(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】舗装体及び舗装体の施工方法
(51)【国際特許分類】
E01C 7/35 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
E01C7/35
(21)【出願番号】P 2021035403
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(73)【特許権者】
【識別番号】591167278
【氏名又は名称】中外商工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【氏名又は名称】永田 貴久
(72)【発明者】
【氏名】名和田 浩
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 俊浩
(72)【発明者】
【氏名】増田 隆行
(72)【発明者】
【氏名】林 丈照
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 靖人
(72)【発明者】
【氏名】少路 巧
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-292616(JP,A)
【文献】特開平10-266794(JP,A)
【文献】特開2019-031845(JP,A)
【文献】特開2017-128860(JP,A)
【文献】登録実用新案第3206887(JP,U)
【文献】特開平08-074207(JP,A)
【文献】特開2007-138638(JP,A)
【文献】特開2006-283555(JP,A)
【文献】特開2017-031770(JP,A)
【文献】特開2002-295188(JP,A)
【文献】特開2016-070025(JP,A)
【文献】特開2002-129657(JP,A)
【文献】実開昭63-116607(JP,U)
【文献】特開2004-090570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 7/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地層、FRP層、表層を有する舗装体であって、
前記下地層の上に直接又は適時の層を介して前記FRP層が形成され、前記FRP層の上には表層が形成されており、
前記FRP層の上にはグリップ金具が配置され、前記グリップ金具の上方から前記下地層に向けて中空部分を有したアンカーが打ち込まれており、
前記アンカーの中空部分には、充填材が充填されていることを特徴とする舗装体。
【請求項2】
前記表層は、メタクリル樹脂モルタルが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の舗装体。
【請求項3】
前記下地層とFRP層との間には、プライマ層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の舗装体。
【請求項4】
前記FRP層の上には、前記表層を区画するように目地シーリングが設けられていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の舗装体。
【請求項5】
前記目地シーリングで区画された1区画内には、前記グリップ金具が前記1区画の4隅及び中央付近の5箇所に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の舗装体。
【請求項6】
前記充填材は、FRP層に使用する樹脂材と同様の樹脂材が用いられていることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の舗装体。
【請求項7】
前記FRP層および前記表層に使用される樹脂材には、シランカップリング剤が添加されていることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の舗装体。
【請求項8】
前記グリップ金具の表面は、トゲ部を有していることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の舗装体。
【請求項9】
前記グリップ金具の裏面は、クロスカット模様の溝が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の舗装体。
【請求項10】
前記グリップ金具は、平面視丸型であり、中央に前記アンカーを挿通するための固定孔を有しており、前記固定孔を取り囲むように、5つの貫通孔を有していることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の舗装体。
【請求項11】
前記貫通孔は、星形多角形であることを特徴とする請求項10に記載の舗装体。
【請求項12】
前記グリップ金具は、平面視長方形であり、前記アンカーを挿通するための固定孔を2つ有していることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の舗装体。
【請求項13】
舗装体の施工方法であって、
下地層を形成する下地層形成工程と、
前記下地層の上にFRP層を形成するFRP層形成工程と、
前記FRP層の上にグリップ金具を配置し、当該グリップ金具の上方から前記下地層に向けて中空部分を有したアンカーを打ち込む打ち込み工程と、
前記アンカーの中空部分に充填材を充填する充填工程と、
前記FRP層の上に表層を形成する表層形成工程と、
前記FRP層の上に前記表層を区画するように目地シーリングを設ける目地シーリング形成工程と、を有することを特徴とする舗装体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装体及び舗装体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、陸上輸送において大型車両を使用する機会が増えている。そのため、大型車両を駐車するための大規模立体駐車場の建設も進められている。なお、大型車両は重量が大きいので、大規模立体駐車場の路面である舗装体は不具合が生じやすかった。具体的には、大型車両の駐車時や停発車時において切り替えしを行った場合等に舗装体の表面がねじ切られ、又は摩耗により表層が破断するなどの状況が生じていた。表層破断は、下層の塗膜防水層の破断、漏水にも繋がる事がある。
【0003】
舗装体への不具合を軽減するためには、舗装体の強度を上げることが考えられる。舗装体の強度を上げる方法としては、複合被膜構造体(特許文献1 参照)とする方法が知られている。特許文献1は、下地の上に粒状固結層を形成し、その上に高分子緩衝層を形成し、その上に繊維強化熱硬化性樹脂層を形成する構造体としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の複合被膜構造体であっても、大型車両が切り替えし等を行った場合には、舗装体に不具合が生じるという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、かかる従来発明における課題に鑑みてされたものであり、大型車両が切り替えし等を行った際でも、舗装体に不具合が生じない、より強固な舗装体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも以下のような構成を備え、もしくは手順を実行する。
【0008】
本発明の第1の局面に係る舗装体は、下地層、FRP層、表層を有する舗装体であって、前記下地層の上に直接又は適時の層を介して前記FRP層が形成され、前記FRP層の上には表層が形成されており、前記FRP層の上にはグリップ金具が配置され、前記グリップ金具の上方から前記下地層に向けて中空部分を有したアンカーが打ち込まれており、前記アンカーの中空部分には、充填材が充填されていることを特徴とする。
かかる構成により、大型車両が切り替えし等を行った際でも、路面に不具合が生じない、より強固な舗装体を提供することができる。
【0009】
より好ましくは、前記表層は、メタクリル樹脂モルタルを使用していることを特徴とする。
かかる構成により、より強固な舗装体を形成することができる。
【0010】
より好ましくは、前記下地層とFRP層との間には、プライマ層が設けられていることを特徴とする。
かかる構成により、下地層とFRP層との接着性を向上させることができる。これは、プライマ層を適切に設けることで接着性が向上するためである。
【0011】
より好ましくは、前記FRP層の上には、前記表面層を区画するように目地シーリングが設けられていることを特徴とする。
かかる構成により、表面層のひび割れを防止することができる。目地シーリングを設けることにより、各層との異種収縮に伴う緩衝材効果を奏することができるためである。
【0012】
より好ましくは、前記目地シーリングで区画された1区画には、前記グリップ金具が前記1区画の4隅及び中央付近の5箇所に配置されていることを特徴とする。
かかる構成により、より強固な舗装体を形成することができる。これは、適切な位置にグリップ金具を配置することにより、FRP層と下地層とをより確実に固定できるためである。
【0013】
より好ましくは、前記充填材は、FRP層に使用する樹脂材と同様の樹脂材が用いられていることを特徴とする。
かかる構成により、より確実にグリップ金具とFRP層とを接着することができる。これは、FRP層に使用する樹脂材と同様の樹脂材を使用することに互いが強固に接着するため、より確実にアンカーを固定することができる。
【0014】
より好ましくは、前記FRP層および前記表層に使用される樹脂材には、シランカップリング剤が添加されていることを特徴とする。
かかる構成により、各層の接着性が向上する。
【0015】
より好ましくは、前記グリップ金具の表面は、トゲ部を有していることを特徴とする。
かかる構成により、グリップ金具と表層との接着性が向上する。
【0016】
より好ましくは、前記グリップ金具の裏面は、クロスカット模様の溝が設けられていることを特徴とする。
かかる構成により、グリップ金具とFRP層との接着性が向上する。
【0017】
より好ましくは、前記グリップ金具は、平面視丸型であり、中央に前記アンカーを挿通するための固定孔を有しており、前記固定孔を取り囲むように、5つの貫通孔を有していることを特徴とする。
かかる構成により、グリップ金具と各層との接着性が向上する。
【0018】
より好ましくは、前記貫通孔は、星形多角形であることを特徴とする。
かかる構成により、よりグリップ金具と各層との接着性が向上する。
【0019】
より好ましくは、前記貫通孔は、星形多角形であることを特徴とする。
かかる構成により、よりグリップ金具と各層との接着性が向上する。
【0020】
より好ましくは、前記グリップ金具は、平面視長方形であり、前記アンカーを挿通するための固定孔を2つ有していることを特徴とする。
かかる構成により、グリップ金具と各層との接着性が向上する。
【0021】
本発明の第1の局面に係る舗装体の施工方法は、舗装体の施工方法であって、下地層を形成する下地層形成工程と、前記下地層の上にFRP層を形成するFRP層形成工程と、前記FRP層の上にグリップ金具を配置し、当該グリップ金具の上方から前記下地層に向けて中空部分を有するアンカーを打ち込む打ち込み工程と、前記アンカーの中空部分に充填材を充填する充填工程と、前記FRP層の上に表層を形成する表層形成工程と、前記FRP層の上に前記表層を区画するように目地シーリングを設ける目地シーリング形成工程と、を有することを特徴とする。
かかる構成により、大型車両が切り替えし等を行った際でも、路面に不具合が生じないより強固な舗装体を形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、大型車両が切り替えし等を行った際でも、舗装体に不具合が生じない、より強固な舗装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る舗装体10の断面を示す図である。
【
図2】本発明に係る舗装体10の目地シーリングによって区画された1区画を示す図である
【
図3】本発明に係る舗装体10に使用するグリップ金具200の平面図である。
【
図4】本発明に係る舗装体10に使用するグリップ金具200の断面を示す図である。
【
図5】本発明に係る舗装体10に使用するその他のグリップ金具300の平面図である。
【
図6】本発明に係る舗装体10に使用するその他のグリップ金具300の断面を示す図である。
【
図7】本発明に係る舗装体10に使用するその他のグリップ金具400の斜視図である。
【
図8】本発明に係る舗装体10に使用するその他のグリップ金具400の断面を示す図である。
【
図9】本発明に係る舗装体10の施工方法の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。
【0025】
図1は、本発明に係る舗装体10の断面を示す図である。舗装体10は、下地層20、プライマ層30、FRP層40、表層50を備えている。下地層20の上には、プライマ層30が形成されており、プライマ層30の上にはFRP層40が形成されており、FRP層40の上には表層50が形成されている。なお、プライマ層30については、適時省略することができる。下地層20の上にFRP層40を直接設けても構わないし、下地層20とFRP層40の間に適宜の層であるプライマ層30を設けて構わない。また、FRP層40の上にはグリップ金具200が配置されており、グリップ金具200の上方から下地層20に向けて中空部分110を有したアンカー100が打ち込まれている。なお、アンカー100の中空部分110には、充填材120が充填されている。また、アンカー100が打ち込まれた箇所である穿孔部分には、隙間なく充填材120が充填されている。また、FRP層40の上には表層50を区画するように目地シーリング60が設けられている。また、表層50の上には、必要に応じてトップコート層を設けても構わない。
【0026】
下地層20は、コンクリートを使用しているがこれに限らない。例えば、モルタル等で形成しても構わない。なお、大規模立体駐車場の場合などでは、下地層20の下にデッキプレートが設けられている。そのため、コンクリートを設けずにデッキプレートを下地層20としても構わない。
【0027】
プライマ層30は、メタクリル樹脂、アクリル系の樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、エポキシ系樹脂等の反応性樹脂材等を適宜使用して形成している。なお、プライマ層30を設けることにより、下地層20とFRP層40との接着性を向上させることができるため好ましい。また、速硬化しやすい樹脂を使用することで、施工時間を短縮することができる。なお、プライマ層30に用いる樹脂材には、シランカップリング剤を添加するのが好ましい。シランカップリング剤を添加すると無機材料と有機材料との界面が改質するため、より接着性が向上するためである。なお、シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、シランカップリング剤に3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用する場合の添加量としては、樹脂に対して、0.5重量%~1.5重量%の範囲が好ましい。
【0028】
FRP層40は、樹脂材と繊維強化材とを組み合わせて形成した層である。樹脂材としては、メタクリル樹脂、アクリル系の樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、エポキシ系樹脂等の反応性樹脂材等を使用する。繊維強化材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維やアミド、アラミド、ビニロン、ポリエステル、フェノールなどの有機繊維である。なお、施工性、経済性の面からガラスマットを使用するのが好ましい。ガラスマットを使用する場合、2枚積層させて2プライで施工するのが好ましい。
【0029】
なお、FRP層40に用いる樹脂材には、シランカップリング剤を添加するのが好ましい。シランカップリング剤を添加すると無機材料と有機材料との界面が改質するため、より接着性が向上するためである。具体的には、FRP層40に使用する有機系樹脂と無機質であるガラスマットとの接着性が向上しFRP層40がより強固になる。なお、シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、シランカップリング剤に3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用する場合の添加量としては、樹脂材に対して、0.5重量%~1.5重量%の範囲が好ましい。
【0030】
表層50は、樹脂モルタルを使用しており、特にメタクリル(MMA)樹脂モルタルが好ましい。メタクリル樹脂モルタルは、屋内外対応可能な樹脂材であり、低温下でも速硬化性があるため、施工性に優れている。また、硬化時において、ある程度の柔軟性を有しているため、大型車両走行時などにおいても破損等の不具合が生じにくい。
【0031】
なお、表層50に用いる樹脂材には、シランカップリング剤を添加するのが好ましい。シランカップリング剤を添加すると無機材料と有機材料との界面が改質するため、より接着性が向上するためである。具体的には、表層50の有機系樹脂と珪砂を主体とする無機系骨材に於いて表面積の大きな無機系骨材に対し有機系樹脂の表面濡れ性が向上し最密充填状態なり表面、内部強度が増す。また、シランカップリング剤を添加すると、グリップ金具200と各層との接着性が向上するため好ましい。なお、シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、シランカップリング剤に3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用する場合の添加量としては、樹脂に対して、0.5重量%~1.5重量%の範囲が好ましい。
【0032】
グリップ金具200は、FRP層40の上に配置するものであり、配置後、アンカー100を下地層20に向けて打ち込むことでグリップ金具200を固定する。なお、グリップ金具200を固定するためには、グリップ金具200に設けられた固定孔210にアンカー100を挿通してから打ち込む。これにより、グリップ金具200が固定される。グリップ金具200取り付け、アンカー100を打ち込むことにより、より強固な舗装体10とすることができる。
【0033】
グリップ金具200は、表面にトゲ部220を有しており、これによって、グリップ金具200と表層50との接着性を向上させている。グリップ金具200と表層50との接着性を向上させることにより、舗装体10の強度が向上する。また、図示はしていないが、グリップ金具200の裏面には、クロスカット模様の溝が設けられている。グリップ金具200の裏面には、クロスカット模様の溝を設けることにより、グリップ金具200とFRP層40との接着性を向上させている。グリップ金具200とFRP層40との接着性を向上させることにより、舗装体10の強度が向上する。
【0034】
アンカー100は、グリップ金具200の上から下地層20に向けて打ち込むものであり、中空部分110を有している。なお、アンカー100は、中空パイプのように中が空洞となっている。アンカー100を打ち込むためには、適時の箇所に穿孔をあけ、その穿孔内にアンカー100を配置した後、ハンマー等で打ち込む。アンカー100を打ち込んだ後に中空部分110となっている箇所に所定量の充填材120を充填する。なお、充填する際、アンカー100と穿孔内との間に隙間があれば、充填材120がその箇所にも充填されるため、隙間なく充填材120が充填される。充填材120としては、FRP層40に使用する樹脂材と同様の樹脂材を充填する。FRP層40に使用する樹脂材と同様の樹脂材を使用することにより、より確実にアンカー100を固定することができる。これは、FRP層40に使用する樹脂材と同様の樹脂材を使用することで、互いが強固に接着するようになるためである。なお、FRP層40に使用する樹脂以外の樹脂を使用しても構わない。
【0035】
目地シーリング60は、ウレタン材もしくはウレタン材と同様に伸び、弾性を持つシーリング材を使用している。目地シーリング60を設けることにより、各層との異種収縮に伴う緩衝効果を奏することができる。
【0036】
図2は、本発明に係る舗装体10の目地シーリング60によって区画された1区画を示す図である。目地シーリング60によって区画された1区画内の大きさとしては、3.5m×5m程度であり、目地シーリング60の幅としては、20mm程度である。また、目地シーリング60によって区画された1区画内には、グリップ金具200が5つ配置されている。配置箇所は、1区画内の4隅及び中央付近の5箇所に配置されている。グリップ金具200をこのように配置し、アンカー100を打ち込むことにより、より確実に下地層20とFRP層40とを固定することができため、より強固な舗装体10とすることができる。なお、グリップ金具200をこの配置にすると舗装体10の強度が向上した。
【0037】
図3は、本発明に係る舗装体10に使用するグリップ金具200の平面図であり、
図4は、本発明に係る舗装体10に使用するグリップ金具200の断面を示す図である。グリップ金具200は、平面視丸型の形状をしており、中央付近にアンカー100を挿通させるための固定孔210を有している。また、グリップ金具200は、固定孔210を取り囲むように、5つの貫通孔230を有している。5つの貫通孔230を設けることにより、グリップ金具200と各層との接着性を向上させることができる。貫通孔230の形状は、平面視丸型である。また、貫通孔230の縁に沿ってトゲ部220が設けられている。このトゲ部220によって、グリップ金具200と各層との接着性を向上させている。
【0038】
なお、グリップ金具200の大きさは、厚さ3mm程度、直径50mm程度の円盤のような形状をしており、貫通孔230の大きさは、直径10mm程度の円形である。アンカー100の径としては6.6mmであり、長さは、50mm程度である。
【0039】
次に、別形態のグリップ金具300について説明する。
図5は、本発明に係る舗装体10に使用するその他のグリップ金具300の平面図であり、
図6は、本発明に係る舗装体10に使用するその他のグリップ金具300の断面を示す図である。グリップ金具300は、平面視丸型の形状をしており、中央付近にアンカー100を挿通させるための固定孔310を有している。また、グリップ金具300は、固定孔310を取り囲むように、5つの貫通孔330を有している。5つの貫通孔330を設けることにより、グリップ金具300と各層との接着性を向上させることができる。貫通孔330の形状は、七芒星の形状をしている。当該形状により、より接着性を向上させている。なお、七芒星に限らず、星形多角形であれば、丸型の貫通孔230より接着性が向上するため、好ましい。具体的な形状として、六芒星等の形状でも構わない。なお、貫通孔330の形状が星形多角形であると、縁部分にトゲ部220を設けるのに手間が生じるためグリップ金具300は、トゲ部220を有していないが、トゲ部220を設けるとより接着性が向上するためトゲ部220を設けても構わない。
【0040】
次に、別形態のグリップ金具400について説明する。
図7は、本発明に係る舗装体10に使用するその他のグリップ金具400の斜視図であり、
図8は、本発明に係る舗装体10に使用するその他のグリップ金具400の断面を示す図である。グリップ金具400は、平面視長方形の形状をしており、アンカー100を挿通させるための固定孔410を2つ有している。また、グリップ金具400は、垂直に伸びるトゲ部420を多数有している。トゲ部420によって、グリップ金具400と表層50との接着性を向上させている。
【0041】
なお、グリップ金具400の大きさは、縦200mm、横30mm、厚さ2.5mm程度の大きさの長方形型の板のような形状をしている。
【0042】
次に本発明に係る舗装体の施工方法S100について説明する。
図9は、本発明に係る舗装体の施工方法S100の工程を示すフローチャートである。なお、舗装体の施工方法S100は、大規模立体駐車場に施工する場合を想定している。舗装体の施工方法S100は、デッキプレート上にコンクリートなどを打ち、下地層20を形成する下地層形成工程S110と、下地層20の上にプライマ層30を形成するプライマ層形成工程S120と、プライマ層30の上にFRP層40を形成するFRP層形成工程S130と、FRP層40にグリップ金具200を配置しアンカー100を打ち込む打ち込み工程S140と、アンカー100の中空部分110に充填材120を充填する充填工程S150と、FRP層40の上に表層50を形成する表層形成工程S160と、FRP層40の上に目地シーリング60を設ける目地シーリング形成工程S170によって舗装体10を形成する。なお、プライマ層30を形成する工程は、適時省略しても構わない。つまり、下地層20の上に直接FRP層40を形成しても構わない。また、適時、表層50の上にトップコート層を設けても構わない。
【0043】
下地層20を形成する場合、デッキプレートを下地層20として利用しても構わない。
【0044】
プライマ層30については、上述した通り、適時形成すれば良い。
【0045】
FRP層40は、ガラスマットを敷き、樹脂材を流しこんで形成する。なお、ガラスマットは2枚積層させて2プライで形成する。
【0046】
打ち込み工程S140では、アンカー100を打ち込む前に専用のドリルで標準穿孔深さまで穿孔を設け、穿孔内に残っている切粉をエアブロー等で清掃しておく。その後、アンカー100をグリップ金具200の上方から下地層20に向けてアンカー100を打ち込む。
【0047】
充填工程S150にて充填材120をアンカー100の中空部分110に充填した後は、グリップ金具200の固定孔210をパテ等で埋め平らにする。その後、表層形成工程S160及び目地シーリング形成工程S170を行い、必要に応じてトップコート層を設ける。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の舗装体10であれば、大型車両が切り替えしを行った場合等でも、不具合が生じない強固な舗装体10を提供することができるため有用である。
【符号の説明】
【0049】
10 舗装体
20 下地層
30 プライマ層
40 FRP層
50 表層
60 目地シーリング
100 アンカー
110 中空部分
120 充填材
200 300 400 グリップ金具
210 310 410 固定孔
220 420 トゲ部
230 330 430 貫通孔
S100 舗装体の施工方法
S110 下地層形成工程
S120 プライマ層形成工程
S130 FRP層形成工程
S140 打ち込み工程
S150 充填工程
S160 表層形成工程
S170 シーリング材形成工程