IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光照射式脱毛装置 図1
  • 特許-光照射式脱毛装置 図2
  • 特許-光照射式脱毛装置 図3
  • 特許-光照射式脱毛装置 図4
  • 特許-光照射式脱毛装置 図5
  • 特許-光照射式脱毛装置 図6
  • 特許-光照射式脱毛装置 図7
  • 特許-光照射式脱毛装置 図8
  • 特許-光照射式脱毛装置 図9
  • 特許-光照射式脱毛装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】光照射式脱毛装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021017229
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120375
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】坂本 竜平
(72)【発明者】
【氏名】春日井 秀紀
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-289812(JP,A)
【文献】米国特許第06168589(US,B1)
【文献】特開2003-126276(JP,A)
【文献】特開2013-111391(JP,A)
【文献】特開2006-149489(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112155725(CN,A)
【文献】国際公開第2005/074830(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06 - 5/08
A61B 18/20 - 18/28
A45D 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1照射光と、前記第1照射光よりも前に前記第1照射光よりも長い時間照射される第2照射光とを含み、400nm以上1200nm以下の波長を有する光を断続的に照射する光源と、
前記光源と対向して前記光源から照射される光を透過し、皮膚と接触した場合に前記皮膚を冷却する皮膚冷却部と、
前記光源及び前記皮膚冷却部の周囲を取り囲み、押圧されていない場合には前記皮膚冷却部の前記皮膚と接触する面よりも前記皮膚冷却部に対して前記光源とは反対側の方向に向かって突き出ており、押圧された場合には前記皮膚冷却部に対して前記光源の方向に向かって前記皮膚によって押圧される面が移動する押圧部を含み、前記押圧部が押圧されている間の少なくとも一部の時間には前記光源から光が照射され、前記押圧部が押圧されていない間には前記光源から光が照射されないように前記光源による光の照射と非照射とを切り替えるプッシュスイッチと、
を備え、
前記第1照射光は前記光源によって断続的に照射される前記光のうち最も大きな放射照度である最大放射照度を有し、前記第2照射光は前記最大放射照度よりも小さい放射照度を有し、
前記第1照射光と前記第2照射光とを含む前記光が前記光源から連続的に照射された後に前記光源による前記光の照射が停止し、前記光源による前記光の照射が停止した後に前記第1照射光と前記第2照射光とを含む前記光が前記光源から連続的に照射される、光照射式脱毛装置。
【請求項2】
前記光源から照射される前記光の放射照度は0W/cm超50W/cm以下である、請求項1に記載の光照射式脱毛装置。
【請求項3】
前記光源から断続的に照射される前記光の各々の照射時間は500ms以上1000ms以下である、請求項1又は2に記載の光照射式脱毛装置。
【請求項4】
前記第1照射光の照射時間は0ms超500ms未満であり、前記第2照射光の照射時間は0ms超500ms以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の光照射式脱毛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光照射式脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を照射して脱毛する光照射式脱毛装置が知られている。光照射式脱毛装置は、ユーザの皮膚表面に特定の波長を有する光を照射し、光を毛包のメラニンに作用させることによって毛の排出を促進する。光照射式脱毛装置としては、特許文献1に示すような装置が知られている。
【0003】
特許文献1は、処理光及び検知光を対象物に入射させる光源と、対象物を検知するための検知光を検出する光検出器と、光源を制御するための制御ユニットとを有する装置を開示している。上記制御ユニットは、検出された検知光から検知光の吸収を決定し、処理光が決定された吸収に依存して生成されるように光源を制御している。処理光は、570~1200nmの範囲の波長、2~30J/cmの範囲のエネルギー密度及び1~600ms以内のパルス持続期間を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5715128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の装置では、光が照射される対象物の特性に依存して光の付与が制御される。しかしながら、ユーザの痛みに関する感度が様々であり、十分な脱毛効果を得るために強い光が皮膚に照射される程、ユーザが痛みを感じる傾向にある。そのため、対象物の特性に依存して光の付与を制御したとしても、強い光が皮膚に照射された場合には、ユーザが不快に感じるおそれがある。
【0006】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、光の照射に伴う不快感を軽減することが可能な光照射式脱毛装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様にかかる光照射式脱毛装置は、第1照射光と、第1照射光よりも前に第1照射光よりも長い時間照射される第2照射光とを含み、400nm以上1200nm以下の波長を有する光を断続的に照射する光源を備える。光照射式脱毛装置は、光源と対向して光源から照射される光を透過し、皮膚と接触した場合に皮膚を冷却する皮膚冷却部を備える。光照射式脱毛装置は、光源及び皮膚冷却部の周囲を取り囲み、押圧されていない場合には皮膚冷却部の皮膚と接触する面よりも皮膚冷却部に対して光源とは反対側の方向に向かって突き出ており、押圧された場合には皮膚冷却部に対して光源の方向に向かって皮膚によって押圧される面が移動する押圧部を含み、押圧部が押圧されている間の少なくとも一部の時間には光源から光が照射され、押圧部が押圧されていない間には光源から光が照射されないように光源による光の照射と非照射とを切り替えるプッシュスイッチを備える。第1照射光は光源によって断続的に照射される光のうち最も大きな放射照度である最大放射照度を有し、第2照射光は最大放射照度よりも小さい放射照度を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、光の照射に伴う不快感を軽減することが可能な光照射式脱毛装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る光照射式脱毛装置を示す断面図である。
図2図1のII-II線における断面図である。
図3】本実施形態に係る光源の概略的な配置状態の例を示す斜視図である。
図4】光源から照射される光の照射時間と放射照度との関係の一例を示すグラフである。
図5】制御部に係る制御ブロック図である。
図6】光照射式脱毛装置の使用前の状態の一例を示す断面図である。
図7】プッシュスイッチが押圧される前の状態の一例を示す断面図である。
図8】プッシュスイッチが押圧された後の状態の一例を示す断面図である。
図9】皮膚に光が照射されている状態の一例を示す断面図である。
図10】光源から照射される光の照射時間と放射照度との関係の別の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0011】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
また、以下の実施形態では、出射口を上方向、出射口とは反対側の方向を下方向として光照射式脱毛装置の上下方向Zを規定している。また、光照射式脱毛装置の水平方向における一方向を幅方向Y、上下方向Z及び幅方向Yに直交する方向を前後方向Xと規定して説明する。
【0013】
以下、図1図10を用いて、本実施形態に係る光照射式脱毛装置を説明する。
【0014】
[構成]
図1及び図2に示すように、光照射式脱毛装置1は、ハウジング5と、光源10と、温度センサ13と、皮膚冷却部20と、プッシュスイッチ30と、冷却器40と、制御部50とを備えている。
【0015】
ハウジング5の一端には、光照射式脱毛装置1の出射口となる開口部が設けられている。ハウジング5の開口部には光源10が設けられており、人の皮膚に対して光が照射される。また、ハウジング5の光源10とは反対側には底部が形成されている。ハウジング5には、複数の第1開口部6と複数の第2開口部7とが設けられており、外部の空気が複数の第1開口部6から取り入れられ、複数の第2開口部7から排出される。ハウジング5の内側には、光源10と、温度センサ13と、皮膚冷却部20と、プッシュスイッチ30と、冷却器40と、制御部50とが収容されている。
【0016】
図3は、本実施形態に係る光源10の概略的な配置状態の例を示す斜視図である。なお、図3では、温度センサ13、皮膚冷却部20、プッシュスイッチ30、冷却器40の一部の構成などを省略している。図1図3に示すように、本実施形態では、光源10は複数のLED(Light Emitting Diode)を含んでいる。LEDは基板12上に略等間隔に離間配置された状態で実装されている。光源10は図示しない電源と電気的に接続されており、電源から電力が供給されることにより、光源10から光が照射される。
【0017】
光源10は、第1照射光L1と、第1照射光L1よりも前に照射される第2照射光L2とを含む光を断続的に照射する。第1照射光L1は光源10によって断続的に照射される光のうち最も大きな放射照度である最大放射照度を有する。第2照射光L2は最大放射照度よりも小さい放射照度を有する。第2照射光L2は、第1照射光L1よりも長い時間照射される。
【0018】
図4は、光源10から照射される光の照射時間と放射照度との関係の一例を示すグラフである。図4に示すように、まず、第2照射光L2が光源10から照射される。第2照射光L2の放射照度は20W/cmであり、第2照射光L2の照射時間は500msである。次に、第2照射光L2の照射に続いて第1照射光L1が光源10から照射される。第1照射光L1の放射照度は50W/cmであり、第1照射光L1の照射時間は300msである。したがって、第2照射光L2と第1照射光L1との合計照射時間は800msである。第2照射光L2と第1照射光L1とが照射された後、光源10による光の照射が停止される。光源10の消灯時間は700msである。次に、再び第2照射光L2と第1照射光L1とがこの順番で光源10から照射される。光源10は、第2照射光L2と第1照射光L1とを含む光の点灯と消灯とを繰り返すことによって、第2照射光L2と第1照射光L1とを含む光を断続的に照射する。
【0019】
第1照射光L1は、図4に示すように所定の時間に一定の放射照度を有していてもよいが、時間の経過に伴って放射照度が増加又は減少してもよい。第1照射光L1の放射照度は、最大放射照度に対して90%超100%以下の範囲内であってもよい。
【0020】
光源10から照射される光の放射照度は0W/cm超50W/cm以下であることが好ましい。放射照度を上記の範囲内とすることにより、光照射による皮膚温度の上昇を抑制することができ、皮膚刺激を軽減することができる。放射照度は、45W/cm以下であってもよく、40W/cm以下であってもよい。また、光源10から照射される光の放射照度は15W/cm以上であることが好ましい。15W/cm以上の放射照度で光を照射することにより、成長期初期~成長期の毛に高い脱毛効果を与えることが可能となる。放射照度は、20W/cm以上であってもよく、25W/cm以上であってもよく、30W/cm以上であってもよい。
【0021】
第1照射光L1の放射照度は、0W/cm超50W/cm以下であることが好ましい。放射照度を上記の範囲内とすることにより、光照射による皮膚温度の上昇を抑制することができ、皮膚刺激を軽減することができる。また、光源10から照射される光の放射照度は15W/cm以上であることが好ましい。15W/cm以上の放射照度で光を照射することにより、成長期初期~成長期の毛に高い脱毛効果を与えることが可能となる。放射照度は、30W/cm以上であってもよく、40W/cm以上であってもよい。
【0022】
第2照射光L2は最大放射照度よりも小さい放射照度を有する。これにより、第2照射光L2の照射によってユーザが痛みに慣れるため、第1照射光L1を照射しても痛みを感じにくく、ユーザの不快感を軽減することができる。第2照射光L2の放射照度は、10W/cm以上であってもよい。また、第2照射光L2の放射照度は、40W/cm以下であってもよく、30W/cm以下であってもよい。
【0023】
第2照射光L2の放射照度は、最大放射照度に対して90%以下であってもよい。これにより、第2照射光L2の照射によってユーザが痛みに慣れるため、第1照射光L1を照射しても痛みを感じにくく、ユーザの不快感をより軽減することができる。第2照射光L2の放射照度は、最大放射照度に対して80%以下であってもよく、70%以下であってもよく、60%以下であってもよく、50%以下であってもよい。また、第2照射光L2の放射照度は、最大放射照度に対して10%以上であってもよく、20%以上であってもよく、30%以上であってもよい。
【0024】
光源10から断続的に照射される光の各々の照射時間は500ms以上1000ms以下であることが好ましい。500ms以上光を照射することにより、成長期初期~成長期の毛に高い脱毛効果を与えることが可能となる。また、1000ms以下で光を照射することにより、光照射による皮膚温度の上昇を抑制することができ、皮膚刺激を軽減することができる。照射時間は600ms以上であってもよい。また、照射時間は900ms以下であってもよく、800ms以下であってもよい。
【0025】
第2照射光L2は、第1照射光L1よりも長い時間照射される。これにより、光の照射による皮膚への刺激を軽減しつつ、毛包の温度を上昇させて脱毛を促進することができる。第1照射光L1の照射時間は0ms超500ms未満であることが好ましい。第1照射光L1の照射時間は、100ms以上であってもよく、200ms以上であってもよい。また、第1照射光L1の照射時間は、400ms以下であってもよい。第2照射光L2の照射時間は0ms超500ms以下であることが好ましい。第2照射光L2の照射時間は100ms以上であってもよく、200ms以上であってもよく、300ms以上であってもよく、400ms以上であってもよい。
【0026】
光源10から断続的に照射される各光の照射時間に対する第1照射光L1の照射時間の比は、0.1以上0.5以下であることが好ましい。上記比を上記の範囲内とすることにより、光の照射による皮膚の刺激をより軽減することができる。上記比は、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。また、上記比は、0.45以下であってもよく、0.4以下であってもよい。
【0027】
光源10から断続的に照射される各光の照射時間に対する第2照射光L2の照射時間の比は、0.5以上0.8以下であることが好ましい。上記比を上記の範囲内とすることにより、光の照射による皮膚への刺激をより軽減しつつ、毛包の温度を上昇させて脱毛をより促進することができる。上記比は0.55以上であってもよい。また、上記比は0.7以下であってもよい。
【0028】
光源10から断続的に照射される各光の照射時間に対する第1照射光L1及び第2照射光L2の合計照射時間の比は、0.6以上であってもよく、0.7以上であってもよく、0.8以上であってもよく、0.9以上であってもよい。
【0029】
第1照射光L1の第2照射光L2に対する照射時間の比は、0.5超0.9以下であることが好ましい。上記比を上記の範囲内とすることにより、光の照射による皮膚の刺激をより軽減することができる。上記比は、0.55以上であってもよい。また、上記比は、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。
【0030】
光源10は400nm以上1200nm以下の波長を有する光を照射する。上記のような光が皮膚に照射されることにより、毛包のメラニンが上記光を吸収して発熱する。そして、この熱により毛包に含まれる毛母体がダメージを受け、毛の排出が促進される。光の波長は、500nm以上であってもよく、600nm以上であってもよく、700nm以上であってもよく、800nm以上であってもよい。また、光の波長は、1000nm以下であってもよく、900nm以下であってもよい。光源10から照射される光は、400nm以上1200nm以下の範囲内にピーク波長を有する光であってもよい。光が上記のような範囲内にピーク波長を有する場合であっても、照射される光は上記範囲外の波長成分を含んでいてもよい。また、LEDの各々が同一の波長スペクトルを有する必要はなく、異なる波長スペクトルの光を照射するLEDを組合せて使用してもよい。なお、上記波長は光源10の温度が25℃である場合に照射される光の波長である。
【0031】
光源10から照射される各パルス光のエネルギーは9J/cm以上50J/cm以下であることが好ましい。上記エネルギーが9J/cm以上であると、高い脱毛効果を与えることが可能となる。また、皮膚冷却部20を備える光照射式脱毛装置1では、上記エネルギーが50J/cm以下であると、光照射による皮膚温度の上昇を抑制することができる。そのため、皮膚がより確実に冷却され、皮膚刺激を軽減することができる。
【0032】
皮膚冷却部20は光源10と対向する位置に配置されている。皮膚冷却部20は、光源10と接触していてもよく、光源10と空間を空けて配置されていてもよい。また、皮膚冷却部20は、光源10とは反対側において皮膚と接触するように設けられている。皮膚冷却部20は透光性を有する材料により形成されている。光源10から光が照射されると、皮膚冷却部20は光源10から照射される光を透過し、皮膚冷却部20を透過した光が皮膚に照射される。皮膚冷却部20は例えば透光性を有するプレートであり、本実施形態では円板の皮膚冷却部20を使用している。
【0033】
皮膚冷却部20は、光源10から照射された光が吸収されにくい材料で形成されていることが好ましい。具体的には、皮膚冷却部20の全光線透過率は、80%以上であることが好ましい。全光線透過率が80%以上であると、光源10から照射された光の大部分が皮膚冷却部20を透過することができる。そのため、多くの光をメラニンに到達させることができ、脱毛効果を促進することができる。また、皮膚冷却部20によって吸収されて熱に変換される光の量を低減することができることから、皮膚冷却部20の温度上昇を抑制することができる。光が皮膚冷却部20に吸収されにくくする観点から、全光線透過率は90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが特に好ましい。全光線透過率の上限の値は100%である。全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に従って測定することができる。
【0034】
皮膚冷却部20の屈折率は1.7以上であることが好ましい。皮膚冷却部20の屈折率が1.7以上であると、光源10からの光が皮膚冷却部20で吸収されにくい。皮膚冷却部20は、屈折率の値が大きい程光を透過しやすくなる。そのため、屈折率は、1.8以上であることがより好ましく、1.9以上であることがさらに好ましく、2.0以上であることが特に好ましい。屈折率の上限の値は特に限定されないが、10であってもよい。屈折率は、JIS B7071-1:2015に従って最小偏角法によって測定することができる。
【0035】
皮膚冷却部20は、皮膚と接触した場合に皮膚を冷却する。皮膚冷却部20は熱伝導性が高い材料を含むことが好ましい。皮膚冷却部20の熱伝導率は1W/mK以上であることが好ましい。熱伝導率が1W/mK以上であると、光源10からの光及び皮膚によって皮膚冷却部20が加温されても、熱が放散されやすいため、皮膚を効果的に冷却することができる。熱伝導率の値が大きい程、皮膚冷却部20の熱伝導性が高くなり、皮膚冷却部20の冷却効果が高くなる傾向にある。そのため、冷却効率の観点からは、皮膚冷却部20の熱伝導率は2W/mK以上であることがより好ましく、10W/mK以上であることがさらに好ましく、30W/mK以上であることが特に好ましく、100W/mK以上であることが最も好ましい。熱伝導率の上限の値は特に限定されないが、100000W/mKであってもよい。熱伝導率は、JIS R1611:2010に従ってレーザフラッシュ法によって測定することができる。
【0036】
皮膚冷却部20は、無機物質を含んでいてもよい。具体的には、皮膚冷却部20は、Al、ZnO、ZrO、MgO、GaN、AlN及びダイヤモンドからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいることが好ましい。これらの材料は、屈折率及び熱伝導率が高いため、皮膚冷却部20の透光性及び熱伝導性を向上させることができる。なお、Al(サファイア)の屈折率は1.79であり、熱伝導率は42W/mKである。ZnOの屈折率は2.01であり、熱伝導率は20W/mKである。ZrOの屈折率は2.13であり、熱伝導率は3W/mKである。MgOの屈折率は1.74であり、熱伝導率は47W/mKである。GaNの屈折率は2.346であり、熱伝導率は200W/mKである。AlNの屈折率は2.175であり、熱伝導率は150W/mKである。ダイヤモンドの屈折率は2.417であり、熱伝導率は1000W/mKである。
【0037】
皮膚冷却部20は、耐熱性及び透光性の観点などから、シリコーン樹脂などの樹脂を含んでいてもよい。また、皮膚冷却部20は、シリコーン樹脂などの樹脂と、樹脂に分散された高熱伝導フィラーとを含んでいてもよい。皮膚冷却部20が高熱伝導フィラーを含むことで皮膚冷却部20の熱が放散されやすくなるため、皮膚を効果的に冷却することができる。高熱伝導フィラーは、上述のような無機物質を含んでいてもよい。
【0038】
皮膚冷却部20における無機物質の割合は10質量%以上であることが好ましい。皮膚冷却部20における無機物質の割合を10質量%以上とすることにより、皮膚冷却部20の熱伝導性を向上させることができる。皮膚冷却部20における無機物質の割合は30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。
【0039】
皮膚冷却部20は-5℃以上35℃以下となるように冷却されることが好ましい。皮膚冷却部20が-5℃以上となるように冷却されることにより、冷却に伴う皮膚の痛みが発生しにくいように皮膚を冷却することができる。一方、皮膚冷却部20が35℃以下となるように冷却されることにより、光照射時の皮膚温度上昇による炎症を抑制することができる。皮膚冷却部20は、より好ましくは0℃以上、さらに好ましくは5℃以上、特に好ましくは10℃以上となるように冷却することが好ましい。また、皮膚冷却部20は、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下、特に好ましくは20℃以下、最も好ましくは15℃以下となるように冷却されることが好ましい。
【0040】
温度センサ13は、ユーザの皮膚の温度を検出する。温度センサ13は、皮膚冷却部20と対向するように設けられている。温度センサ13は、具体的には、基板12に設けられている。本実施形態では、温度センサ13は放射温度計などの非接触式温度センサを含んでいる。
【0041】
プッシュスイッチ30は、自己復帰タイプのスイッチである。プッシュスイッチ30は、冷却器40の接続部42に設けられている。プッシュスイッチ30は、前後方向X及び幅方向Yにおいて光源10及び皮膚冷却部20よりも外側に配置されており、光源10及び皮膚冷却部20を取り囲むように設けられている。プッシュスイッチ30は、2つの基部31と、押圧部32とを含んでいる。
【0042】
2つの基部31は、幅方向Yにおいて光源10及び皮膚冷却部20が間に配置されるように、冷却器40の把持部43よりも外側において接続部42に固定されている。基部31は、接続部42から上方に延びた四角柱形状をしている。
【0043】
押圧部32は基部31と係合しており、皮膚で押圧されることによって上下方向Zに移動する。押圧部32は、光源10及び皮膚冷却部20の周囲を取り囲んでいる。押圧部32は、2つの第1部品321と、1つの第2部品322とを含んでいる。
【0044】
第1部品321は、基部31から上方向に延びた円柱形状をしており、基部31の前後方向X及び幅方向Yの略中央部にそれぞれ設けられている。第2部品322は、第1部品321の基部31とは反対側の面と接するように配置されている。第2部品322は、前後方向X及び幅方向Yの中心部に貫通孔を有し、上下方向Zに延びたドーナツ形状をしている。第2部品322の貫通孔内には、光源10及び皮膚冷却部20が配置されている。第2部品322の表面の一部は、皮膚冷却部20の光源10とは反対側の面よりも上下方向Zの上側に突き出ている。なお、第1部品321と第2部品322とは分離した異なる部品であるが、押圧部32は、連続して一体的に形成された1つの部品により形成されていてもよい。また、基部31、第1部品321及び第2部品322の数は特に限定されず、適宜変更することができる。
【0045】
押圧部32は、押圧されていない場合には皮膚冷却部20の皮膚と接触する面よりも皮膚冷却部20に対して光源10とは反対側の方向(上下方向Zの上方向)に向かって突き出ている。基部31及び押圧部32の内部には、図示しない接点が設けられており、押圧部32が押圧されていない間には、基部31の接点と押圧部32の接点とが接触せずに光源10が接続された回路が開くようにプッシュスイッチ30が構成されている。一方、押圧部32は、押圧された場合には皮膚冷却部20に対して光源10の方向(上下方向Zの下方向)に向かって皮膚によって押圧される面が移動する。そのため、基部31に設けられた接点と押圧部32に設けられた接点とが接することによって回路が閉じられる。
【0046】
また、基部31と押圧部32との間には、図示しない弾性体が設けられている。弾性体は、押圧部32が押圧された場合には弾性変形し、弾性変形によって生じた弾性力によって押圧部32を押し返す。そのため、押圧部32を押圧する力が取り除かれると、弾性体が押圧部32を元の位置に戻すように押圧部32に作用するため、押圧部32の皮膚との接触面が基部31とは反対側の方向に向かって移動する。
【0047】
プッシュスイッチ30は、押圧部32が押圧されている間の少なくとも一部の時間には光源10から光が照射され、押圧部32が押圧されていない間には光源10から光が照射されないように光源10による光の照射と非照射とを切り替える。そのため、光照射式脱毛装置1が皮膚に押し付けられている間の少なくとも一部の時間に光が皮膚に照射され、光照射式脱毛装置1が皮膚から離されると光の照射が停止されるように構成されている。
【0048】
光は、プッシュスイッチ30が押圧されてすぐに照射されてもよく、プッシュスイッチ30が押圧されてから所定の時間後に照射されてもよい。光源10から光が照射されるタイミングは、制御部50によって制御されてもよい。光照射式脱毛装置1は、皮膚が皮膚冷却部20の表面と接触した後に光源10から光を照射してもよい。これにより、皮膚表面が冷却された状態で光が照射される。したがって、皮膚の発熱が抑制されるため、皮膚への刺激を抑制することができる。また、皮膚冷却部20に皮膚が接触した状態で光が照射されるため、照射ムラを抑制でき、安定した脱毛効果を得ることができる。
【0049】
冷却器40は、皮膚冷却部20を冷却する。光照射式脱毛装置1が冷却器40を備えていることにより、皮膚冷却部20をより低温にすることができる。そのため、皮膚冷却部20による皮膚冷却効果をより向上させることができる。冷却器40は、放熱部41と、送風部45とを含んでいる。
【0050】
放熱部41は、皮膚冷却部20と接続されており、皮膚冷却部20から奪い取った熱を放熱する。放熱部41は、接続部42と、把持部43と、放熱フィン44とを含んでいる。
【0051】
接続部42は板状の部材である。接続部42の一方の面である第1面には、基板12が設けられている。基板12は接続部42よりも小さく、接続部42の内側に収まるように設けられている。接続部42の第1面における基板12の外側には把持部43及びプッシュスイッチ30が接続されている。接続部42の第1面とは反対側の面である第2面には、放熱フィン44が設けられている。
【0052】
把持部43は、接続部42の第1面から上下方向Zの上方向に向かって突き出しており、皮膚冷却部20の全周縁を把持している。したがって、光源10は、皮膚冷却部20、把持部43及び接続部42で囲われている。光源10で生成された熱は、皮膚冷却部20並びに冷却器40の放熱部41を介して放熱される。なお、把持部43は、皮膚冷却部20の全周縁を把持しているが、把持部43は皮膚冷却部20の少なくとも一部と接続されていればよい。
【0053】
放熱フィン44は、接続部42の光源10とは反対側の面に設けられている。そのため、皮膚冷却部20の熱は、把持部43及び接続部42を通じて放熱フィン44へ移動する。放熱フィン44は、複数のフィンを含んでおり、空気との接触面積が大きいため、熱が放散されやすくなっている。
【0054】
放熱部41は、熱伝導性に優れる材料を含んでいることが好ましい。放熱部41の熱伝導率の値は、皮膚冷却部20よりも大きくてもよい。具体的には、放熱部41は、アルミニウム、鉄及び銅などの金属を含んでいてもよい。把持部43、接続部42及び放熱フィン44は、同じ材料によって形成されていてもよく、異なる材料によって形成されていてもよい。
【0055】
送風部45は、放熱部41に空気を送ることによって放熱部41を冷却する。送風部45は、例えばファンを含んでおり、ファンが回転することによって、気流が発生する。ハウジング5には、送風部45と対向する箇所に複数の第1開口部6が設けられている。また、ハウジング5には、放熱フィン44と対向する箇所に複数の第2開口部7が設けられている。そのため、送風部45を駆動させると、複数の第1開口部6を通じてハウジング5の外部から取り入れられた空気が放熱フィン44に送られる。放熱フィン44と接触した空気の熱は、放熱フィン44の熱と交換され、放熱フィン44が冷却される。放熱フィン44と接触して温められた空気は、複数の第2開口部7を通じてハウジング5の外部に排出される。
【0056】
なお、本実施形態では、空冷式の冷却器について説明したが、空冷式の冷却器に加えて、又は空冷式の冷却器に代えて、ペルチェ素子などを用いて皮膚冷却部20を冷却してもよい。ペルチェ素子を用いて皮膚冷却部20を冷却することにより、皮膚冷却部20をより強力に冷却することができる。
【0057】
制御部50は、光源10の光の照射及び非照射を制御する。また、制御部50は、送風部45の駆動及び停止を制御する。図5に示すように、制御部50の入力側には、温度センサ13及びプッシュスイッチ30が接続されている。一方、制御部50の出力側には、光源10及び送風部45が接続されている。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでいる。
【0058】
制御部50は、プッシュスイッチ30が押圧されている場合に光源10を点灯又は点滅させる。制御部50は、プッシュスイッチ30が押圧されると同時に光源10に光を照射させてもよく、プッシュスイッチ30が押圧されて所定の時間が経過した後に光源10に光を照射させてもよい。
【0059】
制御部50は、温度センサ13から皮膚の温度に関する信号を受け取り、当該信号に応じて光源10による第1照射光L1の照射時間を制御してもよい。これにより、皮膚が過剰な温度になる前に第1照射光L1の照射を停止することができるため、皮膚刺激を軽減することができる。制御部50は、皮膚の温度が-5℃以上35℃以下となるように第1照射光L1の照射時間を制御することが好ましい。皮膚の温度が-5℃以上となるように制御されることにより、冷却に伴う皮膚の痛みが発生しにくいようにすることができる。一方、皮膚が35℃以下となるように制御されることにより、光照射に伴う皮膚刺激を軽減することができる。
【0060】
[動作]
以上のように構成された光照射式脱毛装置1について、以下その動作、作用を説明する。
【0061】
図6図9に基づいて、光照射式脱毛装置1によって光が照射される様子を説明する。図6は、光照射式脱毛装置1の使用前の状態の一例を示す断面図である。図7は、プッシュスイッチ30が押圧される前の状態の一例を示す断面図である。図8は、プッシュスイッチ30が押圧された後の状態の一例を示す断面図である。図9は、皮膚Sに光が照射されている状態の一例を示す断面図である。
【0062】
図6に示すように、光照射式脱毛装置1の使用前においては、プッシュスイッチ30は押圧されていない。そのため、プッシュスイッチ30の押圧部32は、皮膚冷却部20の皮膚Sと接触する面よりも皮膚冷却部20に対して光源10とは反対側の方向に向かって突き出ている。この状態においては、光源10から光が照射されない。
【0063】
図7に示すように、光照射式脱毛装置1の使用時においては、光照射式脱毛装置1にユーザの皮膚Sが押し当てられる。プッシュスイッチ30の押圧部32は、皮膚冷却部20の皮膚接触面よりも突き出ている。そのため、ユーザの皮膚Sは最初にプッシュスイッチ30と接触し、皮膚Sとプッシュスイッチ30とによって光源10が囲われる。
【0064】
図8に示すように、プッシュスイッチ30が皮膚Sに接した状態で押圧される。具体的には、プッシュスイッチ30の押圧部32が押圧された場合には皮膚冷却部20に対して光源10の方向に向かって皮膚Sによって押圧される面が移動する。これにより、皮膚Sとプッシュスイッチ30とによって光源10が囲われた状態で皮膚Sが皮膚冷却部20と接触し、皮膚Sによって皮膚冷却部20が遮蔽される。そして、皮膚Sは皮膚冷却部20と接触することによって冷却される。
【0065】
図9に示すように、プッシュスイッチ30により回路が閉じられ、光源10から光が照射される。皮膚冷却部20は皮膚Sによって遮蔽されており、プッシュスイッチ30によって光源10も囲われているため、光源10から照射される光が漏れずに皮膚Sに照射される。皮膚冷却部20と皮膚Sとをより確実に接触させるため、プッシュスイッチ30の押圧部32が押圧されて所定の時間が経過した後に光源10から光が照射されてもよい。
【0066】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る光照射式脱毛装置1は、光源10と、皮膚冷却部20と、プッシュスイッチ30とを備えている。光源10は、第1照射光L1と、第1照射光L1よりも前に第1照射光L1よりも長い時間照射される第2照射光L2とを含み、400nm以上1200nm以下の波長を有する光を断続的に照射する。皮膚冷却部20は、光源10と対向して光源10から照射される光を透過し、皮膚と接触した場合に皮膚を冷却する。プッシュスイッチ30は、光源10及び皮膚冷却部20の周囲を取り囲む押圧部32を含んでいる。押圧部32は、押圧されていない場合には皮膚冷却部20の皮膚と接触する面よりも皮膚冷却部20に対して光源10とは反対側の方向に向かって突き出ている。押圧部32は、押圧された場合には皮膚冷却部20に対して光源10の方向に向かって皮膚によって押圧される面が移動する。プッシュスイッチ30は、押圧部32が押圧されている間の少なくとも一部の時間には光源10から光が照射され、押圧部32が押圧されていない間には光源10から光が照射されないように光源10による光の照射と非照射とを切り替える。第1照射光L1は光源10によって断続的に照射される光のうち最も大きな放射照度である最大放射照度を有し、第2照射光L2は最大放射照度よりも小さい放射照度を有する。
【0067】
これにより、第2照射光L2で皮膚刺激が少ない事前加熱を緩やかに行い、第1照射光L1で脱毛の促進効果が高い熱を付与する。これにより、脱毛効果を維持しつつ、同一の放射照度を有する光を単独で照射する場合と比較し、ユーザの個別の性状によらずに皮膚刺激を軽減することができる。したがって、光の照射に伴う不快感を軽減することができる。
【0068】
また、光源10がプッシュスイッチ30と皮膚とによって囲われた状態で皮膚に光を照射することができる。そのため、光の漏洩を抑制することができる。また、光の照射時に皮膚冷却部20が皮膚と接触して皮膚を冷却することができる。そのため、皮膚の炎症を抑制することができる。
【0069】
なお、光照射式脱毛装置1は、近赤外線LED(光源10)と、押込み型照射スイッチ(プッシュスイッチ30)と、肌冷却部(皮膚冷却部20)とを備えていてもよい。肌冷却部(皮膚冷却部20)は、近赤外線LED(光源10)の上部である光線上において冷却され、近赤外線LED(光源10)の光を透過する透明材質である。光照射式脱毛装置1は、肌(皮膚)へ押し込むことで、肌冷却部(皮膚冷却部20)の天面が肌(皮膚)に接触した後に、近赤外線LED(光源10)が発光する構成の光照射式脱毛装置1である。そして、光照射式脱毛装置1は、近赤外線LED(光源10)の光量が低から高になるように光源10を制御することを特徴とする。このような光照射式脱毛装置1であっても、光の照射に伴う不快感を軽減することができる。
【0070】
本実施形態のように、光源10から照射される光の放射照度は0W/cm超50W/cm以下であってもよい。
【0071】
これにより、光照射による皮膚温度の上昇を抑制することができ、皮膚刺激を軽減することができる。
【0072】
本実施形態のように、光源10から断続的に照射される光の各々の照射時間は500ms以上1000ms以下であってもよい。
【0073】
これにより、皮膚温度の上昇を抑制しつつ、成長期初期~成長期の毛に高い脱毛効果を与えることができ、皮膚刺激を軽減することができる。
【0074】
本実施形態のように、第1照射光L1の照射時間は0ms超500ms未満であり、第2照射光L2の照射時間は0ms超500ms以下であってもよい。
【0075】
これにより、光の照射による皮膚への刺激を軽減しつつ、毛包の温度を上昇させることができる。そのため、光の照射に伴う不快感をより確実に軽減しつつ、脱毛を促進することができる。
【0076】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0077】
なお、本実施形態では、光源10の一例として、LEDを説明した。しかしながら、光源10は、400nm以上1200nm以下の波長を有する光を照射することができればよい。光源10は、LEDに限定されず、例えば、キセノンランプ、レーザーダイオード及びこれらの組み合わせを含んでいてもよい。ただし、光源10として、LEDを用いれば、上述のように、光照射式脱毛装置1を小型化することができる。
【0078】
また、本実施形態では、冷却器40を用いて皮膚冷却部20を冷却する例について説明した。しかしながら、皮膚冷却部20の熱伝導性が高い場合、皮膚冷却部20の放熱性が高いことから、必ずしも冷却器40を用いて皮膚冷却部20を冷却する必要はない。
【0079】
また、本実施形態では、冷却器40が皮膚冷却部20と接続されて皮膚冷却部20を冷却する例について説明した。しかしながら、冷却器40は、皮膚冷却部20と接続されている必要はない。
【0080】
なお、上記実施形態では、第2照射光L2が1つの放射照度20W/cmを有する例について説明した。しかしながら、第2照射光L2は、図10に示すように、異なる2つ以上の放射照度を有していてもよい。具体的には、まず、第2照射光L2が光源10から照射される。第2照射光L2は、放射照度が20W/cmの光と35W/cmの光とを含んでいる。放射照度20W/cmの光が300ms照射された後、放射照度35W/cmの光が300ms照射される。次に、第2照射光L2の照射に続いて第1照射光L1が光源10から照射される。第1照射光L1の放射照度は50W/cmであり、第1照射光L1の照射時間は200msである。したがって、第2照射光L2と第1照射光L1との合計照射時間は800msである。第2照射光L2と第1照射光L1とが照射された後、光源10による光の照射が停止される。光源10の消灯時間は700msである。次に、再び第2照射光L2と第1照射光L1とがこの順番で光源10から照射される。光源10は、第2照射光L2と第1照射光L1とを含む光の点灯と消灯とを繰り返すことによって、第2照射光L2と第1照射光L1とを含む光を断続的に照射する。このように光を照射した場合であっても、光の照射に伴う不快感を軽減することができる。
【0081】
なお、図10では、第2照射光L2の放射照度が、時間の経過に伴って大きくなる例について説明した。しかしながら、第2照射光L2は第1照射光L1よりも小さい放射照度を有していればよく、第2照射光L2は時間の経過に伴って放射照度が小さくなる複数の光を含んでいてもよい。ただし、光源10が時間の経過に伴って放射照度が大きくなるように光を断続的に照射する場合、ユーザが光の照射に慣れやすいため、光の照射に伴う不快感をより軽減することができる。
【0082】
また、図4及び図10では、同じパターンの光が断続的に繰り返し照射されているが、断続的に照射される各光のパターンは必ずしも同じでなくてもよく、異なるパターンの光が断続的に照射されてもよい。
【0083】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本開示にかかる光照射式脱毛装置は、光の照射に伴う不快感を軽減することが可能である。具体的には、光照射式脱毛装置は、業務用及び家庭用の光照射式脱毛装置などに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 光照射式脱毛装置
5 ハウジング
6 第1開口部
7 第2開口部
10 光源
12 基板
13 温度センサ
20 皮膚冷却部
30 プッシュスイッチ
31 基部
32 押圧部
40 冷却器
41 放熱部
42 接続部
43 把持部
44 放熱フィン
45 送風部
50 制御部
321 第1部品
322 第2部品
L1 第1照射光
L2 第2照射光
S 皮膚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10