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特許7595285部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/04 M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023050788
(22)【出願日】2023-03-28
(65)【公開番号】P2024139859
(43)【公開日】2024-10-10
【審査請求日】2024-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 輝明
(72)【発明者】
【氏名】桜井 浩二
(72)【発明者】
【氏名】横尾 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】竪道 直弥
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 瑞希
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-094673(JP,A)
【文献】特開2019-153633(JP,A)
【文献】特開2007-258637(JP,A)
【文献】特開平08-130395(JP,A)
【文献】特開平08-097596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30;13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装システムであって、
基板の上面の装着位置に所定の塗布条件で接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、
部品を保持するノズルを有し、前記基板の上方に移動し、前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に所定の装着条件で前記部品を装着する実装ヘッドと、
前記基板の上面と前記基板に装着された前記部品の下面の間の前記接着剤の接着剤厚さを検出する接着剤厚さ検出手段と、
前記接着剤厚さに基づいて、前記塗布条件、前記装着条件の少なくともいずれかを変更する条件変更部と、を備える、部品実装システム。
【請求項2】
前記条件変更部は、前記装着条件のうち、前記部品を前記基板に装着する際に前記ノズルが前記部品を前記基板に押し付ける押圧時間、装着荷重の少なくともいずれかを変更する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記条件変更部は、前記塗布条件のうち、前記基板に塗布する前記接着剤の塗布量を変更する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記条件変更部は、検出された前記接着剤厚さが所定の範囲を超過すると、前記塗布条件、前記装着条件の少なくともいずれかを変更する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記接着剤厚さ検出手段は、所定の時間毎に前記接着剤厚さを検出する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記基板の上面の装着位置の基板高さを計測する基板高さ計測手段と、
前記基板に装着された前記部品の上面の部品高さを計測する部品高さ計測手段と、をさらに備え、
前記接着剤厚さ検出手段は、計測された前記部品高さ、計測された前記基板高さ、前記部品の部品厚さに基づいて、前記接着剤厚さを算出する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記部品の前記部品厚さを計測する部品厚さ計測手段を、さらに備え、
前記接着剤厚さ検出手段は、前記部品厚さ検出手段が計測した前記部品厚さに基づいて、前記接着剤厚さを計算する、請求項6に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記基板高さ計測手段と前記部品高さ計測手段は、同じ高さ計測部で前記基板高さと前記部品高さを計測する、請求項6または7に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記部品高さ計測手段は、前記部品の上面に当接する前記ノズルの吸着面の高さに基づいて、前記部品高さを計測する、請求項6または7に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記ノズルが前記部品を所定の押圧時間だけ前記基板に押し付けた後、前記接着剤厚さ検出手段が検出した前記接着剤厚さが所定の厚さに到達していない場合、さらに、前記ノズルが前記部品を所定の追加押圧時間だけ前記基板に押し付ける、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項11】
部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装装置であって、
部品を保持するノズルを有し、上面の装着位置に接着剤が塗布された基板の上方に移動し、前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に所定の装着条件で前記部品を装着する実装ヘッドと、
前記基板の上面と前記基板に装着された前記部品の下面の間の前記接着剤の接着剤厚さを検出する接着剤厚さ検出手段と、
前記接着剤厚さに基づいて、前記装着条件を変更する条件変更部と、を備える、部品実装装置。
【請求項12】
部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装方法であって、
ノズルで部品を保持する部品保持工程と、
前記部品を保持した前記ノズルを上面の装着位置に接着剤が塗布された基板の上方に移動させるノズル移動工程と、
前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に所定の装着条件で前記部品を装着させる部品装着工程と、
前記基板の上面と前記基板に装着された前記部品の下面の間の前記接着剤の接着剤厚さを検出する接着剤厚さ検出工程と、
前記接着剤厚さに基づいて、前記装着条件を変更する条件変更工程と、を含む、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤塗布装置、部品実装装置、外観検査装置を備え、接着剤塗布装置により基板に接着剤を塗布し、部品実装装置により表面にLEDが形成された部品などを基板に装着し、外観検査装置で基板に装着された部品の状態などを検査する部品実装システムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されている部品実装システムは、外観検査装置からのフィードバックデータに基づき、接着剤塗布装置の接着剤塗布量や塗布位置、部品実装装置の部品押圧力(装着荷重)や部品吸着位置などの各種設定条件を自動補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-45753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、実装後の基板と部品の間の接着剤の厚さを詳細に管理したいという要望がある。特に、LED部品を接着剤で基板に装着する製品であって、発光時にLED部品からの発生する熱を基板から放熱する製品などでは、接着剤の厚さを厳格に管理する必要が有る。しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、実装後の接着剤の厚さを管理することに関する開示がなく、実装後の接着剤の厚さを管理して部品を基板に装着するためには、更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、基板と部品の間の接着剤の厚さを適切に管理することができる部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装システムは、部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装システムであって、基板の上面の装着位置に所定の塗布条件で接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、部品を保持するノズルを有し、前記基板の上方に移動し、前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に所定の装着条件で前記部品を装着する実装ヘッドと、前記基板の上面と前記基板に装着された前記部品の下面の間の前記接着剤の接着剤厚さを検出する接着剤厚さ検出手段と、前記接着剤厚さに基づいて、前記塗布条件、前記装着条件の少なくともいずれかを変更する条件変更部と、を備える。
【0007】
本発明の他の部品実装システムは、部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装システムであって、基板の上面の装着位置の基板高さを計測する基板高さ計測手段と、前記装着位置に所定の塗布条件で接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、部品を保持するノズルを有し、前記基板の上方に移動し、前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に所定の装着条件で前記部品を装着する実装ヘッドと、前記ノズルの吸着面の高さを計測するノズル高さ計測手段と、を備え、前記実装ヘッドは、前記基板に前記部品を押し付けている前記ノズルの吸着面の高さが、計測された前記基板高さに前記部品の部品厚さと予め設定された前記接着剤の接着剤厚さを合算した高さに到達すると、前記ノズルの下降を停止させる。
【0008】
本発明の部品実装装置は、部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装装置であって、部品を保持するノズルを有し、上面の装着位置に接着剤が塗布された基板の上方に移動し、前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に所定の装着条件で前記部品を装着する実装ヘッドと、前記基板の上面と前記基板に装着された前記部品の下面の間の前記接着剤の接着剤厚さを検出する接着剤厚さ検出手段と、前記接着剤厚さに基づいて、前記装着条件を変更する条件変更部と、を備える。
【0009】
本発明の他の部品実装装置は、部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装装置であって、基板の上面の装着位置の基板高さを計測する基板高さ計測手段と、部品を保持するノズルを有し、前記装着位置に接着剤が塗布された基板の上方に移動し、前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に所定の装着条件で前記部品を装着する実装ヘッドと、前記ノズルの吸着面の高さを計測するノズル高さ計測手段と、を備え、前記実装ヘッドは、前記基板に前記部品を押し付けている前記ノズルの吸着面の高さが、計測された前記基板高さに前記部品の部品厚さと予め設定された前記接着剤の接着剤厚さを合算した高さに到達すると、前記ノズルの下降を停止させる。
【0010】
本発明の部品実装方法は、部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装方法であって、ノズルで部品を保持する部品保持工程と、前記部品を保持した前記ノズルを上面の装着位置に接着剤が塗布された基板の上方に移動させるノズル移動工程と、前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に所定の装着条件で前記部品を装着させる部品装着工程と、前記基板の上面と前記基板に装着された前記部品の下面の間の前記接着剤の接着剤厚さを検出する接着剤厚さ検出工程と、前記接着剤厚さに基づいて、前記装着条件を変更する条件変更工程と、を含む。
【0011】
本発明の他の部品実装方法は、部品をノズルで吸着して基板に装着する部品実装方法であって、基板の上面の装着位置の基板高さを計測する基板高さ計測工程と、ノズルで部品を保持する部品保持工程と、前記部品を保持した前記ノズルを前記装着位置に接着剤が塗布された基板の上方に移動させるノズル移動工程と、前記部品を保持した前記ノズルを下降させて、前記装着位置に前記部品を押し付ける部品押し付け工程と、前記部品押し付け工程中に前記ノズルの吸着面の高さを計測するノズル高さ計測工程と、を含み、前記部品押し付け工程において、前記ノズルの吸着面の高さが、計測された前記基板高さに前記部品の部品厚さと予め設定された前記接着剤の接着剤厚さに到達すると、前記部品押し付け工程を終了する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板と部品の間の接着剤の厚さを適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置において基板に実装される部品の一例の(a)正面図(b)平面図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置の機能説明図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置における基板高さ計測工程を説明する(a)正面図(b)平面図
図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置における接着剤塗布工程を説明する(a)正面図(b)平面図
図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置における部品厚さ計測工程を説明する説明図
図9】本発明の一実施の形態の部品実装装置における部品押し付け工程を説明する(a)正面図(b)平面図
図10】本発明の一実施の形態の部品実装装置における部品高さ計測工程を説明する(a)正面図(b)平面図
図11】本発明の一実施の形態の部品実装方法の第1実施例のフロー図
図12】本発明の一実施の形態の部品実装方法の第2実施例のフロー図
図13】本発明の一実施の形態の部品実装方法の第3実施例のフロー図
図14】本発明の一実施の形態の部品実装方法の第3実施例のフロー図
図15】本発明の一実施の形態の部品実装方法の第4実施例のフロー図
図16】本発明の一実施の形態の部品実装方法の第4実施例のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、接着剤塗布装置、部品実装装置などの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図3における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図3における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図4における上下方向)が示される。
【0015】
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。基板搬送方向の上流(紙面左側)から下流(紙面右側)に向けて、接着剤塗布装置M1、部品実装装置M2などの生産装置を直列に連結して構成されている。各生産装置は通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。部品実装システム1は、接着剤塗布装置M1に搬入された基板Bを順に搬送しながら各生産装置で処理を行い、基板Bに部品Dを装着して実装基板を生産する機能を有している。なお、部品実装システム1は通信ネットワーク2を介して接続される生産装置群であって、物理的に生産装置同士が連結されていなくてもよい。
【0016】
図1において、接着剤塗布装置M1は、接着剤塗布作業部によって上流から搬入された基板Bの上面に設定された装着位置Pまたは装着位置Pの近傍に、予め設定された塗布条件で接着剤を塗布する。すなわち、接着剤塗布装置M1は、基板Bの上面の装着位置Pに所定の塗布条件で接着剤を塗布する接着剤塗布手段である。部品実装装置M2は、部品実装作業部によって接着剤が塗布された基板Bの装着位置Pに部品Dを装着する部品実装作業を実行する。
【0017】
ここで、図2を参照して、基板Bに実装される部品Dの一例について説明する。部品Dには、本体部Daの上面にLED部Dbと複数の電極Dcが形成されている。LED部Dbには、LEDチップが装着されている。複数の電極Dcは、LED部DbのLEDチップに接続されている。複数の電極Dcから所定の電圧、電流を供給することで、LED部Dbが発光する。LED部Dbの上面が部品Dの中で一番高い位置にあり、LED部Dbの上面を部品Dの上面Deと定義する。また、本体部Daの下面が部品Dの中で一番低い位置にあり、本体部Daの下面を部品Dの下面Ddと定義する。そして、部品Dの上面Deと下面Ddの差を、部品Dの部品厚さTdと定義する。
【0018】
次に、図3図4を参照して、部品実装装置M2の構成を説明する。図4は、図3における実装ヘッドを含む部品実装装置M2の一部を模式的に示している。部品実装装置M2は、部品供給部から供給された部品Dを基板Bに装着する部品実装作業を実行する機能を有する。また、部品実装装置M2は、基板Bに接着剤を塗布する機能をさらに有している。すなわち、部品実装装置M2は、接着剤塗布装置M1と連結することなく、基板Bに接着剤を塗布して部品Dを装着することができる。
【0019】
図3において、基台4の中央には、基板搬送機構5がX軸に沿って配置されている。基板搬送機構5は、上流から搬送された基板Bを、実装作業位置に搬入して位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品実装作業が完了した基板Bを下流に搬出する。基板搬送機構5の一方側(Y軸方向の前側)には、部品供給部6が配置されている。部品供給部6には、複数のテープフィーダ7とトレイフィーダ8がX軸に沿って並列に装着されている。
【0020】
テープフィーダ7は、部品Dを格納するポケットが形成された部品テープを部品供給部6の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッドによって部品Dが取り出される部品供給位置に部品Dを供給する。トレイフィーダ8は、複数の部品Dを並べて格納するトレイ10を載置するパレット9を部品供給位置に移動させて、トレイ10の部品Dを供給する。
【0021】
図3において、基台4の上面においてX軸方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル11がY軸に沿って配置されている。Y軸テーブル11には、同様にリニア駆動機構を備えた前側ビーム12Aと後側ビーム12Bが、Y軸に沿って移動自在にそれぞれ結合されている。前側ビーム12Aと後側ビーム12Bは、X軸に沿って配置されている。前側ビーム12Aには、前側プレート12AaがX軸に沿って移動自在に装着されている。前側プレート12Aaには、実装ヘッド13が装着されている。
【0022】
図3図4において、実装ヘッド13は、複数(ここでは4基)の吸着ユニット14を備えている。それぞれの吸着ユニット14が備えるシャフトの下端部にはノズル13aが装着されている。ノズル13aは、吸着面13bに部品Dを吸着して保持する。各吸着ユニット14は、シャフトを上下方向(Z軸方向)に昇降させ(矢印a)、また、Z軸回りにθ回転させることにより、ノズル13aを昇降させ、θ回転させる機能を備えている。
【0023】
また、各吸着ユニット14は、シャフトの高さを検出するエンコーダ14aを備えている。エンコーダ14aの出力から、ノズル13aのノズル高さHnが検出される。このように、吸着ユニット14は、ノズル13aを所定の回転角度にθ回転させ、予め設定された装着条件に従ってノズル13aをZ軸方向に下降させて、ノズル13aが保持する部品Dを基板Bの装着位置Pに実装する。
【0024】
図3において、後側ビーム12Bには、後側プレート12BaがX軸に沿って移動自在に装着されている。後側プレート12Baには、塗布ヘッド16が装着されている。塗布ヘッド16は、予め設定された塗布条件に従って基板Bの上面に接着剤Cを塗布するディスペンサ17を備えている(図7参照)。
【0025】
図3において、Y軸テーブル11および前側ビーム12Aは、実装ヘッド13をX軸方向とY軸方向に移動させる実装ヘッド移動機構15Aを構成する。実装ヘッド移動機構15Aおよび実装ヘッド13は、部品供給部6に配置されたテープフィーダ7またはトレイフィーダ8から部品Dをノズル13aによって吸着して取り出して、基板搬送機構5に位置決めされた基板Bの装着位置Pに装着する実装ターンを実行する。
【0026】
Y軸テーブル11および後側ビーム12Bは、塗布ヘッド16をX軸方向とY軸方向に移動させる塗布ヘッド移動機構15Bを構成する。塗布ヘッド移動機構15Bおよび塗布ヘッド16は、基板搬送機構5に位置決めされた基板Bの装着位置Pまたは装着位置Pの近傍に接着剤Cを塗布する接着剤塗布作業を実行する。
【0027】
図3図4において、実装ヘッド13が取り付けられた前側プレート12Aaにはヘッドカメラ19が取り付けられている。ヘッドカメラ19は、実装ヘッド13と一体的に移動する。実装ヘッド13が移動することにより、ヘッドカメラ19は基板搬送機構5に位置決めされた基板Bの上方に移動し、基板Bに設けられた基板マーク(図示省略)を撮像する。撮像結果からは、基板Bの位置が認識される。
【0028】
部品供給部6と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ20が配置されている。部品供給部6から部品Dを取り出した実装ヘッド13が部品認識カメラ20の上方を移動する際に、部品認識カメラ20は実装ヘッド13に保持された部品Dを撮像する(図8参照)。撮像結果からは、部品Dの保持姿勢が認識される。実装ヘッド13による基板Bへの部品実装動作においては、部品認識カメラ20による部品Dの認識結果と、ヘッドカメラ19による基板位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0029】
図3図4において、実装ヘッド13の一側方には、実装ヘッド移動機構15Aによって実装ヘッド13と一体的に移動するレーザ変位センサなどの高さセンサ18(距離センサ)が設置されている。高さセンサ18は、レーザ光を下方に向けて投射するレーザ光源と、レーザ光源が投射したレーザ光の反射光を受光する受光素子を含んで構成される。高さセンサ18は、高さセンサ計測処理部41(図5参照)により制御されており、レーザ光の投射と受光を行い、三角測量の原理で計測対象までの距離を導出する。高さセンサ18は、基板Bが基板搬送機構5によって保持された状態において、基板Bの上面Baまでの距離を計測して、基板高さHbを計測する。
【0030】
図3において、部品実装装置M2において作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネルIが設置されている。タッチパネルIは、その表示部にエラー情報などの各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置M2の操作を行う。
【0031】
次に、図3図4を参照して、基板搬送機構5の詳細な構成について説明する。基板搬送機構5は、X軸方向に延伸する一対の板状部材23の内側に、一対の搬送コンベア24が設置されている。搬送コンベア24は、図示省略するモータで駆動される搬送ベルトによって、基板Bの両端を下方から支持してX軸方向に搬送する。一対の板状部材23の上端には、それぞれ搬送コンベア24の上方に張り出す押え板21が設置されている。押え板21の下面と搬送コンベア24の上面との間隔は、搬送コンベア24によって搬送される基板Bの厚さより広くなっている。
【0032】
実装作業位置に搬送される基板Bの下方には、シリンダ25によって昇降する(矢印b)下受け部材22が設置されている。基板搬送機構5は、基板Bを実装作業位置に位置決めし、下受け部材22を上昇させて基板Bを搬送コンベア24から持ち上げて基板Bの両縁部を押え板21の下面で上から押さえ込むことによって、基板Bを実装作業位置に保持する(図4に示す状態)。基板搬送機構5は、基板Bを搬送する際は、下受け部材22を基板Bの下面と干渉しない位置まで下降させて基板Bを解放する。
【0033】
次に、図8を参照して、部品認識カメラ20の構成について説明する。部品認識カメラ20の筐体26の上部には、筐体26の一部を切り欠いて透明板27が設置されている。筐体26の内部には中央カメラユニット29、左側カメラユニット28L、右側カメラユニット28Rが設置されている。中央カメラユニット29、左側カメラユニット28L、右側カメラユニット28Rは、撮像高さHeに位置するノズル13aに保持された部品Dの下面Ddを撮像できるように配置されている。
【0034】
中央カメラユニット29は、光軸29aを上方に向けて設置されており、撮像対象の部品Dを下方から撮像する。左側カメラユニット28Lは、中央カメラユニット29に対してX軸方向の左側(基板搬送方向の上流)に配置されている。左側カメラユニット28Lは、光軸28Laを右上方に向けて設置されており、撮像対象の部品Dを左下方から撮像する。右側カメラユニット28Rは、中央カメラユニット29に対してX軸方向の右側(基板搬送方向の下流)に配置されている。右側カメラユニット28Rは、光軸28Raを左上方に向けて設置されており、撮像対象の部品Dを右下方から撮像する。
【0035】
左側カメラユニット28Lの光軸28Laと右側カメラユニット28Rの光軸28Raは、ノズル13aに保持された部品Dの下面Ddが位置する撮像高さHeを含む範囲で交わるように設定されている。左側カメラユニット28Lが撮像した部品Dの画像と右側カメラユニット28Rが撮像した部品Dの画像の視差より、部品Dの下面Ddが位置する撮像高さHeが検出される。すなわち、左側カメラユニット28Lと右側カメラユニット28Rは、ノズル13aに保持された部品Dの撮像高さHeを検出するステレオカメラを構成する。
【0036】
次に図5を参照して、部品実装装置M2の制御系の構成について説明する。部品実装装置M2が備える制御装置30には、基板搬送機構5、テープフィーダ7、トレイフィーダ8、実装ヘッド13、実装ヘッド移動機構15A、塗布ヘッド16、塗布ヘッド移動機構15B、高さセンサ18、ヘッドカメラ19、部品認識カメラ20、タッチパネルIが接続されている。制御装置30は、記憶部31、ノズル高さ計測処理部40、高さセンサ計測処理部41、接着剤塗布処理部42、部品厚さ計測処理部43、実装制御部44、接着剤厚さ算出部45、条件変更部46を備えている。
【0037】
記憶部31は記憶装置であり、生産データ32、部品データ33、接着剤データ34、塗布条件データ35、装着条件データ36、基板高さデータ37、部品厚さデータ38、部品高さデータ39などを記憶する。生産データ32には、部品Dを基板Bに装着する装着位置P毎に、部品Dの装着順番、部品装着座標(X座標、Y座標、部品方向)、部品Dの部品名(種類)、部品Dを吸着するノズル13aの種類とサイズ(長さ)などが記憶されている。部品データ33には、部品Dの部品名毎に、部品Dのサイズ、形状、部品Dにおけるノズル13aの正規の吸着目標位置、吸着目標位置と部品装着座標とのオフセット値などが記憶されている。
【0038】
図5において、接着剤データ34には、基板Bの上面Baと基板Bに装着された部品Dの下面Ddの間の接着剤Cの接着剤厚さTc(図10(a)参照)の目標値、許容範囲などが記憶されている。塗布条件データ35には、ディスペンサ17が接着剤Cを吐出する吐出速度、接着剤Cを塗布している塗布ヘッド16の移動速度、接着剤Cの塗布面積など、塗布ヘッド16が基板Bに塗布する接着剤Cの塗布量に関する制御パラメータが記憶されている。装着条件データ36には、ノズル13aが部品Dを基板Bに押し付ける押圧時間、装着荷重など、部品Dを基板Bに装着する際の制御パラメータが記憶されている。
【0039】
ノズル高さ計測処理部40は、実装ヘッド13が備える吸着ユニット14のエンコーダ14aの出力信号と、吸着ユニット14の装着されているノズル13aのサイズ(長さ)に基づいて、ノズル13aの吸着面13bの高さ(ノズル高さHn)を計測する(図4図9(a))。すなわち、実装ヘッド13とノズル高さ計測処理部40は、ノズル13aの吸着面13bの高さ(ノズル高さHn)を計測するノズル高さ計測手段47を構成する。
【0040】
図5において、高さセンサ計測処理部41は、実装ヘッド移動機構15Aを制御して高さセンサ18を所定の計測位置の上方に移動させ、高さセンサ18の出力信号に基づいて、高さセンサ18の下方に位置する基板Bの上面Baの高さ(基板高さHb)や(図6(a))、基板Bに装着された部品Dの上面Deの高さ(部品高さHd)を計測する(図10(a))。このように、実装ヘッド移動機構15A、高さセンサ18、高さセンサ計測処理部41は、所定の計測位置の高さを計測する高さセンサ計測手段48を構成する。
【0041】
すなわち、高さセンサ計測手段48は、基板Bの上面Baの装着位置Pの基板高さHbを計測する基板高さ計測手段であり(図6(a))、また、基板Bに装着された部品Dの上面Deの部品高さHdを計測する部品高さ計測手段でもある(図10(a))。言い換えると、基板高さ計測手段と部品高さ計測手段は、同じ高さ計測部(高さセンサ18)で基板高さHbと部品高さHdを計測する。計測された基板高さHbは、基板高さデータ37として記憶部31に記憶される。また、計測された部品高さHdは、部品高さデータ39として記憶部31に記憶される。
【0042】
図5において、接着剤塗布処理部42は、塗布条件データ35に含まれる塗布条件に基づいて塗布ヘッド移動機構15Bと塗布ヘッド16を制御して、基板Bの上面Baにディスペンサ17が吐出する接着剤Cを塗布させる。すなわち、塗布ヘッド移動機構15B、塗布ヘッド16、接着剤塗布処理部42は、基板Bの上面Baの装着位置Pまたは装着位置Pの近傍に所定の塗布条件で接着剤Cを塗布する接着剤塗布手段49を構成する。
【0043】
図5において、部品厚さ計測処理部43は、部品認識カメラ20の左側カメラユニット28Lと右側カメラユニット28R(ステレオカメラ)の撮像画像に基づいて、ノズル13aが保持する部品Dの下面Ddの高さ(撮像高さHe)を検出する(図8)。さらに、部品厚さ計測処理部43は、ノズル高さ計測手段47が検出したノズル高さHnと撮像高さHeの差から部品Dの部品厚さTdを算出する。すなわち、部品認識カメラ20と部品厚さ計測処理部43は、ノズル13aが保持した部品Dの部品厚さTdを計測する部品厚さ計測手段50を構成する。
【0044】
計測された部品厚さTdは、部品厚さデータ38として記憶部31に記憶される。なお、記憶部31は、部品Dを部品テープやトレイ10に格納する前に計測された部品厚さTdを部品厚さデータ38として記憶するようにしてもよい。また、記憶部31は、部品Dの部品厚さTdのカタログ値を部品厚さデータ38として記憶するようにしてもよい。なお、部品厚さ計測手段50は、部品Dを側方から撮像するカメラを備え、カメラの撮像画像から部品厚さTdを算出する構成であってもよい。
【0045】
図5において、実装制御部44は、生産データ32と装着条件データ36に含まれる装着条件に基づいて、実装ヘッド13の吸着ユニット14と実装ヘッド移動機構15Aを制御して、部品供給部6からノズル13aで部品Dを取り出させ、ノズル13aを接着剤Cが塗布された基板Bの上方に移動させ、部品Dを保持したノズル13aを下降させて、装着位置Pに部品Dを装着させる(図9)。実装制御部44は、部品Dを基板Bに装着する際に、ノズル13aによって装着条件で指定された装着荷重Fにより押圧時間だけ部品Dを基板Bに押し付けさせる。部品Dが基板Bに押し付けられる過程で、基板Bに塗布された接着剤Cは潰されて横に広がり、所定の接着剤厚さTcとなる。
【0046】
接着剤厚さ算出部45は、基板高さデータ37に含まれる部品Dが装着された装着位置Pの基板高さHb、部品厚さデータ38に含まれる部品厚さTd、部品高さデータ39に含まれる基板Bに装着された部品Dの部品高さHdに基づいて、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを算出する。すなわち、基板高さ計測手段(高さセンサ計測手段48)、部品厚さ計測手段50、部品高さ計測手段(高さセンサ計測手段48)は、接着剤厚さ検出手段51を構成する。
【0047】
なお、部品高さHdは、基板Bに装着された部品Dの上面Deにノズル13aを下降させて当接させ、この時にノズル高さ計測手段47が計測したノズル高さHnを部品高さHdとしてもよい。この場合、部品Dの上面Deに当接するノズル13aの吸着面13bの高さ(ノズル高さHn)に基づいて、部品高さHdを計測するノズル高さ計測手段47は、部品高さ計測手段となる。
【0048】
図5において、接着剤厚さ検出手段51は、計測された部品高さHd、計測された基板高さHb、計測された部品厚さTdもしくは部品厚さTdのカタログ値に基づいて、接着剤厚さTcを算出する。なお、接着剤厚さ検出手段51は、基板Bに装着された部品Dを斜め側方から撮像するカメラを備え、カメラの撮像画像中の基板Bの上面Baと部品Dの下面Ddの間の隙間の長さから部品厚さTdを検出する構成であってもよい。また、部品実装システム1は、部品高さ計測手段を部品実装装置M2の下流の実装検査装置(図示省略)が備え、接着剤厚さ検出手段51は、実装検査装置が算出した部品高さHdに基づいて、接着剤厚さTcを算出する構成であってもよい。
【0049】
接着剤厚さ検出手段51は、部品Dを基板Bに装着する毎に接着剤厚さTcを検出する他、所定の時間毎(例えば、5分毎、部品Dを10個装着する毎)に接着剤厚さTcを検出するようにしてもよい。また、接着剤厚さ検出手段51は、検出される接着剤厚さTcの変動が小さくなると、検出する間隔を長くするようにしてもよい。
【0050】
図5において、条件変更部46は、検出された接着剤厚さTcが接着剤データ34に含まれる許容範囲(所定の範囲)を超過すると、塗布条件データ35の塗布条件、装着条件データ36の装着条件の少なくともいずれかを変更する。例えば、条件変更部46は、塗布条件のうち、基板Bに塗布する接着剤Cの塗布量に関する制御パラメータを変更して、塗布条件データ35を更新させる。また、条件変更部46は、装着条件のうち、部品Dを基板Bに装着する際にノズル13aが部品Dを基板Bに押し付ける押圧時間、装着荷重に関する制御パラメータの少なくともいずれかを変更して、装着条件データ36を更新させる。
【0051】
次に、図11のフローに沿って、図面を参照しながら部品Dをノズル13aで吸着して基板Bに装着する部品実装方法の第1実施例について説明する。第1実施例は、図1に示す接着剤塗布装置M1(接着剤塗布手段)と部品実装装置M2を備える部品実装システム1によって実行される。まず、接着剤塗布装置M1は、所定の塗布条件で上流から搬入された基板Bの上面Baの装着位置Pまたは装着位置Pの近傍に接着剤Cを塗布する(ST1:第1の接着剤塗布工程)(図7)。次いで部品実装装置M2の基板搬送機構5は、接着剤Cが塗布された基板Bを実装作業位置まで搬入し(ST2:基板搬入工程)、下受け部材22を上昇させて押え板21で挟んで基板Bを保持する(ST3:基板保持工程)。
【0052】
次いで基板高さ計測手段(高さセンサ計測手段48)は、高さセンサ18で基板Bの上面Baの装着位置Pの基板高さHbを計測する(ST4:基板高さ計測工程)(図6)。次いでノズル13aは、部品供給部6に供給された部品Dを保持する(ST5:部品保持工程)。次いで部品厚さ計測手段50は、ステレオカメラ(部品認識カメラ20)でノズル13aが保持した部品Dの部品厚さTdを計測する(ST6:部品厚さ計測工程)(図8)。次いで部品Dを保持したノズル13aは、上面Baの装着位置Pに接着剤Cが塗布された基板Bの上方に移動する(ST7:ノズル移動工程)。
【0053】
図11において、次いで実装制御部44は、部品Dを保持したノズル13aを下降させて、装着位置Pに所定の装着条件で部品Dを装着させる(ST8:部品装着工程)(図9)。次いで部品高さ計測手段(高さセンサ計測手段48)は、基板Bに装着された部品Dの部品高さHdを計測し(図10)、接着剤厚さ検出手段51は、基板高さHb、部品厚さTd、部品高さHdに基づいて、基板Bの上面Baと基板Bに装着された部品Dの下面Ddの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを検出(算出)する(ST9:接着剤厚さ検出工程)。
【0054】
次いで条件変更部46は、接着剤厚さTcが許容範囲(所定の範囲)内にあるか否かを判断する(ST10:許容範囲判断工程)。接着剤厚さTcが許容範囲を超える場合(ST10においてNo)、条件変更部46は、接着剤厚さTcに基づいて、塗布条件、装着条件の少なくともいずれかを変更する(ST11:条件変更工程)。接着剤厚さTcが許容範囲内にある場合(ST10においてYes)、条件変更部46は、塗布条件と装着条件のいずれも変更しない。
【0055】
次いで全ての部品Dを基板Bに装着するまで(ST12においてNo)、基板高さ計測工程(ST4)から条件変更工程(ST11)が繰り返し実行される。全ての部品Dを基板Bに装着すると(ST12においてYes)、基板搬送機構5は基板Bを解放し(ST13:基板解放工程)、部品Dが装着された基板Bを下流に搬出する(ST14:基板搬出工程)。これによって、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを適切に管理することができる。
【0056】
なお、上記では部品Dを装着する毎に基板高さ計測工程(ST4)が実行される形態で説明したが、基板高さ計測工程(ST4)で基板Bの全ての装着位置Pの基板高さHbを計測した後に、部品保持工程(ST5)から条件変更工程(ST11)を繰り返す形態であってもよい。
【0057】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装システム1は、基板Bの上面Baの装着位置Pに所定の塗布条件で接着剤Cを塗布する接着剤塗布手段(接着剤塗布装置M1)と、部品Dを保持するノズル13aを有し、基板Bの上方に移動し、部品Dを保持したノズル13aを下降させて、装着位置Pに所定の装着条件で部品Dを装着する実装ヘッド13と、基板Bの上面Baと基板Bに装着された部品Dの下面Ddの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを検出する接着剤厚さ検出手段51と、接着剤厚さTcに基づいて、塗布条件、装着条件の少なくともいずれかを変更する条件変更部46と、を備える。これによって、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを適切に管理することができる。
【0058】
次に、図12のフローに沿って、図面を参照しながら部品Dをノズル13aで吸着して基板Bに装着する部品実装方法の第2実施例について説明する。第2実施例は、接着剤塗布装置M1に代わり、部品実装装置M2の接着剤塗布手段49が基板Bに接着剤Cを塗布するところが第1実施例とは異なる。すなわち、第2実施例は、部品実装装置M2単体で実行される。以下、第1実施例と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0059】
まず、基板搬入工程(ST2)、基板保持工程(ST3)、基板高さ計測工程(ST4)が実行される。次いで接着剤塗布手段49が、所定の塗布条件で基板Bの上面Baの装着位置Pまたは装着位置Pの近傍にディスペンサ17から吐出させた接着剤Cを塗布する(ST21:第2の接着剤塗布工程)(図7)。次いで部品保持工程(ST5)から条件変更工程(ST11)が実行される。次いで全ての部品Dを基板Bに装着するまで(ST12においてNo)、基板高さ計測工程(ST4)から条件変更工程(ST11)が繰り返し実行される。全ての部品Dを基板Bに装着すると(ST12においてYes)、基板解放工程(ST13)、基板搬出工程(ST14)が実行される。これによって、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを適切に管理することができる。
【0060】
なお、上記では部品Dを装着する毎に基板高さ計測工程(ST4)と第2の接着剤塗布工程(ST21)が実行される形態で説明したが、基板高さ計測工程(ST4)で基板Bの全ての装着位置Pの基板高さHbを計測し、第2の接着剤塗布工程(ST21)で全ての装着位置Pまたは装着位置Pの近傍に接着剤Cを塗布した後に、部品保持工程(ST5)から条件変更工程(ST11)を繰り返す形態であってもよい。
【0061】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置M2は、部品を保持するノズルを有し、上面Baの装着位置Pに接着剤Cが塗布された基板Bの上方に移動し、部品Dを保持したノズル13aを下降させて、装着位置Pに所定の装着条件で部品Dを装着する実装ヘッド13と、基板Bの上面Baと基板Bに装着された部品Dの下面Ddの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを検出する接着剤厚さ検出手段51と、接着剤厚さTcに基づいて、装着条件を変更する条件変更部46と、を備える。これによって、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを適切に管理することができる。
【0062】
次に、図13図14のフローに沿って、図面を参照しながら部品Dをノズル13aで吸着して基板Bに装着する部品実装方法の第3実施例について説明する。第3実施例は、ノズル13aが部品Dを基板Bに押し付ける押圧時間が不足していた場合に、追加で部品Dを基板Bに押し付けるところが第2実施例と異なる。以下、第1実施例、第2実施例と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0063】
図13において、まず、基板搬入工程(ST2)からノズル移動工程(ST7)が実行される。この時点で、部品Dを保持したノズル13aは、接着剤Cが塗布された基板Bの装着位置Pの上方に移動している。
【0064】
図14において、次いで実装制御部44は、部品Dを保持したノズル13aを下降させて、部品Dを所定の押圧時間だけ基板Bに押し付ける(ST22:部品押圧工程)(図9)。次いで接着剤厚さ検出工程(ST9)が実行され、実装制御部44は、接着剤厚さTcが接着剤データ34に含まれる接着剤厚さTcの目標値に到達したか否かを判断する(ST23:接着剤厚さ判断工程)。接着剤厚さTcが目標値に到達していない場合(ST23においてNo)、実装制御部44は、ノズル13aを下降させて、基板Bに装着されている部品Dを所定の追加押圧時間だけ基板Bに押し付ける(ST24:部品追加押圧工程)(図9)。
【0065】
次いで接着剤厚さ検出工程(ST9)が実行され、実装制御部44は、接着剤厚さTcが接着剤厚さTcの目標値に到達したか否かを判断する(ST25:接着剤厚さ追加判断工程)。接着剤厚さTcが目標値に到達していない場合(ST25においてNo)、再度、部品追加押圧工程(ST24)が実行される。接着剤厚さTcが目標値に到達すると(ST25においてYes)、条件変更工程(ST11)が実行される。部品押圧工程(ST22)の押圧時間で接着剤厚さTcが目標値に到達していた場合(ST23においてYes)、条件変更工程(ST11)は実行されない。
【0066】
図14において、次いで全ての部品Dを基板Bに装着するまで(ST12においてNo)、基板高さ計測工程(ST4)から条件変更工程(ST11)が繰り返し実行される。全ての部品Dを基板Bに装着すると(ST12においてYes)、基板解放工程(ST13)、基板搬出工程(ST14)が実行される。これによって、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを適切に管理することができる。
【0067】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装方法の第3実施例は、ノズル13aが部品Dを所定の押圧時間だけ基板Bに押し付けた後(ST22の後)、接着剤厚さ検出手段51が検出した接着剤厚さTcが目標値(所定の厚さ)に到達していない場合(ST23においてNo)、さらに、ノズル13aが部品Dを所定の追加押圧時間だけ基板Bに押し付ける(ST24)。そして、接着剤厚さTcが目標値に到達すると(ST25においてYes)、条件変更部46は、塗布条件、装着条件の少なくともいずれかを変更する(ST11)。具体的には、条件変更部46は、装着条件の押圧時間の目標値を、追加押圧時間を追加した時間に変更する。これによって、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを適切に管理することができる。
【0068】
次に、図15図16のフローに沿って、図面を参照しながら部品Dをノズル13aで吸着して基板Bに装着する部品実装方法の第4実施例について説明する。第4実施例は、ノズル13aが部品Dを基板Bに押し付けている間に接着剤厚さTcを算出するところが第2実施例と異なる。以下、第1実施例、第2実施例と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0069】
図15において、まず、基板搬入工程(ST2)からノズル移動工程(ST7)が実行される。この時点で、部品Dを保持したノズル13aは、接着剤Cが塗布された基板Bの装着位置Pの上方に移動している。
【0070】
図16において、次いで実装制御部44は、部品Dを保持したノズル13aの装着位置Pに向けた下降を開始させる(ST31:ノズル下降開始工程)。次いでノズル高さ計測手段47は、ノズル13aの吸着面13bの高さ(ノズル高さHn)を計測する(ST32:ノズル高さ計測工程)(図9)。次いで接着剤厚さ算出部45は、ノズル高さHn、基板高さHb、部品厚さTdに基づいて、接着剤厚さTcを算出する(ST33:接着剤厚さ算出工程)。
【0071】
次いで実装制御部44は、算出された接着剤厚さTcが接着剤データ34に含まれる接着剤厚さTcの目標値に到達したか否かを判断する(ST34:接着剤厚さ判断工程)。接着剤厚さTcの目標値に到達していない場合(ST34においてNo)、実装制御部44は、予め設定された押圧時間を経過したか否かを判断する(ST35:押圧時間経過判断工程)。押圧時間を経過していない場合(ST35においてNo)、ノズル13aは部品Dの押し下げを継続し、ノズル高さ計測工程(ST32)が実行される。
【0072】
図16において、押圧時間を経過した場合(ST35においてYes)、実装制御部44は、タッチパネルIにエラーを報知させる(ST36:エラー報知工程)。すなわち、タッチパネルIと実装制御部44は、予め設定された押圧時間だけノズル13aが基板Bに部品Dを押し付けても設定された接着剤厚さTcに到達しない場合に(ST35においてYes)、エラーを報知する報知手段を構成する。
【0073】
接着剤厚さTcが目標値に到達すると(ST34においてYes)、実装制御部44はノズル13aを上昇させる(ST37:ノズル上昇工程)。このように、ノズル下降開始工程(ST31)からノズル上昇工程(ST37)の開始前は、部品Dを保持したノズル13aを下降させて、装着位置Pに部品Dを押し付ける部品押し付け工程(ST38)である。そして、ノズル高さ計測工程(ST32)は、部品押し付け工程(ST38)中に実行される。
【0074】
図15図16において、次いで全ての部品Dを基板Bに装着するまで(ST12においてNo)、基板高さ計測工程(ST4)からノズル上昇工程(ST37)が繰り返し実行される。全ての部品Dを基板Bに装着すると(ST12においてYes)、基板解放工程(ST13)、基板搬出工程(ST14)が実行される。これによって、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを適切に管理することができる。
【0075】
上記説明したように、本実施の形態の部品Dをノズル13aで吸着して基板Bに装着する部品実装方法の第4実施例は、基板Bの上面Baの装着位置Pの基板高さHbを計測する基板高さ計測工程(ST4)と、ノズル13aで部品Dを保持する部品保持工程(ST5)と、部品Dを保持したノズル13aを装着位置Pまたは装着位置Pの近傍に接着剤Cが塗布された基板Bの上方に移動させるノズル移動工程(ST7)と、部品Dを保持したノズル13aを下降させて、装着位置Pに部品Dを押し付ける部品押し付け工程(ST38)と、部品押し付け工程(ST38)中にノズル13aの吸着面13bの高さ(ノズル高さHn)を計測するノズル高さ計測工程(ST32)と、を含む。
【0076】
そして、部品押し付け工程(ST38)において、ノズル13aの吸着面13bの高さ(ノズル高さHn)が、計測された基板高さHbに部品Dの部品厚さTdと予め設定された接着剤Cの接着剤厚さTcに到達すると(ST34においてYes)、部品押し付け工程(ST38)を終了する。
【0077】
また、本実施の形態の部品実装装置M2(部品実装システム1)は、基板Bの上面Baの装着位置Pの基板高さHbを計測する基板高さ計測手段(高さセンサ計測手段48)と、部品Dを保持するノズル13aを有し、装着位置Pまたは装着位置Pの近傍に接着剤Cが塗布された基板Bの上方に移動し、部品Dを保持したノズル13aを下降させて、装着位置Pに所定の装着条件で部品Dを装着する実装ヘッド13と、ノズル13aの吸着面13bの高さ(ノズル高さHn)を検出するノズル高さ計測手段47と、を備える。
【0078】
そして、実装ヘッド13は、基板Bに部品Dを押し付けているノズル13aの吸着面13bの高さ(ノズル高さHn)が、計測された基板高さHbに部品Dの部品厚さTdと予め設定された接着剤Cの接着剤厚さTcを合算した高さに到達すると、ノズル13aの下降を停止させる。これによって、基板Bと部品Dの間の接着剤Cの接着剤厚さTcを適切に管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法は、基板と部品の間の接着剤の厚さを適切に管理することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 部品実装システム
13 実装ヘッド
13a ノズル
13b 吸着面
18 高さセンサ(高さ計測部)
47 ノズル高さ計測手段(部品高さ計測手段)
48 高さセンサ計測手段(基板高さ計測手段、部品高さ計測手段)
49 接着剤塗布手段
50 部品厚さ計測手段
51 接着剤厚さ検出手段
B 基板
Ba 上面
C 接着剤
D 部品
Dd 下面
De 上面
Hb 基板高さ
Hd 部品高さ
Hn ノズル高さ(吸着面の高さ)
M1 接着剤塗布装置(接着剤塗布手段)
M2 部品実装装置
P 装着位置
Tc 接着剤厚さ
Td 部品厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16