(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】セッティングブロック及び建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/54 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
E06B3/54 B
(21)【出願番号】P 2020210027
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】宇山 健
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-113211(JP,A)
【文献】実開昭59-075888(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04 - 3/46
E06B 3/50 - 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、該底板部の屋外側から上方に延びる屋外側壁部と、前記底板部の屋内側から上方に延びる屋内側壁部と、によってガラス溝が形成された下框に取り付けられ、ガラスを支持するセッティングブロックであって、
前記ガラス溝の前記底板部の上面に設置される基部と、
該基部の屋外側の端部に設けられ
た第一係止部と、
前記基部の屋内側の端部に設けられ
た第二係止部と、を備え
、
前記第一係止部は、前記基部の上下方向の中間から屋外側に突出する第一上面部を有し、
前記第一上面部は、前記ガラス溝の前記屋外側壁部に係止され、
前記第二係止部は、前記基部の上下方向の中間から屋内側に突出する第二上面部を有し、
前記第二上面部は、前記ガラス溝の前記屋内側壁部に係止されるセッティングブロック。
【請求項2】
前記基部の下面には、前記基部における前記下框の幅方向に沿う方向の全長にわたって上方に凹む凹部が形成されている請求項1に記載のセッティングブロック。
【請求項3】
枠体と、
該枠体内に設けられた障子と、を備え、
該障子の下框には、請求項1または2に記載のセッティングブロックが設けられている建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セッティングブロック及び建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建具の障子では、下框のガラス溝の底面(ガラスの下面と対向する面)にガラスを支持するためのセッティングブロックが設置され、セッティングブロック上にガラスが設置されている。例えば、下記の特許文献1では、ガラス溝の底面に上下方向に貫通する取付孔が形成され、取付孔にセッティングブロックの係止部が係止されることで、セッティングブロックが下框に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたセッティングブロックの取付方法では、下框のガラス溝の底面に取付孔を形成する必要があり、施工手間となるという問題点がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、施工性良く取り付け可能なセッティングブロック及び建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るセッティングブロックは、底板部と、該底板部の屋外側から上方に延びる屋外側壁部と、前記底板部の屋内側から上方に延びる屋内側壁部と、によってガラス溝が形成された下框に取り付けられ、ガラスを支持するセッティングブロックであって、前記ガラス溝の前記底板部の上面に設置される基部と、該基部の屋外側の端部に設けられた第一係止部と、前記基部の屋内側の端部に設けられた第二係止部と、を備え、前記第一係止部は、前記基部の上下方向の中間から屋外側に突出する第一上面部を有し、前記第一上面部は、前記ガラス溝の前記屋外側壁部に係止され、前記第二係止部は、前記基部の上下方向の中間から屋内側に突出する第二上面部を有し、前記第二上面部は、前記ガラス溝の前記屋内側壁部に係止される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】セッティングブロックの斜視図であって上方から見た図。
【
図7】セッティングブロックの斜視図であって下方から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る建具の一例として引違い窓について、図面に基づいて説明する。
図1から
図3に示すように、引違い窓100は、建築物の外壁の外壁開口部Waに設けられている。引違い窓100は、枠体1と、外障子2Aと、内障子2Bと、を備えている。
【0009】
以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。屋内外方向と直交する見付け方向のうち、水平方向に沿う方向を幅方向と称し、鉛直方向を上下方向と称する。
【0010】
図1に示すように、枠体1は、四方枠状に形成されている。枠体1は、上枠11と、下枠12と、一対の縦枠13と、を有している。本実施形態では、枠体1は樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合(アルミニウム製部材と樹脂製部材とが組み付けられた構成)であってもよい。
【0011】
上枠11及び下枠12は、幅方向に延びている。縦枠13は、上下方向に延びている。
縦枠13は、上枠11の幅方向の端部と下枠12の端部とを連結している。
【0012】
外障子2Aは、内障子2Bよりも屋外側に配置されている。外障子2A及び内障子2Bは、枠体1に幅方向に移動可能に設けられている。外障子2A及び内障子2Bが閉じた状態で、外障子2A及び内障子2Bは枠体1内を閉塞する。
【0013】
外障子2Aと内障子2Bとは、同様の構成をしている。外障子2A及び内障子2Bを総称して、障子2と称することがある。障子2は、框体20と、ガラス29と、を有している。框体20は、四方枠状に形成されている。框体20は、上框21と、下框22と、一対の縦框23と、を有している。本実施形態では、框体20は樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合であってもよい。上框21及び下框22は、幅方向に延びている。縦框23は、上下方向に延びている。上框21、下框22及び縦框23の端面は、それぞれ軸方向(長さ方向)に対して45°に切断されている。
各縦框23は、上框21の幅方向の端部と下框22の幅方向の端部とを連結している。
【0014】
ガラス29は、框体20内に納められている。
図2,3に示すように、本実施形態では、ガラス29は、複層ガラスである。ガラス29は、屋外側ガラス板291と、屋内側ガラス板292と、スペーサ293と、を有している。屋外側ガラス板291及び屋内側ガラス板292は、板状に形成されている。屋外側ガラス板291及び屋内側ガラス板292の板面は、屋内外方向を向いている。屋内側ガラス板292は、屋外側ガラス板291よりも屋内側に配置されている。スペーサ293は、屋外側ガラス板291と屋内側ガラス板292との間に配置されている。スペーサ293は、四方枠状に形成されている。屋外側ガラス板291と屋内側ガラス板292との間にスペーサ293が配置されることによって、屋外側ガラス板291と屋内側ガラス板292との間には、中空層294が形成されている。
【0015】
下框22の構成について説明する。
図4に示すように、下框22は、外壁部31と、内壁部32と、第一連結板部33と、第二連結板部34と、を有している。
【0016】
図5に示すように、外壁部31は、第一外板部311と、第二外板部312と、下端見込み板部313と、中間見込み板部314と、を有している。
【0017】
第一外板部311は、ガラス29よりも屋外側に配置されている。第一外板部311は、板状に形成されている。第一外板部311の板面は、屋内外方向を向いている。第二外板部312は、第一外板部311よりも屋内側に配置されている。第二外板部312は、板状に形成されている。第二外板部312の板面は、屋内外方向を向いている。
【0018】
下端見込み板部313は、第一外板部311の下端部と第二外板部312の下端部とを連結している。下端見込み板部313は、板状に形成されている。下端見込み板部313の板面は、上下方向を向いている。中間見込み板部314は、第一外板部311の上下方向の中間と第二外板部312の上下方向の中間とを連結している。中間見込み板部314は、板状に形成されている。中間見込み板部314の板面は、上下方向を向いている。
【0019】
内壁部32は、第一内板部321と、第二内板部322と、下端見込み板部323と、中間見込み板部324と、有している。
【0020】
第一内板部321は、ガラス29よりも屋内側に配置されている。第一内板部321は、板状に形成されている。第一内板部321の板面は、屋内外方向を向いている。第二内板部322は、第一内板部321よりも屋外側に配置されている。第二内板部322は、板状に形成されている。第二内板部322の板面は、屋内外方向を向いている。
【0021】
下端見込み板部323は、第一内板部321の下端部と第二内板部322の下端部とを連結している。下端見込み板部323は、板状に形成されている。下端見込み板部323の板面は、上下方向を向いている。中間見込み板部324は、第一内板部321の上下方向の中間と第二内板部322の上下方向の中間とを連結している。中間見込み板部324は、板状に形成されている。中間見込み板部324の板面は、上下方向を向いている。
【0022】
第一連結板部33は、第二外板部312の上下方向の中間と第二内板部322の上端部とを連結している。第一連結板部33は、上方に凸となる形状をしている。第一連結板部33の幅方向(引違い窓100の幅方向を単に「幅方向」と称する。以下同じ。)の端部近傍には、上下方向に貫通する取付孔33hが形成されている。取付孔33hには、障子2の戸車28が挿入配置されている。
【0023】
第二連結板部34は、第一外板部311の上下方向の中間と第一内板部321の上部とを連結している。第二連結板部34は、第一連結板部33の上方に配置されている。
【0024】
第二連結板部34は、屋内側連結壁部341と、上下壁部342と、支持壁部(底板部)343と、屋外側連結壁部344と、を有している。屋内側連結壁部341は、第一内板部321から屋外側に向かって延びている。上下壁部342は、屋内側連結壁部341の屋外側の端部から上方に向かって延びている。支持壁部343は、上下壁部342の上端部から屋外側に向かって延びている。支持壁部343は、板状に形成されている。支持壁部343の板面は、上下方向を向いている。支持壁部343の屋外側の端部は、第二外板部312の上端部に接続されている。屋外側連結壁部344は、支持壁部343の屋外側の端部から屋外側に延びている。屋外側連結壁部344の屋外側の端部は、第一外板部311の上下方向の中間に接続されている。
【0025】
上下壁部342と支持壁部343との接続部には、上方に延びる屋内側溝側壁部(屋内側壁部)346が設けられている。屋外側連結壁部344から分岐して上方に延びる屋外側溝側壁部(屋外側壁部)347が設けられている。屋内側溝側壁部346、支持壁部343及び屋外側溝側壁部347によって、下方に凹むガラス溝35が形成されている。
【0026】
屋内側溝側壁部346の上端部には、屋外側に向かって突出する屋内側溝係止片部351が形成されている。屋外側溝側壁部347の上下方向の中間には、屋内側に向かって突出する屋外側溝係止片部352が形成されている。屋内側溝係止片部351及び屋外側溝係止片部352は、下框22の幅方向の全長にわたって形成されている。
【0027】
下框22に取り付けられたセッティングブロック5について説明する。セッティングブロック5は、下框22のガラス溝35の支持壁部343の上面343uに設置され、ガラス29を支持している。
図6及び
図7に示すように、セッティングブロック5は、基部51と、第一係止部52と、第二係止部53と、を有している。
【0028】
基部51は、略直方体状に形成されている。
図5に示すように、基部51は、下框22の支持壁部343に設置されている。基部51の下面51dは、下框22の支持壁部343の上面343uに当接している。基部51の下面51dには、上方に凹む凹部511が形成されている。凹部511は、基部51の幅方向の全長にわたって形成されている。凹部511は、基部51の屋内外方向(引違い窓100の屋内外方向を単に「屋内外方向」と称する。以下同じ。)の中間に形成されている。
【0029】
凹部511は、ガラス29のスペーサ293の下方に位置している。ガラス29の屋外側ガラス板291の下面291d及び屋内側ガラス板292の下面292dは、基部51の上面51uに当接している。凹部511は、ガラス29の屋外側ガラス板291よりも屋内側の位置、且つガラス29の屋内側ガラス板292よりも屋外側の位置に配置されている。ガラス29の屋外側ガラス板291及び屋内側ガラス板292を、基部51を介して、下框22で安定して支持している。
【0030】
図4に示すように、下框22の支持壁部343には、上下方向に貫通する排水孔348が形成されている。排水孔348は、セッティングブロック5よりも引違い窓100の幅方向の端部側に位置している。
【0031】
図5に示すように、第一係止部52は、基部51の屋外側の端部の上下方向の中間から屋外側に突出している。第一係止部52は、セッティングブロック5の幅方向の全長にわたって形成されている。
【0032】
図6に示すように、第一係止部52は、第一上面部521と、第一鉛直面部522と、第一傾斜面部523と、第一下面部524と、を有している。第一上面部521は、基部51の屋外側の端部の上下方向の中間から屋外側に延びている。第一上面部521は、水平面に沿って形成されている。第一鉛直面部522は、第一上面部521の屋外側の端部から下方に延びている。第一鉛直面部522は、鉛直面に沿って形成されている。第一傾斜面部523は、第一鉛直面部522の下端部から屋内側に向かって延びている。第一傾斜面部523は、屋内側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜している。第一下面部524は、第一傾斜面部523の下端部から屋内側に向かって延びている。第一傾斜面部523は、水平面に沿って形成されている。第一傾斜面部523の屋内側の端部は、基部51の屋外側の端部に接続されている。
【0033】
図5に示すように、第一係止部52の第一上面部521は、下框22の屋外側溝係止片部352の下面に係止されている。
【0034】
基部51の屋内側の端部の上端部には、屋内側に張り出す張出し部512が設けられている。張出し部512は、下框22の屋内側溝側壁部346の上面に設置されている。
【0035】
第二係止部53は、基部51の屋内側の端部から屋内側に突出している。第二係止部53は、セッティングブロック5の幅方向の全長にわたって形成されている。
【0036】
図6に示すように、第二係止部53は、第二上面部531と、第二下面部532と、を有している。第二上面部531は、基部51の屋内側の端部の上下方向の中間から屋内側に延びている。第二上面部531は、屋内側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜している。第二下面部532は、第二上面部531の下端部から屋外側に延びている。第二下面部532は、屋外側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜している。第二下面部532の下端部は、基部51の下面51dの屋内側の端部に接続されている。
【0037】
図5に示すように、第二係止部53の第二上面部531は、下框22の屋内側溝係止片部351の下面に係止されている。
【0038】
このように構成された引違い窓100では、セッティングブロック5の第一係止部52が、下框22の屋外側溝側壁部347に設けられた屋外側溝係止片部352に係止されている。セッティングブロック5の第二係止部53が、下框22の屋内側溝側壁部346に設けられた屋内側溝係止片部351に係止されている。これによって、下框22にセッティングブロック5を係止するための孔加工等を設ける必要がないため、セッティングブロック5を施工性良く下框22に取り付けることができる。セッティングブロック5の屋内外方向の両側を下框22に係止するため、セッティングブロック5の屋内外方向の移動が規制される。
【0039】
引違い窓100では、セッティングブロック5の基部51の下面51dには、上方に凹む凹部511が形成されている。凹部511は、基部51の幅方向の全長にわたって形成されている。これによって、凹部511内を結露水等の水が通過する排水ルートとして、下框22に形成された排水孔348から排水することができる。
【0040】
上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0041】
例えば、実施形態では、建具の一例として引違い窓を例に挙げて説明しているが、これに限られない。開き窓、すべり出し窓等の他の建具であってもよい。
【0042】
実施形態では、セッティングブロック5には凹部511が形成されているが、本発明はこれに限られない。セッティングブロック5には凹部511が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…枠体、2…障子、5…セッティングブロック、22…下框、29…ガラス、35…ガラス溝、51…基部、51d…下面、52…第一係止部、53…第二係止部、343…支持壁部(底板部)、346…屋内側溝側壁部(屋内側壁部)、347…屋外側溝側壁部(屋外側壁部)、511…凹部