(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】セルフ式商品販売データ処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20241129BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G07G1/00 331B
G07G1/00 311D
G07G1/12 301E
(21)【出願番号】P 2021031409
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 信介
(72)【発明者】
【氏名】内藤 英浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】川口 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】宮島 惇
(72)【発明者】
【氏名】兼子 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】谷平 泰樹
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-27427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客自身が操作を行い購入する商品の取引を行うセルフ式商品販売データ処理装置であって、
商品載置部から取り出された商品の画像に基づいて、複数の商品が同時に取り出されたかを判断する取出判断手段と、
前記取出判断手段によって複数の商品が同時に取り出されたと判断された場合、取り出された前記複数の商品が異なる商品か同一の商品かを判断する第1同一判断手段と、
取り出された商品の情報を読み取る読取部と、
前記第1同一判断手段が異なる商品であると判断した場合に、前記読取部が読み取った前記複数の商品が同一の商品であるかを判断する第2同一判断手段と、
前記第2同一判断手段が同一商品であると判断した場合に、当該取引を停止する停止手段と、
を備えたセルフ式商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記第2同一判断手段が異なる商品であると判断した場合に、前記複数の商品の商品登録処理を実行する商品登録手段、をさらに備えた、
請求項1に記載のセルフ式商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記取出判断手段が複数の商品が同時に取り出されたと判断した商品の個数を記憶する記憶手段、をさらに備え、
前記第2同一判断手段は、前記記憶手段が記憶した個数の商品が前記読取部によって読み取られた場合に、当該商品について同一の商品かを判断する、
請求項1または2に記載のセルフ式商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記停止手段が取引を停止した場合にアラートを通知する通知手段、をさらに備えた、
請求項1乃至
3のいずれか一に記載のセルフ式商品販売データ処理装置。
【請求項5】
顧客自身が操作を行い購入する商品の取引を行い、商品載置部から取り出された商品の情報を読み取る読取部、を備えたセルフ式商品販売データ処理装置としてのコンピュータを、
前記商品載置部から取り出された商品の画像に基づいて、複数の商品が同時に取り出されたかを判断する取出判断手段と、
前記取出判断手段によって複数の商品が同時に取り出されたと判断された場合、取り出された前記複数の商品が異なる商品か同一の商品かを判断する第1同一判断手段と、
前記第1同一判断手段が異なる商品であると判断した場合に、前記読取部が読み取った前記複数の商品が同一の商品であるかを判断する第2同一判断手段と、
前記第2同一判断手段が同一商品であると判断した場合に、当該取引を停止する停止手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、セルフ式商品販売データ処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、量販店、コンビニエンスストア等の店舗において商品の販売を行う場合、顧客自身が操作をすることで商品登録処理と決済処理を行うセルフ式商品販売データ処理装置(例えばセルフ式POS(Point of Sales)端末)が使用されることがある。このようなセルフ式商品販売データ処理装置では、顧客自身がカゴから商品をとり出してバーコード等のシンボルを読み取らせるスキャナが設置されている。顧客は、スキャナでシンボルを読み取った商品を袋詰め部にセットされた買い物袋に袋詰めする。
【0003】
ところで、このようなセルフ式商品販売データ処理装置では、顧客による不正行為が行われることがある。例えば、カゴから複数(例えば2個)の商品を同時に取り出して、片方の商品(例えば価格が安価な商品)に付されたシンボルを2回読み取らせて2個の商品の商品登録操作を行う不正行為が行われることがあるが、このような不正行為を防止することは難しかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、商品登録に係る顧客による不正行為を防止することが可能なセルフ式商品販売データ処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のセルフ式商品販売データ処理装置は、顧客自身が操作を行い購入する商品の取引を行うセルフ式商品販売データ処理装置であって、商品載置部から取り出された商品の画像に基づいて、複数の商品が同時に取り出されたかを判断する取出判断手段と、前記取出判断手段によって複数の商品が同時に取り出されたと判断された場合、取り出された前記複数の商品が異なる商品か同一の商品かを判断する第1同一判断手段と、取り出された商品の情報を読み取る読取部と、前記第1同一判断手段が異なる商品であると判断した場合に、前記読取部が読み取った前記複数の商品が同一の商品であるかを判断する第2同一判断手段と、前記第2同一判断手段が同一商品であると判断した場合に、当該取引を停止する停止手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態のセルフ式商品販売データ処理装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、セルフ式商品販売データ処理装置を示す正面図である。
【
図3】
図3は、セルフ式商品販売データ処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、セルフ式商品販売データ処理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、セルフ式商品販売データ処理装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図を参照して、実施形態について説明する。実施形態では、顧客が自身で操作を行うセルフ式のPOS端末(以降「セルフPOS端末」という)をセルフ式商品販売データ処理装置の一例として説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0008】
実施形態に係るセルフPOS端末は、店舗の精算を行うエリアに設置されている。店舗は顧客が購入する商品を陳列している。商品あるいは商品を入れる入れ物(袋や箱等)には、シンボルが付してある。シンボルは、コード化された情報であり、付してある商品を特定するための情報が含まれている。顧客は、店舗への入店時にカゴを受け取り、購入する商品をカゴ内に入れる。
【0009】
セルフPOS端末は、購入する商品に付されたシンボルをスキャナに読み取らせる商品登録操作および当該商品に係る代金を支払うための決済操作を、顧客自身が操作して行う装置である。
【0010】
図1は、実施形態のセルフPOS端末1を示す斜視図である。
図2は、実施形態のセルフPOS端末1を示す正面図である。
【0011】
図1および
図2に示すように、実施形態のセルフPOS端末1は、カゴ置台2(商品載置部)、商品登録部4、物品載置部6を有する。カゴ置台2は、商品が入れられたカゴKを載置する台である。すなわち、カゴ置台2は、商品を間接的に載置する台である。カゴ置台2は、取付部材22によって物品載置部6に取り付けられている。また、カゴ置台2は、足部23を有し、カゴ置台2の物品載置部6に取り付けられた側と反対側を支える。また、カゴ置台2は、上方を向いたカゴ載置面21を備える。カゴ載置面21は、足部23によって略水平に保たれている。カゴ載置面21は、カゴKを載置する充分な広さを有している。
【0012】
また、カゴ置台2は、物品載置部6との境界部に規制部の一例であるストッパ24を備える。ストッパ24は、例えば棒状の金属を略コの字状に折り曲げて形成されており、物品載置部6側の略端部のカゴ載置面21から上方に突出して、後述する商品の流れ方向と直行する方向に取り付けられている。
【0013】
商品登録部4は、カゴ置台2に近接して設置される。商品登録部4は、カゴKから取り出した商品に付されたシンボルを読み取って商品登録処理および決済処理を行う装置である。商品登録部4は、袋詰め部41、表示部43、スキャナ46(読取部)、後述する制御部300を備える。スキャナ46は、カゴ置台2より商品の移動方向下流側に設けられている。また、袋詰め部41は、スキャナ46より商品の移動方向下流側に設けられている。
【0014】
筐体部48の後部側上部からは、2本の支柱42が上方に立設している。支柱42には、下から順に一時置台45、スキャナ46、表示部43が取り付けられている。
【0015】
スキャナ46は、右側の支柱42から右側(商品の流れ方向上流側)に突出した支え部421によって支柱42に取り付けられる。すなわち、スキャナ46は、商品登録部4の右側(商品の流れ方向上流側)に設けられている。換言すると、商品登録部4は、スキャナ46の商品の流れ方向下流側に設けられている。
【0016】
スキャナ46は、シンボルの読み取り操作を行う顧客に向けて読取窓461を有する。スキャナ46はカメラを内蔵し、読取窓461の前方を通過する商品に付されたシンボルをカメラで撮像して読み取る。または商品登録部4は、レーザー光を出射して、読取窓461の前方を通過する商品に付されたシンボルで反射した反射光を光学的に受光して読み取る。実施形態ではスキャナ46は、カメラによってシンボルを撮像して読み取る。
【0017】
表示部43は、支柱42の上部位置(顧客が見易い高さの位置)に、表示面を顧客に向けて取り付けられている。表示部43は、セルフPOS端末1を操作する顧客に情報を表示する。制御部300は、スキャナ46で読み取られたシンボルを解析して当該商品を特定する商品コードを取得して、当該商品コードで特定される商品の商品情報(商品名、価格、等)を読み出して表示部43に表示する。表示部43は、顧客の背の高さ等によって顧客の見易い角度に向けるために、支柱42に対して左右方向及び上下方向に角度調節が可能に取り付けられている。
【0018】
表示部43の表示面には、例えばタッチパネルで構成された操作部44が設けられている。操作部44の、表示部43に表示されたキーの画像に対応した位置を操作することで、操作部44は表示されたキーが操作可能なキーボードの役目を果たす。
【0019】
袋詰め部41は、支柱42から略水平に延出した延出棒411にセットされた袋F(レジ袋やマイバッグ等)に商品を入れる(袋詰めする)エリアである。袋Fは顧客によって延出棒411にセットされる。袋Fは、延出棒411にセットされた状態で、底面が袋載置面412に接する。顧客は、スキャナ46でシンボルを読み取らせた商品を袋Fに入れることで、商品が袋詰めされる。顧客は、スキャナ46でシンボルを読み取らせた商品の情報が表示部43に表示されていることを確認してから当該商品の袋詰めを行う。なお、カゴ置台2のカゴ載置面21と袋詰め部41の袋載置面412は、略同一高さである。
【0020】
一時置台45は、スキャナ46のシンボルを読み取った商品のうち、割れ易い商品や形が壊れ易い商品(豆腐、卵、パン類、刺身の盛り合わせ等)を一時的に載置する台である。これらの商品は他の商品が袋詰めされたのちに最後に袋詰めすることで、袋F内の上部に袋詰めする。
【0021】
ここからは、物品載置部6について説明する。物品載置部6は、商品登録部4の商品の流れ方向上流側に隣接して設けられる。前述のように、カゴ置台2は、物品載置部6に取り付けられているため、物品載置部6は、カゴ置台2と商品登録部4の間に介在する。具体的には、物品載置部6は、カゴ置台2と商品登録部4の間に位置しており、カゴ置台2と商品登録部4に隣接あるいは接触して配置されている。
【0022】
物品載置部6の上面61には、商品の販売に係る物品を載置する載置部62が設けられる。実施形態では、ハンディタイプのタッチスキャナ621が商品の販売に係る物品の一例である。タッチスキャナ621は、スキャナ46の略同一の機能を有し、商品に付されているシンボルを読み取る。実施形態では、タッチスキャナ621は、内部から発光されたLED(Liquid Emitting Diode)のシンボルでの反射光をライン上に配置されたイメージセンサで受光してシンボルを読み取る構成である。載置部62は、タッチスキャナ621の置台である。
【0023】
物品載置部6の上面61は、カゴ置台2のカゴ載置面21、および袋詰め部41の袋載置面412より下方にへこんでいる。しかしながら、物品載置部6の上面61に載置部62を設けることにより、物品載置部6は、上向きの凸状に形成される。具体的には、物品載置部6は、上面61に載置部62にタッチスキャナ621を載置することにより、載置されたタッチスキャナ621によって上側に凸の曲面(すなわち、非平面状)となる。また、載置部62にタッチスキャナ621が載置された物品載置部6は、カゴ置台2のカゴ載置面21、および袋詰め部41の袋載置面412より上方に突出した凸状態となる。
【0024】
また、載置部62は、矢印Yで示す商品の流れ方向(セルフPOS端末1の幅方向)においてスキャナ46の略直下方向に位置する。なお、実施形態では、
図3に示すように、載置部62は、セルフPOS端末1の奥行方向において、スキャナ46の略直下方向に位置していない。すなわち載置部62は、セルフPOS端末1の奥行方向において、スキャナ46より手前側(顧客側)に位置している。
【0025】
また、支え部421の上面には、上方に伸びる略円柱状のポール49を備える。ポール49の上方先端部にはパトランプ50が設けられている。パトランプ50は、セルフPOS端末1(特に商品登録部4)においてエラーが発生した場合や、レシート用紙がなくなった場合等に、アテンダントにその旨を報知するためのランプであり、エラーの種類や状況に応じて赤色や橙色等に発光する。パトランプ50は、正常時には青色の発光または消光している。
【0026】
また、ポール49の上下方向の略中央部には、カメラ51が設けられている。カメラ51は、動画を撮像可能なカメラである。カメラ51は、下向きに設置されている。カメラ51は、上方から下方に向けて撮像する。カメラ51は、カゴKから商品を取り出す動作、取り出した商品、カゴKから取り出した商品を、矢印Yで示す方向にスキャナ46の略正面の位置まで移動させる動作、移動させる商品を、動画として撮像する。なお、カメラ51は、カゴKから商品を取り出す動作、取り出した商品、スキャナ46の略正面の位置まで移動させる動作、移動させる商品を、連続した複数のスナップ写真として撮像するようにしてもよい。
【0027】
このような構成の実施形態において、顧客は、購入する商品を入れたカゴKをカゴ置台2のカゴ載置面21上に載置する。カゴ置台2にはストッパ24が設けられているため、カゴKをカゴ置台2のカゴ載置面21上に載置したときに載置したカゴKが載置部62側にはみ出たり、カゴKから商品を取り出したときに、カゴKが載置部62側に移動したりすることがない。そのため、カゴKに入っている商品がスキャナ46の真下に位置することがない(すなわち、ストッパ24は、カゴKに入っている商品がスキャナ46側にはみ出したり移動したりすることを規制する)ため、スキャナ46がカゴKに入っている商品を誤って読み取ることがない。
【0028】
顧客が図示しないスタートキーを操作すると、セルフPOS端末1は、当該顧客との商品の取引を開始する。顧客は、カゴKから商品を取り出して矢印Yの方向(商品の移動方向)に商品を動かしながら。商品に付されたシンボルをスキャナ46の方向に向ける。カメラ51は、この動作および取り出された商品を撮像する。スキャナ46は、向けられたシンボルを読み取る。その後顧客は、シンボルを読み取らせた商品を矢印Yの方向に移動させて袋F内に入れる。顧客は、この動作をカゴK内のすべての商品について行うことで商品登録操作を行う。顧客が商品登録操作を行った商品について、セルフPOS端末1は、商品登録処理および決済処理を実行する。
【0029】
スキャナ46に読み取らせた商品が形が壊れ易い商品の場合、顧客は、当該商品を一時的に一時置台45に載置する。そして、すべての商品のシンボルを読み取らせた後に一時置台45に載置されている商品を最後に袋詰めする。
【0030】
商品登録処理とは、スキャナ46が読み取ったシンボルに基づいて当該商品を特定する商品コードを取得して、取得した商品コードに基づいて後述する商品マスタ342(
図3を参照)から当該商品に係る商品情報(商品名、商品の価格、等)を読み出して、表示部43に表示するとともに、当該商品情報を商品情報部332(
図3を参照)に記憶する処理をいう。
【0031】
決済処理とは、商品情報部332に記憶されている商品情報に基づいて、指定されたメディアを使用して、当該取引に係る決済を行う処理をいう。また、決済処理は、合計金額や商品情報を印字したレシートの発行を含む。決済処理が終了すると、一顧客との取引が終了する。
【0032】
ここからは、実施形態に係るセルフPOS端末1のハードウェアについて説明する。
図3は、セルフPOS端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、セルフPOS端末1は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、メモリ部34等を備えている。CPU31は制御主体となる。ROM32は各種プログラムを記憶する。RAM33はプログラムや各種データを展開する。メモリ部34は各種プログラムを記憶する。CPU31、ROM32、RAM33、メモリ部34は、互いにバス35を介して接続されている。CPU31とROM32とRAM33が、制御部300を構成する。すなわち、制御部300は、CPU31がROM32やメモリ部34に記憶されRAM33に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述するセルフPOS端末1の制御処理を実行する。
【0033】
RAM33は、個数部331、商品情報部332、一時記憶部333、フラグ部334を備える。個数部331は、カゴKから一度に取り出した商品の数を記憶する。商品情報部332は商品登録処理された商品の商品情報を記憶する。一時記憶部333は、カゴKから一度に取り出した複数の商品をスキャナ46で読み取った際に、当該商品の商品情報(商品コード)を一時的に記憶する。フラグ部334は、カゴKから一度に取り出した商品が異なる商品である場合に、フラグ「1」を記憶する。フラグ部334は、カゴKから一度に取り出した商品が同一の商品である場合に、フラグ「1」を記憶しない(フラグ「0」のままである)。
【0034】
メモリ部34は、HDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。メモリ部34は、制御プログラム部341と商品マスタ342を備える。制御プログラム部341はセルフPOS端末1を制御するための制御プログラムを記憶する。商品マスタ342は、商品を特定する商品コードに対応付けて当該商品の商品名、商品の価格等の商品情報を商品別に記憶する。
【0035】
制御部300は、バス35とコントローラ36を介して、操作部44、表示部43、硬貨釣銭機52、紙幣釣銭機53、プリンタ54、カードリーダ55、スキャナ46、カメラ51を接続する。表示部43は、セルフPOS端末1を操作する顧客に向けて商品情報や決済情報等の情報を表示する。操作部44は、終了キー441を含むタッチキーで構成された、表示部43上に設けられた顧客が操作するキーボードである。終了キー441は、購入するすべての商品について商品データ処理が終了し、セルフPOS端末1による顧客の操作を終了する際に顧客が操作する。硬貨釣銭機52は、顧客から受け取った金銭のうち硬貨を収納するとともに、硬貨分の釣銭を払い出す。紙幣釣銭機53は、顧客から受け取った金銭のうち紙幣を収納するとともに、紙幣分の釣銭を払い出す。プリンタ54は、商品情報や決済情報等を印字したレシートを発行する。カードリーダ55は、クレジットカード等のカード情報を読み取る。スキャナ46は、商品に付されたシンボルを読み取る。カメラ51は、顧客がカゴKから取り出した商品を撮像する。
【0036】
また、制御部300は、バス35を介して、通信インタフェース(I/F)56と接続している。通信インタフェース56は、セルフPOS端末1の上位機器である店舗サーバ(図示せず)と、情報を送受信可能に接続している。
【0037】
ここからは、実施形態に係るセルフPOS端末1の機能構成について説明する。
図4は、セルフPOS端末1の機能構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、セルフPOS端末1の制御部300は、制御プログラム部341に記憶され、RAM33に展開された制御プログラムに従うことで、取出判断手段301、記憶手段302、第1同一判断手段303、第2同一判断手段304、停止手段305、通知手段306、商品登録手段307として機能する。
取出判断手段301は、カゴ置台2から取り出された商品の画像に基づいて、複数(例えば2個)の商品が同時に取り出されたかを判断する。具体的には、取出判断手段301は、カゴ置台2から取り出された商品を撮像するカメラ51から入力されたカメラ51が撮像した画像に基づいて、例えば、公知のエッジ検出技術を用いて商品の輪郭を検出する手法を用いて複数の商品が同時に取り出されたかを判断する。さらに具体的には、取出判断手段301は、まずカゴKから商品を取り出した顧客の手を検出し、手に持っている商品について上記手法を用いて複数の商品が同時に取り出されたかを判断する。
【0038】
記憶手段302は、取出判断手段301が複数の商品が同時に取り出されたと判断した商品の個数(例えば2個)を記憶する。具体的には、記憶手段302は、取出判断手段301が複数の商品が同時に取り出されたと判断した場合に、個数部331に商品の個数を記憶する。
【0039】
第1同一判断手段303は、取出判断手段301によって複数であると判断されたそれぞれの商品が異なる商品か同一の商品かを判断する。具体的には、第1同一判断手段303は、例えば、公知の一般認識技術を用いて、複数の商品の色や質感等が同じであるか異なるか、等に基づいて、取出判断手段301によって複数(例えば2個)であると判断されたそれぞれの商品が異なる商品か同一の商品かを判断する。
【0040】
第2同一判断手段304は、第1同一判断手段303が異なる商品(例えば2個の異なる商品)であると判断した場合に、スキャナ46が読み取った商品の情報に基づいて、読み取った商品が同一の商品であるかを判断する。具体的には、第2同一判断手段304は、記憶手段302が記憶した個数(例えば2個)の商品がスキャナ46によって読み取られた場合に、当該商品について同一の商品かを判断する。例えば記憶手段302が「2」を記憶している場合には、第2同一判断手段304は、スキャナ46が読み取った2個の商品が同一商品の場合に同一と判断する。例えば記憶手段302が「3」を記憶している場合には、第2同一判断手段304は、スキャナ46が読み取った3個の商品がすべて同一商品の場合に同一と判断する。
【0041】
停止手段305は、第2同一判断手段304が同一商品であると判断した場合に、当該取引を停止する。
【0042】
通知手段306は、停止手段305が取引を停止した場合にアラートを通知する。具体的には、通知手段306は、例えばパトランプ50を赤色や橙色に発光させることで、アテンダント等にアラートを通知する。また、通知手段306は、例えばアテンダントが監視するアテンダントPCにアラート情報を表示するように送信することで、アテンダント等にアラートを通知する。
【0043】
商品登録手段307は、第2同一判断手段304が異なる商品であると判断した場合に、当該複数の商品の商品登録処理を実行する。具体的には、商品登録手段307は、第2同一判断手段304が異なる商品であると判断した場合に、一時記憶部333に記憶されている商品コードに基づいて複数(例えば2個)の商品の商品登録処理を実行する。
【0044】
ここからは、セルフPOS端末1の制御について説明する。
図5は、セルフPOS端末1の制御の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、セルフPOS端末1の制御部300は、初期設定としてフラグ部334にフラグ「0」を記憶する(S11)。次に制御部300は、カメラ51が撮像した画像に基づいて、カゴKから商品が取り出されたかを判断する(S12)。例えば、カメラ51が撮像した画像に手以外の物体が存在する場合には、カゴKから商品が取り上げられたと判断する。カゴKから商品が取り上げられたと判断した場合には(S12のYes)、次に取出判断手段301は、カゴKから取り出された商品を撮像するカメラ51の画像に基づいて、複数の商品が同時に取り出されたかを判断する(S13)。複数の商品が同時に取り出されたと判断した場合には(S13のYes)、記憶手段302は、同時に取り出された商品の数を個数部331に記憶する(S14)。
【0045】
次に第1同一判断手段303は、数が個数部331に記憶された複数の商品が異なる商品か同一の商品かを判断する(S15)。数が個数部331に記憶された複数の商品が異なる商品であると判断した場合には(S15のNo)、制御部300は、フラグ部334に記憶されているフラグ「0」をフラグ「1」に書き換える(S16)。そして制御部300は、S12に戻る。
【0046】
なお、S13において、複数の商品が同時に取り出されていないと判断した場合には(S13のNo)、制御部300は、S12に戻る。また、S15において、個数部331に記憶された複数の商品が同一の商品であると判断した場合には(S15のYes)、制御部300は、S12に戻る。
【0047】
また、S12において、カゴKからの商品の取り出しではないと判断した場合には(S12のNo)、制御部300は、スキャナ46によってシンボルが読み取られたかを判断する(S21)。シンボルが読み取られたと判断した場合には(S21のYes)、制御部300は、フラグ部334にフラグ「1」が記憶されているかを判断する(S22)。フラグ部334にフラグ「1」が記憶されていないと判断した場合には(S22のNo)、制御部300は、読み取られたシンボルを解析して取得した商品コードに基づいて、当該商品に係る商品登録処理を実行する(S30)。そして制御部300は、S12に戻る。
【0048】
また、S22において、フラグ部334にフラグ「1」が記憶されていると判断した場合には(S22のYes)、取得した商品コードを一時記憶部333に記憶する(S23)。
【0049】
次に、制御部300は、スキャナ46によって個数部331に記憶されている回数分シンボルが読み取られたかを判断する(S24)。個数部331に記憶されている回数分シンボルが読み取られていないと判断した場合には(S24のNo)、制御部300はS21に戻り、次のシンボルの読取を待機する。
【0050】
また、スキャナ46で個数部331に記憶されている回数分シンボルが読み取られたと判断した場合には(S24のYes)、次に第2同一判断手段304は、スキャナ46が読み取った商品の情報に基づいて、スキャナ46が読み取った商品が同一の商品であるかを判断する(S25)。同一の商品ではないと判断した場合には(S25のNo)、商品登録手段307は、一時記憶部333に記憶されている商品コードに基づいて当該商品の商品登録処理を実行する(S26)。そして制御部300は、フラグ部334に記憶されているフラグ「1」をフラグ「0」に変更する。そして制御部300は、S12に戻る。
【0051】
また、S25において、スキャナ46が読み取った商品の情報に基づいて同一の商品であると判断した場合には(S25のYes)、停止手段305は、当該顧客の取引を停止する(S28)。すなわち、制御部300は、これ以降の当該顧客に対する一切の処理を中止して当該顧客の取引を停止する。そして、通知手段306は、停止手段305が取引を停止したことを示すアラートをアテンダント等に通知する(S29)。そして制御部300は、S12に戻る。
すなわち、制御部300は、S15において一度に取り出された商品が同一商品ではないと判断したのに、S25においてシンボルを読み取った商品が同一商品であると判断したため、顧客による不正が行われた可能性があるとして、当該顧客の取引を停止する。
【0052】
アテンダント等は、アラートの通知があると、アラートを発しているセルフPOS端末1に向かい、顧客による不正があったかを確認する。
【0053】
また、S21において、シンボルの読み取りではないと判断した場合には(S21のNo)、制御部300は、終了キー441が操作されたかを判断する(S41)。終了キー441が操作されたと判断した場合に(S41のYes)、制御部300は、商品情報部332に記憶されている商品情報に基づいて当該顧客に対する決済処理を実行する(S42)。そして制御部300は、当該顧客に対する取引を終了する。また、終了キー441の操作ではないと判断した場合には(S41のNo)、制御部300は、S12に戻る。
【0054】
このように、実施形態のセルフPOS端末1は、顧客自身が操作を行い購入する商品の取引を行うセルフPOS端末1であって、カゴ置台2に載置されたカゴKから取り出された商品の画像に基づいて、複数の商品が同時に取り出されたかを判断する取出判断手段301と、取出判断手段301によって複数の商品が同時に取り出されたと判断された場合、取り出された複数の商品が異なる商品か同一の商品かを判断する第1同一判断手段303と、取り出された商品の情報を読み取るスキャナ46と、第1同一判断手段303が異なる商品であると判断した場合に、スキャナ46が読み取った複数の商品が同一の商品であるかを判断する第2同一判断手段304と、第2同一判断手段304が同一商品であると判断した場合に、当該取引を停止する停止手段305段と、を備える。
【0055】
このような実施形態のセルフPOS端末1によると、カゴKから一度に取り出された複数の商品が異なる商品である場合に、スキャナ46読み取った商品が同一の商品である場合に取引を停止する。そのため、このような実施形態のセルフPOS端末1は、商品登録に係る顧客による不正行為を防止することが可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0057】
例えば、実施形態では、カメラ51はセルフPOS端末1の構成として説明した。しかしながらこれに限らず、カメラ51はセルフPOS端末1の構成でなくてもよい。この場合、セルフPOS端末1には、セルフPOS端末1の近傍に設置されたカメラ51が撮像した画像が入力される。取出判断手段301は、セルフPOS端末1の近傍に設置されたカメラ51から入力された画像に基づいて、複数の商品が同時に取り出されたかを判断する。
【0058】
なお、実施形態のセルフPOS端末1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0059】
また、実施形態のセルフPOS端末1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施形態のセルフPOS端末1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0060】
また、実施形態のセルフPOS端末1で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 セルフPOS端末
2 カゴ置台
4 商品登録部
6 物品載置部
21 カゴ載置面
31 CPU
41 袋詰め部
43 表示部
44 操作部
46 スキャナ
49 ポール
50 パトランプ
51 カメラ
300 制御部
301 取出判断手段
302 記憶手段
303 第1同一判断手段
304 第2同一判断手段
305 停止手段
306 通知手段
307 商品登録手段
331 個数部
332 商品情報部
333 一時記憶部
334 フラグ部
342 商品マスタ
421 支え部
441 終了キー
461 読取窓
K カゴ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】