(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】配信プラットフォーム、端末装置、映像管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/266 20110101AFI20241129BHJP
H04N 5/92 20060101ALI20241129BHJP
H04N 5/913 20060101ALI20241129BHJP
H04N 21/2743 20110101ALI20241129BHJP
H04L 67/565 20220101ALI20241129BHJP
A63F 13/86 20140101ALN20241129BHJP
【FI】
H04N21/266
H04N5/92 010
H04N5/913
H04N21/2743
H04L67/565
A63F13/86
(21)【出願番号】P 2021161076
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 力
(72)【発明者】
【氏名】田上 敦士
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-217633(JP,A)
【文献】特開2006-109249(JP,A)
【文献】特開2001-177816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04N 5/92
H04N 5/913
H04L 67/565
A63F 13/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
著作物保護の観点から映像の視聴を規制する配信プラットフォームであって、
動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき
可視の規制情報が埋め込まれた映像を配信者から受信する受信部と、
前記規制情報が埋め込まれた映像に対し、画像データの表示または音声データの再生を規制する規制加工を施す映像変更部と、
前記規制加工が施された映像を視聴者に送信する送信部と、を備えることを特徴とする配信プラットフォーム。
【請求項2】
視聴者が画像データの表示または音声データの再生の規制を受けるかどうかを管理する受信者管理部をさらに備え、
前記送信部は、画像データの表示または音声データの再生の規制を受けない視聴者に対しては、前記規制加工を施さない映像を送信することを特徴とする請求項1記載の配信プラットフォーム。
【請求項3】
著作物保護の観点から映像の視聴を規制する端末装置であって、
映像を再生する映像再生部と、
可視の規制情報が埋め込まれた映像に対し、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、画像データまたは音声データの再生を規制する規制加工を施す映像変更部と、
前記規制加工が施された映像を配信プラットフォームに送信する送信部と、を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項4】
動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、規制情報を挿入する規制情報挿入部をさらに備えることを特徴とする請求項3記載の端末装置。
【請求項5】
請求項1若しくは請求項2記載の配信プラットフォーム、または請求項3若しくは請求項4記載の端末装置を含むことを特徴とする映像管理システム。
【請求項6】
著作物保護の観点から映像の視聴を規制する配信プラットフォームのプログラムであって、
動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき
可視の規制情報が埋め込まれた映像を配信者から受信する処理と、
前記規制情報が埋め込まれた映像に対し、画像データの表示または音声データの再生を規制する規制加工を施す処理と、
前記規制加工が施された映像を視聴者に送信する処理と、の一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
著作物保護の観点から映像の視聴を規制する端末装置のプログラムであって、
映像を再生する処理と、
可視の規制情報が埋め込まれた映像に対し、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、画像データまたは音声データの再生を規制する規制加工を施す処理と、
前記規制加工が施された映像を配信プラットフォームに送信する処理と、の一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、著作物保護の観点から映像の視聴を規制する配信プラットフォーム、端末装置、映像管理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、動画系のSNS(Social Networking Service)において、映像の配信が増加している。例えば、ビデオゲームをプレイしながら実況する映像を配信することが多く行なわれている。ゲームや映画などは、ゲーム制作会社や映画配信会社に著作権が帰属していることから、映像を配信する配信者は、著作権者に許諾を得るか、または、著作権者が求めるガイドラインに従う必要がある。また、配信サービスのプラットフォーム側で、一括して著作権上の問題を解消している場合もある。この場合は、配信者は著作権に留意する必要はなくなる。
【0003】
このような映像の配信は、映像を受信して視聴する視聴者が無料で視聴できる場合も多く、オリジナルコンテンツの売り上げ減少などの影響を与えてしまうこともある一方で、広告宣伝効果もあるため、著作権者は常に映像配信の停止を求めているとは限らない。
【0004】
特許文献1には、著作権の保護を図り、かつユーザの趣向性にあった画像を配信する画像配信システムが開示されている。この画像配信システムでは、携帯電話から画像配信のリクエストに応答し、ゲートウェイサーバが携帯電話の固有識別子に対応するユーザIDをリクエストに設定してIPサーバに送信する。IPサーバは、ゲートウェイサーバからのリクエストを受信し、リクエストに設定されているユーザIDに基づいて、画像配信の是非を照合し、照合の結果が画像配信して良いユーザならば、リクエストされた画像データを携帯電話に送信する。携帯電話が、画像データを受信し、受信した画像データをユーザからのアクセスが制限された記憶領域に格納する。すなわち、特定のユーザやグループ間でのみ画像データを共有するために、データを蓄積しているサーバにおいて、当該データとユーザIDとの紐づけを行なってアクセス制御を行なう。ユーザIDについては、ネットワーク上のゲートウェイサーバにおいて、携帯電話の固有識別子と当該ユーザIDへの変換が行なわれる。
【0005】
また、特許文献2には、表示される画像のキャプチャ可否について制御するキャプチャ可否制御装置が開示されている。このキャプチャ可否制御装置では、表示制御部において、プログラムを実行することにより生成される画像が表示部に表示されるよう制御する。キャプチャレベル値取得部は、表示部に表示される画像のキャプチャが許可又は禁止される程度を示すキャプチャレベル値を取得する。基準値取得部は、画像のキャプチャ可否の基準となる基準値を取得する。キャプチャ可否制御部は、取得されるキャプチャレベル値と取得される基準値との比較結果に応じて、表示部に表示される画像のキャプチャ可否を制御する。すなわち、ゲームのシナリオなどに予めキャプチャレベルを設定し、当該設定値を用いて画像キャプチャの制御を行なう。この制御は、ゲーム機に予め映像配信機能が備えられており、ゲーム機で実行するソフトウェア内の情報(キャプチャレベルやシナリオ)を読み取ることで実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-078116号公報
【文献】特開2015-082299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の手法では、著作権に基づくガイドラインなどがあったとしても、配信者の判断と操作に委ねるとすると、著作権者の意図しない配信がなされてしまったり、配信者に過度の負担を強いてしまったりする恐れがある。
【0008】
また、特許文献1記載の技術では、コンテンツ単位の制御を基本としていることから、部分的な規制をかけることには適していない。また、規制をかけるとしてもユーザグループ単位で行なうことが想定されているため、不特定多数を対象とした制御には適切ではない。コンテンツを細分化することで、部分的な規制をかけることも想定されるが、同じゲームをプレイしていたとしても配信者毎に実況映像は異なることから、事前に映像データを蓄積し、分類しておくことは困難である。また、配信者が提供した映像がどのシーンであるのかを分析する必要もあり、これを実現させるにはAI(Artificial Intelligence)などを用いた高度な画像認識技術が必要となってしまう。
【0009】
また、特許文献2記載の技術では、ゲームの実行と配信制御とが一体となった形態であることから、ゲーム機以外の機器、例えばスマートフォンやパソコンなどでゲームを実行する場合などにおいて、ゲームの映像を「画面キャプチャ」によって取得し、配信する形態には対応することができない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することができる配信プラットフォーム、端末装置、映像管理システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の配信プラットフォームは、著作物保護の観点から映像の視聴を規制する配信プラットフォームであって、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき可視の規制情報が埋め込まれた映像を配信者から受信する受信部と、前記規制情報が埋め込まれた映像に対し、画像データの表示または音声データの再生を規制する規制加工を施す映像変更部と、前記規制加工が施された映像を視聴者に送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このように、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき規制情報が埋め込まれた映像に対し、画像データの表示または音声データの再生を規制する規制加工を施して視聴者に送信するので、配信プラットフォームにおいて、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することが可能となる。
【0013】
(2)また、本発明の配信プラットフォームは、視聴者が画像データの表示または音声データの再生の規制を受けるかどうかを管理する受信者管理部をさらに備え、前記送信部は、画像データの表示または音声データの再生の規制を受けない視聴者に対しては、前記規制加工を施さない映像を送信することを特徴とする。
【0014】
このように、画像データの表示または音声データの再生の規制を受けない視聴者に対しては、前記規制加工を施さない映像を視聴者に送信するので、例えば、利用料を支払っている視聴者や一定量以上のポイントを有している視聴者を優遇することができる。その結果、囲い込みによるユーザの確保を図ることが可能となる。
【0015】
(3)また、本発明の端末装置は、著作物保護の観点から映像の視聴を規制する端末装置であって、映像を再生する映像再生部と、可視の規制情報が埋め込まれた映像に対し、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、画像データまたは音声データの再生を規制する規制加工を施す映像変更部と、前記規制加工が施された映像を配信プラットフォームに送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
このように、規制情報が埋め込まれた映像に対し、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、画像データまたは音声データの再生を規制する規制加工を施して配信プラットフォームに送信するので、配信者の端末装置において、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することが可能となる。
【0017】
(4)また、本発明の端末装置は、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、規制情報を挿入する規制情報挿入部をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
この構成により、端末装置において、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、規制情報を挿入することが可能となる。これにより、端末装置において、規制情報を後付けすることができ、著作物保護を実現することが可能となる。
【0019】
(5)また、本発明の映像管理システムは、上記(1)若しくは(2)記載の配信プラットフォーム、または上記(3)若しくは(4)記載の端末装置を含むことを特徴とする。
【0020】
この構成により、配信プラットフォームまたは端末装置において、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することが可能となる。
【0021】
(6)また、本発明のプログラムは、著作物保護の観点から映像の視聴を規制する配信プラットフォームのプログラムであって、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき可視の規制情報が埋め込まれた映像を配信者から受信する処理と、前記規制情報が埋め込まれた映像に対し、画像データの表示または音声データの再生を規制する規制加工を施す処理と、前記規制加工が施された映像を視聴者に送信する処理と、の一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0022】
このように、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき規制情報が埋め込まれた映像に対し、画像データの表示または音声データの再生を規制する規制加工を施して視聴者に送信するので、配信プラットフォームにおいて、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することが可能となる。
【0023】
(7)また、本発明のプログラムは、著作物保護の観点から映像の視聴を規制する端末装置のプログラムであって、映像を再生する処理と、可視の規制情報が埋め込まれた映像に対し、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、画像データまたは音声データの再生を規制する規制加工を施す処理と、前記規制加工が施された映像を配信プラットフォームに送信する処理と、の一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0024】
このように、規制情報が埋め込まれた映像に対し、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき部分に、画像データまたは音声データの再生を規制する規制加工を施して配信プラットフォームに送信するので、配信者の端末装置において、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係る映像管理システムの概略を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る映像管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施例1に係る映像管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図4】配信プラットフォーム5における配信予約の受付動作を示すフローチャートである。
【
図5】配信プラットフォーム5における映像規制処理の動作を示すフローチャートである。
【
図6】配信プラットフォーム5における視聴者端末装置からの要求処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、近時、映像の配信が増加しているが、著作権者がコンテンツの配信を希望しない場合に、配信者に過度な負担をかけることなく、著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制する仕組みが提案されていないことに着目し、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき規制情報を用いて、この規制情報が埋め込まれた映像に対し、画像データの表示または音声データの再生を規制する規制加工を施して、視聴者に送信することによって、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することができることを見出し、本発明に至った。
【0028】
すなわち、本発明の配信プラットフォームは、著作物保護の観点から映像の視聴を規制する配信プラットフォームであって、動画若しくは静止画を含む画像データの表示または音声データの再生を規制すべき規制情報が埋め込まれた映像を配信者から受信する受信部と、前記規制情報が埋め込まれた映像に対し、画像データの表示または音声データの再生を規制する規制加工を施す映像変更部と、前記規制加工が施された映像を視聴者に送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0029】
これにより、本発明者らは、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る映像管理システムの概略を示す図である。この映像管理システム1は、インターネットNを介して、映像を配信する配信者端末装置3から、配信プラットフォーム5へ映像を送信し、配信プラットフォーム5から視聴者端末装置7または8へ映像を配信する。
【0031】
この映像管理システム1では、配信者側で、著作物保護の観点から映像の配信をしても良いかどうかについて、判断する必要が無いように、規制をかける必要のある映像(例えばビデオゲームのプレイ中の映像)D1内に、規制情報Cを付加する。この規制情報は、ゲームプレイに支障が生じないように付加され、例えば、QRコード(登録商標)を使うことが可能である。映像自体にモザイクや黒塗り加工をしてしまうと、ゲームのプレイそのものが不可能となるため、映像中に規制情報を付加する構成を採った。
【0032】
配信者端末装置3または配信プラットフォーム5において、映像D1中に規制情報Cを検知した場合は、規制情報に示された範囲で、映像にモザイクやレイア重ねなどで「規制加工」として映像に変更を施し、映像D2またはD3として、視聴者の閲覧を規制する。視聴者端末装置7では、モザイクが施された映像D4が表示され、著作物が保護される。また、規制情報が付加されている部分については、音楽や音声を消去したり、ボイスチェンジャーで音声情報を加工したりすることで視聴者の視聴を規制する。なお、プレミアユーザなど、特別な利用権限を有する視聴者に対しては、規制を解除しまたは規制を施さず、視聴者端末装置8では、モザイクが施されていない映像D5が表示されるようにし、視聴者に視聴可能な映像を提供するようにしても良い。
【0033】
図2は、本実施形態に係る映像管理システムの概略構成を示すブロック図である。配信者端末装置3は、映像を再生する映像再生部3a、自装置全体を制御する制御部3b、著作物を保護するための規制情報を映像中に挿入する規制情報挿入部3c、映像にモザイクやレイア重ねなどで映像に規制加工を施す映像変更部3d、画像を表示する表示部3e、画面キャプチャおよび合成を行なう画面合成部3f、信号の送信および受信を行なう送受信部3g、および配信者のユーザIDを管理するユーザID管理部3hを備えている。
【0034】
配信プラットフォーム5は、配信PF5と記載することもあり、信号の送信および受信を行なう送受信部5a、映像情報を蓄積する映像蓄積部5b、配信者の情報を管理する配信者管理部5c、映像の視聴者となる視聴者の情報を管理する受信者管理部5d、映像にモザイクやレイア重ねなどで映像に規制加工を施す映像変更部5e、および映像の配信の制御を行なう配信制御部5fを備えている。視聴者端末装置10は、信号の送信および受信を行なう送受信部10a、視聴者のIDを管理するユーザID管理部10b、および送受信部10aが受信した映像を再生する再生部10cを備えている。なお、視聴者端末装置10は、
図1における視聴者端末装置7および視聴者端末装置8に対応する。
【実施例1】
【0035】
実施例1では、配信プラットフォーム5において、規制加工を施す場合について説明する。
図3は、実施例1に係る映像管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。配信者端末装置3が、配信プラットフォーム5に対して、配信予約および著作権保護機能をオンとする通知を行なう(ステップF1)。配信プラットフォーム5は、配信者端末装置3に対して、配信オプションリスト、例えば、視聴者の属性や規制方法などを通知する(ステップF2)。次に、配信者端末装置3は、配信プラットフォーム5に対して、ゲームを開始する旨、配信モードを選択した旨を通知し、配信を開始する(ステップF3)。なお、実施例1では、配信者端末装置3が、規制情報を付加することとしているが、予め著作権者が映像に規制情報を付けておく態様を採ることも可能であり、また、配信プラットフォーム5において、映像に規制情報を付ける態様を採ることも可能である。次に、配信者端末装置3は、規制情報付きの映像を配信プラットフォーム5へ送信する(ステップF4)。
【0036】
配信プラットフォーム5は、規制情報付きの映像を受信したときは、映像規制処理を行なう(ステップF5)。この映像規制処理は、例えば、モザイク加工や、黒塗り加工など、元の映像が視聴できないような加工であれば特に限定されない。視聴者1端末装置7から、配信プラットフォーム5に視聴要求があると(ステップF6)、配信プラットフォーム5は、ユーザと規制「有り」との紐づけがされていることを確認し(ステップF7)、規制処理がされた映像データを視聴者1端末装置7へ送信する(ステップF8)。一方、プレミアム会員である視聴者2の端末装置8から、配信プラットフォーム5にIDとパスワード情報を伴った視聴要求があると(ステップF9)、配信プラットフォーム5は、ユーザと規制「無し」との紐づけがされていることを確認し(ステップF10)、規制処理がされていない映像データを視聴者2端末装置8へ送信する(ステップF11)。
【0037】
図4は、配信プラットフォーム5における配信予約の受付動作を示すフローチャートである。配信プラットフォーム5は、配信者端末装置3が配信しようとしている映像に規制情報が含まれているかどうかによって、著作権による保護対象とされているかどうかを判定し(ステップS01)、著作権による保護対象とされていない場合は、配信準備を完了する。一方、著作権による保護対象とされている場合は、配信オプションの通知、例えば、視聴者の属性や規制方法などを通知する(ステップS02)。次に、配信者端末装置3から、配信オプションの選択の結果、例えば、配信モードの選択結果を受領し(ステップS03)、配信準備が完了する。
【0038】
図5は、配信プラットフォーム5における映像規制処理の動作を示すフローチャートである。配信プラットフォーム5が配信者端末装置3から映像データを受信すると、著作権保護があるかどうかを判断する(ステップT01)。著作権保護がない場合は、ステップT07へ遷移し、映像に規制を施さない通常の映像変換、例えば、配信レートの変更などを行って(ステップT07)、配信データの生成が完了する。一方、ステップT01において、著作権保護がある場合は、規制情報を抽出する映像解析を行ない(ステップT02)、特定期間内に規制情報があるかどうかを判断する(ステップT03)。特定期間内に規制情報がない場合は、ステップT07へ遷移し、映像に規制を施さない通常の映像変換、例えば、配信レートの変更などを行って(ステップT07)、配信データの生成が完了する。なお、「規制が必要」である場合でも、「規制有・無の両方の映像」を保持する。また、規制情報には、規制有無の情報以外にも、規制の範囲指定や視聴者(ユーザ)の情報なども含まれる。
【0039】
ステップT03において、特定期間内に規制情報がある場合は、規制情報の解析を行なって(ステップT04)、規制が必要であるかどうかを判断する(ステップT05)。規制が必要でない場合は、ステップT07へ遷移し、映像に規制を施さない通常の映像変換、例えば、配信レートの変更などを行って(ステップT07)、配信データの生成が完了する。一方、ステップT05において、規制が必要である場合は、映像規制処理、例えば、モザイクや黒塗り加工を行なうと共に、配信レート変更等の処理を行なう(ステップT06)。これにより、配信データの生成が完了する。
【0040】
図6は、配信プラットフォーム5における視聴者端末装置からの要求処理の動作を示すフローチャートである。ログイン処理等を経て、視聴者端末装置から視聴要求を受信すると、その視聴者が、一般の視聴者であるか、またはプレミアの視聴者であるかを判断する(ステップR01)。この判断は、
図2における受信者管理部5dが保持する情報に基づいて行なうことが可能である。ステップR01において、一般の視聴者であった場合は、規制済みの映像を選択し、配信を開始する。一方、ステップR01において、プレミアの視聴者であった場合は、規制のない映像を選択し、配信を開始する。
【実施例2】
【0041】
実施例2では、配信者端末装置3において、規制処理を行なう場合について説明する。配信者端末装置3では、
図2に示す映像再生部3aおよび画面合成部3fを機能させて、配信者がゲームの実況を行なっているとする。そして、ゲームの設定に基づいて、配信モードを選択しているものとする。すなわち、著作物保護の配慮が不要である通常モードでは、通常のゲーム画面が配信されるが、著作物保護の配慮が必要となる映像が表示される際に、規制情報挿入部3cによって、映像内に規制情報が付与される。映像変更部3dとしての配信用アプリケーションにて、この規制情報を検知し、配信する映像に規制処理を行なう。この規制処理は、モザイク加工や黒塗り加工などを用いることができる。この規制処理の範囲は、予め決められた範囲としても良いし、当該規制情報の中に指定情報として記録されていても良い。また、著作者が予め保護が必要な映像に規制情報を付与していても良い。規制処理が施された映像は、配信プラットフォーム5へ送信され、さらに視聴者端末装置7へ配信される。
【0042】
音楽データや音声データに対して規制対象とする場合は、別の規制情報を付与しても良いし、同一の規制情報内に当該情報を組み込んでいても良い。そして、音楽データや音声データについて規制を施す場合は、配信用アプリケーションによって音声の規制処理を行なう。このような規制対象となる部分の再生が終了した場合は、通常の通りに規制のない映像や音声が再生され、それらが配信される。
【0043】
なお、以上の説明では、規制情報が付与された映像に対しては規制処理を行なう態様を示したが、これを反転させることも可能である。すなわち、規制情報が付与されていない映像に対しては、規制処理を行なう一方、規制情報が付与された映像は規制処理を施さないようにしても良い。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、配信者が著作物保護の観点から視聴者による映像の視聴を規制すべきかどうかについて、意識することなく、著作物保護を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1 映像管理システム
3 配信者端末装置
3a 映像再生部
3b 制御部
3c 規制情報挿入部
3d 映像変更部
3e 表示部
3f 画面合成部
3g 送受信部
3h ユーザID管理部
5 配信プラットフォーム
5a 送受信部
5b 映像蓄積部
5c 配信者管理部
5d 受信者管理部
5e 映像変更部
5f 配信制御部
7 視聴者端末装置
8 視聴者端末装置
10 視聴者端末装置
10a 送受信部
10b ユーザID管理部
10c 再生部
C 規制情報
N インターネット