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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】植物栽培用照射装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20241129BHJP
   F21K 9/20 20160101ALI20241129BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241129BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20241129BHJP
   F21Y 107/40 20160101ALN20241129BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20241129BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241129BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
F21K9/20
F21S2/00 600
F21Y103:10
F21Y107:40
F21Y113:13
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020154862
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048826
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】513144453
【氏名又は名称】藤原 慶太
(73)【特許権者】
【識別番号】514231295
【氏名又は名称】株式会社テヌート
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慶太
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3201212(JP,U)
【文献】特開2018-186710(JP,A)
【文献】特開2016-86783(JP,A)
【文献】特開2009-22175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
F21K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物に対して照射光を出射する照射部と、
前記照射部に供給する電源を受電する受電部と、
前記照射部を吊り下げて固定する吊下部とを備え、
前記照射部は、照射光を出力する複数の発光素子を備え、
前記複数の発光素子は、照射光を上下に出射可能に配設され、
前記照射部は、上方に青色の照射光を出射することを特徴とする植物栽培用照射装置。
【請求項2】
前記吊下部は、前記照射部を吊り下げて位置決め固定する吊り下げワイヤと、前記吊り
下げワイヤの全長を調節可能な長さ調節機構とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用照射装置。
【請求項3】
前記吊下部は、前記吊り下げワイヤの上端と下端が連結自在に構成され、前記植物栽培
用照射装置を上下多段に配設可能に構成されたことを特徴とする請求項2に記載の植物栽
培用照射装置。
【請求項4】
前記受電部と接続可能に構成され、前記照射部から余剰の電流の供給を受け、該余剰の
電流を接続された前記受電部に供給する給電部を備えたことを特徴とする請求項1から請
求項3のいずれか1項に記載の植物栽培用照射装置。
【請求項5】
前記照射部は、前記照射光に加えて紫外線を上下に出射可能に配設されたことを特徴と
する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の植物栽培用照射装置。
【請求項6】
前記紫外線は、UVAの波長であることを特徴とする請求項5に記載の植物栽培用照射
装置。
【請求項7】
前記照射部は、人検知手段が人を検知している間、前記紫外線の出射を停止するよう構成されたことを特徴とする請求項5に記載の植物栽培用照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物に光を照射する植物栽培用照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、植物の近傍において、地上に立設した支柱の上下それぞれに照明器具を取り付けることによって、植物に対して上方及び下方から照射光(主に光合成促進を目的として植物に照射する光をいう。以下、同じ。)を出射可能に構成された植物栽培用照射装置が開示されている(特許文献1の図8参照)。この植物栽培用照射装置によれば、上方からの照射のみでは、葉の繁茂部分の上部で照射光が遮られて、日照が不十分となりやすい植物(例えば、イチゴ、トマト、なす等)に対して、下方からも照射光を出射することで、日照の不足を良好に補うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-186710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の植物栽培用照射装置は、支柱を位置決めして固定した上で、上下の照明器具を取り付けなければならず、装置の設置や照明器具の配置変更に係る作業工数が多く手間であった。加えて、その構造上、支柱の高さ以上に照明器具を配置できないため、高位置から照射光を出射することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、装置の設置や配置変更が容易にでき、さらに、高位置から照射光の出射が可能な植物栽培用照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、
植物に対して照射光を出射する照射部と、
前記照射部に供給する電源を受電する受電部と、
前記照明部を吊り下げて固定する吊下部とを備え、
前記照射部は、照射光を出力する複数の発光素子を備え、
前記複数の発光素子は、照射光を上下に出射可能に配設されたことを特徴とする植物栽培用照射装置を提供する。
【0007】
上記第1の発明によれば、吊下部により、照射部を吊り下げて固定する構成により、高位置での照射光の出射が可能となる。加えて、植物栽培用照射装置の設置や配置変更が容易となる。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記照射部は、上方に青色の照射光を出射することを特徴とする。
【0009】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、葉の裏側にある葉緑体に青色の波長領域の光を効率よく吸収させ、効率的に植物の光合成を促進できる。
【0010】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、
前記吊下部は、前記照部を吊り下げて位置決め固定する吊り下げワイヤと、前記吊り下げワイヤの全長を調節可能な長さ調節機構とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記第3の発明によれば、上記第1または第2の発明の効果に加え、長さ調節機構により、照部の配置高さを容易に調節して変更することが可能となっている。これにより、植物の生長に応じて、自在に配置高さを変更することで、植物の生育に適した照射の位置を実現できる。
【0012】
第4の発明は、上記第3の発明において、前記吊下部は、前記吊り下げワイヤの上端と下端が連結自在に構成され、前記植物栽培用照射装置を上下多段に配設可能に構成されたことを特徴とする。
【0013】
上記第4の発明によれば、上記第3の発明の効果に加え、植物栽培用照射装置を上下多段に配設することにより、上下方向へ照射可能な領域を拡張することが可能となる。これにより、上下方向に広範囲に照射光を照射することが可能となり、植物の背丈や配置された高さに柔軟に対応できる。
【0014】
第5の発明は、上記第1から第4のいずれかの発明において、前記受電部と接続可能に構成され、前記照射部から余剰の電流の供給を受け、該余剰の電流を接続された前記受電部に供給する給電部を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記第5の発明によれば、上記第1から第4のいずれかの発明の効果に加え、植物栽培用照射装置を数珠繋ぎのように複数連結して使用することが可能となり、その結果、前後方向へ照射可能な領域を拡張することが可能となる。
【0016】
第6の発明は、上記第1から第5のいずれかの発明において、前記照射部は、前記照射光に加えて紫外線を上下に出射可能に配設されたことを特徴とする。
【0017】
上記第6の発明によれば、上記第1から第5のいずれかの発明の効果に加え、植物全体に紫外線を照射して、病害虫の付着を良好に抑止することができる。
【0018】
第7の発明は、上記第6の発明において、前記紫外線は、UVAの波長であることを特徴とする。
【0019】
上記第7の発明によれば、上記第6の発明の効果に加え、植物Pの徒長を抑制することができる。
【0020】
第8の発明は、上記第6の発明において、前記照射部が、人検知手段が人を検知している間、前記紫外線としてUVCの波長を出射し、人検知手段が人を検知していない間、前記紫外線としてUVA及び/またはUVBの波長を出射することを特徴とする。
【0021】
上記第8の発明によれば、上記第6の発明の効果に加え、栽培施設内に作業者が存在する場合に、UVAやUVBの照射を停止して、UVAやUVBの照射による作業者の人体への影響を防止しつつ、作業者が存在しない場合には、UVAやUVBを照射して、植物の生育に好適な環境を実現できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置の設置や配置変更が容易にでき、さらに、高位置から照射光の出射が可能な植物栽培用照射装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態に係る植物栽培用照射装置1の斜視図である。
図2図2は、照射部の一部切欠外観斜視図である。
図3図3は、照射部をその長手方向に対して垂直に切断した断面図である。
図4図4(a)は、第1配線基板のLEDチップの配列を示す平面図であり、図4(b)は、第2配線基板のLEDチップの配列を示す平面図である。
図5図5は、植物栽培用照射装置の使用状態を示す正面図である。
図6図6は、植物栽培用照射装置の使用状態を示す斜視図である。
図7図7(a)は、変形例に係る第1配線基板のLEDチップの配列を示す平面図であり、図7(b)は、変形例に係る第2配線基板のLEDチップの配列を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る植物栽培用照射装置1の斜視図である。
なお、説明の便宜上、図1中のX方向を前、その逆方向を後、Y方向を左方、その逆方向を右方、Z方向を上、その逆方向を下とするが、これらの方向の定義は、各部材の位置関係等を説明するための便宜的なものであり、植物栽培用照射装置1が配置される向き等を限定するものではない。
【0025】
<1.基本構成>
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る植物栽培用照射装置1の概略構成図である。
図1に示されるように、植物栽培用照射装置1は、基本構成として、受電部Aと、吊下部Bと、照射部Cと、給電部Dとを備えている。次に、各構成について説明する。
【0026】
<2.受電部>
受電部Aは、外部から受電した交流電流を直流電流に変換し、これを照射部Cに供給する機能を果たす。具体的には、受電部Aは、金属製(導電性)の接続ピンa1から交流電流を受電可能に構成された受電端子a2と、受電端子a2が受電した交流電流を送電する所定長さの送電ケーブルa3と、抵抗を有する直流交流変換回路が内蔵されたAC-DC変換部a4とが連結されて構成されている。これにより、受電端子a2の接続ピンa1に交流電流が通電されると、送電ケーブルa3により送電された交流電流が、AC-DC変換部a4により直流電流に変換され、照射部Cに照射光出射の電源となる直流電流が供給される仕組みとなっている。
【0027】
<3.吊下部>
吊下部Bは、照部Cを吊り下げて固定するとともに、その配置高さを変更可能とする機能を果たす。また、吊下部Bにより、照射部Cを吊り下げて固定する構成により、高位置での照射光の出射が可能となっている。加えて、植物栽培用照射装置1の設置や配置変更を容易に行うことができる。
【0028】
吊下部Bは、照部Cを吊り下げて固定する吊り下げワイヤb1と、該吊り下げワイヤb1の上端を、栽培ハウス内において上方に架け渡された金属製パイプKに着脱自在とする上端取付部材b2と、該吊り下げワイヤb1の下端を、照部Cに固定する下端取付金具b3とを備えている。これらは、照部Cの両端にそれぞれ設けられている。
【0029】
上記構成を備えた吊下部Bは、図1に示されるように、吊り下げワイヤb1の上端が上端取付部材b2によって金属製パイプKに装着され、下端が下端取付金具b3によって照部Cを支持し、これにより、吊り下げワイヤb1で照部Cを吊り下げて位置決め固定することができる。なお、上端取付部材b2は、例えば、金属製のフックである。また、吊り下げワイヤb1の上端の取付先は、図示された金属製パイプKに限定されず、吊り下げワイヤb1の上端を取り付けて固定できる構造を有するものであればよい。
【0030】
さらに、下端取付金具b3は、上端取付部材b2を掛止して連結自在に構成されている。これにより、植物栽培用照射装置1の下端取付金具b3に、他の植物栽培用照射装置1の上端取付部材b2を連結することで、複数の植物栽培用照射装置1を、配置高さを異ならせて上下多段に配設することが可能となっている(図5図6参照)。なお、図5図6の植物栽培用照射装置1は、上下2段に配設されているが、3段以上に配設することも可能である。
【0031】
吊り下げワイヤb1は、その全長を調節可能な長さ調節機構b4を備えており、この長さ調節機構b4によって、吊り下げワイヤb1の全長を調節することで、照部Cの配置高さを容易に調節して変更することが可能となっている。これにより、植物の生長に応じて、自在に配置高さを変更することで、植物の生育に適した照射の位置を実現できる。なお、長さ調節機構b4は、例えば、ターンバックル等のワイヤの長さを容易に変更可能な公知の機構である。
【0032】
<4.照射部>
照射部Cは、照射手段によって植物Pに対して照射光を出射する機能を果たす。なお、植物Pは、例えば、イチゴ、トマト、なす等である。以下、図2及び図3を参照しながら、照射部Cの内部構造及び照射手段による光の照射方法について説明する。
【0033】
図2は、照射部Cの一部切欠外観斜視図であり、図3は、照射部Cをその長手方向に対して垂直に切断した断面図である。図2及び図3に示されるように、照射部Cは、光源としてLED素子を採用した直管型のLED灯の構造を有し、透光性を有する円筒状カバーc1の内部に、照射光を出力する発光素子c2であるLEDチップ(発光ダイオード)が板面上において直線状に複数個並列され、図示しない配線を備えて発光素子c2を点灯/消灯可能に構成された矩形板状の配線基板c3と、照射部Cの長手方向を軸とする六角筒状に形成され、その周面に配線基板c3が外嵌された六角筒状心棒部材c4を備えている。
【0034】
円筒状カバーc1は、光を透過する材料からなり、例えば、アクリル樹脂またはガラス等の光透過性材料で形成される。
【0035】
配線基板c3は、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板またはリジッドフレキシブル基板等のプリント基板が用いられる。配線基板c3からの信号が、発光素子c2に伝達されて、発光素子c2が発光する仕組みとなっている。なお、配線基板c3には、図示しない配線を介してAC-DC変換部a4から電気が供給される。
【0036】
六角筒状心棒部材c4は、歪み耐性を有する硬質樹脂(例えば、繊維強化プラスチック)を長尺棒状に形成してなり、照射部Cの心棒として曲がりを防止する機能を有している。
【0037】
六角筒状心棒部材c4の周面を構成する6面(I)~(VI)のうち、周面(I)(VI)は、上方照射用の発光面であり、第1配線基板c31が、それぞれ爪部c5に固定されて外嵌され、これにより、上方を面外方向とする角度で配設されている(図3参照)。これにより、周面(I)(VI)は、照射部Cから上方を向く第1照射方向f1、第2照射方向f2への照射が可能な照射面となっている。なお、第1配線基板c31については、後述する。
【0038】
周面(III)、(IV)は、下方照射用の発光面であり、第2配線基板c32が、それぞれ爪部c5に固定されて外嵌され、下方を面外方向とする角度で配設されている。これにより、周面(III)、(IV)は、照射部Cから下方を向く第3照射方向f3、第4照射方向f4への照射が可能な照射面となっている。なお、第2配線基板c32については、後述する。
【0039】
第1照射方向f1と第2照射方向f2のなす角は、照射部Cの両側に配置された植物Pへの照射が可能となるように、略120度となるよう構成されている。なお、第1照射方向f1と第2照射方向f2のなす角はこれに限定されず、第1照射方向f1及び第2照射方向f2が上方を向く範囲で設計変更が可能である。また、同様に、第3照射方向f3と第4照射方向f4のなす角は、略120度となるよう構成されている。第3照射方向f3と第4照射方向f4のなす角はこれに限定されず、第3照射方向f3及び第4照射方向f4が下方を向く範囲で設計変更が可能である。
【0040】
下方を面外方向とする周面(III)、(IV)には、下方照射用の第2配線基板c32,c32がそれぞれ爪部c5に固定されて外嵌されている。
【0041】
水平方向を面外方向とする周面(II)、(V)には、断面略C字状の嵌合凹部c6が設けられており、これが円筒状カバーc1の内周面に設けられた嵌合凸部c7と嵌合することで、六角筒状心棒部材c4に円筒状カバーc1を固定するよう構成されている。
【0042】
以上のように、照射部Cは、配置位置に対して、方向が異なる4つの照射方向f1~f4へ照射光を照射することが可能となっている。
【0043】
次に、図4(a)及び図4(b)を参照して、配線基板c3に設けられた発光素子(以下、LEDチップという。)c2の配列について説明する。なお、配線基板c3は、それぞれ、AC-DC変換部a4から、直流電流の供給を受け、LEDチップc2を発光させるとともに、余剰の直流電流を給電部Dに供給する配線構造となっている。
【0044】
図4(a)は、第1配線基板c31のLEDチップc2の配列を示す平面図であり、図4(b)は、第2配線基板c32のLEDチップc2の配列を示す平面図である。図4(a)に示されるように、第1配線基板c31の板面上に配設された複数のLEDチップc2,c2,c2・・・は、第1配線基板c31の長手方向に沿って直線状に設けられており、青色(430nm~490nm)に発光する青色LED(c21)と、白色に発光する白色LED(c22)が、交互に順番に配列されている。
【0045】
このように配列されたLEDチップc2を有する第1の配線基板c31は、青色LEDc21のみ点灯した状態と、白色LEDc22のみ点灯した状態と、青色LEDc21及び白色LEDc22が点灯した状態と、消灯状態とを切換えることが可能な配線構造となっており、これらの状態を切換えることで、青色光、白色光、青色と白色の混合光をそれぞれ照射光として、照部Cの配置位置の上方に向けて出射することが可能となっている。なお、これらの状態の切換えは図示しない制御装置により制御可能に構成されているが、適宜の箇所の設けたスイッチにより手動で切換えられるようにしてもよい。
【0046】
図4(b)は、第2配線基板c32におけるLEDチップc2の配列を示す平面図である。図4(b)に示されるように、第2配線基板c32の板面上に配設された複数のLEDチップc2,c2,c2・・・は、第2の配線基板c32上の長手方向に沿って直線状に設けられており、白色に発光する白色LED(c22)が配列されている。このように配列されたLEDチップc2を有する第2配線基板c32は白色LED(c22)のみ点灯した状態と、消灯状態とを切換えることが可能な配線構造となっており、白色光を照射光として、照部Cの配置位置の下方に向けて出射することが可能となっている。
【0047】
図5は、植物栽培用照射装置の使用状態を示す正面図である。上述のように構成された照部Cは、図5に示されるように、上方に青色の照射光Lbを、下方に白色の照射光Lhを照射可能に構成されている。これにより、青色の照射光Lbを葉裏に照射することで、葉の裏側にある葉緑体が青色の波長領域の光を効率よく吸収し、その結果、効率的に植物の光合成を促進できる。なお、必要に応じて、上述の切換えにより、上方に白色の照射光Lhを照射することも可能に構成されている。
【0048】
<5.給電部>
給電部Dは、植物栽培用照射装置1を複数連結して使用する場合において、照射部Cから余剰の直流電流の供給を受け、これを交流電流に変換し、連結された他の植物栽培用照射装置1の受電部Aに供給する機能を果たす(図1参照)。
【0049】
給電部Dは、抵抗を有する直流交流変換回路が内蔵されたDC-AC変換部d1と、DC-AC変換部d1が変換した交流電流を送電する所定長さの送電ケーブルd2と、受電端子a2と接続可能に構成され、接続された受電端子a2に送電ケーブルd2から送電された直流電流を供給可能に構成された供電端子d3と、を備えている。
【0050】
図6は、植物栽培用照射装置の使用状態を示す斜視図である。
上述のように構成された給電部Dは、図6に示されるように、供電端子d3と受電端子a2とを接続することで、植物栽培用照射装置1を数珠繋ぎのように複数連結して使用することが可能となっており、その結果、前後方向へ照射可能な領域を拡張することが可能となっている。これにより、栽培ハウスの大きさや栽培面積に応じて柔軟に対応することが可能となっている。さらに、植物栽培用照射装置1を上下多段に配設することにより、上下方向へ照射可能な領域を拡張することが可能となっている。これにより、上下方向に広範囲に照射光を照射することが可能となり、植物Pの背丈や配置された高さに柔軟に対応できる。植物Pを栽培用の棚に配置して栽培する場合にも良好に対応できる。
【0051】
<6.変形例>
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。例えば、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。なお、上記実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。
【0052】
図7(a)は、変形例に係る第1配線基板c31のLEDチップの配列を示す平面図であり、図7(b)は、変形例に係る第2配線基板c32のLEDチップの配列を示す平面図である。
植物栽培用照射装置1は、図7(a)及び図7(b)に示されるように、第1配線基板c31及び第2配線基板c32のそれぞれに、紫外線(100nm~400nm)を発光する紫外線照射LED(c23)を配設してもよい。これにより、上下から植物Pの全体に紫外線を照射することで、病害虫の付着を良好に抑止することができる。
【0053】
特に、紫外線照射LED(c23)からUVB(280nm~320nm)を発光する構成によれば、高い防虫効果を得ることができる。また、紫外線照射LED(c23)からUVA(320nm~400nm)を発光する構成によれば、植物Pの徒長を抑制することができる。さらに、紫外線照射LED(c23)からUVC(200nm~280nm)を発光する構成によれば、植物Pに対して除菌効果を得ることができる。
【0054】
ここで、植物照射装置1は、植物Pを栽培する栽培施設内の適宜の箇所(例えば、出入口や植物Pの近傍)に、人検知手段として人感センサを配し、図示しない制御装置による制御によって、人感センサが人を検知している間は、紫外線照射LED(c23)からUVCを発光し、人を検知していない間は、UVAやUVBを発光するように構成されてもよい。これにより、栽培施設内に作業者が存在する場合に、UVAやUVBの照射を停止して、UVAやUVBの照射による作業者の人体への影響を防止しつつ、作業者が存在しない場合には、UVAやUVBを照射して、植物Pの生育に好適な環境を実現できる。また、人感センサが人を検知している間、紫外線照射を停止するよう構成されてもよい。なお、人感センサは、植物照射装置1による照射光・紫外線の照射範囲内における人を検知できるよう配設されることが望ましい。
【0055】
また、上記の人検知手段としては、人感センサに代えて、監視カメラ等(暗視装置やサーモグラフィカメラを含む)によって人を検知してもよい。
【0056】
また、植物照射装置1は、図示しない制御装置による制御によって、状況に応じて、照射部Cから紫外線のみを照射するよう構成されてもよく、また、照射部Cから青色光のみを照射するよう構成されてもよく、構赤色LEDを配して青色光に加えて赤色光を照射したり、照射部Cから赤色光のみを照射したり、青色と赤色の混合光を照射するように構成されてもよい。
【0057】
また、植物照射装置1は、図示しない制御装置による制御によって、照射光を発光するLED群と、紫外線を発光するLED群を、それぞれ、独立して点灯・消灯制御可能に構成し、ユーザによって設定された所定条件(時間や日射、水分等)に応じて、照射光及び/または紫外線を照射するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 植物照射装置
A 受電部
a1 接続ピン
a2 受電端子
a3 送電ケーブル
a4 DC-AC変換部
B 吊下部
b1 吊り下げワイヤ
b2 上端取付部材
b3 下端取付金具
b4 長さ調節機構
C 照射部C
c1 円筒状カバー
c2 発光素子
c3 配線基板
c4 六角筒状心棒部材
c5 爪部
c6 嵌合凹部
c7 嵌合凸部
c21 青色LED
c22 白色LED
c23 紫外線照射LED
c31 第1配線基板
c32 第2配線基板
D 給電部
d1 DC-AC変換部
d2 送電ケーブル
d3 供電端子
K 金属製パイプ
P 植物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7