ吐出される。第2の流路86へ吐出された液剤は液剤吐出流路64に流れる。
【0076】
図6に示すように、液剤は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れる。液剤は、液剤吐出流路64において、流れる水と合流してもよい。液剤は、
図7に示す第2ケース接続口79からケース61の投入流路(図示省略)を経て液剤出口81に導かれ、接続流路8を介して外槽3に流入する。
【0077】
ポンプ73のピストン83が下死点P1まで下降すると、再び
図15に示すように、第2の流路86への液剤の吐出が停止する。
【0078】
また、選択された運転コースに基づいて、外槽3に投入される液剤が決定される。運転コースとして洗いが選択されると、洗い工程における制御部12の動作によって、洗剤が収容されるタンク62C(
図9)に接続される液剤投入装置63C(
図9)が駆動される。運転コースとしておしゃれ着洗いが選択されると、中性洗剤が外槽3に投入されてもよい。この場合、中性洗剤が収容されるタンク62Aの液剤投入装置63Aが駆動される。すすぎ工程の場合、制御部の動作によって、柔軟剤S2が収容されるタンク62Bの液剤投入装置63Bが駆動される。
【0079】
洗い工程及びすすぎ工程を繰り返すと、タンク62に収容される液剤の量が減少する。洗濯機1の使用者は、タンク62に液剤を補充することができる。タンク62がケース61に配置された場合において、
図8に示すように、小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。一方で、タンク62をケース61から取り出した場合において、蓋88を取り外して、または小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。
【0080】
[効果]
実施形態1に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0081】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、外槽3と、タンク62と、液剤投入装置63(自動液剤投入装置)と、を備える。外槽3は、筐体2内に弾性支持される。タンク62は、外槽3に供給される液剤を収容する。液剤投入装置63は、タンク62から液剤が吐出する接続部76と連通する第1の流路85aを介して、液剤を吸い込んで第2の流路86へ吐出するポンプ73とを有する。ポンプ73は、第1の流路85aと第2の流路86とにそれぞれ連通するポンプ室84と、第1の流路85aとポンプ室84との連通を開閉し、第1の流路85aからポンプ室84へと液剤を流す吸入側逆止弁95と、ポンプ室84と第2の流路86との連通を開閉し、ポンプ室84から第2の流路86へと液剤を流す吐出側逆止弁96と、を有する。ポンプ室84は、ポンプケース93と、ポンプケース93に対してシール可能に接続され、第1の運動方向N1と第2の運動方向N2とに往復運動することでポンプ室84の容積を拡大及び縮小させるピストン83で囲まれている。第1の流路85aから吸入側逆止弁95へ液剤が流れる第1の流れ方向F1と、第1の運動方向N1との第1の関係、及び、吐出側逆止弁96から第2の流路86へ液剤が流れる第2の流れ方向F2と、第2の運動方向N2との第2の関係において、第1の関係における第1の流れ方向F1と第1の運動方向N1とが異なる。
【0082】
このような構成によって、第1の流路85aとピストン83の運動方向との異方向構成をポンプ73自体に内包することで、タンク62と、液剤投入装置63と、第2の流路86より下流の経路との収納を省スペース化することができる。また、異方向構成をポンプ73自体に内包することで、タンク62からポンプ73を経て第2の流路86まで流れる液剤の圧力損失を低減するポンプ73の最適なレイアウトを選択することができる。また、洗濯機1用のこのようなポンプ73を用いることで、タンク62と、液剤投入装置63と、第2の流路86より下流の経路との収納を省スペース化することができる。
【0083】
また、ポンプ室84は、ピストン83とポンプケース93との間の空間と第1の流路85aとを連通する第3の流路84fを有する。第1の関係における第1の流れ方向F1と第1の運動方向N1とが異なる場合、第3の流路84fの一端部84faが、ポンプケース93のシリンダ84aに接続し、第3の流路84fの他端部84fbが、ピストン83の第2の運動方向N2側に対向するポンプケース93の底面84bに接続する。第3の流路84fの一端部84faは、ピストン83における第2の運動方向N2側に対向するポンプケース93の底面84bと、ピストン83の下死点におけるピストン83の第2の運動方向N2側との間に位置する。
【0084】
このような構成によって、吸入側逆止弁95とピストン83との距離、または、吐出側逆止弁96とピストン83との距離を短くすることができ、流路を流れる液剤の圧力損失を低減することができる。これにより、液剤投入装置63から吐出される液剤の吐出量を安定させることができる。
【0085】
第1の関係における第1の流れ方向F1と第1の運動方向N1とが異なる場合、吸入側逆止弁95は、開状態または閉状態において、その一部が、ピストン83を第2の運動方向N2へ投影した投影領域Arに含まれる。
【0086】
このような構成によって、吸入側逆止弁95と、ピストン83の底面83aと、吐出側逆止弁96のポンプ室84側の端部とを近接することができるので、第3の流路84fの出口から吐出側逆止弁96までの経路を短くすることができ、液剤の圧力損失を小さくすることができる。これにより、ピストン83が受ける負荷を小さくすることができ、液剤の吐出量をより安定化することができる。
【0087】
第1の関係における第1の流れ方向F1と第1の運動方向N1とが異なる場合、ポンプケース93は、第1の流れ方向F1と対向する曲げ部84eを有する。ポンプケース93における第1の流れ方向F1と平行な面84gとの曲げ部84eの接続部分84ea、及び、ポンプケース93の底面84bとの曲げ部84eの接続部分である他端部84fbが、曲率を有する。
【0088】
このような構成によって、曲げ部84eの両端部が曲率を有するので、第3の流路84fからピストン83側に流れる液剤の剥離防止をすることができる。すなわち、曲げ部84eの両端部での渦の発生を抑制し、圧力損失が増大するのを低減することができる。
【0089】
第2の関係における第2の流れ方向F2と第2の運動方向N2とが同じ場合、ポンプケース93の底面84bの一部に、ピストン83とポンプケース93の底面84bとの間の空間と第2の流路86とを連通する吐出側の開口84dが形成されている。
【0090】
このような構成によって、第2の流れ方向F2と第2の運動方向N2とが同じであるので、吐出側逆止弁96とピストン83との距離が短くでき、圧力損失を低減し吐出量を安定化させることができる。
【0091】
また、本実施形態の洗濯機1において、ポンプケース93におけるピストン83の摺動面83dと対向する面の一部、及びポンプケース93の底面84bの一部に、吸入側逆止弁95が配置されている第3の流路84fとピストン83とポンプケース93の底面84bとの間の空間S1とを連通する吸入側開口84cと、ポンプ室84と第2の流路86とを連通する吐出側開口84dが形成され、開口84cは吐出側開口84dよりも大きい。
【0092】
このような構成によって、第3の流路84fにおいて、吸入側逆止弁95からポンプ室84までの部分を短くすることができ、吸入側の圧力損失を低減することができ、また、液剤の吸い込み揚程を小さくすることができる。
【0093】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62の接続部76から吸入側逆止弁95まで、第1の流路85a及び第3の流路84fが直線状に配置される。
【0094】
このような構成によって、入口流路85を短くすることができ、液剤の吸い込み揚程を小さくすることができる。また、タンク62から吸入側逆止弁95までの圧損を低減し、吐出量を安定化させることができる。
【0095】
また、本実施形態の洗濯機1において、一端がタンク62と接続し、他端がポンプ73と接続する接続部材94を有する。接続部材94は第1の流路85aを含み、ポンプケース93は、内部に第3の流路84fを含む。
【0096】
このような構成によって、タンク62とポンプ73とが接続部材94により直接接続されているので、第1の流路85aを短くすることができる。また、ポンプ室84の空間と、吸入側逆止弁95が往復運動する空間とが共にポンプケース93により形成されているので、第3の流路84fを短くすることができる。これにより、液剤の吸い込み揚程を小さくすることができる。
【0097】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62は、タンク62の接続部76と第1の流路85aとの接続を開閉するタンク吐出弁62dを有し、タンク吐出弁62dは、接続部材94がタンク92の接続部76に接続されると、開く。
【0098】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62の着脱方向と、ピストン83の往復運動方向Nとが、垂直に交差する。このような構成によって、嵩の大きなピストン83を着脱方向に対して嵩張らない方向に延伸させ、ポンプ73をタンク62の着脱方向において小型に形成できる。そのため、液剤投入装置周りの省スペース化を実現できる。
【0099】
また、本実施形態の洗濯機1において、ピストン83は、底部に凹部83baを含むピストン本体83bと、凹部83baを覆う蓋83cと、を有する。
【0100】
このような構成によって、ピストン83の凹部83baに空気が溜まるのを防止し、吸い上げる液剤の量を安定化することができる。
【0101】
また、本実施形態の洗濯機1において、ポンプケース93は、内部に第2の流路86を含み、吐出側逆止弁96は、第2の流路86内で開閉動作する。
【0102】
このような構成によって、ポンプ室84の空間と、吐出側逆止弁96が往復運動する空間とが共にポンプケース93により形成されているので、第2の流路86を短くすることができるので、液剤の圧力損失を低減することができる。
【0103】
なお、本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0104】
なお、実施形態1において、自動投入ユニット6が3つのタンク62を有する場合について説明したが、このような場合に限定されない。自動投入ユニット6が2つのタンク62または4つ以上のタンク62を有してもよい。
【0105】
なお、実施形態1において、ポンプ73がピストンポンプとして説明したが、これに限定されない。ポンプ73は、容積型ポンプであればよいので、例えば、
図19及び
図20に示すように、べローズポンプであってもよい。
【0106】
図19及び
図20は、変形例におけるポンプ473を示す模式縦断面図である。
図19は下死点P1に位置している可動部482を示し、
図20は上死点P2に位置している可動部482を示す。
【0107】
ポンプ473は、ベローズポンプである。ポンプ473は、往復運動方向Nに沿って移動する可動部482を備える。可動部482は、出力軸V2の回転によって往復運動するロッド482aと、ロッド482aの往復運動により伸縮する、蛇腹形状のベローズ483と、ロッド482aの下端と接続し、ポンプケース493の底面84bと対向する面483aと、を有する。ベローズ483の一端は面483aと接続し、他端はポンプケース493に連続に接続されている。可動部482は、第1の運動方向N1と第2の運動方向N2に往復運動することでポンプ室484の容積を拡大及び縮小させる。
【0108】
なお、実施形態1において、タンク62と液剤投入装置63との接続方向が前後方向Mであると説明したが、これに限定されない。例えば、後述の変形例1のように、タンク62と液剤投入装置63との接続方向は上下方向に沿ってもよい。
【0109】
[変形例1]
図21は、変形例1による自動投入ユニット106の模式断面図である。
図21に示すように、変形例1では、ケース161からタンク162を上下方向(Z方向)に取り外す点において、実施形態1の自動投入ユニット6と異なる。タンク162を上下方向に取り外すためには、液剤投入装置163と接続する接続部176は、タンク162の底面に配置される。変形例1において、液剤投入装置163はタンク162の下方に配置される。下方に直線状に延びる接続部材194が、タンク162の底面に配置された接続部176とポンプ73のポンプ室84とに接続されているので、入口流路185がタンク162から下方向に延びている。変形例1のシリンダ84aは水平方向(X方向)に沿って延び、ピストン83の第1の運動方向及び第2の運動方向は水平方向である。変形例1の吸入側逆止弁95の開閉方向は上下方向であり、吐出側逆止弁96の開閉方向は水平方向である。このような構成においても、吸い込み揚程を低減し液剤の吐出量の安定化を実現できる。
【0110】
なお、実施形態において、液剤投入装置63が、出口側において、液剤吐出流路64に接続される例について説明したが、これに限定されない。例えば、後述の変形例2のように、液剤投入装置63は、出口側において、タンク62の直下におけるケース61に接続されてもよい。
【0111】
[変形例2]
図22は、変形例2による自動投入ユニット206の模式断面図である。
図22に示すように、変形例2では、液剤投入装置263が、出口側において、直接ケース261に接続される点において、実施形態1の自動投入ユニット6と異なる。このような構成においても、吸い込み揚程を低減し液剤の吐出量の安定化を実現できる。また、実施形態1の液剤吐出流路64を設ける代わりに、ケース261において、タンク262の直下の内底面B200が液剤吐出流路264を形成する。このような構成によって、自動投入ユニット206の構造を簡略化し、部品点数及び製造コストを抑えることができる。
【0112】
変形例2において、液剤投入装置263は、ポンプ273がタンク262の下方に配置されている。L字形状の接続部材294が、タンク262の接続部76とポンプ273のポンプ室284に接続されているので、入口流路285がタンク262から水平方向に延び、さらに下方に延びている。変形例2のピストン83の第1の運動方向は下方向であり、第2の運動方向は上方向である。変形例2の吸入側逆止弁295の開閉方向は上下方向であり、吐出側逆止弁296の開閉方向は水平方向である。
【0113】
図23は、変形例2による液剤投入装置263の模式縦断面図である。ポンプ273は、吐出側逆止弁296から第2の流路286へ液剤が流れる第2の流れ方向F2と、第2の運動方向N2との第2の関係において、第2の流れ方向F2と第2の運動方向N2とが異なる。このような構成によって、実施形態1と同様に、第2の流路286とピストン83の運動方向との異方向構成をポンプ273自体に内包することで、タンク262と、液剤投入装置263と、第2の流路286より下流の経路との収納を省スペース化することができる。また、異方向構成をポンプ273自体に内包することで、タンク262からポンプ273を経て第2の流路286まで流れる液剤の圧力損失を低減するポンプ273の最適なレイアウトを選択することができる。また、洗濯機1用のこのようなポンプ273を用いることで、タンク262と、液剤投入装置263と、第2の流路286より下流の経路との収納を省スペース化することができる。
【0114】
第2の流路286の一端部284faが、ポンプケース293に接続し、第2の流路286の他端部284fbが、ポンプケース293の底面284bに接続する。第2の流路286の一端部284faは、ポンプケース293の第1の面としての底面284bと、ピストン83の下死点におけるピストン83の第2の運動方向N2側との間に位置する。
【0115】
第2の流れ方向F2と第2の運動方向N2とが異なる場合、吐出側逆止弁296は、開状態または閉状態において、その一部が、ピストン83を第2の運動方向N2へ投影した投影領域Arに含まれる。これにより、ピストン83と吐出側逆止弁296との距離を短くすることができ、ピストン83と底面284bとの間の空間S1から吐出側逆止弁296へ圧力損失を小さくすることができる。
【0116】
また、第2の流れ方向F2と第2の運動方向N2とが異なる場合、ポンプケース293は、第2の流れ方向F2の逆方向と対向する曲げ部284eを有する。曲げ部284eは、ポンプケース293における第2の流れ方向F2と平行な面284gと接続する接続部分284ea、及び、底面284bと接続する他端部284fbを有する。接続部分284ea、及び、他端部284fbは、曲率を有する。
【0117】
曲げ部284eの両端部が曲率を有するので、ピストン83と底面284bとの間の空間S1から吐出側逆止弁296に流れる液剤の剥離防止をすることができる。すなわち、曲げ部284eの両端部での渦の発生を抑制し、圧力損失が増大するのを低減することができる。また、曲げ部284eが曲面で形成されているので、直線状の斜面で形成されている場合と比べて、経路断面積の急変を防止することができ、圧力損失の増大を低減することができる。
【0118】
第1の関係における第1の流れ方向F1と第1の運動方向N1とが同じ場合、ポンプケース293の底面284bの一部に、吸入側逆止弁295が配置されている空間(第3の流路284f)とピストン83とポンプケース293の底面284bとの間の空間S1とを連通する吸入側の開口84cが形成されている。
【0119】
このような構成においても、吸い込み揚程を低減し液剤の吐出量の安定化を実現できる。また、入口流路285が曲がっているが、下方に延びている部分を流れる液剤は、重力の影響により正の圧力を受ける。したがって、ポンプ273の吸い込み性能としては有益である。また、実施形態1の液剤吐出流路64を設ける代わりに、ケース261において、タンク262の直下の内底面B200が液剤吐出流路264を形成する。このような構成によって、自動投入ユニット206の構造を簡略化し、部品点数及び製造コストを抑えることができる。
【0120】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示の洗濯機は、液剤投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)、あるいは、食器洗い機、食器洗い乾燥機として有用である。また、本開示のポンプは、これらの洗濯機、洗濯乾燥機、あるいは、食器洗い機、食器洗い乾燥機用として有用である。
【符号の説明】
【0122】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 内槽
6 自動投入ユニット
8 接続流路
61 ケース
62 タンク
63 液剤投入装置
64 液剤吐出流路
66 給水電磁弁
71 動力部
73 ポンプ
76 接続部
77、78、79 接続口
83 ピストン
83a 底面
83b 本体
83ba 凹部
83c 蓋
84 ポンプ室
84a シリンダ
84b 底面
84c、84d 開口
85 入口流路
85a 第1の流路
86 第2の流路
93 ポンプケース
94 接続部材
95 吸入側逆止弁
96 吐出側逆止弁
K 幅方向
M 前後方向