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特許7595601杭打ち機アセンブリおよび杭を地面に打ち込むための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】杭打ち機アセンブリおよび杭を地面に打ち込むための方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/02 20060101AFI20241129BHJP
   E02D 13/04 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
E02D7/02
E02D13/04
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021577683
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 NL2020050425
(87)【国際公開番号】W WO2020263096
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】2023409
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2023408
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】523210467
【氏名又は名称】アイキューアイピー・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインケス,ヤスパー・ステファン
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特公昭46-019978(JP,B1)
【文献】特開昭62-253818(JP,A)
【文献】特開昭54-048905(JP,A)
【文献】実開昭55-040003(JP,U)
【文献】特開2009-059955(JP,A)
【文献】米国特許第06000477(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/02
E02D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭を地面に、好ましくは沖合に打ち込むための杭打ち機アセンブリであって、
チャンバを画定するケーシングであって、前記チャンバは流体を収容するように構成されている、ケーシングと、
前記ケーシングを前記杭にまたは前記杭上に位置決めするように構成された位置決め要素であって、前記位置決め要素の少なくとも一部が前記チャンバと前記杭との間に位置決めされている、位置決め要素と、
作動手段と、を含み、
前記作動手段の作動は、前記チャンバが前記杭から離れるように前記位置決め要素に対して前記チャンバを変位させ、前記作動手段は、力が前記チャンバによって前記位置決め要素に加えられるように、前記杭に向かって変位するために前記チャンバを解放して、前記杭を制御可能に地面に打ち込むように構成される、
杭打ち機アセンブリ。
【請求項2】
前記作動手段が、少なくとも1つのアクチュエータを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記作動手段が、前記チャンバと前記位置決め要素の少なくとも一部との中間に配置されている、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記杭が地面に打ち込まれるときに、前記チャンバによって前記杭に加えられる前記力を制御可能に緩衝するための緩衝手段をさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記作動手段は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素を含む、請求項2からのいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記作動手段の作動により、前記中央可動要素が前記後退位置から前記伸長位置に動き、前記作動手段は、前記中央可動要素が前記伸長位置から前記後退位置に動くときに、前記チャンバによって前記位置決め要素に加えられる前記力を緩衝するように構成される、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記作動手段は、流体を収容するように構成された流体チャンバを含み、前記流体チャンバ内の流体の量の増加により、前記中央可動要素が前記後退位置から前記伸長位置に向かって動く、請求項またはに記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記作動手段は、第1の流体チャンバに流体結合された追加の流体チャンバをさらに含み、前記中央可動要素は、前記流体チャンバの流体圧力に応じて前記伸長位置と前記後退位置との間で動かされる、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記流体チャンバは、弁要素によって流体結合されている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記作動手段が、緩衝液を収容するように構成された緩衝チャンバを含み、前記中央可動要素が前記伸長位置から前記後退位置に動くにつれて前記緩衝チャンバの容積が減少する、請求項2からのいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記作動手段は、前記作動手段の内部緩衝特性を調整するように構成された調整手段を含む、請求項2から10のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記調整手段は、前記緩衝チャンバ内の流体の量を制御するように構成される、請求項10に従属する場合の請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記位置決め要素の少なくとも一部が、前記杭の上面を覆うように構成されたプレート要素である、請求項1から12のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記位置決め要素は、前記杭の上部に解放可能に接続されたスリーブ要素をさらに含む、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記ケーシングは、その端にスリーブ部分を含み、前記スリーブ部分は、前記位置決め要素と前記ケーシングとの間の位置合せを提供するために、前記位置決め要素の前記スリーブ要素を取り囲むように構成される、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記チャンバは、少なくとも部分的にそれを通って伸びるチャネルを有する、請求項1から15のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記位置決め要素は、前記チャネルを通って少なくとも部分的に伸びるように構成されたガイド要素を含む、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記ガイド要素は、前記チャンバが前記杭に向かって動くときに前記チャネルを通ってさらに伸びるように構成される、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記チャンバは、流体の流れを制御するための弁を有する前記ケーシングの壁に設けられた導管を介して流体で満たされる、請求項1から18のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項20】
杭を地面に、好ましくは沖合に打ち込む方法であって、
地面に打ち込まれる杭を提供するステップと、
前記杭にまたは前記杭内に同軸配置で、請求項1から19のいずれか1項に記載の杭打ち機アセンブリを提供するステップと、
前記チャンバが前記杭から離されるように前記作動手段を作動させるステップと、
前記作動手段をさらに作動させて、前記チャンバが前記杭に向かって変位し、前記位置決め要素に力を加えるように前記チャンバを解放して、前記杭を制御可能に地面に打ち込むステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記杭が制御可能に地面に打ち込まれるときに、前記チャンバによって前記杭に加えられる前記力を制御可能に緩衝するステップをさらに含む、請求項20に記載の杭を地面に打ち込む方法。
【請求項22】
前記杭が事前に設定された位置に、地面に打ち込まれるまで、前記作動手段を作動させ、さらに作動させるステップをさらに含む、請求項20または21に記載の杭を地面に打ち込む方法。
【請求項23】
前記チャンバを流体で実質的に満たすステップをさらに含む、請求項20から22のいずれか1項に記載の杭を地面に打ち込む方法。
【請求項24】
前記流体が前記沖合の場所からの水である、請求項23に記載の杭を地面に打ち込む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打ち機に関し、より具体的には、沖合作業に適した杭打ち機に関する。本発明はまた、杭を地面に下向きに打ち込むための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沖合の地面に杭を打ち込むには、通常、ストライカプレートを介してある高さから杭の上部にラムまたはハンマを落とすことが含まれる。杭の上部のより広い表面積にハンマの下向きの衝撃力を加え、杭の上部を損傷から保護するために、一般に、木製の衝撃ライナがストライクプレートまたはアンビルの下側と杭の上部との間に配置されている(独国実用新案第8900692(U1)号を参照)。ストライクプレートと杭の上部をより良く保護するために、ストライクプレートに接続された圧力ガスばねの使用も提案されている(独国実用新案第8900692(U1)号を参照)。ハンマと杭の上部を杭へのハンマの直接の衝撃による損傷から保護するために、ストライクプレートの上に液体で満たされた圧力チャンバを使用して、液体抵抗と閉じ込められたガスクッションをハンマと杭の上部との間に提供することも提案されている(英国特許出願第1576966(A)号を参照)。この目的のために、ハンマと杭の上のストライクプレートとの間にクッションを提供するためのばねディスクのスタックまたは油圧ブロックの使用も提案されている(米国特許出願第2184745(A)号および米国特許出願第3498391(A)号を参照)。ハンマの上の油とガスのバッファのスタックを使用して、杭の上部にあるアンビルへのハンマの打撃を和らげることは、Hollandsche Beton Groepによって開発されたいわゆるHYDROBLOK衝撃ハンマでも説明されている。ハンマの上に水柱を使用して、ハンマに下向きの駆動力を提供することも提案されている(国際公開第2018030896号、国際公開第2013112049号、および国際公開第2015009144号を参照)。
【0003】
しかし、既知の杭打ち機の設計は、大口径の杭を沖合の地面に打ち込むのにはあまり適していなかった。従来の杭打ち機は、それらのハンマが杭の上部に加えることができる衝撃力に制限があった。より大きな杭(通常、直径6メートルを超える縁を有する)では、従来の杭打ち機のハンマによって提供される衝撃力を、はるかに広い領域に分散させる必要があった。つまり、従来のハンマの力は、ハンマがアンビルに衝突する杭の中心から、この非常に大きな直径の杭の縁に分散する必要がある。これには、ハンマと杭との間に非常に大きなアンビルが必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、杭を地面に、好ましくは沖合に打ち込むための杭打ち機アセンブリが提供され、このアセンブリは、
チャンバを画定するケーシングであって、チャンバは流体を収容するように構成されている、ケーシングと、
ケーシングを杭にまたは杭上に位置決めするように構成された位置決め要素であって、位置決め要素の少なくとも一部がチャンバと杭との間に位置決めされている、位置決め要素と、
作動手段とを含み、
作動手段の作動は、チャンバが杭から離れるように位置決め要素に対してチャンバを変位させ、作動手段は、力がチャンバによって位置決め部材に加えられるように、杭に向かって変位するためにチャンバを解放して、杭を制御可能に地面に打ち込むように構成される。
【0005】
この配置は、杭を地面に打ち込む杭打ち機アセンブリ、特により大きな杭(通常は直径6メートルを超える縁を有する)を効率的に提供する。既知のハンマの配置とは対照的に、この配置では、ケーシング内に囲まれ、積極的に杭に打ち込まれるハンマはない。代わりに、杭から離れた距離からの流体、例えば水のチャンバ(ウォータチャンバ)の解放が、杭を地面に打ち込むために利用される。この配置により、(特に流体で満たされた場合に)はるかに大きな質量のチャンバを使用でき、駆動ハンマではなく、チャンバによって杭に「押し」が適用される。このような配置は、ハンマ配置よりも微妙で、騒音が少なくなる。既知の配置による騒音の低減は2倍である。第1に、各打撃のピーク騒音レベルが低減され、さらに、チャンバの質量が大きいため、杭打ち機が必要とする衝撃が少なくなり、したがって累積騒音(打撃数×打撃あたりのピーク騒音)が減少する。
【0006】
さらに、杭にケーシングを位置決めするための位置決め要素の使用により、ケーシングと杭の間の微細な位置合せが可能になる(アンビルなどの中間要素は必要ない)。次に、ケーシングによって加えられる力は、アンビルを介して分散される必要なしに、位置決め要素によって杭に直接加えることができる。これらの要因は両方とも、2つの間の不整合に起因する杭または杭打ち機アセンブリへの不必要な応力を回避するのに役立つ。さらに、従来技術のアセンブリおよび/またはデバイスと比較した場合、部品(例えば、金属アンビル上の金属ハンマ)の実際の影響がないため、作業は低騒音の杭打ち作業である。
【0007】
適切には、作動手段は、チャンバと位置決め要素の少なくとも一部との中間に配置されている。このように(すなわち、チャンバと位置決め要素の一部との間の空間に)作動手段を位置決めすることは、チャンバ/ケーシング全体の持上げを支援する(すなわち、作動手段は、チャンバの下から上方にチャンバを押し上げて、チャンバを持ち上げる)、したがって、より大きな質量のより大きなチャンバ/ケーシングを使用して、杭を地面に打ち込むことができる。
【0008】
適切には、このアセンブリは、杭が地面に打ち込まれるときに、チャンバによって杭に加えられる力を制御可能に緩衝するための緩衝手段をさらに含む。緩衝手段の使用は、高質量ケーシング/チャンバからのより高い衝撃エネルギーレベルをより徐々に適用することを可能にする。杭への各衝撃の影響をより長く持続させることで、ピーク力と杭の振動が減少し、それによって水中および空中の騒音も減少する。したがって、そのような配置の場合、杭打ち作業中の騒音軽減措置(例えば、騒音軽減バブルカーテン)の必要性が低減される。衝撃力のより緩やかな適用はまた、杭打ち機(使用される場合)の二次鋼部品の駆動疲労を低減し、杭のより均一な負荷を生成するのに役立ち、それによって杭の応力変動および設置疲労を低減する。
【0009】
適切には、緩衝手段は作動手段と一体である。すなわち、作動手段は、緩衝手段を含む。これにより、追加の構成要素の必要性が減り、このアセンブリの構築と保守がより簡単になる。さらに、緩衝手段を作動手段と組み合わせることにより、緩衝手段はまた、空間を制限することなく、チャンバおよび位置決め要素の少なくとも一部の中間に配置され得る。緩衝手段をチャンバと位置決め要素の少なくとも一部との間の空間に位置決めする際に、保守および他の種類の活動のための容易なアクセスを可能にする。
【0010】
適切には、作動手段は、少なくとも1つのアクチュエータを含む。適切には、作動手段は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素を含む。
【0011】
適切には、作動手段の作動により、中央可動要素が後退位置から伸長位置に動き、作動手段は、中央可動要素が伸長位置から後退位置に動くときに、チャンバによって位置決め部材に加えられる力を緩衝するように構成される。
【0012】
適切には、作動手段は、流体を収容するように構成された流体チャンバを含み、流体チャンバ内の流体の量の増加により、中央可動要素が後退位置から伸長位置に向かって動く。
【0013】
適切には、作動手段は、第1の流体チャンバに流体結合された追加の流体チャンバをさらに含み、中央可動要素は、流体チャンバの流体圧力に応じて、伸長位置と後退位置との間で動かされる。
【0014】
適切には、流体チャンバは、弁要素によって流体結合されている。このようにして、チャンバ間の圧力差を容易に制御することができる。結果として、このアセンブリは事前に張力がかけられた状態になるように事前設定できる。これにより、杭に対するケーシングの強い衝撃を回避できるため、騒音の低減が大幅に回避される。
【0015】
適切には、作動手段は、緩衝液を収容するように構成された緩衝チャンバを含み、中央可動要素が伸長位置から後退位置に動くにつれて、緩衝チャンバの容積が減少する。
【0016】
適切には、作動手段は、作動手段の内部緩衝特性を調整するように構成された調整手段を含む。適切には、調整手段は、緩衝チャンバ内の緩衝流体の量を制御するように構成される。これは、緩衝チャンバ内の緩衝流体の容積および圧力を制御するのに役立ち、したがって、作動手段の緩衝特性を制御するのに役立つ。これらの特性を調整できることにより、この構成により、杭打ち作業中に減衰手段を洗練された方法で使用でき、緩衝効果はその場でリアルタイムに作業の詳細に合わせて調整される。
【0017】
適切には、(チャンバと杭との間に位置決めされる)位置決め要素の少なくとも一部は、杭の上面を覆うように構成されたプレート要素である。ケーシングと位置決め要素の構成により、杭に加えられた力が杭の全周に適切に分散されるので、エネルギー効率の高い方法で杭打ち作業が実行される。
【0018】
適切には、位置決め要素は、杭の上部に解放可能に接続されたスリーブ要素をさらに含む。スリーブ要素は、杭と位置決め要素との間の相対的な位置/向きを維持するのに役立ち、したがって、安定した安定可能なシステムを提供する。
【0019】
適切には、ケーシングは、その端にスリーブ部分を含み、スリーブ部分は、位置決め要素とケーシングとの間の位置合せを提供するために、位置決め要素のスリーブ要素を取り囲むように構成される。このようにして、安全なスリーブアセンブリ(位置決め要素のスリーブ要素およびケーシングのスリーブ部分を含む)が提供され、これは、杭打ち作業中にこのアセンブリに安定性を提供することができる。さらに、この構成により、杭打ち作業中にこのアセンブリを微調整できる。換言すれば、位置決め要素のスリーブ要素とケーシングのスリーブ部分は、ケーシングと位置決め要素の重なり合う部分を提供する。これにより、ケーシングと杭との間の相対的な横方向の変位/回転を最小限に抑え、したがって、杭の杭打ち機アセンブリの安定性を向上させることができる。
【0020】
適切には、チャンバは、少なくとも部分的にそれを通って伸びるチャネルを有する。チャネルがチャンバ全体を通って伸びる場合、特にチャンバを通って軸方向に伸びる場合、ツール(例えば、ドリル、またはウォータージェットなど)を展開するための経路がそれを通って提供される。軸方向チャネルが中空杭の軸と同軸に位置決めされている場合、ツールは杭の真下の土壌にアクセスして作業し、土壌プラグの抵抗を減らすことができる。
【0021】
適切には、位置決め要素は、チャネルを通って少なくとも部分的に伸びるように構成されたガイド要素を含む。適切には、ガイド要素は、チャンバが杭に向かって動くときにチャネルを通ってさらに伸びるように構成される。言い換えれば、ガイド要素とチャネルは、ケーシングと位置決め要素の重なり合う部分を提供する。これにより、ケーシングと杭との間の相対的な横方向の変位/回転を最小限に抑え、したがって、杭の杭打ち機アセンブリの安定性を確保できる。
【0022】
適切には、チャンバは、ケーシングの壁に設けられた導管を介して流体で満たされ、壁は、流体の流れを制御するための弁を有する。このように、このアセンブリのチャンバはその場で満たすことができ、このアセンブリを空の状態で作業現場に輸送することができる。次に、用途に応じて、チャンバを所望のレベル(すなわち、杭を地面に打ち込むための所望の条件に適切なレベル)まで満たすことができる。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、杭を地面に、好ましくは沖合に打ち込むための杭打ち機アセンブリが提供され、このアセンブリは、
チャンバを画定するケーシングであって、ケーシングは流体を収容するように構成され、チャンバは、少なくとも部分的にそれを通って伸びるチャネルを含む、ケーシングと、
ケーシングを杭にまたは杭上に位置決めするように構成された位置決め要素であって、位置決め要素の少なくとも一部がチャンバと杭との間に位置決めされ、位置決め要素は、チャンバのチャネルを通って少なくとも部分的に伸びるように構成されたガイド要素を含む、位置決め要素と、
作動手段と、を含み、
作動手段の作動は、チャンバが杭から離れるように位置決め要素に対してチャンバを変位させ、作動手段は、力がチャンバによって位置決め部材に加えられるように、杭に向かって変位するためにチャンバを解放して、杭を制御可能に地面に打ち込むように構成される。
【0024】
この配置は、本発明の第1の態様について上で説明したのと同じ利点を提供する。さらに、ガイド要素とチャネルとの間の相互作用により、杭上の杭打ち機アセンブリの安定性が向上する。
【0025】
以下に記載される本発明の第2の態様の適切な特徴は、該当する場合、本発明の第1の態様の対応する特徴と同じ利点を有する。
【0026】
適切には、作動手段は、少なくとも1つのアクチュエータを含む。
【0027】
適切には、このアセンブリは、杭が地面に打ち込まれるときに、チャンバによって杭に加えられる力を制御可能に緩衝するための緩衝手段をさらに含む。適切には、緩衝手段は、少なくとも1つの緩衝要素を含む。適切には、緩衝手段は、チャンバと位置決め要素との中間に配置されている。
【0028】
適切には、緩衝手段は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素を含む。適切には、緩衝手段は、中央可動要素が伸長位置から後退位置に動くときに、チャンバによって位置決め部材に加えられる下向きの力を緩衝するように構成される。
【0029】
適切には、緩衝手段は、緩衝流体を収容するように構成された緩衝チャンバを含み、中央可動要素が伸長位置から後退位置に動くにつれて、緩衝チャンバの容積が減少する。
【0030】
適切には、緩衝手段は、緩衝手段の内部緩衝特性を調整するように構成された調整手段を含む。適切には、調整手段は、緩衝チャンバ内の緩衝流体の量を制御するように構成される。これらの特性を調整できることにより、この構成では、杭打ち作業中に減衰手段を細かく使用でき、一方、緩衝効果は現場でリアルタイムに作業の詳細に合わせて調整できる。
【0031】
適切には、作動手段は、チャンバと位置決め要素の少なくとも一部との中間に配置されている。
【0032】
適切には、作動手段は、緩衝手段から遠位にあるチャンバの端に配置されている。言い換えれば、緩衝手段は、チャンバの第1の側の近くに配置され、作動手段は、チャンバの第2の反対側の近くに配置される。適切には、作動手段は、ガイド要素の端に結合されている。このように作動手段を位置決めすることにより、作動手段への容易なアクセスが可能になり、また、チャンバとプレート要素との間により多くの空間が提供される(例えば、より大きな緩衝手段のために)。
【0033】
適切には、作動手段は、チャンバを解放可能にクランプするように構成されたクランプを含む。
【0034】
適切には、位置決め要素の少なくとも一部は、杭の上面を覆うように構成されたプレート要素である。適切には、位置決め要素は、杭の上部に解放可能に接続されたスリーブ要素をさらに含む。
【0035】
適切には、ガイド要素は、チャンバが杭に向かって動くときにチャネルを通ってさらに伸びるように構成される。
【0036】
適切には、チャンバは、流体の流れを制御するための弁を有するケーシングの壁に設けられた導管を介して流体で満たされる。
【0037】
本発明の第3の態様によれば、杭を地面に、好ましくは沖合に打ち込む方法が提供され、
地面に打ち込まれる杭を提供するステップと、
杭にまたは杭内に同軸配置で、本発明の第1または第2の態様による杭打ち機アセンブリを提供するステップと、
チャンバが杭から離されるように作動手段を作動させるステップと、
作動手段をさらに作動させて、チャンバが杭に向かって変位し、位置決め部材に力を加えるようにチャンバを解放して、杭を制御可能に地面に打ち込むステップと、を含む。
【0038】
提案された方法は、杭を地面に打ち込む簡単で安全な方法を提供し、杭打ち作業全体を通して最大の安定性とバランスの取れた重量配分を備える。
【0039】
適切には、この方法は、杭が制御可能に地面に打ち込まれるときに、チャンバによって杭に加えられる力を制御可能に緩衝するステップをさらに含む。この方法のステップは、このアセンブリが最小限の水中騒音の発生、したがって水中騒音の伝播で杭打ち作業を実行できるようにするのに役立つ。
【0040】
適切には、この方法は、杭が事前に設定された位置に、地面に打ち込まれるまで、作動手段を作動させ、さらに作動させるステップをさらに含む。
【0041】
適切には、この方法は、チャンバを流体で実質的に満たすステップをさらに含む。適切には、流体は沖合の場所からの水である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「上部」、「下部」、「上向き」、および「下向き」などの用語は、杭打ち機アセンブリまたはその構成要素に関連して、杭、特に垂直に伸びる杭上に位置決めされたときのこのアセンブリまたは構成要素の向きを指すことが理解されよう。杭打ち機アセンブリの組立て/位置決めの前に、または非垂直向きでのこのアセンブリの位置に続いて、そのような用語はそれに応じて調整され得ることが理解されよう。
【0043】
本明細書で使用される場合、構成要素の「伸長」位置および「後退」位置は相対的な用語であることが理解されるべきである。すなわち、伸長位置では、構成要素は、構成要素の後退位置と比較して増加した長さ(すなわち、伸ばされた長さ)を有する。ピストンまたはピストンロッド配置(または同様のもの)を有する構成要素を指す場合、伸長位置では、ロッドは、前記構成要素の後退位置と比較して、それぞれの構成要素からさらに伸ばされる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「流体の量」は、容積および圧力に制限のない流体の量を指すことを理解されたい。例えば、チャンバ内に受け取られる「流体の量」は、特定のモル数の前記流体を有する流体であり得る。一般に、この量は、所与の圧力の容積に対応する。それが受け取られるチャンバ内の流体の容積および圧力は、任意の所与の瞬間におけるチャンバの容積に依存することが理解されよう(容積は可変であり得る)。
【0045】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」は、バッファ/ダンパーでの使用に適した流体を指すことを理解されたい。一般に、本明細書で使用されるように「緩衝流体」は、特にガスを指し、ガス状態は、その圧縮が緩衝/減衰を助けることを可能にする。
【0046】
ここで、実施形態は、以下を含む添付の図面を参照してのみ例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】杭打ち機アセンブリの一例の垂直断面斜視図である。
図2図1の杭打ち機アセンブリの詳細な垂直断面斜視図である。
図3図1の杭打ち機アセンブリの詳細な垂直断面斜視図である。
図4図1の杭打ち機アセンブリの詳細な垂直断面斜視図である。
図5図1の杭打ち機アセンブリの詳細な垂直断面斜視図である。
図6図1から図5の杭打ち機アセンブリ用の緩衝要素の一例の図である。
図7図1から図5の杭打ち機アセンブリ用のアクチュエータの一例の詳細な垂直断面図である。
図8】杭打ち機アセンブリの別の例の断面図である。
図9】杭打ち機アセンブリの別の例の断面図である。
図10】作業の段階中の図8および図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
図11】作業の段階中の図8および図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
図12】作業の段階中の図8および図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
図13】作業の段階中の図8および図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
図14】作業の段階中の図8および図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
図15】作業中の杭打ち機アセンブリの別の例の垂直断面斜視図である。
図16】作業中の杭打ち機アセンブリの別の例の垂直断面斜視図である。
図17】作業中の杭打ち機アセンブリの別の例の垂直断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1から図5は、杭12を地面に打ち込むための杭打ち機アセンブリ10の一例を示す。杭打ち機アセンブリ10は、チャンバ32を画定するケーシング14を含む。すなわち、ケーシング14は、外壁30によって画定される内部容積(すなわち、チャンバ32)を含む。この例では、ケーシング14は実質的に円筒形である(すなわち、ケーシング14の外壁30は実質的に円筒形である)。ケーシングの円筒形状により、アセンブリの輸送が容易になる。さらに、円筒形状は、ケーシング内に蓄積された圧力の良好な負荷伝達を可能にする。衝撃時の内圧により、ケーシングの壁にフープ応力が発生する。しかしながら、他の例では、異なる形状のケーシングを使用することができる。
【0049】
チャンバ32は、流体、例えば水を収容するように構成される。言い換えれば、チャンバは、その中にある量の流体を収容および維持するように構成された、概して密閉された空間を提供する。ケーシング14は、使用前または使用中にチャンバ32を満たすことを可能にするために、流体源/貯蔵器に(例えば、パイプまたは導管を介して)結合された、その壁内の弁を含み得る。このようにして、アセンブリは、空のチャンバを備えた作業現場に輸送され得る。次に、チャンバ32は、その場で所望のレベルまで満たされ得る(チャンバ32を持ち上げる前、または持ち上げられたとき、および解放を待っているときのいずれか)。「所望のレベル」は、杭を地面に打ち込むための所定の衝撃エネルギーを生成するように事前に決定され得ることが理解されよう。チャンバ32を満たすために使用される水は、沖合の場所から汲み上げられた水、例えば海水であり得る。
【0050】
この例では、チャンバ32は、約1000から5000トンの水を保持することができる容積を有する。この容積のチャンバ32は、一般に、直径が約6から15メートルまでのモノ杭を地面に打ち込むのに適している。チャンバ32が水で満たされている場合、ケーシング14(その中の水を含む)の総質量は、杭打ち作業に使用される典型的な駆動ハンマの質量よりも少なくとも8倍(適切には約8から12倍)大きくてもよい。例えば、大型の油圧衝撃ハンマの質量は、約200から270トンであり得るが、水をその中に含むケーシング14の総質量は、約2700トンであり得る。
【0051】
杭打ち機アセンブリ10は、ケーシング14を杭12にまたは杭12上に位置決めするように構成された位置決め要素をさらに含む。位置決め要素は、チャンバ32と杭12との間に位置決めされた部分を含む。この例では、この部分は、杭12の上面を覆うように構成されたプレート要素38である。プレート要素38は、杭12の断面形状に応じた任意の適切な形状であり得る。例えば、プレート要素38は、円形(円筒形杭に対応する)であり得る。図示の例では、プレート要素38は、円筒形/管状の杭12に対応する、輪郭が環状である。
【0052】
この例では、位置決め要素は、杭12の上部に解放可能に接続されたスリーブ要素20をさらに含む。換言すれば、スリーブ要素20は、杭12の上部を取り囲むように構成される。この例では、スリーブ要素20は、円筒形/管状の杭12に対応するように、輪郭が円筒形/管状である。
【0053】
この例では、プレート要素38は、スリーブ要素20の端(具体的には軸方向端)に設けられている。プレート要素38は、スリーブ要素20の円筒形壁の上に位置決めするか、またはその外縁で、またはそれに近接する位置で、リーブ要素20の上面に取り付けまたは結合することができる。このようにして、杭12上に位置決めされると、プレート要素38は、スリーブ要素20がそこから下向きに突出して、杭12の上面に位置するように構成される。例では、スリーブ要素20およびプレート要素38は、単一の一体型構成要素として形成され得るか、あるいは、プレート要素38は、例えば、溶接または接着剤によってスリーブ要素20に結合され得る。
【0054】
この例では、位置決め要素は、ケーシング14の端に少なくとも部分的に提供される。すなわち、位置決め要素は、ケーシング14の端、特に、アセンブリが杭12上に位置決めされるときのケーシングの下端に隣接して少なくとも部分的に位置決めされ、または結合される。この例では、プレート要素38およびスリーブ要素20は両方ともケーシング14の下端に位置決めされている。この近接配置により、杭打ち作業中にアセンブリを微調整できる。
【0055】
この例では、ケーシング14は、その端にスリーブ部分16を含む。スリーブ部分16は、位置決め要素とケーシング14との間の位置合せを提供するために、位置決め要素のスリーブ要素20を少なくとも部分的に取り囲むように構成される。言い換えれば、ケーシング14のスリーブ部分16は、位置決め要素のスリーブ要素20の上に伸び、少なくとも部分的に重なるように構成される。このようにして、杭打ち作業中(ケーシング14が位置決め要素に対して動くとき)、スリーブ部分16は、ケーシングが杭と軸方向に整列したままであることを保証する。これにより、杭打ち作業中も配置は安定したままになる。スリーブ部分16は、チャンバ32と杭12との間の軸方向の分離に関係なく、杭作業の各段階で、スリーブ要素20と少なくともある程度の重なりを確実にするように決定された長さを有し得る。
【0056】
杭打ち機アセンブリ10は、作動手段をさらに含む。この例では、作動手段は、少なくとも1つのアクチュエータ44、または図示の例では複数のアクチュエータ44、例えば油圧または空気圧アクチュエータを含む。
【0057】
この例では、アクチュエータ44は、チャンバ32とプレート要素38との中間に(すなわち、その間に)配置されている。換言すれば、アクチュエータ44が配置されている、チャンバ32の下部とプレート要素38との間に空間(または分離領域)が提供される。
【0058】
使用中、杭打ち機アセンブリ10は、地面に打ち込まれる杭12上に位置決めされる。杭12は、陸上にまたは沖合にあり得る。一般に、杭12は、垂直配置から逸脱する可能性があるが、杭12は、地面から実質的に垂直に伸びる。
【0059】
杭打ち機アセンブリ10は、同軸配置で杭12上に位置決めされている。すなわち、杭12上に位置決めされた場合、ケーシング14は、杭12の長手方向軸に沿って杭12から伸びるように構成される。例えば、垂直杭の場合、チャンバの軸(例えば、実質的に円筒形のチャンバの長手方向軸)は、杭12の軸から垂直に伸びる。
【0060】
いくつかの例では、チャンバ32は、それを通って伸びるチャネルを有し得る。チャネルは、例えば、チャンバ32の実質的に垂直に伸びる長手方向軸に沿って伸びる軸方向チャネルであり得る。チャネルは、それを介してツール(例えば、ドリル、またはウォータージェットなど)を展開するための経路を提供することができる。軸方向チャネルが中空杭の軸と実質的に同軸に位置決めされている場合、ツールは杭の真下の土壌にアクセスして作業し、土壌プラグの抵抗を減らすことができる。
【0061】
この例では、アクチュエータ44は、杭の壁に対応する位置でプレート要素38上に位置決めされている。換言すれば、アクチュエータ44は、杭の軸方向に伸びる壁と整列している。例えば、図示の杭打ち機アセンブリでは、アクチュエータ44は、円筒形杭12の円周に対応するように、環状プレート要素38の円周/周囲の周りに位置決めされている。このようにして、杭打ち作業中に、ケーシング/チャンバによって加えられた力が(アクチュエータを介して)杭に直接作用するため、杭への応力を最小限に抑える。
【0062】
アクチュエータ44の仕様および持ち上げられる質量に応じて、任意の適切な数のアクチュエータ44を使用することができる。この例では、アクチュエータ44は、ケーシング14の均一な持上げを確実にするために、プレート要素38の全周(杭12の壁に対応する)の周りに位置決めされている。しかしながら、他の例では、周囲の周りに等間隔で、より少ないアクチュエータ44を使用することができる。
【0063】
杭12上の杭打ち機アセンブリ10の位置決めに続いて、アクチュエータ44は、チャンバ32が杭12から離されるように作動される。言い換えれば、作動手段の作動は、チャンバ32が杭12から離れるように、位置決め要素に対してチャンバ32を変位させる。チャンバ全体が上向きに杭から離される。
【0064】
アクチュエータ44の作動は、任意の適切な方法(使用されるアクチュエータ44のタイプに対応する)で提供され得、例えば、作動は、使用されるアクチュエータ44のタイプに応じて、油圧または空気圧によって提供され得る。チャンバ32は、それが杭から所定の距離に達する(例えば、チャンバ32が杭を地面に打ち込むのに適した所定の位置/衝撃エネルギーを有する位置に対応する)まで変位させることができる。
【0065】
次に、アクチュエータ44は、チャンバ32が杭12に向かって変位するように、チャンバ32を解放するようにさらに作動される。すなわち、この例では、チャンバ32は、杭12に向かって下向きに落下するように解放される。チャンバを解放する際に、アクチュエータ44は、重力のみの結果として(すなわち、追加の駆動力なしで)、チャンバが杭12に向かって落下することを可能にする。
【0066】
チャンバ32は、アクチュエータ44を少なくとも部分的に後退することによって、例えば、各アクチュエータ44内の作動圧力(すなわち、油圧または空気圧)を少なくとも部分的に除去して、チャンバ32を支持されないままにすることによって解放され得る。他の例では、位置決め要素または作動手段は、チャンバ32を所定の高さでロックするように構成されたロック手段を含み得る。ロックされると、作動手段は、チャンバが「ロック解除」されて解放される前に後退されてもよい。
【0067】
解放後、チャンバは落下し、位置決め部材に力(具体的には下向きの力)を加える。この例では、力は、アクチュエータ44を介して位置決め部材に加えられる。いくつかの例では、アクチュエータ44の完全な後退に続いて、チャンバ32は(アクチュエータ44が存在する空間を通って)落下し、アクチュエータ44に衝撃を与える。あるいは、チャンバ32は、アクチュエータが後退されるときに落下し、アクチュエータが完全に後退されると、アクチュエータ44に衝撃を与える。衝撃の力は、アクチュエータ44からプレート要素38に伝達され、プレート要素38を介して杭12に伝達される。
【0068】
上記の配置は、より小さなハンマが打ち込まれて杭12に衝撃を与えるのではなく、より大きな塊(この例では大きなウォータチャンバ)が杭12上に落下するという点で有利である。このように、大きな塊からの力が杭を地面に「押し込み」、ハンマのラムの衝撃を利用するアセンブリと比較して、騒音が少なくなり、杭にかかる応力が低くなる。従来のハンマの配置では、アクチュエータを使用して、アンビルを介してハンマを中央の杭に向かって駆動し、アンビルが力を杭に分散させる。より大きな杭の場合、加えられた力を分散させるためにより大きなアンビルが必要である。上記の配置では、アクチュエータおよび位置決め要素を介して杭に力が伝達されて、アンビルが不要になるため、より大きな杭により良く適している。
【0069】
この例では、ケーシング14は、チャンバの解放に続いてアクチュエータ44と衝突するように構成された衝撃面46を含む。この例では、衝撃面46は、アクチュエータ44の位置決めに対応する環状面である。したがって、ケーシング14によって加えられる力は、アクチュエータ44に集中し、その結果、アクチュエータ(およびその後の杭)へのエネルギーのより効率的な伝達がもたらされる。
【0070】
この例では、アセンブリ10は、杭が地面に打ち込まれるときに、チャンバ32によって杭12に加えられる力を制御可能に緩衝するための緩衝手段をさらに含む。緩衝手段の提供は、杭を地面に打ち込むときに、ケーシング/チャンバが杭12に加える力を制御するのに役立つ。これにより、加えられた力をより長期間にわたって緩衝することにより、ピーク力を制御することができる(例えば、水中騒音を減らすために下げる)。任意の適切な緩衝手段を使用することができ、例えば、緩衝手段は、少なくとも1つの緩衝要素を含み得る。
【0071】
緩衝要素100の一例が図6に示されている。緩衝要素100は、任意の適切な場所に位置決めすることができる。例えば、緩衝要素100は、アクチュエータ44に隣接して(例えば、アクチュエータ44の半径方向内側または外側に)、または間隔を置いたアクチュエータ44の間に配置され得る。チャンバ32が解放されると、アクチュエータ44は、アクチュエータ44とは対照的に、チャンバ32が緩衝要素100に衝突するように、緩衝要素100の上端を越えて後退され得る。アクチュエータ44について前述したのと同じ方法で、緩衝要素100は、力を効率的に伝達するために、杭の壁に対応する位置に配置することができる。
【0072】
緩衝要素100は、中央可動要素、この例ではピストンおよびロッド配置102を含む。この例では、緩衝要素100は、約500mmから1200mmまでの直径のピストンおよび約200mmから700mmまでの直径のロッドを有するが、必要な減衰特性に従って任意の適切な寸法の緩衝要素を使用することができる。
【0073】
ピストンおよびロッド配置102は、伸長位置および後退位置を有し、緩衝要素100は、ピストンおよびロッド配置102が伸長位置から後退位置に動くときに、チャンバ32によって位置決め部材に加えられる下向きの力を緩衝するように構成される。この例では、緩衝要素100は、緩衝流体(例えば、窒素などのガス)を収容するように構成された緩衝チャンバ104を含む。ピストンおよびロッド配置102が伸長位置から後退位置に動くと、緩衝チャンバ104の容積が減少し、その中の流体が圧縮される。これは、ピストンを減速する(そして最終的には停止する)ように作用し、したがって、ピストンおよびロッド配置102をその後退位置に向かって駆動しているチャンバ32も減速する。
【0074】
緩衝要素100の緩衝特性は、必要な減衰/緩衝のレベルに従って、使用前に設定(または衝撃間で調整)することができる。例えば、緩衝チャンバ104内の流体の量は、杭への衝撃サイン(すなわち、力と時間、dF/dt、応答)を最適化するように設定され得る。換言すれば、緩衝特性は、必要な駆動性能を依然として提供しながら、結果として生じる騒音/杭の振動を低減するように最適化され得る。例えば、減衰後に適用されるピーク力は、ピーク力を低減して、それによって振動と騒音を低減する必要がある。しかし、減衰後に適用されるピーク力は、静的な土壌抵抗(これは通常、数百/秒のメガニュートンの範囲にある)を克服するのにまだ十分である必要がある。
【0075】
各緩衝要素の緩衝特性の選択は、チャンバ32の衝撃エネルギーおよび/または使用される緩衝要素100の数、および/または地面に打ち込まれる杭12のサイズおよび/または杭12を地面に打ち込むのに必要なチャンバ32の好ましい「液滴」の数および/または予想される静的土壌抵抗に依存し得る。
【0076】
この例では、緩衝要素100は、緩衝流体を収容するように構成されたさらなる緩衝チャンバ106を含む。緩衝チャンバ104、106は、ピストンによって分離されている(そして互いに密封されている)。各緩衝チャンバ104、106内の流体の量(したがって、それらの間の相対圧力)は、緩衝要素100の緩衝特性を制御するために制御され得る。換言すれば、各緩衝要素100は、平衡状態(すなわち、ピストンに作用する反対の力が相殺する結果としてピストンが静止している状態)を有する。各緩衝チャンバ104、106内の流体の量は、緩衝要素100に事前に張力がかけられ、したがって、杭に対するチャンバ32の強い衝撃を防ぐように設定することができる。
【0077】
緩衝要素100は、緩衝要素100の内部緩衝特性を調整するように構成された調整手段を含み得る。例えば、緩衝要素100は、流体の量、または緩衝チャンバ104、106のうちの少なくとも1つの内の流体の圧力を制御するように構成された1つまたは複数の弁を制御することができる。
【0078】
一例として、平衡状態では、緩衝要素100の緩衝チャンバ104、106は、約60バールから140バールまでの初期圧力を有し得る。緩衝チャンバ104内のピーク圧力は、チャンバによって杭に加えられる力の緩衝中に、約100バールから約600バールまでのピーク圧力に達することができる。
【0079】
杭打ち作業の初期段階での緩衝要素100の平衡状態は、(その中に水がある場合またはない場合の)チャンバの重量を含み得る。すなわち、各緩衝要素100の緩衝チャンバ104、106は、緩衝チャンバ104、106内の圧力が、チャンバの重量が緩衝要素100によって支持されるようになるまで(すなわち、チャンバ32が緩衝要素100によりわずかに持ち上げられるまで)加圧され得る。作動手段が作動すると、アクチュエータ44は、緩衝要素100からチャンバ32の重量を受け取る。そうすることで、各緩衝要素のピストンは新しい平衡位置を見つける。
【0080】
ピストンおよびロッド配置102に対するチャンバ32の衝撃は、(各緩衝要素100の)緩衝チャンバ104内の流体を、その中の圧力がチャンバの重量よりも大きくなるまで圧縮することができる。この状況では、チャンバは「跳ね返る」可能性がある。つまり、ピストンがその後退位置に達すると、ピストンは少なくとも部分的にその伸長位置に向かって動き始める。次に、さらなる緩衝チャンバ106内の緩衝流体は、ピストンの上方への動きを減速するために圧縮される。いくつかの例では、アクチュエータ44は、チャンバ32がその跳ね返りの最上部にあるときに、チャンバ32をさらに持ち上げるために(別のストロークを開始するために)作動され得る。そうすることで、次にチャンバを半伸長位置からその上昇位置に戻すために必要なエネルギー入力が減少する。言い換えれば、ばね効果は、各緩衝要素100の緩衝チャンバ104、106によって提供され、その結果、ケーシングが制御可能に解放されたときに、杭を地面に打ち込み、緩衝手段の弾性により、水中の騒音が大幅に低減されながら、下向きの力のより良い分布が可能になる。
【0081】
図1から図5に示される例では、アクチュエータ44とは別個の緩衝要素100を含むのではなく、緩衝手段は作動手段と一体である。すなわち、各アクチュエータ44はまた、杭が地面に打ち込まれるときに、チャンバ32によって杭12に加えられる力を緩衝するように機能する。したがって、図1から図5に示される例を参照する場合、「作動手段」および「緩衝手段」という用語は、一般に交換可能に使用され得る。
【0082】
図7は、この例のアクチュエータ44(統合された緩衝機能を備えた)の断面を示す。アクチュエータ44は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素、すなわちピストン48を含む。アクチュエータ44は、流体、例えば、油などの適切な油圧流体を収容するように構成された流体チャンバ(または流体容積)58を含む。使用中、流体チャンバ58内の油の量の増加は、中央可動要素48を後退位置から伸長位置に向かって動かす(すなわち、作動部44を作動させる)。
【0083】
この例では、ピストン48は細長く、アクチュエータハウジング54内に少なくとも部分的に収容されている。ピストン48は、アクチュエータハウジング54内で動かせるが、ピストン48のフランジ部分62とアクチュエータハウジング54のリップ部分50との間の係合によってアクチュエータハウジング54から分離することが防止される。
【0084】
この例では、流体チャンバ58は、ピストン48内で軸方向に伸びる中空空間によって画定されている。流体チャンバ58は、流体チャンバ58を流体源/貯蔵器に流体結合する導管/チャネル59を受け取るように構成される。この例では、導管59は、アクチュエータ44の基部に近接する位置から上方に伸び、導管59は、流体チャンバ58の中空空間と実質的に同軸である。ピストン48が後退位置にある状態で、導管59は、流体チャンバ58を実質的に満たすように構成される。
【0085】
油が導管59を介して流体チャンバ58に供給されると、流体チャンバ58内の圧力が増加する。これにより、ピストン48が導管59に対して動く。具体的には、ピストン48は、導管59に沿って軸方向に摺動し、それにより、流体チャンバ58の容積を増加させる。
【0086】
この例では、アクチュエータ44は、流体チャンバ58に出入りする流れを制御するように構成された弁70を含む。弁70は、導管59を介して流体チャンバ58に流体結合されている。
【0087】
この例では、アクチュエータ44は、流体、例えば、油などの油圧流体を収容するように構成された追加の流体チャンバ60をさらに含む。この例では、追加の流体チャンバ60は、ピストン48の外面とアクチュエータハウジング54の内面との間に画定されている。ピストン48と、流体チャンバ60に対応するアクチュエータハウジング54の内面との間の空間。
【0088】
この例では、アクチュエータ44は、流体チャンバ60に出入りする流れを制御するように構成された弁72を含む。図7には示されていないが、いくつかの例では、追加の流体チャンバ60は、第1の流体チャンバ58に流体結合されている。すなわち、弁70および72は、導管またはパイプによって結合され得る。そのような例では、流体チャンバ60は、ピストン48が後退状態にあるとき(すなわち、作動前または作動の間に)、第1のチャンバ58からの流体を貯蔵するのに役立つことができる。言い換えれば、弁70と72の両方が開いているとき(そして流体チャンバ58と60が弁70、72によって流体結合されているとき)、ピストンが伸長/後退するときに油が流体チャンバ58と60との間を通過することが可能になり得る。いくつかの例では、流体チャンバ58の最大容積(ピストン48がその最も伸ばされた位置にあるときに達成される)は、流体チャンバ60の最大容積(ピストン48がその最も後退された位置にあるときに達成される)に実質的に等しい。
【0089】
一般に(例えば、弁74が開いている状況において)、中央可動要素は、流体チャンバの流体圧力に応じて、伸長位置と後退位置との間で動かされる。すなわち、流体チャンバ58内の油の圧力が流体チャンバ60内の流体の圧力よりも高い場合(例えば、チャンバ32がピストン48に衝突するため)、ピストン48は、伸長位置から後退位置に動く(平衡に達するため)。ピストンが動くと、チャンバ58内の流体は、流体チャンバ60に押し出される。
【0090】
各流体チャンバ58および60内の油の量は、ケーシング32の質量および杭12に加えられると予想される力に応じて、ピストン48の特定の平衡位置を提供するように決定され得る。例えば、平衡位置は、ピストン48が比較的伸ばされた位置にあることに対応して、杭12に対するケーシング32の強い(したがって大きな)衝撃を防ぐことができる。
【0091】
アクチュエータ44は、ピストン48が伸長位置から後退位置に動くときに、チャンバ32によって位置決め部材に加えられる下向きの力を緩衝するように構成される。換言すれば、アクチュエータ44は、各アクチュエータ44のピストン48が伸長位置から後退位置に動かされるときにチャンバが減速されるように構成される。
【0092】
この例では、アクチュエータ44は、緩衝流体、例えば窒素などのガスを収容するように構成された緩衝チャンバ68を含む。この例では、緩衝チャンバ68は、導管59の外面とアクチュエータハウジング54の内面との間に画定されている。特に、アクチュエータハウジング54は、ピストン48のフランジ部分62によって、緩衝チャンバ68と流体チャンバ60とに分離されている。
【0093】
緩衝チャンバ68の容積は、ピストン48が伸長位置から後退位置に動くにつれて減少する。特に、ピストン48が導管59の上をアクチュエータ44の基部に向かって摺動するにつれて、緩衝チャンバ68の容積は減少する。
【0094】
アクチュエータ44の緩衝効果は、緩衝チャンバ68内の緩衝流体によって提供される。より具体的には、ピストン48が伸長位置から後退位置に動くと、緩衝チャンバ68の容積の減少により、ピストン48は緩衝チャンバ68内のガスを圧縮する。緩衝チャンバ68内のガスの圧縮によって提供される抵抗は、ピストン48(および同様に、流体チャンバ58から流体チャンバ60への油の通過)を減速する(そして最終的には停止する)ように作用する。したがって、ピストン48をその後退位置に向かって駆動しているチャンバ32もまた減速され、最終的には停止される。
【0095】
この例では、アクチュエータ44は、作動手段の内部緩衝特性を調整するように構成された調整手段を含む。特に、アクチュエータ44は、緩衝チャンバ内のガスの量を制御するように構成された弁74を含む(しかし、弁74は、図7の緩衝チャンバ68に流体結合されているようには示されていない)。そうすることで、所与の負荷に対する各アクチュエータ44の緩衝チャンバ68内の圧力を制御することができる。このように、ピストン/チャンバの減速、および結果としての力と時間の応答も制御される。
【0096】
使用中、図7に示されるようにアクチュエータ44を使用する場合、加圧油(例えば、貯蔵器から汲み上げられる)が、各アクチュエータ44内の弁70に利用可能にされる。同様に、加圧窒素は、各アクチュエータ44の弁74に利用可能にされる。次に、弁70が開かれて流体が流体チャンバ58に提供され、それによってピストン48が作動してケーシング14を持ち上げる。典型的な油圧範囲は約200から420バールまでであり得る。
【0097】
前述のように、アクチュエータ44の作動は、チャンバ32/ケーシング14を持ち上げるように作用する。この時点で弁72を開いて、チャンバ60内の一定量の油を圧縮する必要なしにピストン48をその伸長位置に動かすことができる。したがって、ピストンがその伸長位置に動くと、第2のチャンバ60内の油は、ピストンのフランジ部分62によって絞り出される(言い換えれば、フランジ部分62は、アクチュエータ44のリップ部分50に向かって進む)。
【0098】
このとき、弁74も開くことができる。第1に、これにより、ピストン48は、チャンバ68内で一定量のガス(これは減圧により吸引力につながり得る)を膨張させることによって制限されることなく、その伸長位置に動くことができる。さらに、これは、所定量の緩衝液を緩衝チャンバ68に提供することを可能にする。緩衝チャンバ68の容積の増加の結果として、ガスを汲み上げるか、または吸い込むことができる。緩衝チャンバ68内の典型的なピーク圧力は、約200から800バールまでであり得る。
【0099】
アクチュエータ44が意図された伸長位置に達すると、次に各アクチュエータの弁70、72、74が閉じられる。流体チャンバ58内で比較的非圧縮性の油圧液体を使用する場合、このように弁を閉じることは、ピストンを適所にロックするように作用する。
【0100】
次に、各アクチュエータ44の弁70および72を開くことができ、その結果、流体は、各アクチュエータ44の第1のチャンバ58から第2のチャンバ60に流れることができる。これにより、ケーシング14およびその中の液体の重量が、ピストン48を下向きに動かすように推進することができる。ピストン48が下向きに押されると、ピストン48は、第2の弁72を介して第1のチャンバ58から第2のチャンバ60に油を推進する。同時に、ピストン48(またはより具体的にはそのフランジ部分62)は、チャンバ68内のガスを圧縮する。結果として生じる緩衝チャンバ68内のガス圧の増加は、減速し、最終的にはピストン48の下向きの動きを停止し、それによってケーシング14の下向きの動きを停止する。
【0101】
ピストン48を押し下げるように作用する力は、圧縮ガスを介して杭12に伝達される。ガスの圧縮は、力と時間の応答を変えるように作用する。ピーク力が減少するように、杭12への力の適用の持続時間を延長する。図6の緩衝要素100について上で説明したのと同様の方法で、ガスの圧縮中に、緩衝チャンバ68内の加圧ガスが各ピストン48に上向きの力を加えるまで、緩衝チャンバ68内の圧力が上昇し得、ケーシング14の重量を超える。このように、ピストン14およびチャンバ32は、上向きに推進される。この跳ね返り/リバウンドにより、油が各アクチュエータ44の第2のチャンバ60から押し出され、その第1のチャンバ58に逆流する可能性がある。
【0102】
いくつかの例では、このリバウンド中に、各アクチュエータ44の第2の弁72は、好ましくは、開位置から逆止弁位置に切り替えられる。これは、ケーシングが上方へ動く間に、油が各アクチュエータ44の第2のチャンバ60から第1のチャンバ58に戻り流れることを可能にするが、反対方向への油の流れを遮断する。その結果、ケーシング14が再び下向きに加速し始めると、各アクチュエータ内の第1のチャンバ58において油圧が上昇する。これは、ケーシング14がそれ以上動くのを抑制する。これで、杭打ち機アセンブリ10は、次のストロークの準備ができている。言い換えれば、アクチュエータ44は、(半)伸長位置にロックすることができる。つまり、「跳ね返り」の上部にある。そうすることで、次にチャンバ32を半伸長位置からその上昇位置に戻すために必要なエネルギー入力が減少する。
【0103】
次に、アクチュエータ44は、杭12が事前設定された位置に、地面に打ち込まれるまで、繰り返し作動され得る。
【0104】
図8から図14は、杭打ち機アセンブリ110の別の例を示す。この例には、前の例の特徴に一般的に対応する特徴が含まれており、そのような特徴には同じ方法でラベルが付けられている。簡潔にするために、前の例の特徴と同様に、通常、再度説明することはない。
【0105】
前の例によると、杭打ち機アセンブリ110は、杭12が地面に打ち込まれるときに、チャンバ32によって杭12に加えられる力を制御可能に緩衝するための緩衝手段を含む。この例では、緩衝手段は、図6に示されるタイプの複数の緩衝要素100を含む。この例では、緩衝手段は、作動手段とは別個である(すなわち、一体ではない)。換言すれば、杭打ち機アセンブリ110は、緩衝要素100とは別のアクチュエータ144を含む。しかしながら、この例の変形例では、杭打ち機アセンブリ110は、図7に示されるような緩衝機能も提供するアクチュエータ44を含み得る。
【0106】
図8および図9に最も良く示されるように、緩衝要素100およびアクチュエータ144は、チャンバと位置決め要素との中間(すなわち、間)に配置されている。この例では、緩衝要素100は、杭の壁に対応する位置でプレート要素38上に位置決めされている。アクチュエータ144は、緩衝要素100の半径方向内側に位置決めされている。
【0107】
この例では、チャンバは、チャンバを通って軸方向に部分的に伸びるチャネル200を含む。この例では、チャネル200は、チャンバ32の下部を通って伸びる。すなわち、ケーシング14は、その外面、特に下面に凹んだチャネル200を含む。言い換えれば、チャネルは、ケーシングの下面または基部から上方に(チャンバ32の内部に向かって)伸び、チャンバ32の少なくとも一部を通って伸びる。
【0108】
この例では、位置決め要素は、ガイド要素220を含む。この例では、ガイド要素220は、円筒形または柱状構造である。
【0109】
この例では、ガイド要素220は、プレート要素38を通って伸びる。すなわち、ガイド要素220は、プレート要素38の第1の側からプレート要素38の第2の側まで伸びる。他の例では、ガイド要素220は、プレート要素38の表面からのみ伸びることができる。例えば、ガイド要素220は、プレート要素38の上面から伸びることができる。
【0110】
ガイド要素220は、プレート要素38と一体的に形成することができ、例えば溶接によってプレート要素38に固定することができる。
【0111】
ガイド要素220は、チャンバ32のチャネル200を通って少なくとも部分的に伸びるように構成される。言い換えれば、ガイド要素220は、チャネル200と嵌合または結合するように構成されている/チャネル200は、ガイド要素220を受け取るように構成されている。
【0112】
図10から図14は、杭打ち作業を実行する杭打ち機アセンブリ110を示す。図10は、初期の静止位置にある杭打ち機アセンブリ110を示す。アクチュエータ144は後退され、緩衝要素100は、その緩衝チャンバ内にガスを含まない。図11は、待機位置にある杭打ち機アセンブリ110を示す。すなわち、緩衝要素100の緩衝チャンバは、チャンバがその静止位置からわずかに持ち上げられているように、少なくとも部分的にガスで満たされている。この段階で、システムは持ち上げる準備が整う。図12から図14は、持上げ作業中の杭打ち機アセンブリを示す。特に、図12から図14は、アクチュエータ144がますます伸ばされた位置にあり、チャンバを上昇位置に持ち上げる杭打ち機アセンブリを示す。
【0113】
持上げ/解放作業の間、チャンバ32は、位置決め要素に対して動く。したがって、ガイド要素220は、チャネル200に対して動く。すなわち、この例では、ガイド要素220は、チャンバ32が杭に向かって動くときに、チャネル200を通ってさらに伸びるように構成される。同様に、ガイド要素220は、チャンバ32が杭から離れるにつれて、チャネル200から部分的に後退するように構成される。
【0114】
この例では、ガイド要素220は、ガイド要素220の一部が、すべての持上げ/解放作業中にチャネル200内に留まるように構成される(すなわち、ガイド要素220は、部分的に後退するだけであるように構成される)。具体的には、ガイド要素220は、プレート要素38からのチャンバ32の最大変位よりも長くなるようなサイズにされる。
【0115】
このように相互作用するガイド要素220およびチャネル200を提供することは、ケーシング14/チャンバ32と位置決め要素(およびしたがってまた、杭12)との間の整列を維持するのを助けるのに有利である。特に、ガイド要素は、杭に対して固定された位置および向きを有する。ケーシング/チャンバの持上げおよび解放の間、チャネルがガイド要素と係合するようにアセンブリを構成することにより、ケーシング/チャンバは杭と整列したままであり、したがって、ファイルにより一貫して集中する力を提供することができる。
【0116】
この例では、スリーブアセンブリ(すなわち、位置決め要素のスリーブ要素およびスリーブ要素を取り囲むケーシングのスリーブ部分)の代わりにガイド要素220/チャネル200の相互作用を使用して、一貫した位置合せを提供する。しかしながら、いくつかの例では、アセンブリは、ガイド要素/チャネルおよびスリーブアセンブリの両方を含み得る。
【0117】
ガイド要素220は、チャンバ32を完全に貫通して伸びて、チャンバ32にさらなる誘導および支持を提供することができる。さらに、チャネル200/ガイド要素220は、任意の適切な形状であり得る。例えば、チャネル200およびガイド要素220の両方は、正方形、長方形、またはI字形の断面を有し得る。タイトフィットを提供し、したがって安定性を向上させるために、いくつかの例では、ガイド要素の断面は、チャネルの断面に実質的に対応する。
【0118】
図15から図17は、杭打ち機アセンブリ210の別の例を示す。この例は、前の例の特徴に一般的に対応する特徴を含み、そのような特徴は同じ方法でラベル付けされている。簡潔にするために、前の例の特徴と同様に、通常、再度説明することはない。
【0119】
前の例と同様の方法で、チャンバ14は、チャンバ32を通って軸方向に伸びるチャネル200を含む。しかしながら、この例では、チャネル200は、チャンバ32の全長にわたって伸びる。言い換えれば、チャネル200は、チャンバ32の下面と上面との間に伸びる。
【0120】
前の例と同様の方法で、位置決め要素は、チャンバのチャネルを通って少なくとも部分的に伸びるように構成されたガイド要素220を含む。しかしながら、この例では、ガイド要素220は、チャネル200全体を通って伸びる。すなわち、ガイド要素は、プレート要素38から伸び、チャンバ32の第1の側でチャネルに入り、チャネル200を通過して、チャンバ32の反対側に現れる。
【0121】
この例では、ガイド要素220は、チャネル200を通る通路が提供されるように管状である。したがって、前述したのと同じ方法で、ガイド要素/チャネルは、それを介してツール(例えば、ドリル、またはウォータージェットなど)を展開するための経路を提供する。
【0122】
この例では、アクチュエータ144は、緩衝要素100から遠位にあるチャンバ32の端に配置されている。換言すれば、緩衝要素100は、チャンバ(具体的にはその下端)の中間に配置され、位置決め要素のプレート要素38およびアクチュエータ144は、チャンバ32の上端に近接して配置される。
【0123】
アクチュエータ144は、ガイド要素220の端に結合されている。具体的には、ガイド要素220は、プレート要素38に結合またはそれと一体的に形成された下端と、チャンバ32の上のチャネル200から伸びるように構成された上端とを有する。アクチュエータ144は、ガイド要素の上端に結合されている。
【0124】
アクチュエータ144は、任意の適切な方法でガイド要素220に結合することができる。例えば、ガイド要素220の上端は、半径方向外向きに伸びるフランジを含み得る。アクチュエータ144は、ガイド要素220のフランジに結合され得る。他の例では、アクチュエータ144は、ガイド要素220の上端に取り付けられたカラー部材または接続部材によってガイド要素220に結合され得る。
【0125】
アクチュエータ144は、ガイド要素220をチャンバ32に結合する。すなわち、アクチュエータ144は、ガイド要素220およびチャンバ32の両方に結合されている。言い換えれば、この例では、ガイド要素220は、静止した持上げ点として機能する。この例では、アクチュエータ144はそれぞれ、チャンバ32を解放可能にクランプするように構成されたクランプ96を含む。
【0126】
図15は、初期位置にある杭打ち機アセンブリ220を示す。この例では、緩衝要素100は、チャンバ32の重量を支持するために加圧される。アクチュエータ144は伸長位置にあり、クランプ96を介してケーシング32の上面に結合されている。他の例では、緩衝要素100は、チャンバの重量がアクチュエータ144によって受け取られた後にのみ加圧され得る。
【0127】
次に、アクチュエータ144は、チャンバ32が杭から離されるように作動される。前述のように、ピストン/ピストンロッドタイプのアクチュエータ144は、しかしながら、「反転配置」で使用され得ることが理解されるであろう。この反転配置では、作動手段の作動により、そのピストンが伸長位置から後退位置に動く。アクチュエータが後退すると、チャンバ32は、ガイド要素220の上端に向かって上方に引っ張られる。アクチュエータは、チャンバが杭/位置決め要素の上の所定の高さに達するまで後退される。
【0128】
次に、作動手段がさらに作動されて、チャンバが杭に向かって変位するようにチャンバを解放する。この例では、アクチュエータはクランプを解放することによってさらに作動して、チャンバを効果的に落下させる。しかしながら、他の例では、アクチュエータは、最初にアクチュエータを作動させる(すなわち、チャンバを上方に駆動する)ために使用される加圧流体を除去することによってさらに作動させることができる。
【0129】
次に、アクチュエータを反対方向に作動させて、アクチュエータの中央可動要素を伸ばして、図15の初期位置に戻し、杭打ち作業を繰り返すことができる。
【0130】
前述の例のいずれにおいても、位置決め要素は杭の上で静止したままである(つまり、位置決め要素は静的な持上げ点として機能し、作業中に位置決め要素と杭との間に動きはない)。そのようなものとして、杭は(例えば、フローアレスタで)閉鎖され、杭の内部からの水または空気の制限された流出を可能にすることができる。制限された流出は、非常に柔らかい土を通過するときに杭が自由に落下するのを防ぐブレーキとして機能し得る(そうすることで、杭が落下するときのクレーンへの衝撃負荷が減少し得る)。このようなフローアレスタは、ハンマの内側に配置することも、杭に別々に配置することもできる。これは、大きな質量をハンマとして使用することによって達成される低い加速レベルと、位置決め要素の静止位置決めのためにすべて可能である。
【0131】
上記の実施形態のいずれかに関連して記載された特徴が、異なる実施形態間で交換可能に適用可能であり得ることは、当業者には明らかであろう。上記の実施形態は、本発明の様々な特徴を説明するための例である。
【0132】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」および「含む(contain)」という用語およびそれらの変形は、「含むがこれらに限定されない」を意味し、また、他の部分、添加物、構成要素、整数、またはステップを除外することを意図していない(また除外しない)。本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、文脈上別段の必要がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上別段の必要がない限り、本明細書は単数性だけでなく複数性も考慮していると理解されるべきである。
【0133】
本発明の特定の態様、実施形態、または例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学部分、または基は、それと互換性がない限り、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書に開示されているすべての特徴(付随する任意の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)、および/またはそのように開示されている任意の方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。本発明は、前述のどの実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(付随する任意の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規のもの、または任意の新規の組合せ、あるいはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップの任意の新規のもの、または任意の新規の組合せに及ぶ。
図1
図2
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図6
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図10
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