(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】集塵装置およびそれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/16 20060101AFI20241129BHJP
A47L 9/10 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A47L9/16
A47L9/10 Z
(21)【出願番号】P 2021110890
(22)【出願日】2021-07-02
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】太田 博司
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-155053(JP,A)
【文献】特開2004-249068(JP,A)
【文献】特開2003-038397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/16
A47L 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機における電動送風機を内蔵した駆動装置に着脱可能に装着される集塵装置であって、互いに対向する底部と開口部とを有する集塵容器部と、前記集塵容器部の前記開口部に気密に嵌め込まれた筒状のカップ部と、前記カップ部と連通するように設けられた内筒フィルタ部と、前記内筒フィルタ部の外周面に設けられた内筒清掃部と、前記カップ部の内部を覆うカバー部
とを備え、
前記内筒フィルタ部と前記内筒清掃部との一方である回動部は、前記内筒フィルタ部と前記内筒清掃部との他方に対して相対的に回動可能であり、
前記内筒清掃部は、前記内筒フィルタ部の外周面に沿って螺旋方向に延びる板状に形成され、前記内筒フィルタの外周面に接触する螺旋状リブを有し、
前記螺旋状リブの前記螺旋方向は、前記集塵容器部の内部を旋回する空気の旋回方向に沿った方向である、集塵装置。
【請求項2】
回動可能に前記カバー部に設けられたハンドルをさらに備え、
前記回動部は、前記ハンドルの回動に伴って回動し、
前記螺旋状リブは、前記回動部の回動によって、前記内筒フィルタ部の外周面に付着したダストを前記底部側に移動させる、請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記回動部は、前記内筒清掃部であり、
前記ハンドルと前記内筒清掃部とを連結する動力伝達機構をさらに備え、
前記内筒フィルタ部は前記カップ部に連結しており、
前記ハンドルを回動させることにより前記内筒清掃部が回動する、請求項
2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記回動部は、前記内筒フィルタ部であり、
前記ハンドルと前記内筒フィルタ部とを連結する動力伝達機構をさらに備え、
前記内筒清掃部は前記カップ部に連結しており、
前記ハンドルを回動させることにより前記内筒フィルタ部が回動する、請求項
2に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記動力伝達機構は、前記ハンドル側の第1軸部と、前記内筒フィルタ部側の第2軸部と、前記第1軸部と前記第2軸部との間に設けられたラチェット機構部とを備え、
前記ラチェット機構部は、前記ハンドルを第1の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記第2軸部へ前記第1の方向の回動力を伝達して
前記回動部を前記第1の方向に回動させ、かつ、前記ハンドルを第2の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記第2軸部へ前記第2の方向の回動力を遮断して
前記回動部を回動させない、請求項
3または4に記載の集塵装置。
【請求項6】
前記カップ部内に設けられた第2フィルタ部と、前記軸心を中心として回動可能に前記
第2フィルタ部に設けられた除塵部とをさらに備え、
前記ラチェット機構部は、前記ハンドルを第1の方向または第2の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記除塵部へ前記第1の方向または前記第2の方向の回動力を伝達して前記除塵部を前記第2フィルタ部に摺接させて除塵させる、請求項5に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記軸心を中心として回動可能に前記カップ部内に設けられた第2遠心分離部をさらに備え、
前記ハンドルは第1の方向または第2の方向に回動可能であり、
前記ハンドルを第1の方向または第2の方向に回動させたときに
前記回動部が第1の方向または第2の方向に回動する、請求項
3または4に記載の集塵装
置。
【請求項8】
前記動力伝達機構は、前記ハンドル側の第1軸部と、前記第1軸部と前記第2遠心分離部との間に設けられたラチェット機構部とを備え、
前記ラチェット機構部は、前記ハンドルを第1の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記第2遠心分離部へ前記第1の方向の回動力を伝達して
前記回動部を前記第1の方向に回動させ、かつ、前記ハンドルを第2の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記第2遠心分離部へ前記第2の方向の回動力を遮断して
前記回動部を回動させない、請求項7に記載の集塵装置。
【請求項9】
前記回動部と連結して共に回動するダスト圧縮用の螺旋羽根を前記底部側にさらに備え、
前記螺旋羽根は、前記ハンドルを第1の方向または第2の方向に回動させたときに前記集塵容器内のダストを前記底部側へ圧縮する螺旋方向に延びている、請求項
2~8のいずれか1つに記載の集塵装置。
【請求項10】
電動送風機を内蔵する駆動装置と、前記駆動装置に着脱可能に装着される請求項1~9のいずれか1つに記載の集塵装置とを備えた、ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置およびそれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサイクロン式電気掃除機として、例えば特許文献1には、集塵装置に設けられた上部ハンドルを回動させることによって、集塵容器内の内筒フィルタ部の下方に設けられた螺旋羽根を回動させて容器内部の底部に溜まったダストを圧縮するものが提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、電動送風機を内蔵した掃除機本体と、掃除機本体に接続された可撓性ホースと、吸気口体と、吸気口体に接続された接続パイプと、可撓性ホースと接続パイプとの間に設けられたハンドルおよびサイクロン式集塵部とを備えた電気掃除機が提案されている。この電気掃除機において、サイクロン式集塵部は、可撓性ホースの端部に設けられた筒状フィルタと、筒状フィルタの外周面に設けられた螺旋状のブラシ体と、接続パイプと連通する略円筒形の集塵容器とを備える。また、可撓性ホースの端部は、集塵容器の接続口の軸心を中心として回動可能に接続口に接続されており、ブラシ体は接続口に固定されている。このように構成された特許文献2の電気掃除機によれば、集塵容器に対して可撓性ホースを左右方向に回動させることにより、筒状フィルタがブラシ体に対して左右方向に回動し、それによって筒状フィルタの外周面に付着したダストをブラシ体によって払い落とすことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-155053号公報
【文献】特開2003-38397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電気掃除機では、内筒フィルタ部の外周面に付着したダストを除去することができない。
【0006】
また、特許文献2の電気掃除機では、筒状フィルタの外周面に付着したダストをブラシ体にて払い落とす際、集塵容器がぐらつかないように一方の手でハンドルを握り、他方の手で可撓性ホースを左右方向に捻って筒状フィルタを左右方向に回動させるという操作が必要となる。この際、ハンドルを握っていても集塵容器がぐらついて安定しにくく、しかも可撓性ホースがぶらついて捻りにくいため操作性およびメンテナンス性がよいとは言えない。
【0007】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされた電気掃除機の集塵装置およびそれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電気掃除機における電動送風機を内蔵した駆動装置に着脱可能に装着される集塵装置であって、互いに対向する底部と開口部とを有する集塵容器部と、前記集塵容器部の前記開口部に気密に嵌め込まれた筒状のカップ部と、前記カップ部と連通するように設けられた内筒フィルタ部と、前記内筒フィルタ部の外周面に設けられた内筒清掃部と、前記カップ部の内部を覆うカバー部と、前記内筒フィルタ部の軸心を中心として回動可能に前記カバー部に設けられたハンドルとを備え、
前記内筒フィルタ部と前記内筒清掃部とは互いに回動可能であり、
前記ハンドルを回動させることにより前記内筒清掃部または前記内筒フィルタ部が回動して前記内筒フィルタ部と前記内筒清掃部とが互いに摺接するように構成された、ことを特徴とする電気掃除機の集塵装置を提供する。
【0009】
また本発明は、電動送風機を内蔵する駆動装置と、前記駆動装置に着脱可能に装着される前記集塵装置とを備えた、ことを特徴とする電気掃除機を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による電気掃除機の集塵装置によれば、ハンドルを回動して内筒フィルタ部に付着したダストを容易に除去することができるため、操作性およびメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1の集塵装置が駆動装置に装着された掃除機本体を示す斜視図である。
【
図2】
図1の掃除機本体の内部構造を示す断面図である。
【
図3】
図1の掃除機本体の駆動装置から集塵装置を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の駆動装置を上方から視た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態1の集塵装置を示す正面図である。
【
図6】
図5の集塵装置の内部構造を示す左側断面図である。
【
図8】
図7の分解した集塵装置における内筒フィルタ部と内筒清掃部とを分解した図である。
【
図9】第2実施形態の集塵装置の内部構造を示す断面図である。
【
図10】第3実施形態の集塵装置におけるラチェット機構部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、本発明を限定するものと解されるべきではない。
(第1実施形態)
図1は本発明の実施形態1の集塵装置が駆動装置に装着された掃除機本体を示す斜視図であり、
図2は
図1の掃除機本体の内部構造を示す断面図である。また、
図3は
図1の掃除機本体の駆動装置から集塵装置を取り外した状態を示す斜視図であり、
図4は
図3の駆動装置を上方から視た斜視図である。なお、
図1~3中の矢印は電気掃除機の掃除機本体1の前後左右上下方向を示しており、接続口11b側を前方、反対側を後方、前輪14側を下方、集塵装置20側を上方とし、掃除機本体1の後方上方から見た状態における左側を左側方とし右側を右側方と定義する。掃除機本体1はこれらの方向に基づいて説明される。
【0013】
図1~
図4に示すように、本発明の実施形態1の集塵装置20はキャニスター型の駆動装置10に着脱可能に装着され、これにより電気掃除機の掃除機本体1が構成される。なお、掃除機本体1の駆動装置10には、図示しないハンドルおよび操作部を有する可撓性ホース、延長パイプおよび吸込口体が接続される。
【0014】
<駆動装置の構成>
図1~
図4に示すように、掃除機本体1において、駆動装置10は、集塵装置20を横倒し状態で上下方向に着脱させる上方開口凹形の集塵装置装着部12を有する筐体11と、筐体11の内部に設けられた電動送風機30と、筐体11に回転可能に設けられた左右一対の車輪13および前輪14とを備える。
【0015】
筐体11は、平面的に視て長円形の上端縁を有し、その上端縁の前部が平面視U形のハンドル部11aとなっている。また、筐体11内の右側後部には、電動送風機30に外部電源からの電力を供給する電源コード(不図示)を筐体11内に巻き取るコードリール40が設けられると共に、筐体11の集塵装置装着部12の後部にはコードリール40から引き出した電源コードをコードリール40を作動させて巻き取らせる巻き取り開始ボタン15が設けられている。
【0016】
本実施形態の場合、集塵装置装着部12は、集塵装置20を横倒し状態で装着できるように筐体11の上面側に設けられると共に、集塵装置20の後述する集塵容器部21の底部21bを保持する保持板16を筐体11の上面に上方突出状に有している(
図3、4参照)。
【0017】
また、筐体11は、図示しない可撓性ホースの基端部と接続可能な接続口11bをハンドル部11aの下方かつ集塵装置装着部12の前方に有し、集塵装置20の後述する(
図5に示す)空気流入口21abおよび空気排出口25bと接続可能な空気導出口11cおよび空気導入口11dを集塵装置装着部12の底部左後方および底部前部に有し、後壁部11eに排気口11eaを有している。
また、空気導出口11cおよび空気導入口11dの周囲にはそれぞれパッキンが設けられると共に、空気導入口11dにはパッキン付きのフィルタ50(
図2参照)が装着される。
さらに、筐体11の後壁部11eにおける排気口11eaの周囲3箇所には駆動装置10を直立可能とする突起状の脚部11fが設けられている。
【0018】
図1~4に示すように、駆動装置10の内部において、接続口11bと空気導出口11cとの間が空気の第1流通経路17aとなっており、空気導入口11dと電動送風機30との間が第2流通経路17bとなっており、電動送風機30と後壁部11eの排気口11eaとの間が第3流通経路17cとなっている。なお、電動送風機30は、集塵装置装着部12の前後方向中間位置の下部(空気導出口11cの横)に配置されると共に、第3流通経路17cは電動送風機30からコードリール40の左右両側に回り込んで排気口11eaに達している。
【0019】
また、
図3と
図4に示すように、集塵装置装着部12において、空気導入口11dの左右両側には、集塵装置20の後述する一対のロック爪26rが(
図5参照)係脱可能に係止する一対の係合凹部11gが設けられている。
【0020】
また、接続口11bには図示しない可撓性ホースの基端部に設けられた電気配線部の凹形端子と電気的に接続可能な凸形端子11ba(
図2参照)が設けられ、凸形端子11baはリード線を介して回路基板(不図示)と電気的に接続されている。なお、回路基板は、筐体11内のコードリール40の近傍に設けられ、電動送風機30および電源コード(不図示)とリード線等を介して電気的に接続されている。
【0021】
<集塵装置の構成>
図5は本発明の実施形態1の集塵装置を示す正面図であり、
図6は
図5の集塵装置の内部構造を示す左側断面図である。また、
図7は
図5の集塵装置の分解図であり、
図8は
図7の分解した集塵装置における内筒フィルタ部と内筒清掃部とを分解した図である。なお、
図5~7中の矢印は集塵装置20が立った状態のときの上下方向を示しており、この上下方向に基づいて集塵装置20を説明する。
【0022】
図5~8に示すように、集塵装置20は、集塵容器部21と、集塵容器部21に気密に嵌め込まれた筒状のカップ部22と、カバー部25と、ハンドル26とを有する。カップ部22は、カップ部22と連通するように設けられた内筒フィルタ部23と、内筒フィルタ部23の外周面に設けられた内筒清掃部24とを有する組品でもある。なお、内筒フィルタ部23と内筒清掃部24は、集塵容器部21にカップ部22が取付けられた状態において、集塵容器部21内に位置する。カバー部25は、カップ部22の内部を覆う。ハンドル26は、内筒フィルタ部23の軸心Pを中心として回動可能にカバー部25に設けられている。
また、本実施形態の場合、集塵装置20は、カップ部22内に設けられた第2フィルタ部27と、軸心Pを中心として回動可能に第2フィルタ部27に設けられた除塵部28と、ハンドル26と内筒清掃部24とを連結する動力伝達機構29とをさらに備える。
【0023】
この集塵装置20は、内筒フィルタ部23と内筒清掃部24との少なくとも一方が他方に対して回動可能であり、ハンドル26を回動させることにより内筒清掃部24または内筒フィルタ部23が軸心Pを中心として回動して内筒フィルタ部23と内筒清掃部24とが互いに摺接するように構成されている。本実施の形態では、内筒フィルタ部23は回動せず、内筒清掃部24が回動する構造となっている。
以下、集塵装置20の各部について説明する。
【0024】
[集塵容器部]
集塵容器部21は、円筒形の胴部21aと、胴部21aの下方の一端側開口部にヒンジ部21baを介して開閉可能に設けられた底部21bとを有し、胴部21aの底部21bと対向する上方の他端側開口部(請求項1の開口部に相当)がカップ部22を着脱可能に装着する装着口21aaとなっている(
図7参照)。
また、集塵容器部21において、胴部21aには外周面との略接線方向上に開口する前記空気流入口21abが設けられると共に、胴部21aの一端側開口部および底部21bの外周部には底部21bの閉状態を解除可能にロックするロック部21cが設けられている。
また、胴部21aの装着口21aaの内周面の対向する2箇所にはL形の係止溝21acが設けられると共に、係止溝21acの近傍には内鍔部21adが設けられている。
【0025】
[カップ部]
図6~8に示すように、カップ部22は、上方から視てD字形の外郭を有するカップ上部22aと、逆円錐台形の外郭を有するカップ下部22bとが互いに連設してなる筒形部材であり、カップ下部22bが集塵容器部21の装着口21aaに着脱可能に嵌め込まれるようになっている。
また、カップ上部22aの外面上縁の対向する2箇所にはヒンジ軸部22aaと係止片22abとが設けられている。なお、ヒンジ軸部22aaは、カバー部25の後述のヒンジ枢着部25c(
図7参照)が枢着する部分であり、係止片22abはカバー部25の係止片25d(
図5参照)が係脱可能に係止する部分である。
また、カップ下部22bにおけるカップ上部22a側の外周面には、集塵容器部21の2つの係止溝21acに係脱可能に係止するL型の係止凸部22baが設けられている(
図8参照)。
なお、カップ部22は、内筒フィルタ部23と内筒清掃部24を有することで組品でもある。
【0026】
[内筒フィルタ部]
図8に示すように、第1フィルタ部としての内筒フィルタ部23は、周方向に並ぶ複数の縦スリット23aaを有する内筒本体23aと、内筒本体23aの外周面に巻かれて複数の縦スリット23aaを覆うメッシュシート23ab(
図6参照)とを有してなる。
内筒本体23aの上端は、カップ部22のカップ下部22bの逆円錐台外面を受け入れる形状に形成されており、その逆円錐台外面に連結固定されている。これにより、内筒本体23aの内部とカップ部22の内部とが連通している。
【0027】
[内筒清掃部]
図6~8に示すように、内筒清掃部24は、内筒フィルタ部23の外周面に周方向に延びる螺旋状リブ24cを有している。
詳しく説明すると、内筒清掃部24は、周方向に並ぶ複数の窓部24aaを有し内筒本体23aの周囲を覆う胴部24aと、胴部24aの一端(集塵容器部21の底部21b側)に連結された胴部24aよりも小径の小径筒部24bと、胴部24aの外周部に設けられた前記螺旋状リブ24cと、小径筒部24bの外周面に設けられた螺旋羽根24dとを有する。
また、螺旋状リブ24cと螺旋羽根24dは連結しているが、分離していてもよい。なお、
図8においては、180°ずれた状態で2本の螺旋状リブ(螺旋状リブ24cと螺旋羽根24d)が設けられているが、説明しやすいように螺旋状リブ24cと螺旋羽根24dの一部を不図示としている。
【0028】
胴部24aは、内筒フィルタ部23のメッシュシート23abの外周面と摺接可能なサイズに形成された円筒枠形部分と、円筒枠形部分よりも太くなった拡径部分とを有し、円筒枠形部分の外周部における内筒フィルタ部23の複数の縦スリット23aaと重なる位置に複数の窓部24aaが設けられている。また、胴部24aの拡径部分はカップ下部22bに摺接可能に嵌り込んでいる。また、本実施形態では、1つの窓部24aaに2つの縦スリット23aaが位置する構造となっている。なお、胴部24aは、内筒フィルタ部23に対して軸心Pを中心として回動可能である。
【0029】
螺旋状リブ24cは、複数の窓部24aaを周方向に横切るように胴部24aの外周面に設けられており、窓部24aaの位置においては少なくとも胴部24aの肉厚分は螺旋状リブ24cが窓部24aaの内側に入り込んでいる。本実施形態では、胴部24aの内周面と窓部24aaにおける螺旋状リブ24cの内周面とは面一(連続した同一面)となっている。これにより、窓部24aaに位置する螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23のメッシュシート23abの外周面に摺接し、内筒フィルタ部23に対し、内筒清掃部24が回動すると、メッシュシート23abの外周面に付着したダストを払うことができる。なお、本実施形態では、螺旋状リブ24cが胴部24aの外周面から1~2mm程度突出しているが、螺旋状リブ24cの胴部24aの外周面からの突出寸法はさらに小さくてもよい。
【0030】
また、螺旋状リブ24cは、胴部24aが内筒フィルタ部23に対して第1の方向または第1の方向とは逆の第2の方向に回動させたときに、内筒フィルタ部23のメッシュシート23abの外周面に付着したダストを底部21b側へ移動させる螺旋方向に延びている。本実施形態の場合、ハンドル26は第1の方向にも第2の方向にも回動させることができるが、ハンドル26を第1の方向である右回り(時計回り)に回動させるよう設定されている。
【0031】
つまり、本実施形態の場合、胴部24aおよび螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23に対して第1の方向に回動したときに、内筒フィルタ部23のメッシュシート23abの外周面に付着したダストを底部21b側へ移動させる螺旋方向に螺旋状リブ24cが延びている。なお、ハンドル26を第2の方向である左回り(反時計回り)に回動させるよう設定する場合は、胴部24aおよび螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23に対して第2の方向に回動したときに、内筒フィルタ部23のメッシュシート23abの外周面に付着したダストを底部21b側へ移動させる螺旋方向(
図6~8に示す螺旋方向とは逆向き)に螺旋状リブ24cが延びるようにすればよい。
【0032】
また、上述したように、本実施形態の場合、螺旋状リブ24cは2本設けられており、一方の螺旋状リブ24cの螺旋の間に他方の螺旋状リブ24cが平行に配置されている。本実施形態では、螺旋状リブ24cは窓部24aa全体に亘って配置されている。本実施形態の場合、螺旋状リブ24cにおける小径筒部24bに対応する部分は、ダスト圧縮用の前記螺旋羽根24dとして機能する。なお、2本の螺旋状リブ24cおよび螺旋羽根24dは、1本に繋がっていてもよいし、分離していてもよい。また、螺旋状リブ24c(螺旋羽根24d)は省略してもよい。
【0033】
また、内筒清掃部24において、胴部24aの底部には軸心Pを中心とする同心円上に複数の突起片24eが設けられている。複数の突起片24eは、ハンドル26を回す力が後述する動力伝達機構29を介して伝達される部分であり、複数の突起片24eが軸心Pを中心として回動することにより内筒清掃部24全体が同じ方向に回動する。
【0034】
[第2フィルタ部]
図2、6、7に示すように、第2フィルタ部27は、上方から視てD字形の輪郭を有するプリーツ状フィルタである。この第2フィルタ部27は、カップ部22に嵌め込まれたときに内筒フィルタ部23の軸心Pと一致する位置に、動力伝達機構29の一部を挿通させる挿通孔が設けられている。
【0035】
[カバー部]
図2、3、5~7に示すように、カバー部25は、カップ部22のD字形の開口部と合致するD字形の開口部を有すると共に、カップ部22に嵌め合わされたときに軸心Pと一致する位置に、ハンドル26および動力伝達機構29の一部を支持するボス部25aを有している。
また、カバー部25は、カップ部22に嵌め合わされたときに集塵容器部21の空気流入口21abが開口する方向と同じ方向に開口する空気排出口25bを有すると共に、空気排出口25bの両側には後述する一対のロック爪26rを挿通させる一対の孔部が設けられている。
【0036】
さらに、カバー部25は、空気排出口25bが開口する向きと直交する方向に突出する前記ヒンジ枢着部25cを外面に有すると共に、外面におけるヒンジ枢着部25cとは反対側には前記係止片25dが設けられている。
カバー部25のヒンジ枢着部25cがカップ部22のヒンジ軸部22aaに枢着されているため、ヒンジ軸部22aaを中心としてカバー部25を開き第2フィルタ部27をカップ部22から取り外して水洗いすることができる。また、カバー部25を閉じると、カバー部25の係止片25dがカップ部22の係止片22abに係止してカバー部25が不意に開かないようになっている。
【0037】
[ハンドルおよびロック爪]
図1~3、5~7に示すように、ハンドル26は、略ボビン形に形成されており、カバー部25のボス部25aの周囲の円環状凹部25eに軸心Pを中心として回動可能に、かつ、軸心P方向にスライド可能に嵌め込まれている。
また、カバー部25には、互いに連結された一対のロック爪26rが揺動可能に設けられている。
【0038】
集塵装置20が駆動装置10の集塵装置装着部12に装着された状態において、一対のロック爪26rは集塵装置装着部12の一対の係合凹部11g(
図4参照)に係合して装着状態がロックされている。
このロック状態のときにハンドル26を軸心P方向に引っ張ることにより、一対のロック爪26rが揺動して一対の係合凹部11gから離脱するため、ハンドル26を持って集塵装置20を引き上げることにより集塵装置装着部12から取り外すことができる。また、ハンドル26を離すと圧縮コイルバネ26sによる付勢力によって一対のロック爪26rは元のロック位置に戻り、集塵装置20を集塵装置装着部12に装着する際に一対のロック爪26rは一対の係合凹部11gに係合する。
【0039】
[動力伝達機構および除塵部]
図2、6~8に示すように、動力伝達機構29は、ハンドル26内の軸心P上に設けられた第1軸部29aと、第2フィルタ部27の挿通孔に回動可能に挿通された第2軸部29bと、第1軸部29aと第2軸部29bの互いに対向する端部に設けられた第1ギア29cおよび第2ギア29dと、第2軸部29bの第2ギア29dとは反対側の端部に設けられた複数の垂下爪部29eと、カップ部22のカップ下部22b内に回動可能に設けられた円筒形の中継枠体29f(
図8参照)とを備える。なお、中継枠体29fは複数の垂下片を有している。
【0040】
除塵部28は、第2ギア29dと連結した円形枠体28aと、第2フィルタ部27と摺接可能に円形枠体28aに設けられた複数の摺接部28bおよび摘み28cとを有する。
【0041】
[掃除機本体の動作および集塵装置のメンテナンスについて]
図1と2に示す本発明の集塵装置20を備えた電気掃除機の掃除機本体1は、清掃時には、図示しないハンドルおよび操作部を有する可撓性ホース、延長パイプおよび吸込口体が接続される。
操作部にて電源をONにすると、電動送風機30が駆動し、被清掃面上の塵埃を空気と共に吸い込んで清掃する。吸込口体に吸い込まれた塵埃を含む空気は、延長パイプおよび可撓性ホースを介して掃除機本体1内に吸引される。
【0042】
以下、
図1~
図8を参照しながら掃除機本体1内における空気の流れを説明する。なお、空気の流れは、
図2中の矢印F1~F10の順となっている。
塵埃を含む空気は、まず、駆動装置10の接続口11bに流入し(矢印F1)、接続口11bと空気導出口11cの間の第1流通経路17aを通り(矢印F2)、集塵装置20の集塵容器部21の空気流入口21abに流入する(矢印F3)。
【0043】
集塵容器部21内に流入したダストを含む空気は、集塵容器部21内を旋回し、この間に比較的大きな第1のダストは遠心力により集塵容器部21の内周面側を旋回し、微細なダストを含む空気は内筒フィルタ部23へ向かう(矢印F4)。これにより、比較的大きな第1のダストは集塵容器部21内に溜まる。
【0044】
内筒フィルタ部23を通過した第1のダストよりも微細な第2のダストを含む空気は、カップ部22と第2フィルタ部27との間のスペースに流入し(矢印F5)、第2のダストは第2フィルタ部27にて捕捉される。第2フィルタ部27を通過した空気は第2フィルタ部27とカバー部25との間のスペースに流入し(矢印F6)、空気排出口25bから駆動装置10のフィルタ50を通過して空気導入口11d内に流入する(矢印F7)。
【0045】
駆動装置10内に流入した清浄化された空気は、空気導入口11dと電動送風機30との間の第2流通経路17bを通り、電動送風機30を通過し、電動送風機30と排気口11eaとの間の第3流通経路17cを通り(矢印F8、F9)、排気口11eaから外部に排出される(矢印F10)。
【0046】
次に、
図1~
図8を参照しながら清掃後の掃除機本体1の集塵装置20のメンテナンスの一例について説明する。
まず、集塵装置20のハンドル26を前方へ引っ張ることにより、一対のロック爪26rが揺動して駆動装置10の一対の係合凹部11gから離脱するため、ハンドル26をそのまま持ち上げて集塵装置20を駆動装置10から取り外す。
【0047】
次に、集塵装置20を
図6に示すように立てた状態に保持し、ハンドル26に設けられた矢印の方向(
図1参照)、つまり第1の方向(
図6中の矢印A方向)である右回り(時計回り)にハンドル26を回すことによって、集塵装置20内の内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストの除去と、第2フィルタ部27の下面に付着したダストの除去と、集塵容器部21内の底部21b側に溜まったダストの圧縮とを同時に行う。
【0048】
この際、ハンドル26が矢印A方向に回動すると、第1軸部29aおよび第1ギア29cが同じ方向に回動し、第1ギア29cと噛合した第2ギア29dと第2軸部29bと複数の垂下爪部29eが同じ方向に回動し、複数の垂下爪部29eと当接する中継枠体29fが同じ方向に回動し、中継枠体29fの複数の垂下片29faとそれぞれ当接する内筒清掃部24の複数の突起片24eが同じ方向に回動し、それによって内筒清掃部24全体が同じ方向に回動する。
【0049】
これにより、2本の螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面(メッシュシート23abの外周面)に接触しながら回動するため、2本の螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダスト(粒子状、繊維状等の第1のダスト)を下方へ削ぐように払い、ダストを集塵容器部21内の底部21b側へ落下させる。このとき、2本の螺旋状リブ24cが径方向にある程度の幅を有することにより、ダストが各螺旋状リブ24cの上方への回り込みを抑制することができる。
【0050】
また、第2ギア29dが矢印A方向に回動すると、除塵部28の複数の摺接部28bが同じ方向に回動するため、プリーツ状の第2フィルタ部27に複数の摺接部28bが摺接して第2フィルタ部27が振動する。これにより、第2フィルタ部27の下面に付着したダスト(第1のダストよりも微細な第2のダスト)がカップ部22のカップ下部22b内に落下し、さらに内筒フィルタ部23内を通して集塵容器部21内の底部21b側へ落下する。なお、第2軸部29bのワイパー部材を連結し、第2軸部29bと共に回動するワイパー部材によってカップ下部22b上に落ちたダストを払い落とすように構成してもよい。
【0051】
また、内筒清掃部24全体が矢印A方向に回動すると、螺旋羽根24dが同じ方向に回動するため、集塵容器部21内の底部21b側に溜まったダストが螺旋羽根24dによって圧縮される。なお、螺旋羽根24dの下面には、ダストと摺接することによってダストを塊にする複数の小突起24daが設けられてもよい。
なお、このようなダストの除塵および圧縮は、集塵装置20を駆動装置10に装着したままの状態でも行うことができるが、適切な除塵および圧縮は、集塵装置20を駆動装置10から取り外し、集塵装置20を立てた状態で行うことが望ましい。また、カバー部25を開き、除塵部28の摘み28cを矢印A方向に回動することでも同様にダストの除塵および圧縮を行うことができる。
【0052】
このようにダストの除塵および圧縮を行った後、ダストの廃棄および集塵装置20の洗浄を行う場合は、ロック部21cを操作し、底部を開いてダストを廃棄する。あるいは、集塵容器部21をカップ部22から取り外し、集塵容器部21内のダストを廃棄してもよい。また、
図7と8に示すように、カップ部22から内筒清掃部24を取り外し、カバー部25を開いてカップ部22内から第2フィルタ部27を取り外して各部品を分解し、集塵容器部21および分解した各部品を水洗いすることができる。なお、カップ部22から内筒フィルタ部23を取り外せる構造であってもよい。
【0053】
第1実施形態の集塵装置20は、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動することにより、内筒フィルタ部23に対して内筒清掃部24が同じ方向に回動してダストの除塵および圧縮を行うように構成された場合を例示したが、第1実施形態の構成は以下で説明する変形例1~3のように変更してもよい。
【0054】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態の変形例1として、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動することにより、内筒フィルタ部23に対して内筒清掃部24が同じ方向に回動してダストの除塵および圧縮を行うように集塵装置は構成されてもよい。
【0055】
この変形例1の集塵装置では、具体的には、第1実施形態における内筒清掃部24の螺旋状リブ24cおよび螺旋羽根24dの螺旋方向(
図6~8参照)を逆向きとする。
【0056】
この構成では、螺旋状リブ24cおよび螺旋羽根24dの螺旋方向を逆向きとしている。そのため、ハンドル26を第2の方向(
図1の矢印A方向とは逆方向)に回動することにより、内筒フィルタ部23に対して内筒清掃部の胴部24aが同じ方向に回動し、内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストが螺旋状リブ24cに当接して削ぎ落とされると共に、小径筒部24bおよび螺旋羽根24dが同じ方向に回動して集塵容器部21内のダストを圧縮する。この際、除塵部28による第2フィルタ部27の除塵動作は第1実施形態と同様である。
【0057】
(第1実施形態の変形例2)
第1実施形態の変形例2として、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動することにより、内筒清掃部24に対して内筒フィルタ部23が同じ方向に回動してダストの除塵および圧縮を行うように集塵装置は構成されてもよい。
【0058】
この変形例2の集塵装置では、具体的には、第1実施形態の構成を次のように変更する(
図6~8参照)。
(I) 内筒清掃部24の螺旋状リブ24cの螺旋方向を逆向きとする。
(II)螺旋状リブ24cを有する胴部24aをカップ部22のカップ下部22bに連結固定する。
(III)中継枠体29fと内筒フィルタ部23とを一体化する。
(IV)内筒清掃部24の胴部24aと螺旋羽根24dを有する小径筒部24bとの少なくとも一方が他方に対して回動可能とする。なお、螺旋状リブ24cと螺旋羽根24dは分離している。
(V)複数の突起片24eと小径筒部24bとを一体化する。
【0059】
この構成では、動力伝達機構29がハンドル26と内筒フィルタ部23とを連結している。そのため、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動することにより、内筒清掃部24の胴部24aに対して内筒フィルタ部23が同じ方向に回動し、内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストが螺旋状リブ24cに当接して削ぎ落とされると共に、小径筒部24bおよび螺旋羽根24dが同じ方向に回動して集塵容器部21内のダストを圧縮する。この際、除塵部28による第2フィルタ部27の除塵動作は第1実施形態と同様である。
【0060】
(第1実施形態の変形例3)
第1実施形態の変形例3として、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動することにより、内筒清掃部24に対して内筒フィルタ部23が同じ方向に回動してダストの除塵および圧縮を行うように集塵装置は構成されてもよい。
【0061】
この変形例3の集塵装置では、具体的には、第1実施形態の構成を次のように変更する(
図6~8参照)。
(A)螺旋状リブ24cを有する胴部24aをカップ部22のカップ下部22bに連結固定する。
(B)中継枠体29fと内筒フィルタ部23とを一体化する。
(C)螺旋羽根24dの螺旋方向を逆向きとする。
(D)内筒清掃部24の胴部24aと螺旋羽根24dを有する小径筒部24bとの少なくとも一方が他方に対して回動可能とする。なお、螺旋状リブ24cと螺旋羽根24dは分離している。
(E)複数の突起片24eと小径筒部24bとを一体化する。
【0062】
この構成では、動力伝達機構29がハンドル26と内筒フィルタ部23とを連結し、かつ、螺旋羽根24dの螺旋方向を逆向きとしている。そのため、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動することにより、内筒清掃部の胴部24aに対して内筒フィルタ部23が同じ方向に回動し、内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストが螺旋状リブ24cに当接して削ぎ落とされると共に、小径筒部24bおよび螺旋羽根24dが同じ方向に回動して集塵容器部21内のダストを圧縮する。この際、除塵部28による第2フィルタ部27の除塵動作は第1実施形態と同様である。
【0063】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態の集塵装置の内部構造を示す断面図である。なお、
図9において、
図6中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第1実施形態では第2フィルタ部27(
図6参照)が備えられた集塵装置20を例示したが、第2実施形態の集塵装置120は第2フィルタ部27の代わりに第2遠心分離部60が備えられており、第2遠心分離部60はハンドル26からの回動力を内筒清掃部124に伝える動力伝達機構129としての役割も担っている。第2実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。以下、第2実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0064】
図9に示すように、第2遠心分離部60は、複数の遠心分離筒61が同心円上に配置され一体化されてなる。
詳しく説明すると、遠心分離筒61は、短い内側筒部61aと、内側筒部61aとの間に隙間を保ちながら内側筒部61aの周囲から下方に延びる外側筒部61bとを有してなる。遠心分離筒61の上部は二重筒構造となっており、内側筒部61aの上端は開口し、外側筒部61bの上端は閉塞している。また、外側筒部61bは、内側筒部61aよりも下方部分が徐々に縮径した逆円錐台形状となっている。
【0065】
第2遠心分離部60は、回動力伝達円板62をさらに備えており、回動力伝達円板62によって複数の遠心分離筒61は軸心Pを中心とする同心円上に接合一体化されている。
回動力伝達円板62の上面は、複数の内側筒部61aを除いて閉塞しており、軸心P上には第2ギア29dが設けられている。なお、第2ギア29dは、ハンドル26と一体回動する第1軸部29aの下端の第1ギア29cと噛合する。
また、回動力伝達円板62の下面において、複数の遠心分離筒61にて囲まれた軸心P上の部分は下方開口部となっており、その下方開口部の内周部には各遠心分離筒61の外側筒部61bと連通する連通孔61cが設けられている。
【0066】
このように構成された第2遠心分離部60は、円筒状のカップ部122内に軸心Pを中心として回動可能かつ気密に嵌め込まれている。この状態において、複数の遠心分離筒61の外側筒部61bの下端は、カップ下部22b内に開口している。
また、第2遠心分離部60の下端側において、複数の遠心分離筒61の内側の下方開口凹部60aの周囲部には複数の垂下爪部29eが一体化されている。これら複数の垂下爪部29eは、内筒フィルタ部23内に設けられた中継枠体29fに当接可能となっている。また、中継枠体29fの下端は、内筒清掃部124の複数の突起片24eに当接可能となっている。
【0067】
また、本実施形態では、内筒清掃部124の胴部24aと小径筒部24bとの間にフランジ部24fが設けられており、フランジ部24fの周囲部から小径筒部24bの外周面に亘って螺旋羽根24dが設けられている。なお、螺旋状リブ24cおよび螺旋羽根24dの螺旋方向は第1実施形態と同様である。
【0068】
このように構成された第2実施形態の集塵装置120によれば、集塵容器部21内に流入したダストを含む空気は、集塵容器部21内を旋回し、この間に比較的大きな第1のダストは遠心力により集塵容器部21の内周面側を旋回し、微細なダストを含む空気は内筒フィルタ部23へ向かう。これにより、比較的大きな第1のダストは集塵容器部21内に溜まる。なお、集塵容器部21および内筒フィルタ部23によって第1遠心分離部が構成されている。
【0069】
内筒フィルタ部23を通過した第1のダストよりも微細な第2のダストを含む空気は、第2遠心分離部60に向かう。このとき、第2のダストを含む空気は、第2遠心分離部60の下方開口凹部60aから複数の連通孔61cを通って複数の遠心分離筒61内の内側筒部61aと外側筒部61bとの間の円環状スペースに流入する。この円環状スペースに流入した第2のダストを含む空気は、外側筒部61bの内周縁に沿って旋回しながら下方へ向かい、このとき第2のダストが遠心分離されてカップ下部22b内に落下する。一方、第2のダストが遠心分離された空気は、内側筒部61a内を通ってカバー部25内のスペースに流入し、空気排出口25bから駆動装置10の内部へ空気導入口11dからフィルタ50を通過して進入し、排気口11eaから外部に排出される。
【0070】
第2実施形態の集塵装置120のメンテナンスでは、第1実施形態と同様に、集塵装置120を
図9に示すように立てた状態に保持し、ハンドル26に設けられた矢印の方向(
図1参照)、つまり第1の方向(
図9中の矢印A方向)である右回り(時計回り)にハンドル26を回すことによって、集塵装置120内の内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストの除去と、集塵容器部21内の底部21b側に溜まったダストの圧縮とを同時に行うことができる。
【0071】
この際、ハンドル26が矢印A方向に回動すると、第1軸部29aおよび第1ギア29cが同じ方向に回動し、第1ギア29cと噛合した第2ギア29dと第2遠心分離部60と複数の垂下爪部29eが同じ方向に回動し、複数の垂下爪部29eと当接する中継枠体29fが同じ方向に回動し、中継枠体29fの複数の垂下片29faとそれぞれ当接する内筒清掃部24の複数の突起片24eが同じ方向に回動し、それによって内筒清掃部24全体が同じ方向に回動する。
【0072】
これにより、2本の螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面(メッシュシート23abの外周面)に接触しながら回動し、2本の螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを下方へ削ぐように払い落とす。この際、ダストはフランジ部24f上に溜まるようになっているが、フランジ部24fを省略して集塵容器部21内の底部21b側へ落下させてもよい。
また、内筒清掃部24全体が矢印A方向に回動すると、螺旋羽根24dが同じ方向に回動するため、集塵容器部21内の底部21b側に溜まったダストが螺旋羽根24dによって圧縮される。
【0073】
このようにダストの除塵および圧縮を行った後、ダストの廃棄および集塵装置20の洗浄を行う場合は、ロック部21cを操作し、底部を開いてダストを廃棄する。あるいは、集塵容器部21をカップ部22から取り外し、集塵容器部21内のダストを廃棄する。また、内筒フィルタ部23から内筒清掃部24を取り外し、カバー部25を開いてカップ部22内から第2遠心分離部60を取り外して各部品を分解し、集塵容器部21および分解した各部品を水洗いすることができる。
【0074】
第2実施形態の集塵装置120は、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動することにより、内筒フィルタ部23に対して内筒清掃部24が同じ方向に回動してダストの除塵および圧縮を行うように構成された場合を例示したが、第2実施形態の構成は以下で説明する変形例1~3のように変更してもよい。
【0075】
(第2実施形態の変形例1)
第2実施形態の変形例1として、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動することにより、内筒フィルタ部23に対して内筒清掃部124が同じ方向に回動してダストの除塵および圧縮を行うように集塵装置は構成されてもよい。
【0076】
この変形例1の集塵装置では、具体的には、第2実施形態における内筒清掃部124の螺旋状リブ24cおよび螺旋羽根24dの螺旋方向(
図9参照)を逆向きとする。
【0077】
この構成では、螺旋状リブ24cおよび螺旋羽根24dの螺旋方向を逆向きとしている。そのため、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動することにより、内筒フィルタ部23に対して内筒清掃部の胴部24aが同じ方向に回動し、内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストが螺旋状リブ24cに当接して削ぎ落とされると共に、小径筒部24bおよび螺旋羽根24dが同じ方向に回動して集塵容器部21内のダストを圧縮する。この際、除塵部28による第2フィルタ部27の除塵動作は第1実施形態と同様である。
【0078】
(第2実施形態の変形例2)
第2実施形態の変形例2は、第1実施形態の変形例2と同様に、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動することにより、内筒清掃部124に対して内筒フィルタ部23が同じ方向に回動してダストの除塵および圧縮を行うように集塵装置は構成されてもよい。
【0079】
具体的には、第2実施形態の変形例2の構成を次のように変更する(
図9参照)。
(I) 内筒清掃部124の螺旋状リブ24cの螺旋方向を逆向きとする。
(II)螺旋状リブ24cを有する胴部24aをカップ部22のカップ下部22bに連結固定する。
(III)中継枠体29fと内筒フィルタ部23とを一体化する。
(IV)内筒清掃部124の胴部24aと螺旋羽根24dを有する小径筒部24bとの少なくとも一方を他方に対して回動可能とする。なお、螺旋状リブ24cと螺旋羽根24dは分離している。
(V)複数の突起片24eと小径筒部24bとを一体化する。
【0080】
この構成では、動力伝達機構129がハンドル26と内筒フィルタ部23とを連結している。そのため、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動することにより、内筒清掃部124の胴部24aに対して内筒フィルタ部23が同じ方向に回動し、内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストが螺旋状リブ24cに当接して削ぎ落とされると共に、小径筒部24bおよび螺旋羽根24dが同じ方向に回動して集塵容器部21内のダストを圧縮する。
【0081】
(第2実施形態の変形例3)
第2実施形態の変形例3として、第1実施形態の変形例3と同様に、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動することにより、内筒清掃部124に対して内筒フィルタ部23が同じ方向に回動してダストの除塵を行うように集塵装置は構成されてもよい。
【0082】
この変形例3の集塵装置では、具体的には、第2実施形態の構成を次のように変更する(
図9参照)。
(I)螺旋状リブ24cを有する胴部24aをカップ部22のカップ下部22bに連結固定する。
(II)中継枠体29fと内筒フィルタ部23とを一体化する。
(III)螺旋羽根24dの螺旋方向を逆向きとする。
(IV)内筒清掃部124の胴部24aと螺旋羽根24dを有する小径筒部24bとの少なくとも一方を他方に対して回動可能とする。なお、螺旋状リブ24cと螺旋羽根24dは分離している。
(V)複数の突起片24eと小径筒部24bとを一体化する。
【0083】
この構成では、動力伝達機構129がハンドル26と内筒フィルタ部23とを連結し、かつ、螺旋羽根24dの螺旋方向を逆向きとしている。そのため、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動することにより、内筒清掃部124の胴部24aに対して内筒フィルタ部23が同じ方向に回動し、内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストが螺旋状リブ24cに当接して削ぎ落とされると共に、小径筒部24bおよび螺旋羽根24dが同じ方向に回動して集塵容器部21内のダストを圧縮する。
【0084】
(第3実施形態)
図10は第3実施形態の集塵装置におけるラチェット機構部を示す平面図である。なお、
図10において、
図6と7中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第1実施形態では、ハンドル26を第1の方向(
図6の矢印A方向)または第2の方向(
図6の矢印A方向とは逆方向)に回動させると内筒清掃部24が同じ第1の方向または第2の方向に回動するよう構成された集塵装置20を例示した。これに対し、第3実施形態の集塵装置は、ハンドル26を第1の方向(
図6の矢印A方向)と第2の方向(
図6の矢印A方向とは逆方向)の両方向に回動させることができるが、内筒清掃部24は第1の方向のみに回動するよう構成されている。
【0085】
図6~8、10を参照しながら説明すると、第3実施形態の集塵装置の構成は、第1実施形態の集塵装置20とは次の点が異なる。
(I)動力伝達機構29は、第1軸部29aと第2軸部29bとの間に設けられたラチェット機構部70(
図10参照)を備えている。
(II)ラチェット機構部70は、除塵部28の円形枠体28aの軸心P上に連結固定されたケース部71と、ケース部71内の軸心P上に回転可能に設けられたセンターギア72と、ケース部71内のセンターギア72を挟む位置に配置されてセンターギア72と噛合する回動可能な一対の遊星ギア73とを備える。
(III)ケース部71内には、センターギア72の回動方向に応じて一対の遊星ギア73が移動できる2つのスペースSを有し、2つのスペースSには軸心Pの点対称位置に一対の遊星ギア73が係止可能な一対の係止突起71aが設けられている。
【0086】
(IV)センターギア72の上面に第2ギア29dが設けられている。
(V)ケース部71の上面側には、センターギア72および一対の遊星ギア73を覆う天板(不図示)が設けられており、この天板には第2ギア29dを上方へ露出させる孔部が設けられている。
(VI)ケース部71の底部は第2軸部29bと連結一体化されている。
【0087】
このように構成された第3実施形態の集塵装置によれば、ハンドル26を右回りである第1の方向(矢印A方向である時計回り)に回動させると、第1軸部29aと第1ギア29cと第2ギア29dとを介してラチェット機構部70のセンターギア72が同じ方向(矢印A方向)に回動する。ラチェット機構部70が
図10に示す様態のとき、センターギア72が矢印A方向に回動すると、一対の遊星ギア73は矢印B方向に回動しながら一対の係止突起71aの方へ移動する。一対の係止突起71aに一対の遊星ギア73に当接して係止すると、一対の遊星ギア73の回動(自転)が停止するが、一対の遊星ギア73はセンターギア72から回動力を受けているため、一対の遊星ギア73が一対の係止突起71aを押してケース部71を矢印A方向に回動させる。これにより、一対の遊星ギア73は軸心Pを中心として矢印A方向に公転する。ケース部71が矢印A方向に回動することにより、第2軸部29bが矢印A方向に回動するため、内筒清掃部24が矢印A方向に回動して内筒フィルタ部23の除塵を行う。なお、ケース部71の矢印A方向の回動時に除塵部28も同じ方向に回動して第2フィルタ部27の除塵を行う。
【0088】
また、この除塵状態からハンドル26を左回りである第2の方向(矢印A方向とは逆方向の反時計回り)に回動させてセンターギア72が同じ方向に回動すると、一対の遊星ギア73は
図10に示すように2つのスペースSにおける一対の係止突起71aとは反対側に移動して矢印B方向とは逆方向に回動を継続する。このとき、ケース部71内の2つのスペースSにおける一対の係止突起71aとは反対側には突起物がないため、一対の遊星ギア73の矢印B方向とは逆方向の回動によってケース部71を回動させる力が加わらない。よって、ハンドル26を左回りである第2の方向へ回動したときは空回りとなり、内筒清掃部24が矢印A方向とは逆方向に回動しない。
【0089】
このように第3実施形態によれば、内筒清掃部24は、螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを下方(底部21b側)へ削ぎ落とす第1の方向(矢印A方向)へ回動するが、螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを上方(カップ部22側)へ移動させる第2の方向(矢印A方向とは逆方向)へは回動しないようになっている。なお、除塵部28も第1の方向(矢印A方向)のみに回動して第2フィルタ部27の除塵を行う。
【0090】
(第3実施形態の変形例1)
第3実施形態の変形例1は、
図10とは構成が異なる図示しないラチェット機構部が用いられる。
図6~8を参照しながら説明すると、この変形例1は第3実施形態(
図10参照)とは次の点が異なる。
(I)ラチェット機構部は、内周部に鋸歯を有するハブと、ハブ内に設けられたフリーボディと、フリーボディの外周部に設けられたラチェット(爪)とを備え、ハブが右回転である第1の方向(矢印A方向(時計回り))に回動したときはラチェットが鋸歯に係止してフリーボディに同じ方向の回動力が伝達されてフリーボディが回動し、ハブが左回転である第2の方向(矢印A方向とは逆方向(反時計回り))に回動したときはラチェットが引っ込んで鋸歯に係止せずフリーボディに回動力が伝達されずフリーボディは回動しない。
(III)ハブは第2ギア29dの下端に一体化されており、フリーボディは第2軸部29bと一体化されている。
【0091】
このように構成された第3実施形態の変形例1によれば、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動させると、第1軸部29aと第1ギア29cと第2ギア29dとを介してラチェット機構のハブとフリーボディと第2軸部29bとが同じ方向(矢印A方向)に回動し、内筒清掃部24が同じ方向(矢印A方向)に回動して内筒フィルタ部23の除塵を行う。なお、第2ギア29dの矢印A方向の回動時に除塵部28も同じ方向に回動して第2フィルタ部27の除塵を行う。
【0092】
また、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動させると、第1軸部29aと第1ギア29cと第2ギア29dとを介してラチェット機構のハブは同じ方向(矢印A方向とは逆方向)に空転する。つまり、第2の方向に回動するハブからフリーボディを介して第2軸部29bには第2の方向の回動力が伝達されず、そのため内筒清掃部24は回動しない。なお、第2ギア29dの矢印A方向とは逆方向の回動時にも除塵部28は同じ方向に回動して第2フィルタ部27の除塵を行う。
【0093】
このように第3実施形態の変形例1によっても、内筒清掃部24は、螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを下方(底部21b側)へ削ぎ落とす第1の方向(矢印A方向)へ回動するが、螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを上方(カップ部22側)へ移動させる第2の方向(矢印A方向とは逆方向)へは回動しないようになっている。なお、除塵部28はどちらの方向にも回動して第2フィルタ部27の除塵を行う。
なお、第3実施形態の変形例1において、ラチェット機構部のハブは第2軸部29bの下端に一体化され、フリーボディは第2ギア29d軸部29bと一体化されてもよい。
【0094】
(第4実施形態)
第2実施形態では、ハンドル26を第1の方向(
図9の矢印A方向)または第2の方向(
図9の矢印A方向とは逆方向)に回動させると内筒清掃部124が同じ第1の方向または第2の方向に回動するよう構成された集塵装置120を例示した。これに対し、第4実施形態の集塵装置は、ハンドル26を第1の方向(
図9の矢印A方向)と第2の方向(
図9の矢印A方向とは逆方向)の両方向に回動させることができるが、内筒清掃部124は第1の方向のみに回動するよう構成されている。
【0095】
具体的には、第4実施形態でも、第3実施形態と同様のラチェット機構部70(
図10)が用いられる。
図9と10を参照しながら説明すると、第4実施形態の場合、ラチェット機構部70のケース部71は、第2遠心分離部60の回動力伝達円板62の上面における軸心P上に固定される。なお、センターギア72の上面には第2ギア29dが設けられている。
【0096】
このように構成された第4実施形態の集塵装置によれば、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動させると、第3実施形態と同様に、ラチェット機構70のケース部71が同じ方向(矢印A方向)に回動するため、第2遠心分離部60が矢印A方向に回動し、それによって内筒清掃部124が矢印A方向に回動して内筒フィルタ部23の除塵を行う。
また、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動させると、第3実施形態と同様に、ラチェット機構70のケース部71は回動しないため、内筒清掃部124は回動しない。
【0097】
このように第4実施形態によれば、内筒清掃部124は、螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを下方(底部21b側)へ削ぎ落とす第1の方向(矢印A方向)へ回動するが、螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを上方(カップ部22側)へ移動させる第2の方向(矢印A方向とは逆方向)へは回動しないようになっている。
【0098】
(第4実施形態の変形例1)
第4実施形態の変形例1では、第3実施形態の変形例1と同様のラチェット機構部が用いられる。
【0099】
図9を参照しながら説明すると、第4実施形態の場合、ラチェット機構部のハブは第2ギア29dの下端に一体化されており、フリーボディは第2遠心分離部60の回動力伝達円板62の上面における軸心P上に固定される。
【0100】
このように構成された第4実施形態の変形例1によれば、ハンドル26を第1の方向(矢印A方向)に回動させると、第3実施形態の変形例1と同様に、ラチェット機構のハブとフリーボディと第2遠心分離部60とが同じ方向(矢印A方向)に回動し、内筒清掃部124が同じ方向(矢印A方向)に回動して内筒フィルタ部23の除塵を行う。
【0101】
また、ハンドル26を第2の方向(矢印A方向とは逆方向)に回動させると、第3実施形態の変形例1と同様に、ラチェット機構のハブは同じ方向(矢印A方向とは逆方向)に空転する。つまり、第2の方向に回動するハブからフリーボディを介して第2遠心分離部60には第2の方向の回動力が伝達されず、そのため内筒清掃部124は回動しない。
【0102】
このように第4実施形態の変形例1によっても、内筒清掃部124は、螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを下方(底部21b側)へ削ぎ落とす第1の方向(矢印A方向)へ回動するが、螺旋状リブ24cが内筒フィルタ部23の外周面に付着したダストを上方(カップ部22側)へ移動させる第2の方向(矢印A方向とは逆方向)へは回動しないようになっている。
なお、第4実施形態の変形例1において、ラチェット機構部のハブは第2遠心分離部60の回動力伝達円板62の上面における軸心P上に固定され、フリーボディは第2ギア29dの下端に一体化されてもよい。
【0103】
(他の実施形態)
上述の実施形態におけるサイクロン式集塵装置はキャニスター型の電気掃除機に備えられる場合を例示したが、スティック型またはハンディ型の電気掃除機に備えられてもよい。
【0104】
以上に述べたように、
(1)本発明による電気掃除機の集塵装置は、電気掃除機における電動送風機を内蔵した駆動装置に着脱可能に装着される集塵装置であって、互いに対向する底部と開口部とを有する集塵容器部と、前記集塵容器部の前記開口部に気密に嵌め込まれた筒状のカップ部と、前記カップ部と連通するように設けられた内筒フィルタ部と、前記内筒フィルタ部の外周面に設けられた内筒清掃部と、前記カップ部の内部を覆うカバー部と、前記内筒フィルタ部の軸心を中心として回動可能に前記カバー部に設けられたハンドルとを備え、
前記内筒フィルタ部と前記内筒清掃部とは互いに回動可能であり、
前記ハンドルを回動させることにより前記内筒清掃部または前記内筒フィルタ部が回動して前記内筒フィルタ部と前記内筒清掃部とが互いに摺接するように構成された、ことを特徴とする。
【0105】
この構成によれば、集塵装置のハンドルを回動させることにより、内筒フィルタ部と内筒清掃部とが互いに摺接して内筒フィルタ部の外周面に付着したダストを除去する(払い落とす)ことができる。このとき、集塵装置を駆動装置に装着したままの状態あるいは駆動装置から集塵装置を取り外して、ハンドルを安定的に回動操作することができる。また、駆動装置から取り外した集塵装置をゴミ箱まで持ち運んで集塵容器内に溜まったダストを廃棄することができるため、特許文献1のように電気掃除機全体をゴミ箱まで移動させるという煩雑さがない。つまり、特許文献1の電気掃除機では、集塵容器内に溜まったダストを廃棄する際、集塵容器を取り外してゴミ箱まで持ち運ぶと、筒状フィルタを床面上に置かなければならず、そうすると筒状フィルタおよびブラシ体に残留したダスト(例えば、粉状ダスト)が床面上に散乱するおそれがあるため、床面上に紙などのシートを敷いてその上に筒状フィルタを置く必要がある。あるいは、電気掃除機全体をゴミ箱まで移動させ、ゴミ箱上で集塵容器を取り外してダストを廃棄しなければならず、廃棄作業が煩雑となる。本発明による電気掃除機の集塵装置ではこのようなことがない。
【0106】
また、本発明による電気掃除機の集塵装置は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(2)前記ハンドルと前記内筒清掃部とを連結する動力伝達機構をさらに備え、
前記内筒フィルタ部は前記カップ部に連結しており、
前記ハンドルを回動させることにより前記内筒清掃部が回動するものであってもよい。
この構成によれば、動力伝達機構がカバー部から内筒フィルタ部に亘る範囲で挿通してハンドルと内筒清掃部とを連結する構造を得ることができる。
【0107】
(3)前記ハンドルと前記内筒フィルタ部とを連結する動力伝達機構をさらに備え、
前記内筒清掃部は前記カップ部に連結しており、
前記ハンドルを回動させることにより前記内筒フィルタ部が回動するものであってもよい。
この構成によれば、動力伝達機構がカバー部から内筒フィルタ部に亘る範囲で挿通してハンドルと内筒フィルタ部と連結する構造を得ることができる。
【0108】
(4)前記内筒清掃部が、前記内筒フィルタ部の外周面に周方向に延びる螺旋状リブを有しており、
前記螺旋状リブは、前記ハンドルを第1の方向または前記第1の方向とは逆の第2の方向に回動させたときに前記内筒フィルタ部の外周面に付着したダストを前記底部側へ移動させる螺旋方向に延びているものであってもよい。
この構成によれば、ハンドルを第1の方向(例えば右回り(時計回り))または第2の方向(例えば左回り(反時計回り))に回動させたときに、内筒清掃部または内筒フィルタ部が同じ方向に回動し、内筒フィルタ部の外周面に付着したダストが螺旋リブに当たって集塵容器の底部側へ移動して払い落とされる。
【0109】
(5)前記動力伝達機構は、前記ハンドル側の第1軸部と、前記内筒フィルタ部側の第2軸部と、前記第1軸部と前記第2軸部との間に設けられたラチェット機構部とを備え、
前記ラチェット機構部は、前記ハンドルを第1の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記第2軸部へ前記第1の方向の回動力を伝達して前記内筒清掃部または前記内筒フィルタ部を前記第1の方向に回動させ、かつ、前記ハンドルを第2の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記第2軸部へ前記第2の方向の回動力を遮断して前記内筒清掃部および前記内筒フィルタ部を回動させないものであってもよい。
この構成によれば、ハンドルを第1の方向(例えば右回り(時計回り))に回動させたときに内筒清掃部または内筒フィルタ部が同じ方向に回動し、内筒フィルタ部の外周面に付着した第1のダストが螺旋リブに当たって集塵容器の底部側へ移動して払い落とされる。また、ハンドルを第2の方向(例えば左回り(反時計回り))に回動させたときは内筒清掃部および内筒フィルタ部は回動しない(静止している)ため、第1の方向とは逆の第2の方向に内筒清掃部および内筒フィルタ部が回動し、それによって内筒フィルタ部の外周面に付着した第1のダストが螺旋リブに当たって集塵容器の底部とは反対側へ移動し堆積するということがない。
【0110】
(6)前記カップ部内に設けられた第2フィルタ部と、前記軸心を中心として回動可能に前記フィルタ部に設けられた除塵部とをさらに備え、
前記ラチェット機構部は、前記ハンドルを第1の方向または第2の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記除塵部へ前記第1の方向または前記第2の方向の回動力を伝達して前記除塵部を前記第2フィルタ部に摺接させて除塵させるものであってもよい。
この構成によれば、第1のダストを内筒フィルタ部にて捕捉し、内筒フィルタ部を通過した第1のダストよりも微細な第2のダストを第2フィルタ部にて捕捉することができる。また、ハンドルを第1の方向(例えば右回り(時計回り))または第2の方向(例えば左回り(反時計回り))に回動させたときに除塵部が第1の方向または第2の方向に回動しながら第2フィルタ部に摺接して第2のダストを除塵することができる。
【0111】
(7)前記軸心を中心として回動可能に前記カップ部内に設けられた第2遠心分離部をさらに備え、
前記ハンドルは第1の方向または第2の方向に回動可能であり、
前記ハンドルを第1の方向または第2の方向に回動させたときに前記内筒清掃部または前記内筒フィルタ部が第1の方向または第2の方向に回動するものであってもよい。
この構成によれば、第1のダストを内筒フィルタ部にて捕捉し、内筒フィルタ部を通過した第1のダストよりも微細な第2のダストを第2遠心分離部にて捕捉することができる。
またこの構成によれば、ハンドルを第1の方向(例えば右回り(時計回り))または第2の方向(例えば左回り(反時計回り))に回動させたときに内筒清掃部または内筒フィルタ部が同じ方向に回動し、内筒フィルタ部の外周面に付着した第1のダストが螺旋リブに当たって集塵容器の底部側へ移動して払い落とされる。
【0112】
(8)前記動力伝達機構は、前記ハンドル側の第1軸部と、前記第1軸部と前記第2遠心分離部との間に設けられたラチェット機構部とを備え、
前記ラチェット機構部は、前記ハンドルを第1の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記第2遠心分離部へ前記第1の方向の回動力を伝達して前記内筒清掃部または前記内筒フィルタ部を前記第1の方向に回動させ、かつ、前記ハンドルを第2の方向に回動させたときに前記第1軸部から前記第2遠心分離部へ前記第2の方向の回動力を遮断して前記内筒清掃部および前記内筒フィルタ部を回動させない、請求項7に記載の集塵装置。
【0113】
(9)前記内筒清掃部または前記内筒フィルタ部と連結して共に回動するダスト圧縮用の螺旋羽根を前記底部側にさらに備え、
前記螺旋羽根は、前記ハンドルを第1の方向または第2の方向に回動させたときに前記集塵容器内のダストを前記底部側へ圧縮する螺旋方向に延びているものであってもよい。
この構成によれば、ハンドルを第1の方向(例えば右回り(時計回り))または第2の方向(例えば左回り(反時計回り))に回動させたときに、内筒清掃部と螺旋羽根または内筒フィルタ部と螺旋羽根が同じ方向に回動し、集塵容器内の底部に溜まったダストを螺旋羽根にて圧縮することができる。
【0114】
本発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、本発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、本発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。本発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0115】
1:掃除機本体、 10:駆動装置、 11:筐体、 11a:ハンドル、 11 b:接続口、 11ba:凸形端子、 11c:空気導出口、 11d:空気導 入口、 11e:後壁部、 11ea:排気口、 11f:脚部、 11g: 係合凹部、 12:集塵装置装着部、 13:車輪、 14:前輪、 15: 巻き取り開始ボタン、 16:保持板、 17a:第1流通経路、 17b:第 2流通経路、 17c:第3流通経路、 20、120:集塵装置、 21:集 塵容器部、 21a:胴部、 21aa:装着口、 21ab:空気流入口、 21ac:係止溝、 21ad:内鍔部、 21b:底部、 21ba:ヒン ジ部、 21c:ロック部、 22、122:カップ部、 22a:カップ上部 、 22aa:ヒンジ軸部、 22ab:係止片、 22b:カップ下部、 22ba:係止凸部、 23:内筒フィルタ部、 23a:内筒本体、 23a a:縦スリット、 23ab:メッシュシート、 24、124:内筒清掃部、 24a:胴部、 24aa:窓部、 24b:小径筒部、 24c:螺旋状リ ブ、 24d:螺旋羽根、 24da:小突起、 24e:突起片、 24f :フランジ部、 25:カバー部、 25a:ボス部、 25b:空気排出口、 25c:ヒンジ枢着部、 25d:係止片、 25e:円環状凹部、 26 :ハンドル、 26r:ロック爪、 26s:圧縮コイルバネ、 27:第2フ ィルタ部、 28:除塵部、 28a:円形枠体、 28b:摺接部、 28 c:摘み、 29、129:動力伝達機構、 29a:第1軸部、 29b:第 2軸部、 29c:第1ギア、 29d:第2ギア、 29e:垂下爪部、 29f中継枠体、 29fa:垂下片、 30:電動送風機、 40:コードリ ール、 50:フィルタ、 60:第2遠心分離部、 60a:下方開口凹部、 61:遠心分離筒、 61a:内側筒部、 61b:外側筒部、 61c: 連通孔、 62:回動力伝達円板、 70:ラチェット機構部、 71:ケース 部、 71a:係止突起、 72:センターギア、 73:遊星ギア、 A、 B、F1~F10:矢印、 P:軸心、 S:スペース