(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】収納装置および配送物受渡システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20241129BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20241129BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G1/04 555Z
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2023090378
(22)【出願日】2023-05-31
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】300076563
【氏名又は名称】原 周平
(73)【特許権者】
【識別番号】518239352
【氏名又は名称】株式会社QBIT Robotics
(74)【代理人】
【識別番号】100081455
【氏名又は名称】橘 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100170966
【氏名又は名称】藤本 正紀
(72)【発明者】
【氏名】原 周平
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩也
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/017608(WO,A1)
【文献】特開2023-067477(JP,A)
【文献】特開2005-212996(JP,A)
【文献】特開2017-202012(JP,A)
【文献】特開2022-150826(JP,A)
【文献】特開2023-163740(JP,A)
【文献】特開2023-027665(JP,A)
【文献】特開2021-082149(JP,A)
【文献】特開2021-039644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
B65G 61/00
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送物を含む物品を一時的に収納する収納装置であって、
前記物品を収納する1以上の収納ボックスを備えて構成される収納部と、
前記収納ボックスの開口した出入庫口側に、該出入庫口の面に略平行に配置され、該収納ボックスの出入庫口を介して前記物品の出入庫を行う配送物出入庫部とを有し、
前記配送物出入庫部は、
前記収納ボックスの出入庫口の開口側の面と略平行に設置される支持枠と、
前記支持枠内を水平方向に移動する移動枠と、
前記移動枠内を垂直方向に移動する移動部とを有し、
前記配送物出入庫部は、前記収納ボックスから前記物品を出庫し、該出庫した物品を保持したまま、該物品を目的地まで搬送する搬送装置の
待機場所まで移動し、該物品を前記搬送装置に積載することを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記配送物出入庫部は、前記収納ボックスの出入庫口と略平行な面上に互いに直交して配置された2本の移動経路に沿って移動し、前記収納ボックスの出入庫口の開口側に対向する位置に到達して、前記物品の出入庫を行うことを特徴とする請求項1記載の収納装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記収納ボックスの出入庫口の面に直交する方向に移動可能な一対のアームを有し、
前記一対のアームは、前記収納ボックス内へ進入するまで奥行奥方向へ移動し、該収納ボックス内の前記物品を狭持し、該物品を狭持したまま前記奥行奥方向と逆方向の奥行手前方向に移動して、該物品を該収納ボックスから出庫することを特徴とする
請求項2記載の収納装置。
【請求項4】
前記移動枠は、前記搬送装置の
前記待機場所と対向する位置まで水平方向に移動し、
前記移動部は、前記搬送装置の
前記待機場所と対向する位置まで垂直方向に移動し、
前記一対のアームは、前記物品を狭持したまま奥行手前方向に移動し、前記配送物を前記搬送装置に積載することを特徴とする
請求項3記載の収納装置。
【請求項5】
前記物品は、前記収納ボックス内に配置され前記配送物を収容する収容器を含み、
前記一対のアームは、前記収納ボックス内へ進入するまで奥行奥方向へ移動し、前記収容器の側面を外側から狭圧して該収容器を狭持することを特徴とする
請求項4記載の収納装置。
【請求項6】
前記収容器は箱状に形成されており、該箱状の収容器の底部に奥行方向に沿って一対の切欠が設けられており、
前記一対のアームは、前記一対の切欠の側面を外側から狭圧し、前記収容器を狭持することを特徴とする
請求項5記載の収納装置。
【請求項7】
前記収容器は、前記配送物が外部へ飛び出すことを防止するための壁体が、少なくとも前記収納ボックスの開口した出入庫口側に設けられていることを特徴とする
請求項5記載の収納装置。
【請求項8】
前記配送物出入庫部は、前記搬送装置が搬送作業を終了して前記待機場所に帰還したとき、前記搬送装置が積載している前記
収容器を保持し、該
収容器が収容されていた収納ボックスに該
収容器を再度入庫することを特徴とする
請求項5記載の収納装置。
【請求項9】
前記収納ボックスは、前記配送物出入庫部が出入庫を行う出入庫口のほかに、他の出入庫口を備え、
前記配送物出入庫部が前記収容器を前記収納ボックスから出庫した後、該収容器を前記収納ボックスに戻して入庫するまでの間、前記収納ボックスの他の出入庫口からの新たな配送物の入庫を規制する制御部をさらに有することを特徴とする
請求項5記載の収納装置。
【請求項10】
前記収納装置の設置場所近傍で前記配送物を受取るために前記配送物が含まれる物品の出庫要求が入力されると、
前記配送物出入庫部は、前記収納ボックスから前記出庫要求が入力された物品を出庫し、該出庫した物品を保持したまま、所定の受取場所の位置まで移動することを特徴とする
請求項1記載の収納装置。
【請求項11】
前記収納装置の設置場所近傍で前記配送物を受取るために前記配送物が含まれる物品の出庫要求が入力されると、該出庫要求された物品の所定の受取場所の位置に前記搬送装置が現在待機している場合には、該搬送装置が前記待機場所から退避することを要求する退避要求情報を生成する制御部と、
前記生成された退避要求情報を前記搬送装置へ送信する通信部と
をさらに有することを特徴とする
請求項10記載の収納装置。
【請求項12】
収納装置に関する情報を表示する表示部をさらに有し、
前記収納ボックスは、前記配送物出入庫部が出入庫を行う出入庫口のほかに、他の出入庫口を備え、
前記制御部が前記出庫要求の入力後、前記配送物出入庫部に障害が発生していると判断した場合、前記表示部は、前記収納ボックスの他の出入庫口から配送物を出庫するよう促すメッセージを表示することを特徴とする
請求項11記載の収納装置。
【請求項13】
前記収納装置の設置場所近傍で前記配送物を受取るために前記配送物が含まれる物品の出庫要求が入力されると、
前記配送物出入庫部は、該出庫要求された物品の所定の受取場所の位置に前記搬送装置が現在待機している場合には、前記収納ボックスから前記出庫要求が入力された物品を出庫し、該出庫した物品を保持したまま、該物品を目的地まで搬送する
前記搬送装置の
前記待機場所まで移動し、該物品を前記搬送装置に積載することを特徴とする
請求項1から9のいずれか1項に記載の収納装置。
【請求項14】
配送物を含む物品を一時的に収納する収納装置と、該物品を目的地まで搬送する搬送装置とを有する配送物受渡システムであって、
前記収納装置は、
前記配送物を収納する1以上の収納ボックスを備えて構成される収納部と、
前記収納ボックスの開口した出入庫口側に、該出入庫口の面に略平行に配置され、該収納ボックスの出入庫口を介して前記物品の出入庫を行う配送物出入庫部とを有し、
前記配送物出入庫部は、
前記収納ボックスの出入庫口の開口側の面と略平行に設置される支持枠と、
前記支持枠内を水平方向に移動する移動枠と、
前記移動枠内を垂直方向に移動する移動部とを有し、
前記配送物出入庫部は、前記収納ボックスから前記物品を出庫し、該出庫した物品を保持したまま、該物品を目的地まで搬送する搬送装置の
待機場所まで移動し、該物品を前記搬送装置に積載することを特徴とする配送物受渡システム。
【請求項15】
前記配送物を受取るユーザにより操作され、前記収納装置と情報の送受信が可能なユーザ端末をさらに有し、
前記ユーザ端末は、前記収納装置が受け付けた前記搬送装置による搬送要求の数または作業時間が所定値以上の場合、前記搬送装置による搬送が不可能であるメッセージを受信することを特徴とする
請求項14記載の配送物受渡システム。
【請求項16】
前記配送物を受取るユーザにより操作され、前記収納装置と情報の送受信が可能なユーザ端末をさらに有し、
前記ユーザ端末は、前記収納装置の配送物出入庫部に障害が発生している場合、前記搬送装置による搬送が不可能であるメッセージを受信することを特徴とする
請求項15記載の配送物受渡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置および配送物受渡システムに関し、特に、収納ボックスに一旦収納された配送物を取り出して配送宛まで搬送する搬送手段に受け渡す収納装置および配送物受渡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国の生産労働人口が減少局面にあるなか、労働力を維持するためには労働力の有効活用や生産性を向上させるための方策が必要である。
このような背景の下、従来よりも少ない人数で生産性を高めるための手段として、ロボットによる業務自動化が注目を集めている。
特に、近年は、eコマースの隆盛などに伴って配送業務の分野で労働力が慢性的に不足しており、このために商品配送の遅延などの問題が生じることも珍しくなくなっている。
【0003】
上記のような配送業務の効率化を図るための従来技術の1つとして、特許文献1が開示するところの物流ロボット及び物流システムが提案されている。
この特許文献1に開示される物流ロボットは、例えば、物流センターに集積されている荷物を配達先であるユーザの居住場所まで輸送することにより、配送業務の自動化を実現している。
また、特許文献1の物流ロボットは、自身に備えられているコンベヤーやローラーを用いて宅配ロッカーに荷物を格納させることができるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の物流ロボット及び物流システムでは、近年増加する宅配ロッカーを利用した配送物の受け渡しに十分に対応することができない。
つまり、特許文献1の物流ロボットは、コンベヤーやローラーといったアクチュエータしか備えていないため、宅配ロッカーへ荷物を格納させることはできても、宅配ロッカーから荷物を取り出すことが困難である。
また、特許文献1の物流ロボットは、荷物を格納する収納ボックスの高さまで持ち上げる昇降装置を備える必要があり、物流ロボット個々の構成が複雑化し、その製造コストおよび物流コスト全体が高騰するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、宅配ロッカー等の収納装置に入庫されたユーザ宛の配送物の出入庫および搬送作業を円滑に行い、そのコストの削減を実現する収納装置および配送物受渡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明は、配送物を含む物品を一時的に収納する収納装置であって、物品を収納する1以上の収納ボックスを備えて構成される収納部と、収納ボックスの開口した出入庫口側に、出入庫口の面に略平行に配置され、収納ボックスの出入庫口を介して物品の出入庫を行う配送物出入庫部とを有し、配送物出入庫部は、収納ボックスの出入庫口の開口側の面と略平行に設置される支持枠と、支持枠内を水平方向に移動する移動枠と、移動枠内を垂直方向に移動する移動部とを有し、配送物出入庫部は、収納ボックスから物品を出庫し、出庫した物品を保持したまま、物品を目的地まで搬送する搬送装置の待機場所まで移動し、物品を搬送装置に積載することを特徴とする。
【0008】
また、本発明における収納装置によれば、配送物出入庫部は、収納ボックスの出入庫口と略平行な面上に互いに直交して配置された2本の移動経路に沿って移動し、収納ボックスの出入庫口の開口側に対向する位置に到達して、物品の出入庫を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明における収納装置によれば、移動部は、収納ボックスの出入庫口の面に直交する方向に移動可能な一対のアームを有し、一対のアームは、収納ボックス内へ進入するまで奥行奥方向へ移動し、収納ボックス内の物品を狭持し、物品を狭持したまま奥行奥方向と逆方向の奥行手前方向に移動して、物品を収納ボックスから出庫することを特徴とする。
【0011】
また、本発明における収納装置によれば、移動枠は、搬送装置の待機場所と対向する位置まで水平方向に移動し、移動部は、搬送装置の待機場所と対向する位置まで垂直方向に移動し、一対のアームは、物品を狭持したまま奥行手前方向に移動し、配送物を搬送装置に積載することを特徴とする。
【0012】
また、本発明における収納装置によれば、物品は、収納ボックス内に配置され配送物を収容する収容器を含み、一対のアームは、収納ボックス内へ進入するまで奥行奥方向へ移動し、収容器の側面を外側から狭圧して収容器を狭持することを特徴とする。
【0013】
また、本発明における収納装置によれば、収容器は箱状に形成されており、箱状の収容器の底部に奥行方向に沿って一対の切欠が設けられており、一対のアームは、一対の切欠の側面を外側から狭圧し、収容器を狭持することを特徴とする。
【0014】
また、本発明における収納装置によれば、収容器は、配送物が外部へ飛び出すことを防止するための壁体が、少なくとも収納ボックスの開口した出入庫口側に設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明における収納装置によれば、配送物出入庫部は、搬送装置が搬送作業を終了して待機場所に帰還したとき、搬送装置が積載している収容器を保持し、収容器が収容されていた収納ボックスに収容器を再度入庫することを特徴とする。
【0016】
また、本発明における収納装置によれば、収納ボックスは、配送物出入庫部が出入庫を行う出入庫口のほかに、他の出入庫口を備え、配送物出入庫部が収容器を収納ボックスから出庫した後、収容器を収納ボックスに戻して入庫するまでの間、収納ボックスの他の出入庫口からの新たな配送物の入庫を規制する制御部をさらに有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明における収納装置によれば、収納装置の設置場所近傍で配送物を受取るために配送物が含まれる物品の出庫要求が入力されると、配送物出入庫部は、収納ボックスから出庫要求が入力された物品を出庫し、出庫した物品を保持したまま、所定の受取場所の位置まで移動することを特徴とする。
【0018】
また、本発明における収納装置によれば、収納装置の設置場所近傍で配送物を受取るために配送物が含まれる物品の出庫要求が入力されると、出庫要求された物品の所定の受取場所の位置に搬送装置が現在待機している場合には、搬送装置が待機場所から退避することを要求する退避要求情報を生成する制御部と、生成された退避要求情報を搬送装置へ送信する通信部とをさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明における収納装置によれば、収納装置に関する情報を表示する表示部をさらに有し、収納ボックスは、配送物出入庫部が出入庫を行う出入庫口のほかに、他の出入庫口を備え、制御部が出庫要求の入力後、配送物出入庫部に障害が発生していると判断した場合、表示部は、収納ボックスの他の出入庫口から配送物を出庫するよう促すメッセージを表示することを特徴とする。
【0020】
また、本発明における収納装置によれば、収納装置の設置場所近傍で配送物を受取るために配送物が含まれる物品の出庫要求が入力されると、配送物出入庫部は、出庫要求された物品の所定の受取場所の位置に搬送装置が現在待機している場合には、収納ボックスから出庫要求が入力された物品を出庫し、出庫した物品を保持したまま、物品を目的地まで搬送する搬送装置の待機場所まで移動し、物品を搬送装置に積載することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、配送物を含む物品を一時的に収納する収納装置と、物品を目的地まで搬送する搬送装置とを有する配送物受渡システムであって、収納装置は、配送物を収納する1以上の収納ボックスを備えて構成される収納部と、収納ボックスの開口した出入庫口側に、出入庫口の面に略平行に配置され、収納ボックスの出入庫口を介して物品の出入庫を行う配送物出入庫部とを有し、配送物出入庫部は、収納ボックスの出入庫口の開口側の面と略平行に設置される支持枠と、支持枠内を水平方向に移動する移動枠と、移動枠内を垂直方向に移動する移動部とを有し、配送物出入庫部は、収納ボックスから物品を出庫し、出庫した物品を保持したまま、物品を目的地まで搬送する搬送装置の待機場所まで移動し、物品を搬送装置に積載することを特徴とする。
【0022】
また、本発明における配送物受渡システムによれば、配送物を受取るユーザにより操作され、収納装置と情報の送受信が可能なユーザ端末をさらに有し、ユーザ端末は、収納装置が受け付けた搬送装置による搬送要求の数または作業時間が所定値以上の場合、搬送装置による搬送が不可能であるメッセージを受信することを特徴とする。
【0023】
また、本発明における配送物受渡システムによれば、配送物を受取るユーザにより操作され、収納装置と情報の送受信が可能なユーザ端末をさらに有し、ユーザ端末は、収納装置の配送物出入庫部に障害が発生している場合、搬送装置による搬送が不可能であるメッセージを受信することを特徴とする。
【0024】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、配送物を含む物品を一時的に収納する収納装置であって、物品を収納する1以上の収納ボックスを備えて構成される収納部と、収納ボックスの開口した出入庫口側に、出入庫口の面に略平行に配置され、収納ボックスの出入庫口を介して物品の出入庫を行う配送物出入庫部とを有し、配送物出入庫部は、収納ボックスから物品を出庫し、出庫した物品を保持したまま、物品を目的地まで搬送する搬送装置の位置まで移動し、物品を搬送装置に積載するので、宅配ロッカー等の収納装置に入庫されたユーザ宛の配送物の出入庫および搬送作業を円滑に行い、そのコストの削減を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムの概要を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送サービスの概要を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムの全体構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態における収納装置の構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態における収納装置の正面側の外観を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態における収納装置の背面側の外観を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態における収納装置の情報格納部が格納するデータベースを示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態におけるユーザDBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態における収納ボックスDBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態における利用履歴DBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態における搬送装置DBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図12】本発明の第1の実施の形態における搬送作業DBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図13】本発明の第1の実施の形態における収容器の一例を示す透過斜視図である。
【
図14】本発明の第1の実施の形態における収容器を収納ボックス内に収納する様子の一例を示す透過斜視図である。
【
図15】本発明の第1の実施の形態における収容器を収納ボックス内に収納した様子の一例(背面側)を示す図である。
【
図16】本発明の第1の実施の形態における配送物出入庫部を示す背面側から見た斜視図である。
【
図17】(a)は、本発明の第1の実施の形態における移動枠の移動機構の一例を示す図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態における移動部の移動機構の一例を示す図である。
【
図18】本発明の第1の実施の形態における移動部を示す図である。
【
図19】(a)~(c)は、本発明の第1の実施の形態における配送物出庫時の配送物出入庫部17の移動の工程を示す図である。
【
図20】(a)~(d)は、本発明の第1の実施の形態における移動部による収容器(配送物)の出庫の工程を示す図である。
【
図21】本発明の第1の実施の形態における移動部がアームをアーム挿入空間に挿入する様子を示す斜視図である。
【
図22】本発明の第1の実施の形態における移動部が台部に収容器を載置させた様子を示す斜視図である。
【
図23】本発明の第1の実施の形態における管理サーバの構成を示す図である。
【
図24】本発明の第1の実施の形態における管理サーバが管理するデータベースを示す図である。
【
図25】本発明の第1の実施の形態におけるユーザ端末の構成を示す図である。
【
図26】本発明の第1の実施の形態における搬送装置の構成を示す図である。
【
図27】本発明の第1の実施の形態における搬送装置が管理するデータベースを示す図である。
【
図28】本発明の第1の実施の形態における搬送装置DBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図29】本発明の第1の実施の形態における地
図DBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図30】本発明の第1の実施の形態における経路DBのデータ構成の一例を示す図である。
【
図31】本発明の第1の実施の形態における地図情報および経路情報を説明するためにその内容の一例を図式化した図である。
【
図32】本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送物の搬送サービスの申込動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図33】本発明の第1の実施の形態においてユーザ端末に表示された入庫情報の一例を示す図である。
【
図34】本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送物の出庫動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図35】本発明の第1の実施の形態における収容器を積載した積載部の一例を示す図である。
【
図36】本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送物の搬送動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図37】本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送物の搬送動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図38】本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる収容器の返却動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図39】本発明の第1の実施の形態において、ユーザが収納装置の設置場所で配送物を受取る際の、配送物受渡システムによる配送物の出庫動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図40】本発明の第1の実施の形態において、ユーザが収納装置の設置場所で配送物を受取る際の、配送物受渡システムによる配送物の出庫動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図41】本発明の第1の実施の形態におけるユーザの受取場所と搬送装置の待機場所の一例を示す図である。
【
図42】本発明の第1の実施の形態の変形例において、ユーザが収納装置の設置場所で配送物を受取る際の、配送物受渡システムによる配送物の出庫動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図43】本発明の第2の実施の形態において、搬送要求が過多の場合の配送物受渡システムによる動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図44】本発明の第2の実施の形態において、配送物のユーザへの直接受渡し時に配送物出入庫部に障害が発生している場合の配送物受渡システムによる動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図45】本発明の第2の実施の形態において、配送物の搬送がユーザにより要求された時に配送物出入庫部に障害が発生している場合の配送物受渡システムによる動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1の実施の形態>
(第1の実施の形態の概要)
本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムは、宅配ロッカー等の収納装置を有するシステムである。
図1は、本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムの概要を示す図である。
また、
図2は、本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送サービスの概要を示す図である。
以下、これら図を用いて、本実施の形態における配送物受渡システムが提供する配送サービスの概要について説明する。
【0028】
図1に示す例では、収納装置10は、集合住宅の共用部である集合玄関のエントランスに設置されている。
収納装置10の各収納ボックスには、正面側と背面側の両側にそれぞれ入庫取出し口が設けられており、両側において収納ボックスへの物品の出入庫が可能となっている。
集合玄関には、オートロック式のドアが設けられており、ユーザは、収納装置10の正面前を通り、ドアを解錠して、収納装置10の背面側にまわり、さらに奥の居住空間等に進むことができる。
なお、本例では、原則として、配送業者は、オートロック式のドアを解錠せずに、正面側から収納装置10に対し配送物の出入庫を行うものとする。一方、集合住宅の居住者であるユーザは、収納装置10の正面側から配送物の出入庫を行うこともできるし、オートロック式のドアを解錠して通過し、背面側から出入庫を行うこともできる。
【0029】
本実施の形態では、
図1に示すように、収納装置10は、収納部16の背面側に配送物出入庫部17を有している。
図2に示すように、配送物出入庫部17は、収納部16に入庫されているユーザ宛の配送物を出庫して、収納装置10の背面側で待機している搬送装置40にその配送物を受渡し、積載する。
搬送装置40は、その配送物を積載したまま、ユーザが指定する受取場所(例えば、ユーザの居住空間の個別の玄関前)まで搬送する。
ユーザは、受取場所に到着した搬送装置40から自身宛の配送物を受取る。
搬送装置40は、配送物をユーザに受け渡した後は、収納装置10の背面側の待機場所へ再び戻る。
【0030】
上述のように、本実施の形態における配送物受渡システムでは、収納装置10の配送物出入庫部17は、収納部16に入庫されたユーザ宛の配送物を出庫して搬送装置40に積載し、搬送装置40はその配送物をユーザに指定された受取場所まで搬送するので、ユーザは、自身宛の配送物を集合住宅のエントランス等の収納装置10の設置場所までわざわざ取りに行くという煩雑な手間を省くことが可能となる。
また、配送物出入庫部17が収納部16から出庫し搬送装置40に配送物を積載するので、搬送装置40個々に配送物の出入庫機構を備える必要がなく、搬送装置40の製造コストを削減することが可能となる。
【0031】
(第1の実施の形態の構成)
〔1〕配送物受渡システムの全体構成
図3は、本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムの全体構成を示す図である。
図に示すように、配送物受渡システムは、ユーザの居住又は利用する専有部を有する建物の敷地内に設置され、ユーザに関連する配送物を施錠状態で保管する収納装置10と、収納装置10の収納状況等の情報を管理するサーバ装置等の管理サーバ20と、ユーザが操作する情報処理装置であるユーザ端末30と、収納装置10に入庫されている配送物を配送宛先のユーザの下まで搬送する搬送装置40とを有して構成される。
また、配送物受渡システムは、収納装置10、管理サーバ20、ユーザ端末30および搬送装置40を通信可能に接続するインターネット又はLAN等のネットワーク100とを有する。
【0032】
図3の例では、収納装置10、管理サーバ20、ユーザ端末30および搬送装置40は1つずつしか描画されていないが、その数はそれぞれ複数であってもよい。
【0033】
収納装置10が設置される建物は、例えば、集合住宅、ビル、商業施設又は公共施設等である。
専有部は、例えば、集合住宅の各住戸、オフィスビルの各勤務スペース、商業施設の各テナント又は公共施設の各スペース等である。
ユーザは、例えば、集合住宅の居住者、オフィスビルの労働者、商業施設の店員又は公共施設等の施設の利用者等である。
【0034】
配送業者は、配送業務を行う事業者であり、実際に配送業務を担当する従業員(配送業務担当者)が所属する。
配送業者は、狭義の配送会社の他、通販会社、ネットスーパー、クリーニング店、オークションサイトの運営会社、オークションの出品代理事業者又は各種店舗・会社の配送担当者、その他収納サービスを運営するサービス事業者等、ユーザの配送物の配送を行うものであれば、特に限定されない。
【0035】
配送業者の配送業務担当者は、ユーザ宛の配送物を、当該ユーザの居住する集合住宅等に設置される収納装置10に入庫する。
収納装置10の配送物出入庫部は、その収納装置10に入庫された配送物を収容器ごと取出し、収納装置10の近傍に待機している搬送装置40に受け渡す。
搬送装置40は自動走行により配送物の配送宛先であるユーザの居住空間等へ配送物を搬送する。
ユーザは、自身の居住空間等に搬送装置40が到着すると、搬送装置40が保持する配送物を受取る。
その後、搬送装置40は、自動走行により収納装置10の設置場所まで戻り、収納装置10に収容器を戻す。
【0036】
以下、収納装置10、管理サーバ20、ユーザ端末30および搬送装置40の構成について詳細に説明する。
【0037】
〔2〕収納装置10の構成
(1)収納装置10の概要
収納装置10は、配送業者が入庫したユーザ宛の配送物を搬送装置40に受け渡すまでに一時預け入れる収納装置であって、複数の施錠可能な収納ボックスを備える。
搬送装置40がユーザの下へ配送物を届けに移動したものの、ユーザが受取らなかった場合には、搬送装置40は配送物を保持したまま収納装置10の設置場所まで戻り、収納装置10の配送物出入庫部は搬送装置40からその配送物を受取り、配送物を収納ボックスに再度入庫する。
本実施の形態において、収納装置10は、配送物の出入庫に関する情報が入力されると、その入力された情報をネットワーク100を介して管理サーバ20へ送信する機能を有する。
【0038】
収納装置10が有する箱状の各収納ボックスには、取り出し自在なトレー状の収容器が置かれる。
この収容器のサイズおよび形状は、各収納ボックスのサイズおよび形状に合わせて、各収納ボックスで異なってもよい。
配送物は、収納ボックスへ入庫されるとき、箱状の収納ボックス内部の床面に直接置かれるのではなく、後の配送物の取り出し易さのため、収容器の上に置かれることが好ましい。
【0039】
収納装置10は、マンション等の集合住宅の他、オフィス、コンビニエンスストア・スーパーマーケット等の店舗や商業施設、又は駅や病院等の公共施設・機関等に設置されるものとしてもよく、設置場所はこれらに限定されるものではない。
【0040】
収納装置10は、宅配便等の配送物の他、あらゆる物品を預け入れ、保管することができる。
例えば、収納装置10は、配送業者により配送されたユーザ宛の配送物をユーザにより取出されるまでの期間、一時的に保管する。
また、収納装置10は、ユーザが配送のため集荷を希望した配送物が、配送業者により取出されるまでの期間、一時的に保管するよう使用されてもよい。
【0041】
ユーザは、「クリーニング」の配送サービス利用のために、収納装置10を使用することもできる。
ユーザは自身の衣類等の未クリーニングのクリーニング品を収納装置10に預け入れ、クリーニング業者がその預け入れられた衣服を回収してクリーニングを行う。
その後、クリーニング済みのクリーニング品を再度収納装置10に収納し、ユーザがそのクリーニング済みのクリーニング品を収納装置10から取り出すよう使用されてもよい。
【0042】
以上のように、収納装置10は、ユーザに対して様々なサービスを提供可能である。
【0043】
(2)収納装置10の全体構成
図4は、本発明の第1の実施の形態における収納装置10の構成を示す図である。
また、
図5は、本発明の第1の実施の形態における収納装置10の正面側の外観を示す斜視図である。
また、
図6は、本発明の第1の実施の形態における収納装置10の背面側の外観を示す斜視図である。
以下、これら図を用いて、収納装置10の構成について説明する。
【0044】
ここで、本実施の形態における方向について説明する。
本実施の形態における「垂直方向(Z方向)」とは、収納装置10が設置されている水平な床面に対して垂直な方向をいう。
本実施の形態における「水平方向(X方向)」とは、
図6に示す収納ボックス161の出入庫口1612の開口面(収納装置10が設置されている水平な床面に略垂直)と略平行な面上において上記垂直方向に直交する方向をいう。
本実施の形態における「左右(方向)」とは、上記水平方向のうち向かって左右の方向をいう。本実施の形態では、「左右方向」はそれぞれ「水平左方向」、「水平右方向」とも記述する。
本実施の形態における「奥行方向(Y方向)」とは、上記収納ボックス161の出入庫口1612の開口面と略平行な面に直行する方向をいう。奥行方向のうち、背面側から見て奥行方向の奥へ向かう方向を「奥行奥方向」という。当該奥行奥方向と反対の方向であって背面側から見て奥行方向の手前へ向かう方向を「奥行手前方向」という。
本実施の形態では、上記「水平方向(X方向)」と「垂直方向(Z方向)」と「奥行方向(Y方向)」とは互いに直交する。
【0045】
本実施の形態における「略平行」とは、理論的な平行に対して、一定の角度だけずれることが許容される方向をいう。
本実施の形態における「略垂直」とは、理論的な垂直に対して、一定の角度だけずれることが許容される方向をいう。
【0046】
本実施の形態における「位置情報」とは、任意の基準点に対する各物体の相対的位置を示す情報であり、例えば、直交系の座標(x,y,z)で表される。
【0047】
図4に示すように、収納装置10は、CPU等から構成され収納装置10全体を制御する制御部11と、各種情報を格納する情報格納部12と、ネットワーク100を介して管理サーバ20および搬送装置40と通信を行う通信部13と、各種情報を表示する表示部14と、各種キーを備え情報入力を行う操作部15と、物品を収納する収納ボックスを1以上備えた収納部16と、収納部16に入庫された配送物を取り出して収納装置10の近傍に待機する搬送装置40に配送物を受け渡す配送物出入庫部17とを有して構成される。
各部11~17は、内部のバスに接続され、このバスを介して種々の情報等が入出力され、制御部11の制御のもと、種々の処理が実行される。
【0048】
収納装置10の収納ボックス161は、複数のユーザが共用可能である。
例えば、収納装置10が集合住宅に設置されている場合、収納装置10の収納ボックス161は、同一の集合住宅に居住する複数の居住者(ユーザ)が共用可能である。すなわち、収納装置10の収納ボックス161には、同一の集合住宅に居住する複数の居住者宛の配送物又は居住者が配送を希望する配送物をそれぞれ収納することが可能である。
【0049】
収納装置10の収納ボックス161に配送物が既に入庫され、閉扉及び施錠されている場合には、その受取人(ユーザ又は配送業者)のみが当該収納ボックス161を正面側から解錠することが可能であり、他の者は解錠することができない。
収納装置10の収納ボックスは、収納中の物品を1度取り出して空の状態になってはじめて、他の物品を収納することが許可される。
【0050】
(3)制御部11の構成
制御部11は、収納装置10全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子回路やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路により構成される。
制御部11は、情報格納部12から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部12に情報の書込みを実行する。
制御部11は、施解錠及び開閉扉といった収納ボックスの動作制御、表示部14による画面表示の動作制御、収納装置10の使用の際の認証処理、ならびにユーザ及び配送業者に関する情報及び各収納ボックスの使用状況の管理等を行う。
【0051】
制御部11は、配送物出入庫部17の移動部173および移動枠172の動作を制御し、配送物が収納されている収納ボックスの位置および搬送装置40の待機場所の位置まで移動部173を移動させ、収納ボックス内の配送物を搬送装置40へ受け渡す。
また、制御部11は、配送物出入庫部17の移動部173および移動枠172の動作を制御し、搬送装置40の待機場所の位置および配送物を入庫する収納ボックスの位置まで移動部173を移動させ、搬送装置40が保持する配送物を収納ボックスへ入庫する。
さらに、制御部11は、移動部173に備えられているアームの動作を制御し、配送物の把持および離脱を行って収納装置10と搬送装置40との間の配送物の受け渡しを行う。
【0052】
(4)情報格納部12の構成
情報格納部12は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部12は、制御部11で実行するプログラムを記憶する領域や制御部11が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部11は、その情報格納部12に格納されているプログラムを読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
情報格納部12は、後述する各データベースを格納する。
【0053】
本実施の形態では、ユーザは収納装置10の設置場所を訪れて、その場で配送物出入庫部17から配送物を受取ることができる。
情報格納部12は、その収納装置10近傍のユーザによる配送物の受取場所の位置情報を格納している。
配送物出入庫部17は、ユーザが操作部15を操作して自身宛の配送物の受取を要求すると、その受取場所の位置に配送物を運び、受渡し作業を行う。
【0054】
図7は、本発明の第1の実施の形態における収納装置10の情報格納部12が格納するデータベースを示す図である。
図に示すように、情報格納部12は、居住者に関する居住者情報等を管理するユーザDB121と、収納部16を構成する複数の収納ボックスの使用状況を管理する収納ボックスDB122と、各収納ボックスの利用履歴を管理する利用履歴DB123と、搬送装置40の搬送状況を管理する搬送装置DB124と、搬送装置40による搬送作業を管理する搬送作業DB125とを格納する。
以下、各データベース121~125のデータ構成について詳細に説明する。
【0055】
ユーザDB121は、ユーザに関する情報を管理するためのデータベースである。
図8は、本発明の第1の実施の形態におけるユーザDB121のデータ構成の一例を示す図である。
図に示す例では、ユーザDB121は、ユーザ個々の識別情報である「ユーザID」に対応付けて、ユーザの居住空間の「部屋番号」と、当該「居住空間の位置情報」と、ユーザが収納ボックスの解錠または配送物の受取の認証の際に使用される「暗証番号」と、ユーザの名前や住所等の「ユーザの個人情報」と、「通知先情報(ユーザ端末30のメールアドレス、その他の通信用の連絡先情報)」とを管理している。
【0056】
図に示す例では、ユーザの居住または利用する空間を特定するための「専有部情報」として、ユーザDB121は「部屋番号」を管理しているが、「部屋番号」に代えて、ユーザがビルにおいて業務を行っているオフィスの部屋番号・テナント番号等、他のユーザの居住空間または利用空間を特定する情報を管理するようにしてもよい。
【0057】
収納ボックスDB122は、収納装置10の各収納ボックスの特徴(属性)及び現在の使用状況を管理するためのデータベースである。
図9は、本発明の第1の実施の形態における収納ボックスDB122のデータ構成の一例を示す図である。
図に示す例では、収納ボックスDB122は、各収納ボックスを識別する「ボックス番号」に対応付けて、当該「収納ボックスの位置情報」と、当該「収納ボックスの属性」と、当該「収納ボックスの使用状況」と、使用中(収納ボックスに配送物が収納中)または搬送装置40により配送物が搬送中の収納ボックスについては、当該使用しているユーザの「部屋番号」とを管理している。
【0058】
「収納ボックスの位置情報」は、例えば直交座標系の位置情報であってもよく、配送物出入庫部17が収納ボックスとの間で配送物(収容器)の出入庫を行うときに、収納ボックスの位置を特定するために使用される。
【0059】
「収納ボックスの属性」は、例えば、収納ボックスのサイズ、収納装置10における各収納ボックスの位置及び冷凍・冷蔵機能の有無等を示す情報である。
【0060】
「収納ボックスの使用状況」は、各収納ボックスが「未使用」、「使用中」または「搬送中」のいずれのステータスであるかを管理する。
「未使用」は、収納ボックス内に物品が収納されておらず、新たに物品の入庫が許可されている状態を示している。
「使用中」は、収納ボックス内に物品が現在収納されており、物品の入庫が禁止されている状態を示している。
「搬送中」は収納ボックス内に物品が現在収納されていないものの、搬送装置40がその物品の搬送作業を行っている状態を示している。
【0061】
収納ボックスDB121は、上記「部屋番号」に代えて、他のユーザを特定可能な情報(例えば、他の専有部情報またはユーザID)を管理してもよい。
【0062】
収納部16は1以上の収納ボックスを有しており、各収納ボックスを特定するために各収納ボックスにはボックス番号1,2,・・・が付されている。
【0063】
利用履歴DB123は、収納装置10の各収納ボックスにおける利用履歴情報(入庫・出庫・搬送等)を管理するデータベースである。
図10は、本発明の第1の実施の形態における利用履歴DB123のデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、利用履歴DB123は、収納ボックスにおける出入庫または搬送の各作業それぞれに付された「利用履歴番号」に対応付けて、配送物を出入庫または搬送した収納ボックスの「ボックス番号」と、配送物を出入庫または搬送した時期を示す「利用時期」と、収納ボックスの利用内容が「入庫」、「出庫」または「搬送」のうちのいずれであるかを示す「利用内容」と、上記「利用内容」が「搬送」である場合にその「搬送」作業に付された「搬送履歴番号」と、上記「利用内容」が「出庫」または「搬送」である場合にその「出庫」または「搬送」された配送物が入庫された際の「利用履歴番号」を示す「入庫履歴番号」と、配送物の宛先のユーザを特定するための「部屋番号」とを管理している。
【0064】
利用履歴DB123において管理される上記「利用内容」については、配送業務担当者等がユーザ宛の配送物を収納装置10に入庫した場合には「入庫」、ユーザからの指示により収納ボックスから配送物が出庫され、その場でユーザが受取る場合には「出庫」、ユーザからの指示により収納ボックスから配送物が出庫され、搬送装置40がその配送物を受取場所まで搬送する場合には「搬送」とそれぞれ登録される。
【0065】
利用履歴DB123は、上記「部屋番号」に代えて、他のユーザを特定可能な情報(例えば、他の専有部情報またはユーザID)を管理してもよい。
【0066】
搬送装置DB124は、搬送装置40の搬送作業の状況および搬送装置40の位置情報等を管理するデータベースである。
収納装置10は、原則的に、搬送装置40のうち、自装置に入庫された配送物の搬送作業を行う搬送装置40の情報のみ搬送装置DB124で管理する。
【0067】
図11は、本発明の第1の実施の形態における搬送装置DB124のデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、搬送装置DB124は、搬送装置40個々を識別するために付された「搬送装置ID」に対応付けて、収納装置10近傍で搬送装置40が配送物出入庫部17から配送物を受取る「待機場所の位置情報」と、ユーザによる配送物の受取りの邪魔にならないように上記待機場所から一旦退避する場所である「退避場所の位置情報」と、搬送装置40の「現在位置の位置情報」と、搬送装置40による搬送作業の状況を示す「作業状況」と、搬送装置40による搬送作業に付された「搬送履歴番号」とを管理している。
【0068】
「待機場所」は、搬送作業を行うために待機している収納装置10近傍の場所である。
また、搬送装置40は、待機場所において配送物出入庫部17から収容器(配送物)を受取り、配送物出入庫部17に収容器(配送物)を受け渡す。
【0069】
「退避場所」は、収納装置10近傍において、搬送装置40が上記待機場所から一旦退避する場所である。
ユーザは搬送装置40に搬送を依頼するほか、自ら収納装置10の設置場所を訪れ、配送物出入庫部17から配送物を直接受取ることができる。
ユーザが配送物出入庫部17から配送物を受取る際に、その受取場所と待機場所が重なっている場合に、搬送装置40は、そのユーザによる配送物の受取りの障害とならないように、一旦、退避場所へと移動する。
ユーザが配送物を受取った後は、搬送装置40は退避場所から待機場所へと戻る。
【0070】
搬送装置DB124で管理される「待機場所の位置情報」および「退避場所の位置情報」は、例えば直交座標系の位置情報であってもよい。
【0071】
「待機場所の位置情報」は、搬送装置40において配送物を積載する位置(例えば高さ)も考慮されて設定されている。
【0072】
搬送装置DB124で管理される「作業状況」は、例えば、配送物(収容器)を積載せず収納装置10近傍の待機場所で待機している場合には「待機中」、配送物を積載して待機場所とユーザの受取場所との間で移動中の場合には「搬送中」、受取場所でユーザに配送物を受渡し後に待機場所まで戻る前までは「搬送完了」、退避場所で待機中は「退避中」と管理される。
【0073】
搬送装置DB124で管理される「搬送履歴番号」は、利用履歴DB123で管理される「搬送履歴番号」と共通している。
【0074】
搬送作業DB125は、収納装置10の各収納ボックスにおける利用履歴情報(入庫・出庫・搬送等)を管理するデータベースである。
図12は、本発明の第1の実施の形態における搬送作業DB125のデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、搬送作業DB125は、搬送装置40による搬送作業に付された「搬送履歴番号」に対応付けて、当該搬送作業の「始点の位置情報」と、
当該搬送作業の「終点の位置情報」と、搬送装置40による搬送作業の状況を示す「作業状況」とを管理している。
【0075】
搬送作業DB125で管理される「始点の位置情報」および「終点の位置情報」は、例えば直交座標系の位置情報であってもよい。
当該「始点の位置情報」および「終点の位置情報」は、搬送装置40の搬送経路の始点および終点の位置情報を示す。
例えば、搬送装置40が収納装置10近傍の待機場所から、ユーザの指定した受取場所まで配送物の搬送を行う場合、始点は「待機場所」となり、終点は「受取場所」となる。
【0076】
搬送作業DB125で管理される「搬送履歴番号」は、利用履歴DB123および搬送装置DB124で管理される「搬送履歴番号」と共通している。
【0077】
搬送作業DB125で管理される「作業状況」は、搬送装置DB124で管理される「作業状況」と共通している。
【0078】
(5)収納部16の構成
図4に示すように、収納部16は、配送物を一時的に収納する1以上の収納ボックス161と、各収納ボックス161の正面側を閉止する施解錠可能な扉162と、各収納ボックス161内に置かれ、入庫された配送物を収容する収容器163と、収納ボックス161内に配送物および収容器163が収納されているか否かを検知する収納検知部164とを有して構成される。
【0079】
図5,6に示すように、収納部16の各収納ボックス161は、箱型の収納庫であり、内部に配送物を収納する収納空間1611を有する。
さらに、収納ボックス161は、正面側及びこれに対向する背面側の両側が開口し、配送物の出入庫口1612がそれぞれ形成されるとともに、正面側にはその出入庫口1612を閉止する施錠可能な扉162がそれぞれ設けられており、当該正面側から配送物の入庫又は出庫が規制可能に構成されている。
一方、収納ボックス161の背面側は、出入庫口1612がそのまま開口した状態になっている。
配送物出入庫部17は、その背面側の開口した出入庫口1612を介して配送物の出入庫を行うが、配送物出入庫部17が出入庫を行わない収納ボックス161については、
図6に示すように、正面側だけなく背面側にも施解錠可能な扉162が設けられ、施錠時には背面側の出入庫口1612を閉止している。
以下、収納ボックス161については、配送物出入庫部17が出入庫を行う収納ボックス161、すなわち、背面側が開口されている収納ボックス161について説明を進める。
【0080】
収納装置10の正面側において、ユーザは、自身宛の配送物が収納中の収納ボックス161の扉162を所定の認証情報の入力により解錠することができ、他人宛の配送物が収納中の収納ボックス161を解錠することができない。
収納ボックス161の正面側における配送物の出入庫を規制する構造は、上記出入庫口1612を閉塞する扉162の他、特に限定されない。
【0081】
収納ボックス161の背面側は、出入庫口1612が開口したままになっている。
配送物出入庫部17は、その開口したままの出入庫口1612が、収納ボックス161に収納中の配送物を出庫し、収納装置10の近傍で待機している搬送装置40に受け渡し、積み込む。
【0082】
また、配送物出入庫部17は、その出庫した配送物を収納装置10の背面側でユーザに直接受け渡すこともできる。
この場合、ユーザは、その配送物の受取のために所定の認証情報を所定の機器を用いて入力し、その認証が成功する必要がある。
【0083】
配送物出入庫部17は、配送物の出入庫を行う際、収容器163に収容された状態で配送物の出入庫を行う。
収容器163には、配送物出入庫部17が出入庫しやすいよう共通の構造が設けられている(詳しくは後述)。
このため、配送物出入庫部17は、配送物の大きさおよび形状によって出入庫の作業が困難になることなく、安定的に出入庫の作業を行うことが可能となっている。
【0084】
図13は、本発明の第1の実施の形態における収容器163の一例を示す透過斜視図である。
図14は、本発明の第1の実施の形態における収容器163を収納ボックス161内に収納する様子の一例を示す透過斜視図である。
図15は、本発明の第1の実施の形態における収容器163を収納ボックス161内に収納した様子の一例(背面側)を示す図である。
以下、これら図を用いて、収容器163について説明を進める。
【0085】
これら図に示すように、収容器163は、トレー形状を形成しており、底面を形成する底部1633と、当該底部1633に対し垂直上方向に設けられ側面を形成する壁体1631とを有して構成される。
また、底部1633の正面視左右両端に一対の切欠1632が設けられており、底部1633の正面視左右両端に段差が形成されている。
【0086】
配送業者の配送業務担当者は、正面側の出入庫口1612から配送物を入庫する。
このとき、配送業務担当者は、収納ボックス161内にある収容器163の底部1633上に配送物を置く。
収容器163の正面側は、配送物を入庫し易くするために、正面側全体を塞ぐような壁体1631が形成されていない、または形成されていてもその高さが低いことが好ましい。
図13の例では、正面側には壁体1631が設けられていない。
【0087】
一方で、収容器163の背面側には、壁体1631が形成されることが好ましい。
収容器163の背面側に壁体1631(
図13の壁体1631a)が設けられると、収容器163が収納ボックス161内に置かれているときには、背面側の出入庫口1612は上記壁体1631(1631a)により閉塞されている。
このように背面側の出入庫口1612が壁体1631(1631a)に閉塞されていることにより、配送業務担当者が配送物を正面側の出入庫口1612から入庫するときに、勢い余って背面側の開口した出入庫口1612から配送物が床に落下することを防止することができるようになっている。
【0088】
収容器163は、上記背面側のほか、左右両側面側にも壁体1631(
図13の壁体1631b)が設けられてもよい。
【0089】
配送物出入庫部17が収容器163を背面側の出入庫口1612から出庫された際に、ユーザ等が配送物を収容器163の上方から取り出しやすいように、収容器163の上面側には壁体1631を設けず、開口していることが好ましい。
【0090】
上述のとおり、底部1633の正面視左右両端には、奥行方向に沿って一対の切欠1632がそれぞれ設けられ、底部1633の左右両側端に段差が形成されている。
図14,15に示すように、収納ボックス161内の収納空間1611内に収容器163が収納されているときには、収容器163の底面の左右両側面側の切欠1632部分と、収納ボックス161の収納空間1611の底面との間に、奥行方向に直方体状の一対のアーム挿入空間1613が形成されることになる。
【0091】
図15は、収納ボックス161を背面側から見た図であり、本図には、収容器163の切欠1632と、収納空間1611の底面との間に一対のトンネル状のアーム挿入空間1613が奥行方向に形成されることが示されている。
後述する配送物出入庫部17の移動部173が収納ボックス161の配送物を背面側から取り出すときには、移動部173の一対のアームが奥行奥方向へ移動し、上記一対のアーム挿入空間1613にそれぞれ挿入され、一対のアームが左右の両切欠1632の段差部分を側方外側から狭圧することにより、移動部173は収容器163ごと配送物を把持することができるようになっている。
【0092】
上記のとおり、配送物は収容器163に収容された状態で移動部173に把持されるので、配送物出入庫部17は、配送物の形状によらず、安定して配送物を移動させることができる。
【0093】
例えば、収納検知部164は、収納装置の分野で一般に使用される赤外線や重量計等を利用したセンサを備えて、収納ボックス161の収納空間に物品が入庫されたか否かを検知する。
【0094】
収納検知部164は、上記検知機能により、収納ボックス161内に、「収容器163のみ収容」、「収容器163および配送物が収容」あるいは「収容器163および配送物の両方収容されていない」の3つの状態のいずれであるかを検知することができる。
例えば、収納検知部164が収容器163の重量を検知したときは、制御部11は「収容器163のみ収容」であると判断する。
収納検知部164が収容器163の重量を超えた重量を検知したときは、制御部11は「収容器163および配送物が収容」であると判断する。
収納検知部164が重量がゼロであることを検知したときは、制御部11は「収容器163および配送物の両方収容されていない」と判断する。
【0095】
また、例えば、収納検知部164は、収容器163の所定部分の高さと、その所定部分を超えた高さの両方を検知する赤外線センサを備え、赤外線センサが収容器163の所定部分の高さに物体の存在を検知し、その所定部分を超えた高さに物体の存在を検知しなかったときは、制御部11は「収容器163のみ収容」であると判断する。
また、赤外線センサが、収容器163の所定部分の高さと、その所定部分を超えた高さの両方の高さに物体の存在を検知したときは、制御部11は「収容器163および配送物が収容」であると判断する。
また、赤外線センサが、収容器163の所定部分の高さと、その所定部分を超えた高さの両方の高さに物体の存在を検知しなかったときは、制御部11は「収容器163および配送物の両方収容されていない」と判断する。
【0096】
(6)配送物出入庫部17の構成
図16は、本発明の第1の実施の形態における配送物出入庫部17を示す背面側から見た斜視図である。
図4,16に示すように、配送物出入庫部17は、収納ボックス161の背面側の出入庫口1612の開口面と略平行に設置される所定以上の強度を備えた鋼製等の方形状の枠体である支持枠171と、当該支持枠171の内部空間を水平方向に移動する所定以上の強度を備えた鋼製等の方形状の枠体である移動枠172と、当該移動枠172の内部空間を垂直方向に移動する移動部173とを有して構成される。
移動枠172が支持枠171内を水平方向(出入庫口1612の開口面に略平行)に移動し、移動部173が移動枠172内を垂直方向(出入庫口1612の開口面に略平行)に移動することにより、移動部173は、出入庫口1612の開口面に略平行な移動面上の当該開口面に接近した任意の位置(例えば開口面から1cm)に移動することができる。
したがって、移動部173は、任意の収納ボックス161の背面側の出入庫口1612に対向する位置に移動し、各収納ボックス161との間で収容器163(配送物)の出入庫を行うことが可能となっている。
【0097】
支持枠171は、収納装置10が有する収納ボックス161の出入庫口1612の開口面の一部または全部を背面側から見て覆うように設置される(
図6の例では一部)。
【0098】
図6,16に示すように、支持枠171は、例えば鋼製等の棒状または柱状の上下左右枠により方形状が形成され、所定以上の強度を備えた枠体である枠本体1711と、モータ等の駆動源を備え、枠本体1711の内側において移動枠172を水平方向(X軸方向)に移動させる駆動部1712と、枠本体1711の少なくとも下枠の内側に設けられており支持枠171内における移動枠172の水平方向(X軸方向)への移動を案内するためのガイドレール1713とを有して構成される。
【0099】
駆動部1712は、公知の機構を用いればよく、特に制限されるものではない。
図17の(a)は、本発明の第1の実施の形態における駆動部1712による移動枠172の移動機構の一例を示す図である。
図17の(a)に示すように、例えば、駆動部1712は、互いに離間した状態で配置された一対のプーリと、このプーリに架け渡された環状のワイヤと、一対のプーリのうちの一方のプーリを回転させる駆動源の一例としてのモータ(図示せず)とにより構成される。
駆動部1712としてこのような構成を用いる場合は、環状のワイヤの一部に移動枠172を取り付ける。そして、モータの駆動によりプーリが正転および逆転を行う。これにより、
図16,
図17の(a)に示すように、移動枠172は枠本体1711内の水平方向(X方向)に往復移動する。
なお、上記環状のワイヤに代えてベルトコンベアを設け、当該ベルトコンベアと移動枠172を固定するにようにしてもよい。この場合、移動枠172がプーリの回転に伴ってベルトコンベア上を移動し、枠本体1711内の水平方向(X方向)に往復移動する。
【0100】
図6,16に示すように、移動枠172は、例えば鋼製等の棒状または柱状の上下左右枠により方形状が形成され、所定以上の強度を備えた枠体である枠本体1721と、モータ等の駆動源を備え、枠本体1721の内側において移動体173を垂直方向(Z方向)に移動させる駆動部1722と、枠本体1721の左右枠の内側に設けられており移動枠172内における移動体173の垂直方向(Z方向)への移動を案内するための一対のガイドレール1723とを有して構成される。
【0101】
駆動部1722は、公知の機構を用いればよく、特に制限されるものではない。
図17の(b)は、本発明の第1の実施の形態における駆動部1722による移動部173の移動機構の一例を示す図である。
図17の(b)に示すように、例えば、駆動部1722は、互いに離間した状態で配置された一対のプーリと、このプーリに架け渡された環状のワイヤと、一対のプーリのうちの一方のプーリを回転させる駆動源の一例としてのモータ(図示せず)とにより構成される。
駆動部1722としてこのような構成を用いる場合は、モータおよび環状のワイヤは枠本体1721の左右内側に設置され、それら一対の環状のワイヤの一部に移動体173を取り付ける。そして、モータの駆動によりプーリが正転および逆転を行う。これにより、
図16,
図17の(b)に示すように、移動体173は枠本体1721内の垂直方向(Z方向)に往復移動する。
なお、駆動部1722に設けられた上記環状のワイヤに代えてベルトコンベアを設け、当該ベルトコンベアと移動体173を固定するにようにしてもよい。この場合、移動体173がプーリの回転に伴ってベルトコンベアとともに移動し、枠本体1721内の垂直方向(Z方向)に往復移動する。
【0102】
図18は、本発明の第1の実施の形態における移動部173を示す図である。
図18は、移動部173を背面側上方から見た図である。
図18に示すように、移動体173は、移動部本体1731と、移動部本体1731の左右両端に設けられ、モータ等の駆動源により奥行方向(Y方向)に移動可能な左右一対のアーム1732と、移動部本体1731上に設けられアーム1732により収納ボックス161から出庫された収容器163を載置する台状の部材である台部1733とを有して構成される。
【0103】
台部1733は、例えば鋼製等の所定以上の強度を備えた板状の台である。
【0104】
移動体本体1731の左右両端は、上述の駆動部1722の一対の環状のワイヤにそれぞれ取り付けられており、駆動部1722のモータの正転または逆転により移動する環状のワイヤの動きに応じて、移動部173は移動枠172内を垂直方向(Z方向)に移動する。
【0105】
アーム1732は、上述のとおり奥行方向(Y方向)に移動可能な他、駆動源によりそれぞれ内側にわずかに移動して収容器163を外側から狭圧可能に構成されている。
【0106】
移動部173または移動枠172の移動中には、アーム1732は、
図18に示すように、両アーム1732は台部1733の側方に位置し、台部1733に対して奥行方向に突出していないことが好ましい。
【0107】
本実施の形態では、アーム1732は、奥行両方向にスライドすることにより、移動体本体1731より突出し、収納ボックス161との間で収容器163の出入庫を行ったり、搬送装置40との間で収容器163の受渡しを行ったりするが、その他の機構によりアーム1732を奥行両方向に突出させてもよい。
例えば、アーム1732は、駆動源により奥行両方向に伸縮可能な入れ子管構造を備えることにより、突出するようにしてもよい。
【0108】
図示しないが、台部1733上に収容器163が載置されたことを検知する載置センサが設けられている。
制御部11は、上記載置センサの検知結果を取得し、当該検知結果に基づいて配送物出入庫部17の動作を制御する。
【0109】
載置センサは、例えば重量センサであり、台部1733上に積載された物体の重量を測定し、その測定した重量に基づいて、台部1733上に載置された物体の有無を検知する。
載置センサは測定した重量を示す情報を制御部11へ出力し、制御部11は、その載置センサによる測定重量に基づいて、台部1733上に積載されている物体を判断する。
制御部11は、上記測定重量に基づいて、例えば、台部1733上に「何も載置されていない状態」、「収容器163が配送物を収容しておらず収容器163のみが載置されている状態」、または「収容器163が配送物を収容して載置されている状態」のいずれであるかを判断する。
【0110】
(収納ボックス161からの出庫)
図19は、本発明の第1の実施の形態における配送物出庫時の配送物出入庫部17の移動の工程を示す図である。
図19は背面側から見た図である。
図20は、本発明の第1の実施の形態における移動部173による収容器163(配送物)の出庫の工程を示す図である。
図20は垂直上方向から見た図である。
図21は、本発明の第1の実施の形態における移動部173がアーム1732をアーム挿入空間1613に挿入する様子を示す斜視図である。
図22は、本発明の第1の実施の形態における移動部173が台部1733に収容器163を載置させた様子を示す斜視図である。
以下、これら図を用いて、移動部173による収納ボックス161からの収容器163の出庫動作について説明する。
なお、
図21,22では収容器163に収容されている配送物については省略して描画していない。
【0111】
図19(a)に示すように、配送物出入庫部17には、支持枠171内に移動枠172が設けられ、その移動枠172内には移動部173が設けられている。
また、
図19(a)には、配送物を出庫する収納ボックス161の出入庫口1612が示されている。
【0112】
配送物出入庫部17は、所定の収納ボックス161に収納中の配送物の出庫要求信号が制御部11から入力されると、
図19(b)に示すように、移動枠172が、その収納ボックス161の水平座標の位置までX方向へ移動する。
【0113】
次に、
図19(c)に示すように、移動部173は、上記収納ボックス161の垂直座標の位置までZ方向へ移動し、配送物を出庫する収納ボックス161の出入庫口1612に対向する位置まで移動する。
【0114】
図20(a)に示すように、移動部173は出庫要求されている収納ボックス161の出入庫口1612に対向する位置まで移動すると、
図20(b),
図21に示すように、一対のアーム1732は奥行奥方向(Y方向)へ移動し、一対のアーム挿入空間1613にそれぞれ挿入される。
次に、
図20(c)に示すように、一対のアーム1732は、アーム挿入空間1613に挿入した状態でそれぞれ内側にわずかに移動し、収容器163の両切欠1632を狭圧し、収容器163を狭持する。
このとき、収容器163は、両切欠1632の側面が一対のアーム1732の側面により狭圧されるとともに、両切欠1632の底面が一対のアーム1732の上面に載上された状態となっている。
【0115】
次に、
図20(d),
図22に示すように、一対のアーム1732は、収容器163を狭持したまま台部1733の側方の位置まで奥行手前方向に戻るように移動すると、収容器163は一対のアーム1732に狭持されたまま台部1733上に載置される。
移動部173および移動枠172の移動の際には、円滑に移動するため、
図20(d),
図22に示すように、一対のアーム1732は台部1733の側方に位置しており、奥行奥方向または奥行手前方向に突出していないことが好ましい。
【0116】
台部1733上に収容器163が載置された状態で、移動部173が垂直方向(Z方向)に移動し、移動枠172が水平方向(X方向)に移動して、移動部173が搬送装置40の待機場所の位置まで移動すると、一対のアーム1732は収容器163を狭持したまま奥行手前方向へ移動し、収容器163を搬送装置40の積込スペースである積載部49へ受け渡す。
このときの移動枠172および移動部173の移動は、
図19(c)→
図19(b)→
図19(a)と搬送装置40の待機場所から出庫対象の収納ボックス161への移動と反対の順で行われる。
以上で、配送物出入庫部17が収納ボックス161から収容器163を出庫する動作が終了する。
【0117】
搬送装置40は積載部49に収容器163が積載されたことを検知すると、受信済みの搬送要求信号に基づいて、予め指定された配送物の受取位置へ移動し、配送物の搬送作業を実行する。
【0118】
(収納ボックス161への入庫)
搬送装置40は、受取場所においてユーザへの配送物の受渡しが完了した場合、またはユーザへの配送物の受渡しが完了しなかった場合、いずれも、収容器163を積載したまま収納装置10近傍の待機場所まで戻ってくる(受渡しが成功した場合は収容器163は空であり、失敗した場合は配送物が収容されている。)。
搬送装置40の制御部41は、待機場所まで到達した(戻って来た)と判断すると、その旨の帰還情報を生成し、通信部43はその帰還情報を管理サーバ20へ送信する。
【0119】
管理サーバ20の通信部23は、その帰還情報を搬送装置40から受信すると、その帰還情報を収納装置10へ送信する。
【0120】
収納装置10の通信部13は、その帰還情報を管理サーバ20から受信すると、制御部11は、搬送装置40が収容器163を積載して待機場所まで戻ってきたことを認識し、配送物出入庫部17へ入庫要求信号を出力する。
【0121】
配送物出入庫部17は、所定の収納ボックス161への配送物の入庫要求信号が入力されると、移動枠172が水平方向に移動し、移動部173が垂直方向に移動して、移動部173が搬送装置40の待機場所と対抗する位置まで移動する。
このときの移動枠172および移動部173は、
図19(c)→
図19(b)→
図19(a)に示すような順で移動する。
【0122】
そして、移動部173の一対のアーム1732は何も狭持していない状態で奥行手前方向へ移動し、搬送装置40の積載部49に積載されている収容器163を狭持し、狭持したまま奥行奥方向へ移動して台部1733上に収容器163を積載する。
【0123】
図19(a)→
図19(b)→
図19(c)に示すように、台部1733上に収容器163が積載された状態で、移動部173が垂直方向に移動し、移動枠172が水平方向に移動して、移動部173が、入庫する収納ボックス161に対向する位置まで移動すると、一対のアーム1732は収容器163を狭持したまま奥行奥方向へ移動し、収容器163を収納ボックス161の収納空間1611へ入庫する。
次に、一対のアーム1732は、それぞれ外側にわずかに移動し、収容器163に対する狭圧を解除する。
そして、一対のアーム1732は、アーム挿入空間1613から引き出すように奥行手前方向へ移動し、移動部173の移動時の定位置(台部1733の側方の位置)に復帰する。
以上で、配送物出入庫部17による収容器163の収納ボックス161への入庫動作が終了する。
【0124】
(7)通信部13の構成
通信部13は、ネットワーク100を介して行う管理サーバ20および搬送装置40との通信を制御するインターフェースであり、LANアダプタ等を有する。
通信部13は、無線送受信機を備え、無線通信を介してLANやインターネット等に接続されてもよいし、ケーブル等の有線を介して接続されてもよい。
【0125】
(8)表示部14及び操作部15の構成
表示部14は、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のディスプレイやLED等の発行素子によるランプ等の表示装置である。
制御部11は、情報格納部12から画像を読み出し、画像出力処理を実行して画面情報を生成する。
制御部11は、上記生成した画像情報を表示部14へ出力する。
表示部14は、上記入力した画像情報をディスプレイ等に画面表示する。
また、制御部11は、制御信号を表示部14へ出力し、表示部14が有するランプを点灯させることもできる。
【0126】
図5に示す例では、表示部14は、収納装置10本体内に設けられているが、有線又は無線を介して通信可能に接続された外部の表示装置であってもよい。
例えば、表示部14は、タブレット端末やディスプレイ装置であって、収納装置10本体の外部に設けられ、上記有線又は無線を介して制御部11から入力される画像情報を表示する。
【0127】
操作部15は、例えば各種キー等から構成される情報入力装置を備え、当該情報入力装置は表示部14と連携してポインティングデバイスを提供する。操作部15は、ユーザまたは配送業務担当者等による各種操作を受け付けて、その操作内容を示す信号を制御部11等に出力する。
制御部11は、上記操作内容を示す信号を入力すると、当該信号の内容に応じて、その操作内容に応じた画面表示を表示部14に実行させる旨の制御信号を表示部14へ出力する。
表示部14は、その制御信号を入力すると、当該制御信号に応じて画面表示を行う。
なお、上記表示部14と操作部15は一体に構成され、タッチパネルを形成してもよい。
【0128】
また、操作部15は、赤外線通信等の近距離無線通信を行って情報記録媒体から情報を読み取る情報読取装置を備えている。
ユーザ又は配送担当者は、上記収納ボックスの解錠用の認証情報が記録されている情報記録媒体(認証媒体)を操作部15(情報読取装置)にかざす等して所定距離内まで接近させると、操作部15は、上記情報記録媒体から上記認証情報を読み取る。
この操作部15による認証情報の読取技術については特に限定しないが、例えば、Felica(登録商標)、MIFARE(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式を用いる。また、情報記録媒体の表面にコード情報が印刷又は設けられている場合には、操作部15はそのコード情報を光学的に読み取る。
上記情報記録媒体は、例えば、ユーザ又は配送業者を識別する認証情報が書き込まれた非接触型のICカードや同様の機能を備えた携帯端末である。
【0129】
図1に示すように、表示部14および操作部15は、正面側および背面側の両側に設けられており、両側において画面表示および情報入力を行うことが可能に構成されている。
【0130】
〔3〕管理サーバ20の構成
管理サーバ20は、ユーザ情報、収納装置10の使用状況及び搬送作業の状況等を管理するサーバ装置である。
【0131】
図23は、本発明の第1の実施の形態における管理サーバ20の構成を示す図である。
図に示すように、管理サーバ20は、CPU等により構成され管理サーバ20全体を制御する制御部21と、ユーザ情報等を格納する情報格納部22と、ネットワーク100を介して収納装置10、ユーザ端末30および搬送装置40と情報の送受信を無線又は有線を介して行う通信部23とを有して構成される。
各部21~23は、内部のバスに接続され、このバスを介して種々の情報等が入出力され、制御部21の制御のもと、種々の処理が実行される。
【0132】
制御部21は、管理サーバ20全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU等の電子回路やFPGA等の集積回路により構成される。
制御部21は、情報格納部22から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部22に情報の書込みを実行する。
【0133】
情報格納部22は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部22は、制御部21で実行するプログラムを記憶する領域や制御部21が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部21は、その情報格納部22に格納されているプログラムを読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
【0134】
通信部23は、ネットワーク100を介して行う収納装置10、ユーザ端末30および搬送装置40との通信を制御するインターフェースであり、LANアダプタ等を有する。
通信部23は、無線送受信機を備え、無線通信を介してLANやインターネット等に接続されてもよいし、ケーブル等の有線を介して接続されてもよい。
【0135】
図24は、本発明の第1の実施の形態における管理サーバ20が管理するデータベースを示す図である。
図に示すように、管理サーバ20の情報格納部22が格納する各データベースが示されている。
図に示すように、情報格納部22は、居住者に関する居住者情報等を管理するユーザDB221と、収納部16を構成する複数の収納ボックスの使用状況を管理する収納ボックスDB222と、各収納ボックスの利用履歴を管理する利用履歴DB223と、搬送装置40の搬送状況等を管理する搬送装置DB224と、搬送装置40による搬送作業を管理する搬送作業DB225と、搬送装置40の移動する建物または施設内の地図を示す地図情報を管理する地
図DB226と、搬送装置40の走行経路(移動範囲)を示す経路情報を管理する経路DB227とを格納する。
【0136】
管理サーバ20は、これらユーザDB221、収納ボックスDB222、利用履歴DB223、搬送装置DB224および搬送作業DB225の各データベースにおいて、1以上の各収納装置10のユーザDB121、収納ボックスDB122、利用履歴DB123、搬送装置DB124および搬送作業DB125の同名称の各データベースのデータを統合し、まとめて管理する。
【0137】
また、収納装置10および管理サーバ20のいずれか一方は、他方のデータベースにおいて管理される情報の一部を管理するよう構成してもよい。
管理サーバ20は、収納装置10と所定時間ごとに通信を行い、自身が格納している各データベースと、収納装置10の同名称の各データベースとの間の同期を取るようにしてもよい。
【0138】
管理サーバ20は、上記搬送装置DB224、地
図DB226および経路DB227の各データベースにおいて、1以上の各配送業者端末40が格納する後述の搬送装置DB424、地
図DB426および経路DB427の同名称の各データベースのデータを統合し、まとめて管理する。
【0139】
また、搬送装置40および管理サーバ20のいずれか一方は、他方のデータベースにおいて管理される情報の一部を管理するよう構成してもよい。
管理サーバ20は、搬送装置40と所定時間ごとに通信を行い、自身が格納している各データベースと、搬送装置40の同名称の各データベースとの間の同期を取るようにしてもよい。
【0140】
〔4〕ユーザ端末30の構成
ユーザ端末30は、ユーザの専有部に設置されるインターホンまたはテレビドアホン、あるいはユーザが使用するスマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、PCまたはその他の端末である。
【0141】
ユーザは、ユーザ端末30を用いて、自身宛の配送物の収納装置10への入庫、又は搬送装置40による配送物の搬送状況について、管理サーバ20から通知を受ける。
【0142】
図25は、本発明の第1の実施の形態におけるユーザ端末30の構成を示す図である。
図に示すように、ユーザ端末30は、CPU等から構成されユーザ端末30全体の動作を制御する制御部31と、入力した情報やネットワーク100を介して受信した情報等を格納する情報格納部32と、ネットワーク100を介して情報の送受信を行う通信部33と、ディスプレイ等から構成され情報を画面表示する表示部34と、キーやマウス等から構成され情報の入力等を行う操作部35とを有して構成される。
また、上記表示部34と操作部35は、一体に構成され、タッチパネルを構成してもよい。
各部31~35は、内部のバスに接続され、このバスを介して種々の情報等が入出力され、制御部31の制御のもと、種々の処理が実行される。
【0143】
制御部31は、ユーザ端末30全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU等の電子回路やFPGA等の集積回路により構成される。
制御部31は、情報格納部32から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部32に情報の書込みを実行する。
【0144】
情報格納部32は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部32は、制御部31で実行するプログラムを記憶する領域や制御部31が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部31は、その情報格納部32に格納されているプログラムを読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
【0145】
通信部33は、ネットワーク100を介して行う管理サーバ20との通信を制御するインターフェースであり、LANアダプタ等を有する。
通信部33は、無線送受信機を備え、無線通信を介してLANやインターネット等に接続されてもよいし、ケーブル等の有線を介して接続されてもよい。
【0146】
表示部34は、ディスプレイやランプ等の表示装置である。
制御部31は、情報格納部32から画像を読み出し、画像出力処理を実行して画面情報を生成する。また、制御部31は、通信部33が管理サーバ20またはサービス事業者サーバ70から受信した画像情報に対して画像出力処理を実行して画面情報を生成する。
制御部31は、上記生成した画像情報を表示部34へ出力する。
表示部34は、上記入力した画像情報をディスプレイ等に画面表示する。
また、制御部31は、制御信号を表示部34へ出力し、表示部34が有するLED等のランプを点灯させることもできる。
【0147】
操作部35は、例えば各種キー等から構成される情報入力装置を備え、当該情報入力装置は表示部34と連携してポインティングデバイスを提供する。操作部35は、受注側等による各種操作を受け付けて、その操作内容を示す信号を制御部31等に出力する。
制御部31は、上記操作内容を示す信号を入力すると、当該信号の内容に応じて、表示部34へその操作内容に応じた画面表示を行う旨の制御信号を表示部34へ出力する。
表示部34は、その制御信号を入力すると、当該制御信号に応じて画面表示を行う。
【0148】
ユーザ端末30は、Webサーバとして機能する管理サーバ20から画面情報、例えばWebページを受信して表示することができる。
ユーザ端末30は、制御部31がユーザ側の要求に応じてHTTP要求を生成して送信する機能と、HTTP応答(応答の一例)を解釈してユーザ側に提示する機能とを有する。
例えば、情報格納部32は、一例としてWebブラウザを格納する。
制御部31は、HTTP応答を解釈して画像データや音声データを生成し、表示部34に表示したり、音声をユーザ端末30が有するスピーカから出力したりすることで、HTTP応答をユーザ側に提示する。
【0149】
〔5〕搬送装置40の構成
搬送装置40は、建物または設備内の通路等を自立的に走行する移動装置であって、収納装置10の設置場所と配送物の配送先の位置との間を走行する。
搬送装置40は、収納装置10に配送された配送物を収容器163ごと積載し、当該配送物の配送先まで搬送する。
搬送装置40は、配送先でユーザに配送物を受渡すと、再度収納装置10の設置場所に戻り、空になった収容器163を収納装置10の収納ボックス161内に戻す。
また、搬送装置40は、ユーザの不在等により配送物の受渡しが完了しなかった場合も、再度収納装置10の設置場所に戻り、配送物が収容されている収容器163を収納装置10の収納ボックス161内に戻す。
【0150】
図26は、本発明の第1の実施の形態における搬送装置40の構成を示す図である。
図に示すように、搬送装置40は、CPU等から構成され搬送装置40全体の動作を制御する制御部41と、入力した情報やネットワーク100を介して受信した情報等を格納する情報格納部42と、ネットワーク100を介して情報の送受信を行う通信部43と、ディスプレイ等から構成され情報を画面表示する表示部44と、キーやボタン等から構成され情報の入力等を行う操作部45と、搬送装置40を走行させる走行部46と、搬送装置40の走行を補助する走行補助部47と、収容器163を積載する積載部49とを有して構成される。
上記表示部44と操作部45は、一体に構成され、タッチパネルを構成してもよい。
各部41~49は、内部のバスに接続され、このバスを介して種々の情報等が入出力され、制御部41の制御のもと、種々の処理が実行される。
また、図示されていないが、搬送装置40は、自装置の動作のために使用される電力を蓄電するバッテリと、そのバッテリに電力を充電するためのコードを接続するための充電接続口とを有するようにしてもよい。
【0151】
制御部41は、搬送装置40全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU等の電子回路やFPGA等の集積回路により構成される。
制御部41は、情報格納部42から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部42に情報の書込みを実行する。
【0152】
情報格納部42は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部42は、制御部41で実行するプログラムを記憶する領域や制御部41が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部41は、その情報格納部42に格納されているプログラムを読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
【0153】
通信部43は、ネットワーク100を介して収納装置10または管理サーバ20との通信を制御するインターフェースであり、LANアダプタ等を有する。
通信部43は、無線送受信機を備え、無線通信を介してLANやインターネット等に接続されてもよいし、ケーブル等の有線を介して接続されてもよい。
【0154】
表示部44は、ディスプレイやランプ等の表示装置である。
制御部41は、情報格納部42から画像を読み出し、画像出力処理を実行して画面情報を生成する。また、制御部41は、通信部43が管理サーバ20から受信した画像情報に対して画像出力処理を実行して画面情報を生成する。
制御部41は、上記生成した画像情報を表示部44へ出力する。
表示部44は、上記入力した画像情報をディスプレイ等に画面表示する。
また、制御部41は、制御信号を表示部44へ出力し、表示部44が有するLED等のランプを点灯させることもできる。
【0155】
操作部45は、例えば各種キー等から構成される情報入力装置を備え、当該情報入力装置は表示部44と連携してポインティングデバイスを提供する。操作部45は、受注側等による各種操作を受け付けて、その操作内容を示す信号を制御部41等に出力する。
制御部41は、上記操作内容を示す信号を入力すると、当該信号の内容に応じて、表示部44へその操作内容に応じた画面表示を行う旨の制御信号を表示部44へ出力する。
表示部44は、その制御信号を入力すると、当該制御信号に応じて画面表示を行う。
【0156】
走行部46は、モータ等の駆動源と、当該駆動源からの動力を伝達する減速ギヤや回転軸等の伝達機構と、走行用の車輪とを有する。
駆動源の動力が伝達機構を介して走行用の車輪の駆動軸に伝達されることにより車輪が回転し、搬送装置40が走行することができる。
走行部46は、駆動源、伝達機構および車輪のセットを複数有しており、制御部41からの信号に基づいて、各車輪の回転速度が独立して制御される。
搬送装置40は、その複数の車輪の回転速度の差によって、前進、後退または回転等の動きを行い、様々な方向に移動可能となっている。
【0157】
走行補助部47は、搬送装置40が移動する範囲に存在する物体を検知し、搬送装置40の障害物への衝突を回避する物体検知部471と、搬送装置40の現在位置を外部に知らせる位置出力部472とを有する。
【0158】
物体検知部471は、搬送装置40が走行する際に経路上の障害物との衝突を回避する衝突回避センサを有する。
例えば、衝突回避センサは、レーザ光または音波を走行方向に照射し、走行方向上の物体に反射して戻ってくるまでの時間を計測して経路上の障害物の位置を計測する。
制御部41は、その計測された障害物の位置に基づいて、走行部46に信号を出力して、上記障害物の位置において走行方向を変更させる等して、当該障害物との衝突を回避させる。
【0159】
位置出力部472は、搬送装置40の現在位置を外部に知らせるための現在位置信号を無線により外部へ送信する。
位置出力部472は、例えば、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信部を備える。
複数の発信器は、搬送装置40が移動する範囲内の複数箇所に配置されている。
位置出力部472は、複数の発信器の位置と、複数の発信器から送信されるビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、搬送装置40の現在位置を特定する。
上記例のほか、位置出力部472は、GPS(Global Positioning System)等を用いて、搬送装置40の現在位置を特定してもよい。
【0160】
位置出力部472は、上記のとおり特定した搬送装置40の現在位置を示す現在位置信号を通信部43による無線を介して管理サーバ20へ送信する。
搬送装置40の移動する範囲内に設置されている位置情報受信装置は、上記位置出力部472から受信した現在位置信号に基づいて搬送装置40の現在位置を示す現在位置情報を抽出し、当該現在位置情報を管理サーバ20へ有線または無線を介して送信する。
管理サーバ20は、上記現在位置情報を参照して、搬送装置40の現在位置を常に把握することができるようになっている。
【0161】
積載部49は、収納装置10の配送物出入庫部17から積み込まれる収容器163を積載するものであり、台または箱などその形状は限定されない。
積載部49が箱型の場合は、その箱型の開口を閉鎖するハッチが設けられていてもよく、搬送装置40がユーザの受取場所へ到着したときにユーザが操作部45を用いてパスワード等の認証情報を入力することにより当該ハッチが開き、ユーザが配送物を積載部49から取り出すことができるように構成してもよい。
【0162】
搬送装置40の構成は
図6の例に限定されないが、
図6に示す例では、搬送装置40は、全体として略直方体形状であり、走行部46として底面側に走行用の車輪が設けられている。
【0163】
図6の例では、搬送装置40の上面が床面と略平行に構成されており、当該搬送装置40の上面が積載部49を構成している。この場合、搬送装置40は、当該上面に収容器163が載置された状態でユーザの受取場所までの搬送を行う。
積載部49は、
図6の例のほか、搬送装置40の本体内に棚や収納庫が構成されることにより実現されてもよい。
【0164】
図27は、本発明の第1の実施の形態における搬送装置40が管理するデータベースを示す図である。
図に示すように、搬送装置40の情報格納部42は、搬送装置40自身の搬送状況等を管理する搬送装置DB424と、搬送装置40自身の移動する建物または施設内の地図を示す地図情報を管理する地
図DB426と、搬送装置40自身の走行経路(移動範囲)を示す経路情報を管理する経路DB427とを格納する。
【0165】
搬送装置DB424は、搬送装置40自身の搬送作業の状況および搬送装置40自身の位置情報等を管理するデータベースである。
図28は、本発明の第1の実施の形態における搬送装置DB424のデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、搬送装置DB424は、搬送装置40個々を識別するために付された「搬送装置ID」に対応付けて、収納装置10近傍で搬送装置40が配送物出入庫部17から配送物を受取る「待機場所の位置情報」と、上記待機場所から一旦退避して待機する場所である「退避場所の位置情報」と、搬送装置40の「現在位置の位置情報」と、搬送装置40による搬送作業の状況を示す「作業状況」と、搬送装置40による搬送作業に付された「搬送履歴番号」とを管理している。
【0166】
搬送装置DB424において管理される各情報の内容は、搬送装置DB124と同様であるのでその説明は省略する。
搬送装置DB424は、原則的に、搬送装置40自身の情報のみ管理する。
【0167】
図29は、本発明の第1の実施の形態における地
図DB426のデータ構成の一例を示す図である。
図29に示すように、地
図DB426は、1以上の地図情報を各地図情報を識別する地
図IDに対応付けて管理している。
地図情報は、搬送装置40が移動する範囲に対応する地図を示す情報である。
地図情報は、座標等の位置情報の集合であり、搬送装置40が走行可能な範囲(走行が許可されている範囲)と、走行不可能な範囲(走行が禁止されている範囲)の位置情報を含む。
地図情報は、建物等の各フロアおよび各エリアが個別に複数用意されてもよい。
制御部41が情報格納部42から地図情報を読出し、当該地図情報に基づいて走行部46に制御信号を出力することで、搬送装置40は建物等の内部を走行する。
【0168】
地図情報には、複数のエリアの接続位置の情報も含まれる。
例えば、地
図DB426が、ある建物の1階エリアの地図情報と、2階エリアの地図情報とを管理している場合、1階エリアの地図情報に含まれるエレベータの位置情報と、2階エリアの地図情報に含まれるエレベータの位置情報とを接続して、1階エリアと2階エリアとの間を移動可能に設定して地
図DB426が管理するようにしてもよい。
【0169】
図30は、本発明の第1の実施の形態における経路DB427のデータ構成の一例を示す図である。
図30に示すように、経路DB427は、1以上の経路情報を各経路情報を識別する経路IDに対応付けて管理している。
経路情報は、搬送装置40が走行する経路を示す位置情報である。
例えば、経路DB427は、収納装置10の設置場所と各居住者(ユーザ)の住戸位置との間の各経路を示す個別の複数の経路情報を管理する。
【0170】
上記経路情報は、外部機器において予め生成されたものであってもよいし、搬送装置40が実際に対象の建物内を走行しながら得た位置情報に基づいて生成されたものであってもよい。
すなわち、制御部41は、搬送装置40を走行させることによって移動範囲の経路情報を生成してもよい。
また、管理サーバ20の制御部21は、始点と終点の位置情報が外部機器から入力されると、これら始点および終点を結ぶ経路の経路情報を自動作成し、経路DB227に登録し、搬送装置40へダウンロードするようにしてもよい。
【0171】
図31は、本発明の第1の実施の形態における地図情報および経路情報を説明するためにその内容の一例を図式化した図である。
図に示す例のように、地図情報には、各エリアの収納装置10、ドア、エレベータおよび棚等の設置物の位置、および搬送装置40が走行不可能な障害物(壁および柱など)の位置が示され、搬送装置40が移動可能な範囲が特定される。
【0172】
上記地図情報は、外部機器において予め生成されたものであってもよいし、搬送装置40が走行しながら物体検知部471の衝突回避センサにより検出される障害物までの距離及び位置に基づいて生成されたものであってもよい。
すなわち、制御部41は、搬送装置40を走行させることによって移動範囲の地図情報を生成してもよい。
【0173】
また、図に矢印で示されているように、搬送装置40が配送物を搬送する経路情報が示されている。
【0174】
(第1の実施の形態の動作)
(1)配送物の搬送サービスの申込動作
図32は、本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送物の搬送サービスの申込動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、一例として、配送物受渡システムが、ユーザ宛の配送物が収納装置10に入庫されたとき、その配送物を収納装置10からユーザの居住空間等へ搬送する搬送サービスの申込みをユーザから受け付ける動作を説明する。
なお、本動作の説明における収納装置10の各部(表示部14、操作部15等)は、一例として、いずれも正面側のものであることとする。
【0175】
まず、配送業者の配送業務担当者は、ユーザ宛の配送物を持って、集合住宅などの収納装置10の設置場所の正面側を訪れる。
収納装置10の表示部14には「利用者選択画面」が表示されている。
「利用者選択画面」は、収納装置10を利用する者が「ユーザ」か「配送業者」かを選択するための画面である。
そこで、配送業務担当者は、操作部15を操作して、表示部14に表示されている「利用者選択画面」において「配送業者」を選択し、宛先のユーザを特定する情報を入力する(ステップS101)。
このとき、配送業務担当者は、操作部15を用いて、例えば、「郵便局」、「●●宅配便」といった自身を特定する情報を入力してもよい。
また、上記宛先のユーザを特定する情報は、特に限定されないが、本例では、ユーザの居住空間の部屋番号とする。
【0176】
次に、制御部11は、情報格納部12の収納ボックスDB122を参照して配送物が入庫可能な「未使用」の収納ボックス161を検出し、当該「未使用」の収納ボックス161の情報を表示部14に表示させる(ステップS102)。
すなわち、制御部11は、「使用中」および「搬送中」の使用状況の収納ボックス161については、新たな配送物の入庫を規制する。
【0177】
配送業務担当者は、操作部15を用いて、その表示された「未使用」の収納ボックス161から任意のものを選択すると(ステップS103)、制御部11からの制御信号に基づいて、当該選択された収納ボックス161が開扉する(ステップS104)。
配送業務担当者は、その開扉した収納ボックス161内に配送物を入庫し、閉扉すると、扉162が施錠される。
制御部11は、収納ボックスDB122において、上記配送物が入庫された収納ボックス161について、「使用状況」の項目を「未使用」から「使用中」へ変更し、宛先のユーザの部屋番号をその収納ボックス161に対応付けて登録する(ステップS105)。
また、制御部11は、上記収納ボックス161に配送物が入庫された履歴を利用履歴DB123に登録する(ステップS105)。
【0178】
次に、制御部11は、収納装置10に当該ユーザ宛の配送物が入庫したことを示す入庫情報を生成し、通信部13はその生成された入庫情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS106)。
【0179】
管理サーバ20の通信部23は、上記入庫情報を収納装置10から受信すると、制御部21は、収納ボックスDB122と同様に、収納ボックスDB222の「使用状況」の項目等を登録するとともに(ステップS107)、利用履歴DB123と同様に、利用履歴DB223に入庫履歴を登録する(ステップS107)。
次に、制御部21は、ユーザDB221を参照して上記配送業務担当者により入力されたユーザの部屋番号に対応付けられている通知先情報を抽出し、通信部23は、その通知先であるユーザ端末30に対して上記入庫情報を送信する(ステップS108)。
【0180】
ユーザ端末30にはユーザが使用する様々な通信機器が含まれるが、本例では、ユーザの居住空間に設置されているインターホンとし、上記通知先情報は、そのインターホンの識別情報であるとする。
【0181】
ユーザ端末30の通信部33は入庫情報を管理サーバ20から受信すると、表示部34は当該入庫情報を表示する(ステップS109)。
ユーザ端末30は、上記入庫情報を受信したとき、着信音を出力し、ユーザに自身宛の配送物が収納装置10に入庫されたことを報知するようにしてもよい。
【0182】
図33は、本発明の第1の実施の形態においてユーザ端末30に表示された入庫情報の一例を示す図である。
図の例では、入庫情報には、配送物の入庫時期、入庫された収納ボックス161のボックス番号とともに、搬送装置40による搬送サービスの搬送開始のための入力欄およびボタンが表示されている。
【0183】
ユーザは、ユーザ端末30に表示された入庫情報を確認し、搬送サービスを希望するときには、操作部35を操作して、搬送サービスにおけるユーザによる配送物の受取方法を示す情報を入力する(ステップS110)。
【0184】
ステップS110において入力される情報には、例えば、
図32に示すように、「受取方法」、「受取場所」および「受取時期」が含まれる。
上記「受取方法」は、例えば、配送物を直接受取る「対面」、または、配送物を居住空間の玄関先等に置いて配送を完了する「置き配」のいずれかをユーザは選択することができる。
上記「受取場所」は、例えば、ユーザは自身の住戸の玄関前などを指定できる。この「受取場所」は、ユーザが対面で配送物を受取る場所の他、置き配で配送物が置かれる場所も含む。
上記「受取時期」は、例えば、ユーザは任意の時期を指定できる。この「受取時期」は、ユーザが対面で配送物を受取る希望時間の他、置き配で配送物が置かれる希望時間も含む。
【0185】
ユーザは、操作部35を用いて、上記「受取方法」、「受取場所」、「受取時期」などを入力し、入庫情報に示される「搬送開始」ボタンを押下すると、ユーザ端末30の通信部33は、上記入力された「受取方法」、「受取場所」および「受取時期」などを含む搬送要求情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS111)。
【0186】
この搬送要求情報には、上記入力された情報に加えて、当該ユーザ宛の配送物が入庫されている収納装置10の収納装置IDと収納ボックス161のボックス番号とが含まれる。
【0187】
管理サーバ20の通信部23は、上記搬送要求情報をユーザ端末30から受信すると、その搬送要求情報に含まれる情報を、利用履歴DB223および搬送作業DB225に登録する(ステップS112)。
以上で、配送物の配送サービスの申込動作を終了する。
【0188】
以上説明したように、収納装置10はユーザ宛の配送物が入庫されると、その入庫した内容を示す入庫情報を生成し、管理サーバ20を介してユーザ端末30へ入庫の事実を通知する。
このため、ユーザは、自身宛の配送物の入庫事実を容易に把握し、その配送物を収納装置10から自身の居住空間まで搬送することを容易に要求することができるようになっている。
【0189】
また、本実施の形態では、制御部11は、「使用中」および「搬送中」の使用状況の収納ボックス161については、配送物の新たな入庫を禁止する。
「使用中」の収納ボックス161は、既に入庫済みの他のユーザ宛の配送物が収納されているため、仮に入庫規制を行わないと、同一収納ボックス161に異なるユーザ宛の複数の配送物が混在することになり、配送物の受取に混乱が生じる。
本実施の形態では、収納装置10は「使用中」の収納ボックス161に対する入庫を規制するので、このような混乱が生じることを未然に防ぐことが可能となっている。
【0190】
また、制御部11は、「搬送中」の収納ボックス161についても新たな配送物の入庫を禁止する。
「搬送中」の収納ボックス161にはその時点で配送物が収納されておらず空の状態ではあるものの、搬送装置40が搬送作業から戻って収容器163を当該収納ボックス161に返却する際に、仮に当該収納ボックス161内に新たに配送物が収納されていると、その配送物が障害となって収容器163がその収納ボックス161の収納空間1611内に返却できないおそれがある。
本実施の形態では、収納装置10は「使用中」の収納ボックス161に加えて、「搬送中」の収納ボックス161に対する入庫も規制するので、このような収容器163の返却の際に生じる不具合を未然に防ぐことが可能となっている。
【0191】
なお、ステップS103における収納ボックス161の選択については、収納装置10は「未使用」の収納ボックス161をはじめから施錠しておらず、配送業務担当者が、その解錠されている収納ボックス161から1つを選んで開扉するようにしてもよい。
【0192】
以上説明した「(1)配送物の搬送サービスの申込動作」では、ユーザ端末30が管理サーバ20から入庫情報を受信し、その入庫情報を画面上に表示し、ユーザがその入庫情報を確認後に、ユーザ端末30を用いて搬送要求情報を管理サーバ20へ送信していた。
これに加えてまたはこれに代えて、収納装置10が管理サーバ20から入庫情報を受信し、その入庫情報を画面上に表示し、ユーザがその入庫情報を確認後に、収納装置10の操作部15を用いて搬送要求情報を管理サーバ20へ送信するようにしてもよい。
この場合、ユーザは収納装置10の操作部15を操作し、自身の認証情報等を入力すると、表示部14は、当該ユーザ宛の配送物の入庫を知らせる上記入庫情報を表示する。当該入庫情報は、収納装置10が情報格納部12に格納されている情報を用いて表示してもよいし、収納装置10が認証情報に基づいて管理サーバ20へ情報の取得を要求し、管理サーバ20から受信した情報を用いて表示するようにしてもよい。
続けて、ユーザは、操作部15を操作して、上記「受取方法」、「受取場所」、「受取時期」などを入力すると、収納装置10は搬送要求情報を生成し、管理サーバ20へ送信する。
その他の動作は同様である。
このように、ユーザは、ユーザ端末30においてだけでなく、収納装置10において自身の配送物が収納装置10に入庫された旨の入庫情報を確認することができ、さらに、収納装置10の操作部15を用いて搬送要求情報を管理サーバ20へ送信することができる。
このため、ユーザは自身宛の配送物の搬送要求を行う際の自由度を大幅に向上させることが可能となる。
【0193】
(2)配送物の出庫動作
上述のとおり、管理サーバ20は、搬送要求情報をユーザ端末30から受信することにより配送物の搬送サービスの開始要求をユーザから受け付けると、その配送物の出庫を収納装置10に対して要求する。
図34は、本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送物の出庫動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、一例として、収納装置10が収納ボックス161に収納されている配送物を出庫して搬送装置40へ受け渡す動作を説明する。
【0194】
管理サーバ20の通信部23は、上記ユーザ端末30から受信した搬送要求情報を、当該搬送要求情報に含まれる収納装置IDで特定される収納装置10へ送信する(ステップS201)。
【0195】
収納装置10の通信部13は、上記搬送要求情報を管理サーバ20から受信すると、制御部11は、搬送装置DB124を参照し、作業状況が現在「待機中」である搬送装置40があるか否か、すなわち、搬送作業が可能な搬送装置40があるか否かを判断する(ステップS202)。
ここで、制御部11は、現在「待機中」の搬送装置40がないと判断した場合には(ステップS202/No)、ステップS202の動作を繰り返す。
【0196】
一方、制御部11は、現在「待機中」の搬送装置40があると判断した場合には(ステップS202/Yes)、制御部11は、その「待機中」の搬送装置40のうちの1つを決定し、上記搬送要求情報に含まれるボックス番号の収納ボックス161に入庫されている配送物を出庫し、その出庫した配送物を上記決定した搬送装置40に積載することを要求する出庫信号を配送物出入庫部17に出力する(ステップS203)。
【0197】
制御部11は、複数の搬送装置40が「待機中」である場合には、その中の1つをランダムに選択してもよいし、その他のルールに従って1つを選択してもよい。
【0198】
ステップS203において、制御部11は、収納ボックスDB122を参照して上記搬送要求情報に含まれるボックス番号に基づいて当該収納ボックス161の位置情報を抽出するとともに、搬送装置DB124を参照して上記決定した搬送装置40の待機場所の位置情報を抽出する。
上記出庫信号には、当該収納ボックス161の位置情報と、上記決定した搬送装置40の待機場所の位置情報とが含まれる。
【0199】
また、ステップS203において、制御部11は、搬送装置DB124の作業状況を「待機中」から「搬送中」へ変更する。
【0200】
配送物出入庫部17は出庫信号が入力されると、移動枠172は、該当する収納ボックス161の位置まで水平方向(X方向)に移動する(ステップS204)。
次に、移動部173は、該当する収納ボックス161の位置まで垂直方向(Z方向)に移動する(ステップS205)。
なお、移動枠172と移動部173の移動する順序は逆でもよいし、同時に移動してもよい。
【0201】
移動部173は、出庫する配送物が収納されている収納ボックス161の位置まで移動すると、一対のアーム1732を奥行奥方向へ移動させ、収納ボックス161内の左右のアーム挿入空間1613に左右のアーム1732をそれぞれ挿入させる。
そして、移動部173は、左右のアーム1732を内側に移動させ、収容器163の切欠1632の左右両側面を外側から狭圧して収容器163を狭持する(ステップS206)。
【0202】
次に、移動部173は、奥行奥方向へ移動していたアーム1732を奥行手前方向へ移動させると、狭持している収容器163が奥行手前方向へ移動し、収容器163が台部1733上に載置された状態となる(ステップS207)。
【0203】
次に、制御部11は、移動部173の台部1733上に収容器163が載置されたことを検知すると、制御信号を移動部173および移動枠172へ出力する。
移動部173は、上記制御信号に基づいて、搬送装置40の待機場所の位置まで垂直方向(Z方向)に移動する(ステップS208)。
そして、移動枠172は、上記制御信号に基づいて、搬送装置40の待機場所の位置まで水平方向(X方向)に移動する(ステップS209)。
なお、移動部173と移動枠172の移動する順序は逆でもよいし、同時に移動してもよい。
【0204】
移動部173は、搬送装置40の待機位置まで移動すると、奥行手前方向へ一対のアーム1732を移動させる。
このとき、一対のアーム1732に狭持されている収容器163は、搬送装置40の積載部49上に載置される(ステップS210)。
一対のアーム1732は外側に移動して収容器163への狭圧を開放し、台部1733の側方の位置まで奥行奥方向へ移動する。
以上で、配送物の出庫動作は終了する。
【0205】
図35は、本発明の第1の実施の形態における収容器163を積載した積載部49の一例を示す図である。
図に示すように、搬送装置40の積載部49に収容器163が積載されているときには、収容器163の底面の左右両側面側の切欠1632部分と、積載部49の積載面との間に、奥行方向に直方体状の一対のアーム挿入空間491(
図34の点線の円で示した部分)が形成される。
後述するが、移動部173が収容器163を回収する際、アーム1732がこのアーム挿入空間491に挿入され、収容器163を狭圧する。
【0206】
以上説明したように、収納装置10は、管理サーバ20から配送物の搬送要求を受信すると、配送物出入庫部17は、その配送物が入庫されている収納ボックス161の位置まで水平方向および垂直方向に移動してアーム1732を用いて配送物を取り出し、搬送装置40に受け渡す。
このため、作業員が、搬送要求されている配送物をわざわざ探し出し、取り出すといった煩雑な作業を削減することが可能となる。
また、配送物出入庫部17は、収納ボックス161の出入庫口1612の面と平行に設置されており、移動部173のアーム1732は、配送物の出庫するときには収納ボックス161側(または搬送装置40側)に移動する。一方、移動枠172が水平方向へ移動するとき、または移動部173が垂直方向へ移動するときには、アーム1732は台部1733の側方に移動する。
このため、アーム1732の可動域を特別に確保する必要がなく、収納装置10の設置スペースの省スペース化を実現することができる。
【0207】
(3)配送物の搬送動作
上述のとおり、収納装置10の配送物出入庫部17は、搬送要求された配送物を収納ボックス161から出庫し、その配送物を搬送装置40へ積載する。
図36,37は、本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる配送物の搬送動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、一例として、搬送装置40が収納ボックス161に収納されていた配送物を積載して、ユーザの指定した受取場所まで搬送する動作を説明する。
【0208】
上述のとおり、収納装置10の配送物出入庫部17は、収容器163ごと配送物を搬送装置40に積載するが、これと前後して、管理サーバ20の通信部23は、上記ユーザ端末30から受信した搬送要求情報を、搬送要求情報に含まれる収納装置IDで特定される収納装置10からの搬送を行う搬送装置40へ送信する(ステップS301)。
【0209】
搬送装置40の通信部43は、上記搬送要求情報を管理サーバ20から受信すると、制御部41は、積載部49上に収容器163が積載されたことを検知したか否かを判断する(ステップS302)。
ここで、制御部41は、積載部49上に収容器163がまだ積載されていないと判断した場合には(ステップS302/No)、そのまま収容器163の積載に備えて待機する。
例えば、制御部41は、この後所定時間ごとに積載部49上に収容器163が積載されたことを検知したか否かを判断する(ステップS302)。
【0210】
一方、制御部41は、積載部49上に収容器163が積載されたと判断した場合には(ステップS302/Yes)、上記受信した搬送要求情報から搬送先の位置情報を抽出して走行部46に対して当該位置情報の位置まで移動する旨の制御信号を出力し、搬送装置40は、搬送先の位置まで移動する(ステップS303)。
【0211】
制御部41は、走行情報、地図情報および経路情報を参照して、搬送装置40の現在位置を特定することができる。
制御部41は、搬送装置40が受取場所(例えばユーザの居住空間の玄関前)まで到達したことを検出すると(ステップS304)、通信部43は受取場所の位置に到着した旨の到着情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS305)。
この到着情報には、直接的または間接的に搬送先のユーザのユーザ端末30を特定するための情報が含まれる。
例えば、到着情報には、搬送先のユーザのユーザ端末30の通知先情報が含まれてもよいし、個々の搬送作業を特定する搬送履歴番号が含まれてもよい。
【0212】
管理サーバ20の通信部23は到着情報を搬送装置40から受信すると、制御部21は、到着情報に基づいて(必要であればユーザDB221を参照し)、その搬送先のユーザのユーザ端末30の通知先情報を特定する(ステップS306)。
【0213】
次に、通信部23は、配送物が到着したことを示す到着通知を、上記連絡先情報で特定された、搬送先のユーザのユーザ端末30へ送信する(ステップS307)。
【0214】
ユーザ端末30の通信部33は、上記到着通知を管理サーバ20から受信すると、表示部34はその到着通知に含まれる「受取場所に搬送装置40が到着し、配送物の受取りが可能となった」旨のメッセージを表示する(ステップS308)。
このとき、ユーザ端末30は、到着通知を受信したことをユーザに報知するために音声を出力してもよい。
【0215】
また、この到着通知のメッセージには、「対面」または「置き配」の受取方法が示される。
ユーザは、そのメッセージを視認して、自身が申込んだ搬送サービスにおいて、搬送装置40が自身宛の配送物を保持して受取場所に到着したことを把握すると、例えばユーザの居住空間の玄関先等の受取場所へ移動する。
【0216】
次に、受取場所に到着した搬送装置40の制御部41は、管理サーバ20から受信済みの搬送要求情報を参照し、ユーザが選択した受取方法が「対面」であるか否かを判断する(ステップS309)。
ここで、制御部41は、受取方法が「対面」であると判断した場合には(ステップS309/Yes)、計時を開始し、所定時間そのまま待機する。
【0217】
ユーザはその受取場所へ到着すると、そこに待機している搬送装置40の積載部49に積載されている配送物を取り出して受取る。
ここで、ユーザが搬送装置40の操作部45を操作する等して、配送物を受取った旨の受取情報を上記計時の開始から所定時間内に入力すると、制御部41は、ユーザによる配送物の受取りがあったことを検知し、「対面」による搬送が終了したと判断する。
受取情報の入力方法については、ユーザが操作部45の所定のキーを押下することにより実現されてもよいし、ユーザが配送物を取り出したとき、積載部49に設けられている赤外線センサまたは重量センサが配送物の取出しを検知することによりユーザによる情報の入力無しに自動的に行われるようにしてもよい。
【0218】
一方で、受取方法が「対面」であって、制御部41が上記計時の開始から所定時間を超えてもなおユーザによる配送物の受取を検知しなかった場合にも、「対面」による搬送が終了したと判断する。
【0219】
次に、制御部41は、「対面」による搬送が終了したか否かを判断する(ステップS310)。
当該「対面」による搬送の終了とは、受取情報の入力があり、ユーザが配送物を受取った場合と、上記所定時間を超えて経過した時点でユーザが配送物を受取っていない場合との両方を含む。
制御部41は、「対面」による搬送がまだ終了していないと判断した場合には(ステップS310/No)、ステップS310の処理を繰り返す。
【0220】
制御部41は、「対面」による搬送が終了したと判断した場合には(ステップS310/Yes)、その旨を示す搬送終了情報を生成し、通信部43はその搬送終了情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS311)。
この搬送終了情報には、その終了した搬送作業を特定する搬送履歴番号と、ユーザによる配送物の受取りの有無を示す情報とが含まれる。
【0221】
管理サーバ20の通信部23は、上記搬送終了情報を搬送装置40から受信すると、制御部21は、搬送終了情報に含まれる搬送履歴番号を抽出し、当該抽出した搬送履歴番号で特定される搬送作業について、配送物の受取完了の履歴または受取未完了の履歴を情報格納部22に格納されている搬送作業DB225に登録する(ステップS312)。
【0222】
次に、搬送装置40は、収納装置10の設置場所近傍の待機場所へと戻る(ステップS313)。
以上で、受取方法が「対面」であった場合の配送物の搬送動作が終了する。
上述したように、搬送装置40は、ユーザが配送物を受取った場合、受取らなかった場合によらず、収納装置10の設置場所近傍の待機場所へ戻る。
【0223】
ここで、ステップS309に戻って、制御部41は、受取方法が「対面」ではなく「置き配」であると判断した場合には(ステップS309/No)、制御部41は、積載部49に配送物の荷降ろしを実行させる(ステップS314)。
この積載部49による荷降ろし機構については特に限定されない。
例えば、積載部49は、荷台を備えており、当該荷台を傾斜させて荷台上に積載されている収容器163から配送物を、ユーザが指定した「置き配」の受取場所の床に滑り下ろすことにより、配送物の荷降ろしを無人で行うようにしてもよい。
【0224】
次に、制御部41は、受取方法が「置き配」の搬送において、積載部49による配送物の荷降ろしが完了したことを検知すると(ステップS310/Yes)、「置き配」による搬送が終了したことを示す搬送終了情報を生成し、通信部43はその搬送終了情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS311)。
この配送物の荷降ろしの完了の検知方法は特に限定されないが、例えば、積載部49に設けられている赤外線センサまたは重量センサの検知結果に基づいて制御部41が配送物の荷降ろしの完了を検知してもよいし、上記のように荷降ろしのために荷台を傾斜させる場合には、その傾斜動作を行ったことにより、荷降ろしが完了したと検知するようにしてもよい。
【0225】
その後の動作については、受取方法が「対面」による搬送の場合と同様であるので省略する(ステップS312,S313)。
以上で、受取方法が「置き配」であった場合の配送物の搬送動作が終了する。
このように受取方法が「置き配」の場合には、搬送装置40は、ユーザによる配送物の受取りを待たずに配送物を荷降ろしし、収納装置10の配送物の受渡し位置に自動で戻る。
【0226】
以上説明したように、搬送装置40は、搬送要求情報を管理サーバ20から受信すると、無人で配送物の受取場所まで移動し、配送物の搬送を行う。
このため、ユーザは、収納装置10に入庫された自身宛の配送物を自ら取りに行くことなく、自身の居住区間近くで簡単に受取ることが可能となる。
【0227】
(4)収容器の返却動作
上述のとおり、搬送装置40は、収納装置10から出庫された配送物を、指定された受取場所まで搬送してユーザに受け渡し、その後、収納装置10近傍の待機場所まで戻る。
図38は、本発明の第1の実施の形態における配送物受渡システムによる収容器163の返却動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、一例として、搬送装置40が持ち帰った収容器163を収納装置10が収納ボックス161に戻す動作を説明する。
【0228】
搬送装置40の制御部41は、搬送装置40が収納装置10近傍の待機場所(積載場所)に到着したと認識すると、搬送装置40が待機場所に戻って来たことを示す帰還情報を生成し、通信部43は、当該生成された帰還情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS401)。
この帰還情報には、待機場所まで戻って来た搬送装置40を特定する搬送装置IDが含まれる。
【0229】
管理サーバ20の通信部23は、上記帰還情報を搬送装置40から受信すると、搬送装置DB224における該当する搬送装置40について「待機」のステータスを登録する(ステップS402)。
【0230】
次に、制御部21は、搬送装置DB224を参照して該当する搬送装置40に対応付けられている収納装置10(の収納装置ID)を特定するとともに、当該搬送装置40が積載している収容器163が収納されていた収納ボックス161のボックス番号を特定する(ステップS403)。
【0231】
次に、通信部23は、搬送装置40から収容器163を回収することを要求する旨の回収要求情報を上記特定された収納装置10へ送信する(ステップS404)。
この回収要求情報には、上記特定されたボックス番号と、収容器163を積載する搬送装置40の搬送装置IDとが含まれる。
【0232】
収納装置10の通信部13は、上記回収要求情報を受信すると、制御部11は、収納ボックスDB122を参照し、当該回収要求情報に含まれるボックス番号に基づいて当該収納ボックス161の位置情報を抽出する。
さらに、制御部11は、搬送装置DB124を参照し、同じく回収要求情報に含まれる搬送装置IDに基づいて当該搬送装置40の待機場所の位置情報を抽出する。
そして、制御部11は、上記抽出した収納ボックス161の位置情報と、搬送装置40の待機場所の位置情報とに基づいて、配送物出入庫部17に対し、搬送装置40から収容器163の回収を行う制御信号を出力する(ステップS405)。
この制御信号には、収容器163を戻す収納ボックス161の位置情報と、搬送装置40の待機場所の位置情報とが含まれる。
【0233】
配送物出入庫部17は、上記制御信号が入力されると、当該制御信号に含まれる位置情報に基づいて、移動枠172が水平方向へ移動し、移動部173が垂直方向へ移動して、移動部173は、搬送装置40の待機場所の位置まで移動する(ステップS406)。
【0234】
上述のとおり、搬送装置40の積載部49に収容器163が積載されているときには、収容器163の底面の左右両側面側の切欠1632部分と、積載部49の積載面との間に、奥行方向に直方体状の一対のアーム挿入空間491が形成されている。
【0235】
移動部173は、搬送装置40の待機位置まで移動すると、奥行手前方向へ一対のアーム1732を移動させ、左右のアーム挿入空間491に左右のアーム1732をそれぞれ挿入する。
そして、移動部173は、左右のアーム1732を内側に移動させ、収容器163の切欠1632の左右両側面を外側から狭圧して収容器163を狭持する(ステップS407)。
【0236】
次に、移動部173は、奥行手前方向へ移動していたアーム1732を奥行奥方向へ台部1733の側方の位置まで移動させると、狭持している収容器163が奥行奥方向へ移動し、収容器163が積載部49から台部1733上に移動し載置された状態となる(ステップS408)。
【0237】
次に、制御部11は、移動部173に収容器163が載置されたことを検知すると、制御信号を移動部173および移動枠172へ出力する。
移動部173は、上記制御信号に含まれる収納ボックス161の位置情報に基づいて、返却する収納ボックス161の位置まで垂直方向(Z方向)に移動する(ステップS409)。
そして、移動枠172は、上記収納ボックス161の位置情報に基づいて、返却する収納ボックス161の位置まで水平方向(X方向)に移動する(ステップS410)。
なお、移動部173と移動枠172の移動する順序は逆でもよいし、同時に移動してもよい。
【0238】
移動部173は、返却する収納ボックス161の位置まで移動すると、一対のアーム1732を収容器163を狭持したまま奥行奥方向へ移動させ、収容器163を該当する収納ボックス161内に入庫する(ステップS411)。
そして、移動部173は、左右のアーム1732を外側に移動して収容器163への狭圧を開放し、収容器163を該当する収納ボックス161内に残したままアーム1732を奥行手前方向へ台部1733の側方の位置まで移動させる。
以上で、収容器163の返却動作は終了する。
【0239】
搬送サービスにおいて、受取方法が「対面」であってユーザが配送物を搬送装置40から取り出した場合、または受取方法が「置き配」の場合には、配送物受渡システムは、配送物が収容されていない空の状態の収容器163を収納ボックス161に返却する。
収納装置10の制御部11は、このように空の収容器163が収納ボックス161に返却されたことを移動部173の載置センサおよび収納検知部164により認識しているときには、収納ボックスDB122における当該収納ボックス161の使用状況を「未使用」とし、これ以降の当該収納ボックス161への配送物の入庫を許可する。
【0240】
一方、搬送サービスにおいて、受取方法が「対面」であってユーザが配送物を受取らなかった場合には、配送物受渡システムは、配送物が収容されたままの状態で収容器163を収納ボックス161に返却する。
収納装置10の制御部11は、このように配送物が収容されたままの収容器163が収納ボックス161に返却されたことを移動部173の載置センサおよび収納検知部164により認識しているときには、収納ボックスDB122における当該収納ボックス161の使用状況を「使用中」のまま変更せず、これ以降の当該収納ボックス161への配送物の入庫を禁止する。
その後、ユーザは、ユーザ端末30を用いて再度搬送サービスを要求するか、または自身で収納装置10まで配送物を取りに行くことができる。
また、管理サーバ20は、ユーザ宛の配送物の受取りを促す通知をユーザ端末30へ送信するようにしてもよい。
【0241】
以上説明したように、収納装置10は、管理サーバ20から収容器163の回収要求情報を受信すると、配送物出入庫部17は、その収容器163を積載する搬送装置40の待機場所の位置まで水平方向および垂直方向に移動してアーム1732を用いて収容器163を搬送装置40から受取り、該当する収納ボックス161の位置まで移動し、再度アーム1732を用いて当該収納ボックス161に収容器163を返却する。
このため、作業員が、収容器163が元々入庫されていた収納ボックス161をわざわざ探し、収容器163を収納ボックス161に再入庫(返却)するといった煩雑な作業を削減することが可能となる。
【0242】
(5)配送物のユーザへの受渡し動作
ユーザは、上述のように搬送サービスを利用して、収納装置10に入庫されたユーザ宛の配送物を、自身の居住空間まで搬送させて受取ることができるが、これに加えて、ユーザが収納装置10の設置場所へ自ら移動し、その場で配送物を受取ることもできる。
【0243】
図39,40は、本発明の第1の実施の形態において、ユーザが収納装置10の設置場所で配送物を受取る際の、配送物受渡システムによる配送物の出庫動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、一例として、収納装置10が収納ボックス161に収納されている配送物を出庫してユーザへ受け渡す動作を説明する。
【0244】
ユーザは、自身宛の配送物を受取るため、当該配送物が入庫されている収納装置10の設置場所を訪れる。
ユーザは、収納装置10の背面側の操作部15を操作して、自身宛の配送物の出庫を要求する情報とともに、自身を特定する認証情報を入力する(ステップS501)。
ここで入力される認証情報は特に限定されず、例えば、自身の固有のID、またはIDとパスワード等の暗証情報の組み合わせであってもよい。
上記自身の固有のIDとして、ユーザID、またはユーザが居住(利用)する空間の情報、例えば部屋番号をユーザが入力してもよい。
以下、本実施の形態では、一例として部屋番号とパスワードが入力されたものとする。
認証情報の入力方法もまた特に限定されず、例えば、操作部15に設けられているキーやボタンを操作することにより入力してもよいし、認証情報が記憶された媒体(例えば、ICカードや携帯端末)から無線を介して収納装置10に入力するようにしてもよい。
【0245】
収納装置10の制御部11は、上記認証情報がユーザにより入力されると、当該入力された認証情報と、ユーザDB121に登録済みの認証情報とを照合し、認証処理を実行し、当該認証が成功したか否かを判断する(ステップS502)。
ここで、制御部11は、認証失敗と判断した場合には(ステップS502/No)、ユーザへの配送物の受渡しを許可せず、このまま動作を終了する。
【0246】
一方、制御部11は、認証が成功したと判断した場合には(ステップS502/Yes)、収納ボックスDB122を参照し、上記入力された部屋番号に基づいて、当該部屋番号のユーザ宛の配送物が入庫されている収納ボックス161(のボックス番号)を特定する(ステップS503)。
【0247】
次に、制御部11は、情報格納部12に格納されている「受取場所の位置情報」を抽出するとともに、搬送装置DB124を参照して現在「待機中」の搬送装置40の「待機場所の位置情報」を抽出し、「受取場所の位置情報」に重なる位置に現在待機している搬送装置40があるか否かを判断する(ステップS504)。
【0248】
制御部11は、「受取場所の位置情報」に重なる位置に現在待機している搬送装置40があると判断した場合には(ステップS504/Yes)、その位置に待機している搬送装置40を退避させる退避要求情報を生成し、通信部13はその生成された退避要求情報を該当する搬送装置40へ送信する(ステップS505)。
【0249】
搬送装置40の通信部43は上記退避要求情報を収納装置10から受信すると、制御部41は、搬送装置DB424を参照して当該搬送装置40の退避場所の位置情報を抽出し、走行部46は、当該抽出された退避場所の位置情報に基づいて、搬送装置40が当該退避場所へ移動するよう走行する(ステップS506)。
【0250】
搬送装置40の制御部41は上記搬送装置40自身が待機場所から退避場所へと移動したことを認識すると、通信部43は、その旨の情報を収納装置10へ送信する(ステップS507)。
【0251】
収納装置10の通信部13は上記搬送装置40が待機場所から退避場所へと移動した旨の情報を搬送装置40から受信すると、制御部11は、搬送装置DB124における当該搬送装置40の作業状況を「待機中」から「退避中」に変更する(ステップS508)。
【0252】
図41は、本発明の第1の実施の形態におけるユーザの受取場所と搬送装置40の待機場所の一例を示す図である。
図の例では、2機の搬送装置40A,40Bの待機場所と、ユーザの受取場所との位置関係が示されている。
搬送装置40Aの待機場所は受取場所と位置(領域)が重なっているので、ユーザが収納装置10において配送物を受取る際には、搬送装置40Aは、図に示す退避場所へ退避する。
一方、搬送装置40Bの待機場所は受取場所と位置(領域)が重なっていない。このため、搬送装置40Bは、ユーザが収納装置10において配送物を受取る際であっても退避せず、待機場所でそのまま待機する。
【0253】
次に、制御部11は、上記特定したボックス番号の収納ボックス161に入庫されている配送物の出庫を要求する出庫信号を配送物出入庫部17に出力する(ステップS509)。
この出庫信号には、当該収納ボックス161の位置情報と、ユーザの受取場所の位置情報とが含まれる。
ユーザの受取場所は、好ましくは配送物出入庫部17の近傍であり、収納ボックス161の開口した出入庫口1612側であることが好ましい。
【0254】
配送物出入庫部17は出庫信号が入力されると、移動枠172は、該当する収納ボックス161の位置まで水平方向(X方向)に移動する(ステップS510)。
次に、移動部173は、該当する収納ボックス161の位置まで垂直方向(Z方向)に移動する(ステップS511)。
なお、移動枠172と移動部173の移動する順序は逆でもよいし、同時に移動してもよい。
【0255】
移動部173は、出庫する配送物が収納されている収納ボックス161の位置まで移動すると、一対のアーム1732を奥行奥方向へ移動させ、収納ボックス161内の左右のアーム挿入空間1613に左右のアーム1732をそれぞれ挿入する。
そして、移動部173は、左右のアーム1732を内側に移動させ、収容器163の切欠1632の左右両側面を外側から狭圧して収容器163を狭持する(ステップS512)。
【0256】
次に、移動部173は、奥行奥方向へ移動していたアーム1732を奥行手前方向へ移動させると、狭持している収容器163が奥行手前方向へ移動し、収容器163が台部1733上に載置された状態となる(ステップS513)。
【0257】
次に、制御部11は、移動部173に収容器163が載置されたことを検知すると、制御信号を移動部173および移動枠172へ出力する。
移動部173は、上記制御信号に基づいて、ユーザによる配送物の受取位置まで垂直方向(Z方向)に移動する(ステップS514)。
そして、移動枠172は、上記制御信号に基づいて、ユーザによる配送物の受取位置まで水平方向(X方向)に移動する(ステップS515)。
なお、移動部173と移動枠172の移動する順序は逆でもよいし、同時に移動してもよい。
【0258】
移動部173は、ユーザによる配送物の受取位置まで移動すると停止し、ユーザが収容器163から配送物を取り出すために待機する。
ここで、移動部173は、所定時間(例えば3分間)待機してもよいし、台部1733に設けられた載置センサ等により、台部1733上の収容器163から配送物が取り出されて台部1733上に収容器163のみとなり、台部1733上の物体の総重量が減少するまで待機するようにしてもよい。
また、移動部173は、ユーザに配送物を受け渡すために単に待機するだけでなく、ユーザが配送物を受取り易くするために、一対のアーム1732が収容器163を狭持したまま奥行手前方向へ移動して、収容器163を台部1733より手前の位置に移動させるようにしてもよい。
この場合は、移動部173の待機状態が終了すると、一対のアーム1732が収容器163を狭持したまま奥行奥方向へ移動して収容器163を台部1733上に再度載置する。
【0259】
その後、移動部173および移動枠172は移動し、該当する収納ボックス161に収容器163を返却する(ステップS516)。
このステップS516における収容器163の返却動作は、ステップS409~S411の動作と同様であるので、その詳細は省略する。
【0260】
次に、制御部11は、その返却された収容器163内の配送物が取り出されたことを移動部173の載置センサ等により検出して、収納ボックスDB122における当該収納ボックス161の使用状況を「未使用」に変更して登録する(ステップS517)。
この配送物が取り出された収納ボックス161は、これ以降、再度配送物の入庫が可能となる。
【0261】
ユーザは、配送物出入庫部17から配送物を受取った後、背面側の操作部15のキーを操作する等して、受取完了を示す受取完了情報を入力する(ステップS518)。
【0262】
制御部11が上記受取完了情報の入力を認識すると、通信部13は、受取完了情報を退避中の搬送装置40へ送信する(ステップS519)。
【0263】
搬送装置40の通信部43が上記受取完了情報を収納装置10から受信すると、制御部41は、走行部46について搬送装置40が現在の退避場所から待機場所へ戻るよう制御する(ステップS520)。
【0264】
搬送装置40の制御部41は上記搬送装置40自身が待機場所へ戻ったことを認識すると、通信部43は、その旨の情報を収納装置10へ送信する(ステップS521)。
【0265】
収納装置10の通信部13は上記搬送装置40が待機場所へ戻った旨の情報を搬送装置40から受信すると、制御部11は、搬送装置DB124における当該搬送装置40の作業状況を「退避中」から「待機中」に変更する(ステップS522)。
以上で、配送物のユーザへの受渡し動作は終了する。
【0266】
以上説明したように、収納装置10は、ユーザによる操作部15の操作により配送物の出庫が要求されると、配送物出入庫部17が該当する収納ボックス161から配送物を取り出し、収納装置10の設置場所の近傍において配送物をユーザに受け渡す。
このため、ユーザは、自身の居住空間の玄関先等の受取場所まで搬送装置40が搬送した配送物を受取る他、自ら収納装置10の設置場所を訪れて作業員等の手を煩わせることなく配送物を受け取ることができ、自身の都合に合わせて配送物の受取場所を自由に選択することが可能となる。
【0267】
配送物出入庫部17は、収納ボックス161の出入庫口1612の面と平行に設置されており、移動部173のアーム1732は、配送物の出庫するときには収納ボックス161側(またはユーザ側)に移動する。一方、移動枠172が水平方向へ移動するとき、または移動部173が垂直方向へ移動するときには、アーム1732は台部1733の側方に移動する。
このため、アーム1732の可動域を特別に確保する必要がなく、収納装置10の設置スペースの省スペース化を実現することができる。
【0268】
(6)配送物のユーザへの受渡し動作の変形例
以上説明した例では、配送物出入庫部17は、搬送装置40が待機していない受取場所へ配送物を移動し、その場でユーザに配送物を受け渡していたが、これに代えて、待機場所に待機している搬送装置40の積載部49に収容器163を積載し、ユーザがその収容器163に収容されている自身宛の配送物を受取るようにしてもよい。
【0269】
図42は、本発明の第1の実施の形態の変形例において、ユーザが収納装置10の設置場所で配送物を受取る際の、配送物受渡システムによる配送物の出庫動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、ユーザが収納装置10に収容されている自身宛の配送物を直接受取る際に、配送物出入庫部17が待機中の搬送装置40に配送物を積載する場合の配送物受渡システムによる動作について説明する。
以下、特記しない限り、本変形例の動作は、上述の「(5)配送物のユーザへの受渡し動作」と同様であるとして説明を進める。
【0270】
ユーザは、自身宛の配送物を受取るため、当該配送物が入庫されている収納装置10の設置場所を訪れる。
ユーザは、収納装置10の背面側の操作部15を操作して、自身を特定する認証情報を入力する(ステップS551)。
【0271】
収納装置10の制御部11は、上記認証情報がユーザにより入力されると、当該入力された認証情報と、ユーザDB121に登録済みの認証情報とを照合し、認証処理を実行し、当該認証が成功したか否かを判断する(ステップS552)。
ここで、制御部11は、認証失敗と判断した場合には(ステップS552/No)、ユーザへの配送物の受渡しを許可せず、このまま動作を終了する。
【0272】
一方、制御部11は、認証が成功したと判断した場合には(ステップS552/Yes)、収納ボックスDB122を参照し、上記入力された部屋番号に基づいて、当該部屋番号のユーザ宛の配送物が入庫されている収納ボックス161(のボックス番号)を特定する(ステップS553)。
【0273】
次に、制御部11は、情報格納部12に格納されている収納装置10近傍の「受取場所の位置情報」を抽出するとともに、搬送装置DB124を参照して現在「待機中」の搬送装置40があるか否かを判断する(ステップS554)。
【0274】
制御部11は、「待機中」の搬送装置40があると判断した場合には(ステップS554/Yes)、その「待機中」の搬送装置40から1つを決定し、各データベースを参照して、その決定した搬送装置40の待機場所の位置情報と、特定した収納ボックス161の位置情報を抽出し、これら位置情報を含み、上記特定したボックス番号の収納ボックス161に入庫されている配送物の出庫を要求する出庫信号を生成し、配送物出入庫部17に出力する。
【0275】
移動枠172および移動部173は、その出庫信号にしたがって、当該配送物を収容器163ごと出庫し、上記決定した搬送装置40の積載部49にその配送物が収容されている収容器163を積載する(ステップS555)。
このステップS555の動作は、ステップS202~S209の動作と同様である。
このとき、制御部11は、搬送装置DB124における当該搬送装置40の作業状況を「待機中」から「搬送中」に変更してもよい。
【0276】
ユーザは、その搬送装置40の積載部49に積載されている配送物を取り出して、配送物を受取る。
ここで、例えば、ユーザは、背面側の操作部15を操作して、配送物の受取りが完了したことを入力する。
【0277】
制御部11は、上記ユーザによる操作部15の操作等により、ユーザによる配送物の受取が完了したことを認識すると、配送物出入庫部17に制御信号を出力し、移動部173および移動枠172はその制御信号に従って移動し、該当する収納ボックス161に収容器163を返却する(ステップS557)。
このステップS557における収容器163の返却動作は、ステップS516の動作と同様である。
【0278】
次に、制御部11は、その返却された収容器163内の配送物が取り出されたことを移動部173の載置センサにより検出して、収納ボックスDB122における当該収納ボックス161の使用状況を「未使用」に変更して登録する(ステップS558)。
この配送物が取り出された収納ボックス161は、これ以降、再度配送物の入庫が可能となる。
このとき、制御部11は、搬送装置DB124における当該搬送装置40の作業状況が「搬送中」である場合は「搬送中」から「待機中」に変更する。
【0279】
ここで、ステップS554の動作に戻り、制御部11は、「待機中」の搬送装置40がないと判断した場合には(ステップS554/No)、収納ボックスDB122を参照して、その特定した収納ボックス161の位置情報を抽出し、当該収納ボックス161の位置情報と、上記抽出した収納装置10近傍の「受取場所の位置情報」を含み、上記特定したボックス番号の収納ボックス161に入庫されている配送物の出庫を要求する出庫信号を配送物出入庫部17に出力する。
【0280】
移動枠172および移動部173は、その出庫信号にしたがって、当該配送物を収容器163ごと出庫し、上記出庫信号に含まれる受取場所の位置情報に基づいて、当該収納装置10近傍の受取場所の位置までその配送物が収容されている収容器163を運ぶ(ステップS556)。
このステップS556の動作は、ステップS509~S515の動作と同様である。
このとき、制御部11は、搬送装置DB124における当該搬送装置40の作業状況を「待機中」から「搬送中」に変更してもよい。
【0281】
ユーザは、移動部173に載置されている配送物を受取る。
ここで、例えば、ユーザは、背面側の操作部15を操作して、配送物の受取りが完了したことを入力する。
【0282】
制御部11は、上記ユーザによる操作部15の操作等により、ユーザによる配送物の受取が完了したことを認識すると、移動部173および移動枠172はその制御信号に従って移動し、該当する収納ボックス161に収容器163を返却する(ステップS557)。
【0283】
次に、制御部11は、その返却された収容器163内の配送物が取り出されたことを移動部173の載置センサにより検出して、収納ボックスDB122における当該収納ボックス161の使用状況を「未使用」に変更して登録する(ステップS558)。
このとき、制御部11は、搬送装置DB124における当該搬送装置40の作業状況が「搬送中」である場合は「搬送中」から「待機中」に変更する。
以上で、配送物のユーザへの受渡し動作は終了する。
【0284】
以上説明したように、本実施の形態の変形例においては、搬送装置40が収納装置10近傍で待機しているときには、配送物出入庫部17は、配送物を収容した収容器163をその搬送装置40の積載部49に積載して、配送物をユーザに受け渡す。
このため、搬送装置40による受取場所からの退避動作は不要となり、動作を簡略化し、効率よくユーザに配送物を受け渡すことが可能となる。
【0285】
(第1の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、ユーザがユーザ端末30を用いて収納装置10に収納されている自身宛の配送物の搬送を要求すると、収納ボックス161の背面側の出入庫口1612と略平行な位置に設置されている配送物出入庫部17は、該当する収納ボックス161から配送物を出庫し、収納装置10近傍で待機中の搬送装置40に配送物を積載する。
搬送装置40は、積載した配送物を、ユーザが指定した受取場所まで搬送し、受け渡す。
したがって、本実施の形態によれば、配送物の搬送作業を円滑に行い、そのコストの削減を実現することが可能となる。
より具体的には、本実施の形態においては、ユーザから配送物の搬送を要求されたとき、収納装置10から配送物を取り出すための作業者を収納装置10近傍に配置する必要がなく、配送物の搬送作業を効率よく行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、配送物を搬送する搬送装置40個々に、配送物の出入庫を行うための特別な構成を設けることが不要であるため、搬送装置40個々の構成の複雑化を抑制し、製造コストを削減することが可能となる。
【0286】
また、本実施の形態によれば、配送物出入庫部17を構成する移動枠172および移動部173は、収納ボックス161の出入庫口1612に略平行な面上において互いに直交した経路上をそれぞれ移動して配送物の出入庫を行う。
したがって、配送物出入庫部17は、最小限の稼動スペースで配送物の出入庫を行うことができ、配送物出入庫部17の広範な設置スペースを確保することが不要となる。
また、移動枠172および移動部173は、それぞれ直線的にしか移動しないため、それぞれの駆動機構を簡易な構成で実現することができる。
【0287】
また、本実施の形態によれば、配送物は収容器163に収容された状態で収納ボックス161内で保管され、配送物出入庫部17は、配送物を収容器163に収容された状態で出入庫を行う。
したがって、配送物出入庫部17は、配送物の形状によらず、スムーズに配送物の出入庫を行うことが可能となる。
【0288】
また、本発明の実施の形態によれば、移動部173は一対のアーム1732を備え、これら一対のアーム1732を奥行方向の奥または手前に移動して配送物を狭持して配送物の出入庫を行い、移動枠172または移動部173が移動中は上記アーム1732は移動部173本体側方に位置するよう収まる。
したがって、配送物出入庫部17は、最小限の稼動スペースで配送物の出入庫を行うことができ、配送物出入庫部17の広範な設置スペースを確保することが不要となる。
【0289】
また、本発明の実施の形態によれば、収納装置10は、収納ボックス161に配送物が入庫している間に加え、搬送装置40が配送物の搬送作業を行っている間も、当該収納ボックス161に対し配送物を入庫することを規制している。
したがって、搬送装置40が搬送作業から戻ってきた際に、その収納ボックス161に配送物が新たに入庫されているために収容器163を収納ボックス161に返却することができないといった不具合が生じることを未然に防ぐことが可能となる。
【0290】
(第1の実施の形態の変形例)
本発明の第1の実施の形態において、収納装置10による動作の一部は、収納装置10の外部装置、例えば、以下のとおり、管理サーバ20が収納装置10に代えて実行することができる。
【0291】
ステップS310,311において、搬送装置40が受取完了情報を管理サーバ20へ送信していたが、この他の機器が送信するようにしてもよい。
例えば、受取方法が「対面」の場合であれば、ユーザは、ユーザ端末30の操作部35を操作することにより受取情報を入力し、ユーザ端末30の通信部33が受取完了情報を管理サーバ20へ送信するようにしてもよい。
【0292】
本実施の形態では、認証情報が入力されると、収納装置10が認証処理を行っていたが、これに代えて、収納装置10は、認証情報を管理サーバ20へ送信し、管理サーバ20の制御部21が情報格納部22に格納されているユーザDB221のユーザの情報等を参照して認証を行い、その認証結果を収納装置10へ送信してもよい。
【0293】
上記の収納装置10、管理サーバ20、ユーザ端末30および搬送装置40の機能の一部は、主にCPUとメモリにロードされたプログラムによって実現される。ただし、それ以外の任意のハードウェアおよびソフトウェアの組合せによってこの装置またはサーバを構成することも可能であり、その設計自由度の高さは当業者には容易に理解されるところである。
【0294】
また、上記の収納装置10、管理サーバ20、ユーザ端末30または搬送装置40の機能の一部をソフトウェアモジュール群として構成する場合、このプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録され、上記の記録媒体からロードされるようにしてもよいし、所定のネットワークを介して接続されている外部機器からロードされるようにしてもよい。
【0295】
なお、上記の実施の形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施の形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【0296】
<第2の実施の形態>
(第2の実施の形態の概要)
本発明の第2の実施の形態における配送物受渡システムは、何らかの不具合があっても、ユーザに配送物を提供可能な構成および動作が第1の実施の形態における配送物受渡システムに対して追加されている。
上記配送物受渡システムに発生する不具合としては下記の(1)~(3)がある。
(1)搬送要求が過多の場合における配送物の搬送不可
(2)配送物出入庫部17に障害が発生した場合における配送物の直接受取不可
(3)配送物出入庫部17に障害が発生した場合における配送物の搬送不可
以下、特記しない限り、本発明の第2の実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様であるとして、上記(1)~(3)の各不具合の解決方法について説明を進める。
【0297】
(第2の実施の形態の構成・動作)
(1)搬送要求が過多の場合における配送物の搬送不可
上述のとおり、管理サーバ20は、ユーザ端末30または収納装置10から搬送要求情報を受信すると、その搬送要求情報に含まれる情報を、利用履歴DB223および搬送作業DB225に登録する。
そして、搬送作業DB225では、いまだ開始されていない搬送作業については「待機中」として管理される。
【0298】
搬送装置40は搬送要求情報の登録順に搬送作業を行う。
「待機中」の搬送作業の数が多ければ多いほど、搬送装置40が搬送作業を開始するまでに時間を要する。
このため、配送物受渡システムに短期間に搬送要求が集中し、過多となった場合には、搬送装置40は、ユーザが指定した時間帯に配送物を搬送することが不可能となる。
この場合には、管理サーバ20は、搬送要求情報を送信したユーザ端末30に対し、「搬送装置40による搬送が不可能なため、ユーザが収納装置10の設置場所まで配送物を取りに来ること」を要請する旨の受取要請情報をユーザ端末30へ送信する。
【0299】
ユーザ端末30はその受取要請情報を受信すると、その受取要請情報を表示する。
その後、ユーザは、収納装置10の設置場所を訪れ、自身宛の配送物を取り出す。
このように、本実施の形態では、配送物受渡システムによる搬送作業能力を超えて搬送要求が過多となり、ユーザの指定した条件で配送物の搬送を行うことが不可能な場合であっても、その旨をユーザ側に通知し、収納装置10において配送物を直接受取ることをユーザに要請することにより、ユーザが配送物を受取ることができないという不具合を解消することが可能となる。
【0300】
第1の実施の形態で説明したように、管理サーバ20は、ユーザ端末30または収納装置10から搬送要求情報を受信すると、その搬送要求情報に含まれる情報を、利用履歴DB223および搬送作業DB225に登録する(ステップS112)。
そして、その後、管理サーバ20は、搬送要求情報を収納装置10へ送信して、収納装置10および搬送装置40などに対し、配送物の出庫動作および搬送動作等を実行させる(ステップS201~S210,S301~S313,S401~S411など)。
第2の実施の形態では、管理サーバ20は、搬送要求情報を受信したときに、未完了の搬送作業が所定数以上残っている場合には、配送物の搬送を取り止めて、直接の受渡しに変更することをユーザに促す。
【0301】
図43は、本発明の第2の実施の形態において、搬送要求が過多の場合の配送物受渡システムによる動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、当該動作の説明を進める。
【0302】
管理サーバ20の制御部21は、ユーザ端末30から搬送要求情報を受信すると、その搬送要求情報に含まれる情報を、利用履歴DB223および搬送作業DB225に登録する(ステップS601)。
当該ステップS601の動作は、前述のステップS112の動作と同様である。
【0303】
次に、制御部21は、搬送作業DB225を参照し、各収納装置10について現在「待機中」である搬送作業が所定数以上か否かを判断する(ステップS602)。
【0304】
ステップS602において、制御部21は、各収納装置10について現在「待機中」である搬送作業が所定数未満であると判断した場合、すなわち、ステップS601において登録された搬送要求情報の搬送作業を開始するまでさほど時間を要しないと判断した場合には(ステップS602/No)、通信部23は、制御部21による制御の下、搬送要求情報を該当する収納装置10へ送信する(ステップS603)。
当該ステップS603の動作は、前述のステップS201の動作と同様である。
その後の配送物の出庫動作および搬送動作等は、前述のステップS202~S210,S301~S313の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0305】
一方、ステップS602において、制御部21は、各収納装置10について現在「待機中」である搬送作業が所定数以上であると判断した場合、すなわち、ステップS601において登録された搬送要求情報の搬送作業を開始するまで多大な時間を要すると判断した場合には(ステップS602/Yes)、制御部21は、ユーザに対し配送物を収納装置10の設置場所まで直接受取りに来ることを要請する受取要請情報を生成する(ステップS604)。
【0306】
受取要請情報は、例えば、「搬送作業までに多大な時間を要するため配送物の搬送が不可能であり、収納装置10の設置場所まで配送物を取りに来ること」をユーザに要請するメッセージを含む。
【0307】
さらに、制御部21は、現在「待機中」の搬送作業に要する作業時間である搬送作業時間を計算し、その計算した搬送作業時間を受取要請情報に含めるようにしてもよい。
搬送作業時間の計算方法については特に限定しないが、例えば、制御部21は、経路DB227などを参照し、「待機中」の搬送作業の経路の距離および/またはエレベータによる移動階数などや搬送装置40の走行速度などに基づいて、各「待機中」の搬送作業の往復の作業時間を計算し、該当する1以上の「待機中」の搬送作業の往復の作業時間を合算することによって搬送作業時間を算出してもよい。
【0308】
次に、制御部21は、ステップS601において搬送作業DB225に登録された搬送要求情報の登録を抹消する(ステップS605)。
この登録が抹消された搬送要求情報の搬送作業は実行されない。
【0309】
次に、通信部23は、制御部21による制御の下、上記生成された受取要請情報を該当するユーザ端末30へ送信する(ステップS606)。
【0310】
ユーザ端末30の通信部33は、上記受取要請情報を受信すると、表示部34はその受取要請情報を表示する(ステップS607)。
ユーザは、その表示された受取要請情報の内容を確認し、その後、収納装置10の設置場所まで移動し、自身宛の配送物を取り出す。
以上で、搬送要求が過多の場合の動作を終了する。
【0311】
以上説明したように、本実施の形態では、搬送装置40による搬送要求の数が過多のためにユーザの指定した時刻までに配送物の搬送が不可能な場合であっても、管理サーバ20は、その旨をユーザ側のユーザ端末30に対して通知するので、ユーザは自身が希望する時期に確実に配送物を受取ることが可能となる。
【0312】
上述したステップS602では、管理サーバ20の制御部21は、各収納装置10について現在「待機中」である搬送作業が所定数以上か否かを判断することにより、搬送要求が過多になっているか否かを判断していたが、その他の方法により搬送要求が過多になっているか否かを判断するようにしてもよい。
例えば、制御部21は、上記搬送作業時間を計算し、当該計算した搬送作業時間が所定時間以上であれば、搬送要求が過多と判断し、所定時間未満であれば過多ではないと判断するようにしてもよい。
【0313】
また、制御部21は、上記搬送作業時間を計算し、現時刻から当該計算した搬送作業時間が経過した時刻が、ユーザが搬送を指定した時刻よりも所定時間未満だけ前であれば、搬送要求が過多と判断し、所定時間以上前であれば過多ではないと判断するようにしてもよい。
【0314】
また、本実施の形態では、制御部21は、「収納装置10」単位で搬送要求の過多を判断していたが、「搬送装置40」単位で判断するようにしてもよい。
【0315】
また、本実施の形態では、管理サーバ20が受取要請情報をユーザ端末30へ送信し、配送物の搬送を取り止め、収納装置10における直接受取りを要請していたが、配送作業を取り止めるのではなく、制御部21がユーザの指定した時刻よりも実際に搬送する時期が遅れる旨のメッセージを含む遅延通知を生成し、通信部23が当該遅延通知をユーザ端末30へ送信するようにしてもよい。
この場合、制御部21は、上記搬送作業時間を計算し、現時刻に当該搬送作業時間を加算した「ユーザ宛の配送物の搬送の開始予定時刻」を含む上記遅延通知を生成する。
また、この場合、制御部21は、登録された搬送要求情報を抹消しない。
ユーザ端末30は、上記遅延通知を受信すると、当該遅延通知の内容を表示する。
ユーザは、その遅延通知において表示された「搬送の開示予定時刻」まで搬送が遅延することを確認することができる。
【0316】
(2)配送物出入庫部17に障害が発生した場合における配送物の直接受取不可
第1の実施の形態において説明したとおり、ユーザは、収納装置10の背面側の操作部15を操作して配送物出入庫部17に自身宛の配送物を出庫させ、その場で配送物を受取ることができる。
しかしながら、配送物出入庫部17が故障等により正常に動作しない場合には、配送物を収納部16から出庫できず、配送物を受取ることができない。
本発明の第2の実施の形態では、このように配送物出入庫部17に障害が発生している場合には、ユーザは、配送物出入庫部17が設置されていない正面側から自身宛の配送物を取り出すことができる。
【0317】
本発明の第2の実施の形態では、収納装置10の制御部11は、配送物出入庫部17に障害が発生しているか否かを判断するが、その判断するための構成は電子機器で一般に用いられる方法でもよく、特に限定しない。
例えば、制御部11は、制御信号を配送物出入庫部17へ出力し、配送物出入庫部17から応答信号が返ってきた場合には、配送物出入庫部17が正常に動作可能であると判断し、正常に返ってこなかった場合には、配送物出入庫部17に障害が発生したと判断する。
【0318】
また、制御部11は、配送物を収納ボックス161から出庫するための制御信号を配送物出入庫部17へ出力してから所定時間経過後に、当該収納ボックス161の収納検知部164が収納空間1611内に配送物を検知しない場合には、配送物出入庫部17が配送物を正常に出庫したと判断し、所定時間経過した後でも、当該収納ボックス161の収納検知部164が収納空間1611内に配送物を検知した場合には、正常ならば出庫されているはずの配送物が収納空間1611内にまだ残されており、配送物出入庫部17に障害が発生したと判断するようにしてもよい。
【0319】
図44は、本発明の第2の実施の形態において、配送物のユーザへの直接受渡し時に配送物出入庫部17に障害が発生している場合の配送物受渡システムによる動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、当該動作の説明を進める。
【0320】
まず、ユーザは、自身宛の配送物を受取るため、当該配送物が入庫されている収納装置10の設置場所を訪れる。
ユーザは、収納装置10の背面側の操作部15を操作して、自身宛の配送物の出庫を要求する情報とともに、自身を特定する認証情報を入力する(ステップS701)。
当該ステップS701の動作は、前述のステップS501の動作と同様である。
【0321】
収納装置10の制御部11は、上記認証情報がユーザにより入力されると、当該入力された認証情報と、ユーザDB121に登録済みの認証情報とを照合し、認証処理を実行し、当該認証が成功したか否かを判断する(ステップS702)。
ここで、制御部11は、認証失敗と判断した場合には(ステップS702/No)、ユーザへの配送物の受渡しを許可せず、このまま動作を終了する。
【0322】
一方、制御部11は、認証が成功したと判断した場合には(ステップS702/Yes)、配送物出入庫部17に障害が発生しているか否かを判断する(ステップS703)。
ここで、制御部11は、配送物出入庫部17に障害が発生していないと判断した場合には(ステップS703/No)、第1の実施の形態に示した通常の出庫動作(ステップS202~S210)と同様の動作を行う(ステップS704)。
【0323】
一方、制御部11は、配送物出入庫部17に障害が発生していると判断した場合には(ステップS703/Yes)、背面側の表示部14は、受取不可情報を表示する(ステップS705)。
例えば、その受取不可情報には、「配送物出入庫部17に障害が発生しているため、収納装置10の背面側で配送物を受取ることができない」旨のメッセージと、「収納装置10の正面側において配送物を受取ることを促す」旨のメッセージとが示されている。
ユーザは、上記受取不可情報から「背面側からは自身宛の配送物を受取ることができない」ことを確認し、収納装置10の正面側に移動する。
【0324】
次に、ユーザは、収納装置10の正面側の操作部15を操作して、自身宛の配送物の出庫を要求する情報とともに、自身を特定する認証情報を入力する(ステップS706)。
当該ステップS706の動作は、前述のステップS501の動作と同様である。
【0325】
収納装置10の制御部11は、上記認証情報がユーザにより入力されると、当該入力された認証情報と、ユーザDB121に登録済みの認証情報とを照合し、認証処理を実行し、当該認証が成功したか否かを判断する(ステップS707)。
ここで、制御部11は、認証失敗と判断した場合には(ステップS707/No)、ユーザへの配送物の受渡しを許可せず、このまま動作を終了する。
【0326】
一方、制御部11は、認証が成功したと判断した場合には(ステップS707/Yes)、収納ボックスDB122を参照し、上記入力された部屋番号に基づいて、当該部屋番号のユーザ宛の配送物が入庫されている収納ボックス161(のボックス番号)を特定する(ステップS708)。
【0327】
次に、制御部11は、上記特定したボックス番号の収納ボックス161の扉162を解錠する(ステップS709)。
ユーザは、その解錠された収納ボックス161の扉162を開扉し、収納空間1611内に収納されている自身宛の配送物を取出す。
【0328】
次に、制御部11は、その返却された収容器163内の配送物が取り出されたことを移動部173の載置センサ等により検出して、収納ボックスDB122における当該収納ボックス161の使用状況を「未使用」に変更して登録する(ステップS710)。
この配送物が取り出された収納ボックス161は、これ以降、再度配送物の入庫が可能となる。
以上で、配送物出入庫部17に障害が発生している場合の配送物のユーザへの受渡し動作は終了する。
【0329】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態では、収納装置10は、配送物出入庫部17に障害が発生していることを検知すると、ユーザに対し正面側での配送物の受取を促し、正面側において収納ボックス161を解錠するので、ユーザが自身宛の配送物を背面側で配送物出入庫部17を介し受取ることができなかった場合であっても、正面側において確実に受取ることが可能となる。
【0330】
なお、以上説明した第2の実施の形態では、収納装置10は正面側から配送物を出庫する旨のメッセージを表示したが、収納ボックス161の他の出入庫口を正面側以外に設け、当該他の出入庫口から出庫することを促すメッセージを表示するようにしてもよい。
【0331】
(3)配送物出入庫部17に障害が発生した場合における配送物の搬送不可
上述のとおり、収納装置10は配送要求を管理サーバ20を介してユーザ端末30から受け付けると、配送物出入庫部17は配送物を収納部16が出庫し、搬送装置40へ受け渡す。
そして、搬送装置40は、ユーザに指定された受取場所まで配送物を搬送する。
しかしながら、配送物出入庫部17が故障等により正常に動作しない場合には、配送物を収納部16から出庫できず、搬送作業も行うことができない。
本発明の第2の実施の形態では、このように配送物出入庫部17に障害が発生しているために配送物の搬送が不可能な場合には、ユーザは、その旨の通知を受けて搬送が不可能であることを容易に把握し、収納装置10の設置場所まで移動して、配送物出入庫部17が設置されていない正面側から自身宛の配送物を取り出すことができる。
【0332】
図45は、本発明の第2の実施の形態において、配送物の搬送がユーザにより要求された時に配送物出入庫部17に障害が発生している場合の配送物受渡システムによる動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、当該動作の説明を進める。
【0333】
配送業務担当者がユーザ宛の配送物を収納装置10に入庫すると、制御部11はその旨を検知する(ステップS801)。
ここまでは、第1の実施の形態における動作(ステップS101~S105)と同様である。
【0334】
制御部11は、上記配送物の入庫を検知後、配送物出入庫部17に障害が発生しているか否かを判断する(ステップS802)。
ここで、制御部11は、配送物出入庫部17に障害が発生していないと判断した場合には(ステップS802/No)、第1の実施の形態に示した通常の搬送要求の各動作(ステップS106~S112)と同様の動作を行う(ステップS803)。
【0335】
一方、制御部11は、配送物出入庫部17に障害が発生していると判断した場合には(ステップS802/Yes)、「収納装置10に当該ユーザ宛の配送物が入庫したこと」および「配送物出入庫部17に障害が発生しているため搬送装置40による搬送が不可能であること」を示す入庫情報を生成し、通信部13はその生成された入庫情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS804)。
【0336】
管理サーバ20の通信部23は、上記入庫情報を収納装置10から受信すると、制御部21は、収納ボックスDB122と同様に、収納ボックスDB222の「使用状況」の項目等を登録するとともに(ステップS805)、利用履歴DB123と同様に、利用履歴DB223に入庫履歴を登録する(ステップS805)。
次に、制御部21は、ユーザDB221を参照して上記配送業務担当者により入力されたユーザの部屋番号に対応付けられている通知先情報を抽出し、通信部23は、その通知先であるユーザ端末30に対して上記入庫情報を送信する(ステップS806)。
【0337】
ユーザ端末30の通信部33は入庫情報を管理サーバ20から受信すると、表示部34は当該入庫情報を表示する(ステップS807)。
ユーザ端末30は、上記入庫情報を受信したとき、着信音を出力し、ユーザに自身宛の配送物が収納装置10に入庫されたことを報知するようにしてもよい。
【0338】
ユーザは、ユーザ端末30に表示された入庫情報を確認し、自身宛の配送物が収納装置10に入庫されたが、搬送装置40による収納装置10からの配送物の搬送は不可能であることを把握する。
その後、ユーザは、収納装置10の設置場所へ移動し、収納装置10の正面側から自身宛の配送物を取出す。
この配送物の取出しに係る動作は、前述のステップS706~S710の動作と同様である。
以上で、配送物出入庫部17に障害が発生している場合における搬送不可の通知動作は終了する。
【0339】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態では、収納装置10は、配送物出入庫部17に障害が発生していることを検知すると、ユーザ宛の配送物が収納装置10に入庫されたこと、搬送装置40による搬送が不可能なことを示す入庫情報を管理サーバ20を介しユーザ端末30へ送信するので、ユーザが自身宛の配送物の搬送要求を行うことができなかった場合であっても、収納装置10の正面側において配送物を確実に受取ることが可能となる。
【0340】
(第2の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、配送物受渡システムは、収納ボックス161からの配送物の出庫や搬送等を正常に実行できない場合であっても、ユーザは自身宛の配送物を確実に受取ることができるようになっている。
【0341】
管理サーバ20は、「待機中」の搬送業務が所定数以上であると判断した場合には、配送物の搬送要求を行ったユーザのユーザ端末30に対して「搬送が不可能であるため収納装置10に配送物を直接受取りに来ることを促す」メッセージを送信するので、搬送作業が過多であるためユーザからの搬送要求に応えられない場合であってもユーザは自身宛の配送物を確実に受取ることが可能となる。
【0342】
収納装置10は、配送物出入庫部17に障害が発生したために、収納装置10の背面側において配送物の出庫が不可能である場合には、正面側から配送物を出庫するようユーザに促す表示を行うので、ユーザは、配送物出入庫部17の障害発生時であっても、自身宛の配送物を確実に受取ることが可能となる。
【0343】
収納装置10は、配送物が入庫されたときに配送物出入庫部17に障害が発生したと判断した場合には、当該障害発生のために配送物の搬送装置40による搬送が不可能な旨のメッセージを含む入庫情報を管理サーバ20を介してユーザ端末30へ送信するので、ユーザは、収納装置10の設置場所を訪れ、自身宛の配送物を確実に受取ることが可能となる。
【符号の説明】
【0344】
10 収納装置
11,21,31,41 制御部
12,22,32,42 情報格納部
13,23,33,43 通信部
14,34,44 表示部
15,35,45 操作部
16 収納部
17 配送物出入庫部
20 管理サーバ
30 ユーザ端末
40 搬送装置
100 ネットワーク
121,221 ユーザDB
122,222 収納ボックスDB
123,223 利用履歴DB
124,224,424 搬送装置DB
125,225 搬送作業DB
226,426 地
図DB
227,427 経路DB
161 収納ボックス
1611 収納空間
1612 出入庫口
1613,491 アーム挿入空間
162 扉
163 収容器
1631,1631a,1631b 壁体
1632 切欠
164 収納検知部
171 支持枠
1711,1721 枠本体
1712,1722 駆動部
1713,1723 ガイドレール
172 移動枠
173 移動部
1731 移動部本体
1732 アーム
1733 台部
40 搬送装置
46 走行部
47 走行補助部
471 物体検知部
472 位置出力部
49 積載部
【要約】
【課題】 宅配ロッカー等の収納装置に入庫されたユーザ宛の配送物の出入庫および搬送作業を円滑に行い、そのコストの削減を実現する収納装置および配送物受渡システムを提供する。
【解決手段】 配送物受渡システムは、ユーザの居住又は利用する専有部を有する建物の敷地内に設置され、ユーザに関連する配送物を施錠状態で保管する収納装置10と、収納装置10の収納状況等の情報を管理するサーバ装置等の管理サーバ20と、ユーザが操作する情報処理装置であるユーザ端末30と、収納装置10に入庫されている配送物を配送宛先のユーザの下まで搬送する搬送装置40とを有して構成される。
【選択図】
図3