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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】卓上ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/02 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B25J9/02 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021040976
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022140915
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】釜井 善弘
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特許第2785223(JP,B2)
【文献】実開平06-002408(JP,U)
【文献】特開2001-350509(JP,A)
【文献】特開平03-032547(JP,A)
【文献】特開昭62-001004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上ロボットであって、
発光部を有する複数の操作スイッチと、
識別情報を表示する一つの表示部と、
前記識別情報と関連付けられ、前記操作スイッチからの信号により卓上ロボットにおける所定の作業が実行されるプログラムを複数記憶する記憶部と、
複数の前記操作スイッチに、複数の前記プログラムをそれぞれ関連付ける登録部と、
前記操作スイッチからの信号が出力される前の待機状態において、前記登録部により関連付けられた前記プログラムの前記識別情報を前記表示部に順次表示させるとともに、前記登録部により前記プログラムに関連付けられた前記操作スイッチを前記識別情報が表示されるタイミングに対応させて点灯させる表示発光制御部と、を備える卓上ロボット。
【請求項2】
複数の前記操作スイッチを備える操作部をさらに備え、
前記操作部は、ロボット本体部に対して着脱可能である、請求項1に記載の卓上ロボット。
【請求項3】
前記操作スイッチに関連付けられた前記プログラムを他のプログラムに切り換える切り換えスイッチを備え、
前記プログラムは、複数の前記操作スイッチのそれぞれに割り当てられる複数のプログラムをセットにした前記プログラムのセットを複数含み、
前記登録部は、前記切り換えスイッチからの信号により、選択されていた前記プログラムのセットを他の前記セットに切り換える、請求項1又は2に記載の卓上ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机等に設置することが可能な卓上ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば3方向の直動機構によってツールとワークを3次元的に駆動させ、ワーク同士の組み立てやワークに対するねじ締め、ワークへの溶剤等の塗布、ワークの切断、ワークへのはんだ付け等の各種作業を行うことが可能な卓上ロボット、又は卓上型ロボットと称される小型のロボットが知られている。多くの卓上ロボットは、その名称の通り机等に設置できる程小型化されていて、作業者と協働して作業を行う、いわゆる半自動機として利用することも可能である。特許文献1に示された卓上ロボットにおいては、作業卓を挟んで両側から複数の作業者と協働して作業を行うことが可能である。
【0003】
卓上ロボットは、半自動機として利用されることが多いという性質上、大量生産よりも少量多品種の生産に多用されている。従って卓上ロボットの多くは、複数の作業データ(ティーチングデータ、又はプログラムと称されることもある)を記憶するよう構成さえていて、作業に応じたプログラムに切り換えることで、様々な品種の生産にも対応することが可能である。特許文献1に示された卓上ロボットにおいても、プログラム選択スイッチ(25)を操作することで、加工手順を記述した複数のプログラムから所望のものを選択することが可能である。また、選択したプログラムの番号を液晶表示部(27)に表示して作業者に報知することができるため、作業者は、意図したプログラムが選択されているか確認することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2785223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は、卓上ロボットの用途が高度化し、例えば作業自体に対応したプログラム、作業ツールのメンテナンス作業に対応したプログラムなど、複数のプログラムを順次に組み合わせて実行することにより、複雑な作業を行わせることがある。このような場合、実行させる各プログラムに対応する操作スイッチ及び表示部を複数設けておけば、プログラムを切り換える度にプログラム選択スイッチを操作する必要がなくなるため、作業性向上が期待される。ところで操作スイッチは、電気的な構成はそれ程複雑なものではなく、これを増設することは技術的にさほど困難ではない。しかし表示部を増設する場合は、制御プログラムの変更や制御部の増設を伴うため、回路構成が複雑化しコストも大きく増えてしまう。
【0006】
このような問題点に鑑み、本発明は、プログラムに対応する操作スイッチを複数設けることによって、複数のプログラムを順次に組み合わせて実行する複雑な作業を行わせる場合でも簡単に操作することができ、また、それぞれの操作スイッチに割り当てたプログラムを作業者に報知する機能を備えつつも表示部及び回路構成を簡素化してコストを抑えることができる卓上ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の卓上ロボットは、発光部を有する複数の操作スイッチと、識別情報を表示する一つの表示部と、前記識別情報と関連付けられ、前記操作スイッチからの信号により卓上ロボットにおける所定の作業が実行されるプログラムを複数記憶する記憶部と、複数の前記操作スイッチに、複数の前記プログラムをそれぞれ関連付ける登録部と、前記操作スイッチからの信号が出力される前の待機状態において、前記登録部により関連付けられた前記プログラムの前記識別情報を前記表示部に順次表示させるとともに、前記登録部により前記プログラムに関連付けられた前記操作スイッチを前記識別情報が表示されるタイミングに対応させて点灯させる表示発光制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような卓上ロボットは、複数の前記操作スイッチを備える操作部をさらに備え、前記操作部は、ロボット本体部に対して着脱可能であることが好ましい。
【0009】
またこのような卓上ロボットは、前記操作スイッチに関連付けられた前記プログラムを他のプログラムに切り換える切り換えスイッチを備え、前記プログラムは、複数の前記操作スイッチのそれぞれに割り当てられる複数のプログラムをセットにした前記プログラムのセットを複数含み、前記登録部は、前記切り換えスイッチからの信号により、選択されていた前記プログラムのセットを他の前記セットに切り換えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の卓上ロボットによれば、複数のプログラムを順次に組み合わせて実行する場合でも、複数の操作スイッチによって簡単に操作することができる。また、選択したプログラムを作業者に報知するための表示部は一つで済むため、複数の操作スイッチに対応させて表示部を複数設ける場合に比して構成が簡素化されてコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る卓上ロボットの第一実施形態を示した斜視図である。
図2図1に示した卓上ロボットのブロック図である。
図3】プログラムに含まれる情報に関する図である。
図4図1に示した卓上ロボットにおける操作スイッチの点灯状態と表示部の表示状態に関する図である。
図5】本発明に係る卓上ロボットの第二実施形態を示した斜視図である。
図6図5に示した卓上ロボットのブロック図である。
図7図5に示した卓上ロボットにおける操作スイッチの点灯状態と表示部の表示状態に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る卓上ロボットの一実施形態について説明する。以下の説明においては、便宜上、図面に示した右、左、前、後、上、下、及びX、Y、Zの向きで説明することとする。
【0013】
図1図4は、本発明に係る卓上ロボットの第一実施形態である卓上ロボット1Aを示している。卓上ロボット1Aは、ロボット本体部2A、操作部3A、及びケーブル4を備えている。ケーブル4は、ロボット本体部2Aと操作部3Aとを電気的に接続するものである。また本実施形態のケーブル4は、操作部3Aから取り外すことができる。すなわち操作部3Aは、ロボット本体部2Aに対して着脱可能であるため、操作部3Aの仕様を変更する必要がある場合、例えば下記に説明する操作スイッチの数を変更する場合でも、簡単に対応することができる。
【0014】
ロボット本体部2Aは、前後方向(X方向)に移動可能なテーブル5を備えるX機構6と、左右方向(Y方向)に移動可能なYユニット7を備えるY機構8と、上下方向(Z方向)に移動可能なZ基台9を備えるZ機構とを、それぞれ一つ備えている。なおZ機構はYユニット7に内蔵されていて、図1では不図示である。また本実施形態のX機構6、Y機構8、及びZ機構のそれぞれは、図2に示したXモータ10、Yモータ11、及びZモータ12によって駆動する。
【0015】
テーブル5には、各種のワークを取り付けることが可能であり、Z基台9には、ねじ締めドライバやはんだごて等のツールを取り付けることが可能である。従って卓上ロボット1Aによれば、ワークとツールを3次元的に相対移動させて、ワークに対してねじ締めやはんだ付け等の作業を行うことができる。
【0016】
また図2に示すようにロボット本体部2Aは、上述したXモータ10等と電気的に接続される制御部13を備えている。制御部13は、Xモータ10等の動作を制御することによってロボット本体部2Aにねじ締めやはんだ付け等の各種動作を実行させる機能を有する。また本実施形態の制御部13は、後述する登録部13aと表示発光制御部13bの機能も有する。またロボット本体部2Aは、制御部13と電気的に接続され、制御部13に各種の制御を行わせるためのプログラムや各種の情報を記憶する記憶部14を備えている。
【0017】
ここで、図3を参照しながらプログラムに含まれる情報の一例について説明する。本実施形態では、記憶部14にプログラム番号Pg(1)~Pg(n)のプログラムが記憶されている。プログラム番号Pg(1)は、ポイント番号Pt(1)~Pt(a)で構成され、プログラム番号Pg(n)は、ポイント番号Pt(b)~Pt(c)で構成される。また各ポイント番号Ptは、テーブル5とZ基台9の移動先を示す位置座標と、移動先へテーブル5とZ基台を移動させる際のX方向、Y方向、Z方向の速度と、テーブル5とZ基台9が移動した後にZ基台9に取り付けたツールに所定の動作を実行させる命令とで構成される。例えばポイント番号Pt(1)は、速度V1でテーブル5をX座標X1に移動させるとともに、Z基台9を、Y座標がY1であってZ座標がZ1の位置へY方向及びZ方向に速度V1で移動させ、移動後にZ基台9に取り付けたツールにOut 1の動作を実行させる(例えばツールとしてねじ締めを行うドライバを使用する場合、ドライバを低速で回転させる動作を実行させる)ことを示している。なお、ポイント番号Ptを構成する内容は、位置座標、速度、命令に限らず、他の事項(例えばテーブル5やZ基台9を移動させる際の加速度)を加える等、適宜変更可能である。また内容も適宜変更可能であって、例えば速度は、X方向、Y方向、Z方向のそれぞれで異なっていてもよく、また命令は、ツールからの情報を受け取る(例えばツールに設けた所定のセンサからの情報を受け取る)ものでもよい。
【0018】
操作部3Aは、図1図2に示すように、制御部13と電気的に接続される第一操作スイッチ15、第二操作スイッチ16、及び第三操作スイッチ17を備えている。第一操作スイッチ15等は、押下するとONの信号を出力する。また第一操作スイッチ15、第二操作スイッチ16、及び第三操作スイッチ17は、制御部13からの指令によって光る発光部(第一発光部15a、第二発光部15b、第三発光部15c)を有している。後述するように第一操作スイッチ15等のそれぞれには、プログラム番号Pg(1)~Pg(n)のプログラムの何れか一つが割り当てられる。
【0019】
また操作部3Aは、制御部13と電気的に接続され、識別情報(本実施形態では数字)を表示する一つの表示部18を備えている。本実施形態の表示部18は、所謂7セグメントディスプレイを横並びで二つ備えていて、二桁の数字を表示することが可能である。
【0020】
更に操作部3Aは、制御部13と電気的に接続される切り換えスイッチ19を備えている。切り換えスイッチ19は、第一操作スイッチ15、第二操作スイッチ16、第三操作スイッチ17のそれぞれに割り当てられたプログラム番号Pg(1)等のプログラムを、他のプログラムに切り替える際に使用する。本実施形態の切り換えスイッチ19は、押下するとONの信号を出力する二つのスイッチ(繰り上げスイッチ19a、繰り下げスイッチ19b)で構成されている。
【0021】
また本実施形態の操作部3Aには、ロボット本体部2Aを緊急停止させるための非常停止ボタン20も設けられている。
【0022】
次に、上述した制御部13が備える登録部13aについて説明する。制御部13が登録部13aとして機能することによって、第一操作スイッチ15、第二操作スイッチ16、第三操作スイッチ17のそれぞれに、プログラム番号Pg(1)~Pg(n)のプログラムの何れか一つが割り当てられる。
【0023】
まず、第一操作スイッチ15、第二操作スイッチ16、第三操作スイッチ17のうち、プログラムの割り当てを行うスイッチ(今回は第一操作スイッチ15)を、通常の押下動作よりも長い時間押下(長押し)する。すなわち、第一操作スイッチ15からのONの信号は、通常の押下動作よりも長い時間出力される。これにより制御部13は、ロボット本体部2Aを動作させることが可能な通常モードから登録モードに移行する。なお登録モードでは、第一操作スイッチ15等を押下してもロボット本体部2Aが動作しないように設定される。登録モードにおいて制御部13は、第一操作スイッチ15と表示部18に指令を送り、第一操作スイッチ15については点灯させ、表示部18については、現在第一操作スイッチ15に割り当てられているプログラムのプログラム番号Pgを点滅表示させる。なお、第一操作スイッチ15にプログラムが割り当てられていない初期状態においては、その旨を示す識別情報(例えば00など)を点滅表示させる。
【0024】
次いで、繰り上げスイッチ19a又は繰り下げスイッチ19bを押下して、第一操作スイッチ15に登録させたいプログラムのプログラム番号Pgを示す数字を表示部18に表示させる。例えば第一操作スイッチ15にプログラム番号2のプログラムを割り当てる場合、作業者は、繰り上げスイッチ19a又は繰り下げスイッチ19bを押下して、表示部18に数字「02」を表示させる。その後、第一操作スイッチ15を長押しすると、制御部13は、プログラム番号2のプログラムが第一操作スイッチ15に割り当てられたことを記憶部14に記憶させるとともに、登録モードから通常モードに移行する。
【0025】
その後は、第二操作スイッチ16と第三操作スイッチ17についても、第一操作スイッチ15と同様の手順でプログラムを割り当てることができる。本実施形態においては、第二操作スイッチ16にはプログラム番号47のプログラムが割り当てられ、第三操作スイッチ17にはプログラム番号13のプログラムが割り当てられたことが記憶部14に記憶される。
【0026】
本実施形態の卓上ロボット1Aは、通常モードにおいては、第一操作スイッチ15、第二操作スイッチ16、第三操作スイッチ17の何れか一つが押下されるまでは待機状態であって、何れか一つが押下されると、割り当てられたプログラムに基づき所定の動作が実行される動作状態になるよう構成されている。また制御部13は、待機状態において、第一操作スイッチ15等に割り当てられたプログラムのプログラム番号Pgを表示部18に表示させるとともに、表示部18で表示されるタイミングに対応させて第一操作スイッチ15等における第一発光部15a等を点灯させる表示発光制御部13bとしての機能を備えている。
【0027】
表示発光制御部13bが機能する際、卓上ロボット1Aでは、図4に示すように第一操作スイッチ15が点灯するとともに、表示部18には第一操作スイッチ15に登録させたプログラム番号2を示す数字「02」が表示される。そして所定時間後、第一操作スイッチ15は消灯し、第二操作スイッチ16が点灯するとともに、表示部18には第二操作スイッチ16に登録させたプログラム番号47を示す数字「47」が表示される。そして所定時間が経過すると、第二操作スイッチ16は消灯し、第三操作スイッチ17が点灯するとともに、表示部18には第三操作スイッチ17に登録させたプログラム番号13を示す数字「13」が表示される。以降においては、所定時間経過後に第三操作スイッチ17が消灯し、その後、第一操作スイッチ15が点灯するとともに表示部18に数字「02」が表示されるという上記のパターンが繰り返される。
【0028】
このように本実施形態の卓上ロボット1Aは、表示部18で数字が表示されるタイミングに対応して第一操作スイッチ15等が点灯するため、作業者に対して、第一操作スイッチ15等のそれぞれに何れのプログラムが関連付けられているかを明確に報知することができる。また卓上ロボット1Aにおいては、電気的な構成はそれ程複雑ではない第一操作スイッチ15等を複数備える一方、表示部18は一つであるため、全体的な回路構成の複雑化を抑制してコストを抑えることができる。
【0029】
次に、図5図7を参照しながら本発明に係る卓上ロボットの第二実施形態である卓上ロボット1Bについて説明する。なお、上述した卓上ロボット1Aと機能が共通する部位については、図面に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0030】
卓上ロボット1Bは、ロボット本体部2Bと操作部3Bを備えている。なおロボット本体部2Bと操作部3Bは、ロボット本体部2Bと操作部3Bの内部に設けられた不図示のケーブルによって電気的に接続されている。また本実施形態の操作部3Bは、ロボット本体部2Bの前面パネルとして設けられているが、不図示のねじ等を取り外すことによって1つのユニットとしてロボット本体部2Bから取り外すことができる。
【0031】
ロボット本体部2Bは、上述したテーブル5及びX機構6を、図5に示すようにロボット本体部2Bの左右に二組備えている。ここで、ロボット本体部2Bの左側に設けられるものを左側テーブル5L、左側X機構6Lと称し、ロボット本体部2Bの右側に設けられるものを右側テーブル5R、右側X機構6Rと称する。また図6に示すようにロボット本体部2Bは、左側X機構6Lを駆動させる左側Xモータ10Lと、右側X機構6Rを駆動させる右側Xモータ10Rを備えている。
【0032】
すなわち本実施形態のロボット本体部2Bによれば、左側テーブル5Lと右側テーブル5Rのそれぞれにワークを取り付けることが可能であるため、例えばZ基台9に取り付けられるツールで左側テーブル5Lに取り付けたワークに対して作業を行っている際は、右側テーブル5Rからワークを取り外して新たなワークを取り付ける、といった使い方が可能である。
【0033】
そして操作部3Bは、左側スイッチ21と右側スイッチ22の二つのスイッチを備えている。第一操作スイッチ15等と同様に左側スイッチ21と右側スイッチ22も、押下するとONの信号が制御部13に伝えられ、また制御部13からの指令によって、左側スイッチ21と右側スイッチ22に設けた左側発光部21aと右側発光部22aが点灯する。
【0034】
そして、登録部13aによって、左側スイッチ21と右側スイッチ22のそれぞれに、プログラム番号Pg(1)~Pg(n)のプログラムの何れか一つが割り当てられる。なお本実施形態の登録部13aは、プログラム番号Pgが奇数になるプログラムは左側スイッチ21に割り当てられるとともにプログラム番号Pgが偶数になるプログラムは右側スイッチ22に割り当てられるルールと、プログラム番号Pgがある奇数であるプログラムと次の偶数であるプログラムはセットで取り扱われるルールの二つのルールに従ってプログラムを割り当てる。
【0035】
また本実施形態では、ロボット本体部2Bを動作させることが可能な通常モード中、左側スイッチ21と右側スイッチ22の何れか一つが押下される前の待機状態において、繰り上げスイッチ19a又は繰り下げスイッチ19bを押下することによって登録部13aが機能する。
【0036】
例えば左側スイッチ21にプログラム番号1のプログラムが割り当てられていて、右側スイッチ22にプログラム番号2のプログラムが割り当てられている場合、待機状態において制御部13は、図7に示すように、左側スイッチ21を点灯させるとともに、表示部18は現在左側スイッチ21に割り当てられているプログラム番号1を示す数字「01」を表示させる。そして所定時間経過した後に左側スイッチ21を消灯させ、右側スイッチ22を点灯させるとともに、表示部18は現在右側スイッチ22に割り当てられているプログラム番号2を示す数字「02」を表示させ、以後は上記の流れを繰り返し実行させる。
【0037】
そしてこの状態において、例えば繰り上げスイッチ19aを1回押下した場合、制御部13は、上述した二つのルールに従って、図7に示すように左側スイッチ21は点灯させ、表示部18は新たに左側スイッチ21に割り当てられる予定のプログラム番号3を示す数字「03」を表示させる。そして所定時間経過した後に左側スイッチ21を消灯させ、右側スイッチ22を点灯させるとともに、表示部18は現在右側スイッチ22に割り当てられる予定のプログラム番号4を示す数字「04」を表示させる。なお、点灯させた右側スイッチ22を消灯させた後は、上記の流れが再び実行される。また繰り上げスイッチ19aを1回押下した際に制御部13は、プログラム番号3のプログラムが左側スイッチ21に割り当てられ、且つプログラム番号4のプログラムが右側スイッチ22に割り当てられたことを記憶部14に記憶させる。その後、作業者が左側スイッチ21又は右側スイッチ22を押下することにより、押下したスイッチに割り当てられたプログラムに基づいてロボット本体部2Bが動作する。
【0038】
このように本実施形態の卓上ロボット1Bにおいても、表示部18で数字が表示されるタイミングに対応して左側スイッチ21等が点灯するため、作業者に対して、左側スイッチ21と右側スイッチ22のそれぞれに何れのプログラムが関連付けられているかを明確に報知することができる。また繰り上げスイッチ19a又は繰り下げスイッチ19bを押下することによって、左側スイッチ21と右側スイッチ22に割り当てられたプログラムを一括して他のプログラムに切り替えることができるため、繰り上げスイッチ19a又は繰り下げスイッチ19bを押下する回数が少なくて済み、プログラムをより簡単に切り換えることができる。また本実施形態においても表示部18は一つであるため、全体的な回路構成の複雑化を抑制してコストを抑えることができる。
【0039】
以上、本発明を具現化した実施形態について例示したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0040】
例えば第一実施形態の卓上ロボット1Aにおいては、第一操作スイッチ15等が三つ設けられていたが、四つ以上でも二つ以下でもよい。また第一操作スイッチ15等の数が変わっても、表示部18は一つでよい。なお、第一操作スイッチ15等の数の増減に対応するには、例えば操作部3Aのケースに複数の穴を設けておくとともにこの穴を塞ぐキャップを準備しておけばよい。
【0041】
また、卓上ロボット1A、1B共に発光部を有している第一操作スイッチ15等を備えていたが、操作スイッチと発光部は同一部品でなくとも良い。例えば、複数の操作スイッチと同数の発光部を別部材として備え、各操作スイッチの近傍に各々設けられていても良い。
【0042】
また上述した表示部18は、二つの7セグメントディスプレイによって二桁の数字を表示するものであったが、表示される数字の桁数が増える(又は減る)場合は、7セグメントディスプレイの数を増やす(又は減らす)ことにより対応すればよい。なお表示部18は、7セグメントディスプレイに限られず、例えば14セグメントディスプレイでもよいし、点状の表示器を縦横に並べたドットマトリクスタイプのディスプレイでもよい。また表示部18に表示する識別情報は、上述した数字に限られず、例えば文字、記号、図形でもよい。
【0043】
また、表示発光制御部13bによる表示部18の表示と第一操作スイッチ15等が点灯するタイミングは、上述した実施形態では表示部18に数字を表示させるときに第一操作スイッチ15等を点灯させていたが、これに限られず、例えば第一操作スイッチ15に関係するプログラム番号の数字を表示部18に表示させ、次に第一操作スイッチ15を点灯させ、一旦両方を消灯させた後に、第二操作スイッチ16に関係するプログラム番号を表示部18に表示させ、次に第二操作スイッチ16点灯させる、といったタイミングでもよい。また第一操作スイッチ15等を発光させるにあたっては、上述した点灯(所定時間常に発光している)に限られず、点滅でもよい。
【0044】
また第二実施形態における切り換えスイッチ19からの信号によって左側スイッチ21等に割り当てられたプログラムを一括して他のプログラムに変更する機能は、第一実施形態においても適用可能である。この機能を備える卓上ロボット1Aにおいては、例えば第一操作スイッチ15等のそれぞれに割り当てられる3つのプログラムがセットになっていて、これらを順次実行させることで一つの作業が行われる場合、別の作業を行うにあたって他のセットへの切り替えを簡単に行うことができる。
【0045】
そして卓上ロボット1Bでは、ロボット本体部2Bを動作させることが可能な通常モード中、左側スイッチ21と右側スイッチ22の何れか一つが押下される前の待機状態において、繰り上げスイッチ19a又は繰り下げスイッチ19bを押下することによって登録部13aが機能するように構成したが、卓上ロボット1Aのように、例えば左側スイッチ21を通常の押下動作よりも長い時間押下(長押し)することによって通常モードから登録モードに移行させ、登録モードの中で左側スイッチ21と右側スイッチ22のそれぞれにプログラムを割り当てるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1A:卓上ロボット
1B:卓上ロボット
2A:ロボット本体部
2B:ロボット本体部
3A:操作部
3B:操作部
13a:登録部
13b:表示発光制御部
14:記憶部
15:第一操作スイッチ(操作スイッチ)
16:第二操作スイッチ(操作スイッチ)
17:第三操作スイッチ(操作スイッチ)
18:表示部
19:切り換えスイッチ
21:左側スイッチ(操作スイッチ)
22:右側スイッチ(操作スイッチ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7