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特許7595310推奨行動出力システム、推奨行動出力方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】推奨行動出力システム、推奨行動出力方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241129BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022503162
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002289
(87)【国際公開番号】W WO2021171850
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2020032397
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】生田 富美乘
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-081722(JP,A)
【文献】特開2012-191736(JP,A)
【文献】特開2013-085449(JP,A)
【文献】特開2013-188031(JP,A)
【文献】特開2015-211482(JP,A)
【文献】特開2020-10542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を搭載する車両の利用者の行動計画を含む行動計画情報を取得する第1取得部と、
前記車両の前記蓄電池の蓄電容量、及び、現時点の前記蓄電池の蓄電量を含む蓄電情報を取得する第2取得部と、
特定の地域内に設置された車両充電器の位置を含む充電器情報を取得する第3取得部と、
前記特定の地域内の電力需要の時間推移を予測する予測部と、
前記行動計画情報、前記蓄電情報、及び、前記充電器情報に基づいて、予測された前記電力需要の前記時間推移のピーク需要を低減するように、前記利用者に推奨する前記蓄電池の充電タイミング、及び、当該蓄電池を充電する車両充電器の位置を示す充電位置を決定する決定部と、
決定された前記充電タイミング及び前記充電位置を含む推奨情報を出力する出力部とを備え
前記行動計画は、前記利用者の目的地を示す第1情報と、当該目的地に滞在する時間を示す第2情報とを含み、
前記予測部は、
前記電力需要の前記時間推移において電力需要量が閾値以下である時間帯を充電が推奨される第1時間帯として設定し、
前記行動計画情報の前記第1情報及び前記蓄電情報に基づいて、前記第1時間帯における、前記車両の位置、及び、前記車両の前記蓄電池の蓄電量を予測し、
前記決定部は、予測された前記第1時間帯における前記蓄電池の蓄電量が所定の蓄電量以下である場合、
前記第1時間帯における前記車両の位置と、前記充電器情報に含まれる前記車両充電器の位置とに基づいて、前記充電位置を決定し、
前記第2情報に基づいて、前記充電タイミングを決定し、
前記特定の地域内の前記電力需要は、電力消費量から需要家で発電された電力量を差し引いた電力需要である
推奨行動出力システム。
【請求項2】
前記予測部は、前記車両の現在位置と前記目的地とに基づいて、前記車両の走行経路を予測し、さらに前記走行経路に基づいて、前記第1時間帯における前記車両の前記蓄電池の蓄電量を予測する
請求項1に記載の推奨行動出力システム。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記車両の位置の履歴情報を取得し、
前記予測部は、前記履歴情報に基づいて前記利用者の前記行動計画を予測する
請求項1又は2に記載の推奨行動出力システム。
【請求項4】
前記充電器情報は、当該車両充電器の稼働状況を示す稼働情報を含み、
前記決定部は、前記稼働情報に基づいて、前記第1時間帯における稼働率が低い車両充電器の位置を前記充電位置に決定する
請求項1又は2に記載の推奨行動出力システム。
【請求項5】
前記充電器情報は、当該車両充電器の使用可否を示す使用可否情報を含み、
前記決定部は、前記使用可否情報に基づいて、複数の前記車両充電器の中から前記第1時間帯において使用可能な1以上の車両充電器を特定し、特定した前記1以上の車両充電器の位置を前記充電位置決定する
請求項1又は2に記載の推奨行動出力システム。
【請求項6】
前記予測部は、前記電力需要の前記時間推移において電力需要量が閾値より大きい時間帯を第2時間帯として特定し、
前記出力部は、さらに、前記第2時間帯では、前記車両の充電を行わないことを含む前記推奨情報を出力する
請求項1~のいずれか1項に記載の推奨行動出力システム。
【請求項7】
前記車両充電器は、充電及び放電が可能な充放電器であり、
前記予測部は、前記電力需要の前記時間推移において電力需要量が閾値より大きい時間帯を放電が推奨される第2時間帯として特定し、
前記出力部は、さらに、前記第2時間帯に前記車両の前記蓄電池を放電させることを推奨することを含む前記推奨情報を出力する
請求項1~のいずれか1項に記載の推奨行動出力システム。
【請求項8】
前記決定部は、前記充電タイミング及び前記充電位置の組を複数決定し、
前記出力部は、前記充電タイミング及び前記充電位置の組を複数含む推奨情報を出力する
請求項1~のいずれか1項に記載の推奨行動出力システム。
【請求項9】
前記推奨情報は、前記充電タイミング及び前記充電位置の複数の組それぞれにおける前記ピーク需要の低減度合いに基づく前記複数の組それぞれの優先順位を示す情報を含み、
前記低減度合いは、当該組における当該充電タイミングが前記ピーク需要となる時間帯に近いほど高く設定され、
前記優先順位を示す情報は、前記低減度合いが高いほど高く設定される
請求項に記載の推奨行動出力システム。
【請求項10】
プロセッサが実行する推奨行動出力方法であって、
蓄電池を搭載する車両の利用者の行動計画を含む行動計画情報を取得し、
前記車両の前記蓄電池の蓄電容量、及び、現時点の前記蓄電池の蓄電量を含む蓄電情報を取得し、
特定の地域内に設置された複数の車両充電器の位置を含む充電器情報を取得し、
前記特定の地域内の電力需要の時間推移を予測し、
前記行動計画情報、前記蓄電情報、及び、前記充電器情報に基づいて、予測された前記電力需要の前記時間推移のピーク需要を低減するように、前記利用者に推奨する前記蓄電池の充電タイミング、及び、当該蓄電池を充電する車両充電器の位置を示す充電位置を決定し、
決定された前記充電タイミング及び前記充電位置を含む推奨情報を出力し、
前記行動計画は、前記利用者の目的地を示す第1情報と、当該目的地に滞在する時間を示す第2情報とを含み、
前記時間推移の予測では、
前記電力需要の前記時間推移において電力需要量が閾値以下である時間帯を充電が推奨される第1時間帯として設定し、
前記行動計画情報の前記第1情報及び前記蓄電情報に基づいて、前記第1時間帯における、前記車両の位置、及び、前記車両の前記蓄電池の蓄電量を予測し、
前記充電位置の決定では、予測された前記第1時間帯における前記蓄電池の蓄電量が所定の蓄電量以下である場合、
前記第1時間帯における前記車両の位置と、前記充電器情報に含まれる前記車両充電器の位置とに基づいて、前記充電位置を決定し、
前記第2情報に基づいて、前記充電タイミングを決定し、
前記特定の地域内の前記電力需要は、電力消費量から需要家で発電された電力量を差し引いた電力需要である
推奨行動出力方法。
【請求項11】
請求項10に記載の推奨行動出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推奨行動出力システム、推奨行動出力方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オール電化住宅の普及、電気自動車の導入など、さまざまな領域で電化が進んでおり、今後ますます加速するものと考えられている。このような電化の進展により、電力を供給するシステムに対する負荷が増大することが懸念される。例えば、電気自動車への充電のための負荷の増大によって、電力の需給バランスが崩れ、電力系統の電力品質が低下するおそれがある。
【0003】
そこで、特許文献1には、電力系統における電力の需給バランスをとるために、必要な時間に必要な台数の電気自動車を充電スタンドに誘導して、各充電スタンドにおける各電気自動車への充電電力を制御する充電制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-48286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、利用者の利便性が考慮されていない。そのため、特許文献1の技術では、利用者の利便性が損なわれる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、利用者の利便性を維持しつつ、かつ、電力の需給バランスをとることができる推奨行動出力システム、推奨行動出力方法、及び、プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る推奨行動出力システムは、蓄電池を搭載する車両の利用者の行動計画を含む行動計画情報を取得する第1取得部と、前記車両の前記蓄電池の蓄電容量、及び、現時点の前記蓄電池の蓄電量を含む蓄電情報を取得する第2取得部と、特定の地域内に設置された車両充電器の位置を含む充電器情報を取得する第3取得部と、前記特定の地域内の電力需要の時間推移を予測する予測部と、前記行動計画情報、前記蓄電情報、及び、前記充電器情報に基づいて、予測された前記電力需要の前記時間推移のピーク需要を低減するように、前記利用者に推奨する前記蓄電池の充電タイミング、及び、当該蓄電池を充電する車両充電器の位置を示す充電位置を決定する決定部と、決定された前記充電タイミング及び前記充電位置を含む推奨情報を出力する出力部とを備える。
【0008】
本発明の一態様に係る推奨行動出力方法は、蓄電池を搭載する車両の利用者の行動計画を含む行動計画情報を取得し、前記車両の前記蓄電池の蓄電容量、及び、現時点の前記蓄電池の蓄電量を含む蓄電情報を取得し、特定の地域内に設置された複数の車両充電器の位置を含む充電器情報を取得し、前記特定の地域内の電力需要の時間推移を予測し、前記行動計画情報、前記蓄電情報、及び、前記充電器情報に基づいて、予測された前記電力需要の前記時間推移のピーク需要を低減するように、前記利用者に推奨する前記蓄電池の充電タイミング、及び、当該蓄電池を充電する車両充電器の位置を示す充電位置を決定し、決定された前記充電タイミング及び前記充電位置を含む推奨情報を出力する。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、上記の推奨行動出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る推奨行動出力システム等によれば、利用者の利便性を維持しつつ、かつ、電力の需給バランスをとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、エネルギーマネジメントシステムの概要を示す図である。
図2図2は、電力需要の日変化の一例を示す図である。
図3図3は、実質電力需要の日変化の一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係る推奨行動出力システムの機能構成を示すブロック図である。
図5A図5Aは、実施の形態に係る行動計画情報の一例を示す図である。
図5B図5Bは、実施の形態に係る蓄電情報の一例を示す図である。
図5C図5Cは、実施の形態に係る充電器情報の一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態に係る推奨行動出力システムの動作を示すフローチャートである。
図7図7は、図6に示す充電タイミング及び充電位置の決定処理の第1例を示すフローチャートである。
図8図8は、図6に示す充電タイミング及び充電位置の決定処理の第2例を示すフローチャートである。
図9図9は、図6に示す充電タイミング及び充電位置の決定処理の第3例を示すフローチャートである。
図10図10は、図6に示す充電タイミング及び充電位置の決定処理の第4例を示すフローチャートである。
図11図11は、図6に示す推奨情報を生成する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明に至った経緯)
近年、従来の大規模・集中型エネルギーシステムの課題が顕在化するとともに、再生可能エネルギーの導入拡大が進む中で、比較的小規模で地域に分散しているエネルギー資源を活用する分散型エネルギーシステムへの転換が進みつつあり、太陽光発電又は家庭用燃料電池などのコージェネレーションシステム、定置用蓄電池、電気自動車、自家用発電設備、ネガワット(節電した電力)、など、需要家側に導入される分散型のエネルギーリソースの普及が進展している。また、需要家側のエネルギー消費としては、住宅などに設けられる照明機器、空調機器、ヒートポンプ給湯器など、及び、工場などに設けられる生産設備などが一例として挙げられる。
【0013】
こうした家庭又は工場などが有する分散型のエネルギーリソースの一つ一つは小規模なものであるが、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用した高度なエネルギーマネジメント技術によりこれらを束ね(アグリゲーション)、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用し、あたかも一つの発電所のように機能する、「仮想発電所:バーチャルパワープラント(VPP)」という仕組み、概念などが提案されている(図1参照)。図1は、エネルギーマネジメントシステム1の概要を示す図である。
【0014】
図1に示すように、エネルギーマネジメントシステム1は、複数の需要家を1つのグループ(コミュニティ)として、コミュニティ全体のエネルギー量の削減、複数の需要家における再生可能エネルギーの有効利用などを目的に、複数の需要家のエネルギーをまとめて管理するシステムである。また、エネルギーマネジメントシステム1は、コミュニティと、リソースアグリゲーター(電力アグリゲーター)と、アグリゲーションコーディネーターとを含む。なお、エネルギーマネジメントシステム1が含むコミュニティ、リソースアグリゲーター、及び、アグリゲーションコーディネーターの数は、図1に示す数に限定されない。
【0015】
コミュニティの各々は、複数の需要家により構成される。リソースアグリゲーター及びアグリゲーションコーディネーターは、需要家側のエネルギーリソース、分散型エネルギーリソースなどを統合制御し、バーチャルパワープラント(VPP)からエネルギーサービスを提供する事業者である。つまり、リソースアグリゲーター及びアグリゲーションコーディネーターは、複数の需要家にエネルギーを供給する事業者である。リソースアグリゲーターは、例えば、各コミュニティに設けられ、コミュニティ内の複数の需要家の電力制御を行う。リソースアグリゲーターと複数の需要家との間では、電力及び情報の送受信が行われる。なお、VPPとは、電力グリッド上に散在する発電設備、エネルギーリソースなどを統合的に制御し、1つの発電所(仮想発電所)のように制御するものである。アグリゲーションコーディネーターは、リソースアグリゲーターが制御した電力量を束ねて、送配電事業者又は小売電気事業者などのいわゆる電力会社と電力取引を行う。
【0016】
このようなエネルギーマネジメントシステム1におけるエネルギーリソースとしても使用可能である蓄電池(車載用蓄電池)を搭載する電気自動車を含む電動車両が、近年急速に普及している。電動車両は、電気を動力として走行可能な車両を指し、電動車両には、電気だけを動力とする車両(いわゆる電気自動車:EV)、電気とそれ以外のエネルギー源(例えば、ガソリンなどの燃料)とを動力とする車両(いわゆるハイブリッド自動車:HV)、外部充電機能を備えたハイブリッド自動車(いわゆるプラグインハイブリッド自動車:PHV)などが含まれる。また、車両は、道路を走行できる機械を指し、車両には、二輪車、三輪車、四輪車などが含まれる。今後、特にEVが急速に普及すると予測されている。
【0017】
ここで、電力需要の変化について、図2を参照しながら説明する。図2は、電力需要の日変化の一例を示す図である(出典:電気事業連合会のホームページ、[令和2年2月21日検索]、インターネット<URL:https://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/japan>)。図2は、1975年~2016年までの代表的な年の電力需要の日変化の一例を示す。
【0018】
図2に示すように、電力需要は、日中に需要量が増加し、日変化におけるピーク需要に達する。例えば、15時(PM3時)辺りで日変化におけるピーク需要に達する。また、夕方くらいから電力需要は減少し、朝方に最小需要に達する。例えば、5時くらいに日変化における最小需要に達する。
【0019】
また、近年、太陽光発電設備などの自然エネルギーを利用した発電設備を保有する需要家が増加しており、今後も増加が見込まれている。例えば、太陽光発電は、太陽光を電力に変換する発電方式であり、主に日中に発電する。太陽光発電は、太陽光をほとんど受光しない夜間には、ほとんど発電することができない。
【0020】
このような需要家を含むエネルギーマネジメントシステム1における実質電力需要について、図3を参照しながら説明する。図3は、実質電力需要の日変化の一例を示す図である(出典:カリフォルニア独立系統運用機関(California Independent System Operator)のJonathan Coignard el al 2018 Environmental Research Letters)。なお、実質電力需要とは、実際の電力消費量から太陽光発電など需要家で発電された電力量を差し引いた正味の電力需要であり、エネルギーマネジメントシステム1の需要家が電力会社からの供給を必要とする電力量である。また、図3は、2013年~2020年それぞれの代表的な実質電力需要の日変化の一例を示す。
【0021】
図3に示すように、実質電力需要は、太陽光発電の発電量が多い日中は大きく減少し、太陽光発電の発電量が少ない夕方以降には逆に需要が増大する。このような日中と夕方とで需給バランスが逆転することは、ダックカーブ現象と呼ばれている。日中は、太陽光発電などにより需要家で発電されるので、実質電力需要は減少する。また、夕方以降は、太陽光発電などによる需要家の発電量が減り、かつ、会社員などが帰宅して需要家の電力使用量が増えるので、実質電力需要は増加する。また、ダックカーブ現象は、年々顕著になっている。
【0022】
このようなダックカーブ現象は、電力系統の電力品質を低下させることにつながる。また、今後、太陽光発電設備を保有する需要家が増加することで日中の実質電力需要はさらに減少し、かつ、電動車両が増加することで夕方以降の実質電力需要はさらに増加することが予測される。例えば、数十~数百軒の集合住宅において数十軒がEVを保有しており、かつ、集合住宅にEVへの充電が可能な充電ステーションが複数台あり、かつ、当該数十軒の住人が夕方以降に仕事などから帰宅する場合を例に説明する。この場合、当該数十軒の住人が帰宅後にEVの充電を行うと、当該集合住宅において夕方以降の実質電力需要が急激に増加することが起こり得る。
【0023】
このような現象が電力系統システムのそれぞれで起こることで、夕方のランプアップ(急激に供給の出力が増加する現象)がさらに急になることが予測される。これは、ダックカーブ現象がさらに顕著となることを意味しており、さらに電力系統の電力品質を低下させることにつながる。また、ダックカーブ現象が顕著となることは、エネルギーコストの観点からも望ましくない。
【0024】
そのため、需要家の発電量が増加し、かつ、電動車両が増えた状況であっても、電力の需給バランスをとることが必要である。また、単に日中に電動車両の充電を行うなどの対策では、ユーザは日中にわざわざ電動車両の充電を行うために出かけなくてはならず利便性が低い。そこで、本願発明者は、利用者の利便性を維持しつつ、かつ、電力の需給バランスをとることについて、鋭意検討を行い、以下に説明する推奨行動出力システム、及び、推奨行動出力方法を創案した。なお、本願における電力の需給バランスをとるとは、例えば、実質電力需要のピーク需要を低減することを意味する。図3のような実質電力需要の日変化の場合、夕方以降の実質電力需要のピーク需要を低減することで、電力の需給バランスをとることが行われるとよい。
【0025】
なお、上記の充電ステーションは、通常は電動車両の二次電池に充電を行い、電力系統の停電などにより電力供給が停止された非常時に電動車両の二次電池を放電させて、集合住宅内などの電力需要を賄うことができる充放電ステーション(例えば、EVパワーステーション(登録商標))であってもよい。
【0026】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0027】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0028】
また、本明細書において、一致などの要素間の関係性を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0029】
(実施の形態)
[1.推奨行動出力システムの構成]
まずは、推奨行動出力システムの構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態に係る推奨行動出力システム100の機能構成を示すブロック図である。
【0030】
図4に示すように、推奨行動出力システム100は、車両110と、サーバ装置120と、情報端末130と、充電ステーション140とを備える。
【0031】
車両110は、ユーザUが利用する電動車両である。車両110は、自動車であるが、例えば、タクシー、バスなどであってもよい。車両110には、バッテリが搭載される。バッテリは、例えば複数の二次電池を含んで構成される。二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池であるが、これに限定されず、ニッケル水素二次電池などの電動車両用に用いられる二次電池であればよい。なお、以降において、二次電池を蓄電池とも記載する。なお、ユーザUは、車両110の利用者の一例である。
【0032】
車両110は、サーバ装置120と通信可能に接続されている。車両110は、当該車両110に搭載されたバッテリの蓄電容量、及び、現時点のバッテリの蓄電量を含む蓄電情報(後述する図5Bを参照)をサーバ装置120に出力する。
【0033】
サーバ装置120は、ユーザUの利便性を維持しつつ、かつ、電力の需給バランスをとるための処理を実行する。サーバ装置120は、車両110のユーザUの行動計画を含む行動計画情報と、車両110の蓄電池の蓄電情報とに基づいて、ユーザUの利便性を維持しつつ、かつ、電力の需給バランスをとるための車両110の蓄電池の充電タイミング、及び、当該蓄電池を充電する車両充電器141の位置を示す充電位置を決定する。そして、サーバ装置120は、決定した充電タイミング及び充電位置を示す情報を、情報端末130を介してユーザUに通知する。サーバ装置120は、通信部121と、制御部122と、記憶部123とを有する。なお、以降において、「車両110の蓄電池の充電タイミング」を単に「車両110の充電タイミング」と記載する場合がある。
【0034】
通信部121は、サーバ装置120が車両110、情報端末130、及び、充電ステーション140などと通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。通信部121は、制御部122の制御により、各種情報を送受信する。
【0035】
制御部122は、サーバ装置120の各構成要素を制御する制御装置である。制御部122は、ユーザUの行動計画情報、車両110の蓄電情報、及び、充電ステーション140の車両充電器141の充放電器情報を取得して記憶部123に記憶する。制御部122は、情報端末130から行動計画情報を取得してもよいし、スケジュールを管理する他のサーバ装置から行動計画情報を取得してもよい。行動計画情報は、例えば、専用のアプリケーションを介して取得されてもよい。制御部122は、例えば、ユーザUの情報端末130にインストールされた専用のアプリケーションを介して入力された当該ユーザUの行動計画に基づく行動計画情報を情報端末130から取得してもよい。なお、制御部122は、ユーザUの行動計画を予測することで、行動計画情報を取得してもよい。
【0036】
なお、制御部122は、例えば、行動計画に示す行動を実行する前に行動計画情報を取得するとよい。制御部122は、例えば、翌日以降の行動計画情報を、本日取得するとよい。これにより、サーバ装置120は、明日以降の充電タイミング及び充電位置を本日中に決定し、ユーザUに通知することができる。
【0037】
また、制御部122は、車両110から当該車両110に搭載されたバッテリの蓄電情報を取得してもよいし、蓄電情報を管理する他のサーバ装置から蓄電情報を取得してもよい。また、制御部122は、車両110の蓄電池を充電可能な車両充電器141を有する充電ステーション140から当該車両充電器141の位置を含む充電器情報を取得してもよいし、充電器情報を管理する他のサーバ装置から充電器情報を取得してもよい。
【0038】
また、制御部122は、生成部122cが生成した推奨情報を、通信部121を介して、情報端末130に出力する。
【0039】
以下、行動計画情報、蓄電情報及び充電器情報について、図5A図5Cを参照しながら説明する。図5Aは、本実施の形態に係る行動計画情報の一例を示す図である。
【0040】
図5Aに示すように、行動計画情報は、ユーザUのスケジュールを示す情報であり、「時間」及び「場所」に関する情報を含む。
【0041】
「時間」は、「場所」に対応する時間帯を示す情報であり、AM9時~AM10時などである。「場所」は、対応する時間の間に滞在している位置又は目的地(行先)を示す情報であり、自宅又はスーパー(スーパーマーケット)Aなどである。図5Aの例では、行動計画情報は、ユーザUが、AM9時~AM10時には自宅にいて、AM10時~AM11時にはスーパーAに買い物に行くことを含む。
【0042】
なお、行動計画情報には、車両110で出かけるときの走行ルート、目的地での滞在時間、乗車人数などの情報がさらに含まれていてもよい。
【0043】
なお、「場所」を示す情報は、制御部122により推測されてもよい。制御部122は、例えば、ユーザUの過去の行動履歴、又は、予定に基づいて、ユーザUの「場所」を推測してもよい。制御部122は、例えば、ユーザUがAM10時~AM11時までの予定が「打合せ」である場合、ユーザUの場所を会社であると推測してもよい。
【0044】
図5Bは、本実施の形態に係る蓄電情報の一例を示す図である。
【0045】
図5Bに示すように、蓄電情報は、「ID」、「蓄電容量」、及び、「蓄電量」に関する情報を含む。
【0046】
「ID」は、車両110を識別するための識別情報である。「蓄電容量」は、車両110に搭載されたバッテリの蓄電容量(最大容量)を示している。最大容量は、劣化等により経時的に変化する。「蓄電容量」は、その時点における満充電容量であってもよい。「蓄電量」は、車両110に搭載されたバッテリの現時点での蓄電量を示している。図5Bの例では、蓄電情報は、蓄電容量が30kWhであり、蓄電量が10kWhであることを含む。言い換えると、車両110は、現時点で20kWhの空き容量があり、20kWh分の充電が可能である。
【0047】
なお、蓄電情報には、さらに、ユーザUが希望する充電後の蓄電量などの情報が含まれていてもよい。これにより、後述する生成部122cは、バッテリを蓄電容量まで充電する場合、及び、ユーザUが希望する蓄電量まで充電する場合の少なくとも一方の充電タイミング及び充電位置を決定することが可能となる。
【0048】
制御部122は、例えば、蓄電情報を定期的に車両110から取得する。
【0049】
図5Cは、本実施の形態に係る充電器情報の一例を示す図である。
【0050】
図5Cに示すように、充電器情報は、「車両充電器の位置」、「稼働状況」、「使用可能な時間帯」、及び、「放電可否」に関する情報を含む。
【0051】
「車両充電器の位置」は、車両充電器141が設置されている位置を示す情報であり、例えば、車両充電器141が設置された充電ステーション140の緯度、経度であるが、住所などであってもよい。「稼働状況」は、車両充電器141の稼働状況を示す情報であり、例えば、稼働率である。例えば、AM9時~AM11時は、稼働率が40%である。「稼働状況」は、例えば、公共スペースに設置されている車両充電器141の充電器情報に含まれる。なお、「稼働状況」を示す情報は、稼働情報の一例である。
【0052】
「使用可能な時間帯」は、当該車両充電器141を使用可能な時間帯を示しており、例えば、AM9時~PM5時である。「使用可能な時間帯」は、当該車両充電器141が設置された充電ステーション140の開店時間帯であってもよい。「放電可否」は、当該車両充電器141が放電にも対応しているか否かを示す情報であり、例えば、可又は不可である。
【0053】
なお、充電器情報は、さらに「使用可能な状態であるか否かを示す情報」を含んでいてもよい。例えば、「使用可能な状態であるか否かを示す情報」として、「点検中のためAM9時からPM1時までは使用不可」などの情報が含まれていてもよい。「使用可能な時間帯」及び「使用可能な状態であるか否かを示す情報」は、使用可否情報の一例である。
【0054】
制御部122は、所定の領域に含まれる複数の車両充電器141のそれぞれにおいて、充電器情報を取得する。所定の領域は、予め設定されており、例えば、リソースアグリゲーターが管理するコミュニティの各需要家を含む地図上の領域であってもよいし、アグリゲーションコーディネーターが管理する各コミュニティのすべての需要家を含む地図上の領域であってもよいし、市区町村などの行政区画であってもよい。
【0055】
図4を再び参照して、制御部122は、予測部122aと、決定部122bと、生成部122cとを有する。
【0056】
予測部122aは、電力需要の時間変化を予測する。予測部122aは、例えば、電力需要の日変化を予測する。予測部122aは、例えば、図3に示すような実質電力需要を予測する。予測部122aは、例えば、実質電力需要の過去のデータに基づいて、現時点以降における実質電力需要を予測する。予測部122aにおける実質電力需要の予測方法は特に限定されないが、例えば、実質電力需要を予測する時間帯又は日時における位置、気温、季節、天候などの少なくとも1つが一致又は類似するときの過去の実質電力需要のデータに基づいて、当該時間帯又は日時における実質電力需要を予測する。なお、類似とは、実質電力需要を予測する時間帯又は日時における当該少なくとも1つと、過去の実質電力需要のデータが取得されたときの当該少なくとも1つとの差が所定条件を満たすことを示す。例えば、当該少なくとも1つが位置である場合を例に説明すると、所定条件は、数kmメートル以内の差であることであってもよいし、ユーザUが在籍するコミュニティと地図上で隣接するコミュニティであること、又は、ユーザUが在籍するエネルギーマネジメントシステム1と地図上で隣接するエネルギーマネジメントシステムであることであってもよい。
【0057】
決定部122bは、行動計画情報、蓄電情報、及び、充電器情報に基づいて、予測部122aが予測した電力需要の時間推移のピーク需要を低減するように、ユーザUに推奨する車両110の充電タイミング及び充電位置を決定する。決定部122bは、行動計画情報、蓄電情報、及び、充電器情報に基づいて、所定の領域に含まれる複数の車両充電器141の中から車両110の蓄電池を充電する車両充電器141を決定するとも言える。
【0058】
生成部122cは、決定部122bが決定した車両110の充電タイミング及び充電位置を含む推奨情報を生成する。充電タイミングは、例えば、充電を推奨する時間帯である。充電位置は、車両110の蓄電池を充電する車両充電器141が設置されている位置を示す。
【0059】
生成部122cは、例えば、図4の表示部131に示すように、充電タイミング(例えば、明日のAM10時~AM11時)と、当該充電タイミングでの充電に用いられる車両充電器141が設置されている充電位置とを表示するための推奨情報を生成する。図4では、充電位置を地図上に黒星印で表示している。なお、現在のユーザUの位置が当該地図上に表示されてもよい。図4では、現在のユーザUの位置を地図上に黒丸で表示している。また、さらに、現在のユーザUの位置から充電位置までの走行経路が地図上に表示されていてもよい。なお、充電位置は、住所などの文字で表示されていてもよい。
【0060】
記憶部123は、制御部122の処理のための各種情報を記憶する記憶装置である。記憶部123は、例えば、行動計画情報、蓄電情報、充電器情報などを記憶していてもよい。また、記憶部123は、例えば、予測部122aが予測を行うために用いる実質電力需要の過去のデータ、車両110の走行履歴などを記憶していてもよい。記憶部123は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0061】
なお、サーバ装置120は、例えば、リソースアグリゲーター又はアグリゲーションコーディネーターが管理するサーバ装置であってもよいし、図1に示すエネルギーマネジメントシステム1の外部のサーバ装置であってもよい。
【0062】
情報端末130は、ユーザUが所有する端末装置である。情報端末130は、サーバ装置120と通信可能であり、推奨情報を提示可能であれば特に限定されないが、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどであってもよい。また、表示部(ディスプレイ)を有さない音声入出力装置などであってもよい。
【0063】
情報端末130は、表示部131を有しており、表示部131に推奨情報に対応する表示を行うことで、ユーザUに推奨情報を提示する。なお、情報端末130は、音声などによりユーザUに推奨情報を提示してもよい。表示部131は、液晶パネルによって実現されるが、有機ELパネルなどのその他の表示パネルによって実現されてもよい。また、表示部131は、バックライトを有していてもよい。
【0064】
また、情報端末130は、ユーザUからの入力を受け付ける受付部(図示しない)を有しており、当該受付部を介して、ユーザUの行動計画に関する入力を受け付けてもよい。情報端末130は、受け付けた入力を示す情報を、サーバ装置120に送信する。情報端末130は、例えば、入力部を介して受け付けた行動計画を示す行動計画情報を、サーバ装置120に送信する。受付部は、例えば、タッチパネル、キーボード、押しボタンなどである。また、受付部は、例えば、音声入力を受け付けるマイクなどであってもよい。
【0065】
充電ステーション140は、車両110を充電する施設である。充電ステーション140は、1以上の車両充電器141を有する。車両充電器141は、電力系統からの電力を車両110に供給するための給電装置である。また、車両充電器141は、放電機能を有している場合、車両110からの電力を当該車両充電器141と接続された電力消費負荷(例えば、施設内に設置された電気機器など)に供給する。このように、車両充電器141は、充電のみを行う充電器であってもよいし、充放電を行うことができる充放電器であってもよい。言い換えると、充電ステーション140は、充放電ステーションであってもよい。
【0066】
なお、推奨行動出力システム100が備える充電ステーション140の数は、特に限定されない。例えば、所定の領域に設けられた充電ステーション140のすべてが推奨行動出力システム100に含まれる。また、充電ステーション140に設置されている車両充電器141の数は特に限定されず、1つであってもよいし、2以上であってもよい。また、車両充電器141は、一般住宅、集合住宅、公共スペースなどに設置される。
【0067】
[2.推奨行動出力システムの動作]
続いて、上記の推奨行動出力システム100の動作について、図6図11を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態に係る推奨行動出力システム100の動作を示すフローチャートである。
【0068】
図6に示すように、サーバ装置120の制御部122は、行動計画情報を取得する(S11)。制御部122は、例えば、図5Aに示すような行動計画情報を、通信部121を介して、情報端末130から取得する。このように、通信部121は、行動計画情報を取得する第1取得部として機能する。
【0069】
次に、制御部122は、蓄電情報を取得する(S12)。制御部122は、例えば、図5Bに示すような蓄電情報を、通信部121を介して、車両110から取得する。このように、通信部121は、蓄電情報を取得する第2取得部として機能する。制御部122は、例えば、蓄電情報を定期的に取得する。
【0070】
次に、制御部122は、充電器情報を取得する(S13)。制御部122は、例えば、図5Cに示すような充電器情報を、記憶部123から読み出す。このように、制御部122は、充電器情報を取得する第3取得部として機能する。
【0071】
なお、制御部122は、例えば、ステップS11で行動計画情報を取得することをトリガとして、ステップS12及びS13を実行してもよい。
【0072】
次に、予測部122aは、電力需要の時間推移を予測する(S14)。予測部122aは、例えば、各需要家の電力需要量と各需要家の発電量とに基づいて、予測する対象の時間帯又は日時(例えば、明日であり、以降において対象日時とも記載する)における、図3に示すような実質電力需要の時間推移を予測する。予測部122aは、例えば、対象日時における位置、気温、季節、天候などの少なくとも1つが一致又は類似するときの複数の過去のデータを平均又は重みづけ平均することにより、対象日時における実質電力需要の時間推移を予測する。対象日時は、予測を行う時点より将来の日時である。予測部122aは、例えば、行動計画情報において、ユーザUが車両110を用いて移動する予定がある日時を対象日時としてもよい。なお、以降では、予測部122aは、図3の2020年が示す実質電力需要の時間推移を予測したと仮定して説明する。
【0073】
次に、予測部122aは、電力需要の時間推移において、電力需要が示す電力の需要量(電力需要量)が閾値以下となる時間帯があるか否かを判定する(S15)。閾値は、電力系統が安定して電力を供給することができる電力量であれば特に限定されない。なお、図3では、17000MWを閾値の一例として図示しているが、閾値はこれに限定されない。
【0074】
次に、予測部122aは、電力需要量が閾値以下となる時間帯がある場合(S15でYes)、当該時間帯を充電が推奨される第1時間帯に設定し、電力需要量が閾値より大きくなる時間帯を放電が推奨される第2時間帯に設定する(S16)。図3を例に説明すると、予測部122aは、電力需要量が閾値以下となるおよそ9時~18時を第1時間帯に設定し、それ以外の時間帯を第2時間帯に設定する。つまり、予測部122aは、実質電力需要が小さい時間帯を第1時間帯に設定し、実質電力需要が大きい時間帯を第2時間帯に設定する。第2時間帯は、実質電力需要の日変化におけるピーク需要となる時間帯(図3の例では、20時前後の時間帯)を含む。なお、予測部122aは、ステップS16において、少なくとも対象日時における第1時間帯を設定すればよい。
【0075】
次に、予測部122a及び決定部122bは、行動計画情報、蓄電情報、及び、充電器情報に基づいて、ユーザUに推奨する車両110の充電タイミング及び充電位置の決定処理を行う(S17)。ステップS17の詳細は、後述する。
【0076】
決定部122bは、少なくとも予測された実質電力需要のピーク需要を低減するように、充電タイミング及び充電位置を決定する。また、決定部122bは、充電タイミング及び充電位置を、1つ決定してもよいし、複数決定してもよい。図4には、決定部122bで決定された充電タイミング及び充電位置が、推奨情報として表示されている例を示している。
【0077】
次に、生成部122cは、決定された車両110の充電タイミング及び充電位置をユーザUに推奨するための推奨情報を生成する(S18)。また、生成部122cは、例えば、ユーザUの自宅が有する車両充電器141が放電にも対応している場合、ステップS18において、車両110の放電タイミングをユーザUに推奨するための情報をさらに含む推奨情報を生成してもよい。推奨情報は、第2時間帯において、車両110の蓄電池を放電させることを推奨する情報を含む。推奨情報は、第2時間帯のピーク需要に達する時間を含む時間帯に、車両110を放電させることを推奨する情報を含んでいてもよい。また、生成部122cは、例えば、ステップS18において、第2時間帯では、車両110の充電を行わないことを含む推奨情報を生成してもよい。
【0078】
次に、制御部122は、通信部121を介して、生成部122cが生成した推奨情報を情報端末130に出力する(S19)。これにより、ユーザUは、情報端末130に提示される推奨情報を確認することで、車両110の推奨される充電タイミング及び充電位置を知ることができる。また、このように、通信部121は、推奨情報を出力する出力部として機能する。
【0079】
また、予測部122aは、電力需要量が閾値以下となる時間帯がない場合(S15でNo)、処理を終了する。この場合、制御部122は、充電しないこと、又は、日を改めて充電することを推奨する推奨情報を生成してもよい。
【0080】
図6に示す動作は、例えば、ユーザUが車両110に乗車するよりも前に行われるとよい。サーバ装置120は、例えば、ユーザUが車両110に乗車するよりも前に行動計画情報、蓄電情報及び充電器情報を取得した場合、ユーザUの情報端末130に推奨情報を事前に出力することができる。
【0081】
ここで、ユーザUに推奨する車両110の充電タイミング及び充電位置の決定処理について、図7図10を参照しながら説明する。図7は、図6に示す充電タイミング及び充電位置の決定処理(S17)の第1例を示すフローチャートである。
【0082】
図7に示すように、予測部122aは、行動計画情報に基づいて、第1時間帯における車両110の位置及び蓄電量を予測する(S21)。予測部122aは、図5Aの例では、AM9時~AM10時の間は、ユーザUの場所が自宅であるので、車両110の位置が自宅であると予測する。また、このとき車両110は走行していないので、バッテリの蓄電量は減少しない。例えば、AM9時~AM10時の間の車両110の蓄電量は、ステップS12で取得した蓄電情報に含まれる蓄電量のままである。
【0083】
また、予測部122aは、図5Aの例では、AM10時~AM11時の間はスーパーAに行くので、車両110の位置をスーパーAと予測する。なお、車両110の位置の予測方法はこれに限定されない。また、このとき車両110は走行するので、バッテリの蓄電量が減少する。蓄電量の減少量は、例えば、自宅とスーパーAとの間の距離(例えば、走行距離)に基づいて算出されるが、これに限定されない。予測部122aは、蓄電情報に含まれる車両110の蓄電量と、上記の蓄電量の減少量とに基づいて、第1時間帯における車両110の蓄電量を予測する。
【0084】
次に、決定部122bは、予測された蓄電量が所定の蓄電量以下であるか否かを判定する(S22)。所定の蓄電量は、車両110が充電する必要があるか否かを判定するための蓄電量であり、例えば、車両110の搭載されたバッテリの充電容量に基づいて決定されてもよい。また、所定の蓄電量は、例えば、情報端末130から取得されてもよい。つまり、所定の蓄電量は、ユーザUにより設定されてもよい。
【0085】
なお、決定部122bは、ステップS22において、蓄電情報に含まれるバッテリの蓄電容量と、予測部122aが予測した第1時間帯における蓄電量との差分に基づいて、第1時間帯に充電を行うか否かを判定してもよい。
【0086】
次に、決定部122bは、予測された蓄電量が所定の蓄電量以下である場合(S22でYes)、第1時間帯における車両110の位置及び蓄電量、並びに、充電器情報に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する(S23)。決定部122bは、第1時間帯における車両110の位置と、車両充電器141の位置とに基づいて、充電位置を決定する。決定部122bは、例えば、第1時間帯の車両110の位置(例えば、目的地)と、充電器情報に含まれる車両充電器141の位置とに基づいて、車両110の位置から近い位置の車両充電器141を特定し、特定した車両充電器141が設置されている設置位置を充電位置に決定する。また、決定部122bは、ユーザUがスーパーAに行くAM10時~AM11時の間(例えば、ユーザUが車両110を使用する間)を充電タイミングに決定する。なお、充電タイミングは、第1時間帯におけるタイミングである。
【0087】
また、決定部122bは、例えば、蓄電量が第1蓄電量以下とならないタイミングを車両110の充電タイミングに決定してもよい。第1蓄電量は、バッテリの蓄電量が減少し早急に充電を要する蓄電量であり、走行可能距離などに応じて適宜決定される。
【0088】
このように、決定部122bは、充電が推奨される第1時間帯におけるユーザUのスケジュールに応じて、充電タイミング及び充電位置を決定する。これにより、ユーザUは、充電するためだけに充電位置に行くことなく、出かけるついでに充電位置に立ち寄って車両110を充電することができるので、ユーザUの利便性が低下しにくい。
【0089】
上記のように、サーバ装置120は、第1時間帯における車両110の位置(つまり、ユーザUの位置)に応じた充電タイミング及び充電位置を決定する。第1時間帯に充電することが決定され、それがユーザUに通知されるので、ピーク需要において車両110が充電されることが低減することが期待できる。つまり、ピーク需要を低減することができる。
【0090】
なお、サーバ装置120は、例えば、所定の領域に充電が必要な車両が複数存在する場合、充電が必要な複数の車両それぞれの位置、及び、所定の領域に設置されている複数の車両充電器141それぞれの位置に応じて、複数の車両それぞれの車両充電器141までの走行距離が短くなる(例えば、最短となる)ように、複数の車両充電器141それぞれの充電位置を決定してもよい。
【0091】
なお、決定部122bは、予測された蓄電量が所定の蓄電量より多い場合(S22でNo)、充電しないことを推奨すると決定する(S24)。この場合、ステップS18で生成される推奨情報は、第1時間帯において、充電しないことを推奨することを示す情報を含む。
【0092】
続いて、予測部122aが車両110の走行経路を予測する場合の、ユーザUに推奨する車両110の充電タイミング及び充電位置の決定処理について、図8を参照しながら説明する。図8は、図6に示す充電タイミング及び充電位置の決定処理(S17)の第2例を示すフローチャートである。
【0093】
図8に示すように、予測部122aは、行動計画情報に基づいて、第1時間帯における車両110の走行経路を予測する(S31)。予測部122aは、例えば、行動計画情報に含まれる目的地と、車両110の過去の走行経路の履歴(走行履歴)とに基づいて、当該目的地までの走行経路を予測する。予測部122aは、図5Aの例では、自宅からスーパーAまで移動するので、自宅からスーパーAまでの過去の走行履歴に基づいて、自宅からスーパーAまでの走行経路を予測する。このように、予測部122aは、行動計画情報に基づいて、充電が推奨される第1時間帯に、車両110がどこにいるか又はどこを走行しているかを予測する。
【0094】
なお、予測部122aは、例えば、複数の走行履歴のうち直近の走行履歴が示す走行経路を、対象日時の第1時間帯における走行経路としてもよいし、複数の走行履歴のうち最も走行回数が多い走行経路を、対象日時の第1時間帯における走行経路としてもよい。
【0095】
次に、予測部122aは、第1時間帯における車両110の蓄電量を予測する(S32)。予測部122aは、ステップS31で予測した走行経路に基づいて、車両110の蓄電量を予測する。これにより、予測部122aは、走行経路に応じた車両110の蓄電量を予測することができるので、蓄電量の予測精度が向上する。
【0096】
なお、予測部122aによる蓄電量の予測方法は、特に限定されない。例えば、予測部122aは、ステップS31で予測した走行経路を過去に走行したときのバッテリの蓄電量の変化(つまり、電力使用量)に基づいて第1時間帯における車両110の蓄電量を予測してもよいし、ステップS31で予測した走行経路における走行距離と蓄電量の変化(つまり、電力使用量)との関係を示す情報に基づいて第1時間帯における車両110の蓄電量を予測してもよい。
【0097】
次に、決定部122bは、予測された蓄電量が所定の蓄電量以下であるか否かを判定する(S33)。ステップS33は、図7のステップS22と同様であり説明を省略する。
【0098】
次に、決定部122bは、予測された蓄電量が所定の蓄電量以下である場合(S33でYes)、第1時間帯における車両110の走行経路及び蓄電量、並びに、充電器情報に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する(S34)。決定部122bは、第1時間帯における車両110の走行経路と、車両充電器141の位置とに基づいて、充電位置を決定する。決定部122bは、例えば、第1時間帯の車両110の走行経路と、充電器情報とに基づいて、車両110の走行経路から近い位置の車両充電器141を特定し、特定した車両充電器141が設置されている設置位置を充電位置に決定する。また、決定部122bは、車両110が充電位置又は当該充電位置の近くを走行するときを充電タイミングに決定する。これにより、決定部122bは、より細かく充電タイミングを決定することができる。
【0099】
なお、決定部122bは、予測された蓄電量が所定の蓄電量より多い場合(S33でNo)、充電しないことを推奨すると決定する(S35)。この場合、ステップS18で生成される推奨情報は、第1時間帯において、充電しないことを推奨することを示す情報を含む。
【0100】
このように、決定部122bは、充電が推奨される第1時間帯におけるユーザUのスケジュールから走行経路を予測し、予測した走行経路に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する。これにより、決定部122bは、ユーザUにより適切な充電タイミング及び充電位置を決定することができる。
【0101】
続いて、予測部122aがユーザUの行動計画を予測する場合の、ユーザUに推奨する車両110の充電タイミング及び充電位置の決定処理について、図9を参照しながら説明する。図9は、図6に示す充電タイミング及び充電位置の決定処理(S17)の第3例を示すフローチャートである。なお、この場合、図6に示すステップS11は実行されてなくてもよい。つまり、サーバ装置120は、ユーザUの行動計画情報を外部の装置から取得しなくてもよい。
【0102】
図9に示すように、予測部122aは、車両110の位置の履歴情報を取得する(S41)。車両110の位置の履歴情報は、ユーザUの過去のスケジュールに基づく情報であってもよいし、車両110の走行履歴に基づく情報であってもよい。車両110の位置の履歴情報は、記憶部123に記憶されており、予測部122aは、当該履歴情報を記憶部123から読み出すことで、当該履歴情報を取得する。予測部122aは、例えば、ステップS41において、過去の第1時間帯における車両110の走行履歴を履歴情報として取得する。
【0103】
次に、予測部122aは、車両110の位置の履歴情報に基づいて、ユーザUの行動計画を予測する(S42)。予測部122aは、例えば、車両110の位置の履歴情報からユーザUの行動の規則性を取得し、取得した規則性に基づいて、ユーザUの行動計画を予測する。規則性とは、日時と場所との対応が周期的に繰り返されていることであり、例えば、毎週、特定曜日、又は、特定の時間帯に、特定の場所にいることなどである。予測部122aは、例えば、ユーザUが毎週特定曜日のAM10時~AM11時にスーパーAに行っていることを示す規則性を取得すると、次の特定曜日もAM10時~AM11時にスーパーAに行くと予測する。予測部122aは、車両110の位置の履歴情報に基づいて、ユーザUの習慣的な行動を予測するとも言える。予測部122aが予測した行動計画を示す情報は、行動計画情報の一例である。つまり、行動計画情報は、サーバ装置120により生成されてもよい。
【0104】
次に、予測部122aは、予測された行動計画に基づいて、第1時間帯における車両110の走行経路を予測する(S43)。なお、ステップS43~S47はそれぞれ、図8に示すステップS31~S35と同様であり説明を省略する。
【0105】
このように、サーバ装置120は、外部の装置からユーザUの行動計画情報を取得することなく、車両110の位置の履歴情報に基づいて、ユーザUの行動計画を予測する。これにより、サーバ装置120と外部の装置との通信量を削減することができる。また、サーバ装置120と外部の装置との通信状態が良好でない場合であっても、充電タイミング及び充電位置を決定することができる。
【0106】
続いて、充電器情報に「使用可能な時間帯」を示す情報が含まれている場合の、ユーザUに推奨する車両110の充電タイミング及び充電位置の決定処理について、図10を参照しながら説明する。図10は、図6に示す充電タイミング及び充電位置の決定処理(S17)の第4例を示すフローチャートである。
【0107】
図10に示すように、予測部122aは、行動計画情報に基づいて、第1時間帯における車両110の位置及び蓄電量を予測し(S51)、予測された蓄電量が所定の蓄電量以下であるか否かを判定する(S52)。ステップS51及びS52はそれぞれ、図7のステップS21及びS22と同様であり説明を省略する。
【0108】
次に、予測部122aは、予測された蓄電量が所定の蓄電量以下である場合(S52でYes)、充電器情報に基づいて、所定の領域内の複数の車両充電器141の中から第1時間帯に使用可能な1以上の車両充電器141を特定する(S53)。予測部122aは、例えば、充電器情報に含まれる「使用可能な時間帯」を示す情報に基づいて、第1時間帯に使用可能な1以上の車両充電器141を特定する。予測部122aは、「使用可能な時間帯」が示す時間帯(例えば、図5Cの例では、AM9時~PM5時)が第1時間帯に含まれているか否かに基づいて、1以上の車両充電器141を特定してもよい。
【0109】
なお、予測部122aは、「使用可能な時間帯」が示す時間帯が、行動計画情報に基づく車両110が走行する可能性がある時間帯(例えば、図5Aの例では、AM10時~AM11時)を含んでいるか否かに基づいて、1以上の車両充電器141を特定してもよい。つまり、予測部122aは、行動計画情報に基づいて、「使用可能な時間帯」が示す時間帯に車両110が当該車両充電器141で充電可能である場合、当該車両充電器141を第1時間帯に使用可能な1以上の車両充電器141として特定してもよい。
【0110】
次に、決定部122bは、第1時間帯における車両110の位置、蓄電量、及び、特定された1以上の車両充電器141を示す情報に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する(S54)。これにより、決定部122bは、所定の領域内に設置されている複数の車両充電器141のうち第1時間帯に使用可能な1以上の車両充電器141の中から、車両110を充電する車両充電器141を決定することができるので、車両110が充電を行うことができる確実性が増す。
【0111】
また、予測部122aは、予測された蓄電量が所定の蓄電量以下である場合(S52でNo)、充電しないことを推奨すると決定する(S55)。
【0112】
なお、予測部122aは、充電器情報に含まれる「使用可能な時間帯」を示す情報に基づいて、ステップS53の処理を行ったがこれに限定されない。予測部122aは、例えば、充電器情報に含まれる「稼働状況」を示す情報に基づいて、ステップS53の処理を行ってもよい。予測部122aは、例えば、第1時間帯において稼働率が所定値以下である車両充電器141を、使用可能な1以上の車両充電器141として特定してもよい。これにより、ユーザUが車両110の充電をスムーズに行うことができるので、予測部122aは、車両110の充電作業がユーザUのスケジュールに与える影響を低減することができる。つまり、予測部122aは、ユーザUの利便性の低下をさらに抑制することができる。
【0113】
ここで、ユーザUに推奨する推奨情報を生成する処理について、図11を参照しながら説明する。図11は、図6に示す推奨情報を生成する処理(S18)の一例を示すフローチャートである。具体的には、図11を用いて、充電タイミング及び充電位置の組が複数ある場合の処理について説明する。
【0114】
図11に示すように、生成部122cは、決定部122bが決定した充電タイミング及び充電位置の組が複数あるか否かを判定する(S61)。生成部122cは、決定部122bが決定した充電タイミング及び充電位置の組が複数ある場合(S61でYes)、複数の組それぞれのピーク需要の低減度合いを算出する(S62)。生成部122cは、例えば、充電タイミングがピーク需要となる時間帯に近いほど、ピーク需要の低減度合いを高くする。なお、ピーク需要の低減度合いの算出は、これに限定されない。
【0115】
次に、生成部122cは、複数の組それぞれのピーク需要の低減度合いに基づいて、複数の組それぞれの優先順位を決定し(S63)、決定した優先順位に応じた推奨情報を生成する(S64)。生成部122cは、ピーク需要の低減度合いが高いほど、優先順位を高く設定する。生成部122cは、例えば、優先順位に応じて、充電タイミング及び充電位置の表示態様を変化させてもよい。生成部122cは、例えば、優先順位が高いほど表示を大きくしてもよい。
【0116】
また、生成部122cは、決定部122bが決定した充電タイミング及び充電位置の組が複数ない場合(S61でNo)、充電タイミング及び充電位置の1つの組を含む推奨情報を生成する(S65)。
【0117】
このように、サーバ装置120は、決定部122bが決定した充電タイミング及び充電位置の組が複数ある場合、ピーク需要の低減度合いの観点から、ユーザUに推奨する充電タイミング及び充電位置の優先順位を決定する。これにより、サーバ装置120は、効果的にピーク需要を低減することができる。
【0118】
なお、生成部122cは、ピーク需要の低減度合いに基づいて優先順位を決定することに限定されない。生成部122cは、例えば、ユーザUの好みに応じて優先順位を決定してもよいし、稼働率に応じて優先順位を決定してもよい。例えば、生成部122cは、ユーザUが近い車両充電器141で充電することを好む傾向がある場合、車両充電器141の設置位置と走行経路との距離が短いほど優先順位が高くなるように優先順位を決定してもよい。また、例えば、生成部122cは、稼働率が低い車両充電器141ほど優先順位が高くなるように優先順位を決定してもよい。
【0119】
[3.効果など]
以上のように、推奨行動出力システム100は、蓄電池を搭載する車両110のユーザUの行動計画を含む行動計画情報、及び、車両110の蓄電池の蓄電容量、及び、現時点の蓄電池の蓄電量を含む蓄電情報を取得する通信部121と、特定の地域内に設置された車両充電器141の位置を含む充電器情報を取得する制御部122と、特定の地域内の電力需要の時間推移を予測する予測部122aと、行動計画情報、蓄電情報、及び、充電器情報に基づいて、予測された電力需要の時間推移のピーク需要を低減するように、ユーザUに推奨する車両110の蓄電池の充電タイミング、及び、当該蓄電池を充電する車両充電器141の位置を示す充電位置を決定する決定部122bと、決定された充電タイミング及び充電位置を含む推奨情報を出力する通信部121とを備える。
【0120】
なお、通信部121は、第1取得部、第2取得部及び出力部として機能する。また、制御部122は、第3取得部の一例であり、ユーザUは、利用者の一例である。
【0121】
これにより、車両110の充電タイミング及び充電位置がユーザUの行動計画に基づいて決定されるので、ユーザUは車両110の充電のためだけに充電位置に行く必要がなく出かけるついでに充電位置に行けばよいので、ユーザUにおける利便性が低下することが抑制される。また、予測された電力需要のピーク需要を低減するように充電タイミング及び充電位置が決定されるので、電力の需給バランスをとることができる。よって、推奨行動出力システム100によれば、利用者の利便性を維持しつつ、かつ、電力の需給バランスをとることができる。
【0122】
また、予測部122aは、電力需要の時間推移において電力需要量が閾値以下である時間帯を充電が推奨される第1時間帯として設定する。決定部122bは、行動計画情報に基づく第1時間帯における車両110の位置、蓄電情報に基づく第1時間帯における車両110の蓄電池の蓄電量、及び、充電器情報に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する。
【0123】
これにより、決定部122bは、充電タイミングを第1時間帯内のタイミングに決定することで、電力の需給バランスを効果的にとることができる。
【0124】
また、行動計画情報は、ユーザUの目的地を示す情報を含む。予測部122aは、車両110の現在位置と目的地とに基づいて、車両110の走行経路を予測し、決定部122bは、さらに走行経路に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する。
【0125】
これにより、目的地周辺だけでなく、走行経路周辺の充電位置でも充電が可能となるので、決定部122bが充電タイミング及び充電位置を決定するときの自由度が増す。
【0126】
また、通信部121は、車両110の位置の履歴情報を取得する。予測部122aは、車両110の位置の履歴情報に基づいてユーザUの行動計画を予測し、決定部122bは、予測されたユーザUの行動計画に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する。
【0127】
これにより、決定部122bは、ユーザUの行動計画をユーザUから取得することなく、充電タイミング及び充電位置を決定することができる。つまり、ユーザUは、情報端末130等に行動計画を入力することなく、推奨情報を取得することができる。よって、サーバ装置120は、ユーザUにおける利便性の低下をさらに抑制することができる。
【0128】
また、充電器情報は、当該車両充電器141の稼働状況を示す稼働情報を含む。決定部122bは、第1時間帯における車両110の位置、稼働情報に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する。
【0129】
これにより、ユーザUは、稼働情報に含まれる稼働率が低い充電位置に決定されることで、推奨情報に示される充電位置に到着したときに、待ち時間が少なく車両110の充電を行うことができる。よって、サーバ装置120は、ユーザUにおける利便性の低下をさらに抑制することができる。
【0130】
また、充電器情報は、当該車両充電器141の使用可否を示す使用可否情報を含む。決定部122bは、使用可否情報に基づいて、複数の車両充電器141の中から、第1時間帯において使用可能な1以上の車両充電器141を特定し、特定した1以上の車両充電器141に基づいて、充電タイミング及び充電位置を決定する。
【0131】
これにより、第1時間帯に使用可能な1以上の車両充電器141の中から、充電位置が決定される。つまり、ユーザUが推奨情報に基づいた充電位置に到着したときに、充電できる確実性が増す。例えば、充電位置に到着したときに車両充電器141が故障中などで使用できず、異なる充電位置に向かうなど2度手間になることが抑制されるので、サーバ装置120は、ユーザUにおける利便性の低下をより一層抑制することができる。
【0132】
また、予測部122aは、電力需要の時間推移において電力需要量が閾値より大きい時間帯を放電が推奨される第2時間帯として特定する。通信部121は、さらに、第2時間帯では、車両110の充電を行わないことを含む推奨情報を出力する。
【0133】
これにより、サーバ装置120は、第2時間帯にユーザUが充電することを抑制することができるので、電力の需給バランスをよりとりやすくなる。
【0134】
また、車両充電器141は、充電及び放電が可能な充放電器である。予測部122aは、電力需要の時間推移において電力需要量が閾値より大きい時間帯を放電が推奨される第2時間帯として特定し、通信部121は、さらに、第2時間帯に車両110の蓄電池を放電させることを推奨することを含む推奨情報を出力する。
【0135】
これにより、サーバ装置120は、第2時間帯の実質電力需要を減らすことができるので、さらに電力の需給バランスをとることができる。また、サーバ装置120は、例えば、第2時間帯におけるピーク需要を含む時間帯に放電が行われることで、効果的に電力の需給バランスをとることができる。
【0136】
また、決定部122bは、充電タイミング及び充電位置の組を複数決定し、通信部121は、充電タイミング及び充電位置の組を複数含む推奨情報を出力する。
【0137】
これにより、決定部122bは、ユーザUに対して、複数の充電タイミング及び充電位置を提案することができる。ユーザUは、推奨情報に含まれる複数の充電タイミング及び充電位置の組から、所望の充電タイミング及び充電位置を選択することができる。
【0138】
また、推奨情報は、充電タイミング及び充電位置の複数の組それぞれにおけるピーク需要の低減度合いに基づく、充電タイミング及び充電位置の複数の組それぞれの優先順位を示す情報を含む。
【0139】
これにより、サーバ装置120は、ピーク需要の低減度合いが高い充電タイミング及び充電位置の優先順位を高く設定することで、より効果的にピーク需要を低減することができる。つまり、サーバ装置120は、電力の需給バランスをよりとりやすくなる。
【0140】
また、以上のように、推奨行動出力方法は、蓄電池を搭載する車両110のユーザUの行動計画を含む行動計画情報を取得し(S11)、車両110の蓄電池の蓄電容量、及び、現時点の蓄電池の蓄電量を含む蓄電情報を取得し(S12)、特定の地域内に設置された車両充電器141の位置を含む充電器情報を取得し(S13)、特定の地域内の電力需要の時間推移を予測し(S14)、行動計画情報、蓄電情報、及び、充電器情報に基づいて、予測された前記電力需要の前記時間推移のピーク需要を低減するように、ユーザUに推奨する車両110の蓄電池の充電タイミング、及び、当該蓄電池を充電する車両充電器141の位置を示す充電位置を決定し(S17)、決定された充電タイミング及び充電位置を含む推奨情報を出力する(S19)。また、以上のように、プログラムは、上記の推奨行動出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0141】
これにより、上記の推奨行動出力システム100と同様の効果を奏する。
【0142】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る推奨行動出力システム、及び、推奨行動出力方法について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0143】
例えば、上記実施の形態では、予測された蓄電量に基づいて充電の有無が判定される例について説明したが、これに限定されない。例えば、図6のステップS12で取得された蓄電情報に含まれる蓄電量(車両が車両情報を送信した時点での蓄電量)に基づいて、充電の有無が判定されてもよい。
【0144】
また、上記実施の形態では、サーバ装置は、1つの装置で構成される例について説明したが、複数の装置で構成されてもよい。サーバ装置が複数の装置で構成される場合、サーバ装置の機能は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、上記実施の形態等におけるサーバ装置の機能の少なくとも一部は、回収業者が有する機器又は情報端末が有していてもよい。
【0145】
また、上記実施の形態における推奨行動出力システムが備える装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間では、無線通信が行われる例について説明したが、有線通信が行われてもよい。また、装置間では、無線通信および有線通信が組み合わされてもよい。
【0146】
また、上記実施の形態において説明された複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理の少なくとも一部は、並行して実行されてもよい。
【0147】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックとして実現したり、1つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0148】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、プロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large scale integration:大規模集積回路)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、一つのチップに集積されていてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0149】
システムLSIは、複数の処理部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0150】
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0151】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0152】
また、上記実施の形態において、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、推奨行動出力方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。
【0153】
また、本発明の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布又は流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。なお、プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0154】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0155】
100 推奨行動出力システム
110 車両
121 通信部(第1取得部、第2取得部、出力部)
122 制御部(第3取得部)
122a 予測部
122b 決定部
122c 生成部
140 充電ステーション
141 車両充電器
U ユーザ(利用者)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11