(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】料金算出装置、料金算出方法および料金算出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241129BHJP
【FI】
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2021135980
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】松原 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】大野 祥
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-182649(JP,A)
【文献】特許第6803596(JP,B1)
【文献】特開2021-026299(JP,A)
【文献】特開2019-169093(JP,A)
【文献】特開2017-041971(JP,A)
【文献】特開2021-027629(JP,A)
【文献】特開2021-47519(JP,A)
【文献】特開2021-26299(JP,A)
【文献】エリアインバランス誤算定について(概要),[online],北海道電力株式会社,2018年01月10日,[2021年12月9日検索], インターネット<URL:https://wwwc.hepco.co.jp/hepcowwwsite/info/2017/__icsFiles/afieldfile/2018/01/10/180110.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需給計画における計画値と、当該計画値に対応する時間帯における
、計量された実績値との差を算出する計画実績差算出部と、
電力の同時同量を実現するために送配電事業者が確保する需給調整力の発動に対する対価である需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整
力の発動の有無を
、当該時間帯において需給調整力を用いるための指令が送出されたか否かを判定することによって判定し、需給調整
力の発動があった場合に、前記計画実績差算出部によって算出された前記差に基づいて需給調整料金の精算対象となる電力量である調整電力量を算出する電力量算出部と、
需給調整料金の単価である需給調整単価を取得する需給調整単価取得部と、
前記調整電力量と、前記需給調整単価とを用いて
、精算のための需給調整料金を算出する料金算出部と、
を備えることを特徴とする料金算出装置。
【請求項2】
インバランス料金の単価であるインバランス単価を取得するインバランス単価取得部と、
前記電力量算出部は、需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整
力の発動が無い場合、前記計画実績差算出部によって算出された前記差に基づいてインバランス料金の精算対象となる電力量であるインバランス量を算出し、
前記料金算出部は、前記インバランス量と、前記インバランス単価とを用いてインバランス料金を算出することを特徴とする請求項1に記載の料金算出装置。
【請求項3】
前記電力量算出部は、需給調整力が複数の事業者によって活用される場合、前記複数の事業者のそれぞれの優先順位と前記調整電力量のうちの対応する前記事業者の活用量である先取電力量とを用いて、前記調整電力量を前記事業者ごとに仕分けし、
前記料金算出部は、前記電力量算出部によって仕分けされた結果と前記需給調整単価とを用いて事業者ごとの前記需給調整料金を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の料金算出装置。
【請求項4】
需給計画における計画値と、当該計画値に対応する時間帯における実績値との差を算出する計画実績差算出部と、
需給調整力の発動に対する対価である需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整力の発動の有無を、当該時間帯において需給調整力を用いるための指令が送出されたか否かを判定することによって判定し、需給調整力の発動があった場合に、前記計画実績差算出部によって算出された前記差に基づいて需給調整料金の精算対象となる電力量である調整電力量を算出する電力量算出部と、
需給調整料金の単価である需給調整単価を取得する需給調整単価取得部と、
前記調整電力量と、前記需給調整単価とを用いて需給調整料金を算出する料金算出部と、
を備え、
前記電力量算出部は、需給調整力が複数の事業者によって活用される場合、前記複数の事業者のそれぞれの按分比率を用いて、前記調整電力量を前記事業者ごとに仕分けし、
前記料金算出部は、前記電力量算出部によって仕分けされた結果と前記需給調整単価とを用いて事業者ごとの前記需給調整料金を算出することを特徴とす
る料金算出装置。
【請求項5】
料金算出装置における料金算出方法であって、
需給計画における計画値と、当該計画値に対応する時間帯における
、計量された実績値との差を算出するステップと、
電力の同時同量を実現するために送配電事業者が確保する需給調整力の発動に対する対価である需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整
力の発動の有無を
、当該時間帯において需給調整力を用いるための指令が送出されたか否かを判定することによって判定し、需給調整
力の発動があった場合に、算出された前記差に基づいて需給調整料金の精算対象となる電力量である調整電力量を算出するステップと、
需給調整料金の単価である需給調整単価を取得するステップと、
前記調整電力量と、前記需給調整単価とを用いて
、精算のための需給調整料金を算出するステップと、
を含むことを特徴とする料金算出方法。
【請求項6】
コンピュータシステムに、
需給計画における計画値と、当該計画値に対応する時間帯における
、計量された実績値との差を算出するステップと、
電力の同時同量を実現するために送配電事業者が確保する需給調整力の発動に対する対価である需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整
力の発動の有無を
、当該時間帯において需給調整力を用いるための指令が送出されたか否かを判定することによって判定し、需給調整
力の発動があった場合に、算出された前記差に基づいて需給調整料金の精算対象となる電力量である調整電力量を算出するステップと、
需給調整料金の単価である需給調整単価を取得するステップと、
前記調整電力量と、前記需給調整単価とを用いて
、精算のための需給調整料金を算出するステップと、
を実行させることを特徴とする料金算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力に関する料金を算出する料金算出装置、料金算出方法および料金算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電事業者および小売電気事業者は、それぞれ供給計画(発電計画)および需要計画を、例えば、電力広域的運営推進機関(以下、広域機関という)を介して、送配電網を管理する送配電事業者へ提出する。一方、各計画における計画値と実績値との間には差が生じることがある。送配電事業者は、電力の同時同量を達成するために、この差を解消する調整を行う。このため、発電事業者および小売電気事業者は、計画値と実績値との差に応じた料金であるインバランス料金を支払う。送配電事業者と、発電事業者または小売電気事業者との間では、インバランス料金をはじめとして様々な料金のやりとりが生じる。
【0003】
例えば、特許文献1には、小売電気事業者の需要の計画値と需要の実績値との差に基づいて小売電気事業者のインバランス料金を算出し、発電事業者の発電計画における計画値と発電の実績値との差に基づいて発電事業者のインバランス料金を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、送配電事業者は、インバランスが発生すると、インバランスを解消する調整を行うことになる。インバランスを解消する調整の方法として、送配電事業者が、発電事業者、小売電気事業者などの事業者と、需給調整を行う契約を締結しておき、インバランスが生じたときには、契約している事業者に需給調整を要請する方法がある。また、本年から需給調整力についても市場取引が行われるようになっている。このため、送配電事業者が、需給調整に関する需給調整料金の精算を人手により行うことは困難であり、自動化が望まれるが、特許文献1には、需給調整料金の算出については開示がない。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、需給調整料金を算出することができる料金算出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる料金算出装置は、需給計画における計画値と、当該計画値に対応する時間帯における、計量された実績値との差を算出する計画実績差算出部と、電力の同時同量を実現するために送配電事業者が確保する需給調整力の発動に対する対価である需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整力の発動の有無を、当該時間帯において需給調整力を用いるための指令が送出されたか否かを判定することによって判定し、需給調整力の発動があった場合に、計画実績差算出部によって算出された差に基づいて需給調整料金の精算対象となる電力量である調整電力量を算出する電力量算出部と、需給調整料金の単価である需給調整単価を取得する需給調整単価取得部と、調整電力量と、需給調整単価とを用いて、精算のための需給調整料金を算出する料金算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、需給調整料金を算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる料金算出装置の構成例を示す図
【
図2】実施の形態1の料金算出装置における処理手順の一例を示すフローチャート
【
図3】実施の形態1の精算単位のグループに関する情報の入力画面の一例を示す図
【
図4】実施の形態1の料金算出装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
【
図5】実施の形態2における優先順方式の活用計画の一例を示す図
【
図6】実施の形態2における比率按分方式の活用計画の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる料金算出装置、料金算出方法および料金算出プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる料金算出装置の構成例を示す図である。本実施の形態の料金算出装置1は、需給計画取得部11、実績取得部12、計画実績差算出部13、発動実績取得部14、電力量算出部15、インバランス単価取得部16、料金算出部17、需給調整単価取得部18および契約情報記憶部19を備える。料金算出装置1は、例えば、送配電事業者における需給調整料金およびインバランス料金の精算を支援する装置である。以下では、料金算出装置1が、需給調整料金およびインバランス料金の両方を算出する例を説明するが、料金算出装置1は需給調整料金を算出すればよく、インバランス料金を算出しなくてもよい。すなわち、インバランス料金は別の装置により算出されてもよい。
【0012】
需給調整力は、電力の需給の計画値と実績値との間に差が生じた場合に、電力の同時同量を実現するための調整を行う能力である。送配電事業者は、電力の不足と余剰のどちらが生じても調整できるように、不足が生じたときに調整できる能力である上げ調整力、余剰が生じたときに調整できる能力である下げ調整力との両方を確保する。一方、送配電事業者が需給調整力を確保しても、実際に電力の不足も余剰も生じなかった場合には、確保した需給調整力は使用されない。実際に電力の不足または余剰が生じると、電力系統を管理する図示しない管理装置から、需給調整力を提供する事業者の管理する設備へ需給調整を行う指令が送信されることで、各事業者によって管理される設備が電力の調整を実施する。これにより、事業者の設備の需給調整力が用いられることになる。以下、需給調整力が用いられることを、調整力の発動とも呼ぶ。本年から需給調整力を扱う需給調整市場が開設され、送配電事業者は、需給調整市場から需給調整力を調達することも可能となっている。
【0013】
需給調整力を提供する事業者は、発電機を有する発電事業者であってもよいし、小売電気事業者であってもよいし、VPP(Virtual Power Plant)またはデマンドレスポンスを管理するアグリゲーターなどと呼ばれる事業者であってもよい。VPPは、需要家の複数の発電設備、蓄電設備を束ねて仮想的な発電所とみなしたものである。需給調整力は、発電機の発電量の調整により行われるものであってもよいし、VPP、デマンドレスポンスを用いるものであってもよい。発電事業者は、調整力が発動された場合、上げ調整力の発動であれば発電量を計画値より増やし、下げ調整力の発動であれば発電量を計画値より減らすことになる。また、小売電気事業者、アグリゲーターは、上げ調整力の発動時には、需要量を減らすデマンドレスポンス(以下、DRと略す)である下げDRにより、需要家の需要量を抑制し、下げ調整力の発動時には、需要量を増やすDRである上げDRにより、需要家の需要量を増加させる。なお、契約により下げDRが行われることはネガワット取引とも呼ばれる。
【0014】
契約情報記憶部19は、発電事業者、小売電気事業者、アグリゲーターなどの各事業者との契約の内容を示す契約情報を記憶する。契約情報は、図示しない入力部を介してオペレータから入力されてもよいし、他の装置から送信されてもよい。契約情報には、料金の計算の単位となるグループごとに、当該グループが事業者との間で需給調整力を提供する調整力提供契約を締結しているか否かの情報が含まれる。料金の計算の単位となるグループは、発電事業者、小売電気事業者、アグリゲーターなどの事業者が管理する設備であってもよいし、アグリゲーターが定めたVPPであってもよいし、DRの単位として束ねられた需要家群であってもよい。なお、送配電事業者は、需給調整力を、公募により調達してもよいし、需給調整市場から調達してもよい。
【0015】
需給計画取得部11は、発電事業者、小売電気事業者、バランシンググループなどの事業者の需給計画を計画管理装置2から受信することで、需給計画を取得し、取得した需給計画を計画実績差算出部13へ出力する。需給計画は、定められた期間内の定められた時間単位での電力の需要および供給のうち少なくとも一方の計画を示す。バランシンググループは、例えば、複数の事業者で構成され、電力の調整を行う単位である。インバランス料金はバランシンググループ単位で精算される。バランシンググループには、例えば、発電事業者で構成される発電バランシンググループと、小売電気事業者で構成される需要バランシンググループとがある。
【0016】
計画管理装置2は、例えば、広域機関により運用される装置であり、発電事業者、小売電気事業者、バランシンググループなどの事業者から需給計画を収集する。発電事業者または発電バランシンググループが提出する需給計画は、供給計画(発電計画)とも呼ばれる。以下、定められた時間単位は30分単位であるとして説明するが、定められた時間単位はこれに限定されない。
【0017】
実績取得部12は、計量値管理装置3から実績値として電力量の計量値を取得し、取得した実績値を計画実績差算出部13へ出力する。計量値は、例えば、自動検針のためのスマートメータなどと呼ばれる計量装置によって計量された値であるが、計量値はこれに限定されない。
【0018】
計画実績差算出部13は、需給計画における計画値と、当該計画値に対応する時間帯における実績値との差を算出する。具体的には、計画実績差算出部13は、定められた時間単位の時間帯ごとに、需給計画取得部11から受け取った需給計画により示される計画値と、実績取得部12により取得された実績値との差を算出し、算出した差を電力量算出部15へ出力する。
【0019】
発動実績取得部14は、調整力の発動の実績を取得する。具体的には、発動実績取得部14は、需給調整力を用いるための指令が送出された場合、指令値を調整力発動の実績値として取得し、取得した調整力発動の実績値を電力量算出部15へ出力する。発動実績取得部14は、例えば、電力系統の管理を行う図示しない管理装置から指令値を取得する。
【0020】
電力量算出部15は、需給調整力の発動に対する対価である需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整の発動の有無を判定し、需給調整の発動があった場合に、計画実績差算出部13によって算出された差に基づいて需給調整料金の精算対象となる電力量である調整電力量を算出する。さらに、電力量算出部15は、需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整の発動が無い場合、計画実績差算出部13によって算出された差に基づいてインバランス料金の精算対象となる電力量であるインバランス量を算出する。具体的には、電力量算出部15は、計画実績差算出部13から受け取った差と、発動実績取得部14から受け取った需給調整の実績値と、契約情報記憶部19から読み出した契約情報とを用いて、インバランス電力量と、需給調整電力量とを算出する。電力量算出部15は、算出したインバランス電力量および需給調整電力量を料金算出部17へ出力する。
【0021】
インバランス単価取得部16は、インバランス料金の単価であるインバランス単価を取得し、取得したインバランス単価を料金算出部17へ出力する。インバランス単価取得部16は、例えば、電力市場取引を管理する電力市場システム4から卸電力市場価格における市場価格(単価)を取得し、市場価格を用いて以下の式(1)により、インバランス単価を計算することでインバランス単価を取得する。αは、系統全体の需給状況に応じた調整項であり、βは、地域ごとの市場価格差を反映する調整項である。α,βの算出は一般的な方法で行われればよいため詳細は省略する。なお、下記式(1)の右辺にインセンティブ定数が加減算されてもよい。
インバランス単価=α×市場価格+β (1)
【0022】
また、インバランス単価取得部16は、他の装置によって算出されたインバランス単価自体を当該他の装置から受信することで、インバランス単価を取得してもよい。
【0023】
需給調整単価取得部18は、需給調整料金の単価である需給調整単価を取得し、取得した需給調整単価を料金算出部17へ出力する。需給調整単価取得部18は、例えば、電力市場システム4から需給調整市場に登録されている需給調整単価を受信することで、需給調整単価を取得する。
【0024】
料金算出部17は、調整電力量と、需給調整単価とを用いて需給調整料金を算出する。さらに、料金算出部17は、インバランス量と、インバランス単価とを用いてインバランス料金を算出する。詳細には、料金算出部17は、電力量算出部15から受け取ったインバランス電力量および需給調整電力量と、インバランス単価取得部16から受け取ったインバランス単価と、需給調整単価取得部18から受け取った需給調整単価とを用いて、事業者ごとに、需給調整料金とインバランス料金とを算出する。
【0025】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
図2は、本実施の形態の料金算出装置1における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図2では、需給調整力の精算の単位を、料金の計算の対象グループとしている。これは、インバランスの精算の単位は需給調整力の精算の単位と同じか、またはインバランスの精算の単位より需給調整力の精算の単位の方が小さいためである。需給調整力の供給元としては、実体のある発電機単体、複数の発電機を束ねた(アグリケーションした)VPP、1または複数の需要家を束ねたVPP、1または複数の発電機と1または複数の需要家とを束ねたVPP、が挙げられる。ここでは、便宜上、単一の発電機が需給調整力の精算単位である場合、および単一の需要家が需給調整力の精算単位である場合も、対象グループ(料金の計算の対象グループ)と呼ぶ。
【0026】
なお、計算対象の期間に対応する需給計画は、需給計画取得部11によって取得され、計画実績差算出部13に入力され、計算対象の期間に対応する実績値は実績取得部12によって取得され、計画実績差算出部13に入力されているとする。また、以下に示す例では、計画すなわち需給計画の一例である供給計画(発電計画)は、発電機ごとに作成されているとする。また、単一の需要家で構成されるVPPの場合には当該需要家のDRによる需要の調整が行われない場合のベースラインが計画として作成され、複数の需要家で構成されるVPPの場合、複数の需要家単位で計画としてベースラインが作成されているとする。また、1または複数の発電機と1または複数の需要家とを束ねたVPPの場合、発電機ごとの供給計画と、複数の需要家単位のベースラインとが計画として作成されているとする。また、料金の計算対象の期間に対応する調整力発動の実績値は、発動実績取得部14によって取得され、電力量算出部15に入力されているとする。また、需給調整単価取得部18が取得した需給調整単価が料金算出部17に入力され、インバランス単価取得部16が取得したインバランス単価が料金算出部17に入力されているとする。
【0027】
まず、料金算出装置1は対象グループを設定する(ステップS1)。対象グループは、料金の計算の単位となるグループである。ここでは、上述したように、料金の計算の単位は、実体のある発電機、複数の発電機を束ねたVPP、1または複数の需要家を束ねたVPP、1または複数の発電機と1または複数の需要家とを束ねたVPPであるため、計画実績差算出部13は、これらのなかから、計算対象となる対象グループを設定する。下記の処理における計画は、実体のある発電機、複数の発電機を束ねたVPPの場合には発電計画であり、1または複数の需要家の場合には、DRによる需要の調整が行われない場合のベースラインの需要計画である。また、1または複数の発電機と1または複数の需要家とを束ねたVPPである場合には、発電機分の実績と、複数の需要家分との実績とがそれぞれ取得される。
【0028】
なお、精算対象の単位である各グループに関する情報は契約情報に含まれる。精算単位のグループに関する情報は、
図2に示す計算が行われる前に、オペレータにより入力されてもよいし、他の装置から送信されてもよい。
図3は、本実施の形態の精算単位のグループに関する情報の入力画面の一例を示す図である。
図3に示すように、精算単位のグループに関する情報は、発電機に関する識別情報である各種のコード、VPPを特定するための情報、バランシンググループの契約者、各対象グループが需給調整力を提供する事業者である調整力提供事業者などを含み、例えば、入力欄201にこれらの情報がオペレータにより入力される。例えば、
図3に示した情報が料金の計算単位となるグループごとにオペレータにより入力される。供給地点特定番号リスト、発電機系統コードリストなどのリストは、VPPまたはバランシンググループに属する需要家または発電機のリストに相当する。調整力提供事業者の欄には、対応するグループが調整力を提供する契約を締結していない場合には、契約が無いことを示す情報が入力される。なお、
図3に示した情報は、これらの情報のうちグループによって必要な情報が入力されればよく、全ての項目が入力される必要はない。例えば、精算の単位となるグループが発電機事業者であれば発電機に関する情報が入力されるが、VPP、需要家などの情報は入力されない。また、
図3の入力画面は一例であり、具体的な配置および入力方法は、
図3に示した例に限定されず、精算単位のグループに関する情報の内容も
図3に示した例に限定されない。また、上述したように、これらの情報は、オペレータに入力される例に限定されず、他の装置から送信されてもよい。
【0029】
次に、料金算出装置1は計算対象の時間帯を設定する(ステップS2)。詳細には、計画実績差算出部13が、料金の計算対象の期間のうち計算対象の時間帯を設定する。この時間帯は、例えば、上述した計画値における時間単位であり、例えば30分単位の時間帯である。
【0030】
次に、料金算出装置1は計画と実績との差を算出する(ステップS3)。詳細には、対象グループが発電機、または複数の発電機を束ねたVPPである場合、計画実績差算出部13が、需給計画取得部11から受け取った供給計画における、ステップS2で設定した時間帯の計画値と、実績取得部12から受け取った実績値のうちステップS2で設定した時間帯における実績値との差を、発電機ごとに算出し、算出した差を電力量算出部15へ出力する。対象グループが、1または複数の需要家を束ねたVPPである場合、需給計画取得部11から受け取ったベースラインにおける計画値と、実績取得部12から受け取った実績値のうちステップS2で設定した時間帯における実績値との差を算出し、算出した差を電力量算出部15へ出力する。対象グループが、1または複数の発電機と1または複数の需要家とを束ねたVPPである場合、発電機分と、需要家分とを分けて、同様に計画値と実績値との差を算出する。
【0031】
次に、料金算出装置1は対象グループが調整力精算対象であるか否かを判定する(ステップS4)。詳細には、電力量算出部15が、以下の条件を全て満たす場合に対象グループが調整力精算対象であると判断する。
(A)対象グループに調整力提供契約が有る。
(B)対象グループに需給調整力の発動指令時のみ提供する契約があり、計算対象の期間で調整力発動指令が発令された。
(C)計算対象の期間で、対象グループにおいて、トラブルによる運転停止、メンテナンスによる運転停止などがない、すなわち調整力提供が不可の状況が発生していない。
【0032】
電力量算出部15は、上記(A)については、契約情報記憶部19に記憶されている契約情報を参照し、対象グループに対応する調整力提供事業者が設定されているか否かに基づいて、調整力提供契約があるか否かを判定する。電力量算出部15は、上記(B)については、発動実績取得部14から調整力発動の実績値を用いて判定する。電力量算出部15は、上記(C)については、例えば、オペレータから入力されるまたは他の装置から受信するトラブル情報を用いて判定する。トラブル情報は、どの設備にトラブルが生じていたかを示す情報である。
【0033】
調整力精算対象である場合(ステップS4 Yes)、料金算出装置1は、調整力・供給力併用契約があるか否かを判断する(ステップS5)。詳細には、電力量算出部15が、契約情報記憶部19に記憶されている契約情報を参照し、対象グループに関して調整力・供給力併用契約があるかを判定する。調整力・供給力併用契約は、VPP内の需要家が提供する、電力使用力の制御(抑制・増加)によって仮想的に生み出された電力を「小売事業者等に供給する」契約と、「一般送配電事業者に調整力として提供する」契約との両方を併用する契約である。調整力・供給力併用契約がある場合、小売事業者等への供給力としての計画(ベースラインとそこからどれだけ供給力として変動させるかの計画)である供給力併用計画を広域機関に提出し、調整力精算の際は、ベースラインと実績値との差のうち供給力併用計画の計画分を引いた残りを調整力として精算する。なお、契約情報には、対象グループごとに、調整力・供給力併用契約があるか否かを示す情報が格納されているとする。
【0034】
調整力・供給力併用契約がある場合(ステップS5 Yes)、料金算出装置1は、計画と実績との差から供給力併用計画の計画値を減じて調整電力量を算出する(ステップS6)。詳細には、電力量算出部15が、計画実績差算出部13から受け取った差から、供給力併用計画における計算対象の時間帯における計画値を減じることで、調整力料金の精算対象となる調整電力量を算出する。供給力併用計画は、例えば、需給計画取得部11によって取得され、計画実績差算出部13を介して電力量算出部15に入力されてもよいし、契約情報記憶部19に記憶されていてもよい。
【0035】
次に、料金算出装置1は、集計を行う(ステップS7)。詳細には、例えば、対象グループが複数の発電機を含む場合、すなわち複数の発電機を束ねたVPP、または複数の発電機と複数の需要家とを含むVPPの場合、電力量算出部15が、発電機ごとの調整電力量を、対象グループ単位で集計する。具体的には、電力量算出部15は、対象グループに属する各発電機の調整電力量の合計値を算出し、インバランス量は0とする。なお、対象グループが、発電機単体の場合、VPPが発電機を含まない場合、およびVPPが1つの発電機を含む場合には、発電機ごとの調整電力量の集計を行う必要はない。また、発電機と需要家との両方を含むVPPについては、発電機分の計画と実績との差に基づく調整電力量と、需要家分の計画と実績との差に基づく調整電力量とを算出する。
【0036】
次に、料金算出装置1は、需給調整料金を算出する(ステップS8)。詳細には、料金算出部17が、電力量算出部15から受け取った調整電力量と、需給調整単価取得部18から受け取った需給調整単価とを乗算することで、需給調整料金を算出する。なお、ステップS8では、インバランス量が0であるため、インバランス料金は算出されず需給調整料金が算出される。
【0037】
次に、料金算出装置1は、計算期間が終了したか否かを判断する(ステップS13)。詳細には、料金算出部17が、料金の計算対象の期間の全てに関して、ステップS7またはステップS8の料金の算出が行われたか否かを判断する。
【0038】
計算期間が終了した場合(ステップS13 Yes)、料金算出装置1は、全グループの計算が終了したか否かを判断する(ステップS14)。詳細には、料金算出部17が、料金の計算対象の全てのグループに関して、ステップS7またはステップS8の料金の算出が行われたか否かを判断する。
【0039】
全グループの計算が終了した場合(ステップS14 Yes)、料金算出装置1は、料金算出処理を終了する。全グループの計算が終了していない場合、すなわち料金の計算が行われていないグループが有る場合(ステップS14 No)、料金算出装置1は、対象グループを変更し(ステップS16)、ステップS2からの処理を繰り返す。また、計算期間が終了していない場合(ステップS13 No)、料金算出装置1は、計算対象の時間帯を変更し(ステップS15)、ステップS3からの処理を繰り返す。
【0040】
また、対象グループが調整力精算対象でない場合(ステップS4 No)、料金算出装置1は、計画と実績との差をインバランス量に決定する(ステップS10)。詳細には、電力量算出部15が、計画実績差算出部13から受け取った差をインバランス量に決定する。次に、料金算出装置1は、集計を行う(ステップS11)。詳細には、電力量算出部15が、例えば、対象グループが複数の発電機を含む場合、対象グループ単位での発電機のインバランス量の合計値をインバランス量とし、調整電力量を0とし、対象グループ単位でのインバランス量および調整電力量を料金算出部17へ出力する。なお、対象グループが、発電機単体の場合、VPPが発電機を含まない場合、およびVPPが1つの発電機を含む場合には、発電機ごとのインバランス量の集計を行う必要はない。また、発電機と需要家との両方を含むVPPについては、発電機分の計画と実績との差に基づくインバランス量と、需要家分の計画と実績との差に基づくインバランス量とを算出する。
【0041】
次に、料金算出装置1は、インバランス料金を算出し(ステップS12)、ステップS13の処理へ進む。詳細には、ステップS12では、料金算出部17が、電力量算出部15から受け取ったインバランス量と、インバランス単価取得部16から受け取ったインバランス単価とを乗算することで、インバランス料金を算出する。なお、ステップS12では、調整電力量が0であるため、需給調整料金は算出されずインバランス料金が算出される。
【0042】
また、調整力・供給力併用契約がない場合(ステップS5 No)、料金算出装置1は、計画と実績との差を調整電力量に決定し(ステップS9)、ステップS7の処理へ進む。詳細には、ステップS9では、電力量算出部15が、計画実績差算出部13から受け取った差を調整電力量に決定する。
【0043】
以上述べた処理により、対象グループごとに、インバランス料金および需給調整料金が算出される。なお、インバランス料金の精算単位が、需給調整料金の精算単位と異なる場合には、すなわち、インバランス料金の精算単位が複数の対象グループである場合、上述した処理により算出された対象グループごとのインバランス料金の合計値を求めることで、インバランス料金の精算単位におけるインバランス料金を算出することができる。なお、上述した例では、料金算出装置1が需給調整料金とインバランス料金とを算出するようにしたが、料金算出装置1は、インバランス料金を算出しなくてもよい。例えば、インバランス料金が別の装置により算出される場合などには、料金算出装置1は、インバランス料金を算出しなくてもよい。この場合、料金算出装置1は、ステップS4でNoと判定された場合、料金算出処理を終了する。なお、料金算出装置1は、需給調整料金を算出すればよいが、インバランス料金の算出と需給調整料金の算出とでは、処理の内容が重複する部分が存在するため、
図2に示したように、需給調整料金とインバランス料金との両方が同じ処理のなかで算出されることが好ましい。このように、需給調整料金とインバランス料金との両方が
図2に示した同じ処理のなかで一元的に算出されることで重複する処理を省き、処理の効率化を実現することができる。また2つの料金のそれぞれの算出処理を個別に行うと、本来は同じパラメータで計算されるべき部分で異なるパラメータが使用されることなどによって相互の不整合が生じる可能性があるが、需給調整料金とインバランス料金とが一元的に算出されることでこのような不整合を防ぐことができる。
【0044】
次に、料金算出装置1のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の料金算出装置1は、コンピュータシステム上で、料金算出装置1における処理が記述されたプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが料金算出装置1として機能する。
図4は、本実施の形態の料金算出装置1を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。
図4に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0045】
図4において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態の料金算出装置1における処理が記述されたプログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタなどである。なお、
図4は、一例であり、コンピュータシステムの構成は
図4の例に限定されない。
【0046】
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103の主記憶領域に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の料金算出装置1としての処理を実行する。
【0047】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、料金算出装置1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0048】
本実施の形態の料金算出プログラムは、コンピュータシステムに、例えば、需給計画における計画値と、当該計画値に対応する時間帯における実績値との差を算出するステップと、需給調整力の発動に対する対価である需給調整料金の算出対象の時間帯において、当該時間帯における需給調整の発動の有無を判定し、需給調整の発動があった場合に、算出された差に基づいて需給調整料金の精算対象となる電力量である調整電力量を算出するステップと、を実行させる。また、料金算出プログラムは、コンピュータシステムに、需給調整料金の単価である需給調整単価を取得するステップと、調整電力量と、需給調整単価とを用いて需給調整料金を算出するステップと、を実行させる。
【0049】
図1に示した料金算出装置1のうち、計画実績差算出部13、電力量算出部15および料金算出部17は、
図4に示した記憶部103に記憶されたプログラムが
図4に示した制御部101により実行されることにより実現される。計画実績差算出部13、電力量算出部15および料金算出部17の実現には、記憶部103も用いられる。
図1に示した契約情報記憶部19は、
図4に示した記憶部103の一部である。
図1に示した需給計画取得部11、実績取得部12、発動実績取得部14、インバランス単価取得部16および需給調整単価取得部18は、
図4に示した通信部105により実現される。
図1に示した需給計画取得部11、実績取得部12、発動実績取得部14、インバランス単価取得部16および需給調整単価取得部18の実現には、入力部102が用いられてもよい。料金算出装置1は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0050】
以上述べたように、本実施の形態の料金算出装置1は、調整力発動の実績値を用いて調整力が発動されたか否かを判定し、発動された場合に、需給計画と需給の実績値との差と、需給調整単価とを用いて需給調整料金を算出するようにした。このように、本実施の形態の料金算出装置1は、需給調整料金を算出することができる。また、本実施の形態の料金算出装置1は、インバランス料金も算出することで、需給調整料金とインバランス料金との両方が一元的に算出される。これにより、処理を効率化することができるとともに、需給調整料金とインバランス料金と間の不整合を防ぐことができる。
【0051】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態の料金算出装置1の構成は実施の形態1の料金算出装置1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して説明する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0052】
実施の形態1では、1つの発電機の需給調整力が、複数の事業者から提供されることは想定していなかったが、本実施の形態では、1つの発電機の需給調整力が複数の事業者によって活用されることを想定する。本実施の形態では、1つの発電機の需給調整力は、複数の事業者から提供されて需給調整のために使用されることになるため、送配電事業者は当該発電機の需給調整力の発動により需給調整を行った場合には、複数の事業者に需給調整料金を支払うことになる。
【0053】
このような場合、料金算出装置1は、複数の事業者における活用方法を示す活用計画を受領し、当該活用計画を用いて調整電力量を按分する。活用計画は、例えば、優先順方式と比率按分方式の2つの方式のいずれかで示される。活用計画は、契約情報の一部として契約情報記憶部19に記憶されていてもよいし、需給計画取得部11または図示しない他の機能部が取得してもよい。以下では、活用計画は、契約情報の一部として契約情報記憶部19に記憶されているとして説明するが、活用計画の取得方法はこの例に限定されない。
【0054】
優先順方式では、上記の複数の事業者間で優先順位を定めておき、優先順位の高い順に事業者の「先取電力量」を定めておく。「先取電力量」は、調整電力量のうちの対応する事業者の活用量である。「先取電力量」は時間帯によらず固定であってもよいし、時間帯ごとに定められてもよい。
図5は、本実施の形態における優先順方式の活用計画の一例を示す図である。
図5では、時間帯ごとに各事業者の「先取電力量」が定められる場合のある事業者の「先取電力量」の一例を示している。
図5に示した例では、優先順位が1の事業者、すなわち最も優先される事業者の「先取電力量」の一例を示している。同様に、各優先順位の事業者の「先取電力量」が定められる。需給調整力が複数の事業者によって活用され、優先順方式で活用計画が定められる場合、電力量算出部15は、複数の事業者のそれぞれの優先順位と調整電力量の「先取電力量」とを用いて、調整電力量を事業者ごとに仕分けする。すなわち、電力量算出部15は、算出した調整電力量のうち優先順位が1の事業者の「先取電力量」を当該事業者の調整電力量に割当て、優先順位が1の事業者の「先取電力量」を減じた後の調整電力量が残っていれば、優先順位が2の事業者に優先順位が2の事業者の「先取電力量」を割当てる。このような処理を繰り返すことで、調整電力量を事業者ごとに仕分けする。料金算出部17は、仕分けされた結果と需給調整単価とを用いて事業者ごとの需給調整料金を算出する。
【0055】
比率按分方式では、上記の複数の事業者間の按分比率を活用計画として定めておく。按分比率は、時間帯によらず固定であってもよいし、時間帯ごとに定められてもよい。
図6は、本実施の形態における比率按分方式の活用計画の一例を示す図である。
図6では、時間帯ごとに各事業者の「按分比率」が定められる場合のある事業者の「按分比率」の一例を示している。同様に、各事業者の「按分比率」が定められる。なお、
図6では、1つの事業者の按分比率が示されているが、事業者A、事業者B、事業者Cのそれぞれの按分比率が、2:1:1といったように、複数の事業者の按分比率が一度に示されてもよい。比率按分方式では、電力量算出部15は、複数の事業者のそれぞれの「按分比率」で調整電力量を事業者ごとに仕分けする。
【0056】
活用計画は、発電機ごとに定められていてもよいし、発電事業者または発電バランシンググループごとに定められていてもよい。活用計画が発電機ごとに定められている場合、本実施の形態では、電力量算出部15は、
図2に示したステップS6において、発電機ごとの調整電力量を算出した後に、調整電力量を活用計画に基づいて各事業者に按分し、按分した調整電力量を料金算出部17へ出力する。また、同様に、電力量算出部15は、
図2に示したステップS9において、発電機ごとの調整電力量を算出した後に、調整電力量を活用計画に基づいて各事業者に按分し、按分した調整電力量を料金算出部17へ出力する。本実施の形態では、
図2に示したステップS7の集計において、電力量算出部15は、事業者に按分された結果を用いて発電事業者または発電バランシンググループ単位で、発電機ごとの調整電力量を集計する。これにより、料金算出装置1は、事業者ごとに仕分けされた需給調整料金を算出することができる。また、
図2に示したステップS8において、料金算出部17は、事業者ごとに需給調整料金を算出する。以上述べた以外の本実施の形態の料金算出装置1の動作は実施の形態1と同様である。
【0057】
活用計画が発電事業者または発電バランシンググループごとに定められている場合、すなわち料金の算出対象の対象グループと同じ単位で活用計画が定められている場合は、
図2に示したステップS8において、料金算出部17は、集計された調整電力量を、活用計画を用いて按分し、按分した結果を用いて事業者ごとに需給調整料金を算出する。これにより、料金算出装置1は、事業者ごとに仕分けされた需給調整料金を算出することができる。この場合、ステップS8以外の料金算出装置1の動作は実施の形態1と同様である。
【0058】
以上のように、本実施の形態の料金算出装置1は、発電機の需給調整力が複数の事業者によって活用される場合に、事業者ごとに仕分けした需給調整料金を算出するようにした。このため、本実施の形態の料金算出装置1は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、発電機の需給調整力が複数の事業者によって活用される場合も適切に需給調整料金を算出することができる。
【0059】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 料金算出装置、2 計画管理装置、3 計量値管理装置、4 電力市場システム、11 需給計画取得部、12 実績取得部、13 計画実績差算出部、14 発動実績取得部、15 電力量算出部、16 インバランス単価取得部、17 料金算出部、18 需給調整単価取得部、19 契約情報記憶部。