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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】流体機械
(51)【国際特許分類】
   B63H 5/10 20060101AFI20241129BHJP
   B63H 5/15 20060101ALI20241129BHJP
   B63H 1/12 20060101ALI20241129BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20241129BHJP
   B63H 11/08 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B63H5/10
B63H5/15 Z
B63H1/12 Z
B63H21/17
B63H11/08 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021104777
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003605
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 航
(72)【発明者】
【氏名】工藤 秀行
(72)【発明者】
【氏名】磯部 真一
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 茂樹
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/113717(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102632982(CN,A)
【文献】米国特許第05607329(US,A)
【文献】特表2013-503784(JP,A)
【文献】特開2009-161003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0194922(US,A1)
【文献】特開平05-310185(JP,A)
【文献】特開2013-100013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 5/10
B63H 5/15
B63H 1/12
B63H 21/17
B63H 11/08
B63H 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる軸部と、
前記軸部を囲うように設けられて、該軸部との間で前記軸線方向に流体が流通可能な流路を区画する流路形成面を形成するシュラウド内周面を有するシュラウドと、
前記流路内で前記軸線回りに回転可能に設けられた第一プロペラと、
前記流路内における前記第一プロペラよりも下流側で前記軸線回りに回転可能に設けられた第二プロペラと
を備え、
前記第二プロペラは、
前記流路内で径方向に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置された複数の羽根と、
前記シュラウド内周面から凹むキャビティに収容されて複数の前記羽根を周方向に接続するリング状をなす外周リングと、
を有し、
前記外周リングに固定されたリング状をなし前記シュラウド内に収容されたロータ、及び、クリアランスを介して前記ロータを囲うリング状をなし前記キャビティ内で前記シュラウドに固定されたステータを有するモータをさらに備え、
前記外周リングは、
径方向内側を向き、複数の羽根よりも上流側及び下流側に延びるとともに、前記シュラウドの内周面とともに前記流路形成面を形成するリング内周面を有し、
前記外周リングの上流側の端面と前記キャビティの内面とによって区画形成され、前記流路に対して径方向内側に向かって開口することで、前記流路と前記クリアランスとを連通させる入口流路と、
前記外周リングの下流側の端面と前記キャビティの内面とによって区画形成され、前記流路に対して径方向内側に向かって開口することで、前記流路と前記クリアランスとを連通させる出口流路と、
前記流路における前記軸線に直交する流路断面積は、前記シュラウドの前端から前記出口流路の開口位置まで漸次減少している流体機械。
【請求項2】
前記出口流路は、前記流路形成面における該流路形成面の内径が最小となる最小内径位置を基準として前記シュラウドの軸線方向の寸法の±10%の範囲の領域に開口している請求項1に記載の流体機械。
【請求項3】
前記第二プロペラの回転時において、前記流路における前記入口流路の開口箇所の静圧が、前記流路における前記出口流路の開口箇所の静圧よりも大きくなるように、前記流路断面積の減少率が設定されている請求項1又は2に記載の流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、流体機械の一例として、外周駆動の船舶推進装置が開示されている。上記船舶推進装置は、軸線を中心とした円筒状をなすダクトと、このダクトの内側に同軸に二段で保持された二重反転プロペラと、この二重反転プロペラを回転させるモータと、を有する推進ユニットを備えている。
【0003】
ダクト内には、二段のプロペラにそれぞれ対応するように二つのモータが収容されている。これらモータは、プロペラの外周部に設けられたロータと、このロータを外周側から取り囲むステータと、を有している。ロータ及びステータは、それぞれの外周面及び内周面が軸線に対して平行な円筒状をなしており、二つのモータは、軸線方向における同一の径方向位置に並設されている。二つのプロペラがこれらモータによって外周駆動されることにより、ダクト内の流体は軸線方向に圧送され、船舶推進装置は推進力を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-100013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の推進ユニットでは、ロータの回転に伴って熱が発生するため、モータを熱から保護するために冷却する必要がある。前段側のプロペラの下流側の流路と上流側の流路との間では、静圧の差が常に生じる。そのため、前段側のモータのロータとダクトとで画成される流路、及び前段側のモータのロータとステータとで画成されるクリアランスを通じて、流体が前段側のプロペラよりも下流側の空間から上流側の空間に向かって常に流れる。これにより、前段側のモータは流体と常に熱交換することができる。
【0006】
一方、後段側のモータでは、後段側のモータのロータとダクトとで画成される流路の開口部の位置によっては、後段側のプロペラを挟む上流側の流路と下流側の流路とで静圧の大きさが逆転する可能性があり、流体が流れる向きを把握することが難しい。このため、後段側のプロペラを回転駆動させるモータを安定して冷却できない可能性がある。
【0007】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、後段側のプロペラを回転駆動させるモータを安定して冷却することができる流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る流体機械は、軸線方向に延びる軸部と、前記軸部を囲うように設けられて、該軸部との間で前記軸線方向に流体が流通可能な流路を区画する流路形成面を形成するシュラウド内周面を有するシュラウドと、路内で前記軸線回りに回転可能に設けられた第一プロペラと、前記流路内における前記第一プロペラよりも下流側で前記軸線回りに回転可能に設けられた第二プロペラとを備え、前記第二プロペラは、前記流路内で径方向に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置された複数の羽根と、シュラウド内周面から凹むキャビティに収容されて複数の前記羽根を周方向に接続するリング状をなす外周リングと、を有し、前記外周リングに固定されたリング状をなし前記シュラウド内に収容されたロータ、及び、クリアランスを介して前記ロータを囲うリング状をなし前記キャビティ内で前記シュラウドに固定されたステータを有するモータをさらに備え、前記外周リングは、径方向内側を向き、複数の羽根よりも上流側及び下流側に延びるとともに、前記シュラウドの内周面とともに前記流路形成面を形成するリング内周面を有し、前記外周リングの上流側の端面と前記キャビティの内面とによって区画形成され、前記流路に対して径方向内側に向かって開口することで、前記流路と前記クリアランスとを連通させる入口流路と、前記外周リングの下流側の端面と前記キャビティの内面とによって区画形成され、前記流路に対して径方向内側に向かって開口することで、前記流路と前記クリアランスとを連通させる出口流路と、前記流路における前記軸線に直交する流路断面積は、前記シュラウドの前端から前記出口流路の開口位置まで漸次減少している。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、後段側のプロペラを回転駆動させるモータを安定して冷却することができる流体機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る水中航走体の船尾の斜視図である。
図2】本開示の実施形態に係る推進装置の縦断面図である。
図3図2の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(水中航走体)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1及び図2に示すように、水中航走体1は、航走体本体2及び推進装置(流体機械)8を有している。
【0012】
(航走体本体)
航走体本体2は、軸線Oに沿って延びる耐圧性容器によって構成されている。航走体本体2内には、例えば水中航走に必要な各種機器、電源、通信設備、センサ等が収容されている。
【0013】
(推進装置)
推進装置8は、航走体本体2の後部に該航走体本体2と一体に設けられている。推進装置8は、水中航走体1を水中で推進させるための装置である。
推進装置8は、軸部3と、第一プロペラ10Aと、第二プロペラ10Bと、軸受部40と、シュラウド50と、連結部70と、ストラット78と、円筒モータと、コニカルモータ(モータ)90と、を有している。
【0014】
(軸部)
図2に示すように、軸部3は航走体本体2の後部に一体に設けられている。軸部3は、航走体本体2の一部であってもよい。軸部3は軸線O方向に延びる棒状をなしている。本実施形態における軸部3は、軸線O方向一方側(航走体本体2の前方側)から軸線O方向他方側(航走体本体2の後方側)に向かうに従って縮径する円錐台形状をなしている。軸部3の径方向外側を向く面は、軸線O方向他方側に向かうに従って縮径するテーパ状をなす軸外周面3aとされている。
【0015】
軸部3には、軸外周面3aから径方向内側に凹むとともに周方向にわたって環状に延びる収容溝5が形成されている。本実施形態における収容溝5は、軸線O方向に間隔をあけて二つが形成されている。
詳しくは図3に示すように、収容溝5の底となる径方向外側を向く面は、溝底面5aとされている。溝底面5aは軸線Oを中心とした円筒面状をなしている。
【0016】
収容溝5を構成する軸線O方向一方側の面は、溝上流側面5bとされている。溝上流側面5bは、軸線Oに直交する平面状をなしており、軸線O方向他方側を向いている。溝上流側面5bは、軸線Oを中心とする環状に延びている。
【0017】
収容溝5を構成する軸線O方向他方側の面は、溝下流側面5cとされている。溝下流側面5cは、軸線Oに直交する平面状をなしており、軸線O方向一方側を向いている。溝下流側面5cは、軸線Oを中心とする環状に延びている。溝下流側面5cは、溝上流側面5bと平行をなしている。
【0018】
(第一プロペラ、第二プロペラ)
図2及び図3に示すように、第一プロペラ10A及び第二プロペラ10Bは、軸部3の外周側に配置されており、軸部3に対して軸線O回りに相対回転可能とされている。第一プロペラ10Aは、内周リング11、第一羽根20A及び外周リング30から構成されている。第二プロペラ10Bは、内周リング11、第二羽根(羽根)20B及び外周リング30から構成されている。
【0019】
(内周リング)
内周リング11は、軸線Oを中心とするリング状をなす部材である。第一プロペラ10Aの内周リング11は、軸線O方向一方側の収容溝5内に収容されている。第二プロペラ10Bの内周リング11は、軸線O方向他方側の収容溝5内に収容されている。
【0020】
図3に示すように、内周リング11は、リング内面12、上流端面13、下流端面14及び外周流路面15を有している。
リング内面12は、内周リング11の内周面を構成している。リング内面12は、周方向にわたって溝底面5aと対向する円筒面状をなしている。リング内面12の内径は溝底面5aの外径よりも大きく設定されている。
【0021】
上流端面13は、内周リング11における軸線O方向一方側を向く面であって、溝上流側面5bの軸線O方向他方側に間隔をあけて配置されている。
下流端面14は、内周リング11における軸線O方向他方側を向く面であって、溝下流側面5cの軸線O方向一方側に間隔をあけて配置されている。
【0022】
外周流路面15は、内周リング11における径方向外側を向く外周面を構成している。外周流路面15は、軸線O方向他方側に向かうに従って縮径するテーパ面状をなしている。外周流路面15は、軸外周面3aに連なるように延びている。
【0023】
(第一羽根、第二羽根)
第一羽根20Aは、第一プロペラ10Aの内周リング11における外周流路面15から径方向外側に延びるように設けられている。第二羽根20Bは、第二プロペラ10Bの内周リング11における外周流路面15から径方向外側に向かうように延びている。第一羽根20A及び第二羽根20Bは、周方向に間隔をあけて複数が内周リング11に設けられている。第一羽根20A及び第二羽根20Bの軸線O方向の寸法、いわゆるコード長は、内周リング11の軸線O方向の寸法よりも小さい。
【0024】
第一羽根20A及び第二羽根20Bは、径方向に交差する断面形状が翼型をなしている。第一羽根20A及び第二羽根20Bの軸線O方向一方側の縁部は、上流側となる前縁とされている。第一羽根20A及び第二羽根20Bの軸線O方向他方側の縁部は、下流側となる後縁とされている。以下では、軸線O方向一方側を単に「上流側」と称し、軸線O方向他方側を単に「下流側」と称する。
【0025】
(外周リング)
図2及び図3に示すように、外周リング30は、第一プロペラ10A及び第二プロペラ10Bの外周部を構成する部材であって、軸線Oを中心としたリング状をなしている。第一プロペラ10Aの外周リング30は、周方向に配列された複数の第一羽根20Aを周方向に接続している。第二プロペラ10Bの外周リング30は、周方向に配列された複数の第二羽根20Bを周方向に接続している。第一プロペラ10Aの外周リング30の軸線O方向の寸法は、第一羽根20Aの軸線O方向の寸法よりも大きい。第二プロペラ10Bの外周リング30の軸線O方向の寸法は、第二羽根20Bの軸線O方向の寸法よりも大きい。
【0026】
第一プロペラ10Aの外周リング30は、第一基部32と、第一押さえ部34と、第二押さえ部35と、を有している。
第二プロペラ10Bの外周リング30は、第二基部33と、第一押さえ部34と、第二押さえ部35と、を有している。
【0027】
第一基部32は、第一プロペラ10Aにおける外周リング30の本体部分に相当する部材であり、軸線Оを中心に円筒状をなしている。第一基部32は、リング内周面31と、円筒固定面32aと、を有する。リング内周面31は、第一基部32の内周面を構成する面である。第一基部32のリング内周面31は、周方向に配列された複数の第一羽根20Aの径方向外側の端部に一体に接続されている。円筒固定面32aは、第一基部32における外周面を構成する面である。円筒固定面32aは、軸線Oを中心とする円筒面状をなしており、軸線O方向に延びている。円筒固定面32aは、軸線Oに平行とされている。
【0028】
第二基部33は、第二プロペラ10Bにおける外周リング30の本体部分に相当する部材であり、軸線Оを中心に円筒状をなしている。第二基部33は、リング内周面31と、テーパ固定面33aと、を有する。リング内周面31は、第二基部33の内周面を構成する面である。第二基部33のリング内周面31は、周方向に配列された複数の第二羽根20Bの径方向外側の端部に一体に接続されている。テーパ固定面33aは、第二プロペラ10Bの外周リング30における外周面を構成する面である。テーパ固定面33aは、下流側に向かうに従って縮径するテーパ面状をなしている。テーパ固定面33aは一様のテーパ角度で、即ち、軸線Oに対して一様な傾斜角で軸線O方向に延びている。このようなテーパ固定面33aを有することで、第二プロペラ10Bの外周リング30の径方向の厚さは、下流側に向かうに従って小さくなっている。
【0029】
ここでテーパ固定面33aの平均外径は、円筒固定面32aの平均外径よりも小さく設定されている。本実施形態ではテーパ固定面33aは、軸線O方向で一様なテーパ形状で延びている。そのため、テーパ固定面33aの平均外径は、テーパ固定面33aの軸線O方向の中央での外径と同一である。また、円筒固定面32aの平均外径は、円筒固定面32aの軸線O方向での任意の部分での外径と同一である。
本実施形態では、テーパ固定面33aの上流側の端部の外径は、円筒固定面32aの下流側の端部の外径と同一、又は該円筒固定面32aの下流側の端部の外径よりも小さく設定されている。
【0030】
第一押さえ部34は、第一基部32の円筒固定面32aの上流側の端部、及び、第二基部33のテーパ固定面33aの上流側の端部からそれぞれ径方向外側に張り出すとともに周方向にわたって延びている。第一押さえ部34の軸線O方向一方側を向く面は、外周リング30の上流側の端面である外周リング上流面34aとされている。
【0031】
第二押さえ部35は、第一基部32の円筒固定面32aの下流側の端部、及び、第二基部33のテーパ固定面33aの下流側の端部からそれぞれ径方向外側に張り出すとともに周方向にわたって延びている。第二押さえ部35の軸線O方向他方側を向く面は、外周リング30の下流側の端面である外周リング下流面35aとされている。
【0032】
(軸受部)
軸受部40は、第一プロペラ10A及び第二プロペラ10Bを軸部3に対して軸線O回りに回転可能に支持する。軸受部40は、収容溝5内に設けられており、第一プロペラ10A及び第二プロペラ10Bの内周リング11を回転可能に支持している。軸受部40は、ラジアル軸受41、上流側スラスト軸受42及び下流側スラスト軸受43から構成されている。
【0033】
ラジアル軸受41は、収容溝5における溝底面5a上に周方向にわたって設けられている。ラジアル軸受41として、本実施形態ではジャーナル軸受を採用している。ラジアル軸受41の外径は内周リング11の内径よりも小さい。これにより、ラジアル軸受41と内周リング11との間には周方向にわたってクリアランスが形成されている。
【0034】
上流側スラスト軸受42は、収容溝5における溝上流側面5b上に周方向にわたって設けられている。上流側スラスト軸受42は、内周リング11の上流端面13と軸線O方向にクリアランスを介して対向している。
【0035】
下流側スラスト軸受43は、収容溝5における溝下流側面5c上に周方向にわたって設けられている。下流側スラスト軸受43は、内周リング11の下流端面14と軸線O方向にクリアランスを介して対向している。
【0036】
ラジアル軸受41、上流側スラスト軸受42及び下流側スラスト軸受43と、内周リング11と、の間には、収容溝5に流入する水が介在されている。これによって、ラジアル軸受41、上流側スラスト軸受42及び下流側スラスト軸受43は、内周リング11との間に形成される水膜を介して該内周リング11を回転可能に支持している。
【0037】
(シュラウド)
シュラウド50は、軸部3、第一プロペラ10A及び第二プロペラ10Bを外周側から囲うように設けられている。シュラウド50は、軸線Oを中心とした環状をなしている。シュラウド50は、軸部3の外周面から径方向に間隔をあけて配置されている。これによって、シュラウド50と軸部3との間には、軸線O方向にわたって環状をなすとともに、軸線O方向に流体が流通可能な流路が形成されている。
【0038】
シュラウド50は、シュラウド内周面51と、シュラウド外周面52とを有する。シュラウド内周面51は、径方向内側を向く面であり、軸部3との間で軸線O方向に流体が流通可能な流路を区画している。シュラウド外周面52は、シュラウド50における径方向外側を向く面である。
【0039】
流路内には、径方向に延びる第一プロペラ10Aの第一羽根20A及び第二プロペラ10Bの第二羽根20Bが配置されており、第一プロペラ10A及び第二プロペラ10Bの外周リング30は、シュラウド50内に収容されている。したがって、第一プロペラ10Aは、流路内で軸線O回りに回転可能に設けられており、第二プロペラ10Bは、流路内における第一プロペラ10Aよりも下流側で軸線O回りに回転可能に設けられている。
【0040】
本実施形態におけるシュラウド50は、軸線Oを含む断面形状が翼型をなしている。シュラウド内周面51とシュラウド外周面52との上流側の端部の接続箇所は、周方向にわたって環状をなすシュラウド前縁53とされている。シュラウド内周面51とシュラウド外周面52との下流側の端部での接続箇所は、周方向にわたって環状をなすシュラウド後縁54とされている。シュラウド後縁54の軸線O方向位置は、軸部3の軸線O方向他方側の後端の軸線O方向位置と同一とされている。
【0041】
シュラウド50は、上流側から下流側に向かうに従って徐々に縮径する形状をなしている。本実施形態では、シュラウド50の断面翼型におけるシュラウド内周面51とシュラウド外周面52からの距離が等しい翼中心線(キャンバーライン)が、上流側から下流側に向かうに従って徐々に径方向内側に傾斜している。これにより、シュラウド後縁54は、シュラウド前縁53よりも径方向内側に位置している。
【0042】
シュラウド外周面52は、シュラウド前縁53付近では下流側に向かうに従って一旦拡径し、その後さらに下流側に向かうに従って滑らかに縮径していく。シュラウド外周面52は、径方向外側に向かって凸となる凸曲面状をなしている。
【0043】
シュラウド50には、シュラウド内周面51から径方向外側に向かって凹む第一キャビティ50A及び第二キャビティ(キャビティ)50Bが形成されている。第一キャビティ50Aは、シュラウド50における上流側寄りの部分に形成されており、第二キャビティ50Bは、シュラウド50における下流側寄りの部分に形成されている。即ち、第二キャビティ50Bは第一キャビティ50Aよりも下流側に形成されている。
【0044】
第一キャビティ50Aには、第一プロペラ10Aの外周リング30が収容されている。第二キャビティ50Bには第二プロペラ10Bの外周リング30が収容されている。
第一キャビティ50A内における径方向内側を向く面には、軸線Oを中心とする円筒面状をなす底部を有する円筒固定凹部56が形成されている。円筒固定凹部56は、第一プロペラ10Aの外周リング30における第一基部32の円筒固定面32aと対応する軸線O方向位置に形成されている。
【0045】
第二キャビティ50Bにおける径方向内側を向く面には、下流側に向かうに従って一様のテーパ角度で縮径する底部を有するテーパ固定凹部57が形成されている。テーパ固定凹部57は、第二プロペラ10Bの外周リング30における第二基部33のテーパ固定面33aと対応する軸線O方向位置に形成されている。
【0046】
それぞれの外周リング30における第一基部32及び第二基部33のリング内周面31は、シュラウド内周面51に軸線O方向に連なるようにして延びている。即ち、リング内周面31は、シュラウド内周面51の凸曲面の一部を構成するように延びている。本実施形態におけるリング内周面31は、シュラウド内周面51とともにシュラウド前縁53からシュラウド後縁54にかけて一様に連なる流路形成面55を形成している。
【0047】
流路形成面55におけるシュラウド前縁53からシュラウド後縁54に向かうシュラウド後縁54寄りの中途位置には、軸線Oからの径方向の距離が最小となる位置、即ち流路形成面55における該流路形成面55の内径が最小となる位置がある。本実施形態では、流路形成面55における該流路形成面55の内径が最小となるこの位置を最小内径位置Pと称する。
【0048】
流路形成面55は、最小内径位置Pからシュラウド後縁54に向かうに従って滑らかに拡径している。したがって、流路形成面55は、径方向内側に向かって凸となる凸曲面状をなしている。なお、流路形成面55は、最小内径位置Pからシュラウド後縁54に向かうに従って拡径していなくてもよく、流路形成面55は、最小内径位置Pからシュラウド後縁54に向かうに従って軸線Oに平行に延びていてもよい。
【0049】
流路形成面55と軸部3の軸外周面3aとの間に形成される環状の流路は、シュラウド前縁53から最小内径位置Pに向かうに従って径方向内側に絞られていく。これによって、流路の流路断面積は、シュラウド前縁53の位置から下流側に向かうに従って漸次減少し、最小内径位置Pで最小となる。
【0050】
最小内径位置Pは、第二プロペラ10Bの第二羽根20Bの後縁から下流側に離間したところに位置している。最小内径位置Pは、第二羽根20Bの後縁と外周リング30における第二基部33のリング内周面31との接続位置よりも、第二羽根20Bの翼弦長(コード長)の半分以上の距離離間していることが望ましい。
【0051】
第一キャビティ50Aの内面を構成する軸線O方向一方側の面は、第一キャビティ上流面58aとされている。第一キャビティ上流面58aは、軸線Oに直交する平面状をなしており、軸線O方向他方側を向いている。第一キャビティ上流面58aは、軸線Oを中心とする環状に延びている。
【0052】
第一キャビティ50Aの内面を構成する軸線O方向他方側の面は、第一キャビティ下流面58bとされている。第一キャビティ下流面58bは、軸線Oに直交する平面状をなしており、軸線O方向一方側を向いている。第一キャビティ下流面58bは、軸線Oを中心とする環状に延びている。第一キャビティ下流面58bは、第一キャビティ上流面58aと平行をなしている。
【0053】
シュラウド50は、第一プロペラ10Aの外周リング30における外周リング上流面34aと、第一キャビティ上流面58aとによって周方向に区画形成される第一出口流路100を有している。第一出口流路100は、流路形成面55における第一プロペラ10Aよりも軸線O方向一方側の部分に開口している。
【0054】
シュラウド50は、第一プロペラ10Aの外周リング30における外周リング下流面35aと、第一キャビティ下流面58bとによって周方向に区画形成される第一入口流路101を有している。第一入口流路101は、流路形成面55における第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の部分に開口している。
【0055】
第二キャビティ50Bの内面を構成する軸線O方向一方側の面は、第二キャビティ上流面59aとされている。第二キャビティ上流面59aは、軸線Oに直交する平面状をなしており、軸線O方向他方側を向いている。第二キャビティ上流面59aは、軸線Oを中心とする環状に延びている。
【0056】
第二キャビティ50Bの内面を構成する軸線O方向他方側の面は、第二キャビティ下流面59bとされている。第二キャビティ下流面59bは、軸線Oに直交する平面状をなしており、軸線O方向一方側を向いている。第二キャビティ下流面59bは、軸線Oを中心とする環状に延びている。第二キャビティ下流面59bは、第二キャビティ上流面59aと平行をなしている。
【0057】
シュラウド50は、第二プロペラ10Bの外周リング30における外周リング上流面34aと、第二キャビティ上流面59aとによって周方向に区画形成される第二入口流路(入口流路)102を有している。第二入口流路102は、流路形成面55における第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の部分に開口している。
【0058】
シュラウド50は、第二プロペラ10Bの外周リング30における外周リング下流面35aと第二キャビティ下流面59bとによって周方向に区画形成される第二出口流路(出口流路)103を有している。第二出口流路103は、流路形成面55における第二プロペラ10Bから下流側に離間した部分に開口している。
【0059】
具体的には、第二出口流路103は、流路形成面55における該流路形成面55の内径が最小となる最小内径位置Pの近傍に開口している。本実施形態における最小内径位置Pの近傍は、この最小内径位置Pを基準としてシュラウドの軸線方向の寸法Rの±10%の範囲の領域であることが望ましい。
【0060】
ここで、本実施形態におけるシュラウド50は、軸線O方向に分割された複数の分割体を連結することによって構成されている。即ち、分割体としてのシュラウド50は、上流分割体61、中間分割体62及び下流分割体63によって構成されている。
【0061】
上流分割体61は、シュラウド前縁53を含む上流側の部分を構成している。中間分割体62は、シュラウド50における上流分割体61の下流側に連なる部分を構成している。上流分割体61における径方向内側かつ下流側の部分を大きく切り欠いた箇所を、中間分割体62が下流側から閉塞することによって第一キャビティ50Aが区画形成されている。下流分割体63は、中間分割体62の下流側に連なる部分であって、シュラウド後縁54を含む部分を構成している。下流分割体63における径方向内側かつ上流側の部分を大きく切り欠いた箇所を、中間分割体62が上流側から閉塞することによって第二キャビティ50Bが区画形成されている。
【0062】
(連結部)
図1に示すように、連結部70は、シュラウド50におけるシュラウド外周面52から突出するように設けられている。連結部70はシュラウド50の複数の分割体を互いに連結する。
【0063】
(ストラット)
図1及び図2に示すように、ストラット78は、シュラウド50と軸部3とを連結することで、軸部3に対してシュラウド50を支持する。ストラット78は、周方向に間隔をあけて複数が設けられており、軸線O方向に延びている。ストラット78における下流側の端部は、シュラウド50に固定されている。ストラット78の上流側の端部は軸部3の軸外周面3aに固定されている。
ストラット78の軸線Oに直交する断面形状は、径方向を長手方向として周方向を短手方向とした偏平矩形状をなしている。これによって、水中航走体1の推進の回転を抑制している。
【0064】
(円筒モータ)
図2及び図3に示すように、円筒モータ80は、シュラウド50における第一キャビティ50A内に収容されている。円筒モータ80は、第一プロペラ10Aを回転駆動する。円筒モータ80は、円筒ステータ81及び円筒ロータ82を有している。
【0065】
円筒ステータ81は、軸線Oを中心として軸線O方向に延びる円筒状をなしている。円筒ステータ81の内周面及び外周面は、軸線Oに平行とされている。円筒ステータ81の外周面は、シュラウド50の第一キャビティ50A内における円筒固定凹部56に嵌め込まれている。即ち、円筒ステータ81は、シュラウド50と一体に固定されている。円筒ステータ81の外周面の外径は、円筒固定凹部56の底面の内径と軸線O方向にわたって同一とされている。
【0066】
円筒ロータ82は、軸線Oを中心として軸線O方向に延びる円筒状をなしている。円筒ロータ82の内周面及び外周面は、軸線Oに平行とされている。円筒ロータ82の外径は円筒ステータ81の内径よりも小さく設定されている。円筒ロータ82の軸線O方向の寸法は、円筒ステータ81と同一とされている。円筒ロータ82は、第一プロペラ10Aの外周リング30における第一基部32の円筒固定面32aに外周側から一体に固定されている。したがって、円筒ロータ82の内径は、円筒固定面32aの外径と軸線O方向にわたって同一とされている。
【0067】
円筒ロータ82の外周面は、円筒ステータ81の内周面に周方向及び軸線O方向にわたって対向している。円筒ロータ82の外周面と円筒ステータ81の内周面との間には、周方向及び軸線O方向にわたって第一クリアランスC1が形成されている。第一クリアランスC1は、第一出口流路100及び第一入口流路101に接続されている。したがって、第一出口流路100及び第一入口流路101は、流路と第一クリアランスC1とを連通させている。
【0068】
円筒ロータ82の上流側の端面は、第一プロペラ10Aの外周リング30における第一押さえ部34に下流側から当接している。円筒ロータ82の下流側の端面は、第一プロペラ10Aの外周リング30における第二押さえ部35に上流側から当接している。
このような円筒モータ80では、円筒ステータ81に通電されることで回転磁界が発生し、これによって円筒ロータ82が軸線O回りに回転する。
【0069】
(コニカルモータ)
図2及び図3に示すように、コニカルモータ90は、シュラウド50における第二キャビティ50B内に収容されている。コニカルモータ90は、第二プロペラ10Bを駆動する。コニカルモータ90は、コニカルロータ(ロータ)92及びコニカルステータ(ステータ)91を有している。
【0070】
コニカルロータ92は、第二プロペラ10Bの外周リング30の外周側に固定されたリング状をなし、シュラウド50内に収容されている。コニカルステータ91は、クリアランスを介してロータを囲うリング状をなし、シュラウド50内に固定されている。
【0071】
コニカルモータ90では、コニカルステータ91のコイルに通電されることで生じる回転磁界によって、コニカルロータ92が軸線O回りに回転駆動する。コニカルモータ90の回転方向は、円筒モータ80の回転方向とは逆方向とされている。即ち、コニカルモータ90と円筒モータ80とは、回転方向が互いに反対とされている。
【0072】
図2及び図3に示すように、コニカルロータ92は、第二プロペラ10Bの外周リング30における第二基部33に固定された状態で、上流側の端部が第一押さえ部34に下流側から当接している。コニカルロータ92の下流側の端部は、第二押さえ部35に上流側から当接している。
【0073】
コニカルロータ92の外周面は、コニカルステータ91の内周面に周方向及び軸線O方向にわたって対向している。コニカルロータ92の外周面とコニカルステータ91の内周面との間には、周方向及び軸線O方向にわたって第二クリアランスC2が形成されている。第二クリアランスC2は、第二入口流路102及び第二出口流路103に接続されている。したがって、第二入口流路102及び第二出口流路103は、流路と第二クリアランスC2とを連通させている。
【0074】
(作用効果)
上記構成の水中航走体1は推進装置8が駆動されることで水中を航行することができる。即ち、シュラウド50の第一キャビティ50A内の円筒モータ80が駆動されると、該円筒モータ80の円筒ロータ82に一体に固定された第一プロペラ10Aが周方向一方側に向かって軸線O回りに回転する。これにより、流路内に位置する第一羽根20Aによって下流側に水が圧送される。また、円筒モータ80の駆動と同時にコニカルモータ90が駆動されると、該コニカルモータ90のコニカルロータ92に一体に固定された第二プロペラ10Bが周方向他方側に向かって軸線O回りに回転する。これにより、流路内に位置する第二羽根20Bによって下流側に水が圧送される。
【0075】
そして、第一プロペラ10A及び第二プロペラ10Bには水を圧送する際の反力として、上流側に向かう推進力が発生する。この推進力は、第一プロペラ10A及び第二プロペラ10Bの内周リング11から水膜及び上流側スラスト軸受42を介して軸部3に伝達される。これによって、軸部3及びこれと一体とされた航走体本体2に推進力が作用し、水中航走体1が推進する。
【0076】
本実施形態における推進装置8によれば、第二入口流路102が流路形成面55における第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の部分に開口しており、第二出口流路103が流路形成面55における第二プロペラ10Bから下流側に離間した部分に開口している。そして、流路の流路断面積は、少なくとも第二プロペラ10Bよりも下流側に向かうに従って小さくなる。つまり、第二プロペラ10Bよりも下流側の流路における流体の静圧は、第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の流路における流体の静圧よりも低くなる、即ち、第二プロペラ10Bを境に二つの流路間の静圧に差が生じる。これにより、流路内を上流から下流へと流れる流体の一部は、第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の流路から、第二入口流路102、第二クリアランスC2、第二出口流路103の順に常に流れ、第二プロペラ10Bよりも下流側の流路へ流出する。したがって、第二クリアランスC2を流れる流体とコニカルモータ90とが常時熱交換するため、コニカルモータ90を安定して冷却することができる。
【0077】
また、本実施形態における推進装置8によれば、第二出口流路103は、流路形成面55における該流路形成面55の内径が最小となる最小内径位置Pの近傍に開口している。これにより、第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の流路から、第二入口流路102、第二クリアランスC2、及び第二出口流路103を介して第二プロペラ10Bよりも下流側の流路へと流れる流体の流速を上昇させることができる。したがって、コニカルモータ90をより効果的に冷却することができる。
【0078】
また、本実施形態における推進装置8によれば、最小内径位置Pの近傍は、最小内径位置Pを基準としてシュラウドの軸線方向の寸法Rの±10%の範囲の領域である。これにより、上記作用効果を具体的な設計値で実現することができる。
【0079】
また、本実施形態における推進装置8によれば、外周リング30のリング内周面31がシュラウド50のシュラウド内周面51とともに流路形成面55を形成している。これにより、リング内周面31近傍で流体が剥離等を起こしてしまう可能性を低減できる。つまり、流体が第二プロペラ10Bを通過する際に生じる圧力損失を低減することができる。したがって、流体を第二プロペラ10Bよりも下流側へより効率的に圧送することができる。
【0080】
[その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0081】
実施形態では、流路形成面55と軸部3の軸外周面3aとの間に形成される環状の流路は、シュラウド前縁53から最小内径位置Pに向かうに従って径方向内側に絞られていく構成を説明した。しかしながら、これに限定されることはない。例えば、流路形成面55における、第二プロペラ10Bよりも上流側の部分は、径方向の寸法が軸線О方向に一様であって、第二プロペラ10Bよりも下流側の部分のみが該下流側に向かうに従って縮径している構成であってもよい。
【0082】
さらに、実施形態では、第一プロペラ10A、第二プロペラ10Bの二つのプロペラのうち、第二プロペラ10Bを駆動するモータのみをコニカルモータ90とした例について説明した。しかしながら、これに限定されることはない。即ち、複数のプロペラに対応するように当該プロペラと同数のモータが設けられていればよく、これらモータのそれぞれは円筒型であってもコニカル型のいずれであってもよい。
【0083】
さらに、実施形態では、シュラウド50の断面形状を翼型にした例について説明したが、必ずしも翼型でなくてもよい。シュラウド50の断面形状は流線形状であることが好ましいが、例えば、矩形状等の他の形状であってもよい。この場合であっても、流路形成面55を形成するシュラウド内周面51は下流側に向かって縮径することで、流路断面積が下流側程小さくなる流路を区画形成する。
【0084】
また、シュラウド50の形状は少なくともシュラウド内周面51が下流側に向かうに従って縮径していればよい。即ち、シュラウド外周面52の形状は下流側に向かうに従って縮径していなくてもよい。
【0085】
さらに、実施形態では、本発明に係る流体機械を水中航走体1の推進装置8に適用した例について説明した。しかしながらこれに限定されることはなく、例えば、水上を航行する船舶等の推進装置に流体機械を適用してもよい。
また、本発明に係る流体機械は、推進装置のみならず、ポンプ等の他の水中で用いられる流体機械に適用してもよい。また、水を圧送する流体機械のみならず、油等の他の液体を圧送する流体機械に本発明を適用してもよい。
【0086】
[付記]
各実施形態に記載の推進装置(流体機械)は、例えば以下のように把握される。
【0087】
(1)第1の態様に係る流体機械は、軸線O方向に延びる軸部3と、前記軸部3を囲うように設けられて、該軸部3との間で前記軸線O方向に流体が流通可能な流路を区画する流路形成面55を形成するシュラウド内周面51を有するシュラウド50と、前記流路内で前記軸線O回りに回転可能に設けられたと第一プロペラ10A、前記流路内における前記第一プロペラ10Aよりも下流側で前記軸線O回りに回転可能に設けられた第二プロペラ10Bと、前記第二プロペラ10Bの外周部に固定されたリング状をなし前記シュラウド50内に収容されたロータ、及び、クリアランスを介して前記ロータを囲うリング状をなし前記シュラウド50内に固定されたステータを有するモータと、を備え、前記流路形成面55は、少なくとも前記第二プロペラ10Bよりも下流側の部分が該下流側に向かうに従って縮径しており、前記シュラウド50は、前記流路形成面55における前記第一プロペラ10Aと前記第二プロペラ10Bとの間の部分に開口するとともに、前記流路と前記クリアランスとを連通させる入口流路と、前記流路形成面55における前記第二プロペラ10Bから下流側に離間した部分に開口するとともに、前記流路と前記クリアランスとを連通させる出口流路と、を有する。
【0088】
上記構成によれば、流路の流路断面積は、少なくとも第二プロペラ10Bよりも下流側に向かうに従って小さくなる。つまり、第二プロペラ10Bよりも下流側の流路における流体の静圧は、第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の流路における流体の静圧よりも低くなる、即ち、第二プロペラ10Bを境に二つの流路間の静圧に差が生じる。これにより、流路内を上流から下流へと流れる流体の一部は、第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の流路から、入口流路、クリアランス、出口流路の順に常に流れ、第二プロペラ10Bよりも下流側の流路へ流出する。したがって、クリアランスを流れる流体とモータとが常時熱交換することができる。
【0089】
(2)第2の態様に係る流体機械は、(1)の流体機械であって、前記出口流路は、前記流路形成面55における該流路形成面55の内径が最小となる最小内径位置Pの近傍に開口していてもよい。
【0090】
上記構成によれば、第一プロペラ10Aと第二プロペラ10Bとの間の流路から、入口流路、クリアランス、及び出口流路を介して第二プロペラ10Bよりも下流側の流路へと流れる流体の流速を上昇させることができる。
【0091】
(3)第3の態様に係る流体機械は、(2)の流体機械であって、前記最小内径位置Pの近傍は、前記最小内径位置Pを基準として前記シュラウドの軸線方向の寸法Rの±10%の範囲の領域であってもよい。
【0092】
上記構成によれば、上記作用効果をより具体的な設計値で実現することができる。
【0093】
(4)第4の態様に係る流体機械は、(1)から(3)の何れかの流体機械であって、前記第二プロペラ10Bは、前記流路内で径方向に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置された複数の羽根と、前記シュラウド内周面51から凹むキャビティに収容されて複数の前記羽根を周方向に接続するリング状をなす外周リング30と、を有し、前記外周リング30は、径方向内側を向き、前記シュラウド50の内周面とともに前記流路形成面55を形成するリング内周面31を有し、前記入口流路は、前記外周リング30の上流側の端面と前記キャビティの内面とによって区画形成されており、前記出口流路は、前記外周リング30の下流側の端面と前記キャビティの内面とによって区画形成されている。
【0094】
上記構成によれば、リング内周面31近傍で流体が剥離等を起こしてしまう可能性を低減できる。つまり、流体が第二プロペラ10Bを通過する際に生じる圧力損失を低減することができる。
【符号の説明】
【0095】
1…水中航走体 2…航走体本体 3…軸部 3a…軸外周面 5…収容溝 5a…溝底面 5b…溝上流側面 5c…溝下流側面 8…推進装置(流体機械) 10A…第一プロペラ(プロペラ) 10B…第二プロペラ(プロペラ) 11…内周リング 12…リング内面 13…上流端面 14…下流端面 15…外周流路面 20A…第一羽根(羽根) 20B…第二羽根(羽根) 30…外周リング 31…リング内周面 32…第一基部 32a…円筒固定面 33…第二基部 33a…テーパ固定面 34…第一押さえ部 34a…外周リング上流面 35…第二押さえ部 35a…外周リング下流面 40…軸受部 41…ラジアル軸受 42…上流側スラスト軸受 43…下流側スラスト軸受 50…シュラウド 50A…第一キャビティ 50B…第二キャビティ 51…シュラウド内周面 52…シュラウド外周面 53…シュラウド前縁 54…シュラウド後縁 55…流路形成面 56…円筒固定凹部 57…テーパ固定凹部 58a…第一キャビティ上流面 58b…第一キャビティ下流面 59a…第二キャビティ上流面 59b…第二キャビティ下流面 61…上流分割体(分割体) 62…中間分割体(分割体) 63…下流分割体(分割体) 70…連結部 78…ストラット 80…円筒モータ(モータ) 81…円筒ステータ 82…円筒ロータ 90…コニカルモータ(モータ) 91…コニカルステータ(ステータ) 92…コニカルロータ(ロータ) 100…第一出口流路 101…第一入口流路 102…第二入口流路 103…第二出口流路 C1…第一クリアランス C2…第二クリアランス(クリアランス) O…軸線 P…最小内径位置 R…シュラウドの軸線方向の寸法
図1
図2
図3