(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】電気柵の設置方法及び支柱の設置方法
(51)【国際特許分類】
A01M 29/24 20110101AFI20241129BHJP
A01M 29/30 20110101ALI20241129BHJP
A01K 3/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A01M29/24
A01M29/30
A01K3/00
(21)【出願番号】P 2021022118
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 宗大
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/100115(WO,A1)
【文献】特開平1-290891(JP,A)
【文献】特開2013-47951(JP,A)
【文献】特開昭61-31031(JP,A)
【文献】特開平11-287057(JP,A)
【文献】特開2010-51270(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0284835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
A01K 3/00
E04H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支柱と、それぞれの前記支柱の間に設ける架線とからなり、対象動物の侵入又は逃走を阻止する電気柵の設置方法であって、
前記対象動物に対する守護エリアを設定する守護エリア設定ステップと、
前記守護エリアによって生じる境界ラインを決定する境界ライン決定ステップと、
前記境界ラインを基準に
、前記境界ラインのライン曲率によって前記支柱の仮立設位置を決定する支柱位置仮決定ステップと、
前記仮立設位置についての土壌硬度を、
前記土壌硬度を計測する土壌計測装置を用いて計測する土壌硬度計測ステップと、
前記土壌硬度計測ステップで計測した前記土壌硬度と、あらかじめ設定した設定土壌硬度とを比較し、前記支柱の立設位置としての適性を判断する立設位置判断ステップと、
前記立設位置判断ステップで、全ての前記支柱について適性であると判断されると、前記仮立設位置を、前記立設位置として決定する支柱位置決定ステップと、
前記支柱位置決定ステップで決定された前記立設位置に前記支柱を設置する支柱設置ステップと
を有し、
前記支柱位置仮決定ステップでは、前記境界ラインの変曲点を前記仮立設位置とするとともに、前記境界ライン上で隣り合う2つの前記変曲点の間の前記ライン曲率が所定値以下であれば前記境界ライン上を前記仮立設位置として決定し、
前記立設位置判断ステップで不適性であると判断されると、前記支柱位置仮決定ステップでは、既に決定した前記仮立設位置
よりも前記守護エリア側にずらした位置を新たな仮立設位置
として決定し、新たな前記仮立設位置についての前記土壌硬度を、前記土壌計測装置を用いて計測し、計測した新たな前記土壌硬度について前記立設位置判断ステップで適性を判断し、前記立設位置判断ステップで適性であると判断されるまで前記土壌硬度計測ステップと前記立設位置判断ステップとを繰返す
ことを特徴とする電気柵の設置方法。
【請求項2】
前記設定土壌硬度として、第1設定土壌硬度と、前記第1設定土壌硬度よりも高い硬度を設定する第2設定土壌硬度とを有し、
前記立設位置判断ステップでは、前記仮立設位置の前記土壌硬度が、前記第1設定土壌硬度以上で前記第2設定土壌硬度以下であるとき、前記立設位置として適性であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気柵の設置方法。
【請求項3】
新たな前記仮立設位置を、不適性であると判断された前記仮立設位置よりも前記守護エリア側とする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気柵の設置方法。
【請求項4】
前記対象動物を決定する対象動物決定ステップと、
前記対象動物決定ステップで決定された前記対象動物によって、地表面から最下段に設ける前記架線までの地表最低高さを決定する架線最低高さ決定ステップと、
前記支柱位置決定ステップで決定した前記立設位置における、隣り合う前記支柱のそれぞれの前記地表面からの前記地表最低高さを結ぶ仮想架線に対して前記地表最低高さを越える凹部、又は前記仮想架線以上の凸部が前記支柱間に存在するかを判断する高低差判断ステップと、
前記高低差判断ステップで、前記凹部又は前記凸部が前記支柱間に存在すれば、前記支柱間に中間支柱を配置することを決定する中間支柱配置決定ステップと
を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気柵の設置方法。
【請求項5】
前記対象動物決定ステップで決定された前記対象動物によって、架線間距離と架線段数とを決定する架線条件決定ステップを有する
ことを特徴とする請求項4に記載の電気柵の設置方法。
【請求項6】
前記土壌計測装置が、地表高さを計測する地表高さ計測手段を備え、
前記立設位置の前記地表高さ、及び前記支柱間の前記地表面の前記地表高さを、前記地表高さ計測手段で計測する地表面高さ計測ステップを有し、
前記高低差判断ステップでは、前記地表面高さ計測ステップで計測した前記地表高さを用いて前記凹部又は前記凸部を判断する
ことを特徴とする請求項4に記載の電気柵の設置方法。
【請求項7】
支柱の設置方法であって、
対象動物に対する守護エリアを設定する守護エリア設定ステップと、
前記守護エリアによって生じる境界ラインを決定する境界ライン決定ステップと、
前記境界ラインを基準に、前記境界ラインのライン曲率によって前記支柱の仮立設位置を決定する支柱位置仮決定ステップと、
前記仮立設位置についての土壌硬度を、
前記土壌硬度を計測する土壌計測装置を用いて計測する土壌硬度計測ステップと、
前記土壌硬度計測ステップで計測した前記土壌硬度と、あらかじめ設定した設定土壌硬度とを比較し、前記支柱の立設位置としての適性を判断する立設位置判断ステップと、
前記立設位置判断ステップで、前記支柱について適性であると判断されると、前記仮立設位置を、前記立設位置として決定する支柱位置決定ステップと、
前記支柱位置決定ステップで決定された前記立設位置に前記支柱を設置する支柱設置ステップと
を有し、
前記支柱位置仮決定ステップでは、前記境界ラインの変曲点を前記仮立設位置とするとともに、前記境界ライン上で隣り合う2つの前記変曲点の間の前記ライン曲率が所定値以下であれば前記境界ライン上を前記仮立設位置として決定し、
前記立設位置判断ステップで不適性であると判断されると、前記支柱位置仮決定ステップでは、既に決定した前記仮立設位置
よりも前記守護エリア側にずらした位置を新たな仮立設位置
として決定し、新たな前記仮立設位置についての前記土壌硬度を、前記土壌計測装置を用いて計測し、計測した新たな前記土壌硬度について前記立設位置判断ステップで適性を判断し、前記立設位置判断ステップで適性であると判断されるまで前記土壌硬度計測ステップと前記立設位置判断ステップとを繰返す
ことを特徴とする支柱の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の侵入又は逃走を阻止する電気柵の設置方法及び電気柵などに用いる支柱の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気柵は、一般的には支柱を5~6m間隔で設置し、架線を複数段張り巡らせるという作業を全て人手で行っている。
電気柵の設置作業は、同じ場所を何往復もしなければならず、多人数で行う作業であり、多大な労力を要している。
例えば、耕作放棄水田に500m程度の電気柵を設けるには5人で各2時間要し、野草地に1500m程度の電気柵を設けるには5人で各7日を要する。
今後は更に農業労働人口が減少する懸念もあり、電気柵を、1人又は2人程度で省力的に設置できるようにするためには、自動化に向けた取組が必要である。
例えば、特許文献1から特許文献3では、電気柵自体の設置性や運搬性、あるいは盗難防止を目的とした電気柵が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-223963号公報
【文献】特開2009-22246号公報
【文献】特開2008-79521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、いずれの特許文献1にも、支柱を立設する上での土壌硬度の適性判断を行うなどの電気柵設置作業の自動化を図りやすくするための電気柵の設置方法は提案されていない。
【0005】
そこで本発明は、土壌硬度によって立設位置としての適性を判断し、適した立設位置をあらかじめ決定できることで支柱設置時の作業の自動化を図りやすい電気柵の設置方法及び電気柵などに用いる支柱の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の電気柵の設置方法は、複数の支柱1と、それぞれの前記支柱1の間に設ける架線2とからなり、対象動物3の侵入又は逃走を阻止する電気柵の設置方法であって、前記対象動物3に対する守護エリア4を設定する守護エリア設定ステップと、前記守護エリア4によって生じる境界ラインを決定する境界ライン決定ステップと、前記境界ラインを基準に、前記境界ラインのライン曲率によって前記支柱1の仮立設位置を決定する支柱位置仮決定ステップと、前記仮立設位置についての土壌硬度を、前記土壌硬度を計測する土壌計測装置を用いて計測する土壌硬度計測ステップと、前記土壌硬度計測ステップで計測した前記土壌硬度と、あらかじめ設定した設定土壌硬度とを比較し、前記支柱1の立設位置としての適性を判断する立設位置判断ステップと、前記立設位置判断ステップで、全ての前記支柱1について適性であると判断されると、前記仮立設位置を、前記立設位置として決定する支柱位置決定ステップと、前記支柱位置決定ステップで決定された前記立設位置に前記支柱1を設置する支柱設置ステップとを有し、前記支柱位置仮決定ステップでは、前記境界ラインの変曲点を前記仮立設位置とするとともに、前記境界ライン上で隣り合う2つの前記変曲点の間の前記ライン曲率が所定値以下であれば前記境界ライン上を前記仮立設位置として決定し、前記立設位置判断ステップで不適性であると判断されると、前記支柱位置仮決定ステップでは、既に決定した前記仮立設位置よりも前記守護エリア4側にずらした位置新たな仮立設位置として決定し、新たな前記仮立設位置についての前記土壌硬度を、前記土壌計測装置を用いて計測し、計測した新たな前記土壌硬度について前記立設位置判断ステップで適性を判断し、前記立設位置判断ステップで適性であると判断されるまで前記土壌硬度計測ステップと前記立設位置判断ステップとを繰返すことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の電気柵の設置方法において、前記設定土壌硬度として、第1設定土壌硬度と、前記第1設定土壌硬度よりも高い硬度を設定する第2設定土壌硬度とを有し、前記立設位置判断ステップでは、前記仮立設位置の前記土壌硬度が、前記第1設定土壌硬度以上で前記第2設定土壌硬度以下であるとき、前記立設位置として適性であると判断することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の電気柵の設置方法において、新たな前記仮立設位置を、不適性であると判断された前記仮立設位置よりも前記守護エリア4側とすることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気柵の設置方法において、前記対象動物3を決定する対象動物決定ステップと、前記対象動物決定ステップで決定された前記対象動物3によって、地表面5から最下段に設ける前記架線2までの地表最低高さHを決定する架線最低高さ決定ステップと、前記支柱位置決定ステップで決定した前記立設位置における、隣り合う前記支柱1のそれぞれの前記地表面5からの前記地表最低高さHを結ぶ仮想架線6x、6y、6に対して前記地表最低高さHを越える凹部5y、又は前記仮想架線6x、6y、6z以上の凸部5zが前記支柱1間に存在するかを判断する高低差判断ステップと、前記高低差判断ステップで、前記凹部5y又は前記凸部5zが前記支柱1間に存在すれば、前記支柱1間に中間支柱8a、8bを配置することを決定する中間支柱配置決定ステップとを有することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の電気柵の設置方法において、前記対象動物決定ステップで決定された前記対象動物3によって、架線間距離と架線段数とを決定する架線条件決定ステップを有することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項4に記載の電気柵の設置方法において、前記土壌計測装置が、地表高さを計測する地表高さ計測手段を備え、前記立設位置の前記地表高さ、及び前記支柱1間の前記地表面5の前記地表高さを、前記地表高さ計測手段で計測する地表面高さ計測ステップを有し、前記高低差判断ステップでは、前記地表面高さ計測ステップで計測した前記地表高さを用いて前記凹部5y又は前記凸部5zを判断することを特徴とする。
請求項7記載の本発明の支柱1の設置方法は、支柱1の設置方法であって、対象動物3に対する守護エリア4を設定する守護エリア設定ステップと、前記守護エリア4によって生じる境界ラインを決定する境界ライン決定ステップと、前記境界ラインを基準に、前記境界ラインのライン曲率によって前記支柱1の仮立設位置を決定する支柱位置仮決定ステップと、前記仮立設位置についての土壌硬度を、前記土壌硬度を計測する土壌計測装置を用いて計測する土壌硬度計測ステップと、前記土壌硬度計測ステップで計測した前記土壌硬度と、あらかじめ設定した設定土壌硬度とを比較し、前記支柱1の立設位置としての適性を判断する立設位置判断ステップと、前記立設位置判断ステップで、前記支柱1について適性であると判断されると、前記仮立設位置を、前記立設位置として決定する支柱位置決定ステップと、前記支柱位置決定ステップで決定された前記立設位置に前記支柱1を設置する支柱設置ステップとを有し、前記支柱位置仮決定ステップでは、前記境界ラインの変曲点を前記仮立設位置とするとともに、前記境界ライン上で隣り合う2つの前記変曲点の間の前記ライン曲率が所定値以下であれば前記境界ライン上を前記仮立設位置として決定し、前記立設位置判断ステップで不適性であると判断されると、前記支柱位置仮決定ステップでは、既に決定した前記仮立設位置よりも前記守護エリア4側にずらした位置を新たな仮立設位置として決定し、新たな前記仮立設位置についての前記土壌硬度を、前記土壌計測装置を用いて計測し、計測した新たな前記土壌硬度について前記立設位置判断ステップで適性を判断し、前記立設位置判断ステップで適性であると判断されるまで前記土壌硬度計測ステップと前記立設位置判断ステップとを繰返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、仮立設位置についての土壌硬度を計測し、計測した土壌硬度によって立設位置としての適性を判断するため、土壌が柔らかすぎのために設置後に支柱が傾いたり倒れたりすることがなく、また土壌が硬すぎて支柱を立設できないという不都合が生じることがなく、適した立設位置をあらかじめ決定できるため、支柱設置ステップでの作業の自動化を図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による電気柵の設置方法を示すフローチャート
【
図3】本実施例による電気柵の設置方法での支柱位置決定処理を示すフローチャート
【
図4】実施例による電気柵の設置方法での中間支柱配置決定処理を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による電気柵の設置方法は、対象動物に対する守護エリアを設定する守護エリア設定ステップと、守護エリアによって生じる境界ラインを決定する境界ライン決定ステップと、境界ラインを基準に、境界ラインのライン曲率によって支柱の仮立設位置を決定する支柱位置仮決定ステップと、仮立設位置についての土壌硬度を、土壌硬度を計測する土壌計測装置を用いて計測する土壌硬度計測ステップと、土壌硬度計測ステップで計測した土壌硬度と、あらかじめ設定した設定土壌硬度とを比較し、支柱の立設位置としての適性を判断する立設位置判断ステップと、立設位置判断ステップで、全ての支柱について適性であると判断されると、仮立設位置を、立設位置として決定する支柱位置決定ステップと、支柱位置決定ステップで決定された立設位置に支柱を設置する支柱設置ステップとを有し、支柱位置仮決定ステップでは、境界ラインの変曲点を仮立設位置とするとともに、境界ライン上で隣り合う2つの変曲点の間のライン曲率が所定値以下であれば境界ライン上を仮立設位置として決定し、立設位置判断ステップで不適性であると判断されると、支柱位置仮決定ステップでは、既に決定した仮立設位置よりも守護エリア側にずらした位置を新たな仮立設位置として決定し、新たな仮立設位置についての土壌硬度を、土壌計測装置を用いて計測し、計測した新たな土壌硬度について立設位置判断ステップで適性を判断し、立設位置判断ステップで適性であると判断されるまで支柱位置仮決定ステップと立設位置判断ステップとを繰返すものである。
本実施の形態によれば、仮立設位置についての土壌硬度を計測し、計測した土壌硬度によって立設位置としての適性を判断するため、土壌が柔らかすぎのために設置後に支柱が傾いたり倒れたりすることがなく、また土壌が硬すぎて支柱を立設できないという不都合が生じることがなく、適した立設位置をあらかじめ決定できるため、支柱設置ステップでの作業の自動化を図りやすい。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による電気柵の設置方法において、設定土壌硬度として、第1設定土壌硬度と、第1設定土壌硬度よりも高い硬度を設定する第2設定土壌硬度とを有し、立設位置判断ステップでは、仮立設位置の土壌硬度が、第1設定土壌硬度以上で第2設定土壌硬度以下であるとき、立設位置として適性であると判断するものである。
本実施の形態によれば、第1設定土壌硬度未満を、柔らかすぎの土壌であると判断でき、第2設定土壌硬度より高ければ硬すぎの土壌であると判断できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による電気柵の設置方法において、新たな仮立設位置を、不適性であると判断された仮立設位置よりも守護エリア側とするものである。
本実施の形態によれば、守るべきエリアを守護エリアとして設定し、支柱位置のずらし方向を守護エリアとすることで、農作物や人などの守るべき対象物を電気柵で確実に守ることができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれかの実施の形態による電気柵の設置方法において、対象動物を決定する対象動物決定ステップと、対象動物決定ステップで決定された対象動物によって、地表面から最下段に設ける架線までの地表最低高さを決定する架線最低高さ決定ステップと、支柱位置決定ステップで決定した立設位置における、隣り合う支柱のそれぞれの地表面からの地表最低高さを結ぶ仮想架線に対して地表最低高さを越える凹部、又は仮想架線以上の凸部が支柱間に存在するかを判断する高低差判断ステップと、高低差判断ステップで、凹部又は凸部が支柱間に存在すれば、支柱間に中間支柱を配置することを決定する中間支柱配置決定ステップとを有するものである。
本実施の形態によれば、地表最低高さを越える凹部、又は仮想架線以上の凸部が支柱間に存在する場合には中間支柱を配置することで、対象動物の侵入や逃走を確実に阻止することができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による電気柵の設置方法において、対象動物決定ステップで決定された対象動物によって、架線間距離と架線段数とを決定する架線条件決定ステップを有するものである。
本実施の形態によれば、対象動物に適した架線間距離及び架線段数とすることで、対象動物の侵入や逃走を確実に阻止することができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第4の実施の形態による電気柵の設置方法において、土壌計測装置が、地表高さを計測する地表高さ計測手段を備え、立設位置の地表高さ、及び支柱間の地表面の地表高さを、地表高さ計測手段で計測する地表面高さ計測ステップを有し、高低差判断ステップでは、地表面高さ計測ステップで計測した地表高さを用いて凹部又は凸部を判断するものである。
本実施の形態によれば、土壌計測装置が、地表高さを計測する地表高さ計測手段を備えることで、土壌硬度の計測のタイミングで地表高さの計測が可能となり、計測した地表高さを用いて凹部又は凸部を判断することで、適切に中間支柱を配置して、対象動物の侵入や逃走を確実に阻止することができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態による支柱の設置方法は、対象動物に対する守護エリアを設定する守護エリア設定ステップと、守護エリアによって生じる境界ラインを決定する境界ライン決定ステップと、境界ラインを基準に、境界ラインのライン曲率によって支柱の仮立設位置を決定する支柱位置仮決定ステップと、仮立設位置についての土壌硬度を、土壌硬度を計測する土壌計測装置を用いて計測する土壌硬度計測ステップと、土壌硬度計測ステップで計測した土壌硬度と、あらかじめ設定した設定土壌硬度とを比較し、支柱の立設位置としての適性を判断する立設位置判断ステップと、立設位置判断ステップで、支柱について適性であると判断されると、仮立設位置を、立設位置として決定する支柱位置決定ステップと、支柱位置決定ステップで決定された立設位置に支柱を設置する支柱設置ステップとを有し、支柱位置仮決定ステップでは、境界ラインの変曲点を仮立設位置とするとともに、境界ライン上で隣り合う2つの変曲点の間のライン曲率が所定値以下であれば境界ライン上を仮立設位置として決定し、立設位置判断ステップで不適性であると判断されると、支柱位置仮決定ステップでは、既に決定した仮立設位置よりも守護エリア側にずらした位置を新たな仮立設位置として決定し、新たな仮立設位置についての土壌硬度を、土壌計測装置を用いて計測し、計測した新たな土壌硬度について立設位置判断ステップで適性を判断し、立設位置判断ステップで適性であると判断されるまで土壌硬度計測ステップと立設位置判断ステップとを繰返すものである。
本実施の形態によれば、仮立設位置についての土壌硬度を計測し、計測した土壌硬度によって立設位置としての適性を判断するため、土壌が柔らかすぎのために設置後に支柱が傾いたり倒れたりすることがなく、また土壌が硬すぎて支柱を立設できないという不都合が生じることがなく、適した立設位置をあらかじめ決定できるため、支柱設置ステップでの作業の自動化を図りやすい。
【実施例】
【0016】
以下本発明の一実施例による電気柵の設置方法について説明する。なお、以下にフローチャートを用いて説明する各ステップの全て又は一部はコンピュータによって処理することができる。
【0017】
図1は本実施例による電気柵の設置方法を示すフローチャート、
図2は本実施例による電気柵設置の概念図、
図3は本実施例による電気柵の設置方法での支柱位置決定処理を示すフローチャート、
図4は本実施例による電気柵の設置方法での中間支柱配置決定処理を示す説明図である。
本実施例による電気柵の設置方法は、
図1に示す以下のステップで行われる。
【0018】
本実施例は、
図2に示すように、複数の支柱1と、それぞれの支柱1の間に設ける架線2とからなり、対象動物3の侵入又は逃走を阻止する電気柵の設置方法である。
本実施例による電気柵の設置方法では、まず、電気柵を設置する予定地点について、地形や動産物の有無などを調査する(S10)。
S10による電気柵設置地点調査ステップは、実際の現場で調査してもよいが、コンピュータを用いる場合には、マップデータを用いて行うこともできる。
【0019】
S10による電気柵設置地点調査ステップで電気柵を設置する予定地点の調査を基に、対象動物3に対する守護エリア4(
図2参照)を設定する(S11)。
図2に守護エリア4の概念を示している。守護対象は、農作物、人、及び民家であり、
図2(a)に示す放牧地にあっては、「対象動物3が放牧地の外に逃げ出すことで畑にある農作物を荒さない」という概念から守護エリア4は放牧地の外となる。
図2(b)では、畑を守護エリア4としていることを示しており、
図2(c)では、畑や民家を守護エリア4としていることを示している。
S11による守護エリア設定ステップをコンピュータで行う場合には、マップデータを表示させ、表示されたマップデータに対して守護エリア4を入力することで設定する。
S11による守護エリア設定ステップで守護エリア4が設定されることで、守護エリア4によって生じる境界ラインを決定することができる(S12)。
S12による境界ライン決定ステップでは、守護エリア4の外縁を境界ラインとして決定でき、コンピュータで行う場合には、守護エリア4の外縁を判別することで境界ラインを決定できる。
S12による境界ライン決定ステップで境界ラインが決定されると、境界ラインを基準に支柱1の仮立設位置を決定する(S13)。
S13による支柱位置仮決定ステップでは、支柱間隔とライン曲率とを条件に支柱1の仮立設位置を決定する。例えば、境界ラインの変曲点には支柱1を配置し、変曲点間のライン曲率が所定以下であれば、あらかじめ設定している最大支柱間隔で必要な支柱本数を算出し、算出した支柱本数を均等間隔となるように変曲点間に配置する。なお、あらかじめマップデータに標高データを有する場合には、境界ラインの地表面高さを考慮した支柱配置とすることができる。地表面高さを考慮する場合には、後述する高低差判断ステップでの判断を用いることができる。
S13による支柱位置仮決定ステップで支柱1の仮立設位置が決定されると、守護エリア3、境界ライン、及び仮立設位置についての設置データを用いて土壌計測装置を誘導し、仮立設位置についての土壌硬度を、土壌計測装置を用いて計測する(S14)。
なお、土壌計測装置は、記憶演算部と位置検出部を備えていることが好ましい。位置検出部には、例えばGNSSの受信装置やジャイロ装置を用いることができる。土壌計測装置は、記憶演算部と位置検出部を備えることで、記憶演算部では、取得した守護エリア3及び境界ラインのデータを基に土壌計測装置の走行ルートを算出し、取得した仮立設位置のデータから計測地点を特定し、位置検出部で検出する位置データを基に土壌計測装置を誘導することができる。
S14による土壌硬度計測ステップで計測した土壌硬度は、あらかじめ設定した設定土壌硬度と比較し、支柱1の立設位置としての適性を判断する(S15)。
土壌計測装置が記憶演算部を備えている場合には、記憶演算部にあらかじめ設定土壌硬度を記憶しておくことで、判断結果を出力することができる。
S15による立設位置判断ステップで、全ての支柱1について適性であると判断されると、仮立設位置を、立設位置として決定する(S16)。
【0020】
ここで、S14による土壌硬度計測ステップからS16による支柱位置決定ステップまでの処理について
図3を用いて更に詳細に説明する。
図3では、設定土壌硬度として、第1設定土壌硬度と、第1設定土壌硬度よりも高い硬度を設定する第2設定土壌硬度とを有している場合を示している。
例えば、判別対象とする土壌硬度は、地表面から15cmまでとする。そして、例えば地表面から15cmまでの土壌硬度が500kPaより小さければ柔らかすぎと判断し、地表面から15cmまでの土壌硬度が4000kPaを越えると硬すぎと判断する。この場合には、第1設定土壌硬度を500kPaとし、第2設定土壌硬度を4000kPaとする。
S14による土壌硬度計測ステップで計測した土壌硬度が第1設定土壌硬度を下回れば(S15aでYes)、仮立設位置を守護エリア4側に変更し(S13a)、変更した守護エリア4について改めて土壌硬度を計測する(S14)。変更した守護エリア4について計測した土壌硬度が第1設定土壌硬度以上であれば(S15aでNo)、計測した土壌硬度を第2設定土壌硬度と比較する(S15b)。
S15bにおいて、計測した土壌硬度が第2設定土壌硬度を上回れば(S15bでYes)、仮立設位置を守護エリア4側に変更し(S13b)、変更した守護エリア4について改めて土壌硬度を計測する(S14)。
【0021】
このように、立設位置判断ステップ15で不適性であると判断されると、支柱位置仮決定ステップ(S13)では、既に決定した仮立設位置とは異なる新たな仮立設位置を決定し、新たな仮立設位置についての土壌硬度を、土壌計測装置を用いて計測し、計測した新たな土壌硬度について立設位置判断ステップ(S15)で適性を判断し、立設位置判断ステップ(S15)で適性であると判断されるまで支柱位置仮決定ステップ(S13)と立設位置判断ステップ(S15)とを繰返す。
また、立設位置判断ステップ(S15)では、仮立設位置の土壌硬度が、第1設定土壌硬度以上で第2設定土壌硬度以下であるとき、立設位置として適性であると判断することで、土壌が柔らかすぎのために設置後に支柱1が傾いたり倒れたりすることがなく、また土壌が硬すぎて支柱を立設できないという不都合が生じることがなく、適した立設位置をあらかじめ決定できるため、支柱設置ステップでの作業の自動化を図りやすい。
また、守るべきエリアを守護エリア4として設定し、新たな仮立設位置を、不適性であると判断された仮立設位置よりも守護エリア4側にずらすことで、農作物や人などの守るべき対象物を電気柵で確実に守ることができる。
【0022】
図1に示すように、S11による守護エリア設定ステップとともに、対象動物3を決定する(S17)。
S17による対象動物決定ステップで決定された対象動物によって、地表面から最下段に設ける架線2までの地表最低高さを決定する(S18)。
対象動物3別の地表最低高さのデータテーブルを記憶部に記憶させておき、対象動物3を入力又は選択することで、地表最低高さを決定できる。
S19による地表面高さ計測ステップでは、立設位置の地表高さ、及び支柱1間の地表面の地表高さを計測し、S19による地表面高さ計測ステップで計測した地表高さを用いて凹部又は凸部を判断する(S20)。
S19による地表面高さ計測ステップで計測に用いる地表高さ計測手段は、土壌計測装置が備えていることが好ましい。そして、土壌計測装置が土壌硬度を計測するタイミングで境界ラインに沿った走行中に地表高さを計測することが好ましい。
S20による高低差判断ステップで所定の凹部又は凸部が支柱1間に存在すれば、支柱1間に中間支柱を配置することを決定する(S21)。
【0023】
図4では、対象動物決定ステップ(S17)から中間支柱配置決定ステップ(S21)までの中間支柱配置決定流れを示している。
S17による対象動物決定ステップでは、対象動物3が、例えば「ウシ」、「ヒツジ」、「ウマ」、「シカ」、「イノシシ」、「クマ」、「ハクビシン/アライグマ」、「キツネ/タヌキ」、及び「サル」のいずれかであるかを決定する。
図4(b)に一部を例示しているように、地表面から最下段に設ける架線2までの地表最低高さは、例えば「ウシ」であれば30cm、「ヒツジ」であれば15cm、「ウマ」であれば60cm、「シカ」であれば45cm、「イノシシ」であれば20cm、「クマ」であれば15cm、「ハクビシン/アライグマ」であれば10cm、「キツネ/タヌキ」であれば15cm、及び「サル」であれば15cmのように決定する。
【0024】
図4(c)は、S20による高低差判断ステップでの判断方法を示している。
図4(c)では、4本の支柱1a、1b、1c、1dを示している。
隣り合う支柱1aと支柱1bとの間には、支柱1aの地表面5aからの地表最低高さHと支柱1bの地表面5bからの地表最低高さHとを結ぶ仮想架線6xを設定し、隣り合う支柱1bと支柱1cとの間には、支柱1bの地表面5bからの地表最低高さHと支柱1cの地表面5cからの地表最低高さHとを結ぶ仮想架線6yを設定し、隣り合う支柱1cと支柱1dとの間には、支柱1cの地表面5cからの地表最低高さHと支柱1dの地表面5dからの地表最低高さHとを結ぶ仮想架線6zを設定する。
図4(c)に示すように、仮想架線6xに対する地表最低高さHがライン7x、仮想架線6yに対する地表最低高さHがライン7y、仮想架線6zに対する地表最低高さHがライン7zとなる。
支柱1aと支柱1bとの間の地表面5は、仮想架線6x以上の凸部5z、及びライン7xを越える凹部5yが存在しないため(S20でYes)、中間支柱8a、8bは不要と判断する(S21a)。
支柱1bと支柱1cとの間の地表面5は、仮想架線6y以上の凸部5zは存在しないが、ライン7yを越える凹部5yが存在するため(S20でNo)、中間支柱8aを配置する(S21b)。
支柱1cと支柱1dとの間の地表面5は、ライン7zを越える凹部5yは存在しないが、仮想架線6y以上の凸部5zが存在するため(S20でNo)、中間支柱8bを配置する(S21b)。
なお、
図4(c)に示すように、支柱1aと支柱1bとの間には架線9aが、支柱1bと中間支柱8aとの間には架線9bが、中間支柱8aと支柱1cとの間には架線9cが、支柱1cと中間支柱8bとの間には架線9dが、中間支柱8bと支柱1dとの間には架線9eが、最下段の架線9として設けられる。
中間支柱8a、8bは、最下段の設ける架線9が地表面5に接することなく、かつ架線9と地表面5との間が地表最低高さH以下となるように配置する。
【0025】
このように、S20による高低差判断ステップでは、支柱位置仮決定ステップ13で決定した仮立設位置、又は支柱位置決定ステップ16で決定した立設位置における、隣り合う支柱1のそれぞれの地表面5からの地表最低高さHを結ぶ仮想架線6x、6y、6zに対して地表最低高さHを越える凹部5y、又は仮想架線6x、6y、6z以上の凸部5zが支柱1間に存在するかを判断する。
そして、地表最低高さHを越える凹部5y、又は仮想架線6x、6y、6z以上の凸部5zが支柱1間に存在する場合には中間支柱8a、8bを配置することで、対象動物3の侵入や逃走を確実に阻止することができる。
【0026】
図1に示すように、S17による対象動物決定ステップで決定された対象動物によって、架線間距離と架線段数とを決定する(S22)。
S22による架線条件決定ステップでは、例えば「ウシ」であれば架線間距離が30cmで架線段数が3段、「ヒツジ」であれば最下段から3段目までの架線間距離が15cm、3段目と4段目との架線間距離が20cm、4段目と5段目との架線間距離が25cmで架線段数が5段、「ウマ」であれば最下段から3段目までの架線間距離が30cmで架線段数が3段、「シカ」であれば最下段から3段目までの架線間距離が30cm、3段目と4段目との架線間距離が45cmで架線段数が4段、「イノシシ」であれば架線間距離が20cmで架線段数が3段、「クマ」であれば架線間距離が15cmで架線段数が4段、「ハクビシン/アライグマ」であれば架線間距離が10cmで架線段数が4段、「キツネ/タヌキ」であれば架線間距離が15cmで架線段数が3段、及び「サル」であれば最下段から4段目までの架線間距離が15cm、5段目から8段目との架線間距離が20cmで架線段数が8段のように決定する。
このように、対象動物3に適した架線間距離及び架線段数とすることで、対象動物3の侵入や逃走を確実に阻止することができる。
対象動物3別の架線間距離、架線段数、及び最上段の架線高さのデータテーブルを記憶部に記憶させておき、対象動物3を入力又は選択することで、架線間距離、架線段数、及び最上段の架線高さを決定できる。
【0027】
図1に示す支柱設置ステップ(S23)では、S16による支柱位置決定ステップで決定された立設位置に支柱1を設置する。また、S21による中間支柱配置決定ステップで決定された中間支柱8a、8bを設置する。
更に、支柱1及び中間支柱8a、8bを設置するタイミングで架線を配置することが好ましく、S22による架線条件決定ステップで架線間距離と架線段数とが決定されていることで、立設作業と架線の引き回し作業とを同時に進めることができる。
なお、S13による支柱位置仮決定ステップで決定された全ての仮立設位置についての位置データ、又はS16による支柱位置決定ステップで決定された全ての立設位置についての位置データ、更にはS21による中間支柱配置決定ステップで決定された全ての中間支柱8a、8bについての位置データを記憶し、S23による支柱設置ステップでは、これらの位置データを基に電気柵設置装置を誘導することで、作業負担を軽減でき、人手によらない自動化を実現できる。
また、土壌計測装置が、地表高さを計測する地表高さ計測手段を備えることで、土壌硬度の計測のタイミングで地表高さの計測が可能となり、計測した地表高さを用いて凹部5y又は凸部5zを判断することで、適切に中間支柱8a、8bを配置して、対象動物3の侵入や逃走を確実に阻止することができる。
なお、本実施例では、電気柵の設置方法について説明したが、支柱位置仮決定ステップ(S13)、土壌硬度計測ステップ(S14)、立設位置判断ステップ(S15)、支柱位置決定ステップ(S16)、及び支柱設置ステップ(S23)によって、電気柵などに用いる支柱の設置方法に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明による電気柵の設置方法は、放牧地における電牧柵や害獣対策としての電気柵に適している。
【符号の説明】
【0029】
1、1a、1b、1c、1d 支柱
2 架線
3 対象動物
4 守護エリア
5、5a、5b、5c、5d 地表面
5y 凹部
5z 凸部
6x、6y、6z 仮想架線
7x、7y、7z ライン
8a、8b 中間支柱
9、9a、9b、9c、9d、9e 架線
H 地表最低高さ