(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】特にタバコ産業の消費者製品の生産又は包装のための自動機械での制御及び/又は識別の方法
(51)【国際特許分類】
A24C 5/34 20060101AFI20241129BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A24C5/34 Z
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2021572090
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 IB2020055327
(87)【国際公開番号】W WO2020245798
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102019000008247
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102019000008250
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】392003937
【氏名又は名称】ジー.デー ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】G.D SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マリア エレオノーラ チェザリーニ
(72)【発明者】
【氏名】エウラ トリビソンノ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ フェデリーチ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512065(JP,A)
【文献】特開2014-178117(JP,A)
【文献】特開2016-138789(JP,A)
【文献】特開2010-239966(JP,A)
【文献】国際公開第2013/075791(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/34
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にタバコ産業の消費者製品の製造又は包装のための自動機械(1、21、46)での制御及び/又は識別の方法であって、前記自動機械(1、21、46)は、複数の動作部材を備え、消費者製品を製造するために使用される少なくとも1つの材料を供給する少なくとも1つの処理ライン(5)を備え、前記制御及び/又は識別の方法は、
前記自動機械(1、21、46)の少なくとも一部を含む範囲内にて、前記範囲内に存在するあらゆる物体によって生成された電磁場の変化を検出するための少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット(12)による三次元検出を実施するステップであって、前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、出力として、前記範囲内に存在する前記あらゆる物体の寸法及び/又は位置及び/又は形状及び/又は物理的構造及び/又は化学組成に関する生データ(18)を生成する、ステップと、
前記範囲内に存在する少なくとも1つの単一の物体、特に前記機械の少なくとも1つの構成要素及び/又は少なくとも1つの材料及び/又は少なくとも1つの半完成品又は完成品に関する情報(19)を分離し、抽出するために、前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)をフィルタリング処理するステップと、
前記単一の物体に関する前記情報(19)を使用して、制御及び/又は識別の動作を実施するステップと、を含む方法において、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、電磁スペクトルの多数の隣接する周波数帯域での放射線の存在を検出することができる複数の検出ユニット要素を備え、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、完全に受動的であり、前記自動機械(1、21、46)、前記材料又は前記消費者製品に少なくとも部分的に影響を及ぼすいかなる形態のエネルギーも放出しない、
制御及び/又は識別の方法。
【請求項2】
初期較正条件下で前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)を判定するステップと、
前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)を初期較正条件下で使用することにより、前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって使用に際して提供される前記生データ(18)を
クリーニングするステップと、をさらに含む、請求項1に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項3】
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)は、前記範囲内に存在する少なくとも1つの単一の物体に関する情報(19)を分離し、抽出するために、人工知能アルゴリズム(20)によってフィルタリング処理される、請求項1又は2に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項4】
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)は、前記範囲内に存在する少なくとも1つの単一の物体に関する情報(19)を分離し、抽出するように訓練された人工ニューラルネットワークによってフィルタリング処理される、請求項1、2又は3に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項5】
前記生データ(18)は、前記自動機械(1、21、46)の少なくとも1つの構成要素に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理され、
前記自動機械(1、21、46)の前記構成要素に関する前記情報(19)は、前記構成要素を識別するために使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項6】
前記自動機械(1、21、46)の前記構成要素に関する前記情報(19)は、前記自動機械(1、21、46)のあらゆる可能性のある構成要素のデータベースに含まれる情報と比較され、
前記構成要素は、前記データベースが存在する場合には前記データベースにて、前記生データ(18)から取得した前記情報(19)に最も対応する構成要素を見つけ出すことによって識別される、請求項5に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項7】
前記範囲には、前記自動機械(1、21、46)の全体が含まれ、
生データ(18)は、前記自動機械(1、21、46)のあらゆる前記構成要素に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理され、
前記自動機械(1、21、46)の各構成要素に関する前記情報(19)は、前記構成要素を識別するために使用され、
前記自動機械(1、21、46)の構成は、前記自動機械(1、21、46)のあらゆる前記構成要素の識別を使用して判定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項8】
前記生データ(18)は、少なくとも1つの材料に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理され、
前記材料に関する前記情報(19)は、前記材料が、対応する公称仕様に準拠しているかどうかを確認するために使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項9】
前記生データ(18)は、少なくとも1つの材料に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理され、
前記材料に関する前記情報(19)は、前記材料を識別するために使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項10】
前記生データ(18)は、前記処理ライン(5)の所定の位置に存在する少なくとも1つの半完成品又は完成品に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理され、
前記半完成品又は完成品に関する前記情報(19)は、前記半完成品又は完成品が、対応する公称仕様に準拠しているかどうかを確認するために使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項11】
前記自動機械(1、21、46)は、液体を包含する少なくとも1つの破断可能カプセル(45)をそれぞれが含むフィルタ部分(43)を製造するフィルタ処理機であり、
前記生データ(18)は、フィルタ部分(43)に包含される前記破断可能カプセル(45)に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理される、請求項10に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項12】
前記生データ(18)は、破断可能カプセル(45)に包含される液体の組成及び/又は量に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理される、請求項11に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項13】
前記自動機械(1、21、46)は、液体状態又は固体状態の芳香物質の用量(46)をそれぞれが包含する電子タバコ用の使い捨てカートリッジ(45)を製造するための処理機であり、
前記生データ(18)は、使い捨てカートリッジ(45)に包含される芳香物質の前記用量(46)に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理される、請求項10に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項14】
使い捨てカートリッジ(45)に包含される芳香物質の組成及び/又は量に関する情報(19)を分離し、抽出するように生データ(18)が処理される、請求項13に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項15】
前記単一の物体に関する前記情報(19)は、前記自動機械(1、21、46)の少なくとも1つの動作部材を制御するために使用される、請求項1~14のいずれか1項に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項16】
前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、ナノ材料、特にグラフェンによって形成され、それぞれの基板(15)に堆積された複数の感応層(14)を具備する、請求項1~15のいずれか1項に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項17】
各感応層(14)は、炭素原子から構成された二次元ハニカムによって形成される、請求項16に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項18】
前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)の両端に電圧を印加することによって励起され、前記生データ(18)は、前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)の両端の電圧の変動及び/又は前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)を通過する電流の変動を検出することによって判定される、請求項16又は17に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項19】
前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)の出力で提供される前記生データ(18)は、ゼーマン効果に従って解釈される、請求項16、17又は18に記載の制御及び/又は識別の方法。
【請求項20】
特にタバコ産業の消費者製品の生産又は包装のための自動機械(1、21、46)であって、複数の動作部材を備え、前記消費者製品の製造に使用される少なくとも1つの材料を供給する少なくとも1つの処理ライン(5)を具備する自動機械であって、
前記自動機械(1、21、46)の少なくとも一部を含む範囲内で、三次元検出を実施するように設計された少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット(12)であって、前記範囲内に存在するあらゆる物体の寸法及び/又は位置及び/又は形状及び/又は物理的構造及び/又は化学組成に関する生データ(18)を出力として生成するハイパースペクトル検出ユニット(12)と、
前記範囲内に存在する少なくとも1つの単一の物体、特に、前記機械のすくなくとも1つの構成要素及び/又は少なくとも1つの材料及び/又は少なくとも1つの半完成品又は完成品に関する情報(19)を分離し、抽出するように、前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)をフィルタリング処理し、前記単一の物体に関する前記情報(19)を使用して制御及び/又は識別の動作を実施するように設計された処理システムと、を具備することを特徴とする、自動機械において、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、電磁スペクトルの多数の隣接する周波数帯域での放射線の存在を検出することができる複数の検出ユニット要素を備え、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は完全に受動的であり、前記自動機械(1、21、46)、前記材料又は前記消費者製品に少なくとも部分的に影響を及ぼすいかなる形態のエネルギーも放出しない、自動機械。
【請求項21】
特にタバコ産業の消費者製品の製造又は包装のための自動機械(1、21、46)にて消費者製品を制御するための制御方法であって、前記自動機械(1、21、46)は、複数の動作部材を備え、前記消費者製品を製造するために使用される少なくとも1つの材料を供給する少なくとも1つの処理ライン(5)を具備し、
前記制御方法は、
少なくとも1つの消費者製品を含む範囲内で、前記範囲内に存在するあらゆる物体によって生成される電磁場の変化を検出するための少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット(12)による三次元検出を実施するステップであって、前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、前記範囲内に存在するあらゆる前記物体の寸法及び/又は位置及び/又は形状及び/又は物理的構造及び/又は化学組成に関する生データ(18)を出力として生成する、ステップと、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)をフィルタリング処理して、前記範囲内に存在する消費者製品の少なくとも1つの寸法及び/又は位置及び/又は形状及び/又は物理的構造及び/又は化学組成の特徴に関する情報(19)を分離し、抽出するステップと、
前記消費者製品が仕様に準拠しているために許容可能であるかどうか、あるいは前記消費者製品が仕様に準拠していないために拒否が必要であるかどうかを確認するために、前記消費者製品の前記少なくとも1つの特徴に関する前記情報(19)を使用するステップと、を含む、制御方法において、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、電磁スペクトルの多数の隣接する周波数帯域での放射線の存在を検出することができる複数の検出ユニット要素を備え、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、完全に受動的であり、前記自動機械(1、21、46)、前記材料又は前記消費者製品に少なくとも部分的に影響を及ぼすいかなる形態のエネルギーも放出しない、制御方法。
【請求項22】
前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)を初期較正条件下で判定するステップと、
前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)を初期較正条件下で使用することにより、前記
ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって使用に際して提供される前記生データ(18)を
クリーニングするステップと、をさらに含む、請求項21に記載の
制御方法。
【請求項23】
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)は、前記範囲内に存在する前記消費者製品の少なくとも1つの特徴に関する情報(19)を分離し、抽出するように、人工知能アルゴリズム(20)によってフィルタリング処理される、請求項22に記載の制御方法。
【請求項24】
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)は、前記範囲内に存在する前記消費者製品の少なくとも1つの特徴に関する情報(19)を分離し、抽出するように訓練された人工ニューラルネットワークによってフィルタリング処理される、請求項21、22又は23に記載の制御方法。
【請求項25】
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)は、前記消費者製品に包含される芳香物質の化学組成及び/又は量に関する情報(19)を分離し、抽出するようにフィルタリング処理される、請求項21~24のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項26】
前記自動機械(1、21、46)は、液体を包含する少なくとも1つの破断可能カプセル(45)をそれぞれが包含するフィルタ部分(43)を製造するフィルタ処理機であり、
前記生データ(18)は、フィルタ部分(43)に包含される前記破断可能カプセル(45)に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理される、請求項21~25のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項27】
生データ(18)が、破断可能カプセル(45)に包含される液体の組成及び/又は量に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理される、請求項26に記載の制御方法。
【請求項28】
前記自動機械(1、21、46)は、液体状態又は固体状態の芳香物質の用量(46)をそれぞれが包含する電子タバコ用の使い捨てカートリッジ(45)を製造するための処理機であり、
前記生データ(18)は、使い捨てカートリッジ(45)に包含される芳香物質の前記用量(46)に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理される、請求項21~25のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項29】
前記生データ(18)は、使い捨てカートリッジ(45)に包含される芳香物質の組成及び/又は量に関する情報(19)を分離し、抽出するように処理される、請求項28に記載の制御方法。
【請求項30】
前記処理ライン(5)は、前記消費者製品を構成する少なくとも2つの材料を供給し、組み合わせる、請求項21~29のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項31】
特にタバコ産業の消費者製品の製造又は包装のための自動機械(1、21、46)にて消費者製品を制御するための制御ユニット(11)であって、前記制御ユニット(11)は、
少なくとも1つの消費者製品を包含する範囲内で、三次元検出を実施するように設計された少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット(12)であって、前記範囲内のあらゆる物体の寸法及び/又は位置及び/又は形状及び/又は物理的構造及び/又は化学組成に関する生データ(18)を出力として生成するハイパースペクトル検出ユニット(12)と、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)によって提供される前記生データ(18)をフィルタリング処理して、前記範囲内に存在する消費者製品の少なくとも1つの寸法及び/又は位置及び/又は形状及び/又は物理的構造及び/又は化学組成の特徴に関する情報(19)を分離し、抽出し、前記消費者製品の少なくとも1つの特徴に関する前記情報(19)を使用して、前記消費者製品が仕様に準拠しているために許容可能であるか、あるいは前記消費者製品が仕様に準拠していないために拒否する必要があるかどうかを確認するように設計された処理システムと、を具備する、制御ユニットにおいて、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、電磁スペクトルの多数の隣接する周波数帯域での放射線の存在を検出することができる複数の検出ユニット要素を備え、
前記ハイパースペクトル検出ユニット(12)は、完全に受動的であり、前記自動機械(1、21、46)、材料又は前記消費者製品に少なくとも部分的に影響を及ぼすいかなる形態のエネルギーも放出しない、制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2019年6月6日出願のイタリア国特許出願第102019000008247号及び2019年6月6日出願のイタリア国特許出願第102019000008250号から優先権を主張する。イタリア国特許出願の開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、消費者製品の製造又は包装のための自動機械での制御及び/又は識別の方法に関する。
【0003】
本発明は、タバコ産業にて有利な用途を認めるものである。以下の開示が、有利な用途について、その普遍性を損なうことなく言及するであろう。
【背景技術】
【0004】
タバコ産業での製品の製造又は包装のための自動機械には、複数の動作部材によって形成され、消費者製品(例えば、紙巻タバコ、包体、大箱など)の製造に使用される少なくとも2つの異なる材料を互いに供給し、組み合わせる少なくとも1つの処理ラインが含まれる。
【0005】
現在、タバコ産業での製品の製造又は包装のための自動機械が、線形位置、角度位置、温度、湿度、可視光線、マイクロ波、X線の検出ユニットを含む複数の検出ユニットを有して、動作部材、材料及び半完成品又は完成品を制御下に保持しようとしている。
【0006】
しかし、あらゆる処理の態様を制御下に置くには、多数の多種多様な検出ユニットが必要であり、その結果、(検出ユニットの購入と、検出ユニットの組み立て及び配線の両方に対する)コストが非常に高いものになり、寸法が大きくなる問題があり、検出ユニットの較正に費やす時間が大幅に長くなる。
【0007】
さらに、既知の検出ユニットでは、製品が仕様に準拠しているために許容可能であるかどうか、あるいは消費者製品が仕様に準拠していないために拒否する必要があるかどうかを常に効果的に検証することができるとは限らない。特に、既知の検出ユニットでは、外部から直接アクセスすることができない製品の内部特徴を調査する必要がある場合、有効性を失うことがある。
【0008】
特許文献1(米国特許出願公開第2018/100810号明細書)には、ハイパースペクトル画像を取得するために光で照らされ、次に走査される農産物の流れ内の異物の存在を検出するための方法が記載されている。ハイパースペクトル画像を分析して、測定されたスペクトルデータを取得し、そのデータを次に所定のスペクトルデータ(試料)と比較して、測定されたスペクトルデータが異物の存在を示しているかどうかを判定する。
【0009】
特許文献2(米国特許出願公開第2019/137979号明細書)には、全体のサイクル時間を短縮するために、1つ又は複数の手順を1つのステーションから別のステーションに移動させるための勧告の生成を提供する生産ラインの平衡方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2018/100810号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/137979号明細書
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、特にタバコ産業の消費者製品の生産又は包装のための自動機械での制御及び/又は識別の方法であって、処理を効果的かつ効率的に、比較的低コストで制御下に保つことができる方法を提供することである。
【0012】
本発明の追加の目的には、特にタバコ産業での消費者製品の生産又は包装のための自動機械での制御及び/又は識別の方法であって、機械の構成要素及びその動作部材を、効果的かつ効率的に、比較的低コストで識別し、制御下に保つことができる方法を提供することが挙げられる。
【0013】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲の記載に従って、特にタバコ産業の消費者製品の生産又は包装のための自動機械に、制御及び/又は識別の方法が提供される。
【0014】
本発明の追加の目的には、特にタバコ産業の消費者製品の生産又は包装のための自動機械にて消費者製品を制御するための制御方法であって、消費者製品を効果的、効率的に、比較的低コストで制御することができる方法を提供することが挙げられる。
【0015】
本発明によれば、このほか、添付の特許請求の範囲の記載に従って、特にタバコ産業での消費者製品の製造又は包装のための自動機械に、消費者製品を制御するための制御方法が提供される。
【0016】
添付の特許請求の範囲はこのほか、本明細書の不可欠な部分を形成する。
【0017】
ここで、本発明を、実施形態のいくつかの非限定的な例を示す添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】紙巻タバコの硬質包体を作成し、本発明の制御及び/又は識別の方法に従って制御される包装機の概略正面図。
【
図2】本発明の制御及び/又は識別の方法の簡略化されたブロック図。
【
図3】本発明の制御及び/又は識別の方法に従って制御されるフィルタ製造用の二段階式機械の正面図及び概略図。
【
図4】
図3の機械によって作成されたフィルタロッドの一部の概略図。
【
図5】電子タバコ用の単回投与カートリッジを製造する包装機の斜視図。
【
図6】本発明の制御及び/又は識別の方法によって使用される三次元検出ユニットの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1では、参照符号1は、全体として、紙巻タバコの硬質包体2を製造するための自動包装機を示す。この硬質包体は、段ボール又は硬質板紙から作成された外側容器を備える。この外側容器は、カップ形状であり、紙巻タバコ群3を包含する内側包装紙を収容し、ヒンジ付き蓋を備える。
【0020】
自動包装機1は、床に置かれ、紙巻タバコの処理(即ち、包装)が実施される処理ライン5を支持するフレーム4を備える。処理ライン5に沿って、紙巻タバコ群3が連続して形成される形成ユニット6と、各紙巻タバコ群3周りに包装シート(典型的には、金属化紙)が折り畳まれて、対応する内側包装紙を形成する包装ユニット7と、(典型的にはボール紙から作成され、事前に弱化された折り線を事前に設けた)ブランクが各内側包装紙周りに折り畳まれて、ヒンジ付き蓋を備えた対応する外側容器を形成する包装ユニット8と、が配置される。内側包装紙を形成するために包装シートを連続して供給する供給ユニット9を、包装ユニット7に結合する一方、外側容器2を形成するためにブランクを連続して供給する供給ユニット10を、包装ユニット8に結合する。
【0021】
自動包装機1は、複数の動作部材(例えば、線形コンベヤ、回転コンベヤ、ゴム状化ユニット、固定折り機、可動折り機、制御部材、支持ヘッド、滑車、ベルト、押出し機、紙巻タバコ群3用のポケット、電子ボード、電気モータ、電気アクチュエータ、空気圧バルブ…)を備える。動作部材は、処理ライン5を形成するために(即ち、処理ライン5を構成するさまざまなユニット6~11を形成するために)処理ライン5に沿って分配される。換言すれば、処理ライン5は、複数の動作部材を備え、自動包装機1が消費者製品を製造するため、又は紙巻タバコの箱2を作成するために使用する材料(紙巻タバコ、包装シート、紙又は段ボールのブランク、接着剤)を供給し、組み合わせる。
【0022】
さらに、自動包装機1は、自動包装機1、ひいては処理ライン5の動作を監視する制御ユニット11を備える。制御ユニット11は、(以下でさらに詳細に説明する)1つ又は複数のハイパースペクトル検出ユニット12に接続される。ハイパースペクトル検出ユニットは、自動包装機1の近く(必ずしも自動包装機1のフレーム4上にある必要はない)に取り付けられる。各ハイパースペクトル検出ユニット12は、自動包装機1の対応する部分を含むそれ自体の動作範囲(ハイパースペクトル検出ユニット12によって検査することができる空間の領域)内で三次元検出を実施するように設計される。
【0023】
図1に示す実施形態では、3つのハイパースペクトル検出ユニット12が設けられ、それぞれが、自動包装機1の約3分の1を含むそれ自体の動作範囲内で検出を実施する。図示しない他の実施形態によれば、ハイパースペクトル検出ユニット12の総数は、自動包装機1のサイズ及び制御目的に応じて、最小では1から最大では数十まで変化する。
【0024】
ハイパースペクトル検出ユニット12は、自動包装機1全体(即ち、個々のハイパースペクトル検出ユニット12の動作範囲の合計が自動包装機1全体を含む)を調査することができるか、ハイパースペクトル検出ユニット12は、自動包装機1の1つ又は複数の部品のみ(即ち、ハイパースペクトル検出ユニット12の動作範囲の合計が自動包装機1全体を含まない)を調査することができることを強調することが重要である。
【0025】
ハイパースペクトル検出ユニット12とは、電磁スペクトルの(部分的に重複してもいる)多数の隣接する周波数帯域での放射線の存在を検出することができる複数の検出ユニット要素を備える装置である。
【0026】
放射線は、動作範囲として規定される環境の一部、即ち、この範囲の内部から到来する放射線を装置が検出するのに充分なエネルギーを有するため、装置の感度が到達する範囲にて検出される。
【0027】
多数の検出ユニット要素(数千又は数百万にも至る検出ユニット要素)が、装置に、0~数百GHz(例えば、300GHz)に拡張することができる電磁スペクトルの非常に狭い隣接帯域を高解像度で検出することができる性能を付与する。ここに挙げた程度の解像度は、米国特許第8963265号明細書、米国特許第9899547号明細書及び米国特許第10256306号明細書に記載されているような革新的なナノ材料を使用することによって達成することができる。
【0028】
上記の動作範囲内の物体の存在に起因する自然磁場の変化の存在は、検出された電磁スペクトルの線に微かな変動を引き起こす。このため、スペクトル線の変動を効果的に区別することができるようにするために、装置は、多数の検出ユニット要素によって非常に狭い周波数帯域を明確に区別することができなければならない。検出ユニット12によって強調表示されたスペクトル線の分析では、このほか、人工的な環境電磁波源の存在による自然磁場の摂動も考慮する必要があることは明らかである。
【0029】
装置はこのほか、放射線源の方向検出を実施することができる。即ち、検出ユニット要素の異なる幾何学的配置によって、所与の放射線の起源の方向に関する情報を提供することができる。即ち、装置は、電磁スペクトルの「立体的」検出を可能にする。
【0030】
図6の図示によれば、各検出ユニット12は、複数の感応層14を積み重ねることによって形成された積層体13を備える。感応層14は、ナノ材料(特にグラフェン)から作成されており、それぞれの不活性基板15上に堆積されている。
図2に示す好ましい実施形態によれば、各感応層14は、炭素原子から構成された二次元ハニカムによって形成される。換言すれば、各感応層14は、炭素原子から構成される二次元ハニカムを備えたグラフェンナノテープであり、このテープは非常に高い感度を可能にする。例えば、各感応層14は、基板15上にナノ材料を塗布する三次元分子プリンタによって作成することができる。カーボンナノチューブ、グラフェン、二硫化モリブデンなどのナノ材料には、興味深い物理的特性がある。ナノ材料は、極限状態では高感度で安定しているほか、軽量で、放射線に対して硬化し、比較的少ないエネルギーしか必要としない。
【0031】
各検出ユニット12は、積層体13の両端に時変電圧を印加して検出ユニット12に通電するように構成された発電機16と、積層体13の両端の電圧の変動及び/又は積層体13を通過する電流の変動を検出する測定装置17とを備える。積層体13の両端の電圧の変動及び/又は積層体13を通過する電流の変動は、出力として、検出ユニット12の(測定値)を形成し、以下に説明するように処理された(
図2に概略的に示す)生データ18を構成する。換言すれば、各検出ユニット12は、検出ユニット12の積層体13の両端に電圧を印加することによって励起され、生データ18は、検出ユニットの積層体13の両端の電圧の変動及び/又は検出ユニット12の積層体13を通過する電流の変動を検出することによって判定される。
【0032】
例えば、基板上にナノ材料を塗布し、連続する層によって(検出ユニット要素を識別するために適切に処理された)検出ユニット要素を配置する「分子」三次元プリンタによって、感応要素を作成することができる。
【0033】
各検出ユニット12は、動作範囲内に存在するあらゆる物体によって生成される磁場又は電磁場の変化のハイパースペクトル検出を実施し、出力として、個々の検出ユニット要素のハイパースペクトル検出に対応する(
図2に概略的に示す)一組の生データ18を提供するデジタルインターフェースを備える。各検出ユニット12の出力にて提供される生データ18は、検出ユニット12の動作範囲内に存在するあらゆる物体の形状及び性質に依存する。
【0034】
特に、自動包装機1に配置された各ハイパースペクトル検出ユニット12は、出力として、検出ユニット12の動作範囲内に存在するあらゆる物体の寸法及び/又は位置及び/又は形状及び/又は物理的構造及び/又は化学組成の特徴に関する一組の生データ18を提供する。
【0035】
図2に示すように、各ハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、検出ユニット12の動作範囲内に存在する少なくとも1つの単一の物体に関する情報19を分離し、抽出するようにフィルタリング処理され、単一の物体に関連する情報19は、制御動作及び/又は識別動作を実施するために制御ユニット11によって使用される。
【0036】
予備フィルタリング動作では、自動包装機1が位置する外部環境(例えば、製造現場の壁、構造物、付属機器、コンピュータなど)によって引き起こされる電磁場のあらゆる変化の排除が考慮されてもよい。即ち、各ハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、自動包装機1が存在しない状態で取得されて(即ち、自動包装機1が設置されることになる環境によってのみ引き起こされて)、外部環境によって引き起こされる電磁場の変化を判定し、外部環境によって引き起こされる電磁場のこのような変化は、自動包装機1が存在する状態で各ハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18から「差し引かれる」(除去される、精製される)。このため、この動作は、外部環境(自動包装機1)に対して実施される実際の風袋の計量(較正)として構成される。
【0037】
消費者製品を構成する材料(紙巻タバコ、包装シート、紙又は段ボールのブランク、接着剤)に関する情報のみに焦点を当てるために、事前のフィルタリング動作を実施して、空の(即ち、材料が何もなく)停止した自動包装機1が引き起こす電磁場のあらゆる変化を排除することができる。即ち、各ハイパースペクトル検出ユニット12によって取得された生データ18は、自動包装機1が空であり(即ち、材料が何もなく)、停止しているときに取得されて、空であり(即ち、材料が何もなく)、停止している自動包装機1によって引き起こされた電磁場のあらゆる変化を判定し、空であり(即ち、材料が何もなく)、停止している自動包装機1によって引き起こされた電磁場の上記の変化は、完全な状態であり(即ち、材料を備えて)、作動中の自動包装機1が存在する状態で各ハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18から「差し引かれる」(除去される、精製される)。このため、この動作は、空の(即ち、材料が何もない)自動包装機1に対して実施されるほか、自動包装機1が位置する外部環境に対して明らかに実施される実際の風袋の計量(較正)として構成される。
【0038】
検出ユニット12の動作範囲内に存在する少なくとも1つの単一の物体に関する情報19の分離及び抽出は、多数の生データ18の1つ又は複数の分類動作(及び可能性のある下位分類)の後に実施するか、その前に実施することができる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、ハイパースペクトル検出ユニット12によって大量に提供される生データ18は、一組の「ビッグデータ」に吸収することができ、動作範囲内の少なくとも1つの単一の物体に関する情報19を分離し、抽出するために、人工知能アルゴリズム20によってフィルタリング処理される。特に、人工知能アルゴリズム20は、ハイパースペクトル検出ユニット12の動作範囲内に存在する少なくとも1つの単一の物体に関する情報19を分離し、抽出するように訓練された人工ニューラルネットワークを含む。即ち、各ハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、検出ユニット12の動作範囲内に存在する少なくとも1つの単一の物体に関する情報19を分離し、抽出するように訓練された人工ニューラルネットワークによってフィルタリング処理される。
【0040】
可能性のある実施形態によれば、少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、自動包装機1の少なくとも1つの構成要素に関する情報19を分離し、抽出するように処理され、自動包装機1の構成要素に関する情報19は、構成要素を識別するために制御ユニット11によって使用される。
【0041】
特に、制御ユニット11は、自動包装機1のあらゆる可能性のある構成要素のデータベースを含み、生データ18から取得され、識別対象の自動包装機1の構成要素に関する情報19を、自動包装機1のあらゆる可能性のある構成要素に含まれる情報と比較する。換言すれば、制御ユニット11は、データベースが存在する場合にはデータベースにて、生データ18から取得され、識別対象の構成要素に関する情報19に最も対応する構成要素を見つけ出すことによって、構成要素を識別する。この実施形態では、好ましくは、必ずしもではないが、ハイパースペクトル検出ユニット12の全体の動作範囲(即ち、個々のハイパースペクトル検出ユニット12の動作範囲のセット)は、自動包装機1全体を包含し、ハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、大域動作範囲内にある自動包装機1のあらゆる構成要素に関する情報19を分離し、抽出するように処理され、制御ユニット11は、生データ18から取得され、自動包装機1の各構成要素に関する情報19を使用して、構成要素を識別し、このようにして、自動包装機1のあらゆる構成要素の識別を使用する制御ユニット11は、自動包装機1の構成を判定する。
【0042】
可能性のある実施形態によれば、少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、少なくとも1つの材料に関する情報19を分離し、抽出するように処理されるため、制御ユニット11は、材料に関し、生データ18から取得される情報19を使用して、材料が対応する公称仕様に準拠しているかどうかを確認する(ひいては、自動包装機1に供給される材料が良質であるかどうかを検査する)。
【0043】
可能性のある実施形態によれば、少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、少なくとも1つの材料に関する情報19を分離し、抽出するように処理されるため、制御ユニット11は、材料に関し、生データ18から取得される情報19を使用して、材料を特定する(ひいては、このほか、自動包装機1に供給される材料が正しいかどうかを検査する)。
【0044】
可能性のある実施形態によれば、少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、処理ライン5の所定の位置に存在する少なくとも1つの半完成品又は完成品に関する情報19を分離し、抽出するように処理されるため、制御ユニット11は、半完成品又は完成品に関し、生データ18から取得した情報19を使用して、半完成品又は完成品が対応する公称仕様に準拠しているかどうか(ひいては、拒否する必要があるかどうか)を確認する。換言すれば、制御ユニット11は、半完成品又は完成品の少なくとも1つの特徴に関する情報19を使用して、半完成品又は完成品が仕様に準拠しているために許容可能であるか、半完成品又は完成品は仕様に準拠していないために却下する必要があるかを判定する。
【0045】
以上のことから、単一の物体(自動包装機1の構成要素、材料、半完成品又は完成品)に関し、生データ18から取得される情報19を、制御部11が使用して、自動包装機1の少なくとも作動部材を制御することができることが明らかである。
【0046】
各検出ユニット12から出力として提供される生データ18は、ゼーマン効果の関数として解釈される。ゼーマン効果とは、外部磁場によるスペクトル線の分離からなる現象である。磁場と電子の角運動量及びスピン運動量との相互作用により、外部磁場の各線がいくつかの非常に近い線に分割されることが観察される。換言すれば、ゼーマン効果は、磁場によるスペクトル線の分割である。即ち、300nmの原子スペクトル線が通常の条件下で、強い磁場の中にあると考慮した場合、スペクトル線は、ゼーマン効果により、300nmの元の線に加えて、エネルギーが高めの線とエネルギーが低めの線とを生成するように分割される。ゼーマン効果を用いる理由には、磁場内では、角運動量の量子状態が縮退から推移することがあることが挙げられる。例えば、軌道には、通常の状況下で(同じエネルギーの)縮退した運動量の3つの可能性のある角度量子状態がある。しかし、角運動量の各量子状態には、磁気双極子運動量が関連付けられているため、磁場の影響により、3つの状態が3つの異なるエネルギー準位に分離される。1つの状態ではエネルギーが上昇し、1つの状態ではエネルギーが低下し、1つの状態では同じエネルギーに維持される。このような量子状態を3つの異なるエネルギー準位に分離することにより、3つの僅かに異なるスペクトル線のエネルギー(1つは元のスペクトル線と同じエネルギー、1つは高めのエネルギー、1つは低めのエネルギー)を発生させる僅かに異なるエネルギーを伴う3つの異なる励起状態が発生し、原子の緩和に至る。これは、通常のゼーマン効果として知られるゼーマン効果の最も単純な事例である。この効果の直接的な結果には、いくつかの場が物質によって反射され、他のフィールドが吸収され、他のフィールドが部分的に反射され、部分的に吸収されることになることが挙げられる。
【0047】
分子の幾何学的配置は、場が反射されることになる方法に影響を及ぼすことになり、他のあらゆる化学的及び物理的なパラメータは、スペクトルが部分的又は全体的に吸収される方法に影響を及ぼすことになる。磁場の存在下で「何か」がどのように作用するかを知ることにより、変化(又は撹乱)が観察されたときに物質を特徴付けるあらゆるパラメータを判定することができる。パラメータの例には、温度、化学組成、化学結合、放射、電荷が挙げられる。基本的に、化学的性質と物理特性で記述することができるものはいずれもパラメータである。
【0048】
各ハイパースペクトル検出ユニット12は完全に受動的である、即ち、各検出ユニット12は、自動包装機1又はその一部、あるいは自動包装機1に存在する材料/製品に、何らかの方法で影響を及ぼす(「光を当てる」)任意の形態(典型的には機械的波又は電磁波の形態)のエネルギーを放出しない(さらに、明らかに、各検出ユニット12は、自動包装機1又は自動包装機1に存在する材料/製品に、何らかの方法で影響を及ぼす波を発することができる任意の放出装置に結合されていない)ことに留意することが重要である。換言すれば、各ハイパースペクトル検出ユニット12は、調査対象の物体に、物体によって反射された機械的波又は電磁波を検出するために影響を及ぼす(「光を当てる」)機械的波又は電磁波を放出する原理に基づくものではない。各検出ユニット12は、実際、グラフェンに基づく受動的構造を利用し、グラフェンに基づくこの技術は、新たな放射線を放出することなく、分析の広いスペクトルに関与する自然のEMF波、MF波及びEM波の小さな変化を検出することを可能にする。換言すれば、各検出ユニット12は、検出量内の追加の電磁エネルギーの放出を必要とせずに、検出範囲内にすでに存在する電磁エネルギーの変化を検出する。このため、各検出ユニット12は、検出範囲上で点灯する「光」の結果としての「画像」を取得するのではなく、検出ユニット12から完全に独立した方法で検出範囲内に自然に存在する(周囲の)背景雑音を「聞く」。
【0049】
磁場又は電磁場に挿入された各原子は変化を引き起こす。ハイパースペクトル検出ユニット12によって使用される技術が完全に受動的である場合、どの電磁源が検出に関与しているかを理解することが重要である。検出に関与する第1の電磁源とは、地球の内側から宇宙に向かって伸びる磁場であり、太陽風、即ち、太陽から放出される荷電粒子の流れに遭遇する。地球の表面での電磁源のサイズは、25~65マイクロテスラ(0.25~0.65ガウス)まで変化する。検出に関与する第2の電磁源とは、宇宙線、即ち、宇宙から地球に当たる高エネルギー放射線である。宇宙線のいくつかは、100~1000TeVの範囲の超高エネルギーを有する。エネルギー分布のピークは約0.3GeVである。検出に関与する第3の電磁源とは人工エネルギー源である。ほとんどの電気通信システムが電磁場に基づいて動作する(Wi-Fiシステム及び3G、4G、5Gシステムは非常に広い領域に放射線を拡散することができる)。検出に関与する第4の電磁源とは環境である。ほとんどすべての形態の物質が一種の電磁場を放出する。われわれの周りの環境では、電球、電子回路基板又は太陽自体などが、広いスペクトル範囲で大量のエネルギーを放出する。
【0050】
各検出ユニット12は、複数のセルの配列からそれぞれが構成される複数の層の積層体であるグラフェンベースの検出ユニットにより、0~300GHzの間のスペクトルを検出することができる。各セルは、スペクトルの特定の領域にて正確かつ精密な検出を可能にする特定の材料がドープされた単原子グラフェン層から構成される。このようにして、電磁場の摂動だけでなく、摂動の空間的起源も検出することが可能である。
【0051】
次に、検出されたあらゆる電磁摂動が収集され、生データ18に保存される。生データには、特定の範囲内の全原子による全変更が実質的に含まれる。上記のように、データは、分類と識別を使用して、必要な出力を抽出するか、合理的な方法で出力をフィルタリング処理するのに役立つ分析済みスペクトルの一部を検出することができる人工ニューラルネットワークを用いて分析される。
【0052】
あらゆる単一原子、ひいてはあらゆる単一分子を走査することにより、検出範囲に挿入されたあらゆる物体を抽出し、分析することができる。スペクトルの一部が物質と交差する場合、目に見えない物体を分析して、三次元モデル(範囲内のあらゆる三次元モデルを水素原子の最大半分の精度で抽出することが可能である)、化学データ(範囲内のあらゆるもの、DNAを抽出する有機物のほか細菌情報の完全な化学分析を実施することが可能である)、物理データ(電気パラメータ、電気の流れ、温度、熱、明るさなどの物理データ、あるいは融合プロセスの粒子の痕跡をリアルタイムで有する物理データを抽出することが可能である)及び量子データ(光の挙動などの時空間に関連する現象の観点から宇宙を特徴付けるほとんどあらゆるパラメータ)を抽出することもできる。
【0053】
図3では、参照符号21は、全体として、フィルタの処理(製造)が実施される二重処理ラインを備えた、紙巻タバコ用フィルタの製造のための自動二重処理機を示す。自動処理機21は、複数の動作部材(例えば、回転ドラム、ゴム状化装置、コンベヤ、制御部材、支持ヘッド、滑車、ベルト、押出し機、電子ボード、電気モータ、電気アクチュエータ、空気圧弁…)を備える。動作部材は処理ラインに沿って分散され、処理ラインを形成する。換言すれば、処理ラインは、複数の動作部材によって形成され、自動処理機21によって使用される消費者製品を構成する材料(フィルタリング材料、紙テープ、接着剤など)を供給し、組み合わせる、即ち、フィルタを形成する。
【0054】
機械21は、2つのそれぞれの連続フィルタロッド23(そのうちの1つのみを
図3に示す)を形成するための2つのビーム22(そのうちの1つのみを
図3に示す)と、各ビーム22について、フィルタリング材料を供給するためのそれぞれの供給ライン24(そのうちの1つのみを
図3に示す)とを備える。供給ライン24は、次に、機械21の一部であり、供給ライン4の入力ステーション26と、フィルタリング材料の2つの俵28(そのうちの1つのみを
図3に示す)が包含されている保持容器27との間に延びる搬送ライン25からフィルタリング材料を受容するように設計される。
【0055】
俵28から、円形断面を有するそれぞれのロッド29が巻き戻される。ロッドは、入力ステーション6に配置されたローラ牽引グループ30によってロッド29に与えられた牽引の効果により、搬送ライン25に沿って供給される。
【0056】
搬送ライン25は、俵28の上方に配置されたロッド29用のガイド装置31と、拡張装置32とを備える。拡張装置32は、牽引グループ30のすぐ上流の入力ステーション26の領域に配置され、円形断面を有するロッド29を、圧縮空気流によって横方向に広げて、平坦化された部分を有するそれぞれの細片33(そのうちの1つのみを
図3に示す)を形成し、次いで細片はローラ牽引グループ30aに供給されるように設計される。
【0057】
牽引グループ30aの下流では、2つの細片33は、それぞれの供給ライン24に沿って、実質的に水平方向34にて、グループ30aに類似した2つのローラ牽引グループ30b及び30cによって形成されるアイロンがけユニット35を介して供給される。続いて、2つの細片33は、それぞれの供給ライン24に沿って、方向34にて、細片33内に空気を吹き付けて細片33自体の体積を増加させるように設計された拡張装置36を介して供給され、次いで、細片33が、フィルタリング材料に芳香及び可塑性を与えるのに適した化学物質(典型的にはトリアセチン)と混合される処理ユニット37を介して供給される。最後に、2つの細片33は、それぞれの供給ライン24に沿って、方向34にて、グループ30及び30b、30cに類似し、供給ライン24の出力部分を形成するローラ牽引グループ30dを介して供給される。
【0058】
供給ライン24は、搬送アセンブリ38によって形成ビーム22に接続される。各ビーム22では、フィルタリング材料は、ゴム状化ステーション40にて以前にゴム状化された紙テープ39全体にわたって供給され、続いてフィルタリング材料自体の周りに横方向に巻かれて、連続した円筒形フィルタロッド23に適合し、同ロッドを取得する。
【0059】
最後に、形成ビーム2及び2bの出口にて、フィルタロッド13の密度を制御するための制御ステーション41と、(
図4に示す)ロッド13を横方向に切断してフィルタ部分43のそれぞれの連続体を取得するように構成された切断ヘッド42とを配置する。
【0060】
グループ18の領域では、供給ユニット44が、芳香物質(例えば、メントールなど)を包含し、粉砕することによって破砕して芳香物質を放出することができる球状カプセルによって形成された(
図4に示す)添加剤要素45を供給するように配置される。供給ユニット44は、フィルタリング材料の供給速度に依存するステップによって添加剤要素45をフィルタリング材料に挿入し、その結果、各フィルタ部分43は、2つの均一に分散された添加剤要素45を包含する(各フィルタ部分43は、その後、2つの異なる紙巻タバコを形成するために使用され、ひいては2つの同一の半体にさらに分割される)。
【0061】
図示していない異なる実施形態によれば、添加剤要素45は、異なる形状(即ち、球形とは異なる形状)を有することができる。図示していない追加の実施形態によれば、添加剤要素45は、芳香物質の平行六面体又は円筒形の錠剤によって形成される。
【0062】
図3に示す実施形態では、自動機械1は、液体を含む破断可能カプセル45がそれぞれに挿入されるフィルタ部分43を製造するフィルタ処理機である。可能性のある実施形態によれば、制御ユニット11は、フィルタの各ピース43に含まれる破断可能カプセル45に関する情報19を分離し、抽出するために、少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18を処理する。特に、少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、各破断可能カプセル45に包含される液体の組成及び/又は量に関する情報19を分離し、抽出するように処理される。
【0063】
図5では、参照符号46は、全体として、使い捨てカートリッジ47の処理(製造)が実施される複数の処理ラインを備えた電子タバコ用の使い捨てカートリッジ47の製造のための自動処理機を示す。自動処理機46は、複数の動作部材(例えば、回転ドラム、糊付け装置、コンベヤ、制御部材、支持ヘッド、滑車、ベルト、押出し機、電子ボード、電気モータ、電気アクチュエータ、空気圧弁…)を備える。動作部材は生産ラインに沿って分配されて、処理ラインを形成する。換言すれば、処理ラインは、複数の動作部材によって形成され、自動処理機46によって使用される消費者製品を構成する材料(ケーシング、タバコ、フィルタリング材料、係止リングなど)を供給し、組み合わせて、使い捨てカートリッジ47を構成する。
【0064】
各使い捨てカートリッジ47は、微小に穿孔された底壁及び実質的に円筒形の側壁を有する管状のプラスチックケーシングを備える。管状ケーシングの内側に、1回分のタバコ粉末48が(後壁と接触して)封入され、フィルタリング材料の詰め物で覆われている。
【0065】
処理機46は、断続的な動きを有する、即ち、そのコンベヤは、運動ステップと停止ステップを周期的に交互に繰り返す。処理機46は、水平に配置され、垂直回転軸回りに回転可能に取り付けられた処理ドラム49を備える。処理ドラム49は、12群の座部を支持し、各座部は、対応する管状ケーシングを受容し、収容するように設計される。処理機8は、処理ドラム49に沿って水平に配置され、垂直回転軸回りに回転可能に取り付けられた追加の処理ドラム50を備える。処理ドラム50は、12群の座部を支持し、それぞれの座部が対応する管状ケーシングを受容し、収容するように構成される。管状ケーシングは、2つの処理ドラム49及び50が部分的に重なっている移送ステーション51にて、処理ドラム49の群の座部から処理ドラム50の群の座部に軸方向に移送される。
【0066】
図5に示す実施形態では、自動機械1は、液体状態又は固体状態(例えば、粉末タバコ)の芳香物質の用量48をそれぞれ含む電子タバコ用の使い捨てカートリッジ47を製造するための処理機である。可能性のある実施形態によれば、制御ユニット11は、使い捨てカートリッジ47に包含される芳香物質の用量48に関する情報19を分離し、抽出するために、少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18を処理する。特に、少なくとも1つのハイパースペクトル検出ユニット12によって提供される生データ18は、使い捨てカートリッジ47に包含される芳香物質の組成及び/又は量に関する情報19を分離し、抽出するように処理される。
【0067】
特に、上記の方法の可能性のある用途が、紙巻タバコフィルタに配置された芳香カプセルの位置及び全体性の制御(例えば、フィルタ部分にて互いから短い距離にある2つの異なるカプセルの存在下で、喫煙者がエアロゾルを芳香化するためにどちらを破砕するかを選択することができるように、両方のカプセルの存在、位置、形状、内容物のタイプ、品質を検査する必要がある)と、電子タバコ用のプラスチック又は金属のカートリッジ内の(巻回テープ又は顆粒に混合された)タバコ誘導体又は液体の重量測定を検査するための組み合わせたマルチセグメントフィルタと「加熱式たばこ」タイプの紙巻タバコの寸法制御と、新たな喫煙品に配置された加熱要素の位置と幾何学的特徴を判定して、新たな喫煙品に使用される処理済みタバコの湿度とグリセリンの割合を検査し、包装された製品の接着剤の場所又はパターンの存在及び位置を検査し、紙巻タバコの包装体の大箱及び紙巻タバコの大箱のうちの箱の完全性を検査することと、に関するものである。
【0068】
上記の自動機械1、21及び46は、タバコ産業に関連しているが、上記の制御及び/又は識別の方法は、食品分野、化粧品分野、製薬分野又は健康管理分野のような他の分野の消費者製品の製造又は包装のための自動機械にて実施することができることが明らかである。
【0069】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、互いに組み合わせることができる。
【0070】
上記の制御及び/又は識別の方法には多くの利点がある。
【0071】
先ず、上記の制御及び/又は識別の方法は、効果的かつ効率的な方法で自動機械1、21及び46の処理を制御下に保つことを可能にする。
【0072】
さらに、ハイパースペクトル検出ユニット12は、サイズが小さく、動作範囲が充分に大きい(最大数立方メートル)ため、上記の制御及び/又は識別の方法は、既存の自動機械1、21又は46に容易に実装することができる。その結果、既存の自動機械1、21又は46でのハイパースペクトル検出ユニット12の組み立ては、常に非常に容易である。
【0073】
最後に、上記の制御及び/又は識別の方法は、ハイパースペクトル検出ユニット12の洗練された技術にもかかわらず、ユニットの製造コストが三次元分子プリンタの使用の恩恵により特に高くはないため、実施するが安価である。
【0074】
可能な限り低い高さを走査することは課題である。この課題に取り組むことにより、ハイパースペクトル検出ユニット12は、1つの単一の検出から、さまざまな物理ドメインの多数のパラメータ、即ち、検出の対象となる範囲全体の化学パラメータ、検出の対象となる範囲内の各物体の三次元の幾何学的パラメータ(外部及び内部の特徴)、温度、熱などの物理的パラメータ、流量及び線形運動などの動的及び動態パラメータを取得することができる。
【0075】
ハイパースペクトル検出ユニット12は、粉塵、光又は他のタイプのEM及びEMF撹乱の影響を受けず、良好な結果を得るために保証されなければならない特別な条件はない。
【0076】
ハイパースペクトル検出ユニット12については、検出能力に関して形状又は材料の制限はない。検出対象の範囲内のあらゆる材料のあらゆる物体を、前処理を一切実施せずに調査することができる。
【0077】
ハイパースペクトル検出ユニット12については、分析対象の物体の量及び分析対象の物体が動いているかどうかに関係なく、良好な検出結果を得ることが可能である。