(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】運動障害の治療における使用のためのジヒドロテトラベナジン
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20241129BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241129BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61P25/14
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/20
A61K9/48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194948
(22)【出願日】2022-12-06
(62)【分割の表示】P 2019553960の分割
【原出願日】2018-03-29
【審査請求日】2022-12-26
(32)【優先日】2017-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519345759
【氏名又は名称】アデプティオ ファーマシューティカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダッフィールド、アンドリュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パーンディヤ、アナント
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-509366(JP,A)
【文献】特表2009-501202(JP,A)
【文献】特表2007-522193(JP,A)
【文献】国際公開第2015/171802(WO,A1)
【文献】EUROPEAN JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,2011年,46:1841-1848
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多動性運動障害の治療のための、5mg~80mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形であって、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンが、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンに対して20重量%以下の任意の他のジヒドロテトラベナジン異性体を伴う、上記単位剤形。
【請求項2】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンが、1%以下の任意の他のジヒドロテトラベナジン異性体を伴う、請求項1に記載の単位剤形。
【請求項3】
5mg~60mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項1又は2に記載の単位剤形。
【請求項4】
カプセル、錠剤、溶液、シロップ、懸濁液又はゲルの形態である、請求項1~3のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項5】
多動性運動障害の治療のための、5mg~80mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩を含
み、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、少なくとも80%の異性体純度を有する医薬組成物。
【請求項6】
5mg~60mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを含む、
請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
多動性運動障害が、ハンチントン病、ヘミバリスム(hemiballismus)、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア及びトゥレット症候群から選択される、請求項
1~4のいずれか1項に記載の単位剤形又は請求項
5又は6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
多動性運動障害が、ハンチントン病である、請求項1~4のいずれか1項に記載の単位剤形又は請求項5又は6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
多動性運動障害が、トゥレット症候群である、請求項1~4のいずれか1項に記載の単位剤形又は請求項5又は6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
多動性運動障害が、遅発性ジスキネジアである、請求項1~4のいずれか1項に記載の単位剤形又は請求項5又は6に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び/又は(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせの、トゥレット症候群などの運動障害の治療のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
運動障害は一般に、2つのカテゴリー、すなわち、多動性運動障害及び低動性運動障害に分類することができる。多動性運動障害は、筋活動の増加によって引き起こされ、振戦、ジストニア、舞踏病、チック、ミオクローヌス及び常同行動を含む異常及び/又は過剰な運動を引き起こし得る。
【0003】
多動性運動障害は多くの場合、本質的に心理的であり、基底核におけるアミン神経伝達物質の不適切な調節を介して生じる。
【0004】
特定の多動性運動障害はトゥレット症候群であり、これは、複数の身体的チック及び音声チックを特徴とする遺伝性神経学的状態である。チックは通常、反復的であるが、ランダムな物理的な動き又は声音ノイズである。音声チックは、様々な形態であり得、自分自身の単語、他人の単語、又は他の音を繰り返すことを含む。発症は通常、小児に起こり、青年期及び成人期まで続く。
【0005】
トゥレット症候群に関連するチックは一時的に抑制可能であるが、罹患した患者は通常、限られた期間だけチックを抑制することができる。全ての患者における全てのタイプのチックをカバーするための有効な治療法は未だ存在していないが、チック抑制のための特定の薬剤が開発されている。
【0006】
ドーパミン受容体アンタゴニストはトゥレット症候群患者においてチックを抑制する能力を示すことが知られており、多数のドーパミン受容体アンタゴニストが、フルフェナジン、ハロペリドール及びピモジドのようなトゥレットチックの抑制に現在使用されている。
【0007】
2型小胞モノアミントランスポーター(VMAT2)は、ドパミン、セロトニン及びヒスタミンなどのモノアミン神経伝達物質の細胞質ゾルからシナプス小胞への輸送に関与する膜タンパク質である。このタンパク質の阻害は、シナプス前ニューロンがドーパミンを放出することを妨げ、脳におけるドーパミンレベルの枯渇を生じる。
【0008】
VMAT2阻害剤は、トゥレット症候群の症状を治療するために使用することができる。
【0009】
テトラベナジン(化学名:1,3,4,6,7,11b‐ヘキサヒドロ‐9,10‐ジメトキシ‐3‐(2‐メチルプロピル)‐2H‐ベンゾ(a)キノリジン‐2‐オン)は、1950年代後半から医薬品として使用されている。最初に抗精神病薬として使用されたテトラベナジンは現在、ハンチントン病、ヘミバリスム(hemiballismus)、老人舞踏病、チック、遅発性ジスキネジア及びトゥレット症候群などの多動性運動障害を治療するために使用されている(例えば、Jankovic et al.,Am.J.Psychiatry(1999)Aug;156(8):1279‐81及びJankovic et al.,Neurology(1997)Feb;48(2):358‐62を参照されたい)。
【0010】
テトラベナジンの主な薬理作用はヒト小胞モノアミントランスポーターアイソフォーム2(hVMAT2)を阻害することによって、中枢神経系におけるモノアミン(例えば、ドーパミン、セロトニン、及びノルエピネフリン)の供給を減少させることである。この薬物はまた、シナプス後ドーパミン受容体を遮断する。
【0011】
テトラベナジンの中心的な作用はレセルピンのそれに非常に似ているが、VMAT1トランスポーターでの活性を欠くという点でレセルピンとは異なる。VMAT1トランスポーターにおける活性の欠如は、テトラベナジンがレセルピンよりも末梢活性が低く、その結果、低血圧などのVMAT1関連副作用を生じないことを意味する。
【0012】
テトラベナジンは様々な多動性運動障害の治療のための有効かつ安全な薬物であり、典型的な神経弛緩薬とは対照的に、遅発性ジスキネジアを引き起こすことは証明されていない。それにもかかわらず、テトラベナジンはうつ病、パーキンソニズム、眠気、神経質又は不安、不眠、及びまれな場合には神経弛緩性悪性症候群を引き起こすことを含む、多くの用量関連副作用を示す(例えば、WO2016/127133(Neurocrine Biosciences)の導入セクションを参照のこと)。
【0013】
テトラベナジンの化学構造は以下の通りである。
【化1】
【0014】
この化合物は3及び11b炭素原子にキラル中心を有し、したがって、理論的には、以下に示すように、合計4つの異性体形態で存在することができる。
【化2】
【0015】
それぞれの異性体の立体化学は、Cahn,Ingold and Prelogによって開発された「R及びS」命名法を用いて定義される(Jerry MarchによるAdvanced Organic Chemistry,第4版、John Wiley&Sons,New York,1992,109‐114頁参照)。この特許出願では、名称「R」又は「S」が炭素原子の位置番号の順序で与えられる。したがって、例えば、RSは、3R,11bSの短縮表記である。同様に、以下に記載するジヒドロテトラベナジンのように、3つのキラル中心が存在する場合、名称「R」又は「S」は、炭素原子2、3及び11bの順序で列挙される。したがって、2R,3S,11bS異性体は、RSSなどと略称される。
【0016】
市販のテトラベナジンはRR及びSS異性体のラセミ混合物であり、RR及びSS異性体が最も熱力学的に安定な異性体であると思われる。
【0017】
テトラベナジンはバイオアベイラビリティーがいくらか弱く、変化しやすい。これは初回通過代謝によって広範囲に代謝され、そして変化していないテトラベナジンは典型的には尿中にほとんど又は全く検出されない。テトラベナジンの代謝産物の少なくともいくつかは、テトラベナジン中の2‐ケト基の還元によって形成されるジヒドロテトラベナジンであることが知られている。
【0018】
ジヒドロテトラベナジン(化学名:2‐ヒドロキシ‐3‐(2‐メチルプロピル)‐1,3,4,6,7,11b‐ヘキサヒドロ‐9,10‐ジメトキシベンゾ(a)キノリジン)は3つのキラル中心を有し、したがって、以下の8つの光学異性体形態のいずれかで存在することができる:
【化3】
【0019】
8種全てのジヒドロテトラベナジン異性体の合成及び特徴付けは、Sunら(Eur.J.Med.Chem.(2011),1841‐1848)によって記載されている。
【0020】
8種のジヒドロテトラベナジン異性体のうち、4種の異性体、すなわち、RRR、SSS、SRR及びRSS異性体は、親テトラベナジンのRR及びSS異性体から誘導される。
【0021】
RRR及びSSS異性体は、一般に「アルファ(α)」ジヒドロテトラべナジンと呼ばれ、それぞれ(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンと呼ばれることができる。α異性体は2位及び3位のヒドロキシル置換基及び2‐メチルプロピル置換基のトランス相対配向によって特徴付けられる。例えば、Kilbornら、Chirality、9:59‐62(1997)及びBrossiら、Helv.Chim.Acta、vol.XLI,No.193,pp1793‐1806(1958)を参照されたい。
【0022】
SRR及びRSS異性体は一般に、「ベータ(β)」異性体と呼ばれ、それぞれ(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐β‐ジヒドロテトラベナジンと呼ばれることができる。β異性体は、2位及び3位のヒドロキシル置換基及び2‐メチルプロピル置換基のシス相対配向によって特徴づけられる。
【0023】
ジヒドロテトラベナジンは主に薬物の活性の原因であると考えられているが、ジヒドロテトラベナジンの種々の立体異性体のどれがその生物学的活性の原因であるかを実証する証拠を含む今日までに発表された研究はない。より具体的には、どの立体異性体がトゥレット症候群などの運動障害を治療するテトラベナジンの能力の原因であるかを実証する公表された研究はない。
【0024】
Schwartzら(Biochem.Pharmacol.(1966),15:645‐655)は、ウサギ、イヌ及びヒトにおいて実施されたテトラベナジンの代謝研究を記載している。Schwartzらは9つの代謝産物を同定し、そのうちの5つは結合しておらず、他の4つはグルクロン酸と結合していた。5種の非結合代謝産物はα‐及びβ‐ジヒドロテトラベナジン、2‐メチルプロピル側鎖にヒドロキシル基が導入された2種の酸化類似体、及び2‐メチルプロピル側鎖にヒドロキシル基が導入された酸化テトラベナジンであった。4つの結合代謝産物はすべて、9‐メトキシ基が脱メチル化されて9‐ヒドロキシ化合物を与えた化合物であった。
【0025】
種々の代謝産物のキラリティーは研究されておらず、特に、個々のα‐及びβ‐異性体のキラリティーの開示はなかった。
【0026】
Schermanら(Mol.Pharmacol.(1987),33,72‐77)は、ラセミα‐とβ‐ジヒドロテトラベナジンとの間のVMAT2結合の立体特異性を記載している。彼らは、α‐ジヒドロテトラベナジンがin vitroで研究した場合、β異性体よりもクロム親和性顆粒モノアミントランスポーターに対して3~4倍高い親和性を有することを報告した。しかし、Schermanらは、α‐及びβ‐ジヒドロテトラベナジンの個々のエナンチオマーの分離又は試験を開示していない。
【0027】
Mehvarら(J.Pharm.Sci.(1987)、76(6)、461‐465)は、テトラベナジン又はジヒドロテトラベナジンのいずれかを投与した後のラットの脳におけるテトラベナジン及びジヒドロテトラベナジンの濃度に関する研究を報告した。この研究は、そのより大きな極性にもかかわらず、ジヒドロテトラベナジンが血液脳関門を通過することができることを示した。しかしながら、ジヒドロテトラベナジンの立体化学は開示されていない。
【0028】
Mehvarら(1987年、薬物代謝と分布、15:2、250~255)は、遅発性ジスキネジアに罹患した4人の患者にテトラベナジンを投与した場合のテトラベナジン及びジヒドロテトラベナジンの薬物動態に関する研究を記載している。テトラベナジンの経口投与は低血漿濃度のテトラベナジンをもたらしたが、比較的高濃度のジヒドロテトラベナジンをもたらした。しかし、in vivoで形成されたジヒドロテトラベナジンの立体化学は報告されていない。
【0029】
Robertsら(Eur.J.Clin.Pharmacol.(1986),29:703‐708)は、不随意運動障害の治療を受けた患者におけるテトラベナジン及びそのヒドロキシ代謝産物の薬物動態を記載している。Robertsらはテトラベナジンが経口投与後に広範囲に代謝され、非常に低い血漿濃度のテトラベナジンを生じるが、ずっと高い濃度のヒドロキシ代謝産物を生じることを報告した。彼らはヒドロキシ代謝産物の同一性を記載していないが、彼らはヒドロキシ代謝産物の高い血漿濃度が治療的に重要であり得ること(代謝産物が薬理学的に活性成分であることが知られているため)、及びSchwartzら(同上)における開示を考慮して、シス異性体及びトランス異性体(すなわち、アルファ異性体及びベータ異性体)の組み合わせが、親薬物よりも治療的に重要であり得ることを示唆した。
【0030】
ミシガン大学医学部のMichael Kilbourn及び共同研究者らは、ジヒドロテトラベナジンの種々の異性体に関する多くの研究を発表している。Med.Chem.Res.(1994),5:113‐126で、Kilbournらは、VMAT2結合研究のためのインビボ造影剤としての(+/‐)‐α‐[11C]‐ジヒドロテトラベナジンの使用を記載している。
【0031】
Eur.J.Pharmacol(1995)278,249‐252では、Kilbournらは[3H]‐テトラベナジンを用いた競合結合試験を報告し、(+)‐、(-)‐、及び(+/‐)‐α‐DHTBZのin vitro結合親和性を試験した。結合アッセイは、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンについて0.97 nM及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンについて2.2μMのKi値を与え、それによって(+)α異性体が(-)α異性体よりもVMAT2受容体に対してはるかに大きい結合親和性を有することを示した。しかし、トゥレット症候群のような運動障害の治療におけるいずれかの異性体の有用性についての研究は報告されておらず、結論も導かれていない。
【0032】
Chirality(1997)9:59‐62において、Kilbournらは(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの絶対配置を同定することを目的とする研究を記載し、そこから、Kilbournらは、それが上記に示される2R、3R、11bR配置を有すると結論付けた。彼らはまた、α‐及びβ‐ジヒドロテトラベナジンがヒト脳において薬理学的に活性な薬剤である可能性が高いことを示すものとして、上記で議論されたSchwartzら及びMehvarらの論文に言及したが、彼らはテトラベナジンの活性代謝産物の正確な立体化学的同一性に関して明確な結論を引き出さなかった。
【0033】
Synapse(2002)、43:188‐194において、Kilbournらは、「平衡方法への注入」において、VMAT受容体の特異的なインビボ結合を測定するために使用される薬剤としての(+)‐α‐[11C]‐ジヒドロテトラベナジンの使用を記載した。彼らは(-)‐α‐[11C]‐ジヒドロテトラベナジンが均一な脳分布を生成することを見出し、これは、この鏡像異性体が低いVMAT親和性を有するという以前の観察と一致する。
【0034】
Sunら(同上)は、8種のジヒドロテトラベナジン異性体すべてのVMAT2結合親和性を調査した。彼らは右旋性鏡像異性体のすべてが、最も活性な(+)‐α‐異性体が最も活性であることが見出された、それらの対応する左旋性鏡像異性体よりも劇的に強力なVMAT2結合活性を示すことを見出した。しかし、Sunらは、トゥレット症候群のような運動障害の治療における個々の異性体の相対的有効性についての研究を行わなかった。
【0035】
WO2011/153157(Auspex Pharmaceutical,Inc.)は、ジヒドロテトラベナジンの重水素化形態を記載している。ジヒドロテトラベナジンの多くの重水素化形態が示されているが、その出願は少数の示された化合物を合成することを可能にするのに十分な情報しか提供していない。d6‐α‐ジヒドロテトラべナジンとd6‐β‐ジヒドロテトラべナジンのラセミ混合物は開示されているとおりであるが、これらの混合物は分離されず、個々の(+)及び(-)異性体の性質は研究されていない。同様に、WO2014/047167(Auspex Pharmaceutical,Inc.)は、多数の重水素化形態のテトラベナジン及びその誘導体を記載している。やはり、α‐及びβ‐ジヒドロテトラベナジンの重水素化形態の個々の(+)及び(-)異性体は分離又は研究されなかった。
【0036】
現在まで、どのジヒドロテトラベナジン異性体がテトラベナジンの投与から生じる治療特性の原因であるかについて正確には不明であったことは明らかである。(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、その治療効果の主な原因であるテトラベナジンの代謝産物であると以前に仮定されているが(WO2015/171802 Neurocrine Biosciences,Inc.)、これは実験的に実証されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
発明の概要
上記のように、Schwartzら(上記参照)によって行われた研究は、テトラベナジンのアルファ異性体及びベータ異性体の両方がテトラベナジンの代謝産物として形成されることを実証した。しかしながら、アルファ及びベータ異性体の正確な立体化学的配置は調べられなかった。
【0038】
本出願人によって実施され、以下の例1に記載されるヒト被験体における研究は、テトラベナジンの主要な代謝産物が実際にα及びβジヒドロテトラベナジンであるというSchwartzらの知見を確認した。しかし、以前に示唆されていることとは対照的に、テトラベナジンの投与時に産生される主な代謝産物は、VMAT2結合剤として本質的に活性である(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン異性体、及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン異性体よりも有意に活性が低い(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン異性体である。
【0039】
したがって、成人男性にテトラベナジンを投与した単回投与試験では、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンのCmax値はそれぞれ103及び72.94ng/mlであったのに対し、(-)‐β‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンのCmax値はそれぞれ5.28及び2.61ng/mlであった。(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐β‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン代謝産物の曲線下面積(AUC)値は、それぞれ375.78、305.84、16.28及び7.98であった。同様の代謝産物の分布が、テトラベナジンの複数用量を投与した場合に見出された。
【0040】
データは、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンがテトラベナジンの治療特性に主に関与しないことを示唆する。反対に、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、テトラベナジンの治療特性に対する比較的小さな寄与の原因であり得ると思われる。
【0041】
ヒト及び動物の身体の治療のための鏡像体組成物を調製することの重要性は公知である。エナンチオマーは異なる生物学的特性を有する可能性があり、例えば、1つのエナンチオマーは特定の疾患又は状態の治療に有用であり、そして他のエナンチオマーは、毒性であるか、又は望ましくない副作用を生じることが周知である。この例は鎮静剤として市販され、つわりを治療するために妊婦にも処方された薬物サリドマイドであるが、後に、1つの鏡像異性体が、妊娠中にサリドマイドを投与された女性の子供に先天異常を引き起こすことが見出された。
【0042】
エナンチオマーに関するFDAのガイダンスによれば、原薬及び製剤の用途には、立体化学的に特異的な同一性試験及び/又は立体化学的に選択的なアッセイ法が含まれるべきである。
【0043】
エナンチオマーの一方が医学的に有用であり、他方が不活性であり、副作用を示さない場合でさえ、患者に投与される剤形のサイズを減少させるために、不活性なエナンチオマーを除去することがなお有利であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0044】
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンと(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ
(+)‐及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせは、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンが貧弱なVMAT2阻害剤であるという事実が以前に報告されているにもかかわらず、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン単独よりもアンフェタミン誘発ラットにおける自発運動の低下においてより有効であることが、今回驚くべきことに見出された。
【0045】
また、ラセミとスケールミック(すなわち、非ラセミ)の両方の組み合わせが、増強された効力を示すことも示されている。
【0046】
試験によれば、単独で投与された場合の運動障害の治療における(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの不活性が確認された(実施例2、試験1を参照のこと)。しかし、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンと組み合わせて投与した場合、(+)‐異性体単独の投与と比較して改善された効果が見られたことが予想外に見出された(実施例2、試験3及び4を参照のこと)。この改善された効果は、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンがVMAT2以外のタンパク質に結合し、これが多動性運動障害を媒介する役割を果たし得ることによると考えられる。
【0047】
今日までに行われた研究に基づいて、(+)‐及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせは、テトラベナジンが現在使用又は提案されている疾患状態及び状況の予防又は治療に有用であると考えられる。したがって、例として、限定するものではないが、本発明のジヒドロテトラベナジン化合物は運動障害、特に、ハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア、及びトゥレット症候群などの多動性運動障害の治療に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
したがって、第1の態様では、本発明が(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬単位剤形を提供する。
【0049】
典型的には、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせは、治療有効量のアマンタジンと共に投与されない。一実施形態では(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩はいかなる量のアマンタジンとも投与されない。
【0050】
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び/又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩は、即時放出単位剤形として投与することができる。
【0051】
別の態様において、本発明は、医薬において使用するための、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0052】
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、以下に示す化学構造(I)を有すると考えられる:
【化4】
【0053】
(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、以下に示す化学構造(II)を有すると考えられる:
【化5】
【0054】
別の態様において、本発明は、医薬において使用するための、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0055】
さらなる態様において、本発明は、運動障害の治療における使用のための、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩(上記で定義されるような薬学的単位剤形)を提供する。
【0056】
さらなる実施形態では、本発明は以下を提供する:
・(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを含む、治療を必要とする被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物被験体)における運動障害の治療方法。
【0057】
・(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩の、運動障害の治療のための医薬の製造のための使用。
【0058】
本発明者らはまた、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの低用量(すなわち、1日当たり20mg以下)が運動障害の治療に有用であり得ることを見出し、したがって、このような低用量の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンが、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンと組み合わせて、運動障害の治療にまた有用であると考えられる。
【0059】
したがって、別の実施形態では、本発明が運動障害の治療方法に使用するための、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この治療方法はそれを必要とする被験体(例えば、ヒト被験体)に、1日当たり1mg~20mgの(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの投薬量を提供するのに十分な組み合わせの有効な治療量を投与することを含む。
【0060】
さらなる態様において、本発明は以下を提供する:
・運動障害の治療方法であって、それを必要とする被験体(例えば、ヒト被験体)に、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせの有効な治療量を、1日当たり1mg~20mgの(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの用量を提供するのに十分に投与することを含む、上記方法。
【0061】
・運動障害の治療のための医薬の製造のための、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩の組み合わせの使用であって、その方法がそれを必要とする被験体(例えば、ヒト被験体)に、1日当たり1mg~20mgの(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの投薬量を提供するのに十分な治療有効量の組み合わせを投与することを含む、上記使用。
【0062】
・運動障害の治療方法のための(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与するための医薬の製造のための、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩の使用であって、該方法はそれを必要とする被験体(例えば、ヒト被験体)に、1日当たり1mg~20mgの(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの投薬量を提供するのに十分な有効治療量の組み合わせを投与することを含む、上記使用。
【0063】
低用量の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩を使用する前述の実施形態(すなわち、使用のための組み合わせ、方法、又は使用)のそれぞれにおいて、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの1日用量は、1mg~20mgである。
【0064】
特定の実施形態では、以下が提供される
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が1日あたり1.5mg~20mg(例えば、1.5mgと20mgの間)の量の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0065】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が1日あたり2mg~20mg(例えば、2mgと20mgの間)の量の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0066】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が1日あたり3mg~20mg(例えば、3mgと20mgの間)の量の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0067】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が1日あたり2mg~15mg(例えば、2mgと15mgの間)の量の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0068】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が1日あたり3mg~15mg(例えば、3mgと15mgの間)の量の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0069】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が1日あたり5mg~15mg(例えば、5mgと15mgの間)の量の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0070】
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの投与は、典型的には慢性治療レジメンの一部を形成する。したがって、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、少なくとも1週間、より通常は少なくとも2週間、又は少なくとも1ヶ月、典型的には1ヶ月より長い治療期間、患者に投与することができる。患者が治療に良好に応答することが示される場合、治療期間は6ヶ月より長くてもよく、数年にわたり延長してもよい。
【0071】
慢性治療レジメンは(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの毎日の投与を含み得るか、又は治療レジメンは(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンが投与されない日を含み得る。
【0072】
被験体に投与される投薬量は、治療期間中に変化し得る。例えば、最初の投薬量は、治療に対する被験体の応答に依存して、増加又は減少され得る。例えば、被験体に、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンに対する被験体の耐性を試験するために、最初の低用量を与えてもよく、その後、必要に応じて、20mgの最大1日摂取量まで投薬量を増加させる。あるいは、患者に投与される最初の1日投薬量が推定される所望の程度のVMAT2遮断を与えるように選択され得、その後、治療期間の残りの間、より低い維持用量が与えられ得、治療に対する被験体の応答が増加が必要であることを示す場合、投薬量を増加させる選択肢を伴う。
【0073】
所望の治療効果を達成するために必要とされる(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの量は、治療される被験体の体重に依存することが想定される。被験体に投与される(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの量はmg/kgの数で表すことができ、kgは、治療される被験体の体重に関する。したがって、適切な用量は、mg/kg量に治療される被験体の体重を乗じることによって計算することができる。
【0074】
従って、別の態様において、本発明は運動障害の治療のための方法における使用のための、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを提供し、ここで、治療は、1日あたりに投与される(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~20mgの範囲であることを条件として、1日あたり0.01mg/kg~0.3mg/kg(例えば、0.01mg/kgと0.3mg/kgの間)の組み合わせの量を被験体に投与することを含む。
【0075】
さらなる態様において、本発明は以下を提供する:
・(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩を、1日当たりに投与される(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~20mgの範囲であることを条件として、1日当たり0.01mg/kg~0.3mg/kg(例えば、0.01mg/kgと0.3mg/kgの間)の量で被験体に投与することを含む、それを必要とする被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物被験体)における運動障害の治療方法。
【0076】
・運動障害の治療のための医薬の製造のための(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩の使用であって、治療が1日当たりに投与される(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~20mgの範囲であることを条件として、0.01mg/kg~0.3mg/kg(例えば、0.01mg/kgと0.3mg/kgの間)の量で組み合わせを被験体に投与することを含む、使用。
【0077】
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩が、1日当たり0.01mg/kg~0.3mg/kg(例えば、0.01mg/kgと0.3mg/kgの間)の量で投与される、前述の実施形態(すなわち、使用のための組み合わせ、方法、又は使用)のそれぞれにおいて、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの1日用量は、1mg~20mgである。
【0078】
特定の実施形態では、以下が提供される:
・本明細書に記載の使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~20mgの範囲であることを条件として、1日当たり0.02mg/kg~0.3mg/kg(例えば、0.02mg/kgと0.3mg/kgの間)の量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0079】
・本明細書に記載の使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~20mgの範囲であることを条件として、1日当たり0.03mg/kg~0.3mg/kg(例えば、0.03mg/kgと0.3mg/kgの間)の量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0080】
・本明細書に記載の使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~20mgの範囲であることを条件として、1日当たり0.04mg/kg~0.3mg/kg(例えば、0.04mg/kgと0.3mg/kgの間)の量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0081】
・本明細書に記載の使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~20mgの範囲であることを条件として、0.05mg/kg~0.3mg/kg(例えば、0.05mg/kgと0.3mg/kgの間)の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせの量を被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0082】
本発明の組み合わせ(及び組み合わせを含有する剤形)は運動障害、特に、ハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア及びトゥレット症候群などの多動性運動障害の治療に有用である。
【0083】
より詳細には、本発明の組み合わせ(及び組み合わせを含有する剤形)がチック障害、ハンチントン病、遅発性ジスキネジア及びトゥレット症候群から選択される多動性運動障害の治療に使用するためのものである。
【0084】
1つの特定の実施形態において、本発明の組み合わせ(及びこの組み合わせを含む剤形)は、遅発性ジスキネジアの治療における使用のためのものである。
【0085】
別の特定の実施形態において、本発明の組み合わせ(及びこの組み合わせを含む剤形)は、トゥレット症候群の治療における使用のためのものである。
【0086】
運動障害の治療における本発明の組み合わせの有用性は、部分的には(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンが小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)に結合する能力から生じる。
【0087】
VMAT2タンパク質の完全な遮断は望ましくない副作用(例えば、パーキンソン症候群)をもたらし得るので、望ましくないと考えられる。本発明は(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの血漿レベルを提供し、これらは運動障害の有効な治療を与えるのに十分であるが、パーキンソン症候群及び類似の副作用を引き起こす程度までVMAT2タンパク質を遮断することはない。VMAT2遮断のレベルは、陽電子放出断層撮影(PET)を用いた競合結合研究によって決定することができる。放射性リガンドを目的の化合物と種々の濃度で同時投与することによって、占有される結合部位の割合を決定することができる(例えば、Matthewsら、”Positron emission tomography molecular imaging for drug development”(「薬物開発のための陽電子放出断層撮影分子イメージング」)、Br.J.Clin.Pharmacol、73:2、175~186を参照のこと)。
【0088】
従って、さらなる態様において、本発明は運動障害の治療のための方法における使用のための、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、治療は、被験体において20%~90%のVMAT2タンパク質の遮断のレベルを引き起こすのに十分な組み合わせの量を被験体に投与することを含む。
【0089】
さらなる態様において、本発明は以下を提供する:
・それを必要とする被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物被験体)における運動障害の治療方法であって、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩を、被験体におけるVMAT2タンパク質の20%~90%の遮断レベルを引き起こすのに十分に被験体に投与することを含む、上記治療方法。
【0090】
・(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせ、又はその薬学的に許容される塩の、被験体(例えば、ヒトのような哺乳動物被験体)における運動障害の治療のための薬剤の製造のための使用であって、この治療は、被験体において20%~90%のVMAT2タンパク質の遮断のレベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記使用。
【0091】
・(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩を、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、被験体(例えば、ヒトのような哺乳動物被験体)における運動障害の治療のために使用するための医薬の製造のための使用であって、この治療は、被験体において20%~90%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記使用。
【0092】
さらなる実施形態では、以下が提供される:
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の25%~85%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0093】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の30%~85%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0094】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の35%~85%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0095】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の40%~85%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0096】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の45%~85%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0097】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の50%~85%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0098】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の30%~80%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0099】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の35%~75%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0100】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の35%~70%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0101】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の40%~75%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0102】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、それを必要とする被験体に投与することを含み、方法が、被験体におけるVMAT2タンパク質の45%~75%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0103】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が、被験体におけるVMAT2タンパク質の35%~80%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0104】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が、被験体におけるVMAT2タンパク質の40%~80%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0105】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の45%~80%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0106】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の50%~80%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0107】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体におけるVMAT2タンパク質の55%~80%の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0108】
・本明細書中に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療が被験体において30%~70%(例えば、30%と70%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0109】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体におけるVMAT2タンパク質の遮断レベルを30%~65%(例えば、30%と65%の間)にするのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0110】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体におけるVMAT2タンパク質の遮断レベルを30%~60%(例えば、30%と60%の間)にするのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0111】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体におけるVMAT2タンパク質の遮断レベルを40%~80%(例えば、40%と80%の間)にするのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0112】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体におけるVMAT2タンパク質の遮断レベルを40%~75%(例えば、40%と75%の間)にするのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0113】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体におけるVMAT2タンパク質の遮断レベルを40%~70%(例えば、40%と70%の間)にするのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0114】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体におけるVMAT2タンパク質の遮断レベルを40%~65%(例えば、40%と65%の間)にするのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0115】
・本明細書に記載される使用のための組み合わせ、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体におけるVMAT2タンパク質の遮断レベルを40%~60%(例えば、40%と60%の間)にするのに十分な量の組み合わせを被験体に投与することを含む、上記組み合わせ、方法又は使用。
【0116】
本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせは、ラセミ体であってもよい。
【0117】
あるいは本発明の前述の態様及び実施形態の各々において、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせはスカレミック(すなわち、非ラセミ)であってもよい。
【0118】
本発明の組み合わせのそれぞれにおいて、その使用、及び上で定義したような組み合わせを含有する医薬剤形は、組み合わせにおける(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン対(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの比が例えば、0.5:1~20:1であり得る。特定の実施形態では、組み合わせにおける(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン対(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの比が以下から選択される範囲の比であり得る:
【0119】
(i) 1:1~20:1
(ii) 1:1~15:1
(iii) 1:1~12:1
(iv) 1:1~10:1
(v) 1:1~5:1
(vi) 1:1~4:1
(vii) 1:1~3:1
(viii) 1:1~2:1
【0120】
(ix) 1.1:1~20:1
(x) 1.1:1~15:1
(xi) 1.1:1~12:1
(xii) 1.1:1~10:1
(xiii) 1.1:1~5:1
(xiv) 1.1:1~4:1
(xv) 1.1:1~3:1
(xvi) 1.1:1~2:1
(xvii) 1.2:1~20:1
(xviii)1.2:1~15:1
(xix) 1.2:1~12:1
(xx) 1.2:1~10:1
(xxi) 1.2:1~5:1
(xxii) 1.2:1~4:1
(xxiii)1.2:1~3:1
(xxiv) 1.2:1~2:1
【0121】
本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンと(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンとの組み合わせは、典型的には他のジヒドロテトラベナジン異性体に伴っていない。
【0122】
いくつかの実施形態では少量の他のテトラベナジン異性体が存在してもよいが、これらは一般に、組み合わせの総重量と比較して、20重量%以下(すなわち、0.2:1)に相当する量で存在する。より通常には、他のジヒドロテトラベナジン異性体が組み合わせの総重量と比較して、10重量%以下、5重量%以下、又は2重量%以下、又は1重量%以下(すなわち、0.2:1)に相当する量で存在する。より好ましくは、他のジヒドロテトラベナジン異性体が完全に存在しないか、又は1重量%未満、例えば0.5重量%未満の量で存在する。
【0123】
前述の態様及び実施形態の各々において、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び/又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、遊離塩基として、又は薬学的に許容される塩として投与され得る。一実施形態において、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの一方又は両方は、薬学的に許容される塩として投与される。別の実施形態では、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの両方が遊離塩基として投与される。特に断らない限り、又は文脈が別段の指示をしない限り、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの量は、遊離塩基の量として計算されるか、又は(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンが薬学的に許容される塩の形である場合、薬学的に許容される塩中に存在する(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン自体の量である。
【0124】
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩の組み合わせに関する本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、典型的には、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩は、治療有効量のアマンタジンとともには投与されない。より詳細には(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩はいかなる量のアマンタジンとも投与されない。
【0125】
例えば、医薬単位剤形に関して、典型的には単位剤形が治療有効量のアマンタジンを含まず、より詳細には医薬単位剤形がいかなる量のアマンタジンも含まない。
【0126】
さらに、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩に関する本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、医薬単位剤形は、徐放性又は遅延放出性剤形以外であってもよい。
【0127】
したがって、例えば、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩は、即時放出単位剤形として投与することができる。
【0128】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン
上述のように、本発明者らは、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンがテトラベナジンの治療特性に主に貢献しているとは思われないことを見出した。反対に、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、テトラベナジンの治療特性に比較的小さな寄与でしか貢献していないと思われる。
【0129】
したがって、(+)‐α‐異性体は(+)‐β‐異性体より3~4倍活性であったという以前の発見にもかかわらず、(+)‐β‐異性体が50倍超の量でテトラベナジンの投与後に体内に存在するという事実は、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンがテトラベナジンの活性に主に寄与することを示唆する。
【0130】
本発明者らの研究によれば、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン自体は、化学名(S,R,R)‐3‐イソブチル‐9,10‐ジメチルオキシ‐1,3,4,5,7,11b‐ヘキサヒドロ‐2H‐ピリド[2,1‐a]イソキノリン‐2‐オールを有し、下記式(III)を有する
【化6】
が、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンよりも低いVMAT2活性を有するという、これまでの知見にもかかわらず、運動障害の治療に有効である。
【0131】
したがって、第1の態様では、本発明が(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形を提供する。
【0132】
別の態様において、本発明は、医薬において使用するための、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0133】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び他のジヒドロテトラベナジン異性体を実質的に含まない薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形も提供される。
【0134】
単位剤形は、経口的に投与されるもの、例えばカプセル又は錠剤であり得る。あるいは、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩が水溶液、シロップ、懸濁液又はゲルのような非固体剤形で投与され得る。
【0135】
本発明の特定の実施形態では、以下が提供される:
・1mg~200mg(例えば、1mgと200mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0136】
・1mg~150mg(例えば、1mgと150mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0137】
・1mg~100mg(例えば、1mgと100mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0138】
・1mg~80mg(例えば、1mgと80mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0139】
・3mg~200mg(例えば、3mgと200mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0140】
・3mg~150mg(例えば、3mgと150mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0141】
・3mg~100mg(例えば、3mgと100mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0142】
・3mg~80mg(例えば、3mgと80mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0143】
・5mg~200mg(例えば、5mgと200mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0144】
・5mg~150mg(例えば、5mgと150mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0145】
・5mg~100mg(例えば、5mgと100mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0146】
・5mg~80mg(例えば、5mgと80mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0147】
・3mg~60mg(例えば、3mgと60mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0148】
・5mg~60mg(例えば、5mgと60mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0149】
・10mg~60mg(例えば、10mgと60mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0150】
・15mg~60mg(例えば、15mgと60mgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0151】
・約20mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0152】
・約30mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0153】
・約40mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0154】
・約50mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0155】
・約60mgの(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む単位剤形。
【0156】
上記で定義及び記載された単位剤形は、典型的にはハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア及びトゥレット症候群などの多動性運動障害の治療に使用するためのものである。
【0157】
より詳細には、上記の単位剤形は、チック障害、ハンチントン病、遅発性ジスキネジア及びトゥレット症候群から選択される多動性運動障害の治療に使用するためのものである。
【0158】
1つの特定の実施形態において、上記の単位剤形は、遅発性ジスキネジアの治療における使用のためのものである。
【0159】
別の特定の実施形態において、上記の単位剤形は、トゥレット症候群の治療における使用のためのものである。
【0160】
本発明者らは、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンが運動障害の治療におけるVMAT2受容体の遮断に有用であることを見出した。したがって、本発明は、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0161】
本発明はまた、VMAT2阻害剤として使用するための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0162】
本発明のさらなる実施形態では、以下が提供される:
・多動性態運動障害の治療に使用するための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0163】
・ハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア又はトゥレット症候群の治療に使用するための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0164】
・治療有効量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを含む、それを必要とする被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物被験体)における多動性態運動障害の治療方法。
【0165】
・治療を必要とする被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物被験体)におけるハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア又はトゥレット症候群の治療方法であって、治療有効量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを含む、上記方法。
【0166】
・多動性態運動障害の治療のための医薬の製造のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0167】
・(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩の、ハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア又はトゥレット症候群の治療のための医薬の製造のための使用。
【0168】
・運動障害の治療のための方法において使用するための(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジンであって、治療が、1日当たり1mg~200mg(例えば、1mgと200mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジン。
【0169】
・それを必要とする被験体(例えば、ヒトのような哺乳動物被験体)における運動障害の治療方法であって、1日当たり、1mg~200mg(例えば、1mgと200mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記治療方法。
【0170】
・運動障害の治療のための医薬の製造のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの使用であって、治療が、1日当たり1mg~200mg(例えば、1mgと200mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記使用。
【0171】
・典型的には(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩は有効量のアマンタジンと共に投与されない。一実施形態では(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩はアマンタジンと共に投与されない。
【0172】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩は、即時放出単位剤形として投与することができる。
【0173】
さらなる実施形態では、以下が提供される:
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり1mg~150mg(例えば、1mgと150mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0174】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり1mg~100mg(例えば、1mgと100mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0175】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり1mg~80mg(例えば、1mgと80mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0176】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり3mg~200mg(例えば、3mgと200mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0177】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり3mg~150mg(例えば、3mgと150mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0178】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり3mg~100mg(例えば、3mgと100mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0179】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり5mg~200mg(例えば、5mgと200mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0180】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり5mg~150mg(例えば、5mgと150mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0181】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり5mg~100mg(例えば、5mgと100mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0182】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり1mg~70mg(例えば、1mgと70mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0183】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり1mg~60mg(例えば、1mgと60mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0184】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり1mg~50mg(例えば、1mgと50mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0185】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり5mg~70mg(例えば、5mgと70mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0186】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり5mg~60mg(例えば、5mgと60mgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0187】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり約10mgの量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0188】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり約15mgの量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0189】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり約20mgの量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0190】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり約30mgの量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0191】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たり約40mgの量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0192】
それぞれのケースにおいて、特定された(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの量は1日に1回、又は1日に数回(例えば、2回)の用量で投与され得る。
【0193】
いくつかの実施形態において、特定される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの量は、1日1回投与される。
【0194】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの投与は、典型的には慢性治療レジメンの一部を形成する。したがって、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、少なくとも1週間、より通常は少なくとも2週間、又は少なくとも1ヶ月、典型的には1ヶ月より長い治療期間の間、患者に投与することができる。患者が治療に良好に応答することが示される場合、治療期間は6ヶ月より長くてもよく、数年にわたり延長してもよい。
【0195】
慢性治療レジメンは(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの毎日の投与を含み得るか、又は治療レジメンは(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンが投与されない日を含み得る。
【0196】
被験体に投与される投薬量は、治療期間中に変化し得る。例えば、最初の投薬量は、治療に対する被験体の応答に依存して、増加又は減少され得る。例えば、被験体に、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンに対する被験体の耐性を試験するために、最初の低用量を与えてもよく、その後、投薬量は、必要に応じて、80mgの最大1日摂取量(又は上記のような他の1日摂取量)まで増加される。あるいは、患者に投与される最初の1日投薬量が推定される所望の程度のVMAT2遮断を与えるように選択され得、その後、治療期間の残りの間、より低い維持用量が与えられ得、治療に対する被験体の応答が増加が必要であることを示す場合、投薬量を増加させる選択肢を伴う。
【0197】
所望の治療効果を達成するために必要とされる(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの量は、治療される被験体の体重に依存し得る。被験体に投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの量は、被験体の体重1キログラム当たりの被験体に投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンのミリグラム単位の重量で定義することができ、mg/kgと略すことができる。したがって、適切な投薬量は、mg/kg量に治療される被験体の体重を乗じることによって計算することができる。従って、本発明はまた、以下を提供する:
【0198】
・運動障害の治療のための方法において使用するための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンであって、治療は、被験体に、1日当たり0.01mg/kg~2.0mg/kg(例えば、0.01mg/kgと2.0mg/kgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを投与するステップを含み、但し、1日あたり投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量は、1mg~80mg(又は上記で定義されるような他の範囲)の範囲である。
【0199】
・それを必要とする被験体(例えば、ヒトのような哺乳動物被験体)における運動障害の治療方法であって、1日あたりに投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~80mg(又は上記で定義されるような他の範囲)であることを条件として、1日あたり0.01mg/kg~2.0mg/kg(例えば、0.01mg/kgと2.0mg/kgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記治療方法。
【0200】
・運動障害の治療のための医薬の製造のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの使用であって、1日当たりに投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~80mg(又は上記で定義されるような他の範囲)であることを条件として、1日当たり0.01mg/kg~2.0mg/kg(例えば、0.01mg/kgと2.0mg/kgの間)の量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記使用。
【0201】
さらなる実施形態では、以下が提供される:
・本明細書に記載される使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~80mg(又は上記で定義されるような他の範囲)であることを条件として、1日当たり0.01mg/kg~1.5mg/kg(例えば、0.01mg/kgと1.5mg/kgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0202】
・本明細書に記載される使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~80mg(又は上記で定義されるような他の範囲)であることを条件として、0.1mg/kg~1.5mg/kg(例えば、0.1mg/kgと1.5mg/kgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0203】
・本明細書に記載される使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~80mg(又は上記で定義されるような他の範囲)であることを条件として、0.25mg/kg~1.5mg/kg(例えば、0.25mg/kgと1.5mg/kgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0204】
・本明細書に記載される使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~60mg(又は上記で定義されるような他の範囲)であることを条件として、1日当たり0.01mg/kg~1.25mg/kg(例えば、0.01mg/kgと1.25mg/kgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0205】
・本明細書に記載される使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~60mg(又は上記で定義されるような他の範囲)であることを条件として、0.1mg/kg~1.25mg/kg(例えば、0.1mg/kgと1.25mg/kgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0206】
・本明細書に記載される使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、1日当たりに投与される(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの総量が1mg~60mg(又は上記で定義されるような他の範囲)であることを条件として、0.25mg/kg~1.25mg/kg(例えば、0.25mg/kgと1.25mg/kgの間)の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0207】
前述の態様及び実施形態の各々において、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、遊離塩基として、又は薬学的に許容される塩として投与され得る。文脈が他に指示しない限り、本明細書における(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンへの言及はまた、その薬学的に許容される塩を包含する。
【0208】
1つの一般的な実施形態において、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、薬学的に許容される塩として投与される。
【0209】
別の一般的な実施形態において、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、遊離塩基として投与される。
【0210】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの量又は量の範囲が本明細書に記載される場合、これらは、遊離塩基の量として、又は(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンが薬学的に許容される塩の形である場合、薬学的に許容される塩中に存在する(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン遊離塩基の量として計算される。
【0211】
VMAT2タンパク質の完全な遮断は、パーキンソン症候群などの望ましくない副作用を引き起こす可能性があるため、望ましくないと考えられる。本発明は運動障害の有効な治療を与えるのに十分であるが、パーキンソン症候群及び類似の副作用を引き起こす程度までVMAT2タンパク質を遮断しない(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの血漿レベルを提供する。VMAT2遮断のレベルは、陽電子放出断層撮影(PET)を用いた競合結合試験によって決定することができる。放射性リガンドを目的の化合物と種々の濃度で同時投与することによって、占有される結合部位の割合を決定することができる(例えば、Matthewsら、”Positron emission tomography molecular imaging for drug development”(「薬物開発のための陽電子放出断層撮影分子イメージング」)、Br.J.Clin.Pharmacol、73:2、175~186を参照のこと)。従って、本発明はまた、以下のものを提供する:
【0212】
・運動障害の治療のための方法において使用するための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンであって、治療が、被験体において90%までのVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン。
【0213】
・それを必要とする被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物被験体)における運動障害の治療方法であって、被験体において90%までのVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記治療方法。
【0214】
・運動障害の治療のための医薬の製造のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの使用であって、治療が、被験体において90%までのVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記使用。
【0215】
さらなる実施形態では、以下が提供される:
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において85%までのVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0216】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において80%までのVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0217】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において75%までのVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0218】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において70%までのVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0219】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において20%~90%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0220】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において25%~85%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0221】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において30%~80%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0222】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において35%~75%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0223】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において35%~70%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0224】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において40%~75%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0225】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において45%~75%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0226】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において35%~80%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0227】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において40%~80%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0228】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において45%~80%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0229】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において50%~80%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0230】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において55%~80%のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0231】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療が、被験体において30%~70%(例えば、30%と70%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0232】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において30%~65%(例えば、30%と65%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0233】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において30%~60%(例えば、30%と60%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0234】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において40%~80%(例えば、40%と80%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0235】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において40%~75%(例えば、40%と75%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0236】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において40%~70%(例えば、40%と70%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0237】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において40%~65%(例えば、40%と65%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0238】
・本明細書に記載の使用のための(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用であって、治療がそれを必要とする被験体に投与することを含み、方法が被験体において40%~60%(例えば、40%と60%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを被験体に投与することを含む、上記(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、方法又は使用。
【0239】
運動障害は、ハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア、ミオクローヌス、及びトゥレット症候群などの多動性運動障害であり得る。一実施形態では、運動障害はトゥレット症候群である
【0240】
前述の実施形態の各々において、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンに対して、ジヒドロテトラベナジンの任意の他の異性体の20重量%以下を伴う。
【0241】
より通常には(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンが、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンに対して10重量%以下のジヒドロテトラベナジンの任意の他の異性体;好ましくは(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンに対して5重量%以下のジヒドロテトラベナジンの任意の他の異性体;より好ましくは(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンに対して2重量%以下のジヒドロテトラベナジンの任意の他の異性体を伴う。最も好ましくは、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンが、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンに対して1%未満(例えば、0.5%未満又は0.1%未満)のジヒドロテトラベナジンの任意の他の異性体を伴う。
【0242】
従って、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、典型的には少なくとも80%の異性体純度を有する。
【0243】
本文脈における「異性体純度」という用語は、すべての異性体形態のジヒドロテトラべナジンの総量又は濃度に対して存在する(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジンの量を指す。例えば、組成物中に存在する総ジヒドロテトラベナジンの90%が(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンである場合、異性体純度は90%である。
【0244】
本発明の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、82%超、85%超、87%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、99.5%超、又は99.9%超の異性体純度を有することができる。
【0245】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩に関する本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、典型的には、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩が治療有効量のアマンタジンと共に投与されない。より詳細には(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩はいかなる量のアマンタジンとも投与されない。
【0246】
例えば、医薬品単位剤形に関して、典型的には単位剤形が治療有効量のアマンタジンを含まず、より詳細には医薬品単位剤形がいかなる量のアマンタジンも含まない。
【0247】
さらに、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩に関する本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、医薬単位剤形は、徐放又は遅延放出剤形以外であってもよい。
【0248】
従って、例えば、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩は、即時放出単位剤形として投与され得る。
【0249】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンと(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び/又は(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンとの組み合わせ
さらなる態様では、式(III)を有する(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン
【化7】
及び
式(II)を有する(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン
【化8】
及び/又は式(I)を有する(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン
【化9】
の組み合わせが、とりわけ、テトラベナジンが現在使用又は提案されている疾患状態及び症状の予防又は治療に有用であろうと考えられる。したがって、例として、限定するものではないが、ジヒドロテトラベナジン異性体のこれらの組み合わせは、ハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア、及び特にトゥレット症候群などの多動性運動障害の治療に使用することができると考えられる。
【0250】
したがって、第1の態様では、本発明が以下を含む医薬組み合わせを提供する:
(a)(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩;
並びに
以下のいずれか又は両方:
(b)(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;
及び
(c)(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩。
【0251】
一実施形態では、本発明が以下を含む医薬品組み合わせを提供する:
(a)(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩;
及び
(b)(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0252】
別の実施形態では、本発明が以下を含む医薬組み合わせを提供する:
(a)(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩;
及び
(c)(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩。
【0253】
別の実施形態では、本発明が以下を含む医薬組成物を提供する:
(a)(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩;
(b)(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;
及び
(c)(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はその薬学的に許容される塩。
【0254】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、文脈が別段の指示をしない限り、本明細書では集合的に「本発明のジヒドロテトラベナジン異性体」又は「ジヒドロテトラベナジンの異性体」又は「ジヒドロテトラベナジン」と呼ぶことができる。医薬製剤のタイプを記載する場合、それらは、集合的に「活性化合物」と呼ばれることもある。
【0255】
医薬組み合わせは、(-)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを実質的に含まなくてもよい。従って、本発明はまた、単位剤形が(-)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを実質的に含まない、本明細書中に記載されるような医薬組み合わせを提供する。
【0256】
「実質的に(-)‐β‐ジヒドロテトラベナジンを含まない」とは、ジヒドロテトラベナジンの全異性体の総重量と比較して存在する(-)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの重量%が5%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは2%未満、最も好ましくは1%未満であることを意味する。
【0257】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの相対比率は、個々の異性体の重量部で表すことができる。従って、例えば、単位剤形は、35~75重量部の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン及び25~55重量部のα‐ジヒドロテトラベナジン((+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はそれらの混合物のいずれかであり得る)を含み得る。重量部として上記で表された割合は代わりに、モル比(全ての異性体が同じ分子量を有するので)で表すことができ、この場合、異性体の相対割合は、35~70:25~55の(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジン:α‐ジヒドロテトラべナジン(((+)‐α‐ジヒドロテトラべナジン又は(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジン又はそれらの混合物のいずれかであってもよい)のモル比として表すことができることが理解されるであろう。
【0258】
一実施形態では、本発明の医薬組み合わせは以下を含む:
(a)40~65重量部の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩
(c)40~65重量部の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0259】
例えば、医薬組み合わせは、以下を含み得る:
(a)45~55重量部の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩
(c)45~55重量部の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0260】
特定の一実施形態では、医薬組み合わせは(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンをほぼ等モル量で含む。
【0261】
別の実施形態では、本発明の医薬組み合わせは以下を含む:
(a)45~65重量部の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;
(b)30~50重量部の(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;及び任意選択で
(c)0.1~5重量部の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0262】
別の実施形態では、本発明の医薬品組み合わせは以下を含む:
(a)45~65重量部の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;
(b)30~50重量部の(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;及び任意選択で
(c)0.1~3重量部の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0263】
別の実施形態では、本発明の医薬組み合わせは以下を含む:
(a)45~65重量部の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;
(b)30~50重量部の(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;及び任意選択で
(c)0.1~2重量部の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0264】
さらなる実施形態において、本発明の医薬組み合わせは、以下を含む:
(a)45~65重量部の(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;
(b)30~50重量部の(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩;及び任意選択で
(c)0.1~1.5重量部の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン又はその薬学的に許容される塩。
【0265】
医薬的組み合わせとは、被験体、典型的にはヒト又は他の動物被験体への投与に適した形の3つのジヒドロテトラベナジン(a)及び(b)及び/又は(c)の組み合わせを意味する。したがって、この用語は、粗反応混合物、部分的に精製された反応生成物、全血サンプル、又は血漿などの血液画分サンプル、又は組み合わせを含む尿サンプルなどの他の生物学的サンプルを除外する。それはまた、薬学において通常使用されない、薬学的に許容されない溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)中の組み合わせの単純な溶液を除外する。
【0266】
医薬組み合わせは純粋な化合物の混合物の形であってもよく、又は組み合わせは1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。
【0267】
典型的には、医薬組み合わせは薬学的に許容される賦形剤を含み、規定量のジヒドロテトラベナジン(a)、(b)及び/又は(c)を含有する単位剤形として製剤化される。
【0268】
本発明の医薬組み合わせにおいて、3つのジヒドロテトラベナジン(a)、(b)及び(c)のうちの1つ以上は別々に処方され得るが、組み合わせて使用され得る。しかしながら、より典型的には3つのジヒドロテトラベナジン(a)、(b)及び(c)は医薬組成物、特に単位剤形に一緒に製剤化される。
【0269】
本明細書で定義される組み合わせを含有する本発明の単位剤形では、3つの異性体(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの量の合計(「総量」)は100mgを超えないように選択することができる。
【0270】
典型的には、医薬単位剤形が有効量のアマンタジンを含まない。一実施形態では、医薬品単位剤形がアマンタジンを含まないものである。
【0271】
医薬単位剤形は、即時放出単位剤形であり得る。
【0272】
特定の実施形態では:
・3つの異性体の総量が75mgを超えないか、
・3つの異性体の総量が50mgを超えないか、
・3つの異性体の総量が40mgを超えないか、
・3つの異性体の総量が30mgを超えないか、
・3つの異性体の総量が20mgを超えない。
【0273】
単位剤形は、経口的に投与されるもの、例えばカプセル又は錠剤であり得る。
【0274】
単位剤形は、経口的に投与されるもの、例えばカプセル又は錠剤であり得る。
【0275】
本明細書で定義される医薬組み合わせは、医薬での使用のために提供される。
【0276】
より詳細には、上記で定義及び記載された医薬組み合わせ(及び単位剤形)が、ハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア及びトゥレット症候群などの多動性運動障害の治療における使用のために提供される。
【0277】
より詳細には、上記の医薬組み合わせ(及び単位剤形)が、チック障害、ハンチントン病、遅発性ジスキネジア及びトゥレット症候群から選択される多動性運動障害の治療に使用するためのものである。
【0278】
1つの特定の実施形態において、上記の医薬組み合わせ(及び単位剤形)は、遅発性ジスキネジアの治療に使用するためのものである。
【0279】
別の特定の実施形態において、上記の医薬組み合わせ(及び単位剤形)は、トゥレット症候群の治療における使用のためのものである。
【0280】
さらなる態様において、本発明は以下を提供する:
・多動性運動障害の治療に使用するための、本明細書で定義される医薬組み合わせ。
【0281】
・それを必要とする被験体(例えば、ヒトのような哺乳動物被験体)における多動性態運動障害の治療方法であって、本明細書中に定義されるような医薬組み合わせの治療有効量を被験体に投与するステップを包含する、上記方法。
【0282】
・多動性運動障害の治療のための医薬の製造のための、本明細書で定義される医薬組み合わせの使用。
【0283】
・多動性運動障害が、ハンチントン病、ヘミバリスム、老人舞踏病、チック障害、遅発性ジスキネジア、ジストニア及びトゥレット症候群から選択される、本明細書に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0284】
多動性運動障害がトゥレット症候群である、本明細書に記載の、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0285】
それぞれのケースにおいて、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン;及び任意に(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせは、典型的には1日に1回投与される。
【0286】
VMAT2の完全な遮断は、パーキンソン症候群のような望ましくない副作用を引き起こし得るので、望ましくないと考えられる。本発明は運動障害の有効な治療を与えるのに十分であるが、パーキンソン症候群及び類似の副作用を引き起こす程度までVMAT2を遮断しない、ジヒドロテトラベナジンの血漿レベルを提供する。VMAT2遮断のレベルは、陽電子放出断層撮影(PET)を用いた競合結合研究によって決定することができる。放射性リガンドを目的の化合物と種々の濃度で同時投与することによって、占有される結合部位の割合を決定することができる(例えば、Matthewsら、”Positron emission tomography molecular imaging for drug development”(「薬物開発のための陽電子放出断層撮影分子イメージング」)、Br.J.Clin.Pharmacol、73:2、175~186を参照のこと)。従って、本発明はまた、以下のものを提供する:
【0287】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において20%を超えるVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0288】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において30%を超えるVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0289】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において40%を超えるVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0290】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において90%未満のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0291】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において85%未満のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0292】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において80%未満のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0293】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において75%未満のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0294】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において70%未満のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0295】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において20%~90%(例えば、20%と90%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0296】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において30%~80%(例えば、30%と80%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0297】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において30%~75%(例えば、30%と75%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0298】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において30%~70%(例えば、30%と70%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0299】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において30%~65%(例えば、30%と65%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0300】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において30%~60%(例えば、30%と60%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0301】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において40%~80%(例えば、40%と80%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0302】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において40%~75%(例えば、40%と75%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0303】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において40%~70%(例えば、40%と70%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0304】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において40%~65%(例えば、40%と65%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0305】
・本明細書中に記載される、使用のための単位剤形、使用のための医薬組み合わせ、方法又は使用であって、治療が、被験体において40%~60%(例えば、40%と60%の間)のVMAT2タンパク質の遮断レベルを引き起こすのに十分な量の単位剤形又は組み合わせを被験体に投与することを含む、上記単位剤形、医薬組み合わせ、方法又は使用。
【0306】
ジヒドロテトラベナジン(a)及び(b)及び/又は(c)の組み合わせに関する本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、典型的には、組み合わせは治療有効量のアマンタジンと共に投与されない。より詳細には、組み合わせはいかなる量のアマンタジンとも投与されない。
【0307】
例えば、医薬単位剤形に関して、典型的には単位剤形が治療有効量のアマンタジンを含まず、より詳細には医薬単位剤形がいかなる量のアマンタジンも含まない。
【0308】
さらに、ジヒドロテトラベナジン(a)及び(b)及び/又は(c)の組み合わせに関する本発明の前述の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、医薬単位剤形は、徐放性又は遅延放出性剤形以外であってもよい。
【0309】
従って、例えば、ジヒドロテトラベナジン(a)及び(b)及び/又は(c)の組み合わせは、即時放出単位剤形として投与され得る。
【0310】
遊離塩基及び塩
本発明の前述の態様及び実施形態の各々において、本明細書中のジヒドロテトラベナジンの個々の異性体への全ての言及は文脈がそうでないことを示さない限り、その遊離塩基及び塩の両方をいう。
【0311】
塩は、典型的には酸付加塩である。
塩は、Pharmaceutical Salts: Properties,Selection,and Use,P.Heinrich Stahl(編者),Camille G.Wermuth(編者),ISBN: 3‐90639‐026‐8,ハードカバー、388頁、8月、2002年に記載されている方法などの従来の化学的方法によって親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は遊離塩基形態の化合物を水中又は有機溶媒中、又はこれら2つの混合物中で酸と反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、アセトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルなどの非水性媒体が使用される。
【0312】
酸付加塩は、無機及び有機の両方の広範囲の酸で形成することができる。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2‐ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L‐アスコルビン酸)、L‐アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4‐アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)‐(1S)‐カンファー‐10‐スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、エタン‐1,2‐ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2‐ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D‐グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D‐グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L‐グルタミン酸)、α‐オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、(+)‐L‐乳酸、(±)‐DL‐乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-)‐L‐リンゴ酸、マロン酸、(±)‐DL‐マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン‐2‐スルホン酸、ナフタレン‐1,5‐ジスルホン酸、1‐ヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L‐ピログルタミン酸、サリチル酸、4‐アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)‐L‐酒石酸、チオシアン酸、p‐トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸及び吉草酸、並びにアシル化アミノ酸及びカチオン交換樹脂からなる群から選択される酸により形成された塩が挙げられる。
【0313】
本発明の化合物の塩形態は典型的には薬学的に許容される塩であり、薬学的に許容される塩の例は、Berge et al.,1977,”Pharmaceutically Acceptable Salts”(「薬学的に許容される塩」),J.PharmSci.,Vol.66,pp.1‐19に記載されている。しかし、薬学的に許容されない塩はまた、中間体形態として調製され得、次いで、これは、薬学的に許容される塩に変換され得る。このような薬学的に許容されない塩形態もまた、例えば、本発明の化合物の精製又は分離において有用であり得、本発明の一部を形成する。
【0314】
ジヒドロテトラベナジンの異性体は、1つ以上の同位体置換を含有してもよく、特定の要素への言及はその範囲内に、要素の全ての同位体を含む。例えば、水素への言及はその範囲内に、1H、2H(D)、及び3H(T)を含む。同様に、炭素及び酸素への言及はそれぞれその範囲内に、11C、12C、13C及び14C並びに16O及び18Oを含む。
【0315】
典型的には、本発明のジヒドロテトラベナジンの異性体は、その天然存在量より多い量の同位体(例えば、11C又は3H)を含まない。
【0316】
一実施形態では、重水素原子である(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン中の全水素原子のパーセンテージが2%未満、より典型的には1%未満、より通常には0.1%未満、好ましくは0.05%未満、最も好ましくは0.02%以下である。
【0317】
類似の様式で、特定の官能基への言及はまた、文脈がそうでないことを示さない限り、その範囲内に同位体のバリエーションを含む。
【0318】
同位体は、放射性であっても非放射性であってもよい。本発明の一実施形態では、ジヒドロテトラベナジンの異性体が放射性同位体を含まない。このような化合物は、治療用途に好ましい。しかしながら、別の実施形態では、ジヒドロテトラベナジンの異性体の1つ以上が1つ以上の放射性同位体を含有する可能性がある。このような放射性同位体を含有する化合物は、診断の状況において有用であり得る。
【0319】
ジヒドロテトラベナジンの異性体への言及は、化合物によって形成される任意の溶媒和物を含む。
【0320】
溶媒和物の例は本発明の化合物の固体状態構造(例えば、結晶構造)に、無毒性の薬学的に許容される溶媒(以下、溶媒和溶媒と呼ぶ)の分子を組み込むことによって形成される溶媒和物である。このような溶媒の例としては、水、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール及びブタノール)及びジメチルスルホキシドが挙げられる。溶媒和物は、溶媒又は溶媒和溶媒を含有する溶媒の混合物を用いて本発明の化合物を再結晶することによって調製することができる。任意の所与の例において溶媒和物が形成されたか否かは、化合物の結晶を、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)及びX線結晶学などの周知の標準的な技術を使用して分析することによって決定することができる。
【0321】
溶媒和物は、化学量論的又は非化学量論的溶媒和物であり得る。
溶媒和物の特定の例は、半水和物、一水和物及び二水和物などの水和物である。
【0322】
溶媒和物及びそれらを作製及び特徴付けるために使用される方法のより詳細な議論については、Brynら、Solid‐State Chemistry of Drugs、第2版、West Lafayette,IN,USAのSSCI,Inc.によって出版、1999、ISBN0‐967‐06710‐3を参照のこと。
【0323】
あるいは、水和物として存在するのではなく、本発明の化合物は無水であってもよい。従って、別の実施形態において、ジヒドロテトラベナジンの異性体の1つ以上は無水形態である。
【0324】
ジヒドロテトラベナジン異性体の調製方法
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、スキーム1に示す合成経路に従ってテトラベナジンから調製することができる。
【化10】
【0325】
テトラベナジンのRR及びSS異性体を含むラセミテトラベナジン(3‐イソブチル‐9,10‐ジメトキシ‐1,3,4,6,7,11b‐ヘキサヒドロ‐2H‐ピリド[2,1,a]イソキノリン‐2‐オン)を水素化ホウ素ナトリウムで還元して、α‐ジヒドロテトラベナジンのラセミ混合物(RRR及びSSS異性体)が主生成物を構成し、β‐ジヒドロテトラベナジンのラセミ混合物(SRR及びRSS異性体)が副生成物を構成する4種のジヒドロテトラベナジン異性体の混合物を得た。β‐ジヒドロテトラベナジンは最初の精製手順の間に、例えばクロマトグラフィー又は再結晶によって除去することができ、次いでラセミα‐ジヒドロテトラベナジンは、キラルクロマトグラフィー又はキラル酸との反応によるジアステレオ異性塩の形成と、それに続く再結晶による分離のような周知の方法によって分離することができる。
【0326】
例えば、ラセミ混合物をジ‐p‐トルオイル‐L‐酒石酸又は(R)‐(-)‐カンファースルホン酸で再結晶することにより、又はキラルクロマトグラフィーにより、(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジン異性体(I)(((2R,3R,11bR)‐3‐イソブチル‐9,10‐ジメトキシ‐1,3,4,6,7,11b‐ヘキサヒドロ‐2H‐ピリド[2,1,a]イソキノリン‐2‐オール)を得ることができる。
【0327】
ラセミ混合物をジ‐p‐トルオイル‐R‐酒石酸又は(L)‐(+)‐カンファースルホン酸で再結晶することにより、又はキラルクロマトグラフィーにより、(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジン異性体(I)((2S,3S,11bS)‐3‐イソブチル‐9,10‐ジメトキシ‐1,3,4,6,7,11b‐ヘキサヒドロ‐2H‐ピリド[2,1,a]イソキノリン‐2‐オール)を得ることができる。
【0328】
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンはまた、Yaoら、”Preparation and evaluation of tetrabenazine enantiomers and all eight stereoisomers of dihydrotetrabenazine as VMAT2 inhibitors”(「VMAT2インヒビターとしてのテトラべナジン鏡像異性体及びジヒドロテトラべナジンの8つのすべての立体異性体の調製と評価」)、Eur.J.Med.Chem.,(2011),46,pp.1841‐1848に従って調製され得る。
【0329】
(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン(式(III)の化合物)は、スキーム2に示す合成経路に従ってテトラベナジンから調製することができる。
【化11】
【0330】
テトラべナジンのRR及びSS異性体を含むラセミテトラベナジン(3‐イソブチル‐9,10‐ジメトキシ‐1,3,4,6,7,11b‐ヘキサヒドロ‐2H‐ピリド[2,1,a]イソキノリン‐2‐オン)を水素化ホウ素ナトリウムで還元して、β‐ジヒドロテトラベナジンのラセミ混合物(SRR及びRSS異性体)が主生成物を構成し、α‐ジヒドロテトラベナジンのラセミ混合物(RRR及びSSS異性体)が副生成物を構成する4種のジヒドロテトラベナジン異性体の混合物を得た。α‐ジヒドロテトラべナジンは最初の精製手順の間に、例えばクロマトグラフィー又は再結晶によって除去され、次いでラセミβ‐ジヒドロテトラべナジンは(例えば、ジ‐p‐トルオイル‐L‐酒石酸又は(R)‐(-)‐カンファースルホン酸による再結晶によって、又はキラルクロマトグラフィーによって)分割され、(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジン(III)((2S,3R,11bR)‐3‐イソブチル‐9,10‐ジメトキシ‐1,3,4,6,7,11b‐ヘキサヒドロ‐2H‐ピリド[2,1,a]イソキノリン‐2‐オール)を得る。(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンの立体化学的配置は、例えば、結晶形態のメシレート塩のような塩を形成し、X線結晶学によって構造を同定することによって決定することができる。
【0331】
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジンは、Yao et al.,”Preparation and evaluation of tetrabenazine enantiomers and all eight stereoisomers of dihydrotetrabenazine as VMAT2 inhibitors”(「VMAT2インヒビターとしてのテトラべナジン鏡像異性体及びジヒドロテトラべナジンの8つのすべての立体異性体の調製と評価」),Eur.J.Med.Chem.,(2011),46,pp.1841‐1848に従って調製することもできる。
【0332】
いったん調製され精製されると、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、及び存在する場合には(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジン、又はそれらのそれぞれの塩を、必要な割合で混合することができる。
【0333】
医薬製剤及び治療方法
本発明の医薬単位剤形は、経口、非経口、局所、鼻腔内、気管支内、眼、耳、直腸、膣内、又は経皮投与に適切な任意の形態であり得る。組成物が非経口投与のために意図される場合、それらは、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下投与のために、又は注射、注入若しくは他の送達手段による標的器官若しくは組織への直接送達のために製剤化され得る。
【0334】
経口投与に適した医薬単位剤形には、錠剤、カプセル、カプレット、ピル、ロゼンジ、シロップ、溶液、スプレー、粉末、顆粒、エリキシル及び懸濁液、舌下錠剤、スプレー、ウェーハー又はパッチ及び頬側パッチが含まれる。
【0335】
本発明の組み合わせを含有する医薬単位剤形の特定の例は、カプセル及び錠剤である。
【0336】
本発明の組み合わせを含有する医薬単位剤形は周知技術に従って製剤化することができ、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA,USAを参照されたい。
【0337】
従って、錠剤組成物は活性化合物の組み合わせの単位投薬量を、不活性希釈剤又は担体(例えば、糖又は糖アルコール(例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトール又はマンニトール);及び/又は非糖由来希釈剤(例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、タルク、炭酸カルシウム)、又はセルロース若しくはその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、並びにデンプン(例えば、トウモロコシデンプン))と一緒に含み得る。錠剤はまた、ポリビニルピロリドンのような結合剤及び顆粒化剤、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースのような膨潤性架橋ポリマー)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸塩又はクエン酸塩緩衝剤)、及びクエン酸塩/重炭酸塩混合物のような発泡剤のような標準的な成分を含み得る。このような賦形剤は周知であり、ここで詳細に論じる必要はない。
【0338】
カプセル製剤は、硬質ゼラチン又は軟質ゼラチンの種類であってもよく、固体、半固体、又は液体の形態で活性成分を含有することができる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチン又はその合成若しくは植物由来均等物から形成することができる。
【0339】
固体剤形(例えば、錠剤、カプセルなど)はコーティングされていてもコーティングされていなくてもよいが、典型的にはコーティング、例えば、保護フィルムコーティング(例えば、ワックス又はワニス)又は放出制御コーティングを有する。コーティング(例えば、Eudragit(商標)型ポリマー)は、胃腸管内の所望の位置で活性成分を放出するように設計することができる。したがって、コーティングは胃腸管内の特定のpH状態で分解し、それによって胃又は回腸又は十二指腸内で化合物を選択的に放出するように選択することができる。
【0340】
コーティングの代わりに、又はコーティングに加えて、本発明の組み合わせを構成するジヒドロテトラベナジンの異性体、又はその薬学的に許容される塩は放出制御剤、例えば、胃腸管内で様々な酸性度又はアルカリ度の条件下で化合物を選択的に放出するように適合され得る放出遅延剤を含む固体マトリックス中に提示され得る。あるいは、マトリックス材料又は放出遅延コーティングが剤形が胃腸管を通過する際に実質的に連続的に浸食される浸食性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。
【0341】
局所使用のための組成物には、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ、ゲル、液滴及びインサート(例えば、眼内インサート)が含まれる。このような組成物は、公知の方法に従って製剤化され得る。
【0342】
非経口投与のための組成物は典型的には滅菌水性若しくは油性溶液又は微細懸濁液として提供されるか、又は注射のための滅菌水で即時に構成するために、細かく分割された滅菌粉末形態で提供され得る。
【0343】
直腸又は膣内投与のための製剤の例としては、例えば、活性化合物を含有する成形可能な又は蝋質の材料から形成され得る、ペッサリー及び坐剤が挙げられる。
【0344】
吸入による投与のための組成物は吸入可能な粉末組成物又は液体若しくは粉末スプレーの形態をとることができ、粉末吸入装置又はエアロゾル分配装置を使用して標準形態で投与することができる。このような装置は周知である。吸入による投与のために、粉末製剤は典型的には不活性固体粉末希釈剤(例えば、ラクトース)と一緒に、ジヒドロテトラベナジン異性体、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む。
【0345】
ジヒドロテトラベナジンの異性体及びそれらのそれぞれの塩は、別々に製剤化し、組み合わせて使用され得るか、又はそれらは一緒に製剤化され得る。一緒に製剤化される場合、それらは、1つ以上の医薬賦形剤が単位剤形のような医薬組成物を形成するための処理(例えば、圧縮して錠剤を形成するか、又はカプセルに充填する)の前に添加される混合物として提供され得る。あるいは、それらは賦形剤又は賦形剤の混合物に別々に添加され、一緒に処理され得る。さらなる代替において、ジヒドロテトラべナジン異性体の少なくともいくつかは、異なる顆粒、ペレット、マイクロビーズ、又はミニ錠剤に別々に処方され得、次いで、一緒にされ、処理されて、医薬組成物を与え得る(例えば、カプセルに充填するか、又は錠剤を形成するために圧縮することによって)。別の代替として、ジヒドロテトラべナジン異性体の異なる異性体は、多層錠剤中の異なる層内に含有され得る。
【0346】
本発明の特定の医薬組成物は、以下から選択される組成物である:
・舌下組成物;
・鼻腔内;
・活性化合物のゼロ次放出に対応する放出動力学を提供するように製剤化されたペレット又は錠剤;
・活性化合物の最初の速い放出、その後の一定速度の放出(ゼロ次)を提供するように製剤化されたペレット又は錠剤;
・活性化合物の一次及びゼロ次放出の混合物を提供するように製剤化されたペレット又は錠剤;及び
・活性化合物のゼロ次及び一次放出の組み合わせを提供するように製剤化されたペレット又は錠剤;並びに任意選択で、放出の二次、三次及び四次から選択される活性化合物のより高次の放出及びそれらの組み合わせ。
【0347】
上で定義されたタイプの放出動力学を提供するように製剤化されたペレット及び錠剤は例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(同上)及び”Remington‐The Science and Practice of Pharmacy,21版,2006,ISBN 0‐7817‐4673‐6に記載されているような、当業者に周知の方法に従って調製することができる。
【0348】
本発明の組み合わせは一般に、医薬単位剤形で提供され、それ自体、典型的には上記のように、所望のレベルの生物学的活性を提供するのに十分な化合物を含有する。
【0349】
本発明の組み合わせは、上記のように、所望の治療効果を達成するのに十分な量で、それを必要とする被験体(患者)(例えば、ヒト又は動物患者)に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0350】
【
図1】
図1は以下の実施例2、試験1に記載されるように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発あり又はなし)で、及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを2.5mg/kgの用量で、及びリスペリドンを1mg/kgの用量で、処置した場合にラットが移動した平均総距離を示す。
【0351】
【
図2】
図2は以下の実施例2、試験1に記載されるように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発あり又はなし)及び(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを2.5mg/kgの用量で、及びリスペリドンを1mg/kgの用量で、処置した場合のラットによる平均総常同行動を示す。
【0352】
【
図3】
図3は以下の実施例2、試験2に記載されるように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発あり又はなし)及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを0.1mg/kg及び0.25mg/kgの用量で、及びリスペリドンを1mg/kgの用量で、処置した場合のラットが移動した平均総距離を示す。
【0353】
【
図4】
図4は以下の実施例2、試験2に記載されるように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発あり又はなし)及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを0.1mg/kg及び0.25mg/kgの用量で、及びリスペリドンを1mg/kgの用量で、処置した場合のラットによる平均総常同行動を示す。
【0354】
【
図5】
図5は下記の実施例2、試験3に記載されているように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発のあり又はなし)及び(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンを2mg/kgの用量で、(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジンの2mg/kgの用量と(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンの2mg/kgの用量の組み合わせで、及びリスペリドンを1mg/kgの用量で、処置した場合のラットの平均総移動距離を示している。
【0355】
【
図6】
図6は下記の実施例2、試験3に記載されているように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発のあり又はなし)及び(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンを2mg/kgの用量で、(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジンの2mg/kgの用量と(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンの2mg/kgの用量の組み合わせで、及びリスペリドンを1mg/kgの用量で、処置した場合のラットの平均総常同行動を示している。
【0356】
【
図7】
図7は下記の実施例2、試験4に記載されているように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発のあり又はなし)及び種々の比率での(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジンと(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンの組み合わせ、及びリスペリドンを1mg/kgの用量で、処置した場合のラットの平均総移動距離を示している。
【0357】
【
図8】
図8は下記の実施例2、試験4に記載されているように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発のあり又はなし)及び種々の比率での(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジンと(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンの組み合わせ、及びリスペリドンを1mg/kgの用量で、処置した場合のラットの平均総常同行動を示している。
【0358】
【
図9】
図9は下記の実施例2、試験5に記載されているように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発のあり又はなし)、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、及び(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジンと(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジンの組み合わせで、処置した場合のラットの平均総移動距離を示している。
【0359】
【
図10】
図10は下記の実施例2、試験5に記載されているように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発のあり又はなし)、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、及び(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジンと(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジンの組み合わせで、処置した場合のラットの平均総常同行動を示している。
【0360】
【
図11】
図11は下記の実施例2、試験6に記載されているように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発のあり又はなし)、(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジン単独、(-)‐β‐ジヒドロテトラべナジンと組み合わせた(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンと組み合わせた(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジン、(-)‐β‐ジヒドロテトラべナジンと組み合わせた(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジン、及び(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジンと組み合わせた(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジンで、処置した場合のラットの平均総移動距離を示している。
【0361】
【
図12】
図12は下記の実施例2、試験6に記載されているように、アンフェタミン誘発ラットにおいて、ビヒクル(アンフェタミン誘発のあり又はなし)、(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジン単独、(-)‐β‐ジヒドロテトラべナジンと組み合わせた(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジンと組み合わせた(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジン、(-)‐β‐ジヒドロテトラべナジンと組み合わせた(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジン、及び(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジンと組み合わせた(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジンで、処置した場合のラットの常同行動(経時的な距離)を示している。
【実施例】
【0362】
以下の非限定的な実施例は、本発明の組成物の合成及び特性を例示する。
【0363】
例1
ヒト被験体へのテトラベナジン投与後に形成されるジヒドロテトラベナジン代謝産物の性質に関する調査
健康成人男子ボランティアを被験体に、空腹時に25mg錠剤を1日1回単一、反復経口投与し、+/‐α及び+/‐βジヒドロテトラベナジンの血漿中濃度を確認する薬物動態試験を行った。データを以下に要約する。
【0364】
表1は、25mgの用量レベルでのテトラベナジンの単回経口投与(絶食、N =08)後に得られた薬物動態データを要約する。
表1
【表1】
【0365】
表2は、25mgの用量レベルでのテトラベナジンの反復経口投与(絶食、N =07)後に得られた薬物動態データを要約する。
表2
【表2】
【0366】
表1及び2に示されるデータは、ヒトにおいて、主要な代謝産物が,VMAT2結合剤として本質的に活性成分である(-)‐α‐ジヒドロテトラべナジン異性体、及び(+)‐α‐ジヒドロテトラべナジン異性体よりも有意に活性が低い(+)‐β‐ジヒドロテトラべナジン異性体であることを実証する。(-)‐β‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンはわずかな代謝物であることが示された
【0367】
データは、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンがテトラベナジンの治療特性に主要な貢献をしているのではないことを示唆する。反対に、(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンは、テトラベナジンの治療特性に対して比較的小さな寄与で貢献している可能性があると思われる。
【0368】
例2
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンと(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせがラットの自発運動及び常同運動に及ぼす効果の検討
(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンと(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせがラットの自発運動と常同運動に及ぼす影響を調べ、個々の(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンと(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン異性体の影響と比較した。
【0369】
材料及び方法
設備
オープンフィールドアリーナ、Med Associates Inc.
プラスチックシリンジ1ml、テルモ(Terumo)Ref:SS‐01T1
動物給餌針15G,Instech Solomon,Cat:72‐4446
Sartorius Mechatronics Scale A22101、Sartorius Weighting Technology,Germany
針27G Terumo Myjector、0,5ml、Ref:8300010463
プラスチックシリンジ3ml、Soft‐Ject、Ref:8300005761
BD Microtainer K2EDTAチューブ Ref:365975
マトリックス0,75ml,Alphanum Tubes,Thermo Scientific,Ref:4274
マイクロプレートデバイス(Microplate Devices)、Uniplate 24ウェル、10ml、Ref:734‐1217
Thermo Electron Corp.Heraeus Fresco 17、冷蔵遠心分離機
【0370】
被験動物
すべての動物実験は、実験動物のケア及び使用のための米国国立衛生研究所(NIH)ガイドラインに従って実施され、フィンランド国立動物実験委員会(the National Animal Experiment Board, Finland)によって承認された。200~250g(到着時に165~200g)の重量範囲の雄CD(Charles River Laboratories,Germany)を実験に使用した。動物を、標準温度(22±1℃)で、光制御環境(午前7時から午後8時までの照明)で、食物及び水への自由なアクセスで飼育した。
【0371】
方法
ラットの自発運動をオープンフィールドアリーナで試験した。オープンフィールド試験は、ラットの光サイクルの間、試験チャンバーに均等に分配された通常の照明下で行った。ラットの経路を活動モニター(Med.Associates Inc.)によって記録した。
【0372】
ビヒクル、アンフェタミン、(+)‐α‐DHTBZ、(-)‐α‐DHTBZ、(+)‐β‐DHTBZ、(-)‐β‐DHTBZ又はリスペリドンをLMA試験の前に投与した。ラットをアリーナの中心に置き、経路を30分間記録した。30分の試験後、ビヒクル又はアンフェタミンを投与し、ラットをアリーナの中心に置き、経路を60分間記録し、総試験時間は90分であった。
【0373】
エンドポイント、血液サンプル及び組織処理
試験の終わりから10分以内に、動物を過剰用量のCO2によって安楽死させた。末端血液サンプルを、ビヒクルラットを除く各群からの全ての化合物処置ラットから心臓穿刺で収集した。0.5mlの血液を、18G針に取り付けられたシリンジで収集し、予冷されたK2‐EDTAマイクロチューブ中に移動させた。EDTAマイクロチューブを数回反転させて、EDTAと血液を混合した。その後、直ちにウェットアイスにチューブを置き、採取の10~15分以内に遠心分離(Heraeus Fresco 17)(9.6x 1000 G/10x 1000 RPM、+4°C、2分間)し、サンプルマップに従ってドライアイス上の96チューブプレート(Matrix Technologies ScreenMates 0.75ml Alphaundic Round‐Bottom Storage tubes,PP)に200μlの血漿を採取した。
【0374】
血液採取後、頸部を頭蓋底で脱臼させ、脳を回収し、秤量した。脳重量を記録し、24ウェルプレート上のドライアイス上で脳を凍結させた。
【0375】
血漿及び脳サンプルを、分析のために送るまでドライアイス上で-80℃で保存した。
【0376】
試験1
動物を以下のようにグループ分けした:
・群1:ビヒクル(t=0分)及びビヒクル(t=30分)で処置した10匹のラット
・群2:ビヒクル(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
・群3:(-)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
・群4:リスペリドン1mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
【0377】
結果
1.移動距離
ビヒクル、(-)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kg又はリスペリドン1mg/kgのいずれかを投与したラットを、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間、LMA試験に供した。得られた自発運動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたって移動した正規化された総距離を
図1に示す。
【0378】
ビヒクル‐ビヒクル群と比較した場合、ビヒクル‐アンフェタミン及び(-)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kgは有意に異なっていた。ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、ビヒクル‐ビヒクル及びリスペリドン1mg/kgは有意に異なっていた。
【0379】
2.常同行動
ビヒクル、(-)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kg又はリスペリドン1mg/kgのいずれかを投与したラットを、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間、LMA試験に供した。得られた常同行動を、3分間のビンで、そして試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたる正規化された総常同行動を
図2に示す。
【0380】
ビヒクル‐ビヒクル群と比較した場合、ビヒクル‐アンフェタミン及び(-)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kgは有意に異なっていた。ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、ビヒクル‐ビヒクル及びリスペリドン1mg/kgは有意に異なっていた。
【0381】
結論
本試験では、雄CDラットにおけるアンフェタミン誘発性自発運動に対する、用量2.5mg/kgの(-)‐α‐DHTBZ及び用量1mg/kgのリスペリドンの効果を評価した。
【0382】
用量2.5mg/kgの(-)‐α‐DHTBZでは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、自発運動の低下又は常同行動の低下をもたらさなかった。2.5mg/kgの用量で(-)‐α‐DHTBZを投与されたラットは、周囲で行われていることにあまり関心を寄せていなかった。(-)‐α‐DHTBZを投与されたラットはビヒクル‐アンフェタミンを投与された動物と比較した場合、等しく活動的であり、これは(-)‐α‐DHTBZがリスペリドンと同様の鎮静効果を有さないことを示唆した。
【0383】
試験2
ラットに(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンを0.1mg/kg~0.25mg/kg、リスペリドンを1mg/kg投与した後の、常同行動及び移動距離への影響を検討した。
【0384】
動物を以下のようにグループ分けした:
・群1:ビヒクル(t=0分)及びビヒクル(t=30分)で処置した10匹のラット
・群2:ビヒクル(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
・群3:(+)‐α‐DHTBZ 0.1mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
・群4:(+)‐α‐DHTBZ 0.25mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
・群5:リスペリドン1mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
【0385】
結果
1 移動距離
ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 0.1mg/kg、(+)‐α‐DHTBZ 0.25mg/kg、又はリスペリドン1mg/kgのいずれかを投与したラットに、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間LMA試験を実施した。得られた自発運動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたって移動した正規化された総距離を
図3に示す。
【0386】
ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、ビヒクル‐ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 0.25mg/kg及びリスペリドン1mg/kgは有意に異なっていた。
【0387】
2 常同行動
ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 0.1mg/kg、(+)‐α‐DHTBZ 0.25mg/kg、又はリスペリドン1mg/kgのいずれかを投与したラットに、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間LMA試験を実施した。得られた常同行動を、3分間のビンで、そして試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたる正規化された総常同行動を
図4に示す。
【0388】
ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、ビヒクル‐ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 0.1mg/kg、(+)‐α‐DHTBZ 0.25mg/kg及びリスペリドン1mg/kgは有意に異なっていた。
【0389】
結論
本試験では、雄CDラットにおけるアンフェタミン誘発性自発運動に対する(+)‐α‐DHTBZの0.1mg/kg及び0.25mg/kg用量及びリスペリドンの1mg/kg用量の効果を評価した。
【0390】
(+)‐α‐DHTBZ0.25mg/kg及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、より低い自発運動をもたらした。試験した用量の両方の(+)‐α‐DHTBZ及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、減少した常同行動をもたらした。
【0391】
試験3
動物を以下のようにグループ分けした:
・群1:ビヒクル(t=0分)及びビヒクル(t=30分)で処置した10匹のラット
・群2:ビヒクル(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
・群3:(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
・群4:(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kgで(-)‐α‐DHTBZ 2mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置したラット10匹
・群5:リスペリドン1mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
【0392】
結果
1 移動距離
ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kg、(-)‐α‐DHTBZ 2mg/kg及び(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kgの組み合わせ又はリスペリドン1mg/kgのいずれかを投与したラットに、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間LMA試験を実施した。得られた自発運動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたって移動した正規化された総距離を
図5に示す。
【0393】
ビヒクル‐ビヒクル群と比較した場合、ビヒクル‐アンフェタミンは有意に異なっていた。ビヒクル‐アンフェタミン群と比較して、ビヒクル‐ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kg、(-)‐α‐DHTBZ 2mg/kgと(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kgの組み合わせ及びリスペリドン 1mg/kgの併用は有意に異なっていた。
【0394】
2 常同行動
ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kg、(-)‐α‐DHTBZ 2mg/kgと(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kgの組み合わせ又はリスペリドン1mg/kgのいずれかを投与したラットに、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間LMA試験を実施した。得られた常同行動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたる正規化された総常同行動を
図6に示す。
【0395】
ビヒクル‐アンフェタミン群と比較して、ビヒクル‐ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kg、(-)‐α‐DHTBZ 2mg/kgと(+)‐α‐DHTBZ 2mg/kgの組み合わせ、及びリスペリドン 1mg/kgは有意に異なっていた。
【0396】
結論
本試験では、雄CDラットにおけるアンフェタミン誘発性自発運動に対する、2mg/kgの用量での化合物(+)‐α‐DHTBZ、2mg/kgの用量での(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせ、及び1mg/kgの用量でのリスペリドンの効果を評価した。
【0397】
試験用量の(+)‐α‐DHTBZ、用量2mg/kgでの(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせ、及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、より低い自発運動をもたらした。試験用量の(+)‐α‐DHTBZ、用量2mg/kgでの(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせ、及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、定型的行動の減少をもたらした。
【0398】
(-)‐α‐異性体が誘発性自発運動の減少を、たとえあったとしても、極めてわずかにしか減少させないことが示されているにもかかわらず、アンフェタミン誘発性自発運動は、(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせで処置したラットでは(+)‐α‐DHTBZのみで処置したラットよりも少なかった。
【0399】
試験4
動物を以下のようにグループ分けした:
群1:ビヒクル(t=0分)及びビヒクル(t=30分)で処置した10匹のラット
群2:ビヒクル(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群3:(+)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kg(t=0分)及び(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kg及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群4:(+)‐α‐DHTBZ 1.0mg/kg(t=0分)及び(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kg及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群5:(+)‐α‐DHTBZ 1.0mg/kg(t=0分)及び(-)‐α‐DHTBZ 1.0mg/kg及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群6:(+)‐α‐DHTBZ 1.5mg/kg(t=0分)及び(-)‐α‐DHTBZ 1.0mg/kg及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
【0400】
結果
1 移動距離
ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kgの組み合わせ、又は(+)‐α‐DHTBZ 1.5mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kgの組み合わせのいずれかを投与したラットに、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間LMA試験を実施した。得られた自発運動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたって移動した正規化された総距離を
図7に示す。
【0401】
ビヒクル‐アンフェタミン群と比較して、ビヒクル‐ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ、(+)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kgの組み合わせ及び(+)‐α‐DHTBZ 1.5mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kgの組み合わせは有意に異なっていた。
【0402】
2 常同行動
ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kgの組み合わせ、又は(+)‐α‐DHTBZ 1.5mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kgの組み合わせを投与したラットに、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間LMA試験を実施した。得られた常同行動を、3分間のビンで、そして試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたる正規化された総常同行動を
図8に示す。
【0403】
ビヒクル‐ビヒクル群と比較した場合、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせは、有意に異なった。ビヒクル‐アンフェタミン群と比較して、ビヒクル‐ビヒクル、(+)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 0.5mg/kgの組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kgの組み合わせ、及び(+)‐α‐DHTBZ 1.5mg/kgと(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kgの組み合わせは、有意に異なっていた。
【0404】
結論
本試験では、雄CDラットにおけるアンフェタミン誘発性自発運動に対する(+)‐α‐DHTBZ及び(-)‐α‐DHTBZの0.5mg/kg + 0.5mg/kg、1mg/kg + 0.5mg/kg、1mg/kg + 1mg/kg及び1.5mg/kg + 1mg/kgの用量の組み合わせの効果を評価した。
【0405】
全ての試験した組み合わせにおける(+)‐α‐DHTBZ及び(-)‐α‐DHTBZの組み合わせ及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、より低い自発運動をもたらした。すべての試験用量での(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせ及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、常同行動の減少をもたらした。
【0406】
(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZとの間には相互作用があり、(+)‐α‐DHTBZがアンフェタミン誘発性多動性を遮断する能力に影響を及ぼすようである。
【0407】
(+)‐α‐DHTBZを1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZを0.5mg/kgの組み合わせを投与したラットと、(+)‐α‐DHTBZを1mg/kgと(-)‐α‐DHTBZを1mg/kgの組み合わせを投与したラットのデータを比較すると、単離した(-)‐α異性体の効率の欠如が実証されていることから、併用治療における(-)‐α異性体の量の増加が試験ラットの自発運動の低下をもたらしていることは予想されないであろう。
【0408】
試験5
動物を以下のようにグループ分けした:
群1:ビヒクル(t=0分)及びビヒクル(t=30分)で処置した10匹のラット
群2:ビヒクル(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群3:(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群4:(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群5:(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
【0409】
結果
1 移動距離
ビヒクル、(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg、(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kg又は(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kgのいずれかを投与したラットに、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間、LMA試験を行った。得られた自発運動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたって移動した正規化された総距離を
図9に示す。
【0410】
ビヒクル‐ビヒクル群と比較した場合、ビヒクル‐アンフェタミン、(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kg。ビヒクル‐アンフェタミン群と比較して、ビヒクル‐ビヒクル、(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kg、(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kgの組み合わせは有意に異なっていた。
【0411】
2 常同行動
ビヒクル、(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg、(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kg又は(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kgのいずれかを投与したラットに、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間、LMA試験を行った。得られた常同行動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたる正規化された総常同行動を
図10に示す。
【0412】
ビヒクル‐ビヒクル群と比較した場合、ビヒクル‐アンフェタミン、(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kgは有意に異なっていた。ビヒクル‐アンフェタミン群、ビヒクル‐ビヒクルと比較した場合、(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kg、(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kgの組み合わせは有意に異なっていた。
【0413】
試験6
動物を以下のようにグループ分けした:
群1:ビヒクル(t=0分)及びビヒクル(t=30分)で処置した10匹のラット
群2:ビヒクル(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群3:(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t =30分)で処置した10匹のラット
群4:(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kg+(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kg(t=0分);及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群5:(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kg+(-)‐β‐DHTBZ 1mg/kg(t=0分)及びt=30分)アンフェタミンで処置した10匹のラット
群6:(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg+(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群7:(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg+(-)‐β‐DHTBZ 1mg/kg(t=0分);及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群8:(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kg+(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg(t=0分);及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
群9:リスペリドン1mg/kg(t=0分)及びアンフェタミン(t=30分)で処置した10匹のラット
【0414】
結果
1 移動距離
ビヒクル又はジヒドロテトラベナジンのいずれかを投与したラットを、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間、LMA試験に供した。得られた自発運動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたって移動した正規化されていない総距離を
図11に示す。
【0415】
ビヒクル‐ビヒクル群と比較した場合、ビヒクル‐アンフェタミン、(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg+(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kg及び(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg+(-)‐β‐DHTBZ 1mg/kg群は有意に異なっていた。ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、ビヒクル‐ビヒクルは、群1及び3~9の全てが有意に異なっていた。
【0416】
2 常同行動
ビヒクル又はジヒドロテラベナジンのいずれかを投与したラットを、ビヒクル又はアンフェタミンチャレンジ後、最初に30分間、次いで60分間、LMA試験に供した。得られた常同行動を、3分間のビンで、試験期間にわたる合計として評価した。試験時間にわたる正規化されていない総常同行動を
図12に示す。
【0417】
ビヒクル‐ビヒクル群と比較した場合、ビヒクル‐アンフェタミン、(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg+(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kg及び(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg+(-)‐β‐DHTBZ 1mg/kg群は有意に異なっていた。ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、ビヒクル‐ビヒクルは、群1及び3~9の全てが有意に異なっていた。
【0418】
コメント
試験1は、雄CDラットにおけるアンフェタミン誘発性自発運動に対する、2.5mg/kgの用量の(-)‐α‐DHTBZ及び1mg/kgの用量のリスペリドンの効果を評価した。
【0419】
(-)‐α‐DHTBZを2.5mg/kgの用量で投与しても、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、自発運動の低下又は常同行動の低下をもたらさなかった。2.5mg/kgの用量で(-)‐α‐DHTBZを投与されたラットは、自分の周囲で行われていることにあまり関心を寄せていなかった。(-)‐α‐DHTBZを投与されたラットはビヒクル‐アンフェタミンを投与された動物と比較した場合、等しく活動的であり、これは(-)‐α‐DHTBZが、リスペリドンと同様の行動に対する効果を有していないことを示唆している。
【0420】
試験2では、(+)‐α‐DHTBZ 0.1mg/kg及び0.25mg/kg、並びにリスペリドン1mg/kgが雄CDラットのアンフェタミン誘発性自発運動に及ぼす影響を評価した。
【0421】
0.25mg/kgでの(+)‐α‐DHTBZ及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、より低い自発運動をもたらした。試験した用量の両方での(+)‐α‐DHTBZ及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、減少した常同行動をもたらした。
【0422】
試験3では、(+)‐α‐DHTBZの2mg/kgの用量、(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせの2mg/kgの用量、及びリスペリドンの1mg/kgの用量の、雄CDラットのアンフェタミン誘発性自発運動に及ぼす影響を評価した。
【0423】
(+)‐α‐DHTBZはすべての試験用量で、(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせは2mg/kgの用量で、リスペリドンは1mg/kgの用量で、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較して自発運動が低下した。(+)‐α‐DHTBZはすべての試験用量で、(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせは2mg/kgの用量で、リスペリドンは1mg/kgの用量で、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、常同行動の低下をもたらした。
【0424】
(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせで処置したラットでは、(-)‐α‐異性体が誘発性自発運動の減少をほとんど(もしあったとしても)もたらさないことが示されているにもかかわらず、(+)‐α‐DHTBZのみで処置したラットよりもアンフェタミン誘発性自発運動は少なかった。
【0425】
試験4では(+)‐α‐DHTBZ及び(-)‐α‐DHTBZの0.5mg/kg + 0.5mg/kg、1mg/kg + 0.5mg/kg、1mg/kg + 1mg/kg及び1.5mg/kg + 1mg/kgの用量での組み合わせが、雄CDラットにおけるアンフェタミン誘発性自発運動に及ぼす影響を評価した。
【0426】
全ての試験した組み合わせにおける(+)‐α‐DHTBZ及び(-)‐α‐DHTBZの組み合わせ及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、より低い自発運動をもたらした。すべての試験用量における(+)‐α‐DHTBZと(-)‐α‐DHTBZの組み合わせ及びリスペリドン1mg/kgは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、常同行動の減少をもたらした。
【0427】
1mg/kgの用量の(+)‐α‐DHTBZと0.5mg/kgの用量の(-)‐α‐DHTBZの組み合わせを投与されたラットと、1mg/kgの用量の(+)‐α‐DHTBZと1mg/kgの用量の(-)‐α‐DHTBZの組み合わせを投与されたラットについてのデータを比較すると、単離した(-)‐α異性体の効率の欠如が実証されたことを考慮すると、組み合わせ治療における(-)‐α異性体の量の増加が試験されたラットにおける自発運動の減少をもたらしたことは驚くべきことであった。
【0428】
試験5では、雄CDラットにおけるアンフェタミン誘発性自発運動に対する(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg及び5mg/kg用量、並びに(+)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kg用量及び(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg用量の組み合わせの効果を評価した。
【0429】
(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg、(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kg、及び(+)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kgと(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kgの組み合わせは、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、自発運動を低下させた。(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kg、(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kg、及び(+)‐α‐DHTBZ 2.5mg/kgと(+)‐β‐DHTBZ 2.5mg/kgの組み合わせもまた、ビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、常同行動の低下をもたらした。5mg/kgの用量で(+)‐β‐DHTBZを投与されたラットは自分の周囲で起こっていることにあまり関心を寄せておらず、(+)‐β‐DHTBZ 5mg/kgを受けたラットは四肢が緊張していることが観察され、試験の終わりにそれらの正向反射を部分的に欠いていた。
【0430】
試験6では、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kg用量、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kg用量+(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kg用量の組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kg用量+(-)‐β‐DHTBZ 1mg/kg用量の組み合わせ、(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg用量+(-)‐α‐DHTBZ 1mg/kg用量の組み合わせ、(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg用量+(-)‐β‐DHTBZ 1mg/kg用量の組み合わせ、(+)‐α‐DHTBZ 1mg/kg用量+(+)‐β‐DHTBZ 1mg/kg用量の組み合わせ、及びリスペリドン 1mg/kg用量の、雄CDラットにおけるアンフェタミン誘発性自発運動に対する効果を評価した。
【0431】
ビヒクル、リスペリドン及びすべてのジヒドロテトラベナジン含有はビヒクル‐アンフェタミン群と比較した場合、より低い自発運動をもたらし、減少した常同行動をもたらした。
【0432】
6つの試験から得られた結果は、(+)‐β‐ジヒドロテトラベナジン、(-)‐α‐ジヒドロテトラベナジン及び(+)‐α‐ジヒドロテトラベナジンの組み合わせが運動障害の治療に有用であることを示す。
【0433】
均等物
本発明の基礎をなす原理から逸脱することなく、上述の本発明の特定の実施形態に対して多数の修正及び変更を行うことができることは容易に明らかであろう。全てのこのような修正及び変更は、本出願によって包含されることが意図される。