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特許7595460バッテリの高速充電のための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】バッテリの高速充電のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20241129BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20241129BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20241129BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/139
H01M4/133
H01M4/62 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020540390
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019014095
(87)【国際公開番号】W WO2019143870
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509270225
【氏名又は名称】ザ・リサーチ・ファウンデーション・フォー・ザ・ステート・ユニヴァーシティー・オブ・ニュー・ヨーク
(73)【特許権者】
【識別番号】520263936
【氏名又は名称】ブルックヘヴン サイエンス アソシエイツ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BROOKHAVEN SCIENCE ASSOCIATES, LLC
【住所又は居所原語表記】40 Brookhaven Avenue Building 460 Upton, NY, 11973-5000 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】タケウチ,エスター エス
(72)【発明者】
【氏名】マルチロク,アミー シー
(72)【発明者】
【氏名】タケウチ,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ボック,デイビッド シー
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/084906(WO,A1)
【文献】特開2007-123246(JP,A)
【文献】特開2007-026926(JP,A)
【文献】特開2015-065000(JP,A)
【文献】特開2015-109270(JP,A)
【文献】特表2007-522620(JP,A)
【文献】Jui-Pin Yen et al.,Sputtered copper coating on silicon/graphite composite anode for lithium ion batteries,Journal of Alloys and Compounds,2014年02月07日,No.598,p.184-190
【文献】K.GUO et al.,Nano-scale copper-coated graphite as anode material for lithium-ion batteries,Journal of Applied Electrochemistry,2002年,32,p.679-685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13-4/139
H01M 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイトからなるアノード基板と、
前記アノード基板の面上に形成されるナノ被覆であって、前記ナノ被覆は、Cu、Ni、およびCuとNiの複合物からなる群から選択される、該ナノ被覆
を含み、
前記ナノ被覆は、前記アノード基板の被覆表面におけるLi金属核形成の過電圧を増加させ、6C以上の充電速度での充電中のLi金属メッキを抑制し、前記ナノ被覆は、20%未満の比エネルギーのフェードで500サイクルを達成するリチウムイオンバッテリを得ることを可能にすることを特徴とする、リチウムイオンバッテリを高速充電するように構成されたアノード。
【請求項2】
前記充電は、20分未満で行われる、請求項1に記載のアノード。
【請求項3】
前記ナノ被覆が、2~200nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のアノード。
【請求項4】
前記ナノ被覆が、2~10nmの範囲の厚さを有する、請求項3に記載のアノード。
【請求項5】
前記アノード基板が8mg/cmの負荷を有し、前記ナノ被覆が5nmの厚さであり、前記ナノ被覆を含む金属の質量がグラファイト1g当たり1mg未満である、請求項1に記載のアノード。
【請求項6】
前記充電は、10分で行われる、請求項2に記載のアノード。
【請求項7】
前記過電圧は前記アノード基板とLi金属との間の界面エネルギー差によって決定され、前記界面エネルギー差は結晶構造の非類似性に依存する、請求項1に記載のアノード。
【請求項8】
前記ナノ被覆が、前記CuおよびNiの複合物を含む、請求項1に記載のアノード。
【請求項9】
グラファイトからなるアノード基板と、
Cuナノ層、Niナノ層、およびCuとNiの複合ナノ層からなる群から選択される前記アノード基板の表面上のナノ被覆
を有するリチウムイオンバッテリセルであって、
前記ナノ被覆は、前記アノード基板の被覆された前記表面におけるLi金属核形成の過電圧を増加させ、前記リチウムイオンバッテリセルの6C以上の充電速度での充電中のLi金属メッキを抑制し、前記ナノ被覆は、20%未満の比エネルギーのフェードで500サイクルを達成するリチウムイオンバッテリを得ることを可能にすることを特徴とする、リチウムイオンバッテリセル。
【請求項10】
前記リチウムイオンバッテリセルがリチウムイオンバッテリである、請求項に記載のリチウムイオンバッテリセル。
【請求項11】
前記被覆が、CuおよびNiの複合ナノ層を含む、請求項に記載のリチウムイオンバッテリセル。
【請求項12】
リチウムイオンバッテリを高速充電するように構成されたアノードであって、
グラファイトからなるアノード基板と、
前記リチウムイオンバッテリで形成されたバッテリを6C以上の充電速度で充電する間のLi金属メッキを抑制するようにLi金属の過電圧を増加させるための前記アノード基板の表面上のナノ被覆
を含み、
前記アノードは、前記アノード基板の前記表面に前記ナノ被覆を適用するステップを含むプロセスによって製造され、前記ナノ被覆は、Cuナノ層、Niナノ層、およびCuとNiの複合ナノ層の群から選択され、前記ナノ被覆は、20%未満の比エネルギーのフェードで500サイクルを達成するリチウムイオンバッテリを得ることを可能にすることを特徴とすることを特徴とするアノード。
【請求項13】
前記ナノ被覆は、2~200nmの厚さを有する、請求項12に記載のアノード。
【請求項14】
前記ナノ被覆の厚さが2~10nmである、請求項13に記載のアノード。
【請求項15】
前記ナノ被覆は、物理蒸着(PVD)によって前記アノードに適用される、請求項12に記載のアノード。
【請求項16】
前記アノード基板が8mg/cmの負荷を有し、前記ナノ被覆が5nmの厚さを有し、前記ナノ被覆を含む金属の質量がグラファイト1gあたり1mg未満である、請求項14に記載のアノード。
【請求項17】
増加した前記過電圧は、前記アノード基板が形成される基板材料と前記Li金属との間の界面エネルギー差に基づく、請求項14に記載のアノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[政府支援声明]
本発明は、ETS エネルギー省により授与されたDE-FOA-0001818およびDE-EE0008356及びDE-SC0012704に基づく政府の支援によりなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年1月17日に出願された仮特許出願第62/618,116号の出願日の利益を有する2019年1月18日に出願されたPCT/US2019/014095 の米国国内段階出願の利益を有するものである。仮出願の内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【0003】
本発明は広くはリチウムイオンバッテリに関し、より詳細には、コーティングされていないアノード表面(例えば、グラファイト)に対して、Li金属核形成および成長の過電圧を増加させるために形成されたアノードを含み、したがって、超高速充電中にLi堆積(「金属めっき(又は、金属プレーティング」)を抑制しながら、グラファイト基板へのLiイオン拡散を依然として促進する、高速充電のためのリチウムイオンセルまたはバッテリに関する。Liめっきを緩和することにより、そのように被覆とともに製造されたグラファイトアノードを有するセルまたはバッテリは、10分間高速充電プロトコルを用いて、比エネルギーの20%未満のフェードで500サイクルを達成するというEERE目標に対処する。凝集体中のコーティングは厚さが約2~200nm、好ましくは約2~10nm(例えば、5nm)である。
【背景技術】
【0004】
現在生産されている電気自動車(EV)は、Li/SやLi/Oのような他の新興システムと比較して、その高いエネルギーとパワー密度によるリチウムイオンバッテリ技術の使用と、その相対的な技術的成熟度に依存している。Ahmed, S., et al., Enabling fast charging - A battery technology gap assessment(高速充電の有効化-バッテリ技術のギャップ評価). Journal of Power Sources (2017); 367(Supplement C): p. 250-262。しかし、電気自動車の採用に直面している大きな障壁は、現在利用されているリチウムイオン蓄バッテリが内燃機関を動力源とする自動車に燃料を補給するのに必要な時間(10分未満)と比較して、充電にかなりの時間(約30分)を要することである。したがって、範囲、コスト、またはサイクル寿命を犠牲にすることなく、約10分(6Cレート)で充電することができるLiイオンバッテリを開発する必要性は、EVの広範囲な実施にとって極めて重要である。
【0005】
最先端のリチウムイオンバッテリの超高速充電を妨げる主要な障壁はNitta, N., et al., Li-ion battery materials: present and future(リチウムイオンバッテリ材料:現在と未来). Mater. Today (Oxford, U. K.) (2015); 18(5): p. 252-264によって報告されているように、グラファイトアノードにおけるリチウム金属蒸着、すなわちリチウムメッキの発生である。グラファイトアノードは、Waldmann, T., et al., Interplay of Operational Parameters on Lithium Deposition in Lithium-Ion Cells: Systematic Measurements with Reconstructed 3 -Electrode Pouch Full Cells(リチウムイオンバッテリにおけるリチウム析出に関する操作パラメータの相互作用:再構成された3電極ポーチフルセルを使用した系統的な測定。) Journal of The Electrochemical Society (2016); 163(7): p. A1232-A1238及びLiu, Q., et al., Understanding undesirable anode lithium plating issues in lithium-ion batteries(リチウムイオンバッテリの望ましくないアノードリチウムメッキの問題を理解する) RSC Adv. (2016); 6(91): p. 88683-88700; Agubra, V. and J. Fergus, (リチウムイオンバッテリアノードの劣化メカニズム) Materials (2013)6 (4): p. 1310に報告されるように、0.05~0.1V vs Li/Li+の動作電位で動作する。
【0006】
したがって、動作電圧は金属Li堆積のそれに非常に近い。低速での通常の充電条件下では、Li+イオンはグラファイトアノードにインターカレートする。しかし、高速充電条件下では、陽極表面へのLi+イオンの輸送速度はグラファイト中のLi+拡散率の速度より大きく、その結果、電極表面にLi+イオンが蓄積する。Waldmann, T., et al., Interplay of Operational Parameters on Lithium Deposition in Lithium-Ion Cells: Systematic Measurements with Reconstructed 3-Electrode Pouch Full Cells(リチウムイオンバッテリにおけるリチウム析出に関する操作パラメーターの相互作用:再構築された3電極ポーチフルセルによる系統的測定), Journal of The Electrochemical Society (2016); 163(7): p. A1232-A1238.これらの条件はLi堆積のための0Vしきい値以下の電極の分極を引き起こし、Liメッキをもたらす。リチウム堆積は充電条件に依存し、高速、低温および高充電状態(SOC)はすべて電極分極を増加させ、従ってLi堆積を容易にする。Liu, Q., et al., Understanding undesirable anode lithium plating issues in lithium-ion batteries(リチウムイオンバッテリの望ましくないアノードリチウムメッキの問題を理解する). RSC Adv (2016); 6(91): p. 88683-88700。
【0007】
リチウム堆積は帯電条件に依存し、高速速度、低温および高充電状態(SOC)はすべてLi堆積を容易にする陽極分極を増加させる。Q. Liu, et al. RSC Adv., 6, 88683 (2016)。最先端のLiイオンバッテリの高速充電能力は、0.05~0.1V対Li/Li+の作動電位で作動するグラファイトアノードでのLiメッキの発生によって制限される。T. Waldmann, et al. J. Electrochem. Soc., 163, A1232 (2016); Q. Liu, et al. RSC Adv., 6, 88683 (2016); 5. V. Agubra, et al. Materials, 6, 1310 (2013)。
【0008】
陽極を0V以下に分極すると、インターカレーションよりもグラファイト表面へのLi堆積が好まれ、めっきが起こる。Li金属の高い反応性のために、電解質とのその後の反応が起こり、活性リチウムのいくらかを消費し、電池容量損失をもたらす。
【0009】
Liめっきを抑制するために、イオン伝導性を増加させ、および/またはSEI抵抗を制御するための電解質組成の最適化を含む、限られた有効性を有する複数の戦略が実証されている。Jones, J.P., et al., The Effect of Electrolyte Composition on Lithium Plating During Low Temperature Charging of Li-Ion Cells(リチウムイオンバッテリの低温充電中のリチウムめっきに対する電解質組成の影響) ECS Transactions (2017); 75(21): p. 1-11; Liu, Q.Q., et al., Effects of Electrolyte Additives and Solvents on Unwanted Lithium Plating in Lithium-Ion Cells(リチウムイオンバッテリの不要なリチウムめっきに対する電解質添加剤と溶媒の影響) Journal of The Electrochemical Society (2017) 164(6): p. A1173-A1183, 13. Jumg, S., et al., Low-Temperature Performance Improvement of Graphite Electrode by Allyl Sulfide Additive and Its Film-Forming Mechanism(硫化アリル添加によるグラファイト電極の低温性能改善とその膜形成メカニズム). Journal of The Electrochemical Society (2016); 163(8): p. A1798-A1804. Smart, M.C. and B.V. Ratnakumar, Effects of Electrolyte Composition on Lithium Plating in Lithium-Ion Cells(リチウムイオンバッテリのリチウムめっきに対する電解質組成の影響) Journal of The Electrochemical Society (2011); 158(4): p. A379- A389; Smart, M.C., et al., Lithium-Ion Electrolytes Containing Ester Cosolvents for Improved Low Temperature Performance(低温性能を改善するためのエステル共溶媒を含むリチウムイオン電解質) Journal of The Electrochemical Society (2010); 157(12): p. A1361-A1374; Smart, M.C., B.V. Ratnakumar, and S. Surampudi, Use of Organic Esters as Cosolvents in Electrolytes for Lithium-Ion Batteries with Improved Low Temperature Performance(低温性能が改善されたリチウムイオンバッテリ用の電解質の共溶媒としての有機エステルの使用) Journal of The Electrochemical Society (2002); 149(4): p. A361-A370)
【0010】
公知の緩和Liめっき(又は、mitigating Li plating)は、Cheng, Q., et 1.に報告されるように、拡散速度を改善するためにグラファイトアノードを改質することを含む。Cheng, Q., et 1., KOH etched graphite for fast chargeable lithium-ion batteries(急速充電可能なリチウムイオンバッテリ用のKOHエッチンググラファイト) Journal of Power Sources (2015); 284(Supplement C): p. 258-263; Deng, T. and X. Zhou, Porous graphite prepared by molybdenum oxide catalyzed gasification as anode material for lithium ion batteries(リチウムイオンバッテリのアノード材料として酸化モリブデン触媒ガス化によって作製された多孔質グラファイト) Materials Letters (2016); 176 (Supplement C): p. 151-154; Park, J.-S., et al., Edge-Exfoliated Graphites for Facile Kinetics of Delithiation(脱リチウムの容易な速度論のためのエッジ剥離グラファイト) ACS Nano (2012); 6(12): p. 10770-10775; Shim, J.-H. and S. Lee, Characterization of graphite etched with potassium hydroxide and its application in fast-rechargeable lithium ion batteries(水酸化カリウムでエッチングされたグラファイトの特性評価と急速充電可能なリチウムイオンバッテリへのその応用) Journal of Power Sources (2016); 324(Supplement C): p. 475-483, and optimization of charging protocol. T. Waldmann, et al. J Electrochem. Soc ., 163, A1232 (2016); Ahmed, S., et al., Enabling fast charging - A battery technology gap assessment(急速充電を可能にする-バッテリ技術のギャップ評価) Journal of Power Sources (2017); 367(Supplement C): p. 250-262. Somerville, L., et al., The effect of charging rate on the graphite electrode of commercial lithium-ion cells: A post-mortem study(市販のリチウムイオンバッテリのグラファイト電極に対する充電率の影響:事後調査) Journal of Power Sources (2016); 335 (Supplement C): p. 189-196; Zhang, S.S., The effect of the charging protocol on the cycle life of a Li-ion battery(Li-ionバッテリのサイクル寿命に対する充電プロトコルの影響) Journal of Power Sources (2006); 161(2): p. 1385-1391. Waldmann, T., M. Kasper, and M. Wohlfahrt-Mehrens, Optimization of Charging Strategy by Prevention of Lithium Deposition on Anodes in high-energy Lithium-ion Batteries-Electrochemical Experiments(高エネルギーリチウムイオンバッテリの電気化学実験におけるアノードへのリチウム析出の防止による充電戦略の最適化) Electrochimica Acta (2015); 178 (Supplement C): p. 525-532。現在の研究体系に基づいて、上記の戦略のいずれも、極端に速い充電速度でのサイクルを可能にするのに十分な利益を提供することができない。したがって、高速充電中のLi堆積を抑制するための新しいアプローチの探求が保証される。
【0011】
Ni及びCu金属基板を用いたLi析出過剰電位の制御
電気結晶化プロセスによるリチウムの堆積中に、電極表面上にLi核が形成されるのを克服しなければならない自由エネルギー障壁が存在する。この熱力学的コストを克服し、反応を促進するためには、過剰増強剤が必要である。理論的には電気結晶化のための総過電圧が4つの別個の寄与:
(式1)
η=ηct+ηd+ηr+ηc
の合計であり、ここで、ηct、ηd、ηr、ηcをそれぞれ、Winand, R., Electrocrystallization: Fundamental considerations and application to high current density continuous steel sheet plating(電気結晶化:基本的な考慮事項と高電流密度連続鋼板めっきへの適用) Journal of Applied Electrochemistry, 1991. 21(5): p. 377-385.によって報告されている電荷移動、拡散、反応、および結晶化過電圧である。
【0012】
しかしながら、実際には、実験データからこれらのパラメータの4つ全てを抽出することは困難である。Pei, A., et al., Nanoscale Nucleation and Growth of Electrodeposited Lithium Metal(ナノスケール核形成と電着リチウム金属の成長) Nano Letters (2017); 17(2): p. 1132-1139の最近の研究に示されるように、Liの電気結晶化中の電極分極は2つの項:Liクラスターの初期核形成に関連し、初期電圧降下として観察される核形成過電位(ηn)と、既存の核上のLiの連続成長を記述するプラトー過電位(ηp)の和としてより簡単に記述することができる(図7)。ηpの値がηnよりも高いことは注目に値するが、これは予備形成された核へのLi原子の添加が初期核形成よりも低い熱力学的コストを有するからである。Sagane, F., et al., Effects of current densities on the lithium plating morphology at a lithium phosphorus oxynitride glass electrolyte/copper thin film interface(リチウムリン酸窒化物ガラス電解質/銅薄膜界面でのリチウムめっき形態に対する電流密度の影響) Journal of Power Sources, 2013. 233 (Supplement C): p. 34-42。
【0013】
Li電解結晶化の過電圧は電極基板、特にニッケル(Ni)および銅(Cu)金属基板に大きく依存し、リチウム蒸着には好ましくない高い過電圧を示す(図2a)。Yan, K., et al., Selective deposition and stable encapsulation of lithium through heterogeneous seeded growth(不均一なシード成長によるリチウムの選択的堆積と安定したカプセル化) Nat. Energy, 2016. 1(3): p. 16010によって報告されたように、低電流密度(10mA cm-2)でのCuおよびLi上のLi堆積の過電圧は炭素基板上の-15mVの過電圧と比較して、それぞれ-40mVおよび-30mVであると決定された。提案されたアプローチは金属被覆電極上のLiめっきを抑制するために、CuおよびNi基板上の高い過電圧を利用するのであろう。
【0014】
Li核形成中の過電圧の駆動力は基板とLi金属の界面エネルギー差であり、蒸着のためのLiと基板の間の結晶構造の非相似性に依存する。CuとNiは共にFCC構造で結晶化するが、Li金属はBCCである。さらに、CuおよびNiの原子半径は、Li金属の1.55Aと比較して、それぞれ1.28Aおよび1.24Aである。Pauling, L., Atomic Radii and Interatomic Distances in Metals(金属の原子半径と原子間距離) Journal of the American Chemical Society, 1947. 69(3): p. 542-553。
【0015】
したがって、Yan, K., et al., Selective deposition and stable encapsulation of lithium through heterogeneous seeded growth(不均一なシード成長によるリチウムの選択的堆積と安定したカプセル化) Nat. Energy, 2016. 1(3): p. 16010によって報告されているように、金属表面上のLi核形成中の構造的不整合に関連するエネルギー障壁を克服するためには、過電圧が必要である。NiおよびCu上へのLi堆積のための高い過電圧についてのさらなる洞察は、LiとCuまたはNiとの間の二元状態図の検査によって得られる(図5)。CuもNiも室温でLiと合金化合物相を形成しない。さらに、室温でのLi中のCuまたはNiの単相溶解性はなく、さもなければLi核生成のエネルギー障壁を減少させるのであろう。したがって、CuおよびNi表面上のLi堆積反応を駆動するためには、高い過電圧が必要である。
【0016】
Pei, A., et al., Nanoscale Nucleation and Growth of Electrodeposited Lithium Metal(ナノスケール核形成と電着リチウム金属の成長) Nano Letters, 2017. 17(2): p. 1132-1139によって報告されているように、Li電着の過電圧は電流密度にも依存する。図2bに示すように、Cu箔基板上へのLiの電着についてはηnが電流密度0.1mA/cm(赤色/実線)での-50mVから、電流密度5mA/cm(紫色/太点線)での-350mVまで増加するが、ηpは0.1mA/cmでの-30mVから、5mA/cmでの約-140mVまで増加する。図示されているように、0.3mA/cm、0.5mA/cm、1mA/cmにおける電流密度は、それぞれ、図2bに橙色(波線)、緑色(一点鎖線)、青色(太実線)で示されている。
【0017】
比較として、3Cの速度(2mAhcmのグラファイト負荷に対して約6mAcmの電流密度)でサイクルされたグラファイト/NMCセルの電極過電圧は、-50mV~-150mVの範囲であることが報告されている(図3)。したがって、同様の電流密度では、Cu上へのLi堆積のための過電圧がグラファイトのリチオ化のための過電圧よりも大きい。過電圧値は、金属被覆黒鉛電極上のLi金属核形成および成長が高い電荷速度で著しく抑制され、黒鉛中へのLiイオンの挿入がより好ましいプロセスであることを強く示唆する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明はリチウムイオンバッテリセルに使用するためのアノードにおける全く新しい概念を提供し、そこでは、表面でのLi金属堆積のための過電圧が意図的に増加され、かくして、アノードと共に製造されたリチウムイオンバッテリセルの超高速充電中のLi金属堆積を抑制する。これは、リチウム堆積に好ましくない高い過電圧を有するCuおよび/またはNi金属の超薄膜被覆をグラファイトアノード基板に被覆することによって達成される。金属コーティングのナノメートルスケールの厚さ(2200nmの範囲、好ましくは2~10nmの範囲(例えば、5nm))はグラファイトアノードの機能を維持することを可能にし、最新技術のエネルギー密度を維持する。Liめっきを抑制することにより、得られたNCM/グラファイトバッテリは、10分の高速充電プロトコルを用いて、比エネルギーの20%未満のフェードで500サイクルを達成するというEERE目標に取り組む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の説明から明らかになるのであろう:
図1】本発明による、(a)高速充電速度中のグラファイト表面上の従来技術のLi-メッキ、および(b)CuまたはNi表面被覆によってもたらされるLi核形成のための過電圧の増加によるグラファイト中への優先的インターカレーションの概略図である。
図2図2は、(a)50 mVの縦軸上のスケーリングを伴う、10mA cmの電流密度でのNiおよびCu基板上の定電流制御下でのLi堆積の電圧プロファイル、および(b)5mA/cmまでの電流電位での銅基板上のLi堆積の電圧プロファイルをグラフで示す。
図3図3は、グラファイトアノード、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiwNixCoyMnz02)(NMC)カソード、Li参照電極、および1:1(エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート(EC:DMC)1M LiPFを(a)5℃、(b)20℃、および(b)45℃でそれぞれ充電した3つの電極セルのアノード電位測定値対(Li/Li+)をグラフで示す。測定は、0.2℃~3℃の範囲の充電速度を有する電池について集めた。
図4図4は、電着プロセスに関連する核形成過電位(F[n]及びプラトー過電位(I]p)を示す定電流Li堆積(黒)及び二重パルス定電位Li堆積(赤/実線)の電圧プロファイルをグラフで示す。Pei, A., et ak, Nanoscale Nucleation and Growth of Electrodeposited Lithium Metal(ナノスケール核形成と電着リチウム金属の成長) Nano Letters, 2017. 17(2): p. 1132-
【0020】
図5図5は、(a)Cuおよび(b)Ni(2より:Yan, K., et al., Selective deposition and stable encapsulation of lithium through heterogeneous seeded growth(不均一なシード成長によるリチウムの選択的堆積と安定したカプセル化) Nat. Energy, 2016. 1(3): p. 16010.)を有するLiである。
【0021】
図6図6(a)は、元の炭素繊維のCVを示す。図6(b)は、物理蒸着によって堆積された厚さ40nmのCu膜を有する炭素繊維を示す。図6(c)は、Cu被覆炭素繊維からのLi専用挿入のためのCu膜厚と陽極ピーク高さとの間の関係を示す。
【0022】
図7図7は、SiおよびCu被覆Siについて種々の放電速度で得られたエネルギーをグラフで示す。ここで、値はC/8速度で得られた正規化対エネルギーである。
【0023】
図8図8(a)および(b)は、(a)純粋なグラファイト電極および(b)5nmのCu層で被覆されたグラファイト電極の電極電位の関数としてのナイキストプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明を説明する際に、本発明の概念を明確に理解するために、不必要な詳細で本発明を曖昧にすることを避けるために、当技術分野で知られている関連する機能または構成についての説明は省略する。
【0025】
本発明は電極(例えば、アノード)と、この電極を用いて製造されたリチウムイオンバッテリを急速充電するための電極を形成する方法と、この方法によって形成された電極またはアノードと、急速充電するために電極/アノードを用いて製造されたセルまたはバッテリ(又は、電池)とを提供する。
【0026】
一形態では、本発明がCuおよび/またはNi金属ナノ粒子の極薄層でコーティングされたグラファイト電極(すなわち、アノード)を具現化して、コーティングされたグラファイトアノードで製造されたセルまたはバッテリ内で動作するときに、電極/アノード表面でのLi金属核形成の過電圧を増大させるために、約2~10nmの厚さのコーティングを実現する。コーティングは、本発明のアノード(セルまたは電池の)に依存して、超高速充電中のLi金属メッキを阻害する。Liめっきを軽減することによって、得られるグラファイト/ナノコーティング材料(NMC)セルまたはバッテリは、10分間の高速充電プロトコルを使用して、比エネルギーの20%未満のフェードで500サイクルを達成するという米国エネルギー効率再生可能エネルギー局(EERE)の目標に取り組む。
【0027】
グラファイトアノードは、DCマグネトロンスパッタリングを介してアノード基板の表面に適用されるNiおよびCu金属のナノメータスケール(<20nm)の層で被覆される。NiおよびCu金属基板は、リチウム堆積に好ましくない高い過電圧を有する。Yan, K., et al., Selective deposition and stable encapsulation of lithium through heterogeneous seeded growth(不均一なシード成長によるリチウムの選択的堆積と安定したカプセル化) Nat. Energy, 2016. 1(3): p. 16010; Pei, A., et al., Nanoscale Nucleation and Growth of Electrodeposited Lithium Metal(ナノスケール核形成と電着リチウム金属の成長)。コーティングされたグラファイトアノードで製造されたセルまたはバッテリの充電中、金属コーティングされたアノード基板表面へのLi堆積のための過電圧は、グラファイトへのインターカレーションのための過電圧(図la)よりも大きさが大きく、グラファイトの好ましいリチウム化および抑制されたLiメッキをもたらす(図lb)。Liの付着を抑えることにより、バッテリを長時間のサイクル(>500サイクル)にわたって10分間のプロトコルを用いて充電することが可能になる。
【0028】
金属被覆黒鉛アノードをLiNi0.6Mn0.2Co0.2(622 NCM)カソード、ポリマーセパレータおよび1M LiPF3:7EC:EMCベースの電解質と対にした。提案された電池(又は、セル)は、DCマグネトロンスパッタリング法を介したグラファイトアノード基板表面の改質をその唯一の相違点とて、現在の最先端の電極材料(グラファイトおよび622 NCM)を利用するであろう。従って、提案された電池のコストは現在の最先端技術に匹敵するのであろう。さらに、極薄金属被覆はグラファイトアノード基板の表面にのみ堆積されることになるため、不活性アノード質量の大幅な増加はないであろう。8mg/cmの負荷を有するグラファイトアノードについては、アノード(基板)表面上の5nmのCuコーティングの質量は、グラファイト1g当たり1mg未満のCuである。したがって、セル固有エネルギーもまた、現在の技術水準に対して維持される。
【0029】
本発明者らはナノメートルスケールのNi層、ナノメートルのCu層またはCuとNiの複合ナノ層で被覆されたグラファイト陽極を調製し、特性評価した。電気化学的評価はCu/Ni被覆電極(すなわち、陽極)を含む電池の高速充電動作を被覆されていないグラファイト陽極と比較することによって、半および全電池構成で被覆されたグラファイト陽極に対して行われる。
【0030】
当技術分野で公知のように、過電圧が高い材料は、Li金属の堆積を妨げる。その事項について、最近の報告では、ニッケル(Ni)および銅(Cu)金属基板がリチウム堆積に好ましくない高い過電圧を有することが示されている(図2a、2b)。K. Yan, et al. Nat. Energy , 1, 16010 (2016); A. Pei, et al. Nano Lett., 17, 1132 (2017)。
【0031】
本発明のアノード及びアノードを製造する方法はアノードと共に製造されたバッテリセル及びバッテリにおける高速充電プロトコル中のLiメッキを抑制するために、Cu及びNi金属基板上へのLi堆積のためのこの高い過電圧を利用する。本発明の方法はDCマグネトロンスパッタリングを利用して、予備製造された黒鉛アノード上にNiおよび/またはCuのナノメートルスケールの層を堆積させ、そこでは制御された極薄金属被覆がLi金属堆積のための過電圧を増加させ、したがって、黒鉛(又は、グラファイト)電極の機能を依然として維持しながら、極高速充電中のLiメッキを抑制する(図laおよびlb)。
【0032】
NiおよびCu基板上へのLi堆積の比過電位値は電流密度に依存し、電流密度5mAcmでのCu基板について報告されている値は-350mVである(図2b)。Ahmed, S., et al., Enabling fast charging - A battery technology gap assessment(急速充電を可能にする-バッテリ技術のギャップ評価) Journal of Power Sources, 2017. 367 (Supplement C): p. 250-262。
【0033】
比較すると、3C速度(2mAh・cmのグラファイト装填の場合、約6mAcmの電流密度)でサイクルしたグラファイト/ナノ材料(NMC)電池に対する電極過電圧は、-50mVから-150mVの範囲(図3a、3b、3c)と報告されている。T. Waldmann, et al. J Electrochem. Soc ., 163 (7), A1232 (2016)。図示のように、実線の灰色(細い実線)は0.2Cセル1を示し、実線の赤色(実線)は0.5セル1を示し、実線の橙色(太い実線)は1Cセル1を示し、実線の青色(太い実線)は2Cセル1を示し、実線の灰色(最も太い実線)は3Cセル1をそれぞれ示し、破線の灰色(細い線)は0.2Cセル2を示し、破線の赤色(波線)は0.5セル2を示し、破線の橙色(太い波線)は1Cセル2を示し、破線の青色(太い波線)は2Cセル2をそれぞれ示し、破線の灰色(最も太い波線)は3Cセル2をそれぞれ示す。Cu基板上へのLi堆積のための過電圧は同様の電流密度で報告されているグラファイト電極過電圧よりも大きさが大きく、したがって、薄層Niおよび/またはCu金属で被覆されたグラファイトアノード基板はLi表面堆積を緩和し、グラファイトへのリチウム挿入を好み、阻害されたLiメッキによる超高速充電を可能にする。
【0034】
本発明のアノードは、現在の最新技術のアノード材料(グラファイトおよび622NMC)および1M LiPF3:7EC:EMC電解質を用いて製造される。現在の最先端のLiイオンバッテリと比較した製造上の唯一の違いは、DCマグネトロンスパッタリング堆積を介したグラファイト電極表面の改質である。従って、発明のアノードを用いて作製された提案されたバッテリのコストは、現在の技術状態と同等である。そして、極薄金属被覆はグラファイトアノードの表面、すなわち基板表面にのみ堆積されるので、電池比エネルギーは維持される。5nmのCu層で被覆された8mg/cmの負荷を有するグラファイトアノードでは、電極表面上の不活性質量はグラファイト1gあたり<1mgのCuとなる。Liの堆積を抑制することにより、長時間のサイクル(>500サイクル)にわたって10分間のプロトコルを用いてバッテリを充電することが可能になる。
【0035】
本発明のデバイスおよび方法では、アノードの表面でのLi金属核形成のための過電圧が意図的に増加され、従って、既知のグラファイト電極/アノードの機能を維持しながら、超高速充電中のLi金属堆積を抑制する(図la)。
【0036】
既知のように、Liの不均一核形成中の過電圧の駆動力は基板とLi金属との間の界面エネルギー差であり、これは蒸着のためのLiと基板との間の結晶構造の非類似性に依存する。CuとNiは共に面心立方(FCC)構造で結晶化するが、Li金属はベース中心立方(BCC)構造である。したがって、金属表面上のLi核形成中の構造的不整合に関連するエネルギー障壁を克服するために、過電圧が必要である。
【0037】
本発明の方法では、グラファイト/カーボンブラック/ポリフッ化ビニリデン(PVDF)電極がスラリーキャスティング法を用いて製造される。電極、すなわち電極基板の表面は、加熱されたタングステンるつぼから真空下で金属を蒸発させる物理蒸着(PVD)法を用いて、CuおよびNiで被覆される。F. Nobili, et al. J Power Sources , 180, 845 (2008); M. Mancini, et al. ./. Power Sources , 190, 141 (2009); J. Suzuki, et al. Electrochem. Solid-State Lett., 4, Al (2001); F. Nobili, et al. Fuel Cells (Weinheim, Ger.), 9, 264 (2009)。
【0038】
水晶振動子微量天秤(QCM)を用いて電極質量を測定することにより堆積速度と厚さをモニタし、2~10nmの範囲のNiとCu層を得るために温度と堆積時間を調整する。本発明者らの理解では、8mg/cmの負荷(又は、装荷/load)を有するグラファイトアノードの場合、5nmのCuコーティングの場合、金属質量はグラファイト1g当たり1mg未満である。
【0039】
高分解能透過型電子顕微鏡(HR‐TEM)を用いて金属膜の均一性と厚さを決定した。コーティングされたアノードは、LiNi0.6MnOCoOと対になっている(622 NCM)カソードを用い、1M LiPF 3:7EC:EMCベースの電解質を用いて評価する。J. C. Burns等(J. Electrochem. Soc. , 160, A1668 (2013); D. Aurbach, et al. Electrochim. Acta , 47, 1423 (2002))によって報告されるビニレンカーボネート(VC)及びLiイオンセルでより堅牢なアノードSEIを形成するために使用されているH. Shin等(J. Electrochem. Soc., 162, A1683 (2015); B. Liu, et al. Electrochem. Solid-State Lett. , 15, A77 (2012))によって報告されるフルオロエチレンカーボネートは、固体-電解質界面(SEI)を改変(又は、修飾/modify)するために評価される。
【0040】
Liめっきサイクル寿命に及ぼすNi及びCu被覆厚さ、セル温度、充電速度、及び充電状態(SOC)の系統的調査を2及び3電極セル構成で行った。J.P. Jones, et al. ECS Trans., 75, 1 (2017); M. Petzl Journal of Power Sources, 254, 80 (2014)によって報告されているように、3電極セル構成におけるアノード電位を測定し(T. Waldmann, et al. J. Electrochem. Soc., 163, A2149 (2016); S. S. Zhang, J. Power Sources, 161, 1385 (2006))、等温マイクロ熱量測定を用いたLi堆積に関連する熱流のモニタリング(L. E. Downie, et al. J. Electrochem. Soc., 160, A588 (2013))を行って、異なる電圧でのプロットによって、Li堆積を検出し、定量化した。最適な電気化学的挙動を示すコーティングされたアノードの延長されたサイクル性能は、2Ahパウチセルにおいてさらに評価された。
【0041】
黒鉛陽極上にNi及び/又はCu被覆が存在すると、被覆していない黒鉛陽極に比べてLi核形成過電圧が増加し、Li析出が抑制される。さらに、(図8に示すように)金属層はグラファイト電極の電荷移動抵抗を減少させる(F. Nobili, et al. J Power Sources , 180, 845 (2008)。このように、このデバイスと方法はグラファイト陽極での電荷移動動力学を同時に改善しながら、Li金属めっきの動力学を阻害することにより超高速充電を可能にする。
【0042】
科学的原理・その他の原理
第一の目的はナノメータスケールのNiまたはCu層で被覆されたグラファイト電極を調製し、特性評価することである。この目的の下での主な科学的な疑問は、金属コーティングの厚さおよび均一性の制御である。グラファイト電極は、6mg/cmのターゲット活物質負荷で作製した。DCマグネトロンスパッタリング蒸着を用いて、グラファイト電極上にナノメータスケール(<20nm)のNiとCuの層を蒸着した。スパッタ時間とスパッタ電力の制御を通して膜厚と均一性を最適化した。Lindner, M. and M. Schmid, Thickness Measurement Methods for Physical Vapor Deposited Aluminum Coatings in Packaging Applications(包装用途における物理蒸着アルミニウムコーティングの厚さ測定方法): A Review. Coatings (2017); 7(1): p. 9に報告されるように、基板に隣接する堆積真空チャンバ内に取り付けた水晶振動子微量天秤を用いて、堆積中に厚さをモニタした。
【0043】
金属被覆電極を、二次電子、後方散乱電子、およびエネルギー分散分光(EDS)マッピング技術を含むSEM測定を介して特性化する。EDSマッピングは、亀裂または空隙の存在を特定することによって金属膜の被覆均質性を評価するために使用される。
【0044】
第二の目的は、Ni‐グラファイトおよびCu‐グラファイト電極の電気化学的評価を半および全電池配置で行うことである。LiNNi0.6MnOCo0.2を利用した電極(622 NCM)陰極はターゲット陰極:陽極容量比1:1.2で作製した。コーティングされていない黒鉛電極、Ni-黒鉛およびCu-黒鉛電極、ならびにNCMカソードの初期電気化学的評価を、コインセル形式のハーフセルを用いて行った。種々の電極タイプを特徴付けるために、ACインピーダンス、定電流サイクル、およびレート能力試験が使用されるであろう。
【0045】
コーティングされていないグラファイトアノードおよびコーティングされたグラファイトアノードを含む電池の作用電極上へのLi金属堆積の電気化学的試験後の証拠を、破壊分析によって調べる。光顕微鏡はPark, G.等が報告しているように、リチウム鉱床の負極面の検査に使用される。低温での電化学特性と黒鉛のリチウム沈着の研究である。Park, G., et ah, The study of electrochemical properties and lithium deposition of graphite at low temperature(低温でのグラファイトの電気化学的性質とリチウム析出の研究) Journal of Power Sources (2012); 199(Supplement C): p. 293-299; Waldmann, T., et ah, Temperature dependent ageing mechanisms in Lithium-ion batteries - A Post-Mortem study(リチウムイオンバッテリの温度依存性劣化メカニズム-モルテン後研究) Journal of Power Sources (2014); 262(Supplement C): p.129-135; Gallagher, K.G., et ah, Optimizing Areal Capacities through Understanding the Limitations of Lithium-Ion Electrodes(リチウムイオン電極の限界を理解することによる面積容量の最適化) Journal of The Electrochemical Society (2016); 163(2): p. A138-A149.
【0046】
Honbo, LL, et ah, Electrochemical properties and Li deposition morphologies of surface modified graphite after grinding(研削後の表面修飾グラファイトの電気化学的性質とLi析出形態) Journal of Power Sources (2009); 189 (1): p. 337-343によって報告されているように、電極はまた、SEMを用いて画像化されて、黒鉛アノード表面でのLiデンドライトの形成を視覚化される。その後、単層フルセル(NCM/グラファイト)をパウチセル形式で調製した。全電池配置におけるNi‐黒鉛及びCu‐黒鉛電極の電気化学的性能を定電流サイクルを介して決定した。Go/No-Goの決定は、20%未満の容量減衰でC/2充電率で25サイクルを送達することができる少なくとも1つの金属コーティングされたアノードの実証に基づいて行われた。
【0047】
第3の目的は、金属コーティングのタイプおよび厚さの系統的な研究を通して、電池速度能力およびサイクル寿命を最適化することである。第3の目的の科学的焦点は、電気化学的性能と金属被覆の種類および厚さとの間の関係を決定することであった。2~20nmの間の3つの厚さでNiまたはCuで被覆した黒鉛電極を、合計6種類の独特な被覆タイプに対して調製した。電気化学的評価は、単層パウチフルセルを用いて行った。試験には、ACインピーダンス、速度(又は、レート)能力、および定電流サイクルが含まれた。2C充電速度で最も高い容量を供給する被覆タイプを、電気化学的特性評価の後に、Li‐金属堆積の証拠を光学顕微鏡とSEMを介して決定し、容量損失と相関させた。
【0048】
第4の目的は、最適化された金属被覆グラファイト電極およびベンチマーク対非被覆グラファイトの超高速充電能力を決定することによって、被覆されていないグラファイト電極を使用して、金属被覆グラファイト電極およびセルを有するベンチマークを含むセルの超高速充電を評価することである。第3の目的の結果から、最良のサイクル性能を有すると確認された2つの金属コーティングを利用する単層フルセルを調製し、3℃の速度で試験した。100サイクル後に最高の容量を有する金属被覆アノードに基づいて、追加のダウンセレクトを行った。最適化された電極ならびにコーティングされていないグラファイト電極を使用して、さらなる単層フルセルを調製した。電池は、複数の温度で極端に速い充電速度(6C)で定電流サイクルされた。試験の結果を用いて、プロジェクト目標、すなわち、コーティングされていない黒鉛アノードのものよりも大きい6C速度での機能容量を有する金属コーティング電極が達成されたことを検証した。
【0049】
特定のDOE技術目標を達成するために期待される成果が実現される
発明の方法によって製造された本発明の電池又はバッテリは、最先端の電池固有のエネルギー及びコストを維持しつつ超高速充電率(6C)で長サイクル寿命(500サイクル)を可能にするためにNi又はCu被覆のナノメートルスケールの被覆を利用する黒鉛/NMC電池カップルに基づいている。黒鉛アノード上のNi及び/又はCu被覆の存在は被覆していない黒鉛アノードに比べてLi核形成過電圧を増加させ、従って、Li堆積を抑制し、非修飾黒鉛アノードと比較してより高い速度での帯電を可能にすることが分かった。発明の電池又はバッテリが最新の電極材料(グラファイト及び622 NCM)を使用したが、唯一の相違点は容易な物理蒸着(PVD)法を介したグラファイト電極表面の改質であるので、提案された電池のコストは現行の技術に類似するであろう。さらに、金属コーティングは主としてグラファイトアノード電極の表面上にあるので、セル比エネルギーの著しい減少はない。8mg/cm負荷のグラファイトアノード電極の場合、表面堆積を仮定すると、5nmのCuコーティングの質量は、グラファイト1gあたり<1mgのCuとなる。提案した技術のもう一つの利点は、物理蒸着ステップが工業的スケールアップに好都合であることである。
【0050】
実現可能性
以前の報告では、ニッケル(Ni)および銅(Cu)金属基板がYan, K., et al., Selective deposition and stable encapsulation of lithium through heterogeneous seeded growth(不均一なシード成長によるリチウムの選択的堆積と安定したカプセル化). Nat. Energy (2016); 1(3): p. 16010,Pei, A., et al., Nanoscale Nucleation and Growth of Electrodeposited Lithium Metal(ナノスケール核形成と電着リチウム金属の成長) Nano Letters (2017); 17 (2): p. 1132-1139; Wang, H.-C., et al., Fabrication and Characterization of Ni Thin Films Using Direct-Current Magnetron Sputtering(直流マグネトロンスパッタリングを用いたNi薄膜の作製と特性評価) Chinese Physics Letters (2005); 22(8): p. 2106によって報告されているように、リチウム堆積に好ましくない高い過電圧を示すことが示されている(図2)。
【0051】
NiとCu金属の極薄表面被覆をDCマグネトロンスパッタリング法を介して黒鉛電極に適用した。DCマグネトロンスパッタリングによる10nm以下の制御された厚さを有する超薄膜の調製は、Prater, W.L., et al., Microstructural comparisons of ultrathin Cu films deposited by ion beam and dc-magnetron sputtering(イオンビームとdc-マグネトロンスパッタリングにより堆積したCu超薄膜の微細構造比較) Journal of Applied Physics (2005); 97(9): p. 093301 及びNi Wang, H.-C., et al., Fabrication and Characterization of Ni Thin Films Using Direct-Current Magnetron Sputtering(直流マグネトロンスパッタリングを用いたNi薄膜の作製と特性評価) Chinese Physics Letters (2005); 22 (8): p. 2106 metals.に報告されている。堆積に利用されるスパッタリング装置は、パウチセルアセンブリに適したサイズの電極を収容することができる。
【0052】
Cu及びNi金属被覆を有する黒鉛化炭素アノード材料の表面改質が、ゾルデレクトロライト相間(又は、個体-電解質相間)(SEI)(F. Nobili, et al. J. Power Sources, 180, 845 (2008); M. Mancini, et al. J. Power Sources, 190, 141 (2009); M. Mancini, et al. J. Power Sources, 190, 141 (2009); P. Yu, et al. J. Electrochem. Soc., 147, 2081 (2000); F. Nobili, et al. Fuel Cells (Weinheim, Ger.), 9, 264 (2009))を改質するために以前に探求され、金属膜を通るLiイオンのインターカレーションの概念の証拠を提供した。この研究は、J. Suzuki, et al. Electrochem. Solid-State Lett., 4, Al (2001)のように、図4に例示されているように、Li+イオンが5~40nmの厚さのCu膜を介して黒鉛化炭素繊維基材に効果的に(脱)インターカレートすることができ、酸化グラファイト電極上の電荷移動プロセスを容易にし、純粋な電極と比較してある範囲の電圧にわたって一貫してより低いインピーダンスが観察されることが分かった。Sethuraman, V. A., K. Kowolik, and V. Srinivasan, Increased cycling efficiency and rate capability of copper-coated silicon anodes in lithium-ion batteries(リチウムイオンバッテリの銅被覆シリコンアノードのサイクル効率とレート能力の向上) Journal of Power Sources (2011); 196(1): p. 393-398。図6a-cも参照のこと。F. Nobili, et al. J. Power Sources, 180, 845 (2008)。改善された動力学は、電解質からのLiカチオンの脱溶媒和のための金属コーティングの触媒効果に起因した。F. Nobili, et al. Fuel Cells (Weinheim, Ger.), 9, 264 (2009)
【0053】
nmスケールのCu膜を通してのLiイオンのインターカレーションのさらなる証拠はSethuraman, V. A., K. Kowolik, and V. Srinivasan, Increased cycling efficiency and rate capability of copper-coated silicon anodes in lithium-ion batteries(リチウムイオンバッテリの銅被覆シリコンアノードのサイクル効率とレート能力の向上) Journal of Power Sources 2011); 196(1): p. 393-398. Yen, J.-P., et al., Sputtered copper coating on silicon/graphite composite anode for lithium ion batteries(リチウムイオンバッテリ用のシリコン/グラファイト複合アノードのスパッタ銅コーティング) Journal of Alloys and Compounds (2014); 598 (Supplement C): p. 184-190によって報告されているように、Cu被覆SiおよびSi/グラファイト複合電極の報告によって提供される。これらの報告では、DCマグネトロンスパッタリングを用いて、表面膜の厚さが10~100nmの範囲で、電極の表面にCu膜を堆積させた。SEMおよびEDX分析を用いて、Cu膜が電極を横切って均一であることを確認した。Cuコーティングの存在は、3Cほどの速度で、コーティングされていないSiアノードと比較して、サイクル効率および送達可能なエネルギーを改善することが分かった(図7)。Sethuraman, V.A., K. Kowolik, and V. Srinivasan, Increased cycling efficiency and rate capability of copper-coated silicon anodes in lithium-ion batteries(リチウムイオンバッテリの銅被覆シリコンアノードのサイクル効率とレート能力の向上) Journal of Power Sources (2011); 196(1): p. 393-398。LiのNi金属を通る拡散は、多層Ni/NiO薄膜電極において実証されている。Evmenenko, G., et al., Morphological Evolution of Multilayer Ni/NiO Thin Film Electrodes during Lithiation(リチウム化中の多層Ni/NiO薄膜電極の形態学的進化)ACS Applied Materials & Interfaces (2016 8(31): p.19979-19986。結果は、Liイオン輸送がEvmenenko, G., et al., Lithiation of multilayer Ni/NiO electrodes: criticality of nickel layer thicknesses on conversion reaction kinetics(多層Ni/NiO電極のリチウム化:変換反応速度論に対するニッケル層の厚さの重要性) Phys. Chem. Chem. Phys. (2017); 19(30): p. 20029-20039によって報告されているように、Ni層<~7.5nmを通して効果的であることを示した。
【0054】
本発明は本発明の特定の実施形態を参照して示され、説明されてきたが、本発明およびその均等物の精神および範囲から逸脱することなく、本発明からの様々な変更および詳細が本発明においてなされ得ることが、当業者によって理解されるのであろう。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
アノード基板と、
Cu、Ni、およびCuとNiの複合物からなるナノ被覆の群から選択される前記アノード基板の面上に形成されるナノ被覆
を含み、
前記被覆は、少なくとも1つの電極の被覆表面におけるLi金属核形成の過電圧を増加させ、超高速充電中のLi金属メッキを抑制することを特徴とする、リチウムイオンバッテリを高速充電するように構成されたアノード。
<請求項2>
超高速充電は、20分未満で行われる、請求項1に記載のアノード。
<請求項3>
前記被覆が、2~200nmの範囲の厚さを有するナノ被覆である、請求項1に記載のアノード。
<請求項4>
前記ナノ被覆が、2~10nmの範囲の厚さを有する、請求項3に記載のアノード。
<請求項5>
前記アノード基板が、黒鉛、カーボンブラック、ポリフッ化ビニル(PVDF)からなる群から選択される、請求項1に記載のアノード。
<請求項6>
前記アノード基板がグラファイトであり、約8mg/cmの負荷で前記被覆の厚さが約5nmであり、前記被覆を構成する金属の質量がグラファイト1g当たり1mg未満である、請求項4に記載のアノード。
<請求項7>
前記超高速充電は、約10分で行われる、請求項2に記載のアノード。
<請求項8>
前記過電圧は基板とLi金属との間の界面エネルギー差によって決定され、前記界面エネルギー差は結晶構造の非類似性に依存する、請求項1に記載のアノード。
<請求項9>
前記被覆が、前記アノード基板の表面上のCuおよびNiの複合ナノ層を含む、請求項1に記載のアノード。
<請求項10>
リチウムイオンバッテリの高速充電のためのアノードを作製するための方法であって、
アノード基板の表面をCu層、Ni層、またはCu層およびNi層で被覆して、被覆された表面でのLi金属核形成の過電圧が増大したアノードを形成するステップを有し、
それによって、前記アノードで形成されたリチウムイオンバッテリの超高速充電中にLi金属めっきが抑制されることを特徴とする方法。
<請求項11>
被覆のステップが、Niのナノ層をアノード基板表面上に直接適用するステップと、Cuの層をNiの層上に直接適用して複合ナノ層を形成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
<請求項12>
物理蒸着(PVD)によってアノードに被覆を適用するステップを含む、請求項10に記載の方法。
<請求項13>
加熱されたタングステンるつぼから真空下でCu、Ni、またはCuおよびNiの両方を蒸発させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
<請求項14>
約2~200nmの範囲の厚さで前記被覆を適用するステップを含む、請求項10に記載の方法。
<請求項15>
前記被覆が、約2~10nmの厚さで適用される、請求項14に記載の方法。
<請求項16>
前記被覆が約8mg/cmの負荷で約5nmの厚さで適用され、前記被覆を構成する金属の質量がグラファイト1g当たり1mg未満である、請求項15に記載の方法。
<請求項17>
増加した前記過電圧は、前記アノード基板が形成される基板材料と前記Li金属との間の界面エネルギー差に基づく、請求項10に記載の方法。
<請求項18>
スラリーキャスティング法を用いてアノード基板を製造するステップを含む、請求項11に記載の方法。
<請求項19>
アノード基板と、
Cuナノ層、Niナノ層、およびCuとNiの複合ナノ層からなる群から選択される前記アノード基板の表面上のナノ被覆
を有するリチウムイオンバッテリセルであって、
前記被覆は、前記アノード基板の被覆された前記表面におけるLi金属核形成の過電圧を増加させ、前記リチウムイオンバッテリセルの超高速充電中のLi金属メッキを抑制することを特徴とする、リチウムイオンバッテリセル。
<請求項20>
前記リチウムイオンバッテリセルがリチウムイオンバッテリである、請求項19に記載のリチウムイオンバッテリセル。
<請求項21>
前記被覆が、前記Cuアノード基板上のCuおよびNiの複合ナノ層を含む、請求項19に記載のリチウムイオンバッテリセル。
<請求項22>
リチウムイオンバッテリを高速充電するように構成されたアノードであって、
アノード基板と、
前記リチウムイオンバッテリで形成されたバッテリを超高速充電する間のLi金属メッキを抑制するようにLi金属の過電圧を増加させるためのアノード基板の表面上の被覆
を含み、
前記アノードは、前記アノード基板の前記表面にCuナノ層、Niナノ層、およびCuとNiの複合ナノ層からなる群から選択されるナノ被覆を適用するステップを含むプロセスによって製造されることを特徴とするアノード。
<請求項23>
前記適用するステップは、約2~200nmの厚さを有するナノ被覆を形成する、請求項22に記載のアノード。
<請求項24>
前記ナノ被覆の厚さが2~10nmである、請求項23に記載のアノード。
<請求項25>
前記ナノ被覆は、物理蒸着(PVD)によって前記アノードに適用される、請求項22に記載のアノード。
<請求項26>
前記適用するステップが、加熱されたタングステンるつぼから真空下でCu、Ni、又はCuおよびNiの両方を蒸発させるステップを含む、請求項22に記載のアノード。
<請求項27>
前記ナノ被覆が約8mg/cmの負荷で約5nmの厚さで適用され、被覆を含む金属の質量がグラファイト1gあたり1mg未満である、請求項24に記載のアノード。
<請求項28>
増加した前記過電圧は、前記アノード基板が形成される基板材料と前記Li金属との間の界面エネルギー差に基づく、請求項24に記載のアノード。
<請求項29>
スラリーキャスティング法を用いてアノード基板を製造するステップを含む、請求項24に記載のアノード。
図1A-B】
図2A-B】
図3A-B】
図3C
図4
図5A-B】
図6A-C】
図7
図8