(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ヤード移動機
(51)【国際特許分類】
B65G 63/00 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B65G63/00 C
(21)【出願番号】P 2019214673
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-07-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂
(72)【発明者】
【氏名】宇野 浩太
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】佐藤 吉信
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-95722(JP,U)
【文献】実開昭59-127028(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G63/00
B66C23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、
ブームに設けられたベルトコンベアと、
前記ブームを俯仰可能に支持する第1支持部と、
鉛直方向に延びる第1軸周りに回転可能に前記第1支持部を
下方から支持する第2支持部と、
鉛直方向に延びる第2軸周りに回転可能に前記第2支持部を支持しかつ第1方向に延びるレール上を移動可能に設けられた走行機体と、を備え、
前記第1支持部は、前記ブームを支持する底面部と、前記底面部との間に空洞部が形成されるように前記底面部から上方に延びる柱部とを有し、
前記ブームは、前記空洞部を通るように設けられており、
上方から見て前記第1軸と前記第2軸とが離隔している、ヤード移動機。
【請求項2】
上方から見て、前記第1方向に直交する第2方向において前記第1軸が前記第2軸の一方側および他方側に移動できるように、前記第2支持部は前記第1支持部を前記第2軸周りに回転可能に支持する、請求項1に記載のヤード移動機。
【請求項3】
前記走行機体とともに移動可能でかつ地上に設けられた搬送ベルトを上方に持ち上げるトリッパと、
前記トリッパによって持ち上げられた搬送ベルトから投下された搬送物を受け取るベルトフィーダと、をさらに備え、
前記ベルトフィーダは、前記搬送物を前記第2方向における前記一方側および前記他方側に搬送可能に構成され、
前記第1支持部は、前記ベルトフィーダから投下された搬送物を前記ベルトコンベアが受け取ることができる状態を維持するように、前記第1軸周りに回転する、請求項2に記載のヤード移動機。
【請求項4】
前記第2方向において前記第1軸が前記第2軸の前記一方側に位置している場合に、前記第1支持部は、上方から見て前記ベルトフィーダの前記一方側の端部と前記ベルトコンベアとが重なる状態を維持するように、前記第1軸周りに回転し、
前記第2方向において前記第1軸が前記第2軸の前記他方側に位置している場合に、前記第1支持部は、上方から見て前記ベルトフィーダの前記他方側の端部と前記ベルトコンベアとが重なる状態を維持するように、前記第1軸周りに回転する、請求項3に記載のヤード移動機。
【請求項5】
前記第2支持部は、前記第1支持部の下部を支持する下側支持部と、前記第1支持部の上部を支持する上側支持部とを含む、請求項1から4のいずれかに記載のヤード移動機。
【請求項6】
前記ブームを俯仰させるための俯仰装置と、前記俯仰装置を操作するための操作室とをさらに備え、
前記操作室は、前記第1支持部に支持されている、請求項1から5のいずれかに記載のヤード移動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤード移動機に関する。
【背景技術】
【0002】
港湾施設においては、スタッカーおよびリクレーマー等の種々のヤード移動機が用いられている。例えば、貨物船から陸揚げされた鉄鉱石等の原料(ばら物)は、ベルトコンベアによって搬送された後、スタッカーによってヤード(堆積ヤード)に積み付けられる。ヤードに積み付けられた原料は、リクレーマーによって次工程へ搬送するためのベルトコンベアに払い出される。また、従来、スタッカーの機能とリクレーマーの機能とを備えたヤード移動機も利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ばら物の積み付けおよび/または払い出しを行う上記のようなヤード移動機は、一般に、ヤードに沿って設けられたレール上に配置される。ヤード移動機は、レール上を移動するとともにブームを俯仰および旋回させることによって、ヤードの所望の位置に対して、ばら物の積み付けおよび/または払い出しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1においても記載されているように、上記のようなヤード移動機では、通常、構造上の制約によりブームの旋回範囲が制限されている。このため、ヤードにおいて、ばら物を積み付けることができないデッドスペースが生じる場合がある。特に、ヤード移動機の移動範囲が制限されている場合には、ブームの先端を所望の位置に移動させることができない場合があり、デッドスペースが生じやすい。
【0006】
ヤードにデッドスペースが生じることを抑制するためには、レールを長くしてヤード移動機の移動範囲を広げたり、共通のレール上に構造の異なる2つのヤード移動機を配置したりすることが考えられる。しかしながら、設備コストが上昇するという問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、ブームの旋回範囲を大きくできるヤード移動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記のヤード移動機を要旨とする。
【0009】
(1)ブームと、
ブームに設けられたベルトコンベアと、
前記ブームを俯仰可能に支持する第1支持部と、
鉛直方向に延びる第1軸周りに回転可能に前記第1支持部を支持する第2支持部と、
鉛直方向に延びる第2軸周りに回転可能に前記第2支持部を支持しかつ第1方向に延びるレール上を移動可能に設けられた走行機体と、を備え、
上方から見て前記第1軸と前記第2軸とが離隔している、ヤード移動機。
【0010】
(2)上方から見て、前記第1方向に直交する第2方向において前記第1軸が前記第2軸の一方側および他方側に移動できるように、前記第2支持部は前記第1支持部を前記第2軸周りに回転可能に支持する、上記(1)に記載のヤード移動機。
【0011】
(3)前記走行機体とともに移動可能でかつ地上に設けられた搬送ベルトを上方に持ち上げるトリッパと、
前記トリッパによって持ち上げられた搬送ベルトから投下された搬送物を受け取るベルトフィーダと、をさらに備え、
前記ベルトフィーダは、前記搬送物を前記第2方向における前記一方側および前記他方側に搬送可能に構成され、
前記第1支持部は、前記ベルトフィーダから投下された搬送物を前記ベルトコンベアが受け取ることができる状態を維持するように、前記第1軸周りに回転する、上記(2)に記載のヤード移動機。
【0012】
(4)前記第2方向において前記第1軸が前記第2軸の前記一方側に位置している場合に、前記第1支持部は、上方から見て前記ベルトフィーダの前記一方側の端部と前記ベルトコンベアとが重なる状態を維持するように、前記第1軸周りに回転し、
前記第2方向において前記第1軸が前記第2軸の前記他方側に位置している場合に、前記第1支持部は、上方から見て前記ベルトフィーダの前記他方側の端部と前記ベルトコンベアとが重なる状態を維持するように、前記第1軸周りに回転する、上記(3)に記載のヤード移動機。
【0013】
(5)前記第2支持部は、前記第1支持部の下部を支持する下側支持部と、前記第1支持部の上部を支持する上側支持部とを含む、上記(1)から(4)のいずれかに記載のヤード移動機。
【0014】
(6)前記ブームを俯仰させるための俯仰装置と、前記俯仰装置を操作するための操作室とをさらに備え、
前記操作室は、前記第1支持部に支持されている、上記(1)から(5)のいずれかに記載のヤード移動機。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ヤード移動機のブームの旋回範囲を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るヤード移動機を示す側面図を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、ヤード移動機の利用例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1支持部の中央部を示す概略正面図である。
【
図4】
図4は、ベルトコンベア、第1支持部、第2支持部、ベルトフィーダ、第1軸および第2軸の位置関係を示した概略平面図である。
【
図5】
図5は、ヤード移動機の動作を説明するための図である。
【
図6】
図6は、ヤード移動機の動作を説明するための図である。
【
図7】
図7は、ヤード移動機の動作を説明するための図である。
【
図8】
図8は、ヤード移動機の動作を説明するための図である。
【
図9】
図9は、ヤード移動機の動作を説明するための図である。
【
図10】
図10は、ヤード移動機の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るヤード移動機について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るヤード移動機を示す側面図である。なお、
図1においては、図面が煩雑になることを避けるために、ヤード移動機100の各構成要素を簡略化して示している。
図2は、ヤード移動機の利用例を示す図であり、ヤード移動機を上方から見た図である。
【0019】
図1および
図2に示すように、本実施形態では、ヤード移動機100は、地上に設けられた無端状の搬送ベルト10によって搬送されてきた図示しない搬送物(例えば、鉄鉱石等の原料)をヤード12a,12b(
図2参照)に積み付けるためのスタッカーである。
【0020】
図2に示すように、本実施形態では、長方形の2つのヤード12a,12bの間に、ヤード12a,12bの長手方向に沿って延びるように一対のレール14が設けられている。また、一対のレール14の間に一対の搬送ベルト10が設けられている。以下においては、レール14の延在方向を第1方向Xと記載する。また、搬送ベルト10による搬送物の搬送方向において、下流側を前方とし、上流側を後方とする。
【0021】
本実施形態では、2台のヤード移動機100が共通の一対のレール14上に配置されている。一方の搬送ベルト10によって搬送されてきた搬送物は一方のヤード移動機100によってヤード12a,12bに積み付けられ、他方の搬送ベルト10によって搬送されてきた搬送物は他方のヤード移動機100によってヤード12a,12bに積み付けられる。以下、ヤード移動機100についてより詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、ヤード移動機100は、ブーム20、ベルトコンベア22、第1支持部24、第2支持部26、走行機体28、トリッパ30、ベルトフィーダ32、俯仰装置34、および操作室36を備えている。
【0023】
ベルトコンベア22は、ブーム20に設けられている。ベルトコンベア22は、搬送物を搬送するための搬送ベルト22aを有している。なお、ブーム20およびベルトコンベア22には、公知の種々のブームおよびベルトコンベアの構成を利用することができるので、ブーム20およびベルトコンベア22の詳細な説明は省略する。
【0024】
ブーム20は、第1支持部24に俯仰可能に支持されている。
図3は、第1支持部24の上下方向における中央部を示す概略図である。
図1および
図3に示すように、第1支持部24は、下方から順に、板状の底面部24a、底面部24aから上方に延びる柱部24b、柱部24bから斜め上方に延びる連結部24c、および連結部24cから上方に延びる柱部24dを備えている。
【0025】
図3に示すように、柱部24bは逆U字形状を有しており、底面部24aと柱部24bとの間には空洞部24eが形成されている。
図1および
図3を参照して、空洞部24eを通るように、ブーム20が設けられている。
【0026】
図1に示すように、本実施形態では、ブーム20の長さ方向における一端部(走行機体28側の端部)が、揺動支持部材38を介して、上下方向に揺動可能に底面部24aに支持されている。また、ブーム20の長さ方向における中央部が、俯仰装置34のワイヤーロープ34aを介して柱部24dに支持されている。
【0027】
本実施形態では、俯仰装置34のワイヤードラム34bによってワイヤーロープ34aの巻き出しおよび巻き戻しを行うことができる。これにより、揺動支持部材38を支点として、ブーム20を俯仰させることができる。俯仰装置34は、作業者によって操作室36から遠隔操作される。操作室36は、柱部24dに支持されている。なお、俯仰装置の構成は
図1に示した構成に限定されず、公知の種々の俯仰装置を利用することができる。
【0028】
第2支持部26は、鉛直方向に延びる第1軸A1周りに回転可能に第1支持部24を支持している。本実施形態では、第2支持部26は、第1支持部24の下部(上下方向における中心よりも下方の部分)を支持する板状の下側支持部26aと、第1支持部24の上部(上下方向における中心よりも上方の部分)を支持する板状の上側支持部26bとを有している。
【0029】
本実施形態では、下側支持部26aは、軸部材40を介して底面部24aを第1軸A1周りに回転可能に支持している。本実施形態では、例えば、軸部材40の上端部が底面部24aに固定され、軸部材40の下端部が図示しない軸受を介して下側支持部26aに回転可能に支持されている。
【0030】
上側支持部26bには、貫通孔が形成されており、当該貫通孔に第1支持部24の柱部24dが挿通されている。本実施形態では、柱部24dは円柱形状を有し、上側支持部26bは、軸受42を介して柱部24dを第1軸A1周りに回転可能に支持している。このように、本実施形態では、第2支持部26によって第1支持部24の上部および下部を支持することによって、第1支持部24を安定して支持することができる。
【0031】
本実施形態では、例えば、上側支持部26bに設けられた駆動装置(図示せず)によって柱部24dを回転させることができる。これにより、第1支持部24が第1軸A1周りに回転し、ブーム20およびベルトコンベア22が第1軸A1周りに旋回する。なお、下側支持部26aに設けられた駆動装置(図示せず)によって軸部材40を回転することによって、第1支持部24を回転させてもよい。本実施形態では、駆動装置は、例えば、作業者によって操作室36から遠隔操作される。なお、駆動装置としては、公知の種々の駆動装置を用いることができるので、詳細な説明は省略する。
【0032】
走行機体28は、鉛直方向に延びる第2軸A2周りに回転可能に第2支持部26を支持する。本実施形態では、走行機体28は、本体部28aと、本体部28aを支持する複数の走行装置28bと、本体部28aから上方に延びる支柱28cと、支柱28cの上端部に固定された固定部28dとを備えている。
【0033】
本体部28aは、軸部材44を介して第2支持部26の下側支持部26aを第2軸A2周りに回転可能に支持している。本実施形態では、例えば、軸部材44の上端部が下側支持部26aに固定され、軸部材44の下端部が図示しない軸受を介して本体部28aに回転可能に支持されている。
【0034】
固定部28dは、軸部材46を介して上側支持部26bを第2軸A2周りに回転可能に支持している。本実施形態では、例えば、軸部材46の上端部が上側支持部26bに固定され、軸部材46の下端部が図示しない軸受を介して固定部28dに回転可能に支持されている。
【0035】
本実施形態では、例えば、固定部28dに設けられた駆動装置(図示せず)によって軸部材46を回転させることができる。これにより、第2支持部26(上側支持部26b)および第1支持部24が第2軸A2周りに回転し、ブーム20およびベルトコンベア22が第2軸A2周りに旋回する。なお、本体部28aに設けられた駆動装置(図示せず)によって軸部材44を回転することによって、第2支持部26(下側支持部26a)を回転させてもよい。この場合も同様に、第1支持部24が第2軸A2周りに回転し、ブーム20およびベルトコンベア22が第2軸A2周りに旋回する。本実施形態では、駆動装置は、例えば、作業者によって操作室36から遠隔操作される。なお、駆動装置としては、公知の種々の駆動装置を用いることができるので、詳細な説明は省略する。
【0036】
各走行装置28bは複数の車輪を備え、レール14上に配置されている。本実施形態では、ヤード移動機100は、一方のレール14(
図2参照)上に設けられた2台の走行装置28bと、他方のレール14上に設けられた2台の走行装置28bとを有する。走行装置28bは、図示しない駆動装置を備えている。駆動装置によっていずれかの車輪が回転駆動されることによって、走行装置28bがレール14上を第1方向Xに移動する。これにより、走行機体28が第1方向Xに移動する。すなわち、ヤード移動機100が第1方向Xに移動する。
【0037】
詳細な説明は省略するが、支柱28cは、柱部24b(
図3参照)と同様に逆U字形状を有している。トリッパ30は、柱部24bの内側を通るように設けられている。
【0038】
なお、
図1においては、走行機体28を簡略化して示しているが、各部がそれぞれ複数の構成部材によって構成されていてもよい。走行機体28には、公知の種々の走行機体の構成を利用することができるので、走行機体28の詳細な説明は省略する。
【0039】
トリッパ30は、地上に設けられた搬送ベルト10の一部を上方に持ち上げるように構成されている。本実施形態では、トリッパ30の上端部において搬送ベルト10から搬送物が投下されるように、搬送ベルト10の一部がトリッパ30によって斜め上方に引き出されている。トリッパ30は、走行機体28に連結され、走行機体28に連動して一対のレール14を移動するように構成されている。トリッパとしては、公知の種々のトリッパを用いることができるので、詳細な説明は省略する。
【0040】
ベルトフィーダ32は、トリッパ30によって持ち上げられた搬送ベルト10から投下された搬送物を受け取るように構成されている。本実施形態では、ベルトフィーダ32は、無端状の搬送ベルト32aによって搬送物を搬送する。なお、詳細な説明は省略するが、ベルトフィーダ32は、走行機体28に支持されている。
【0041】
図4は、ベルトコンベア22の搬送ベルト22a、第1支持部24の底面部24a、第2支持部26の下側支持部26a、ベルトフィーダ32の搬送ベルト32a、第1軸A1および第2軸A2の位置関係を示した概略図(上方から見た図)である。なお、以下の説明では、上方から見て第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとする。
【0042】
ベルトフィーダ32は、搬送物を第2方向Yにおける一方側(ヤード12a側)および他方側(ヤード12b側)に搬送可能に構成されている。本実施形態では、図示しない駆動装置によって、搬送ベルト32aが一方向および他方向に回転駆動されることによって、搬送物を第2方向Yにおける一方側および他方側に搬送する。本実施形態では、上記駆動装置は、例えば、作業者によって操作室36から遠隔操作される。
【0043】
本実施形態では、搬送物をヤード12aに積み付ける場合には、第2軸A2を中心として第2支持部26をヤード12a側に回転させた後、第1軸A1を中心として第1支持部24を回転させる。
【0044】
具体的には、まず、
図5に示すように、第1軸A1が第2軸A2の第2方向Yにおける一方側(ヤード12a側)に位置するように、第2軸A2を中心として第2支持部26をヤード12a側に回転させる。本実施形態では、上方から見て、第1軸A1と第2軸A2とが、第2方向Yに平行な同一の直線上に位置するように、第2支持部26をヤード12a側に回転させる。
【0045】
次に、
図6および
図7に示すように、第1軸A1を中心として、第1支持部24を前方または後方に回転させる。これにより、第1支持部24に支持されたブーム20(
図1参照)およびベルトコンベア22が前方または後方に旋回する。所望の位置で第1支持部24を固定した後、ベルトフィーダ32(搬送ベルト32a)のヤード12a側の端部からベルトコンベア22(搬送ベルト22a)に搬送物を投下する。ベルトコンベア22に投下された搬送物は、ベルトコンベア22の先端からヤード12aに投下される。このようにして、ヤード12aに対する積付作業が行われる。
【0046】
本実施形態では、
図5~
図7に示すように、第1支持部24は、ベルトフィーダ32から投下された搬送物をベルトコンベア22が受け取ることができる状態を維持するように、第1軸A1周りに回転する。より具体的には、第1支持部24は、上方から見て、ベルトフィーダ32(搬送ベルト32a)の一方側(ヤード12a側)の端部とベルトコンベア22(搬送ベルト22a)とが重なる状態を維持するように、第1軸A1周りに回転する。これにより、ベルトフィーダ32から投下された搬送物をベルトコンベア22によって確実に受け取ることができる。
【0047】
搬送物をヤード12bに積み付ける場合には、第2軸A2を中心として第2支持部26をヤード12b側に回転させた後、第1軸A1を中心として第1支持部24を回転させる。
【0048】
具体的には、まず、
図8に示すように、第1軸A1が第2軸A2の第2方向Yにおける他方側(ヤード12b側)に位置するように、第2軸A2を中心として第2支持部26をヤード12b側に回転させる。本実施形態では、上方から見て、第1軸A1と第2軸A2とが、第2方向Yに平行な同一の直線上に位置するように、第2支持部26をヤード12b側に回転させる。
【0049】
次に、
図9および
図10に示すように、第1軸A1を中心として、第1支持部24を前方または後方に回転させる。これにより、第1支持部24に支持されたブーム20(
図1参照)およびベルトコンベア22が前方または後方に旋回する。所望の位置で第1支持部24を固定した後、ベルトフィーダ32(搬送ベルト32a)のヤード12b側の端部からベルトコンベア22(搬送ベルト22a)に搬送物を投下する。ベルトコンベア22に投下された搬送物は、ベルトコンベア22の先端からヤード12bに投下される。このようにして、ヤード12bに対する積付作業が行われる。
【0050】
本実施形態では、
図8~
図10に示すように、第1支持部24は、ベルトフィーダ32から投下された搬送物をベルトコンベア22が受け取ることができる状態を維持するように、第1軸A1周りに回転する。より具体的には、第1支持部24は、上方から見て、ベルトフィーダ32(搬送ベルト32a)の他方側(ヤード12b側)の端部とベルトコンベア22(搬送ベルト22a)とが重なる状態を維持するように、第1軸A1周りに回転する。これにより、ベルトフィーダ32から投下された搬送物をベルトコンベア22によって確実に受け取ることができる。
【0051】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態では、ブーム20を支持する第1支持部24の回転軸(第1軸A1)と、第1支持部24を支持する第2支持部26の回転軸(第2軸A2)とが、上方から見て離隔している。これにより、
図5~
図10で説明したように、第1軸A1を、第1方向X(ヤード移動機100の移動方向)に直交する第2方向Yに移動させた状態で、ブーム20を旋回させることができる。この場合、従来のヤード移動機に比べて、ブーム20の旋回範囲が、ヤード移動機100の他の構成要素によって制限されることを十分に抑制することができる。特に、ヤード移動機の後方側には多数の構造部材が配置されるので、従来のヤード移動機では、ブームの後方側への旋回範囲が大きく制限される。一方で、本実施形態に係るヤード移動機100では、第1軸A1を第2方向Yに移動させた状態でブーム20を旋回させることができるので、ヤード移動機100の後方側の構造部材によってブーム20の旋回範囲が制限されることを十分に抑制することができる。したがって、本実施形態に係るヤード移動機100では、ブーム20の旋回範囲を十分に大きくすることができる。
【0052】
(変形例)
上述の実施形態では、本発明をスタッカーに適用した場合について説明したが、本発明に係るヤード移動機はスタッカーに限定されない。本発明は、ブームに支持されたベルトコンベアを利用して、ヤードに対して積み付けおよび/または払い出しを行う種々のヤード移動機に適用することができる。したがって、ヤードからばら物等を払い出すリクレーマーに本発明を適用してもよいし、スタッカーの機能とリクレーマーの機能とを備えたヤード移動機に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、ヤード移動機のブームの旋回範囲を大きくすることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 搬送ベルト
12a,12b ヤード
14 レール
20 ブーム
22 ベルトコンベア
24 第1支持部
26 第2支持部
28 走行機体
30 トリッパ
32 ベルトフィーダ
34 俯仰装置
36 操作室
A1 第1軸
A2 第2軸