(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】一体型コネクタとリザーバ付き消毒キャップ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/16 20060101AFI20241129BHJP
A61M 39/20 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A61M39/16
A61M39/20
(21)【出願番号】P 2021530961
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 US2019063233
(87)【国際公開番号】W WO2020112760
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ライアン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0175759(US,A1)
【文献】特表2016-508839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/16
A61M 39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
消毒液を貯蔵するためのリザーバと、前記リザーバへの開口部を備えた開口端とを含むキャップハウジングであって、前記開口端は、輪郭のある開口部を含む、キャップハウジングと;
前記リザーバ内に構成された少なくとも1つの消毒スポンジと;
コネクタであって、前記コネクタの先端に輪郭のある作動面と、前記コネクタの側面にバリアとを備え、前記バリアは輪郭のある外面を備える、コネクタと;
前記キャップハウジングのそれぞれの枢動に応じて、前記キャップハウジングが前記コネクタおよび前記バリアと選択的にインターフェースするように、前記キャップハウジングを前記コネクタに枢動可能に接続する取り付け機構と、
を備え、
前記キャップハウジングが前記コネクタを閉じるとき、前記キャップハウジングの前記輪郭のある開口部は、前記コネクタの前記輪郭のある作動面とインターフェースし、
前記キャップハウジングが前記コネクタを開くとき、前記キャップハウジングの前記輪郭のある開口部は、前記バリアの前記輪郭のある外面とインターフェースする、システム。
【請求項2】
前記キャップハウジングは、
連続した側壁と、
上壁と、および
前記上壁によって形成された閉端と、を備え
前記リザーバは、前記上壁および前記側壁の内面によって形成される前記キャップハウジング内のキャビティを含み、前記開口端は、前記側壁のリムによって形成され、前記リムの表面は、前記キャップハウジングの前記輪郭のある開口部を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コネクタが静脈内無針コネクタである、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記キャップハウジングは
、軸の周りを枢動するように構成される、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記取り付け機構は、前記キャップハウジングから延在し、前記キャップハウジングに対して固定され、前記コネクタの外面に枢動可能に接続された1つまたは複数のアームを含む、請求項1、2、3、または4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記リザーバへの前記開口部を密封する前記輪郭のある開口部に構成された取り外し可能なカバーをさらに備える、請求項1、2、3、4、
または5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記キャップハウジングは、前記リザーバ内の前記消毒液の充填レベルの観察を可能にする透明な部分を含む、請求項1、2、3、4、5、
または6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記コネクタが、前記先端を有するハブを含み、前記輪郭のある作動面が前記ハブの前記先端を形成する、請求項1、2、3、4、5、6、
または7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記輪郭のある外面を含む前記バリアが、前記輪郭のある作動面を含む前記ハブに対して本質的に軸方向に垂直である、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
取り外し可能なカバーは、前記キャップハウジングの前記側壁の前記リムの表面に取り付けることにより、前記輪郭のある開口部上に構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記キャップハウジングの前記輪郭のある開口部は、前記コネクタの前記輪郭のある作動面とインターフェースし、前記輪郭のある開口部と前記輪郭のある作動面との間の第1の開口領域が最小化される、請求項1、2、3、4、5、6、7、9、
または10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記キャップハウジングの前記輪郭のある開口部は、前記輪郭のある開口部と前記輪郭のある外面との間の第2の開口領域が最小になるように、前記バリアの前記輪郭のある外面とインターフェースする、請求項1、2、3、4、5、6、7、9、10、
または11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1および第2の開口領域の少なくとも1つは、前記キャップハウジングおよび前記コネクタに対する前記取り付け機構の最適化された構成によって最小化される、請求項
11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記取り付け機構の前記最適化された構成が、前記キャップハウジングを前記コネクタに枢動可能に連結するピボット連結の最適化された構成を含む、請求項
13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本開示の例示的な実施形態は、医療用キャップおよび医療用消毒キャップ、特にIV無針コネクタと共に使用するためのキャップおよび/または消毒キャップを含む、ねじ継手の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2018年11月30日に出願された米国特許仮出願第62/773,551号明細書から米国特許法(35U.S.C)第119条(e)に基づく優先権を主張するものであり、その内容(提出されたすべての添付書類を含む)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
医療用途の例では、使用されていないときに無針コネクタを閉鎖するための様々な従来のキャップが知られている。カテーテル関連血流感染症(CRBSI)を減少させるために、最初に特許文献1として発行された特許文献2(これら両方の開示の全体は参照することにより本明細書に組み込まれる)に消毒キャップが開示され、市場に導入された。特許文献1に開示されているような消毒キャップが本願明細書の
図1Aおよび
図1Bに示されており、キャップ1は消毒用パッド2および蓋3を含み、キャップ4は消毒パッド5および蓋7を含むとともに、無針コネクタハブと連結するためにその内周8のねじ山6を含む。一方、他の従来のキャップは同様の機能を備えている場合があるが、消毒パッドは含まれていない。消毒キャップのさらに改良された設計は、関連する特許文献3および特許文献4に開示されており、どちらも2017年1月17日に出願されている(両方の開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)。さらなる安全性の考慮を加えたキャップ設計のさらなる変更は、関連する特許文献5(2017年4月21日出願)、特許文献6(2017年6月22日出願)、および特許文献7(2018年1月30日出願)に開示されている(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0004】
現在、ISO594-2タイプの雌ねじ式流体ルアーコネクタを消毒するための雄の消毒キャップデバイスがあり、また、ISO594-2タイプの雄ねじ式流体ルアーコネクタを消毒するための雌の消毒キャップデバイスがある。このようなキャップは、無針コネクタの消毒用に1回限りの使用を想定して設計されている。消毒キャップが使い捨てである理由の1つは、キャップがIVコネクタから取り外された後、キャップが消毒液(70%IPAなど)を排出(蒸発または漏れ)することである。たとえば、これは、キャップを使用してIV無針コネクタから取り外した後、キャップ内部の消毒液が非滅菌環境(病室など)で空気および潜在的な微生物に曝された場合に発生する可能性がある。蒸発および/または漏れにより消毒液が減少した後、キャップは、IV無針コネクタの作動面を消毒する際の効果が著しく低下するか、または効果がなくなる可能性がある。
【0005】
そのため、再利用や複数回の使用を目的としたキャップや消毒用キャップは存在しない。一方で、現在のキャップの単一使用の制限は理想的ではなく、例えば、臨床医は、IVコネクタのメンテナンス(例えば、生理食塩水による洗浄)のためにIVコネクタにアクセスした後や、押し薬を投与した後に、毎回、IVコネクタを消毒して保護するために、多くのキャップを手元に置かなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許番号第8,740,864号明細書
【文献】米国特許公開番号第2007/011233号明細書
【文献】米国特許出願第15/408,278号明細書
【文献】米国特許出願第15/408,187号明細書
【文献】米国特許出願第62/488,266号明細書
【文献】米国特許出願第62/623,506号明細書
【文献】米国特許出願第62/623,858号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に例示される事項は、本開示の例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供されるものである。したがって、当業者は、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態の様々な変更および修正を行うことができることを認識するであろう。また、よく知られている機能と構造の説明は、明確かつ簡潔にするために省略される。
【0008】
関連分野の当業者によって容易に理解されるように、「結合」、「穴」、「先端」、「ハブ」、「ねじ」、「スポンジ」、「突出部」、「タブ」、「傾斜」、「壁」、「上端部」、「側部」、「底端部」、「上部」、「底部」、「コンテナ」、「ハウジング」、「消毒用の」、「消毒」、「リム」、「アーム」、「輪郭」、「障壁」やその他の説明的な用語は、本明細書において理解を容易にするために使用されるが、本開示の実施形態の種々の態様を実施するために組み合わせてまた個別に用いることができる構成要素に限定することを意図したものではない。
【0009】
本開示の例示的な実施形態は、複数のコネクタアクセスを消毒できる消毒液(70%IPAなど)リザーバ設計を備えた一体型コネクタおよびキャップシステムを提供する。
【0010】
本開示の実施形態の例示的な実施において、IVコネクタおよび消毒キャップシステムは、複数のIV無針コネクタアクセスに対して消毒液を維持し、コネクタおよびキャップシステムが、開いた状態(例えば、IVコネクタがアクセスしている場合)または閉じた状態(例えば、IVコネクタにアクセスしていない場合)にあるときに消毒液の露出時間を制限できる設計上の特徴を有することによって、単一使用の問題に対処することができる。
【0011】
本開示の実施形態の例示的な実施によれば、コネクタおよびキャップシステムを構成する構造要素の構成は、内部消毒剤リザーバを含むハウジングまたはキャップハウジング、およびIV無針コネクタなどのコネクタを含み、キャップハウジングは、キャップがコネクタに対して1つまたは複数の軸で枢動できるように、コネクタに取り付けられている。
【0012】
本開示の実施形態の例示的な実施によれば、キャップハウジングは、例えば、ハウジングから延在し、コネクタに枢動可能に接続される1つ以上のアームによって、コネクタに取り付けることができる。
【0013】
本開示の実施形態のさらなる例示的な実施によれば、コネクタは作動面を含み、ハウジングは、コネクタが閉じた状態(例えば、IV接続がアクセスされていない状態)にあるとき、作動面がハウジングの輪郭のある開口部とインターフェースできるような輪郭のある開口部を備える。
【0014】
本開示の実施形態のさらに別の例示的な実施によれば、コネクタは、輪郭のあるバリア機能、または、コネクタが開いた状態(例えば、IV接続がアクセスされた状態)にあるときにキャップハウジングの輪郭のある開口部とインターフェースすることが意図されている突出部を備えている。
【0015】
本開示の実施形態のさらに別の例示的な実施によれば、キャップハウジングは、キャップのリザーバ内に配置された、例えば消毒液をしみ込ませたスポンジを含み得る。
【0016】
本開示の実施形態のさらに他の例示的な実施によれば、キャップハウジングは、例えば、コネクタの作動面と連動する輪郭部分の表面の少なくとも無菌性を維持するため、および/または、キャップのリザーバまたはスポンジに含まれる内部消毒剤を使用前の保存期間にわたって保存するために、輪郭のある開口部に対して構成された、ピールリッドまたはシールストリップなどのカバーを有してもよい。
【0017】
本開示の実施形態のさらに別の例示的な実施によれば、キャップハウジングは、キャップリザーバ内の消毒液(例えば、IPA)の充填レベルの表示が観察または視認されるように、透き通っていてもよく、または透明であってもよい。
【0018】
本開示の実施形態のさらに別の例示的な実施によれば、コネクタ、またはIVコネクタ、および/またはキャップハウジングの材料は、キャップハウジングのリザーバ内に提供される消毒剤溶液(または溶媒)とともに使用するための特定の安定性のために選択されてもよい。
【0019】
このような例示的な実施の任意の組み合わせは、本開示のコネクタまたはキャップシステムに提供することができる。
【0020】
次に、図面を参照すると、同様の参照数字がいくつかの図を通して同一又は対応する部分を示しており、本開示の実施形態が以下のように説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1Aは、無針コネクタ用の従来のキャップの断面図である。
【
図1B】
図1Bは、無針コネクタ用の従来のキャップの断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の例示的な実施形態による、例えばIV接続がアクセスされていないときなどの閉じた状態のキャップおよびコネクタ構造の等角図または斜視図を示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の例示的な実施形態による
図1のキャップおよびコネクタ構造の断面図を示す。
【
図2C】
図2Cは、本開示の例示的な実施形態による
図1のキャップおよびコネクタ構造の断面図を示す。
【
図3】
図3は、本開示の例示的な実施形態による、例えばIV接続にアクセスできる状態などの、開いた状態のキャップおよびコネクタ構造の等角図または斜視図を図示している。
【
図4】
図4は、本開示の例示的な実施形態による
図3のキャップおよびコネクタ構造の断面図を示す。
【
図5】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、移行状態(開から閉、または閉から開)にあるキャップおよびコネクタ構造の等角図または斜視図を図示している。
【
図6】
図6は、本開示の例示的な実施形態による
図5のキャップおよびコネクタ構造の断面図を示す。
【
図7】
図7は、本開示の例示的な実施形態による、密封状態にあるキャップおよびコネクタ構造の等角図または斜視図を図示している。
【
図8】
図8は、本開示の例示的な実施形態による
図7のキャップおよびコネクタ構造の断面図を示す。
【
図9A】
図9Aは、本開示の例示的な実施形態による、任意の形状のスポンジなどの消毒構成要素を含むキャップおよびコネクタ構造の断面図を示す。
【
図9B】
図9Bは、本開示の例示的な実施形態による、任意の形状のスポンジなどの消毒構成要素を含むキャップおよびコネクタ構造の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で例示したこの事項は、添付の図面図を参照して例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供される。したがって、当業者であれば、本明細書に記載された例示的な実施形態の様々な変更および修正が、その完全な範囲および等価物から逸脱することなく、添付の請求項の範囲内で行うことができることを認識するであろう。また、よく知られている機能や構造の説明は、わかりやすく簡潔にするために省略される。同様に、本開示の文脈で使用される特定の命名規則、ラベル、および用語は、非限定的であり、例示的な実施形態の理解を容易にするための例示目的でのみ提供される。
【0023】
図2Aから
図9Bを参照すると、例示的な実施態様において、一体型コネクタおよびキャップデバイス10の設計上の特徴は、ハウジング20の閉鎖端を形成する上壁23と、本質的に円筒形の側壁(ただし、任意の断面形状は本開示の範囲内である)などの連続した側壁21とを含み、キャップハウジング20の開口端(例えば閉鎖端とは反対側)にある表面28を有する側壁21のリムによって画定されるキャビティ24への開口部25を有するキャビティ(または内部消毒剤リザーバ)24を形成する、キャップハウジング20を備える。キャップデバイス10は、ハブ32の先端の表面または作動表面38を有するハブ32のリムによって画定されるコネクタ30への開口部35を有するハブ32を含む、IVコネクタなどのコネクタ30をさらに備える。キャップデバイス10は、ハウジング20の表面28がコネクタ30の表面38と選択的にインターフェースできるように、ハウジング20がコネクタ30に対して1つ以上の軸で枢動できるようにハウジング20とコネクタ30を取り付けるための、ハウジング20とコネクタ30の間に延びる1つ以上のアームなどの取り付け機構をさらに備える。
【0024】
例示的な実施形態では、アーム22は、キャップ20の側壁21に(例えば肩部27によって)取り付けられるか、または側壁21と一体的に形成されることができる。アーム20は、
図2Aおよび
図2Cに示されるように、側壁21からキャップ20の開口端を超えて延びて、キャップ20をコネクタ30の外面に、例えばハブ32を超えて回動可能に取り付けるのに適した長さとすることができる。さらに例示的な構成では、枢軸接続部は、
図2Aおよび
図2Cにさらに示されているように、コネクタ30またはアーム22の表面上のいずれかであることができるピン34と、コネクタ30またはアーム22の表面上のいずれかであることができる対応するホール(スロット、溝、またはディボット)26と、を備えることができる。さらに例示的な実施態様では、例えば、ピン/スロット構成によって、アーム22およびコネクタ30を備えるキャップ20のスナップフィットアセンブリが提供されることができる。
【0025】
図2Aから
図2Cの例に示されるように、例示的な実施では、表面28は、キャップハウジング20の輪郭のある開口端を形成し、表面38は、コネクタ30の輪郭のある作動面38がコネクタ(例えば、IVコネクタ)30が(例えば、IVにアクセスされていない)閉状態にあるとき、キャップハウジング20の起伏のある開口端表面28と接触する。
【0026】
さらに別の例示的な実施形態では、デバイス10のコネクタ30は、バリア(またはバリア特徴)40を含み、例えば、コネクタ30の外面上の突起として実施され、例えば、ハブ部分32の下で、例えば、ハブ32に対して実質的に軸方向に垂直である。バリア40は、コネクタ30に関して1つまたは複数の軸で枢動するハウジング20が、キャップハウジング20の表面28がバリア40の表面48と選択的にインターフェースできるように構成された外面48を含む。
【0027】
図3および
図4の例に示されているように、例示的な実施では、表面48がバリア40の輪郭部分を形成し、コネクタ(例えば、IVコネクタ)30が開いた状態(例えば、IVがアクセスされている状態)にあるときに、バリア40の輪郭のある表面48がキャップハウジング20の輪郭のある開口端表面28とインターフェースできるようになっている。
【0028】
図7から
図9Bを参照すると、例示的な実施において、ピールシールフィルム70は、例えば、キャップハウジング20の側壁21のリムの表面28に取り付けることによって、使用前にキャップハウジング20の開口部25を封止するために提供することができ、それによって、使用前にリザーバ24および/または表面28の無菌性を維持し、および/または、リザーバ24内に配置され得る洗浄液が漏れ出しおよび/または蒸発するのを防止する。
【0029】
さらに別の例示的な実施では、IPAに浸したスポンジ80などの消毒部材を、例えば
図9Aに図示されているように端壁23の内面に近接してリザーバ、またはキャビティ24内に、および/または例えば
図9Bに図示されているように開口部25に近接してリザーバ、またはキャビティ24内に、例えば上記の先願に記載されているように設けることができる。例示的な実施において、スポンジ80は、側壁21の内面にある1つまたは複数の突出部82および/または1つまたは複数の突出部84、および/または端壁23の内面にある1つまたは複数の突出部(図示せず)によって、リザーバすなわちキャビティ24内に保持することができる。そのような1つまたは複数の突起は、スポンジ80との当接および/または締まりばめによって、リザーバまたはキャビティ24内にスポンジ80を保持することができる。さらなる例示的な実施態様では、例えば、キャップハウジング20の側壁21のリムの表面28に取り付けることによって、使用前にキャップハウジング20の開口部25を封止するために剥離シールフィルム70を設けることができ、それによって、スポンジ80からの洗浄液の蒸発を防止する。
【0030】
本開示の例示的な実施形態によれば、一体型コネクタおよびキャップデバイス10は、コネクタ(IVコネクタなど)の閉状態、コネクタ(IVコネクタなど)の開状態、移行状態、および密封状態、を含む少なくとも4つの状態をカバーする設計機能で実装することができる。
【0031】
図2A~2Cの例示的な図を参照すると、一体型コネクタおよびキャップデバイス10が閉状態(例えば、IV非アクセス状態)にあるとき、キャップハウジング20は、コネクタ30のアクセス面38と接触し、それを覆っている。例えば、この状態では、キャップハウジング20の輪郭のある開口端面28とコネクタ30の表面(例えば、IVコネクタの輪郭のある作動面)38は、2つの間の開口領域が最小化または最適化されるように設計されており(たとえば、アーム22、ピン34およびディボット26の適切な構成によって)、リザーバ24からの消毒液の漏れまたは蒸発が減少し、消毒液が維持される。例えば、キャップ20がこの閉状態にある間、長期間効果を維持することが容易にすることができる。さらに、この閉状態の間、リザーバ24に含まれるキャップ30の消毒液は、コネクタ30と接触し、コネクタ30の表面38を積極的に消毒することができる。
【0032】
図3および
図4の例示的な図を参照すると、一体型コネクタおよびキャップデバイス10が開状態(例えば、IVアクセス状態)にあるとき、キャップハウジング20は、コネクタ30のバリア特徴40の表面48と接触している。例えば、この状態では、キャップハウジング20の輪郭のある開口端表面28およびコネクタ30のバリア特徴40の輪郭のある表面48は、リザーバ24からの消毒液の漏れや蒸発が減少し、消毒液が維持されるように、2つの間の開口面積が最小化または最適化されるように(例えば、アーム22、ピン34およびディボット26の適切な構成によって)設計される。例えば、キャップ20がこの開状態にある間、長期間効果を維持することが容易にすることができる。さらに、これが開状態にある間、コネクタ30またはコネクタ30のハブ32は、通常または従来の臨床行為に従って、例えばIVラインまたはシリンジでアクセスすることができる。
【0033】
図5および
図6の例示的な図を参照すると、一体型コネクタおよびキャップデバイスは、例えば臨床医がキャップハウジング20を回転またはスライドさせて所望の開状態(例えば
図2A参照)または閉状態(例えば
図3参照)に切り替えたときに、一瞬だけ過渡的な状態になる。キャップハウジングがこの遷移状態にあるのはほんの一瞬であるから、リザーバ24は開口部25を介して一瞬だけ露出し、したがって、リザーバ24からの消毒液の蒸発損失を最小限に抑えることができる。
【0034】
図7~
図9Bの例示的な図を参照すると、一体型コネクタおよびキャップデバイス10が密封状態にあるとき、例えば製品使用前に、消毒液は、例えば使用前に臨床医が取り外すことができるシール70によってそこに密封されることにより、リザーバ25内で保存期間にわたって維持される。
【0035】
本開示の実施形態のさらに別の例示的な実施態様によれば、キャップ20は、
図2A~
図2Cの例に示されているように、コネクタ30がキャップハウジング20の内部(キャビティ24内)に圧入されていない(消毒液の圧力上昇を引き起こしている)ため、少なくともキャッピング適用時に消毒液をコネクタ30内に押し込まない。
【0036】
本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して示され、説明されてきたが、本開示の実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更がその中でなされ得ることが、当業者には理解されるであろう。例えば、消毒スポンジは、任意の適切な消毒または他の用途固有の物質を含み得、任意の適切な材料で作製され得る。また、キャップハウジングおよび/またはコネクタは、単発成形するか、または他の適切なプロセスで作ることができる。さらに、本開示の実施形態の精神と範囲から逸脱することなく、上記で説明し、図面に図示した本開示の実施形態の任意の例示的な実装の特徴または要素のいずれかを、個別に又は当業者が容易に理解できるような任意の組み合わせで実施することができる。
【0037】
さらに、添付の図面は、本開示の特定の例示的な実施形態の非限定的な例をさらに説明し、それに関連する技術の説明を助けるものである。上記以外の図面に記載されている特定の又は相対的な寸法又は測定値は、例示的なものであり、関連する開示分野の当業者が理解する本発明の設計又は方法の範囲又は内容を制限することを意図したものではない。
【0038】
本開示の他の目的、利点、及び、顕著な特徴は、添付の図面と併せて本開示の例示的な実施形態を開示する詳細から当業者に明らかになるであろう。