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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】リモコン装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20241129BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H04Q9/00 371A
E03D9/08 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020082029
(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公開番号】P2021177589
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】井戸田 育哉
(72)【発明者】
【氏名】辻 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】赤▲崎▼ 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】大川 卓
(72)【発明者】
【氏名】広田 義人
(72)【発明者】
【氏名】今井 將椰
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-003492(JP,A)
【文献】特開2010-225340(JP,A)
【文献】特開2010-067397(JP,A)
【文献】国際公開第2010/087143(WO,A1)
【文献】特開平10-337031(JP,A)
【文献】特開2004-121513(JP,A)
【文献】特開2019-177034(JP,A)
【文献】特開2020-147918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに支持され、使用者が操作を行うボタンと、
操作された前記ボタンに応じた信号を検出して送信する信号検出送信部と、
前記ボタンが操作されると、発電する発電装置と、
前記ボタンの操作に伴う振動を低減する振動低減手段と、
を備え、
前記振動低減手段は、前記発電装置に設けられており、
前記発電装置には、発電素子を収容するカバー部材が設けられ、
前記カバー部材は、前記発電素子を収容した状態で固定ねじによって前記ケースに固定され、
前記振動低減手段は、前記固定ねじと前記カバー部材との間、及び前記ケースと前記カバー部材との間の少なくとも一方に設けられている、
リモコン装置。
【請求項2】
前記振動低減手段は、前記ケースの板面に設けられている、
請求項1に記載のリモコン装置。
【請求項3】
前記ボタンと前記発電装置とを接続するリンク部を更に備え、
前記振動低減手段は、前記リンク部に設けられている、
請求項1または請求項2に記載のリモコン装置。
【請求項4】
前記振動低減手段は、制振材である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のリモコン装置。
【請求項5】
前記振動低減手段は、前記ボタンと前記ボタンとの当たり面を有する部材との摩擦を低減する摩擦低減材である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のリモコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リモコン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、便器装置の洗浄装置や局部洗浄装置、便座の開閉装置などのトイレ機能装置を遠隔操作するリモコン装置として、操作ボタンがケースに取り付けられ、操作ボタンを押下することにより操作ボタンに連動して操作信号を送信するための電力を発電する発電装置がケースに組み込まれたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-154311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような従来のリモコン装置では、操作ボタンを使用して押下操作が行われると、発電装置が発電する際に振動が発生する。このとき生じる発電装置の振動はケースや操作ボタン等に伝わって振動し、これらの部品自体が振動したり、部品と周囲の部位が接触することで振動音が生じるという問題があった。
【0005】
本開示は、ケース内に設けられる発電素子の振動に伴って生じる発電音を抑えることができるリモコン装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のリモコン装置は、ケースと、前記ケースに支持され、使用者が操作を行うボタンと、操作された前記ボタンに応じた信号を検出して送信する信号検出送信部と、前記ボタンが操作されると、発電する発電装置と、前記ボタンの操作に伴う振動を低減する振動低減手段と、を備える。前記振動低減手段は、前記発電装置に設けられている。前記発電装置には、発電素子を収容するカバー部材が設けられ、前記カバー部材は、前記発電素子を収容した状態で固定ねじによって前記ケースに固定され、前記振動低減手段は、前記固定ねじと前記カバー部材との間、及び前記ケースと前記カバー部材との間の少なくとも一方に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】リモコン装置を斜め前方から見た斜視図である。
図2】リモコン装置の斜め前方から見た分解斜視図である。
図3】リモコン装置の斜め後方から見た分解斜視図である。
図4】前ケースに内部ケースを組み込んだ状態を後方から見た背面図である。
図5】リンク部のリンク部材を斜め後方から見た要部斜視図である。
図6】リンク部のカム部を斜め後方から見た要部斜視図である。
図7】リンク部のカム部を後方から見た背面図である。
図8】前ケースを後方から見た背面図である。
図9図8に示す前ケースを斜め後方から見た斜視図であって、第3制振材を分離した状態の図である。
図10】発電装置を背面側から見た平面図である。
図11図10に示す発電装置の分解斜視図である。
図12図10に示すA-A線断面図である。
図13】グリス塗布部が設けられたボタンの斜視図である。
図14】グリス塗布部が設けられたボタンの斜視図である。
図15】グリス塗布部が設けられたリンク部材の斜視図である。
図16図12に示す要部拡大図であって、グリス塗布部が設けられた発電装置の縦断面図である。
図17】グリス塗布部が設けられた発電装置の斜視図である。
図18】グリス塗布部が設けられた発電装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本実施形態によるリモコン装置1は、便器装置(不図示)に設けられた局部洗浄装置(不図示)を遠隔操作するように構成されている。リモコン装置1は、発電式の電池レスリモコンであり、局部洗浄装置と無線通信可能に構成されている。リモコン装置1は、便器装置が設けられたトイレ空間を形成する壁面11に設置され、壁面11に対向する使用者が使用するように構成されている。
【0009】
以下のリモコン装置1の説明では、壁面11に沿った水平方向を左右方向(図面の矢印Xの方向)とし、壁面11に直交する方向を前後方向(図面の矢印Yの方向)とする。前後方向Yのうち、使用者に対して壁面11側を後側、裏側とし、壁面11に対して使用者側を前側、表側とする。左右方向Xのうち、使用者が前側からリモコン装置1を見た際の右側および左側をそのまま右側および左側とする。リモコン装置1の各部材の説明では、リモコン装置1が壁面11に取り付けられている姿勢であるものとする。
【0010】
図2及び図3に示すように、リモコン装置1は、ケース2と、5つのボタン3と、信号検出送信部4、発電装置5と、リンク部6と、を有している。ケース2は、リモコン装置1の外殻となっている。5つのボタン3は、それぞれ前側から見て円形に形成される。5つのボタン3は、それぞれケース2に形成されたボタン開口部から露出するように挿入される。5つのボタン3は、使用者が壁面11に向かって後側に押して押下操作を行うように構成されている。5つのボタン3は、それぞれ前後方向Yに移動可能に構成される。5つのボタン3は、押されていない初期状態では前側に位置する。5つのボタン3は、ボタン押下状態では後側に位置している。
【0011】
信号検出送信部4は、操作されたボタン3に応じた信号を検出して送信する。発電装置5は、リンク部6を介してボタン3と接続されている。ボタン3が操作されると、リンク部6を介して発電装置5で信号検出送信部4の電力を発電する。信号検出送信部4と発電装置5は、ケース2の内部に設けられている。リモコン装置1は、壁面11に取り付けられたブラケット7にケース2が取り付けられることで、壁面11に設置されている。
【0012】
図3及び図4に示すように、リンク部6は、後述する内部ケース20に配置され、ボタン3と発電装置5とを接続している。リンク部6は、軸部61と、軸部61に取り付けられた複数(ここでは5つ)のリンク部材62と、リンク部材62から軸部61を介して接続され発電装置5を作用するカム部63と、を有している。複数のリンク部材62は、それぞれボタン3の後側に配置されている。リンク部6は、軸部61、複数のリンク部材62、およびカム部63が一体となって軸部61の軸線回りに回転するように構成されている。
【0013】
軸部61は、丸棒状に形成され、軸方向を左右方向Xに向けてケース2の内部の左右方向Xのほぼ全体にわたって配置されている。軸部61は、ボタン3の後側に配置され、前ケース22に対して軸線回りに回動可能に取り付けられている。
【0014】
リンク部材62は、軸部61に取り付けられる軸取付部621と、軸取付部621の下側に連続して設けられた被押圧部622と、を有している。軸取付部621には、軸部61が貫通する軸孔が形成されている。軸取付部621は、貫通した軸部61とネジ623で着脱可能に固定されている。被押圧部622は、軸部61の下側でボタン3の後側に配置されている。被押圧部622は、軸取付部621よりも左右方向に大きく形成されている。被押圧部622の前後方向Yから見た中央部分には、第1制振材8Aが貼り付けられている。被押圧部622には、図2に示す信号検出送信部4のスイッチ部41が配置されている。
【0015】
第1制振材8Aは、図5に示すように、後方から見て矩形に形成され、後ケース21の前面21a(図2参照)に対向する位置に配置されている。つまり、第1制振材8Aは、後述するようにボタン3の押圧とともに被押圧部622が後ケース21側に近接するように回動したときに後ケース21の前面21aに接触可能に設けられている。
【0016】
カム部63は、図6及び図7に示すように、軸部61に取り付けられる軸取付部631と、軸取付部631の上側に連結部633を介して連続して設けられた作用部632と、を有している。軸取付部631には、軸部61が貫通する軸孔が形成され、貫通した軸部61とネジ635で着脱可能に固定されている。作用部632は、発電装置5に対して左右方向Xに対向する側方に配置されている。連結部633には、内部ケース20の板面を向く前面633aに第2制振材8Bが貼り付けられている。
【0017】
第2制振材8Bは、前方から見て矩形に形成され、内部ケース20の裏面20aに対向する位置に配置されている。つまり、第2制振材8Bは、後述するようにボタン3の押圧とともに被押圧部622、軸部61を介してカム部63が内部ケース20の裏面20a側に近接するように回動したときに内部ケース20の裏面20aに接触可能に設けられている。
【0018】
リモコン装置1は、図3及び図4に示すように、所定の1つのボタン3が押されてボタン押下状態となると、押されたボタン3がその後側にあるリンク部材62の被押圧部622を前側から後側に押す。これにより、リンク部6は、軸部61の下側の被押圧部622が後側に移動し、軸部61の上側のカム部63が前側に移動するように軸部61の軸線回りに回動し発電姿勢となる。リンク部6が発電姿勢となると、発電装置5で発電が行われると同時に、押されたボタン3によって図2に示す信号検出送信部4のスイッチ部41を押す。スイッチ部41が押されると発電装置5が発電した電力を使用して信号検出送信部4が検出信号を送信する。制御部(不図示)は、受信した信号に基づいて局部洗浄装置を制御する。ボタン3の押し込みを停止することにより不図示の弾性部材の復元力によってリンク部6が発電姿勢から初期姿勢に復元され、これによりスイッチ部41も初期状態となる。
【0019】
図2及び図3に示すように、ケース2は、外形が直方体状の箱状に形成されている。ケース2は、後側に配置される後ケース21と、後ケース21の前側に着脱可能な前ケース22と、を有している。ケース2には、信号検出送信部4、発電装置5、リンク部6等が搭載される内部ケース20が設けられている。
【0020】
後ケース21は、板面が長方形となる板状に形成されている。前ケース22は、箱状に形成されている。後ケース21は、ブラケット7に着脱可能に構成されている。後ケース21には、ブラケット7の突起部71が挿入される凹部211が形成されている。内部ケース20は、板状部材である。信号検出送信部4、発電装置5、リンク部6は、内部ケース20を構成する板面の所定位置に配置される。信号検出送信部4、発電装置5、リンク部6は、前ケース22と後ケース21で囲まれた内側に収容される。
【0021】
ブラケット7は、複数(ここでは左右方向Xに離れた2つ)の固定ねじによって壁面11に固定される。この壁面11に固定されるブラケット7にケース2が支持されて壁掛けの状態になる。ブラケット7は、前後方向Yから見てケース2と略同形状の矩形板状の部材であり、各角部に前方に突出する前記突起部71が設けられている。
【0022】
図1から図3に示すように、前ケース22は、板面が長方形となる板状に形成され後ケース21の前側に間隔をあけて配置される前板部23と、前板部23の上縁部から後側に延びる上板部24と、前板部23の下縁部から後側に延びる下板部25と、前板部23の左右方向Xの両側縁部それぞれから後側に延びる側板部26と、を有している。
【0023】
前板部23には、厚さ方向に貫通する5つの孔部231と、5つの孔部231それぞれの縁部から後側に突出する筒状部232(図3参照)と、が形成されている。これらの孔部231および筒状部232の内部には、それぞれボタン3が挿入されるように構成されている。孔部231に挿入されたボタン3は、挿通されている筒状部232によって支持されている。
【0024】
図8及び図9に示すように、前ケース22の前板部23の後面23aには、第3制振材8Cが貼り付けられている。第3制振材8Cは、シート状で左右方向Xに長く延びた長方形状に形成され、5つのボタン3が配列される上下方向の中央部分を挟んだ上下両側の領域全面に貼り付けられている。第3制振材8Cとしては、例えばアクリル系ゴム等が使用される。具体的には、例えばSS2-1.0-T1(北川工業社製)等を採用することができる。
【0025】
図1から図3に示すように、前ケース22の孔部231及び筒状部232にボタン3が挿入される。後ケース21と前ケース22とは、前ケース22に信号検出送信部4及び発電装置5が設置された状態で前後方向Yに重なり、後ケース21の上縁部と前ケース22の上板部24とが突き合わせられる。後ケース21と前ケース22とは、後ケース21の下縁部と前ケース22の下板部25とが突き合わせられ、後ケース21の側縁部と前ケース22の側板部26が突き合わせられた状態で後側からネジで連結される。後ケース21と前ケース22とは、着脱可能に構成されている。ケース2には、ケース2の内部に入り込んだ水を排水するための孔部などの排水機構が設けられている。
【0026】
図1に示す5つのボタン3は、それぞれ局部洗浄装置の所望の機能に対応している。使用者は、5つのボタン3のうちの所望の機能に対応したボタン3を押すように構成されている。これらのボタン3は、例えば、乾燥ボタン、洗浄強さ増加ボタン、洗浄強さ減少ボタン、ビデ洗浄ボタン、おしり洗浄ボタン、および停止ボタンから構成されている。
【0027】
乾燥ボタンは、便器装置に対して局部乾燥を開始させるためのボタンである。洗浄強さ増加ボタンは、おしり洗浄またはビデ洗浄の吐水の強さを強くするためのボタンである。洗浄強さ減少ボタンは、おしり洗浄またはビデ洗浄の吐水の強さを弱くするためのボタンである。ビデ洗浄ボタンは、便器装置に対してビデ洗浄を開始させるためのボタンである。おしり洗浄ボタンは、便器装置に対しておしり洗浄を開始させるためのボタンである。停止ボタンは、便器装置に対しておしり洗浄、ビデ洗浄、および局部乾燥のうちの作動している機能を停止させるためのボタンである。
【0028】
本実施形態では、ボタン3が左右方向Xに並んで配置されるとともに、右から2番目に上下2つのボタン3が配置されている。これら上下2つのボタン3は、それぞれ前側から見た形状が略半円となるように形成されている。各ボタン3は、有頂筒状に形成され、頂部に孔部231から露出して前方を向いた状態で配置される円板部を有している。
【0029】
図4に示すように、発電装置5は、発電素子51を有し、ボタン3の操作によりリンク部6のリンク部材62が移動してカム部63の作用部632に押される、または擦られるなどして外力が付与されると発電するように構成されている。発電装置5では、ボタン押下状態となって作用部632が前側に移動した位置が発電位置となる。
【0030】
図10から図12に示すように、発電装置5は、上述した発電素子51と、発電素子51を上方から覆うカバー部材52と、を備えている。図10は、紙面に直交する方向が表裏方向であって、リモコン装置1における背面側から見た平面図を示している。発電装置5は、発電素子51を内部ケース20に対してカバー部材52を固定ねじ53でねじ込むことで後側から押さえ付けた状態で固定されている。固定ねじ53の周囲には、発電装置5から発生する振動を小さく抑えるための第4制振材8Dが複数設けられている。発電素子51は、外力の付与によって発電する部分であり、発電の際に上述したカム部63の作用部632との間で生じるスイッチ音(以下、発電音という)が発生する構成となっている。
【0031】
発電素子51には、例えば、モータが設けられている。発電素子51がモータの場合には、操作ボタン3の押下操作にともなう操作力をモータの回転軸に伝達し、回転軸を回転させる。これにより、発電素子51は、モータから電力を発生させる。
【0032】
カバー部材52は、発電素子51を後方より当接した状態で押さえて支持する板状部材である。カバー部材52は、外周部の3箇所に張り出した鍔部521を有し、各鍔部521において後方から3つの固定ねじ53によって内部ケース20に固定されている。固定ねじ53は、ねじ頭部53Aとねじ部53Bとからなり、ねじ頭部53Aの下面53aはねじ軸に直交する平面に形成されている。
【0033】
各固定ねじ53に設けられる第4制振材8Dは、図11に示すように、カバー部材52の上面52aと固定ねじ53のねじ頭部53Aとの間に挟まれて配置される部材と、カバー部材52の下面52bと内部ケース20との間に介在される部材と、を有している。これら第4制振材8Dは、ねじ部53Bが挿通可能な円孔(図示省略)を有する円形の薄板状に形成されている。
【0034】
発電素子51の内部ケース20側を向く表面51aには、第5制振材8Eが貼り付けられている。第5制振材8Eは、内部ケース20に対して接触した状態で設けられている。第5制振材8Eは、内部ケース20から離れていてもよい。
【0035】
第4制振材8Dおよび第5制振材8Eとしては、例えばアクリル系ゴム等の上述した第1制振材8Aと同様の部材を用いることができる。具体的には、例えばSS2-1.0-T1(北川工業社製)等を採用することができる。
【0036】
次に、本実施形態によるリモコン装置1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。図5から図12に示すように、本実施形態によるリモコン装置1では、リンク部6の一部に第1制振材8Aおよび第2制振材8Bが設けられる。本実施形態では、前ケース22の前板部23の後面23aに第3制振材8Cが設けられる。本実施形態では、発電装置5に第4制振材8Dおよび第5制振材8Eが設けられている。
【0037】
つまり、本実施形態では、少なくとも発電装置5に第4制振材8Dと第5制振材8Eが設けられているので、ケース2内の発電素子51に伴って生じる発電音を抑えることができ、静音効果を発揮することができる。しかも、本実施形態では、前ケース22にも第3制振材8Cが設けられているので、発電装置5から伝播する発電音をケース2でも抑えることができ、リモコン装置1の使用者に伝達される発電音をより小さく抑えることができ効果的である。
【0038】
本実施形態では、リンク部6の被押圧部622やカム部63に制振材8A、8Bを設けることで、リンク部6の回転時に制振材8A、8Bがケース2に接触することになるため、発電素子51やリンク部6から発生する振動を抑えることができる。本実施形態では、主にボタン3を押したときに生じる発電装置5で発生する発電音を抑える効果を期待した一例としている。ボタン3を初期状態に復元する際に生じる音を抑える効果も有している。ボタン3が初期状態に戻るとき(発電装置5が初期状態に戻るとき)の対策として、リンク部6のリンク部材62やカム部63において本実施形態で貼り付けた制振材とは前後方向で反対側の面に制振材を貼り付ければよい。あるいは、可動するリンク部材62側やカム部63側に制振材を設けずに、そのリンク部材62側やカム部63に対向する部位(リンク部材62側やカム部63が接触する被接触部位)に制振材を設けるようにしてもよい。
【0039】
本実施形態では、音源(振動発生源)である発電素子51に接触する部分に制振材8D、8Eが設けられているので、震源の振動を小さくし全体の音を小さくすることができる。発電素子51は、上述したように発電素子51自体の振動を抑えることを目的として設けているため、ボタン3の押し込みと戻り両方で生じる振動を抑えることができる。しかも、発電素子51と内部ケース20との間にも第4制振材8Dが設けられているので、内部ケース20への振動も防止することができる。発電素子51における内部ケース20側と反対面、あるいは外周部に制振材を設けることも可能であり、この場合も発電素子51自体の振動を抑える効果を有する。
【0040】
本実施形態によるリモコン装置1では、ケース2内の発電素子51に伴って生じる発電音を抑えることができる。
【0041】
以上、本開示によるリモコン装置の実施形態について説明した。本開示は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0042】
例えば、本実施形態では、制振材をリンク部6、前ケース22、発電装置5に設けた構成としている。制振材の設置位置の対象として、これに限定されることはない。発電音の発生源である発電装置5に設けることが最も効果的である。これらの位置に限定されず、例えばボタン3等であってもよい。あるいはボタン操作したときにボタン3が当接する部位であってもよい。要は、リモコン装置1に制振材が設けられていればよいのである。制振材の貼り付け領域、大きさ、数量、部材などの構成も貼り付ける対象の条件に合わせて適宜変更することができる。制振材8A~8Eは貼り付けによる取付方法に限定されることはなく、他の嵌め合わせやねじ等の他の取り付け手段を採用することができる。
【0043】
上述した実施形態の制振材は、リモコン装置の製造時に所定の部位に貼り付けるようにしてもよいし、既設で使用中のリモコン装置に対して後付けにより貼り付けることも可能である。
【0044】
例えば、上記の実施形態では、リモコン装置1は、トイレ空間に設置され、便器装置に設けられた局部洗浄装置を遠隔操作するように構成されている。リモコン装置1は、トイレ空間以外に設置されてよく、遠隔操作する装置も適宜設定されてよい。上記の実施形態では、リモコン装置1は、壁面11に設置されている。壁面11以外に設置されてもよい。上記の実施形態では、リモコン装置1は、5つのボタン3を有している。ボタン3の数は適宜設定されてよい。ボタン3の形状や位置も適宜設定されてよい。
【0045】
上記の実施形態によるリモコン装置1では、ケース2がブラケット7を介して壁面11に着脱可能に取り付けられている。ブラケット7を設けることなく、ケース2が直接壁面11に固定されていてもよい。
【0046】
制振材の位置としては、上述した実施形態の位置に限定されることはなく、ケース2とブラケット7との間、ブラケット7と取付け箇所(壁面11)との間、等リモコン装置1本体の外側の位置であってもよい。
【0047】
上述した実施形態では、振動低減手段として制振材を設ける構成としているが、制振材であることに限定されることはない。例えば、振動低減手段として、図13から図16に示すような、部材同士の摩擦を低減するグリスが塗布されて形成されるグリス塗布部9A~9D(摩擦低減材)を設けるようにしてもよい。
【0048】
図13に示す第1グリス塗布部9Aは、ボタン3と図1に示すケース2の後部231に形成される筒状部232(図3参照)との間の摺動面であって、ボタン3の円周方向に延びる外周面3cに塗布されている。
【0049】
図14に示す第2塗布部9Bは、ボタン3における径方向に張り出す当接部3dでケース2の前ケース22に当接される当たり面3dに設けられている。
【0050】
図15に示す第3グリス塗布部9Cは、リンク部6におけるリンク部材62の被押圧部622であって、ボタン3との当たり面622aに設けられている。
【0051】
図16及び図17に示す第4グリス塗布部9Dは、発電装置5の発電素子51においてアーム511における素子本体512との当たり面511aに設けられている。アーム511は、素子本体512の上嵌合片512Aと下嵌合片512Bとの間で上下に挟持された状態で嵌め込まれている。アーム511の上下面には、当たり面511aに接触する上嵌合片512Aの内面512a、下嵌合片512Bの内面512bが接触する。
【0052】
図16及び図18に示す第5グリス塗布部9Eは、発電装置5においてアーム511における素子本体512の鉄心513の上面513a、下面513bとの当たり面511cに設けられている。
【0053】
グリス塗布部9A~9Eを設けることで、部品同士の摩擦による摩擦音の発生を抑えることができ、発電装置5が発電する際に他の部品と衝突することで発生する音を小さく抑えることができる。そして、上述した制振材とグリス塗布部とを組み合わせることで音の低減効果をより発揮することができる。
【0054】
その他、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…リモコン装置、2…ケース、3…ボタン、4…信号検出送信部、5…発電装置、7…ブラケット、11…壁面(取り付け対象物)、20…内部ケース、21…後ケース、22…前ケース、30…リンク機構、51…発電素子、52…カバー部材、53…固定ねじ、8A、8B、8C、8D、8E…制振材(振動低減手段)、9A、9B、9C、9D、9E…グリス塗布部(摩擦低減材、振動低減手段)、X…左右方向、Y…前後方向
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