(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法、装置及び媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A61B5/055 376
A61B5/055 382
(21)【出願番号】P 2023566736
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2021140311
(87)【国際公開番号】W WO2022227639
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】202110475243.0
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】ジャン イー
(72)【発明者】
【氏名】雍 ▲興▼旺
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 丹
【審査官】井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】HEO, Hye-Young et al.,Improving the Detection Sensitivity of pH-Weighted Amide Proton Transfer MRI in Acute Stroke Patients Using Extrapolated Semisolid Magnetization Transfer Reference Signals,Magnetic Resonance in Medicine,2017年06月21日,Volume78, Issue3,pp. 871-880,URL: https://doi.org/10.1002/mrm.26799
【文献】HENKELMAN, Mark et al.,Quantitative Interpretation of Magnetization Transfer,Magnetic Resonance in Medicine,1993年06月,Volume29, Issue6,pp. 759-766,URL: https://doi.org/10.1002/mrm.1910290607
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法であって、
CEST画像における各ボクセルに対してステップS1~ステップS3を順次実行して、各ボクセルのバックグラウンド干渉信号を除去したCEST効果値を取得し、前記ステップS1~前記ステップS3は以下の通りであり、
前記ステップS1において、取得されたオリジナルZスペクトルに対して主磁場周波数B0オフセット補正を行って、補正後のZスペクトルを取得し、
前記ステップS2において、補正後のZスペクトルにおけるMT効果のみを含む一部のデータポイントをフィッティングサンプルデータとして取って、決定対象のパラメータの初期値及び上下限が予め設定された2プールモデルをフィッティングして、決定対象のパラメータのフィッティング値を取得し、
前記2プールモデルは以下の式8で示され、
【数8】
式中、expが自然定数eを底とする指数関数を示し、
が時刻tの増分を示し、
がそれぞれ
時刻、t時刻の磁化ベクトル
であり、ここで、
であり、行列
がそれぞれ水集団のx方向磁化強度成分、水集団のy方向磁化強度成分、水集団のz方向磁化強度成分、MT集団のz方向磁化強度成分であり、係数行列は
であり、行列が
であり、ベクトルが
であり、
が外部から印加した高周波パルスの周波数と水の周波数との差を示し、ω
1が印加した高周波パルスの強度を示し、k
abが水集団からMT集団に変換する速度を示し、k
baがMT集団から水集団に変換する速度を示し、R
rfbがMT集団による高周波パルスの吸収速度であり、
が外部から印加した高周波パルスの周波数とMTの周波数との差を示し、
と
がそれぞれ水集団の縦緩和速度と横緩和速度であり、
と
がそれぞれMT集団の縦緩和速度と横緩和速度であり、M
0aとM
0bがそれぞれ水集団とMT集団の定常状態磁化強度であり、
前記2プールモデルにおける決定対象のパラメータが
であり、
前記ステップS3において、前記フィッティング値を代入した2プールモデルによりMT効果を含むフィッティング曲線を取得し、前記フィッティング曲線及び前記補正後のZスペクトルにおける関心周波数での差分を、バックグラウンド干渉信号を除去したCEST効果値とする
ことを特徴とする外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項2】
前記ステップS2において、2プールモデルにおける決定対象のパラメータのフィッティングは2回行われ、1回目にフィッティングするとき、5つの決定対象のパラメータに対してその予め設定された上下限範囲内にいずれも前記フィッティングサンプルデータによりパラメータ最適化を行って、第1回のフィッティング値を取得し、2回目にフィッティングするとき、第1回のフィッティング値を中心として、第1回のフィッティング上下限範囲よりも狭い上下限を選択して、第1回のフィッティングと同じフィッティングサンプルデータを改めて用いて前記2プールモデルに対して2回目の精度のより高いフィッティングを行って、決定対象のパラメータの最終的なフィッティング値を取得
する
ことを特徴とする請求項1に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項3】
前記ステップS2において、2回目にフィッティングするとき、前記2プールモデルの5つの決定対象のパラメータから一部のパラメータのみを選択してその上下限を調整し、残りのパラメータの上下限が第1回のフィッティングと一致するように維持する
ことを特徴とする請求項2に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項4】
前記ステップS2において、2回目にフィッティングするとき、上下限のパラメータ組合せを
又は
又は
に変更する必要がある
ことを特徴とする請求項3に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項5】
前記ステップS2において、MT効果のみを含むデータポイントは周波数が80~6ppm範囲内にあるデータポイント
である
ことを特徴とする請求項1に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項6】
前記ステップS2において、MT効果のみを含むデータポイントは周波数が80~20ppm範囲内にあるデータポイントである
ことを特徴とする請求項5に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項7】
前記ステップS2において、1回目にフィッティングするとき、決定対象のパラメータ
は予め設定された上限が[1.5,0.25,12e
-6,0.16,40]であり、予め設定された下限が[0.6,0.065,8e
-6,0.001,20]である
ことを特徴とする請求項2に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項8】
前記ステップS2において、2回目にフィッティングするとき、上下限を変更すべきパラメータに対して、その上限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の120%~150%に変更し、下限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の80%~50%に変更する
ことを特徴とする請求項
4に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項9】
前記ステップS2において、MT集団による高周波パルスの吸収速度は
であり、
が線形関数であり、ローレンツ型、ガウス型又は超ローレンツ型を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項10】
前記ステップS3において、前記関心周波数が3.5ppm又は-3.5ppmであり、3.5ppmの関心周波数に対応するCEST効果値がAPT
#値であり、-3.5ppmの関心周波数に対応するCEST効果値がNOE
#である
ことを特徴とする請求項
9に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法。
【請求項11】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、請求項
1~10のいずれか1項に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法は、実行される
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
外挿磁化移動信号の数値に基づいてフィッティングするCESTデータフィッティング装置であって、
プロセッサ及び記憶媒体を備え、前記記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、請求項
1~10のいずれか1項に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法は、実行される
ことを特徴とする外挿磁化移動信号の数値に基づいてフィッティングするCESTデータフィッティング装置。
【請求項13】
CESTイメージング干渉効果を除去する磁気共鳴イメージング装置であって、
磁気共鳴スキャナ及び制御ユニットを備え、前記磁気共鳴スキャナは、磁気共鳴CESTイメージングによりCEST画像を取得するためのものであり、前記制御ユニットは、前記CEST画像を取得できて制御ユニットにコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが実行されるとき、請求項
1~10のいずれか1項に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法が実行されて、各ボクセルのバックグラウンド干渉信号を除去したCEST効果値が出力される
ことを特徴とするCESTイメージング干渉効果を除去する磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気共鳴イメージングの技術分野に属し、具体的には外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法、装置及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
化学交換飽和移動(CEST、Chemical Exchange Saturation Transfer)イメージングは磁気共鳴分子イメージング技術であり、生体で遊離されるタンパク質及びポリペプチドを検出することができる。CESTイメージングは既に複数の臨床分野、例えば脳腫瘍の等級付け、放射線化学療法による早期治療反応の監視、腫瘍マーカーの予測、虚血性脳卒中の検出などに応用されている。しかしながら、CEST信号は多くの効果から影響を受けやすく、中国国内外の研究者はこれらの干渉効果を除去するように多くのCEST信号の計算方法を提案しており、これらの方法は基本的に、基準信号とマーカー信号との差を求めて最終的な信号を取得することと、モデルフィッティングにより最終的な信号を取得することとの2種類に分けられる。非対称磁化移動(MTRasym、Magnetization transfer ration asymmetry)は、(1)基準信号にCEST効果が含まれないこと、(2)マーカー信号にCEST効果が含まれること、及び、(3)他の効果が基準信号及びマーカー信号において等しいこと、を仮定する。次に、基準信号から実験信号を引くと、他の効果を除去してCEST効果のみを保持する。しかしながら、他の干渉効果例えば高分子磁化移動(MT、Magnetization transfer)効果は基準信号及びマーカー信号において全て等しくないため、MTRaysm方法により取得された信号は他の効果を含む。マルチプールローレンツフィッティングは各効果の曲線が1本のローレンツ曲線であると仮定し、これらのローレンツ曲線を重ね合わせて実験から収集した曲線が形成され、フィッティング実験から収集した曲線により各効果の値を取得することができるが、他の効果の曲線が全てローレンツ曲線ではなく、例えばMTが挙げられ、その曲線が超ローレンツである。外挿磁化移動信号(EMR、Extrapolated Semisolid Magnetization Transfer Reference)からフィッティングした曲線はCEST効果以外の他の効果を代表し、EMRからフィッティングした曲線と実験から取得した曲線との差を求めると、CEST効果を取得することができる。EMRは実験に使用される飽和パルスが方形波であってシステムが定常状態に達すると仮定するが、この2つの条件が常に満足されるのではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術におけるモデルフィッティング方法は実験条件を近似するが、このような近似は多くの実験条件下で成り立たない。従って、本発明の目的は従来技術の問題を解決し、且つCESTイメージングの干渉効果を除去する面で、ロバストで複数の実験条件に適する外挿磁化移動信号に基づくCEST数値フィッティング(NEMR、Numerical Fit of Extrapolated Semisolid Magnetization Transfer Reference Signal)方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が用いる具体的な技術案は以下のとおりである。
【0005】
第1態様では、本発明は外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法を提供し、該方法はCEST画像における各ボクセルに対してS1~S3を順次実行して、各ボクセルのバックグラウンド干渉信号を除去したCEST効果値を取得し、S1~S3については、
S1において、取得されたオリジナルZスペクトルに対して主磁場周波数B0オフセット補正を行って、補正後のZスペクトルを取得し、
S2において、補正後のZスペクトルにおけるMT効果のみを含む一部のデータポイントをフィッティングサンプルデータとして取って、決定対象のパラメータの初期値及び上下限が予め設定された2プールモデルをフィッティングして、決定対象のパラメータのフィッティング値を取得し、
前記2プールモデルは以下の式8で示され、
【数8】
式中、expが自然定数eを底とする指数関数を示し、
が時刻tの増分を示し、
がそれぞれ
時刻、t時刻の磁化ベクトル
であり、ここで、
であり、行列
がそれぞれ水集団のx方向磁化強度成分、水集団のy方向磁化強度成分、水集団のz方向磁化強度成分、MT集団のz方向磁化強度成分であり、係数行列は
であり、行列が
であり、ベクトルが
であり、
が外部から印加した高周波パルスの周波数と水の周波数との差を示し、ω
1が印加した高周波パルスの強度を示し、k
abが水集団からMT集団に変換する速度を示し、k
baがMT集団から水集団に変換する速度を示し、R
rfbがMT集団による高周波パルスの吸収速度であり、
が外部から印加した高周波パルスの周波数とMTの周波数との差を示し、
と
がそれぞれ水集団の縦緩和速度と横緩和速度であり、
と
がそれぞれMT集団の縦緩和速度と横緩和速度であり、M
0aとM
0bがそれぞれ水集団とMT集団の定常状態磁化強度であり、
前記2プールモデルにおける決定対象のパラメータが
であり、
S3において、前記フィッティング値を代入した2プールモデルによりMT効果を含むフィッティング曲線を取得し、前記フィッティング曲線及び前記補正後のZスペクトルにおける関心周波数での差分を、バックグラウンド干渉信号を除去したCEST効果値とする。
【0006】
第1態様の好適例として、前記S2において、2プールモデルにおける決定対象のパラメータのフィッティングは2回行われ、1回目にフィッティングするとき、5つの決定対象のパラメータに対してその予め設定された上下限範囲内にいずれも前記フィッティングサンプルデータによりパラメータ最適化を行って、第1回のフィッティング値を取得し、2回目にフィッティングするとき、第1回のフィッティング値を中心として、第1回のフィッティング上下限範囲よりも狭い上下限を選択して、第1回のフィッティングと同じフィッティングサンプルデータを改めて用いて前記2プールモデルに対して2回目の精度のより高いフィッティングを行って、決定対象のパラメータの最終的なフィッティング値を取得する。
【0007】
より好ましくは、2回目にフィッティングするとき、前記2プールモデルの5つの決定対象のパラメータから一部のパラメータのみを選択してその上下限を調整し、残りのパラメータの上下限が第1回のフィッティングと一致するように維持し、
更に好ましくは、2回目にフィッティングするとき、上下限のパラメータ組合せを
又は
又は
に変更する必要がある。
【0008】
第1態様における2回のフィッティングスキームの好適例として、前記S2において、MT効果のみを含むデータポイントは周波数が80~6ppm範囲内にあるデータポイントであり、好ましくは周波数が80~20ppm範囲内にあるデータポイントである。
【0009】
第1態様における2回のフィッティングスキームの好適例として、前記S2において、1回目にフィッティングするとき、決定対象のパラメータ
は予め設定された上限が[1.5,0.25,12e
-6,0.16,40]であり、予め設定された下限が[0.6,0.065,8e
-6,0.001,20]である。
【0010】
第1態様における2回のフィッティングスキームの好適例として、前記S2において、2回目にフィッティングするとき、上下限を変更すべきパラメータに対して、その上限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の120%~150%に変更し、下限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の80%~50%に変更し、更に、上限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の120%に変更することが好ましく、下限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の80%に変更する。
【0011】
第1態様における2回のフィッティングスキームの好適例として、前記S2において、MT集団による高周波パルスの吸収速度は
であり、
が線形関数であり、ローレンツ型、ガウス型又は超ローレンツ型を含む。
【0012】
更に好ましくは、前記S3において、前記関心周波数が3.5ppm又は-3.5ppmであり、3.5ppmの関心周波数に対応するCEST効果値がAPT#値であり、-3.5ppmの関心周波数に対応するCEST効果値がNOE#である。
【0013】
第2態様では、本発明はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、第1態様のいずれか1項に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法が実行される。
【0014】
第3態様では、本発明は外挿磁化移動信号の数値に基づいてフィッティングするCESTデータフィッティング装置を提供し、該装置はプロセッサ及び記憶媒体を備え、前記記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、第1態様のいずれか1項に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法が実行される。
【0015】
第4態様では、本発明はCESTイメージング干渉効果を除去する磁気共鳴イメージング装置を提供し、磁気共鳴スキャナ及び制御ユニットを備え、前記磁気共鳴スキャナは、磁気共鳴CESTイメージングによりCEST画像を取得するためのものであり、前記制御ユニットは、前記CEST画像を取得できて制御ユニットにコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが実行されるとき、第1態様のいずれか1項に記載の外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法が実行されて、各ボクセルのバックグラウンド干渉信号を除去したCEST効果値が出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0017】
本発明に係るフィッティング方法は本質的にBM方程式を段階的に解くものであり、該方法は下記2つの利点を有する。第1として、NEMRは時間次元に繰り返すため、波形が矩形波であると仮定するのではなく、実際に用いる高周波パルスの波形を解く過程に取り入れてもよい。第2として、NEMR方法は簡素化された解析表現式ではなくBM方程式のシミュレーションによりCEST効果を説明し、システムの非定常状態においても適用でき、BM方程式がCEST効果を説明する最も基本的な方程式であり、これに基づいてシミュレーション及び繰り返しを行えば生理学的パラメータ値を正確に復元することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明のフィッティング方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は実施例における実験から収集した1本の曲線及びそのフィッティング曲線の図である。
【
図3】
図3は実施例における一人の虚血性脳卒中患者のT2重み付けマップ、拡散重み付けマップ、APT
#マップ及びNOE
#マップである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら具体的な実施形態によって本発明を更に論述及び説明する。
【0020】
本発明に係るCESTイメージング干渉効果を除去する方法は外挿磁化移動信号の数値フィッティング(NEMR、Numerical Fit of Extrapolated Semisolid Magnetization Transfer Reference Signal)と称される。該外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法はMT効果の線形をBloch-McConnell(BM)方程式に取り込んで、該方程式が示すモデルのフィッティングによりMT効果を取得することができ、フィッティングした曲線と実験から収集した曲線との差を求めると、干渉効果を除去することができる。
【0021】
本発明の趣旨は、BM方程式を合理的に近似することによりMTの線形をBM方程式に取り込んで、後続のフィッティングを行うための2プールモデルを形成することである。以下にまず該2プールモデルの原理を詳しく説明する。
【0022】
磁気共鳴イメージング過程は、以下の式1のBloch方程式で説明されてもよく、
【数1】
ここで、M
x、M
y及びM
zがそれぞれx、y及びzの3つの方向の磁化強度成分であり、ω
wとωがそれぞれ水の磁気共鳴周波数と外部から印加した高周波パルスの周波数であり、ω
1が印加した高周波パルスの強度であり、R
1=1/T
1とR
2=1/T
2がそれぞれ縦緩和速度と横緩和速度であり、M
0が定常状態磁化強度を示す。該方程式は水の磁化強度が高周波パルスから影響を受けて時間につれて変化する状況のみを説明する。2つの変換集団(水集団a、MT集団b)を有するシステムの場合には、以下の式2の方程式で説明されてもよく(ただし、式中、下付き文字aが水集団の関連パラメータを示すが、下付き文字bがMT集団の関連パラメータを示す)、
【数2】
ここで、
が外部から印加した高周波パルスの周波数と水の周波数との差を示し、k
ij(i=a又はb、j=a又はb)がiとjの2つの集団間の変換速度を示す(例えば、k
abが水集団aからMT集団bに変換する速度を示す)。
【0023】
MT集団のT
2がマイクロ秒等級にあるため、M
xb、M
ybが迅速に定常状態に達することとなり、即ち、
【数3】
を求めることができ、
をMT集団による高周波パルスの吸収速度として定義すれば、M
ybが
として示されてもよく、そうすると、M
zbに関する微分方程式は、以下の式4として書かれてもよく、
【数4】
上記MT集団による高周波パルスの吸収速度R
rfbが更に1つの線形関数で示されてもよく、
、線形関数
がローレンツ型、ガウス型、超ローレンツ型などの複数の形式を用いてもよい。このうち、
ローレンツ型は
であり、
ガウス型は
であり、
超ローレンツ型は
であり、
上記簡素化を行った後、元の6つの方程式は、以下の4つの方程式になり、
【数5】
この4つの微分方程式は、以下の式6として示されてもよく、
【数6】
ここで、
、
であり、
更に下記同次形微分方程式に変換してもよく、
【数7】
ここで、
であり、
上記同次形微分方程式の解は、以下の式8として示されてもよく、
【数8】
ここで、
が
時刻の磁化ベクトルである。
【0024】
上記同次形微分方程式の解は本発明の2プールモデルであり、該モデルは5つの未知数があり、それぞれ
であり、残りのパラメータがいずれも既知量である。該モデルのフィッティングによってMT効果を含むフィッティング曲線を取得することができ、このフィッティング曲線と主磁場周波数B0オフセット補正後のZスペクトル曲線との差を求めると、よりきれいなCEST効果を取得することができる。
【0025】
なお、本発明は異なるCEST効果値を取得するためのものであってもよいが、異なるCEST効果値が曲線における異なる周波数に対応するため、示しやすくするために、本発明においてZスペクトルにおけるあるCEST効果を反映できる周波数が関心周波数と称される。例えば、仮に計算すべきCEST効果値がAPT#(Amide proton transfer signal from NEMR analysis、外挿磁化移動信号の分析により取得されたアミドプロトン移動信号)値である場合、その対応する関心周波数が3.5ppmであり、仮に計算すべきCEST効果値がNOE#(Numerical Fit of Extrapolated Semisolid Magnetization Transfer Reference Signal、外挿磁化移動信号の分析により取得された核オーバーハウザー効果信号)である場合、その対応する関心周波数が-3.5ppmである。当然ながら、仮にZスペクトルにはあるCEST効果も反映できる他の周波数がある場合、関心周波数としてもよく、フィッティング曲線及び補正後のZスペクトルにおける関心周波数での差分を計算すると、該関心周波数に対応するバックグラウンド干渉信号を除去したCEST効果値を取得することができる。本発明は実行過程において、1種類のCEST効果値を単回で計算してもよく、複数種類のCEST効果値を同時に計算してもよく、これを限定しない。
【0026】
上記原理に基づいて、本発明は外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法を2種類提供する。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、2種類のやり方の相違点は、2プールモデルのパラメータフィッティング方法が異なり、第1種類の方式が単回フィッティングであり、第2種類の方式が2回フィッティングであることにあり、残りのやり方がいずれも同様である。以下に2種類のやり方についてそれぞれ実施例により詳しく説明する。
【0027】
実施例1
本実施例において、
図1(a)に示すように、上記第1種類のフィッティング方式を用いるNEMRフィッティング方法によりプロセスを実行する。該方法は、まずCEST画像を取得し、次にCEST画像における各ボクセルに対してS1~S3を順次実行して、各ボクセルのAPT
#値及びNOE
#値を取得し、これによりAPT
#マップ及びNOE
#マップを構成する必要がある。以下にS1~S3の具体的な実行過程を詳しく説明する。
【0028】
S1において、取得されたオリジナルZスペクトルに対して主磁場周波数B0オフセット補正を行って、補正後のZスペクトルを取得する。主磁場周波数B0オフセット補正は従来技術に属し、これについて詳細な説明は省略する。
【0029】
S2において、補正後のZスペクトルにおけるMT効果のみを含む一部のデータポイントをフィッティングサンプルデータとして取って、決定対象のパラメータの初期値及び上下限が予め設定された2プールモデルをフィッティングして、決定対象のパラメータのフィッティング値を取得する。
【0030】
以上のように、本発明における2プールモデルは以下の式8で示され、
【数8】
式中、expが自然定数eを底とする指数関数を示し、
が時刻tの増分を示し、
がそれぞれ
時刻、t時刻の磁化ベクトル
であり、ここで、
であり、行列
がそれぞれ水集団のx方向磁化強度成分、水集団のy方向磁化強度成分、水集団のz方向磁化強度成分、MT集団のz方向磁化強度成分であり、係数行列は
であり、行列が
であり、ベクトルが
であり、
が外部から印加した高周波パルスの周波数と水の周波数との差を示し、ω
1が印加した高周波パルスの強度を示し、k
abが水集団からMT集団に変換する速度を示し、k
baがMT集団から水集団に変換する速度を示し、パラメータ
であり、ここで、
が超ローレンツ型であり、
が外部から印加した高周波パルスの周波数とMTの周波数との差を示し、
と
がそれぞれ水集団の縦緩和速度と横緩和速度であり、
と
がそれぞれMT集団の縦緩和速度と横緩和速度であり、M
0aとM
0bがそれぞれ水集団とMT集団の定常状態磁化強度である。
【0031】
上記2プールモデルにおいて、5つの決定対象のパラメータ
に対して後続のパラメータフィッティングを行うことができる。MT効果のみを含む一部のデータポイントは実際のオリジナルZスペクトルに基づいて分析決定されてもよく、本実施例において周波数が80~20ppm範囲内にあるデータポイントが好ましい。
【0032】
第1種類の方式の場合には、直接にフィッティングサンプルデータにより5つの決定対象のパラメータ
をフィッティングしてもよく、5つの決定対象のパラメータそれぞれの上下限範囲から2プールモデル方程式全体のフィッティング程度を最も高くする5つの決定対象のパラメータのフィッティング値を取得する。具体的なフィッティング方法はMATLAB、SPSSなどのソフトウェア又は他の従来技術により実行されてもよく、フィッティング程度が最小平均二乗誤差で示されてもよい。
【0033】
フィッティングするとき、決定対象のパラメータ
の予め設定された上下限及び初期値は実際の状況に応じて調整されてもよく、各パラメータの正常な値範囲に適合すればよい。本実施例において、数
の予め設定された上限が[1.5,0.25,12e
-6,0.16,40]として設定され、予め設定された下限が[0.6,0.065,8e
-6,0.001,20]として設定され、初期値がいずれもそれぞれの下限として設定される。
【0034】
S3において、5つのフィッティング値を代入した2プールモデルに基づいてMT効果を含むフィッティング曲線を取得することができ、2プールモデルにおける周波数ωが曲線の横座標であり、2プールモデルにおけるMzaが曲線の縦座標である。該フィッティング曲線から主磁場B0周波数補正後のZスペクトルを引くと、1本の差分曲線を取得することができ、この差分曲線において3.5ppm横座標及び-3.5ppmに対応する縦座標値を取って、それぞれAPT#値及びNOE#値として記す。当然ながら、簡素化の面から見れば、差分曲線は取得しなければならないものではなく、フィッティング曲線における3.5ppmに対応する縦座標値と主磁場B0周波数補正後のZスペクトルにおける3.5ppmに対応する縦座標値との差分を計算できれば、現在のボクセルのAPT#値とされ得るとともに、フィッティング曲線における-3.5ppmに対応する縦座標値と主磁場B0周波数補正後のZスペクトルにおける-3.5ppmに対応する縦座標値との差分を計算すれば、現在のボクセルのNOE#値とされ得る。
【0035】
CEST画像全体における各ボクセルがいずれもそれぞれに対応するAPT#値及びNOE#値を取得すれば、1枚のAPT#マップ及び1枚のNOE#マップを形成でき、APT#マップにおける各位置の値が該位置のボクセルに対応するAPT#値であり、NOE#マップにおける各位置の値が該位置のボクセルに対応するNOE#値である。
【0036】
上記方法の技術的効果を更に示すために、上記NEMRフィッティング方法を一例としての虚血性脳卒中患者の大脳CEST画像においてテストする。本実施例において、画像の収集に用いるCESTイメージングシーケンスは、10個のガウス波形飽和パルスを含み、各パルス持続時間が約100msであり、振幅が1µTであるCEST飽和モジュールと、スペクトル前飽和反転回復脂肪抑制モジュールと、高速スピンエコー収集モジュールとを含む。
【0037】
図1(a)に示すように、まず収集されたZスペクトルデータ(
図2における実験曲線に示すように、周波数範囲80~-6ppm)に対して主磁場周波数B0オフセット補正を行い、次に上記NEMRフィッティングを行う。第1回のフィッティングにおいて周波数80~20ppmのデータをフィッティングサンプルデータ(フィッティングに用いるポイントが
図2に示される)として用い、未知パラメータ
は上限が[1.5,0.25,12e
-6,0.16,40]であり、下限が[0.6,0.065,8e
-6,0.001,20]であり、初期値が下限に等しい。最終的なフィッティング曲線は
図2に示される。
【0038】
本実施例の実験結果は
図3に示され、一段階フィッティングのNEMR方法によりフィッティングしたAPT
#マップ及びNOE
#マップには他のモードにおいて見える病巣(T2強調画像における病巣、白色実線矢印)を明確に表示できる以外に、他のモードにおいて見えない病巣(NOE
#マップにおける病巣、白色点線矢印)も表示できることが分かる。
【0039】
実施例2
本実施例において、
図1(b)に示すように、上記第2種類のフィッティング方式を用いるNEMR方法によりプロセスを実行する。同様に、該方法は、まずCEST画像を取得し、次にCEST画像における各ボクセルに対してS1~S3を順次実行して、各ボクセルのAPT#値及びNOE#値を取得し、これによりAPT
#マップ及びNOE
#マップを構成する必要がある。
【0040】
本実施例のS1及びS3は実施例1のやり方と同様であり、相違点は、ステップS2において2プールモデルにおける決定対象のパラメータのフィッティングが2回行われることだけにある。
第1回のフィッティングは実施例1と同様であり、まず5つの決定対象のパラメータに対してその予め設定された上下限範囲内にいずれも上記フィッティングサンプルデータによりパラメータ最適化を行って、第1回のフィッティング値を取得する。5つの決定対象のパラメータの初期値もそれぞれの下限として設定される。
【0041】
しかしながら、マルチパラメータフィッティングは変数の上下限に大きく影響され、一部のパラメータが与えられた限界値に等しいこととなり、従って、本実施例は第2ステップのフィッティングを設定することによりこの問題を軽減する必要がある。2回目にフィッティングするとき、第1回のフィッティング値を中心として、第1回のフィッティング上下限範囲よりも狭い上下限を選択して、第1回のフィッティングと同じフィッティングサンプルデータを改めて用いて上記2プールモデルに対して2回目の精度のより高いフィッティングを行って、決定対象のパラメータの最終的なフィッティング値を取得してもよい。具体的な実行過程において、2プールモデルの5つの決定対象のパラメータは全て上下限を調整する必要がなく、2プールモデルの5つの決定対象のパラメータから一部のパラメータを選択してその上下限値を更に拡大してもよく、残りのパラメータの上下限が依然として第1回のフィッティングと一致するように維持する。本実施例は2回目にフィッティングするとき、上下限値のパラメータ組合せを
に変更する必要がある。
【0042】
本実施例において、一部のパラメータ(例えば、
)を第1回の結果の近傍に制限することにより、これらのパラメータをより狭い範囲内に変更させることができ、これにより上下限の不適切な設定が最終的な結果に与えた影響を軽減する。
【0043】
また、その上下限値を変更すべき第1回のフィッティング値は、その上下限値の変更度合いが大きすぎてはいけないし、小さすぎてはいけない。本実施例において、その上下限値を変更すべき3つのパラメータ
については、2回目にフィッティングするために用いるパラメータの上限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の120%に変更することが好ましく、2回目にフィッティングするために用いるパラメータの下限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の80%に変更することが好ましく、これにより第1回のフィッティング値の近傍にこれらのパラメータを更に最適化する。
【0044】
上記方法の技術的効果を更に示すために、上記NEMRフィッティング方法を一例としての虚血性脳卒中患者の大脳CEST画像においてテストする。本実施例において、画像の収集に用いるCESTイメージングシーケンスが実施例1と同様である。
【0045】
図1(b)に示すように、まず収集されたデータに対して主磁場周波数B0オフセット補正を行い、次にNEMRフィッティングを行う。第1回のフィッティングにおいて周波数80~20ppmのデータをフィッティングサンプルデータとして用い、未知のフィッティング対象のパラメータ
は上限が[1.5,0.25,12e-6,0.16,40]であり、下限が[0.6,0.065,8e-6,0.001,20]であり、初期値が下限に等しい。2回目にフィッティングするとき、第1回のフィッティングと同じフィッティングサンプルデータを用い、
の上限を1回目に取得された
の120%とし、下限を1回目に取得された
の80%とし、残りのパラメータの上下限が第1回のフィッティングと一致するように維持し、全てのパラメータの初期値を該パラメータ値の下限として設定する。
【0046】
本実施例の実験結果は
図3に示され、二段階フィッティングのNEMR方法によりフィッティングしたAPT
#マップ及びNOE
#マップには他のモードにおいて見える病巣(T2強調画像における病巣、白色実線矢印)を明確に表示できる以外に、他のモードにおいて見えない病巣(NOE
#マップにおける病巣、白色点線矢印)も表示でき、且つその表示効果が実施例1よりも優れることが分かる。
【0047】
注意すべきことは、上記2つの実施例は単に本発明の2つの実例であるが、これに限らない。例えば、本発明の上記S2におけるフィッティングサンプルデータの選択周波数範囲は他の範囲、例えば80~20ppm、80~6ppmなどを選択してもよい。同様に、パラメータフィッティングを行うとき、パラメータの上下限の制限は実際の状況に応じて調整されてもよく、上限値を該パラメータの1回目に取得された第1回のフィッティング値の120%~150%に変更してもよく、下限値を該パラメータの第1回のフィッティング値の80%~50%に変更してもよい。さらにまた、2回目にフィッティングするとき、上下限値を変更すべきパラメータ組合せは様々あってもよく、例えば、
以外に、
又は
などを選択してもよい。フィッティングするとき、パラメータの初期値を上下限範囲内の合理的な数値とし、上下限範囲内にいくつかの異なる候補値をランダム又は均一に設定してもよく、取得されたフィッティング誤差が最も小さい候補値を最終的な初期値として選定することができる。
【0048】
また、本発明の他の好適な実施例において、上記外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法はコンピュータプログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。コンピュータプログラムがプロセッサにより呼び出して実行されるとき、上記方法に応じて外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法を実行することができる。
【0049】
同様に、本発明の他の好適な実施例において、外挿磁化移動信号の数値に基づいてフィッティングするCESTデータフィッティング装置を更に提供し、該装置はプロセッサ及び記憶媒体を備え、記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるとき、上記外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法を実行する。
【0050】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は一般的にメモリハードウェア形式で提供され、メモリはランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)を含んでもよく、不揮発性メモリ(NVM、Non-Volatile Memory)、例えば少なくとも1つの磁気ディスクメモリを含んでもよい。
【0051】
上記したプログラムを処理するプロセッサは、中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)、ネットワークプロセッサ(NP、Network Processor)などを含む汎用プロセッサであってもよく、デジタルシグナルプロセッサ(DSP、Digital Signal Processing)、特定用途向け集積回路(ASIC、Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA、Field-Programmable Gate Array)又は他のプログラマブルロジックデバイス、個別ゲート又はトランジスタロジックデバイス、個別ハードウェアコンポーネントであってもよい。
【0052】
当然ながら、クラウドサーバが広く応用されるにつれて、上記ソフトウェアプログラムはクラウドプラットフォームに搭載されて対応するサービスを提供してもよく、従って、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体はローカルハードウェアの形式に限らない。
【0053】
他の好適な実施例において、上記外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法をプログラムの形式で磁気共鳴イメージング装置の制御ユニットに統合してもよい。磁気共鳴イメージング装置は通常の磁気共鳴スキャナ及び制御ユニットを備えるべきであり、磁気共鳴スキャナは従来技術により実行されてもよく、成熟した商用製品に属し、詳細な説明は省略する。制御ユニットには上記コンピュータプログラムが記憶される以外に、CESTイメージングを実行するために必要なイメージングシーケンス及び他のソフトウェアプログラムを有すべきである。磁気共鳴スキャナは磁気共鳴CESTイメージングによりCEST画像を取得するためのものであるが、制御ユニットは、磁気共鳴スキャナにより取得されたCEST画像を取得することができ、且つ制御ユニットに上記コンピュータプログラムが記憶され、コンピュータプログラムが実行されるとき、上記外挿磁化移動信号に基づくCESTデータフィッティング方法を実行して、各ボクセルのバックグラウンド干渉信号を除去したCEST効果値を出力するためのものである。
【0054】
当業者であれば理解すべきことは、本発明に関わる各モジュール、機能は回路、他のハードウェア又は実行可能なプログラムコードにより完了することができ、対応機能を実行できればよい。コードを用いる場合、コードが記憶装置に記憶されてもよく、且つ計算装置の対応素子により実行される。本発明の実行は任意の特定のハードウェア及びソフトウェアの組合せに制限されるものではない。本発明における各ハードウェアの型番はいずれも市販製品を用いてもよく、実際のユーザーニーズに応じて選択してもよい。当然ながら、磁気共鳴CESTイメージングシーケンス及び装置において、必要な他のハードウェア又はソフトウェアと組み合わせる必要もあり、ここで詳細な説明は省略する。
【0055】
以上に記載した実施例は単に本発明の好適な解決手段であり、本発明を制限するためのものではない。当業者であれば、本発明の主旨及び範囲を逸脱せずに、更に種々の変更及び変形を行うことができる。従って、等価置換又は等価変換により得られる技術案は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。