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特許7595585ハイドロフルオロチオエーテル及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ハイドロフルオロチオエーテル及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/34 20060101AFI20241129BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20241129BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20241129BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20241129BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20241129BHJP
   C07C 323/03 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C11D7/34
C11D7/50
C11D3/43
C11D1/72
C11D1/74
C07C323/03
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021566441
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 IB2020054296
(87)【国際公開番号】W WO2020229953
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】62/846,187
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コステッロ,ミカエル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】キュウ,ヅァイ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ランドバーグ,ディヴィッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モンテイル,アレクサンドレ アール.
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03476812(US,A)
【文献】東ドイツ国経済特許第207310(DD,A1)
【文献】特開昭54-103808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 - 19/00
C10M 101/00 - 177/00
C07B 31/00 - 63/04
C07C 1/00 - 409/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I):
Rf-S-Rh (I)
[式中、(i)Rfは、2個~6個の炭素原子を有する部分フッ素化基又はペルフルオロ化基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含み、(ii)Rhは、1個~3個の炭素原子を有する非フッ素化炭化水素基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含む]を有する化合物と、
式C 2n+2 (式中、nは5より大きい)を有する炭化水素である有機潤滑剤汚染物質と、
を含む成物であって、
前記有機潤滑剤汚染物質が、組成物中の前記構造式(I)の化合物の総重量に基づいて、0.0001重量%~20重量%の量で組成物中に存在する、組成物
【請求項2】
Rfが、飽和部分フッ素化基又はペルフルオロ化基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Rhが、CH又はCHCHである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記構造式(I)を有する化合物が、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、共溶媒を更に含み、前記共溶媒が、アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、スルホキシド、スルホン、オキシラン、芳香族、ハロ芳香族、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、又はこれらの混合物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、界面活性剤を更に含み、
前記界面活性剤の量が、前記構造式(I)を有する化合物と前記界面活性剤との総重量に基づいて、0.1重量パーセント~5重量パーセントであり、
前記界面活性剤が、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪酸、アルキルアリールスルホネート、グリセロールエステル、エトキシ化フルオロアルコール、フッ素化スルホンアミド、又はこれらの混合物を含む非イオン性界面活性剤を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
基材から汚染物質を除去するためのプロセスであって、前記プロセスが、
前記基材を、構造式(I):
Rf-S-Rh (I)
[式中、(i)Rfは、2個~6個の炭素原子を有する部分フッ素化基又はペルフルオロ化基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含み、(ii)Rhは、1個~3個の炭素原子を有する非フッ素化炭化水素基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含む]を有する化合物を含む組成物と接触させる工程を含み、
前記工程の後、前記組成物が、組成物中の前記構造式(I)の化合物の総重量に基づいて、0.0001重量%~20重量%の量で前記汚染物質を含む、プロセス。
【請求項8】
Rfが、飽和部分フッ素化基又はペルフルオロ化基である、請求項に記載のプロセス。
【請求項9】
Rhが、CH又はCHCHである、請求項又はに記載のプロセス。
【請求項10】
前記汚染物質が、式C 2n+2 (式中、nは5より大きい)を有する炭化水素である有機潤滑剤を含む、請求項のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイドロフルオロチオエーテル並びにその作製方法及び使用方法に関し、これを含む作動流体又は洗浄流体に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な化合物が、例えば、米国特許第3,816,277号に記載されている。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態では、組成物が提供される。組成物は、構造式(I):
Rf-S-Rh (I)
[式中、(i)Rfは、2個~6個の炭素原子を有する部分フッ素化基又はペルフルオロ化基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含み、(ii)Rhは、1個~3個の炭素原子を有する非フッ素化炭化水素基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含む]を有する化合物を含む。組成物は、有機潤滑剤汚染物質を更に含む。
【0004】
上記の本開示の概要は、本開示の各実施形態を説明することを意図したものではない。本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明にも記載される。本開示の他の特徴、目的及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0005】
絶えず増加する信頼性への要請、継続的な小型化、及び洗浄プロセスなしで製造された電子部品の不具合数の増加の全てが相まって、電子機器製造において、洗浄溶媒の使用がますます注目されている。洗浄流体は、そのような産業用及び消費者用電子製品の生産に使用される一般的な製造用グリース及び油(例えば式C2n+2を有する長鎖炭化水素)を高い信頼性で溶解及び除去するように、特別に設計される。フッ素化洗浄流体は高レベルの炭化水素溶解度を示すが、部分的には、それらの低い燃焼性、高い密度、低い粘度、低い表面張力、高い表面湿潤性、及び使用後の部品からの素早い蒸発をもたらす高い蒸気圧の独自の特性により、そのような用途に好適である。更に、炭化水素溶媒とははっきりと対照的に、フッ素化洗浄溶媒は、洗浄後の部品に残る残留物の量を最小限に抑える。
【0006】
現在、そのようなグリース及び油(例えば、長鎖炭化水素アルカン)又は他の有機物を溶解させ、表面から除去するために使用される流体は、例えば、トランス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン(TCA)、トリクロロエチレン、及びジクロロメタンを含む流体ブレンドを含有する。そのような流体ブレンドに関して、このアプローチに対する1つの欠点は、洗浄流体の寿命にわたって組成比が変化する傾向である。この組成比の変化は、ひいては安全性の懸念を生じ、洗浄流体の性能を損なう。そのため、毒性がなく、不燃性であり、かつ炭化水素溶解度が高い単一組成の洗浄流体は、電子機器の洗浄産業にとって有意に有益であろう。更に、現在用いられている材料のうちのいくつかは、オゾン層破壊物質としてモントリオール議定書によって規制されているか、又は毒性の懸念を有する。
【0007】
最近では、洗浄流体として使用するために、特定の塩素含有フルオロ化合物が論じられている。そのような分子は、望ましいGWPプロファイルを呈する一方で、許容できないほど高い可能性があるオゾン層破壊係数(ODP)を有する。
【0008】
環境に優しい(例えば、低GWPかつ低ODP)及び毒性が低い化学化合物に対する需要の増加を考慮すると、強い洗浄能力を有することに加えて、そのような属性を保有する新しい長鎖炭化水素アルカン洗浄流体が必要とされている。更に、そのような洗浄流体は、費用効果の高い方法を使用して製造することができることが望ましい。
【0009】
概して、本開示は、洗浄流体(又は洗浄流体の構成成分)として有用な、新たな分類の化合物を提供する。化合物は、多くの既存の洗浄流体よりも良好な洗浄特性及び物理的特性をもたらすばかりでなく、大気寿命がより短く、地球温暖化係数がより低く、オゾン層破壊係数がより低く、毒性がより低く、より許容される環境プロファイルをもたらす、ハイドロフルオロチオエーテル(HFTE)である。更に、本開示のHFTEは、高い費用対効果で製造することができる。
【0010】
本明細書で使用する場合、「連結されたヘテロ原子」は、炭素鎖(直鎖若しくは分枝鎖又は環内)の少なくとも2個の炭素原子に結合して炭素-ヘテロ原子-炭素リンケージを形成する、炭素以外の原子(例えば、酸素、窒素、又は硫黄)を意味する。
【0011】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン化」(例えば、「ハロゲン化HFO」の場合などの化合物又は分子に関して)は、炭素に結合した少なくとも1個のハロゲン原子が存在することを意味する。
【0012】
本明細書で使用する場合、「フルオロ」(例えば、「フルオロアルキレン」若しくは「フルオロアルキル」若しくは「フルオロカーボン」の場合などの、基若しくは部分に関して)又は「フッ素化」は、(i)部分的にフッ素化されており、炭素に結合した少なくとも1個の水素原子が存在すること、又は(ii)ペルフルオロ化されていることを意味する。
【0013】
本明細書で使用する場合、「ペルフルオロ」(例えば、「ペルフルオロアルキレン」若しくは「ペルフルオロアルキル」若しくは「ペルフルオロカーボン」の場合などの、基若しくは部分に関して)又は「ペルフルオロ化」は、完全にフッ素化されており、別段の指示をされている場合を除き、フッ素で置き換えることが可能な、炭素に結合した水素原子が存在しないことを意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「有機潤滑剤」は、鉱油(例えば、室温液体、式C2n+2を有する長鎖アルカン)、半固体グリース(例えば、式C2n+2を有する室温半固体の長鎖アルカン)、室温固体であるが、式C2n+2、又は脂質を有する低融点ワックスを意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明確に別段の規定をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の実施形態で使用する場合、用語「又は」は、その内容が明確に別段の規定をしない限り、一般に「及び/又は」を含めた意味で用いる。
【0016】
本明細書で使用する場合、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4及び5を含む)。
【0017】
別段の指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用される量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるものとする。したがって、反対の指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態のリストにおいて述べる数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下の構造式(I):
Rf-S-Rh (I)によって表されるハイドロフルオロチオエーテルを対象とする。
【0019】
いくつかの実施形態では、Rfは、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分枝鎖、非環式若しくは環状であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子、塩素原子、若しくは臭素原子を含む、2個~9個、2個~6個、又は2個~4個の炭素原子を有する部分フッ素化あるいはペルフルオロ化基である。いくつかの実施形態では、Rfは、部分的にフッ素化されている。いくつかの実施形態では、Rfは、2個以下の水素原子を有する。いくつかの実施形態では、Rfはペルフルオロ化されている。いくつかの実施形態では、Rfは飽和している。
【0020】
いくつかの実施形態では、Rhは、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分枝鎖であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含む、1個~3個、又は1個~2個の炭素原子を有する非フッ素化炭化水素基である。いくつかの実施形態において、Rhは、CH又はCHCHである。いくつかの実施形態において、Rhは、CHである。
【0021】
いくつかの実施形態では、上述の連結されたヘテロ原子のいずれかは、Oが2個の炭素原子に結合した第二級Oヘテロ原子であってもよい。いくつかの実施形態では、上述の連結されたヘテロ原子のいずれかは、Nが3個のペルフルオロ炭素原子に結合した第三級Nヘテロ原子であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示のハイドロフルオロチオエーテルは、洗浄流体として使用するのに非常に有益となる、優れた炭化水素溶解度を有し得る。この点に関して、いくつかの実施形態では、上述のハイドロフルオロチオエーテルは、炭化水素洗浄用途(例えば、ハイドロフルオロエーテル含有組成物)において現在用いられている化合物よりも優れた炭化水素溶解度を有し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示のハイドロフルオロチオエーテル化合物のフッ素含有量は、化合物をASTM D-3278-96 e-1試験法(「Flash Point of Liquids by Small Scale Closed Cup Apparatus」)による不燃とするのに十分であり得る。
【0024】
様々な実施形態において、一般式(I)の化合物の代表例には、以下が挙げられる:
CFCF-S-CH
HCFCF-S-CH
HCFClCF-S-CH
CFClCF-S-CH
CFCFCl-S-CH
CFCFCF-S-CH
CFOCFCF-S-CH
CFCHFCF-S-CH
(CFCF-S-CH
CFCHFCF-S-CH
CFCFCFCF-S-CH
(CFCFCF-S-CH
CFCF(CF)CF-S-CH
CFCFCF(CF)-S-CH
CFOCFCFCF-S-CH
CFCFCFCF-S-CHCH
CFCFCF(CF)-S-CHCH
CFCFCFCF-S-CHCH
(CFNCF-S-CH
【化1】
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示のハイドロフルオロチオエーテルは、広い動作温度範囲にわたって有用であり得る。この点に関して、いくつかの実施形態では、本開示のハイドロフルオロオレフィンは、摂氏20、30、40又は50度以上、かつ摂氏250、150、130、120、110、100、90、又は80度以下の沸点を有し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示のハイドロフルオロチオエーテルは、疎水性であり、比較的化学反応性に乏しく、熱的に安定であり得る。ハイドロフルオロチオエーテル化合物は、環境への影響が少ない場合がある。この点に関して、本開示のハイドロフルオロチオエーテル化合物は、500未満、300未満、200未満、100未満、10未満、又は1未満の地球温暖化係数(GWP)を有し得る。本明細書で使用する場合、GWPは、化合物の構造に基づく化合物の地球温暖化係数の相対的尺度である。化合物のGWPは、1990年に気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)によって規定され、2007年に改訂されており、特定の積分期間(integration time horizon、ITH)にわたる、1キログラムのCO放出による温暖化に対する、1キログラムの化合物放出による温暖化として計算される。
【数1】
【0027】
この式中、aは大気中の化合物の単位質量増加当たりの放射強制力(その化合物のIR吸光度に起因する大気を通る放射束の変化)であり、Cは化合物の大気濃度であり、τは化合物の大気寿命であり、tは時間であり、iは対象化合物である。?通例許容されるITHは、短期間の効果(20年間)と長期間の効果(500年間以上)との間の折衷点を表す100年間である。大気中の有機化合物iの濃度は、擬一次速度論(すなわち、指数関数的減衰)に従うと仮定される。同じ時間間隔のCOの濃度は、大気からのCOの交換及び除去に関する、より複雑なモデルを組み込む(Bern炭素循環モデル)。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示のハイドロフルオロチオエーテルは、ゼロ又はゼロ付近のオゾン層破壊係数(ODP)を有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、本開示のハイドロフルオロチオエーテルは、i)米国特許第3816277号に開示されているようにUV又は熱条件下での、ヨウ化ペルフルオロアルキルの、硫化ジアルキル又は二硫化ジアルキルとアルカリ金属アルカンチオレートとの反応、あるいはii)J.Org.Chem.,46(9),1938,1981に開示されているようにペルフルオロアルケンから生じたペルフルオロアルキルアニオンと金属フッ化物(MF)又はRF-I若しくはRf-BrとRh-SCNとの反応によって一段階で合成されてもよく、いくつかの実施形態では、本開示のハイドロフルオロチオエーテルは、触媒量のMF中でのペルフルオロ化オレフィンと硫黄との反応によって、環状ジチエタンを形成し(例えば、J.Org.Chem.,47(2),377,1982に開示されているように)、続いて好適なアルキル化試薬を用いたアルキル化で二段階で合成されてもよい(例えば、Izvestiya Akademii Nauk SSSR,Seriya Khimicheskaya 1989,6,1380-3に開示されているように)。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示は、上記のハイドロフルオロチオエーテル化合物を主要構成成分として含む作動流体を更に対象とする。例えば、作動流体は、上記のハイドロフルオロチオエーテル化合物を、作動流体の総重量に基づいて少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%含んでもよい。作動流体は、ハイドロフルオロチオエーテル化合物に加えて、次の構成成分:アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、スルホキシド、スルホン、ペルフルオロスルホン、又はこれらの混合物から選択されるが、これらに限定されないもののうちの1つ以上を、作動流体の総重量に基づいて合計で最大75重量%、最大50重量%、最大30重量%、最大20重量%、最大10重量%、又は最大5重量%含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハイドロフルオロチオエーテル化合物及び追加構成成分を含む作動流体は、共沸混合物を形成し得る。そのような追加構成成分は、組成物の特性を、特定の用途向けに改変又は強化するために選択できる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、1種以上の共溶媒を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハイドロフルオロチオエーテル化合物は洗浄組成物中に、ハイドロフルオロチオエーテル化合物と共溶媒との総重量に基づいて、25重量%より大きい、50重量%より大きい、60重量%より大きい、70重量%より大きい、80重量%より大きい、90重量%より大きい、又は95重量%より大きい量で存在し得る。
【0032】
例示的な実施形態において、共溶媒としては、アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族、ハロ芳香族、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、又はこれらの混合物を挙げることができる。洗浄組成物に使用できる共溶媒の代表例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブチルアルコール、メチルt-ブチルエーテル、メチルt-アミルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、シクロヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン、n-デカン、テルペン(例えば、a-ピネン、カンフェン、及びリモネン)、トランス-1,2-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、メチルシクロペンタン、デカリン、デカン酸メチル、酢酸t-ブチル、酢酸エチル、フタル酸ジエチル、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、ナフタレン、トルエン、p-クロロベンゾトリフルオリド、トリフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロ-N-メチルモルホリン、ペルフルオロ-2-ブチルオキサシクロペンタン、塩化メチレン、クロロシクロヘキサン、1-クロロブタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,1,1-トリフルオロ-2,2-ジクロロエタン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロ-3,3-ジクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロ-1,3-ジクロロプロパン、2,3-ジヒドロペルフルオロペンタン、1,1,1,2,2,4-ヘキサフルオロブタン、1-トリフルオロメチル-1,2,2-トリフルオロシクロブタン、3-メチル-1,1,2,2-テトラフルオロシクロブタン、1-ヒドロペンタデカフルオロヘプタン、又はこれらの混合物を挙げることができる。そのような共溶媒は、例えば、特定の用途向けに洗浄組成物の溶解特性を改変又は強化するように選択でき、得られる組成物が引火点を持たないような比(共溶媒とハイドロフルオロチオエーテル化合物との比)で利用することができる。
【0033】
様々な実施形態では、洗浄組成物は、1種以上の界面活性剤を含んでもよい。好適な界面活性剤としては、ハイドロフルオロチオエーテルに十分に可溶性であり、汚染物質を溶解、分散又は排除することによって、汚染物質の除去を促進する界面活性剤が挙げられる。1つの有用な分類の界面活性剤は、約14未満の親水性-親油性バランス(hydrophilic-lipophilic balance、HLB)値を有する非イオン性界面活性剤である。例としては、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪酸、アルキルアリー(alkylary)スルホネート、グリセロールエステル、エトキシ化フルオロアルコール、及びフッ素化スルホンアミドが挙げられる。ある界面活性剤が油性汚染物質の除去を促進するために洗浄組成物に添加され、別の界面活性剤が水溶性汚染物質の除去を促進するために添加された、相補的特性を有する界面活性剤の混合物を使用してもよい。界面活性剤は、使用する場合、汚染物質の除去を促進するのに十分な量で添加することができる。典型的には、界面活性剤は、界面活性剤とハイドロフルオロチオエーテル化合物との総重量に基づいて、0.1重量%~5.0重量%の量、又は約0.2重量%~2.0重量%の量で添加される。
【0034】
いくつかの実施形態では、特定の用途に望ましい場合、洗浄組成物は、1つ以上の溶解若しくは分散された気体、液体又は固体添加剤(例えば、二酸化炭素ガス、安定剤、酸化防止剤、又は活性炭)を更に含むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示は更に、洗浄後の状態の上記洗浄組成物を対象とする。この点に関して、本開示は、溶解、分散、又は他の方法で中に含有される1種以上の汚染物質を含む、上記洗浄組成物のいずれかを対象とする。例えば、組成物は、1つ以上のハイドロフルオロチオエーテルと、ハイドロフルオロチオエーテルに溶解して均質な組成物を形成する1つ以上の汚染物質を含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の本開示のハイドロフルオロチオエーテル化合物を含む洗浄組成物に関する。使用時に、洗浄組成物は、基材の表面から汚染物質を除去する(例えば、溶解する)働きをすることができる。この点に関して、本開示は更に、本開示のハイドロフルオロチオエーテル化合物、及び組成物中に溶解又は分散している1つ以上の汚染物質(例えば、ハイドロフルオロチオエーテル化合物により基材から除去された汚染物質)を含む組成物を対象とする。そのような組成物は、均質な単相組成物であってもよい。そのような組成物では、本開示のハイドロフルオロチオエーテル化合物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%の量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、汚染物質は、軽質炭化水素汚染物質、鉱油、ワックス、及びグリースなどの高分子量炭化水素汚染物質、はんだフラックス、微粒子、水、又は精密、電子、金属、及び医療機器の洗浄で遭遇する他の汚染物質を含んでもよい。いくつかの実施形態では、汚染物質は、有機潤滑剤を(例えば、少なくとも50重量%)を含んでもよく、又は有機潤滑剤から本質的になってもよい。いくつかの実施形態では、有機潤滑剤は、式C2n+2[式中、nは、5、9、10、12、15、又は20を超える]を有する1種以上の炭化水素アルカンを(例えば、少なくとも50重量%)含んでもよく、又はこの炭化水素アルカンから本質的になってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、汚染物質は、洗浄後の組成物中のハイドロフルオロチオエーテル及び汚染物質の総重量に基づいて、0.0001%~0.1重量%、0.1重量%~10重量%、若しくは10重量%~20重量%、又は少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、若しくは少なくとも20重量%の量で、洗浄後の洗浄組成物中に(個別に又は集合的に)存在し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、気体状態若しくは液体状態のいずれか(又は両方)で使用することができ、基材と「接触させる」ための公知技法又は将来の技法のいずれかを利用することができる。例えば、液体洗浄組成物を基材上に噴霧若しくははけ塗りすることができ、気体洗浄組成物を基材全体に吹き付けることができ、又は基材を気体若しくは液体組成物のいずれかにさらすことができる。高温、超音波エネルギー及び/又は撹拌を使用して、洗浄を促進することができる。様々な異なる溶媒洗浄技法が、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、B.N.EllisによってCleaning and Contamination of Electronics Components and Assemblies,Electrochemical Publications Limited,Ayr,Scotland,182~94(1986)に記載されている。
【0039】
有機基材及び無機基材の両方を本開示のプロセスによって洗浄することができる。基材の代表例としては、金属、セラミック、ガラス、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、天然繊維(及び天然繊維に由来する布地)、例えば、綿、絹、毛皮、スエード、革、リネン及びウール、合成繊維(及び布地)、例えば、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン又はこれらの混紡、天然繊維と合成繊維との混紡を含む布地、並びに先述の材料の複合材が挙げられる。いくつかの実施形態では、このプロセスは、電子部品(例えば回路基板)、光媒体若しくは磁気媒体、又は医療機器の精密洗浄に使用され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、本開示は、基材を洗浄するためのプロセスに関する。洗浄プロセスは、汚染された基材を上述の洗浄組成物と接触させることによって、行うことができる。
【実施例
【0041】
本開示の目的及び利点を、以下の例示的な実施例によって更に例示する。別途断りのない限り、実施例及び本明細書のその他の部分における、全ての部、百分率、比などは重量によるものであり、実施例で使用した全ての試薬は、一般的な化学物質供給元、例えば、Sigma-Aldrich Corp.(Saint Louis,MO,US)などから入手したもの、若しくは入手可能なものであるか、又は通常の方法によって合成することができる。
【表1】
【0042】
試験方法
最大可溶性炭化水素(LSH):各ハイドロフルオロチオエーテル及び競合例のLSHは、室温(23℃)及び50℃において、約1:1~1:2の試験物質:炭化水素の重量比で化合物を様々な分子量の炭化水素(C2n+2[式中、n=9~24である])と混合することによって決定した。LSH値は、肉眼でヘイズを示すことなくハイドロフルオロチオエーテル又は競合例と相溶性であった最も長い炭化水素についての式C2n+2のnの値として報告した。本明細書では、nの値が大きいほど、ハイドロフルオロチオエーテルの炭化水素を洗浄する能力が高いことを示すものとして解釈する。
【0043】
大気寿命及び地球温暖化係数(GWP):各試験物質の大気寿命は、基準化合物としてクロロメタン(CHCl)を利用した、相対速度研究から決定した。基準化合物及び試験化合物のヒドロキシルラジカル(・OH)との擬一次反応速度を、実験室のチャンバ系において決定した。基準化合物の大気寿命は、文献に記載されている。この値及びチャンバ実験で測定された擬似一次速度に基づいて、各試料の大気寿命を、基準化合物に対する試験化合物の反応速度及び以下に示す基準化合物の報告された寿命から計算した。
【数2】
[式中、τは、試験物質の大気寿命であり、τは、基準化合物の大気寿命であり、k及びkはそれぞれ、ヒドロキシルラジカルと、試験物質及び基準化合物との反応の速度定数である]。試験チャンバ内のガスの濃度は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって定量した。測定された各流体の大気寿命値を、その後、GWP計算に使用した。
【0044】
気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC))第5次評価報告書(Fifth Assessment Report(AR5))に記載の方法を使用して、GWP値を算出した。
【0045】
既知であり、文書化された濃度を有する、評価する物質のガス標準を調製し、この化合物の定量的なFTIRスペクトルを得るために使用した。質量流量計を使用して、サンプル標準を窒素で希釈することによって、2つの異なる濃度レベルにおける、定量的な気相の単一成分FTIRライブラリ参照スペクトルを発生させた。流量は、FTIRセル排気において、認証されたBIOS DRYCAL流量計(Mesa Labs(Butler,NJ,US))を使用して測定した。希釈手順はまた、認証されたエチレン較正ガスシリンダーを使用して検証した。AR5に記載されている方法を使用し、FTIRデータを使用して放射効率を計算し、これを今度は大気寿命と組み合わせて、地球温暖化係数(GWP)値を算出した。
【0046】
毒性:ラットにおける反復吸入投与毒性は、3匹の雄ラットを750ppmの試験化合物に、1日当たり6時間、5日繰り返し曝露することによって決定した。
【0047】
サンプル調製
実施例1:n-C-S-CH
n-C-IをCFBrの代わりに使用し、室温で反応させたこと以外は、「Reactions of bromotrifluoromethane and related halides Part VII[1]Condensations with thiocyanates and isocyanates in the presence of zinc」,Journal of Fluorine Chemistry;Vol.43,Issue 1 (1989);pp.27-34においてM.Tordeux,C.Francese,& C.Walkselmanによって記載された手順に従って、実施例1を、ピリジン中のn-C-I、CHSCN、及び亜鉛粉末から調製した。n-C-S-CHを、84℃の沸点を有して71%の収率で単離した。生成物の構造をH NMR及び19F NMRにより確認した。
【0048】
実施例2:(CFCFSCH
乾燥した600mLのHastalloy Parr反応器に、昇華硫黄(36g、1.1mol)、無水噴霧乾燥フッ化カリウム(15g、260mmol)及び無水N,N-ジメチルホルムアミド(300mL)を添加した。反応器を密封し、内容物を撹拌しながら60℃に加熱した。この温度で反応器を安定化させると、ヘキサフルオロプロペン(150g、1.0mol)を6g/分の速度で添加し、温度を65℃未満に維持した。添加が完了したとき、反応物を60℃で1時間撹拌した後、周囲温度まで冷却した。得られたスラリーを、残りの試薬の添加に対応するために、2Lの丸底フラスコに移した。フッ化カリウム(116g、2.0mol)を一度に添加し、続いて硫酸ジメチル(104mL、1.1mol)を添加漏斗を介して、45℃未満の内部反応温度を維持する速度で添加した。添加が完了したら、得られた反応物を周囲温度で12時間撹拌した。次いで、不均質な溶液を濾過して固形物を除去し、次いで等量の水で3回洗浄した。下相を回収し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。粗物質を淡黄色の油状物として回収した(117g、GC-fidによる93%の所望の生成物)。この物質を周囲圧力で蒸留により精製して、ペルフルオロイソプロピルメチルチオエーテル(98g、45%収率、沸点65℃)を得た。
【0049】
結果
表2に、実施例1~3及び比較例CE1~CE5の最大可溶性炭化水素(LSH)試験の結果をまとめる。使用される最大の炭化水素はC-23(C2348)であったため、「>23」のLSHは、この物質がヘイズを示すことなくC2348と混和性であったことを示す。
【0050】
予想外に、それぞれが-S-基を含有する実施例1及び2は、-O-を含有するCE1及びCE2と比較して有意に高いLSH値を示している。実施例1では、単一成分の流体は、市販の洗浄ブレンドであるCE4よりも高いLSH値を有していた。これは、一成分洗浄流体が望ましい用途において有利である。また、実施例1及び2はどちらも、塩素を含有するCE3及びCE5よりも同等以上のLSH値を有していた。
【0051】
表2に示される結果は、本発明のハイドロフルオロチオエーテルが、洗浄用途に非常に好適であり、従来の洗浄ブレンド又は塩素含有洗浄材料と同等かそれ以上の性能を発揮することを示す。
【表2】
【0052】
実施例2及びCE2の大気寿命を、上記のようにヒドロキシルラジカルとの反応速度から決定し、表3に報告する。
【表3】
【0053】
ラットにおける反復吸入投与毒性は、3匹の雄ラットを実施例2の750ppm(6時間/日)に、5日繰り返し曝露することによって決定した。試験は、有害な毒性の臨床的徴候、体重の変化、又は臓器重量(肺、肝臓、及び腎臓)を示さなかった。気道、肝臓、又は腎臓において有害な組織病理学的影響は観察されなかった。
【0054】
当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することのない、本開示に対する様々な改変及び変更が明らかとなるであろう。本開示は、本明細書に記載した例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されることは意図していないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、以下のような本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図した本開示の範囲内の例示としてのみ提示されることを理解されたい。本開示に引用される参照文献は全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本願発明は、以下の態様を包含する。
(1)構造式(I):
Rf-S-Rh (I)
[式中、(i)Rfは、2個~6個の炭素原子を有する部分フッ素化基又はペルフルオロ化基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含み、(ii)Rhは、1個~3個の炭素原子を有する非フッ素化炭化水素基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含む]を有する化合物と、
有機潤滑剤汚染物質と、を含む、組成物。
(2)Rfが、飽和している、項目1に記載の組成物。
(3)Rhが、CH 又はCH CH である、項目1又は2に記載の組成物。
(4)前記有機潤滑剤が、式C 2n+2 [式中、nは5超である]を有する炭化水素を含む、項目1~3のいずれかに記載の組成物。
(5)前記有機潤滑剤汚染物質が、前記組成物中に溶解している、項目1~4のいずれかに記載の組成物。
(6)前記構造式(I)を有する化合物が、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%の量で前記組成物中に存在する、項目1~5のいずれかに記載の組成物。
(7)前記構造式(I)を有する化合物が、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%の量で前記組成物中に存在する、項目1~6のいずれかに記載の組成物。
(8)前記有機潤滑剤が、洗浄後の組成物中の前記構造式(I)の化合物の総重量に基づいて、0.0001重量%~20重量%の量で前記組成物中に存在する、項目1~7のいずれかに記載の組成物。
(9)前記組成物が、共溶媒を更に含む、項目1~8のいずれかに記載の組成物。
(10)前記共溶媒が、アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、スルホキシド、スルホン、オキシラン、芳香族、ハロ芳香族、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、又はこれらの混合物を含む、項目9に記載の組成物。
(11)前記組成物が、界面活性剤を更に含む、項目1~10のいずれかに記載の組成物。
(12)前記組成物が、前記構造式(I)を有する化合物と前記界面活性剤との総重量に基づいて、0.1重量パーセント~5重量パーセントの前記界面活性剤を含む、項目11に記載の組成物。
(13)前記界面活性剤が、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪酸、アルキルアリールスルホネート、グリセロールエステル、エトキシ化フルオロアルコール、フッ素化スルホンアミド、又はこれらの混合物を含む非イオン性界面活性剤を含む、項目11又は12に記載の組成物。
(14)基材から汚染物質を除去するためのプロセスであって、前記プロセスが、
前記基材を、構造式(I):
Rf-S-Rh (I)
[式中、(i)Rfは、2個~6個の炭素原子を有する部分フッ素化基又はペルフルオロ化基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含み、(ii)Rhは、1個~3個の炭素原子を有する非フッ素化炭化水素基であり、任意に1個以上の連結されたヘテロ原子を含む]を有する化合物と接触させる工程を含む、プロセス。
(15)Rfが、飽和している、項目14に記載のプロセス。
(16)Rhが、CH 又はCH CH である、項目14又は15に記載のプロセス。
(17)前記汚染物質が、有機潤滑剤を含む、項目14~16のいずれかに記載のプロセス。
(18)前記有機潤滑剤が、式C 2n+2 [式中、nは5超である]を有する炭化水素を含む、項目17に記載のプロセス。