IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-決済端末 図1
  • 特許-決済端末 図2
  • 特許-決済端末 図3
  • 特許-決済端末 図4
  • 特許-決済端末 図5
  • 特許-決済端末 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】決済端末
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20241129BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20241129BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20241129BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G06K7/00 004
G06K7/00 021
G06K7/08 040
G06K7/10 264
G06K7/00 065
G06K7/10 232
G07G1/00 301Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023111001
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2019163913の分割
【原出願日】2019-04-24
(65)【公開番号】P2023134571
(43)【公開日】2023-09-27
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】安冨 謙也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 文三
(72)【発明者】
【氏名】後藤 剛史
(72)【発明者】
【氏名】高梨 忠之
(72)【発明者】
【氏名】下出 亜基人
(72)【発明者】
【氏名】南 竜太
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-028758(JP,A)
【文献】特開2015-114788(JP,A)
【文献】特開2016-103190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00
G06K 7/08
G06K 7/10
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済端末であって、
前記決済端末の載置面から高さ方向に、前記載置面の近くから順に、接触型ICカード決済用スロット及び、非接触型決済用のタッチ領域を有する面が配置され、
前記非接触型決済用のタッチ領域を有する面は、上向きであり、非接触型決済で使用されるアンテナが設けられ、
前記タッチ領域を有する面の中心を第1の点とし、前記第1の点から、前記載置面に下した垂線を第1の線とし、
前記接触型ICカード決済用スロットに対して利用者が正面に対峙した場合を想定して、前記タッチ領域を有する面の中心から前記タッチ領域を有する面の面上に沿って前記利用者の方向に伸ばした想像線が前記タッチ領域を有する面の縁と交差する位置を第2の点とし、前記第2の点から、前記載置面に下した垂線を第2の線とし、
前記接触型ICカード決済用スロットに対して前記利用者が正面に対峙した場合に、前記接触型ICカード決済用スロットが、前記利用者から見て前記タッチ領域を有する面の幅の内側にあり、且つ、前記第1の線と前記第2の線との間に位置する、
決済端末。
【請求項2】
請求項1に記載の決済端末であって、
非接触型決済用のタッチ領域内に、表示画面を有し、前記アンテナが前記表示画面の周囲に配置される、
決済端末。
【請求項3】
請求項1または2に記載の決済端末であって、
前記接触型ICカード決済用スロットによる接触型ICカード決済及び、前記非接触型決済が同時に待ち受け可能な、
決済端末。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の決済端末であって、
前記接触型ICカード決済用スロットに対して利用者が正面に対峙した場合に、前記非接触型決済用のタッチ領域を有する面の向きは、前記利用者に向かって斜め上方である、
決済端末。
【請求項5】
請求項4に記載の決済端末であって、
前記決済端末を側面から見て、前記決済端末の上方を山形状とし、
前記山形状が第1面と第2面とを有し、
前記第1面が前記非接触型決済用のタッチ領域を有する面であり、
前記第2面が店舗側の操作面である、
決済端末。
【請求項6】
請求項5に記載の決済端末であって、
ロール紙を内部に収納可能であり、前記ロール紙の収納蓋を前記第2面とした、
決済端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、決済機能を有する携帯型決済端末であって、被記録媒体に印刷を行う印刷手段と、端末操作者が操作を行う操作手段と、非接触型IC媒体からの情報の読み取り、及び非接触型IC媒体への情報の書き込みを行う非接触型IC媒体読書手段と、磁気媒体から磁気情報を読み取る磁気情報読取手段と、符号を読み取る符号読取手段と、接触型IC媒体から情報を読み取る接触型媒体カード読取手段と、前記接触型IC媒体に対応する認証情報の入力操作を行う認証情報入力手段と、決済端末本体に対して電力を供給する電池が装着される電池装着部と、を決済端末本体に集約して一体的に設けた携帯型決済端末が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-185543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、キャッシュレス化の進展に伴い、店舗等で用いる決済手段が多様化している。決済手段には、例えば、磁気カードを用いたクレジット決済、接触型ICカードによる決済、及び、カードやスマートフォン端末等(以下、「カード等」と略記することがある)による非接触決済、等が含まれる。
【0005】
店舗等のカウンター上には、キャッシュレジスタや販売品、販促品等の、決済端末以外の物も配置される。その結果、カウンターの自由なスペースは圧迫される。省スペースの観点から、上述の複数の決済手段を集約した決済端末を実現できれば好適である。また、決済端末自体も小型化を求められる。
【0006】
複数の方式による決済を実行可能な決済端末は多々存在する。しかしその決済端末が、非接触による決済機能と、その他の決済機能とを同時に備えている場合には、以下に述べるように、誤認識の問題が生じる。非接触決済に用いられるアンテナは、決済端末が有する所定の領域内にカードや端末が入った場合に、これに反応し、決済を行う為の処理がトリガされる。すると、利用者が非接触決済以外の決済方式(例えば磁気方式や、接触型IC方式)を用いて決済を行おうとした場合であっても、非接触決済の処理が先に実行されるおそれがある。すなわち、非接触型決済以外の決済方式を用いることを望む利用者の操作(特に、磁気カードのスワイプ操作等)に起因して、決済方式は非接触型決済であると、決済端末が誤認識する可能性がある。そこで、前記の誤認識を回避する為の工夫が必要となる。
【0007】
さらに、セキュリティ等の観点から、店舗の顧客等である利用者自身が、カード等を用いて決済操作をすることが望まれている。この観点から、上記複数の決済方式にそれぞれ相当するユーザーインタフェースは、利用者から見てわかりやすく、決済動作もスムーズであることが求められる。
【0008】
しかしながら、上述の小型化の要請、誤認識の回避、利用者にとっての分かりやすさ、および、決済動作のスムーズさを、同時に実現することは困難であった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、決済端末の小型化、誤認識の回避、利用者にとっての分かりやすさ、及び、決済動作のスムーズさを、同時に実現する決済端末を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
決済端末において、前記決済端末の載置面から高さ方向に、前記載置面の近くから順に、接触型ICカード決済用スロット及び、非接触型決済用のタッチ領域を有する面が配置され、前記非接触型決済用のタッチ領域を有する面は、上向きであり、非接触型決済で使用されるアンテナが設けられ、前記タッチ領域を有する面の中心を第1の点とし、前記第1の点から、前記載置面に下した垂線を第1の線とし、前記接触型ICカード決済用スロットに対して利用者が正面に対峙した場合を想定して、前記タッチ領域を有する面の中心から前記タッチ領域を有する面の面上に沿って前記利用者の方向に伸ばした想像線が前記タッチ領域を有する面の縁と交差する位置を第2の点とし、前記第2の点から、前記載置面に下した垂線を第2の線とし、前記接触型ICカード決済用スロットに対して前記利用者が正面に対峙した場合に、前記接触型ICカード決済用スロットが、前記利用者から見て前記タッチ領域を有する面の幅の内側にあり、且つ、前記第1の線と前記第2の線との間に位置する。
【0011】
上記構成であれば、接触型ICカード決済用スロット及び、非接触型決済用のタッチ領域を有する面を、決済端末の載置面からの垂直線上に、利用者側の方向に集約し、利用者側から見た場合のわかりやすさを実現することができる。また、各決済方式におけるカード等の操作方法(タッチ、挿入)が異なるので、利用者は各決済方式を混同することがなく、この観点からもわかりやすさを実現できる。
【0012】
さらに、上記の配置であれば、複数の決済方式に係るスロットや面が利用者側にまとめて配置されるので、小型化が実現できる。
【0013】
また、非接触型決済用のタッチ領域を有する面の向きは、利用者に向かって斜め上方であり、接触型ICカード決済用スロットは、非接触型決済用のタッチ領域から、載置面寄りに配置されている。すなわち、非接触型決済用のタッチ領域と、他の決済方式に係るスロットとが離されている。すると、利用者が、接触型ICカード決済用スロットを用いる場合には、非接触型決済用のタッチ領域よりも下へとカードを差し入れることになるため、上述の誤認識が生じない。
【0014】
また、決済端末の中の不要な空間が無くなり、不要な空間に、決済端末をハックする為の装置を埋め込む、等の不正が行われる余地がなくなるため、セキュリティの観点からの要請にも応えた決済端末を提供することができる。
【0015】
例えば上記のように、決済端末の小型化、誤認識回避、利用者にとっての分かりやすさ、及び決済動作のスムーズさを、同時に実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、決済端末の小型化、誤認識の回避、利用者にとっての分かりやすさ、及び、決済動作のスムーズさを、同時に実現する決済端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の決済端末1の実施形態を示す図であり、(a)上面図、(b)側面図、(c)正面図
図2図1に示した決済端末1における、磁気カード決済用スロット11の使用方法を示す図であり、(a)上面図、(b)側面図
図3図1に示した決済端末1における、接触型ICカード決済用スロット12の使用方法を示す図であり、(a)上面図、(b)側面図
図4図1に示した決済端末1における、非接触型決済の使用方法を示す図であり、(a)上面図、(b)側面図
図5図5は、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13を示す図であり、(a)構成を示す図、(b)アンテナの反応領域を示す図
図6図1に示した決済端末1における、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12のより特定的な配置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0019】
図1は、本開示の決済端末1の実施形態を示す図であり、(a)上面図、(b)側面図、(c)正面図である。
【0020】
本開示の決済端末1は本体10を有する。本体10は概して箱型の形状を呈する。図1には、決済端末1の前面1A、側面1B、側面1C、後面1Dが示されている。決済端末1は、決済を行う利用者が前面1A側からカード等を操作する。また、決済端末1は、店舗の従業員等が後面1D側から決済端末1を操作する。
【0021】
決済端末1は、利用者が複数の決済方式を選択することができる、複合タイプである。決済端末1は、店舗のカウンター上などの載置面α上に載置された状態で用いられる。
【0022】
前記載置面αから高さ方向に、この載置面αの近くから順に、磁気カード決済用スロット11、接触型ICカード決済用スロット12及び、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13が配置されている。すなわち、前記の3種類の決済方式のうち、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13は、載置面αから高さ方向に一番離れた箇所に設けられている。なお、他の決済方式に対応した手段を更に備えることを排除する意図はない。
【0023】
また、磁気カード決済用スロット11、接触型ICカード決済用スロット12及び、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13が、決済を行う利用者に対峙する前面1A側に、全て集まっている。前記構成であれば、利用者は眼前に並ぶ複数の決済方式のうちいずれかを選択すればよいので、利用者にとって分かりやすい。複数の決済方式が一か所に集まっているため、各決済方式における、図2から図4に基づき後述するような決済動作が、スムーズになる。
【0024】
図1に示された、側面13S、第2面14及び開口部Hについては、後述する。
【0025】
図2は、図1に示した決済端末1における、磁気カード決済用スロット11の使用方法を示す図であり、(a)上面図、(b)側面図である。決済端末1の前面1A(正面)に対峙した利用者は、図2(a)に示した、載置面αに略平行である方向wに磁気カードC1をスワイプする。
【0026】
磁気カードC1は、磁気ストライプC11を少なくとも1つ備えている。一方、磁気カード決済用スロット11は磁気ヘッド111を備えている。この磁気ヘッド111に前記磁気ストライプC11を接触させることにより、決済端末1と磁気カードC1との間でデータの読み書きが行われる。
【0027】
ここで、後述の接触型ICカード決済用スロット12に対して利用者が正面に対峙した場合に、磁気カード決済用スロット11の向きは利用者側に向いている。かつ、磁気カード決済用スロット11は、載置面αと平行な方向から斜め上方へと延びている。従って、利用者が磁気カード決済用スロット11に磁気カードを利用者から見て右から左方向(図2(a)の方向w)にスワイプする際、利用者が磁気カードC1を把持した位置よりも、磁気カードC1の磁気ヘッド111が載置面α近くに位置することになる。前記構成により、利用者は、磁気カードC1を把持する手を載置面αに衝突させることなく、スムーズにスワイプ操作を行うことができる。
【0028】
図3は、図1に示した決済端末1における、接触型ICカード決済用スロット12の使用方法を示す図であり、(a)上面図、(b)側面図である。利用者は、図3(a)に示した、載置面αに略平行である方向vに、接触型であるICカードC2を挿入する。ICカードC2は、ICチップの端子C21を備えている。一方、図示は省略するが、接触型ICカード決済用スロット12は、内部に設けられたコネクタピンを備えている。ICチップの端子C21が該コネクタピンと接触し、決済端末1とICカードC2との間でデータの読み書きが行われる。
【0029】
ここで、図2図3とを比較すると、磁気カードC1のスワイプ方向である方向wと、接触型であるICカードC2の挿入方向であるvとのなす角は、略直角となっている。すなわち、接触型ICカード決済用スロット12へのカード挿入方向と、磁気カード決済用スロット11への磁気カードのスワイプ方向とが略直角方向となるよう、接触型ICカード決済用スロット12及び磁気カード決済用スロット11が配置されている。
【0030】
なお、略直角は厳密に直角(90度)でなくともよく、例えば90度±10度程度の角度であってもよい。異なる決済方式において、利用者がカード(C1、C2)を動かす方向が大きく異なっていることにより、利用者は複数の決済方式を混同せず、所望の決済方法で適切に決済を行うことができる。
【0031】
また、接触型ICカード決済用スロット12は、接触型であるICカードC2の挿入時に利用者の手が載置面αに衝突しないように、載置面αからある程度の高さに配置されている。
【0032】
図4は、図1に示した決済端末1における、非接触型決済の使用方法を示す図であり、(a)上面図、(b)側面図である。図5は、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13を示す図であり、(a)構成を示す図、(b)アンテナの反応領域を示す図である。
【0033】
上述のように、決済端末1は非接触型決済用のタッチ領域を有する面13を示している。図4に示すように、利用者は、非接触決済に用いられるカードC3を、面13に近づける、もしくはタッチすることで、決済端末1とカードC3等との間でデータの読み書きが行われる。なお、カードC3の代わりに、スマートフォン等を用いて非接触型決済を行うことも可能である。
【0034】
図5(a)に示すように、面13はタッチ領域Rを有している。図においては、タッチ領域Rは面13の全面に渡っている。しかし、タッチ領域Rは面13の一部に設けられていてもよい。
【0035】
タッチ領域R内には表示画面Dが設けられてよい。この表示画面Dにより、利用者に対して視覚情報を提供することができる。
【0036】
また、図示を省略するが、決済端末1は非接触型決済で使用されるアンテナを備えている。例えば、前記アンテナは表示画面Dの周囲に配置される。ただし、アンテナの配置箇所はこれには限定されない。このアンテナから発生した微弱電波が、カードC3に起動電力を与え、また、このアンテナがカードC3との間のデータの送受信を行う。
【0037】
この時、図5(b)に示すように、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13から主に斜め上方の近傍領域に、反応領域が存在している。反応領域は、前記アンテナが反応する領域である。この反応領域内にカードC3等が入ると、決済端末1が当該カードC3を認識し、以後の決済処理がトリガされ得る。
【0038】
利用者が、上記の反応領域を通るようにカードを移動させた場合、利用者が、接触型ICカードによる決済や、磁気カードによる決済を望んでいた場合であっても、非接触型決済が行われ得る。すなわち、決済手段の誤認識が生じるおそれがあった。
【0039】
しかし、そのような誤認識は、本開示の決済端末1においては生じない。なぜなら、本開示の決済端末1は、磁気カードによる決済や接触型ICカードによる決済を行う時に、利用者が有するそのカードが反応領域を通らないように、配置の工夫がなされているからである。
【0040】
非接触型決済用のタッチ領域を有する面13の向きは、接触型ICカード決済用スロット12を有する面に対して正面に対峙する利用者に向かって、斜め上方となっている。また、他の2つの決済方式に係る、接触型ICカード決済用スロット12および磁気カード決済用スロット11は、載置面αにより近い位置に配置されている。
【0041】
利用者が上記構成を有する決済端末1を用いて、非接触型決済以外の決済を行おうとする場合、決済に用いるカードを、前記反応領域よりも載置面αに近い位置で移動させることになる。すると、決済に用いるカードが反応領域を通過することはない。従って、上述の誤認識は発生しない。
【0042】
非接触型決済以外の決済に用いるカードが、上述の反応領域を通過しないことをより確実にするために、磁気カード決済用スロット11は、載置面αから後述の第1の点P1までの高さの半分以下の位置に配置されてよい(図6参照)。より限定的には、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12の両方が、載置面から第1の点までの高さの半分以下の位置に配置されてよい。前記構成により、決済端末1のサイズを小さく維持しつつ、上述の反応領域から、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12を離すことが出来る。その結果、上記の誤認識の回避がいっそう確実に行われる。
【0043】
また、タッチ領域を有する面13は、カードを決済端末1の上から載置面αへと振り下ろすような操作を抑止する配置となっている。この事について、図6に基づいて次に説明する。
【0044】
図6は、図1に示した決済端末1における、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12のより特定的な配置を示す図である。ここで、タッチ領域を有する面13の中心を第1の点P1とし、この第1の点P1から載置面αへと下した垂線を第1の線L1とする。
【0045】
接触型ICカード決済用スロット12に対して利用者が正面に対峙した場合に、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12が、利用者から見てタッチ領域を有する面13の幅の内側にある(図6(a)参照)。
【0046】
すなわち、タッチ領域を有する面13が、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12の上から覆いかぶさるような配置となっている。前記構成であれば、磁気カード決済用スロット11または接触型ICカード決済用スロット12を利用したい利用者は、決済に用いるカードを下から回り込むように移動させるのが通常の操作となる。すなわち、決済に用いるカードが、上述の反応領域を通過しないようにすることができる。
【0047】
なお、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12は、第1の線L1より利用者側に位置してよい。この配置は、決済動作のスムーズさに関係する。
【0048】
例えば、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12が、第1の線L1より利用者とは反対側に位置した場合、これらのスロットの位置が、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13よりも内側(利用者から遠い側)へと入り込む。すると、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13が障害となって、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12へと利用者がカードを挿入しづらい。
【0049】
しかし、例えば図示されているように、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12が、第1の線L1より利用者側に位置すれば、上記の不都合は生じず、利用者による決済動作がスムーズになる。
【0050】
また、図6に更に示してあるように、接触型ICカード決済用スロット12に対して利用者が正面に対峙した場合を想定し、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13の中心から、この面13の面上に沿って利用者の方向に想像線LIMGを伸ばす。この想像線LIMGが非接触型決済用のタッチ領域を有する面13の縁と交差する位置を、第2の点P2とする。第2の点P2から、載置面αへと下した垂線を第2の線L2とする。
【0051】
そして、接触型ICカード決済用スロット12に対して利用者が正面に対峙した場合に、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12が、利用者から見てタッチ領域を有する面の幅の内側にあり、且つ、第1の線L1と第2の線L2との間に位置するようにする。
【0052】
上記のような位置関係となるように、磁気カード決済用スロット11及び接触型ICカード決済用スロット12を位置決めする。すると、各スロットと第2の線L2との位置関係から、利用者がカードを上から振り下ろすような操作を抑止できるので、上述の誤認識を回避できる。また、第1の線L1との関係から、上述のように、利用者による決済動作がスムーズになる。
【0053】
以上のように、前記決済端末1上での配置を工夫することにより、決済端末の小型化、誤認識の回避、利用者にとっての分かりやすさ、および、決済動作のスムーズさを、同時に実現することができる。
【0054】
次に、再び図1を参照し、本開示の決済端末1を用いて決済を行う例を示す。
【0055】
本開示の決済端末1は、側面から見て、決済端末1の上方が山形状となっている(図1(b)参照)。山形状は第1面と第2面を有し、第1面が、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13に相当する。すなわち第1面は、決済端末1の利用者が決済を行うのに用いる面である。その一方で、第2面14は店舗側の操作面である。
【0056】
上記構成により、載置面α上に載置された決済端末1を、対向状態となった2者が同時に操作できる。例えば、決済端末1を店舗のカウンター上に載置した場合、カウンターの内側に居る店員と、カウンターの外側に居る来客(利用者)とが、対向状態とのまま、決済端末1を操作することができる。
【0057】
なお、第1面に相当する、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13については上述の通りである。第2面14について説明する。第2面14は、図示を省略する操作画面を備えていてよい。この操作画面は、例えばタッチパネル式のものであってよい。ただし、タッチパネル以外の、物理的なキー(ボタン)等を備えていてもよい。店舗側の店員等は、第2面14が備える操作画面を用いて、決済端末1を操作することができる。
【0058】
また、利用者による決済が行われた後に、決済端末1はレシート等を印刷出力してよい。このレシート用のロール紙を収納可能な箇所を、決済端末1の内部に設けてよい(図示省略)。ここで、操作画面(第2面14)を、前記ロール紙の収納蓋として利用することが可能である。例えば、決済端末1は、第2面14の端部に配置された回転軸を中心に、前記蓋が回動して開くように構成されてよい。
【0059】
なお、従来型の決済端末においては、複数の決済方式のうちどれを用いて決済を行うかの選択を、例えば以下のような手順で行っていた。
(手順1)店員が利用者に、どの決済方式を用いるかを尋ねる。
(手順2)利用者が、どの決済方式を用いるかを店員に知らせる。
(手順3)店員が決済端末を操作(ボタン押下等)し、決済端末が、選択された決済方式についての待ち受け状態になる。
(手順4)利用者は、選択された決済方式で、決済端末を操作する。例えば非接触型決済を用いるのであれば、カードを所定の箇所にタッチする。接触型ICカード決済であれば、ICカードをICカード決済用のスロットに挿入する。
【0060】
ここで、本開示の決済端末1は、上述の誤認識が発生しないように配置が工夫されているので、複数の決済方式を同時に起動させた状態にすることができる。より具体的には、磁気カード決済、接触型ICカード決済及び、非接触型決済を、同時に待ち受け可能な状態にしておくことができる。
【0061】
そのため、本開示の決済端末1を用いれば、店員による決済方式の切り替え処理が不要となる。本開示の決済端末1の利用者は、用いる決済方式に応じたカード等の操作を行うだけでよい。決済端末1は、上述の複数の決済方式を同時に待ち受け可能な状態になっているので、利用者によるカード等の操作に応じた決済方式で、決済処理を行うことができる。すなわち、本開示の決済端末1を用いれば、上記の(手順1)~(手順3)を不要とすることができる。すると、店舗側(店員)の関与無しで、利用者によるカード等の操作のみで決済方式を選択できるようになる。
【0062】
また、図1に示されているように、決済端末1は開口部Hを備えていてよい。開口部Hは、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13の配置位置と、接触型ICカード決済用スロット12の配置位置との間に設けられてよい。この開口部が、非接触型の決済方式に用いられる領域と、それ以外の決済方式(接触型ICカード、磁気カード)に用いられる領域とを分離している。
【0063】
より特定的には、開口部Hは、図示されているように、接触型ICカード決済用スロット12の開口面側(図1(c)に示されている面)と、前記開口面に隣接する2つの側面側(図1(b)に示されている面、及びその裏側の面)とに渡って開口していてよい。この開口部Hがある事により、利用者がカード等を操作する際(特に、磁気カードをスワイプする際)に、利用者の手が決済端末1に衝突せず、スムーズな決済操作を行うことができる。
【0064】
また、開口部Hは、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13の側面13Sに一部沿って開口していてよい。なお図1の例では、開口部Hは、面13の側面13Sの略全体に渡って開口している。このように、開口部Hを大きく取る利点は、以下の通りである。
【0065】
決済端末は、金銭に関する情報を扱う機器であるため、セキュリティの観点からの要請がある。例えば、決済端末の筐体内に不要な空間(デッドスペース)を設けてはならない、等の制約がある。筐体内に不要な空間があると、その空間に、決済端末をハックする為の装置を埋め込む、等の不正が行われる余地が残る。その為、決済端末の筐体内に不要な空間を設けてはならないとされている。
【0066】
その一方で、本開示の決済端末1は、上述のように誤認識を発生させない事を意図しており、非接触型決済用のタッチ領域を有する面13と、その他の決済方式に係るスロットとを離隔している。この離隔の為のスペースを決済端末1の内部に設けると、上記のようなセキュリティの観点からの要請に応えることができない。
【0067】
そこで本開示の決済端末1においては、上述のように、開口部Hを側面13Sに一部沿うように開口している。前記構成により、決済端末1の中の不要な空間が無くなり、セキュリティの観点からの要請にも応えた決済端末1を提供することができる。
【0068】
以上のように、本開示の決済端末は、前記磁気カード決済用スロットが、前記載置面から前記第1の点までの高さの半分以下の位置に配置されてよい。また、前記磁気カード決済用スロット及び前記接触型ICカード決済用スロットの両方が、前記載置面から前記第1の点までの高さの半分以下の位置に配置されてよい。前記構成により、決済端末のサイズを小さく維持しつつ、上述の反応領域から、磁気カード決済用スロット及び接触型ICカード決済用スロット12を離すことが出来る。その結果、誤認識の回避をいっそう確実に行うことができる。
【0069】
上記構成において、前記接触型ICカード決済用スロットに対して前記利用者が正面に対峙した場合に、前記タッチ領域を有する面の中心から前記タッチ領域を有する面の面上に沿って前記利用者の方向に伸ばした想像線が前記タッチ領域を有する面の縁と交差する位置を第2の点とし、前記第2の点から、前記載置面に下した垂線を第2の線としたときに、前記接触型ICカード決済用スロットに対して前記利用者が正面に対峙した場合に、前記磁気カード決済用スロット及び前記接触型ICカード決済用スロットが、前記第1の線と前記第2の線との間に位置してよい。前記構成により、前記磁気カード決済用スロット及び前記接触型ICカード決済用スロットの、第2の線との位置関係から、利用者がカード等を上から振り下ろすような操作を抑止できるので、前記誤認識のリスクを回避できる。また、前記磁気カード決済用スロット及び前記接触型ICカード決済用スロットの、第1の線L1との関係から、上述のように、利用者による決済動作がスムーズになる。
【0070】
上記構成において、前記磁気カード決済、前記接触型ICカード決済及び、前記非接触型決済が同時に待ち受け可能であってよい。前記構成により、店舗側の関与無しで、利用者のカード等の操作のみで決済方式を選択できるようになる。
【0071】
上記構成において、非接触型決済用のタッチ領域内に、表示画面を有し、非接触型決済で使用されるアンテナが前記表示画面の周囲に配置されてよい。前記構成により、非接触型決済を用いる利用者に対して視覚情報を提供することができる。
【0072】
上記構成において、前記決済端末を側面から見て、前記決済端末の上方を山形状とし、前記山形状が第1面と第2面とを有し、前記第1面が前記非接触型決済用のタッチ領域を有する面であり、前記第2面が店舗側の操作面であってよい。前記構成により、カウンターの内側に居る店員と、カウンターの外側に居る来客(利用者)とが、対面状態のまま、決済端末を操作することができる。
【0073】
上記構成において、決済端末がロール紙を内部に収納可能であり、前記ロール紙の収納蓋を前記第2面としてよい。前記構成により、決済が行われた後に、決済端末がレシートを印刷出力できる。
【0074】
上記構成において、前記非接触型決済用のタッチ領域を有する面の配置位置と、前記接触型ICカード決済用スロットの配置位置との間に、開口部を有し、前記開口部は、前記接触型ICカード決済用スロットの開口面側と、前記開口面に隣接する2つの側面側とに渡って開口していてよい。また、前記開口部が、前記非接触型決済用のタッチ領域を有する面の側面に一部沿って開口していてよい。前記構成により、利用者がカード等を操作する際(特に、磁気カードをスワイプする際)に、利用者の手が決済端末に当衝突せず、スムーズな決済操作を行うことができる。また、決済端末の中の不要な空間が無くなり、セキュリティの観点からの要請にも応えた決済端末を提供することができる。
【0075】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 決済端末
1A 前面
1B 側面
1C 側面
1D 後面
10 本体
11 磁気カード決済用スロット
111 磁気ヘッド
12 接触型ICカード決済用スロット
13 面
13S 側面
14 第2面
C1 磁気カード
C11 磁気ストライプ
C2 ICカード
C21 端子
C3 カード
D 表示画面
H 開口部
L1 第1の線
L2 第2の線
P1 第1の点
P2 第2の点
R タッチ領域
α 載置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6