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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】車両用の内装部品
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/08 20060101AFI20241129BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20241129BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B60R13/08
B60J5/00 501Z
B60R7/04 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021182714
(22)【出願日】2021-11-09
(65)【公開番号】P2023070499
(43)【公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】畠山 翔
(72)【発明者】
【氏名】亀井 政俊
(72)【発明者】
【氏名】上野 妙子
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-180381(JP,A)
【文献】特開2000-233689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/08
B60J 5/00
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に設けられる内装部品であって、
人が搭乗する第1空間と、第2空間とを区画する樹脂パネルと、
前記樹脂パネルから車両外方に立設し、前記第2空間にセルを形成する第1立壁と、前記樹脂パネルから車両外方に立設し、前記セルに位置する複数の第2立壁と、を含む立壁部と、
前記立壁部の端部に設けられ、前記セルを覆う多孔質材と、を備え、
前記第1立壁は、前記第1立壁によって囲われた前記セルを形成するよう、一周にわたって連続的に延びており、
前記複数の第2立壁は、互いに独立しており、且つ前記第1立壁から独立している、内装部品。
【請求項2】
車室内に設けられる内装部品であって、
人が搭乗する第1空間と、第2空間とを区画する樹脂パネルと、
前記樹脂パネルから車両外方に立設し、一周にわたって連続的に延びる第1立壁と、前記第1立壁によって囲われた空間内において前記樹脂パネルから車両外方に立設し、前記第2空間に複数のセルを形成する複数の第2立壁と、を含む立壁部と、
前記立壁部に接続され、前記立壁部が広がる方向に交差する方向に広がる中間壁部と、を備える、内装部品。
【請求項3】
前記中間壁部は、第1の前記セルに位置する第1の中間壁と、前記第1のセルとは異なる第2の前記セルに位置し、前記樹脂パネルの法線方向において前記第1の中間壁とは異なる位置にある第2の中間壁と、を含む、請求項2に記載の内装部品。
【請求項4】
前記中間壁部に孔が形成されている、請求項2又は3に記載の内装部品。
【請求項5】
前記立壁部の端部に設けられ、前記セルを覆う多孔質材を備える、請求項2~4のいずれか一項に記載の内装部品。
【請求項6】
前記樹脂パネルが、カップホルダを構成している、請求項1~5のいずれか一項に記載の内装部品。
【請求項7】
前記樹脂パネルが、コンソールを構成している、請求項1~5のいずれか一項に記載の内装部品。
【請求項8】
前記樹脂パネルが、ドアトリムを構成している、請求項1~5のいずれか一項に記載の内装部品。
【請求項9】
前記樹脂パネルが、インストルメントパネルを構成している、請求項1~5のいずれか一項に記載の内装部品。
【請求項10】
前記樹脂パネルが、ヘッドライニングを構成している、請求項1~5のいずれか一項に記載の内装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室に設けられる内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
車室外で生じた騒音が車室内に到達することを抑制するための部品が用いられている。例えば、シンサレート(登録商標)のような不織布をドアトリムに取り付けることが知られている。また、孔が形成されている部材を用いることにより、吸収される音の周波数を調整する技術も知られている。例えば特許文献1は、複数の孔が形成されているパネルと、パネルを覆うカバーと、を備える部品を開示している。例えば特許文献2は、孔が形成された板を用いて空気層を分割することにより、吸収される音の周波数を調整するという技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表第2004-516972号公報
【文献】特許第3521577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2の技術を用いる場合、吸収される音の周波数を調整することが容易ではない。また、部品を車両に取り付ける工程が必要なので、コストが高くなる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決できる内装部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車室に設けられる内装部品であって、
人が搭乗する第1空間と、第2空間とを区画する樹脂パネルと、
前記樹脂パネルから車両外方に立設し、前記第2空間にセルを形成する第1立壁と、前記樹脂パネルから車両外方に立設し、前記セルに位置する複数の第2立壁と、を含む立壁部と、
前記立壁部の端部に設けられ、前記セルを覆う多孔質材と、を備え、
前記複数の第2立壁は、互いに独立しており、且つ前記第1立壁から独立している、内装部品である。
【0007】
本発明は、車室内に設けられる内装部品であって、
人が搭乗する第1空間と、第2空間とを区画する樹脂パネルと、
前記樹脂パネルから車両外方に立設し、前記第2空間に複数のセルを形成する立壁部と、
前記立壁部に接続され、前記立壁部が広がる方向に交差する方向に広がる中間壁部と、を備える、内装部品である。
【0008】
本発明による内装部品において、前記中間壁部は、第1の前記セルに位置する第1の中間壁と、前記第1のセルとは異なる第2の前記セルに位置し、前記樹脂パネルの法線方向において前記第1の中間壁とは異なる位置にある第2の中間壁と、を含んでいてもよい。
【0009】
本発明による内装部品において、前記中間壁部に孔が形成されていてもよい。
【0010】
本発明による内装部品は、前記立壁部の端部に設けられ、前記セルを覆う多孔質材を備えていてもよい。
【0011】
本発明による内装部品において、前記樹脂パネルが、カップホルダを構成していてもよい。
【0012】
本発明による内装部品において、前記樹脂パネルが、コンソールを構成していてもよい。
【0013】
本発明による内装部品において、前記樹脂パネルが、ドアトリムを構成していてもよい。
【0014】
本発明による内装部品において、前記樹脂パネルが、インストルメントパネルを構成していてもよい。
【0015】
本発明による内装部品において、前記樹脂パネルが、ヘッドライニングを構成していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吸収される音の周波数を容易に調整できる。また、設置に要するコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車室に設けられる内装部品の例を示す図である。
図2】内装部品の一例を示す斜視図である。
図3】カップホルダの一例を第1空間側から見た場合を示す斜視図である。
図4】カップホルダの一例を第2空間側から見た場合を示す斜視図である。
図5】カップホルダの一例を示す縦断面図である。
図6】カップホルダにパッドが設けられている例を示す縦断面図である。
図7】カップホルダによって構成される内装部品の一例を示す縦断面図である。
図8】カップホルダの一例を第1空間側から見た場合を示す斜視図である。
図9】カップホルダの一例を第2空間側から見た場合を示す斜視図である。
図10】カップホルダによって構成される内装部品の一例を示す縦断面図である。
図11】カップホルダによって構成される内装部品の一例を示す縦断面図である。
図12】カップホルダによって構成される内装部品の一例を示す縦断面図である。
図13】ドアトリムによって構成される内装部品の一例を示す縦断面図である。
図14】実施例1の内装部品を示す図である。
図15】実施例2の内装部品を示す図である。
図16】実施例1~2及び比較例1の内装部品における吸音率の評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0019】
図1は、車室の一例を示す図である。車室には、車室外で生じた騒音を吸収するための内装部品10が設けられている。騒音の例は、タイヤの放射音、エンジンの放射音、風切り音などである。
【0020】
内装部品10は、車室に設けられている装備の一部を利用して構成される。例えば、内装部品10は、センターコンソールのカップホルダ15の一部を利用して構成されてもよい。内装部品10は、後述するように、ドアトリム16の一部を利用して構成されてもよい。車室に設けられている装備の一部を利用することにより、内装部品10の設置に要するコストを低減できる。
【0021】
カップホルダ15の一部を利用して内装部品10を構成する例を説明する。図2は、内装部品10の一例を示す斜視図である。内装部品10は、第1空間11と第2空間12の境界に位置している。第1空間11は、乗用車などの車両の中の空間のうち、人が搭乗する空間であり、いわゆる車室である。内装部品10は、カップホルダ15と、カップホルダ15に取り付けられた多孔質材50と、を備える。
【0022】
多孔質材50は、多数の空隙が内部に形成されている部材である。多孔質材50の例は、不織布、織布、紙、フェルト、プラスチック発泡体などである。多孔質材50は、騒音の吸収に寄与する。多孔質材50が騒音を吸収する原理は特には限定されない。例えば、後述するように多孔質材50がセルに接している場合、多孔質材50が全体として振動することで音のエネルギーを減衰させることにより、音を吸収してもよい。若しくは、多孔質材50の空隙を音が通るときに多孔質材50の内部の骨格が振動することで、音のエネルギーを減衰させることにより、音を吸収してもよい。
【0023】
多孔質材50の厚みは、例えば0.5mm以上であり、1.0mm以上であってもよく、2.0mm以上であってもよい。多孔質材50の厚みは、例えば10.0mm以下であり、8.0mm以下であってもよく、6.0mm以下であってもよい。
【0024】
カップホルダ15の構成を詳細に説明する。図3は、カップホルダ15を第1空間11側から見た場合を示す斜視図である。図4は、カップホルダ15を第2空間12側から見た場合を示す斜視図である。カップホルダ15は、底部151、側部152及びフランジ部153を含む。
【0025】
カップホルダ15は、第1空間11と、第1空間11よりも外方に位置する第2空間12とを区画する樹脂パネル20を含む。すなわち、樹脂パネル20は、第1空間11に接するとともに、第2空間12にも接している。樹脂パネル20は、内装部品10のベース部材として機能する。本実施の形態において、樹脂パネル20は、カップホルダ15の底部を構成している。図3に示すように、側部152、フランジ部153などの、カップホルダ15の構成要素は、樹脂パネル20によって構成される底部151と一体的であってもよい。
【0026】
樹脂パネル20は、樹脂を含む部材である。樹脂パネル20の樹脂の例としては、PC樹脂(ポリカーボネート樹脂)、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂)、PP樹脂(ポリプロピレン樹脂)などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂の混合物、例えばPC樹脂とABS樹脂の混合樹脂が用いられてもよい。樹脂パネル20は、例えば射出成形法によって作製される。
【0027】
図4に示すように、カップホルダ15は、第2空間12に位置する立壁部30及びセル35を含む。立壁部30は、樹脂パネル20から車両外方に立設している部分である。外方とは、第1空間11から第2空間12に向かう方向である。立壁部30は、少なくとも1つの立壁を含む。立壁部30は、複数の立壁を含んでいてもよい。例えば図4に示すように、立壁部30は、第1立壁31A及び第2立壁31Bを含んでいてもよい。第1立壁31Aは、樹脂パネル20の外縁に沿って一周にわたって延びている。第2立壁31Bは、第1立壁31Aによって囲われた空間内において、樹脂パネル20から車両外方に立設している。以下の説明において、第1立壁31A及び第2立壁31Bをまとめて立壁31とも称する。
【0028】
セル35は、立壁31によって区画される空間である。図4に示す例において、セル35は、第1立壁31Aによって囲われている。
【0029】
図4に示すように、立壁部30は、複数の第2立壁31Bを含んでいてもよい。複数の第2立壁31Bは、平面視において、樹脂パネル20の中心から第1立壁31Aに向かって放射状に延びていてもよい。複数の第2立壁31Bは、互いに独立していてもよい。例えば、隣り合う2つの第2立壁31Bが接続されていなくてもよい。また、第2立壁31Bは、第1立壁31Aから独立していてもよい。すなわち、第2立壁31Bは、第1立壁31Aに接続されていなくてもよい。この場合、第1立壁31Aによって囲われたセル35は、1つの連続した空間である。このため、セル35が第2立壁31Bによって複数の空間に区画されている場合に比べて、1つのセル35の体積が大きくなる。これにより、後述する実施例に示すように、吸収される音の周波数を高くできる。
【0030】
図5は、カップホルダ15の一例を示す縦断面図である。立壁31は、端部32及び側面33を含む。端部32は、樹脂パネル20の法線方向N1において樹脂パネル20から最も離れている立壁31の部分である。側面33は、セル35に面している。
【0031】
図6は、カップホルダ15のその他の一例を示す縦断面図である。底部151にはパッド25が設けられていてもよい。パッド25は、例えば、樹脂を含む部材である。パッド25の樹脂の例としては、TPO(オレフィン系エラストマー)、PP樹脂(ポリプロピレン樹脂)等を挙げることができる。
【0032】
図7は、カップホルダ15によって構成される内装部品10の一例を示す縦断面図である。多孔質材50は、セル35にある空気からなる空気層に接している。第1立壁31Aの端部32が、多孔質材50に接している。すなわち、多孔質材50が第1立壁31Aによって支持されている。これにより、多孔質材50が撓んでセル35に侵入することを抑制できるので、セル35の空気層の寸法、体積などを維持できる。第2立壁31Bの端部32が、多孔質材50に接していてもよい。これによって、多孔質材50が撓むことを更に抑制できる。
【0033】
第1立壁31Aの高さ又は第2立壁31Bの高さを調整することにより、セル35の空気層の寸法、体積などを調整してもよい。これにより、吸収される音の周波数を調整できる。
【0034】
図7に示すように、カップホルダ15は、多孔質材50に固定される固定部38を備えていてもよい。固定部38は、カップホルダ15の外面に設けられている。固定部38は、例えば、多孔質材50に挿入される爪39を含む。多孔質材50は、多孔質材50を貫通する切り込み又は孔を含んでいてもよい。固定部38の爪39を多孔質材50の切り込み又は孔に挿入することにより、多孔質材50をカップホルダ15に固定できる。好ましくは、第1立壁31Aは、固定部38によって固定されている多孔質材50が第1立壁31Aの端部32に接するように構成されている。
【0035】
第2立壁31Bの高さは、第1立壁31Aの高さと同一であってもよく、第1立壁31Aの高さよりも大きくてもよい。これらの場合、カップホルダ15に固定されている状態の多孔質材50は、第1立壁31Aの端部32及び第2立壁31Bの端部32の両方に接触できる。
【0036】
図示はしないが、カップホルダ15に固定されている状態の多孔質材50と、第2立壁31Bの端部32との間に、隙間があってもよい。すなわち、第2立壁31Bの高さが、第1立壁31Aの高さよりも小さくてもよい。多孔質材50が撓んでセル35に侵入すると、多孔質材50が第2立壁31Bの端部32に接触する。これにより、セル35の空気層の寸法、体積などが変化することを抑制できる。
【0037】
第2空間12から第1空間11に向かう音が内装部品10に入射した場合の、内装部品10の作用を説明する。
【0038】
多孔質材50には多数の空隙が形成されているので、音は、多孔質材50を通過してセル35に侵入する。セル35において音が共鳴し、多孔質材50が振動することにより、音のエネルギーを減衰させることができる。これにより、図7に示すように、第1空間11に侵入する音S2のエネルギーを、内装部品10に入射する音S1のエネルギーに比べて低減できる。
【0039】
本実施の形態においては、樹脂パネル20、立壁部30、セル35及び多孔質材50を備える内装部品10が、カップホルダ15の底部を利用して構成される。このため、車室に設けられている設備とは別の部材を用いて内装部品10を構成する場合に比べて、内装部品10の材料のコストを低減できる。また、内装部品10の設置に要するコストを低減できる。
【0040】
本実施の形態においては、立壁部30の形状、配置などを変更することにより、セル35の空気層の寸法、体積などを変更できる。このため、吸収される音の周波数を容易に調整できる。
【0041】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0042】
(第1変形例)
上述の実施の形態においては、複数の第2立壁31Bが互いに独立している例を示したが、これには限られない。図示はしないが、例えば、隣り合う2つの第2立壁31Bが互いに接続されていてもよい。図示はしないが、例えば、第2立壁31Bは、第1立壁31Aに接続されていてもよい。この場合、立壁31は、第2空間12に複数のセル35を形成できる。このように、第2立壁31Bの配置を変更することにより、セル35の空気層の寸法、体積などを変更できる。これにより、吸収される音の周波数を容易に調整できる。
【0043】
本変形例のように、複数の第2立壁31Bが互いに接続されている場合、複数のセル35が形成される。1つのセル35の体積は、上述の実施の形態の場合に比べて小さい。大きな体積を有するセル35を安定に維持することが求められる場合、上述の実施の形態のように、複数の第2立壁31Bが互いに独立していることが好ましい。
【0044】
(第2変形例)
図8は、カップホルダ15の一例を第1空間11側から見た場合を示す斜視図である。図9は、カップホルダ15の一例を第2空間12側から見た場合を示す斜視図である。図9に示すように、第2立壁31Bは、平面視において多角形の輪郭を有していてもよい。例えば、第2立壁31Bは、平面視において正六角形の輪郭を有していてもよい。すなわち、第2立壁31Bは、いわゆるハニカム構造を有していてもよい。複数のセル35が、第2立壁31Bによって第2空間12に形成される。
【0045】
図10は、図8及び図9に示すカップホルダ15を備える内装部品10の一例を示す縦断面図である。第2立壁31Bによって囲われた空間のそれぞれにセル35が形成されている。内装部品10は、多孔質材50を備えていなくてもよい。
【0046】
カップホルダ15は、中間壁部40を備えていてもよい。中間壁部40は、立壁部30の側面33に接続されている部分である。中間壁部40は、立壁部30が広がる方向に交差する方向に広がる中間壁を含む。中間壁は、立壁部30が広がる方向に直交する方向に広がっていてもよい。中間壁は、立壁部30が広がる方向においてセル35を分割してもよい。例えば、中間壁は、セル35を、第1空間11に近い側の空間と、第1空間11から遠い側の空間とに分割してもよい。
【0047】
図10に示すように、中間壁部40は、法線方向N1における位置が異なる複数種類の中間壁を含んでいてもよい。例えば、中間壁部40は、第1の中間壁41Aと、第2の中間壁41Bと、を含んでいてもよい。第2の中間壁41Bは、法線方向N1において第1の中間壁41Aとは異なる位置にある。例えば、法線方向N1における樹脂パネル20から第2の中間壁41Bまでの距離は、法線方向N1における樹脂パネル20から第1の中間壁41Aまでの距離よりも大きい。以下の説明において、第1の中間壁41A及び第2の中間壁41Bをまとめて中間壁41とも称する。
【0048】
第1の中間壁41Aは、第1のセル35Aに位置する。第2の中間壁41Bは、第1のセル35Aとは異なる第2のセル35Bに位置する。各中間壁41の位置を異ならせることにより、第1の中間壁41Aが接するセルの寸法と、第2の中間壁41Bが接するセルの寸法とを異ならせることができる。例えば、図10に示すように、第1の中間壁41Aによって分割された第1のセル35Aは、内側セル35A1及び外側セル35A2を含む。内側セル35A1は、第1の中間壁41Aに対して第1空間11の側に位置する。外側セル35A2は、第1の中間壁41Aに対して第2空間12の側に位置する。内側セル35A1の寸法は、第2のセル35Bの寸法と異なる。外側セル35A2の寸法も、第2のセル35Bの寸法と異なる。このように、本変形例において、内装部品10は、様々な寸法のセル35を含む。このため、内装部品10は、様々な周波数の音を吸収できる。
【0049】
図10に示すように、中間壁41には孔42が形成されていてもよい。孔42の寸法を様々に変更することにより、吸収される音の周波数を容易に調整できる。
【0050】
(第3変形例)
図11は、内装部品10の一例を示す縦断面図である。図11のカップホルダ15は、底部にパッド25が設けられている点で、図10のカップホルダ15と異なる。図11の例においては、パッド25が、内装部品10のベース部材である樹脂パネルとして機能してもよい。
【0051】
(第4変形例)
図12は、内装部品10の一例を示す縦断面図である。図12のカップホルダ15は、立壁部30の端部32に多孔質材50が設けられている点で、図11のカップホルダ15と異なる。第2の中間壁41Bは、多孔質材50に接していてもよい。
【0052】
(第5変形例)
上述の実施の形態においては、内装部品10の樹脂パネル20がカップホルダ15を構成している例を示したが、これには限られない。例えば、内装部品10の樹脂パネル20がドアトリムを構成していてもよい。
【0053】
図13は、ドアトリム16を利用して内装部品10を構成する例を示す横断面図である。ドアトリム16は、第1空間11と第2空間12の境界に位置している。内装部品10は、ドアトリム16を構成する樹脂パネル20と、立壁部30と、セル35と、多孔質材50と、を備える。立壁部30は、樹脂パネル20から車両外方に立設している。すなわち、立壁部30は、樹脂パネル20から水平方向において外方に延びている。セル35は、立壁部30の第1立壁31Aによって囲われている。多孔質材50は、セル35を覆うように立壁部30の第1立壁31Aの端部32に設けられている。
【0054】
図示はしないが、図8図12に示すタイプの内装部品10がドアトリム16に構成されていてもよい。
【0055】
図示はしないが、カップホルダ15及びドアトリム16以外の車内の設備に内装部品10が設けられていてもよい。例えば、内装部品10の樹脂パネル20がコンソールを構成していてもよい。例えば、内装部品10の樹脂パネル20がインストルメントパネルを構成していてもよい。例えば、内装部品10の樹脂パネル20がヘッドライニングを構成していてもよい。
【実施例
【0056】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
図7に示すタイプの内装部品10の特性を評価した。具体的には、図14に示すように、樹脂パネル20、立壁部30、1つのセル35及び多孔質材50を備える内装部品10を準備した。セル35は、平面視において円形の輪郭を有する。セル35の直径D1は23.8mmであった。セル35の深さは10mmであった。多孔質材50としては、JNC株式会社性の不織布 XEM024を用いた。多孔質材50の厚みは13mmであった。
【0058】
図14の内装部品10の垂直入射吸音率を、JIS A 1405-2:2007に準拠した方法によって測定した。結果を図16に示す。
【0059】
(実施例2)
図12に示すタイプの内装部品10の特性を評価した。具体的には、図15に示すように、樹脂パネル20、パッド25、立壁部30、複数のセル35、中間壁部40及び多孔質材50を備える内装部品10を準備した。セル35は、平面視において正六角形の輪郭を有する。セル35の一辺の長さD2は4.1mmであった。第1のセル35Aの深さは10mmであった。第2のセル35Bの深さは10mmであった。セル35に位置する中間壁部40には孔42が形成されている。孔42の直径D3は3mmであった。多孔質材50としては、JNC株式会社性の不織布 XEM024を用いた。多孔質材50の厚みは13mmであった。
【0060】
図15の内装部品10の垂直入射吸音率を測定した。結果を図16に示す。
【0061】
(比較例1)
10mmの厚みを有するシンサレート(登録商標)の垂直入射吸音率を測定した。結果を図16に示す。
【0062】
図16に示すように、実施例1,2は、比較例1に比べて、特定の周波数において高い垂直入射吸音率を有することができた。実施例1の方が、実施例2に比べて、垂直入射吸音率のピークが現れる周波数が高かった。
【0063】
(例3)
図15に示す実施例2の内装部品10から多孔質材50を取り除いた場合について考察する。多孔質材50は、比較例1のシンサレート(登録商標)ような、周波数が高いほど吸音率が高くなるという機能を提供していると考えられる。このため、実施例2の内装部品10から多孔質材50を取り除くと、高い周波数における吸音率は低下すると考える。一方、図16に示すように、実施例2の内装部品10の吸音率がピークを示すような低い周波数においては、比較例1のシンサレート(登録商標)の吸音率は低いので、多孔質材50の寄与も低いと考えられる。このため、実施例2の内装部品10から多孔質材50を取り除いたとしても、実施例2の内装部品10と同様の、低い周波数における吸音率のピークは維持されると考えられる。
【符号の説明】
【0064】
10 内装部品
11 第1空間
12 第2空間
15 カップホルダ
16 ドアトリム
20 樹脂パネル
25 パッド
30 立壁部
31A 第1立壁
31B 第2立壁
32 端部
33 側面
35 セル
38 固定部
39 爪
40 中間壁部
41 中間壁
42 孔
50 多孔質材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16