(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】商品受渡システム
(51)【国際特許分類】
B65G 43/08 20060101AFI20241129BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20241129BHJP
D06F 95/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B65G43/08 D
B65G1/137 A
D06F95/00
(21)【出願番号】P 2023062229
(22)【出願日】2023-04-06
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519043132
【氏名又は名称】株式会社リプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】山田 聡一
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-062052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/08
B65G 1/137
D06F 95/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの仕切り板の間に商品を吊り下げて保管し、前記商品を移動させるハンガーコンベアと、
前記ハンガーコンベアに隣接して設置され、前記商品を受け渡す受渡口を備える受渡装置と、
前記ハンガーコンベアおよび前記受渡装置を制御する制御装置と、を含み、
前記受渡装置は、さらに、前記2つの仕切り板の間の距離を測定し、距離データを生成するセンサを備え、
前記受渡口には第1の扉が設けられ、
前記制御装置は、前記受渡口が前記距離データに対応した開口幅を有するように前記第1の扉を制御する、商品受渡システム。
【請求項2】
前記ハンガーコンベアは、前記商品に付された商品識別子から商品識別情報を取得する第1のリーダを備え、
前記制御装置は、前記商品識別情報を含む商品保管識別子を生成し、顧客の情報端末に商品保管識別子を送信する、請求項1に記載の商品受渡システム。
【請求項3】
前記受渡装置は、前記商品保管識別子から前記商品が吊り下げられた位置の識別情報を取得する第2のリーダを備え、
前記制御装置は、前記識別情報に基づき、前記商品を前記第1の扉の位置に移動させるように前記ハンガーコンベアを制御する、請求項
2に記載の商品受渡システム。
【請求項4】
さらに、前記商品の業者によるサービスが提供される前の顧客の物品を引き取る引取装置を含み、
前記引取装置は、
前記物品を投入する投入口を備える本体と、
前記投入口に設けられる第2の扉と、
前記本体の内部に設置され、前記顧客が前記投入口から前記物品を載置する平板部と、
前記平板部の対向する二辺に沿って前記平板部の下方に設置される側壁部と、
前記物品が回収される回収箱と、を含み、
前記平板部に前記物品が載置された状態で前記第2の扉が閉じられると、前記回収箱に前記物品を落下させるように前記平板部が傾斜する、請求項1に記載の商品受渡システム。
【請求項5】
さらに、前記商品の業者によるサービスが提供される前の顧客の物品を引き取る引取装置を含み、
前記引取装置は、
前記物品を投入する投入口を備える本体と、
前記投入口に設けられる第2の扉と、
前記本体の内部に設置され、前記顧客が前記投入口から前記物品を載置する平板部と、
前記平板部の下方に設置され、前記物品を搬送する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアと接続され、前記業者によって回収される回収箱と、を含み、
前記平板部に前記物品が載置された状態で前記第2の扉が閉じられると、前記物品が前記搬送コンベアに落下し、前記搬送コンベアによって前記回収箱に前記物品が搬送される、請求項1に記載の商品受渡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、業者が保管した商品を顧客に受け渡す商品受渡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インフルエンザまたはコロナウイルスなどの感染所の拡大を防止するため、接客サービスにおいても非対面化が進んでいる。例えば、クリーニングサービスにおいては、顧客の洗濯物の引き取りおよび受け渡しを、ロッカーを介して行う提供方法(例えば、特許文献1参照)、または店舗内に設置された無人受渡システムを利用して行う提供方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。このようなクリーニングサービスの提供方法によれば、業者は、洗濯物の引き取りおよびクリーニング後の商品の受け渡しにおいて直接顧客と応対する必要はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-150000号公報
【文献】特開2004-178282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のロッカーによるクリーニングサービスの提供方法では、ロッカーの数が限られ、多くの商品を提供できない。また、特許文献2の無人受渡システムによるクリーニングサービスの提供方法では、ピッキングマシーンが商品を落とすおそれがあり、顧客に確実に商品を受け渡す点において問題があった。また、複数の商品をまとめて受け渡すことはできなかった。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、顧客が利用しやすい非対面型の商品受渡システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る商品受渡システムは、2つの仕切り板の間に商品を吊り下げて保管し、商品を移動させるハンガーコンベアと、ハンガーコンベアに隣接して設置され、商品を受け渡す受渡口を備える受渡装置と、ハンガーコンベアおよび受渡装置を制御する制御装置と、を含み、受渡装置は、さらに、2つの仕切り板の間の距離を測定し、距離データを生成するセンサを備え、受渡口には第1の扉が設けられ、制御装置は、受渡口が距離データに対応した開口幅を有するように第1の扉を制御する。
【0007】
開口幅は、段階的に変化してもよい。
【0008】
ハンガーコンベアは、商品に付された商品識別子から商品識別情報を取得する第1のリーダを備え、制御装置は、商品識別情報を含む商品保管識別子を生成し、顧客の情報端末に商品保管識別子を送信してもよい。
【0009】
受渡装置は、商品保管識別子から商品が吊り下げられた位置の識別情報を取得する第2のリーダを備え、制御装置は、識別情報に基づき、商品を第1の扉の位置に移動させるようにハンガーコンベアを制御してもよい。
【0010】
商品受渡システムは、さらに、商品の業者によるサービスが提供される前の顧客の物品を引き取る引取装置を含み、引取装置は、物品を投入する投入口を備える箱体と、投入口に設けられる第2の扉と、箱体の内部に設置され、顧客が投入口から物品を載置する平板部と、平板部の対向する二辺に沿って平板部の下方に設置される側壁部と、物品が回収される回収箱と、を含み、平板部に物品が載置された状態で第2の扉が閉じられると、回収箱に物品を落下させるように平板部が傾斜してもよい。
【0011】
商品受渡システムは、さらに、商品の業者によるサービスが提供される前の顧客の物品を引き取る引取装置を含み、引取装置は、物品を投入する投入口を備える箱体と、投入口に設けられる第2の扉と、箱体の内部に設置され、顧客が投入口から物品を載置する平板部と、平板部の下方に設置され、物品を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアと接続され、業者によって回収される回収箱と、を含み、平板部に物品が載置された状態で第2の扉が閉じられると、物品が搬送コンベアに落下し、搬送コンベアによって回収箱に物品が搬送されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態に係る商品受渡システムは、顧客に、目的の商品のみを受け渡し、誤った商品を受け渡すことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの構成を説明する正面図および上面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの制御装置の構成を説明するブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの受渡装置において、センサによって生成された距離データと受渡口の開口幅との関係を説明する模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの受渡装置の構成を説明する模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの引取装置の構成を説明する模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの引取装置の構成を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0015】
本明細書において、「上」とは、ある物体又は領域の上に直に接するように配置される場合だけでなく、他の物体又は領域を間に挟んで配置される場合をも含む。「下」という用語についても同様である。また、「上」、「下」といった用語は、物体又は領域間の相対的な上下関係を示すものであり、絶対的な上下関係を意味するものではない。
【0016】
本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0017】
<第1実施形態>
図1~
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る商品受渡システム10について説明する。なお、以下では、便宜上、クリーニングサービスを例に挙げて説明する場合がある。すなわち、業者は、顧客の物品(例えば、衣類など)を引き取り、クリーニングした物品を商品として、商品受渡システム10を利用して顧客に受け渡すクリーニングサービスを例として説明する場合があるが、商品受渡システム10の用途はクリーニングサービスに限られない。商品受渡システム10は、クリーニングサービス以外にも、例えば、宅配ロッカー、ホテルのクローク、または衣類の倉庫などに利用することも可能である。
【0018】
[1.商品受渡システム10の構成の概要]
図1(A)および
図1(B)は、本発明の一実施形態に係る商品受渡システム10の構成を説明する正面図および上面図である。商品受渡システム10は、ハンガーコンベア100、受渡装置200、および制御装置300を含む。ハンガーコンベア100は、商品800を吊り下げ、吊り下げた商品800を移動させることができる。すなわち、ハンガーコンベア100は、商品800を吊り下げて保管し、必要に応じて商品800を所定の位置に移動させることができる。受渡装置200は、ハンガーコンベア100に隣接して設置される。図示しないが、受渡装置200の側面にはパーティションが設置され、ハンガーコンベア100によって商品800が保管される商品保管エリアと、受渡装置200によって顧客に商品800が受け渡される商品受渡エリアとに区画されている。顧客は、商品受渡エリアにおいて、受渡装置200を介して、ハンガーコンベア100に吊り下げられた商品800を取り出すことができる。
図1(A)および
図1(B)では、制御装置300は、ハンガーコンベア100の近傍に設置されているが、制御装置300の設置位置は、これに限られない。制御装置300は、商品保管エリアに設置されていてもよく、商品受渡エリアに設置されていてもよい。制御装置300は、ハンガーコンベア100および受渡装置200を制御することができるように、ハンガーコンベア100および受渡装置200と通信接続されている。制御装置300と、ハンガーコンベア100および受渡装置200とは、有線による接続であってもよく、無線による接続であってもよい。
【0019】
[2.ハンガーコンベア100の構成]
ハンガーコンベア100は、コンベアレール110、コンベアラック120、およびリーダ130を含む。コンベアレール110は、コンベアラック120を移動可能に支持している。そのため、コンベアラック120は、コンベアレール110に沿って移動することができる。商品800は、コンベアラック120に吊り下げられるため、コンベアレール110は、床面から一定の高さが保持されるようにコンベアレール支持部111によって支持されている。なお、コンベアレール支持部111は、床面に設置される構成だけでなく、天井面または壁面に固定される構成であってもよい。
【0020】
コンベアラック120は、複数のコンベア金具121を含み、隣接する2つのコンベア金具121が連結可動部122によって連結されている。連結可動部122は、駆動機構を備え、駆動機構によりコンベアレール110に沿って移動することができる。すなわち、コンベアラック120では、連結可動部122がコンベアレールに沿って移動することにより、コンベア金具121が移動することができる。商品800は鉤型の留め金を用いてコンベアラック120に吊り下げられる。例えば、商品800が衣類である場合、商品800はハンガーを用いてコンベアラック120に吊り下げられる。そのため、複数のコンベア金具121の各々は、商品800を吊り下げるための1つまたは複数の開口部123を含む。開口部123の形状は、多角形、円形、または楕円形などであるが、これらに限定されない。なお、複数の開口部123のそれぞれには、開口部識別情報が割り当てられており、開口部識別情報から開口部123を特定することができる。
【0021】
リーダ130は、コンベアレール支持部111の上部に設置され、商品800から商品識別情報を取得することができる。具体的には、リーダ130は、所定の位置を通過する開口部123に吊り下げられた商品800に付された商品識別子810から商品識別情報を取得することができる。商品識別情報には、商品800、顧客、または業者の情報が含まれている。取得された商品識別情報は、所定の位置を通過する開口部123の開口部識別情報とともに、制御装置300に送信される。商品識別子810として、例えば、バーコード、二次元コード、QRコード(登録商標)、またはRFIDなどを用いることができる。商品識別子810としてバーコード、二次元コード、またはQRコード(登録商標)を用いる場合、これらが印刷された印刷物が商品800に取り付けられていてもよい。商品識別子810がバーコード、二次元コード、またはQRコード(登録商標)である場合、リーダ130として、バーコードリーダ、二次元コードリーダ、またはQRコードリーダを用いることができる。また、商品識別子810がRFIDである場合、リーダ130としてRFIDリーダを用いることができる。また、リーダ130は、カメラを含み、カメラで撮影した画像の中の商品識別子810を判定し、判定された商品識別子810から商品識別情報を取得してもよい。リーダ130は、1つだけでなく、複数であってもよい。複数の方向から所定の位置を通過する商品800の商品識別情報を取得することで、商品識別情報の精度を向上させることができる。また、リーダ130が複数である場合、複数の位置において商品800の商品識別情報を取得してもよい。なお、リーダ130を設置する位置は、コンベアレール支持部111の上部に限られない。リーダ130は、天井面、床面、または壁面に設置されていてもよい。
【0022】
[3.受渡装置200の構成]
受渡装置200は、箱体210、受渡口220、表示部230、リーダ240、およびセンサ250を含む。受渡口220、表示部230、およびリーダ240は、箱体210の正面に配置され、受渡口220には、開閉自在な扉221が設けられている。扉221が開くと、受渡口220からハンガーコンベア100および商品800を視認することができる。すなわち、顧客は、ハンガーコンベア100に保管されている商品800を、受渡口220から取り出すことができる。
【0023】
表示部230は、受渡装置200の操作方法を表示することができる。例えば、表示部230として、液晶ディスプレイまたはOLEDディスプレイなどを用いることができる。また、表示部230は、タッチパネルなどの入力インターフェースを備えていてもよい。顧客は、表示部230のタッチパネルを操作し、受渡口220の扉221の開閉操作を行うことができる。
【0024】
リーダ240は、顧客の情報端末に表示された商品保管識別子から商品保管情報を取得することができる。商品保管情報の詳細は後述する。リーダ240は、識別子に対応したものであればよい。例えば、リーダ240として、バーコードリーダ、二次元コードリーダ、またはQRコードリーダなどを用いることができる。リーダ240によって取得された商品保管情報は、制御装置300に送信される。
【0025】
なお、物品を引き取るときに識別子が印刷された印刷物(例えば、預り伝票など)が発行されている場合、リーダ240は、印刷物の識別子から顧客情報または依頼情報などを取得することもできる。この場合、リーダ240によって取得された顧客情報または依頼情報などが、制御装置300に送信される。
【0026】
商品受渡システム10では、顧客に受渡される商品800は、第1の吊り下げ仕切り板500-1および第2の吊り下げ仕切り板500-2によって他の商品と分離されている。センサ250は、箱体210の背面に配置され、第1の吊り下げ仕切り板500-1と第2の吊り下げ仕切り板500-2との間の距離を測定し、距離データを生成することができる。例えば、センサ250は、センサ250から第1の吊り下げ仕切り板500-1までの第1の距離およびセンサ250から第2の吊り下げ仕切り板500-2までの第2の距離を測定し、第1の距離および第2の距離に基づき、第1の吊り下げ仕切り板500-1と第2の吊り下げ仕切り板500-2との間の距離データを生成する。第1の吊り下げ仕切り板500-1および第2の吊り下げ仕切り板500-2には、マーカーが設けられていてもよく、マーカーを基準に距離を測定してもよい。また、第1の吊り下げ仕切り板500-1および第2の吊り下げ仕切り板500-2の材質が、商品800を吊り下げる吊り留め金の材質と異なることを利用し、材質の反射率を基に距離を測定してもよい。センサ250として、例えば、レーザレンジファインダなどを用いることができるが、これに限られない。センサ250によって生成された距離データは、制御装置300に送信される。
【0027】
[4.制御装置300の構成]
制御装置300は、ハンガーコンベア100および受渡装置200を制御することができる。ここで、
図2を参照して、制御装置300の構成について説明する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る商品受渡システム10の制御装置300構成を説明するブロック図である。
図2に示すように、制御装置300は、情報処理部310、コンベア制御部320、扉制御部330、および記憶部340を含む。情報処理部310、コンベア制御部320、および扉制御部330の各々は、コンピュータ上でプログラムが実行されることにより機能することができる。コンピュータは、例えば、中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ(MPU)、画像処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、またはリードオンリーメモリ(ROM)などを含む。プログラムは、例えば、RAMまたはROMに格納されている。記憶部340は、データまたは情報を格納することができるストレージである。例えば、記憶部340として、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、またはフラッシュメモリなどを用いることができる。記憶部340には、商品保管データベース341、顧客データベース342、および業者データベース343が格納されている。
【0029】
また、商品受渡システム10は、ネットワークNWを介して、顧客の情報端末(顧客情報端末910)および業者の情報端末(業者情報端末920)と通信接続することができる。ネットワークNWは、例えば、インターネットまたはWi-Fi(登録商標)などであるが、これらに限られない。顧客情報端末910および業者情報端末920の各々は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、またはパーソナルコンピュータであるが、これらに限られない。
【0030】
情報処理部310は、商品識別情報および開口部識別情報を受信し、商品識別情報と開口部識別情報とを紐付けた商品保管情報を生成することができる。また、情報処理部310は、商品保管情報を表す識別子を生成することができる。なお、商品保管情報はデータベース化され、商品保管データベース341として記憶部340に格納される。
【0031】
業者が商品受渡システム10を利用する場合、業者は、商品識別子810を付した商品800をコンベアラック120の開口部123に吊り下げる。この時点において、商品800と商品800が吊り下げられた開口部123の位置とは紐付けられていない。業者によるコンベアラック120への商品800の吊り下げ作業が完了すると、コンベアラック120が移動し、上述したように、リーダ130によって商品識別子810から商品識別情報が取得される。制御装置300は、商品識別情報とともに、商品識別情報が取得された所定の位置の開口部123の開口部識別情報を受信し、情報処理部310は、商品識別情報と開口部識別情報とを紐付けた商品保管情報を生成する。生成された商品保管情報には、業者の情報を含む商品識別情報が含まれている。そのため、情報処理部310は、業者データベース343を用いて商品保管情報の業者の情報を検索し、商品800を保管した業者を特定することができる。商品受渡システム10では、特定された業者の業者情報端末920に、商品保管情報を送信し、商品800が保管されていることを通知してもよい。
【0032】
また、情報処理部310は、商品保管情報を含む商品保管識別子を生成する。商品保管情報には、顧客の情報を含む商品識別情報が含まれている。そのため、情報処理部310は、顧客データベース342を用いて商品保管情報の顧客の情報を検索し、商品800を受け渡す顧客を特定することができる。商品保管識別子は、特定された顧客の顧客情報端末910に送信される。顧客は、顧客情報端末910に商品保管識別子を表示し、受渡装置200のリーダ240に商品保管識別子を読み取らせることにより、ハンガーコンベア100から商品800を取り出すことができる。
【0033】
なお、受渡装置200のリーダ240に印刷物の識別子を読み取らせる場合、顧客情報または依頼情報などを取得することができる。そのため、顧客データベース342を用いてこれらの情報を検索し、受け渡す顧客および商品800を特定することができる。
【0034】
コンベア制御部320は、ハンガーコンベア100のコンベアラック120の移動を制御することができる。換言すると、コンベア制御部320は、コンベアラック120の移動を制御するコンベア制御信号を生成し、ハンガーコンベア100にコンベア制御信号を送信することができる。
【0035】
上述したように、リーダ130が商品800の商品識別情報を取得するためには、コンベアラック120を移動させる必要がある。そのため、業者によるコンベアラック120への商品800の吊り下げ作業が完了したときに、コンベア制御部320は、コンベアラック120がコンベアレール110に沿って一周するようにコンベアラック120を移動させるコンベア制御信号を生成することができる。また、顧客に商品800を受け渡す場合、商品800を受渡装置200の受渡口220の位置(商品受渡位置)まで移動させる必要がある。そのため、制御装置300が、受渡装置200のリーダ240によって取得された商品保管情報を受信すると、コンベア制御部320は、商品保管データベースを用いて受信された商品保管情報を検索し、商品保管情報に紐付けられた開口部識別情報を特定する。また、コンベア制御部320は、特定された開口部識別情報に含まれる開口部123の位置を商品受渡位置まで移動させるコンベア制御信号を生成することができる。
【0036】
扉制御部330は、受渡装置200の受渡口220の扉221の開閉を制御することができる。換言すると、扉制御部330は、扉221の開閉を制御する扉制御信号を生成し、受渡装置200に扉制御信号を送信することができる。
【0037】
商品受渡システム10では、商品800の大きさまたは数に応じて受渡口220の開口幅を段階的または連続的に変化させることができる。受渡装置200における顧客の操作によって商品800が受渡位置まで移動すると、受渡装置200のセンサ250は、第1の吊り下げ仕切り板500-1と第2の吊り下げ仕切り板500-2との間の距離データを生成する。制御装置300が距離データを受信すると、扉制御部330は、距離データを判定し、受渡口220の開口幅を決定する。扉制御部330は、受渡口220が決定した開口幅を有するように扉221を開く扉制御信号を生成する。
【0038】
ここで、
図3(A)~
図3(F)を参照して、距離データと開口幅との関係について説明する。
図3(A)~
図3(F)は、本発明の一実施形態に係る商品受渡システム10の受渡装置200において、センサ250によって生成された距離データdと受渡口220の開口幅wとの関係を説明する模式図である。
【0039】
図3(A)~
図3(D)は、受渡装置200の受渡口220の開口幅wが段階的に変化する態様を示す。
図3(A)に示すように、距離データdが式d≦d
th(d
thは、予め設定されたしきい値を表す。)を満たす場合、扉221は、
図3(B)に示すように、受渡口220の開口幅wが第1の開口幅w
1を有するように制御される。また、
図3(C)に示すように、距離データdが式d>d
thを満たす場合、扉221は、
図3(D)に示すように、受渡口220の開口幅wが第2の開口幅w
2(w
2>w
1)を有するように制御される。受渡装置200では、商品800の大きさまたは数に合わせた開口幅wを有するように扉221が開かれることにより、顧客は、ハンガーコンベア100から目的の商品800のみを受渡口220から取り出すことができる。また、商品受渡システム10では、商品800が、第1の吊り下げ仕切り板500-1および第2の吊り下げ仕切り板500-2によって遮蔽され、他の商品から分離されている。そのため、他の商品が誤って取り出されること、または他の商品が盗難されることを防止することができる。
【0040】
なお、
図3(A)~
図3(D)では、受渡口220が2段階の開口幅(第1の開口幅w
1および第2の開口幅w
2)を有するが、受渡口220が3段階以上の開口幅を有するように扉221が制御されてもよい。
【0041】
図3(E)および
図3(F)は、受渡装置200の受渡口220の開口幅wが連続的に変化する態様を示す。
図3(E)および
図3(F)に示すように、受渡口220の開口幅wは、距離データdを変数とする開口幅w(d)であってもよい。すなわち、距離データdに対応した開口幅w(d)を有するように扉221が制御される。この場合においても、商品800の大きさまたは数に合わせた開口幅w(d)を有するように扉221が開かれることにより、顧客は、ハンガーコンベア100から目的の商品800のみを受渡口220から取り出すことができる。
【0042】
以上説明したように、商品受渡システム10は、顧客に受け渡す商品800の大きさまたは数に応じて、受渡装置200の受渡口220の開口幅を調節することができる。また、商品800は、第1の吊り下げ仕切り板500-1および第2の吊り下げ仕切り板500-2によって他の商品と分離されていることから、顧客は、目的の商品800のみを受渡口220から取り出すことができる。そのため、商品受渡システム10は、非対面型であっても、誤った商品を顧客に受け渡すことを防止することができる。また、商品受渡システム10は、第1の吊り下げ仕切り板500-1と第2の吊り下げ仕切り板500-2との距離を調整することにより、顧客に、複数の商品800をまとめて受渡すことができる。
【0043】
<第1実施形態の変形例>
図4(A1)~
図4(C2)を参照して、第1実施形態に係る商品受渡システム10の受渡装置200の変形例である受渡装置200A~受渡装置200Cについて説明する。なお、以下では、受渡装置200A~受渡装置200Cの構成が受渡装置200の構成と同様であるとき、受渡装置200A~受渡装置200Cの構成の説明を省略する場合がある。
【0044】
<変形例1>
図4(A1)および
図4(A2)は、本発明の一実施形態に係る商品受渡システム10の受渡装置200Aの構成を説明する模式図である。具体的には、
図4(A1)および
図4(A2)には、それぞれ、受渡装置200Aの扉221Aが閉じた状態および開いた状態が示されている。扉221Aは、4枚のスライド部221A_a~221A_dを含む。スライド部221A_a~221A_dは、それぞれが縦方向(地面に対して垂直な方向)に延在し、この順で接続されている(
図4(A1)参照)。また、スライド部221A_a~221A_dは、それぞれが下部を中心に回転可能に設けられ、互いに重なり合うことができる構成である。そのため、受渡装置200Aは、スライド部221A_a~221A_dが回転しながら互いに重なるようにスライドすることにより、扉221Aを開くことができる(
図4(A2)参照)。スライド部221A_a~221A_dの回転角は、それぞれ、異なっていてもよい。スライド部221A_a~221A_dの回転角は、顧客に受け渡す商品800の大きさまたは数に応じて調製することができる。なお、扉221Aのスライド部の枚数は、4枚に限られない。受渡装置200Aの受渡口220の大きさに合わせて、扉221Aのスライド部の枚数が決定されてもよい。
【0045】
受渡装置200Aでは、扉221Aが開いた状態であっても、受渡口220の下方部を遮蔽し、または受渡口220の下方部の幅を狭くすることができる。したがって、顧客が商品800を受渡口220から取り出す際に、顧客が受渡口220から内部に侵入することを防止することができる。
【0046】
<変形例2>
図4(B1)および
図4(B2)は、本発明の一実施形態に係る商品受渡システム10の受渡装置200Bの構成を説明する模式図である。具体的には、
図4(B1)および
図4(B2)には、それぞれ、受渡装置200Bの扉221Bが閉じた状態および開いた状態が示されている。扉221Bは、第1のスライド部221B_1a~221B_1c、第2のスライド部221B_2a~221B_2c、第3のスライド部221B_3a~221B_3c、および第4のスライド部221B_4a~221B_4cを含み、受渡口220を遮蔽することができる(すなわち、扉221Bが閉じた状態、
図4(B1)参照)。第1のスライド部221B-1a~221B_1cは、それぞれが縦方向に延在し、この順で接続されている。また、第1のスライド部221B_1a~221B_1cは、縦方向にスライド可能に設けられ、互いに重なり合うことができる構成である。第2のスライド部221B_2a~221B_2c、第3のスライド部221B_3a~221B_3c、および第4のスライド部221B_4a~221B_4cの構成も、第1のスライド部221B_1a~221B_1cと同様の構成である。但し、第1のスライド部221B_1a~221B_1c、第2のスライド部221B_2a~221B_2c、第3のスライド部221B_3a~221B_3c、および第4のスライド部221B_4a~221B_4cは、それぞれ、独立してスライドすることができる。なお、扉221Bのスライド部の枚数は、特に限定されない。受渡装置200Bの受渡口220の大きさに合わせて、扉221Bのスライド部の枚数が決定されてもよい。
【0047】
扉221Bは、第1のスライド部221B_1a~221B_1c、第2のスライド部221B_2a~221B_2c、第3のスライド部221B_3a~221B_3c、および第4のスライド部221B_4a~221B_4cが縦方向にスライドすることにより、扉221Bを開くことができる(
図4(B2)参照)。第1のスライド部221B_1a~221B_1c、第2のスライド部221B_2a~221B_2c、第3のスライド部221B_3a~221B_3c、および第4のスライド部221B_4a~221B_4cのいずれかがスライドかは、顧客に受け渡す商品800の大きさまたは数に応じて決定される。これにより、受渡口220の開口幅を調節することができる。また、スライドした第1のスライド部221B_1a~221B_1c、第2のスライド部221B_2a~221B_2c、第3のスライド部221B_3a~221B_3c、または第4のスライド部221B_4a~221B_4cによって、受渡口220の下方部を遮蔽することができる。受渡口220の下方部の遮蔽の高さは、例えば、カメラ(図示せず)によって検出された顧客の身長に合わせて決定されてもよい。
【0048】
受渡装置200Bでは、扉221Bが開いた状態であっても、受渡口220の下方部を遮蔽することができる。また、受渡口220の下方部の遮蔽の高さを調整することができる。したがって、顧客が商品800を受渡口220から取り出す際に、顧客が受渡口220から内部に侵入することを防止することができる。
【0049】
<変形例3>
図4(C1)および
図4(C2)は、本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの受渡装置200Cの構成を説明する模式図である。具体的には、
図4(C1)および
図4(C2)には、それぞれ、受渡装置200Cの扉221Cが閉じた状態および開いた状態が示されている。扉221Cは、第1のスライド部221C_1aおよび221C_1bならびに第2のスライド部221C_2を含み、受渡口220を遮蔽することができる(すなわち、扉221Cが閉じた状態、
図4(C1)参照)。第1のスライド部221C_1aおよび221C_1bは、それぞれが縦方向に延在し、横方向(地面に対して平行な方向)に接続されている。第2のスライド部221C_2は、受渡口220の下方部に、縦方向にスライド可能に設けられている。第1のスライド部221C_1aおよび221C_1bの少なくとも一方は、第2のスライド部221C_2と接続されている。なお、扉221Cの第1のスライド部の枚数は、特に限定されない。受渡装置200Cの受渡口220の大きさに合わせて、扉221Cの第1のスライド部の枚数が決定されてもよい。
【0050】
扉221Cは、第1のスライド部221C_1aおよび221C_1bが横方向にスライドしながら、第2のスライド部221C_2が縦方向にスライドすることにより、扉221Cを開くことができる(
図4(C2)参照)。第1のスライド部221C_1aおよび221C_1bは、横方向にスライドし、顧客に受け渡す商品800の大きさまたは数に応じて、受渡口220の開口幅を調節することができる。また、第2のスライド部221C_2は、縦方向にスライドし、受渡口220の下方部を遮蔽することができる。第2のスライド部221Cは、例えば、カメラ(図示せず)によって検出された顧客の身長に合わせて、受渡口220の下方部の遮蔽の高さを調節してもよい。
【0051】
受渡装置200Cでは、扉221Cが開いた状態であっても、受渡口220の下方部を遮蔽することができる。また、受渡口220の下方部の遮蔽の高さを調整することができる。したがって、顧客が商品800を受渡口220から取り出す際に、顧客が受渡口220から内部に侵入することを防止することができる。
【0052】
<第2実施形態>
図5(A)~
図5(C)を参照して、本発明の一実施形態に係る商品受渡システムについて説明する。本実施形態に係る商品受渡システムは、上述したハンガーコンベア100、受渡装置200、および制御装置300だけでなく、クリーニングサービスが行われる顧客の物品を引き取る引取装置400を含む。クリーニングサービスにおいては、商品の受け渡しだけでなく、物品の引き取りも非対面化することが好ましい。そのため、本実施形態に係る商品受渡システムは、非対面化された引取装置400を含む。引取装置400は、制御装置300と接続されており、制御装置300によって制御される。したがって、商品受渡システムが引取装置400を含むことにより、業者は、物品の回収から商品の提供までの一連の工程を、非対面型の商品受渡システムを用いて行うことができる。
【0053】
図5(A)~
図5(C)は、本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの引取装置400の構成を説明する模式図である。
図5(A)は、引取装置400の外観の構成を示す模式図である。
図5(A)に示すように、引取装置400は、箱体410、投入口420、および操作部430を含む。投入口420および操作部430は、箱体410の正面に配置され、投入口420には、操作部430の操作によって開閉自在な扉が設けられている。顧客は、操作部430の操作によって投入口420の扉を開き、投入口420から箱体410の内部に物品を入れた後で、操作部430の操作によって投入口420の扉を閉じることができる。これにより、引取装置400は、顧客の物品を引き取ることができる。なお、投入口420の扉が閉じられたとき、投入口420の扉をロックしてもよい。投入口420の扉がロックされることで、顧客の物品の盗難を防止することができる。
【0054】
操作部430では、投入口420の扉の開閉操作だけでなく、顧客情報もしくはサービス内容情報の入力などを行うことができる。そのため、操作部430は、ディスプレイなどの表示インターフェースまたはタッチパネルなどの入力インターフェースを備えていてもよい。例えば、顧客情報は、顧客の氏名または会員番号などであり、サービス内容情報は、物品の種類またはしみ抜きなどの物品の加工の種類などであるが、これに限られない。また、引取装置400には出力部が設けられ(図示せず)、入力された顧客情報またはサービス内容情報が表された印刷物が出力部から出力されてもよい。
【0055】
顧客情報またはサービス内容情報は、顧客の情報端末から取得してもよい。例えば、顧客は、顧客の情報端末にインストールされたアプリケーションを利用して顧客情報またはサービス内容情報を予め入力しておく。入力された顧客情報またはサービス内容情報は、これらの情報を含む識別子に変換され、顧客の情報端末の表示画面に表示することができる。図示しないが、引取装置400に設けられたリーダを用いて、顧客の情報端末に表示された識別子を読み取ることにより、顧客情報またはサービス内容情報を取得することができる。
【0056】
図5(B)および
図5(C)は、引取装置400の箱体410の内部の構成を示す模式図である。
図5(B)および
図5(C)では、説明の便宜上、一部の構成要素が透明となるように点線で示されているが、実際には透明でなくてもよい。
図5(B)に示すように、引取装置400は、さらに、平板部440、支持部441、シリンダ442、側壁部443、撮像部450、および回収箱460を含む。平板部440は、支持部441およびシリンダ442によって、床面から一定の高さで支持されている。平板部440は、投入口420の下方部と同じ、または投入口420の下方部よりも低い位置に設置されている。平板部440の一端は、蝶番またはヒンジなどにより回動可能に箱体410に取り付けられている。投入口420の内部は、空間が区画されるように、パーティションが設けられていてもよい。この場合、パーティションの1つは、平板部440である。顧客は、投入口420の扉を開き、平板部440上に物品を載置することができる。また、平板部440は、一定の面積の平面を有しているため、顧客は、単に物品を載置するだけでなく、平板部440上で物品に所定の作業を行うことができる。例えば、顧客は、平板部440上に物品を載置し、顧客情報またはサービス内容情報が表された印刷物を物品に付すことができる。
【0057】
投入口420の扉が閉じられると、撮像部450は、平板部440上に載置された物品を撮影し、物品画像データを生成する。制御装置300は、撮像部450からの物品画像データおよび操作部430からの顧客情報またはサービス内容情報を受信し、これらのデータおよび情報が紐付けられた顧客依頼情報を生成することができる。顧客依頼情報は、業者の情報端末に送信されてもよい。これにより、業者は、顧客からサービスが依頼されたことを知ることができる。また、制御装置300は、物品画像データの中の印刷物の有無を判定してもよい。物品に印刷物がない(すなわち、物品に印刷物が付されていない)と判定されたとき、操作部430からアラートを発してもよい。顧客は、アラートにより、物品に印刷物が付されていないことを知ることができる。
【0058】
また、投入口420の扉が閉じられると、
図5(C)に示すように、平板部440が傾斜するようにシリンダ442が縮小する。傾斜した平板部440の下端方向には回収箱460が設置されている。そのため、平板部440に載置された物品は、傾斜された平板部440を滑りながら、回収箱460に落下する。このとき、平板部440の対向する二辺に沿って設置された側壁部443は、滑り落ちる物品のガイドとして機能する。そのため、引取装置400では、物品を確実に回収箱460に落下させることができる。
【0059】
また、撮像部450は、傾斜した平板部440上の物品を撮影し、画像データを生成してもよい。この場合、制御装置300は、撮像部450からの画像データを受信し、画像の中の物品の有無を判定することができる。傾斜した平板部440上に物品が存在していないと判定されたとき、制御装置300は、シリンダ442を伸長するように制御してもよい。
【0060】
平板部440の傾斜する方向は、投入口420の左右方向であってもよく、投入口420の奥方向で合ってもよい。
【0061】
本実施形態に係る引取装置400を含む商品受渡システムでは、顧客が作業することができる平板部440が設けられている。そのため、クリーニング店舗に別途顧客が作業する作業台を設ける必要がなく、クリーニング店舗の省スペース化を図ることができる。また、収集された物品は、投入口420の扉が開いたときも投入口420から視認することができないように遮蔽されているため、物品の盗難を防止することができる。本実施形態に係る引取装置400を含む商品受渡システムでは、物品の引き取りから商品の提供までの一連の工程を、業者が顧客と対面することなく行うことができるため、クリーニング店舗における非対面化を実現することができる。
【0062】
<第2実施形態の変形例>
図6(A)および
図6(B)を参照して、第2実施形態に係る商品受渡システムの引取装置400の変形例である引取装置400Aについて説明する。なお、以下では、引取装置400Aの構成が引取装置400の構成と同様であるとき、引取装置400Aの構成の説明を省略する場合がある。
【0063】
図6(A)および
図6(B)は、本発明の一実施形態に係る商品受渡システムの引取装置400Aの構成を説明する模式図である。具体的には、
図6(A)および
図6(B)は、引取装置400Aの箱体410Aの内部の構成を示す模式図である。
図6(A)に示すように、引取装置400Aは、平板部440A、搬送部470A、撮像部450、および回収箱460を含む。平板部440Aは、箱体410Aに設けられた投入口420Aの下方部と同じ、または投入口420Aの下方部よりも低い位置に設置されている。平板部440Aは、2枚の平板部材を含む。2枚の平板部材は、長辺の一方が互いに向き合うように配置され、長辺の他方は、例えば、蝶番またはヒンジなどにより回動可能に箱体410Aに取り付けられている。投入口420Aの扉が開いているとき、
図6(A)に示すように、2枚の平板部材は、床面に対して略平行に固定されるように制御される。すなわち、平板部440Aは、一平面を形成する。そのため、顧客は、投入口420Aから平板部440Aの形成された平面上に物品を載置することができる。
【0064】
搬送部470Aは、平板部440Aの下方に設置されている。搬送部470Aは、例えば、ローラコンベアまたはベルトコンベアなどである。搬送部470Aの一端は、回収箱460と接続されている。投入口420Aの扉が閉じられると、
図6(B)に示すように、2枚の平板部材は、回動するように制御され、載置された物品が搬送部470A上に落下する。すなわち、平板部440Aは、両端部を軸として、2枚の平板部材が中央から左右に開かれる。搬送部470Aは、落下した物品を回収箱460まで搬送する。これにより、回収箱460に物品が集められる。
【0065】
撮像部450は、搬送部470A上の物品を撮影し、画像データを生成してもよい。この場合、制御装置300は、撮像部450からの画像データを受信し、画像データの中の物品の有無を判定することができる。搬送部470A上に物品が存在していないと判定されたとき、制御装置300は、平板部440Aの2枚の平板部材を閉じるように制御してもよい。
【0066】
本変形例に係る引取装置400Aを含む商品受渡システムでは、平板部440Aが、顧客が作業することができる作業面(平面)を形成することができる。そのため、クリーニング店舗に別途顧客が作業する作業台を設ける必要がなく、クリーニング店舗の省スペース化を図ることができる。また、引取装置400Aには搬送部470Aが設けられており、物品を回収箱460まで確実に搬送することができる。本変形例に係る引取装置400Aを含む商品受渡システムでは、物品の引き取りから商品の提供までの一連の工程を、業者が顧客と対面することなく行うことができるため、クリーニング店舗における非対面化を実現することができる。
【0067】
本発明に係る各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0068】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0069】
10:商品受渡システム、 100:ハンガーコンベア、 110:コンベアレール、 111:コンベアレール支持部、 120:コンベアラック、 121:コンベア金具、 122:連結可動部、 123:開口部、 130:リーダ、 200:受渡装置、 210:箱体、 220:受渡口、 221、221A、221B、221C:扉、 230:表示部、 240:リーダ、 250:センサ、 300:制御装置、 310:情報処理部、 320:コンベア制御部、 330:扉制御部、 340:記憶部、 341:商品保管データベース、 342:顧客データベース、 343:業者データベース、 400、400A:引取装置、 410、410A:箱体、 420、420A:投入口、 430:操作部、 440、440A:平板部、 441:支持部、 442:シリンダ、 443:側壁部、 450:撮像部、 460:回収箱、 470A:搬送部、 500:吊り下げ仕切り板、 800:商品、 810:商品識別子、 910:顧客情報端末、 920:業者情報端末