IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

特許7595485情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図8
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図9
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図10
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図11
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図12
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図13
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241129BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021030559
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131556
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】松井 涼
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-111343(JP,A)
【文献】特許第6062124(JP,B1)
【文献】特開2015-219673(JP,A)
【文献】特開2015-148553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント来場者に所定地点までの移動時間情報を提供する情報処理装置であって、
制御部と記憶部とを備え、
前記記憶部は、
イベント施設から前記所定地点までの移動経路に複数の中継地点が仮想的に設定され、設定された複数の前記中継地点に関連付けられた前記中継地点から前記所定地点までの推定移動時間を示す情報が、イベント終了後の経過時間毎に設定された移動情報を記憶し、
前記制御部は、
イベント終了後の経過時間を取得し、
前記イベント来場者の位置を示す位置情報を取得し、
前記記憶部に記憶された前記移動情報から、前記取得した経過時間と、前記取得した位置情報に対応する前記中継地点とに関連付けられた推定移動時間を取得し、
前記取得した推定移動時間を前記所定地点までの前記移動時間情報として提供する、
情報処理装置。
【請求項2】
イベント来場者に所定地点までの移動時間情報を提供する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、制御部と記憶部とを備え、
前記記憶部には、
イベント施設から前記所定地点までの移動経路に複数の中継地点が仮想的に設定され、設定された複数の前記中継地点に関連付けられた前記中継地点から前記所定地点までの推定移動時間を示す情報が、イベント終了後の経過時間毎に設定された移動情報が記憶され、
前記制御部は、
イベント終了後の経過時間を取得し、
前記イベント来場者の位置を示す位置情報を取得し、
前記記憶部に記憶された前記移動情報から、前記取得した経過時間と、前記取得した位置情報に対応する前記中継地点とに関連付けられた推定移動時間を取得し、
前記取得した推定移動時間を前記所定地点までの前記移動時間情報として提供する、
情報処理方法。
【請求項3】
イベント来場者に所定地点までの移動時間情報を提供する情報処理プログラムであって、
記憶部には、イベント施設から前記所定地点までの移動経路に複数の中継地点が仮想的に設定され、設定された複数の前記中継地点に関連付けられた前記中継地点から前記所定地点までの推定移動時間を示す情報が、イベント終了後の経過時間毎に設定された移動情報が記憶され、
イベント終了後の経過時間を取得する手順と、
前記イベント来場者の位置を示す位置情報を取得する手順と、
前記記憶部に記憶された前記移動情報から、前記取得した経過時間と、前記取得した位置情報に対応する前記中継地点とに関連付けられた推定移動時間を取得する手順と、
前記取得した推定移動時間を前記所定地点までの前記移動時間情報として提供する手順と
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスポーツの試合などのイベントがイベント施設で開催される際、イベント施設周辺の混雑の発生状況を推定する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-174876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術には、イベント施設に関連する混雑の発生状況の推定精度を向上させるなどして、混雑を効率良く緩和させるという点でさらなる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、イベント施設に関連する混雑を効率良く緩和させることができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置において、取得部と、推定部とを備える。取得部は、イベント施設の来場者における前記イベント施設への来場に関する来場情報を取得する。推定部は、前記取得部によって取得された前記来場情報に基づいて、前記イベント施設に関連する混雑の発生状況を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、イベント施設に関連する混雑を効率良く緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
図2図2は、情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、イベント関連情報の一例を示す図である。
図5図5は、分布情報の内容や生成等を説明する図である。
図6図6は、分布情報の内容や生成等を説明する図である。
図7図7は、推定混雑パターン情報の一例を示す図である。
図8図8は、ユーザ情報の一例を示す図である。
図9図9は、回避情報の一例を示す図である。
図10図10は、移動情報の一例を示す図である。
図11図11は、移動情報を説明するための図である。
図12図12は、提供される回避情報等を説明する図である。
図13図13は、情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図14図14は、情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<情報処理方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る情報処理方法の概要について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理方法は、例えば情報処理システム1に含まれる情報処理装置10によって実行される。情報処理装置10は、イベント施設100に関する情報の処理やイベント施設100周辺に関する情報の処理など各種の処理を実行可能なサーバである。ここで、イベント施設100は、例えばスポーツの試合などのイベントが行われるスポーツ施設(競技場・球場等)、コンサートや演劇などのイベントが開催される施設(コンサートホール、演劇場等)である。
【0012】
イベント施設100(以下「施設100」と記載する場合がある)では、例えばイベントが終了すると、施設100の来場者、すなわち観客が一斉に出てくる。そのため、施設100の周辺および施設100からの移動経路Bなどにおいて、混雑が発生することが予測される。
【0013】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置10にあっては、施設100に関連する混雑の発生状況の推定精度を向上させるなどして、混雑を効率良く緩和させることができるような構成とした。
【0014】
なお、図1では、移動経路Bが、施設100から駅Aまでの移動経路である例を示した。駅Aは、施設100から最寄りの駅(最寄りの交通機関の乗り場)であるが、これに限定されるものではなく、施設100周辺の駅であればよい。また、上記では、移動経路Bが、施設100から駅Aまでの移動経路であるとしたが、これに限られず、例えばバス乗り場、タクシー乗り場などその他の交通機関の乗り場までの移動経路や、施設100とは異なる別の施設(例えば商業施設など)までの移動経路などであってもよい。
【0015】
また、図1では、移動経路Bが複数(例えば3つ)である例を示すが、これに限定されず、2つ以下または4つ以上であってもよい。以下、3つの移動経路Bを「第1移動経路B1」、「第2移動経路B2」、「第3移動経路B3」と記載する場合があるが、これらを特に区別せずに説明する場合には「移動経路B」と記載する。なお、実際には、施設100の周辺において駅やバス停等は複数あり、また移動経路もそれぞれ複数あるが、図1等では、動作原理を分かりやすく説明するため、単純化して示している。
【0016】
以下、情報処理装置10の処理について具体的に説明すると、情報処理装置10は先ず、施設100の来場者Uにおける施設100への来場に関する来場情報を取得する(ステップS1)。例えば、情報処理装置10は、来場者Uが所持する端末装置40から来場者Uの来場情報を取得する。なお、以下では、来場者Uを「ユーザU」と記載する場合がある。
【0017】
ユーザUの来場情報には、例えばユーザUの居住地を示す居住地情報や、ユーザUの施設100への移動手段を示す移動手段情報などが含まれるが、これらは例示であって限定されるものではない。
【0018】
上記した居住地情報および移動手段情報は、端末装置40に予め登録されたものであってもよいし、端末装置40の移動履歴情報(すなわちユーザUの移動履歴情報)などから推定されたものであってもよい。詳しくは、ユーザUの移動履歴情報は、ユーザUの位置の時系列での推移に関する情報を含み、具体的にはユーザUの施設100までの移動ルートや移動スピードなどを含む。情報処理装置10は、かかる移動ルートや移動スピードなどに基づいて、ユーザUの居住地(自宅)の位置や、電車、タクシーや自家用車などの車、バス、徒歩などの施設100への移動手段を推定して取得してもよい。
【0019】
なお、上記では、移動履歴情報に基づいて移動手段が推定される例を示したが、これに限られず、例えば情報処理装置10は、居住地(自宅)と施設100とを結ぶ経路を検索処理して移動手段を推定するなど、その他の手法を用いて推定してもよい。また、上記した施設100への移動手段情報について、情報処理装置10は、例えば来場後、イベントが終了するまでの間に実際の移動手段情報を端末装置40等から収集(取得)するなどしてもよい。
【0020】
次いで、情報処理装置10は、施設100で開催されるイベントに関するイベント情報を取得する(ステップS2)。例えば、情報処理装置10は、施設100を管理するサーバ(後述するイベント施設用情報処理装置50(図2参照))からイベント情報を取得する。なお、イベント情報には、例えばイベントが開催される日時(イベントの開催日、開始予定時刻および終了予定時刻)を示す開催日時情報、イベントの来場者数、施設100の天候などが含まれるが、これらは例示であって限定されるものではない。
【0021】
次いで、情報処理装置10は、取得された来場情報およびイベント情報に基づいて、施設100に関連する混雑の発生状況を推定する(ステップS3)。具体的に説明すると、例えばユーザUは、イベントが終了すると、施設100へ来場したときの移動手段と同じ移動手段を利用して居住地へ戻ることが多い。
【0022】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置10にあっては、来場情報に基づいてユーザUの帰宅時の移動ルートおよび移動手段を推定する、言い換えると、来場情報に含まれる居住地情報や移動手段情報を逆算することで帰宅時の移動ルートおよび移動手段を推定する。そして、情報処理装置10は、推定された帰宅時の移動ルートや移動手段、および、イベント情報に含まれるイベントの来場者数や終了予定時刻、天候などに基づいて、施設100に関連する混雑の発生状況を推定する。つまり、本実施形態においては、イベント自体の情報に加え、イベントに参加する各個人の移動関連情報(例えば来場情報)に基づくことで、混雑状況の予測精度等の向上を図っている。
【0023】
詳しくは、情報処理装置10は、来場情報から推定された帰宅時の移動ルートや移動手段、および、イベント情報に基づいて、例えば施設100周辺や、施設100と駅Aとの間の移動経路B、駅Aなどにおける人の流れに関する人流情報を推定する。より詳しくは、情報処理装置10は、上記した各種の情報に基づいて、施設100周辺や移動経路B、駅Aにおける人流や交通流のシミュレーションを行って、イベント終了後の人の流れを予測し、混雑の発生状況の推定を行う。なお、混雑の発生状況の推定においては、任意のアルゴリズムを用いて予め生成された推定モデルを利用することができるが、これに限定されるものではない。
【0024】
なお、上記した人流等のシミュレーションは、イベントが開催される前に予め行われてもよい。すなわち、情報処理装置10は、過去に開催された別のイベントのときの来場情報やイベント情報などに基づいて予めシミュレーションを行い、混雑パターンを複数算出しておく。そして、情報処理装置10は、複数の混雑パターンの中から、イベント当日に取得された来場情報やイベント情報などに適した(合致した)混雑パターンを選択し、混雑パターンを、上記した混雑の発生状況として推定することができるが、これについては後述する。なお、上記した選択された混雑パターンは、実際のイベントに関する状況(例えば実際の来場者数や実際の天候など)に応じて適宜に補正されてもよい。
【0025】
このように、本実施形態にあっては、ユーザUの来場情報を用いることで、ユーザUの帰宅時の移動ルートおよび移動手段を推定でき、推定された移動ルートおよび移動手段を用いることで、施設100に関連する混雑の発生状況の推定精度を向上させることができる。なお、図1の例では、ステップS3の処理において、第1~第3移動経路B1~B3のうち、第2、第3移動経路B2,B3に混雑が発生することが推定(予測)されるものとする。
【0026】
次いで、情報処理装置10は、推定された混雑の発生状況に応じた情報を提供する(ステップS4)。例えば、情報処理装置10は、推定された混雑の発生状況に応じて、混雑の回避に関する回避情報をユーザUに提供する、正確には回避情報をユーザUが所持する端末装置40に提供する。
【0027】
図1の例では、第2、第3移動経路B2,B3に混雑が発生することが推定されることから、かかる混雑を回避するため、情報処理装置10は、第1移動経路B1を、施設100から駅Aへ移動するときの推奨ルート(迂回ルート)とする回避情報を提供することができる。
【0028】
これにより、例えば施設100を利用したユーザUは、駅Aへ向かう際、回避情報に基づいて比較的混雑せずに空いている第1移動経路B1を選んで移動することが可能になる。このため、施設100から駅Aへ向かう人の流れが第1移動経路B1に分散されて、混雑すると推定された第2、第3移動経路B2,B3が混雑しにくくなり、結果として施設100に関連する混雑、すなわち移動経路Bの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0029】
なお、上記では、回避情報として推奨ルート(迂回ルート)が提供されるようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、情報処理装置10は、例えば混雑の解消を待つために施設100での待機を促す情報や、駅Aを利用する移動手段とは異なる他の移動手段(例えば駅Aとは異なる駅からの電車、バス、タクシー)の利用を促す情報など、その他の情報を回避情報として提供してもよい。
【0030】
なお、上記では、情報処理装置10は、来場情報とイベント情報とに基づいて、施設100に関連する混雑の発生状況を推定するようにしたが、これに限られず、来場情報のみ、あるいは来場情報とその他の種類の情報とに基づいて混雑の発生状況を推定してもよい。
【0031】
<情報処理システムの構成>
次に、本実施形態に係る情報処理装置10を含む情報処理システム1の構成について、図2を用いて説明する。図2は、情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、情報処理システム1は、上記した情報処理装置10と、端末装置40と、イベント施設用情報処理装置50と、定点カメラ60とを含み、これらはインターネット網などの通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、図2では、図示の簡略化のため、端末装置40および定点カメラ60をそれぞれ1つ示したが、複数であってもよい。
【0033】
端末装置40は、ユーザUに所持されて使用される装置である。なお、端末装置40としては、例えばスマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
端末装置40には、例えばGPS(Global Positioning System)衛星からの信号に基づいてユーザUの位置(正確には端末装置40の位置)を示す位置情報を検出するGPS受信機などが含まれる。端末装置40は、検出した位置情報を情報処理装置10へ送信することができる。
【0035】
また、端末装置40は、上記したユーザUの居住地情報および移動手段情報などを含む来場情報を情報処理装置10へ送信することができる。また、端末装置40は、上記した情報処理装置10によって推定された混雑の発生状況に応じた情報(例えば回避情報や後述する移動情報など)を受信することができる。なお、ユーザUが利用した移動手段については、ユーザUの位置の時系列での変化(推移)における経路(電車の路線や道路など)との一致度、移動スピード、イベントの電子チケットの使用状況等により推定することができる。また、端末装置40は、推定された混雑の発生状況に応じた情報の提供を要求する情報提供要求(後述)を情報処理装置10へ送信することができる。
【0036】
イベント施設用情報処理装置50は、施設100を管理するサーバであり、例えば施設100で開催されるイベントを管理するサーバである。例えば、イベント施設用情報処理装置50は、施設100で開催されるイベントに関するイベント情報の処理など各種の処理を実行可能なサーバである。イベント施設用情報処理装置50は、施設100のイベントの開催日、開始予定時刻および終了予定時刻などの開催日時情報、イベントの来場者数、施設100の天候などを含むイベント情報を情報処理装置10へ送信することができる。
【0037】
定点カメラ60は、移動経路Bや施設100周辺などに複数台設置される。定点カメラ60は、移動経路Bや施設100周辺を撮像し、撮像されたカメラ画像を情報処理装置10へ送信することができる。なお、定点カメラ60のカメラ画像は、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。かかるカメラ画像は、情報処理装置10において実際の混雑情報として取得されるが、これについては後述する。
【0038】
なお、定点カメラ60は、移動経路B等の人を検知する人体検知センサを有していてもよい。人体検知センサとしては、例えば赤外線信号を用いた焦電センサなどを採用することができる。
【0039】
なお、情報処理装置10は、定点カメラ60のカメラ画像に基づいて混雑情報を取得することがあるが、これに限られず、例えばユーザUの端末装置40の位置情報に基づいて混雑情報を取得してもよい。かかる場合、言い換えると、定点カメラ60のカメラ画像が混雑情報として利用されない場合、定点カメラ60は除去されてもよい。
【0040】
<情報処理装置の構成>
次いで、情報処理装置10の構成について図3等を参照して具体的に説明する。図3は、情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。なお、図3のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0041】
換言すれば、図3のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0042】
図3に示すように、情報処理装置10は、通信部11と、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0043】
通信部11は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、端末装置40、イベント施設用情報処理装置50および定点カメラ60等との間で情報の送受信を行う。
【0044】
制御部20は、取得部21と、算出部22と、推定部23と、提供部24とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0045】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の取得部21、算出部22、推定部23および提供部24として機能する。
【0046】
また、制御部20の取得部21、算出部22、推定部23および提供部24の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0047】
また、記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、イベント関連情報31、推定混雑パターン情報32、ユーザ情報33、回避情報34、移動情報35および各種プログラムなどが記憶される。
【0048】
イベント関連情報31は、施設100で開催されるイベントに関連する情報である。イベント関連情報31には、例えば施設100で開催されるイベントに関するイベント情報、施設100に来場したユーザUの居住地や移動手段の分布状況を示す分布情報、および、施設100周辺において実際に発生した混雑の状況を示す実混雑パターンなどの各種情報が含まれる。また、イベント関連情報31には、施設100において過去に開催されたイベントの関連情報、および、施設100において現在あるいは将来開催されるイベントの関連情報などが含まれるが、これに限られない。
【0049】
ここで、図4を用いて、イベント関連情報31について説明する。図4は、イベント関連情報31の一例を示す図である。図4に示すように、イベント関連情報31には、「イベントID」、「施設名」、「イベント内容」、「開催日時」、「来場者数」、「天候」、「分布情報」および「実混雑パターン」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。なお、上記した項目のうち「イベントID」、「施設名」、「イベント内容」、「開催日時」、「来場者数」および「天候」が、イベント情報に対応する情報であるが、イベント情報は、これらの項目の内容に限定されるものではない。
【0050】
「イベントID」は、イベント情報を識別する識別情報である。「施設名」は、イベントが開催される施設100の名称を示す情報である。なお、図4に示す例では、便宜上、「施設名」を「施設D01」といったように抽象的な記載とするが、「施設D01」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。また、図4に示す例のイベント情報は、同じ「施設D01」におけるイベントの情報であるが、これは理解の便宜のためであり、例えば異なる施設100におけるイベントの情報を含んでいてもよい。
【0051】
「イベント内容」は、イベントの内容を示す情報である。例えば「イベント内容」には、イベントの名称、イベントがスポーツの試合の場合はその対戦カード(対戦するチーム名や競技者名)などの情報が含まれるが、これらは例示であって限定されるものではない。
【0052】
「開催日時」は、イベントが開催される日時を示す情報である。例えば「開催日時」には、イベントの開催日、開始予定時刻および終了予定時刻などの情報が含まれるが、これらに限られない。
【0053】
「来場者数」は、施設100に来場した人数、あるいは施設100に来場する予定の人数を示す情報である。例えば「来場者数」は、イベントのチケット販売数情報や実際に施設100に来場してカウントされた人数の情報などに基づいて登録される。
【0054】
「天候」は、イベントが開催される施設100の天候を示す情報である。なお、対応するイベントが過去に開催されたものである場合、「天候」には、施設100の実際の天候を示す情報が登録され、対応するイベントが現在あるいは将来開催されるものである場合、「天候」には、施設100付近の天気予報を示す情報が登録される。
【0055】
「分布情報」および「実混雑パターン」は、イベント後あるいはイベント開催時に、実際に測定された実測値による情報である。「分布情報」は、施設100に来場したユーザUの居住地や移動手段の分布状況を示す情報である。なお、「分布情報」については、図5および図6を用いて後述する。
【0056】
「実混雑パターン」は、施設100周辺において実際に発生した混雑の状況を示す情報である。「実混雑パターン」には、例えばイベント終了後に、施設100周辺のある移動経路B(図1参照)と施設100周辺のある路線(鉄道路線や道路など)とで実際に混雑が発生した情報や、その混雑の度合いなどを示す混雑度情報などが含まれるが、これらに限定されるものではない。なお、「実混雑パターン」は、例えばイベント終了後の定点カメラ60のカメラ画像やユーザUの端末装置40の位置情報などを解析することによって得られる情報である。
【0057】
なお、図4に示す例では、イベントID「C01」、「C02」のイベント情報が、施設100において過去に開催されたイベントの関連情報であり、イベントID「C21」のイベント情報が、施設100において現在あるいは将来開催されるイベントの関連情報であるものとする。従って、イベントID「C21」に対応するイベントはまだ終了していないため、図4において対応する「実混雑パターン」には、実際に発生した混雑の状況を示す情報が入力されていない。なお、図4に示す過去のイベント情報の数、現在あるいは将来のイベント情報の数は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0058】
また、例えばイベントID「C21」に対応するイベントなど開催前のイベント情報については、イベントの主催者発表によるイベント情報等に基づいて、オペレータによるマニュアル入力等により登録されてもよい。また、イベント開催前のイベント情報において、来場者数は例えばチケットの販売予定数等に基づいて推定されたり、天候は例えば天気予報情報で推定されたりするなど、予想値が登録されてもよい。また、開催前のイベント情報を含むイベント関連情報については、イベント開催後に実測値に置き換えられる。
【0059】
図4に示す例において、イベントID「C01」で識別されるイベント情報は、施設名が「施設D01」、イベント内容が「内容E01」、開催日時が「日時F01」、来場者数が「来場者数G01」、天候が「天候H01」であることを示し、分布情報は「分布J01」、実混雑パターンは「実混雑パターンK01」であることを示している。
【0060】
ここで、上記した分布情報の内容や生成等について、図5および図6を参照して説明する。図5および図6は、分布情報の内容や生成等を説明する図である。図5に示すように、分布情報は、施設100で開催されるイベントごとに生成される。
【0061】
具体的には、イベントIDで識別されるイベントが施設100で開催される場合、分布情報は、当該施設100のユーザ(来場者)Uにおける施設100への来場に関する来場情報に基づいて生成される。なお、来場情報には、過去のイベントに参加したユーザUの来場情報、および、現在(あるいは将来)のイベントに参加するユーザUの来場情報などが含まれるが、これに限られない。
【0062】
図5の例では、「ユーザID」、「居住地」および「移動手段」の項目が来場情報に対応する情報であるが、来場情報は、これらに限定されるものではない。図5において、「イベントID」は、イベント情報を識別する識別情報であり、図4に示すイベント関連情報31の「イベントID」と対応する情報である。「ユーザID」は、ユーザUを識別する識別情報である。
【0063】
「居住地」は、ユーザ(来場者)Uの居住地を示す情報である。「居住地」は、例えばユーザUが居住する地点の情報であってもよいし、地図情報が予めメッシュ状に複数の所定領域に区画され、複数の所定領域のうちユーザUが居住する地点を含む所定領域の情報であってもよいし、ユーザUが居住する地点を含む市区町村単位の領域の情報であってもよい。なお、「居住地」には、ユーザUの居住地に加えてあるいは代えて、例えば施設100へ向かうユーザUの出発地の情報など、ユーザUがイベント終了後に戻る可能性がある場所の情報が含まれてもよい。
【0064】
「移動手段」は、ユーザ(来場者)Uの施設100への移動手段を示す情報である。「移動手段」には、例えば電車、タクシーや自家用車などの車、バス、徒歩などの情報が含まれる。
【0065】
そして、上記した「居住地」や「移動手段」などの情報に基づいて、施設100に来場したユーザUの居住地や移動手段の分布状況を示す分布情報が生成される。具体的には、図6に示すように、例えば上記したユーザUの「移動手段」の情報を、ユーザUの「居住地」を含む領域Z01~Z06ごとに集計することで、ユーザUの居住地や移動手段の分布状況を示す分布情報が生成される。
【0066】
具体的に説明すると、分布情報は、施設100を含む地図情報を有している。なお、地図情報において、施設100付近には、上記した最寄り駅Aや道路70があるものとする。また、地図情報は、境界線71によって複数の領域(エリア)Z01~Z06にメッシュ状に区画される。なお、図6に示す領域Z01~Z06の形状は、あくまでも例示であって限定されるものではなく、例えば市区町村単位の領域などであってもよい。また、領域の数も任意に設定可能である。
【0067】
分布情報には、来場者割合の情報および移動手段の情報が含まれる。来場者割合の情報は、対応するイベントの全来場者数に対する、各領域Z01~Z06に居住するユーザUの人数の割合を示す情報である。移動手段の情報は、各領域Z01~Z06に居住するユーザUが施設100へ移動したときの移動手段の種類を示す情報である。
【0068】
図6の例では、領域Z01においては、イベントの全来場者数のうち15%のユーザUが居住しており、領域Z01に居住するユーザUのうち70%が徒歩、20%がバスで施設100まで移動したことを示している。また、領域Z02においては、イベントの全来場者数のうち20%のユーザUが居住しており、領域Z02に居住するユーザUのうち60%が電車、30%が車で施設100まで移動したことを示している。
【0069】
本実施形態にあっては、上記した来場情報に基づいて得られる分布情報などを用いることで、施設100に関連する混雑の発生状況の推定精度向上を図るが、これについては後述する。なお、図6では、理解の便宜のために、ユーザUの居住地や移動手段の分布状況を地図情報に重畳させて示したが、ユーザUの居住地を含む領域Z01~Z06等が識別できれば、分布情報は地図情報を含まなくてもよい。
【0070】
図5の説明に戻ると、図5の例において、イベントID「C01」のイベントには、ユーザID「L01」で識別されるユーザUが来場し、かかるユーザUの居住地が「居住地M01」、移動手段が「移動手段N01」であることを示している。また、イベントID「C01」のイベントには、ユーザID「L02」で識別されるユーザUが来場し、かかるユーザUの居住地が「居住地M02」、移動手段が「移動手段N02」であることを示している。また、ユーザID「L01」、「L02」のユーザUを含む、イベントID「C01」のイベントに来場したユーザの来場情報によって生成された分布情報が「分布J01」であることを示している。
【0071】
なお、図5に示す例でも、上記と同様に、イベントID「C01」、「C02」で識別されるイベントは、施設100において過去に開催されたイベントであり、イベントID「C21」で識別されるイベントは、施設100において現在(あるいは将来)開催されるイベントであるものとする。
【0072】
図3の説明に戻ると、推定混雑パターン情報32は、施設100に関連する混雑の発生状況を推定する処理で用いられる情報であり、例えば施設100に関連する混雑のパターンを示す情報を含む。例えば、推定混雑パターン情報32は、過去に開催されたイベントのイベント関連情報(イベント情報や分布情報、実混雑パターンなど)に基づいて生成される情報であり、詳しくは、過去のイベント関連情報を例えば統計的に集計することで得られる情報である。
【0073】
ここで、図7を用いて、推定混雑パターン情報32について説明する。図7は、推定混雑パターン情報32の一例を示す図である。図7に示すように、推定混雑パターン情報32には、複数の推定混雑パターンの情報が含まれる。なお、推定混雑パターンは、予め算出される混雑パターンの一例である。
【0074】
推定混雑パターン情報32には、「パターンID」、「推定混雑パターン」、「施設名」、「イベント内容」、「開催日時」、「来場者数」、「天候」および「分布情報」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0075】
「パターンID」は、推定混雑パターンの情報を識別する識別情報である。「推定混雑パターン」は、施設100周辺において発生すると推定される混雑の状況を示す情報である。例えば「推定混雑パターン」は、推定対象のイベントに関連する情報が、推定混雑パターン情報32におけるイベント情報(ここでは「施設名」、「イベント内容」、「開催日時」、「来場者数」および「天候」)の内容と「分布情報」の内容と合致あるいは略合致した場合に選択され、選択された推定混雑パターンが、推定対象のイベントが開催される施設100に関連する混雑の発生状況として推定される。
【0076】
また、推定混雑パターン情報32における「推定混雑パターン」、「施設名」、「イベント内容」、「開催日時」、「来場者数」、「天候」および「分布情報」は、過去に開催されたイベントのイベント関連情報(例えば、図4のイベント関連情報においてイベントID「C01」、「C02」等で識別されるイベントの情報)に対し、例えば層別化や平均化など統計的な処理を行うことによって得られる情報である。すなわち、推定混雑パターン情報32の各情報は、過去に開催された複数のイベントのイベント関連情報に基づいて生成される。なお、推定混雑パターン情報32の各情報は、必ずしも複数のイベントのイベント関連情報に基づいて生成されることを要さず、例えば1つのイベントのイベント関連情報に基づいて生成されてもよい。
【0077】
従って、例えば推定混雑パターン情報32の「推定混雑パターン」は、対応する「施設名」、「イベント内容」、「開催日時」、「来場者数」、「天候」および「分布情報」の内容で行われた過去のイベントにおいて実際に発生した実混雑パターン(図4参照)が平均化など統計的に処理されて生成された混雑パターンの情報である。
【0078】
また、推定混雑パターン情報32のイベント関連情報である「施設名」、「イベント内容」、「開催日時」、「来場者数」、「天候」および「分布情報」も、過去のイベントにおけるイベント関連情報(図4参照)が平均化など統計的に処理されて生成された情報である。なお、図7においては、図4のイベント関連情報の内容と区別するため、例えば「分布Jx31」など小文字の「x」を付して示している。
【0079】
なお、上記では、「推定混雑パターン」が「実混雑パターン」(図4参照)に基づいて生成される例を示したが、これに限られず、例えばイベント情報や分布情報(来場情報)を含むイベント関連情報などに基づいて行われる人流や交通流のシミュレーションによって「推定混雑パターン」が生成されてもよい。
【0080】
図7に示す例では、パターンID「P01」の推定混雑パターン情報は、推定混雑パターンが「推定混雑パターンQ01」、施設名が「施設Dx31」、イベント内容が「内容Ex31」、開催日時が「日時Fx31」、来場者数が「Gx31」、天候が「天候Hx31」および分布情報が「分布Jx31」であることを示している。
【0081】
図3の説明に戻ると、ユーザ情報33は、ユーザ(来場者)Uに関する情報である。ここで、図8を用いて、ユーザ情報33について説明する。図8は、ユーザ情報33の一例を示す図である。
【0082】
図8に示すように、ユーザ情報33には、「ユーザID」、「ユーザ位置」、「居住地」および「提供先」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。「ユーザID」は、ユーザUを識別する識別情報である。「ユーザ位置」は、ユーザUの位置を示すユーザ位置情報であり、詳しくは、ユーザUの現在の位置を示す情報である。
【0083】
「居住地」は、ユーザUの居住地を示す居住地情報である。「居住地」は、上記したように、居住地情報が予め登録された端末装置40から得られるものであってもよいし、ユーザUの移動履歴情報等から推定されたものであってもよい。
【0084】
「提供先」は、各種情報を提供する提供先に関する情報である。例えば「提供先」は、推定された混雑の発生状況に応じた情報を提供する提供先に関する情報であり、例えば端末装置40にインストールされているアプリケーションやメールアドレスなど、各種情報を受信するための情報を含む。
【0085】
図8に示す例では、ユーザID「L21」で識別されるユーザUのデータは、ユーザ位置が「位置R21」、居住地が「居住地M21」、提供先が「提供先T21」であることを示している。
【0086】
図3の説明に戻ると、回避情報34は、施設100に関連する混雑の回避に関する情報である。ここで、図9を用いて、回避情報34について説明する。図9は、回避情報34の一例を示す図である。
【0087】
図9に示すように、回避情報34には、「回避ID」、「推定混雑パターン」および「回避情報」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0088】
「回避ID」は、回避情報を識別する識別情報である。「推定混雑パターン」は、推定混雑パターンを示す情報であり、図7に示す推定混雑パターン情報32の「推定混雑パターン」と対応する情報である。
【0089】
「回避情報」は、施設100に関連する混雑の回避に関する情報である。例えば、「回避情報」には、対応する推定混雑パターンに含まれる混雑を回避可能な情報が含まれる。「回避情報」の一例を説明すると、対応する推定混雑パターンQ01に、第2、第3移動経路B2,B3(図1参照)に混雑の発生が予測されることを示す情報が含まれる場合、かかる混雑を回避するため、回避情報には、第1移動経路B1を、施設100から駅Aへ移動するときの推奨ルート(迂回ルート)とする情報が含まれる。
【0090】
なお、「回避情報」には、推奨ルート(迂回ルート)の情報に限られず、例えば混雑の解消を待つために施設100での待機を促す情報や、駅Aを利用する移動手段とは異なる他の移動手段(例えば駅Aとは異なる駅からの電車、バス、タクシー)の利用を促す情報などが含まれてもよい。また、「回避情報」には、ユーザUの目的地(例えばユーザUが施設100への往路で利用した交通機関の乗り場やユーザUの居住地)ごとに、当該目的地に適した内容の回避情報が設定されてもよい。また、「推定混雑パターン」と「回避情報」とは予め対応付けられるものとするが、これに限定されるものではない。
【0091】
図3の説明に戻ると、移動情報35は、ユーザUの移動に関する情報である。ここで、図10および図11を用いて、移動情報35について説明する。図10は、移動情報35の一例を示す図である。図11は、移動情報35を説明するための図である。
【0092】
先ず図11を参照しつつ説明すると、本実施形態にあっては、後述するように、施設100と最寄りの駅Aとの間の移動経路Bにおけるユーザ(来場者)Uの移動に関する移動情報を提供することができる。例えば、本実施形態にあっては、駅AがユーザUの帰宅時の移動ルート上であることが推定され、イベント終了後、ユーザUが施設100から駅Aまで移動経路Bを移動すると仮定した場合に、移動に要すると推定される推定移動時間を移動情報としてユーザUに提供することができる。なお、駅Aは、所定地点の一例である。
【0093】
上記した推定移動時間は、人流等のシミュレーションにより算出される。例えば、イベント情報や来場情報などに基づいて人流等のシミュレーションが行われ、推定移動時間が算出される。
【0094】
ここで、推定移動時間は、イベント終了後の経過時間に応じて変化する。すなわち、移動経路Bにおける混雑の発生状況は、イベント終了後の経過時間に応じて変わる。そのたため、例えばユーザUがイベント終了直後に施設100を出発する場合と、イベントが終了してから所定時間経過して出発する場合とでは、推定移動時間が変わってくる。従って、ユーザUが施設100を出発する度に人流等のシミュレーションが行われれば、出発時の移動経路Bの混雑の発生状況に即した推定移動時間をユーザUに提供することができる。しかしながら、ユーザUが出発する度に人流等のシミュレーションが行われるように構成すると、情報処理装置10における処理負荷が増大するおそれがある。
【0095】
そこで、本実施形態にあっては、イベントが終了する前に人流等のシミュレーションを行って推定移動時間を算出し、算出された推定移動時間を記憶部30に移動情報35(図10参照)として予め記憶させておく。かかる推定移動時間は、イベント終了後の経過時間ごとに算出される。そして、イベントが実際に終了すると、本実施形態においては、ユーザUが施設100を出発するタイミングで、推定移動時間を記憶部30から適宜に読み出して提供する。これにより、ユーザUが出発する度に人流等のシミュレーションを行う必要はなく、情報処理装置10における処理負荷の増大を抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態における推定移動時間は、移動経路Bを複数の区間に分けて区間ごとに算出される。詳しくは、図11に示すように、移動経路Bには、中継地点Xが複数設定される。かかる中継地点Xは、推定移動時間算出処理用の仮想的な地点である。
【0097】
図11の例において、第1移動経路B1には、第1中継地点X1a、第2中継地点X1bが設定される。第2移動経路B2には、第1中継地点X2aと、第2中継地点X2bが設定される。第3移動経路B3には、第1中継地点X3aと、第2中継地点X3bとが設定される。なお、図11に示す中継地点Xの位置や数は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0098】
本実施形態では、施設100から駅Aまでの区間、第1中継地点X1a,X2a,X3aから駅Aまでの区間、第2中継地点X1b,X2b,X3bから駅Aまでの区間ごとに推定移動時間が算出され、記憶部30に移動情報35として登録される。
【0099】
例えば図10に示すように、移動情報35には、「移動ID」、「移動経路」、「イベント終了後の経過時間」、「施設100からの移動時間」、「第1中継地点からの移動時間」および「第2中継地点から移動時間」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0100】
「移動ID」は、移動情報を識別する識別情報である。「移動経路」は、施設100と駅Aとの間の移動経路Bを示す情報である。「移動経路」には、第1移動経路B1、第2移動経路B2、第3移動経路B3(図11参照)などの情報が含まれる。
【0101】
「イベント終了後の経過時間」は、イベントが終了してからの経過時間を示す情報である。「施設100からの移動時間」は、施設100から駅Aまでの区間の移動に要すると推定される推定移動時間を示す情報である。「第1中継地点からの移動時間」は、第1中継地点X1a,X2a,X3aから駅Aまでの区間の移動に要すると推定される推定移動時間を示す情報である。「第2中継地点から移動時間」は、第2中継地点X1b,X2b,X3bから駅Aまでの区間の移動に要すると推定される推定移動時間を示す情報である。なお、図10では、理解を容易にするため、「イベント終了後の経過時間」、「施設100からの移動時間」、「第1中継地点からの移動時間」および「第2中継地点から移動時間」について具体的な数値を示すが、これら具体的な数値は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0102】
図10の例において、移動ID「W01」で識別される移動情報は、移動経路が「第1移動経路B1」において、イベント終了後の経過時間が「0分」のとき、施設100からの移動時間が「20分」、第1中継地点からの移動時間が「15分」、第2中継地点から移動時間が「11分」であることを示している。
【0103】
なお、本実施形態にあっては、移動経路Bにおいて区間ごと、および経過時間ごとに推定移動時間が算出されるため、例えば図11に示すように、第1移動経路B1を移動するユーザUが第1移動経路B1を逸脱して別経路B1aを移動する寄り道をした場合であっても、推定移動時間を精度良く算出して提供することができるが、これについては後述する。
【0104】
図3の説明に戻ると、制御部20の取得部21は、通信部11を介して各種の情報を取得する。例えば、取得部21は、施設100で開催されるイベントに関するイベント情報をイベント施設用情報処理装置50から取得する。そして、取得部21は、取得された施設100のイベント情報を記憶部30にイベント関連情報31(図4参照)として登録する。
【0105】
取得部21は、施設100のユーザ(来場者)Uにおける施設100への来場に関する来場情報を取得する。例えば、取得部21は、来場情報をユーザUの端末装置40から取得する。来場情報には、上記したように、ユーザUの居住地情報や、ユーザUの移動手段情報が含まれる。
【0106】
なお、取得部21は、ユーザUの施設100までの移動ルートや移動スピードなどを含む端末装置40の移動履歴情報(すなわちユーザUの移動履歴情報)を取得し、移動履歴情報に基づいて、ユーザUの居住地の位置や、電車、車、バス、徒歩などの施設100への移動手段を推定して取得してもよい。
【0107】
また、上記では、取得部21が端末装置40から来場情報を取得するようにしたが、これに限られず、例えば端末装置40の情報を管理する管理サーバ(図示せず)などの外部サーバから来場情報を取得してもよい。
【0108】
また、取得部21は、取得されたイベント情報、ユーザUの居住地情報および移動手段に基づいて、施設100に来場したユーザUの居住地や移動手段の分布状況を示す分布情報(図6参照)を生成し、生成された情報を記憶部30にイベント関連情報31(図4参照)として登録する。
【0109】
また、取得部21は、定点カメラ60のカメラ画像やユーザUの端末装置40の位置情報などを解析して、過去のイベントに起因して発生した実際の混雑情報を取得し、かかる混雑情報を実混雑パターンとして記憶部30のイベント関連情報31(図4参照)に登録する。
【0110】
また、取得部21は、ユーザUの位置(正確には現在の位置)を示す位置情報、来場情報に含まれる居住地情報、提供先情報を端末装置40から取得し、取得された情報を記憶部30にユーザ情報33として登録する。
【0111】
算出部22は、施設100に関連する混雑のパターンを示す推定混雑パターンを算出する。例えば、算出部22は、過去に開催されたイベントのときのイベント関連情報(例えばイベント情報や分布情報(来場情報)、実混雑パターン)などを記憶部30から読み出し、読み出した情報に基づいて統計的な処理や人流等のシミュレーションを行い、推定混雑パターンを複数算出する。
【0112】
具体的に説明すると、ユーザUは、イベント終了後、施設100へ来場したときの移動手段と同じ移動手段を利用して居住地へ戻ることが多い。そのため、算出部22は、来場情報(居住地情報や移動手段情報)を逆算してユーザUの帰宅時の移動ルートおよび移動手段を推定し、推定された移動手段等に基づいて統計的な処理やシミュレーションを行い、推定混雑パターンを算出する。そして、算出部22は、算出された複数の推定混雑パターンを記憶部30に推定混雑パターン情報32(図7参照)として登録する。なお、算出部22は、推定混雑パターンの算出に用いたイベント関連情報(例えばイベント情報や分布情報(来場情報)も統計的に処理して、記憶部30に推定混雑パターン情報32として登録する。
【0113】
なお、上記した人流等のシミュレーションでは、例えば推定モデルが利用される。推定モデルは、来場情報およびイベント情報等における静的および動的な各種の情報を入力することによって、施設100に関連する混雑の発生状況を推定して(ここでは推定混雑パターンを算出して)出力する予測モデルである。なお、推定モデルは、過去のイベントで計測結果として得られた人流データ、イベント情報、交通機関の情報や天候等の環境情報に基づき予め生成されて記憶部30に格納される。なお、上記した混雑の発生状況の推定手法(ここでは推定混雑パターンの算出手法)は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0114】
推定部23は、来場情報を含む分布情報やイベント情報に基づいて、施設100に関連する混雑の発生状況を推定する。このように、本実施形態に係る推定部23は、ユーザUの来場情報を用いることで、例えばユーザUの帰宅時の移動ルートおよび移動手段を考慮することができ、よって施設100に関連する混雑の発生状況の推定精度を向上させることができる。
【0115】
具体的に説明すると、例えば、推定部23は、来場情報を含む分布情報やイベント情報に基づいて、現在(あるいは将来)開催されるイベントに起因する混雑の発生状況を推定することができる。
【0116】
例えば、推定部23は、イベント当日に取得された来場情報を含む分布情報およびイベント情報を用いて混雑の発生状況を推定する。具体的には、推定部23は、現在開催されるイベントに参加しているユーザUの来場情報を含む分布情報、および、現在開催されるイベントの情報を用いて混雑の発生状況を推定する。
【0117】
詳しくは、推定部23は、イベント当日のイベント関連情報、詳しくは来場情報を含む分布情報やイベント情報を記憶部30のイベント関連情報31(図4参照)から読み出す。一例として、推定部23は、イベントID「C21」で識別されるイベント情報である「施設D01」、「内容E21」、「日時F21」、「来場者数G21」、「天候H21」、分布情報である「分布J21」を読み出す。
【0118】
次いで、推定部23は、読み出したイベント当日のイベント関連情報と、推定混雑パターン情報32(図7参照)とのマッチング処理を行うことで、推定混雑パターンを選択し、選択された推定混雑パターンを、現在開催されるイベントに起因する混雑の発生状況として推定する。
【0119】
具体的には、推定部23は、推定混雑パターン情報32(図7参照)においてパターンIDごとに設定される「施設名」、「イベント内容」、「開催日時」、「来場者数」、「天候」および「分布情報」を含むイベント関連情報のうち、読み出したイベント当日のイベント関連情報(ここでは「施設D01」、「内容E21」、「日時F21」、「来場者数G21」、「天候H21」および「分布J21」)と合致あるいは略合致するものを選択する。そして、推定部23は、選択された推定混雑パターン情報32のイベント関連情報に対応する推定混雑パターン(例えば「推定混雑パターンQ01」)を、現在開催されるイベントに起因する混雑の発生状況として推定する。
【0120】
このように、推定部23は、複数の推定混雑パターンと、施設100でイベントが開催される当日に取得された来場情報やイベント情報とに基づいて、混雑の発生状況を推定する。推定混雑パターンは、上記したようにユーザUの帰宅時の移動ルートおよび移動手段などを考慮して算出された情報であるため、推定部23は、かかる推定混雑パターンを用いることで、混雑の発生状況の推定精度を向上させることができる。
【0121】
また、本実施形態にあっては、混雑の発生状況の推定処理において、事前に統計的な処理や人流等のシミュレーションにより算出された推定混雑パターンを用いるようにしたので、例えばイベント当日に人流等のシミュレーションを行って推定処理するような構成に比べて、情報処理装置10の処理負荷を低減させることが可能になる。
【0122】
また、推定部23は、来場情報であるユーザUの居住地情報やユーザUの移動手段情報に基づいて混雑の発生状況を推定する。これにより、本実施形態においては、ユーザUの帰宅時の移動ルートおよび移動手段などを精度良く推定することが可能となり、例えば帰宅時の移動ルート等を考慮して推定混雑パターンが算出されることで、結果として混雑の発生状況の推定精度をより一層向上させることができる。
【0123】
提供部24は、推定部23によって推定された混雑の発生状況に応じた各種の情報を提供する。例えば、提供部24は、混雑の発生状況に応じて、混雑の回避に関する回避情報をユーザUの端末装置40に提供することができる。なお、各種の情報を提供するタイミングは、任意に設定可能である。例えば、提供部24は、端末装置40に対するユーザUの手動操作による情報提供要求、あるいは、端末装置40にインストールされているアプリケーションにより所定時間間隔で行われる情報提供要求などを受信したときに、各種の情報を提供する。
【0124】
具体的には、提供部24は、上記した情報提供要求がなされると、推定された混雑の発生状況である混雑パターン(推定混雑パターン)と対応する回避情報を、記憶部30の回避情報34から読み出す。また、提供部24は、ユーザUに関する情報を、記憶部30のユーザ情報33から読み出す。
【0125】
そして、提供部24は、ユーザUの現在の位置(正確には現在の位置)を示す位置情報や居住地情報に応じた回避情報を、例えば提供先情報として設定されているユーザUの端末装置40に提供(送信)する。回避情報には、上記したように、推奨ルート(迂回ルート)の情報、施設100での待機を促す情報、駅Aを利用する移動手段とは異なる他の移動手段の利用を促す情報などが含まれる。そして、端末装置40は、提供された回避情報を受信する。
【0126】
ここで、ユーザU(端末装置40)に提供される回避情報の一例について、図12を参照して説明する。図12は、ユーザUに提供される回避情報等を説明する図である。なお、図12では、回避情報等が、端末装置40の表示部40aに表示された例を示している。
【0127】
図12に示すように、提供部24から提供される回避情報が端末装置40の表示欄41に表示される。ここでは、第2、第3移動経路B2,B3に混雑が発生することが推定され、かかる混雑を回避するため、第1移動経路B1を推奨ルート(迂回ルート)とする回避情報が提供された例を示している。
【0128】
これにより、例えば施設100を利用したユーザUは、回避情報に基づいて比較的混雑せずに空いている第1移動経路B1を選んで移動することが可能になる。このため、施設100から駅Aへ向かう人の流れが第1移動経路B1に分散され、混雑の発生が推定された第2、第3移動経路B2,B3が混雑しにくくなり、結果として施設100に関連する混雑(ここでは移動経路Bの混雑)を効率良く緩和させることができる。
【0129】
図3の説明を続けると、提供部24は、施設100と駅A(所定地点の一例)との間の移動経路BにおけるユーザUの移動に関する移動情報を提供することができる。例えば、提供部24は、駅AがユーザUの帰宅時の移動ルート上であることが推定された場合、移動経路Bの推定移動時間を移動情報としてユーザUの端末装置40に提供することができる。
【0130】
具体的には、提供部24は、イベント終了後の実際の経過時間に対応する推定移動時間を、記憶部30の移動情報35から読み出してユーザUの端末装置40に提供(送信)する。そして、端末装置40は、提供された移動情報(ここでは推定移動時間)を受信する。
【0131】
ここで、ユーザU(端末装置40)に提供される移動情報の一例について、図12を参照して説明すると、提供部24から提供される移動情報は端末装置40の表示欄42に表示される。図12は、イベント終了後の経過時間が「0分」、すなわちユーザUがイベント終了直後に施設100を出発する場合の例であり、かかる場合、上記したように第1移動経路B1の推定移動時間が「20分」であることが表示される。
【0132】
これにより、ユーザUは、例えば第1移動経路B1の移動に要する時間を把握することが可能になる。なお、ここでは、第1移動経路B1が推奨ルートとされているため、第1移動経路B1の推定移動時間のみが提供されて表示されるようにしたが、これに限られず、例えば第2、第3移動経路B2,B3の推定移動時間も併せて提供されて表示されるようにしてもよい。
【0133】
なお、提供部24は、現時点のイベント関連情報に応じて回避情報や移動情報等の内容を補正し、補正された回避情報等を提供してもよい。すなわち、イベント関連情報に含まれる天候や混雑パターンなどはイベント終了後の経過時間に応じて変化することがある。そこで、提供部24は、例えば天候が変化した場合や混雑パターンが変化した場合、変化した後の現時点のイベント関連情報に応じて回避情報等の内容を補正することで、現時点の状況に即した回避情報等を提供することが可能になる。
【0134】
ところで、図11に示すように、例えば第1移動経路B1付近に別経路B1aが存在し、かかる別経路B1aに図示しない店舗などがあると、第1移動経路B1を移動するユーザUは、第1移動経路B1を逸脱して別経路B1aへ移動する(寄り道する)ことがある。そして、別経路B1aへ移動したユーザUは、その後第1移動経路B1へ戻ることがある。このような場合であっても、本実施形態に係る提供部24は、推定移動時間を精度良く算出して提供することができる。
【0135】
具体的に説明すると、先ず提供部24は、推奨ルートを逸脱したユーザUの位置(正確には現在の位置)を示す位置情報を、記憶部30のユーザ情報33から読み出す。次いで、提供部24は、複数の中継地点XのうちユーザUの位置情報に対応する中継地点Xを選択する、詳しくは、ユーザUの現在の位置に最も近い中継地点Xを選択する。なお、図11の例では、第1移動経路B1の第1中継地点X1aが選択されるものとする。
【0136】
そして、提供部24は、選択された中継地点X(ここでは第1中継地点X1a)と、イベント終了後の実際の経過時間とに基づいて、推定移動時間を再度算出して提供する。以下、イベント終了後の実際の経過時間が「20分」であった場合を例に挙げて説明すると、提供部24は、記憶部30の移動情報35(図10参照)を読み出し、第1移動経路B1における「第1中継地点からの移動時間」のうち、「イベント終了後の経過時間」である「20分」と対応する移動時間情報を、第1中継地点X1aから駅Aまでの推定移動時間として算出する。ここでは、第1中継地点X1aからの推定移動時間として「10分」が算出される。
【0137】
そして、提供部24は、算出された推定移動時間(ここでは10分)を移動情報として端末装置40へ提供する。これにより、図12に想像線で示すように、移動情報が端末装置40の表示欄42aに表示される。
【0138】
このように、本実施形態に係る提供部24は、移動経路Bに複数の中継地点Xが仮想的に設定され、設定された複数の中継地点XのうちユーザUの位置情報に対応する中継地点X(ここでは第1中継地点X1a)からの移動情報を提供する。
【0139】
これにより、例えば仮に、第1移動経路B1を移動するユーザUが、第1移動経路B1を逸脱して別経路B1aへ移動し、その後第1移動経路B1へ戻るような場合であっても、ユーザUの位置情報およびイベント終了後の経過時間に即した推定移動時間を精度良く算出して提供することができる。また、ユーザUは、精度の良い推定移動時間が提供されるため、推定移動時間を把握しながら移動経路Bをスムーズに移動することが可能となり、結果として施設100に関連する混雑を効率良く緩和させることができる。
【0140】
また、本実施形態にあっては、推定移動時間の算出処理において、事前に人流等のシミュレーションにより算出された推定移動時間の情報(移動情報35)を用いるようにした。これにより、例えばユーザUが、移動経路Bを逸脱して戻ってくるたびに人流等のシミュレーションを行って推定移動時間を算出するような構成に比べて、情報処理装置10の処理負荷を低減させることが可能になるとともに、情報処理システム1の冗長性を改善することができる。
【0141】
<情報処理装置の制御処理>
次に、情報処理装置10における具体的な処理手順の一例について図13および図14を用いて説明する。図13および図14は、情報処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図13は、施設100に関連する混雑の発生状況を推定する処理などを示し、図14は、推定された混雑の発生状況に応じた情報を提供する処理などを示している。
【0142】
先ず図13に示すように、情報処理装置10の制御部20は、施設100に関連する混雑のパターンを示す推定混雑パターンを算出する(ステップS10)。例えば、制御部20は、過去に開催されたイベントのときの来場情報を含む分布情報やイベント情報、実混雑パターンなどに基づいて推定混雑パターンを複数算出する。
【0143】
次いで、制御部20は、施設100に関連する混雑の発生状況の推定処理を行う推定タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS11)。推定タイミングとしては、例えば現在イベントが開催され、かかるイベントが終了する前のタイミングや、イベントの開始前のタイミング、イベントが開始してから終了するまでの間のタイミングなど、任意に設定可能である。
【0144】
制御部20は、推定タイミングが到来していないと判定された場合(ステップS11,No)、以降の処理をスキップする。一方、制御部20は、推定タイミングが到来したと判定された場合(ステップS11,Yes)、イベント当日のイベント情報および来場情報を含む分布情報などを取得する(ステップS12)。
【0145】
次いで、制御部20は、ステップS12で取得されたイベント情報および来場情報を含む分布情報等と合致あるいは略合致する推定混雑パターンを選択し、選択された推定混雑パターンを混雑の発生状況として推定する(ステップS13)。
【0146】
次いで、図14について説明する。図14に示すように、制御部20は、端末装置40から情報提供要求を受信したか否かを判定する(ステップS20)。制御部20は、情報提供要求を受信していないと判定された場合(ステップS20,No)、以降の処理をスキップする。
【0147】
一方、制御部20は、情報提供要求を受信したと判定された場合(ステップS20,Yes)、推定された混雑の発生状況に応じた情報を生成する(ステップS21)。例えば、情報提供要求には、ユーザIDやユーザ位置、居住地情報、提供先情報などを含むユーザ情報が含まれており、制御部20は、かかるユーザ情報(例えばユーザ位置や居住地情報など)に応じた情報であって、混雑の発生状況に応じた回避情報(例えば推奨ルート)や移動情報(例えば推定移動時間)などを生成する。
【0148】
次いで、制御部20は、ステップS21で生成された回避情報(例えば推奨ルート)や移動情報(例えば推定移動時間)などを端末装置40へ提供する(ステップS22)。なお、各種情報の提供先は、上記した端末装置40に限られず、共用の固定表示器であってもよく、かかる固定表示器には、固定表示器の設置位置に応じた情報等が提供される。
【0149】
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置10は、取得部21と、推定部23とを備える。取得部21は、イベント施設100の来場者(ユーザ)Uにおけるイベント施設100への来場に関する来場情報を取得する。推定部23は、取得部21によって取得された来場情報に基づいて、イベント施設100に関連する混雑の発生状況を推定する。これにより、イベント施設100に関連する混雑を効率良く緩和させることができる。
【0150】
なお、上記では、情報処理装置10が施設100に関連する混雑の発生状況の推定や混雑の発生状況に応じた情報の提供など各種の処理を行うようにしたが、各種の処理が行われる装置は、情報処理装置10に限定されるものではない。すなわち、情報処理装置10で行われる処理の一部あるいは全部が、端末装置40、イベント施設用情報処理装置50で行われるようにしてもよい。
【0151】
また、上記では、1つのイベント施設100でイベントが開催される例を示したが、これに限られず、実施形態は、複数のイベント施設でそれぞれイベントが開催される場合にも適用可能である。
【0152】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
20 制御部
21 取得部
22 算出部
23 推定部
24 提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14