(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】車載表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241129BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20241129BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
B60R11/02 C
G02F1/1333
G09F9/00 362
(21)【出願番号】P 2021056579
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】関口 智大
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-172147(JP,A)
【文献】特開2020-052295(JP,A)
【文献】特表2019-516123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0014781(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0236388(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108600456(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
B60R 11/02
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側に膨らむ第1の円弧面が外周縁部の表面側に形成された前面板と、
前記前面板を裏面側から支持するとともに、外側に膨らむ第2の円弧面が側面側に形成され、前記側面側の一部が前記前面板の裏面よりも表面側に突出して前記前面板の外周縁部に対向する筐体と、を具備し、
前記筐体の側面側の一部の前記前面板の表面側には、外側に膨らむ第3の円弧面が形成される、
車載表示装置。
【請求項2】
前記前面板の外周縁部は、前記前面板における映像表示範囲より側面側に設けられる、請求項1に記載の車載表示装置。
【請求項3】
前記第1の円弧面及び前記第2の円弧面は、それぞれ共通の円弧面の一部である、請求項1又は請求項2に記載の車載表示装置。
【請求項4】
前記前面板の外周縁部と前記筐体の側面側の一部とは、離間して配置される、請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の車載表示装置。
【請求項5】
外側に膨らむ第1の円弧面が外周縁部の表面側に形成された前面板と、
前記前面板を裏面側から支持するとともに、外側に膨らむ第2の円弧面が側面側に形成され、前記側面側の一部が前記前面板の裏面よりも表面側に突出して前記前面板の外周縁部に対向する筐体と、を具備し、
前記筐体は、
前記第2の円弧面が形成された本体部と、当該本体部から前記第2の円弧面の反対側に延び、表面側で前記前面板を裏面側から支持する支持部とを有するフロントパネルと、
前記支持部を裏面側から支持するとともに、外側に膨らむ第4の円弧面が外周縁部の裏面側に形成されたリアパネルと
を有する、
車載表示装置。
【請求項6】
前記第2の円弧面及び前記第4の円弧面は、それぞれ共通の円弧面の一部である、請求項5に記載の車載表示装置。
【請求項7】
前記本体部の裏面側の端部と前記リアパネルの外周縁部とは、離間して配置される、請求項5又は請求項6に記載の車載表示装置。
【請求項8】
前記本体部の前記リアパネルの裏面側の端部には、外側に膨らむ第5の円弧面が形成される、請求項5から請求項7のうちのいずれか一項に記載の車載表示装置。
【請求項9】
前記第2の円弧面及び前記第4の円弧面が内接する円弧の半径は、5mm以上である、請求項5から請求項8のうちのいずれか一項に記載の車載表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の後部座席の乗員に対して画像や映像を表示する車載表示装置が知られている。この車載表示装置の表示面、すなわち乗員側の最表面に設けられる前面板としては、ガラス板が利用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車載表示装置においては、法規要件から、製品外形にR5、すなわち半径5mm以上の円弧形状を設けることが要求されている。また、例えば後突安全性の観点から前面板の板割れを抑制することを目的として、前面板の端面を保護する保護部材を設けることがある。これらの要求により車載表示装置の製品外形に対する制約が生じるため、表示に寄与しない額縁幅が大きくなるなど、デザインの自由度が損なわれる場合があった。
【0005】
本開示は、デザインの自由度を向上することができる車載表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載表示装置は、前面板と、筐体とを備える。前記前面板は、外側に膨らむ第1の円弧面が外周縁部の表面側に形成されている。前記筐体は、前記前面板を裏面側から支持する。前記筐体は、外側に膨らむ第2の円弧面が側面側に形成されている。前記筐体は、前記側面側の一部が前記前面板の裏面よりも表面側に突出して前記前面板の外周縁部に対向する。前記筐体の側面側の一部の前記前面板の表面側には、外側に膨らむ第3の円弧面が形成される。
本開示の一態様に係る車載表示装置は、前面板と、筐体とを備える。前記前面板は、外側に膨らむ第1の円弧面が外周縁部の表面側に形成されている。前記筐体は、前記前面板を裏面側から支持する。前記筐体は、外側に膨らむ第2の円弧面が側面側に形成されている。前記筐体は、前記側面側の一部が前記前面板の裏面よりも表面側に突出して前記前面板の外周縁部に対向する。前記筐体は、フロントパネルと、リアパネルとを有する。前記フロントパネルは、本体部と、支持部とを有する。前記本体部は、前記第2の円弧面が形成される。前記支持部は、当該本体部から前記第2の円弧面の反対側に延び、表面側で前記前面板を裏面側から支持する。前記リアパネルは、前記支持部を裏面側から支持するとともに、外側に膨らむ第4の円弧面が外周縁部の裏面側に形成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る車載表示装置によれば、デザインの自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両の構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車載表示装置の外観の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車載表示装置の外観の一例を示す正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る車載表示装置の構成の一例を示す一部断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る車載表示装置の有する円弧形状について説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る車載表示装置の有する円弧形状について説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る車載表示装置の構成の別の一例を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る車載表示装置の実施形態について説明する。本実施の形態では、自動車などの車両の後部座席の乗員に対して画像や映像を表示する車載表示装置を例示する。
【0010】
なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、説明を適宜省略する場合もある。また、同一又は略同一の部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。また、例えば図面の視認性を確保する観点から、各図面の説明において主要な構成要素だけに参照符号を付し、既出の図において前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素であっても参照符号を付していない場合もある。
【0011】
なお、以下の説明において、「同一」、「共通」は、完全な同一、共通だけではなく、誤差の範囲で同一、共通からずれている場合も含むものとする。また、「略」は、おおよその範囲で同じであるという意味である。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る車両1の構成の一例を模式的に示す図である。
図1に示す例では、車両1の前後方向は、x軸方向に延びている。ここで、車両1の前方とは、車両1のx軸方向の負の方向(以下、x-方向と記載する)の側であるとする。車両1の後方とは、x軸方向の正の方向(以下、x+方向と記載する)の側であるとする。また、車両1の左右方向は、y軸方向に延びている。ここで、車両1の右方とは、車両1のy軸方向の正の方向(以下、y+方向と記載する)の側であるとする。車両1の左方とは、y軸方向の負の方向(以下、y-方向と記載する)の側であるとする。なお、車両1の左方及び右方を総称して側方と記載する場合もある。また、車両1の上下方向は、z軸方向に延びている。ここで、車両1の上方とは、車両1のz軸方向の正の方向(以下、z+方向と記載する)の側であるとする。車両1の下方とは、z軸方向の負の方向(以下、z-方向と記載する)の側であるとする。
【0013】
車両1には、
図1に示すように、フロントガラス11、前部座席13、後部座席15及び車載表示装置2が設けられている。前部座席13は、車両1の前方に設けられ、乗員P1が着座する。乗員P1は例えば運転者である。前部座席13は、運転席又は助手席を含む。前部座席13に着座した乗員P1に対向する位置には、フロントガラス11が設けられている。後部座席15は、前部座席13の後方に設けられ、乗員P1とは異なる乗員P2が着座する。前部座席13の後方、より具体的には前部座席13の背面には、車載表示装置2が設けられている。車載表示装置2の表示面は、後部座席15に着座する乗員P2に対向する。
【0014】
なお、本実施形態では、説明の簡単のために、車載表示装置2の表面及び裏面は、それぞれy-z平面に平行な面であるとする。車載表示装置2の裏面から表面へ向かう方向は、x+方向であるとする。つまり、以下の説明において、表面側とは、x+方向の側であることを言う。同様に、裏面側とは、x-方向の側であることを言う。ここで、車載表示装置2の表示面は、表面側に設けられている。したがって、車載表示装置2の表面を表示面と記載する場合もある。また、車載表示装置2の裏面を背面と記載する場合もある。
【0015】
なお、以下に説明する各実施形態に係る車載表示装置2の構成は、一例であり、以下の記載内容に限定されない。例えば、本実施の形態に係る技術は、運転席や助手席などの前部座席13の乗員P1に対するリアビューミラー装置としての車載表示装置5や、ナビゲーション装置としての車載表示装置7に適用することができる。車載表示装置5は、例えばフロントガラス11の上方に配置される。車載表示装置7は、例えばフロントガラス11の下方に配置される。車載表示装置5の表示面及び車載表示装置7の表示面は、前部座席13の乗員P1に対向する。
【0016】
図2は、実施形態に係る車載表示装置2の外観の一例を示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る車載表示装置2の外観の一例を示す正面図である。車載表示装置2は、
図2及び
図3に示すように、前面板21及び筐体28を有する。また、車載表示装置2の背面側には、
図2に示すように、筐体4が設けられている。筐体4の接続部41がボルトなどを用いて前部座席13の背面に締結されることにより、車載表示装置2は、車両1に取り付けられる。車載表示装置2の筐体28は、筐体4に回転可能に接続されている。筐体28は、例えば筐体4に対してz軸方向の回転軸まわりに回転可能に接続され、車載表示装置2の表示面を左右方向に傾ける、すなわち首振りすることができる。筐体28は、例えば筐体4に対してy軸方向の回転軸まわりに回転可能に接続され、車載表示装置2の表示面を上下方向に傾けることができる。筐体28は、例えば筐体4に対してx軸方向の回転軸まわりに回転可能に接続され、車載表示装置2の表示面を左上がり又は右上がりに傾けることができる。
【0017】
なお、筐体28と筐体4との間の接続又は筐体4と前部座席13の背面との間の接続の態様は、上述した例に限らず任意に設計可能である。例えば、筐体28と筐体4とは、一体に構成されていてもよい。この場合、筐体28は、筐体4に対して固定されていても構わない。例えば、筐体4は、前部座席13の背面に限らず、前部座席13に設けられたセンターコンソール部分や車両1の天井部分、車両1のBピラー部分、後部座席15のアームレスト部分などに締結されていても構わない。なお、筐体4が前部座席13の背面以外に締結される場合など、筐体4の形状は任意に設計可能である。
【0018】
図4は、実施形態に係る車載表示装置2の構成の一例を示す一部断面図である。
図4は、
図3のA-A´線に関する一部断面図を例示する。
【0019】
前面板21は、
図4に示すように、車載表示装置2の表面側に設けられる。つまり、前面板21の表面211は、車載表示装置2の表示面を形成する。前面板21は、例えばガラスにより形成された板状の部材である。なお、前面板21は、ガラスに限らず、ポリカーボネイトやアクリル樹脂などの樹脂素材により形成されても構わない。
【0020】
前面板21は、外側に膨らむ第1の円弧面212が外周縁部の表面側に形成されている。ここで、外側に膨らむ円弧面とは、外向きに湾曲する円弧形状を有する面である。また、外向きに湾曲するとは、外側に向かって凸であることである。また、前面板21の第1の円弧面212は、前面板21における映像表示範囲より側面側に設けられる。ここで、映像表示範囲とは、前面板21における、前面板21を介して後述するセル25に表示される映像を視認できる範囲である。具体的には、第1の円弧面212の内側の端部216は、映像表示範囲の端部215よりも外側に設けられる。また、第1の円弧面212の外側の端部217は、前面板21の表面211と前面板21の側面側の端面214との境界部である。
【0021】
前面板21の裏面213には、接着層23を介して、セル25が貼り合わせられている。接着層23としては、例えばフィルム状の光学粘着シートであるOCA(Optical Clear Adhesive)が利用されるが、OCR(Optical Clear Resin)が利用されても構わない。セル25は、例えばインセル型のタッチパネルとして構成されている。セル25は、例えばアウトセル型のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0022】
筐体28は、フロントパネル29及びリアパネル33を有する。
【0023】
フロントパネル29は、筐体28の側面側部品として、例えば前面板21の外周縁部に沿って設けられる。フロントパネル29は、例えば樹脂材料により形成される。フロントパネル29は、塗装や表面加工、形状などの自由度が高く、意匠性付加価値を車載表示装置2に与えることができる。表面加工としては、シボ加工やエンボス加工、つや消し加工などが適宜利用可能である。また、例えばガラスにより形成される前面板21は、側面側の端面214の強度が比較的低い。このため、前面板21の側面側の端面214に対向する位置に表面側の先端部298aが配置されるフロントパネル29を設けることにより、衝突時などにおいて前面板21が破壊される可能性を低くすることができる。これにより、衝突時などにおいても車載表示装置2の安全性を確保することができる。また、フロントパネル29は、筐体28の内部が見えないように覆うカバーとしても機能する。フロントパネル29は、本体部296及び支持部297を有する。本体部296及び支持部297は、例えば一体に形成されている。
【0024】
本体部296には、第2の円弧面291が形成されている。本体部296の形状は、底面に略垂直に切断された円柱の一部に相当する。具体的には、本体部296の断面形状、すなわち円柱の一部に相当する柱の底面は、
図4に示すように、外側の第2の円弧面291の円弧と、内側の側面292及び側面293の弦とにより規定される。なお、内側の側面292及び側面293は、同一直線状に設けられていてもよいし、
図4に示すように、第2の円弧面291からの距離が異なっていてもよい。
【0025】
本体部296の表面側の先端部298aは、前面板21の裏面213よりも表面側に突出して、前面板21の外周縁部に対向する。ここで、表面側の先端部298aと、前面板21の外周縁部とは、離間して配置されている。表面側の先端部298aと、前面板21の外周縁部との間の隙間は、例えば10mm以下である。表面側の先端部298aには、外側に膨らむ第3の円弧面299aが形成されている。
【0026】
本体部296の裏面側の先端部298bは、リアパネル33の外周縁部に対向する。ここで、裏面側の先端部298bと、リアパネル33の外周縁部とは、離間して配置されている。裏面側の先端部298bと、リアパネル33の外周縁部との間の隙間は、例えば10mm以下である。裏面側の先端部298bには、外側に膨らむ第5の円弧面299bが形成されている。
【0027】
なお、本体部296の表面側の先端部298aに設けられた第3の円弧面299aの曲率と、裏面側の先端部298bに設けられた第5の円弧面299bの曲率とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。第3の円弧面299a及び第5の円弧面299bの曲率は、それぞれ例えば第1の円弧面212、第2の円弧面291又は第4の円弧面335の曲率より小さい。第3の円弧面299a及び第5の円弧面299bは、それぞれ法規上の要件に従って任意に曲率が設定されればよい。第3の円弧面299a及び第5の円弧面299bは、それぞれ例えば半径0.25mm以上の円弧形状を有する。好ましくは、第3の円弧面299a及び第5の円弧面299bは、それぞれ例えば半径0.3mmの円弧形状を有する。
【0028】
支持部297は、本体部296から第2の円弧面291の反対側に延びている。換言すれば、支持部297は、フロントパネル29の内側の側面292及び側面293の間から延びている。支持部297は、例えば前面板21の外周縁部に沿って延びる四角柱状の形状を有する。支持部297の先端部は、前面板21における映像表示範囲より側面側に位置する。支持部297の表面294は、前面板21を裏面側から支持する。具体的には、支持部297の表面294は、接着層27により、セル25に接合されている。また、支持部297の裏面295は、接着層31により、リアパネル33に接合されている。接着層27及び接着層31としては、任意の粘着シートや接着材が適宜利用可能である。
【0029】
リアパネル33は、筐体28の裏面側部品として設けられる。リアパネル33は、フロントパネル29を裏面側から支持する。リアパネル33の裏面334の外周縁部には、外側に膨らむ第4の円弧面335が形成されている。第4の円弧面335は、内側の端部336から裏面334と側面339との境界部までの間に設けられている。内側の端部336は、例えば第1の円弧面212の内側の端部216に対応する位置である。ここで、第1の円弧面212の内側の端部216に対応する位置とは、例えばフロントパネル29の最外周部からの距離が等しい位置又はy軸方向に等しい位置である。なお、第1の円弧面212の内側の端部216と第4の円弧面335の内側の端部336とは、y軸方向に互いに異なる位置であってもよい。リアパネル33は、例えば合金材料により形成される。リアパネル33は、例えば、マグネシウム合金材料、あるいはアルミニウム合金によって形成される。リアパネル33は、例えば樹脂材料により形成されてもよい。
【0030】
リアパネル33には、側面部331、本体部332及び突起部333が設けられている。側面部331は、リアパネル33の外周縁部に設けられ、本体部332から表面側に向かって延びている。側面部331は、例えば前面板21の外周縁部に沿って延びる四角柱状の形状を有する。側面部331の表面側の端は、接着層31により、フロントパネル29に設けられた支持部297の裏面295に接合されている。側面部331の側面339は、フロントパネル29の内側の側面293に対向する。本体部332は、リアパネル33の裏面側に設けられ、略平板状の形状を有する。本体部332の裏面334のうちの外周縁部には、第4の円弧面335が形成されている。突起部333は、リアパネル33の内側に設けられ、本体部332から表面側に向かって延びている。突起部333は、例えば本体部332から表面側に向かって延びる円柱又は多角柱状の形状を有する。突起部333は、筐体28内に設けられる光学部品35を支持している。
【0031】
このように、筐体28の側面側部品としてのフロントパネル29は、支持部297の表面294により、セル25が接合された前面板21を裏面側から支持している。換言すれば、筐体28は、前面板21及びセル25を裏面側から支持している。また、フロントパネル29は、本体部296に形成された外側に膨らむ第2の円弧面291が筐体28の側面部分を構成するように、前面板21の外周縁部に沿って設けられている。換言すれば、筐体28の側面側には、外側に膨らむ第2の円弧面291が形成されている。
【0032】
また、車載表示装置2において、フロントパネル29の表面側の先端部298aは、前面板21の裏面213よりも表面側に突出して、前面板21の外周縁部に対向する。また、フロントパネル29の表面側の先端部298aには、外側に膨らむ第3の円弧面299aが形成されている。換言すれば、筐体28の側面側の一部は、前面板21の裏面213よりも表面側に突出して、前面板21の外周縁部に対向する。また、当該一部の前面板21の表面側には、外側に膨らむ第3の円弧面299aが形成されている。
【0033】
また、筐体28の裏面側部品としてのリアパネル33は、裏面334の外周縁部に形成された外側に膨らむ第4の円弧面335が筐体28の裏面の外周縁部分を構成するように、筐体28において裏面側に設けられている。換言すれば、筐体28の外周縁部の裏面側には、外側に膨らむ第4の円弧面335が形成されている。
【0034】
なお、側面339に両面テープ等の接着層を設けた場合、組付け時に上面の接着層31によりフロントパネル29とリアパネル33とを接合する前に、フロントパネル29がリアパネル33の側面339に接合されてしまうおそれがある。つまり、側面339に両面テープ等の接着層を設けた場合、フロントパネル29とリアパネル33とを正規の位置で接着出来ないおそれがある。このことから、実施形態に係る車載表示装置2においては、側面部331の側面339と、フロントパネル29の内側の側面293との間には、接着層が設けられていない。
【0035】
なお、車載表示装置2を組み立てる際、TFT基板などの基板を光学部品35の裏面側に設置する。そして、光学部品35の裏面側に設けられた基板には、セル25からの配線や光学部品35の配線が接続される。このため、フロントパネル29とリアパネル33とが一体に形成された部品の場合、組立性が低下し、量産のサイクルタイムに影響が出るおそれがある。このことから、実施形態に係る車載表示装置2においては、フロントパネル29及びリアパネル33は、それぞれ異なる部品として形成されている。また、フロントパネル29及びリアパネル33を別部品として形成することにより、例えばデザインの観点からフロントパネル29とリアパネル33との間で異なる色で塗装することが容易になる。同様に、フロントパネル29とリアパネル33との間で放熱性や強度、表面性状を変化させることが容易になる。このように、フロントパネル29及びリアパネル33を別部品として形成することにより、設計の自由度を向上させることができる。
【0036】
もちろん、フロントパネル29及びリアパネル33は、一体に形成されていてもよい。この場合、別部品として形成される場合に比べて、設計の自由度が低下するものの部品点数を削減したり、組み立て時のバラつきの発生を抑制したりすることができる。
【0037】
実施形態に係る車載表示装置2において、前面板21に設けられる第1の円弧面212と、筐体28のフロントパネル29に設けられる第2の円弧面291とは、それぞれ共通の円弧面の一部である。また、フロントパネル29に設けられる第2の円弧面291と、リアパネル33に設けられる第4の円弧面335とは、それぞれ共通の円弧面の一部である。したがって、本実施形態に係る車載表示装置2においては、第1の円弧面212、第2の円弧面291及び第4の円弧面335は、共通の円弧面の一部である。ここで、共通の円弧面とは、例えば円弧の中心Cと円弧の半径Rとが共通であることを言う。あるいは、第1の円弧面212、第2の円弧面291及び第4の円弧面335は、接線連続に設定されている。つまり、実施形態に係る車載表示装置2は、全体として外周縁部がR面取り加工されたような形状を有している。
【0038】
第1の円弧面212、第2の円弧面291及び第4の円弧面335は、法規上の要件に従って任意に曲率が設定されればよい。第1の円弧面212、第2の円弧面291及び第4の円弧面335は、例えば半径Rが5mm以上、すなわちR5以上の円弧形状を有する。好ましくは、第1の円弧面212、第2の円弧面291及び第4の円弧面335は、例えば半径Rが5.5mmの円弧形状を有する。
【0039】
なお、第1の円弧面212、第2の円弧面291及び第4の円弧面335は、共通の円弧面の一部でなくても構わない。例えば、第1の円弧面212と第2の円弧面291との間で曲率が異なっていてもよい。この場合、第1の円弧面212と第2の円弧面291とが内接する円弧に関して、上述の共通の円弧面と同様に、法規上の要件に従って任意に曲率が設定されればよい。例えば、第2の円弧面291と第4の円弧面335との間で曲率が異なっていてもよい。この場合、第2の円弧面291と第4の円弧面335とが内接する円弧に関して、上述の共通の円弧面と同様に、法規上の要件に従って任意に曲率が設定されればよい。
【0040】
なお、例えば、第1の円弧面212と第2の円弧面291とが共通の円弧の一部であるとき、当該共通の円弧は、第1の円弧面212と第2の円弧面291とが内接する円弧に一致する。同様に、例えば、第2の円弧面291と第4の円弧面335とが共通の円弧の一部であるとき、当該共通の円弧は、第2の円弧面291と第4の円弧面335とが内接する円弧に一致する。
【0041】
車載表示装置2においては、セル25及び光学部品35からの光に基づいて前面板21の中央部分に画像や映像が表示される。したがって、前面板21における映像表示範囲の端部215から筐体28の外周縁部までの間は、画像や映像が表示されない額縁と呼ばれる領域である。額縁幅Wは、
図4に示すように、幅W1、幅W2、幅W3及び幅W4の和により規定される。幅W1は、側面292からのフロントパネル29の幅である。幅W2は、前面板21の端面214とフロントパネル29の側面292との間の幅である。幅W3は、前面板21の端面214とセル25の側面側の端面との間の幅である。幅W4は、セル25の端面から映像表示範囲の端部215までの幅である。
【0042】
後席乗員向けの車載表示装置2は、法規要件により車載表示装置2の外形にR5以上の円弧形状を設ける必要がある。また、後突時などに前面板21が割れることを抑制するため、前面板21の端面214を保護することを目的として、筐体28の一部、例えばフロントパネル29の表面側の先端部298aを、前面板21より外側に設ける場合がある。
【0043】
仮に、フロントパネル29等の筐体28に円弧形状を設けることだけによって車載表示装置2の全体の外形をR5以上とすることを実現しようとする場合、フロントパネル29の幅W1は、5mm以上になる。したがって、フロントパネル29等の筐体28に円弧形状を設けることだけによって車載表示装置2の全体の外形をR5以上とする場合、額縁幅Wが幅W1に応じて大きくなるため、狭額縁化は困難であった。
【0044】
一方、前面板21の外周縁部に円弧形状を設けることだけによって車載表示装置2の全体の外形をR5以上とすることを実現しようとする場合、フロントパネル29の表面側の先端部298a等の筐体28の一部が前面板21の端面214の外側に設けられないことになる。このため、後突時などの前面板21の割れの可能性を低減することは困難であった。
【0045】
このような中、実施形態に係る車載表示装置2においては、
図4に例示するように、前面板21の外周縁部と、筐体28との間に同一半径を有する円弧形状が接線連続で設けられている。これにより、前面板21及びフロントパネル29の一方だけに円弧形状が設けられる場合に比べて、フロントパネル29の幅W1を低減することによって、額縁幅Wを低減することができる。
【0046】
図5及び
図6は、それぞれ実施形態に係る車載表示装置2の有する円弧形状について説明するための図である。
【0047】
例えば
図4の構成では、R5.5の円弧形状を設ける場合であっても、額縁幅Wを6mm程度に抑制することができる。なお、
図4の構成では、前面板21の第1の円弧面212の内側の端部216と、映像表示範囲の端部215とが一致するとき、円弧形状を設けたことによる映像表示への影響を生じさせることなく、最も高い狭額縁化の効果が得られる。つまり、前面板21における円弧形状の開始位置を、前面板21の表面211の内側へ移動させるほど、額縁幅Wを低減することができる。
【0048】
一方で、前面板21における円弧形状の開始位置を、前面板21の表面211の内側へ移動させるほど、前面板21の端面214の厚さLは、小さくなる。前面板21の端面214の厚さLが小さくなると、前面板21が割れやすくなる。例えば
図4の構成では、前面板21の端面214の厚さLは、0.6mm程度である。
【0049】
そこで、例えば、
図5に例示するように、前面板21の第1の円弧面212の内側の端部218は、
図4の構成における端部216より外側に設けることができる。この場合、リアパネル33の第4の円弧面335の内側の端部337も、
図4の構成における端部336より外側に設けることができる。これにより、
図4の構成と同様にR5.5の円弧形状を設ける場合であっても、前面板21の端面214の厚さLは、
図4の構成に比べて大きくすることができる。例えば
図5の構成では、前面板21の端面214の厚さLは、0.75mm程度とすることができる。
【0050】
また、例えば、
図6に例示するように、前面板21の第1の円弧面212の内側の端部219は、
図4及び
図5の構成における端部216及び端部218より外側に設けることができる。この場合、リアパネル33の第4の円弧面335の内側の端部338も、
図4及び
図5の構成における端部336及び端部337より外側に設けることができる。これにより、
図4及び
図5の構成と同様にR5.5の円弧形状を設ける場合であっても、前面板21の端面214の厚さLは、
図4及び
図5の構成に比べて大きくすることができる。例えば
図6の構成では、前面板21の端面214の厚さLは、0.9mm程度とすることができる。
【0051】
ただし、
図5及び
図6の構成では、前面板21における円弧形状の開始位置が
図4の構成に比べて外側に移動したことにより、フロントパネル29の幅W1が
図4の構成に比べて大きい。つまり、
図5及び
図6の構成における額縁幅Wは、それぞれ
図4の構成における額縁幅Wより大きい。例えば
図5の構成では、額縁幅Wは6.9mm程度である。例えば
図6の構成では、額縁幅Wは、7.9mm程度である。
【0052】
このように、前面板21の端面214における強度を維持することと、狭額縁化とは、トレードオフの関係にある。したがって、実施形態に係る車載表示装置2においては、
図4~
図6に例示するように、前面板21の端面214における強度を維持できる範囲での狭額縁化が実現される。なお、
図4~
図6に関して上述した半径R、額縁幅W及び厚さLの各値は一例であり、これらの数値に限定されるものではない。
【0053】
また、車載表示装置2においては、例えばフロントパネル29の部品寸法のバラつきや、車載表示装置2の組み立て時のバラつきに起因して、フロントパネル29の表面側の先端部298aが前面板21の表面側に突出する場合があり得る。同様に、フロントパネル29の裏面側の先端部298bがリアパネル33の裏面側に突出する場合があり得る。このため、実施形態に係る車載表示装置2においては、
図4~
図6に例示するように、フロントパネル29の表面側の先端部298aに外側に膨らむ第3の円弧面299aが形成されている。同様に、フロントパネル29の裏面側の先端部298bに外側に膨らむ第5の円弧面299bが形成されている。第3の円弧面299a及び第5の円弧面299bは、それぞれ例えば半径0.25mm以上の円弧形状である。好ましくは第3の円弧面299a及び第5の円弧面299bは、それぞれ例えば半径0.3mmの円弧形状である。これにより、フロントパネル29の表面側の先端部298a及び裏面側の先端部298bの少なくとも一方が、部品寸法や組み立て時のバラつきなどに起因して車載表示装置2のR5以上の外形から突出した場合であっても、部品間の隙間が10mm以下の場合には該当部位をR0.25以上とする、という法規要件を満たすことができる。
【0054】
(第1の変形例)
筐体28は、前面板21との間で接線連続の円弧形状を有していればよく、車載表示装置2の構成は
図4等に例示する構成に限らない。
図7は、実施形態に係る車載表示装置2の構成の別の一例を示す一部断面図である。
【0055】
図7に示すように、リアパネル33は、車載表示装置2の側面側にまで延びていてもよい。つまり、
図7のリアパネル33は、
図4のフロントパネル29の一部を含む形状を有する。換言すれば、
図7のリアパネル33において、第4の円弧面335は、リアパネル33の側面339に設けられている。
【0056】
また、
図7に示すように、フロントパネル29において、本体部296の裏面は、支持部297の裏面295と共通の面である。したがって、
図7の本体部296には、
図4の本体部296とは異なり、裏面側の先端部298bが設けられていない。
【0057】
なお、
図7の構成において、本体部296の第2の円弧面291の端部と、リアパネル33の第4の円弧面335の端部とは、接触していてもよい。あるいは、本体部296の第2の円弧面291の端部と、リアパネル33の第4の円弧面335の端部とには、それぞれR0.25以上、例えばR0.3の外側に膨らむ円弧面が設けられていてもよい。
【0058】
この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
以上説明したように、実施形態に係る車載表示装置2において、前面板21の外周縁部の表面側には、第1の円弧面212が設けられている。また、前面板21を裏面側から支持する筐体28の側面には、第2の円弧面291が設けられている。
【0060】
この構成によれば、車両に搭載される表示装置の外形に係る法規要件を満足しつつ、狭額縁化を実現することができる。したがって、車両に搭載される表示装置の外形に係る法規要件を満足しつつ、デザインの自由度を向上することができる。
【0061】
また、筐体28の一部、すなわちフロントパネル29の表面側の先端部298aは、前面板21の裏面より表面側に突出し、前面板21の端面214に対向する。この構成によれば、筐体28により、前面板21において強度が比較的低い端面214を保護することができる。したがって、車両に搭載される表示装置の例えば後突時の安全性を向上することができる。
【0062】
また、前面板21の裏面より表面側に突出する筐体28の一部、すなわちフロントパネル29の表面側の先端部298aには、第3の円弧面299aが設けられている。同様に、裏面側の先端部298bには、第5の円弧面299bが設けられている。この構成によれば、部品バラつきや組立バラつきに起因してフロントパネル29の表面側の先端部298a又は裏面側の先端部298bが外形の円弧形状から突出した場合であっても、法規要件を満足することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 車両
11 フロントガラス
13 前部座席
15 後部座席
2,5,7 車載表示装置
21 前面板
211,294 表面
212 第1の円弧面
213,295,334 裏面
214 端面
215,216,217,218,219,336,337,338 端部
23,27,31 接着層
25 セル
28 筐体
29 フロントパネル
291 第2の円弧面
292,293,339 側面
296 本体部
297 支持部
298a 表面側の先端部
298b 裏面側の先端部
299a 第3の円弧面
299b 第5の円弧面
33 リアパネル
331 側面部
332 本体部
333 突起部
335 第4の円弧面
35 光学部品
4 筐体
41 接続部
C 中心
P1,P2 乗員
R 半径
L 厚さ
W 額縁幅
W1,W2,W3,W4 幅