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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】遮断装置用バッグ
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/134 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
F16L55/134
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021034862
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2021156434
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2020054016
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595108572
【氏名又は名称】クロダイト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】井上 智裕
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-82878(JP,A)
【文献】特開2014-20408(JP,A)
【文献】特開2001-241590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨縮自在な内装バッグと、前記内装バッグを被包する外装バッグと、前記内装バッグの口金に連結されたホースを前記外装バッグを介して外装圧着するカシメリングと、を備えている遮断装置用バッグであって、
前記口金は、筒状の胴部と、前記胴部の基端側から延伸されて前記ホースの先端に挿嵌された外向き口と、前記胴部の先端側に設けられて前記内装バッグ内部に臨む内向き口と、を備え、
前記ホース内には、前記胴部内に先端側が延伸されたロープが挿通され、
前記ロープの先端には、前記胴部内に収容され、前記胴部の基端側端面に係止可能なストッパーが設けられ、
前記ストッパーは、前記内装バッグが収縮した状態で、前記ストッパーの先端面が前記内向き口の端面と略面一又は前記内向き口の端面より基端側に位置するように、前記胴部内に収容されていることを特徴とする遮断装置用バッグ。
【請求項2】
前記ストッパーの先端面は、緩衝材に被覆されていることを特徴とする請求項1記載の遮断装置用バッグ。
【請求項3】
前記胴部と前記ストッパーとの隙間は、前記内装バッグの厚みより狭く設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の遮断装置用バッグ。
【請求項4】
前記外向き口を挿嵌した前記ホースを外嵌圧着するカシメリングをさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の遮断装置用バッグ。
【請求項5】
前記ストッパーの先端面が、略平坦に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の遮断装置用バッグ。
【請求項6】
前記基端側端面に設けられ、前記ホースと前記内装バッグとを連通可能な気道確保手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の遮断装置用バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管の切断を伴う修理や交換工事に際し、水道管内を一時的に遮断する遮断装置に使用する遮断装置用バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遮断装置用バッグは、特許文献1、2に開示されるものにして、その基本構造は内側にゴム製の内装バッグを有し、外側に布製の外装バッグを有して各バッグの重ね合わされた口元に、内部に剛性を有するスリープを挿嵌したゴム製のホースの先端開口部を挿入し、前記各口元及びホースを介してスリーブをカシメリングで外嵌圧着することにより、各バッグの口元とホースとを一体的に連結し、ホース内部にロープを遊挿し、該ロープの両端部にホースの各開口部端面に係止可能なストッパーを設け、該ストッパーにはホース内と外部とが常時連通可能な気道確保手段を設けている。
【0003】
上記の様に構成された遮断装置用バッグは、水道管工事に際し、その水道管にこれの内部を一時的に遮断すべく取付けた遮断装置によって不断水の状態で水道管に形成した穿孔から収縮状態で水道管内に挿入される。
【0004】
そして、ホースから空気を内装バッグ内に送入して遮断装置用バッグを膨張させてゆくと、管内水圧による遮断装置用バッグの水流抵抗が増大するため、遮断装置用バッグは水道管の下流側に強く引張される。
【0005】
この時ホースは、その可撓性により伸長することになり、これによりホース両端のストッパーが各開口部端面に係止され、水道管内の水圧による強い引張力をロープで受けることができるため、ホース自体に過大な引張力がかかるのを抑止でき、ホースの切断を防止できる。
【0006】
又、ストッパーにはホース内と外部とが常時連通可能な気道確保手段を設けたので、使用時にストッパーによりホースが閉鎖されることはなく、常にホース内を空気が流通可能であって何らの支障なく内装バッグを膨縮させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-241590号公報
【文献】特開2014-20498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1にあっては、内装バッグ内にストッパーが突入しているため、収縮状態の遮断装置用バッグの水道管内への挿入経路中、その管壁に内外装バッグを介してストッパーが突き当たって内外装バッグを擦り付け、ストッパーが直に接触する内装バッグが損傷を受け、最悪の場合には内装バッグに穴が開き、これを膨張させることができず、水道管を止水できないといった課題を有している。
【0009】
また、特許文献2では、内装バッグの口元内の奥方にストッパーを配置させているため、収縮状態の遮断装置用バッグの水道管内への挿入経路中にストッパーが内装バッグを傷つけることはないが、この収縮状態では、遮断装置と水道管は連通しており、大気開放されている内装バッグが外装バッグを介して水圧を受け、内装バッグ内は真空状態となるため、その口元には内装バッグを吸引する力が働き、口元が吸い込んだ内装バッグを傷つけることになり、上記と同様に、内装バッグが損傷を受け、最悪の場合には内装バッグに穴が開き、これを膨張させることができず、水道管を止水できないといった課題を有している。
【0010】
そこで、本発明では、収縮状態の遮断装置用バッグの水道管内への挿入経路中に内装バッグが損傷することのない遮断装置用バッグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に鑑み、本発明に係る遮断装置用バッグは、膨縮自在な内装バッグと、内装バッグを被包する外装バッグと、内装バッグの口金に連結されたホースを外装バッグを介して外装圧着するカシメリングと、を備えている遮断装置用バッグであって、口金は、筒状の胴部と、胴部の基端側から延伸されてホースの先端に挿嵌された外向き口と、胴部の先端側に設けられて内装バッグ内部に臨む内向き口と、を備え、ホース内には、胴部内に先端側が延伸されたロープが挿通され、ロープの先端には、胴部内に収容され、胴部の基端側端面に係止可能なストッパーが設けられ、ストッパーは、内装バッグが収縮した状態で、ストッパーの先端面が内向き口の端面と略面一又は内向き口の端面より基端側に位置するように、胴部内に収容されていることを特徴とする。
また、本発明に係る遮断装置用バッグは、胴部内のストッパーの先端面が、緩衝材に被覆されているのが好ましい。
また、本発明に係る遮断装置用バッグは、胴部とストッパーとの隙間が、内装バッグの厚みより狭く設定されているのが好ましい。
また、本発明に係る遮断装置用バッグは、外向き口を挿嵌したホースを外嵌圧着するカシメリングをさらに備えているのが好ましい。
また、本発明に係る遮断装置用バッグは、ストッパーの先端面が、略平坦に形成されているのが好ましい。
また、本発明に係る遮断装置用バッグは、基端側端面に設けられ、ホースと内装バッグとを連通可能な気道確保手段をさらに備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
要するに本発明は、空気の流出入で膨縮自在な内装バッグをこれの膨張規制と防護用の外装バッグで被包し、剛性を有する口金を挿着した内装バッグの通気口と口金に連結するホースを外装バッグの口元を介して複数のカシメリングで夫々に外嵌圧着したので、内方に口金を有する内装バッグの通気口と口金を介して内装バッグと連通するホースを包囲した外装バッグの口元で締め付け一体化できる。
また、口金は通気口に挿嵌される筒状の胴部を設けると共に、該胴部の外向き口を通気口より外方突出する様に狭窄ノズル状に設けてホースの先端開口部に挿嵌し、該ホースは、これの基端開口部端面に係止可能なストッパーを基端に設けた外向き口より小径なロープを挿通し、該ロープの外向き口から胴部へ挿通した先端には、胴部内径より若干小径な別途ストッパーを設けたので、遮断装置用バッグの膨張による水道管の止水時に水道管内の水圧による強い引張力をロープで受けることができるため、ホース自体に過大な引張力がかかるのを抑止でき、ホースの切断を防止できる。
しかも、各ストッパーが閉塞し得るホースの基端開口部及び胴部に通ずる外向き口に、ホース内とその外部とが常時連通可能な気道確保手段を設けたので、上記止水時にストッパーによりホースが閉鎖されることはなく、常にホース内を空気が流通可能であって何らの支障なく内装バッグを膨縮させることができる。
そして、ストッパーは先端面がロープの長さ調整により内装バッグの収縮状態で胴部の内向き口の端面と略面一又は内向き口の端面より基端側に位置する様に胴部内に配置されることにより、収縮状態の遮断装置用バッグの水道管内への挿入経路中にストッパーが特許文献1の様に内装バッグを傷つけることはなく、内装バッグを吸引する力が働く内向き口は先端面が内向き口の端面と略面一又は内向き口の端面より基端側に位置するストッパーでその周囲の狭小間隔を残して狭められることにより、内装バッグはその狭小間隔に吸い込まれることはなく、ストッパーの先端面で止められるため従来生じていた損傷を防止でき、したがって上記の様に正常に内装バッグ、延いては遮断装置用バッグを膨張させることができる。
また、上記狭小間隔、即ち胴部の内向き口と胴部内のストッパーとの隙間を、内装バッグの厚みにより狭く設定すれば、その隙間に内装バッグが入り込むことをより確実に阻止することができる。
【0013】
胴部内のストッパーの先端面は、緩衝材を被覆して成るので、収縮状態の遮断装置用バッグの水道管への挿入経路中に上記の様に内装バッグを止めるストッパー先端面との接触をやわらげ、内装バッグの損傷をより一層防止できる。
【0014】
口金の外向き口を挿嵌したホース先端をカシメリングで外嵌圧着したので、口金とホースを強固に一体結合でき、ホースを包囲した外装バッグの口元を外嵌圧着するカシメリングと相俟って、ホースの抜けをより一層強固に防止できる等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る遮断装置用バッグの断面図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3図1のホース基端側の拡大図である。
図4】遮断装置用バッグの水道管挿入状態を示す断面図である。
図5図4の要部拡大図である。
図6】遮断装置用バッグの膨張による水道管止水状態を示す断面図である。
図7図6の要部拡大図である。
図8】遮断装置の使用状態を示す一部破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る遮断装置用バッグ1(以下、単に遮断バッグ1と称する。)は、水道管Pの切断を伴う修理や交換工事に際し、水道管P内を一時的に遮断する遮断装置Sに使用されるものである。
【0017】
この遮断バッグ1は、空気の流出入で膨縮自在な内装バッグ2をこれの膨張規制と防護用の外装バッグ3で被包し、剛性を有する口金4を挿着した内装バッグ2の筒状に突出した通気口2aと口金4に連結するホース5を外装バッグ3の口元3aを介して複数(図示例では2個)のカシメリング6で夫々に外嵌圧着している。
【0018】
カシメリング6は、鉛、錫、アルミニウム、銅などの金属にて円環状に形成され、圧着工具等を用いて縮径変形できる様に成している。
【0019】
内装バッグ2は、気密性及び柔軟性を有するゴム製からなり、所定長さの長軸及び短軸を有する長球状に形成され、内装バッグ2内において通気口2aの基端開口部端面を環状段部2bと成している。
【0020】
外装バッグ3は、引張強さ及び摩擦係数が大きく、透水率が小さくて柔軟性を有するガラス繊維入り不織布などの布製から成り、内装バッグ2を被包する際に収容し、外装バッグ3の口元3aにおいて、口金4を挿着した内装バッグ2の通気口2aの対応部位と、口金4に連結したホース5の対応部位の夫々に外嵌したカシメリング6の圧着による縮径で口金4に通気口2aとホース5を介して口元3aを括り付けている。
【0021】
これにより、外装バッグ3は、内装バッグ2の過度の膨張を規制し、その膨張時形状を維持すると共に、内装バッグ2の損傷、破裂などを誘引する突起物などから保護している。
【0022】
口金4は、内装バッグ2の通気口2aに挿嵌される筒状の胴部4aを設けると共に、該胴部4aの内装バッグ2内部に臨む内向き口4bは、その周囲に環状段部2bに当接係合されるフランジ4cを設け、胴部4aの内装バッグ2外部に臨む外向き口4dを通気口2aより外方突出する様に狭窄ノズル状に設け、外向き口4dの外周には断面鋸歯状のホース食込み用の環状突起を多数設けている。
【0023】
ホース5は可撓性を有する所定長さのゴム管からなり、その外径を口金4の胴部4aの外径と同一と成し、ホース5の先端開口部5aに内装バッグ2の通気口2aより外方突出した口金4の外向き口4dを挿嵌すると共に、ホース5先端を別途カシメリング6aで外嵌圧着し、口金4とホース5を強固に一体結合し、ホース5を包囲した外装バッグ3の口元3aを外嵌圧着するカシメリング6と相俟って口金4からのホース5の抜けをより一層強固に防止している。
【0024】
また、ホース5の基端部は後述のスライド管S5下端に連結される管継手7を連結一体化して成り、該管継手7は、軸線上に貫通したホース5との連通路7aを有する金属製のホースニップルであって、ホース5端末においてこれに挿嵌した管継手7のねじ込み端部7bとの対応部位には、カシメスリーブ8が外嵌圧着され、ホース5と管継手7とを強固に一体結合している。
【0025】
そして、管継手7は、ねじ込み端部7bに連続してホース5の基端部として露出する六角鍔7cを設け、該六角鍔7cに続いてスライド管S5の下端開口部に螺挿される接続端部7dを設け、該接続端部7dにおいて連通路7aの末端開口部をホース5の基端開口部5bと成している。
【0026】
ホース5は、これの基端開口部5b端面に係止可能なストッパー9を基端に設けた外向き口4dより小径なロープ10を挿通し、該ロープ10の外向き口4dから胴部4aへ挿通した先端には、胴部4aの内径より若干小径の別途ストッパー11を設けている。
【0027】
ロープ10は鋼鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属製のワイヤロープから成り、ストッパー9、11は、短尺円筒形のカシメ金具から成り、その中心軸線上に形成した中空部にロープ10の各端部を挿通して圧着することによりロープ10に固定される。
【0028】
ストッパー11は略平坦に形成された先端面がロープ10の長さ調整により内装バッグ2の収縮状態(図1は内装バッグ2の収縮状態に相当する無負荷状態を示すが、説明の便宜上、内装バッグ2及び外装バッグ3を広げた状態で示す。)で胴部4aの内向き口4bの端面(本実施例ではフランジ4cに同じ)と略面一となる様に胴部4a内に配置し、該胴部4aの内向き口4bとストッパー11との間には通気可能な円環状の狭小な隙間を有し、該隙間は内装バッグ2の厚みより狭く設定している。なお、ストッパー11の先端面は、内向き口4bの端面より基端側に位置するように、換言すれば、ストッパー11の先端面が胴部4a内に位置しても構わない。このようにストッパー11の先端面を内向き口4bの端面より基端側にオフセットさせる場合には、そのオフセット量は、例えば内装バッグ2の厚みより狭く設定されるのが好ましい。これにより、内装バッグ2が胴部4a内に入り込んで傷つくことを防止できる。また、ストッパー11の先端面が略平坦に形成されていることにより、ストッパー11の先端面が内装バッグ2に接触した場合であっても、内装バッグ2が傷つくことを防止できる。
【0029】
なお、ストッパー11の先端面は、図示する様に、ゴム製キャップ状の緩衝材12を被覆して成るのが望ましく、この場合でも緩衝材12を被覆したストッパー11と胴部4aの内向き口4bとの間、より具体的には緩衝材12と内向き口4bとの間には、当然ながら空気が流通する内装バッグ2の厚みより狭い円環状の隙間Cを有している。
【0030】
そして、各ストッパー9、11が閉塞し得るホース5の基端開口部5b及び胴部4aに通ずる外向き口4dには、ホース5内とその外部とが常時連通可能な気道確保手段13、14を設けている。
【0031】
気道確保手段13は、接続端部7d(基端開口部5b端面)より小径で基端開口部5b端面に当接する円板状の蓋部13aと、該蓋部13a中心に突設して基端開口部5bへ装填される円柱状の凸部13bとから成る断面T字状の通気栓であり、該通気栓13は、その中心にロープ10を遊挿し、蓋部13aの背面にストッパー9を当接配置し、蓋部13aの基端開口部5b端面との当接面と凸部13bの母線状にL字状に連続する凹溝13cを刻設し、該凹溝13cを連通路7aを介してホース5内とその外部に連通する気道13cと成している。
【0032】
気道確保手段14は、胴部4aに通ずる外向き口端面4eにおいて、外向き口4dを通る一直径方向に凹溝14を刻設し、該凹溝14を外向き口4dを介してホース5内とその外部(胴部4a内部と隙間Cを経た内装バッグ2内部)に連通する気道14と成している。
【0033】
ホース5において、カシメスリープ8にはホース5先端へ向かって拡開したホース折曲防止管15を取付けている。
【0034】
このホース折曲防止管15は、被着筒部15aとこれより肉厚のラッパ管状部15bとを一体形成したものであり、被着筒部15aがカシメスリープ8に外嵌固定され、ラッパ管状部15bの内周面を外側に向かう緩やかな湾曲に形成している。
【0035】
これにより遮断バッグ1の使用時に、水道管P内の下流側に引っ張られるホース5が急激に折れ曲がることを阻止して、ラッパ管状部15bの湾曲面に沿って緩やかに曲がる様に成している。
【0036】
次に、遮断バッグ1を使用する遮断装置Sについて主に図4~8に基づき説明する。
この遮断装置Sは、掘削によって露出した工事対象の水道管Pに取付けられるサドル付きボールバルブS1と、このボールバルブS1に連結される遮断バッグ1の挿入機S2とから主に構成される。
【0037】
なお、水道管PのボールバルブS1に対応する側面箇所には、ボールバルブS1に一旦取付けられた図示しない穿孔機にて遮断バッグ1の収縮時に挿通孔Hが開設されている。
【0038】
挿入機S2は、ボールバルブS1に連結した直立管S3と、該直立管S3の上端開口部に水密状に螺着されたユニオンナットS4に上下動自在に水密挿通されるスライド管S5とから成る。
【0039】
スライド管S5は、その下端開口部にホース5基端の接続端部7dを螺挿することにより、ホース5を介して収縮状態の遮断バッグ1を連結し、上端には直立管S3への挿入完了状態でユニオンナットS4上に配置される圧力計付き連結口S6を設け、該圧力計付き連結口S6はエアーポンプS7に連結されている。
【0040】
そして、直立管S3内にスライド管S5を降下させ、挿入機S2とボールバルブS1を経て水道管P内に収縮状態の遮断バッグ1を挿入する。
【0041】
遮断バッグ1の収縮状態では、遮断装置Sと水道管Pは連通しており、スライド管S5、エアーポンプS7を介して大気開放されている内装バッグ2が外装バッグ3を介して水圧を受け、内装バッグ2内は真空状態となるため、その口金4の内向き口4bには内装バッグ2を吸引する力が働き、内装バッグ2を吸い込もうとする。
【0042】
しかしながら、内装バッグ2を吸引する力が働く内向き口4bは、先端面(緩衝材12)が略平坦で内向き口4bの端面(フランジ)4cと略面一なストッパー11でこれの周囲が内装バッグ2の厚みより狭い隙間Cを残して狭められることにより、内装バッグ2はその隙間Cに入り込めず、ストッパー11先端で止められ、その先端が緩衝材12であることにより、内装バッグ2のストッパー11との接触もやわらげられ、内装バッグ2は全く損傷しない。
【0043】
しかも、スライド管S5の上記降下により、収縮状態の遮断バッグ1が上記挿入孔Hを通して挿入されて水道管P内に導入された時に、水道管P内の壁面(管底)P1に内装バッグ2及び外装バッグ3を介して口金4のフランジ4cが衝突しても、ストッパー11は口金4の胴部4a内に内向き口4bより突出することなく収容配置されているため、内装バッグ2を損傷させることはない。
【0044】
そして、スライド管S5の水道管P内へ挿入完了状態では、水流によってホース5がホース折曲防止管15によって緩やかに曲がり、下流側に収縮状態の遮断バッグ1を配置させられる(図4参照)。
【0045】
次いで、エアーポンプS7によりスライド管S5、ホース5を通して遮断バッグ1(内装バッグ2)内に空気が送入され遮断バッグ1を膨張させる。
【0046】
なお、エアーポンプS7からの空気は、スライド管S5からその下端開口部、気道13c、基端開口部5b及び連通路7aを順次通過し、更にホース5とロープ10間の隙間を経て、先端開口部5a側でも外向き口4d、胴部4aの気道14、胴部4a、胴部4aとストッパー11との隙間Cを順次通過して内装バッグ2内に送入される。
【0047】
遮断バッグ1の膨張後も、送気圧を保持してその膨張状態が維持され、この膨張によって遮断バッグ1は水道管P内壁に密着して圧接し、これにより下流側への通水を遮断して止水する。
【0048】
又、水道管Pにおいてサドル付きボールバルブS1の下流側にはホルダS8が外嵌され、該ホルダS8より左右へ突出したフックS9を水道管Pの左右に打設した杭S10の突端に掛止し、これにより水道管Pの止水箇所(膨張状態の遮断バッグ1)より上流側で、管離脱方向である下流へ向かって働く不平均力(水道管Pの止水箇所より上流で管内水圧により水道管Pを動かそうとする力)に対抗させ、連結されている水道管Pの離脱を阻止している。
【0049】
そして、上記止水状態において、遮断バッグ1は止水で増大する水圧により、水道管Pの下流側に強く引張される。
この時ホース5は、その材質特性により伸長することになり、これによりホース5両端のストッパー9、11が、蓋部13aを介した基端開口部5b端面と、胴部4a内の外向き口端面4eの夫々に係止され、ロープ10に引張力がかかるため、ホース5には過大な引張力がかからない(図6、7参照)。
【0050】
なお、本実施例では、遮断バッグ1を含む遮断装置Sは、上記の様に水道管Pの遮断に使用したものを示したが、当然ながら、ガス管にも適用可能である。
【0051】
また、本実施例では、短尺円筒形のストッパー11を例に説明しているが、例えば、ストッパー11が球状に形成される等、ストッパー11の先端面が規定できない場合には、ストッパー11の先端が、向き口4bの端面と略面一又は内向き口4bの端面より基端側に位置すればよい。
【符号の説明】
【0052】
2 内装バッグ
2a 通気口
3 外装バッグ
3a 口元
4 口金
4a 胴部
4b 内向き口
4c 端面
4d 外向き口
5 ホース
5a 先端開口部
5b 基端開口部
6 カシメリング
6a カシメリング
9 ストッパー
10 ロープ
11 ストッパー
12 緩衝材
13 気道確保手段
14 気道確保手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8