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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20241129BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241129BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20241129BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20241129BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 680H
G09G3/20 680D
G09G3/34 J
G09G3/20 612U
G09G3/20 641P
G02F1/133 575
G02F1/1347
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021093662
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2022185808
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 一成
(72)【発明者】
【氏名】迫 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小橋 淳二
(72)【発明者】
【氏名】石原 朋幸
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/155760(WO,A1)
【文献】特開2020-095213(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0064089(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0206502(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20 -3/36
G02F 1/133-1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液晶パネルと、
前記第1液晶パネルの一面側で前記第1液晶パネルと対向するよう配置された第2液晶パネルと、
前記第1液晶パネルの他面側から光を照射する光源と、
前記第2液晶パネルの解像度に対応する画像信号に基づいて前記第1液晶パネル及び前記第2液晶パネルを制御する制御部と、を備え、
前記第1液晶パネルは、複数の調光用画素を備え、
前記第2液晶パネルは、複数の画素を備え、
1つの前記調光用画素の範囲内に複数の前記画素が配置され、
前記制御部は、前記第2液晶パネルの動作に関する処理として、ぼかし処理と調光階調値の決定とを行い、
前記ぼかし処理では、前記画像信号に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる前記画素の周囲に位置する所定範囲内に配置された他の前記画素に対して、当該画素信号が与えられる前記画素から離れているほど低くなる光の透過の度合いが、暫定的な階調値として設定され、
前記調光階調値は、前記調光用画素の範囲内に配置されている複数の前記画素に対して設定された階調値のうち前記ぼかし処理後に設定された最高の階調値以上となるように決定され、
前記調光用画素による光の透過の度合いは、前記調光階調値に応じて制御される、
表示装置。
【請求項2】
前記第1液晶パネルはモノクロの液晶パネルであり、
前記第2液晶パネルは、前記画素が第1副画素と第2副画素と第3副画素とを含むカラーの液晶パネルであり、
前記第1副画素は赤色の光を透過可能に設けられ、
前記第2副画素は緑色の光を透過可能に設けられ、
前記第3副画素は青色の光を透過可能に設けられる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2液晶パネルには前記画像信号が入力される、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記最高の階調値を入力値とし、前記調光階調値を出力値とする対応関係の参照データを利用して前記調光階調値を決定し、
前記ぼかし処理後に前記第1副画素に設定された階調値が前記最高の階調値として採用された場合の前記参照データと、
前記ぼかし処理後に前記第2副画素に設定された階調値が前記最高の階調値として採用された場合の前記参照データと、
前記ぼかし処理後に前記第3副画素に設定された階調値が前記最高の階調値として採用された場合の前記参照データと、
前記ぼかし処理後に、前記第1副画素に設定された階調値、前記第2副画素に設定された階調値及び前記第3副画素に設定された階調値のうち、最低の階調値が、前記最高の階調値として採用された場合の前記参照データと、が異なる、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2液晶パネルには前記画像信号が入力され、
前記制御部は、前記最高の階調値を入力値とし、前記調光階調値を出力値とする対応関係の参照データを利用して前記調光階調値を決定し、
前記ぼかし処理後に、前記第1副画素に設定された階調値、前記第2副画素に設定された階調値及び前記第3副画素に設定された階調値のうち最低の階調値が前記最高の階調値として採用された場合に利用される第1の参照データとは異なる第2の参照データが、第1の場合、第2の場合及び第3の場合のうち少なくとも1つ以上の場合に利用され、
前記第1の場合は、前記ぼかし処理後に前記第1副画素に設定された階調値が前記最高の階調値として採用された場合であり、
前記第2の場合は、前記ぼかし処理後に前記第2副画素に設定された階調値が前記最高の階調値として採用された場合であり、
前記第3の場合は、前記ぼかし処理後に前記第3副画素に設定された階調値が前記最高の階調値として採用された場合であり、
前記第2の参照データは、前記第1の参照データに比して前記調光階調値が低く決定される前記最高の階調値と前記調光階調値との対応関係が成立する部分データを含み、
前記制御部は、前記部分データに含まれる前記最高の階調値以下の階調値が前記画素信号によって前記画素に与えられる場合、当該画素信号の階調値をより高める第1の補正を行い、
前記第1の場合に前記第2の参照データが利用される場合、前記第1副画素の階調値が前記第1の補正の対象になり、
前記第2の場合に前記第2の参照データが利用される場合、前記第2副画素の階調値が前記第1の補正の対象になり、
前記第3の場合に前記第2の参照データが利用される場合、前記第3副画素の階調値が前記第1の補正の対象になる、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の参照データが利用される場合、前記第1の補正を相殺する第2の補正を行う、
請求項5に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルと光源との間に調光パネルを設けて画像のコントラストをより高める構成が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/225137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調光パネルが光を透過させる範囲を液晶表示パネルで光を透過するように制御された画素の範囲よりも広くすることで、斜め視点からの画像の視認に対応可能になる。一方、調光パネルにおける調光範囲の最小単位に液晶表示パネルに設けられた複数の画素が含まれている場合、調光パネルの制御ルーチンによっては、調光パネルが光を透過させる範囲を液晶表示パネルで出力される画像の内容に対応させることが困難な場合があった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、出力される画像の内容により良好に対応した調光が可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置は、第1液晶パネルと、前記第1液晶パネルの一面側で前記第1液晶パネルと対向するよう配置された第2液晶パネルと、前記第1液晶パネルの他面側から光を照射する光源と、前記第2液晶パネルの解像度に対応する画像信号に基づいて前記第1液晶パネル及び前記第2液晶パネルを制御する制御部と、を備え、前記第1液晶パネルは、複数の調光用画素を備え、前記第2液晶パネルは、複数の画素を備え、1つの前記調光用画素の範囲内に複数の前記画素が配置され、前記制御部は、前記第2液晶パネルの動作に関する処理として、ぼかし処理と調光階調値の決定とを行い、前記ぼかし処理では、前記画像信号に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる前記画素の周囲に位置する所定範囲内に配置された他の前記画素に対して、当該画素信号が与えられる前記画素から離れているほど低い階調値が設定され、前記調光階調値は、前記調光用画素の範囲内に配置されている複数の前記画素に対して設定された階調値のうち前記ぼかし処理後に設定された最高の階調値に対応し、前記調光用画素による光の透過の度合いは、前記調光階調値に応じて制御される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1の表示装置の主要構成例を示す図である。
図2図2は、表示パネル、調光パネル、光源装置の位置関係を示す図である。
図3図3は、画像表示パネルの画素配列の一例を示す図である。
図4図4は、画像表示パネルの概略断面構造の一例を示す断面図である。
図5図5は、二重像と画像の欠けの発生原理及び例を示す図である。
図6図6は、最高階調で光を透過させるよう制御される画素と光軸を共有する調光用画素からの距離と、ぼかし処理によって光を透過するよう制御される度合いと、の関係の一例を示すグラフである。
図7図7は、表示装置に対する入力信号による表示出力内容の一例を示す図である。
図8図8は、図7に示す表示出力内容に基づいてぼかし処理が適用された調光パネルによる光の透過範囲を示す図である。
図9図9は、信号処理部の機能的構成及び信号処理部の入出力を示すブロック図である。
図10図10は、実施形態1の信号処理部による最高値取得処理、ぼかし処理、低解像度処理の流れの一例としての実施例を示す模式図である。
図11図11は、調光階調値決定部の入出力の対応関係を示すグラフである。
図12図12は、参考例による最高値取得処理、低解像度処理、ぼかし処理の流れを示す模式図である。
図13図13は、実施形態2の信号処理部の機能的構成及び信号処理部の入出力を示すブロック図である。
図14図14は、入力信号の画素信号に応じて、一方向に並ぶ複数の画素が出力で生じさせるべき輝度の高低パターンの一例を示すグラフである。
図15図15は、図14に示すグラフの入力信号が入力されたことに応じて制御された調光パネルが透過させる光の輝度の高低パターンの一例を示すグラフである。
図16図16は、階調値決定部による処理が行われた場合の出力画像信号による画素の光の透過率制御の一例を示すグラフである。
図17図17は、斜め視点から見た場合に生じる意図しない輝度の上昇の例を示すグラフである。
図18図18は、図14に示す入力信号に応じた実施形態2による表示出力を正面視した場合の見かけの輝度を示すグラフである。
図19図19は、図17に対応する斜め視点で実施形態2による表示出力を視認した場合の見かけの輝度を示すグラフである。
図20図20は、第1副画素、第2副画素、第3副画素のうち第2副画素のみ光を透過させるように制御される場合を示す模式図である。
図21図21は、実施形態3の信号処理部の機能的構成及び信号処理部の入出力を示すブロック図である。
図22図22は、調光階調値取得部の入出力の対応関係の一例を示すグラフである。
図23図23は、実施形態3の階調値決定部が算出する階調値と、調光用画素の調光階調値のもとになった候補階調値の色と、の対応関係の一例を示すグラフである。
図24図24は、図23に示すグラフのうち、入力及び出力の階調値0から256の範囲内における入出力の対応関係を拡大して示す図である。
図25図25は、赤色の階調値の高低と、再現色と正しい色との誤差と、の関係を示すグラフである。
図26図26は、緑色の階調値の高低と、再現色と正しい色との誤差と、の関係を示すグラフである。
図27図27は、青色の階調値の高低と、再現色と正しい色との誤差と、の関係を示すグラフである。
図28図28は、調光階調値取得部の入出力の対応関係の他の一例を示すグラフである。
図29図29は、実施形態3の階調値決定部が算出する階調値と、調光用画素の調光階調値のもとになった候補階調値の色と、の対応関係の他の一例を示すグラフである。
図30図30は、実施形態4の信号処理部の機能的構成及び信号処理部の入出力を示すブロック図である。
図31図31は、補正部のより詳細な機能的構成を示す図である。
図32図32は、信号処理部の機能的構成及び信号処理部の入出力を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の表示装置1の主要構成例を示す図である。実施形態1の表示装置1は、信号処理部10、表示部20、光源装置50、光源制御回路60及び調光部70を備える。信号処理部10は、外部の制御装置2から入力される入力信号IPに基づいた各種の出力を行い、表示部20、光源装置50及び調光部70の動作を制御する。入力信号IPは、表示装置1に画像を表示出力させるためのデータとして機能する信号であり、例えばRGB画像信号である。入力信号IPは、表示パネル30の解像度に対応する。すなわち、入力信号IPは、後述する表示パネル30の画素48の数ならびにX方向及びY方向の配置に対応した画素信号を含む。信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成された出力画像信号OPを表示部20に出力する。また、信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成された調光用信号DIを調光部70に出力する。また、信号処理部10は、入力信号IPが入力されると、光源装置50の点灯を制御するための光源駆動信号BLを光源制御回路60に出力する。光源制御回路60は、例えば光源装置50のドライバ回路であり、光源駆動信号BLに応じて光源装置50を動作させる。光源装置50は、発光領域LAから光を発する光源を有する。実施形態1では、光源制御回路60は、フレーム画像の表示タイミングに応じて光源装置50の発光領域LAから一定光量の光が照射されるよう光源装置50を動作させるものとする。
【0010】
表示部20は、表示パネル30及び表示パネル駆動部40を有する。表示パネル30は、複数の画素48が設けられた表示領域OAを有する。複数の画素48は、例えばマトリクス状に配置されている。実施形態1の表示パネル30は、液晶画像表示パネルである。表示パネル駆動部40は、信号出力回路41及び走査回路42を有する。信号出力回路41は、いわゆるソースドライバとして機能する回路であり、出力画像信号OPに応じて複数の画素48を駆動する。走査回路42は、いわゆるゲートドライバとして機能する回路であり、マトリクス状に配置された複数の画素48を所定行(例えば、1行)単位で走査する駆動信号を出力する。画素48は、駆動信号が出力されたタイミングで出力画像信号OPに応じた階調値の出力が行われるよう駆動される。
【0011】
調光部70は、光源装置50から照射されて表示領域OAを経て出力される光量を調節する。調光部70は、調光パネル80及び調光パネル駆動部140を有する。調光パネル80は、光の透過率を変更可能に設けられた調光領域DAを有する。調光領域DAは、平面視点で表示領域OAに重畳する位置に配置されている。調光領域DAは、平面視点で表示領域OA全体をカバーする。発光領域LAは、平面視点で表示領域OA全体及び調光領域DA全体をカバーする。なお、平面視点とは、X-Y平面を正面視する視点である。
【0012】
図2は、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50の位置関係を示す図である。実施形態1では、図2に例示するように、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50が積層されている。具体的には、光源装置50から光が出力される照射面側に調光パネル80が積層されている。また、調光パネル80を挟んで光源装置50の反対側に表示パネル30が積層されている。光源装置50から照射された光は、調光パネル80の調光領域DAで光量を調節されて表示パネル30を照明する。表示パネル30は、光源装置50が位置する背面側から照明されて、その反対側(表示面側)に画像を表示出力する。このように、光源装置50は、表示パネル30の表示領域OAを背面から照明するバックライトとして機能する。また、実施形態1では、調光パネル80は、表示パネル30と光源装置50との間に設けられている。以下、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50が積層される方向をZ方向とする。また、Z方向に直交する2方向をX方向及びY方向とする。X方向とY方向は直交する。複数の画素48は、X方向とY方向に沿ってマトリクス状に並ぶ。具体的には、X方向に並ぶ画素48の数がhであり、Y方向に並ぶ画素48の数がvである。h及びvは、2以上の自然数である。
【0013】
なお、調光パネル80の背面側には第1POL(POLarizer)91が設けられている。調光パネル80の表示面側には第2POL92が設けられている。また、表示パネル30の背面側には第3POL(POLarizer)93が設けられている。表示パネル30の表示面側には第4POL94が設けられている。また、第2POL92と第3POL93との間には、拡散層95が設けられている。第1POL91、第2POL92、第3POL93、第4POL94はそれぞれ、特定の方向の偏光を通過させ、他の方向の偏光を通過させない。第1POL91が通過させる偏光の偏向方向と、第2POL92が通過させる偏光の偏向方向と、は直交する。第2POL92が通過させる偏光の偏向方向と、第3POL93が通過させる偏光の偏向方向と、は同じである。第3POL93が通過させる偏光の偏向方向と、第4POL94が通過させる偏光の偏向方向と、は直交する。拡散層95は、入射する光を拡散して出射させる。なお、第2POL92、第3POの偏光の偏向方向は同じであるため、どちらかを削除する構成でもよい。透過率の向上が期待できる。なお、第2POL92と第3POL93の両方を設けた場合、片方の場合に比してコントラストの向上を図れる。また、第2POL92と第3POL93のどちらかを省略する場合は、拡散層95で拡散された光の偏向方向を第3POL93で限定することによるコントラスト向上の効果を見込める観点から、第2POL92の方を省略する方が望ましい。
【0014】
図3は、表示パネル30の画素配列の一例を示す図である。図3に例示するように、画素48は、例えば、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを有する。第1副画素49Rは、第1原色(例えば、赤色)を表示する。第2副画素49Gは、第2原色(例えば、緑色)を表示する。第3副画素49Bは、第3原色(例えば、青色)を表示する。このように、表示パネル30に行列状に配列された画素48は、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G及び第3の色を表示する第3副画素49Bを含む。第1の色、第2の色及び第3の色は、第1原色、第2原色及び第3原色に限られず、補色など色が異なっていればよい。以下の説明において、第1副画素49R、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素49という。
【0015】
画素48は、第1副画素49R、第2副画素49Gと、第3副画素49Bに加えて、さらに副画素49を有していてもよい。例えば、画素48は、第4の色を表示する第4副画素を有していてもよい。第4副画素は、第4の色(例えば、白色)を表示する。第4副画素は、同じ光源点灯量で照射された場合、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G、第3の色を表示する第3副画素49Bよりも明るいことが好ましい。
【0016】
表示装置1は、より具体的には、透過型のカラー液晶表示装置である。図3に例示するように、表示パネル30は、カラー液晶表示パネルであり、第1副画素49Rと画像観察者との間に第1原色を通過させる第1カラーフィルタが配置され、第2副画素49Gと画像観察者との間に第2原色を通過させる第2カラーフィルタが配置され、第3副画素49Bと画像観察者との間に第3原色を通過させる第3カラーフィルタが配置されている。第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ及び第3カラーフィルタは、後述するフィルタ膜26に含まれる構成である。
【0017】
なお、第4副画素が設けられる場合、第4副画素と画像観察者との間にカラーフィルタが配置されていない。この場合には、第4副画素に大きな段差が生じることとなる。このため、第4副画素には、カラーフィルタの代わりに透明な樹脂層が備えられていてもよい。これにより、第4副画素に大きな段差が生じることを抑制することができる。
【0018】
信号出力回路41は、信号線DTLによって表示パネル30と電気的に接続されている。表示パネル駆動部40は、走査回路42によって、表示パネル30における副画素49を選択し、副画素49の動作(光透過率)を制御するためのスイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor))のオン(ON)及びオフ(OFF)を制御する。走査回路42は、走査線SCLによって表示パネル30と電気的に接続されている。
【0019】
実施形態1では、複数の信号線DTLは、X方向に並ぶ。各信号線DTLは、Y方向に延出する。複数の走査線SCLは、Y方向に並ぶ。各走査線SCLは、X方向に延出する。従って、実施形態1では、走査回路42から出力される駆動信号に応じて、走査線SCLを共有するようにX方向に並ぶ複数の画素48を含む画素列(ライン)単位で画素48が駆動される。以下、単にラインと記載した場合、走査線SCLを共有するようにX方向に並ぶ複数の画素48を含む画素列をさす。
【0020】
各走査線SCLの延出方向に沿う方向を水平走査方向とする。また、複数の走査線SCLの並び方向を垂直走査方向と記載する。実施形態1では、X方向が水平走査方向に該当し、Y方向が垂直走査方向に該当する。
【0021】
図4は、表示パネル30の概略断面構造の一例を示す断面図である。アレイ基板30aは、ガラス基板等の画素基板21の上方に設けられたフィルタ膜26と、フィルタ膜26の上方に設けられた対向電極23と、対向電極23の上に接して設けられた絶縁膜24と、絶縁膜24の上の画素電極22と、アレイ基板30aの最上面側に設けられた第1配向膜28とを有する。対向基板30bは、ガラス基板等の対向画素基板31と、対向画素基板31の下面に設けられた第2配向膜38と、上面に設けられた偏光板35とを含む。アレイ基板30aと対向基板30bとはシール部29を介して固定されている。アレイ基板30a、対向基板30b、及びシール部29によって囲まれた空間には、液晶層LC1が封止されている。液晶層LC1は、印加される電界に応じて配向方向が変化する液晶分子を含む。液晶層LC1は、電界の状態に応じて液晶層LC1内部を透過する光を変調するものである。液晶層LC1の液晶分子の方向が、画素電極22と対向電極23との間で印加される電界によって変化し、表示パネル30を透過する光の透過量が変化する。複数の副画素49はそれぞれ、画素電極22を有する。複数の副画素49の動作(光透過率)を個別に制御するための複数のスイッチング素子は、画素電極22と電気的に接続されている。
【0022】
調光部70は、調光パネル80と調光パネル駆動部140とを備える。実施形態1の調光パネル80は、フィルタ膜26が省略されることを除いて、図4に示す表示パネル30と同様の構成である。従って、調光パネル80は、カラーフィルタの色によって区別された第1副画素49Rと第2副画素49Gと第3副画素49Bとを含む画素48(図3参照)と異なり、カラーフィルタが設けられていない調光用画素148を備える(図1参照)。
【0023】
調光パネル駆動部140が備える信号出力回路141及び走査回路142は、接続される対象が調光パネル80であることを除いて、表示パネル駆動部40と同様の構成である。図1に示す調光パネル80と調光パネル駆動部140との間の信号線ADTLは、図3を参照して説明した信号線DTLと同様の構成である。図1に示す調光パネル80と調光パネル駆動部140との間の走査線ASCLは、図3を参照して説明した走査線SCLと同様の構成である。ただし、調光パネル80で1つの調光用画素148として制御される範囲の大きさは、平面視点で複数の画素48を含む。実施形態1の説明では、1つの調光用画素148として制御されるX方向の幅が、X方向に並ぶ3つの画素48の幅に対応する。また、1つの調光用画素148として制御されるY方向の幅が、Y方向に並ぶ3つの画素48の幅に対応する。従って、1つの調光用画素148として制御される範囲には、3×3=9の画素48が配置されている。なお、ここで例示した1つの調光用画素148として制御される範囲における画素48の数はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。例えば、1つの調光用画素148として制御される範囲に、2×2=4の画素48が配置されていてもよい。
【0024】
調光パネル80では、1つの調光用画素148として制御される範囲に、1つの画素電極22が設けられていてもよいし、複数の画素電極22が設けられていてもよい。1つの調光用画素148として制御される範囲に複数の画素電極22が設けられている場合、当該複数の画素電極22は同電位となるよう制御される。これによって、当該複数の画素電極22が実質的に1つの画素電極22と同様にふるまうようにすることができる。
【0025】
実施形態1では、表示領域OAにおける複数の画素48の配置と調光領域DAにおける複数の調光用画素148の配置とは同じである。従って、実施形態1では、表示領域OAのX方向に並ぶ画素48の数と、調光領域DAのX方向に並ぶ画素148の数と、は同じである。また、実施形態1では、表示領域OAのY方向に並ぶ画素48の数と、調光領域DAのY方向に並ぶ調光用画素148の数と、は同じである。また、実施形態1では、表示領域OAと調光領域DAとがX-Y平面視点で重なる。また、Z方向は、光源装置50の発光領域LAから照射される光の光軸LLに対応する。従って、複数の画素48のうち1つと、X-Y平面視点で当該画素48と重なる位置にある1つの調光用画素148と、は、光軸LLを共有する。ただし、発光領域LAから照射される光は放射状に拡散するインコヒーレント光である。従って、光軸LLに沿わない方向の光線も調光用画素148及び画素48に進入することがある。
【0026】
光源装置50から発せられた光は、第1POL91を経て調光パネル80に進入する。調光パネル80に進入した光のうち調光用画素148を透過した光は、第2POL92、拡散層95及び第3POL93を経て表示パネル30に進入する。表示パネル30に進入した光のうち画素48を透過した光は、第4POL94を経て出力される。このようにして出力された光に基づいて、表示装置1のユーザは、表示装置1から出力される画像を視認する。
【0027】
仮に、表示装置1の板面(X-Y平面)に対して正面から画像を見る場合に限定して考えるならば、表示パネル30で画像の表示のために光を透過させるよう制御される画素48と光軸LLを共有する調光用画素148が光を透過するよう制御されれば、表示装置1のユーザは、表示装置1が出力する画像を問題なく視認できると考えられる。この場合、表示パネル30で光を透過しないよう制御される画素48と光軸LLを共有する調光用画素148は、光を透過しないよう制御される。一方、表示装置1のユーザは、必ずしも表示装置1の板面(X-Y平面)に対して正面から画像を視認するわけでない。上述の表示装置1の板面(X-Y平面)に対して正面から画像を見る場合と同様の画素48及び調光用画素148の制御が行われた場合、当該板面及びZ方向に交差する角度(斜視的角度)から表示装置1の第4POL94側を視認するユーザは、二重像や画像の欠けを視認することがある。
【0028】
図5は、二重像と画像の欠けの発生原理及び例を示す図である。図5では「パネル模式図」で表示装置1の概略断面図を示している。当該概略断面図では、光を透過するよう液晶の配向が制御された画素48及び調光用画素148を白抜きの矩形で示している。また、当該概略断面図では、光を透過しないよう液晶の配向が制御された複数の画素48の集合を遮光部48Dとしてドットパターンの矩形で示している。また、当該概略断面図では、光を透過しないよう液晶の配向が制御された複数の調光用画素148の集合を遮光部148Dとしてドットパターンの矩形で示している。
【0029】
調光用画素148を透過して調光用画素148と画素48との間の積層構造物(第2POL92、拡散層95、第3POL93)を通って画素48を透過した光は、表示パネル30の出射面側から図示しない第4POL94(図2参照)を通って出射する際に、当該積層構造物と出射面側の空気との屈折率差による屈折を生じる。図5では、当該屈折を、当該積層構造物の屈折率nと当該空気の屈折率nと、の差による表示装置1内での光の進行角度θと表示装置1の出射面外での光の出射角度θとの差によって示している。
【0030】
より具体的には、nsinθ=nsinθが成立する。また、画素48と調光用画素148とのZ方向のインターバルをdとすると、dtanθ=mpである。pは、画素48のX方向の幅である。mは、表示装置1内での光の進行角度θによって生じる調光用画素148側での光の出射点と画素48側での光の入射点とのX方向の位置ずれを画素48の数で換算した場合の画素48の数を示す数値である。なお、nは1.0であり、nは1.0とは異なる値である。なお、dは、厳密には、画素48のZ方向の中間位置と、調光用画素148のZ方向の中間位置と、のインターバルである。画素48のZ方向の中間位置は、表示パネル30のZ方向の中間位置である。調光用画素148のZ方向の中間位置は、調光パネル80のZ方向の中間位置である。
【0031】
「二重像」の「パネル模式図」で示すように、上述の屈折により、遮光部48Dによって光を遮られないと仮定すると、調光用画素148を透過した光L1は光V1として出射することになる。実際には、遮光部48Dによって光を遮られるため、光V1は出射しない。また、調光用画素148を透過した光L2は、光V2として出射する。また、遮光部148Dによって光を遮られないと仮定すると、破線で示した光の進行軸L3を透過する光は、光V3として出射する。
【0032】
ここで、「二重像」の「パネル模式図」の状態である表示装置1の出射面を正面視すると、遮光部48Dを挟んでX方向の両側が点灯しているはずである。すなわち、正面視点から見た非発光(黒)領域は1つである。一方、X-Y平面及びX方向に対して出射角度Θを生じる斜視的角度から表示装置1の出射面を視認した場合、光V2を挟んで、実際には生じない光L1,L3の光軸が存在する。すなわち、光V2を挟んでX方向に並ぶ2つの非発光(黒)領域が生じる。このように、正面視点から見た場合に1つの非発光(黒)領域で形成される像が、斜視的角度では2つの非発光(黒)領域で形成される二重像として視認されることがある。図5では、このような二重像の発生例を、「二重像」の「斜め視点からの視認例」で例示している。
【0033】
また、「画像の欠け」の「パネル模式図」で示すように、遮光部148Dによって光を遮られないと仮定すると、光L4は光V4として出射することになる。実際には、遮光部148Dによって光を遮られるため、光V4は出射しない。また、遮光部148Dによって光を遮られないと仮定すると、光L5は光V5として出射することになる。実際には、遮光部148Dによって光を遮られるため、光V5は出射しない。仮に、遮光部148Dによって光を遮られなかったとしても、遮光部48Dによって光を遮られるため、光V5は出射しない。また、遮光部48Dによって光を遮られないと仮定すると、調光用画素148を透過した光L6は光V6として出射することになる。実際には、遮光部48Dによって光を遮られるため、光V6は出射しない。
【0034】
ここで、「画像の欠け」の「パネル模式図」の状態では、光が透過可能な画素48をX方向に挟むように遮光部48Dが生じていることから、正面視点では、非発光(黒)領域に挟まれた1つの発光領域が視認されるはずである。一方、X-Y平面及びX方向に対して出射角度Θを生じる斜視的角度から表示装置1の出射面を視認した場合、発光領域は視認されない。これは、上述したように、光V4,V5,V6はいずれも出射されないことによる。このように、正面視点から見た場合に1つの発光領域で形成される像が、斜視的角度では視認されないことがある。斜視的角度から表示装置1を視認した場合の画僧の欠けは、このような仕組みで生じる。図5では、このような画像の欠けの発生例を、「画像の欠け」の「斜め視点からの視認例」で例示している。なお、図5で模式的に示す調光用画素148は、画素48との位置の対応関係を分かりやすくする目的でX方向の幅を画素48と同じにしているが、実際には上述のように1つの調光用画素148の範囲内に複数の画素48が含まれる。
【0035】
そこで、実施形態1では、調光パネル80が光を透過させる範囲の制御において、ぼかし処理が適用されている。ぼかし処理とは、入力信号IPを忠実に反映した場合に生じる光の透過範囲に比してより広い範囲で調光パネル80が光を透過させるように調光用画素148を制御する処理をさす。従って、ぼかし処理が適用された調光パネル80で光が透過可能な範囲は、表示パネル30で光が透過可能な範囲よりも広い範囲になる。以下、ぼかし処理について、図6を参照して説明する。
【0036】
図6は、最高階調で光を透過させるよう制御される画素48と光軸LLを共有する調光用画素148からの距離と、ぼかし処理によって光を透過するよう制御される度合いと、の関係の一例を示すグラフである。図6のグラフでは、横軸が当該距離を示し、縦軸が光を透過する度合いを示す。なお、当該距離は、最高階調で光を透過させるよう制御される画素48と光軸LLを共有する調光用画素148が「0」の距離の位置にあるものとする。また、当該「0」の距離の調光用画素148に隣接する調光用画素148が、当該「0」の距離の調光用画素148に対して「1」の距離にあるものとする。また、当該「0」の距離の調光用画素148を基準として、間に介在する調光用画素148の数+1の距離に、他の調光用画素148がX方向又はY方向に並んでいるものとする。また、図6では、光を透過する度合いの階調性が10ビット(1024階調)である例を示しているが、これはあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0037】
図6で例示するように、実施形態1では、ぼかし処理によって、光を透過させるよう制御される画素48と光軸LLを共有する「0」の距離の調光用画素148だけでなく、距離が1から6の範囲内である調光用画素148は、光を透過させるよう制御される。また、「1」の距離の調光用画素148は、「0」の距離の調光用画素148と同等の度合いで光を透過させるよう制御される。また、距離が「2」以上の調光用画素148は、距離がより大きくなるほど光を透過させる度合いが低下するよう制御される。
【0038】
なお、ぼかし処理によって「0」の距離の調光用画素148からどの程度離れた範囲まで光を透過させるようにするかの具体的な設定は任意である。より具体的には、表示装置1に対する斜め視点が成立する角度(Θ)としてどの程度の角度まで許容するか、上述のインターバルdの大きさ等の諸元に基づいてぼかし処理が適用される「0」の距離の調光用画素148からの範囲が設定される。後述するぼかし処理部12による画素48の階調値に基づいた処理における、ある画素48を中心としたぼかし処理の対象になる範囲(所定範囲)についても、同様の考え方で所定範囲が設定される。
【0039】
図7は、表示装置1に対する入力信号IPによる表示出力内容の一例を示す図である。図8は、図7に示す表示出力内容に基づいてぼかし処理が適用された調光パネル80による光の透過範囲を示す図である。図7及び図8では、光が透過するよう制御される範囲を白抜きで示し、光が透過しないよう制御される範囲をドットパターンで示している。図7図8との対比で示すように、ぼかし処理が適用された調光パネル80は、表示出力内容に比してより広い範囲で光が透過するよう調光用画素148が制御される。具体的には、図7に示す表示出力内容で光が透過している範囲の縁取り線をより太くして光が透過する範囲をより外側に広げるように、調光用画素148が光を透過する度合いの制御が行われている。
【0040】
以下、実施形態1で適用されるぼかし処理に関するより詳細な説明を、図9図10及び図11を参照して行う。
【0041】
図9は、信号処理部10の機能的構成及び信号処理部10の入出力を示すブロック図である。信号処理部10は、最高値取得部11と、ぼかし処理部12と、低解像度処理部13と、調光階調値決定部14と、階調値決定部15と、を含む。
【0042】
最高値取得部11は、最高値取得処理を行う。具体的には、最高値取得部11は、入力信号IPによって表示パネル30の各画素48に与えられる画素信号に含まれる赤(R)、緑(G)、青(B)の各々の色の階調値のうち、最高の階調値を画素48毎に特定する。例えば、ある画素48に対して(R,G,B)=(50,30,10)の画素信号が与えられたとすると、当該画素信号における最高の階調値は、50である。最高値取得部11は、このような最高の階調値を特定する処理を、各画素48に対して個別に与えられる画素信号毎に行う。
【0043】
ぼかし処理部12は、ぼかし処理を行う。具体的には、ぼかし処理部12は、最高値取得部11で特定された最高の階調値を、当該最高の階調値を含む画素信号が与えられる画素48による光の透過の度合いとして暫定的に適用する。また、ぼかし処理部12は、当該画素48を中心として周囲に位置する他の画素48による光の透過の度合いが当該画素48から遠ざかるに従って下がるように光の透過の度合いを暫定的に適用する。より具体的な例を挙げると、ぼかし処理部12は、図6のグラフを参照して説明したような、各調光用画素148の「0」の距離の調光用画素148に対する距離と各調光用画素148による光の透過の度合いの制御と同様の考え方で階調値の制御が成立するように、各画素48による光の透過の度合いを暫定的に適用する。以下、暫定階調値と記載した場合、ぼかし処理部12によって暫定的に適用された光の透過の度合いを示す。暫定階調値の階調性(ビット数)は、画素信号における各色の階調性(ビット数)と同一である。
【0044】
図10は、実施形態1の信号処理部10による最高値取得処理、ぼかし処理、低解像度処理の流れの一例としての実施例を示す模式図である。図10では、X-Y平面に沿ってマトリクス状に配置された5×5の調光用画素148のX方向の位置を区別する目的で、X座標(X1,X2,X3,X4,X5)を付している。また、図10では、X-Y平面に沿ってマトリクス状に配置された5×5の調光用画素148のY方向の位置を区別する目的で、Y座標(Y1,Y2,Y3,Y4,Y5)を付している。また、X座標とY座標との組み合わせを示す場合、(Xm,Yn)の形式で記載する。m及びnは、1から5の範囲内の自然数である。例えば、(X3,Y3)の調光用画素148と記載した場合、X座標がX3であって、かつ、Y座標がY3である調光用画素148をさす。
【0045】
また、上述のように、1つの調光用画素148の範囲に3×3の画素48が位置することから、各座標の調光用画素148の範囲における画素48の位置を区別する目的で、「左上」、「中央上」、「右上」、「中央左」、「中央」、「中央右」、「左下」、「中央下」、「右下」の記載を用いる。「中央」が、1つの調光用画素148の中心の位置に重なる画素48の位置を示す記載である。「中央上」が、「中央」の画素48の上側に隣接する画素48の位置を示す記載である。「中央下」が、「中央」の画素48の下側に隣接する画素48の位置を示す記載である。「中央左」が、「中央」の画素48の左側に隣接する画素48の位置を示す記載である。「中央右」が、「中央」の画素48の右側に隣接する画素48の位置を示す記載である。「左上」が、「中央左」の画素48の上側に隣接する画素48の位置を示す記載である。「左下」が、「中央左」の画素48の下側に隣接する画素48の位置を示す記載である。「右上」が、「中央右」の画素48の上側に隣接する画素48の位置を示す記載である。「右下」が、「中央右」の画素48の下側に隣接する画素48の位置を示す記載である。
【0046】
図10に示す「実施例」の「最高値取得処理」では、(X3,Y3)の調光用画素148における「左上」の画素48が光を透過する状態であり、他の調光用画素148が光を透過しない状態であることが、最高の階調値の特定によって判明している例を示している。言い換えれば、図10に示す実施例では、そのような入力信号IPが表示装置1に入力されている。
【0047】
上述した「実施例」の「最高値取得処理」の状態を踏まえ、「実施例」の「ぼかし処理」では、ぼかし処理部12は、(X3,Y3)における「左上」の画素48をぼかし処理の基準(中心)として、当該基準の画素48に対してX方向、Y方向又は斜め方向に隣接する8つの画素48である画素48Aに暫定階調値を適用している。当該8つの画素48は、(X2,Y2)の「右下」、(X3,Y2)の「左下」、「中央下」、(X2,Y3)の「右上」、「中央右」、(X3,Y3)の「中央上」、「中央左」、「中央」に位置する。ここで、当該8つの画素48に適用される暫定階調値を、第1の暫定階調値とする。
【0048】
また、「実施例」の「ぼかし処理」では、ぼかし処理部12は、第1の暫定階調値が適用される8つの画素48の外周側を取り巻くように位置して当該8つの画素48の少なくともいずれか1つに隣接する16の画素48である画素48Bに暫定階調値を適用している。当該16の画素48は、(X2,Y2)の「中央」、「中央右」、「中央下」、(X3,Y2)の「中央左」、「中央」、「中央右」、「右下」、(X2,Y3)の「中央上」、「中央」、「中央下」、「右下」、(X3,Y3)の「右上」、「中央右」、「左下」、「中央下」、「右下」に位置する。ここで、当該16の画素48に適用される暫定階調値を、第2の暫定階調値とする。
【0049】
また、「実施例」の「ぼかし処理」では、ぼかし処理部12は、第2の暫定階調値が適用される16の画素48の外周側を取り巻くように位置して当該16の画素48の少なくともいずれか1つに隣接する24の画素48である画素48Cに暫定階調値を適用している。当該24の画素48は、(X2,Y2)の「左上」、「中央上」、「右上」、「中央左」、「左下」、(X3,Y2)の「左上」、「中央上」、「右上」、(X4,Y2)の「左上」、「中央左」、「左下」、(X2,Y3)の「左上」、「中央左」、「左下」、(X4,Y3)の「左上」、「中央左」、「左下」、(X2,Y4)の「左上」、「中央上」、「右上」、(X3,Y4)の「左上」、「中央上」、「右上」、(X4,Y4)の「左上」に位置する。ここで、当該24の画素48に適用される暫定階調値を、第3の暫定階調値とする。
【0050】
第1の暫定階調値は、第2の暫定階調値及び第3の暫定階調値よりも高階調である。すなわち、第1の暫定階調値による光の透過の度合いは、第2の暫定階調値による光の透過の度合い及び第3の暫定階調値による光の透過の度合いよりも高い。また、第2の暫定階調値は、第3の暫定階調値よりも高階調である。
【0051】
なお、ぼかし処理によって適用される暫定階調値に比して、当該暫定階調値が与えられる画素48に対する画素信号に含まれる最高の階調値による光の透過の度合いのほうがより高い場合、実際の表示出力では当該最高の階調値が優先され、暫定階調値による制御は適用されない。
【0052】
図9に示す低解像度処理部13は、低解像度処理を行う。具体的には、低解像度処理部13は、ぼかし処理部12によるぼかし処理後のデータを、調光用画素148の数及び配置に対応したデータに変換する。ここで、ぼかし処理部12によるぼかし処理後のデータとは、入力信号IPに基づいた画素48の数及び配置に対応したデータであって、最高値取得部11による最高値取得処理で特定された各画素48の最高の階調値又はぼかし処理部12によるぼかし処理で適用された暫定階調値のうちいずれか高い方が各画素48に反映されたデータである。
【0053】
より具体的には、低解像度処理部13は、ぼかし処理部12によるぼかし処理後のデータにおいて1つの調光用画素148と平面視点で重なる領域に含まれる複数(例えば、3×3)の画素48の各々に設定された階調値(最高の階調値又は暫定階調値)のうち、最高のものを当該1つの調光用画素148の階調値として採用する。低解像度処理部13は、このような階調値の採用を、調光パネル80が備える複数の調光用画素148で個別に行う。
【0054】
図10に示す実施例では、「実施例」の「ぼかし処理」で設定された各調光用画素148内にある3×3の画素48に設定された階調値(最高の階調値又は暫定階調値)のうち、最高のものと同様の階調値に対応するパターンが「実施例」の「低解像度処理」の結果として示されている。
【0055】
例えば、(X3,Y3)では、ぼかし処理の基準(中心)とされた「左上」の画素48の階調値が最も高いものであることから、「実施例」の「ぼかし処理」の画像における当該画素48と同じパターン(白抜き)が「実施例」の「低解像度処理」に反映されている。
【0056】
なお、「実施例」の「低解像度処理」では、当該「左上」の画素48の位置を示すも空的で、「最高値取得処理」における(X3,Y3)の「左上」の画素48と同じパターンが「低解像度処理」における(X3,Y3)の「左上」の位置に示されている。これは目印的なものであって「低解像度処理」において調光用画素148内の左上が他の場所と異なる制御になることを示すものでない。実際には、「低解像度処理」後の調光用画素148内は1つの階調度に対応して均一的に制御される。
【0057】
また、(X2,Y2)、(X3,Y2)、(X2,Y3)では、第1の暫定階調値が最も高いものであることから、「実施例」の「ぼかし処理」の画像における当該画素48と同じパターン(相対的に薄いドットパターン)が「実施例」の「低解像度処理」に反映されている。
【0058】
また、(X4,Y2)、(X4,Y3)、(X2,Y4)、(X3,Y4)、(X3,Y4)では、第3の暫定階調値が最も高いものであることから、「実施例」の「ぼかし処理」の画像における当該画素48と同じパターン(相対的に濃いドットパターン)が「実施例」の「低解像度処理」に反映されている。
【0059】
図9に示す調光階調値決定部14は、低解像度処理部13によって各調光用画素148の階調値として採用された値に基づいて、各調光用画素148の調光階調値を導出する。具体的には、調光階調値決定部14は、予め用意されたLUT(Look Up Table)を参照し、調光用画素148の階調値として採用された値に対応する調光階調値を導出して当該調光用画素148の調光階調値とする処理を、調光パネル80が備える複数の調光用画素148で個別に行う。調光階調値決定部14によって導出された各調光用画素148の調光階調値を示す信号は、調光用信号DIとして信号出力回路141に出力される。信号出力回路141は、調光階調値に対応した光の透過の度合いで各調光用画素148が光を透過させるように各調光用画素148に対する出力を制御する。
【0060】
図11は、調光階調値決定部14の入出力の対応関係を示すグラフである。ここでいう入出力における入力とは、低解像度処理部13による低解像度処理によってある1つの調光用画素148の階調値として採用された値をさす。また、出力とは、LUTを参照して当該入力に基づいて調光階調値決定部14が導出した調光階調値をさす。言い換えれば、当該入出力に対応したLUTが予め調光階調値決定部14から参照可能な状態で信号処理部10に記録されている。なお、図11ならびに後述する図22図23図24図28及び図29では、入力及び出力の値が10ビットの値で管理されている場合を例示しているが、入力及び出力の値を管理するためのビット数はこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0061】
図11に示すように、調光階調値決定部14の入出力の対応関係において、出力が入力以上となるようにLUTが設定されている。特に、入力の値が256を超えると、出力の値は最大値又は最大値に極めて近い値になる。また、入力の値が600を超えると、出力の値は入力の値の大小に関わらず最大値になる。
【0062】
図9に示す階調値決定部15は、入力信号IPに含まれる画素信号が示す階調値と、当該画素信号が与えられる画素48と光軸LLを共有する調光用画素148の調光階調値と、に基づいて、当該画素48が有する副画素(例えば、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49B)の階調値を決定する。
【0063】
具体例として、入力信号IPに含まれる画素信号が示すRGBの階調値を(R,G,B)=(Rin,Gin,Bin)とし、当該画素信号が与えられる画素48と光軸LLを共有する調光用画素148の調光階調値をWoutとする。実施形態では、階調値決定部15は、Rin,Gin,Binと、MAXと、所定の補正係数(例えば、^2.2)に基づいて、以下の式(1),(2),(3)に示すように、Rin´,Gin´,Bin´を算出する。なお、MAXは、調光用画素148の調光階調値を表すビット数の最大値をさす。例えば、調光用画素148の調光階調値が10ビットである場合、MAXは1023である。また、「^n」の記載は、入力(右辺)と出力(左辺)との関係が1:nのガンマカーブに従った変換であることを示す。また、階調値決定部15は、Woutと、MAXと、当該補正係数と、に基づいて、以下の式(4)に示すように、Wout´を算出する。また、階調値決定部15は、当該画素48が有する第1副画素49Rの階調値(Rout)を以下の式(5),(8)によって算出する。また、階調値決定部15は、当該画素48が有する第2副画素49Gの階調値(Gout)を以下の式(6),(9)によって算出する。また、階調値決定部15は、当該画素48が有する第3副画素49Bの階調値(Bout)を以下の式(7),(10)によって算出する。階調値決定部15は、算出された(R,G,B)=(Rout,Gout,Bout)を、当該画素48のRGB階調値とする。階調値決定部15は、このようにRGB階調値を決定する処理を、表示パネル30が備える複数の画素48で個別に行う。
Rin´=(Rin/MAX)^2.2…(1)
Gin´=(Gin/MAX)^2.2…(2)
Bin´=(Bin/MAX)^2.2…(3)
Wout´=(Wout/MAX)^2.2…(4)
Rout´=Rin´/Wout´…(5)
Gout´=Gin´/Wout´…(6)
Bout´=Bin´/Wout´…(7)
Rout=MAX×Rout´^(1/2.2)…(8)
Gout=MAX×Gout´^(1/2.2)…(9)
Bout=MAX×Bout´^(1/2.2)…(10)
【0064】
階調値決定部15によって決定された各画素48のRGB階調値を示す信号は、出力画像信号OPとして信号出力回路41に出力される。信号出力回路41は、RGB階調値に対応した光の透過の度合いで各画素48が光を透過させるように各画素48が有する第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bに対する出力を制御する。
【0065】
なお、図10を参照した説明では、「ぼかし処理」が適用される所定範囲が、(X3,Y3)における「左上」の画素48をぼかし処理の基準(中心)として、当該中心からX方向に画素483つ分、Y方向に画素483つ分になっているが、これはあくまで一例である。当該所定範囲に含まれる画素48の数及びぼかし処理の基準からの距離は適宜変更可能である。
【0066】
以上のように、実施形態1では、低解像度処理部13による低解像度処理の前にぼかし処理部12によるぼかし処理が行われる。仮に、低解像度処理がぼかし処理の前に行われる場合、調光階調値が望ましくない値になることがある。以下、低解像度処理がぼかし処理の前に行われる参考例について、図12を参照して説明する。
【0067】
図12は、参考例による最高値取得処理、低解像度処理、ぼかし処理の流れを示す模式図である。なお、図12に示す最高値取得処理の結果については、図10を参照して説明した実施例と同様である。
【0068】
参考例では、最高値取得処理後にぼかし処理を行う前に低解像度処理が行われる。このため、図12に示す「参考例」の「低解像度処理」で示すように、「最高値取得処理」で唯一光を透過する(X3,Y3)の「左上」の画素48の階調値に対応した調光階調値が「低解像度処理」で(X3,Y3)の調光用画素148に反映される、また、図12に示す「参考例」の「低解像度処理」で示すように、(X3,Y3)以外の座標の調光用画素148の調光階調値は最低(ドットパターン)の状態となる。このような結果の低解像度処理後にぼかし処理が行われると、図12に示す「参考例」の「ぼかし処理」で示すように、(X3,Y3)に隣接する調光用画素148の調光階調値が均一的に高められる。このように、実施例と参考例では、「最高値取得処理」の結果が同じであっても、「ぼかし処理」と「低解像度処理」とを行った結果が異なるものになる。ここで、参考例では、仮に、「最高値取得処理」において(X3,Y3)内のどの位置の画素48が光を透過する状態であったとしても、「低解像度処理」及び「ぼかし処理」の結果が同じになる。すなわち、参考例では、「ぼかし処理」の前に「低解像度処理」が行われているために、調光階調値の設定に光を透過する画素48の位置を厳密に反映することが困難になっている。
【0069】
一方、実施形態1では、「低解像度処理」の前に「ぼかし処理」が行われる。従って、図10を参照して説明したように、光を透過する画素48の位置がより反映された調光階調値を導出できる。例えば、(X3,Y3)の「中央」の画素48が唯一光を透過する状態であった場合、実施形態1でも、図12に示す「参考例」の「ぼかし処理」後の調光階調値と同様の結果になる。これは、(X3,Y3)の「中央」の画素48が唯一光を透過する状態であることをより適切に反映したものであるといえる。
【0070】
なお、図32に示す信号処理部10Dの様に最高値取得処理とぼかし処理の実施順序は図9に示す信号処理部10と逆でもよい。最高値取得処理及びぼかし処理が低解像度処理前に行われれば、実施例と同様の効果を奏することができる。
【0071】
(実施形態2)
以下、実施形態1と一部の処理が異なる実施形態2について、図13を参照して説明する。実施形態2の説明では、実施形態1と同様の事項について同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0072】
図13は、実施形態2の信号処理部10Aの機能的構成及び信号処理部10Aの入出力を示すブロック図である。実施形態2では、実施形態1における信号処理部10に代えて、図13に示す信号処理部10Aが採用される。
【0073】
信号処理部10Aでは、ぼかし処理部12によるぼかし処理が最高値取得部11による最高値取得処理よりも前に行われる。すなわち、実施形態2では、調光階調値決定部14による調光階調値の決定の前に行われる処理が、ぼかし処理、最高値取得処理、低解像度取得処理の順で行われる。具体的には、信号処理部10Aでは、ぼかし処理部12が入力信号IPの画素信号に含まれる赤(R)、緑(G)、青(B)の階調値の各々に基づいたぼかし処理を行う。これによって、当該画素信号が与えられる画素48の周囲の画素48が有する副画素に、当該画素信号が与えられる画素48からの距離に応じた階調値が与えられる。このぼかし処理は、副画素の色毎に個別に行われる。また、信号処理部10Aでは、当該ぼかし処理の後に各画素48に設定されている赤(R)、緑(G)、青(B)の階調値のうち、最高の階調値を特定する最高値特定処理が最高値取得部11によって行われる。その後に信号処理部10Aで行われる低解像度処理では、平面視点で1つの調光用画素148内に位置する複数の画素48に対して当該最高値特定処理で個別に特定された各画素48の最高の階調値のうち、最も高いものを当該1つの調光用画素148の階調値として採用する処理を、低解像度処理部13が複数の調光用画素148に対して個別に行う。なお、調光階調値決定部14による処理は、実施形態1と実施形態2で共通である。
【0074】
また、信号処理部10Aでは、階調値決定部15が省略されている。すなわち、実施形態2では、入力信号IPの画素信号がそのまま出力画像信号OPの画素信号として信号出力回路41に与えられる。これによって、意図しない輝度の上昇が生じる領域が表示装置1に対して斜め視点で画像を視認するユーザによって視認される事象が発生する可能性をより低減できる。以下、当該事象に関する説明を、図14から図19を参照して行う。
【0075】
図14は、入力信号IPの画素信号に応じて、一方向に並ぶ複数の画素48が出力で生じさせるべき輝度の高低パターンの一例を示すグラフである。言い換えれば、図14を参照した説明では、図14に示す輝度の高低パターンに対応した入力信号IPが入力されることで、表示装置1が当該入力信号IPに応じた動作を行う。なお、当該一方向は、X方向又はY方向である。
【0076】
図14に示すグラフは、一方向に並ぶ19の画素48のうち、当該一方向の中央の3つの画素48の輝度が有意に高くなり、他の画素48の輝度が実質的に0に等しい値となるよう表示装置1を制御するための入力信号IPが表示装置1に入力されることを示している。
【0077】
図15は、図14に示すグラフの入力信号IPが入力されたことに応じて制御された調光パネル80が透過させる光の輝度の高低パターンの一例を示すグラフである。図6から図8を参照して説明したぼかし処理のため、調光パネル80が光を透過させる範囲は、表示パネル30に比して広くなる。図15に示す例では、一方向に並ぶ複数の画素48の範囲のうち11の画素48に対応する範囲が最高輝度(1)の光を出力できるように光を透過させている。当該11の画素48に対応する範囲は、図14に示すグラフにおいて輝度が有意に高い3つの画素48を中心とした範囲である。なお、図14を参照して説明した一方向に並ぶ19の画素48のうち、当該11の画素48に対応する範囲から最も遠い範囲BB1では、相対的な輝度が最低になるように調光用画素148が制御されている。また、範囲BB1と当該11の画素48に対応する範囲との間の範囲BB2では、範囲BB1から当該11の画素48に対応する範囲に近づくほど輝度が上昇するように調光用画素148が制御されている。なお、図15のグラフで模式的に示す調光用画素148の数は、画素48との対応関係を分かりやすくする目的で画素48と同じにしているが、実際には上述のように1つの調光用画素148の範囲内に複数の画素48が含まれる。
【0078】
図16は、階調値決定部15による処理が行われた場合の出力画像信号OPによる画素48の光の透過率制御の一例を示すグラフである。図14に示す範囲IP1と範囲IP2とは、表示出力において同じ輝度として視認されるように制御されることが望ましい。一方、範囲IP1は、図15に示す範囲BB1と光軸LLを共有する。また、範囲IP2は、図15に示す範囲BB2と光軸LLを共有する。範囲BB1の輝度と範囲BB2の輝度とは異なる。このため、実施形態1では、階調値決定部15が表示パネル30の画素48による光の透過の度合いを範囲IP1と範囲IP2とで異ならせることで、範囲IP1と範囲IP2とを表示出力において実質的に同じ輝度で視認されるようにすることができる。ここで、「範囲IP1と範囲IP2とが表示出力において実質的に同じ輝度で視認される」のは、表示装置1の表示出力面を正面視した場合である。
【0079】
具体的には、階調値決定部15は、図16に示すように、範囲FB1に含まれる画素48の光の透過率を、範囲FB2に含まれる画素48の光の透過率よりも高くする。範囲FB1に含まれる画素48は、図14に示す範囲IP1に含まれる画素48と同一である。範囲FB2に含まれる画素48は、図14に示す範囲IP2に含まれる画素48と同一である。
【0080】
ここで、図16に示す範囲FB1に含まれる画素48による光の透過率と図15に示す範囲BB1の輝度と、の組み合わせによる見かけの輝度を第1輝度とする。また、図16に示す範囲FB2に含まれる画素48による光の透過率と図15に示す範囲BB2の輝度と、の組み合わせによる見かけの輝度を第2輝度とする。第1輝度と第2輝度は、実質的に同じ輝度として視認される。ただし、この第1輝度と第2輝度との関係が良好に成立するのは、表示装置1の表示出力面を正面視した場合である。
【0081】
図17は、斜め視点から見た場合に生じる意図しない輝度の上昇の例を示すグラフである。ユーザからの視線が、表示パネル30における範囲FB1と調光パネル80における範囲BB2とを通る視線になるような斜め視点となった場合を想定する。この斜め視点では、図16に示す範囲FB1に含まれる画素48による光の透過率と図15に示す範囲BB2の輝度と、の組み合わせによる見かけの輝度が視認される。この見かけの輝度を第3輝度とすると、第3輝度は、上述の第1輝度及び第2輝度よりも高い。このため、図17で示すように、局所的に輝度が上がって見える範囲ER1が意図せず生じることになる。
【0082】
図17を参照して説明したような意図しない輝度の上昇が生じる可能性を考慮し、実施形態2では、階調値決定部15による処理を省略している。すなわち、図14を参照して説明した入力信号IPが入力された場合、実施形態2の出力画像信号OPは、当該入力信号IPと同じになる。
【0083】
図18は、図14に示す入力信号IPに応じた実施形態2による表示出力を正面視した場合の見かけの輝度を示すグラフである。実施形態2では、階調値決定部15による処理が省略されているため、図16を参照して説明した範囲FB1と範囲FB2との差のような表示パネル30の制御が発生しない。このため、実施形態2における見かけの輝度では、図15を参照して説明した範囲BB1の輝度と範囲BB2の輝度との差がわずかながら現れる。しかしながら、範囲BB1の輝度と範囲BB2の輝度との差は歴然としたものでなく、画質を損なう程のものでない。
【0084】
図19は、図17に対応する斜め視点で実施形態2による表示出力を視認した場合の見かけの輝度を示すグラフである。図19に示すように、実施形態2では、図17を参照して説明した範囲ER1のような意図しない輝度の局所的な高まりが発生していない。このように、実施形態2では、意図しない輝度の上昇が生じる領域が表示装置1に対して斜め視点で画像を視認するユーザによって視認される事象が発生する可能性をより低減できる。以上、特筆した事項を除いて、実施形態2は、実施形態1と同様である。
【0085】
(実施形態3)
以下、実施形態1及び実施形態2と一部の処理が異なる実施形態3について説明する。実施形態3の説明では、実施形態1及び実施形態2の少なくとも一方と同様の事項について同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0086】
まず、実施形態3の技術的特徴の前提として、液晶ディスプレイにおける色再現の限界について、図20を参照して説明する。
【0087】
図20は、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bのうち第2副画素49Gのみ光を透過させるように制御される場合を示す模式図である。表示装置1のような液晶ディスプレイでは、表示パネル30は、表示出力面の反対側から照射される光源装置50の光を透過させて画像を再現する。さらに、表示装置1では、表示パネル30と光源装置50との間に介在する調光パネル80が表示パネル30の画素48に照射される光の輝度を調節している。
【0088】
仮に調光パネル80がない場合、光源装置50から表示パネル30に照射される光は複数の画素48にたいしてほぼ同等である。表示装置1のように調光パネル80があっても、光源装置50から表示パネル30に照射される光が調節される最小単位は各調光用画素148の領域単位である。従って、1つの画素48が備える第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bの各々に対して照射される光が個別に制御されるようにはなっていない。
【0089】
ここで、図20に示すように、1つの第2副画素49Gのみが光を透過するよう制御され、第1副画素49R、第3副画素49Bのような他の副画素が光を透過しないよう制御される場合を想定する。光源装置50から照射される光を100%の光とし、調光パネル80の調光用画素148によって制御される光の透過の度合いをα%とする。そして、1つの第2副画素49Gが光の透過の度合いをβ%とするよう制御された場合、当該1つの第2副画素49Gの位置でユーザが視認する光は、α×β%になる。なお、当該1つの第2副画素49Gに隣り合う第1副画素49R及び第2副画素49Gは、光を透過しない度合いを最高とするように制御される。しかしながら、そのように制御された第1副画素49R及び第2副画素49Gであっても、光の透過の度合いは0%にならない。図20では、そのように制御された第1副画素49R及び第2副画素49Gによる光の透過の度合いをmin%としている。従って、第1副画素49R及び第2副画素49Gの位置でユーザが視認する光は、α×min%になる。
【0090】
ここで、第2副画素49Gの位置でユーザが視認するα×β%の光の輝度が高い程、相対的にα×min%の光が出射する第1副画素49R及び第3副画素49Bが視認しづらくなる。このため、第2副画素49Gがより高輝度となるよう制御される程、画素48単位でみた場合の再現色は正しい色により近くなる。ここで言う「正しい色」とは、入力信号IPの画素信号が示すRGB階調値のR:G:B比に忠実に対応した色をさす。
【0091】
逆に言えば、第2副画素49Gの位置でユーザが視認するα×β%の光の輝度が低い程、相対的にα×min%の光が出射する第1副画素49R及び第3副画素49Bがもたらす相対的な影響が大きくなる。従って、液晶ディスプレイは、再現色と正しい色との誤差が低輝度になるほど大きくなる傾向を示す。
【0092】
図20では、第2副画素49Gのみが光を透過する場合を例としているが、第1副画素49Rのみ又は第3副画素49Bのみが光を透過する場合であっても、やはり、他の色の副画素を透過する光を0%にすることはできないことから、同様に再現色と正しい色との誤差が生じる。
【0093】
上述した液晶ディスプレイの傾向を考慮し、実施形態3では、再現色と正しい色との誤差をより低減するための制御がさらに組み込まれている。
【0094】
図21は、実施形態3の信号処理部10Bの機能的構成及び信号処理部10Bの入出力を示すブロック図である。実施形態3では、実施形態1における信号処理部10に代えて、図21に示す信号処理部10Bが採用される。
【0095】
信号処理部10Bは、ぼかし処理部12と、白色成分抽出部16と、調光階調値取得部17と、最高値選択部18と、低解像度処理部19と、階調値決定部15と、を備える。なお、信号処理部10Bが備えるぼかし処理部12は、実施形態2の信号処理部10Aが備えるぼかし処理部12と同様の処理を行う。
【0096】
白色成分抽出部16は、ぼかし処理部12によるぼかし処理後に各画素48に設定されているRGB階調値のうち、白色成分として扱える階調値を抽出する処理を、表示パネル30が備える複数の画素48で個別に行う。具体的には、白色成分抽出部16は、当該RGB階調値(R,G,B)=(Ra,Ga,Ba)に含まれる赤(R)の階調値(Ra)、緑(G)の階調値(Ga)及び青(B)の階調値(Ba)のうち、最低の階調値(Wa)を特定する。そして、白色成分抽出部16は、当該RGB階調値のうち(R,G,B)=(Wa,Wa,Wa)を白色成分として扱える階調値とする。
【0097】
調光階調値取得部17は、白色成分抽出部16が導出した白色成分として扱える階調値と、当該白色成分が導出されたRGB階調値に含まれる各色の階調値と、からそれぞれの色に対応した調光階調値を取得する。すなわち、調光階調値取得部17は、白色成分抽出部16の処理結果に基づいて、白色の調光階調値と、赤色の調光階調値と、緑色の調光階調値と、青色の調光階調値と、を取得する処理を、表示パネル30が備える複数の画素48で個別に行う。
【0098】
具体的には、調光階調値取得部17は、白色成分抽出部16が導出した白色成分として扱える階調値と、当該白色成分が導出されたRGB階調値に含まれる各色の階調値と、を入力として、予め用意されたLUTを参照し、当該入力に対応する調光階調値を色毎に取得して出力する。言い換えれば、当該入出力に対応したLUTが予め調光階調値取得部17から参照可能な状態で信号処理部10に記録されている。
【0099】
図22は、調光階調値取得部17の入出力の対応関係の一例を示すグラフである。調光階調値取得部17は、図22のグラフWC1が示す入出力の対応関係に従い、白色成分抽出部16が導出した白色成分として扱える階調値(Wa)から白色の調光階調値を取得する。調光階調値取得部17は、図22のグラフRC1が示す入出力の対応関係に従い、当該白色成分が導出されたRGB階調値に含まれる赤色の階調値(Ra)から赤色の調光階調値を取得する。調光階調値取得部17は、図22のグラフGC1が示す入出力の対応関係に従い、当該RGB階調値に含まれる緑色の階調値(Ga)から緑色の調光階調値を取得する。調光階調値取得部17は、図22のグラフBC1が示す入出力の対応関係に従い、当該RGB階調値に含まれる青色の階調値(Ba)から青色の調光階調値を取得する。このように、調光階調値取得部17による処理で参照されるLUTは、白色、赤色、緑色、青色でそれぞれ異なる入出力の対応関係を示す。当該LUTは、入力の階調値が同じである場合により高い調光階調値が取得されやすい色の順に、白色、緑色、赤色、青色の順となっている。
【0100】
図21に示す最高値選択部18は、調光階調値取得部17が取得した白色の調光階調値、赤色の調光階調値、緑色の調光階調値及び青色の調光階調値のうち、最も高い調光階調値を特定する処理を表示パネル30が備える複数の画素48で個別に行う。以降、最高値選択部18によって各画素48で特定された最も高い調光階調値を、各画素48の候補階調値とする。
【0101】
低解像度処理部19は、1つの調光用画素148と平面視点で重なる領域に含まれる複数(例えば、3×3)の画素48の各々の候補階調値のうち最も高い階調値を当該1つの調光用画素148の調光階調値として採用する。低解像度処理部19は、このような階調値の採用を、調光パネル80が備える複数の調光用画素148で個別に行う。
【0102】
信号処理部10Bが備える階調値決定部15は、実施形態1の信号処理部10が備える階調値決定部15と同様の処理を行う。ここで、実施形態3の階調値決定部15が上述の式(1)から式(10)のように第1副画素49Rの階調値(Rout)、第2副画素49Gの階調値(Gout)及び第3副画素49Bの階調値(Bout)を算出することと、上述の候補階調値が白色の調光階調値、赤色の調光階調値、緑色の調光階調値及び青色の調光階調値のいずれかであることと、によって生じる効果について、図23及び図24を参照して説明する。具体的には、当該候補階調値の低階調側の階調が、階調値の最大値に比して相対的に小さいことから、表示パネル30で係る低階調の画素信号に対応した出力が行われる場合にその背景側で調光パネル80を通過する光の輝度が低下していることを考慮した処理が行われる。より具体的には、当該光の輝度の低下分を補うように、係る低階調の画素信号に含まれる階調値を上げる処理が行われる。
【0103】
図23は、実施形態3の階調値決定部15が算出する階調値と、調光用画素148の調光階調値のもとになった候補階調値の色と、の対応関係の一例を示すグラフである。図24は、図23に示すグラフのうち、入力及び出力の階調値0から256の範囲内における入出力の対応関係を拡大して示す図である。以下、階調値決定部15の算出結果と記載した場合、実施形態3の階調値決定部15が上述の式(1)から式(10)のように算出した第1副画素49Rの階調値(Rout)、第2副画素49Gの階調値(Gout)及び第3副画素49Bの階調値(Bout)をさす。
【0104】
調光階調値取得部17が白色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)とした場合の階調値決定部15の算出結果を、図23及び図24に示すグラフWC2のように、階調値決定部15の入出力の関係が1:1であるものとする。ここで、図22を参照して説明したように、調光階調値取得部17による処理で参照されるLUTは、白色、赤色、緑色、青色でそれぞれ異なる入出力の対応関係を示す。当該LUTは、入力の階調値が同じである場合により高い調光階調値が取得されやすい色の順に、白色、緑色、赤色、青色の順となっている。特に、図22に示すように、調光階調値取得部17の入力が10ビットの値で256以下である範囲、すなわち、調光階調値取得部17の入力が10ビットの値全体において相対的に低階調値である範囲では、白色の出力が他の色(赤色、緑色、青色)の出力に比してより高い出力となる傾向がより顕著になっている。言い換えれば、調光階調値取得部17が白色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、上述の式(1)から式(10)による階調値における除算数値(Wout´=(Wout/MAX)^2.2)は、他の色の調光階調値を候補階調値とした場合に比して、1に近い値になりやすい。従って、調光階調値取得部17が白色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、他の色の調光階調値を候補階調値としたときに比して、式(1)から式(10)における算出前後の値(RinとRout、GinとGout、BinとBout)が近い値になりやすい。
【0105】
また、当該LUTが、入力の階調値が同じである場合により高い調光階調値が取得されやすい色の順に、白色、緑色、赤色、青色の順となっていることから、当該除算数値(Wout/MAX)は、調光階調値取得部17が青色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、他の色の調光階調値を候補階調値としたときに比して、1に近い値になりにくい。同様の考え方で、当該除算数値Wout´は、調光階調値取得部17が緑色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、白色の調光階調値を候補階調値としたときに比して、1に近い値になりにくい。また、当該除算数値Wout´は、調光階調値取得部17が赤色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、白色又は緑色の調光階調値を候補階調値としたときに比して、1に近い値になりにくい。
【0106】
ここで、式(1)から式(10)における算出前後の値(RinとRout、GinとGout、BinとBout)の差がより大きい場合を、階調値の突き上げがより大きいと表現する。上述の候補階調値と色との関係から、図23におけるグラフBC2とグラフWC2との差で示すように、調光階調値取得部17が青色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、調光階調値取得部17が他の色の調光階調値を候補階調値としたときに比して、階調値決定部15の算出結果が示す階調値の突き上げはより大きくなりやすい。特に、図24におけるグラフBC2とグラフWC2との差で示すように、階調値決定部15に入力される入力信号IPの画素信号が示すRGB階調値が10ビットの値全体において相対的に低階調値である範囲では、より顕著になっている。これは、図22で示すように、調光階調値取得部17の入力が10ビットの値全体において相対的に低階調値である範囲では、青色の出力と他の色(特に、白色)の出力との差がより顕著だからである。
【0107】
同様の考え方で、上述の候補階調値と色との関係から、図23におけるグラフRC2とグラフWC2との差で示すように、調光階調値取得部17が赤色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、調光階調値取得部17が白色又は緑色の調光階調値を候補階調値としたときに比して、階調値決定部15の算出結果が示す階調値の突き上げはより大きくなりやすい。また、上述の候補階調値と色との関係から、図23におけるグラフGC2とグラフWC2との差で示すように、調光階調値取得部17が緑色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、調光階調値取得部17が白色の調光階調値を候補階調値としたときに比して、階調値決定部15の算出結果が示す階調値の突き上げはより大きくなりやすい。赤色及び緑色の場合でも、図24におけるグラフRC2及びグラフGC2とグラフWC2との差で示すように、階調値決定部15に入力される入力信号IPの画素信号が示すRGB階調値が10ビットの値全体において相対的に低階調値である範囲では、より顕著になっている。
【0108】
なお、候補階調値がどの色の調光階調値であったかに関わらず、調光用画素148の調光階調値(Wout)が最大値(MAX)で飽和する範囲内では、階調値の突き上げは生じない。
【0109】
このような調光用画素148の調光階調値(Wout)のもとになった候補階調値の色と、階調値の突き上げと、の関係によって、実施形態3では、色の再現性がよりよくなる。これについて、図25から図27を参照して説明する。
【0110】
図25は、赤色の階調値の高低と、再現色と正しい色との誤差と、の関係を示すグラフである。図26は、緑色の階調値の高低と、再現色と正しい色との誤差と、の関係を示すグラフである。図27は、青色の階調値の高低と、再現色と正しい色との誤差と、の関係を示すグラフである。
【0111】
候補階調値が白色の調光階調値(図22に示すグラフWC1)に限定され、他の色の調光階調値が採用されなかった場合を仮定する。この仮定条件下における表示装置1の表示出力でユーザに視認される再現色と正しい色との誤差は、赤色の場合に図25に示すグラフRL2のようになり、緑色の場合に図26に示すグラフGL2のようになり、青色の場合に図27に示すグラフBL2のようになる。
【0112】
これに対し、実施形態では、候補階調値が白色の調光階調値(図22に示すグラフWC1)に限定されない。従って、例えば赤色の原色が全画面表示出力される場合には、候補階調値が赤色の階調値(図22に示すグラフRC1)になる。すなわち、上述した相対的に低階調値である範囲において、調光用画素148が光を透過させる度合いが低下し、画素48を証明する光の輝度が下がる。すなわち、上述のα%の数値が下がる(図20参照)。このため、赤色以外の副画素(第2副画素49G及び第3副画素49B)を透過して視認されるα×min%の光の輝度がより低下する。一方、上述した階調値の突き上げによって、赤色の輝度は確保される。従って、実施形態3では、緑色及び青色が混ざることによって原色の赤色が正しい色から遠ざかる誤差の拡大を抑制できる。図25では、実施形態3における表示装置1の表示出力でユーザに視認される赤色の再現色と正しい色との誤差をグラフRL1で示すことで、上述の仮定条件下におけるグラフRL2よりも誤差が小さくなっていることを示している。
【0113】
上述の例では赤色の原色が全画面表示出力される場合について説明したが、赤色以外の色(緑色、青色)でも同様である。すなわち、実施形態3では、原色に他の色が混ざることによって原色の正しい色から遠ざかる誤差の拡大を抑制できる。図26では、実施形態3における表示装置1の表示出力でユーザに視認される緑色の再現色と正しい色との誤差をグラフGL1で示すことで、上述の仮定条件下におけるグラフGL2よりも誤差が小さくなっていることを示している。また、図27では、実施形態3における表示装置1の表示出力でユーザに視認される青色の再現色と正しい色との誤差をグラフBL1で示すことで、上述の仮定条件下におけるグラフBL2よりも誤差が小さくなっていることを示している。
【0114】
なお、図22を参照した説明では、白色、赤色、緑色、青色でそれぞれ異なる入出力の対応関係が採用される場合について説明しているが、実施形態3の調光階調値取得部17が参照できるLUTはこれに限られるものでない。以下、他のLUTが参照される場合について、図28図29を参照して説明する。
【0115】
図28は、調光階調値取得部17の入出力の対応関係の他の一例を示すグラフである。図28に示す入出力に対応したLUTが採用される場合、調光階調値取得部17は、グラフWGC3が示す入出力の対応関係に従い、白色成分抽出部16が導出した白色成分として扱える階調値(Wa)から白色の調光階調値を取得する。調光階調値取得部17は、グラフRBC3が示す入出力の対応関係に従い、当該白色成分が導出されたRGB階調値に含まれる赤色の階調値(Ra)から赤色の調光階調値を取得する。調光階調値取得部17は、グラフWGC3が示す入出力の対応関係に従い、当該RGB階調値に含まれる緑色の階調値(Ga)から緑色の調光階調値を取得する。調光階調値取得部17は、グラフRBC3が示す入出力の対応関係に従い、当該RGB階調値に含まれる青色の階調値(Ba)から青色の調光階調値を取得する。このように、調光階調値取得部17による処理で参照されるLUTは、白色、赤色、緑色、青色でそれぞれ異なる入出力の対応関係を示す。このように、図28に示す入出力に対応したLUTが採用される場合、白色の階調値(Wa)と緑色の階調値(Ga)を入力とする場合の入出力の関係は、グラフWGC3で共通である。また、赤色の階調値(Ra)と青色の階調値(Ba)を入力とする場合の入出力の関係は、グラフRBC3で共通である。このように、複数の色の一部を共通の入出力関係とするようにしてもよい。当該LUTは、入力の階調値が同じである場合に、白色及び緑色の方が、赤色及び青色に比してより高い調光階調値が取得されやすい。
【0116】
図29は、実施形態3の階調値決定部15が算出する階調値と、調光用画素148の調光階調値のもとになった候補階調値の色と、の対応関係の他の一例を示すグラフである。図28に示す例では、調光階調値取得部17が白色又は緑色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)とした場合の階調値決定部15の算出結果を、図29に示すグラフWGC4のように、階調値決定部15の入出力の関係が1:1であるものとする。
【0117】
図29におけるグラフRBC4とグラフWGC4との差で示すように、調光階調値取得部17が赤色又は青色の調光階調値を候補階調値とし、最高値選択部18が当該候補階調値を調光用画素148の調光階調値(Wout)としたとき、調光階調値取得部17が白色又は緑色の調光階調値を候補階調値としたときに比して、階調値決定部15の算出結果が示す階調値の突き上げはより大きくなりやすい。特に、階調値決定部15に入力される入力信号IPの画素信号が示すRGB階調値が10ビットの値全体において相対的に低階調値である範囲では、より顕著になっている。
【0118】
以上、特筆した事項を除いて、実施形態3は、実施形態1と同様である。
【0119】
(実施形態4)
以下、実施形態3と一部の処理が異なる実施形態4について説明する。実施形態4の説明では、実施形態3の少なくとも一方と同様の事項について同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0120】
図30は、実施形態4の信号処理部10Cの機能的構成及び信号処理部10Cの入出力を示すブロック図である。実施形態4では、実施形態1における信号処理部10に代えて、図30に示す信号処理部10Cが採用される。
【0121】
信号処理部10Cの調光階調値取得部17Cは、機能的には実施形態3の調光階調値取得部17と同様である。調光階調値取得部17Cは、図28を参照して説明した入出力を行う。また、信号処理部10Cの最高値選択部18Cは、機能的には実施形態3の最高値選択部18と同様である。最高値選択部18Cは、調光階調値取得部17Cが取得した複数の色の調光階調値のうち、最も高い調光階調値を特定する処理を表示パネル30が備える複数の画素48で個別に行う。また、信号処理部10Cでは、信号処理部10Bに設けられていた階調値決定部15が省略されている。一方、信号処理部10Cは、補正部110を有する。以上の事項を除いて、信号処理部10Cは、信号処理部10Bと同様である。
【0122】
補正部110は、入力信号IPの画素信号を補正して出力画像信号OPの画素信号とするための複数の処理を行う。補正部110は、図30に示すように、第1補正部111と、第2補正部112とを含む。
【0123】
第1補正部111は、所定の原色の階調値を補正する。当該所定の原色は、調光階調値取得部17Cによる白色の調光階調値の取得で参照されるLUTにおける入出力の関係とは異なる入出力の関係を当該LUTで定められている原色である。図28に示す例の場合、白色の調光階調値の取得で参照されるLUTにおける入出力の関係を示しているのは、グラフWGC3である。グラフWGC3は、白色及び緑色に適用される。従って、図28に示す例の場合、調光階調値取得部17Cによる白色の調光階調値の取得で参照されるLUTにおける入出力の関係とは異なる入出力の関係を当該LUTで定められている色とは、赤色及び青色である。
【0124】
具体的には、第1補正部111は、図29のグラフRBC4が示す入出力の対応関係となるように、入力されたRGB階調値のうち赤(R)の階調値と青(B)の階調値とを補正して出力する処理を、入力信号IPに含まれる各画素信号に対して行う。第1補正部111の出力は、第2補正部112に対して行われる。
【0125】
図31は、補正部110のより詳細な機能的構成を示す図である。図31に示すように、補正部110に入力される入力信号IPの画素信号が示すRGB階調値のうち赤(R)の階調値と青(B)の階調値は、第1補正部111によって補正された階調値と、第1補正部111による補正がない階調値と、の両方が第2補正部112に入力される。
【0126】
第2補正部112は、階調値の補正に関わる複数の処理を行う。第2補正部112は、演算部1121、演算部1122、演算部1124、演算部1125、演算部1126、演算部1131、演算部1132、演算部1134、演算部1135、演算部1136、演算部1141、演算部1142、演算部1144、演算部1145、演算部1146を含む。
【0127】
以下、1つの画素信号と記載した場合、入力信号IPに含まれる複数の画素信号のうち1つであって、ある1つの画素48に対して割り当てられる画素信号をさす。また、実施形態4では、当該画素信号が示す赤(R)の階調値、緑(G)の階調値及び青(B)の階調値は、それぞれ10ビットの数値で表されているものとする。
【0128】
まず、第2補正部112による処理のうち、赤(R)の階調値に関する処理について説明する。演算部1121は、1つの画素信号が示す緑(G)の階調値と青(B)の階調値とに基づいて、引数GBの値を決定する。具体的には、緑(G)の階調値が青(B)の階調値以上である場合、演算部1121は、引数GBを緑(G)の階調値と同値にする。一方、緑(G)の階調値が青(B)の階調値未満である場合、演算部1121は、青(B)の階調値を1/2した値を引数GBの値とする。演算部1122は、当該1つの画素信号が示す赤(R)の階調値から引数GBを差し引いた値を算出する。演算部1122によって算出された値は、引数WRの値として扱われる。演算部1124は、引数WRと、第1補正部111が補正した赤(R)の階調値のうち下位8ビットの値(Delta_R)との乗算値(WR*Delta_R)を算出する。演算部1125は、演算部1124によって算出された乗算値(WR*Delta_R)を、当該1つの画素信号が示す赤(R)の階調値で除算した値を算出する。演算部1126は、当該1つの画素信号が示す赤(R)の階調値と、演算部1125が算出した値と、を足し合わせた値を出力する。演算部1126が出力した値は、出力画像信号OPの画素信号が示す赤(R)の階調値として扱われる。当該出力画像信号OPの画素信号は、当該1つの画素信号が割り当てられていた画素48に対して割り当てられる。
【0129】
次に、第2補正部112による処理のうち、緑(G)の階調値に関する処理について説明する。演算部1131は、1つの画素信号が示す赤(R)の階調値と青(B)の階調値とに基づいて、引数RBの値を決定する。具体的には、赤(R)の階調値が青(B)の階調値以上である場合、演算部1121は、引数RBを赤(R)の階調値と同値にする。一方、赤(R)の階調値が青(B)の階調値未満である場合、演算部1121は、引数RBを青(B)の階調値と同値にする。演算部1132は、当該1つの画素信号が示す緑(G)の階調値から引数RBを差し引いた値を算出する。演算部1132によって算出された値は、引数WGの値として扱われる。演算部1134は、引数WGと、当該1つの画素信号が示す緑(G)の階調値のうち下位8ビットの値(Delta_G)との乗算値(WG*Delta_G)を算出する。演算部1135は、演算部1134によって算出された乗算値(WG*Delta_G)を、当該1つの画素信号が示す緑(G)の階調値で除算した値を算出する。演算部1136は、当該1つの画素信号が示す緑(R)の階調値と、演算部1135が算出した値と、を足し合わせた値を出力する。演算部1136が出力した値は、出力画像信号OPの画素信号が示す緑(GG)の階調値として扱われる。当該出力画像信号OPの画素信号は、当該1つの画素信号が割り当てられていた画素48に対して割り当てられる。
【0130】
次に、第2補正部112による処理のうち、青(B)の階調値に関する処理について説明する。演算部1141は、1つの画素信号が示す赤(R)の階調値と緑(G)の階調値とに基づいて、引数RGの値を決定する。具体的には、緑(G)の階調値が赤(R)の階調値以上である場合、演算部1141は、引数RGを緑(G)の階調値と同値にする。一方、緑(G)の階調値が赤(R)の階調値未満である場合、演算部1141は、赤(R)の階調値を1/2した値を引数RGの値とする。演算部1142は、当該1つの画素信号が示す青(B)の階調値から引数RGを差し引いた値を算出する。演算部1142によって算出された値は、引数WBの値として扱われる。演算部1144は、引数WBと、第1補正部111が補正した青(B)の階調値のうち下位8ビットの値(Delta_B)との乗算値(WR*Delta_B)を算出する。演算部1145は、演算部1144によって算出された乗算値(WB*Delta_B)を、当該1つの画素信号が示す青(B)の階調値で除算した値を算出する。演算部1146は、当該1つの画素信号が示す青(B)の階調値と、演算部1145が算出した値と、を足し合わせた値を出力する。演算部1146が出力した値は、出力画像信号OPの画素信号が示す青(B)の階調値として扱われる。当該出力画像信号OPの画素信号は、当該1つの画素信号が割り当てられていた画素48に対して割り当てられる。
【0131】
第2補正部112は、上述した赤(R)の階調値、緑(G)の階調値及び青(B)の階調値に関する処理を、入力信号IPに含まれる複数の画素信号の各々に対して個別に行い、複数の画素信号を含む出力画像信号OPを出力する。
【0132】
上述のように、実施形態4では階調値決定部15が省略されている。このため、調光階調値取得部17Cによる候補階調値の採用において、白色又は緑色の階調値が採用された場合と、赤色又は青色の調光階調値が採用された場合と、で光源装置50から発せられて調光用画素148を透過して画素48に照射される光の輝度が異なるものになるという場合分けに対する入力信号IPの階調値の補正が行われない。そこで、実施形態4では、補正部110による補正によって、当該場合分けに対応している。具体的には、第1補正部111による赤(R)の階調値と青(B)の階調値とを補正する処理によって、調光階調値取得部17Cによる候補階調値の採用において赤色又は青色の調光階調値が採用された場合における赤色及び青色の再現性を確保している。一方、第1補正部111による処理のみであると仮定した場合、調光階調値取得部17Cによる候補階調値の採用において白色又は緑色の階調値が採用された場合にも赤(R)の階調値と青(B)の階調値のみが補正されることになってしまい、白色の再現性に影響が現れることになる。そこで、第2補正部112による処理で、第1補正部111による処理が白色の再現性に影響を与えることを抑制している。
【0133】
白色が再現されるということは、入力信号IPの画素信号が示す階調値において、(R,G,B)=(E,E,E)のように、赤(R)の階調値と、緑(G)の階調値と、青(B)の階調値と、が同値(E)になる、ということである。この場合、演算部1121によって、引数GBが緑(G)の階調値と同値(E)になる。また、演算部1122によって引数WRの値が赤(R)の階調値から引数GBを差し引いたものになる。ここで、赤(R)の階調値と引数GBの値が同値(E)であることから、引数WRは0になる。従って、演算部1126によって赤(R)の階調値に足しあわされる値(WR*Delta_R/R)は、分母で掛け合わされている引数WRの値が0であることから0である。すなわち、演算部1126の処理後に出力される値は、赤(R)の階調値(E)になる。このように、第2補正部112の処理によって、白色の再現時に、第1補正部111による補正の影響が現れなくなる。同様に、白色が再現される場合、演算部1132によって算出される引数WGが0になる。また、白色が再現される場合、演算部1142によって算出される引数WBが0になる。従って、白色が再現される場合、入力信号IPの画素信号が補正されずに出力画像信号OPに反映され、第1補正部111による処理が白色の再現性に影響を与えない。
【0134】
なお、調光階調値取得部17Cの機能は、図28を参照して説明した入出力を行うものに限られない。例えば、調光階調値取得部17Cは、図22を参照して説明した入出力を行うものであってもよい。すなわち、白色と、赤色と、緑色と、青色と、で個別の入出力の関係(グラフWC1、グラフRC1、グラフGC1、グラフBC1)が適用されてもよい。その場合、第1補正部111は、図23及び図24に示すグラフGC2が示す入出力の対応関係となるように、入力されたRGB階調値のうち緑(G)の階調値を補正して出力する処理を、入力信号IPに含まれる各画素信号に対して行う。また、その場合、演算部1134は、引数WGと、第1補正部111が補正した緑(G)の階調値のうち下位8ビットの値(Delta_G)との乗算値(WG*Delta_G)を算出する。また、その場合、第1補正部111が赤(R)の階調値、青(B)の階調値を補正する処理による入出力の関係は、それぞれグラフRC2、グラフBC2に対応したものになる。
【0135】
また、第1補正部111による補正の対象の組み合わせは、赤(R)と青(B)又は赤(R)、緑(G)及び青(B)に限られるものでない。ぼかし処理後に、白色として抽出可能な階調値(Wa)が最高の階調値として採用された場合に利用される第1の参照データ(グラフWC1、グラフWGC3)とは異なる入出力の関係が成立する他の参照データを調光階調値の決定に利用する色が、第1補正部111による処理の対象になる。従って、第1補正部111による補正の対象は、赤(R)、緑(G)及び青(B)のうち少なくとも1色以上であればよい。
【0136】
以上説明したように、表示装置1は、第1液晶パネル(調光パネル80)と、当該第1液晶パネルの一面側で当該第1液晶パネルと対向するよう配置された第2液晶パネル(表示パネル30)と、当該第1液晶パネルの他面側から光を照射する光源(光源装置50)と、当該第2液晶パネルの解像度に対応する画像信号に基づいて当該第1液晶パネル及び当該第2液晶パネルを制御する制御部(信号処理部10)と、を備える。当該第1液晶パネルは、複数の調光用画素(調光用画素148)を備える。当該第2液晶パネルは、複数の画素48を備える。1つの当該調光用画素の範囲内に複数の画素48が配置される。当該制御部は、当該第2液晶パネルの動作に関する処理として、ぼかし処理と調光階調値の決定とを行う。当該ぼかし処理では、当該画像信号に含まれる画素信号が示す階調値に基づいて、当該画素信号が与えられる画素48の周囲に位置する所定範囲内に配置された他の画素48に対して、当該画素信号が与えられる画素48から離れているほど低い階調値が設定される。当該調光階調値は、当該調光用画素の範囲内に配置されている複数の画素48に対して設定された階調値のうち当該ぼかし処理後に設定された最高の階調値に対応する。当該調光用画素による光の透過の度合いは、当該調光階調値に応じて制御される。
【0137】
これによって、上述の図12を参照して説明したような、調光階調値の設定に際して光を透過する画素48の位置を反映できない事象の発生を抑制できる。従って、出力される画像の内容により良好に対応した調光が可能な表示装置1を提供できる。
【0138】
また、第1液晶パネル(調光パネル80)はモノクロの液晶パネルである。また、第2液晶パネル(表示パネル30)は、画素48が第1副画素49Rと第2副画素49Gと第3副画素49Bとを含むカラーの液晶パネルである。また、第1副画素49Rは赤色の光を透過可能に設けられる。また、第2副画素49Gは緑色の光を透過可能に設けられる。また、第3副画素は青色の光を透過可能に設けられる。これによって、カラー出力が可能な表示装置1において、出力される画像の内容により良好に対応した調光が可能になる。
【0139】
また、実施形態2のように、第2液晶パネル(表示パネル30)には、画像信号(入力信号IP)が信号処理部10による処理を受けることなく、そのまま出力画像信号OPとして入力される。これによって、当該第2液晶パネルの動作制御に関する処理をより簡略化できる。また、図18及び図19を参照して説明したように、斜め視点での画質をより良好にしやすくなる。
【0140】
また、実施形態3のように、制御部(信号処理部10)は、上述した最高の階調値を入力値とし、調光階調値を出力値とする対応関係の参照データ(LUT)を利用して調光階調値を決定する。ぼかし処理後に第1副画素49Rに設定された階調値が最高の階調値として採用された場合の当該参照データ(グラフRC1)と、ぼかし処理後に第2副画素49Gに設定された階調値が最高の階調値として採用された場合の参照データ(グラフGC1)と、ぼかし処理後に第3副画素49Bに設定された階調値が最高の階調値として採用された場合の参照データ(グラフBC1)と、ぼかし処理後に、第1副画素49Rに設定された階調値、第2副画素49Gに設定された階調値及び第3副画素49Bに設定された階調値のうち、最低の階調値(Wa)が、最高の階調値として採用された場合の参照データ(グラフWC1)と、が異なる。これによって、表示出力における色の再現性をより高めることができる。
【0141】
また、第2液晶パネル(表示パネル30)には、画像信号(入力信号IP)が信号処理部10による処理を受けることなく、そのまま出力画像信号OPとして入力される。制御部(信号処理部10)は、最高の階調値を入力値とし、調光階調値を出力値とする対応関係の参照データ(LUT)を利用して調光階調値を決定する。ここで、ぼかし処理後に、第1副画素49Rに設定された階調値、第2副画素49Gに設定された階調値及び第3副画素49Bに設定された階調値のうち、最低の階調値(Wa)が最高の階調値として採用された場合に利用される第1の参照データ(例えば、グラフWGC3)とは異なる第2の参照データ(例えば、グラフRBC3)が、第1の場合、第2の場合及び第3の場合のうち少なくとも1つ以上の場合に利用される。当該第1の場合は、ぼかし処理後に第1副画素49Rに設定された階調値が最高の階調値として採用された場合である。当該第2の場合は、ぼかし処理後に第2副画素49Gに設定された階調値が最高の階調値として採用された場合である。当該第3の場合は、ぼかし処理後に第3副画素49Bに設定された階調値が最高の階調値として採用された場合である。当該第2の参照データは、当該第1の参照データに比して調光階調値が低く決定される最高の階調値と調光階調値との対応関係が成立する部分データを含む。当該制御部は、当該部分データに含まれる最高の階調値以下の階調値が当該画素信号によって画素48に与えられる場合、当該画素信号の階調値をより高める第1の補正を補正部110によって行う。当該第1の場合に当該第2の参照データが利用される場合、第1副画素49Rの階調値が当該第1の補正の対象になる。当該第2の場合に当該第2の参照データが利用される場合、第2副画素49Gの階調値が前記第1の補正の対象になる。当該第3の場合に当該第2の参照データが利用される場合、第3副画素49Bの階調値が当該第1の補正の対象になる。これによって、当該第2液晶パネルの動作制御に関する処理の簡略化と、表示出力における色の再現性と、を両立しやすくなる。
【0142】
また、制御部(信号処理部10)は、第1の参照データ(例えば、グラフWGC3)が利用される場合、第1補正部111による第1の補正を相殺する第2の補正を第2補正部112によって行う。これによって、表示出力における色の再現性をより高めることができる。
【0143】
なお、信号処理部10,10A,10B,10Cは、1つの回路として設けられてもよいし、複数の回路の組み合わせによって信号処理部10,10A,10B,10Cの機能が実現されてもよい。
【0144】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0145】
1 表示装置
10 信号処理部10
30 表示パネル
80 調光パネル
48 画素
49R 第1副画素
49G 第2副画素
49B 第3副画素
148 調光用画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32