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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/65 20200101AFI20241129BHJP
   D06F 33/64 20200101ALI20241129BHJP
【FI】
D06F33/65
D06F33/64
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021096289
(22)【出願日】2021-06-09
(65)【公開番号】P2022188340
(43)【公開日】2022-12-21
【審査請求日】2024-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 弘之
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-244032(JP,A)
【文献】特開2015-195035(JP,A)
【文献】特開2019-130198(JP,A)
【文献】特開2016-220820(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0256720(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111996743(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00~60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類収容部に収容された衣類を加熱しながら乾燥させる乾燥運転と、該衣類に非加熱状態での送風を行う非加熱送風運転とを実行可能な衣類処理装置であって、
当該衣類処理装置の運転に関してユーザから与えられる指令情報を受け付ける指令情報受付部と、
前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否かを前記ユーザに対して問い合わせる報知情報である問い合わせ情報を、前記乾燥運転の開始後、第1の所定タイミングで、当該衣類処理装置又はその外部に設けられた報知端末から出力させる報知情報出力部と、
当該衣類処理装置の作動制御を行う制御部とを備えており、
前記制御部は、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否かを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けたとき、該指令情報に従って、当該衣類処理装置の作動制御を行う機能を有するように構成されていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の衣類処理装置において、
前記第1の所定タイミングは、前記乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後のタイミングであることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の衣類処理装置において、
前記ユーザが在宅しているか否かを判定する在宅判定部を備えており、
前記報知情報出力部は、前記第1の所定タイミング又はその直前に、前記在宅判定部により前記ユーザが在宅していると判定されたことを必要条件として前記問い合わせ情報を前記報知端末から出力させるように構成されていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の衣類処理装置において、
前記ユーザが在宅しているか否かを判定する在宅判定部を備えており、
前記制御部は、前記乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後に前記在宅判定部により前記ユーザが在宅していると判定され、且つ、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行しないことを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けることを必要条件として、前記非加熱送風運転を当該衣類処理装置に実行させないように構成されていると共に、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するをす指令情報を前記指令情報受付部で受け付けた場合と、前記乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後に前記在宅判定部により前記ユーザが在宅していないと判定された場合とに、前記乾燥運転の終了後、前記非加熱送風運転を実行する機能を有するように構成されていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の衣類処理装置において、
前記衣類収容部からの衣類の取出しの有無を検知する衣類取出し検知部を備えており、
前記制御部は、前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行しないことを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けたとき、前記乾燥運転の終了後、前記非加熱送風運転を当該衣類処理装置に実行させない状態で、前記衣類取出し検知部により衣類の取出しの有無を監視し、該乾燥運転の終了後の第2の所定タイミングまでに、前記衣類取出し検知部により衣類の取出しが検知されない場合には、該第2の所定タイミング以後に前記非加熱送風運転を当該衣類処理装置に自動的に実行させる機能を有するように構成されていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の衣類処理装置において、
前記制御部は、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、第3の所定タイミングまでに前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否かを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けられなかった場合には、前記乾燥運転の終了後、前記非加熱送風運転を当該衣類処理装置に自動的に実行させる機能を有するように構成されていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の衣類処理装置において、
前記報知端末は、前記ユーザが携帯可能な通信端末を含むと共に、該通信端末は、前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否を示す指令情報を前記ユーザの操作に応じて当該衣類処理装置に送信する機能を有しており、前記指令情報受付部は、前記通信端末から送信された指令情報を受信し得るように構成されていることを特徴とする衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類を乾燥させる運転を行い得る衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類を加熱しながら乾燥させる乾燥運転を行い得る衣類処理装置では、例えば特許文献1に見られるように、乾燥運転の終了後に、加熱された衣類を冷却するために、衣類に非加熱の送風を行う運転(以降、非加熱送風運転ということがある)を行うものが従来より知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-220820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、乾燥運転の終了後に、ユーザが衣類処理装置から速やかに衣類を取り出す場合には、非加熱送風運転を実行する必要性は乏しい。また、特に冬場等では、ユーザにとっては、衣類処理装置から取り出した衣類が温められた状態のままであることが望ましいことが多い、
【0005】
しかるに、特許文献1に見られる衣類処理装置では、乾燥運転の終了後、自動的に非加熱送風運転に移行するようになっている。このため、ユーザが乾燥運転の終了後、まもなくに衣類を取り出す場合でも、一時的に、非加熱送風運転が実行されてしまい、不要なエネルギー消費が発生してしまう。
【0006】
また、乾燥運転の終了後に自動的に非加熱送風運転が行われるため、乾燥運転の終了後に、速やかに衣類を取り出さないと、衣類が冷えすぎてしまいやすく、これがユーザに不快感を及ぼすこともある。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、乾燥運転の終了後の不要な非加熱送風運転が実行されるのを抑制できると共に、利便性や使い勝手を向上させることができる衣類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の衣類処理装置は、上記の目的を達成するために、衣類収容部に収容された衣類を加熱しながら乾燥させる乾燥運転と、該衣類に非加熱状態での送風を行う非加熱送風運転とを実行可能な衣類処理装置であって、
当該衣類処理装置の運転に関してユーザから与えられる指令情報を受け付ける指令情報受付部と、
前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否かを前記ユーザに対して問い合わせる報知情報である問い合わせ情報を、前記乾燥運転の開始後、第1の所定タイミングで、当該衣類処理装置又はその外部に設けられた報知端末から出力させる報知情報出力部と、
当該衣類処理装置の作動制御を行う制御部とを備えており、
前記制御部は、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否かを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けたとき、該指令情報に従って、当該衣類処理装置の作動制御を行う機能を有するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0009】
かかる第1発明によれば、ユーザは前記問い合わせ情報が報知端末から出力されることに応じて、非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否かを選択し、その選択結果を示す指令情報を指令情報受付部に対して入力することができる。これにより、衣類処理装置の乾燥運転の終了後に、ユーザの要求に則して、非加熱送風運転を衣類処理装置に実行させたり、あるいは、非加熱送風運転を衣類処理装置に実行させないようにすることが可能となる。
よって、第1発明の衣類処理装置によれば、乾燥運転の終了後の不要な非加熱送風運転が実行されるのを抑制できると共に、利便性や使い勝手を向上させることができる。
【0010】
上記第1発明では、前記第1の所定タイミングは、前記乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後のタイミングであることが好ましい(第2発明)。
これによれば、乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後のタイミングで、前記問い合わせ情報が報知端末から出力される。このため、該問い合わせ情報を認識したユーザは、乾燥運転の終了後に、速やかに衣類収容部から衣類を取り出すことが可能であるか否かを、自身の現在状況に鑑みて適切に判断し得る。このため、ユーザは、乾燥運転の終了後に非加熱送風運転を実行するか否かを示す指令情報(以降、非加熱送風運転要否指令情報ということがある)として信頼性の高い指令情報を指令情報受付部に対して入力することが可能となる。ひいては、乾燥運転の終了後に、非加熱送風運転を衣類処理装置に実行させ、あるいは、実行させないことを、ユーザの要求を適切に反映させて実現できる。
【0011】
上記第1発明又は第2発明では、前記ユーザが在宅しているか否かを判定する在宅判定部を備えており、前記報知情報出力部は、前記第1の所定タイミング又はその直前に、前記在宅判定部により前記ユーザが在宅していると判定されたことを必要条件として前記問い合わせ情報を前記報知端末から出力させるように構成されているという態様を採用し得る(第3発明)。
【0012】
これによれば、ユーザは、在宅している状態にて、前記問い合わせ情報を報知端末を介して受けることができるため、乾燥運転の終了時近辺で、自身が衣類収容部から衣類を取り出すことが可能な状況になるか否かを適切に予測又は判断しやすい。このため、ユーザは、非加熱送風運転要否指令情報として信頼性の高い指令情報を指令情報受付部に対して入力することが可能となる。
【0013】
特に、問い合わせ情報の出力のタイミングである前記第1の所定タイミングが乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後のタイミングである場合には、ユーザが指令情報受付部に対して入力する非加熱送風運転要否指令情報の信頼性を好適に高めることができる。また、ユーザが在宅していない場合には、問い合わせ情報の出力が行われないので、該問い合わせ情報の出力に伴う電力消費を削減できる。
【0014】
上記第1~第3発明では、前記ユーザが在宅しているか否かを判定する在宅判定部を備えており、前記制御部は、前記乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後に前記在宅判定部により前記ユーザが在宅していると判定され、且つ、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行しないことを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けることを必要条件として、前記非加熱送風運転を当該衣類処理装置に実行させないように構成されていると共に、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行することを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けた場合と、前記乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後に前記在宅判定部により前記ユーザが在宅していないと判定された場合とに、前記乾燥運転の終了後、前記非加熱送風運転を実行する機能を有するように構成されているという態様を採用し得る(第4発明)。
【0015】
これによれば、報知情報出力部による問い合わせ情報の出力後、非加熱送風運転を乾燥運転の終了後に実行しないことを示す指令情報を指令情報受付部で受け付けた場合であっても、乾燥運転の終了時、又はその直前もしくは直後に在宅判定部によりユーザが在宅していないと判定された場合、すなわち、ユーザが在宅していないために、乾燥運転の終了後に、ユーザが速やかに衣類収容部から衣類を取り出すことが困難であると推定し得る場合には、乾燥運転の終了後の非加熱送風運転を衣類処理装置に実行させることが可能となる。このため、乾燥運転の終了後に、衣類収容部内の衣類が加熱された状態のままで、長時間放置されてしまうのを防止することが可能となる。
【0016】
上記第1~第4発明では、前記衣類収容部からの衣類の取出しの有無を検知する衣類取出し検知部を備えており、前記制御部は、前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行しないことを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けたとき、前記乾燥運転の終了後、前記非加熱送風運転を当該衣類処理装置に実行させない状態で、前記衣類取出し検知部により衣類の取出しの有無を監視し、該乾燥運転の終了後の第2の所定タイミングまでに、前記衣類取出し検知部により衣類の取出しが検知されない場合には、該第2の所定タイミング以後に前記非加熱送風運転を当該衣類処理装置に自動的に実行させる機能を有するように構成されているという態様を採用し得る(第5発明)。
【0017】
なお、本発明における衣類取出し検知部は、衣類収容部から衣類を取り出す行為を検知し得るものに限らず、衣類を取り出すための事前事象(例えば、衣類収容部の扉の開成等)を検知し得るものであってもよい。また、第2の所定タイミングとしては、例えば、前記乾燥運転の終了時又はその直後の時点から所定時間が経過した時点等を採用し得る。
【0018】
上記第5発明によれば、非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行しないことを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けた場合であっても、乾燥運転の終了後、第1の所定時間が経過するまでに、衣類の取出しが検知されない場合には、該第1の所定時間の経過後、非加熱送風運転を衣類処理装置に自動的に実行させることが可能となる。
【0019】
このため、ユーザが、乾燥運転の終了後に予定していた衣類の取出しを速やかに実施すすることができなくなったり、あるいは、該衣類の取出しを失念した場合等に、乾燥運転の終了後に、衣類収容部内の衣類が加熱された状態のままで、長時間放置されてしまうのを防止することが可能となる。
【0020】
上記第1~第5発明では、前記制御部は、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、第3の所定タイミングまでに前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否かを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けられなかった場合には、前記乾燥運転の終了後、前記非加熱送風運転を当該衣類処理装置に自動的に実行させる機能を有するように構成されているという態様を採用し得る(第6発明)。なお、第3の所定タイミングとしては、例えば、前記問い合わせ情報の出力時又はその直前もしくは直後の時点、前記乾燥運転の終了時又はその直前もしくは直後の時点等を採用し得る。
【0021】
ここで、前記報知情報出力部による前記問い合わせ情報の出力後、第2の所定タイミングまでに前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否かを示す指令情報を前記指令情報受付部で受け付けられなかった場合には、ユーザが、乾燥運転の終了後に非加熱送風運転を実行することを要求するのか否かは判らないものの、乾燥運転の終了後に、衣類収容部内の衣類が加熱された状態のままで、長時間放置されることは極力回避することが望ましい。
【0022】
このため、第6発明は、上記の如く構成されている。これにより、ユーザが、乾燥運転の終了後に非加熱送風運転を実行することを要求するのか否かは判らない状況では、乾燥運転の終了後に、非加熱送風運転を自動的に実行させることができるので、ユーザが乾燥運転の終了後に、速やかに衣類収容部から衣類を取り出すことができない場合であっても、衣類収容部内の衣類が加熱された状態のままで、長時間放置されることを防止することが可能となる。
【0023】
上記第1~第6発明では、前記報知端末は、前記ユーザが携帯可能な通信端末を含むと共に、該通信端末は、前記問い合わせ情報の出力後、前記非加熱送風運転を前記乾燥運転の終了後に実行するか否を示す指令情報を前記ユーザの操作に応じて当該衣類処理装置に送信する機能を有しており、前記指令情報受付部は、前記通信端末から送信された指令情報を受信し得るように構成されていることが好ましい(第7発明)。
【0024】
これによれば、ユーザは、衣類処理装置の近くに居なくても、自身が携帯する通信端末を介して問い合わせ情報を受けることができると共に、指令情報受付部に対して前記非加熱送風運転要否指令情報を通信端末を介して入力することができる。従って、衣類処理装置の利便性や使い勝手を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態の衣類処理装置の構成を示す図。
図2】実施形態の衣類処理装置の制御に係る構成を示すブロック図。
図3図2に示す制御装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態を図1図3を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の衣類処理装置1は、本体ケース2と、衣類Wを収容する衣類収容部としての回転ドラム3とを備えている。本体ケース2の前面には衣類投入口4が開設されている。該衣類投入口4は、本体ケース2に組付けられた片開き式の扉5によって開閉される。
【0027】
回転ドラム3は、衣類投入口4に対向して本体ケース2の内部に配置され、本体ケース2の前後方向に延在する回転軸心C周りに本体ケース2に対して回転し得るように軸支されている。さらに詳細には、回転ドラム3の前端部には、衣類投入口4に向かって開口する正面開口部6が形成されている。そして、正面開口部6の内周が、本体ケース2に対して上記回転軸心C周りに回転し得るように、該正面開口部6の内側に配設されたリング板7を介して本体ケース2に支持されている。
【0028】
また、回転ドラム3の後端部に形成された奥壁8が、本体ケース2に対して上記回転軸心C周りに回転し得るように、該奥壁8から後方に向かって延在する支持軸9を介して本体ケース2に支持されている。
【0029】
回転ドラム3の奥壁8の外側(背面側)には、回転ドラム3内の空気を本体ケース2の外部へ導く排気ダクト11が形成されている。回転ドラムの奥壁8の中央部は、排気ダクト11に開口しており、この開口を覆うようにして、糸屑等の捕集用のフィルターユニット10が回転ドラム3の奥壁8の内側に装着されている。
【0030】
排気ダクト11は、回転ドラム3の奥壁8の外側から本体ケース2の上部の排気口12へ向かって延在している。排気ダクト11内には、回転ドラム3内の通風を行う送風装置としてのファン13が組み込まれている。該ファン13は、本実施形態では、前記回転軸心C周りに回転ドラム3に対して相対回転し得るように支持軸9に支持されている。
【0031】
ファン13は、その回転により回転ドラム3内の空気を排出すると共に、回転ドラム3内に本体ケース2の外部の空気(外気)を引き込む気流を発生させる。すなわち、ファン13が回転すると、本体ケース2の外部の空気が、本体ケース2の底部に形成されている給気口14から本体ケース2の内部へ取り込まれ、さらに、後述の温風ダクト17を通って回転ドラム3内に導入される。
【0032】
そして、回転ドラム3内に導入された空気は、回転ドラム3の後端部のフィルターユニット10を通って排気ダクト11に排出され、さらに該排気ダクト11から排気口12を介して本体ケース2の外部に排出される。なお、ファン13は、回転ドラム3の奥壁8の背面側の位置に限らず、例えば該背面側の位置と、排気口12との間の箇所で排気ダクト11内に搭載されていてもよい。
【0033】
本体ケース2には、さらに、回転ドラム3およびファン13を回転駆動するアクチュエータとしての電動モータ15と、ファン13の回転により本体ケース2内に給気口14から取り込まれる空気を加熱して温風を生成する燃焼装置16と、温風を回転ドラム3内へ導く温風ダクト17とが搭載されている。
【0034】
電動モータ15は、その作動時に回転駆動力を出力する駆動軸として、第1駆動軸19および第2駆動軸20の2つの駆動軸を有する。第1駆動軸19は、回転ドラム3に回転駆動力を伝達すべく該回転ドラム3に第1ベルト21を介して接続されている。第2駆動軸20は、ファン13に回転駆動力を伝達すべく該ファン13に第2ベルト22を介して接続されている。
【0035】
なお、第1駆動軸19から回転ドラム3への動力伝達機構と、第2駆動軸20からファン13への動力伝達機構とは、ベルトに限らず、ギヤ等を含む動力伝達機構であってもよい。また、回転ドラム3を回転駆動するアクチュエータと、ファン13を回転駆動するアクチュエータとを各別に備え、それぞれの回転数を各別に制御し得るようにしてもよい。
【0036】
燃焼装置16は、ガスバーナ23、燃料噴射ノズル24および燃料供給装置25を備え、ファン13の作動時に、燃料供給装置25から燃料噴射ノズル24を介してガスバーナ23に燃料ガスを供給しつつ、該燃料ガスをガスバーナ23で燃焼させるように構成されている。この場合、ファン13の作動により本体ケース2内に給気口14から導入される空気の一部が、燃焼用空気として燃料ガスと共にガスバーナ23に供給される。
【0037】
なお、詳細な図示は省略するが、燃料供給装置25は、ガスバーナ23への燃料ガスの供給及びその遮断を、燃料ガスの供給源から燃料噴射ノズル24へのガス供給路に備えた電磁弁等の開閉弁を介して行い得るように構成されていると共に、ガスバーナ23への燃料ガスの供給量(流量)を該ガス供給路に備えた比例弁等のガス量調整弁を介して調整し得るように構成されている。また、燃焼装置16は、上記の構成の他、ガスバーナ23の点火を行うための図示しない点火装置を備えている。
【0038】
温風ダクト17は、その上流端が、ガスバーナ23の上方で該ガスバーナ23に向かって開口し、下流端が、前記リング板7に形成された空気導入口27を介して回転ドラム3内に開口するように配設されている。従って、ファン13を作動させつつ、ガスバーナ23の燃焼運転を行うと、給気口14から本体ケース2内に導入された空気(外気)が、ガスバーナ23の燃焼排ガスと混合して加熱されながら温風ダクト17内を上流側から下流側に向かって流れ、その加熱された空気(燃焼排ガスを含む)が温風として、温風ダクト17から回転ドラム3内に供給される。
【0039】
図2を参照して、衣類処理装置1には、さらに、その作動制御を行う機能を有する制御装置30と、衣類処理装置1の運転に関する操作をユーザが行うための操作部31と、扉5の開閉を検知する扉開閉センサ34と、衣類処理装置1の運転状態等の様々な情報を表示させる液晶表示器等の表示部32と、音声や報知音等の音響情報を出力可能な発音部33と、衣類処理装置1のユーザが使用する通信端末50と無線通信を行い得る通信部35とを備える。
【0040】
操作部31は、複数の操作スイッチを備える操作パネル、あるいは、タッチパネル等により構成される。表示部32は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成され、発音部33は、例えばスピーカ、ブザー等により構成される。扉開閉センサ34は、例えば公知の接触式又は非接触式のセンサにより構成される。
【0041】
補足すると、本実施形態では、扉開閉センサ34は、本発明における衣類取出し検知部としての機能を有するものである。また、表示部32及び発音部33は、本発明における報知端末として機能し得るものである。また、操作部31及び通信部35は、本発明における指令情報受付部として機能し得るものである。
【0042】
通信端末50は、ユーザが携帯可能な通信端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、フィーチャーフォン等により構成される。該通信端末50は、本発明における報知端末として機能し得るものであり、衣類処理装置1に関する報知情報を出力する手段として、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成される表示部50aと、スピーカ等により構成される発音部50bとを有する。
【0043】
この場合、通信端末50には、衣類処理装置1に関する操作や報知等を該通信端末50で行うためのサービスアプリケーションがあらかじめインストールされている。そして、通信端末50は、該サービスアプリケーションを起動した状態で、通信部35から受信した報知情報(衣類処理装置1に関する報知情報)を、表示部50aで表示させ、あるいは、発音部50bから音声情報として出力することが可能である。また、通信端末50は、サービスアプリケーションを起動した状態で、衣類処理装置1に関する操作をユーザが行うと、その操作に応じた操作情報を衣類処理装置1の通信部35に送信することが可能である。
【0044】
衣類処理装置1の通信部35は、本実施形態では、通信端末50との無線通信を近距離無線通信方式で行うことが可能である。該近距離無線通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)を使用し得る。
【0045】
この場合、ユーザの通信端末50と衣類処理装置1の通信部35との間の通信接続の設定(所謂、ペアリング)を事前に行っておくことで、通信端末50が、衣類処理装置1から近距離の位置に存在する場合(例えば、ユーザが衣類処理装置1が設置された住戸内に存在する場合)、該通信端末50と無線通信部35とが通信可能な状態(通信接続が確立した状態)になる。
【0046】
制御装置30は、例えば、マイコン等のプロセッサ、メモリ、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。この制御装置30には、ユーザによる操作部31の操作に応じて該操作部31から出力される操作信号が入力されると共に、衣類処理装置1に備えられた複数のセンサ(前記扉開閉センサ34を含む)の検出信号が入力される。
【0047】
そして、制御装置30は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)により実現される機能として、表示部32の表示制御、発音部33の作動制御、前記回転ドラム3及びファン13の回転駆動用の電動モータ15の作動制御、並びに、前記燃焼装置16の作動制御等、衣類処理装置1の作動制御を行う機能を有する。従って、制御装置30は、本発明における制御部としての機能を含む。なお、燃焼装置16の作動制御は、より詳しくは、図示しない点火装置、並びに、燃料供給装置25の図示しない開閉弁及びガス量調整弁の作動制御を通じてなされる。
【0048】
ここで、本実施形態の衣類処理装置1は、制御装置30による作動制御によって、回転ドラム3内に収容された衣類を加熱しながら乾燥させる乾燥運転と、該衣類に非加熱状態での送風を行う非加熱送風運転とを実行可能である。乾燥運転では、制御装置30は、燃焼装置16の燃焼運転を行わせながら、電動モータ15により回転ドラム3及びファン13を回転させる。これにより、回転ドラム3及びファン13が回転しながら、燃焼装置16の燃焼排ガスを含んで加熱された温風が回転ドラム3内を通って排気ダクト11側に流れる。その結果、回転ドラム3内の衣類が加熱されながら、乾燥していく。
【0049】
また、非加熱送風運転は、乾燥運転で加熱された回転ドラム3内に衣類を冷却させるための運転である。この非加熱送風運転では、制御装置30は、燃焼装置16を停止させた状態で、電動モータ15により回転ドラム3及びファン13を回転させる。これにより、回転ドラム3及びファン13が回転しながら、加熱されていない空気(冷風)が回転ドラム3内を通って排気ダクト側に流れる。その結果、回転ドラム3内の衣類が冷却されていく。以降の説明では、かかる非加熱送風運転を冷却運転と称する。
【0050】
制御装置30は、衣類処理装置1の作動制御を行う機能の他、さらに、衣類処理装置1に関する報知情報を、衣類処理装置1の表示部32及び発音部33、並びに通信端末50のうちの一つ以上の報知端末から出力させる報知情報出力部30aとしての機能と、通信端末50と通信部35との通信状態に基づいて、通信端末50を使用するユーザが、衣類処理装置1が設置された住戸に在宅しているか否かを判定する在宅判定部30bとしての機能とを含む。
【0051】
この場合、在宅判定部30bは、通信端末50と通信部35との通信接続が確立されたか否かを通信部35を介して検知し、その検知に基づいて、ユーザが在宅しているか否かを判定する。具体的には、在宅判定部30bは、通信端末50と通信部35との通信接続が確立された場合に、ユーザが在宅していると判定し、該通信接続が確立できない場合に、ユーザが在宅していない(不在である)と判定する。
【0052】
次に、本実施形態の衣類処理装置1で乾燥運転を行った場合の作動に関して説明する。ユーザが回転ドラム3内に衣類を投入し、さらに、扉5を閉じた状態で、操作部31の所定の操作を行うことで、衣類処理装置1の乾燥運転が開始する。そして、衣類処理装置1の乾燥運転の開始後、制御装置30は、図3のフローチャートに示す処理を実行する。
【0053】
STEP1では、制御装置30は、乾燥運転の終了条件が成立したか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで逐次実行する。この場合、例えば乾燥運転の開始後、ユーザにより指定された乾燥運転時間が経過した時等に、STEP1の判断結果が肯定的になる。
【0054】
そして、STEP1の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置30は、STEP2において、乾燥運転の終了時の処理である乾燥運転終了処理を実行する。該乾燥運転終了処理では、制御装置30は、回転ドラム3及びファン13の回転を停止させるように電動モータ15を制御し、また、燃焼装置16の燃焼運転を停止させる(ガスバーナ23への燃料供給を遮断する)。また、制御装置30は、乾燥運転が終了したことを示す音響信号である終了音(ブザー音等)を発音部33から出力させる。なお、該終了音を発音部33から出力させる代わりに、例えば、乾燥運転が終了したことを示す音声案内情報を発音部33から出力させてもよい。
【0055】
次いで、制御装置30は、STEP3において、ユーザが在宅しているか否かの判定を在宅判定部30bにより実行する。この場合、在宅判定部30bは、前記した如く、ユーザの通信端末50と通信部35の通信状態に基づいてユーザが在宅しているか否かの判定を行う。
【0056】
STEP3の判定結果が肯定的である場合(ユーザが在宅していると判定された場合)には、制御装置30は、STEP4において、報知情報出力部30aの処理を実行する。このとき、報知情報出力部30aは、通信端末50(通信部35との通信接続が確立された通信端末50)に乾燥運転が終了したことを示す通知を行う。具体的には、報知情報出力部30aは、乾燥運転が終了したことを示す報知情報を通信部35から通信端末50に送信させる。このとき、該報知情報を受信した通信端末50では、該報知情報が該通信端末50の表示部50aで表示情報として表示され、あるいは、該通信端末50の発音部50bから音声案内情報として出力される。
【0057】
STEP4では、報知情報出力部30aはさらに、通信端末50のユーザに対して、前記冷却運転を乾燥運転の終了後に実行するか否かを問い合わせる問い合わせ情報を通信部35から通信端末50に送信させる。このとき、該問い合わせ情報を受信した通信端末50では、該問い合わせ情報が該通信端末50の表示部50aで表示情報として表示され、あるいは、該通信端末50の発音部50bから音声案内情報として出力される。
【0058】
なお、かかる問い合わせ情報は、通信端末50に送信して出力させることに加えて、衣類処理装置1の表示部32又は発音部33から出力させるようにしてもよい。補足すると、本実施形態では、STEP4で問い合わせ情報を出力する時点(乾燥運転の終了直後の時点)が本発明における第1の所定タイミングに相当する。
【0059】
次いで、制御装置30は、STEP5において、上記問い合わせ情報に対する回答を示す情報として、乾燥運転の終了後に冷却運転を実行するか否かを示す指令情報である冷却要否指令情報を受付けたか否か(該冷却要否情報の入力があったか否か)を判断する。
【0060】
ここで、乾燥運転の終了を示す報知情報を受信した通信端末50では、前記サービスアプリケーションが起動され、上記問い合わせ情報に対する回答を、通信端末50にユーザが入力し得る状態になる。そして、ユーザが当該回答を通信端末50に入力する操作を行うと、冷却要否指令情報が、衣類処理装置1の運転に関する指令情報として、通信端末50から衣類処理装置1の通信部35に送信される。
【0061】
そして、通信部35が、該冷却要否指令情報を受信した場合に、STEP5の判断結果が肯定的になる。なお、冷却要否指令情報は、通信端末50で入力操作を行う場合に限らず、冷却要否指令情報の入力操作を衣類処理装置1の操作部31で行い得るようにしてもよい。そして、操作部31で冷却要否指令情報の入力操作をユーザが行った場合にも、STEP5の判断結果が肯定的になるようにしてもよい。
【0062】
上記のようにSTEP5の判断結果が肯定的になると、制御装置30は、STEP6において、冷却要否指令情報が、冷却運転の実行を要求する指令情報であるか否かを判断する。このSTEP6の判断結果が肯定的である場合(冷却要否指令情報が、冷却運転の実行を要求する指令情報である場合)には、制御装置30は、STEP14において、衣類処理装置1に冷却運転を開始させる。この冷却運転では、制御装置30は、燃焼装置16の燃焼運転を停止させたままで、回転ドラム3及びファン13を回転させるように電動モータ15を作動させる。これにより、冷却要否指令情報に従って、乾燥運転の終了後の冷却運転が実行される。
【0063】
なお、冷却運転は、例えば、回転ドラム3内に流入する空気の温度や、回転ドラム3内から流出する空気の温度、扉5の開閉状態、あるいは、冷却運転の開始後の経過時間等に関する所定の終了条件が成立した場合に終了される。
【0064】
STEP6の判断結果が否定的である場合(冷却要否指令情報が、冷却運転を実行しないことを要求する指令情報である場合)には、制御装置30は、冷却運転を開始させずに、STEP7の判断処理を実行する。この判断処理は、扉5が開状態であるか否かを扉開閉センサ34の出力に基づいて判断する処理である。なお、本実施形態では、扉開閉センサ34により検知される扉5の開閉状態は、回転ドラム3内からの衣類の取出しがなされるか否かの判断指標として用いられている。すなわち、扉5が開かれた場合には、ユーザが回転ドラム3内から衣類を取り出そうとしていると推定され、また、扉5が閉じられている状態では、ユーザは、回転ドラム3内から衣類を取り出そうとしていないと推定される。
【0065】
そして、STEP7の判断結果が否定的である場合(扉5が閉状態に維持されている場合)には、制御装置30は、さらに、STEP8の判断処理を実行する。この判断処理では、制御装置30は、乾燥運転の終了後、所定時間t1(例えば5分)が経過したか否かを判断する。該所定時間t1は、本実施形態では、乾燥運転の終了時又はその直前もしくは直後の時点からの経過時間である。ただし、所定時間t1は、例えばSTEP4で問い合わせ情報を送信してからの経過時間、あるいは、STEP5で冷却要否指令情報を受信してからの経過時間等であってもよい。
【0066】
STEP8の判断結果が否定的である場合には、制御装置30は、STEP7からの処理を繰り返す。従って、STEP7、8の処理により、乾燥運転の終了後、所定時間t1が経過するまでに、扉5が開かれたか否かが判断される。なお、本実施形態では、該所定時間t1が経過した時点が本発明における第2の所定タイミングに相当する。
【0067】
ここで、乾燥運転の終了後の冷却運転を実行しないことを要求したユーザは、通常、乾燥運転の終了後、速やかに、回転ドラム3内からの衣類の取出しを行う。このため、通常は、上記所定時間t1が経過する前に、扉5が開かれて、STEP7の判断結果が肯定的になる。この場合には、制御装置30は、衣類処理装置1に冷却運転を実行させることなく、衣類処理装置1の運転を終了させる。
【0068】
また、乾燥運転の終了後の冷却運転を実行しないことをユーザが要求した場合であっっても、ユーザが別の用件で衣類を速やかに取り出すことができない状況になった場合や、衣類の取出しを失念してしまった場合等に、扉5が開かれることなく、前記所定時間t1が経過してしまい、STEP8の判断結果が肯定的になる場合がある。
【0069】
この場合には、制御装置30は、回転ドラム3内の衣類が、長い時間、加熱された状態のままで放置されてしまうのを防止するために、STEP9において、衣類処理装置1に冷却運転を開始させる。この冷却運転は、前記したSTEP14での冷却運転と同様に行われる。
【0070】
また、STEP9では、制御装置30はさらに、報知情報出力部30aの処理を実行する。このとき、報知情報出力部30aは、ユーザの通信端末50に対して、冷却運転の開始を通知する。具体的には、報知情報出力部30aは、衣類の取出しが行われていないので、冷却運転を開始したことを示す報知情報を通信部35から通信端末50に送信させる。このとき、該報知情報を受信した通信端末50では、該報知情報が該通信端末50の表示部50aで表示情報として表示され、あるいは、該通信端末50の発音部50bから音声案内情報として出力される。
【0071】
なお、冷却運転を開始したことを示す報知情報は、通信端末50で出力されることに限らず、該報知情報を、衣類処理装置1の表示部32又は発音部33を介して出力させるようにしてもよい。
【0072】
前記STEP5の判断結果が否定的である場合(冷却要否指令情報の受付けが無かった場合)には、制御装置30は、STEP10において、扉5が開状態であるか否かを、STEP7と同様に扉開閉センサ34の出力に基づいて判断する。そして、この判断結果が否定的である場合(扉5が閉状態に維持されている場合)には、制御装置30は、さらに、STEP11の判断処理を実行する。この判断処理では、制御装置30は、前記問い合わせ情報をSTEP4で出力してから、所定時間t2(例えば1分)が経過したか否かを判断する。そして、STEP11の判断結果が否定的である場合には、制御装置30は、STEP5からの処理を繰り返す。従って、STEP5、10、11の処理により、前記問い合わせ情報をSTEP4で出力してから、所定時間t2(例えば1分)が経過するまで、扉5が閉状態に維持されたままで、冷却要否指令情報を通信部35で受信しない状態が継続したか否かが判断される。
【0073】
ここで、乾燥運転の終了の通知と問い合わせ情報とを通信端末50を介して(又は、衣類処理装置1の表示部32もしくは発音部33を介して)確認したユーザは、冷却要否指令情報を通信端末50から送信することなく、前記所定時間t2が経過する前に、回転ドラム3から衣類を取り出してしまう場合がある。このような場合に、STEP10の判断結果が肯定的になる。そして、この場合には、制御装置30は、衣類処理装置1に冷却運転を実行させることなく、衣類処理装置1の運転を終了させる。
【0074】
また、乾燥運転の終了の通知と問い合わせ情報とが通信端末50(又は衣類処理装置1の表示部32もしくは発音部33)で報知されても、ユーザが通信端末50(又は衣類処理装置1)から離れてしまっていたり、あるいは、ユーザが他の用件に携わっている場合等に、ユーザは、当該報知をすぐには、認識できない場合もある。このような場合に、STEP11の判断結果が肯定的になる。この場合には、制御装置30は、回転ドラム3内の衣類が、長い時間、加熱された状態のままで放置されてしまうのを防止するために、STEP8の判断結果が肯定的になった場合と同様に、STEP9において衣類処理装置1に冷却運転を開始させる。
【0075】
補足すると、本実施形態では問い合わせ情報をSTEP4で出力してから所定時間t3が経過した時点が、本発明における第3の所定タイミングに相当する。ただし、所定時間t3は、問い合わせ情報を出力してからの経過時間限らず、例えば乾燥運転の終了時又はその直前もしくは直後の時点からの経過時間等であってもよい。
【0076】
また、前記STEP3の判定結果が否定的である場合(在宅判定部30bでユーザが在宅していない(不在である)と判定された場合)には、制御装置30は、STEP12において、扉5が開状態であるか否かを、STEP7と同様に扉開閉センサ34の出力に基づいて判断する。そして、この判断結果が否定的である場合(扉5が閉状態に維持されている場合)には、制御装置30は、さらに、STEP13の判断処理を実行する。この判断処理では、制御装置30は、乾燥運転が終了してから、所定時間t3(例えば1分)が経過したか否かを判断する。そして、STEP13の判断結果が否定的である場合には、制御装置30は、STEP12からの処理を繰り返す。
【0077】
ここで、本実施形態では、通信端末50と衣類処理装置1の通信部35との近距離通信方式での通信状態に基づいて、ユーザが在宅しているか否かを判定するため、ユーザが外出している場合(在宅していない場合)に限らず、ユーザが在宅していても、ユーザの通信端末50と衣類処理装置1の通信部35との通信を正常にできない状況(例えば、当該通信が遮られてしまう状況、あるいは、ユーザの通信端末50の電源がオフになっている状況等)では、STEP3の判断結果が否定的になる。
【0078】
そして、このような場合、衣類処理装置1の乾燥運転の終了音を聞いたユーザが、乾燥運転の終了直後に、衣類処理装置1の扉5を開けて、回転ドラム3内の衣類を取り出す場合がある。このような場合に、STEP12の判断結果が肯定的になる。この場合には、制御装置30は、衣類処理装置1に冷却運転を実行させることなく、衣類処理装置1の運転を終了させる。
【0079】
また、乾燥運転の終了後、ユーザが在宅していないと判定された場合(STEP3の判断結果が否定的になった場合)において、乾燥運転の終了後、回転ドラム3内からの衣類の取出しが行われずに放置された場合には、STEP13の判断結果が肯定的になる。この場合には、制御装置30は、STEP6の判断結果が肯定的になった場合と同様に、STEP14において、衣類処理装置1に冷却運転を開始させる。
【0080】
以上説明した実施形態によれば、ユーザは、乾燥運転の終了後に冷却運転を実行するか否かを、前記問い合わせ情報の報知に応じて選択できる。そして、在宅中のユーザが冷却運転を実行しないことを選択した場合(詳しくは、冷却運転を実行しないことを示す冷却要否指令情報を通信端末50(又は衣類処理装置1の操作部31)で入力する操作を行った場合)には、乾燥運転時に回転ドラム3内で加熱された衣類を、温かい状態のままで回転ドラム3内から取り出すことができる。
【0081】
また、在宅中のユーザが冷却運転を実行することを選択した場合(詳しくは、冷却運転を実行することを示す冷却要否指令情報を通信端末50(又は衣類処理装置1の操作部31)で入力する操作を行った場合)には、所望の冷却運転を速やかに開始させることができる。
【0082】
また、在宅中のユーザが冷却運転を実行しないことを選択した場合であっても、乾燥運転の終了後、所定時間t1(例えば5分)が経過するまで、扉5が閉状態に維持されている場合(ひいては、回転ドラム3からの衣類の取出しが行われない場合)には、該所定時間t1の経過後に、冷却運転が自動的に開始されるので、回転ドラム3内に衣類が加熱された状態のままで、長時間、放置されてしまうようなことを防止できる。
【0083】
また、ユーザが、前記問い合わせ情報に対して、冷却要否指令情報を通信端末50(又は衣類処理装置1の操作部31)で入力しなかった場合であっても、問い合わせ情報の出力後、所定時間t2(例えば1分)が経過するまで、扉5が閉状態に維持されている場合(ひいては、回転ドラム3からの衣類の取出しが行われない場合)には、該所定時間t2の経過後に、冷却運転が自動的に開始されるので、回転ドラム3内に衣類が加熱された状態のままで、長時間、放置されてしまうようなことを防止できる。
【0084】
また、乾燥運転の終了時に、ユーザが在宅していない場合(STEP3の判断結果が否定的になる場合)には、乾燥運転の終了後、所定時間t3(例えば1分)が経過するまで、扉5が閉状態に維持されている場合(ひいては、回転ドラム3からの衣類の取出しが行われない場合)に、ユーザに対する問い合わせ情報の報知や、ユーザからの冷却要否指令情報の受け付けを必要とすることなく、冷却運転を開始させることができ、回転ドラム3内に衣類が加熱された状態のままで、長時間、放置されてしまうようなことを防止できる。
【0085】
この場合、乾燥運転の終了後、所定時間t3(例えば1分)が経過するまでは冷却運転が開始されないので、在宅しているのに、STEP3で在宅が検知されなかったユーザが、必要に応じて、回転ドラム3から冷却される前の温かい衣類を取り出すこともできる。
【0086】
また、ユーザに対する問い合わせ情報の報知は、乾燥運転の終了時に行われるので、当該報知を受けたユーザは、自身の現在状況が、回転ドラム3からの衣類の取出しを行うことができる状況であるか否かを正しく認識した上で、冷却運転を実行するか否かを決定できるので、信頼性の高い冷却要否指令情報を通信端末50(又は衣類処理装置1の操作部31)に入力することができる。
【0087】
また、ユーザは、衣類処理装置1のそばに居なくても、自身が日常的に携帯する通信端末50を介して乾燥運転の終了の通知や、問い合わせ情報を得ることができる。
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか例示する。
【0088】
前記実施形態では、ユーザに対する問い合わせ情報を乾燥運転の終了時に出力するようにしたが、例えば、乾燥運転の終了直前又は終了直後に問い合わせ情報を出力するようにしてもよい。さらには、問い合わせ情報は、乾燥運転の開始後、終了直後までの期間の任意のタイミングで出力してもよい。この場合、例えば、ユーザから冷却要否情報が得られるまで、問い合わせ情報の出力を定期的に繰り返すようにしてもよい。ただし、ユーザから信頼性の高い冷却要否情報を得る上では、問い合わせ情報の出力は、乾燥運転の終了時又はその直前もしくは直後のタイミングで行うことが好ましい。
【0089】
また、前記実施形態では、在宅判定部30bは、衣類処理装置1の通信部35と近距離通信方式での通信を行い得るユーザの通信端末50と、通信部35との通信状態に基づいて、ユーザが在宅しているか否かの判定を行ったが、例えば、住戸に設置した人感センサ、カメラ等を用いて、ユーザが在宅しているか否かを判定してもよい。
【0090】
また、前記実施形態では、通信端末50への乾燥運転の終了の通知や、問い合わせ情報の送信を、衣類処理装置1の通信部35から近距離通信方式での通信により行うようにしたが、当該通信を、より通信距離が長い通信方式(例えばWi-Fi(登録商標)、あるいは、インターネットや電話回線網等の外部ネットワークを介した通信等)で行うようにしてもよい。
【0091】
また、前記実施形態では、ユーザに対する問い合わせ情報の出力(報知)は、ユーザが在宅していると判定された場合(STEP3の判断結果が肯定的になった場合)にだけ行うようにしたが、該問い合わせ情報の出力は、ユーザが在宅しているか否かによらず行うようにしてもよい。
【0092】
ただし、乾燥運転の終了時(又はその直前もしくは直後)に問い合わせ情報を出力する場合、ユーザが外出先で、該問い合わせ情報を通信端末50を介して受けても、該ユーザは、一般には、回転ドラム3から衣類を取り出すことを速やかには実行できない。また、乾燥運転の終了時よりも十分に前に問い合わせ情報を出力する場合であっても、ユーザが外出先で、該問い合わせ情報を通信端末50を介して受けた時点では、ユーザは、乾燥運転の終了時に、衣類処理装置1の近くに居ることができるか否かを予測し難い。
【0093】
従って、問い合わせ情報の出力を、在宅していないユーザに対して行うことの必要性は乏しい。そして、前記実施形態のように、問い合わせ情報の出力を、在宅していないユーザに対して行わないことで、問い合わせ情報の出力のための通信に要する電力を削減することができる。
【0094】
また、前記実施形態では、衣類取出し検知部として扉開閉センサ34を用いたが、これに限らず、例えば、回転ドラム3内の衣類の重量を検知可能なセンサや、回転ドラム3内への手の出し入れを検知可能なセンサ等を用いて、衣類の取出しの有無を検知してもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、衣類処理装置1は、乾燥運転と冷却運転とを行い得るものであるが、該衣類処理装置1は、さらに、洗濯運転を行い得るものであってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…衣類処理装置、3…回転ドラム(衣類収容部)、30…制御装置(制御部)、30a…報知情報出力部、30b…在宅判定部、31…操作部(指令情報受付部)、34…扉開閉センサ(衣類取出し検知部)、35…通信部(指令情報受付部)、50…通信端末。
図1
図2
図3