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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B62D 61/12 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
B62D61/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021207181
(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公開番号】P2023092154
(43)【公開日】2023-07-03
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】井田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 悠平
(72)【発明者】
【氏名】溝口 祥輝
(72)【発明者】
【氏名】森崎 紗耶
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001442(JP,A)
【文献】特開2018-103681(JP,A)
【文献】特開2021-172249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0241037(US,A1)
【文献】独国実用新案第202014000755(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体の左右両側における前後夫々に位置する複数の走行車輪と、
前記車両本体に支持されると共に、複数の前記走行車輪を前記車両本体に対する位置を個別に変更可能な状態で支持する支持機構と、
前記車両本体の上面に設けられ、荷物を載置可能な荷台部と、を備え、
前記荷台部の最上面は、前記車両本体の上部における前記荷台部以外の部分よりも上に位置しており、
前記車両本体は、左右両端部において前後方向に沿って延びるサイドフレーム、及び、前記左右両端部の前記サイドフレームの間の前後方向での中央部において左右方向に沿って延びるセンターフレームを備え、
前記左右両端部の前記サイドフレームは、前記サイドフレームの前端部同士が離れている状態、かつ、前記サイドフレームの後端部同士が離れている状態で備えられ、
前記荷台部が前記左右両端部のサイドフレーム及び前記センターフレームに支持されている作業車。
【請求項2】
前記車両本体に、前記左右両端部の前記サイドフレームの前後方向一方での端部の間において前記荷台部に対して突出して位置し、かつ、前記荷台部の前記最上面よりも低く位置するマウントフレームが備えられ、
前記マウントフレームは、オペレータにより把持されるハンドルを装着可能である請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記荷台部は、前記車両本体の右端から左端に渡って延びている請求項1または2に記載の作業車。
【請求項4】
前記荷台部は、前後方向に延びる複数の天板部材を備え、
前記天板部材は、一部が重なり合う状態で、左右に並べて配置されている請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項5】
吊り具を接続可能な複数の接続機構を更に備え、
前記接続機構が前記車両本体の上面における前記荷台部の前及び後に位置している請求項1からのいずれか1項に記載の作業車。
【請求項6】
前記走行車輪を駆動する油圧モータと、
前記油圧モータに作動油を供給するポンプと、
前記ポンプを駆動する駆動源と、を更に備え、
前記ポンプ及び前記駆動源が前記荷台部の下方に位置している請求項1からのいずれか1項に記載の作業車。
【請求項7】
前記作動油を貯留する作動油タンクと、
前記駆動源として備えられるエンジンの燃料を貯留する燃料タンクと、を更に備え、
前記作動油タンク及び前記燃料タンクが前記荷台部の下方に位置している請求項に記載の作業車。
【請求項8】
前記油圧モータへの前記作動油の供給量を調節するバルブを更に備え、
前記バルブが、前記荷台部の下方に位置し、且つ、平面視で前記駆動源の右及び/又は左に位置している請求項6または7に記載の作業車。
【請求項9】
緊急停止の人為操作を受け付けるスイッチを更に備え、
前記スイッチが前記荷台部よりも前記車両本体の前後方向での一方側において前記荷台部の前記最上面よりも下方に上向きで位置している請求項1からのいずれか1項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、4つの走行車輪を備える作業車が開示されている。この作業車は、不整地を走行するのに適した作業車であって、各別に昇降自在なように走行車輪を支持する屈折リンク機構を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-001444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された作業車では、油圧制御弁や制御装置が車体フレームの上側に載置されている。また、それら載置物を保護するための外装フレームが、車体フレームの上側に配置されている。従って、作業車の上面は平坦ではなく、作業車の上に荷物を載せることは困難である。
【0005】
本発明の目的は、上に荷物を載せやすい作業車を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本発明の作業車は、
車両本体と、前記車両本体の左右両側における前後夫々に位置する複数の走行車輪と、
前記車両本体に支持されると共に、複数の前記走行車輪を前記車両本体に対する位置を個別に変更可能な状態で支持する支持機構と、前記車両本体の上面に設けられ、荷物を載置可能な荷台部と、を備え、前記荷台部の最上面は、前記車両本体の上部における前記荷台部以外の部分よりも上に位置しており、前記車両本体は、左右両端部において前後方向に沿って延びるサイドフレーム、及び、前記左右両端部の前記サイドフレームの間の前後方向での中央部において左右方向に沿って延びるセンターフレームを備え、前記左右両端部の前記サイドフレームは、前記サイドフレームの前端部同士が離れている状態、かつ、前記サイドフレームの後端部同士が離れている状態で備えられ、前記荷台部が前記左右両端部のサイドフレーム及び前記センターフレームに支持されていることを特徴とする。
【0007】
上記の特徴によれば、荷台部を備えることにより作業車に荷物を載置することができる。加えて、荷台部の最上面が荷台部以外の部分よりも上に位置するので、荷物が荷台部からはみ出た場合であっても、荷台部以外の部分と荷物との接触が抑制され、荷物の安定性が向上する。すなわち上記の特徴によれば、荷物を載せやすい作業車を実現することができる。
本発明において、前記車両本体に、前記左右両端部の前記サイドフレームの前後方向一方での端部の間において前記荷台部に対して突出して位置し、かつ、前記荷台部の前記最上面よりも低く位置するマウントフレームが備えられ、前記マウントフレームは、オペレータにより把持されるハンドルを装着可能であると好適である。
【0008】
本発明において、前記荷台部は、前記車両本体の右端から左端に渡って延びていると好適である。
【0009】
上記の特徴によれば、荷台部を機体左右方向に大きくすることができ、荷物の載せやすさが更に向上する。
【0010】
本発明において、前記荷台部は、前後方向に延びる複数の天板部材を備え、前記天板部材は、一部が重なり合う状態で、左右に並べて配置されていると好適である。
【0011】
上記の特徴によれば、荷台部の強度が向上するので、荷物の載せやすさが更に向上する。また、荷台部が複数の天板部材により構成されるので、荷台部のメンテナンス性が向上する。
【0012】
本発明において、吊り具を接続可能な複数の接続機構を更に備え、前記接続機構が前記車両本体の上面における前記荷台部の前及び後に位置していると好適である。
【0013】
上記の特徴によれば、車両本体の上面に前後のバランスがよい状態で吊り具を配置することができる。従って、吊り具を用いて作業車を吊り上げる作業を行いやすい。
【0014】
本発明において、前記走行車輪を駆動する油圧モータと、前記油圧モータに作動油を供給するポンプと、前記ポンプを駆動するエンジンと、を更に備え、前記ポンプ及び前記エンジンが前記荷台部の下方に位置していると好適である。
【0015】
上記の特徴によれば、重量物であるポンプ及びエンジンが荷台部の下方に位置するので、車両本体の重心が比較的低い位置になる。また、荷台部に載置される荷物の量や位置が変動したとしても、重心位置の変動が小さくなる。従って、作業車の走行性能が安定するので好ましい。
【0016】
本発明において、前記作動油を貯留する作動油タンクと、前記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクと、を更に備え、前記作動油タンク及び前記燃料タンクが前記荷台部の下方に位置していると好適である。
【0017】
上記の特徴によれば、重量物である作動油タンク及び燃料タンクが荷台部の下方に位置するので、車両本体の重心が比較的低い位置になる。また、荷台部に載置される荷物の量や位置が変動したとしても、重心位置の変動が小さくなる。従って、作業車の走行性能が安定するので好ましい。
【0018】
本発明において、前記油圧モータへの前記作動油の供給量を調節するバルブを更に備え、前記バルブが、前記荷台部の下方に位置し、且つ、平面視で前記エンジンの右及び/又は左に位置していると好適である。
【0019】
上記の特徴によれば、バルブが荷台部の下且つエンジンの左右に位置するので、車両本体の上下方向の大きさを比較的小さくすることが可能となる。
【0020】
本発明において、緊急停止の人為操作を受け付けるスイッチを更に備え、前記スイッチが前記荷台部よりも前記車両本体の前後方向での一方側において前記荷台部の前記最上面よりも下方に上向きで位置していると好適である。
【0021】
上記の特徴によれば、荷台部に荷物を載せる作業時等にスイッチの誤操作が抑制され好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】作業車の側面図である。
図2】作業車の背面図である。
図3】作業車の平面図である。
図4】車両本体の各フレームを示す平面図である。
図5】支持機構の平面図である。
図6】支持機構の側面図である。
図7】制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る作業車の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0024】
なお以下の説明においては、図中に示される矢印FWの方向を「前」、矢印BKの方向を「後」、矢印RHの方向を「右」、矢印LHの方向を「左」、矢印UPの方向を「上」、矢印DWの方向を「下」とする。
【0025】
図1-3に示すように、作業車は、平面視で略矩形状の車両本体1と、車両本体1を支持する複数の走行装置としての走行車輪2と、複数の走行車輪2の夫々に対応して設けられた複数の補助車輪3と、複数の走行車輪2を車両本体1に対する位置を個別に変更可能な状態で支持する支持機構Aと、走行車輪2を駆動する複数の油圧モータ4と、を備える。
【0026】
走行車輪2は、車両本体1の左右両側における前後夫々に位置する。本実施形態では、作業車は、左前、右前、左後、及び右後の4つの走行車輪2を備える。
【0027】
支持機構Aは、車両本体1に支持される。本実施形態では、作業車は、4つの走行車輪2に対応して、左前、右前、左後、及び右後の4つの支持機構Aを備える。支持機構Aは、屈折リンク機構5と、屈折リンク機構5の姿勢を個別に変更可能な複数の油圧シリンダ6,7と、を備えている。
【0028】
なお、本実施形態の作業車の走行車輪2、補助車輪3、及び支持機構Aの構造は前後で対称であり、作業車は図中で定義した前及び後の両方向に走行可能である。
【0029】
車両本体1は、荷物を載置可能な荷台部8を備えている。荷台部8は、車両本体1の上面に設けられている。
【0030】
車両本体1は、油圧モータ4及び油圧シリンダ6、7へ作動油を供給するための装置として、油圧供給源9、ECU11、バッテリー12、及び作動油の供給量を調節する油圧制御弁13(バルブの一例)を備える。油圧制御弁13及びECU11により、作業車を制御する制御装置Cが構成されている。
【0031】
車両本体1の詳細については後述する。
【0032】
〔支持機構〕
上述したように、支持機構Aは、屈折リンク機構5と複数の油圧シリンダ6,7と、を備えている。図1に示すように、複数(具体的には4つ)の走行車輪2は、屈折リンク機構5を介して車両本体1に対して各別に位置変更可能な状態で支持されている。
【0033】
図5図6に示すように、屈折リンク機構5には、車両本体1に支持される基端部14と、上側端部が基端部14の下部に横軸芯X1周りで回動可能に支持された第一リンク15と、一端部が第一リンク15の下側端部に横軸芯X2周りで回動可能に支持され且つ他端部に走行車輪2が支持された第二リンク16と、が備えられている。
【0034】
図5に示すように、走行車輪2を支持する支持ブラケット17が第二リンク16の揺動側端部に設けられたボス部18に縦軸芯Y周りで揺動可能に支持されている。第二リンク16の一端部側のブラケット19と、支持ブラケット17に設けられたアーム部17aとに亘って旋回操作用の油圧シリンダ(以下、旋回シリンダ20という)が備えられている。
【0035】
複数の屈折リンク機構5の夫々に対応して、屈折リンク機構5の姿勢を各別に変更可能な複数の油圧シリンダ6,7が備えられている。すなわち、車両本体1に対する第一リンク15の揺動姿勢を変更可能な第一油圧シリンダ6と、第一リンク15に対する第二リンク16の揺動姿勢を変更可能な第二油圧シリンダ7と、が備えられている。
【0036】
第二油圧シリンダ7の作動を停止した状態で第一油圧シリンダ6を伸縮操作すると、第一リンク15、第二リンク16及び走行車輪2の夫々が、相対的な姿勢を一定に維持したまま一体的に、基端部14に対する枢支連結箇所の横軸芯X1周りで揺動する。第一油圧シリンダ6の作動を停止した状態で第二油圧シリンダ7を伸縮操作すると、第一リンク15の姿勢が一定に維持されたまま、第二リンク16及び走行車輪2が、一体的に、第一リンク15と第二リンク16との連結箇所の横軸芯X2周りで揺動する。
【0037】
複数の屈折リンク機構5夫々の中間屈折部に回転可能に補助車輪3が支持されている。
補助車輪3は走行車輪2と略同じ外径の車輪にて構成されている。第一リンク15と第二リンク16とを枢支連結する支軸が車体横幅方向外方側に突出するように延長形成され、支軸の延長突出箇所に補助車輪3が回動可能に支持されている。
【0038】
旋回シリンダ20の操作により、屈折リンク機構5に対して走行車輪2を縦軸芯Y周りで回動することにより旋回操作させることができる。
【0039】
油圧モータ4に対応する油圧制御弁13により作動油の流量調整が行われることで、油圧モータ4の回転速度すなわち走行車輪2の回転速度を変更することができる。
【0040】
〔センサ〕
図7に示すように、この作業車は種々のセンサを備える。
【0041】
作業車は、4つの第二油圧シリンダ7の夫々について、ヘッド側圧力センサS1及びキャップ側圧力センサS2を備える。ヘッド側圧力センサS1は、第二油圧シリンダ7のヘッド側室の油圧を検出する。キャップ側圧力センサS2は、第二油圧シリンダ7のキャップ側室の油圧を検出する。
【0042】
作業車は、4つの第一油圧シリンダ6及び4つの第二油圧シリンダ7の夫々について、伸縮操作量を検出可能な複数のストロークセンサS3を備える。各油圧シリンダ6,7の伸縮操作量は、操作対象である第一リンク15及び第二リンク16の揺動位置に対応する検出値である。
【0043】
車両本体1には、車体の傾斜状態を検出する傾斜センサS4が備えられている。傾斜センサS4は、慣性計測装置(Inertial Measurement Unit)(IMU)を用いて構成されている。IMUは、三軸加速度センサとジャイロセンサとを有し、車両本体1の姿勢変化状態、具体的には、前後方向並びに左右方向の傾きを検知することができる。
【0044】
走行車輪2の近傍には、油圧モータ4により駆動される走行車輪2の回転速度を検出する回転センサS5が備えられている。回転センサS5にて検出された走行車輪2の回転速度に基づいて、走行車輪2の回転速度が目標の値となるように、油圧モータ4への作動油の供給が制御される。油圧モータ4に供給される作動油の圧力を検出する圧力センサS6が備えられている。圧力センサS6にて検出された作動油の圧力に基づいて、走行車輪2の駆動トルクが目標の値となるように、油圧モータ4への作動油の供給(圧力)が制御される。4つの旋回シリンダ20の夫々について、伸縮操作量を検出可能なストロークセンサS7を備える。
【0045】
〔ECU〕
ECU11(Electronic Control Unit)は、後述する機能部に対応するプログラムを記憶するメモリ(HDDや不揮発性RAMなど。図示省略)と、当該プログラムを実行するCPU(図示省略)と、を備えている。プログラムがCPUにより実行されることにより、各機能部の機能が実現される。すなわち、ECU11は、プログラムを記憶した一次的ではない(non-transitory)記録媒体を備える。
【0046】
ECU11は、機能部として、姿勢制御部100及び走行制御部101を備えている。
【0047】
走行制御部101は、4つの走行車輪2が接地する状態で走行するときは、4個の走行車輪2の夫々について、回転センサS5にて検出された走行車輪2の回転速度が目標速度となり、かつ、圧力センサS6にて検出される駆動トルクが目標の値となるように、油圧制御弁13を制御して油圧モータ4の作動を制御する。
【0048】
姿勢制御部100は、車体が移動走行するときは、傾斜センサS4の検出情報に基づいて車両本体1が水平姿勢になるように支持機構Aの動作を制御する水平制御を実行する。
【0049】
水平制御において、姿勢制御部100は、傾斜センサS4の検出情報に基づいて、車両本体1の水平姿勢からの前後方向での傾斜角及び左右方向での傾斜角が水平姿勢に対応する値になるように、油圧制御弁13を制御して4個の第一油圧シリンダ6及び4個の第二油圧シリンダ7の作動を制御する。
【0050】
〔車両本体、荷台部〕
先に述べた通り、車両本体1は、平面視で略矩形状である。本実施形態では、車両本体1の上面に、荷台部8、前カバー31、及び後カバー32が配置されている。
【0051】
荷台部8は、車両本体1の上面に設けられている。荷台部8は、平面視で略矩形状の部位であって、車両本体1の右端から左端に渡って延びている。荷台部8は、その上に荷物が載置可能なように構成されている。荷台部8に載置される荷物としては、例えば、農機具や、肥料、薬剤等の農業資材、収穫物や収穫カゴ、及びこれらが載置されたパレット等である。
【0052】
荷台部8は、前後方向に延びる複数の天板部材8aを備えている。天板部材8aは、平面視で略矩形状の板状の部材である。天板部材8aは、上方へ突出する複数のリブ部位8bを有する。リブ部位8bは、断面が台形になるように折り曲げて形成された部位であって、前後方向に延びており、左右方向に並んでいる。
【0053】
天板部材8aは、一部が重なり合う状態で、左右に並べて配置されている。本実施形態では、3つの天板部材8aが左右に並んでいる。中央の天板部材8aは、左の天板部材8aの右端部及び右の天板部材8aの左端部の上に重なっている。左の天板部材8aの右端のリブ部位8bの上に、中央の天板部材8aの左端のリブ部位8bが重なっている。右の天板部材8aの左端のリブ部位8bの上に、中央の天板部材8aの右端のリブ部位8bが重なっている。
【0054】
前カバー31は、板状の部材であり、その上面は平坦である。前カバー31は、法線が上下方向に沿う姿勢にて荷台部8よりも前に配置されている。
【0055】
後カバー32は、板状の部材であり、その上面は平坦である。後カバー32は、法線が上下方向に沿う姿勢にて荷台部8よりも後に配置されている。
【0056】
ここで、荷台部8の最上面は、天板部材8aのリブ部位8bの上面である。図1図2に示すように、リブ部位8bの上面は、車両本体1の上部における荷台部8以外の部分、すなわち前カバー31及び後カバー32よりも上に位置している。
【0057】
〔車両本体のフレーム〕
図1-4に示すように、車両本体1は、各部材・装置を支持する構造体として、メインフレーム41、左右の外側サイドフレーム42(サイドフレーム)、左右の内側サイドフレーム43、前後のマウントフレーム44、アンダーフレーム45、及びセンターフレーム46を備える。
【0058】
メインフレーム41は、図4に示すように、前後に延びる棒状である左右の縦フレーム41aと、縦フレーム41aを連結する5つの横フレーム41bを備える。屈折リンク機構5の4つの基端部14が、メインフレーム41に支持されている。
【0059】
外側サイドフレーム42は、丸パイプを曲げて形成された部材である。外側サイドフレーム42は、メインフレーム41に支持されている。外側サイドフレーム42は、車両本体1の右端部及び左端部において前後方向に沿って延び、車両本体1の前端部及び後端部において左右方向内側に曲げられて延びている。
【0060】
内側サイドフレーム43は、丸パイプを曲げて形成された部材と、平板状の部材と、により構成されている。内側サイドフレーム43は、メインフレーム41と外側サイドフレーム42との間に配置されている。内側サイドフレーム43は、屈折リンク機構5の基端部14とメインフレーム41とに支持されている。
【0061】
マウントフレーム44は、メインフレーム41の前端部及び後端部から前後方向に突出する部材である。マウントフレーム44には、オペレーターにより把持されるハンドル等が装着可能である。
【0062】
アンダーフレーム45は、メインフレーム41の下面から下方へ突出するU字状の部材と、メインフレーム41の下方において前後方向に延びる棒状の部材と、により構成されている。
【0063】
センターフレーム46は、中空丸棒状の部材であって、左右方向に沿って延びる姿勢にて車両本体1の中央部に配置されている。センターフレーム46は、メインフレーム41に支持されている。
【0064】
荷台部8は、外側サイドフレーム42及びセンターフレーム46を介して、メインフレーム41に支持されている。詳しくは、荷台部8の天板部材8aの前後中央部が、センターフレーム46に支持されている。天板部材8aの前端部及び後端部が、外側サイドフレーム42における左右方向に沿って延びる部位に支持されている。なお、天板部材8aは外側サイドフレーム42及びセンターフレーム46から着脱可能である。
【0065】
〔車両本体の各装置〕
車両本体1は、油圧モータ4及び油圧シリンダ6、7へ作動油を供給するための装置として、油圧供給源9、ECU11、バッテリー12、及び油圧制御弁13(バルブの一例)を備える。
【0066】
油圧供給源9は、ポンプ9a、エンジン9b(駆動源の一例)、ラジエータ9c、作動油タンク9d、及び燃料タンク9eにより構成されている。
【0067】
ポンプ9aは、油圧制御弁13を介して油圧モータ4及び油圧シリンダ6、7へ作動油を供給する。エンジン9bは、ポンプ9aを駆動する。ラジエータ9cは、エンジン9bの冷却水を冷却する。作動油タンク9dは、作動油を貯留する。燃料タンク9eは、エンジン9bの燃料を貯留する。
【0068】
図1-3に示すように、上述した油圧供給源9を構成する各装置は、荷台部8の下方に位置している。油圧供給源9は、アンダーフレーム45に支持されている。油圧供給源9の左右の側面は、サイドカバー45aに覆われている。サイドカバー45aは、アンダーフレーム45に支持されている。
【0069】
図4に示すように、油圧供給源9は、平面視で、メインフレーム41の左右の縦フレーム41aの間に位置している。特に、作動油タンク9d及び燃料タンク9eは、荷台部8の中央の天板部材8aの下方に位置している。従って、天板部材8aを取り外すことにより容易に作動油タンク9d及び燃料タンク9eにアクセス可能である。
【0070】
ECU11は、バッテリー12により駆動されて、油圧供給源9及び油圧制御弁13を制御する。ECU11は、荷台部8の下方に位置している。ECU11は、内側サイドフレーム43に支持されている。ECU11は、平面視でエンジン9bの右及び/又は左に配置されている。すなわち、ECU11は平面視でエンジン9bの左右方向外側に配置されている。
【0071】
バッテリー12は、荷台部8の下方に位置している。バッテリー12は、アンダーフレーム45に支持されている。
【0072】
油圧制御弁13は、荷台部8の下方に位置している。油圧制御弁13は、内側サイドフレーム43に支持されている。油圧制御弁13は、平面視でエンジン9bの右及び/又は左に配置されている。すなわち、油圧制御弁13は平面視でエンジン9bの左右方向外側に配置されている。
【0073】
作業車は、吊り具を接続可能な複数の接続機構51を更に備える。吊り具とは、作業車をクレーン等で吊り下げる際に用いる道具であって、例えばアイボルト(頭部に輪が着けられたボルト)である。接続機構51は、本実施形態では、アイボルトが螺合可能なネジ穴であって、メインフレーム41に設けられている。
【0074】
本実施形態では、接続機構51が車両本体1の上面における荷台部8の前及び後に位置している。詳しくは、4つの接続機構51が、車両本体1の前部の右寄り及び左寄りの位置、及び、車両本体1の後部の右寄り及び左寄りの位置に配置されている。なお、前カバー31における接続機構51に対応する位置に、長孔31aが形成されている。後カバー32における接続機構51に対応する位置に、長孔32aが形成されている。
【0075】
作業車は、緊急停止の人為操作を受け付けるスイッチ52を更に備える。スイッチ52は、ECU11に接続されている。スイッチ52が操作されると、走行制御部101が作業車の走行を停止させ、ECU11がエンジン9bを停止させる。
【0076】
本実施形態では、図1図2に示すように、スイッチ52が荷台部8の最上面(天板部材8aのリブ部位8bの上面)よりも下方に位置している。スイッチ52は、後のマウントフレーム44の上面に配置されている。
【0077】
〔別実施形態〕
(1)荷台部8の形態は、上述の例に限られない。例えば、荷台部8が車両本体1の上面の全体であってもよい。荷台部8が1つの天板部材8aにより構成されてもよい。天板部材8aが、前後方向に並んで配置されてもよい。天板部材8a同士が重なっていなくてもよい。天板部材8a同士が接していてもよく、天板部材8a同士の間に隙間があってもよい。リブ部位8bが左右方向に延びていてもよい。荷台部8の上面が平面であってもよい。
【0078】
(2)作業車の駆動源は、エンジン及び油圧に限られない。作業車が、エンジン9b及び燃料タンク9eに代えて、ポンプ9aを駆動する電動モータ(駆動源の一例)と、この電動モータに電力を供給するバッテリーと、を備えてもよい。走行車輪2及び支持機構Aが電動アクチュエータにより駆動されてもよい。
【0079】
(3)ECU11が、平面視でエンジン9bの右のみ、又は左のみに配置されてもよい。
油圧制御弁13が、平面視でエンジン9bの右のみ、又は左のみに配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、不整地を走行するのに適した作業車に適用できる。この作業車は、山地や山林、圃場及びその周辺、河川周辺、工事現場等で使用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 :車両本体
2 :走行車輪
4 :油圧モータ
8 :荷台部
8a :天板部材
9a :ポンプ
9b :エンジン(駆動源)
9d :作動油タンク
9e :燃料タンク
13 :油圧制御弁(バルブ)
42 :外側サイドフレーム(サイドフレーム)
44 :マウントフレーム
46 :センタフレーム
51 :接続機構
52 :スイッチ
A :支持機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7