(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】15-PGDH阻害剤とコルチコステロイドおよび/またはTNF阻害剤との組み合わせならびにその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4365 20060101AFI20241129BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241129BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20241129BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A61K31/4365
A61K31/573
A61P1/00
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2019528506
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(86)【国際出願番号】 US2017063959
(87)【国際公開番号】W WO2018102552
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597138069
【氏名又は名称】ケース ウエスタン リザーブ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マーコウィッツ,サンフォード
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ウォン ジン
(72)【発明者】
【氏名】フィンク,ステファン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】バラダン,ビナイ
【合議体】
【審判長】藤原 浩子
【審判官】前田 佳与子
【審判官】池上 京子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/065716(WO,A1)
【文献】特表2015-514770(JP,A)
【文献】特表2008-536855(JP,A)
【文献】Archives of Biochemistry and Biophysics,2005年,Vol.435,pp.50-55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAPlus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において
大腸炎を処置するための医薬の製造における、以下の式:
【化1】
を有する、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ(15-PGDH)阻害
剤またはその医薬的に許容される塩の、デキサメタゾンと組み合わせての使
用。
【請求項2】
前記大腸炎は、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記デキサメタゾンは、15-PGDHの発現を誘導する、請求項
1または2に記載の使用。
【請求項4】
それを必要とする対象において
大腸炎を処置するための医薬組成物であって、
デキサメタゾンと、以下の式:
【化2】
を有する、15-PGDH阻害剤またはその医薬的に許容される
塩を含む
、前記医薬組成
物。
【請求項5】
前記大腸炎は、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎である、請求項4に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月30日に出願された米国仮出願第62/428,259号および2017年5月23日に出願された米国仮出願第62/510,166号に対する優先権を主張し、これらの仮出願は両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の資金提供
本発明は、米国国立衛生研究所(The National Institutes of Health)により付与された助成金番号DK150964およびCA150964に基づく政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
短鎖デヒドロゲナーゼ(SCD)は、僅か15%~30%の配列同一性を有するデヒドロゲナーゼのファミリーであり、主に補酵素結合ドメインと基質結合ドメインにおいて類似性を有する。エタノールの解毒におけるそれらの役割に加えて、SCDは、脂肪酸、ステロイドおよびいくつかのプロスタグランジンの合成と分解に関与し、従って、脂質蓄積症、ミオパチー、SCD欠損症および特定の遺伝性障害など、様々な障害に関係している。
【0004】
SCDである15-ヒドロキシ-プロスタグランジンデヒドロゲナーゼ(15-PGDH)(ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ 15-(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド);15-PGDH;酵素番号1.1.1.141;HPGD遺伝子によりコードされる)は、いくつかの活性型のプロスタグランジン、ロイコトリエンおよびヒドロキシエイコサテトラエン酸(HETE)の不活性化における重要な酵素である(例えば、PGE2の15-ケト-プロスタグランジンE2(15k-PGE)への酸化を触媒することによる)。そのヒト酵素は、HPGD遺伝子によりコードされ、サブユニットのサイズが29kDaであるホモ二量体からなる。この酵素は、進化的に保存された短鎖デヒドロゲナーゼ/レダクターゼ酵素(SDR)スーパーファミリーに属し、最近承認されたヒト酵素命名法に従ってSDR36C1と命名されている。これまでに、NAD+依存性I型15-PGDH(HPGD遺伝子によりコードされる)およびII型NADP依存性15-PGDH(カルボニルレダクターゼ1(CBR1、SDR21C1)としても知られている)という2つの形態の15-PGDH酵素活性が同定されている。しかし、CBR1がNADPを好むこと、および殆どのプロスタグランジンに対してCBR1のKm値が高いことは、インビボ活性の大部分は、HPGD遺伝子によりコードされるI型15-PGDH(以下では、および以下の文章全体にわたって、単に15-PGDHと表記される)に起因し得る、ということを示唆する。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書で説明される実施形態は、それを必要とする対象において炎症を処置するための、免疫系の異常な活性を低減するための、および/または創傷治癒を促進するための、コルチコステロイドおよびTNF阻害剤と組み合わせた15-PGDH阻害剤の使用に関する。対象に投与されたコルチコステロイドが対象の組織における15-PGDHの発現を誘導し得るということが見出された。コルチコステロイドと組み合わせた15-PGDH阻害剤の投与は、コルチコステロイドにより誘発される有害作用および/または細胞毒性作用を減弱すると同時にコルチコステロイドの抗炎症作用および/または免疫抑制作用を亢進することが見出された。コルチコステロイドと組み合わせた15-PGDH阻害剤の投与による炎症性障害、免疫障害および/または創傷の処置は、コルチコステロイドの治療効果を高めることができ、一部の場合には、同様の効果を達成するために、より少ない投与量で、および他の場合には、有害作用または細胞毒性作用を減弱および/または低減しながら、より多い投与量で、および長期間にわたって、コルチコステロイドを投与することを可能にし得る。
【0006】
一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤とコルチコステロイドおよびTNF阻害剤との組み合わせで処置される炎症性および/または免疫の疾患もしくは障害には、腸管、消化管または腸の障害が包含されてよい。以下で説明されるように、腸管、消化管または腸の障害(口腔潰瘍、歯肉疾患、胃炎、大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、炎症性腸疾患、およびクローン病など)を処置するために短鎖デヒドロゲナーゼ活性の阻害剤(15-PGDH阻害剤など)を単独で、あるいはコルチコステロイドおよび/または腫瘍壊死因子(TNF)-αアンタゴニストと組み合わせて、それを必要とする対象に投与できるということが見出された。
【0007】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、コルチコステロイド依存性もしくはコルチコイド抵抗性またはコルチコステロイドに対する不応性もしくは不耐性を経験する対象においてグルココルチコイド非感受性を処置するために、コルチコステロイド感受性を回復させるために、グルココルチコイド感受性を亢進するために、および/またはグルココルチコイド非感受性を逆転させるために、グルココルチコイド増感剤として使用されてよい。例えば、15-PGDH阻害剤は、コルチコステロイド依存性もしくはコルチコイド抵抗性またはコルチコステロイドに対する不応性もしくは不耐性を経験する対象においてグルココルチコイド非感受性を処置するために、コルチコステロイド感受性を回復させるために、グルココルチコイド感受性を亢進するために、および/またはグルココルチコイド非感受性を逆転させるために、コルチコステロイドと組み合わせて対象に投与されてよい。
【0008】
15-PGDH阻害剤はまた、創傷治癒、組織修復および/または組織再生および/または組織移植片の生着もしくは再生を促進するために、コルチコステロイドおよび/またはTNF阻害剤と組み合わせて対象に投与されてもよい。
【0009】
一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤は、対象におけるプロスタグランジンレベルを増加させ且つコルチコステロイドが誘発する有害作用および/または細胞毒性作用を減弱するのに有効な量で対象に投与されてよい。15-PGDH阻害剤には、式(I):
【化1】
を有する化合物であって、式中、
nは0~2であり、
Y
1、Y
2およびR
1は、同じであるか異なっており、それぞれ、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、ヘテロアリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール(alkaryl)、C
6~C
24アラルキル、ハロ、-Si(C
1~C
3アルキル)
3、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、それらの組み合わせからなる群より選択され、Y
1とY
2が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、ここで環は、置換されているか置換されていないアリール、置換されているか置換されていないヘテロアリール、置換されているか置換されていないシクロアルキル、および置換されているか置換されていないヘテロシクリルであり、
U
1はN、C-R
2またはC-NR
3R
4であり、ここでR
2は、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、O(CO)R’、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
1とR
2が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、R
3およびR
4は、同じであるか異なっており、それぞれ、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
3またはR
4は存在しなくてもよく、
X
1およびX
2は、独立的に、NまたはCであり、ここでX
1および/またはX
2がNである場合、Y
1および/またはY
2はそれぞれ存在せず、
Z
1はO、S、CR
aR
bまたはNR
aであり、ここでR
aおよびR
bは、独立的に、H、または直鎖状、分枝状もしくは環状であり且つ置換されていないか置換されているC
1~8アルキルである、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0010】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤には、以下の式(V):
【化2】
を有する化合物であって、式中、
nは0~2であり、
X
6は、独立的に、NまたはCR
cであり、
R
1、R
6、R
7およびR
cは、それぞれ独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、ヘテロアリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、-Si(C
1~C
3アルキル)
3、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル、ホスフェート、リン酸エステル;アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;それらの組み合わせからなる群より選択され、R
6とR
7が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、ここで環は、置換されているか置換されていないアリール、置換されているか置換されていないヘテロアリール、置換されているか置換されていないシクロアルキル、および置換されているか置換されていないヘテロシクリルであり、
U
1はN、C-R
2またはC-NR
3R
4であり、ここでR
2は、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、O(CO)R’、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
1とR
2が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、R
3およびR
4は、同じであるか異なっており、それぞれ、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
3またはR
4は存在しなくてもよい、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0011】
一部の実施形態において、R
1は、-(CH
2)n
1CH
3(n
1=0~7)を含む分枝状または直鎖状のアルキル、
【化3】
からなる群より選択され、ここで、n
2=0~6であり、Xは、以下のうちのいずれかである:CF
yH
z(y+z=3)、CCl
yH
z(y+z=3)、OH、OAc、OMe、R
71、OR
72、CN、N(R
73)
2、
【化4】
【0012】
他の実施形態では、R
6およびR
7は、それぞれ独立的に、以下のうちの1つであってよく、
【化5】
各R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48、R
49、R
50、R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67、R
68、R
69、R
70、R
71、R
72、R
73およびR
74は、同じであるか異なっており、独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、5~14個の環原子を含むヘテロアリールもしくはヘテロシクリル(ここで環原子のうちの1~6個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
3アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、シリル、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、スルファンアミド(-SO
2N(R)
2;ここでRは、独立的に、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル(-[(CH
2)
nO]
m)、ホスフェート、リン酸エステル[-OP(O)(OR)
2;ここでR=H、メチルまたは他のアルキル];アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;およびそれらの組み合わせ、ならびにそれらの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。
【0013】
一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤は、約5nM~約10nMという組換え15-PGDHの濃度において、1μM未満のIC50で、または好ましくは250nM未満のIC50で、またはより好ましくは50nM未満のIC50で、またはより好ましくは10nM未満のIC50で、またはより好ましくは5nM未満のIC50で、組換え15-PGDHの酵素活性を阻害し得る。
【0014】
他の実施形態では、コルチコステロイドは、アクロベート(aclovate)、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アムシナフェル(amcinafel)、アムシナフィド(amcinafide)、アムシノニド、アリストコートA(aristocort A)、増強されたジプロピオン酸ベタメタゾン(augmented betamethasone dipropionate)、ベクラメタゾン(beclamethasone)、ジプロピオン酸ベクロプメタゾン(beclopmethasone dipropionate)、ベタメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、ベタメタゾン-17-ベンゾエート、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン・リン酸ベタメタゾンナトリウム(betamethasone sodium phosphate and acetate)、吉草酸ベタメタゾン、ベタメタゾン-17-バレレート、クロロプレドニゾン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾン、クロコルテロン(clocortelone)、コルドラン(cordran)、コルチコステロン、コルチゾール、酢酸コルチゾール、シピオン酸コルチゾール、リン酸コルチゾールナトリウム、コハク酸コルチゾールナトリウム、コルチゾン、酢酸コルチゾン、コルトドキソン、シクロコート(cyclocort)、デフラザコート、デフルプレドネート(defluprednate)、デスシノロン(descinolone)、デソニド、デソウェン(desowen)、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、ピバル酸デスオキシコルチコステロン、11-デスオキシコルチゾール、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ジクロリゾン(dichlorisone)、二酢酸ジフロラゾン、ジヒドロキシコルチゾン、ジプロレン(diprolen)、ジプロレン(diprolene)、ジプロゾン(diprosone)、ベタメタゾンのエステル、フロロン(florone)、フルセトニド(flucetonide)、フルクロロニド(flucloronide)、フルコルトロン(flucortolone)、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルメタロン(flumethalone)、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、酢酸フルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide acetate)、フルオシノニド、フルオラメトロン(fluorametholone)、フルオロコルチゾン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルロアンドレノロンアセトニド(fluroandrenolone acetonide)、プロピオン酸フルチカゾン、フプレドニゾロン(fuprednisolone)、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハログ(halog)、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、ケナログ、リデックス(lidex)、ロコルド(locold)、ロコルテン(locorten)、マキシフロール(maxiflor)、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、メチルプレドニゾン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニドン(prednidone)、プレドニゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン(prednisolone tebutate)、プレドニゾン、プソルコン(psorcon)、シナラール(synalar)、テモベート(temovate)、テトラヒドロコルチゾール、トピコート(topicort)、トピコートLP(topicort LP)、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサコトニド(triamcinolone hexacotonide)、トリデシロン(tridesilone)、バリゾン(valisone)およびウェストコートからなる群より選択されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、飲料水中の2%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)で全て処理された、対照(ダイアモンド形)とSW033291(正方形)処置マウスのコホートの、ベースライン体重からの平均変化を示すグラフを図示する。
【
図2】
図2は、飲料水中の2%DSSで全て処理された、対照(ダイアモンド形)とSW033291(正方形)処置マウスのコホートの、毎日の疾患活動性指標(disease activity index)のグラフを図示する。
【
図3】
図3は、対照ビヒクル(ダイアモンド形)あるいはSW033291(正方形)を与えたDSS処理マウスのコホートの、ベースライン体重からの平均変化を示すグラフを図示する。
【
図4】
図4(A~B)は、(A)対照ビヒクルあるいはSW033291を与えたDSS処理マウスの結腸における潰瘍の数を示すグラフ;および(B)対照(左側)またはSW033291(右側)を与えたDSS処理マウスの潰瘍を示す写真を図示する。
【
図5】
図5は、対照ビヒクルまたはSW033291を与えたDSS処理マウスの15日目における潰瘍負荷(ulcer burden)の定量化を示すグラフを図示する。
【
図6】
図6(A~B)は、対照ビヒクルまたはSW033291を与えたDSS処理マウスについてのコロノスコピー所見およびマウスの大腸炎重症度の内視鏡指標(mouse endoscopic index of colitis severity)(MEICS)を示す写真を図示する。
【
図7】
図7は、対照ビヒクルまたはSW033291を与えたDSS処理マウスのMEICSスコアを示すグラフを図示する。
【
図8】
図8は、対照マウス、SW033291処置マウス(処置)および15-PGDHノックアウトマウス(KO)のDSSプロトコルの8日目における中央結腸の高倍率視野の顕微鏡写真ならびにDSS処理プロトコルの1日目、8日目および15日目における対照(Cn)、SW033291処置マウス(Tx)および15-PGDHノックアウトマウス(KO)の遠位結腸と中央結腸における陰窩1つあたりのBrdU陽性細胞の平均数の合計を示すグラフを図示する。
【
図9】
図9は、対照ビヒクルまたはSW033291を与えたDSS処理マウスの22日目における結腸の長さを示すグラフを図示する。
【
図10】
図10は、それらの活性が正常結腸組織における15-PGDH遺伝子の発現と有意に相関しているPARADIGM SuperPathwayサブネットワークを示す模式図である。
【
図11】
図11(A~C)は、(A)マウスにデキサメタゾンを3日間毎日投与し、3回目の投与から6時間後に解析のために屠殺した研究のスキーマ;(B)2種類の異なる用量のデキサメタゾンでのマウス結腸における15-PGDHタンパク質のデキサメタゾンによる誘導を示す代表的なウェスタンブロット解析;および(C)デキサメタゾン処置によって結腸の15-PGDHの発現レベルがほぼ倍増したことを示す、研究における全てのマウスからのリアルタイムRT-PCRのグラフによる概要を図示する。
【
図12】
図12(A~B)は、(A)マウスにデキサメタゾンを3日間毎日投与し、3回目の投与から6時間後に解析のために屠殺した研究のスキーマ;および(B)デキサメタゾン処置マウスの結腸において15-PGDHの酵素活性がほぼ倍増したことを示すグラフを図示する。
【
図13】
図13(A~B)は、より高いデキサメタゾン用量が、DSSによる大腸炎の誘発を悪化させることを示すグラフを図示する。
【
図14】
図14は、マウスに飲料水中の2.5%DSSを7日間(1日目から8日目まで)与えた後(マウスの大腸炎を誘発するレジームである)、ビヒクル、(+)SW033291、デキサメタゾン、または(+)SW033291とデキサメタゾンの両方で処置した研究のスキーマを図示する。
【
図15】
図15は、(+)SW033291とデキサメタゾンでの処置をそれぞれ、または組み合わせて、施したマウスにおける研究の1~17日目のマウスの毎日の体重を示すプロットを図示する。
【
図16】
図16は、(+)SW033291とデキサメタゾンでの処置をそれぞれ、または組み合わせて、施したマウスにおける下痢(0~3の尺度)と糞便中の血(0~3の尺度)を合わせた疾患活動性指標(0~6の尺度)によって計測された疾患活動性(DAI)のプロットを図示する。
【
図17】
図17(A~B)は、
図16の結果について、左側にDAI曲線下面積(総DAI)を示し、右側に総DAIの減少のパーセント(相対的な疾患の低減)のグラフを示す、グラフを図示する。
【
図18】
図18は、疾患モデルの16日目までの各処置群についての毎日のマウスの生存率を示すグラフを図示する。
【
図20】
図20(A~D)は、処置の13日目における各処置群の代表的な内視鏡画像を示す。
【
図21】
図21は、各処置群についての13日目におけるマウスの大腸炎重症度の内視鏡指標(MEICS)のスコアを示すグラフを図示する。
**p<0.01、
***p<0.005(ANOVAおよびStudentのt検定による)。
【
図22】
図22A~Dは、各処置群の13日目における遠位結腸の代表的な組織像を示す。(A)対照、(B)デキサメタゾン、(C)SW033291、および(D)組み合わせ。
【
図23】
図23は、半定量的にスコア付けした陰窩に対する炎症性損傷の組織学的度合いをグラフ化したものである。
【
図24】
図24は、各処置群の13日目における体重で正規化された腸間膜リンパ節の総重量(collective mesenteric lymph node weight)によって評価された腸間膜リンパ節腫脹の重症度をグラフ化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
便宜のため、明細書、実施例および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語をここにまとめる。他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は全て、本出願が属する分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0017】
冠詞「a」および「an」は、本明細書では、冠詞の文法上の対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0018】
用語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「包含する(include)」、「包含する(including)」、「有する(have)」および「有する(having)」は、包含的でオープンな意味で使用され、追加の要素が含まれてもよいことを意味する。用語「など(such as)」、「例えば(e.g.)」は、本明細書で使用される場合、非限定的であり、説明を目的とするに過ぎない。「~が包含される(including)」と「~が包含されるが、これらに限定されない(including but not limited to)」は、同じ意味で使用される。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「または(or)」は、文脈が明らかにそうではないことを示さない限り、「および/または(and/or)」を意味すると理解されるべきである。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「約(about)」または「約(approximately)」は、基準となる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%ほど異なる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して適用される。一実施形態において、用語「約(about)」または「約(approximately)」は、基準となる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さから±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%または±1%の範囲の数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さを対象とする。
【0021】
本出願の化合物のいくつかの構造は不斉(キラル)炭素原子または不斉(キラル)硫黄原子を含むということが留意されるであろう。従って、別段の指示がない限り、そのような不斉性から生じる異性体が本出願に包含されるということが理解されるべきである。そのような異性体は、古典的な分離技術によって、および立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形態で得ることができる。本出願の化合物は、立体異性の形態で存在する可能性があり、従って、個々の立体異性体として、または混合物として、生成されてよい。
【0022】
用語「異性」は、同一の分子式を有するが、それらの原子の結合の性質もしくは順序が、またはそれらの原子の空間配置が、異なる化合物を意味する。それらの原子の空間配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼称される。互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と呼称され、重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は、「エナンチオマー」、または時には光学異性体、と呼称される。4つの同一でない置換基に結合した炭素原子は「キラル中心」と呼称されるが、3つまたは4つの異なる置換基に結合した硫黄(例えば、スルホキシドまたはスルフィンイミド)も同様に「キラル中心」と呼称される。
【0023】
用語「キラル異性体」は、少なくとも1つのキラル中心を有する化合物を意味する。それは、反対のキラリティーの2つのエナンチオマー形態を有し、個々のエナンチオマーとして、あるいはエナンチオマーの混合物として、存在し得る。反対のキラリティーの個々のエナンチオマー形態を等量含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼称される。2つ以上のキラル中心を有する化合物は、2n-1組のエナンチオマー対を有し、ここでnはキラル中心の数である。2つ以上のキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして、あるいは「ジアステレオマー混合物」と呼称されるジアステレオマーの混合物として、存在し得る。1つのキラル中心が存在する場合、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置(RまたはS)によって特徴付けられ得る。あるいは、1つ以上のキラル中心が存在する場合、立体異性体は、(+)または(-)として特徴付けられ得る。絶対配置は、キラル中心に結合した置換基の空間配置を指す。検討対象のキラル中心に結合した置換基は、カーン・インゴルド・プレローグ順位則に従ってランク付けされる(Cahn et al, Angew.Chem.Inter.Edit. 1966, 5, 385;errata 511;Cahn et al., Angew.Chem. 1966, 78, 413;Cahn and Ingold, J Chem.Soc. 1951(London), 612;Cahn et al., Experientia 1956, 12, 81;Cahn,J., Chem.Educ. 1964, 41, 116)。
【0024】
用語「幾何異性体」は、それらの存在が二重結合周りの回転障害に起因するジアステレオマーを意味する。これらの立体配置は、カーン・インゴルド・プレローグ則に従って基が分子内の二重結合の同じ側または反対側にあることを示す接頭辞であるシスとトランスまたはZとEによって、それらの名前で区別される。さらに、本出願において説明される構造と他の化合物には、それらの全てのアトロプ異性体(atropic isomer)が包含される。
【0025】
用語「アトロプ異性体」は、2つの異性体の原子が空間的に異なって配置されている、立体異性体の一種である。アトロプ異性体は、それらの存在が、大きな基の中心結合周りの回転障害によって生じる制限された回転に起因する。そのようなアトロプ異性体は、典型的には、混合物として存在するが、クロマトグラフィー技術における最近の進歩の結果、特定の場合には2つのアトロプ異性体の混合物を分離することが可能となっている。
【0026】
用語「結晶多形」または「多形」または「結晶形」は、それらの全てが同一の元素組成を有する異なった結晶充填配置で化合物(またはその塩もしくは溶媒和物)が結晶化することができる結晶構造を意味する。異なる結晶形は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性と電気特性、安定性および溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、保存温度および他の要因により、1つの結晶形が大半を占める可能性がある。化合物の結晶多形は、異なる条件下で結晶化させることによって調製できる。
【0027】
用語「誘導体」は、共通のコア構造を有する化合物であって本明細書で説明されるような様々な基で置換されている化合物を指す。
【0028】
用語「生物学的等価体(bioisostere)」は、原子または原子団を、大まかに類似する別の原子または原子団と交換することにより生じる化合物を指す。生物学的に等価な交換の目的は、親化合物と類似する生物学的特性を有する新しい化合物を作り出すことである。生物学的に等価な交換は、物理化学またはトポロジーに基づき得る。カルボン酸の生物学的等価体の例としては、スルホンイミド、テトラゾール、スルホネートおよびホスホネートが挙げられる。例えば、Patani and LaVoie, Chem.Rev. 96, 3147-3176(1996)を参照のこと。
【0029】
表現「非経口投与」および「非経口投与される」は、当技術分野で認識されている用語であり、注射など、経腸投与と局所投与以外の投与様式を包含し、限定されるものではないが、静脈内への注射と注入、筋肉内への注射と注入、胸膜内への注射と注入、血管内への注射と注入、心膜内への注射と注入、動脈内への注射と注入、髄腔内への注射と注入、嚢内への注射と注入、眼窩内への注射と注入、心臓内への注射と注入、皮内への注射と注入、腹腔内への注射と注入、経気管の注射と注入、皮下への注射と注入、表皮下への注射と注入、関節内への注射と注入、被膜下への注射と注入、くも膜下への注射と注入、脊髄内への注射と注入、および胸骨内(intrastemal)への注射と注入を包含する。
【0030】
用語「処置する」は、当技術分野で認識されており、対象において疾患、障害または状態を阻害すること(例えば、その進行を妨げること);および疾患、障害または状態を緩和すること(例えば、疾患、障害および/または状態の退縮を引き起こすこと)を包含する。疾患または状態を処置することには、根底にある病態生理が影響を受けない場合であっても特定の疾患または状態の少なくとも1つの症状を改善することが包含される。
【0031】
用語「防止する」は、当技術分野で認識されており、疾患、障害および/または状態に罹りやすい可能性があるが、まだそれを有するとは診断されていない、対象において疾患、障害または状態が発生するのを止めることを包含する。疾患に関連する状態を防止することには、疾患が診断された後であるが状態が診断される前に状態が発生するのを止めることが包含される。
【0032】
用語「医薬組成物」は、対象への投与に適した形態の、開示される化合物を含む製剤を指す。好ましい実施形態では、医薬組成物は、バルクであるか、単位剤形である。単位剤形は、例えばカプセル、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器の単一ポンプ、またはバイアルを含む、様々な形態のうちのいずれかである。組成物の単位用量における有効成分の量(例えば、開示される化合物またはその塩の処方)は、有効量であり、関与する特定の処置に応じて異なる。当業者であれば、患者の年齢と状態に応じて投与量を日常的に変更する必要がある場合があるということを理解するであろう。投与量はまた、投与経路にも依存するであろう。経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、吸入等を含め、様々な経路が企図される。本明細書で説明される化合物の局所投与または経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、噴霧化合物および吸入剤が包含される。好ましい実施形態では、活性化合物は、医薬的に許容される担体と、および必要とされる任意の保存料、緩衝剤または噴射剤と、無菌条件下で混合される。
【0033】
用語「フラッシュ用量(flash dose)」は、急速に分散する剤形である化合物製剤を指す。
【0034】
用語「即時放出」は、比較的短時間(一般的には最大で約60分)での剤形からの化合物の放出と定義される。用語「調節放出(modified release)」は、遅延放出(delayed release)、持続放出(extended release)およびパルス放出(pulsed release)を包含すると定義される。用語「パルス放出」は、剤形からの薬物の相次ぐ放出と定義される。用語「徐放(sustained release)」または「持続放出」は、長期間にわたる剤形からの化合物の連続放出と定義される。
【0035】
表現「医薬的に許容される」は、当技術分野で認識されている。特定の実施形態では、この用語には、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比と釣り合いつつも過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは厄介な事態を伴うことなくヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適している組成物、ポリマーおよび他の材料ならびに/または剤形が包含される。
【0036】
表現「医薬的に許容される担体」は、当技術分野で認識されており、例えば、ある器官または身体の一部から別の器官または身体の一部に任意の対象組成物を運搬または輸送することに関与する医薬的に許容される材料、組成物またはビヒクル(液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料など)を包含する。担体はそれぞれ、対象組成物の他の成分と適合し且つ患者に有害でないという意味で、「許容され」なければならない。特定の実施形態では、医薬的に許容される担体は、非発熱性である。医薬的に許容される担体として働き得る材料のいくつかの例としては、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど);(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバターおよび坐薬用ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)医薬製剤において使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。
【0037】
本出願の化合物は、さらに塩を形成することが可能である。これらの形態の全てもまた、本出願において企図される。
【0038】
化合物の「医薬的に許容される塩」は、医薬的に許容され且つ親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。例えば、塩は、酸付加塩であってよい。酸付加塩の一実施形態は、塩酸塩である。医薬的に許容される塩は、従来の化学的手法によって、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成できる。一般に、そのような塩は、水中もしくは有機溶媒中またはこれら2つの混合物中で(一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい)、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製できる。塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed.(Mack Publishing Company, 1990)に見出される。
【0039】
本明細書で説明される化合物はまた、エステル(例えば、医薬的に許容されるエステル)として調製されてもよい。例えば、化合物中のカルボン酸官能基が、その対応するエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルまたは他のエステル)に変換されてよい。また、化合物中のアルコール基が、その対応するエステル(例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステルまたは他のエステル)に変換されてよい。
【0040】
本明細書で説明される化合物はまた、プロドラッグ(例えば、医薬的に許容されるプロドラッグ)として調製されてもよい。用語「プロドラッグ(pro-drug)」および「プロドラッグ(prodrug)」は、本明細書では同じ意味で使用され、活性のある親薬物をインビボで放出する任意の化合物を指す。プロドラッグは、医薬品の数多くの望ましい品質(例えば、溶解性、バイオアベイラビリティ、製造等)を向上させることが知られているため、化合物は、プロドラッグの形態で送達されてよい。従って、本明細書で説明される化合物は、本出願で特許請求される化合物のプロドラッグ、それらを送達する方法、およびそれらを含む組成物を包含することが意図される。「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが対象に投与されると、活性のある親薬物をインビボで放出する、任意の共有結合した担体を包含することが意図される。プロドラッグは、通例の操作で、あるいはインビボで、修飾が切断されて親化合物になるように、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグには、ヒドロキシ基、アミノ基、スルフヒドリル基、カルボキシ基またはカルボニル基が、インビボで切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシル基、遊離アミノ基、遊離スルフヒドリル基、遊離カルボキシ基または遊離カルボニル基を形成し得る任意の基に結合している化合物が包含される。プロドラッグはまた、代謝プロセスによる化学変換を受けた後に、活性のある薬理物質もしくはより活性のある薬理物質または本明細書で説明される活性化合物になる、本明細書で説明される化合物の前駆体(先駆体)も包含し得る。
【0041】
プロドラッグの例としては、化合物中の、ヒドロキシ官能基のエステル(例えば、酢酸誘導体、ジアルキルアミノ酢酸誘導体、ギ酸誘導体、リン酸誘導体、硫酸誘導体、および安息香酸誘導体)およびカルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル);カルボキシル官能基のエステル基(例えば、エチルエステル、モルホリノエタノールエステル);アミノ官能基のN-アシル誘導体(例えば、N-アセチル)、N-マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナミノン;ケトン官能基とアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステル;および同様のもの;ならびに酸化されてスルホキシドまたはスルホンを形成するスルフィドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
用語「保護基」は、分子内の反応性基に結合しているとその反応性をマスクするか低下させるか妨げる原子団を指す。保護基の例は、Green and Wuts, Protective Groups in Organic Chemistry,(Wiley, 2.sup.nd ed. 1991);Harrison and Harrison et al., Compendium of Synthetic Organic Methods, Vols.1-8(John Wiley and Sons, 1971-1996);およびKocienski, Protecting Groups,(Verlag, 3rd ed. 2003)に見出すことができる。
【0043】
用語「アミン保護基」は、アミン、アミドまたは他の窒素含有部分を、特定の化学反応の条件に対して実質的に不活性な異なる化学基に変換する官能基を意味することが意図される。アミン保護基は、好ましくは、分子の他の官能基に影響を与えない条件下において良好な収率で容易に且つ選択的に除去される。アミン保護基の例としては、ホルミル、アセチル、ベンジル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、p-メトキシベンジル、メトキシメチル、トシル、トリフルオロアセチル、トリメチルシリル(TMS)、フルオレニル-メチルオキシカルボニル、2-トリメチルシリル-エトキシカルボニル(2-trimethylsilyl-ethyoxycarbonyl)、1-メチル-1-(4-ビフェニリル)エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(SES)、トリチル基および置換されているトリチル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)、ならびに同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、他の適切なアミン保護基を特定できる。
【0044】
代表的なヒドロキシ保護基には、ヒドロキシ基がアシル化あるいはアルキル化されているもの(ベンジルエーテルおよびトリチルエーテルならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルなど)が包含される。
【0045】
さらに、本明細書で説明される化合物の塩は、水和形態または非水和(無水)形態のいずれかで、あるいは他の溶媒分子との溶媒和物として、存在してよい。水和物の非限定的な例としては、一水和物、二水和物等が挙げられる。溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物等が挙げられる。
【0046】
用語「溶媒和物」は、化学量論量あるいは非化学量論量の溶媒を含む溶媒付加形態(solvent addition form)を意味する。いくつかの化合物は、結晶固体状態で固定モル比の溶媒分子をトラップする傾向があり、従って、溶媒和物を形成する。溶媒が水であれば、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1つ以上の水の分子とその中で水がその分子状態をH2Oとして保持する物質の1つとの組み合わせによって形成され、そのような組み合わせは、1つ以上の水和物を形成することができる。
【0047】
本明細書で説明される化合物、塩およびプロドラッグは、エノールとイミンの形態およびケトとエナミンの形態ならびにそれらの幾何異性体および混合物を含む、いくつかの互変異性型で存在してよい。互変異性体は、溶液中で互変異性体のセットの混合物として存在する。固体形態では、通常、1つの互変異性体が大半を占める。たとえ1つの互変異性体が説明されていることがあっても、本出願は、本発明の化合物の全ての互変異性体を包含する。互変異性体は、平衡状態で存在し且つ1つの異性体から別の異性体に容易に変換される2つ以上の構造異性体のうちの1つである。この反応は、隣接する共役二重結合のスイッチを伴う水素原子の形式的転移をもたらす。互変異性化が可能である溶液中では、互変異性体の化学平衡に達するであろう。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒およびpHを含む、いくつかの要因に依存する。互変異性化によって相互変換が可能である互変異性体の概念は、互変異性と呼称される。
【0048】
あり得る互変異性の様々なタイプのうち、2つが一般的に観察される。ケト-エノール互変異性では、電子と水素原子の同時シフトが起こる。
【0049】
互変異性化は、以下によって触媒され得る:
塩基:1.脱プロトン化;2.非局在化アニオン(例えば、エノラート)の形成;3.アニオンの異なる位置でのプロトン化;
酸:1.プロトン化;2.非局在化カチオンの形成;3.カチオンに隣接した異なる位置での脱プロトン化。
【0050】
用語「類似体」は、別のものと構造的に類似するが(異なる元素の原子による1つの原子の置き換えまたは特定の官能基の存在または別の官能基による1つの官能基の置き換えなどで)組成が僅かに異なる化合物を指す。従って、類似体は、基準となる化合物と機能および見掛けの点で類似または同等であるが構造または起源の点では類似でも同等でもない化合物である。
【0051】
対象方法によって処置される「患者」、「対象」または「ホスト」は、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類または両生類など、ヒトあるいはヒト以外の動物を意味し得る。従って、本明細書で開示される方法の対象は、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたは齧歯類であってよい。この用語は、特定の年齢または性別を表すものではない。従って、雄か雌かにかかわらず、成体および新生仔ならびに胎仔が包含されることが意図される。一態様では、対象は哺乳類である。患者は、疾患または障害に罹患している対象を指す。
【0052】
用語「予防的」処置または「治療的」処置は、当技術分野で認識されており、対象組成物の1つ以上をホストに投与することを包含する。それが、望ましくない状態(例えば、ホスト動物の疾患または他の望ましくない状況)が臨床的に出現する前に施されるのであれば、その処置は予防的であり、すなわち、それは、望ましくない状態の発症からホストを保護する。一方、それが、望ましくない状態の出現の後に施される場合、その処置は治療的である(すなわち、それは、既存の望ましくない状態またはその副作用を軽減するか改善するか安定化させることが意図される)。
【0053】
用語「治療薬」、「薬物」、「医薬」および「生物活性物質」は、当技術分野で認識されており、患者または対象において局所的または全身的に作用して疾患または状態を治療する生物学的、生理学的または薬理学的に活性のある物質である分子および他の作用物質を包含する。これらの用語には、限定されるものではないが、それらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグが包含される。そのような作用物質は、酸性、塩基性または塩であってよい;それらは、中性分子、極性分子、または水素結合が可能な分子複合体であってよい;それらは、患者または対象に投与されると生物学的に活性化されるエーテル、エステル、アミド等の形態のプロドラッグであってよい。
【0054】
表現「治療有効量」または「医薬的に有効な量」は、当技術分野で認識されている用語である。特定の実施形態では、この用語は、任意の医学的処置に適用できる合理的な利益/リスク比でいくらかの望ましい効果を生じさせる治療薬の量を指す。特定の実施形態では、この用語は、特定の治療レジメンの標的を排除、低減または維持するのに必要または十分な量を指す。有効量は、処置される疾患もしくは状態、投与される特定の標的化コンストラクト、対象のサイズまたは疾患もしくは状態の重症度などの要因に応じて変動し得る。当業者であれば、過度の実験を必要とせずに特定の化合物の有効量を経験的に決定し得る。特定の実施形態では、インビボでの使用のための治療薬の治療有効量は、ポリマーマトリックスからの作用物質の放出の速度(これは、ポリマーの化学的性質と物理的性質に部分的に依存するであろう);作用物質のアイデンティティー;投与の様式と方法;および作用物質に加えてポリマーマトリックスに組み込まれた任意の他の材料を含む、いくつかの要因におそらく依存するであろう。
【0055】
用語「ED50」は、当技術分野で認識されている。特定の実施形態では、ED50は、その最大の反応または効果の50%を生じさせる薬物の用量、あるいは試験対象または調製物の50%において所定の反応を生じさせる用量を意味する。用語「LD50」は、当技術分野で認識されている。特定の実施形態では、LD50は、試験対象の50%において致死性である薬物の量を意味する。用語「治療指数」は、当技術分野で認識されており、これは、LD50/ED50と定義される、薬物の治療指数を指す。
【0056】
用語「IC50」または「半最大阻害濃度」は、生物学的プロセス、またはプロセスのコンポーネント(タンパク質、サブユニット、オルガネラ、リボヌクレオタンパク質等を含む)、の50%阻害に必要とされる物質(例えば、化合物または薬物)の濃度を指すことが意図される。
【0057】
任意の化合物に関して、本出願は、本発明の化合物中に出現する原子の全ての同位体を包含することが意図される。同位体には、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子が包含される。一般的な例として、限定されるものではないが、水素の同位体にはトリチウムおよび重水素が包含され、炭素の同位体にはC-13およびC-14が包含される。
【0058】
置換基への結合が、環中の2つの原子を連結する結合を横切るように示されている場合には、そのような置換基は、環中の任意の原子に結合していてよい。置換基が、それを介して所与の式の化合物の残りの部分にそのような置換基が結合している原子を示さずに列挙されている場合には、そのような置換基は、そのような置換基中の任意の原子を介して結合していてよい。置換基および/または可変部(variables)の組み合わせが許容されるが、但し、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限られる。
【0059】
原子または化学的部分の後に下付き数字の範囲が続く場合(例えばC1~6)、それは、その範囲内の各数ならびに全ての中間の範囲を包含することが意図される。例えば、「C1~6アルキル」は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1~2個、2~6個、2~5個、2~4個、2~3個、3~6個、3~5個、3~4個、4~6個、4~5個および5~6個の炭素を有するアルキル基を包含することが意図される。
【0060】
用語「アルキル」は、分枝状のもの(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、イソブチル)と直鎖のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)の両方、ならびにシクロアルキル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキルで置換されているシクロアルキル基、およびシクロアルキルで置換されているアルキル基、を包含することが意図される。そのような脂肪族炭化水素基は、指定される数の炭素原子を有する。例えば、C1~6アルキルは、C1アルキル基、C2アルキル基、C3アルキル基、C4アルキル基、C5アルキル基およびC6アルキル基を包含することが意図される。本明細書で使用される場合、「低級アルキル」は、炭素鎖の骨格中に1~6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。「アルキル」はさらに、1つ以上の炭化水素骨格の炭素原子と置き換わった酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を有するアルキル基を包含する。特定の実施形態では、直鎖アルキルまたは分枝鎖アルキルは、その骨格中に6個以下(例えば、4個以下)の炭素原子を有する(例えば、直鎖の場合はC1~C6、分枝鎖の場合はC3~C6)。同様に、特定のシクロアルキルは、それらの環構造中に3~8個の炭素原子(例えば、環構造中に5個または6個の炭素など)を有する。
【0061】
用語「置換されているアルキル」は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上で水素と置き換わった置換基を有するアルキル部分を指す。そのような置換基には、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が包含され得る。シクロアルキルは、例えば上述される置換基で、さらに置換されていてもよい。「アルキルアリール」または「アラルキル」部分は、アリールで置換されているアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。別段の指示がない限り、用語「アルキル」および「低級アルキル」は、直鎖状の、分枝状の、環状の、置換されていない、置換されている、および/またはヘテロ原子を含む、アルキルまたは低級アルキルをそれぞれ包含する。
【0062】
用語「アルケニル」は、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル等など、少なくとも1つの二重結合を含む2個~約24個の炭素原子の直鎖状、分枝状または環状の炭化水素基を指す。やはり必ずというわけではないが、一般に、アルケニル基は、2個~約18個の炭素原子を含んでよく、より具体的には2~12個の炭素原子を含んでよい。用語「低級アルケニル」は、2~6個の炭素原子のアルケニル基を指し、特定の用語「シクロアルケニル」は、好ましくは5~8個の炭素原子を有する、環状アルケニル基を意図する。用語「置換されているアルケニル」は、1つ以上の置換基で置換されているアルケニルを指し、用語「ヘテロ原子を含むアルケニル」および「ヘテロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置き換わっているアルケニルまたはヘテロシクロアルケニル(例えば、ヘテロシクロヘキセニル)を指す。別段の指示がない限り、用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は、直鎖状の、分枝状の、環状の、置換されていない、置換されている、および/またはヘテロ原子を含む、アルケニルおよび低級アルケニルをそれぞれ包含する。
【0063】
用語「アルキニル」は、エチニル、n-プロピニル等など、少なくとも1つの三重結合を含む2~24個の炭素原子の直鎖状または分枝状の炭化水素基を指す。やはり必ずというわけではないが、一般に、アルキニル基は、2個~約18個の炭素原子を含んでよく、より具体的には2~12個の炭素原子を含んでよい。用語「低級アルキニル」は、2~6個の炭素原子のアルキニル基を意図する。用語「置換されているアルキニル」は、1つ以上の置換基で置換されているアルキニルを指し、用語「ヘテロ原子を含むアルキニル」および「ヘテロアルキニル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置き換わっているアルキニルを指す。別段の指示がない限り、用語「アルキニル」および「低級アルキニル」は、直鎖状の、分枝状の、置換されていない、置換されている、および/またはヘテロ原子を含む、アルキニルおよび低級アルキニルをそれぞれ包含する。
【0064】
用語「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、ジラジカルである(すなわち、2つの結合点を有する)部分を包含することが意図される。そのようなジラジカルであるアルキル部分の非限定的な例は、-CH2CH2-(すなわち、各末端炭素原子を介して分子の残りの部分に共有結合しているC2アルキル基)である。
【0065】
用語「アルコキシ」は、単一の末端エーテル結合を介して結合しているアルキル基を指す。すなわち、「アルコキシ」基は、-O-アルキルと表され得る(ここで、アルキルは、上で定義される通りである)。「低級アルコキシ」基は、1~6個の炭素原子を含むアルコキシ基を意図しており、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、t-ブチルオキシ等を包含する。好ましい、本明細書において「C1~C6アルコキシ」または「低級アルコキシ」として特定される置換基は、1~3個の炭素原子を含み、特に好ましい、そのような置換基は、1個または2個の炭素原子を含む(すなわち、メトキシおよびエトキシ)。
【0066】
用語「アリール」は、単一の芳香環、または縮合しているか直接連結しているか(異なる芳香環が、メチレン部分またはエチレン部分などの共通の基に結合しているように)間接的に結合している複数の芳香環、を含む芳香族置換基を指す。アリール基は、5~20個の炭素原子を含んでよく、特に好ましいアリール基は、5~14個の炭素原子を含んでよい。アリール基の例としては、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジン等が挙げられる。さらに、用語「アリール」は、多環式アリール基(例えば、三環式、二環式;例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン(napthridine)、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジン)を包含する。その環構造中にヘテロ原子を有するアリール基はまた、「アリールヘテロ環(aryl heterocycles)」、「ヘテロ環」、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族(heteroaromatics)」と呼称されることもある。芳香環は、1つ以上の環位置において、上述されるような置換基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分)で置換されていてもよい。アリール基はまた、多環系(例えば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)を形成するように、芳香族ではない脂環式またはヘテロ環式の環と縮合または架橋していてもよい。別段の指示がない限り、用語「アリール」は、置換されていない、置換されている、および/またはヘテロ原子を含む、芳香族置換基を包含する。
【0067】
用語「アルカリール」は、アルキル置換基を有するアリール基を指し、用語「アラルキル」は、アリール置換基を有するアルキル基を指し、ここで、「アリール」および「アルキル」は、上で定義される通りである。例示的なアラルキル基は、6~24個の炭素原子を含み、特に好ましいアラルキル基は、6~16個の炭素原子を含む。アラルキル基の例としては、限定されるものではないが、ベンジル、2-フェニル-エチル、3-フェニル-プロピル、4-フェニル-ブチル、5-フェニル-ペンチル、4-フェニルシクロヘキシル、4-ベンジルシクロヘキシル、4-フェニルシクロヘキシルメチル、4-ベンジルシクロヘキシルメチル等が挙げられる。アルカリール基には、例えば、p-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、p-シクロヘキシルフェニル、2,7-ジメチルナフチル、7-シクロオクチルナフチル、3-エチル-シクロペンタ-1,4-ジエン等が包含される。
【0068】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環基」は、1つ以上のヘテロ原子を含む閉環構造(例えば、3~10員環または4~7員環)を包含する。「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を包含する。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄およびリンが挙げられる。
【0069】
ヘテロシクリル基は、飽和または不飽和であってよく、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(アゼチジノンおよびピロリジノンなど)、スルタムおよびスルトンを包含し得る。ピロールおよびフランなどの複素環基は、芳香族性を有し得る。キノリンおよびイソキノリンなどの複素環基は、縮合環構造を含む。複素環基の他の例としては、ピリジンおよびプリンが挙げられる。複素環は、1つ以上の位置において、上述されるような置換基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分)で置換されていてもよい。複素環基はまた、1つ以上の構成原子において、例えば、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、-CF3、または-CN等で置換されていてもよい。
【0070】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。「対イオン」は、フルオライド、クロライド、ブロマイド、ヨーダイド、ヒドロキシド、アセテートおよびサルフェートなどの負に帯電した小さい化学種を表すために使用される。用語スルホキシドは、2つの異なる炭素原子と1つの酸素とに結合した硫黄を指し、そのS-O結合は、二重結合(S=O)、電荷を伴わない単結合(S-O)、または電荷を伴う単結合[S(+)-O(-)]で図示され得る。
【0071】
「置換されているアルキル」、「置換されているアリール」等におけるような用語「置換されている」は、前述の定義の一部において言及されているように、アルキル、アリールまたは他の部分において、炭素(または他の)原子に結合している少なくとも1つの水素原子が、水素以外の1つ以上の置換基と置き換わっている、ということが意図される。そのような置換基の例としては、限定されるものではないが、ハロ、ヒドロキシル、シリル、スルフヒドリル、C1~C24アルコキシ、C2~C24アルケニルオキシ、C2~C24アルキニルオキシ、C5~C20アリールオキシ、アシル(C2~C24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC6~C20アリールカルボニル(-CO-アリール)を含む)、アシルオキシ(-O-アシル)、C2~C24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C6~C20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C2~C24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C6~C20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO-)、カルバモイル(-(CO)-NH2)、モノ-(C1~C24アルキル)-置換カルバモイル(-(CO)-NH(C1~C24アルキル))、ジ-(C1~C4アルキル)-置換カルバモイル(-(CO)-N(C1~C24アルキル)2)、一置換アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N+C-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-ON+C-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N+=N-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH2)、モノ-(C1~C24アルキル)-置換アミノとジ-(C1~C24アルキル)-置換アミノ、モノ-(C5~C20アリール)-置換アミノとジ-(C5~C20アリール)-置換アミノ、C2~C24アルキルアミド(-NH-(CO)-アルキル)、C6~C20アリールアミド(-NH-(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH;ここでR=水素、C1~C24アルキル、C5~C20アリール、C6~C24アルカリール、C6~C24アラルキル等)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO2-OH)、スルホナト(-SO2-O-)、C1~C24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C1~C24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C5~C20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C1~C24アルキルスルホニル(-SO2-アルキル)、C5~C20アリールスルホニル(-SO2-アリール)、ホスホノ(-P(O)(OH)2)、ホスホナト(-P(O)(O-)2)、ホスフィナト(-P(O)(O-))、ホスホ(-PO2)、およびホスフィノ(-PH2)などの官能基;ならびにヒドロカルビル部分C1~C24アルキル、C2~C24アルケニル、C2~C24アルキニル、C5~C20アリール、C6~C24アルカリールおよびC6~C24アラルキルが挙げられる。
【0072】
さらに、前述の官能基は、特定の基が許容するのであれば、1つ以上の追加的な置換基で、または1つ以上のヒドロカルビル部分(上で具体的に列挙されたものなど)で、さらに置換されていてもよい。同様に、上述のヒドロカルビル部分は、1つ以上の官能基または追加的なヒドロカルビル部分(上で具体的に列挙されたものなど)で、さらに置換されていてもよい。
【0073】
用語「置換されている」が、置換されている可能性がある基のリストの前にある場合、この用語は、その群の全てのメンバーに適用される、ということが意図される。例えば、表現「置換されているアルキル、アルケニル、およびアリール」は、「置換されているアルキル、置換されているアルケニル、および置換されているアリール」と解釈されるべきである。同様に、用語「ヘテロ原子を含む」が、ヘテロ原子を含む可能性がある基のリストの前にある場合、この用語は、その群の全てのメンバーに適用される、ということが意図される。例えば、表現「ヘテロ原子を含むアルキル、アルケニル、およびアリール」は、「ヘテロ原子を含むアルキル、置換されているアルケニル、および置換されているアリール」と解釈されるべきである。
【0074】
「任意選択の」または「任意選択で」は、それに続いて記載される状況が生じても生じなくてもよいということを意味し、そのため、この記載は、その状況が生じる場合とその状況が生じない場合とを包含する。例えば、表現「任意選択で置換されている」は、水素ではない置換基が所与の原子上に存在しても存在しなくてもよいということを意味し、従って、この記載は、水素ではない置換基が存在する構造と水素ではない置換基が存在しない構造とを包含する。
【0075】
用語「安定な化合物」および「安定な構造」は、単離に、ならびに必要に応じて反応混合物からの精製および有効な治療薬への製剤化に、耐えるのに十分なほど頑強である化合物を示すことが意図される。
【0076】
用語「遊離化合物」は、本明細書では、結合していない状態の化合物を説明するために使用される。
【0077】
説明の全体にわたって、組成物が、特定の成分を有する、含む(including)または含む(comprising)と記載されている場合、組成物はまた、列挙された成分から本質的になることもある、または列挙された成分からなることもある、ということが企図される。同様に、方法またはプロセスが、特定のプロセス工程を有する、含む(including)または含む(comprising)と記載されている場合、そのプロセスはまた、列挙されたプロセス工程から本質的になることもある、または列挙されたプロセス工程からなることもある。さらに、本明細書で説明される組成物および方法が実施可能なままである限り、工程の順序または特定の動作を実行するための順序は重要ではない、ということが理解されるべきである。さらに、2つ以上の工程または動作が同時に実行されてもよい。
【0078】
用語「小分子」は、当技術分野で認識されている用語である。特定の実施形態では、この用語は、約2000amu未満、または約1000amu未満、さらには約500amu未満、の分子量を有する分子を指す。
【0079】
本明細書で使用されるパーセンテージと比率は全て、別段の指示がない限り、重量による。
【0080】
用語「遺伝子の発現」または「タンパク質の発現」は、サンプル中に存在する遺伝子転写物またはタンパク質の量に関する任意の情報ならびに遺伝子またはタンパク質が産生されるか蓄積するか分解される速度についての情報(例えば、レポーター遺伝子のデータ、核ランオフ実験(nuclear runoff experiment)からのデータ、パルスチェイスのデータ等)を包含する。特定の種類のデータは、遺伝子とタンパク質の両方の発現に関連すると見なされる可能性がある。例えば、細胞内のタンパク質レベルは、タンパク質のレベルならびに転写のレベルを反映し、そのようなデータは、「遺伝子またはタンパク質の発現情報」という表現に包含されることが意図される。そのような情報は、細胞1つあたりの量、対照の遺伝子またはタンパク質に対する量の形で、単位のない尺度などで、与えられ得る。用語「情報」は、いかなる特定の提示手段にも限定されるべきでなく、関連情報を提供する任意の提示を意味することが意図される。用語「発現レベル」は、データが遺伝子転写物の蓄積またはタンパク質の蓄積またはタンパク質の合成速度等を対象としているかどうかにかかわらず、遺伝子またはタンパク質の発現データに反映される量あるいは遺伝子またはタンパク質の発現データから導き出すことができる量を指す。
【0081】
用語「健康な」および「正常な」は、本明細書において、同じ意味で使用されて、疾患状態を(少なくとも検出限界まで)欠いている対象または特定の細胞もしくは組織に対して適用される。
【0082】
用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)、および適切な場合にはリボ核酸(RNA)、などのポリヌクレオチドを指す。この用語はまた、ヌクレオチド類似体から作製されたRNAまたはDNAのいずれかの類似体、ならびに説明される実施形態に適用可能な場合には一本鎖(センスまたはアンチセンスなど)および二本鎖のポリヌクレオチド、を包含すると理解されるべきである。一部の実施形態において、「核酸」は、阻害性核酸(inhibitory nucleic acid)を指す。阻害性核酸化合物のいくつかのカテゴリーには、アンチセンス核酸、RNAiコンストラクトおよび触媒的核酸コンストラクトが包含される。そのような核酸のカテゴリーは、当技術分野において周知である。
【0083】
用語「コルチコステロイドの抗炎症作用に対するコルチコステロイド抵抗性」は、高用量のグルココルチコイドでの処置後に臨床的改善がないことを指す。
【0084】
用語「コルチコステロイド依存性」は、初めはコルチコステロイドに反応するが断薬時または用量漸減時に急速に再発する状態を指す。
【0085】
用語「コルチコステロイド不応性反応」は、適切な導入量のコルチコステロイドに反応しない状態を指す。それは、グルココルチコイド療法に比較的または完全に不応性の反応を包含し、追加の処置によって調節される必要があることが多い。
【0086】
他のタイプのコルチコステロイド無効性には、非常に高用量の処置が必要であること、「治療が困難であること」および「十分に反応しないこと」または重症例ならびにインビトロおよびインビボでの反応性の低下が包含される。
【0087】
用語「コルチコステロイド不耐性」は、治療の毒性、ならびに/またはコルチコステロイドに関連する有害事象(日和見感染症および骨量減少など)を発症するリスク、を指す。
【0088】
本明細書で説明される実施形態は、それを必要とする対象において炎症を処置するための、および/または免疫系の異常な活性を低減するための、コルチコステロイドと組み合わせた15-PGDH阻害剤の使用に関する。対象に投与されたコルチコステロイドが対象の組織における15-PGDHの発現を誘導し得るということが見出された。コルチコステロイドと組み合わせた15-PGDH阻害剤の投与は、コルチコステロイドにより誘発される有害作用および/または細胞毒性作用を減弱すると同時にコルチコステロイドの抗炎症作用および/または免疫抑制作用を亢進することが見出された。コルチコステロイドと組み合わせた15-PGDH阻害剤の投与による炎症性障害および/または免疫障害の処置は、治療効果を高めることができ、一部の場合には、同様の効果を達成するために、より少ない投与量で、および他の場合には、有害作用または細胞毒性作用を減弱および/または低減しながら、より多い投与量で、および長期間にわたって、コルチコステロイドを投与することを可能にし得る。本明細書におけるさらなる実施形態は、それを必要とする対象において炎症を処置するための、および/または免疫系の異常な活性を低減するための、TNFα阻害剤と組み合わせた15-PGDH阻害剤の使用に関する。
【0089】
一部の実施形態では、腸管、消化管または腸の障害を処置するために15-PGDH阻害剤をコルチコステロイドおよび/またはTNF阻害剤と組み合わせて投与できる。処置される腸管、消化管または腸の障害には、口腔潰瘍、歯肉疾患、胃炎、大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、炎症性腸疾患、およびクローン病が包含され得る。以下で説明されるように、腸管、消化管または腸の障害(口腔潰瘍、歯肉疾患、胃炎、大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、炎症性腸疾患、およびクローン病など)を処置するために短鎖デヒドロゲナーゼ活性の阻害剤(15-PGDH阻害剤など)を単独で、あるいはコルチコステロイドと組み合わせて、それを必要とする対象に投与できるということが見出された。
【0090】
本明細書で説明される15-PGDH阻害剤は、口腔、腸管および/または消化管の損傷もしくは疾患あるいは炎症性腸疾患(IBD)(クローン病、口腔潰瘍、歯肉疾患、胃炎、大腸炎、潰瘍性大腸炎および胃潰瘍など)の防止または処置のための医薬組成物で使用されてよい。消化管疾患の代表である胃炎と胃潰瘍は、消化管の粘膜が胃酸によって消化されて潰瘍を形成する状態と定義される。一般的に粘膜、粘膜下層、筋層および漿膜からなる胃壁において、胃潰瘍は粘膜下層と筋層にさえ損傷を与えるが、胃炎は粘膜だけに損傷を与える。胃炎と胃潰瘍の罹患率は比較的高いが、それらの原因は、未だ明らかにされていない。これまでのところ、それらは、攻撃因子と防御因子の間の不均衡、すなわち、攻撃因子の増加(胃酸またはペプシンの分泌の増加など)または防御因子の減少(胃粘膜の構造的もしくは形態的な欠陥、粘液と重炭酸イオンの分泌の減少、プロスタグランジン産生の減少等など)、によって引き起こされることが知られている。
【0091】
胃炎および胃潰瘍のための現在利用可能な治療薬は、防御因子を強化するための様々な薬物(胃酸分泌に影響を与えないが既に産生された胃酸を中和する制酸剤、胃酸分泌の阻害剤、プロスタグランジン分泌の促進剤、および胃壁用のコーティング作用物質など)を含む。特に、プロスタグランジンは、胃粘膜を保護および防御するためのメカニズムを維持するのに必須であることが知られている(Wallace J L., 2008, Physiol Rev., 88(4), 1547-65;S.J.Konturek et al., 2005, Journal of Physiology and Pharmacology, 56(5))。以上のことを考慮すると、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤は、胃粘膜を保護するプロスタグランジンを分解する15-PGDHに対して抑制活性または阻害活性を示すため、消化管疾患(とりわけ、胃炎と胃潰瘍)の防止または処置に有効であり得る。
【0092】
さらに、コルチコステロイドおよびTNFαアンタゴニストは両方とも、潰瘍性大腸炎およびIBDの患者の処置において使用される。マウスモデルにおいて、15-PGDH阻害剤は、潰瘍性大腸炎の治癒を促進する。我々は、マウスへのコルチコステロイドの投与が結腸の15-PGDHのレベルを上昇させる(これは、大腸炎の処置においてコルチコステロイドの治療有効性を低下させるはずの作用である)、ということを見出した。これは、コルチコステロイドを15-PGDH阻害剤と組み合わせることは、大腸炎(およびIBD)の処置において、いずれかの作用物質を単独で使用するよりも効果的であるはずである、ということを示唆する。
【0093】
同様に、我々は、TNFαが結腸の15-PGDHの発現を抑制するということを示した。これは、TNFαアンタゴニストが結腸の15-PGDHの発現を増加させることになる(これは、大腸炎の処置においてコルチコステロイドの治療有効性を低下させるはずの作用である)ということを示唆する。これは、TNFαアンタゴニスト(例えば、キメラ抗体REMICADE(インフリキシマブ))を15-PGDH阻害剤と組み合わせることは、大腸炎(およびIBD)の処置において、いずれかの作用物質を単独で使用するよりも効果的であるはずである、ということを示唆する。
【0094】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤とコルチコステロイドまたは15-PGDH阻害剤とTNF阻害剤は、アトピー性皮膚炎、乾癬、湿疹性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎(ツタウルシへの曝露、ウルシへの曝露、および毒ウルシへの曝露など)、脂漏性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎および他のステロイド反応性皮膚疾患などの病状に関連する炎症および/または異常な免疫系の活性を処置するために使用される局所用の組成物または製剤で提供されてよい。
【0095】
他の実施形態では、局所用組成物で提供される15-PGDH阻害剤とコルチコステロイドまたは15-PGDH阻害剤とTNF阻害剤は、例えば尋常性ざ瘡、脱毛症、円形脱毛症(alopecia greata)、白斑、湿疹、乾燥性湿疹、毛孔性角化症、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状苔癬、慢性単純性苔癬、結節性痒疹、円板状エリテマトーデス、Jessner/Kanofのリンパ球浸潤、皮膚リンパ球腫(lymphacytoma cutis)、壊疽性膿皮症、肛門そう痒症(pruritis ani)、サルコイドーシス、耳輪結節性軟骨皮膚炎(chondrodermatitis nodularis helices)および他の炎症性皮膚疾患を処置するために使用されてよい。
【0096】
15-PGDH阻害剤とコルチコステロイドまたは15-PGDH阻害剤とTNF阻害剤によって処置される病状には、例えば、ケロイド、肥厚性瘢痕、前脛骨粘液水腫および他の浸潤性皮膚疾患も包含され得る。さらなる病状としては、例えば、環状肉芽腫、糖尿病性リポイド類壊死症、サルコイドーシスおよび他の非感染性肉芽腫が挙げられる。
【0097】
さらに他の実施形態では、創傷治癒、組織再生および/または組織修復のために、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤をコルチコステロイドまたはTNF阻害剤と組み合わせて投与できる。様々なプロスタグランジンの中で、PGE2は、創傷治癒のためのメディエーターとして働くことが知られている。従って、ステロイドを投与されている対象(手術を受けたことによる創傷を治癒させる者を含む)は、PGE2を増強して創傷治癒を促進するために15-PGDH阻害剤を投与されてよい。
【0098】
さらに、プロスタグランジンのレベルの増加は、βカテニンが媒介する転写活性の増加を介して、Wntシグナル伝達経路を介したシグナル伝達を刺激するということが示されている。Wntシグナル伝達は、組織幹細胞によって利用される重要な経路であることが知られている。従って、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤は、コルチコステロイド処置を受ける対象において組織の再生または修復を促進することを含むであろう目的のために、組織幹細胞の数を増加させるために利用されてよい。さらに、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤は、限定されるものではないが脳、目、角膜、網膜、肺、心臓、胃、小腸、膵臓、膵臓のβ細胞、腎臓、骨、軟骨および末梢神経を含む、さらなる器官において組織の再生または修復を促進するために利用されてよい。
【0099】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、コルチコステロイド依存性もしくはコルチコイド抵抗性またはコルチコステロイドに対する不応性もしくは不耐性を経験する対象においてグルココルチコイド非感受性を処置するために、コルチコステロイド感受性を回復させるために、グルココルチコイド感受性を亢進するために、および/またはグルココルチコイド非感受性を逆転させるために、グルココルチコイド増感剤として使用されてよい。グルココルチコイド増感剤として使用される場合の15-PGDH阻害剤の治療効果には、コルチコステロイド依存性患者におけるステロイドの節約、より良好なコルチコステロイドに対する反応性もしくは耐性、より低い用量のコルチコステロイドの使用によって効能を達成すること、抗原への曝露、感染症、運動もしくは刺激物質に反応して不応性反応または抵抗性または悪化を呈するリスクがある個体を予防すること、最適な免疫機能を達成すること、ステロイド投与が漸減もしくは中止された場合の、またはコルチコステロイドの長期投与後の、対象もしくは患者のより穏やかな反応、コルチコステロイドに関連する有害事象(日和見感染、骨量減少、病的骨折、糖尿病、白内障、およびそれらの組み合わせなど)を発症するリスクの低減が包含されるが、これらに限定されない。
【0100】
一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤は、コルチコステロイド依存性もしくはコルチコイド抵抗性またはコルチコステロイドに対する不応性もしくは不耐性を経験する対象においてグルココルチコイド非感受性を処置するために、コルチコステロイド感受性を回復させるために、グルココルチコイド感受性を亢進するために、および/またはグルココルチコイド非感受性を逆転させるために、コルチコステロイドと組み合わせて対象に投与されてよい。グルココルチコイド非感受性に関連する状態には、治療が疾患の抑制を達成できないか効果的でないかコルチコステロイドに対して不耐性もしくは依存性である場合の、ステロイドで処置される、ある範囲の免疫-炎症性障害/疾患およびそれらの組み合わせが包含され得る。
【0101】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤とコルチコステロイドまたは15-PGDH阻害剤とTNF阻害剤は、グルココルチコイド抵抗性喘息、難治性関節リウマチ、難治性炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群、間質性肺線維症、嚢胞性線維症、難治性潰瘍性大腸炎、重症のクローン病を有する子供、コルチコステロイド不応性喘息、コルチコステロイドに不応性の剥離性間質性肺炎、難治性炎症性ミオパチー、難治性重症筋無力症、難治性尋常性天疱瘡、メトトレキサート不応性RA患者、難治性ネフローゼ症候群、難治性多発性硬化症、難治性スプルー様疾患(refractory sprue-like disease)、ステロイド抵抗性サルコイドーシス、尋常性天疱瘡の難治性粘膜病変、難治性シュニッツラー症候群、頭頸部の抵抗性皮膚炎(resistant dermatitis of the head and neck)、重症の難治性アトピー性皮膚炎、難治性特発性血小板減少症紫斑病、難治性眼窩筋炎、難治性もしくは再発性のリンパ腫、敗血症もしくは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)および関連する副腎不全を有する重症患者、酒さ、リウマチ性多発筋痛症、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、川崎症候群(Kawasaki syndrome)、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、多巣性運動ニューロパチー、スティッフマン症候群、コルチコステロイド依存性全身性エリテマトーデス、コルチコステロイド依存性多発性硬化症、症候性コルチコステロイド依存性喘息、原発性シェーグレン症候群、全身性血管炎、多発性筋炎、臓器移植、移植片対宿主病、炎症性疾患、自己免疫疾患、過剰増殖性疾患(hyperproliferative disease)、ループス、変形性関節症、鼻副鼻腔炎、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、遺伝性血管性浮腫、腱炎、滑液包炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、肝硬変、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎(dermatitus)、悪性腫瘍、白血病、骨髄腫、リンパ腫、急性副腎不全、リウマチ熱、肉芽腫性疾患、免疫増殖/アポトーシス(immune proliferation/apotosis)、視床下部・下垂体・副腎(HPA)系の抑制と調節、高コルチゾール血症、Th1/Th2サイトカインバランスの調節、慢性腎疾患、脊髄損傷、脳浮腫、血小板減少症、リトル症候群(Little's syndrome)、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、ぶどう膜炎、尋常性天疱瘡、鼻ポリープ、敗血症、細菌感染症、ウイルス感染症、リケッチア感染症、寄生虫感染症、II型糖尿病、肥満症、メタボリックシンドローム、うつ病、統合失調症、気分障害、クッシング症候群、不安、睡眠障害、記憶と学習の増強(memory and learning enhancement)、グルココルチコイド誘発性緑内障、アトピー性皮膚炎、薬物過敏反応、血清病、水疱性ヘルペス状皮膚炎(bullous dermatitis herpetiformis)、接触性皮膚炎、剥脱性紅皮症、菌状息肉症、天疱瘡、非化膿性甲状腺炎、交感性眼炎、ぶどう膜炎、局所ステロイドに反応しない眼の炎症状態、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、劇症型もしくは播種性の肺結核(適切な化学療法と同時に使用される場合)、過敏性肺炎、器質化肺炎を伴う特発性閉塞性細気管支炎、特発性好酸球性肺炎、特発性肺線維症、適切な抗PCP抗生物質での処置も受けているHIV(+)個体において生じる低酸素血症に関連するニューモシスチスカリニ肺炎(PCP)、尿毒症を伴わない特発性タイプのネフローゼ症候群またはエリテマトーデスに起因するネフローゼ症候群における利尿もしくはタンパク尿の寛解、強直性脊椎炎、リウマチ性多発筋痛症、乾癬性関節炎、再発性多発性軟骨炎、神経もしくは心筋への迷入を伴う旋毛虫症、および結核性髄膜炎からなる群より選択される1種以上のグルココルチコイド非感受性に関連する疾患、障害または状態を呈する対象に投与されてよい。
【0102】
本明細書で説明される方法において使用される15-PGDH阻害剤は、15-PGDHを発現する細胞に阻害剤と推定される化合物を適用してから15-PGDH活性に対する機能的効果を決定するアッセイを用いて特定できる。見込みのある阻害剤で処理される15-PGDHを含むサンプルまたはアッセイは、効果の程度を調べるために、その阻害剤を伴わない対照サンプルと比較される。(モジュレーターで処理されない)対照サンプルには、100%という相対的な15-PGDH活性の値が割り当てられる。15-PGDHの阻害は、対照と比較した15-PGDH活性の値が約80%、必要に応じて50%または25%、10%、5%または1%、である場合に達成される。
【0103】
15-PGDHの阻害剤として試験される作用物質は、任意の小さな化学分子または化合物であってよい。典型的には、試験化合物は、小さな化学分子、天然物またはペプチドであろう。アッセイは、アッセイの工程を自動化することと、典型的には(例えば、ロボットによるアッセイにおいてマイクロタイタープレート上でのマイクロタイターフォーマットで)並行して実行されるアッセイに任意の便利な供給源から化合物を供することと、によって大きな化合物ライブラリーをスクリーニングするように設計される。
【0104】
一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤には、以下の式(I):
【化6】
を有する化合物であって、式中、
nは0~2であり、
Y
1、Y
2およびR
1は、同じであるか異なっており、それぞれ、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、ヘテロアリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、-Si(C
1~C
3アルキル)
3、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル、ホスフェート、リン酸エステル;アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;それらの組み合わせからなる群より選択され、Y
1とY
2が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、ここで環は、置換されているか置換されていないアリール、置換されているか置換されていないヘテロアリール、置換されているか置換されていないシクロアルキル、および置換されているか置換されていないヘテロシクリルであり、
U
1はN、C-R
2またはC-NR
3R
4であり、ここでR
2は、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、O(CO)R’、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
1とR
2が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、R
3およびR
4は、同じであるか異なっており、それぞれ、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
3またはR
4は存在しなくてもよく、
X
1およびX
2は、独立的に、NまたはCであり、ここでX
1および/またはX
2がNである場合、Y
1および/またはY
2はそれぞれ存在せず、
Z
1はO、S、CR
aR
bまたはNR
aであり、ここでR
aおよびR
bは、独立的に、H、または直鎖状、分枝状もしくは環状であり且つ置換されていないか置換されているC
1~8アルキルである、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0105】
式(I)を有する15-PGDH阻害剤の例としては、以下の化合物:
【化7】
およびそれらの医薬的に許容される塩が挙げられる。
【0106】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤には、以下の式(II):
【化8】
を有する化合物であって、式中、
nは0~2であり、
X
4、X
5、X
6およびX
7は、独立的に、NまたはCR
cであり、
R
1、R
6、R
7およびR
cは、独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、ヘテロアリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、-Si(C
1~C
3アルキル)
3、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル、ホスフェート、リン酸エステル;アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;それらの組み合わせからなる群より選択され、R
6とR
7が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、ここで環は、置換されているか置換されていないアリール、置換されているか置換されていないヘテロアリール、置換されているか置換されていないシクロアルキル、および置換されているか置換されていないヘテロシクリルであり、
U
1はN、C-R
2またはC-NR
3R
4であり、ここでR
2は、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、O(CO)R’、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
1とR
2が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、R
3およびR
4は、同じであるか異なっており、それぞれ、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
3またはR
4は存在しなくてもよく、
Z
1はO、S、CR
aR
bまたはNR
aであり、ここでR
aおよびR
bは、独立的に、H、または直鎖状、分枝状もしくは環状であり且つ置換されていないか置換されているC
1~8アルキルである、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0107】
式(II)を有する15-PGDH阻害剤の例としては、以下の化合物:
【化9】
およびそれらの医薬的に許容される塩が挙げられる。
【0108】
さらに他の実施形態では、15-PGDH阻害剤には、以下の式(III)または(IV):
【化10】
を有する化合物であって、式中、
nは0~2であり、
X
6は、独立的に、NまたはCR
cであり、
R
1、R
6、R
7およびR
cは、独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、ヘテロアリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、-Si(C
1~C
3アルキル)
3、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル、ホスフェート、リン酸エステル;アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;それらの組み合わせからなる群より選択され、R
6とR
7が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、ここで環は、置換されているか置換されていないアリール、置換されているか置換されていないヘテロアリール、置換されているか置換されていないシクロアルキル、および置換されているか置換されていないヘテロシクリルであり、
U
1はN、C-R
2またはC-NR
3R
4であり、ここでR
2は、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、O(CO)R’、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
1とR
2が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、R
3およびR
4は、同じであるか異なっており、それぞれ、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
3またはR
4は存在しなくてもよく、
Z
1はO、S、CR
aR
bまたはNR
aであり、ここでR
aおよびR
bは、独立的に、H、または直鎖状、分枝状もしくは環状であり且つ置換されていないか置換されているC
1~8アルキルである、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0109】
一部の実施形態において、R
1は、-(CH
2)n
1CH
3(n
1=0~7)を含む分枝状または直鎖状のアルキル、
【化11】
からなる群より選択され、ここで、n
2=0~6であり、Xは、以下のうちのいずれかである:CF
yH
z(y+z=3)、CCl
yH
z(y+z=3)、OH、OAc、OMe、R
71、OR
72、CN、N(R
73)
2、
【化12】
【0110】
他の実施形態では、R
6およびR
7は、それぞれ独立的に、以下のうちの1つであってよく、
【化13】
各R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48、R
49、R
50、R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67、R
68、R
69、R
70、R
71、R
72、R
73およびR
74は、同じであるか異なっており、独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、5~14個の環原子を含むヘテロアリールもしくはヘテロシクリル(ここで環原子のうちの1~6個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
3アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、シリル、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、スルファンアミド(-SO
2N(R)
2;ここでRは、独立的に、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル(-[(CH
2)
nO]
m)、ホスフェート、リン酸エステル[-OP(O)(OR)
2;ここでR=H、メチルまたは他のアルキル];アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;およびそれらの組み合わせ、ならびにそれらの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。
【0111】
さらに他の実施形態では、R6およびR7は、独立的に、水溶性を改善する基(例えば、リン酸エステル(-OPO3H2)、リン酸エステル(-OPO3H2)に連結されたフェニル環、1つ以上のメトキシエトキシ基で置換されたフェニル環、またはモルホリン)、またはそのような基で置換されたアリール環もしくはヘテロアリール環、であってよい。
【0112】
式(III)または(IV)を有する15-PGDH阻害剤の例としては、以下の化合物:
【化14】
およびそれらの医薬的に許容される塩が挙げられる。
【0113】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤には、以下の式(V):
【化15】
を有する化合物であって、式中、
nは0~2であり、
X
6は、独立的に、NまたはCR
cであり、
R
1、R
6、R
7およびR
cは、それぞれ独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、ヘテロアリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、-Si(C
1~C
3アルキル)
3、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル、ホスフェート、リン酸エステル;アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;それらの組み合わせからなる群より選択され、R
6とR
7が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、ここで環は、置換されているか置換されていないアリール、置換されているか置換されていないヘテロアリール、置換されているか置換されていないシクロアルキル、および置換されているか置換されていないヘテロシクリルであり、
U
1はN、C-R
2またはC-NR
3R
4であり、ここでR
2は、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X、O-CH
2-CH
2X、X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、O(CO)R’、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
1とR
2が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、R
3およびR
4は、同じであるか異なっており、それぞれ、H、低級アルキル基、O、(CH
2)
n1OR’(ここでn1=1、2、または3)、CF
3、CH
2-CH
2X、CH
2-CH
2-CH
2X(ここでX=H、F、Cl、Br、またはI)、CN、(C=O)-R’、(C=O)N(R’)
2、COOR’(ここでR’はHまたは低級アルキル基である)からなる群より選択され、R
3またはR
4は存在しなくてもよい、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0114】
一部の実施形態において、R
1は、-(CH
2)n
1CH
3(n
1=0~7)を含む分枝状または直鎖状のアルキル、
【化16】
からなる群より選択され、ここで、n
2=0~6であり、Xは、以下のうちのいずれかである:CF
yH
z(y+z=3)、CCl
yH
z(y+z=3)、OH、OAc、OMe、R
71、OR
72、CN、N(R
73)
2、
【化17】
【0115】
他の実施形態では、R
6およびR
7は、それぞれ独立的に、以下のうちの1つであってよく、
【化18】
各R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48、R
49、R
50、R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67、R
68、R
69、R
70、R
71、R
72、R
73およびR
74は、同じであるか異なっており、独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、5~14個の環原子を含むヘテロアリールもしくはヘテロシクリル(ここで環原子のうちの1~6個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
3アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、シリル、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、スルファンアミド(-SO
2N(R)
2;ここでRは、独立的に、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル(-[(CH
2)
nO]
m)、ホスフェート、リン酸エステル[-OP(O)(OR)
2;ここでR=H、メチルまたは他のアルキル];アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;およびそれらの組み合わせ、ならびにそれらの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。
【0116】
さらに他の実施形態では、R6およびR7は、独立的に、水溶性を改善する基(例えば、リン酸エステル(-OPO3H2)、リン酸エステル(-OPO3H2)に連結されたフェニル環、1つ以上のメトキシエトキシ基で置換されたフェニル環、またはモルホリン)、またはそのような基で置換されたアリール環もしくはヘテロアリール環、であってよい。
【0117】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤には、以下の式(VI):
【化19】
を有する化合物であって、式中、
n=0~2であり、
X
6はNまたはCR
cであり、
R
1は、-(CH
2)n
1CH
3(n
1=0~7)を含む分枝状または直鎖状のアルキル、
【化20】
からなる群より選択され、ここで、n
2=0~6であり、Xは、以下の:CF
yH
z(y+z=3)、CCl
yH
z(y+z=3)、OH、OAc、OMe、R
71、OR
72、CN、N(R
73)
2、
【化21】
のうちのいずれかであり、
R
5は、H、Cl、F、NH
2およびN(R
76)
2からなる群より選択され、
R
6およびR
7は、それぞれ独立的に、以下の:
【化22】
のうちの1つであってよく、
各R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48、R
49、R
50、R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67、R
68、R
69、R
70、R
71、R
72、R
73、R
74、R
76およびR
cは、同じであるか異なっており、独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、5~14個の環原子を含むヘテロアリールもしくはヘテロシクリル(ここで環原子のうちの1~6個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
3アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、シリル、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、スルファンアミド(-SO
2N(R)
2;ここでRは、独立的に、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル(-[(CH
2)
nO]
m)、ホスフェート、リン酸エステル[-OP(O)(OR)
2;ここでR=H、メチルまたは他のアルキル];アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0118】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤には、以下の式(VII):
【化23】
を有する化合物であって、式中、
n=0~2であり、
X
6はNまたはCR
cであり、
R
1は、-(CH
2)n
1CH
3(n
1=0~7)を含む分枝状または直鎖状のアルキル、
【化24】
からなる群より選択され、ここで、n
2=0~6であり、Xは、以下の:CF
yH
z(y+z=3)、CCl
yH
z(y+z=3)、OH、OAc、OMe、R
71、OR
72、CN、N(R
73)
2、
【化25】
のうちのいずれかであり、
R
5は、H、Cl、F、NH
2およびN(R
76)
2からなる群より選択され、
R
7は、それぞれ独立的に、以下の:
【化26】
のうちの1つであってよく、
各R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48、R
49、R
50、R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67、R
68、R
69、R
70、R
71、R
72、R
73、R
74、R
76およびR
cは、同じであるか異なっており、独立的に、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、5~14個の環原子を含むヘテロアリールもしくはヘテロシクリル(ここで環原子のうちの1~6個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
3アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、シリル、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、スルファンアミド(-SO
2N(R)
2;ここでRは、独立的に、H、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル(-[(CH
2)
nO]
m)、ホスフェート、リン酸エステル[-OP(O)(OR)
2;ここでR=H、メチルまたは他のアルキル];アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0119】
式(V)、(VI)または(VII)を有する化合物の例は、
【化27】
およびそれらの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。
【0120】
特定の実施形態では、(ia)2.5μMの濃度にて、15-PGDHルシフェラーゼ融合コンストラクトを発現するVaco503レポーター細胞株を70よりも高いルシフェラーゼアウトプットレベルまで刺激することができる(100という値がベースラインに対してレポーターのアウトプットが2倍になることを示す尺度を使用);(iia)2.5μMの濃度にて、15-PGDHルシフェラーゼ融合コンストラクトを発現するV9mレポーター細胞株を75よりも高いルシフェラーゼアウトプットレベルまで刺激することができる;(iiia)7.5μMの濃度にて、15-PGDHルシフェラーゼ融合コンストラクトを発現するLS174Tレポーター細胞株を70よりも高いルシフェラーゼアウトプットレベルまで刺激することができる;および(iva)7.5μMの濃度にて、TK-ウミシイタケルシフェラーゼレポーターを発現する陰性対照V9m細胞株を20よりも高いレベルまで活性化しない;および(va)1μM未満のIC50で組み換え15-PGDHタンパク質の酵素活性を阻害する、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)および(VII)を有する15-PGDH阻害剤が選択されてよい。
【0121】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、(ib)2.5μMの濃度にて、15-PGDHルシフェラーゼ融合コンストラクトを発現するVaco503レポーター細胞株を刺激してルシフェラーゼのアウトプットを増加させることができる;(iib)2.5μMの濃度にて、15-PGDHルシフェラーゼ融合コンストラクトを発現するV9mレポーター細胞株を刺激してルシフェラーゼのアウトプットを増加させることができる;(iiib)7.5μMの濃度にて、15-PGDHルシフェラーゼ融合コンストラクトを発現するLS174Tレポーター細胞株を刺激してルシフェラーゼのアウトプットを増加させることができる;(ivb)7.5μMの濃度にて、TK-ウミシイタケルシフェラーゼレポーターを発現する陰性対照V9m細胞株をバックグラウンドよりも20%超高いルシフェラーゼレベルまで活性化しない;および(vb)1μM未満のIC50で組み換え15-PGDHタンパク質の酵素活性を阻害する。
【0122】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、約5nM~約10nMの組み換え15-PGDHの濃度にて、1μM未満のIC50で、または好ましくは250nM未満のIC50で、またはより好ましくは50nM未満のIC50で、またはより好ましくは10nM未満のIC50で、またはより好ましくは5nM未満のIC50で、組み換え15-PGDHの酵素活性を阻害できる。
【0123】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、適切な作用物質(例えば、IL1β)でA459細胞を刺激した後にPGE-2の細胞レベルを増加させることができる。
【0124】
一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤には、以下の式(VIII):
【化28】
を有する化合物であって、式中、
nは0~2であり、
R
1、R
6およびR
7は、同じであるか異なっており、それぞれ、水素、置換されているか置換されていないC
1~C
24アルキル、C
2~C
24アルケニル、C
2~C
24アルキニル、C
3~C
20アリール、ヘテロアリール、5~6個の環原子を含むヘテロシクロアルケニル(ここで環原子のうちの1~3個は、独立的に、N、NH、N(C
1~C
6アルキル)、NC(O)(C
1~C
6アルキル)、O、およびSから選択される)、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル、ハロ、-Si(C
1~C
3アルキル)
3、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C
1~C
24アルコキシ、C
2~C
24アルケニルオキシ、C
2~C
24アルキニルオキシ、C
5~C
20アリールオキシ、アシル(C
2~C
24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC
6~C
20アリールカルボニル(-CO-アリール)が包含される)、アシルオキシ(-O-アシル)、C
2~C
24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、C
2~C
24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C
6~C
20アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO
-)、カルバモイル(-(CO)-NH
2)、C
1~C
24アルキル-カルバモイル(-(CO)-NH(C
1~C
24アルキル))、アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH
2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH
2)、シアノ(-CN)、イソシアノ(-N
+C
-)、シアナト(-O-CN)、イソシアナト(-O-N
+=C
-)、イソチオシアナト(-S-CN)、アジド(-N=N
+=N
-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH
2)、C
1~C
24アルキルアミノ、C
5~C
20アリールアミノ、C
2~C
24アルキルアミド(-NH(CO)-アルキル)、C
6~C
20アリールアミド(-NH(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH;ここでRは水素、C
1~C
24アルキル、C
5~C
20アリール、C
6~C
24アルカリール、C
6~C
24アラルキル等である)、アルキルイミノ(-CR=N(アルキル);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル等)、アリールイミノ(-CR=N(アリール);ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリール等)、ニトロ(-NO
2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO
2-OH)、スルホナト(-SO
2-O
-)、C
1~C
24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼称される)、C
1~C
24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C
5~C
20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C
1~C
24アルキルスルホニル(-SO
2-アルキル)、C
5~C
20アリールスルホニル(-SO
2-アリール)、スルホンアミド(-SO
2-NH
2、-SO
2NY
2(ここでYは、独立的に、H、アリールまたはアルキルである))、ホスホノ(-P(O)(OH)
2)、ホスホナト(-P(O)(O
-)
2)、ホスフィナト(-P(O)(O
-))、ホスホ(-PO
2)、ホスフィノ(-PH
2)、ポリアルキルエーテル、ホスフェート、リン酸エステル;アミノ酸が、または生理学的pHで正電荷もしくは負電荷を帯びると予想される他の部分が、組み込まれた基;それらの組み合わせからなる群より選択され、R
6とR
7が連結して環式もしくは多環式の環を形成してもよく、ここで環は、置換されているか置換されていないアリール、置換されているか置換されていないヘテロアリール、置換されているか置換されていないシクロアルキル、および置換されているか置換されていないヘテロシクリルである、
化合物およびそれらの医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0125】
式(VIII)を有する15-PGDH阻害剤は、以下に示されるように合成できる:
【化29】
【0126】
反応に関与しない限り、任意の反応溶媒が上記の調製プロセスにおいて使用されてよい。例えば、反応溶媒には、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンなど);ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタンおよびクロロホルムなど);アミン(ピリジン、ピペリジンおよびトリエチルアミンなど);アルキルケトン(アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルなど);アルコール(メタノール、エタノールおよびプロパノールなど);非プロトン性極性溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドおよびヘキサメチルリン酸トリアミドなど)が包含される。有機合成において通常使用される非反応性有機溶媒のうち、好ましい溶媒は、反応において生じた水をディーンスタークトラップによって除去することができるものである。そのような溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられるが、これらに限定されない。このようにして得られた反応生成物は、有機合成の分野で通常行われる凝縮、抽出等によって、望ましい場合にはシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、単離および精製されてよい。式IIIを有するPGDH阻害剤の個々のエナンチオマーは、キラル固定相を含むクロマトグラフィーカラムを用いた分取HPLCによって分離することができる。
【0127】
さらに、本出願の実施形態には、上述の15-PGDH阻害剤の調製方法についての任意の改変が包含される。これに関連して、調製方法の任意のステップから得ることができる中間生成物はいずれも、他のステップにおける出発物質として使用することができる。そのような出発物質は、特定の反応条件下においてインサイチュで形成され得る。反応試薬はまた、それらの塩または光学異性体の形態で使用されてもよい。
【0128】
15-PGDH阻害剤の調製において使用される置換基の種類ならびに中間生成物および選択される調製方法に応じて、新規の15-PGDH阻害剤は、可能性のある任意の異性体(実質的に純粋な幾何(シスもしくはトランス)異性体、光学異性体(エナンチオマー)およびラセミ体など)の形態であってよい。
【0129】
一部の実施形態において、式(VIII)を有する15-PGDH阻害剤には、以下の式(IX):
【化30】
を有する化合物およびその医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0130】
有利なことに、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤は、(i)1nMの濃度にて組み換え15-PGDHを阻害すること;(ii)100nMの濃度にて細胞株中の15-PGDHを阻害すること;(iii)細胞株によるPGE2産生を増加させること;(iv)広いpH範囲にわたって水溶液中で化学的に安定であること;(v)肝細胞抽出物と共にインキュベートされた場合に化学的に安定であること;(vi)肝細胞の細胞株と共にインキュベートされた場合に化学的に安定であること;(vii)マウスにIP注射された場合に253分という血漿中半減期を示すこと;ならびに(viii)マウス1匹あたり0.6μモルで、およびマウス1匹あたり1.2μモルで、マウスにIP注射された場合に24時間にわたって即時毒性を示さず、21日間にわたって1日2回、マウス1匹あたり0.3μモルでマウスにIP注射された場合でも毒性を示さないことが見出された。
【0131】
他の実施形態では、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤には、以下の式(IXa):
【化31】
を有する化合物およびその医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0132】
さらに他の実施形態では、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤には、以下の式(IXb):
【化32】
を有する化合物およびその医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0133】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)または(-)の光学異性体を含んでよい。さらに他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)または(-)の光学異性体の少なくとも一方の混合物を含んでよい。例えば、15-PGDH阻害剤は、約50重量%未満の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約50重量%超の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約25重量%未満の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約75重量%超の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約10重量%未満の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約90重量%超の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約1重量%未満の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約99重量%超の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約50重量%超の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約50重量%未満の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約75重量%超の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約25重量%未満の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約90重量%超の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約10重量%未満の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、または約99重量%超の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約1重量%未満の式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、混合物を含んでよい。
【0134】
さらに他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体から本質的になってよいか、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体からなってよい。さらに別の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体から本質的になってよいか、式(IX)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体からなってよい。
【0135】
他の実施形態では、式(VIII)を有する15-PGDH阻害剤には、以下の式(X):
【化33】
を有する化合物およびその医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0136】
有利なことに、式(X)を有する15-PGDH阻害剤は、(i)3nMの濃度にて組み換え15-PGDHを阻害すること;(ii)20nMにて細胞株によるPGE2産生を増加させること;(iii)広いpH範囲にわたって水溶液中で化学的に安定であること;(iv)マウス、ラットおよびヒトの肝臓抽出物と共にインキュベートされた場合に化学的に安定であること;(v)マウスにIP注射された場合に33分という血漿中半減期を示すこと;(viii)体重1kgあたり50mgでマウスにIP注射された場合に24時間にわたって即時毒性を示さないこと;および(ix)1mg/mLで水(pH=3)に可溶であることが見出された。
【0137】
他の実施形態では、式(X)を有する15-PGDH阻害剤には、以下の式(Xa):
【化34】
を有する化合物およびその医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0138】
さらに他の実施形態では、式(X)を有する15-PGDH阻害剤には、以下の式(Xb):
【化35】
を有する化合物およびその医薬的に許容される塩が包含されてよい。
【0139】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)または(-)の光学異性体を含んでよい。さらに他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)または(-)の光学異性体の少なくとも一方の混合物を含んでよい。例えば、15-PGDH阻害剤は、約50重量%未満の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約50重量%超の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約25重量%未満の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約75重量%超の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約10重量%未満の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約90重量%超の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約1重量%未満の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約99重量%超の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約50重量%超の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約50重量%未満の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約75重量%超の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約25重量%未満の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、約90重量%超の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約10重量%未満の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、または約99重量%超の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体と約1重量%未満の式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体との、混合物を含んでよい。
【0140】
さらに他の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体から本質的になってよいか、式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(+)の光学異性体からなってよい。さらに別の実施形態では、15-PGDH阻害剤は、式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体から本質的になってよいか、式(X)を有する15-PGDH阻害剤の(-)の光学異性体からなってよい。
【0141】
本明細書で説明される方法において他の15-PGDH阻害剤が使用されてもよいということが理解されるであろう。これらの他の15-PGDH阻害剤には、既知の15-PGDH阻害剤が包含されてよく、これらには、例えば、米国特許出願公開第2006/0034786号および米国特許第7,705,041号に記載される式(I)および(II)のテトラゾール化合物、式(I)の2-アルキリデンアミノオキシアセトアミド化合物、式(VI)および(VII)の複素環化合物、および式(III)のピラゾール化合物;米国特許出願公開第2007/0071699号に記載される式(I)のベンジリデン-1,3-チアゾリジン化合物;米国特許出願公開第2007/0078175号に記載されるフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物およびフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物;米国特許出願公開第2011/0269954号に記載されるチアゾリデンジオン誘導体;米国特許第7,294,641号に記載されるフェニルフラン化合物、フェニルチオフェン化合物、またはフェニルピラゾール化合物;米国特許第4,725,676号に記載される5-(3,5-二置換フェニルアゾ)-2-ヒドロキシベンゼン-酢酸および塩とラクトン;ならびに米国特許第4,889,846号に記載されるアゾ化合物が包含される。
【0142】
特定の実施形態では、コルチコステロイドは、アクロベート、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、アムシノニド、アリストコートA、増強されたジプロピオン酸ベタメタゾン、ベクラメタゾン、ジプロピオン酸ベクロプメタゾン、ベタメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、ベタメタゾン-17-ベンゾエート、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン・リン酸ベタメタゾンナトリウム、吉草酸ベタメタゾン、ベタメタゾン-17-バレレート、クロロプレドニゾン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾン、クロコルテロン、コルドラン、コルチコステロン、コルチゾール、酢酸コルチゾール、シピオン酸コルチゾール、リン酸コルチゾールナトリウム、コハク酸コルチゾールナトリウム、コルチゾン、酢酸コルチゾン、コルトドキソン、シクロコート、デフラザコート、デフルプレドネート、デスシノロン、デソニド、デソウェン、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、ピバル酸デスオキシコルチコステロン、11-デスオキシコルチゾール、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、ジヒドロキシコルチゾン、ジプロレン(diprolen)、ジプロレン(diprolene)、ジプロゾン、ベタメタゾンのエステル、フロロン、フルセトニド、フルクロロニド、フルコルトロン、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルメタロン、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、酢酸フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオラメトロン、フルオロコルチゾン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルロアンドレノロンアセトニド、プロピオン酸フルチカゾン、フプレドニゾロン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハログ、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、ケナログ、リデックス、ロコルド、ロコルテン、マキシフロール、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、メチルプレドニゾン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニドン、プレドニゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、プソルコン、シナラール、テモベート、テトラヒドロコルチゾール、トピコート、トピコートLP、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサコトニド、トリデシロン、バリゾンおよびウェストコートからなる群より選択される。
【0143】
他の実施形態では、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤と組み合わせて使用されるコルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ナフロコルト(naflocort)、デフラザコート、酢酸ハロプレドン、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ピバル酸クロコルトロン、アセポン酸メチルプレドニゾロン、パルミチン酸デキサメタゾン(dexamethasone palmitoate)、チプレダン(tipredane)、アセポン酸ヒドロコルチゾン、プレドニカルベート(prednicarbate)、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ハロメタゾン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、リメキソロン、プレドニゾロンファメシレート(prednisolone famesylate)、シクレソニド、プロピオン酸デプロドン、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、エタボン酸ロテプレドノール、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、フルニソリド、プレドニゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、トリアムシノロン、ベタメタゾン 17-バレレート、ベタメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウムおよびヒドロコルチゾンプロブテート(hydrocortisone probutate)である。
【0144】
特定の実施形態では、本明細書で説明されるTNF阻害剤には、抗TNFα抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴールおよび/またはゴリムマブなど)、受容体-コンストラクト融合タンパク質(receptor-construct fusion protein)(エタネルセプトなど)、または小分子(限定されるものではないが、ポマリドミド、サリドマイド、レナリドミドおよびブプロピオンなど)が包含されてよいが、これらに限定されない。
【0145】
本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドおよびTNF阻害剤は、医薬組成物で提供されてよい。本明細書で説明される15-PGDH阻害剤とコルチコステロイドを有効成分として含む医薬組成物は、誘導体を医薬的に許容される担体(複数可)もしくは賦形剤(複数可)と混合すること、または本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドおよびTNF阻害剤を従来の方法に従って希釈剤で希釈すること、によって製造されてよい。医薬組成物は、充填剤、粘着防止剤(anti-cohesive)、潤滑剤、湿潤剤、香味料、乳化剤、保存料等をさらに含んでよい。医薬組成物は、哺乳動物に投与された後に本明細書で説明される15-PGDH阻害剤および/またはコルチコステロイドの即時放出、制御放出もしくは徐放をもたらすことができるように、当業者に知られている方法に従って好適な製剤に製剤化されてよい。
【0146】
一部の実施形態において、医薬組成物は、非経口剤形または経口剤形に製剤化されてよい。経口投与用の固形剤形は、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドに賦形剤を(必要であれば、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、着色料および/または香味料と一緒に)添加すること、および得られた混合物を錠剤、糖衣丸剤、顆粒剤、粉末またはカプセルの形態に成形すること、によって製造されてよい。組成物に添加することができる添加剤は、当該技術分野における通常のものであってよい。例えば、賦形剤の例としては、ラクトース、スクロース、塩化ナトリウム、グルコース、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、ケイ酸塩等が挙げられる。例示的な結合剤には、水、エタノール、プロパノール、スイートシロップ、スクロース溶液、デンプン溶液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、セラック、ホスホン酸カルシウムおよびポリピロリドンが包含される。崩壊剤の例としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム(sodium arginate)、寒天粉末、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリドおよびラクトースが挙げられる。さらに、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールが潤滑剤として使用されてもよく、スクロース、苦橙皮(bitter orange peel)、クエン酸、酒石酸が香味料として使用されてもよい。一部の実施形態において、医薬組成物は、吸入によって投与するためにエアロゾル製剤(例えば、それらを噴霧することができる)にすることができる。
【0147】
本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドは、香味料、緩衝剤、安定化剤等と組み合わされてよく、従来の方法に従って溶液、シロップまたはエリキシル剤などの経口用液体剤形に組み込まれてよい。緩衝剤の一例は、クエン酸ナトリウムであってよい。安定化剤の例としては、トラガント、アカシアおよびゼラチンが挙げられる。
【0148】
一部の実施形態において、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドは、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、弛緩薬、局所麻酔薬をそれに添加することによって、例えば皮下経路、筋肉内経路または静脈内経路用の、注射用剤形に組み込まれてよい。pH調整剤および緩衝剤の例としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムが挙げられる。安定化剤の例としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸およびチオ乳酸が挙げられる。局所麻酔薬は、プロカインHCl、リドカインHCl等であってよい。弛緩薬は、塩化ナトリウム、グルコース等であってよい。
【0149】
他の実施形態では、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドは、当技術分野で公知の医薬的に許容される担体(例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオバターまたは脂肪酸トリグリセリド)を(必要であればTweenなどの界面活性剤と一緒に)それに添加することにより、従来の方法に従って坐薬に組み込まれてよい。
【0150】
医薬組成物は、上述されるような様々な剤形に製剤化されてよく、その後、経口経路、吸入経路、経皮経路、皮下経路、静脈内経路または筋肉内経路を含む様々な経路で投与されてよい。投与量は、医薬的に有効な量または治療有効量であってよい。
【0151】
本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドの治療上有効な投与量は、様々な実施形態において異なる量で存在してよい。例えば、一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤の治療有効量は、約10~1000mg(例えば、約20mg~1,000mg、30mg~1,000mg、40mg~1,000mg、50mg~1,000mg、60mg~1,000mg、70mg~1,000mg、80mg~1,000mg、90mg~1,000mg、約10~900mg、10~800mg、10~700mg、10~600mg、10~500mg、100~1000mg、100~900mg、100~800mg、100~700mg、100~600mg、100~500mg、100~400mg、100~300mg、200~1000mg、200~900mg、200~800mg、200~700mg、200~600mg、200~500mg、200~400mg、300~1000mg、300~900mg、300~800mg、300~700mg、300~600mg、300~500mg、400mg~1,000mg、500mg~1,000mg、100mg~900mg、200mg~800mg、300mg~700mg、400mg~700mg、および500mg~600mg)の範囲の量であってよい。一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤は、約10mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg以上の量で存在する。一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤は、約1000mg、950mg、900mg、850mg、800mg、750mg、700mg、650mg、600mg、550mg、500mg、450mg、400mg、350mg、300mg、250mg、200mg、150mgまたは100mg以下の量で存在する。
【0152】
他の実施形態では、コルチコステロイドの治療有効量は、約10~1000mg(例えば、約20mg~1,000mg、30mg~1,000mg、40mg~1,000mg、50mg~1,000mg、60mg~1,000mg、70mg~1,000mg、80mg~1,000mg、90mg~1,000mg、約10~900mg、10~800mg、10~700mg、10~600mg、10~500mg、100~1000mg、100~900mg、100~800mg、100~700mg、100~600mg、100~500mg、100~400mg、100~300mg、200~1000mg、200~900mg、200~800mg、200~700mg、200~600mg、200~500mg、200~400mg、300~1000mg、300~900mg、300~800mg、300~700mg、300~600mg、300~500mg、400mg~1,000mg、500mg~1,000mg、100mg~900mg、200mg~800mg、300mg~700mg、400mg~700mg、および500mg~600mg)の範囲の量であってよい。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、約10mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg以上の量で存在する。一部の実施形態において、コルチコステロイドは、約1000mg、950mg、900mg、850mg、800mg、750mg、700mg、650mg、600mg、550mg、500mg、450mg、400mg、350mg、300mg、250mg、200mg、150mgまたは100mg以下の量で存在する。
【0153】
他の実施形態では、15-PGDH阻害剤および/またはコルチコステロイドの治療上有効な投与量は、例えば、約0.001mg/kg体重~500mg/kg体重(例えば、約0.001mg/kg体重~400mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~300mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~200mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~100mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~90mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~80mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~70mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~60mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~50mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~40mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~30mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~25mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~20mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~15mg/kg体重、約0.001mg/kg体重~10mg/kg体重)であってよい。
【0154】
さらに他の実施形態では、15-PGDH阻害剤および/またはコルチコステロイドの治療上有効な投与量は、例えば、約0.0001mg/kg体重~0.1mg/kg体重(例えば、約0.0001mg/kg体重~0.09mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.08mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.07mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.06mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.05mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~約0.04mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.03mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.02mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.019mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.018mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.017mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.016mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.015mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.014mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.013mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.012mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.011mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.01mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.009mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.008mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.007mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.006mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.005mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.004mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.003mg/kg体重、約0.0001mg/kg体重~0.002mg/kg体重)であってよい。一部の実施形態において、治療上有効な用量は、0.0001mg/kg体重、0.0002mg/kg体重、0.0003mg/kg体重、0.0004mg/kg体重、0.0005mg/kg体重、0.0006mg/kg体重、0.0007mg/kg体重、0.0008mg/kg体重、0.0009mg/kg体重、0.001mg/kg体重、0.002mg/kg体重、0.003mg/kg体重、0.004mg/kg体重、0.005mg/kg体重、0.006mg/kg体重、0.007mg/kg体重、0.008mg/kg体重、0.009mg/kg体重、0.01mg/kg体重、0.02mg/kg体重、0.03mg/kg体重、0.04mg/kg体重、0.05mg/kg体重、0.06mg/kg体重、0.07mg/kg体重、0.08mg/kg体重、0.09mg/kg体重または0.1mg/kg体重であってよい。特定の個体に対する有効な用量は、その個体の必要性に応じて、経時的に変動(例えば、増加または減少)し得る。
【0155】
一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤および/またはコルチコステロイドの治療上有効な投与量は、10μg/kg/日、50μg/kg/日、100μg/kg/日、250μg/kg/日、500μg/kg/日または1000μg/kg/日以上の投与量であってよい。様々な実施形態において、15-PGDH阻害剤および/またはコルチコステロイドの量は、0.01μg/kg~10μg/kg、0.1μg/kg~5μg/kg、0.1μg/kg~1000μg/kg、0.1μg/kg~900μg/kg、0.1μg/kg~900μg/kg、0.1μg/kg~800μg/kg、0.1μg/kg~700μg/kg、0.1μg/kg~600μg/kg、0.1μg/kg~500μg/kg、または0.1μg/kg~400μg/kgの投与量を患者にもたらすのに十分である。
【0156】
本発明に従って投与される特定の用量または量は、例えば所望の結果の性質および/もしくは程度、投与の経路および/もしくは時期の詳細ならびに/または1つ以上の特性(例えば、体重、年齢、個人歴、遺伝的特徴、生活習慣のパラメータ、心臓欠陥の重症度および/もしくは心臓欠陥のリスクのレベル等またはそれらの組み合わせ)に応じて、変動し得る。そのような用量または量は、当業者が決定できる。一部の実施形態において、適切な用量または量は、標準的な臨床技術に従って決定される。例えば、一部の実施形態において、適切な用量または量は、疾患重症度指数を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100%以上減少させるのに十分な用量または量である。例えば、一部の実施形態において、適切な用量または量は、疾患重症度指数を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%減少させるのに十分な用量または量である。あるいは、またはさらに、一部の実施形態において、適切な用量または量は、投与されるべき望ましい、または最適な、投与量の範囲もしくは量を特定するのを助けるための1つまたは複数のインビトロまたはインビボのアッセイを用いて決定される。
【0157】
様々な実施形態には、異なる投与計画が包含され得る。一部の実施形態において、本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドは、持続注入によって投与されてよい。一部の実施形態において、持続注入は静脈内持続注入である。他の実施形態では、持続注入は皮下持続注入である。あるいは、またはさらに、一部の実施形態において、15-PGDH阻害剤は、2ヵ月に1回、毎月、1ヵ月に2回、3週間に1回、2週間に1回、毎週、1週間に2回、1週間に3回、毎日、1日に2回、または別の臨床的に望ましい投与スケジュールで、投与されてよい。単一の対象に対する投与計画は、一定の間隔である必要はないが、その対象の必要性に応じて経時的に変動し得る。
【0158】
局所投与の場合、組成物は、水性、アルコール性、水性-アルコール性もしくは油性の溶液もしくは懸濁液の形態;またはローションもしくはセラムのタイプの分散系の形態;脂肪相を水相(O/W)に、またはその逆(W/O)で、分散させることによって得られる、液体もしくは半液体の粘稠度を有するかペースト状であるエマルジョン、または多重エマルジョンの形態;そのまま使用されるか生理学的に許容される媒体中に組み込まれるフリーの粉末もしくは圧縮粉末の形態;あるいはマイクロカプセルもしくは微粒子の形態;またはイオン性および/もしくは非イオン性のタイプの小胞分散系の形態で投与されてよい。従って、組成物は、軟膏(salve)、チンキ剤、乳液、クリーム、軟膏(ointment)、粉末、パッチ、含浸パッド、溶液、エマルジョンもしくは小胞分散系、ローション、水性ゲルもしくは無水ゲル、スプレー、懸濁液、シャンプー、エアロゾルまたはフォームの形態であってよい。組成物は、無水または水性のものであってよい。組成物はまた、石鹸もしくはクレンジングケーキを構成する固形の調製物を含んでもよい。
【0159】
本明細書で説明される15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドを含む医薬組成物は、例えば、プロスタグランジン類、特にプロスタグランジンPGE1、PGE2、それらの塩、それらのエステル、それらの類似体およびそれらの誘導体、特にWO98/33497、WO95/11003、JP97-100091、JP96-134242に記載されるもの、特にプロスタグランジン受容体のアゴニスト、から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含んでよい。特に、医薬組成物は、プロスタグランジンF2α受容体のアゴニスト(酸形態のもの、または前駆体の形態のもの、特にエステル形態のもの)(例えば、ラタノプロスト、フルプロステノール、クロプロステノール、ビマトプロスト、ウノプロストンなど)、プロスタグランジンE2受容体のアゴニスト(およびそれらの前駆体、特にトラボプロストなどのエステル)(17-フェニルPGE2、ビプロストール、ブタプロスト、ミソプロストール、スルプロストン、16,16-ジメチルPGE2、11-デオキシPGE1、1-デオキシPGE1など)、プロスタサイクリン(IP)受容体のアゴニストおよびそれらの前駆体(特にエステル)(シカプロスト、イロプロスト、イソカルバサイクリン、ベラプロスト、エプロステノール(eprostenol)、トレプロスチニルなど)、プロスタグランジンD2受容体のアゴニストおよびそれらの前駆体(特にエステル)(BW245C((4S)-(3-[(3R,S)-3-シクロヘキシル-3-イソプロピル]-2,5-ジオキソ)-4-イミダゾリジンヘプタン酸)、BW246C((4R)-(3-[(3R,S)-3-シクロヘキシル-3-イソプロピル]-2,5-ジオキソ)-4-イミダゾリジンヘプタン酸)など)、トロンボキサンA2(TP)の受容体のアゴニストおよびそれらの前駆体(特にエステル)(I-BOP([1S-[1a,2a(Z),3b(1E,3S),4a]]-7-[3-[3-ヒドロキシ-4-[4-(ヨードフェノキシ)-1-ブテニル]-7-オキサビシクロ-[2.2.1]ヘプト-2-イル]-5-ヘプテン酸)など)などの少なくとも1種の化合物を含んでよい。
【0160】
有利なことに、組成物は、上記で定義されるような少なくとも1種の15-PGDH阻害剤およびコルチコステロイドと、例えば生理食塩水の形態または前駆体の形態(特にエステル(例えばイソプロピルエステル)の形態)のシリーズ2のプロスタグランジン(特にPGF2αおよびPGE2を含む)、それらの誘導体(16,16-ジメチルPGE2、17-フェニルPGE2および16,16-ジメチルPGF2α、17-フェニルPGF2αなど)、生理食塩水またはエステルの形態のシリーズ1のプロスタグランジン(11-デオキシプロスタグランジンE1、1-デオキシプロスタグランジンE1など)、それらの類似体(特にラタノプロスト、トラボプロスト、フルプロステノール、ウノプロストン、ビマトプロスト、クロプロステノール、ビプロストール、ブタプロスト、ミソプロストール、それらの塩またはそれらのエステル)など、少なくとも1種のプロスタグランジンまたは1種のプロスタグランジン誘導体と、を含んでよい。
【0161】
以下の実施例によって本発明がさらに説明されるが、これらの実施例は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0162】
実施例1
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎に対するSW033291の効果の分析
この実施例は、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)で処理したマウスにおける大腸炎の誘発の防止に対するSW033291の効果の研究からのデータを提示する。この研究では、8~12週齢のFVB雄マウスに飲料水中の2%DSSを1日目~7日目にわたって与えた後、8日目から通常の飲料水に切り替えて22日目まで続けた。10%エタノール、5%クレモフォールEL、85%D5Wのビヒクル中の125μg/200μlのSW033291で(5mg/kg IP)、あるいはビヒクル単独で、1日2回マウスを処置した。臨床スコア(体重、直腸出血、便の硬さ)を毎日記録し、内視鏡スコア(潰瘍の数、粘膜肥厚、および血管パターン)を8日目、11日目、15日目に評価した。結腸の長さ、結腸の重量、潰瘍の数、潰瘍の面積および陰窩の損傷の評価のために、1日目、8日目、15日目および22日目にマウスを屠殺した。
【0163】
表1は、研究で使用された24匹のSW033291処置マウスと24匹の対照群マウスの齢と体重のベースライン特性の概要を示す。また、比較群として使用される4匹のFVB雄15-PGDHノックアウト(KO)マウスのベースライン特性も提示されている。
【表1】
【0164】
図1は、研究の22日間にわたる対照とSW033291処置マウスのコホートのベースライン体重からの平均変化のグラフを示す。SW033291処置マウス(正方形)は、全ての時点において対照マウス(ダイアモンド形)よりも高い体重を示し、特に、DSSのウォッシュアウト後に対照マウス(ダイアモンド形)よりも速い体重増加を示す(P=0.001)。
【0165】
図2は、研究の22日間にわたる対照(ダイアモンド形)とSW033291処置マウス(正方形)のコホートの毎日の疾患活動性指標(DAI)のグラフを示す。疾患活動性指標は、ベースライン体重からの変化、便の硬さおよび直腸出血の存在の等しく加重された平均として算出され、各成分は、同一の数値範囲に広がるように正規化される。SW033291処置マウス(正方形)は、研究の各日において対照(ダイアモンド形)よりも低い疾患活動性指標を示す(P<0.001)。
【0166】
図3は、生きているマウスに対して8日目、11日目および15日目にイソフルラン麻酔下で左結腸のコロノスコピー検査(脾弯曲部まで)が実施された研究の設計を示す。これらのSW033291処置マウス(正方形)と無処置のマウス(ダイアモンド形)の毎日の体重も記録され、示されている。さらに、15日目に2匹のSW033291処置マウス(正方形)と2匹の対照処置マウス(ダイアモンド形)に対して結腸全体の死後コロノスコピーが実施され、DSS誘発性潰瘍形成は脾弯曲部に対して遠位の下行結腸に主に限定されているということが確認された。
【0167】
図4(A~B)は、粘膜血管パターンの喪失および肉眼的潰瘍形成を示すDSS処理対照マウスのコロノスコピー中に視覚化された結腸を左下に示す(
図4B)。小さな潰瘍しか伴わず、それ以外は正常な粘膜血管パターンが維持されている、SW033291を与えたDSS処理マウスのコロノスコピー所見が右下に示されている(
図4B)。
図4Aは、対照とSW033291処置マウスにおける8日目(下段)、11日目(中段)および15日目(上段)に存在する潰瘍の数を示すグラフである。SW033291処置は、潰瘍形成の3分の2を防止する。さらなる15-PGDHノックアウトマウスの研究は、15-PGDH遺伝子のノックアウトが結腸潰瘍形成の95%を防止するということを示す。これらの発見は、SW033291の大腸炎防止活性がその15-PGDH阻害剤としての活性により媒介されるということを裏付け、薬物の投与と送達のさらなる改変は大腸炎のさらなる防止をもたらす可能性があるとともに他の形態の腸管損傷(放射線による毒性、化学療法による毒性、および化学療法が誘発する粘膜炎が包含されるであろう)からの保護も期待されるであろうということを示唆する。
【0168】
図5は、完全長のホルマリン固定されたマウス結腸をパラフィンブロックに包埋した後、潰瘍形成した粘膜の視覚化と測定のために結腸の全長に沿った無作為の5μm切片を顕微鏡で検査することにより決定された、DSS処理マウスの15日目における潰瘍負荷(ulcer burden)の定量化を示す。このグラフは、潰瘍形成した粘膜の平均長が、対照マウス(N=9匹のマウス)では結腸の切片1つあたり4.48mmであり、SW033291(薬物)処置マウス(N=6匹のマウス)では結腸の切片1つあたり1.74mmの長さまで61%減少している(P=0.045)、ということを示す。この場合もやはり、15-PGDH遺伝子のノックアウト(KO)は、結腸の潰瘍形成の防止に非常に有効であり、これは、SW033291の治療効果が15-PGDHの阻害を介して媒介されるということを裏付ける。
【0169】
図6(A~B)は、マウスの大腸炎重症度の内視鏡指標(Murine Endoscopic Index of Colitis Severity)(MEICS)(Becker C. et al. Gut 2005;54:950-954)に従ったマウスの結腸粘膜のスコア付けの例を示す。
図6Aは、SW033291を与えたDSS処理マウスについてのコロノスコピー所見とMEICSスコアを示す。
図6Bは、ビヒクルのみを与えたDSS処理マウスのコロノスコピー所見とMEICSスコア。
【0170】
図7は、SW033291(処置;右側)とビヒクル(対照;左側)を与えたDSS処理マウスについてのMEICSスコアのグラフを示す。MEICSスコアは、研究の8日目、11日目および15日目においてSW033291処置マウスにおける有意に低い大腸炎の活動性を示す。
【0171】
肉眼での目視検査およびMEICS指標による大腸炎の活動性のスコア付けに加えて、完全長のマウス結腸をホルマリン固定してパラフィン包埋し、Cooper HS. Et al., Lab Invest. 1993;69:238-249の0~4の重症度スケールを用いて陰窩の損傷の顕微鏡でのスコア付けを実施した。この分析のために、それぞれ約1.6cmの長さの近位結腸、中央結腸および遠位結腸という3つのセグメントに結腸を分割し、各セグメントをさらに、それぞれ約4mmの長さの4つの切片に細分化した。各切片について、陰窩の損傷の重症度スコアに損傷領域の長さ(mm)を掛けて0~16の陰窩炎重症度指数を作成した。各セグメント(近位結腸、中央結腸および遠位結腸)について陰窩炎重症度指数の平均を算出し、各マウス結腸について、合計した結腸全体の陰窩炎重症度指数を0~48のスケールで決定した。目視によるMEICSスコアと同様に、DSSプロトコルの8日目における顕微鏡での陰窩炎重症度指数は、対照マウス(9.49という値)ではSW033291処置マウス(3.16という値)よりも有意に高かった(P<0.05)(データを記載するが図には示さない)。
【0172】
図8は、DSS処理マウスの結腸粘膜におけるDNA合成の維持に対するSW033291の効果の評価を示す。屠殺の3時間前に100mg/kgでBrdUをマウスにIP注射し、次いで、完全長の結腸をホルマリン固定してパラフィンに包埋した。DNAにBrdUが組み込まれたS期の細胞を、BrdUを検出する抗体を用いた厚さ5μmの切片の免疫蛍光染色によって可視化した。上皮のマーカーであるE-カドヘリンに対する抗体を用いた免疫蛍光染色によって結腸の陰窩を可視化した。写真の挿入図は、対照マウス、SW033291処置マウス(処置)および15-PGDHノックアウトマウス(KO)からのDSSプロトコルの8日目における中央結腸から撮影された高倍率視野の顕微鏡写真を示す。赤色の免疫蛍光はBrdU陽性核を特定し、緑色の免疫蛍光はE-カドヘリン陽性結腸細胞を特定する。陰窩1つあたりのBrdU陽性細胞の数は、平均的な陰窩1つあたりの二重標識された赤と緑の細胞の数を数えることによって決定される。S期ではない緑のみの細胞は計数されず、陰窩の外側の間質細胞である可能性が高い赤のみの細胞も計数されない。示されている顕微鏡写真において、対照およびSW033291処置マウスでは陰窩が垂直方向で表示されており、15-PGDHノックアウトマウスでは陰窩が水平方向で表示されている。写真において、S期の細胞の数は、対照マウスで最も少なく、SW033291処置マウスでは増加しており、ノックアウトマウスではさらに増加している。示されている特定の写真において、対照マウスからの陰窩は両方とも、S期の細胞を欠いており、さらには高さが視覚的に減少している。一方で、SW033291処置マウスから示される陰窩では陰窩の高さが増加しており、15-PGDHノックアウトマウスから示される陰窩では陰窩の高さがさらに増加している。グラフは、DSS処理プロトコルの1日目、8日目および15日目における対照マウス(Cn)、SW033291処置マウス(Tx)および15-PGDHノックアウトマウス(KO)の遠位結腸における陰窩1つあたりのBrdU陽性細胞の平均数と中央結腸における陰窩1つあたりのBrdU陽性細胞の平均数との合計を表す。8日目において、SW033291処置マウスは、1日目の陰窩1つあたりのBrdU陽性細胞の値の85%を失った対照マウスよりも5.7倍多いBrdU陽性細胞の数を示す。15-PGDHノックアウトマウスは、8日目に陰窩のBrdU陽性細胞の喪失を示さず、これは、SW033291の保護作用が15-PGDHの阻害によって媒介されるということと一致する。
【0173】
表2は、SW033291処置マウスとビヒクルで処置された対照マウスと15-PGDHノックアウト(KO)マウスで8日目、15日目および22日目に屠殺されたDSS処理マウスにおける結腸の長さ(cm)の概要を示し、ここで、結腸の短縮は、疾患活動性の尺度である。
【表2】
【0174】
ビヒクルで処置された対照マウスは、SW033291処置マウスと比較して、22日目に有意に大きい結腸の短縮を示す(P=0.012)。この比較はまた、
図9においてグラフで示されている。
【0175】
表3は、SW033291またはビヒクル対照を与えたDSS処理マウスについての屠殺の日におけるマウスの体重(グラム)と結腸の長さ(cm)の概要を示す。
【表3】
【0176】
22日目において、SW033291処置マウスは、より大きな体重およびより大きな結腸の長さを示し、これは、DSS誘発性大腸炎からの保護におけるSW033291の治療効果を示している。
【0177】
実施例2
15-PGDHの発現に関連するシグナル伝達ネットワークの特定
結腸組織における15-PGDH遺伝子の発現と有意に相関しているシグナル伝達ネットワークを特定するために、我々は最初に、統合経路ネットワークモデリングフレームワークであるPARADIGM(Vaske,C.J., et al. Inference of patient-specific pathway activities from multi-dimensional cancer genomics data using PARADIGM. Bioinformatics 26, i237-245(2010))を使用して、16個の正常結腸組織サンプルの全てにわたって網羅的な経路ネットワークの活動を包括的に特徴付けした。PARADIGM分析フレームワークは、所与のシグナル伝達ネットワークで詳述されている調節関係を明示的にモデル化して組織サンプルにおけるシグナル伝達ネットワークの構成要素の各々の生物学的活動状態を推定するために、所与のサンプルについての遺伝子発現の測定を利用する(Varadan,V., Mittal,P., Vaske,C.J.&Benz,S.C. The integration of biological pathway knowledge in cancer genomics:A review of existing computational approaches. IEEE Signal Processing Magazine 29, 35-50(2012);Cancer Genome Atlas, N. Comprehensive molecular characterization of human colon and rectal cancer. Nature 487, 330-337(2012);Cancer Genome Atlas, N. Comprehensive molecular portraits of human breast tumours. Nature 490, 61-70(2012);tlas, T.C.G. Integrated genomic analyses of ovarian carcinoma. Nature 474, 609-615(2011))。PARADIGMは、National Cancer InstituteのPathway Interaction Database(NCI-PID)、Reactome pathway databaseおよびBioCarta pathway databaseなどの公共データベース内で精選された既知のシグナル伝達ネットワーク情報を組み込んでおり、7324種のタンパク質、1574種のタンパク質ファミリー、7813種の複合体および586種のプロセスを表す17000を超える概念を含む統合されたシグナル伝達ネットワーク構造(SuperPathway)を与える(Schaefer,C.F., et al. PID:the Pathway Interaction Database. Nucleic acids research 37, D674-679(2009);Croft,D., et al. The Reactome pathway knowledgebase. Nucleic acids research 42, D472-477(2014))。従って、PARADIGMは、SuperPathwayのネットワーク内の遺伝子について得られた遺伝子発現データを利用して、SuperPathwayのネットワーク内のネットワーク構成要素の各々について、Integrated Pathway Level(IPL)と呼称されるサンプル固有の活動レベルを推測する。IPLは、典型的には、-1と+1の間に分布し、負のIPLは、より低い活動に対応し、正のIPLは、より高い経路特異的な活動に対応する。
【0178】
従って、我々はPARADIGMを使用して、正常結腸組織サンプル(N=16)の全てにわたって、正規化されlog2変換された遺伝子発現の値を分析することにより、SuperPathwayのネットワークの構成要素の各々についてのIntegrated Pathway Level(IPL)を推定し、次いで、SuperPathway内の構成要素の全てにわたってのIPLと正規化された15-PGDH遺伝子の発現との相関性を評価した。相関の程度と統計学的有意性は、スピアマンのρ統計量を用いて決定した。スピアマンの相関のp値が0.01以下である経路ネットワークの構成要素を有意であるとみなし、得られたサブネットワークとそれらの調節関係を、Cytoscape(Shannon,P., et al. Cytoscape:a software environment for integrated models of biomolecular interaction networks. Genome research 13, 2498-2504(2003))を用いてプロットした。得られた、相互に連結された構成要素のサブネットワークは、正常な結腸組織の全てにわたっての15-PGDH遺伝子の発現に関連する転写因子の活動性への洞察を提供する。
【0179】
純粋に偶然に所与のサイズのサブネットワークを特定する見込みをさらに評価するために、我々は、10,000の無作為化実験を実施した。各反復において、我々は、15-PGDHの発現と有意に関連していることが元々特定されたのと同じ数のSuperPathwayからのネットワーク構成要素を無作為に選択した。その後、各反復について、我々は、これらの無作為な構成要素の選択から導出された、連結されたサブネットワークのサイズと数を決定した。得られた、10,000回の無作為反復から得られたサブネットワークのサイズの分布は、ポアソン分布としてモデル化され、従って、純粋に偶然に所与のサイズのサブネットワークが得られる確率を推定することが可能となった。
【0180】
図10は、その活動性が正常結腸組織における15-PGDH遺伝子の発現と有意に相関しているPARADIGM SuperPathwayのサブネットワークを調べることによってグルココルチコイド受容体NR3C1を中心とするサブネットワークの活動性が正常ヒト結腸における15-PGDH遺伝子の発現と有意に相関しているということが特定されることを図示する。16個の正常結腸癌組織の全てにわたって15-PGDH遺伝子の発現と有意な活動相関を示す経路の構成要素(スピアマンの相関のp値≦0.01)が、それらの調節関係と共に赤(正の相関)および緑(負の相関)の陰影でプロットされており、より暗い色は、より高い絶対的相関に対応する。ノードのサイズは、相関の統計学的有意性に対応する。各サブネットワークに割り当てられたp値は、純粋に偶然にこのサイズのサブネットワークが得られる確率である。
【0181】
実施例3
コルチコステロイドと15-PGDHの阻害剤との組み合わせ
我々は、15-PGDHの阻害剤であるSW033291が、潰瘍性大腸炎のマウスモデルであるDSS誘発性大腸炎の処置において活性を有する、ということを先に実証した。この実施例は、15-PGDHの阻害剤が、潰瘍性大腸炎のマウスモデルであるDSS誘発性大腸炎のコルチコステロイドによる処置を相乗的に向上させる、ということを示す新しい知見を提供する。
【0182】
図11Aは、マウスにデキサメタゾンを3日間毎日投与し、3回目の投与から6時間後に解析のために屠殺した研究のスキーマを示す。
図11Bは、2種類の異なる用量のデキサメタゾンでのマウス結腸における15-PGDHタンパク質のデキサメタゾンによる誘導を示す代表的なウェスタンブロット解析を示す。
図11Cは、デキサメタゾン処置によって結腸の15-PGDHの発現レベルがほぼ倍増したことを示す、研究における全てのマウスからのリアルタイムRT-PCRのグラフによる概要である。
【0183】
図12Aは、デキサメタゾンで処置したマウスの結腸における15-PGDHの酵素活性がほぼ倍増することのスキーマを示す。
図12Bは、コルチコステロイドが結腸の15-PGDHの活性を増加させるという発見を示し、これは、これらの作用物質が逆説的に、潰瘍性大腸炎における結腸粘膜およびクローン病における腸粘膜の治癒を遅らせるように作用するであろう負のフィードバックループを誘発する、ということを示唆する。これらの知見により、コルチコステロイド療法を15-PGDH阻害剤と組み合わせることが潰瘍性大腸炎およびクローン病のコルチコステロイド療法の有効性を改善すると予測される、ということが予測される。
【0184】
図13(A~B)は、より高いデキサメタゾン用量がDSSによる大腸炎の誘発を悪化させるということを示す。指定される用量(0mpk(ダイアモンド形)、0.06mpk(正方形)、0.3mpk(三角形)、3.0mpk(x))でデキサメタゾンを毎日腹腔内注射するのと並行して8週齢のFVB/NJ雄マウスを飲料水中の2%DSSに曝した。大腸炎の誘発に対するデキサメタゾン用量の増加の影響を比較するために、毎日の体重と疾患活動性指標(下痢と血便の重症度)を比較して、示されるようにグラフ化し(平均±SEM;N=5~8)、ここで、
図13Aには相対的な毎日の体重が示されており、
図13Bには毎日の疾患活動性が示されている。より高い用量のデキサメタゾンは大腸炎の誘発を有意に悪化させた。0.3mpkまたは3mpkのデキサメタゾンを与えたマウスは、有意に悪化した体重減少を示し、3mpkを与えたマウスは、より低い用量と比較して、有意に悪化した疾患活動性を生じさせた。
【0185】
図14は、マウスの大腸炎を誘発するレジームである、マウスに飲料水中の2.5%DSSを7日間(1日目から8日目まで)与える研究のスキーマを示す。その後、8日目から、ビヒクル対照;毎日2回の5mpk IPでの15-PGDH阻害剤-(+)SW033291(略称:(+)291);毎日の0.06mpk IPのデキサメタゾン(略称:dex);または毎日2回の5mpk IPでの(+)SW033291と毎日の0.06mpk IPのデキサメタゾンとの組み合わせのいずれかでマウスを処置する(mpk=mg/kg)。
【0186】
図15は、研究の1~17日目におけるマウスの毎日の体重を示し、マウスは、対照(ダイアモンド形)、SW033291(正方形)、デキサメタゾン0.06mpk(三角形)およびSW033291とデキサメタゾンの両方の組み合わせ(x)で処置された。単一の作用物質としての(+)SW033291処置(正方形)とデキサメタゾン処置(三角形)は両方とも、体重減少をいくらか改善するが、(+)SW033291とデキサメタゾンとの組み合わせ(x)は、有意に、より効果的であった。
【0187】
図16は、下痢(0~3の尺度)と糞便中の血(0~3の尺度)を合わせた疾患活動性指標(DAI)(0~6の尺度)によって計測された疾患活動性を示す。対照(ダイアモンド形)、SW033291(正方形)、デキサメタゾン0.06mpk(三角形)およびSW033291とデキサメタゾンの両方の組み合わせ(x)でマウスを処置した。単一の作用物質としての(+)SW033291処置(正方形)とデキサメタゾン処置(三角形)は両方とも、DAIをいくらか改善するが、(+)SW033291とデキサメタゾンとの組み合わせ(x)は、有意に、より効果的であった。
【0188】
図17Aは、DAI曲線下面積(総DAI)を示すこれらの結果をグラフ化したものであり、
図17Bでは、総DAIの減少のパーセント(相対的な疾患の低減)がグラフ化されている。単一の作用物質の(+)SW033291は総DAIを14%減少させた。単一の作用物質のデキサメタゾンは総DAIを15%減少させた。しかし、(+)SW033291とデキサメタゾンとの組み合わせは総DAIを35%減少させた。
【0189】
図18は、疾患モデルの16日目までの毎日の、対照、デキサメタゾン、SW033291および組み合わせ処置を与えたマウスの生存率をグラフ化したものである(N=1群あたり12匹)。
*p<0.05(Mantel-Cox検定による)。
【0190】
図19は、p値を伴って群の提示順序を並べ替えた
図17Bのデータを再グラフ化したものである。組み合わせの群(緑色のバー)は、対照(青色のバー)またはデキサメタゾン(黄色のバー)または(+)-SW033291(赤色のバー)と比較して有意に改善されており、いずれの単剤療法レジメンよりも優れている。平均+SEM(N=治療群1つあたり6匹)。
**p<0.01、
***p<0.005(ANOVAおよびStudentのt検定による)。
【0191】
図20(A~D)は、処置の13日目における各群((A)対照、(B)デキサメタゾン、(C)SW033291、および(D)組み合わせ)の代表的な内視鏡画像を示す。粘膜の出血の徴候および壁の透明度の低下は対照群で明らかであったが、壁の透明度の低下は、(+)-SW033291または組み合わせと比較した場合、デキサメタゾンの群でより顕著である。
【0192】
図21は、各処置群(対照、デキサメタゾン、SW033291、および組み合わせ)についての13日目におけるマウスの大腸炎重症度の内視鏡指標(MEICS)のスコアの平均+SEM(N=治療群1つあたり8~10匹)としてのグラフを示す。
**p<0.01、
***p<0.005(ANOVAおよびStudentのt検定による)。
【0193】
図22(A~D)は、各処置群((A)対照、(B)デキサメタゾン、(C)SW033291、および(D)組み合わせ)の13日目における遠位結腸の代表的な組織像を示す。上皮の陰窩構造の破壊は、(+)-SW033291または組み合わせで処置したマウスと比較して、対照およびデキサメタゾン処置マウスの両方においてより顕著に顕在化していた。スケールバー:200μm。
【0194】
図23は、半定量的にスコア付けした陰窩に対する炎症性損傷の組織学的度合いのグラフを示す。
**p<0.01、
***p<0.005(ANOVAおよびStudentのt検定による)。
【0195】
図24は、各処置群(対照、デキサメタゾン、SW033291、および組み合わせ)の13日目における体重で正規化された腸間膜リンパ節の総重量によって評価される腸間膜リンパ節腫脹の重症度のグラフを示す。平均+SEM(N=11~16)。
***p<0.005(ANOVAおよびStudentのt検定による)。
【0196】
本発明をその好ましい実施形態を参照しながら詳細に示して説明したが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく形態および詳細の様々な変更を加えてよいということを理解するであろう。ここまでの明細書において引用される特許、刊行物および参考文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。