(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】暑さ指数監視装置
(51)【国際特許分類】
G08B 21/02 20060101AFI20241129BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241129BHJP
G01W 1/10 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 K
G01W1/10 K
(21)【出願番号】P 2020146047
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520333583
【氏名又は名称】エス・イーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】小浦 隆範
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/134896(WO,A1)
【文献】特開2012-210233(JP,A)
【文献】国際公開第2017/109919(WO,A1)
【文献】特開2020-013299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/02
G08B 25/04
G01W 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暑さ指数値を取得する指数取得部と、
前記暑さ指数値の履歴を記憶する取得値記憶部と、
少なくとも一つの警報レベルに達したか否かを判定するための警報基準値をあらかじめ記憶する基準記憶部と、
前記取得値記憶部が取得する現時点の暑さ指数の値が前記警報基準値に達したか否かを判定する警報判定部と、
前記取得値記憶部が取得する現時点の暑さ指数の値と前記取得値記憶部に記憶される履歴に基づく比較によって警報の軽重を判定する軽重判定部と、
前記警報判定部による判定結果および前記軽重判定部による判定結果に応じて警報情報を出力する結果出力部と、
前記取得値記憶部に履歴として記憶された複数回分の暑さ指数値から所定の範囲の平均値を取得する平均取得部と、
前記平均値の算出対象となる日数の範囲を設定する平均設定部と、
を備え
、
前記平均取得部は、前記平均設定部により設定された日数の範囲で同じ時間帯で取得された暑さ指数値から平均値を求め、
前記軽重判定部は、前記取得した暑さ指数値と前記平均値との比較に基づいて警報の軽重を判定することを特徴とする暑さ指数監視装置。
【請求項2】
前記平均設定部は、暑さ耐性の高い対象者向けまたは暑さ耐性の高い対象地域向けの設定として相対的に短い第1の日数を前記平均値の算出対象となる範囲として設定し、暑さ耐性の低い対象者向けまたは暑さ耐性の低い対象地域向けの設定として相対的に長い第2の日数を前記平均値の算出対象となる範囲として設定することを特徴とする請求項
1に記載の暑さ指数監視装置。
【請求項3】
暑さ指数値を取得する指数取得部と、
前記暑さ指数値の履歴を記憶する取得値記憶部と、
少なくとも一つの警報レベルに達したか否かを判定するための警報基準値をあらかじめ記憶する基準記憶部と、
前記取得値記憶部が取得する現時点の暑さ指数の値が前記警報基準値に達したか否かを判定する警報判定部と、
前記取得値記憶部が取得する現時点の暑さ指数の値と前記取得値記憶部に記憶される履歴に基づく比較によって警報の軽重を判定する軽重判定部と、
前記警報判定部による判定結果および前記軽重判定部による判定結果に応じて警報情報を出力する結果出力部と、
前記現時点の暑さ指数の値との比較対象とする過去の暑さ指数値の対象選択基準を設定する比較設定部
と、
を備え、
前記軽重判定部は、前記現時点の暑さ指数の値と、前記取得値記憶部に履歴として記憶された暑さ指数値のうち、所定の日時で取得された過去の暑さ指数値との差に応じて警報の軽重を判定し、
前記比較設定部は、暑さ耐性の高い対象者向けまたは暑さ耐性の高い対象地域向けの設定として現在との時間差が相対的に小さい過去の日時の暑さ指数値を比較対象とする対象選択基準を設定し、暑さ耐性の低い対象者向けまたは暑さ耐性の低い対象地域向けの設定として現在との時間差が相対的に大きい過去の日時の暑さ指数値を比較対象とする対象選択基準を設定することを特徴とす
る暑さ指数監視装置。
【請求項4】
前記軽重を判定するための軽重基準値を設定する基準値設定部をさらに備え、
前記軽重判定部は、前記現時点の暑さ指数の値と前記取得値記憶部に記憶された履歴に基づく比較において求まる暑さ指数の値の差が、少なくとも一つの前記軽重基準値に達したか否かによって警報の軽重を判定することを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の暑さ指数監視装置。
【請求項5】
前記基準値設定部は、暑さ耐性の高い対象者向けまたは暑さ耐性の高い対象地域向けの設定として相対的に大きい値を前記軽重基準値として設定し、暑さ耐性の低い対象者向けまたは暑さ耐性の低い対象地域向けの設定として相対的に小さい値を前記軽重基準値として設定することを特徴とする請求項
4に記載の暑さ指数監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暑さ指数監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
暑さ指数(WBGT、Wet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)は、熱中症の予防を目的として定められた指標である(例えば、特許文献1参照)。熱中症になりやすい環境とは、単に気温が高い状況だけでなく、さらに湿度も高い場合が多い。したがって、熱中症の危険を予測するための数値としては、気温以外にも影響する要素を加味することが有効である。そこで、暑さ指数は、気温だけでなく、湿度や輻射熱を加味して算出される指標として国際的に定められ、単位としては摂氏度(℃)が用いられる。同じ気温でも、湿度が異なれば暑さ指数も異なる。暑さ指数は、労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、ISO等で国際的に規格化されている。
【0003】
日常生活に関する指針においては、暑さ指数が21℃以上、25℃未満で「注意」、25℃以上、28℃未満の範囲で「警戒」、28℃以上、31℃未満で「厳重警戒」、31℃以上で「危険」とされる。運動に関する指針においては、暑さ指数が21℃未満では「ほぼ安全(適宜水分補給)」、21℃以上、25℃未満で「注意(積極的に水分補給)」、25℃以上、28℃未満の範囲で「警戒(積極的に休憩)」、28℃以上、31℃未満で「厳重警戒(激しい運動は中止)」、31℃以上で「危険(運動は原則中止)」とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、環境省や気象庁、日本スポーツ協会等が中心となって暑さ指数を基準とする熱中症予防の対策が進む一方、暑さの耐性は年齢によっても地域によっても個人差が大きいため、一律の基準が必ずしも効果的とはいえない場合も想定される。
【0006】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、個人差等を考慮してより効果的な警報を出すための暑さ指数監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の暑さ指数監視装置は、暑さ指数値を取得する指数取得部と、暑さ指数値の履歴を記憶する取得値記憶部と、少なくとも一つの警報レベルに達したか否かを判定するための警報基準値をあらかじめ記憶する基準記憶部と、取得値記憶部が取得する現時点の暑さ指数の値が警報基準値に達したか否かを判定する警報判定部と、取得値記憶部が取得する現時点の暑さ指数の値と取得値記憶部に記憶される履歴に基づく比較によって警報の軽重を判定する軽重判定部と、警報判定部による判定結果および軽重判定部による判定結果に応じて警報情報を出力する結果出力部と、を備える。
【0008】
ここで、「所定の範囲」は、複数回分の暑さ指数値のうち、あらかじめ設定された日数分の同時刻の暑さ指数値を示してもよく、それらの値を平均して特定の時間帯における暑さ指数の平均を求めてもよい。ここでいう「日数分」の日数や上記の「複数回分」の回数は、固定値であってもよいし、可変値であってもよい。結果出力部は、警報判定部による判定結果に応じた警報情報と軽重判定部による判定結果に応じた軽重情報をそれぞれ出力してもよいし、警報判定部による判定結果と軽重判定部による判定結果との組合せに応じた警報情報を出力してもよい。
【0009】
この態様によると、現在の暑さ指数に応じて適切な警報を出力することができるだけでなく、同じ警報レベルでもその軽重をさらに判定して出力することにより、警戒度合いをより細分化することができる。
【0010】
取得値記憶部に履歴として記憶された複数回分の暑さ指数値から所定の範囲の平均値を取得する平均取得部をさらに備えてもよい。軽重判定部は、取得した暑さ指数値と平均値との比較に基づいて警報の軽重を判定してもよい。
【0011】
平均値の算出対象となる日数の範囲を設定する平均設定部をさらに備えてもよい。平均取得部は、平均設定部により設定された日数の範囲で同じ時間帯で取得された暑さ指数値から平均値を求めてもよい。
【0012】
平均設定部は、暑さ耐性の高い対象者向けまたは暑さ耐性の高い対象地域向けの設定として相対的に短い第1の日数を平均値の算出対象となる範囲として設定し、暑さ耐性の低い対象者向けまたは暑さ耐性の低い対象地域向けの設定として相対的に長い第2の日数を平均値の算出対象となる範囲として設定してもよい。
【0013】
軽重判定部は、現時点の暑さ指数の値と、取得値記憶部に履歴として記憶された暑さ指数値のうち、所定の日時で取得された過去の暑さ指数値との差に応じて警報の軽重を判定してもよい。
【0014】
現時点の暑さ指数の値との比較対象とする過去の暑さ指数値の対象選択基準を設定する比較設定部をさらに備えてもよい。比較設定部は、暑さ耐性の高い対象者向けまたは暑さ耐性の高い対象地域向けの設定として現在との時間差が相対的に小さい過去の日時の暑さ指数値を比較対象とする対象選択基準を設定し、暑さ耐性の低い対象者向けまたは暑さ耐性の低い対象地域向けの設定として現在との時間差が相対的に大きい過去の日時の暑さ指数値を比較対象とする対象選択基準を設定してもよい。
【0015】
軽重を判定するための軽重基準値を設定する基準値設定部をさらに備えてもよい。軽重判定部は、現時点の暑さ指数の値と取得値記憶部に記憶された履歴に基づく比較において求まる暑さ指数の値の差が、少なくとも一つの軽重基準値に達したか否かによって警報の軽重を判定してもよい。
【0016】
基準値設定部は、暑さ耐性の高い対象者向けまたは暑さ耐性の高い対象地域向けの設定として相対的に大きい値を軽重基準値として設定し、暑さ耐性の低い対象者向けまたは暑さ耐性の低い対象地域向けの設定として相対的に小さい値を軽重基準値として設定してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、個人差等を考慮してより効果的な警報を出すための暑さ指数監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】暑さ指数監視装置の各構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】暑さ指数と警報内容の対応表を示す図である。
【
図3】暑さ指数監視装置の動作過程を示すフローチャートである。
【
図4】
図3のS20における詳細な処理過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、暑さ指数監視装置の各構成を示す機能ブロック図である。暑さ指数監視装置10は、暑さ指数センサ20から暑さ指数の値を取得し、所定の判定結果としての警報情報を出力装置50に出力する。暑さ指数監視装置10は、警報の軽重を判定し、その判定結果として警報の軽重情報をさらに出力装置50へ出力する。暑さ指数監視装置10の各ブロックは、ハードウェア的には、PLC(Programmable Logic Controller)や集積回路をはじめとする素子で実現でき、ソフトウェア的にはPLCを制御するコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0020】
暑さ指数監視装置10が警報の軽重情報を判定して出力するのは、同じ警報レベルを発令する状況でも、対象者の年齢層や属性、気候等に応じて警報の重みが異なると考えられるためであり、個人差や地域差を加味してより意味のある警報を出力する趣旨である。例えば、寒地や寒冷地のように暑さ耐性が相対的に低いとされる地域では暑さ指数値が少し上がっただけでも影響が大きいのに対し、暖地や温暖地のように暑さ耐性が相対的に高いとされる地域では暑さ指数値が少し上がっただけでは影響が小さいと考えられる。また、老人介護施設への設置のように、日常的に発汗量が少なく暑さ耐性が低い人を対象とする状況では、暑さ指数値の少しの変化でも警報の重みは相対的に高いが、スポーツ施設への設置のように、日常的にスポーツをしていて発汗量が多く暑さ耐性が高いスポーツ選手を対象とする状況では、暑さ指数値の僅かな変化では警報の重みは相対的に低い。このような警報の軽重を、本実施形態では以下の3つの判定基準で判定し、それぞれ区別して軽重情報を出力し得る。1)第1の判定基準では、前日までの所定日数における同時刻の暑さ指数値の平均と比較し、現在の暑さ指数値との差の大きさに応じて軽重レベルを判定する。このとき、暑さ耐性が高い人や地域を対象とするほど平均値の算出対象とする日数を少なくし、暑さ耐性が低い人や地域を対象とするほど平均値の算出対象とする日数を多くすることにより、暑さへの慣れの度合いを対象者や対象地域に適した基準で測る。2)第2の判定基準では、前日の同時刻の暑さ指数値と比較し、現在の暑さ指数値との差の大きさに応じて軽重レベルを判定する。3)第3の判定基準では、所定時間前の過去の暑さ指数値と現在の暑さ指数値を比較し、その差の大きさに応じて軽重レベルを判定する。このとき、暑さ耐性が高い人や地域を対象とするほど現在より短い時間前の過去の暑さ指数値と比較し、暑さ耐性が低い人や地域を対象とするほど現在より長い時間前の過去の暑さ指数値と比較することにより、対象者や対象地域ごとの暑さ変化への順応能力に応じた基準で測る。また、前日までの所定日数における同時刻の暑さ指数値の平均と所定時間後の暑さ指数値の平均との差から所定時間後の暑さ指数値を予測した注意喚起を補完的に実施する。
【0021】
暑さ指数センサ20は、湿球温度、黒球温度、および乾球温度を測定し、これらの値に基づいて暑さ指数(WGBT値)を演算で求める装置である。暑さ指数は、熱中症予防の指標として用いられる値としてISO等で規定された値である。暑さ指数センサ20は、例えば湿球温度センサ、黒球温度センサ、乾球温度センサを含み、これらのセンサが検出する値により湿球温度、黒球温度、乾球温度を測定する。暑さ指数の値を求める演算式は、例えば「湿球温度×0.7+黒球温度×0.2+乾球温度×0.1」を用いる。ただし、変形例として、屋内または日射のない日陰用のセンサとして、「湿球温度×0.7+黒球温度×0.3」の演算式を用いるセンサであってもよい。暑さ指数センサ20は、暑さ指数の値を暑さ指数監視装置10へ無線通信を介して送信する。変形例として、暑さ指数センサ20は、有線通信または電線を介して暑さ指数監視装置10へ暑さ指数値を送信してもよい。また、暑さ指数センサ20は、湿球温度、黒球温度、乾球温度、相対湿度等の値を送信してもよく、これらの値を暑さ指数監視装置10の側で演算して暑さ指数の値を求めてもよい。あるいは、暑さ指数監視装置10が暑さ指数センサ20を内蔵する形で構成されてもよい。
【0022】
暑さ指数監視装置10は、指数取得部12、基準記憶部13、取得値記憶部16、平均取得部18、設定部19、判定部30、結果出力部40を備える。設定部19は、平均設定部81、基準値設定部82、比較設定部83を含み、各種の設定値をユーザないし然るべき管理者の入力操作に応じて設定する。指数取得部12は、暑さ指数センサ20から暑さ指数値を定期的に取得する。指数取得部12は、例えば10分ごとに現在の暑さ指数値を取得し、取得日時の情報とともに取得値記憶部16に記憶させる。変形例における指数取得部12は、暑さ指数センサ20から湿球温度または相対湿度、黒球温度、乾球温度の値を10分ごとに取得し、演算により暑さ指数の値を求めてもよい。
【0023】
取得値記憶部16は、指数取得部12によって10分ごとに取得された暑さ指数値を取得日時の情報とともに蓄積する。取得値記憶部16は、例えばデータを記憶可能なフラッシュメモリ等の不揮発メモリであり、少なくとも所定日数分の暑さ指数値を記憶できる容量を有する。ここでいう「所定日数」は、例えば7日であり、この「所定日数」が経過したデータは消去され、または他のデータで上書きされるよう構成してもよい。
【0024】
平均取得部18は、上述の第1の判定基準に用いる値として、指数取得部12により取得されて取得値記憶部16に記憶された複数回分の暑さ指数値から所定の範囲の平均値を取得する。ここでいう所定の範囲は、平均設定部81によって設定された日数分の範囲を示し、この範囲で取得された暑さ指数値のうち現在時刻と同時刻の暑さ指数値の平均を算出する。なお、暑さ指数値の取得時刻は10分間隔であるため、現在時刻と同時刻より前または後の直近の暑さ指数値が平均値の算出対象となる。平均設定部81は、平均値の算出対象となる範囲、すなわち日数を暑さ指数監視装置10のユーザないし然るべき管理者の入力操作に応じて設定する。平均設定部81に設定される平均値算出対象の範囲となる日数は、例えば本日を含まない前日までを含む日数(前日以前の日の数)を示す。例えば平均設定部81による設定を「2日」にセットした場合、前日と前々日の計2日分の同時刻の暑さ指数値の平均値が算出され、「7日」にセットした場合、前日までの過去7日分を含む計7日分の同時刻の暑さ指数値の平均値が算出される。なお、平均設定部81による設定を「1日」にセットした場合、前日のみの同時刻の暑さ指数値を現在の暑さ指数値と比較するようにしてもよく、この方法は実質的に上述の第2の判定基準に相当してもよい。
【0025】
ただし、変形例として、本日を含む日数(本日以前の日の数)を設定するように構成してもよい。その場合、例えば平均設定部81による設定を「2日」にセットした場合、本日と前日の計2日分の同時刻の暑さ指数値の平均値が算出され、「7日」にセットした場合、本日および前日までの過去6日分を含む計7日分の同時刻の暑さ指数値の平均値が算出される。
【0026】
日常的にスポーツをしていて発汗量が多く、暑さ耐性が高い人ほど平均値の対象日数としてより少ない日数、例えば「2日」を平均設定部81に設定する。お年寄りなど日常的に発汗量が少なく暑さ耐性が低い人ほど平均値の対象日数としてより多い日数、例えば「5~7日」を平均設定部81に設定する。スポーツ選手ほどの発汗量がないがお年寄りよりは暑さ耐性が高い子供、中高生、成人などは平均値の対象日数として中間的な値、例えば「3~4日」を平均設定部81に設定する。さらに、暖地や温暖地の人など暑さ耐性が高い人ほど平均値の対象日数としてより少ない日数を設定してもよいし、寒地や寒冷地の人など暑さ耐性が低い人ほど平均値の対象日数としてより多い日数を設定してもよい。
【0027】
平均設定部81は、例えば「1日」「2日」「3日」「4日」「5日」「6日」「7日」の7種類から1つを選択して平均値の対象日数を設定し得るスイッチであってもよい。あるいは、平均設定部81を含む設定部19は、例えば「スポーツモード」をオンオフするスイッチ、「お年寄りモード」をオンオフするスイッチ、「暖地/中間地/寒地」を切り替えるスイッチで構成し、これらのスイッチ状態の組合せに応じて平均値の対象日数が平均設定部81により設定されるように構成してもよい。変形例として、暑さ指数監視装置10が個人所有の装置として実現される場合、ユーザの属性を設定し得るように構成した上で、ユーザの属性、特に年齢の設定に基づいて「お年寄りモード」に該当するか否かを判定してもよい。また、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムからの位置情報を取得し得る構成を搭載した上で、その位置情報に基づいて「暖地/中間地/寒地」の切り替えを判定してもよい。
【0028】
基準記憶部13は、警報基準記憶部14と軽重基準記憶部15を含む。警報基準記憶部14は、少なくとも一つの警報レベルに達したか否かを判定するための警報基準値をあらかじめ記憶する。本実施形態における警報基準記憶部14は、「注意」の警報レベル、「警戒」の警報レベル、「厳重警戒」の警報レベル、「危険」の警報レベルをそれぞれ示す暑さ指数の値を記憶する。軽重基準記憶部15は、一つの警報レベルに対してさらにその軽重を細かく判定するための暑さ指数値の基準値として、本実施形態では3つの軽重基準値を記憶する。これにより、同じ警報レベルでも異なる軽重で分類して、警戒度合いをより細分化できる。
【0029】
本実施形態では、一つの警報レベルに対応する暑さ指数値の範囲を例えば4等分した値を軽重基準値として軽重基準記憶部15に設定し、どの軽重レベルに属するかを判定する。一つの警報レベルに対応する暑さ指数値の範囲は3℃であるため、その1/4である0.75℃ごとに区分するために、0.75℃、1.5℃、2.25℃を軽重基準値とする。例えば、現在の暑さ指数値が過去の平均値より0.75℃高い場合よりも2.25℃高い場合の方が暑さ指数の急激な上昇、すなわち暑さによる体の負担がより大きいと判定し、同じ警報レベルでも「重度」であると判定することができる。このように、現在の暑さ指数値と前日までの平均値との差が大きいほど、同じ警報レベルでも軽重の度合いを重くして警報を出すことができる。
【0030】
図2は、暑さ指数と警報内容の対応表を示す。対応表60において、警報レベル欄62は、各警報レベルの内容を示す。暑さ指数欄64は、各警報レベルに達したか否かを判定するための警報基準値となる暑さ指数値を示す。軽重基準値欄70は、警報レベルごとに設定された軽重基準値を示す。軽重レベル欄72は、警報レベルごとに設定された軽重基準値によって判定される軽重レベルを示す。
【0031】
警報レベル欄62に示される各警報レベルとしては、危険レベル74、厳重警戒レベル75、警戒レベル76、注意レベル77、安全レベル78が規定される。各警報レベルは、日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」や日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」、JIS Z8504「WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価-暑熱環境」等で規定された分類に基づく。
【0032】
危険レベル74は、暑さ指数が31℃以上に達することが基準であり、危険レベル74の警報基準値として下限値「31℃」を示す値が警報基準記憶部14に記憶される。なお、危険レベル74の警報基準値として上限値は記憶されなくてもよいし、例えば「80℃」といった十分に大きな値が上限値として記憶されてもよい。危険レベル74は、日常生活の指針としては「外出はなるべく避け、涼しい室内に移動」が推奨され、運動の指針としては「運動は原則中止」が推奨される。例えば気温が35℃以上に達するような状況で暑さ指数が31℃以上になることが多い。また、危険レベル74の軽重として、過去数日の同時刻の平均値との差異が2.25℃以上の場合は「重度」、1.5℃以上の場合は「中度」、0.75℃以上の場合は「軽度」とする。
【0033】
厳重警戒レベル75は、暑さ指数が28℃以上、31℃未満であることが基準であり、厳重警戒レベル75の警報基準値として、例えば下限値「28℃」と上限値「30.9℃」を示す値が警報基準記憶部14に記憶される。厳重警戒レベル75は、日常生活の指針としては「外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意」が推奨され、運動の指針としては「激しい運動は中止」が推奨される。例えば気温が31℃以上に達するような状況で暑さ指数が28℃以上になることが多い。また、厳重警戒レベル75の軽重として、過去数日の同時刻の平均値との差異が2.25℃以上の場合は「重度」、1.5℃以上の場合は「中度」、0.75℃以上の場合は「軽度」とする。
【0034】
警戒レベル76は、暑さ指数が25℃以上、28℃未満であることが基準であり、警戒レベル76の警報基準値として、例えば下限値「25℃」と上限値「27.9℃」を示す値が警報基準記憶部14に記憶される。警戒レベル76は、日常生活の指針としては「運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる」が推奨され、運動の指針としては「積極的に休憩」が推奨される。例えば気温が28℃以上に達するような状況で暑さ指数が25℃以上になることが多い。また、警戒レベル76の軽重として、過去数日の同時刻の平均値との差異が2.25℃以上の場合は「重度」、1.5℃以上の場合は「中度」、0.75℃以上の場合は「軽度」とする。
【0035】
注意レベル77は、暑さ指数が21℃以上、25℃未満であることが基準であり、注意レベル77の警報基準値として、例えば下限値「21℃」と上限値「24.9℃」を示す値が警報基準記憶部14に記憶される。注意レベル77は、日常生活の指針としては「一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には注意」が推奨され、運動の指針としては「積極的に水分補給」が推奨される。例えば気温が24℃以上に達するような状況で暑さ指数が21℃以上になることが多い。また、注意レベル77の軽重として、過去数日の同時刻の平均値との差異が2.25℃以上の場合は「重度」、1.5℃以上の場合は「中度」、0.75℃以上の場合は「軽度」とする。
【0036】
安全レベル78は、暑さ指数が21℃未満であることが基準であり、安全レベル78の警報基準値は特に警報基準記憶部14に記憶されず、他の警報レベルに該当しない場合に安全レベル78と判定されてもよい。例えば気温が24℃未満の状況で暑さ指数が21℃未満になることが多い。
【0037】
図1に戻り、軽重基準記憶部15には、例えば「重度」を判定する軽重基準値として「2.25」、「中度」を判定する軽重基準値として「1.5」、「軽度」を判定する軽重基準値として「0.75」が設定される。基準値設定部82は、各軽重レベルに対応する軽重基準値をユーザないし然るべき管理者の入力操作に応じて軽重基準記憶部15に設定するスイッチである。上記の例では、軽重基準値として警報レベル間の暑さ指数値の差である「3℃」を均等に4等分した値を設定したが、不均等に4つに分けた値を軽重基準値として設定してもよい。暑さ耐性が高い人や地域向けには、軽重基準値が高めの値となるよう、例えば「重度」は「2.5」、「中度」は「2.0」、「軽度」は「1.5」といった値に設定することで、暑さ指数値の差がより大きくないと軽重レベルが重くなりにくいようにできる。逆に、暑さ耐性が低い人や地域向けには、軽重基準値が低めの値となるよう、例えば「重度」は「1.5」、「中度」は「1.0」、「軽度」は「0.5」といった値に設定することで、暑さ指数値の差がさほど大きくなくても軽重レベルが重くなるようにできる。基準値設定部82を含む設定部19は、例えば「スポーツモード」をオンオフするスイッチ、「お年寄りモード」をオンオフするスイッチ、「暖地/中間地/寒地」を切り替えるスイッチで構成し、これらのスイッチ状態の組合せに応じて軽重基準値が基準値設定部82により設定されるように構成してもよい。
【0038】
判定部30は、警報判定部32と軽重判定部34を含み、警報出力の有無と警報内容を判定する。警報判定部32は、取得した現在時刻またはその直近の暑さ指数の値が、警報基準記憶部14に記憶される各警報基準値のいずれかに達したか否かを判定する。例えば、暑さ指数値が31℃以上であった場合、危険レベル74に達したと判定し、暑さ指数値が28℃以上、31℃未満であった場合、厳重警戒レベル75に達したと判定する。暑さ指数値が25℃以上、28℃未満であった場合、警戒レベル76に達したと判定し、暑さ指数値が21℃以上、25℃未満であった場合、注意レベル77に達したと判定する。これら以外の場合、すなわち暑さ指数値が21℃未満であった場合、安全レベル78と判定する。
【0039】
軽重判定部34は、第1の判定基準として、取得した現在時刻の暑さ指数値と、平均取得部18が取得した過去数日間の同時刻の平均値との比較に基づいて、各軽重基準値に応じた警報情報の軽重を判定する。例えば、現在時刻の暑さ指数値が過去数日間の同時刻の平均値より高い場合であって、これらの差が2.25℃以上であれば「重度」と判定し、1.5℃以上、2.25℃未満であれば「中度」と判定し、0.75℃以上、1.5℃未満であれば「軽度」と判定する。現在時刻の暑さ指数値が過去数日間の同時刻の平均値より高い場合であっても、これらの差が0.75℃未満であれば特に軽重に関する判定はせず、また、現在時刻の暑さ指数値が過去数日間の同時刻の平均値より低いか同じであった場合も特に軽重に関する判定はしない。
【0040】
変形例においては、現在時刻の暑さ指数値が過去数日間の同時刻の平均値より高い場合であって、これらの差が2.25℃以上であれば「最重度」と判定し、1.5℃以上、2.25℃未満であれば「重度」と判定し、0.75℃以上、1.5℃未満であれば「中度」と判定し、0.75℃未満であれば「軽度」と判定してもよい。その場合、現在時刻の暑さ指数値が過去数日間の同時刻の平均値より低いか同じであった場合も「軽度」と判定してもよい。
【0041】
別の変形例においては、一つの警報レベルに対応する暑さ指数値の範囲を3等分した値を軽重基準値として軽重基準記憶部15に設定し、どの軽重レベルに属するかを判定してもよい。例えば、一つの警報レベルに対応する暑さ指数値の範囲は3℃であるため、その1/3である1℃ごとに区分して、軽重基準値として「1℃」および「2℃」を軽重基準記憶部15に記憶させてもよい。その場合、現在時刻の暑さ指数値が過去数日間の同時刻の平均値より高い場合であって、これらの差が2℃以上であれば「重度」と判定し、差が1℃以上、2℃未満であれば「中度」と判定し、差が1℃未満または現在時刻の暑さ指数値が過去の平均値以下であれば「軽度」と判定してもよい。
【0042】
さらに別の変形例においては、警報レベルごとに異なる軽重基準値を軽重基準記憶部15に記憶させてもよいし、3~4段階よりも多い、5段階以上の細かな軽重に分けて軽重基準値を記憶させて判定するようにしてもよい。あるいは、個人差や地域差に応じた軽重基準値を設定するために、平均値の対象日数に応じて異なる軽重基準値を軽重判定部34が動的に用いてもよい。
【0043】
軽重判定部34は、第2の判定基準として、指数取得部12が取得した現在時刻の暑さ指数値と、取得値記憶部16に記憶された前日の同時刻の暑さ指数値とを比較し、現在の暑さ指数が前日の暑さ指数を超える場合に、これらの差がいずれの軽重基準値に達するかに応じて警報情報の軽重を判定する。第2の判定基準に用いる軽重基準値は、第1の判定基準に用いる軽重基準値と同様である。
【0044】
軽重判定部34は、第3の判定基準として、指数取得部12が取得した現在時刻の暑さ指数値と、取得値記憶部16に記憶された所定時間前の暑さ指数値とを比較し、現在の暑さ指数が所定時間前の暑さ指数を超える場合に、これらの差がいずれの軽重基準値に達するかに応じて警報情報の軽重を判定する。第3の判定基準に用いる軽重基準値は、第1,2の判定基準に用いる軽重基準値と同様である。ここで、どの程度の時間前の暑さ指数値と比較するかは、比較設定部83によって設定される。比較設定部83は、例えば「20分前」「30分前」「60分前」の3種類から1つを選択して、比較対象とする過去の暑さ指数値の対象選択基準を設定し得るスイッチであってもよい。あるいは、比較設定部83を含む設定部19は、例えば「スポーツモード」をオンオフするスイッチ、「お年寄りモード」をオンオフするスイッチ、「暖地/中間地/寒地」を切り替えるスイッチで構成し、これらのスイッチ状態の組合せに応じて比較対象とする過去の暑さ指数値の対象選択基準が比較設定部83により設定されるように構成してもよい。暑さ耐性が高い人や地域を対象とするほど現在より短い時間前の過去の暑さ指数値と比較するよう、例えば「20分前」といった短い時間前を示す値を設定する。暑さ耐性が低い人や地域を対象とするほど現在より長い時間前の過去の暑さ指数値と比較するよう、例えば「60分前」といった長い時間前を示す値を設定する。これにより、暑さ耐性が高い人に対して20分という短時間で3℃も上昇したため急上昇とみなして「重度」と判定する、といったように、対象者や対象地域ごとの暑さ変化への順応能力に応じた基準で警報の軽重を判定することができる。なお、「1日前」といった長い時間前を示す値を設定すると、前日の同時刻における暑さ指数値と比較することとなり、実質的に第2の判定基準に基づく軽重判定となる。
【0045】
変形例においては、比較設定部83によって設定された所定時間前の暑さ指数値と比較する代わりに、所定時間前の暑さ指数値とその前後の暑さ指数値の平均値を算出し、その平均値と比較するようにしてもよい。この場合、「所定の範囲の平均値」となるため、実質的に第1の判定基準に基づく軽重判定に該当するとも言い得る。ここでいう平均値は移動平均値であり、比較設定部83によって設定された所定時間前が例えば「60分前」である場合は、その「60分前」を中心とした前後を含めた「70分前」「60分前」「50分前」の奇数回(例えば3回)の暑さ指数値の平均値を算出して現在の暑さ指数値と比較することとなる。ここでは10分間隔の3回分の平均値を算出したが、比較設定部83によって複数種類の時間間隔(例えば「10分間隔」「20分間隔」「30分間隔」の3通り)からいずれかを選択して設定できてもよい。例えば「20分間隔」を設定した場合、「80分前」「60分前」「40分前」の3回分の平均値を算出する。このような移動平均値を用いない場合、例えば「60分前」に短時間の豪雨が発生して一時的に気温が下がったようなときに、現在の暑さ指数値との差も一時的に過大となって軽重の判定が不自然に重い判定となってしまう可能性がある。しかし、移動平均値を用いれば一時的な誤差が前後の取得値との平均で平滑化されて誤差が小さくなり、不自然な判定を避けやすくすることができる。
【0046】
軽重判定部34は、第1~3の判定基準のそれぞれに基づいて別個に警告の軽重を判定する。したがって、軽重判定部34による判定結果は3通りとなる可能性もあり、互いに一致するとは限らない。変形例においては、第1~3の判定基準のうちいずれか一つまたは二つだけを採用する仕様としてもよい。軽重判定部34は、さらに所定時間後の暑さ指数に関する予測を実行する。第1の判定基準で参照した過去数日間の同時刻における暑さ指数値の平均値と、その過去数日間それぞれの同時刻より所定時間経過後における暑さ指数値の平均値との差に基づいて、現在時刻より所定時間経過後の暑さ指数値を予測する。例えば、過去数日間の同時刻の平均値より、その所定時間経過後(例えば30分後)の平均値が高い場合には、現在時刻より所定時間経過後に「上昇予測」との予測結果を決定する。また、過去数日間の同時刻の平均値と所定時間経過後の平均値の差の大きさが所定の複数の基準値のいずれを超えるかによって「大上昇予測」「中上昇予測」「小上昇予測」のいずれかを判定する。逆に、過去数日間の同時刻の平均値より、その所定時間経過後の平均値が低い場合には、現在時刻より所定時間経過後に「下降予測」との予測結果を決定する。また、過去数日間の同時刻の平均値と所定時間経過後の平均値の差の大きさが所定の複数の基準値のいずれを下回るかによって「大下降予測」「中下降予測」「小下降予測」のいずれかを判定する。ここでいう「所定時間経過後」の値は、例えば「30分後」「1時間後」「2時間後」といった複数種類の値からいずれかが平均設定部81によって設定され、過去数日間の所定時間経過後の暑さ指数値の平均値は平均取得部18によって算出される。
【0047】
結果出力部40は、警報出力部42と軽重出力部44を含み、警報判定部32による判定結果および軽重判定部34による判定結果に応じて警報情報を出力する。警報出力部42は、警報判定部32による判定結果として、危険レベル74、厳重警戒レベル75、警戒レベル76、注意レベル77のいずれかに該当した場合に、その警報レベルを示す警報情報を出力装置50へ出力する。安全レベル78に該当した場合には特に警報情報を出力しないが、変形例として安全レベル78であることを示す警報情報を出力するようにしてもよい。
【0048】
軽重出力部44は、軽重判定部34による判定結果として、重度、中度、軽度のいずれかの軽重レベルに該当した場合にその軽重レベルを示す軽重情報を出力装置50へ出力する。軽重出力部44は、第1~3の判定基準による判定の結果として、一つまたは複数の軽重情報を出力してもよく、その場合、いずれの判定基準によって判定された軽重情報であるかを示す情報とともに軽重情報を出力する。なお、軽重判定部34が複数の判定基準で判定した結果、それぞれの判定結果が一致しない場合に、軽重出力部44は最も重い判定結果を優先的に出力するようにしてもよい。以上により、危険レベル74、厳重警戒レベル75、警戒レベル76、注意レベル77、安全レベル78の5段階の警報レベルが判定されるとともに、安全レベル78以外の一つの警報レベルに対して重度、中度、軽度、軽重なしの4段階の軽重レベルが判定される。その結果、警報レベルと軽重レベルの組合せにより、実質的に4×4=16段階の熱中症予測警報を出力することができる。具体的には、熱中症予測警報として、1)重度危険警報、2)中度危険警報、3)軽度危険警報、4)危険警報、5)重度厳重警戒警報、6)中度厳重警戒警報、7)軽度厳重警戒警報、8)厳重警戒警報、9)重度警戒警報、10)中度警戒警報、11)軽度警戒警報、12)警戒警報、13)重度注意警報、14)中度注意警報、15)軽度注意警報、16)注意警報、を出力できる。軽重出力部44は、さらに「大上昇予測」「中上昇予測」「小上昇予測」「大下降予測」「中下降予測」「小下降予測」のうちいずれか予測情報を出力し得る。
【0049】
結果出力部40は、警報情報および軽重情報を、無線通信により接続された出力装置50に送信する。変形例においては、結果出力部40は有線通信や電線により接続された出力装置50に警報情報および軽重情報を送信してもよい。なお、結果出力部40は、出力した警報情報および軽重情報の履歴を不揮発メモリまたは着脱可能なメモリカードに記憶させる機能をさらに有してもよい。結果出力部40は、取得した暑さ指数値や気温の履歴を不揮発メモリまたは着脱可能なメモリカードに記憶させる機能をさらに有してもよい。
【0050】
出力装置50は、表示装置52、スピーカー54、表示灯56を含む。本実施形態の出力装置50は、表示装置52、スピーカー54、表示灯56の組合せを含む例を説明するが、変形例における出力装置50は、表示装置52、スピーカー54、表示灯56のいずれか一つまたは二つのみを含む構成としてもよいし、他の異なる態様によって警報情報および軽重情報を出力する装置をさらに含む構成としてもよい。本実施形態の出力装置50は、暑さ指数監視装置10の外部に接続する装置として説明するが、変形例として出力装置50を暑さ指数監視装置10に内蔵させる形で構成してもよい。
【0051】
表示装置52は、結果出力部40から受信した警報情報および軽重情報を文字や画像の形に置き換えて画面に表示する。表示装置52は、例えば警報情報と軽重情報の組合せの形で「重度危険警報」「中度厳重警戒警報」「軽度注意警報」といった文字列で表示してもよいし、「危険警報」「注意警報」といった警報情報と「重度」「軽度」といった軽重情報とを別々に文字列で表示してもよい。また、これらの文字列を、警報レベルに応じて下位から上位まで緑色、黄色、橙色、赤色のいずれかで表示してもよい。また、第1~3の判定基準のうちいずれの基準による軽重情報であるかを文字列や色彩、記号等で示してもよい。例えば、第1の判定基準による場合に「平均より高い重度」、第2の判定基準による場合に「昨日より高い重度」、第3の判定基準による場合に「20分前より急上昇の重度」といった文字列によって、いずれの判定基準に基づくかを示してもよい。
【0052】
表示装置52は、警報レベルに応じたメッセージを表示してもよい。例えば、危険レベル74の場合に「運動を中止してください」と表示したり、厳重警戒レベル75の場合に「積極的に水分・塩分を補給し、休憩をとってください」と表示したり、注意レベル77の場合に「熱中症に注意してください」と表示したりしてもよい。
【0053】
表示装置52は、軽重情報として、文字列以外の態様によって軽重情報の内容を表現してもよい。例えば、軽重情報の軽重レベルに応じた速度で警報情報の文字列を点滅させたり、軽重情報の軽重レベルに応じた色彩で警報情報の文字列を表示させたり、軽重情報の軽重レベルに応じた記号や画像を警報情報に付加して表示させたりしてもよい。表示装置52は、所定時間経過後の予測をさらに表示し得る。例えば、「大上昇予測」「中上昇予測」「小上昇予測」「大下降予測」「中下降予測」「小下降予測」といった文字列を表示してもよいし、「上昇予測」「下降予測」を「↑」「↓」といった上向きまたは下向きの矢印マークで表すとともに、その度合いを矢印マークの数(例えば「大上昇予測」は「↑↑↑」、「大下降予測」は「↓↓↓」)で表してもよい。
【0054】
スピーカー54は、警報レベルに応じた内容の音声、例えば警報レベルの内容やメッセージを読み上げた音声や、警報レベルに応じて異なる音色や音量の警報音を出力してもよい。表示灯56は、警報レベルに応じた発光色、点滅速度、発光強度にて発光する。第1~3の判定基準のうちいずれの基準による軽重情報であるかを表示灯56の発光色や点滅速度、点灯態様等で示してもよい。
【0055】
結果出力部40が出力する警報情報と軽重情報は、出力装置50へ送信される他、無線通信等を介して他の装置へ送信されてもよい。例えば、所定のサーバを介して警報情報および軽重情報を示す電子メールやメッセージが所定の宛先へ送信されてもよいし、警報情報および軽重情報が所定の空調制御システムに送信されてもよい。
【0056】
図3は、暑さ指数監視装置10の動作過程を示すフローチャートである。まず、前回の暑さ指数取得タイミングから10分以上が経過している場合(S10のY)、指数取得部12が暑さ指数値を取得し(S12)、取得した暑さ指数値を取得日時の情報とともに取得値記憶部16へ記憶させる(S14)。前回の暑さ指数取得タイミングから10分以上が経過していない場合は、前回の暑さ指数取得タイミングから10分以上が経過するまでS10の判定を繰り返す(S10のN)。
【0057】
警報判定部32が複数の警報レベルの警報基準値を上位から参照し、現在の暑さ指数値がいずれかの警報レベルの警報基準値以上であると判定した場合(S16のY)、その判定結果に対応する警報レベルの警報情報を警報出力部42が出力する(S18)。現在の暑さ指数値がいずれの警報レベルの警報基準値以上でもない場合は(S16のN)、S10に戻る。続いて、次図において詳述する軽重判定処理を実行し(S20)、結果出力部40から警報情報および軽重情報を受信した出力装置50が警報と軽重の情報を画面に表示する等の出力処理を実行し(S30)、S10に戻る。なお、本図のフローチャートにおいては、S16~S18の処理と、S20の処理を直列的な順序で実行する例を説明したが、これらを並列的に実行してもよい。
【0058】
図4は、
図3のS20における詳細な処理過程を示すフローチャートである。まず、第1の判定基準による軽重判定として、平均設定部81によって設定された平均対象とする日数の情報を取得し(S30)、その日数分の同時刻の暑さ指数平均値を取得する(S32)。現在の暑さ指数が平均値を超える場合であって(S34のY)、現在の暑さ指数と平均値の差が複数の軽重基準値のうち上位から参照していずれかの軽重基準値以上であると軽重判定部34が判定した場合(S36のY)、その判定結果に対応する第1の軽重情報を軽重出力部44が出力する(S38)。現在の暑さ指数が平均値を超えない場合はS36、S38をスキップし(S34のN)、現在の暑さ指数と平均値の差がいずれの軽重基準値以上でもない場合はS38をスキップする(S36のN)。
【0059】
次に、第2の判定基準による軽重判定として、前日の同時刻の暑さ指数を取得し(S40)、現在の暑さ指数が前日の暑さ指数を超える場合であって(S42のY)、現在と前日の暑さ指数の差が複数の軽重基準値のうち上位から参照していずれかの軽重基準値以上であると軽重判定部34が判定した場合(S44のY)、その判定結果に対応する第2の軽重情報を軽重出力部44が出力する(S46)。現在の暑さ指数が前日の暑さ指数を超えない場合はS44、S46をスキップし(S42のN)、現在と前日の暑さ指数の差がいずれの軽重基準値以上でもない場合はS46をスキップする(S44のN)。
【0060】
次に、第3の判定基準による軽重判定として、所定時間前の暑さ指数を取得し(S48)、現在の暑さ指数が所定時間前の暑さ指数を超える場合であって(S50のY)、現在と所定時間前の暑さ指数の差が複数の軽重基準値のうち上位から参照していずれかの軽重基準値以上であると軽重判定部34が判定した場合(S52のY)、その判定結果に対応する第3の軽重情報を軽重出力部44が出力する(S54)。現在の暑さ指数が所定時間前の暑さ指数を超えない場合はS52、S54をスキップし(S50のN)、現在と所定時間前の暑さ指数の差がいずれの軽重基準値以上でもない場合はS54をスキップする(S52のN)。なお、本図では、第1~3の判定基準のすべてに基づいて軽重判定をする例を示したが、第1~3の判定基準のうちいずれか一つまたは二つの基準のみによって軽重判定する仕様でもよい。また、本図では、第1~3の判定基準に基づく軽重判定を第1,2,3の判定基準の順に実行する例を示したが、他の順序で実行してもよいし、これらを並列的に同時実行する仕様でもよい。
【0061】
以上、本発明の実施の形態に係る暑さ指数監視装置10について説明した。この実施の形態はあくまで例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0062】
上記の実施形態においては、暑さ指数監視装置10をPLCや集積回路とPLCを制御するプログラムによって実現する例を説明したが、変形例においては、例えばスマートフォンやタブレット等の情報端末やスマートウォッチ等の電子機器と、これらを制御するアプリケーションプログラムによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 暑さ指数監視装置、 12 指数取得部、 13 基準記憶部、 16 取得値記憶部、 18 平均取得部、 19 設定部、 20 暑さ指数センサ、 30 判定部、 32 警報判定部、 34 軽重判定部、 40 結果出力部、 42 警報出力部、 44 軽重出力部、 81 平均設定部、 82 基準値設定部、 83 比較設定部。