(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】キャップ付容器
(51)【国際特許分類】
B65D 50/14 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B65D50/14
(21)【出願番号】P 2021161835
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】立藏 亮
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-240110(JP,A)
【文献】実開昭50-116844(JP,U)
【文献】特開2013-227057(JP,A)
【文献】特開2020-196501(JP,A)
【文献】米国特許第4366921(US,A)
【文献】特開2001-240108(JP,A)
【文献】特開2018-108833(JP,A)
【文献】特開2012-250719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 50/14
B65D 50/04
B65D 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液が収容される有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の口部に形成された雄ネジと螺合する雌ネジを有する装着キャップと、
前記雄ネジと同ピッチのネジ状部を有し、少なくとも一部が前記口部と前記装着キャップとの間に位置する規制部材と、を備え、
ロック解除治具が差込可能な差込口が設けられ、
前記規制部材は、前記ネジ状部の上下方向における位置が前記雄ネジと整合した解除位置と、前記ネジ状部の上下方向における位置が前記解除位置から離れた規制位置と、の間で、前記口部に対して上下動可能であり、
前記装着キャップの周壁には、周方向の一部において、前記雌ネジが形成されていない非ネジ領域が設けられ、
前記装着キャップが前記口部に螺着されると、前記ネジ状部と前記非ネジ領域との周方向における位置が一致することで、前記規制部材は前記解除位置から前記規制位置に向けて移動し、
前記ロック解除治具が前記差込口に差込まれたときに、前記規制部材が前記規制位置から前記解除位置に移動させられる、キャップ付容器。
【請求項2】
前記規制部材は、前記規制部材を前記解除位置から前記規制位置に向けて付勢する付勢部を有する、請求項1に記載のキャップ付容器。
【請求項3】
前記解除位置は前記規制位置よりも上方にあり、
前記装着キャップの回転方向のうち、前記装着キャップを前記口部に螺着させる方向を螺着方向とし、前記螺着を解除させる方向を緩み方向とするとき、
前記緩み方向における前記ネジ状部の端部にはガイド面が形成され、
前記ガイド面は、前記緩み方向に向かうに従って上方に向かうように傾斜している、請求項1または2に記載のキャップ付容器。
【請求項4】
前記装着キャップには、前記規制部材の位置を確認可能な窓部が形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のキャップ付容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、容器体の口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止するためのカバー部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるカバー部材は、装着キャップの少なくとも一部を径方向外側から覆う構成であるため、容器全体のかさ張りにつながっていた。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、かさ張りを抑えたキャップ付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るキャップ付容器は、内容液が収容される有底筒状の容器本体と、前記容器本体の口部に形成された雄ネジと螺合する雌ネジを有する装着キャップと、前記雄ネジと同ピッチのネジ状部を有し、少なくとも一部が前記口部と前記装着キャップとの間に位置する規制部材と、を備え、ロック解除治具が差込可能な差込口が設けられ、前記規制部材は、前記ネジ状部の上下方向における位置が前記雄ネジと整合した解除位置と、前記ネジ状部の上下方向における位置が前記解除位置から離れた規制位置と、の間で、前記口部に対して上下動可能であり、前記装着キャップの周壁には、周方向の一部において、前記雌ネジが形成されていない非ネジ領域が設けられ、前記装着キャップが前記口部に螺着されると、前記ネジ状部と前記非ネジ領域との周方向における位置が一致することで、前記規制部材は前記解除位置から前記規制位置に向けて移動し、前記ロック解除治具が前記差込口に差込まれたときに、前記規制部材が前記規制位置から前記解除位置に移動させられる。
【0007】
上記態様によれば、装着キャップが口部に螺着されると、規制位置に規制部材が移動する。規制部材が規制位置にあるとき、ネジ状部と雄ネジとの上下方向における位置が整合しないため、使用者が装着キャップを口部に対して緩み方向に回転することが規制される。したがって、例えばキャップ付容器を設置した管理者以外の者が、装着キャップを口部から取り外すことを制限することができる。その一方で、管理者等がキャップ付容器の内容液の詰め替えなどを行う際には、ロック解除治具を差込口に差込むことで、容易に装着キャップを口部から取り外すことが可能である。そして、規制部材の一部が装着キャップと口部との間に位置しているため、規制部材によるキャップ付容器のかさ張りを抑えるとともに規制部材を目立たせずに設けることができ、規制部材のない従来のキャップ付容器から外観形状が大きく変わることが抑えられる。
【0008】
ここで、前記規制部材は、前記規制部材を前記解除位置から前記規制位置に向けて付勢する付勢部を有してもよい。
【0009】
この場合、ネジ状部と非ネジ領域との周方向における位置が一致したとき、付勢部が生じさせる付勢力によって、より確実に規制部材を規制位置に向けて移動させることができる。
【0010】
また、前記解除位置は前記規制位置よりも上方にあり、前記装着キャップの回転方向のうち、前記装着キャップを前記口部に螺着させる方向を螺着方向とし、前記螺着を解除させる方向を緩み方向とするとき、前記緩み方向における前記ネジ状部の端部にはガイド面が形成され、前記ガイド面は、前記緩み方向に向かうに従って上方に向かうように傾斜していてもよい。
【0011】
この場合、装着キャップを口部に装着する際には、雌ネジの端部がガイド面に当接することで、規制部材を規制位置から解除位置に移動させることができる。したがって、装着キャップを口部に螺着させる際の操作性が向上する。
【0012】
また、前記装着キャップには、前記規制部材の位置を確認可能な窓部が形成されていてもよい。
【0013】
この場合、規制部材が規制位置にあるのか、あるいは解除位置にあるのかを、使用者が窓部を通じて容易に視認可能となり、操作性がより向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、かさ張りを抑えたキャップ付容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係るキャップ付き容器を、一部断面で表示した図である。
【
図2A】規制部材が規制位置にある場合を示す図である。
【
図2B】規制部材が解除位置にある場合を示す図である。
【
図4A】装着キャップを口部から取り外す際に用いられるロック解除治具の平面図である。
【
図5】ロック解除治具を用いて規制部材を規制位置から解除位置に移動させる様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態のキャップ付容器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、キャップ付容器1は、容器本体2と、装着キャップ10を有する吐出器3と、を備える。容器本体2は有底筒状であり、内容液を収容する。容器本体2の口部2aに、吐出器3が取り付けられている。本実施形態の吐出器3はいわゆるトリガー式液体噴出器であり、トリガー4を操作することでノズル部材5の吐出孔5aから内容液が吐出するように構成されている。本実施形態のキャップ付容器1は、例えばホテルや旅館などにアメニティとして設置することが可能であり、管理者(従業員等)以外の者が装着キャップ10を容器本体2から取り外すことを制限するような用途に採用できる。装着キャップ10は、トリガー4等を容器本体2に装着するために用いられる。ただし、吐出器3はトリガー式液体噴出器でなくてもよく、例えば押下ヘッドを押下することで内容液が吐出される吐出器であってもよい。
【0017】
(方向定義)
容器本体2の口部2aは円筒状である。本明細書では、円筒状の口部2aの中心軸線を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見ることを平面視という。上下方向において、容器本体2の底部側を下方といい、口部2a側を上方という。平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
詳細は後述するが、装着キャップ10は口部2aに対して容器軸O回りに回転することで、口部2aに対して螺着されたり当該螺着が解除されたりする。本明細書では、容器軸O回りの装着キャップ10の回転方向のうち、装着キャップ10が口部2aに螺着される側を螺着方向といい、螺着が解除される側を緩み方向という。
【0018】
吐出器3は、トリガー4と、ノズル部材5と、パッキン6と、縦供給筒部7と、吸上げ筒8と、装着キャップ10と、を備える。吸上げ筒8の下端部は、容器本体2の底部近傍に開口している。図示は省略するが、トリガー4が操作されると、吸上げ筒8の下端から内容液が吸い上げられる。吸い上げられた内容液は、縦供給筒部7等を通って吐出孔5aから吐出される。縦供給筒部7は、平面視で環状の環状突起7aを有している。
【0019】
図2Aに示すように、容器本体2の口部2aの外周面には雄ネジ2bが形成されている。口部2aの外周面には、径方向内側に向けて窪む一対の収容部2cが形成されている。図示は省略するが、一対の収容部2cは、平面視において、容器軸Oを間に挟むように配置されている。各収容部2cには、雄ネジ2bが形成されていない。口部2aには、径方向外側に向けて突出するネックリング2dが形成されている。ネックリング2dは平面視で環状であり、収容部2cの下方に位置している。収容部2cは、口部2aにおけるネックリング2dより上方の部分の全長にわたって、上下方向に延びている。すなわち、収容部2cは上方に向けて開口している。容器本体2におけるネックリング2dの下方には、肩部2eが形成されている。肩部2eの外周面はテーパ状であり、上方に向かうに従って外径が小さくなっている。
【0020】
図1に示すように、規制部材20は、係止部21と、一対の板状部22と、を有している。本実施形態では、規制部材20の略全体が口部2aと装着キャップ10との間に位置しているため、規制部材20によってキャップ付容器1がかさ張ることを抑制できる。なお、規制部材20の一部が口部2aと装着キャップ10との間に位置していなくてもよい。
【0021】
係止部21は容器軸Oと同軸の円筒状であり、ネックリング2dを径方向外側から囲っている。
図2A、
図2Bに示すように、係止部21の下端には、径方向内側に突出する係止突起21aが形成されている。規制部材20は口部2aに対して上下動可能である。より具体的には、
図2Aのように規制部材20が下降端位置にあるとき、係止突起21aとネックリング2dとの間には上下方向の隙間が設けられる。この上下方向の隙間の範囲内で、規制部材20は口部2aに対して上昇可能である。また、係止突起21aがネックリング2dに当接することで、規制部材20のそれ以上の上昇が規制される。
【0022】
一対の板状部22はそれぞれ、係止部21から上方に向けて延びている。一対の板状部22はそれぞれ、一対の収容部2cの内側に収容されている。各板状部22の外周面には、雄ネジ2bと同ピッチのネジ状部23が形成されている。
【0023】
図2Aに示すように、規制部材20が下降端位置にあるとき、ネジ状部23は雄ネジ2bに対して上下方向においてずれた位置にある。規制部材20が下降端位置から所定量上昇すると、
図2Bに示すように、ネジ状部23および雄ネジ2bの上下方向の位置が整合し、連続した螺旋状突起(雄ネジ)を形成する。本明細書では、
図2Bのように、ネジ状部23および雄ネジ2bの上下方向の位置が整合するときの規制部材20の位置を「解除位置」という。また、
図2Aのように、ネジ状部23および雄ネジ2bの上下方向の位置が整合しないときの規制部材20の位置を「規制位置」という。本実施形態では、解除位置が規制位置よりも上方にある。
【0024】
緩み方向における各ネジ状部23の端部には、ガイド面23aが形成されている。ガイド面23aは、緩み方向に向かうにしたがって、上方に向かうように傾斜している。
各板状部22の上端部には、付勢部24が形成されている。付勢部24は弾性を有しており、規制部材20を下方に付勢することが可能である。図示の例では、付勢部24は板状部22の緩み方向における端部から上方に向けて突出するとともに、上方に向かうにしたがって螺着方向に向かうように傾斜している。装着キャップ10が口部2aに螺着されると、付勢部24の上端部がパッキン6に押し当てられて、付勢部24が弾性変形する。この弾性力により、規制部材20が下方付勢される。
【0025】
図2A、
図2Bに示すように、規制部材20は規制面23bを有している。規制面23bは、最も下方に位置するネジ状部23において、螺着方向を向く端面である。規制面23bは、規制部材20が規制位置にあるとき、螺着された装着キャップ10が緩み方向に回転することを規制する役割を果たす。本実施形態の規制面23bは上下方向に略平行に延びている。ただし、装着キャップ10が緩み方向に回転することを規制できれば、規制面23bは必ずしも上下方向に略平行でなくてもよい。
【0026】
図3に示すように、装着キャップ10は、周壁11と、環状部12と、雌ネジ13と、を有している。周壁11は容器軸Oと同軸の円筒状であり、口部2aを径方向外側から覆う。周壁11には、窓部11bが形成されている。窓部11bは周壁11を径方向に貫通している。窓部11bは雌ネジ13よりも下方に位置している。本実施形態の窓部11bは周方向に延びているが、窓部11bの形状は適宜変更してもよい。また、窓部11bは無くてもよい。
【0027】
環状部12は周壁11の上端から径方向内側に突出しており、平面視で環状に形成されている。雌ネジ13は周壁11の内周面に形成されており、口部2aの外周面に形成された雄ネジ2bと螺合する。本明細書では、雌ネジ13のうち、装着キャップ10が口部2aに装着される際に、最初に雄ネジ2b同士の間に入り込む部位を「始端13a」という。
【0028】
周壁11の内周面には、周方向の一部において、雌ネジ13が形成されていない非ネジ領域11aが設けられている。規制部材20の板状部22の数に合わせて、非ネジ領域11aは2つ設けられている。2つの非ネジ領域11aは、平面視において容器軸Oを間に挟むように配置されている。各非ネジ領域11aの周方向における寸法は、ネジ状部23の周方向における寸法よりも大きい。ただし、装着キャップ10が口部2aに螺着された状態において、ネジ状部23が非ネジ領域11a内に収容されれば、非ネジ領域11aの周方向における寸法とネジ状部23の周方向における寸法とが同等であってもよい。
なお、板状部22、非ネジ領域11a、および収容部2cの数は、適宜変更してもよい。
【0029】
図3に示すように、雌ネジ13のうち、非ネジ領域11aにおける緩み方向の端部に位置して、非ネジ領域11aを向く面を、本明細書では被規制面13bという。
図1に示すように、環状部12は、装着キャップ10が口部2aに螺着された際に、口部2aの上端縁との間でパッキン6を挟む。これにより、口部2aと装着キャップ10との間がシールされる。
【0030】
図4A、
図4Bには、本実施形態のキャップ付容器1とともに使用されるロック解除治具30が示されている。ロック解除治具30は、一対の爪部31と、連結部32と、スペーサ33と、を有している。連結部32は平面視においてU字状であり、一対の爪部31を連結している。連結部32は弾性を有している。連結部32が弾性変形することで、爪部31同士の間の間隔が変化する。
図4Aでは、自然状態(ロック解除治具30に外力が加わっていない状態)における連結部32の形状および爪部31の位置を、二点鎖線で表している。使用者が連結部32を把持すること等により、連結部32に外力が加わると、一対の爪部31が互いに近づくように連結部32が弾性変形する。このように弾性変形した後の連結部32の形状および爪部31の位置を、
図4Aの実線および
図4Bに示している。
【0031】
一対の爪部31は、平面視における連結部32の両端部から径方向内側に向けて突出している。一対の爪部31は、ロック解除治具30を用いて規制部材20を規制位置から移動させる際に、平面視において容器軸Oを間に挟むように配置されている。各爪部31の先端(径方向内側の端部)には、ガイド部31aが形成されている。ガイド部31aは径方向内側に向かうに従って上方に向かうように傾斜している。
【0032】
スペーサ33は、平面視における連結部32の中間部から径方向内側に向けて突出している。
図4Bに示すように、スペーサ33は、正面視において、下方に開口するC字状である。なお、「正面視」とは、
図4Aの矢印Fに示すように、爪部31同士の間の中点からスペーサ33を直視することをいう。スペーサ33は、ロック解除治具30を用いて規制部材20を規制位置から移動させる際に、口部2aに突き当てられる。
【0033】
次に、以上のように構成されたキャップ付容器1の作用について説明する。
【0034】
図2Aに示すように、口部2aから装着キャップ10が取り外された状態においては、規制部材20は下降端位置に位置している。このとき、ネジ状部23と雄ネジ2bとは上下方向においてずれた位置にある。つまり、規制部材20が規制位置に位置する。
【0035】
図2Aに示す状態の口部2aに、装着キャップ10を口部2aに被せて螺着方向に回転させると、装着キャップ10の雌ネジ13における始端13a(
図3参照)が、雄ネジ2b同士の間に入り込み、ネジ状部23のガイド面23aに当接する。その状態で、さらに装着キャップ10を螺着方向に回転させると、ガイド面23aに雌ネジ13の始端13aが押し当てられることで、規制部材20に上方に向けた力が作用する。これにより、規制部材20が上方移動し、
図2Bに示すようにネジ状部23と雄ネジ2bとの上下方向の位置が整合する。つまり、規制部材20が解除位置に到達する。さらに装着キャップ10を螺着方向に回転させると、雌ネジ13の始端13aがガイド面23aを螺着方向に通過する。
【0036】
その後、装着キャップ10が口部2aに螺着されると、装着キャップ10の環状部12と口部2aとの間でパッキン6が挟まれ、口部2aがシールされる。なお、本実施形態では、パッキン6とともに縦供給筒部7の環状突起7aも環状部12と口部2aとの間に挟まれる。ただし、環状突起7aは必須ではない。
【0037】
装着キャップ10が口部2aに螺着されると、装着キャップ10の非ネジ領域11aと規制部材20のネジ状部23とが、周方向において同じ位置に配置される。このとき、ネジ状部23が雌ネジ13によって下方から支持されていない状態となる。さらにこの状態では、規制部材20の付勢部24がパッキン6によって下方に押されることで弾性変形している。付勢部24の弾性変形に伴う下方付勢力に加えて、規制部材20の自重によって、規制部材20は下降し、下降端位置に到達する(
図2B参照)。これにより、ネジ状部23と雄ネジ2bとの上下方向における位置が整合しなくなる。つまり、規制部材20が規制位置に位置することとなる。
【0038】
規制部材20が規制位置にあるとき、装着キャップ10を緩み方向に回転させようとすると、雌ネジ13の被規制面13bがネジ状部23の規制面23bに当接する。このため、装着キャップ10が緩み方向に回転することは規制される。
螺着された装着キャップ10を口部2aから取り外す場合には、
図4A、
図4Bに示すロック解除治具30を用いる。具体的には、
図5(a)~(d)に示す手順により、規制部材20を解除位置まで上方移動させる。以下、より詳しく説明する。
【0039】
図5(a)は、装着キャップ10が口部2aに螺着され、規制部材20が規制位置(下降端位置)にある状態を示している。この状態において、規制部材20と容器本体2の肩部2eとの間、および装着キャップ10と肩部2eとの間には、連続した隙間が設けられている。この隙間は、ロック解除治具30を差込可能な差込口Sとして用いられる。差込口Sは、肩部2eの上方に、全周にわたって形成されている。なお、周方向における一部分にのみ差込口Sが設けられてもよい。
図5(a)に示す爪部31は、ロック解除治具30が自然状態にある場合を示している。ロック解除治具30が自然状態にある場合、一対の爪部31同士の間の間隔が、肩部2eの少なくとも一部における外径よりも大きいため、爪部31が肩部2eから径方向外側に離隔している。
【0040】
ロック解除治具30の連結部32を弾性変形させて、一対の爪部31同士の間隔を狭めて、各爪部31を差込口Sに差込むと、
図5(b)に示すように、爪部31のガイド部31aが肩部2eに当接する。
さらに連結部32を弾性変形させて、爪部31同士の間の間隔を狭めると、
図5(c)に示すように、ガイド部31aが肩部2eに当接することで、爪部31が肩部2eの表面に沿って上方移動する。
【0041】
さらに連結部32を弾性変形させると、
図5(d)に示すように、爪部31が規制部材20の係止部21における下面を押し上げることで、規制部材20が上方移動する。これにより、規制部材20が解除位置に移動して、規制面23bが雌ネジ13の被規制面13bに対して上方に退避する。したがって、装着キャップ10を緩み方向を回転させることが可能となり、装着キャップ10を口部2aから取り外すことができる。
【0042】
図5(a)~(c)に示すように、本実施形態では規制部材20が規制位置にある場合、窓部11bを通じて板状部22が視認される。これに対して、
図5(d)に示すように、規制部材20が解除位置にある場合は、窓部11bを通じて係止部21が視認される。したがって、使用者は、窓部11bを通じて係止部21および板状部22のいずれが見えるかに基づいて、規制部材20が規制位置にあるか解除位置にあるかを確認することができる。なお、規制部材20の位置の視認性を向上させるため、係止部21と板状部22とで色を異ならせてもよい。例えば、係止部21および板状部22のどちらか一方にのみ、ホットスタンプ等で着色を施してもよい。あるいは、係止部21および板状部22の両方に、互いに異なる着色をホットスタンプ等で施してもよい。あるいは、係止部21または板状部22に刻印を施してもよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のキャップ付容器1は、内容液が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部2aに形成された雄ネジ2bと螺合する雌ネジ13を有する装着キャップ10と、雄ネジ2bと同ピッチのネジ状部23を有し、少なくとも一部が口部2aと装着キャップ10との間に位置する規制部材20と、を備え、ロック解除治具30が差込可能な差込口Sが設けられ、規制部材20は、ネジ状部23の上下方向における位置が雄ネジ2bと整合した解除位置と、ネジ状部23の上下方向における位置が解除位置から離れた規制位置と、の間で、口部2aに対して上下動可能であり、装着キャップ10の周壁11には、周方向の一部において、雌ネジ13が形成されていない非ネジ領域11aが設けられ、装着キャップ10が口部2aに螺着されると、ネジ状部23と非ネジ領域11aとの周方向における位置が一致することで、規制部材20は解除位置から規制位置に向けて移動し、ロック解除治具30が差込口Sに差込まれたときに、規制部材20が規制位置から解除位置に移動させられる。
【0044】
この構成によれば、装着キャップ10が口部2aに螺着されると、規制位置に規制部材20が移動する。規制部材20が規制位置にあるとき、ネジ状部23と雄ネジ2bとの上下方向における位置が整合しないため、使用者が装着キャップ10を口部2aに対して緩み方向に回転することが規制される。したがって、例えばキャップ付容器1を設置した管理者以外の者が、装着キャップ10を口部2aから取り外すことを制限することができる。その一方で、管理者等がキャップ付容器1の内容液の詰め替えなどを行う際には、ロック解除治具30を差込口Sに差込むことで、容易に装着キャップ10を口部2aから取り外すことが可能である。そして、規制部材20の一部が装着キャップ10と口部2aとの間に位置しているため、規制部材20によるキャップ付容器1のかさ張りを抑えるとともに規制部材20を目立たせずに設けることができ、規制部材のない従来のキャップ付容器から外観形状が大きく変わることが抑えられる。特に、本実施形態のように、規制部材20の略全体が装着キャップ10と口部2aとの間に位置するように構成することが、より効果的である。
【0045】
また、規制部材20は、規制部材20を解除位置から規制位置に向けて付勢する付勢部24を有する。このため、ネジ状部23と非ネジ領域11aとの周方向における位置が一致したとき、付勢部24が生じさせる付勢力によって、より確実に規制部材20を規制位置に向けて移動させることができる。
【0046】
また、解除位置は規制位置よりも上方にあり、装着キャップ10の回転方向のうち、装着キャップ10を口部2aに螺着させる方向を螺着方向とし、螺着を解除させる方向を緩み方向とするとき、緩み方向におけるネジ状部23の端部にはガイド面23aが形成され、ガイド面23aは、緩み方向に向かうに従って上方に向かうように傾斜している。これにより、装着キャップ10を口部2aに装着する際には、雌ネジ13の端部(始端13a)がガイド面23aに当接することで、規制部材20を規制位置から解除位置に移動させることができる。したがって、装着キャップ10を口部2aに螺着させる際の操作性が向上する。
【0047】
また、装着キャップ10には、規制部材20の位置を確認可能な窓部11bが形成されている。これにより、規制部材20が規制位置にあるのか、あるいは解除位置にあるのかを、使用者が窓部11bを通して容易に視認可能となり、操作性が向上する。
【0048】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、前記実施形態では、付勢部24が規制部材20と一体に形成されていたが、付勢部24は規制部材20と別体であってもよい。また、
図2A等に示す付勢部24は、板状部22の緩み方向における端部から上方に突出しているが、付勢部24は板状部22の締まり方向における端部から上方に突出していてもよい。その他の形態の付勢部24を採用してもよい。また、規制部材20を自重によって下方移動させることも可能であるため、付勢部24は無くてもよい。
【0050】
また、
図2A、
図2Bの例では、板状部22に2つのネジ状部23が形成されているが、ネジ状部23の数は雄ネジ2bに合わせて適宜変更してもよい。つまり、板状部22にはネジ状部23が1つだけ形成されていてもよいし、3つ以上形成されていてもよい。
【0051】
また、ネジ状部23のガイド面23aは無くてもよい。この場合も、例えば規制部材20を手動で規制位置から解除位置に移動させること等により、装着キャップ10を口部2aに装着することが可能である。
【0052】
また、
図3に示す非ネジ領域11aには突条が形成されておらず滑らかな表面となっているが、雄ネジ2bと螺合しない程度の、高さが低い突条が非ネジ領域11aに形成されていてもよい。
【0053】
また、前記実施形態のキャップ付容器1は吐出器3を備えていたが、このような吐出器を設けずに、単に装着キャップ10によって口部2aを閉塞(封止)するキャップ付容器であってもよい。この場合、装着キャップ10は、環状部12ではなく、周壁11の上端を閉塞する天壁を有してもよい。さらにこの場合、容器本体2に収容される内容液としては、例えば薬剤などを採用可能である。
【0054】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…キャップ付容器 2…容器本体 2a…口部 2b…雄ネジ 10…装着キャップ 11…周壁 11a…非ネジ領域 11b…窓部 13…雌ネジ 20…規制部材 23…ネジ状部 23a…ガイド面 24…付勢部 30…ロック解除治具 S…差込口